説明

吸収性樹脂粒子、吸収体及び吸収体物品

【課題】 吸収性樹脂粒子が壊れにくく、保水量を低下することなく、かつ、吸収性物品が被吸収体の逆戻りを起こさない吸収性樹脂粒子を提供する。
【解決手段】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(S)と界面活性剤(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、前記界面活性剤(A)が濃度0.1〜1重量%の水溶液において25℃で15〜30mN/mの表面張力を有する炭素数8〜32の長鎖アルキル脂肪酸のエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする吸収性樹脂粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、吸収体及び吸収体物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙おむつなどの衛生材料において高機能化および薄型化が進み、これらの衛生材料中の吸収性樹脂粒子の使用量や使用比率(吸収性物品中での比率、重量%)を高めることで、吸収量の増大や漏れ防止性を確保しながら薄型化を図っている。このため、吸収性樹脂粒子に対して更に高度な性能が求められている。吸収性樹脂粒子に求められる性能としては、吸収倍率、保水量、加圧下吸収量及び加圧下通液性等が挙げられる。しかし、これらの吸収性能を向上させた吸収性樹脂粒子は、吸収体物品を作成する工程で吸収性樹脂粒子同士が衝突する際に吸収性樹脂粒子が壊れ易く、そのことにより吸収性樹脂粒子の吸収性能が悪化し吸水体物品の吸収性能が悪化したり、被吸収体が逆戻りすることが問題となっていた(特許文献1及び2参照)。この問題を改良するため、界面活性剤を添加して吸収性樹脂粒子の動摩擦を低減して粒子が壊れにくくする方法が考えられるが、界面活性剤の添加により吸収性樹脂粒子の表面張力が低下して吸収性能が低下、特に保水量が低下することが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−125716号公報
【特許文献2】特開平9−124879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、吸収性樹脂粒子が壊れにくく、保水量を低下することなく、かつ、吸収性物品が被吸収体の逆戻りを起こさない吸収性樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の界面活性剤を有する吸収性樹脂粒子が上記課題を解決できることを見いだし本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(S)と界面活性剤(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、前記界面活性剤(A)が濃度0.1〜1重量%の水溶液において25℃で15〜30mN/mの表面張力を有する炭素数8〜32の長鎖アルキル脂肪酸のエチレンオキサイド付加物であることを特徴とすることを要旨とする。
【0007】
本発明の吸収体は、上記の吸水性樹脂粒子及び繊維を含有してなる点を要旨とする。
【0008】
本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を備えてなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性樹脂粒子は従来の吸収性樹脂粒子に比べて同等以上の保水量を有し、かつ従来の吸収性樹脂粒子よりも、吸収性物品とした場合の被吸収体の逆戻りが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子の内部及び/又は表面に、濃度0.1〜1重量%の水溶液において25℃で15〜30mN/mの表面張力を有する炭素数8〜32の長鎖アルキル脂肪酸のエチレンオキサイド付加物からなる界面活性剤(A)を含んでなる構造を有すれば制限はない。
【0011】
本発明の吸収性樹脂粒子における界面活性剤(A)の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは1.5〜9、特に好ましくは2〜8、とりわけ2.5〜7である。この範囲であると吸収性物品の被吸収液体の逆戻り性が少ないため好ましい。
【0012】
本発明における界面活性剤(A)は、界面活性剤の水溶液濃度が0.1〜1重量%の時の25℃での表面張力が15〜30mN/mであり、被吸収液体の逆戻り性の観点から、好ましくは17〜27mN/m、更に好ましくは20〜25mN/mである。なお、ここでの表面張力は、輪環法{(25℃)、C.Hub,S.G.Mason,Colloid&polymer Science,253巻(1974年),566頁}により測定されるものである。
【0013】
界面活性剤(A)のHLBは、4.0〜5.2が好ましく、さらに好ましくは4.1〜5.2、特に好ましくは4.2〜5.2、最も好ましくは4.3〜5.1である。この範囲であると、吸収体の被吸収液体の保水量がさらに良好となる。なお、HLBはグリフィンのHLB{界面活性剤入門,三洋化成工業株式会社,2007年,142頁}により求められる。
【0014】
界面活性剤(A)として好ましいのは長鎖アルキル脂肪酸の炭素数が10〜25、さらに好ましいのは炭素数が13〜23、特に好ましいのは炭素数が16〜20のものである。また、エチレンオキサイドの付加モル数は平均1〜5モルが好ましく、さらに好ましくは平均1〜4モル、特に好ましくは平均1〜3モル、最も好ましくは平均1〜2モルである。この範囲であると、吸収体の被吸収液体の保水量がさらに良好となる。
【0015】
界面活性剤(A)の具体例としては、ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物(表面張力=24mN/m、HLB=5.1)、ヘプタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物(表面張力=23、HLB=4.9)、オクタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物(表面張力=23mN/m、HLB=4.7)、ノナデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物(表面張力=22mN/m、HLB=4.6)、及びイコサン酸エチレンオキサイド2モル付加物(表面張力=21mN/m、HLB=4.4)等が挙げられる。
【0016】
本発明の吸収性樹脂粒子における架橋重合体(S)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体であり、本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法としては、例えば下記の製造方法−1、製造方法−2、及びこれらの併用が挙げられる。
【0017】
製造方法−1:
予め得られた架橋重合体(S)の含水ゲルと界面活性剤(A)とを混合・混練する工程を含む製造方法。
製造方法−2:
界面活性剤(A)の存在下に水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を重合させて界面活性剤(A)を含む架橋重合体組成物(S’)の含水ゲルを得る工程を含む製造方法。
【0018】
まず、製造方法−1について述べる。
【0019】
架橋重合体(S)の構成単位である水溶性ビニルモノマー(a1)としては、例えば特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等に記載のビニルモノマーが使用できる。
【0020】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、例えば特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等に記載のビニルモノマーが使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0021】
前記(a1)及び(a2)のうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0022】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0023】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0024】
吸収性樹脂粒子の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては、例えば特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等に記載の疎水性ビニルモノマーが使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
【0025】
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン類並びにビニルナフタレン等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレン性モノマー
アルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等)及びアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレン性モノマー
モノエチレン性不飽和モノマー(ピネン、リモネン及びインデン等)及びポリエチレン性ビニル重合性モノマー(シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等)。
【0026】
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、(a1)〜(a3)の合計のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収性能の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0027】
内部架橋剤(b)としては、公知(例えば特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報)の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収特性の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0028】
内部架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、(a1)〜(a3)単位の合計モル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0029】
製造方法−1における架橋重合体(S)の含水ゲルは、前記水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(b)並びに必要によりその他のビニルモノマー(a3)を単量体として用いて、公知の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等)と同様にして製造することができる。
【0030】
重合によって得られた含水ゲルは、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。なお、逆相縣濁重合によって得られた含水ゲルは通常は細断されない。また、細断と同時もしくは細断の前後に中和工程を入れてもよい。中和剤としてはアルカリ金属水酸化物の水溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液等)を使用し、中和度はアニオン性基の当量に対して40〜90%が好ましい。
【0031】
架橋重合体(S)の含水ゲルは、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。表面架橋剤としては、公知{特開昭59−189103号公報、特開昭58−180233号公報、特開昭61−16903号公報、特開昭61−211305号公報、特開昭61−252212号公報、特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収性能の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0032】
表面架橋処理をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋
させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが
、吸収性能の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解性ビニルモノマー(
a2)及び架橋剤(b)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましく
は0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0033】
表面架橋処理をする場合、表面架橋処理の方法は、公知{たとえば、特許第36485
53号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特
開2005−95759号公報}の方法が適用できる。
【0034】
製造方法−1において、界面活性剤(A)は、重合によって得られた含水ゲル又は裁断された含水ゲルに混合・混練される。界面活性剤(A)を混合する時期は、重合様式が水溶液重合の場合は、例えば、重合工程直後、含水ゲルの破砕(細断)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。また、重合様式が逆相縣濁重合の場合は、重合工程直後、脱水工程中(水分10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、表面架橋工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられ、これらのうち吸収性物品の耐モレ性等の観点から、好ましくは、重合工程直後又は表面架橋工程中である。界面活性剤(A)の混合時期は、含水ゲルの乾燥中であってもよいが、少なくとも水分が10%以上残存している段階で混合されることが好ましい。界面活性剤(A)の混合温度(℃)は、20〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収性能がさらに良好となる。なお、含水ゲルの乾燥中に混合する場合、工業的な装置としては、特に制限はないが、例えば、コニカルブレンダー、ナウターミキサー、双腕型ニーダー、V型混合機、流動層式混合機、タービュライザー、スクリュー式のラインブレンド装置、リボンミキサー及びモルタルミキサー等の機械的混合装置が好適に用いられる。
【0035】
界面活性剤(A)を含有した含水ゲルは、通常は乾燥される。乾燥方法は、例えば細断された含水ゲルを、金網を装着したトレイに積層し、通気型バンド乾燥機で100〜150℃で風速2〜3mの条件で行うことができる。さらに、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0036】
必要によりふるい分けして得られる吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜700、次に好ましくは250〜600、特に好ましくは300〜500、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0037】
吸収性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.54〜0.70が好ましく、さらに好ましくは0.56〜0.65、特に好ましくは0.58〜0.60である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0038】
吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。
【0039】
以下において、製造方法−2について述べる。
【0040】
製造方法−2においては、重合様式が水溶液重合であっても逆相縣濁重合であっても、界面活性剤(A)は重合前の重合液中の一成分として配合されて使用される。界面活性剤(A)が重合液中の一成分として配合されても、架橋重合体の製造方法は公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等}と同様にして製造することができる。
【0041】
界面活性剤(A)を含有する架橋重合体組成物(S’)は、前記架橋重合体(S)の場合と同様に、含水ゲルとして得られ、必要により、細断、中和、乾燥、粉砕及び/又は表面架橋等を行うことができ、前記製造方法−1の場合と同様の吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径及び見掛け密度を有する。
【0042】
本発明の吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{例えば。公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は架橋重合体(S)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0043】
本発明の吸収性樹脂粒子により吸収できる被吸収液体としては特に限定はないが、尿、血液及び/若しくはその他の体液、並びに/又はドリップ、海水、工業廃水及び/若しくは泥水等を含む水性被吸収液体が挙げられる。これらのうち、尿、血液及び/又はその他の体液を含む水性被吸収液体が好ましく、さらに好ましくは尿を含む水性被吸収液体である。
【0044】
本発明の吸収性樹脂粒子の保水量(g/g)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、28〜45が好ましく、さらに好ましくは32〜40、特に好ましくは34〜38である。なお、吸収性樹脂粒子の保水量は以下の方法により測定される。
【0045】
<吸収性樹脂粒子の保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。また、吸収性樹脂粒子の保水量は前述した方法により測定した。
【0047】
なお、以下の実施例で使用した界面活性剤は下記のものである。
界面活性剤(A−1):ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物
界面活性剤(A−2):ヘプタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物
界面活性剤(A−3):オクタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物
界面活性剤(A−4):ノナデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物
界面活性剤(A−5):イコサン酸エチレンオキサイド2モル付加物
【0048】
<実施例1>(製造方法−2、水溶液重合)
アクリル酸(三菱化学株式会社製、純度100%)155部(2.15モル部)、内部架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソ−株式会社製)0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部及び、界面活性剤(A−1){ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}1.9部(吸収性樹脂粒子の重量に基づいて1.0重量%に相当)を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1−1)を得た。 次にこの含水ゲル(1−1)502.27部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し細断ゲル(1−2)を得た。さらに細断ゲル(1−2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。表1に示したように、吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は395μm、生理食塩水に対する保水量は37g/gであった。以下の実施例2〜20及び比較例1〜8で得られた吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径及び保水量も同様に表1に示した。
【0049】
<実施例2>(製造方法−2、逆相縣濁重合)
アクリル酸145.4部を9.4部の水で希釈し、30〜20℃に冷却しつつ25%の水酸化ナトリウム水溶液242.3部を加えて中和した。この溶液にエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)を0.09部、次亜リン酸ソーダ1水和物を0.0146部、過硫酸カリウムを0.0727部及び界面活性剤(A−1){ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}を1.9部(吸収性樹脂粒子の重量に基づいて1.0重量%に相当)を添加して溶解させ、モノマー水溶液とした。次いで、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル(表面張力=32mN/m、第一工業製薬社、商品名:ブライサーフA210G)1.56部を添加して溶解させた後、撹拌しつつ窒素置換した後、70℃まで昇温した。そして、70℃に保ったまま、調整したモノマー水溶液を6.6部/分で6分間滴下して75℃で15分間保持した後、残りのモノマー水溶液を6.6部/分で54分間に亘って滴下した。その後、75℃で30分熟成した。この後、水をシクロヘキサンとの共沸によって樹脂の含水率が約20%(赤外水分計(FD−100型、Kett製、180℃、20分で測定)となるまで除去した。30℃に冷却し撹拌を停止すると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより、樹脂粒子とシクロヘキサンとを分離した。この樹脂粒子80部とシクロヘキサン140部とを反応容器に入れ、これにグリセリンポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社、商品名:デナコールEX−314)0.4%を含むシクロヘキサン溶液3.4部を添加した後、60℃で加熱して30分間保持した後、さらに加熱してシクロヘキサンの還流下に30分間保持した。次いで濾過して樹脂粒子を取得し80℃で減圧乾燥することにより、吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0050】
<実施例3>(製造方法−1、水溶液重合)
アクリル酸155部(2.15モル部)、内部架橋剤としてのペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(3−1)を得た。次にこの含水ゲル(3−1)502.27部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、引き続き界面活性剤(A−1){ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}1.9部(吸収性樹脂粒子の重量に基づいて1.0重量%に相当)を添加して混合し、細断ゲル(3−2)を得た。さらに細断ゲル(3−2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0051】
<実施例4>(製造方法−1、逆相縣濁重合)
アクリル酸145.4部を9.4部の水で希釈し、30〜20℃に冷却しつつ25%の水酸化ナトリウム水溶液242.3部を加えて中和した。この溶液にエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−810)を0.09部、次亜リン酸ソーダ1水和物を0.0146部、過硫酸カリウムを0.0727部を添加して溶解させ、モノマー水溶液とした。次いで、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル1.56部を添加して溶解させた後、撹拌しつつ窒素置換した後、70℃まで昇温した。そして、70℃に保ったまま、調整したモノマー水溶液を6.6部/分で6分間滴下して75℃で15分間保持した後、残りのモノマー水溶液を6.6部/分で54分間に亘って滴下した。その後、75℃で30分熟成した。この後、水をシクロヘキサンとの共沸によって樹脂の含水率が約20%(赤外水分計(FD−100型、Kett製、180℃、20分で測定)となるまで除去した。30℃に冷却し撹拌を停止すると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより、樹脂粒子とシクロヘキサンとを分離した。この樹脂粒子80部とシクロヘキサン140部とを反応容器に入れ、これにグリセリンポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社、商品名:デナコールEX−314)0.4%を含むシクロヘキサン溶液3.4部及び界面活性剤(A−1){ヘキサデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}1.9部(吸収性樹脂粒子の重量に基づいて1.0重量%に相当)を添加、混合した後、60℃で加熱して30分間保持した後、さらに加熱してシクロヘキサンの還流下に30分間保持した。次いで濾過して樹脂粒子を取得し80℃で減圧乾燥することにより、吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0052】
<実施例5>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−2){ヘプタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0053】
<実施例6>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−3){オクタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0054】
<実施例7>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−4){ノナデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0055】
<実施例8>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−5){イコサン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。
【0056】
<実施例9>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−2){ヘプタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例2と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(9)を得た。
【0057】
<実施例10>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−3){オクタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例2と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(10)を得た。
【0058】
<実施例11>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−4){ノナデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例2と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(11)を得た。
【0059】
<実施例12>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−5){イコサン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例2と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(12)を得た。
【0060】
<実施例13>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−2){ヘプタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例3と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(13)を得た。
【0061】
<実施例14>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−3){オクタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例3と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(14)を得た。
【0062】
<実施例15>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−4){ノナデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例3と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(15)を得た。
【0063】
<実施例16>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−5){イコサン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例3と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(16)を得た。
【0064】
<実施例17>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−2){ヘプタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例4と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(17)を得た。
【0065】
<実施例18>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−3){オクタデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例4と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(18)を得た。
【0066】
<実施例19>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−4){ノナデカン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例4と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(19)を得た。
【0067】
<実施例20>
「界面活性剤(A−1)」を「界面活性剤(A−5){イコサン酸エチレンオキサイド2モル付加物}」に変更したこと以外、実施例4と同様にして本発明の吸収性樹脂粒子(20)を得た。
【0068】
<比較例1>
「界面活性剤(A−1)」を添加しない以外は実施例1と同様にして吸収性樹脂粒子(21)を得た。
【0069】
<比較例2>
「界面活性剤(A−1)」を添加しない以外は実施例2と同様にして吸収性樹脂粒子(22)を得た。
【0070】
<比較例3>
「界面活性剤(A−1)」を添加しない以外は実施例3と同様にして吸収性樹脂粒子(23)を得た。
【0071】
<比較例4>
「界面活性剤(A−1)」を添加しない以外は実施例4と同様にして吸収性樹脂粒子(24)を得た。
【0072】
<比較例5>
「界面活性剤(A−1)1.9部」を「ラウリルアルコールエチレンオキサイド9モル付加物(表面張力=28、HLB=13.4)1.9部」に変更した以外は実施例1と同様にして吸収性樹脂粒子(25)を得た。
【0073】
<比較例6>
「界面活性剤(A−1)1.9部」を「ラウリルアルコールエチレンオキサイド9モル付加物1.9部」に変更した以外は実施例2と同様にして吸収性樹脂粒子(26)を得た。
【0074】
<比較例7>
「界面活性剤(A−1)1.9部」を「ラウリルアルコールエチレンオキサイド9モル付加物1.9部」に変更した以外は実施例3と同様にして吸収性樹脂粒子(27)を得た。
【0075】
<比較例8>
「界面活性剤(C−1)1.9部」を「ラウリルアルコールエチレンオキサイド9モル付加物1.9部」に変更した以外は実施例4と同様にして吸収性樹脂粒子(28)を得た。
【0076】
実施例1〜20及び比較例1〜8の吸収性樹脂粒子(1)〜(28)を用い、以下のようにして吸水性物品(1)〜(28)を作成した。
【0077】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製1>
フラッフパルプ100部と評価試料{吸収性樹脂粒子(1)}100部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/m2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、吸収性物品(1)を得た。この吸収性物品(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収性物品と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつ(1)を調製した。吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は50/50であった。吸水性樹脂粒子(1)を吸水性樹脂粒子(2)〜(28)に変更した以外、上記と同様にして、吸水性物品(2)〜(28)を得た。これらの吸水性物品(1)〜(28)について、被吸収液体の逆戻り性を評価するため、SDME法による表面ドライネス値を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0078】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、人工尿を吸収し終えたら{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央及びその左右{紙おむつ40cmの端から10cmの等間隔に3箇所}にSDME検出器を3つ載せて、表面ドライネス値の測定を開始し、測定開始から5分後の値をそれぞれ表面ドライネス値とした。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0079】
【表1】

【0080】
表1から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子(実施例1〜20)は、本発明の範囲以外の界面活性剤を添加した比較例5〜8の吸収性樹脂粒子と比べて保水量が低下せず、比較例1〜4の界面活性剤を含有しない吸収性樹脂粒子と同等の保水量を示している。これは、特定の界面活性剤を含有することにより、吸収性樹脂粒子の表面張力が低下しても保水量が低下しにくいことによるものであると推定される。また、吸収性物品のドライネス性を見ると、本発明の吸収性物品は、界面活性剤を含有しない比較例1〜4のものに比べて動摩擦が少なくなり、吸収性物品作製工程での粒子の破壊が少ないことにより優れたドライネス性を発揮していると推定される。また、比較例5〜8の本発明の範囲以外の界面活性剤を含有する吸収性物品は、実施例1〜20のものに比べて、動摩擦の低減効果が少ないだけでなく保水量の低下があるので、さらにドライネス性が低下しているものと推定される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性物品等(特に血液又は尿を含む水性被吸収液体の吸収及び/又は保持が要望されている吸収性物品)に適しており、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ)、生理用ナプキン、失禁用パッド、母乳パッド、手術用アンダーパッド及びペットシート等の衛生用品(特に生理用ナプキン)に好適である。さらに鮮度保持材、保冷材、乾燥剤、ドリップ吸収材、結露防止剤、植物や土壌等の保水剤、ヘドロ等の凝固剤、土木建築用の止水材やパッキング材、電線ケーブルや光ファイバーケーブルの止水材及び人工雪等の各種用途にも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(S)と界面活性剤(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、前記界面活性剤(A)が濃度0.1〜1重量%の水溶液において25℃で15〜30mN/mの表面張力を有する炭素数8〜32の長鎖アルキル脂肪酸のエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
前記エチレンオキサイド付加物におけるエチレンオキサイドの付加モル数が平均で1〜5モルである請求項1記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
前記界面活性剤(A)が、4.0〜5.2のHLBを有する界面活性剤である請求項1又は2記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
前記界面活性剤(A)の含有量が、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて0.1〜10重量%である請求項1〜3のいずれか記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項5】
前記架橋重合体(S)の含水ゲルと界面活性剤(A)とを混合・混練する工程を含む製造方法(製造方法−1)、又は前記界面活性剤(A)の存在下に水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を重合させて界面活性剤(A)を含む架橋重合体組成物(S’)の含水ゲルを得る工程を含む製造方法(製造方法−2)によって得られる請求項1〜4のいずれか記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の吸収性樹脂粒子及び繊維を含有してなる吸収体。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収体を配してなる吸収性物品。

【公開番号】特開2011−32442(P2011−32442A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182928(P2009−182928)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】