説明

吸収性物品および吸収性物品包装体

【課題】折り目で折り返しても折り目の跡が残りにくい吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性積層体4とから構成される吸収体5を有する吸収性物品1Aであって、吸収体5は長手方向yと幅方向xとを有し、吸収性積層体4は、パルプ繊維を有する繊維集合層21と、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないシート状吸収層11とを有し、吸収性物品1Aは幅方向xに延びる折り目Aで折り返され、繊維集合層21は折り目Aに開口24を有する吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿取りパッド(軽失禁パッド)、生理用ナプキン等の吸収性物品、および前記吸収性物品が容器内に収容された吸収性物品包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿取りパッド、生理用ナプキン等の吸収性物品が折り畳まれ、包装材で個別包装されているものが知られている。折り畳まれた吸収性物品については、使用する際に吸収性物品の折り畳みを展開して、吸収性物品に折り目の跡を残りにくくしたり、折り目を展開しやすくする工夫が様々なされている。例えば、特許文献1に開示される吸収性物品は、吸収性物品に含まれる吸収体の外面側に、線状に形成された凹部を折り目線と直交するように設けることにより、吸収性物品の折り目を展開しやすくしている。特許文献2に開示される吸収性物品は、吸収性物品に含まれる吸収体が、吸収体の幅方向に延びる折曲補助手段が複数本形成された折り曲げ領域を有し、この折り曲げ領域で吸収性物品が折り返されることにより、吸収性物品に折り目の跡を残りにくくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61396号公報
【特許文献2】特開2009−153735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り畳んでも折り目の跡が残りにくい吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性積層体とから構成される吸収体を有する吸収性物品であって、前記吸収体は長手方向と幅方向とを有し、前記吸収性積層体は、パルプ繊維を有する繊維集合層と、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないシート状吸収層とを有し、前記吸収性物品は幅方向に延びる折り目で折り返され、前記繊維集合層は前記折り目に開口を有するところに特徴に特徴を有する。本発明の吸収性物品は、吸収性積層体がシート状吸収層と繊維集合層とを有しているため、吸収性物品を折り返しても、シート状吸収層は折り目が形成された部分で周囲からの圧力が低減され、シート状吸収層に折り目が残りにくくなる。さらに、繊維集合層は折り目に開口が設けられるため、シート状吸収層が開口と重なった部分で折り返されても、折り目が形成された部分で周囲からの圧力がさらに低減され、シート状吸収層に折り目が残りにくくなる。従って、吸収性物品を使用する際、吸収性物品の折り返しを展開しても吸収性物品に折り目の跡が残りにくくなり、吸収性物品の着用感が向上する。
【0006】
繊維集合層は、前記折り目と吸収体の長手方向の中心線とに交差するように、長手方向に延びる開口を1つ有することが好ましい。このように開口が設けられることにより、開口が着用者の排尿部付近に設けられることとなり、着用者の排尿部付近で吸収性物品の剛性が低減して圧迫感が減り、吸収性物品の着用感が向上する。また、少なくとも排尿部付近でシート状吸収層に折り目の跡が残りにくくなり、吸収性物品の着用感が向上する。
【0007】
吸収性物品は、幅方向に延びる1、2または3個の折り目で折り返されて、2、3または4つ折りされ、前記開口は、前記折り目の少なくとも1つに設けられることが好ましい。折り目の数が3個以下であれば、シート状吸収層に形成される折り目の数が多くなりすぎず、折り畳まれた吸収性物品を携帯して持ち運びやすくなるとともに、折り畳まれた吸収性物品を容器へ収容する際の収容性が向上する。
【0008】
吸収性物品はさらに、バックシートに粘着剤層により剥離可能に接合された被覆シートを有し、被覆シートは吸収体とともに前記折り目で折り返され、吸収体が被覆シートにより包まれていてもよい。吸収体が被覆シートにより包まれることにより、吸収性物品は個別包装された状態で取り扱えるようになり、携帯して持ち運びやすくなる。本発明の吸収性物品は、個別包装された状態でも、開口が設けられた折り目をつかみやすくなり、取り扱い性が向上する。
【0009】
本発明はまた、本発明の吸収性物品が複数、容器内に収容された吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、前記開口が設けられた折り目が全て同じ方向を向くように複数積み重ねられ、前記容器は、積み重ねられた吸収性物品の前記開口が設けられた折り目が向いている側に開封可能部を有する吸収性物品包装体を提供する。本発明の吸収性物品包装体は、複数の吸収性物品が圧縮された状態で容器内に収容されていても、開口が設けられた折り目では両隣の吸収性物品からの圧迫が低減して、隣接する吸収性物品間に隙間が生じやすくなる。従って、容器の開封可能部を開けて吸収性物品を取り出す際、開口が設けられた折り目をつかみやすくなり、吸収性物品を容器から取り出すことが容易になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸収性物品は、折り畳んでも折り目の跡が残りにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】折り目を展開した状態の尿取りパッド(吸収性物品)の平面図を表す。
【図2】図1の尿取りパッドのX−X断面図を表す。
【図3】図3(a)は、2つ折りされる予定の吸収性物品を表す。図3(b)は、2つ折りされた吸収性物品を表す。図3(c)は、図3(b)に示された吸収性物品を包装材で個別包装した例を表す。
【図4】3つ折りされる予定の吸収性物品を表す。
【図5】図5(a)は、4つ折りされる予定の吸収性物品を表す。図5(b)〜(d)は、図5(a)に示された吸収性物品を折り返す方法の一例を表す。図5(d)は、被覆シートとともに折り返されて個別包装された吸収性物品を表す。
【図6】シート状吸収層の好ましい実施態様の断面図の一例を表す。
【図7】複数の吸収性物品が容器内に収容された吸収性物品包装体を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性積層体とから構成される吸収体を有し、吸収体の幅方向に延びる折り目で折り返されている。本発明において、折り目とは、吸収性物品を折り返す結果として形成されるものであり、折り返す前から折り目が設けられている必要はない。本発明の吸収性物品は尿取りパッドや生理用ナプキン等に好適に用いられ、吸収体の幅方向に延びる折り目で折り返されることにより、コンパクトに折り畳まれ携帯して持ち運びやすくなるとともに、容器に収容しやすくなる。吸収性物品は、例えば、容器内に収容された状態で店頭販売される。
【0013】
吸収体は、長手方向と幅方向とを有する。長手方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。長手方向において、着用者の腹部側の位置を前側と称し、着用者の臀部側の位置を後側と称する。幅方向とは、吸収体と同一面上にあり、長手方向と直交する方向を意味する。長手方向と幅方向から形成される面上の方向を、平面方向と称する。また、本発明において、上側とは吸収性物品を着用した際の着用者側を意味し、下側とは吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側、すなわち外側を意味する。上側から下側に延びる方向を、厚み方向と称する。
【0014】
トップシートは、吸収性物品の着用の際、着用者側に位置するシートであり、液透過性であればその材料は特に限定されない。バックシートは、吸収性物品の着用の際、着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であればその材料は特に限定されない。
【0015】
トップシートやバックシートは、例えば、不織布、織布、編布、プラスチックフィルム、プラスチックフィルムと不織布との積層体等から構成される。積層体としては、例えば、不織布とプラスチックフィルムとが一層ずつ重ねられたものや、プラスチックフィルムを不織布で挟んで重ねられたものが示される。なお、プラスチックフィルムやプラスチックフィルムを含む積層体をトップシートに用いる場合は、プラスチックフィルムには液を通過させるための孔が形成されていることが好ましい。トップシートは、好ましくは不織布から構成される。バックシートは、好ましくは不織布またはプラスチックフィルムから構成される。
【0016】
トップシートとバックシートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法やそれらの製法の組み合わせ等により製造されるものが好ましい。また、スパンボンド法とメルトブロー法を組み合わせたSMS法により製造された不織布を用いてもよい。
【0017】
トップシートとバックシートとして不織布を用いる場合、不織布の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド等の合成繊維、パルプ、絹等の天然繊維から適宜選択できる。また、合成繊維として、複合繊維を用いてもよい。なかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、またはそれらを組み合わせた複合繊維が好ましい。このような不織布を用いれば、高強度で風合いに優れたシートが得やすくなる。
【0018】
バックシートの下側には粘着剤層が設けられていてもよい。バックシートの下側に粘着剤層が設けられることにより、吸収性物品を使用時、吸収性物品をパンツ等の下着や使い捨ておむつ等の内面に固定できるようになる。粘着剤層としては、下着や使い捨ておむつ等に接着可能なものであれば特に限定されない。
【0019】
粘着剤層の下側にはさらに、粘着剤層に対し剥離可能な被覆シートが設けられていてもよい。すなわち、吸収性物品は、吸収体に加え、バックシートに粘着剤層により剥離可能に接合された被覆シートを有してもよい。被覆シートが設けられることにより、吸収性物品の未使用時には、被覆シートが粘着剤層を覆って粘着剤層が保護され、吸収性物品を使用する際には被覆シートを剥がして粘着剤層の粘着力を利用できるようになる。被覆シートとしては、粘着剤層と剥離可能な材料を用いればよく、例えば、プラスチックフィルム、不織布、プラスチックフィルムと不織布との積層体等を用いればよい。被覆シートの大きさは、吸収体より大きくてもよく、吸収体と同じ大きさでもよく、吸収体より小さくてもよい。
【0020】
吸収性積層体は、トップシートとバックシートとの間に設けられ、尿等の排泄物を吸収する。本発明の吸収性物品は尿取りパッドや生理用ナプキン等に好適に用いられるが、このような用途に用いられる吸収性物品は、薄型でありながら、高い吸収容量を有することが求められる。そのため、吸収性積層体は、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないシート状吸収層を有している。シート状吸収層は吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないため、パルプ繊維による嵩張りが低減され、高い吸収容量を有しつつ薄型に形成することができる。
【0021】
シート状吸収層は、不織布シート間に吸水性樹脂が設けられて構成されるが、この不織布シート間にはパルプ繊維は設けられない。シート状吸収層に設けられる吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸系、デンプン系、ポリビニルアルコール系等の吸水性樹脂が挙げられる。吸水性樹脂としては、高い吸収容量を有する点で、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系の吸水性樹脂を用いることが好ましい。
【0022】
シート状吸収層に用いられる不織布シートは液透過性であり、そのような不織布シートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性繊維を界面活性剤で親水化したものを用いればよい。
【0023】
シート状吸収層は高い吸収容量を有しつつ薄型に形成することができるが、パルプ繊維を有していないため、薄型であってもある程度の固さを有している。そのため、シート状吸収層を折り返して折り目を一旦形成すると折り目が消えにくく、吸収性物品を使用する際に吸収性物品の折り返しを展開しても、シート状吸収層の折り目の跡が残りやすくなる。シート状吸収層に折り目の跡が残ることにより、吸収性物品の着用感が悪化するおそれがある。
【0024】
そこで、本発明の吸収性物品は、吸収性積層体に、シート状吸収層に加え、パルプ繊維を有する繊維集合層が設けられるとともに、繊維集合層には、吸収性物品の折り目が形成される部分に開口が設けられる。つまり、吸収性積層体は、シート状吸収層と繊維集合層とを有し、繊維集合層は吸収性物品の折り目に開口を有する。繊維集合層はパルプ繊維を有するため、比較的柔軟に形成される。従って、吸収性積層体がシート状吸収層と繊維集合層とを有することにより、吸収性物品を折り返しても、シート状吸収層は折り目が形成された部分で周囲からの圧力が低減され、シート状吸収層に折り目が残りにくくなる。さらに、繊維集合層は折り目に開口が設けられるため、シート状吸収層が開口と重なった部分で折り返されても、折り目が形成された部分で周囲からの圧力がさらに低減され、シート状吸収層に折り目が残りにくくなる。従って、吸収性物品を使用する際、吸収性物品の折り返しを展開しても吸収性物品に折り目の跡が残りにくくなり、吸収性物品の着用感が向上する。
【0025】
開口とは、繊維集合層の厚み方向に貫通する開口を意味する。繊維集合層の開口は、幅方向に延びる折り目に設けられる限り、その位置は特に限定されない。吸収性物品に複数の折り目が形成される場合は、少なくとも1つの折り目に開口が設けられればよい。
【0026】
繊維集合層の開口は、1つのみ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよい。好ましくは、繊維集合層は、吸収体の長手方向に延びる開口を1つ有する。この場合、開口は、吸収体の長手方向の中心線と交差するように設けられることが好ましい。すなわち、繊維集合層は、折り目と吸収体の長手方向の中心線とに交差するように、長手方向に延びる開口を1つ有することが好ましい。このように開口が設けられることにより、開口が着用者の排尿部付近に設けられることとなり、着用者の排尿部付近で吸収性物品の剛性が低減して圧迫感が減り、吸収性物品の着用感が向上する。また、吸収性物品を使用する際、少なくとも排尿部付近でシート状吸収層に折り目の跡が残りにくくなり、吸収性物品の着用感が向上する。なお、繊維集合層が開口を1つのみ有する場合、開口は吸収体の幅方向の中央に設けられることが好ましい。
【0027】
繊維集合層が開口を1つのみ有する場合、開口の幅(幅方向の長さ)は、折り目における繊維集合層の幅の10%以上であることが好ましく、20%以上がより好ましく、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。開口の幅が、折り目における繊維集合層の幅の10%以上であれば、吸収性物品を開口が設けられた折り目で折り返した際、シート状吸収層が強く圧迫されにくくなる。開口の幅が、折り目における繊維集合層の幅の60%以下であれば、尿等の体液が繊維集合層に速やかに吸収されやすくなり、吸収体が型くずれしにくくなる。
【0028】
繊維集合層が開口を1つのみ有する場合、開口の長手方向の長さは、繊維集合層の長手方向の長さの20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、70%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。開口の長手方向の長さが、繊維集合層の長手方向の長さの20%以上であれば、開口が着用者の排尿部付近に位置しやすくなる。開口の長手方向の長さが、繊維集合層の長手方向の長さの70%以下であれば、尿等の体液が繊維集合層に速やかに吸収されやすくなり、吸収体が型くずれしにくくなる。
【0029】
繊維集合層に含まれるパルプ繊維としては、解繊パルプ繊維が好ましい。また、解繊パルプ繊維は、繊維塊として用いられることが好ましい。繊維集合層としては、パルプ繊維等の吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパー)や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。繊維集合層は、パルプ繊維を有しているため、柔軟性に優れるとともに、尿等の体液を速やかに吸収でき、吸収した体液の繊維集合層内での拡散性に優れるものとなる。なお、パルプ繊維は、吸水性樹脂のように体液を吸収して不可逆的に固定するものではなく、体液を可逆的に保持する場合もあるが、「吸収」との文言には「保持」の意味も含まれるものとする。
【0030】
繊維集合層は、パルプ繊維に加え、吸水性樹脂を有してもよい。吸水性樹脂は、吸収性材料の一部として用いられる。吸水性樹脂としては、シート状吸収層に用いることができる吸水性樹脂を採用すればよい。繊維集合層が吸水性樹脂を有していれば、繊維集合層の体液保持能力を高めることができる。
【0031】
繊維集合層が吸水性樹脂を有する場合、吸水性樹脂の含有量は40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。吸水性樹脂の含有量が40質量%以下であれば、繊維集合層が柔軟に形成されやすくなる。吸水性樹脂の含有量の下限は特に定められない。すなわち、繊維集合層は吸水性樹脂を含まなくてもよい。なお、吸水性樹脂の含有量とは、吸収性材料中の吸水性樹脂の含有量を意味する。
【0032】
繊維集合層は、パルプ繊維に加え、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維を有してもよい。熱融着性繊維は、吸収性材料の一部として用いられる。繊維集合層にこれらの繊維が含まれていれば、繊維集合層の保形性を高めやすくなる。熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理されていてもよい。
【0033】
繊維集合層の目付は、90g/m2以上が好ましく、100g/m2以上がより好ましく、また150g/m2以下が好ましく、140g/m2以下がより好ましい。繊維集合層の目付が90g/m2以上であれば、繊維集合層の体液吸収に係る機能が発揮されやすくなる。繊維集合層の目付が150g/m2以下であれば、繊維集合層の厚みが厚くなりすぎず、折り返しが容易な繊維集合層が得やすくなる。
【0034】
吸収性積層体は、繊維集合層とシート状吸収層とが積層されることにより構成されているが、繊維集合層とシート状吸収層とを積層する順番は特に限定されない。例えば、吸収性積層体は、繊維集合層とシート状吸収層とをトップシート側からこの順番で有してもよく、繊維集合層とシート状吸収層とをバックシート側からこの順番で、すなわちシート状吸収層と繊維集合層とをトップシート側からこの順番で有してもよい。なお、いずれの場合も、繊維集合層とシート状吸収層とが隣接して設けられることが好ましい。
【0035】
吸収性積層体が、繊維集合層とシート状吸収層とをトップシート側からこの順番で有するものである場合、トップシートを通って繊維集合層に移行した尿等の体液が繊維集合層内で平面方向に拡散しやすくなり、その結果、体液がシート状吸収層に広範囲に吸収されやすくなる。そのため、吸収性物品が体液を効率よく吸収できるようになる。
【0036】
吸収性積層体が、シート状吸収層と繊維集合層とをトップシート側からこの順番で有するものである場合、トップシートを通って吸収性積層体に移行した尿等の体液は、まずシート状吸収層により吸収される。このとき、体液が一度に大量に排出されると、シート状吸収層で体液が吸収されきれずに、一部が繊維集合層に移行しやすくなる。しかし、繊維集合層は、体液を速やかに吸収する能力に優れているため、シート状吸収層を通過した尿等の体液は、繊維集合層に速やかに吸収される。また、吸収性積層体が、シート状吸収層と繊維集合層とをトップシート側からこの順番で有するものである場合、吸収性物品は、体液の肌面側への逆戻り(ウェットバック)防止にも優れるものとなる。シート状吸収層は、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有していないため、体液を吸収しても表面が比較的乾いた状態で維持される。一方、繊維集合層は、体液を吸収すると湿潤状態となりやすく、押圧により吸収した体液の一部が逆戻りするおそれがあるが、繊維集合層よりもトップシート側にシート状吸収層が配されていれば、繊維集合層から逆戻りした体液が着用者の肌に達するのが阻止されやすくなる。
【0037】
吸収性積層体は、繊維集合層を2層以上有するものであってもよい。また、吸収性積層体は、シート状吸収層を2層以上有するものであってもよい。吸収性積層体は、繊維集合層または/およびシート状吸収層を2層以上有するものである場合、繊維集合層とシート状吸収層の積層の順番は特に限定されない。同じ種類の層が隣接して積層されてもよく、異なる種類の層が互い違いに積層されてもよい。
【0038】
吸収性積層体は、好ましくは、シート状吸収層と繊維集合層とをトップシート側からこの順番で有する。つまり、シート状吸収層がトップシート側に配され、繊維集合層がバックシート側に配されることが好ましい。このようにシート状吸収層と繊維集合層とが積層されることにより、着用感に優れ、吸収容量の高い吸収性物品が得やすくなる。
【0039】
吸収性積層体は、また、シート状吸収層と繊維集合層とをトップシート側からこの順番で有し、繊維集合層のバックシート側に別のシート状吸収層または別の繊維集合層を有することも好ましい。すなわち、吸収性積層体は、第1シート状吸収層と繊維集合層と第2シート状吸収層とをトップシート側からこの順番で有してもよく、シート状吸収層と第1繊維集合層と第2繊維集合層とをトップシート側からこの順番で有してもよい。なお、吸収性物品の折り畳み容易性から吸収性物品の厚みは薄い方が好ましく、従って、繊維集合層のバックシート側に設けられる別の層としてはシート状吸収層であることが好ましい。
【0040】
吸収性積層体の形状(平面形状)は特に限定されない。また、繊維集合層とシート状吸収層の形状(平面形状)も特に限定されない。繊維集合層とシート状吸収層の形状は、同一であっても、互いに異なっていてもよい。繊維集合層とシート状吸収層の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。
【0041】
次に、尿取りパッドを例にとって、図面を用いて、本発明の吸収性物品の実施態様を以下に説明する。なお、本発明は下記実施態様に限定されるものではない。
【0042】
図1は、折り目を展開した状態の尿取りパッド(吸収性物品)の平面図を表す。図2は、図1の尿取りパッドのX−X断面図を表す。なお、図では、矢印xを幅方向とし、矢印yを長手方向と定義付ける。また、矢印x,yにより形成される面上の方向を、平面方向と定義付け、矢印x,yに対し垂直方向を厚み方向または上下方向と定義付ける。
【0043】
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性積層体4とから構成される吸収体5を有する。吸収体5は長手方向yと幅方向xとを有する。トップシート2は、着用者の肌に面するように配置され、尿等の体液を透過する。トップシート2を通過した体液は、吸収性積層体4に移行する。
【0044】
トップシート2の幅方向xの両側には、長手方向yに延在するサイドシート7が設けられている。サイドシート7は、接合部8でトップシート2に接合されている。サイドシート7は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。サイドシート7には、各々、幅方向xの内方に起立用弾性部材9が設けられている(図1および図2では3本の弾性部材が設けられている)。吸収性物品1の使用時には、起立用弾性部材9の収縮力によりサイドシート7の内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより尿等の排泄物の横漏れが防止される。
【0045】
吸収性積層体4は、シート状吸収層11と繊維集合層21とを、トップシート2側からこの順で有する。シート状吸収層11は、不織布シート12,13間に吸水性樹脂14を有しパルプ繊維を有しない。繊維集合層21は、パルプ繊維22と吸水性樹脂23とを有する。また、繊維集合層21は、開口24を有する。開口24は、吸収体5の幅方向xの中央に設けられ、長手方向yに延びている。シート状吸収層11と繊維集合層21とは、接着剤層10により接合されている。
【0046】
図1および図2に示した尿取りパッドの折り返しについて、図3〜図5を用いて説明する。図3〜図5では、折り目の数に応じて、開口24の長手方向yの長さを変えて示したが、折り目の数と開口24の長手方向yの長さとの関係や折り目の位置は、図面に示した態様に限定されない。なお、図3〜図5のいずれにおいても、開口24は吸収体5の長手方向yの中心線と交差するように設けられている。
【0047】
図3(a)には、2つ折りされる予定の吸収性物品を示し、図3(b)には、2つ折りされた吸収性物品を示す。図3(a)に示した吸収性物品1Aは、幅方向xに延びるa−a線で折り返され、図3(b)に示されるように折り目Aが形成される。吸収性物品1Aは、幅方向xに延びる1個の折り目Aで折り返されて2つ折りされている。図3では、折り目A(a−a線)が吸収体5の長手方向yの中心線と一致しているが、折り目Aを吸収体5の長手方向yの中心線近傍に設けることで、吸収性物品1Aがコンパクトに折り畳まれる。吸収性物品1Aは、開口24が折り目Aに設けられているため、折り畳まれても折り目Aでシート状吸収層11が強く圧迫されない。従って、吸収性物品1Aを使用する際、吸収性物品1Aの折り畳みを展開しても、シート状吸収層11に折り目の跡が残りにくい。
【0048】
折り畳まれた吸収性物品1Aは、図3(c)に示されるように、包装材41により包んでもよい。折り畳まれた吸収性物品1Aが包装材41で包まれることにより、吸収性物品1Aは個別包装されることとなる。従って、吸収性物品1Aは、携帯して持ち運びやすくなるとともに、容器に収容しやすくなる。
【0049】
図4には、3つ折りされる予定の吸収性物品を示す。図4に示された吸収性物品1Bは、幅方向xに延びるb−b線とc−c線とで折り返され、各々折り目Bと折り目C(図示せず)とが形成される。吸収性物品1Bは、幅方向xに延びるb−b線とc−c線とにまたがって、開口24が設けられている。図4に示した吸収性物品1Bを折り畳むことにより、幅方向xに延びる折り目Bと折り目Cの2個の折り目で折り返されて、3つ折りされた吸収性物品1Bが得られる。吸収性物品1Bは、開口24が折り目Bと折り目Cとに設けられるため、折り畳まれても折り目Bと折り目Cでシート状吸収層11が強く圧迫されない。従って、吸収性物品1Bを使用する際、吸収性物品1Bの折り畳みを展開しても、シート状吸収層11に折り目の跡が残りにくい。
【0050】
図4では、折り目Bと折り目Cの両方に開口24が設けられていたが、吸収性物品に複数の折り目が形成される場合は、少なくとも1つの折り目に開口が設けられればよい。図4を例にとれば、開口24は折り目Bと折り目Cの少なくとも一つに交差するように設けられればよい。
【0051】
図5(a)には、4つ折りされる予定の吸収性物品を示す。図5(a)に示した吸収性物品1Cは、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性積層体4とから構成される吸収体5と、被覆シート6とを有する。被覆シート6は、バックシート3に粘着剤層により剥離可能に接合されている。図5(a)では、被覆シート6は長方形状を有し、吸収体5の幅方向xの両端より外方に延在し、吸収体5の長手方向yの一方端より外方に延在している。被覆シート6は、吸収体5の長手方向yの少なくとも一方端より外方に延在していればよく、さらに長手方向yの他方端より外方に延在していてもよい。図5(a)に示されるように被覆シート6が設けられていれば、吸収性物品1Cを幅方向xに延びる折り目で折り返すことにより、吸収体5を被覆シート6により包むことができ、その結果、図5(d)に示されるように折り畳まれて個別包装された吸収性物品1Cを得ることができる。個別包装された吸収性物品1Cは、携帯して持ち運びやすいとともに、容器に収容しやすくなる。また、被覆シート6が、吸収性物品1Cの包装材を兼ねるため、効率的である。
【0052】
吸収性物品1Cは、幅方向xに延びるd−d線、e−e線、およびf−f線で折り返されて、各々折り目D、折り目E、および折り目Fが形成される。吸収性物品1Cでは、被覆シート6が吸収体5とともに、それぞれの折り目で折り返されている。吸収性物品1Cは、まずd−d線で折り返されて折り目Dが形成され、次いでe−e線で折り返されて折り目Eが形成され、次いでf−f線で折り返されて折り目Fが形成される。その結果、吸収性物品1Cは、図5(d)に示されるように、幅方向xに延びる折り目Dと折り目Eと折り目Fの3個の折り目で折り返されて、4つ折りされる。
【0053】
吸収体5が被覆シート6で包まれた吸収性物品1Cは、幅方向xの両端の接合部32で被覆シート6どうしが接合されることが好ましい。この場合、吸収性物品1Cは、個別包装された状態での取り扱い性が向上する。被覆シート6どうしの接合は、公知の接着手段を用いればよく、例えば接着剤やヒートシールにより行えばよい。
【0054】
被覆シート6の一方端(吸収体5の長手方向yの外方に延在する一方端)には、つまみ部31が設けられることが好ましい。つまみ部31が設けられれば、つまみ部31を摘むことにより個別包装された吸収性物品1Cの折り畳みを展開することが容易になる。つまみ部31は被覆シート6の一方端に固定されるとともに、被覆シート6に対し剥離可能な粘着剤層が設けられることが好ましい。つまみ部31に粘着剤層が設けられることにより、個別包装された状態での吸収性物品1Cの取り扱い性が向上するとともに、吸収性物品1Cを使用する際は、つまみ部31を摘んで吸収性物品1Cの折り畳みを展開することが容易になる。
【0055】
吸収性物品1Cは、開口24が折り目Eに設けられているため、折り畳まれても折り目Eでシート状吸収層11が強く圧迫されない。従って、吸収性物品1Cを使用する際、吸収性物品1Cの折り畳みを展開しても、シート状吸収層11に折り目の跡が残りにくい。また、吸収性物品1Cは、図5(d)に示されるように個別包装された状態でも、開口24が設けられた折り目Eをつかみやすくなり、取り扱い性が向上する。
【0056】
図5には、被覆シート6により吸収体5が包まれた吸収性物品1Cを示したが、被覆シートにより吸収体が包まれている実施態様は、図5に示されるような4つ折りされる吸収性物品に限定されない。また、図3には、包装材41により包まれた吸収性物品1Aを示したが、包装材により吸収性物品が包まれている実施態様は、図3に示されるような2つ折りされる吸収性物品に限定されない。
【0057】
図3〜図5には、幅方向に延びる1、2または3個の折り目で折り返される吸収性物品を示したが、吸収性物品を折り返す折り目の数はこれに限定されない。なお、折り目の数は多すぎない方が、シート状吸収層に形成される折り目の数が多くなりすぎず、折り畳まれた吸収性物品を携帯して持ち運びやすくなるとともに、折り畳まれた吸収性物品を容器へ収容する際の収容性が向上する。このような点から、折り目の数は3個以下であることが好ましい。従って、吸収性物品は、幅方向に延びる1、2、または3個の折り目で折り返されて、2、3または4つ折りされることが好ましい。
【0058】
本発明の吸収性物品について、シート状吸収層の好ましい実施態様について説明する。シート状吸収層は、不織布シート間に、吸水性樹脂が配された複数の吸水性樹脂存在領域と、吸水性樹脂存在領域に隣接して吸水性樹脂非存在領域とを有し、吸水性樹脂非存在領域で、不織布シートどうしが接合されて封止部を形成していることが好ましい。シート状吸収層に封止部が形成されていれば、体液が封止部を通過しやすくなり、その結果、シート状吸収層の上側からも下側からも体液が吸収されやすくなり、シート状吸収層での速やかな体液の吸収が実現される。また、シート状吸収層の下側(バックシート側)に繊維集合層等の別の層が設けられている場合は、封止部を通過した体液が、別の層によって吸収されやすくなる。さらに、封止部は、体液をシート状吸収層の表面で平面方向に拡散させるように作用する。その結果、平面方向に拡散した体液が、シート状吸収層の吸水性樹脂によって吸収されたり、シート状吸収層を通過しやすくなる。封止部は、不織布シートどうしを接着剤で接合したり、ヒートシール(熱融着)したり、超音波接着することにより形成すればよい。
【0059】
シート状吸収層の折り返しを容易にし、シート状吸収層に折り目の跡が残りにくくなるようにするために、シート状吸収層の吸水性樹脂が設けられた領域(吸水性樹脂存在領域)の吸水性樹脂含有量は400g/m2以下であることが好ましく、385g/m2以下がより好ましい。一方、シート状吸収層の吸水性樹脂存在領域における吸収量を確保する点から、吸水性樹脂存在領域における吸水性樹脂含有量は100g/m2以上が好ましく、150g/m2以上がより好ましい。
【0060】
吸水性樹脂存在領域は、吸収体の幅方向に断続的に設けられていることが好ましい。吸水性樹脂存在領域が吸収体の幅方向に断続的に設けられていれば、吸収性物品を折り目で折り返した際にシート状吸収層の折り返しが容易になる。また、吸収性物品を使用する際に吸収性物品の折り返しを展開しても、シート状吸収層の折り目の跡が残りにくくなる。さらに、吸水性樹脂存在領域が吸収体の幅方向に断続的に設けられていれば、シート状吸収層で体液が長手方向に拡散しやすくなる。一般に吸収体の長手方向の長さは、幅方向の長さよりも長いため、体液が長手方向に拡散することにより、体液がシート状吸収層に速やかに吸収されやすくなる。
【0061】
好ましくは、複数の吸水性樹脂存在領域はそれぞれ、吸収体の長手方向に延び、シート状吸収層の長手方向の75%以上の長さを有する略長方形状で設けられ、複数の吸水性樹脂存在領域が吸収体の幅方向に互いに略平行に設けられている。このように吸水性樹脂存在領域が設けられることにより、体液がシート状吸収層で長手方向に拡散しやすくなるとともに、シート状吸収層を連続製造する場合に、不織布シートに吸水性樹脂を付して、吸水性樹脂存在領域を形成することが容易になる。吸水性樹脂存在領域の長方形状の長さは、シート状吸収層の長手方向の長さの80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0062】
シート状吸収層の不織布シートには、接着剤が塗布されて接着剤層が設けられ、吸水性樹脂は接着剤層により不織布シートに固定されていることが好ましい。吸水性樹脂は、少なくとも一部が接着剤層に固定されていればよく、例えば、接着剤層に接する吸水性樹脂が接着剤層に固定されていればよい。吸水性樹脂が接着剤層により不織布シートに固定されていれば、吸水性樹脂がシート状吸収層内で偏在しにくくなり、シート状吸収層の折り返しが容易になる。また、接着剤層は、シート状吸収層の柔軟性を高めるために、網状に形成されることが好ましい。接着剤としては、硬化後の柔軟性と接着性を有する天で、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等のゴム系接着剤や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマーを用いることが好ましい。
【0063】
図6には、シート状吸収層の好ましい実施態様の断面図の一例を示す。シート状吸収層11は、第1不織布シート12と、第2不織布シート13と、第1不織布シート12上に接着剤が塗布されて形成された第1接着剤層18と、第2不織布シート13上に接着剤が塗布されて形成された第2接着剤層19と、第1接着剤層18と第2接着剤層19との間に配された吸水性樹脂14とを有する。シート状吸収層11は、吸水性樹脂14が配された複数の吸水性樹脂存在領域15と、吸水性樹脂存在領域15に隣接して吸水性樹脂非存在領域16とを有する。吸水性樹脂存在領域15は、幅方向に断続的に設けられている。吸水性樹脂存在領域15の吸水性樹脂14は、第1接着剤層18と第2接着剤層19とにより、第1不織布シート12と第2不織布シート13に固定されている。吸水性樹脂非存在領域16では、第1接着剤層18と第2接着剤層19とにより、第1不織布シート12と第2不織布シート13とが接合され、封止部17を形成している。
【0064】
次に、本発明の吸収性物品包装体について説明する。本発明の吸収性物品包装体は、本発明の吸収性物品が複数、容器内に収容されたものである。
【0065】
容器は、吸収性物品を収容できるものであれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルム製の袋、紙製の袋、プラスチック製の硬質容器、段ボール等が挙げられる。
【0066】
容器は、開封可能部を有する。本発明の吸収性物品包装体は、容器の開封可能部を開けることで、容器内に収容された吸収性物品を取り出すことができる。開封可能部としては、例えば、ミシン目、蓋、容器の取り出し口を塞ぐ粘着テープ等が挙げられる。
【0067】
容器内に収容される吸収性物品は、開口が設けられた折り目が全て同じ方向を向くように、複数積み重ねられる。すなわち、容器内に収容される吸収性物品は1個以上の折り目で折り返され、折り返された吸収性物品の折り目の少なくとも1つには繊維集合層の開口が設けられ、折り返された吸収性物品は、開口が設けられた折り目が全て同じ方向を向くように複数積み重ねられる。
【0068】
積み重ねられた吸収性物品は、開口が設けられた折り目が容器の開封可能部に面するように、容器内に収容される。従って、容器は、積み重ねられた吸収性物品の開口が設けられた折り目が向いている側に、開封可能部を有する。このように吸収性物品が容器内に収容されることにより、複数の吸収性物品が圧縮された状態で容器内に収容されていても、開口が設けられた折り目では両隣の吸収性物品からの圧迫が低減して、隣接する吸収性物品間に隙間が生じやすくなる。従って、容器の開封可能部を開けて吸収性物品を取り出す際、開口が設けられた折り目をつかみやすくなり、吸収性物品を容器から取り出すことが容易になる。
【0069】
図7に、吸収性物品が容器内に収容された吸収性物品包装体の例を示す。図7(a)は、開封可能部を開ける前の吸収性物品包装体を表し、図7(b)は、開封可能部を開けた吸収性物品包装体を表す。図7では、図5(d)に示された被覆シート6により個別包装された吸収性物品1Cが、容器52内に収容されている。
【0070】
吸収性物品包装体51は、吸収性物品1Cが複数、容器52内に収容されている。吸収性物品1Cは、開口24が設けられた折り目Eが全て同じ方向を向くように複数積み重ねられ、容器52は、複数積み重ねられた吸収性物品1Cの開口24が設けられた折り目Eが向いている側に、開封可能部53を有する。図7では、開封可能部53はミシン目で形成されている。また、図7では、容器52の開封可能部53が、開口24が設けられた折り目Eが向いている側と、その隣接面とにまたがって形成されている。このように、容器の開封可能部は、少なくとも開口が設けられた折り目が向いている側に形成されればよい。
【0071】
図7では、被覆シートにより包装された吸収性物品が容器内に収容されていたが、容器内に収容される吸収性物品はこれに限定されず、例えば、図5(b)に示されるような単に折り畳まれた吸収性物品や、図5(c)に示されるような包装材で包装された折り畳まれた吸収性物品であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1: 吸収性物品(尿取りパッド)
2: トップシート
3: バックシート
4: 吸収性積層体
5: 吸収体
6: 被覆シート
11: シート状吸収層
21: 繊維集合層
12,13: 不織布シート
14,23: 吸水性樹脂
22: パルプ繊維
24: 開口
51: 吸収性物品包装体
52: 容器
53: 開封可能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収性積層体とから構成される吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、長手方向と幅方向とを有し、
前記吸収性積層体は、パルプ繊維を有する繊維集合層と、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないシート状吸収層とを有し、
前記吸収性物品は、幅方向に延びる折り目で折り返され、
前記繊維集合層は、前記折り目に開口を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記繊維集合層は、前記折り目と前記吸収体の長手方向の中心線とに交差するように、長手方向に延びる開口を1つ有する請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品は、幅方向に延びる1、2または3個の折り目で折り返されて、2、3または4つ折りされ、
前記開口は、前記折り目の少なくとも1つに設けられる請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品はさらに、前記バックシートに粘着剤層により剥離可能に接合された被覆シートを有し、
被覆シートは、前記吸収体とともに前記折り目で折り返され、
前記吸収体が被覆シートにより包まれている請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品が複数、容器内に収容された吸収性物品包装体であって、
前記吸収性物品は、前記開口が設けられた折り目が全て同じ方向を向くように、複数積み重ねられ、
前記容器は、積み重ねられた吸収性物品の前記開口が設けられた折り目が向いている側に、開封可能部を有することを特徴とする吸収性物品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−136079(P2011−136079A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298706(P2009−298706)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】