説明

吸収性物品の製造方法

【課題】吐出装置から吐出される液状物の吐出状態を監視できる吸収性物品の製造方法を提供すること。
【解決手段】吸収性物品を製造する工程のうちのいずれかの工程で、該吸収性物品の構成材料の一つであるシート状材料に液状物を施す。吐出装置から吐出された前記液状物を、該吐出装置から所定距離隔てた位置において、一方向に走行する前記シート状材料に直接施す工程を具備する。この工程において、前記吐出装置から吐出され、かつ前記シート状材料に到達する前の状態にある前記液状物の吐出状態を光学的に監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一方向に走行するシート状材料に液状物を一定量塗布する方法が種々提案されている。例えば本出願人は先に、圧縮流体の流路を開閉する電磁弁を有する液体塗布装置を用いて被塗布基材に圧縮流体を間欠塗布する方法において、被塗布基材の一定の送り長さ間隔で周期信号を発生させるとともに、圧縮流体が電磁弁から液体塗布部へ向かう途中の流路の内圧が閾値以上となったときにオン信号を発生させ、周期信号間のオン信号の送信時間の和に基づいて電磁弁の動作チェックを行いつつ、圧縮流体の塗布を行う方法を提案した(特許文献1参照)。この塗布方法によれば、圧縮流体の流路に配された圧力センサを用いて電磁弁の動作チェックを行うことによって、塗布部から吐出される圧縮流体の吐出量を監視することができ、常に一定量の圧縮流体を被塗布基材に塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−188289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記の方法においては、例えば図4に示すように、液体塗布部101の吐出口の一部が目詰まりを起こし、被塗布基材103の幅方向において液体102が不均一に吐出されている状態になった場合にも、電磁弁は正常に作動していることから、一定量の液体102が被塗布基材103に吐出される。したがって、圧力センサは異常を検知せず、被塗布基材103への液体102の塗布は正常に行われていると判断される。このように、前記の方法においては、液体を一定量安定して吐出させることは可能であるが、幅方向にわたる液体の吐出状態までは監視できない。
【0005】
したがって本発明の課題は、吐出装置から吐出された液状物の吐出状態を監視することができる吸収性物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収性物品を製造する工程のうちのいずれかの工程で、該吸収性物品の構成材料の一つであるシート状材料に液状物を施す、吸収性物品の製造方法において、
吐出装置から吐出された前記液状物を、該吐出装置から所定距離隔てた位置において、一方向に走行する前記シート状材料に直接施す工程を具備し、
前記工程においては、前記吐出装置から吐出され、かつ前記シート状材料に到達する前の状態にある前記液状物の吐出状態を光学的に監視する、吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【0007】
また本発明は、吐出装置から吐出された液状物を、該吐出装置から所定距離隔てた位置において、一方向に走行する被塗布物に直接施す、液状物の塗布方法において、
前記吐出装置から吐出され、かつ前記被塗布物に到達する前の状態にある前記液状物の吐出状態を光学的に監視する、液状物の塗布方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、吐出装置から吐出される液状物の吐出状態を観察しながら吸収性物品を製造することができるので、一定量の液状物が塗布対象部位に均一に塗布された吸収性物品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品の製造方法において、表面シートにスキンケア剤を施す工程を示す模式図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、図1に示す工程における要部を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明における別の実施形態を示す模式図(図2相当図)である。
【図4】図4は、従来の塗布方法において塗布装置に目詰まりが生じたときの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の製造方法においては、吸収性物品の製造工程におけるいずれかの工程において、吸収性物品を構成する材料のうちの一つであるシート状材料に液状物を施す。本発明の適用の対象となる吸収性物品は、身体に装着され、身体から排泄される排泄物を吸収保持する機能を有するものを広く包含する。そのような吸収性物品としては、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、おむつと等と併用される補助パッド(尿取りパッド)、パンティライナ等が挙げられる。これらの吸収性物品を構成する材料のうちシート状材料としては、例えば表面シート、裏面シート、防漏カフ及びウイング部などを形成するために用いられる材料が挙げられる。表面シートは、吸収性物品における肌対向面を形成するものであり、液透過性を有している。裏面シートは、表面シートと反対側に位置し、吸収性物品における非肌対向面を形成するものであり、液不透過性又は液難透過性である。防漏カフは、吸収性物品の肌対向面における左右両側の位置に長手方向に延びるように配置され、液の横漏れを防止する働きを有するものである。ウイング部は、吸収性物品の左右の両側縁から外方に延出する部位であり、吸収性物品をショーツに装着するときに折り返して、ショーツの股下部の外面に固定される部位である。
【0011】
上述した表面シート、裏面シート、防漏カフ及びウイング部には、吸収性物品の製造工程において種々の液状物が塗布されることがある。例えば表面シートにおける肌対向面や、防漏カフにおける内面には各種のスキンケア剤が塗布されることがある。また、表面シートや防漏カフのみならず、裏面シートやウイング部には、これらの部材どうし又はこれらの部材と他の部材とを接合するためのホットメルト粘着剤が液状に塗布されることがある。これらスキンケア剤やホットメルト粘着剤等の液状体は、表面シート等に一定の幅をもって一定量が連続的に又は間欠的に塗布される。したがって吸収性物品の製造工程においては、該液状体が一定の幅をもって一定量で塗布されるような制御を行う必要がある。
【0012】
図1には、吸収性物品の製造工程において、吸収性物品の構成材料の一つである表面シートにスキンケア剤を塗布する工程が模式的に示されている。同図に示す工程においては、表面シートを形成するための原料である長尺状のシート状材料13が原反(図示せず)から繰り出され、矢印Dで示す方向(水平方向)に走行している。シート状材料13の一面(上面)に対向する位置には、スキンケア剤の吐出装置10が配置されている。吐出装置10は、シート状材料13の走行方向Dと交差する方向、具体的にはシート状材料の幅方向と平行な方向に延びる吐出スロット(図示せず)を有している。液状のスキンケア剤12は、この吐出スロットを通じてシート状材料13に直接施される。吐出スロットは、シート状材料13の幅方向にわたってスキンケア剤12をカーテン状に吐出できる構造になっている。吐出スロットは例えばスキンケア剤12の吐出孔がシート状材料13の幅方向にわたって一列に又は多列に配置された構造になっている。各吐出孔からは一定量のスキンケア剤12が吐出されるようになっている。その結果、スキンケア剤12は、シート状材料13の幅方向にわたって一定量が連続的に又は間欠的に該シート状材料13に塗布される。
【0013】
吐出装置10は、配管(図示せず)によってスキンケア剤12の貯蔵タンク(図示せず)に接続されている。また該配管の途中には計量ポンプ(図示せず)が介在している。計量ポンプはシーケンサ(図示せず)と電気的に接続されている。計量ポンプは、シーケンサから発せられる指令によって回転数が増減され、それによってスキンケア剤の吐出装置10への送液量が増減されるようになっている。スキンケア剤が室温において固体のものである場合には、貯蔵タンク、配管及び吐出装置10を加熱した状態にしておき、スキンケア剤を溶融状態にして吐出させる。
【0014】
本製造方法においては、シート状材料13の幅方向にわたってスキンケア剤12が一定量吐出されていることを光学的に監視して、該スキンケア剤12が、シート状材料13の幅方向にわたって一定量が該シート状材料13に塗布されるようにしている。具体的には、吐出装置10から吐出され、かつシート状材料13に到達する前の状態にあるスキンケア剤12の吐出状態を光学的に非接触方式で監視している。この監視のために、図1に示すように、例えば投光部11aと受光部11bとからなる光学センサが用いられる。投光部11aと受光部11bとは、吐出されている状態にあるスキンケア剤12を隔てて対向する位置に配置されている。吐出されている状態にあるスキンケア剤12から投光部11aまでの距離と、吐出されている状態にあるスキンケア剤12から受光部11bまでの距離は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。これらの距離は、投光部11aから照射される光の強度等に応じて適切に設定される。
【0015】
投光部11a及び受光部11bは、シート状材料13寄りに位置しているよりも、むしろ塗布装置10寄りに位置していることが好ましい。この理由は、投光部11a及び受光部11bがシート状材料13寄りに位置していると、シート状材料に塗布されたスキンケア剤12の飛沫が投光部11aや受光部11bに付着しやすく、測定の精度が低下するおそれがあるからである。この目的のために、投光部11a及び受光部11bは、塗布装置10とシート状材料13との間の距離の1/2よりも塗布装置10寄りに位置していることが好ましい。
【0016】
投光部11aからは所定の波長の光が照射される。投光部11aから照射される光は単一の波長を有する単色光でもよく、あるいは複数の波長の光が混合されたものでもよい。投光部11aから照射される光は面状のものであり、その幅は吐出装置10におけるスキンケア剤12の吐出幅、すなわち吐出スロットの幅と同じか又はそれよりも広くなっている。面状の光はその幅方向(つまり光の進行方向と直交する方向)における光の強度が一定になっている。また、面状の光は、その面がスキンケア剤12の吐出方向と交差するように(特に直交するように)、吐出されている状態のスキンケア剤12に照射される。
【0017】
受光部11bは、投光部11aから照射された光を受光して、これを電気信号に変換できるようになっている。詳細には、受光部11bには、吐出装置10におけるスキンケア剤12の吐出幅、すなわち吐出スロットの幅と同じか又はそれよりも広幅にわたって、複数の受光素子(図示せず)が一列又は多列に配置されている。その結果、受光部11bは、スキンケア剤12の吐出幅を複数の区画に区分したセグメント単位で受光量を測定することが可能になっている。
【0018】
図2(a)及び(b)には、投光部11a及び受光部11bを用いたスキンケア剤12の吐出状態の監視方法が示されている。図2(a)に示す状態は、スキンケア剤12が正常に吐出されている状態であり、図2(b)に示す状態は、吐出装置10の吐出スロットの一部に目詰まりが生じてスキンケア剤12の吐出に不具合が生じている状態である。なお、図2(b)は目詰まりが生じている状態であるが、上述のとおり、受光部11bはセグメント単位で受光量を測定することが可能になっているので、同図に示す状態も本発明に包含される。
【0019】
図2(a)に示す状態においては、吐出装置10の吐出スロットの全幅にわたってスキンケア剤12が一定量吐出されている。したがって投光部11aから照射された面状の光は、スキンケア剤12を通過するときに一様に減衰される。つまりスキンケア剤12を通過してきた透過光は、照射光よりも強度が一様に低下している。透過光は、受光部11bにおいてセグメント単位で受光される。そして各セグメントにおいて受光された透過光が、該透過光の強度に応じた電気信号に変換され、該電気信号がシーケンサに送られる。シーケンサにおいては、各セグメントから送信された電気信号を比較し、すべての電気信号のレベルが設定範囲内であれば、吐出装置10の吐出スロットの全幅にわたってスキンケア剤12が均一に吐出されていると判断する。つまり吐出スロットの目詰まりが生じていないと判断する。
【0020】
これに対して、吐出装置10の吐出スロットの一部に目詰まりが生じている場合には、図2(b)に示すように、目詰まりが生じている部位からはスキンケア剤12の吐出は起こらない。この状態下に、吐出された状態にあるスキンケア剤12に面状の光を照射すると、スキンケア剤12に照射された光は減衰し、強度が低下した透過光が受光部11bにおいて受光される。これは図2(a)に示す場合と同様である。これに対して、スキンケア剤12に照射されずにそのまま直進した光、つまり吐出スロットが目詰まりを起こした部位に対応する位置を透過した光は、減衰することなく受光部11bに受光される。その結果、受光部11bにおける各セグメントで受光された光の強度が、セグメント間で相違することになる。あるセグメントでの光の強度が設定範囲を超えた場合には、吐出スロットの幅方向にわたって光の透過量が実質的に同一でないとシーケンサが判断し、シート状材料13に塗布欠陥が生じたとの警告を、装置の操作者に対して視覚的及び/又は音声的に発する。警報を受けた操作者は、シート状材料13へのスキンケア剤12の塗布状態を目視で観察し、スキンケア剤12の塗布状態に応じ、塗布を続行するか、それとも塗布を中断して吐出スロットの目詰まり状態を解消させるかを判断する。
【0021】
なお図2(a)及び(b)に示す状態では、スキンケア剤12の吐出幅と、投光部11aから照射された光の幅とが略一致しているが、光は拡散するので、投光部11aにおける光の照射幅がスキンケア剤12の吐出幅と完全に一致していなくても、吐出状態の監視を精度よく行うことができる。投光部11aと受光部11bとの位置関係についても同様である。尤も、投光部11aと受光部11bとの光軸を合わせることが一層好ましいので、その目的で、投光部11aと受光部11bとを一体型のブラケットにしたユニットを用いてもよい。また光軸調整用の治具を用いて投光部11aと受光部11bとの位置合わせをしてもよい。
【0022】
また、図2(a)及び(b)に示す状態では、投光部11aと受光部11bとを結ぶ線は、スキンケア剤12の吐出方向に対して直交しているが、これに代えて、図3に示すように、投光部11aと受光部11bとを結ぶ線が、スキンケア剤12の吐出方向に対して斜めになっていてもよい。このように投光部11aと受光部11bとのこのような配置は、光の乱反射を利用する場合に有利である。また作業スペースが小さくしなったり、スキンケア剤12の飛沫が付着しづらくなったりするという利点もある。図3に示す状態では、投光部11aよりも受光部11bの方が、吐出装置10寄りに位置している。こうすることで、受光部11bにスキンケア剤12の飛沫が一層付着しづらくなる。
【0023】
以上のとおり、本製造方法においては、吐出装置10から吐出され、かつシート状材料13に到達する前の状態にあるスキンケア剤12に光を照射し、該スキンケア剤12を透過してきた該光の透過量に基づいて該スキンケア剤12の吐出状態を監視する。
【0024】
以上の監視は、吐出装置10の吐出スロットの幅方向にわたりスキンケア剤12の吐出が一定して行われているか否かのものであったが、本製造方法においては、これに加えて又はこれに代えて、スキンケア剤12の吐出量を一定にする制御を行うこともできる。例えば、吐出装置10の吐出スロットの幅方向にわたって光の透過量が実質的に同一である場合であっても、その透過量が設定範囲の上限値を上回ったら、スキンケア剤12の吐出量が設定値よりも少ないとシーケンサが判断して、吐出装置10からのスキンケア剤12の吐出を増加させる指令を計量ポンプに対して発する。計量ポンプはその回転数を増加させて吐出装置10へのスキンケア剤12の送液量を増加させる。
【0025】
また、吐出装置10の吐出スロットの幅方向にわたって光の透過量が実質的に同一である場合であっても、その透過量が設定範囲の下限値を下回ったら、スキンケア剤12の吐出量が設定値よりも多いとシーケンサが判断して、吐出装置10からのスキンケア剤12の吐出を減少させる指令を計量ポンプに対して発する。計量ポンプはその回転数を減少させて吐出装置10へのスキンケア剤12の送液量を減少させる。
【0026】
以上のとおり、本発明の製造方法によれば、吐出装置10の吐出スロットの幅方向にわたってスキンケア剤が目詰まりなく吐出されているか否かを非接触方式で容易に監視できるとともに、一定量のスキンケア剤が吐出されているか否かも監視できる。そして吐出スロットに目詰まりが生じたと判断したときは操作者に警報を発し、またスキンケア剤が設定された量吐出されていないと判断したときには、設定量となるように自動的に吐出量を増減させる。
【0027】
特に、シート状材料13に塗布された後のスキンケア剤12は、該シート状材料13に吸収されてその存在を目視しづらいので、該シート状材料13に塗布された後の状態でスキンケア剤12の塗布状態を観察することは容易でないところ、塗布前のスキンケア剤12の吐出状態を監視する本発明によれば、そのような不都合は生じない。
【0028】
本製造方法において用いられるスキンケア剤としては、吸収性物品の技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを特に制限なく用いることができる。そのようなスキンケア剤としては、水系のものと油系のものとがある。油系のスキンケア剤の場合、室温下で固体のものがあるが、そのような場合には、所定温度にスキンケア剤を加熱して、流動状態下に塗布を行えばよい。
【0029】
スキンケア剤の具体例としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホオバ油、ベニバナ油、スクワラン及びスクワレン等)、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル、ステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、イソステアリル−コレステロールエステル、パラフィンワックス、C12〜C22脂肪酸、C12〜C44脂肪酸エーテル、C12〜C22脂肪アルコール、ワセリン、脂肪酸ソルビタンエステル(モノエステル、ジエステル、およびトリエステルのいずれでもよい。)、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル(モノエステル、ジエステル、及びトリエステルのいずれでもよい。)、金属石験(ステアリン酸マグネシウム等)、ショ糖脂肪酸エステル、シクロデキストリン脂肪酸エステル、シリコーン、シリコーン系レジン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、スキンケア剤の他の例として、特許3217792号公報及び特許3217793号公報に記載されているエモリエント剤を用いることもできる。スキンケア剤は、これを単独で塗布することもでき、また塗布の容易性の目的で、水やアルコールなどの溶媒を適宜含ませた状態で塗布することもできる。
【0030】
スキンケア剤12が塗布されたシート状材料13は、別工程において組み立てられた吸収体及び裏面シートの原料となるシート状材料の重ね合わせ体と合流する。この場合、シート状材料13は、スキンケア剤が塗布された面を外方に向けて、吸収体上に配置される。次いで、吸収体の外縁から外方に延出している両シート材料が接合され、引き続きトリミングされ、かつ幅方向にわたって所定の間隔で裁断されることによって、目的とする吸収性物品が得られる。吸収性物品が防漏カフを有する場合には、スキンケア剤12が塗布される前又は塗布された後のシート状材料13の幅方向両側部に、防漏カフ形成用の長尺帯状のシートを接合すればよい。この長尺帯状のシートは、その一側縁がシート状材料13に接合されて固定端となり、他側縁が自由端となる。この自由端には必要に応じて弾性糸等の弾性部材を伸長状態で接合固定してもよい。また、以上の説明において特に説明しなかった点については、従来公知の吸収性物品の製造工程が適宜適用される。
【0031】
以上の説明は、スキンケア剤が表面シートに施された吸収性物品の製造に関するものであったが、スキンケア剤が防漏カフに施された吸収性物品の製造も、これと同様に行うことができる。防漏カフにスキンケア剤を施す場合、該防漏カフにおける内面、すなわち防漏カフが内倒したときに表面シートと対向する面にスキンケア剤を施すことが、スキンケア効果の効果的な発現の点から有利である。
【0032】
また以上の説明は、吸収性物品の構成材料にスキンケア剤を施すことに関するものであったが、スキンケア剤に代えて他の液状物、例えば溶融状態のホットメルト粘着剤を施す方法も同様に行うことができる。溶融状態のホットメルト粘着剤は、例えば先に述べた表面シートや防漏カフに施すことができる。また、裏面シートやウイング部に施すこともできる。溶融状態のホットメルト粘着剤を吐出する装置としては、当該技術分野においてこれまでに知られている装置と同様のものを特に制限なく用いることができる。
【0033】
前記のホットメルト粘着剤としては、スチレン系エラストマーからなるベースポリマー、粘着付与剤、軟化剤及び酸化防止剤等を含有するものである。スチレン系エラストマーとしてはスチレンブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体等が挙げられる。粘着付与剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。軟化剤としては、例えば、軟化点が10℃以下で平均分子量が200〜700のプロセスオイル、鉱油、各種可塑剤、ポリブテン、及び液状粘着付与樹脂等が挙げられる。
【0034】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記の実施形態に制限されない。例えば前記の実施形態においては、シート状材料13の幅方向のほぼ全域にわたって液状物としてのスキンケア剤を塗布したが、これに代えてシート状材料13の幅方向の一部にのみスキンケア剤を塗布してもよい。
【0035】
また前記の実施形態においては液状物としてのスキンケア剤の塗布装置として吐出スロットを用いたが、液状物の種類によっては他の塗布装置を用いてもよい、例えばホットメルト粘着剤のような高粘度の液状物を塗布する場合には、スパイラル状又はΩ字状に該粘着剤を塗布可能な装置を用いることができる。
【0036】
また前記の実施形態においては、スキンケア剤の塗布幅全体にわたって投光部11a及び受光部11bが配置されていたが、これに代えてスキンケア剤の塗布幅の一部に投光部11a及び受光部11bを配置してもよい。あるいは、スキンケア剤の塗布幅の方向に沿って、複数の投光部11a及び受光部11bを配置してもよい。
【0037】
また、以上の説明は吸収性物品の製造方法に係るものであったが、本発明は吸収性物品の製造以外の種々の分野において、被塗布物に液状物を塗布する方法に適用することができる。例えば使い捨てカイロの製造において、鉄粉、活性炭及びパルプ等を含む発熱材料に塩水を添加する工程に、本発明を適用することができる。また、例えば顔用の美容マスクシートの製造において、スキンケア剤をシートに塗布する工程に、本発明を適用することができる。更に、例えば2枚の帯状シートをホットメルト等の接着剤を用いて接合して積層シート体を製造する工程に、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 吐出装置
11a 投光部
11b 受光部
12 スキンケア剤(液状物)
13 シート状材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品を製造する工程のうちのいずれかの工程で、該吸収性物品の構成材料の一つであるシート状材料に液状物を施す、吸収性物品の製造方法において、
吐出装置から吐出された前記液状物を、該吐出装置から所定距離隔てた位置において、一方向に走行する前記シート状材料に直接施す工程を具備し、
前記工程においては、前記吐出装置から吐出され、かつ前記シート状材料に到達する前の状態にある前記液状物の吐出状態を光学的に監視する、吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記吐出装置が、前記シート状材料の走行方向と交差する方向に延びる吐出スロットを備え、
前記吐出スロットを通じて吐出された前記液状物を、前記シート状材料の幅方向全域にわたり又は幅方向の一部に施し、
前記スロットの幅方向にわたって前記液状物の吐出状態を光学的に監視する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記吐出装置から吐出され、かつ前記シート状材料に到達する前の状態にある前記液状物に光を照射し、該液状物を透過してきた該光の透過量に基づいて該液状物の吐出状態を監視する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記スロットの幅方向にわたって光の透過量が実質的に同一でない場合には、前記シート状材料に塗布欠陥が生じたと判断する請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
光の透過量が設定値を上回ったら、前記吐出装置からの前記液状物の吐出を増加させ、一方
光の透過量が設定値を下回ったら、前記吐出装置からの前記液状物の吐出を減少させる請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記シート状材料が表面シート又は防漏カフを形成するためのものであり、前記液状物がスキンケア剤である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記シート状材料が表面シート、裏面シート又は防漏カフを形成するためのものであり、前記液状物がホットメルト粘着剤である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
吐出装置から吐出された液状物を、該吐出装置から所定距離隔てた位置において、一方向に走行する被塗布物に直接施す、液状物の塗布方法において、
前記吐出装置から吐出され、かつ前記被塗布物に到達する前の状態にある前記液状物の吐出状態を光学的に監視する、液状物の塗布方法。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−166165(P2012−166165A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30494(P2011−30494)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】