説明

吸収性物品用シートの貼着装置

【課題】所定の物品の品種に対応したシールパターンを貼着するようにした吸収性物品用シートの貼着装置において、前記シールパターンの切換え作業を簡単かつ短時間に行うことができる貼着装置の提供。
【解決手段】吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールのユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設し、かつ前記パターンロールの外周面に超音波ホーンが当接する超音波シールのユニットを前記各パターンロールのユニットに対して移動可能に設け、又は、前記吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールと該パターンロールにニップされたヒートロールとから成るプレスシールユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設し、前記貼着される各シートを対応する前記各パターンロールのユニット、又は、前記各プレスシールユニットに挿通させて貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙おむつ、尿とりパッド、あるいは生理用ナプキン等の物品(以下、「吸収性物品」という)に使用されるシートの貼着装置に関し、さらに詳細には、前記吸収性物品の製造工程において該物品に使用されるシートとシートとを所定のシールパターンをもって貼着する吸収性物品用シートの貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品、例えば使い捨ての紙おむつは、通常、少なくとも肌当接面側に配置される透液性の表面シートと、外面側に配置される不透液性のバックシートと、これら両シート間に介在された吸収体とにより物品本体が構成されており、尿や便等の排泄物は、表面シートを介して吸収体に移行され、吸収保持されるようになっている。
【0003】
また、従来、肌への接触面積を低減させることにより湿り感を抑えて表面のドライ感を維持すること、肌触り感を向上させること、あるいは体液の逆戻りを防止すること等を目的として、前記表面シートをトップシートにメッシュシートを貼着して成る吸収性物品が提案されている。
【0004】
図7は、このような吸収性物品の一例である使い捨てのテープ式紙おむつ10の上面(部分断面)図である。
【0005】
すなわち、本紙おむつ10は、肌当接面側(表面側)に配置される表面シート11と、外面側(非肌当接面側)に配置されるバックシート12と、これら両シート11,12間に介在され、クレープ紙等の吸水紙13で全体が被覆された矩形状の吸収体14とにより、平面形状が擬似砂時計形状に形成されたおむつ本体15が構成されている。ここに、表面シート11は矩形状のメッシュシート17をトップシート16の上面の長手方向に貼着することにより2重構造とされ、尿等の排泄物が最も流れる表面シート11の領域の強度アップが図られている。
【0006】
なお、当分野では周知のように、おむつ本体15の吸収体14の両側縁長手方向には、肌当接面側に設けられたギャザーシート18と、その内側端縁に沿って配設された弾性伸縮部材19gとにより肌当接面側に起立する立体ギャザー20が形成され、両側縁部には複数本の脚周り用の弾性伸縮部材19lが配設され、背部側の端縁部10EFには、複数本の腰周り用の弾性伸縮部材19wが配設されている。また、おむつ本体15の長手方向には、前身頃10FP、脚周り部10LO、後身頃10BPが形成され、後身頃10BPにおける左右両側縁部には、公知の種々のオス材21を備えたファスニングテープ22が連結され、このオス材21がおむつ本体15の前身頃10FP表面に設けられたフロンタルテープ23のメス材(図示せず)とメカニカルに係合することにより本紙おむつ10が着用される。なお、本紙おむつ10では、バックシート12と吸収体14との間に防水フィルム24が配設されているが、この防水フィルム24は、表面シート11と吸収体14との間に配設されるセカンドシートの場合と同様に、必要に応じ、適宜設けられるものであることも周知である。
【0007】
図8は、本紙おむつ10で使用される表面シート11の一例の拡大図で、図8(A)はこの表面シート11の上面図、図8(B)は図2(A)のA―A断面図である。図示するように、この表面シート11は、トップシート16とシートの走行方向(以下、「MD方向」という)に所定の間隔P2をもって楕円状に形成された開口部25を有するメッシュート17とが、MD方向に所定の間隔P1をもって楕円形状に貼着された部分(以下、「シール部」という)26を介して貼着されて成っている。なお、この開口部25の形状、大きさ、間隔P2等によって形成されるパターン(以下、「開口パターン」という)、及び、シール部26の形状、大きさ、間隔P1等によって形成されるパターン(以下、「シールパターン」という)は、本紙おむつ10の品種、すなわち本紙おむつ10の使用目的や用途(例えば大人用か幼児用か)等に応じ種々のパターンが準備されており、各種パターンを有する紙おむつ製品が市販されている。
【0008】
ところで、本紙おむつ10の製造工程においてトップシート16とメッシュート17とを上述したように貼着し、表面シート11を形成する場合には、通常、ホットメルト接着剤等の接着剤が用いられていた。ところが、このように接着剤によりシール部26を形成すると、メッシュシート17には多数の微細な開口部25が設けられているため、開口部25から加熱されて溶融した接着剤が染み出して露出してしまい、この接着剤が製造ラインにおけるフィードロール等の設備に接着し、シートの搬送不良等を起して操業性が低下するという問題があつた。また、このような接着剤が付着した製品が出荷されてしまった場合には、着用者に肌荒れや不快感を与えるという使用面での問題があった。
【0009】
そこで、接着剤の塗布量を減らすことが考えられるが、このように接着剤の塗布量を減らすとトップシート16とメッシュシート17との接着強度が低下し、表面シート11のウェット強度が低下する等により品質低下を引き起こすという問題があった。このため、最近では接着剤による貼着に代わり、超音波やヒートシール等の熱融着装置を用いてトップシート16とメッシュシート17とを貼着することが広く行われている。
【0010】
従来、このような熱融着装置としては、例えば図9に立面図で示すような超音波式シール装置30、あるいは、図10に示すようなプレス式シール装置40が一般に用いられている。
【0011】
すなわち、図9に示す超音波シール装置30は、基台31の上部に載置された軸一体式のパターンロールユニット32と、このパターンロールユニット32の上部に配置された超音波シールユニット33によって構成されている。パターンロールユニット32には、紙おむつ製品毎に要求される所定のシールパターンを外周面に有するパターンロール32rが図示しないモータによって矢印方向に回転するように装着されており、超音波シールユニット33に設けられた超音波シーラー33sの超音波ホーン33hがパターンロール32rの外周上面に当接するように配設されている。
【0012】
このように構成された本超音波シール装置30によれば、図示しない各原反ロールから矢印のMD方向に送り出された長尺のトップシート16wと長尺のメッシュシート17wとが本超音波シール装置30の上流で互いに合わせられ、一体化されたシートはパターンロール32rの外周上面において超音波ホーン33hを介して溶着される。所定のシールパターンをもって溶着され、長尺の表面シート11wとされたシートは矢印のMD方向に走行して後工程に送られ、所定の形状に切断されておむつ本体15の製造に供せられる。なお、このような溶着を行う場合には、シール部26がメッシュシート17の開口部25と重複しないように両者の位相を合わせる必要がある。これは両者が重複していると、開口部25が閉鎖されてしまい、尿等に排泄物の通過性や通気性が阻害されると共に、所望の接着強度が得られないからである。このため、表面シート11の製造に際しては、予め、メッシュシート17の開口パターンに対応した(すなわち開口パターンと重複しない)シールパターンを有するパターンロール32rが選択され、パターンロールユニット32に装備される。
【0013】
一方、図10に示すプレス式シール装置40は、上下一対のプレス式ロールを備えたシールユニット42を基台41の上部に装備して成っている。このプレス式ロールのトップ側のロールには前記パターンロール32rと実質的に同一のシールパターンを有するパターンロール42rが、一方ボトム側のロールには平滑な外周面を有し、図示しない加熱手段により所望の温度に加熱されたヒートロール42hが夫々配設されている。パターンロー42rとヒートロール42hのニップ圧は図示しない加圧手段によって所望の値に設定され、両者は図示しないモータによって互いに矢印方向に回転するように構成されている。
【0014】
このように構成された本プレス式シール装置40によれば、前記同様に矢印のMD方向に送り出された長尺のトップシート16wと長尺のメッシュシート17wとが本プレス式シール装置40の上流で互いに合わせられ、一体化されたシートはパターンロール42rとヒートロール42hのニップ圧及び加熱により溶着される。所定のシールパターンをもって溶着され、長尺の表面シート11wとされたシートは、前記同様に矢印のMD方向に走行して後工程に送られ、所定の形状に切断されておむつ本体15の製造に供せられる。なお、紙おむつ製品の品種等によりシールパターンを変更する場合にはシールユニット42自体を基台41から取り外し、予め準備されていた所望シールパターンを有する他のシールユニット42と置き換えられる。
【0015】
しかしながら、上述した超音波式シール装置30及びプレス式シール装置40は、いずれも、上述したように、紙おむつ製品(すなわち吸収性物品)の品種等によりシールパターンを変更する必要が生じた場合には、その都度、パターンロール32r、42rを、あるいはパターンロールユニット32、シールユニット42そのものを所望の(対象とする吸収性物品の品種に対応した)シールパターンを有する他のものと置き換えなければならず、この切換え作業には多大の時間と手間がかかっていたため製造コストがアップするという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、吸収性物品に使用されるシートとシートとを製造工程において所定の(物品の品種に対応した)シールパターンをもって貼着するようにした吸収性物品用シートの貼着装置において、前記シールパターンの切換え作業を簡単かつ短時間に行うことができるようにした吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記目的は、吸収性物品の製造工程において該物品に使用されるシートとシートとを所定のシールパターンをもって貼着する吸収性物品用シートの貼着装置において、前記吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールのユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設し、かつ前記パターンロールの外周面に超音波ホーンが当接する超音波シールのユニットを前記各パターンロールのユニットに対して移動可能に設けて成り、前記貼着される各シートを対応する前記各パターンロールのユニットに挿通させて貼着することを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより達成される。
【0018】
また、本発明の上記目的は、前記各パターンロールのユニットは装置本体の基台に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより、より効果的に達成される。
【0019】
また、本発明の上記目的は、前記各パターンロールのユニットはパスロールを介して前記シートのMD方向を変更可能に設けられていることを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより、より効果的に達成される。
【0020】
また、本発明の上記目的は、吸収性物品の製造工程において該物品に使用されるシートとシートとを所定のシールパターンをもって貼着する吸収性物品用シートの貼着装置において、前記吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールと該パターンロールにニップされたヒートロールとから成るプレスシールユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設して成り、前記貼着される各シートを対応する前記各プレスシールユニットに挿通させて貼着することを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより達成される。
【0021】
また、本発明の上記目的は、前記各プレスシールユニットは装置本体の基台に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより、より効果的に達成される。
【0022】
また、本発明の上記目的は、前記各プレスシールユニットはパスロールを介して前記シートのMD方向を変更可能に設けられていることを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより、より効果的に達成される。
【0023】
さらにまた、本発明の上記目的は、前記互いに貼着されるシートは前記吸収性物品の表面シートを構成するトップシートとメッシュシートであることを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置を提供することにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る、吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールのユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設し、かつ前記パターンロールの外周面に超音波ホーンが当接する超音波シールのユニットを前記各パターンロールのユニットに対して移動可能に設けて成り、前記貼着される各シートを対応する前記各パターンロールのユニットに挿通させて貼着することを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置によれば、シールパターンの変更時には超音波シールのユニットのみを対応するパターンロールのユニットに移動させ、当該パターンロールのユニットにシートを挿通するだけでよいので、シールパターンの切換え作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0025】
同様に、本発明に係る、吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールと該パターンロールにニップされたヒートロールとから成るプレスシールユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設して成り、前記貼着される各シートを対応する前記各プレスシールユニットに挿通させて貼着することを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置によれば、シールパターンの変更時にはシートのみを対応するプレスシールユニットに挿通するだけでよいので、前記同様にシールパターンの切換え作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0026】
とくに、前記各パターンロールのユニット、あるいはプレスシールユニットを装置本体の基台に対して着脱可能とした吸収性物品用シートの貼着装置によれば、各ユニットのメンテナンスが容易となり、また必要に応じ、他のシールパターンを有するユニットとの交換を容易に行うことができる。
【0027】
また、前記各パターンロールのユニット、あるいはプレスシールユニットがパスロールを介して貼着されたシートのMD方向を変更可能に設置された吸収性物品用シートの貼着装置によれば、必要に応じ、製品の進行方向(製造ライン)を容易に変更することができ、これによりスペースの節減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の内容を、吸収性物品が上記同様にテープ式の使い捨て紙おむつである場合を例に、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は必ずしも以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【0029】
図1は、本発明に係る吸収性物品用シートの貼着装置の第1実施例である超音波式シール装置130の立面図である。なお、以下では、上述した従来の吸収性物品用シートの貼着装置30ないし40と同一の構成要素には同一の符号を、また対応する構成要素には100番台の対応する符号を付して説明する。
【0030】
本超音波式シール装置130は、図9に示す上記従来の超音波式シール装置30のパターンロールユニット32と実質的に同一な機能を有する2台のパターンロールユニット132A、132BをMD方向に並設し、この上部に1台の超音波シーラー133sを点線で示すようにMD方向にスライド可能に設けて成っている。
【0031】
すなわち、本超音波シール装置130は、基台131に設けられたガイド部材131gを介してMD方向の位置が規制され、基台131の上部プレート131p上に並置された2台の軸一体式のパターンロールユニット132A、132Bと、これらのパターンロールユニット132A、132Bの上方に固設された上部プレート133pに配置され、MD方向に移動可能に設けられた1台の超音波シールユニット133によって構成されている。
【0032】
パターンロールユニット132Aには、紙おむつ製品毎に要求される所定の(例えば大人用の紙おむつ製品の)シールパターンを外周面に有するパターンロール132raが図示しないモータによって矢印方向に回転するように固定フレーム132faを介して装着されており、同様に、パターンロールユニット132Bには、紙おむつ製品毎に要求される所定の(例えば幼児用の)シールパターンを外周面に有するパターンロール132rbが図示しないモータによって矢印方向に回転するように固定フレーム132fbを介して装着されている。なお、パターンロール132rbはパターンロール132raに較べ、ロール径が小さく設定されている。
【0033】
各パターンロールユニット132A、132Bは、製造される紙おむつ製品の品種に対応して予め作製、準備されている各種パターンロールユニットの中から所望のものとして選択され、基台131の上部プレート131pに敷設されたガイドレール131ga、131gbを介してMD方向と直交する方向に手作業により着脱可能に設けられている。装置本体に装着された各パターンロールユニット132A、132Bはネジ132sによって基枠に固定される。なお、必要に応じ、このガイドレール131ga、131gbの敷設角度をMD方向と直交する方向に限らず、任意の角度に変更できるように設定することにより、MD方向を必要に応じ所望の方向に設定することができ、これによりスペースの節減を図ることができる。
【0034】
超音波シールユニット133は、固定フレーム133fを介して固定された超音波シーラー133sを有して成り、超音波シーラー133s下端部の超音波ホーン133hがパターンロール132raの外周上面に、超音波シールユニット133がMD方向(右側)に移動されたときはパターンロール132raの外周上面に夫々当接するように配設されている。超音波シールユニット133は上部プレート133pに敷設されたガイドレール133gに沿ってガイド部材等を用いて手動で(必要に応じ電動で)容易にMD方向に往復移動可能に設けられている。なお、超音波シーラー133sには公知のものが使用される。
【0035】
このように構成された本超音波シール装置130により、例えば大人用の紙おむつ製品を製造する場合には、図示しない各原反ロールから矢印のMD方向に送り出された長尺のトップシート16wと長尺のメッシュシート17wとが本超音波シール装置130の上流で互いに合わせられ、一体化されたシートはパターンロール132raの外周上面において超音波ホーン133hを介して溶着される。所定のシールパターンをもって溶着され、長尺の表面シート11wとされたシートはパスロールを介して向きを変えられ、矢印のMD方向に走行して後工程に送られ、所定の形状に切断されて大人用紙おむつ本体15の製造に供せられる。
【0036】
ここに、本紙おむつ10で使用されるトップシート16の形成材料として、無孔又は有孔の不織布や多孔性プラスチックシート等の、透液性ないし親水性、あるいは撥水性の材料が好ましく用いられる。このような不織布を構成する素材繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。また、融点の高い繊維を芯とし、融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド・バイ・サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維も効果的に用いることができる。加工法については、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜な加工方法で得られた不織布を用いることができる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れているが、本紙おむつ10におけるトップシート16は、必ずしもこれらの材料ないし加工法に限定されるものではない。また、トップシート16の表面には、エンボス加工(図示せず)が施されていても良い。なお、ここにいうエンボス加工は、トップシート16が吸収体14と組み合わされる前の工程で施されるもので、吸収体14の変形はないものである。
【0037】
本紙おむつ10で使用されるメッシュシート17は、厚さが0.1〜5.0mm、好ましくは0.3〜2.0mmのシートであり、体液通過性を付与するために、多数の微細な開孔25が連続網目状に形成されている。また、メッシュシート17の開孔率は15〜30%、好ましくは18〜20%であり、その開孔数は15個/cm以下、好ましくは6〜12個/cmとすることが好ましい。また、この開孔25の大きさは、直径が0.1〜10.0mm、好ましくは0.15〜5.5mmに設定されている。
【0038】
上述したような開孔25を形成するには、メッシュシート17を軟化温度付近まで軟化させて、多数の開孔を有する支持体の上面に位置させた状態で、支持体の下方から吸引したり、支持体の上面から空気圧を加圧したりする方法や、シート素材に多数のスリットを刻印した後に、シート素材を延伸して開孔させるピッチエンボス加工等、公知の種々の方法によって形成することができる。なお、このメッシュシート17の開孔25の形状は、平面形状で円形、矩形、楕円形、三角形、星型等の種々の形状とすることができるが、これらの中でとくに円形や楕円形等の角のない形状のものが、メッシュシート17の肌触り感が柔らかくなり、これに伴って表面シート11の肌触り感も柔らかくなるので好ましい。
【0039】
なお、このメッシュシート17の形成材料としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系の熱可塑性樹脂フィルムが好適に使用されるが、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド系樹脂や、酢酸ビニル共重合体等のシート等も使用することができ、さらにまた、これらの内の2以上の素材をラミネートして貼り合わせた複層構造のシート等も使用することができる。
【0040】
また、メッシュシート17の表面の親水性についてはレギュラー親水性ないし撥水性であることが好ましく、親水度が高過ぎると排泄物、特に軟便の水分が表面に拡散してしまうため、便の固形分は吸収されていても水分の広がりが着用者の表面に見えてしまい、不快感を与えるので好ましくない。
【0041】
本超音波シール装置130では上述したような形成材料から成るトップシート16wとメッシュシート17wとが貼着されて表面シート11wが形成される。
【0042】
図2は、上述した本超音波シール装置130により貼着され、形成された表面シート11wAの一例を示す上面図である。図示するように、本表面シート11wAは、MD方向に間隔P2をもって開口された開口部25を有するメッシュシート17wをシール部26によって形成されるシールパターンをもってトップシート16wの上面に貼着して成っている。
【0043】
本超音波シール装置130においてシールパターンを例えば幼児用紙おむつのものに切り替える場合には、図1に点線で示すように、超音波シールユニット133を右側に移動させ、トップシート16wとメッシュシート17wとを一体化したシートをパスロールを介してパターンロールユニット132B側のパターンロール132rbに挿通することにより切換えが完了する。
【0044】
図3は、上述したようにして本超音波シール装置130により貼着され、形成された表面シート11wBの一例を示す上面図である。図示するように、本表面シート11wBは、楕円形状に開口された開口部25を有するメッシュシート17wを楕円形状のシール部26によって形成されるシールパターンをもってトップシート16wの上面に貼着して成っている。
【0045】
なお、このような溶着を行う場合には、シール部26がメッシュシート11wの開口部25と重複しないように両者の位相を合わせる必要があることは上述したとおりであり、図2及び図3に示すシールパターンから明らかなように、いずれのシールパターンにおいてもこれらの点について事前に十分な配慮がなされている。
【0046】
本超音波シール装置130は以上のとおり構成されているので、シールパターンの変更時には超音波シールユニット133のみを対応するパターンロールユニットに移動させ、当該パターンロールユニットにシートを挿通するだけで準備が完了するので、シールパターンの切換え作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0047】
また、パスロールを介してメッシュシート17wのMD方向を可変とし、必要に応じ、前記各パターンロールユニットの装置本体に対する装着方向を変更できるように設置することにより、MD方向(製造ライン)を自由に変更することができ、これによりスペースの節減を図ることができる。
【0048】
図4は、本発明に係る吸収性物品用シートの貼着装置の第2実施例であるプレス式シール装置140の立面図である。
【0049】
本プレス式シール装置140は、図10に示す上記従来のプレス式シール装置40のシールユット42と実質的に同一な機能を有する2台のシールユニット142C、142DをMD方向に並設して成っている。
【0050】
すなわち、本プレス式シール装置140は、上下一対のプレス式ロールを備えた2台のシールユニット142C、142Dが基台141に設けられたガイド部材141gを介してMD方向の位置が規制され、基台141の上部プレート141pに敷設されたガイドレール141gc、141gdを介してMD方向と直交する方向に手作業により着脱可能に設けられている。装置本体に装着された各シールユニット142C、142Dはネジ142sによって基枠に固定される。なお、前記実施例と同様に、必要に応じ、このガイドレール141gc、141gdの敷設角度をMD方向と直交する方向に限らず、任意の角度に変更できるように設定することにより、MD方向を必要に応じ所望の方向に設定することができ、これによりスペースの節減を図ることができる。
【0051】
ここに、シールユニット142Cは、前記実施例と同様に、例えば大人用紙おむつに使用される表面シートを製造する場合に、また、シールユニット142Dは幼児用紙おむつに使用される表面シートを製造する場合に備えられている。
【0052】
シールユニット142Cのトップ側のロールには図5に上面図で示すような波型のシールパターンを有するパターンロール142rcが、一方ボトム側のロールには平滑な外周面を有し、図示しない公知の加熱手段により所望の温度に加熱されたヒートロール142hcが夫々配設されている。パターンロール142rcとヒートロール142hcのニップ圧は図示しない加圧手段によって所望の値に設定され、両者は図示しないモータによって互いに矢印方向に回転するように構成されている。
【0053】
このように構成された本プレス式シール装置140によれば、前記同様に矢印のMD方向に送り出された長尺のトップシート16wと長尺のメッシュシート17wとが本プレス式シール装置140の上流で互いに合わせられ、一体化されたシートはパターンロール142rcとヒートロール142hcのニップ圧及び加熱により溶着される。図5に示すような波型から成るシールパターンをもって溶着され、長尺の表面シート11wとされたシートは、前記同様にパスロールを介して向きを変えられ、矢印のMD方向に走行して後工程に送られ、所定の形状に切断されておむつ本体15の製造に供せられる。
【0054】
同様に、シールユニット142Dのトップ側のロールには図6に上面図で示すような楕円形状のシールパターンを有するパターンロール142rdが、一方ボトム側のロールには平滑な外周面を有し、図示しない加熱手段により所望の温度に加熱されたヒートロール142hdが夫々配設されている。パターンロール142rdとヒートロール142hdのニップ圧は図示しない公知の加圧手段によって所望の値に設定され、両者は図示しないモータによって互いに矢印方向に回転するように構成されている。
【0055】
図6に示すような星型の開口部25を有するメッシュシート17wは楕円形状のシール部26から成るシールパターンをもってトップシート16wに溶着され、長尺の表面シート11wとされたシートは、前記同様に矢印のMD方向に走行して後工程に送られ、所定の形状に切断されておむつ本体15の製造に供せられる。
【0056】
なお、紙おむつ製品の品種等によりシールパターンをさらに他のものと変更する必要が生じた場合には、シールユニット142C、ないし152D自体を基台41から取り外し、予め準備されている所望シールパターンを有する他のシールユニット42と置き換えられる。
【0057】
以上のとおり構成された本プレス式シール装置140によれば、シールパターンの変更時にはシートの挿通ルートのみを変更するだけで準備を完了するので、シールパターンの切換え作業を上述した第1実施例に係る本超音波式シール装置130よりもさらに簡単かつ短時間に行うことができる。
【0058】
また、前記実施例と同様に、パスロールを介してメッシュシート17wのMD方向を可変とし、必要に応じ、前記各シールユニット142C、152Dの装置本体に対する装着方向を変更できるように設置することにより、MD方向(製造ライン)を自由に変更することができ、これによりスペースの節減を図ることができる。
【0059】
以上、本発明の内容を、パターンロールユニットあるいはシールユニットをMD方向に2台並設し、シールパターンを2種類に切り替えるようにした場合について説明したが、本発明においてはこのようなユニットの設置台数は必ずしも前記実施例に限定されるものではなく、必要に応じ、例えば製造するべき吸収性物品の品種に応じて、その台数は3台以上に設定される。また、各ユニットの装置本体への装着方法も種々の方法を採用することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上、本発明の内容をトップシートとメッシュシートとを貼着し、表面シートを製造する場合を例に説明したが、本発明は、この他、トップシートとバックシートとの貼着、あるいはトップシートとギャザーシートとの貼着等、吸収性物品を構成する各種シートの貼着にも適用することができる。なお、本発明でいう吸収性物品は前記使い捨ての紙おむつに限定ないことは上述したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る吸収性物品用シートの貼着装置の第1実施例である超音波式シール装置の立面図である。
【図2】上記超音波式シール装置の一方のパターンユニットによりシールされて製造された表面シートのシールパターンを示す上面図である。
【図3】上記超音波式シール装置の他方のシールパターンユニットによりシールされて製造された表面シートのシールパターンを示す上面図である。
【図4】本発明に係る吸収性物品用シートの貼着装置の第2実施例であるプレス式シール装置の立面図である。
【図5】上記プレス式シール装置の一方のシールユニットによりシールされて製造された表面シートのシールパターンを示す上面図である。
【図6】上記プレス式シール装置の他方のシールユニットによりシールされて製造された表面シートのシールパターンを示す上面図である。
【図7】吸収性物品の一例である使い捨ての紙おむの展開上面図である。
【図8】従来の表面シートにおけるシールパターンの一例を示す図で(A)はその上面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図9】従来の超音波式シール装置の立面図である。
【図10】従来のプレス式シール装置の立面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 テープ式紙おむつ
11 表面シート
11w (長尺状の)表面シート
12 バックシート
14 吸収体
15 おむつ本体
16 トップシート
16w (長尺状の)トップシート
17 メッシュシート
17w (長尺状の)メッシュシート
25 開口部
26 シール部
30、130 超音波式シール装置
31、131 基台
32、132A、132B パターンロールユニット
32r、132ra、132rb パターンロール
33、133 超音波シールユニット
33s、133s 超音波シーラー
33h、133h 超音波ホーン
40、140 プレス式シール装置
41、141 基台
42、142 シールユニット
42r、142rc、142rd パターンロール
42h、142hc、142hd ヒートロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の製造工程において該物品に使用されるシートとシートとを所定のシールパターンをもって貼着する吸収性物品用シートの貼着装置において、前記吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールのユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設し、かつ前記パターンロールの外周面に超音波ホーンが当接する超音波シールのユニットを前記各パターンロールのユニットに対して移動可能に設けて成り、前記貼着される各シートを対応する前記各パターンロールのユニットに挿通させて貼着することを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置。
【請求項2】
前記各パターンロールのユニットは装置本体の基台に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品用シートの貼着装置。
【請求項3】
前記各パターンロールのユニットはパスロールを介して前記シートの進行方向を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品用シートの貼着装置。
【請求項4】
吸収性物品の製造工程において該物品に使用されるシートとシートとを所定のシールパターンをもって貼着する吸収性物品用シートの貼着装置において、前記吸収性物品の品種に対応したシールパターンを外周面に有するパターンロールと該パターンロールにニップされたヒートロールとから成るプレスシールユニットを前記品種毎に準備して前記シートの進行方向に並設して成り、前記貼着される各シートを対応する前記各プレスシールユニットに挿通させて貼着することを特徴とする吸収性物品用シートの貼着装置。
【請求項5】
前記各プレスシールユニットは装置本体の基台に対し着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の吸収性物品用シートの貼着装置。
【請求項6】
前記各プレスシールユニットはパスロールを介して前記シートの進行方向を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品用シートの貼着装置。
【請求項7】
前記互いに貼着されるシートは前記吸収性物品の表面シートを構成するトップシートとメッシュシートであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の吸収性物品用シートの貼着装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−239297(P2006−239297A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62456(P2005−62456)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】