説明

吸収性物品

【課題】粘度の高い経血を吸収した後、トップシートに経血の残存が少ないことをユーザーが視覚的に認識でき、ユーザーが安心感を得ることができる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを有する吸収性物品であって、液滴下試験において、上記トップシートの表面側から測定したL***表色系の色差が、36〜80の範囲にあることを特徴とする吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品、例えば、生理用ナプキン、パンティーライナー等では、長年積み重ねられてきた技術開発により基本性能が向上し、以前と比較して、経血等の排泄物を吸収した後に、漏れ等が生ずることが少なくなってきており、現在は、さらなる高機能化、例えば、肌着に近い着用感を有すること、経血等の排泄物を吸収した後でもトップシートがサラサラしていること等が求められている。特に、月経時の経血は、子宮内膜等の成分が含まれることもあって、その粘度が高く、当該粘度の高い経血を吸収した後であっても、べたつき感がなく、トップシートがサラサラしていること等が求められる。また、粘度の高い経血は、トップシート上で、塊の状態で残存することが多く、使用者が、不快感を覚えることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、皮膚軟化剤と、不動化剤とを含むローションコーティングをトップシートに有する吸収性物品が開示されている。特許文献1に記載の発明では、使用者の皮膚及び毛髪に経血が残留することを防止するために、上記ローションコーティングが用いられている。
特許文献2には、25℃で液体である少なくとも1種の第1化合物と、25℃で固体である少なくとも1種の第2化合物とを含むローション組成物の、ヒト皮膚への排泄物又は経血の付着を低減するための使用が記載されている。特許文献2に記載の発明は、特許文献1と同様に、使用者の皮膚及び毛髪に、経血等が残留することを防止することを目的とする。
【0004】
特許文献3には、肌当接面以外の部位に、糖アルキルエーテル及び糖脂肪酸エステルからなる群から選択される一又は二種以上の界面活性剤を含有するセルロース系親水性繊維を含む吸収性物品が記載されている。特許文献3では、上記界面活性剤の作用により、トップシート上に供給された血液が、セカンドシート及び/又は吸収体中の界面活性剤と接触して、該血液の粘度及び表面張力が変化することによって、血液が吸収体中により引き込まれやすくなり、さらに血液が高吸水性ポリマーに吸収されやすい性状に改変されると考察している。特許文献4及び5にも、上記界面活性剤を含む吸収性物品が記載されている。
さらに、特許文献6には、ポリプロピレングリコール材料を含むローション組成物が、トップシートの外表面の少なくとも一部に適用された吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−501022号
【特許文献2】特表2010−526629号
【特許文献3】特開2008−29830号
【特許文献4】特開2008−237569号
【特許文献5】特開2009−5767号
【特許文献6】国際公開第2009/102837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載の発明では、使用者の皮膚及び毛髪に、経血等が残留することを防止するために、ローションコーティングが用いられているに過ぎず、そもそも、特許文献1及び2に記載の発明では、経血が吸収体に移行したことを、ユーザーに視覚的に認識させるものではない。
また、特許文献3〜5に記載の発明では、いわゆる界面活性剤を用いて、粘度の高い経血の粘度及び表面張力を変化させ、液の吸収速度を速くしようと試みるものであるが、特許文献3〜5に記載の発明では、経血が吸収体に移行し、トップシートの表面の経血の残存が少ないことを、ユーザーに視覚的に認識させることは考慮されていない。
同様に、特許文献6に記載の吸収性物品では、トップシートの表面の経血の残存が少ないことを、ユーザーに視覚的に認識させることは考慮されていない。
【0007】
従って、本発明は、粘度の高い経血を吸収した後、トップシートに経血の残存が少ないことをユーザーが視覚的に認識でき、ユーザーが安心感を得ることができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを有する吸収性物品であって、液滴下試験において、上記トップシートの表面側から測定したL***表色系の色差が、36〜80の範囲にあることを特徴とする吸収性物品により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収性物品は、粘度の高い経血を吸収した後、トップシートに経血の残存が少ないことをユーザーが視覚的に認識でき、ユーザーが安心感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、2回目のウマEDTA血の滴下終了から40秒後の生理用ナプキンNo.1の画像である。
【図2】図2は、同じく、生理用ナプキンNo.2の画像である。
【図3】図3は、同じく、生理用ナプキンNo.4の画像である。
【図4】図4は、同じく、生理用ナプキンNo.5の画像である。
【図5】図5は、同じく、生理用ナプキンNo.6の画像である。
【図6】図6は、同じく、生理用ナプキンNo.7の画像である。
【図7】図7は、同じく、生理用ナプキンNo.9の画像である。
【図8】図8は、同じく、生理用ナプキンNo.10の画像である。
【図9】図9は、同じく、生理用ナプキンNo.11の画像である。
【図10】図10は、同じく、生理用ナプキンNo.15の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
本発明の吸収性物品では、所定の液滴下試験において、トップシートの表面側から測定したCIE L***表色系の色差が、約10〜約58の範囲にある。
【0012】
本明細書において、液滴下試験は、以下の手順で実施される試験を意味する。
[液滴下試験の手順]
(1)試験に用いるウマEDTA血を、白色基準版の上に3mL滴下し、均一に拡げた後、CIE L***表色系の初期座標(L*0,a*0,b*0)を測定する。
(2)吸収性物品のトップシートの中央部分に、穴の開いたアクリル板(200mm×100mm,125g,中央に、40mm×10mmの穴が開いている)を置き、上記穴から、37±1℃のウマEDTA血3mLを、ピペットを用いて滴下(1回目)する。
(3)1回目のウマEDTA血の滴下終了から1分後、37±1℃のウマEDTA血3mLを、アクリル板の穴から、ピペットで再度滴下(2回目)する。
【0013】
(4)2回目のウマEDTA血の滴下終了から40秒後に、吸収性物品のトップシートの中央部分を中心として、CIE L***表色系の試験後座標(L*1,a*1,b*1)を測定する。
(5)色差(ΔE)を、次の式:
ΔE={(L*1−L*02+(a*1−a*02+(b*1−b*020.5
により算出する。
(6)測定は、5回行い、その平均値を採用する。
なお、上記測定法では、基準がウマEDTA血であるため、色差(ΔE)が大きいほど、白色に近いことを意味する。
【0014】
上記試験は、20℃の恒温室で実施する。
なお、CIE L***表色系の座標は、任意の測定機器により測定することができるが、測定機器として、例えば、コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300が挙げられる。
また、トップシートの中央部分は、トップシートにおける、吸収性物品の長手方向の中央且つ吸収性物品の幅方向の中央の部分を意味する。
【0015】
上記吸収性物品では、上記液滴下試験において、トップシートの表面側から測定したCIE L***表色系の色差が、約36〜約80の範囲にあり、約39〜約77の範囲にあることが好ましく、そして約42〜約74の範囲にあることがさらに好ましい。
上記色差が約36未満であると、ウマEDTA血の赤色に近く、経血がトップシート側からよく見え、吸収体が経血を吸収していないように見えるか、又は経血がトップシートの表面に残存しているように見え、視覚的に安心感を得にくい傾向がある。一方、上記色差が約80を超えると、使用前のトップシートの色(通常は、白色)に近づき、そもそも、経血を吸収したことが分かりにくく、吸収性物品が経血を吸収した視覚的な安心感を得ることが難しい傾向がある。
【0016】
上記吸収性物品では、トップシートが、所定の液残存性試験において、約0.1以下の吸光度により表わされるヘモグロビン量を有することが好ましい。
上記液残存性試験において、トップシートが、約0.1以下の吸光度により表わされるヘモグロビン量を有することは、粘度の高い経血を吸収した後に、トップシート、特にトップシートの表面の液残りが少ないことにつながり、ユーザーが、使用時に快適さを感じることができる。また、上記液残存性試験において、トップシートが、約0.1以下の吸光度により表わされるヘモグロビン量を有することは、粘度の高い経血を吸収した後に、トップシート、特にトップシートの表面の赤みが少ないことにつながり、トップシート、特にトップシートの表面に液残りが少ないことを、ユーザーが視覚的に認識することができ、ユーザーが、使用時に安心感を得ることができる。
【0017】
本明細書において、上記液残存性試験は、以下の手順で実施される試験を意味する。
[液残存性試験の手順]
(1)トップシートを、4cm×4cmの大きさの試料にカットする。
(2)上記試料を、一対のガラス製濾過器(内面積:9.6cm2)の下部パーツの上に載せ、次いでその上に上部パーツを載せ、専用の治具で一対のガラス製濾過器を固定する。
【0018】
(3)37±1℃のウマEDTA血3mLを、2回に分けて、濾過器内のトップシートの肌当接面全体に滴下し、1分間静置する。
(4)試料を、ガラス製濾過器から取り出し、次いで、取り出した試料を、生理食塩水5mLに浸漬して、血液成分を生理食塩水に移行させる。
(5)血液成分が移行した生理食塩水の一部を、室温下で、約1900Gで10分間遠心分離する。
【0019】
(6)遠心分離後の生理食塩水の上清200μLを、マイクロタイタープレートに採取し、光路長1.26cm及び波長570nmにおける吸光度を測定し、その値から、赤血球が破壊されることにより、溶出したヘモグロビン量を見積もる。
(7)測定は、5回行い、その平均値を採用する。
上記試験は、20℃の恒温室で実施する。
上記吸光度は、任意の測定機器で測定することができるが、例えば、Bio−Tek Instruments,Inc社製,マイクロプレートリーダー(型番:EL808IU)を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、ウマEDTA血は、凝結防止のため、エチレンジアミン四酢酸が添加されたウマの血液を意味する。
また、波長570nmの吸光度を測定するのは、赤血球に含まれるヘモグロビンの吸収ピークの1つが、約570nmにあり、当該波長における吸光度が高いことは、トップシートに残存している、溶出したヘモグロビンの量が多いことを意味し、すなわち、トップシートに液残りが多く、トップシートが赤く染まっていることを意味すると考えられる。
【0021】
上記吸収性物品では、上記液残存性試験において、トップシートが、約0.1以下の吸光度により表わされるヘモグロビン量を有することが好ましく、約0.09以下の吸光度により表わされるヘモグロビン量を有することがより好ましく、そして約0.08以下の吸光度により表わされるヘモグロビン量を有することがさらに好ましい。上記吸光度が約0.1を上回ると、使用時にトップシートの表面に液残りが生じやすく、ユーザーが着用時に不快感を覚えやすい傾向があり、また、使用時にトップシートの表面が、経血で赤く染まりやすく、ユーザーが視覚的に不安感を覚えやすい傾向がある。
【0022】
上記液残存性試験において、(1)〜(4)の工程に続き、次の(5’)〜(7’)の工程を実施することにより、トップシート1g当りの血球数を評価することができる。
(5’)血液成分が移行した生理食塩水を、顕微鏡下で観察し、血球算定板を用いて、血球数をカウントする。
(6’)上記血球数を、試料の当初質量で割ることにより、トップシート1g当りの血球数を算出する。
(7’)実験は、5回行い、その平均値を採用する。
上記試験は、20℃の恒温室で実施する。
【0023】
上記液残存性試験における、トップシート1g当りの血球数は、約30×107個/g以下であることが好ましく、約20×107個/g以下であることがより好ましく、そして約10×107個/g以下であることがさらに好ましい。上記トップシート1g当りの血球数が約30×107個/gを上回ると、使用時にトップシートの表面に液残りが生じやすく、ユーザーが着用時に不快感を覚えやすい傾向があり、また、使用時にトップシートの表面が、経血で赤く染まりやすく、ユーザーが視覚的に不安感を覚えやすい傾向がある。
【0024】
上記吸収性物品では、液滴下試験において、トップシートの表面側から測定したL***表色系の色差が、約36〜約80の範囲にあることにより、そして好ましくは、トップシートが、液残存性試験において、約0.1以下の吸光度より表わされるヘモグロビン量と、約30×107個/g以下の血球数とを有することにより、粘度の高い経血を吸収した後、トップシートに経血の残存が少ないことをユーザーが視覚的に認識でき、ユーザーが安心感を得ることができるが、上記所定の色差、ヘモグロビン量及び血球数を達成する手段の1つとして、上記トップシートが、約0〜約0.35のIOBと、約45℃以下の融点とを有する着色抑制剤を含むことができる。
また、上記着色抑制剤は、25℃における、約0.05g以下の水溶解度を有することができる。
【0025】
IOB(Inorganic Organic Balance)は、親水性及び親油性のバランスを示す指標であり、本明細書では、小田らによる次式:
IOB=無機性値/有機性値
により算出される値を意味する。
【0026】
上記無機性値と、有機性値とは、藤田穆「有機化合物の予測と有機概念図」化学の領域Vol.11,No.10(1957)p.719−725)に記載される有機概念図に基づく。
藤田氏による、主要な基の有機性値及び無機性値を、以下の表1にまとめる。
【0027】
【表1】

【0028】
例えば、炭素数14のテトラデカン酸と、炭素数12のドデシルアルコールとのエステルの場合には、有機性値が520(CH2,20×26個)、無機性値が60(−COOR,60×1個)となるため、IOB=0.12となる。
【0029】
上記着色抑制剤において、IOBは、約0〜約0.35であることが好ましく、約0〜約0.30であることがより好ましく、約0〜約0.25であることがさらに好ましく、そして約0〜約0.20であることが最も好ましい。IOBが低いほど、有機性が高く、血球との親和性が高くなると考えられるからである。
【0030】
本明細書において、「融点」は、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で測定した場合の、固形状から液状に変化する際の吸熱ピークのピークトップ温度を意味する。上記融点は、例えば、島津製作所社製のDSC−60型DSC測定装置を用い、昇温速度10℃/分で測定することができる。
【0031】
上記着色抑制剤は、約45℃以下の融点を有することが好ましく、そして室温で液体であっても、又は固体であってもよい、すなわち、融点が約25℃以上でも、又は約25℃未満でもよく、そして例えば、約−5℃、約−20℃等の融点を有することができる。上記着色抑制剤の融点が約45℃以下であることが好ましい根拠は、後述する。
【0032】
上記着色抑制剤は、その蒸気圧が低いことが好ましい。上記着色抑制剤の蒸気圧は、1気圧及び25℃で約0.01Pa以下であることが好ましく、約0.001Pa以下であることがより好ましく、そして約0.0001Pa以下であることがさらに好ましい。上記吸収性物品が、人体に接して用いられることを考慮すると、上記蒸気圧は、1気圧及び40℃で約0.01Pa以下であることが好ましく、約0.001Pa以下であることがより好ましく、そして約0.0001Pa以下であることがさらに好ましい。蒸気圧が高いと、保存中に気化し、着色抑制剤の量の減少、着用時の臭気等の問題が発生する場合があるからである。
【0033】
また、着色抑制剤の融点を、気候、着用時間の長さ等に応じて、使い分けることができる。例えば、平均気温が10℃以下の地域では、10℃以下の融点を有する着色抑制剤を採用することにより、経血が排泄された後、周囲温度によって冷却された場合であっても、着色抑制剤が、経血中に迅速に溶解できるものと考えられる。
また、吸収性物品が長時間にわたって使用される場合には、着色抑制剤の融点は、45℃以下の範囲で高い方が好ましい。汗、着用時の摩擦等の影響を受けにくく、長時間着用した場合であっても、着色抑制剤が移動しにくいからである。
【0034】
上記水溶解度は、25℃において、100gの脱イオン水に、0.05gの試料を添加して24時間静置し、24時間後に、必要に応じて軽く攪拌し、試料が溶解したか否かにより、0.05g以下の水溶解度を有するか否か判断することができる。
なお、本明細書では、水溶解度に関して、「溶解」には、試料が脱イオン水に完全に溶解し、均一混合物を形成した場合と、試料が完全にエマルション化した場合とが含まれる。なお、「完全」とは、脱イオン水に、試料の塊が存在しないことを意味する。
【0035】
当技術分野では、血液の表面張力等を変化させ、血液を迅速に吸収することを目的として、トップシートの表面を、界面活性剤でコーティングすることが行われている。しかし、界面活性剤は、一般に水溶解度が高いため、界面活性剤がコーティングされたトップシートは、血液中の親水性成分(血漿等)となじみがよく、むしろ血液をトップシートに残存させるようにはたらく傾向がある。水溶解度が低い着色抑制剤は、従来公知の界面活性剤と異なり、血液をトップシートに残存させず、迅速に吸収体に移行させることができると考えられる。
【0036】
本明細書において、25℃における、100gの水に対する溶解度を、単に、「水溶解度」と称する場合がある。
上記着色抑制剤は、約0gの水溶解度を有することができる。従って、上記着色抑制剤において、水溶解度の下限は、約0gである。
【0037】
上記着色抑制剤の例として、以下の構造を有する化合物が挙げられる。
(i)炭化水素、又は
(ii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)及び/若しくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物。
【0038】
本明細書において、「炭化水素」は、炭素と水素とから成る化合物を意味し、鎖状炭化水素、例えば、パラフィン系炭化水素(二重結合及び三重結合を含まない、アルカンとも称される)、オレフィン系炭化水素(二重結合を1つ含む、アルケンとも称される)、アセチレン系炭化水素(三重結合を1つ含む、アルキンとも称される)、及び二重結合及び三重結合から成る群から選択される結合を2つ以上含む炭化水素、並びに環状炭化水素、例えば、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素が挙げられる。
上記炭化水素としては、鎖状炭化水素及び脂環式炭化水素であることが好ましく、鎖状炭化水素であることがより好ましく、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、及び二重結合を2つ以上含む炭化水素(三重結合を含まない)であることがさらに好ましく、そしてパラフィン系炭化水素であることが最も好ましい。
上記鎖状炭化水素には、直鎖状炭化水素及び分岐鎖状炭化水素が含まれる。
【0039】
上記(ii)の化合物において、エーテル結合(−O−)が2つ以上挿入されている場合には、エーテル結合同士は隣接していない、従って、上記(ii)の化合物には、エーテル結合が連続する化合物(いわゆる、過酸化物)は含まれない。
【0040】
上記着色抑制剤は、好ましくは、以下の構造を有する化合物であることができる。
(i’)炭化水素、又は
(ii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)及び/若しくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物。
【0041】
上記(ii’)の化合物において、2以上の結合が挿入されている場合、すなわち、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、カーボネート結合(−OCOO−)及びエーテル結合(−O−)から選択される2以上の結合が挿入されている場合には、各結合は隣接しておらず、各結合の間には、少なくとも、炭素原子が1つ介在する。
また、上記改質剤は、カルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)等の無機性値の大きな極性基を有しないことが好ましい。IOBが大きくなり、親水性を有することにつながるからである。
【0042】
上記着色抑制剤は、さらに好ましくは、
(A)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル、
(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル、
(C)2,3又は4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル、
(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物、あるいは
(E)鎖状炭化水素、
であることができる。
以下、(A)〜(E)について詳細に説明する。
【0043】
[(A)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル]
(A)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル(以下、「化合物(A)」と称する場合がある)には、2個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのジエステル、3個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのトリエステル、及び4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物とのテトラエステルが含まれる。
【0044】
上記2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、鎖状炭化水素テトラオール、例えば、アルカンテトラオール、例えば、ペンタエリトリトール、鎖状炭化水素トリオール、例えば、アルカントリオール、例えば、グリセリン、及び鎖状炭化水素ジオール、例えば、アルカンジオール、例えば、グリコールが挙げられる。上記1個のカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、炭化水素上の1つの水素原子が、1つのカルボキシル基(−COOH)で置換された化合物、例えば、脂肪酸が挙げられる。
化合物(A)としては、例えば、(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル、(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのトリエステル、及び(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステルが挙げられる。
【0045】
[(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル]
上記鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステルとしては、例えば、次の式(1):
【化1】

(式中、R1〜R4は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
で表わされるペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルが挙げられる。
【0046】
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルを構成する脂肪酸(R1COOH、R2COOH,R3COOH,及びR4COOH)としては、例えば、飽和脂肪酸、例えば、C2〜C20の飽和脂肪酸、例えば、酢酸(C2)(C2は、炭素数を示し、R1C、R2C,R3C又はR4Cの炭素数に相当する、以下同じ)、プロパン酸(C3)、ブタン酸(C4)及びその異性体、例えば、2−メチルプロパン酸(C4)、ペンタン酸(C5)及びその異性体、例えば、2−メチルブタン酸(C5)、2,2−ジメチルプロパン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)及びその異性体、例えば、2−エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、エイコサン酸(C20)等、並びにこれらの異性体(上述のものを除く)が挙げられる。
【0047】
上記脂肪酸はまた、不飽和脂肪酸であることができる。上記不飽和脂肪酸としては、例えば、C3〜C20の不飽和脂肪酸、例えば、モノ不飽和脂肪酸、例えば、クロトン酸(C4)、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)等、ジ不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)等、トリ不飽和脂肪酸、例えば、リノレン酸、例えば、α-リノレン酸(C18)及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸、例えば、α-エレオステアリン酸(C18)及びβ-エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)等、テトラ不飽和脂肪酸、例えば、ステアリドン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)等、ペンタ不飽和脂肪酸、例えば、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)等、並びにこれらの部分水素付加物が挙げられる。
【0048】
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステル、すなわち、ペンタエリトリトールと飽和脂肪酸とのテトラエステルであることが好ましい。
【0049】
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、上記式(1)において、R1C、R2C、R3C及びR4C部分の炭素数の合計が30の場合にIOBが0.34となる。従って、上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、上記炭素数の合計が約30以上である場合Sに、上記IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルでは、例えば、ペンタエリトリトールと、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)、例えば、2−エチルヘキサン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)及び/又はドデカン酸(C12)とのテトラエステルが挙げられる。
【0050】
上記ペンタエリトリトールと脂肪酸とのテトラエステルの市販品としては、ユニスター H−408BRS、H−2408BRS−22(混合品)等(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
【0051】
[(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのトリエステル]
上記鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのトリエステルとしては、例えば、次の式(2):
【化2】

(式中、R5〜R7は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
で表わされるグリセリンと脂肪酸とのトリエステルが挙げられる。
【0052】
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸(R5COOH、R6COOH及びR7COOH)としては、例えば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル」において列挙される脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル、すなわち、グリセリンと飽和脂肪酸とのトリエステルであることが好ましい。
【0053】
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、トリグリセリドとも称され、例えば、グリセリンとオクタン酸(C8)とのトリエステル、グリセリンとデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンとドデカン酸(C12)とのトリエステル、及びグリセリンと、2種又は3種の脂肪酸とのトリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
上記グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのトリエステルとしては、例えば、グリセリンと、オクタン酸(C8)及びデカン酸(C10)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)及びドデカン酸(C12)とのトリエステル、グリセリンと、オクタン酸(C8)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、テトラデカン酸(C14)、ヘキサデカン酸(C16)及びオクタデカン酸(C18)とのトリエステル等が挙げられる。
【0055】
融点を約45℃以下とするためには、上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルとしては、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(2)において、R5C、R6C及びR7C部分の炭素数の合計が、約40以下であることが好ましい。
【0056】
また、上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルでは、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルを構成する脂肪酸の炭素数の合計、すなわち、式(2)において、R5C、R6C及びR7C部分の炭素数の合計が23の場合にIOBが0.35となる。従って、上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルでは、脂肪酸の炭素数の合計が約23以上である場合に、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルは、いわゆる、脂肪であり、人体を構成しうる成分であるため、安全性の観点から好ましい。
【0057】
上記グリセリンと脂肪酸とのトリエステルの市販品としては、トリヤシ油脂肪酸グリセリド、NA36、パナセート800、パナセート800B及びパナセート810S、並びにトリC2L油脂肪酸グリセリド及びトリCL油脂肪酸グリセリド(以上、日油株式会社製)等が挙げられる。
【0058】
[(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステル]
上記鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステルとしては、例えば、C2〜C6の鎖状炭化水素ジオール、例えば、C2〜C6のグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールと、脂肪酸とのジエステルが挙げられる。
【0059】
具体的には、上記鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステルとしては、例えば、次の式(3):
8COOCk2kOCOR9 (3)
(式中、kは、2〜6の整数であり、そしてR8及びR9は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
のグリコールと脂肪酸とのジエステルが挙げられる。
【0060】
上記グリコールと脂肪酸とのジエステルにおいて、エステル化すべき脂肪酸(式(3)において、R8COOH及びR9COOHに相当する)としては、例えば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。
【0061】
式(3)に示されるブチレングリコール(k=4)と脂肪酸とのジエステルでは、R8C及びR9C部分の炭素数の合計が14の場合に、IOBが、0.33となる。従って、式(3)に示されるブチレングリコール(k=4)と脂肪酸とのジエステルでは、上記炭素数の合計が約14以上の場合に、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
【0062】
上記グリコールと脂肪酸とのジエステルとしては、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸に由来する、グリコールと脂肪酸とのジエステル、すわなち、グリコールと飽和脂肪酸とのジエステルであることが好ましい。
【0063】
また、上記グリコールと脂肪酸とのジエステルとしては、IOBを小さくし、より疎水性とするために、炭素数の大きいグリコールに由来する、グリコールと脂肪酸とのジエステル、例えば、ブチレングリコール、ペンチレングリコール又はヘキシレングリコールに由来するグリコールと脂肪酸とのジエステルであることが好ましい。
上記グリコールと脂肪酸とのジエステルの市販品としては、例えば、ユニスター H−208BRS(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
【0064】
(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル(以下、「化合物(B)」と称する場合がある)には、2個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのジエーテル、3個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのトリエーテル、及び4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのテトラエーテルが含まれる。
【0065】
上記2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物としては、「化合物(A)」において列挙されるもの、例えば、ペンタエリトリトール、グリセリン、及びグリコールが挙げられる。
上記1個のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、炭化水素の1個の水素原子が、1個のヒドロキシル基(−OH)で置換された化合物、例えば、脂肪族1価アルコール、例えば、飽和脂肪族1価アルコール及び不飽和脂肪族1価アルコールが挙げられる。
【0066】
上記飽和脂肪族1価アルコールとしては、例えば、C1〜C20の飽和脂肪族1価アルコール、例えば、メチルアルコール(C1)(C1は、炭素数を示す、以下同じ)、エチルアルコール(C2)、プロピルアルコール(C3)、イソプロピルアルコール(C3)、n−ブチルアルコール(C4)、sec−ブチルアルコール(C4)、tert−ブチルアルコール(C4)、ペンチルアルコール(C5)、ヘキシルアルコール(C6)、ヘプチルアルコール(C7)、オクチルアルコール(C8)、2−エチルヘキシルアルコール(C8)、ノニルアルコール(C9)、デシルアルコール(C10)、ドデシルアルコール(C12)、テトラデシルアルコール(C14)、ヘキサデシルアルコール(C16)、へプラデシルアルコール(C17)、オクタデシルアルコール(C18)、及びエイコシルアルコール(C20)、並びにこれらの列挙されていない異性体が挙げられる。
【0067】
上記不飽和脂肪族1価アルコールとしては、上記飽和脂肪族1価アルコールのC−C単結合の1つを、C=C二重結合で置換したもの、例えば、オレイルアルコールが挙げられ、例えば、新日本理化株式会社から、リカコールシリーズ及びアンジェコオールシリーズの名称で市販されている。
【0068】
化合物(B)としては、例えば、(B1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテル、(B2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテル、及び(B3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルが挙げられる。
【0069】
上記鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルとしては、例えば、次の式(4):
【化3】

(式中、R10〜R13は、それぞれ、鎖状炭化水素である。)
で表わされるペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルが挙げられる。
【0070】
上記鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルとしては、例えば、次の式(5):
【化4】

(式中、R14〜R16は、それぞれ、鎖状炭化水素である。)
で表わされるグリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルが挙げられる。
【0071】
上記鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルは、次の式(6):
17OCn2nOR18 (6)
(式中、nは、2〜6の整数であり、そしてR17及びR18は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
で表わされるグリコールと脂肪族1価アルコールとのジエーテルが挙げられる。
【0072】
上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルでは、ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(4)において、R10、R11、R12及びR13部分の炭素数の合計が7の場合にIOBが0.33となる。従って、上記ペンタエリトリトールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約7以上である場合に、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
【0073】
また、上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(5)において、R14、R15及びR16部分の炭素数の合計が6の場合にIOBが0.33となる。従って、上記グリセリンと脂肪族1価アルコールとのトリエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が約6以上である場合に、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
【0074】
式(6)に示される、ブチレングリコール(n=4)と脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、R17及びR18部分の炭素数の合計が2の場合に、IOBが、0.33となる。従って、式(6)に示される、ブチレングリコール(n=4)と脂肪族1価アルコールとのジエーテルでは、脂肪族1価アルコールの炭素数の合計が2以上の場合に、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
なお、上記計算に当たっては、二重結合、三重結合、iso分岐、及びtert分岐の影響は、考慮していない。
【0075】
[(C)2,3又は4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル]
(C)2,3又は4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル(以下、「化合物(C)」と称する場合がある)には、2個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのジエステル、3個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのトリエステル、及び4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物とのテトラエステルが含まれる。
【0076】
上記2,3又は4個のカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2〜4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素、例えば、鎖状炭化水素ジカルボン酸、例えば、アルカンジカルボン酸、例えば、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸及びデカン二酸、鎖状炭化水素トリカルボン酸、例えば、アルカントリカルボン酸、例えば、プロパン三酸、ブタン三酸、ペンタン三酸、ヘキサン三酸、ヘプタン三酸、オクタン三酸、ノナン三酸及びデカン三酸、並びに鎖状炭化水素テトラカルボン酸、例えば、アルカンテトラカルボン酸、例えば、ブタン四酸、ペンタン四酸、ヘキサン四酸、ヘプタン四酸、オクタン四酸、ノナン四酸及びデカン四酸が挙げられる。
【0077】
また、上記2〜4個のカルボキシル基を有する化合物には、2〜4個のカルボキシル基を有するアルコキシ酸、例えば、O−アセチルクエン酸、及び2〜4個のカルボキシル基を有するオキソ酸が含まれる。
上記1個のヒドロキシル基を有する化合物としては、「(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル」において列挙されるもの、例えば、脂肪族1価アルコールが挙げられる。
【0078】
化合物(C)としては、(C1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのテトラエステル、(C2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのトリエステル、(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのジエステルが挙げられる。
化合物(C)の例としては、アジピン酸ジオクチル、O−アセチルクエン酸トリブチル等が挙げられ、そして市販されている。
【0079】
[(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物]
(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物(以下、「化合物(D)」と称する場合がある)としては、(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(D2)ジアルキルケトン、(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(D4)ジアルキルカーボネートが挙げられる。
【0080】
[(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル]
上記脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルとしては、次の式(7):
19OR20 (7)
(式中、R19及びR20は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
【0081】
上記エーテルを構成する脂肪族1価アルコール(式(7)において、R19OH及びR20OHに相当する)としては、例えば、「(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル」において列挙される脂肪族1価アルコールが挙げられる。
【0082】
脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテルでは、当該エーテルを構成する脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、上記式(7)において、R19及びR20部分の炭素数の合計が3の場合にIOBが0.33となるため、当該炭素数の合計が約3以上であれば、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。しかし、上記炭素数の合計が6程度では、水溶解度が約2と高く、蒸気圧の観点からも問題がある。水溶解度が約0.05g以下の要件を満たすためには、上記炭素数の合計が約8以上であることが好ましい。
【0083】
[(D2)ジアルキルケトン]
上記ジアルキルケトンとしては、次の式(8):
21COR22 (8)
(式中、R21及びR22は、それぞれ、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
【0084】
上記ジアルキルケトンでは、R21及びR22の炭素数の合計が9の場合にIOBが0.33となるため、当該炭素数の合計が約9以上であれば、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。従って、ジアルキルケトンでは、上記炭素数の合計が約9以上であることが好ましい。
上記ジアルキルケトンは、市販されている他、公知の方法、例えば、第二級アルコールを、クロム酸等で酸化することにより得ることができる。
【0085】
[(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルとしては、例えば、次の式(9):
23COOR24 (9)
(式中、R23及びR24は、それぞれ、鎖状炭化水素である)
を有する化合物が挙げられる。
【0086】
上記エステルを構成する脂肪酸(式(9)において、R23COOHに相当する)としては、例えば、「(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル」において列挙されている脂肪酸、すなわち、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が挙げられ、酸化等により変性する可能性を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましい。上記エステルを構成する脂肪族1価アルコール(式(9)において、R24OHに相当する)としては、例えば、「(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル」において列挙される脂肪族1価アルコールが挙げられる。
【0087】
なお、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルでは、脂肪酸及び脂肪族1価アルコールの炭素数の合計、すなわち、式(9)において、R23C及びR24部分の炭素数の合計が9の場合にIOBが0.33となる。従って、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルでは、R23C及びR24部分の炭素数の合計が約9以上である場合に、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
【0088】
上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの例としては、例えば、ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル、テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル等が挙げられ、上記脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステルの市販品としては、例えば、エレクトールWE20、及びエレクトールWE40(以上、日油株式会社製)が挙げられる。
【0089】
[(D4)ジアルキルカーボネート]
上記ジアルキルカーボネートとしては、次の式(10):
25OC(=O)OR26 (10)
(式中、R25及びR26は、それぞれ、アルキル基である)
を有する化合物が挙げられる。
【0090】
上記ジアルキルカーボネートでは、R25及びR26の炭素数の合計が11の場合にIOBが0.33となるため、R25及びR26の炭素数の合計が、約11以上であれば、IOBが約0〜約0.35の要件を満たす。
上記ジアルキルカーボネートは、市販されている他、ホスゲンとアルコールとの反応、塩化ギ酸エステルとアルコール又はアルコラートとの反応、及び炭酸銀とヨウ化アルキルとの反応により合成することができる。
【0091】
[(E)鎖状炭化水素]
上記鎖状炭化水素は、上記無機性値が0であることから、IOBが0であり、そして水溶解度がほぼ0gである。上記鎖状炭化水素としては、例えば、(E1)鎖状アルカン、例えば、直鎖アルカン及び分岐鎖アルカンが挙げられ、例えば、直鎖アルカンの場合には、おおむね、炭素数が22以下であれば、融点が約45℃以下となる。また、蒸気圧を考慮すると、おおむね、炭素数が13以上のものが好ましい。分岐鎖アルカンの場合には、直鎖アルカンよりも、同一炭素数において、融点が高い場合があるため、炭素数が22以上のものも含まれうる。
上記鎖状炭化水素の市販品としては、例えば、パールリーム6(日油株式会社)が挙げられる。
【0092】
上記着色抑制剤の融点が約45℃以下であると、常温(25℃)で液体であるか、又は固体であるかを問わず、約30〜約40℃の体液と接触した際に液化し(又は液体であり)、体液に溶解しやすくなると考えられる。
さらに、IOBが約0〜約0.35である着色抑制剤は、赤血球と親和性が高く、赤血球膜を保護することができるため、赤血球が破壊されにくくなると考えられる。
【0093】
上記液透過性のトップシートとしては、当技術分野で通常用いられているものを、特に制限なく採用することができ、例えば、液体を透過する構造を有するシート状材料、例えば、開孔フィルム、織布、不織布等が挙げられる。上記織布及び不織布を構成する繊維として、天然繊維及び化学繊維が挙げられ、天然繊維としては、例えば、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられ、化学繊維としては、例えば、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、並びに親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維が挙げられる。
【0094】
上記熱可塑性疎水性化学繊維としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、PE及びPPのグラフト重合物からなる繊維が挙げられる。
【0095】
上記液不透過性のバックシートとしては、PE、PP等を含むフィルム、通気性を有する樹脂フィルム、スパンボンド又はスパンレース等の不織布に通気性を有する樹脂フィルムを接合したもの、SMS等の複層不織布等が挙げられる。吸収性物品の柔軟性を考慮すると、例えば、坪量約15〜約30g/m2の低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムが好ましい。
本発明の吸収性物品の実施形態の1つでは、液透過性のトップシートと、吸収体との間に、セカンドシートを含むことができる。上記セカンドシートとしては、液透過性のトップシートと同様の例が挙げられる。
【0096】
上記吸収体の第1の例としては、吸収コアが、コアラップで覆われているものが挙げられる。
上記吸収コアの構成要素としては、例えば、親水性繊維、例えば、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、及び親水化処理された熱可塑性疎水性化学繊維、並びにこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、上記吸収コアの構成要素として、高吸収性ポリマー、例えば、アクリル酸ナトリウムコポリマー等の粒状物が挙げられる。
【0097】
上記コアラップとしては、液透過性で高分子吸収体が透過しないバリアー性を有する物であれば、特に制限されず、例えば、織布、不織布等が挙げられる。上記織布及び不織布としては、天然繊維、化学繊維、ティッシュ等が挙げられる。
【0098】
上記吸収体の第2の例としては、吸収シート又はポリマーシートから形成されたものが挙げられ、その厚さは、約0.3〜約5.0mmであることが好ましい。上記吸収シート及びポリマーシートとしては、通常、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。
【0099】
上記吸収性物品において、液透過性のトップシートが着色抑制剤を含む場合には、上記トップシートは、肌当接面に上記着色抑制剤を含むことが好ましく、そしてトップシートの内部及び/又はトップシートの吸収体側の面に着色抑制剤をさらに含むことができる。トップシートの肌当接面に着色抑制剤が存在することにより、トップシートの表面に経血が残存しにくくなる。また、トップシートの内部及び/又は吸収体側の面に着色抑制剤が存在することにより、着用中の発汗、着用時間の長時間化等の場合にも、着色抑制剤が容易に脱落せず、着色抑制剤の効果が持続しやすくなる。
【0100】
また、上記着色抑制剤は、トップシートの平面方向に関しては、トップシートの全面、膣口付近の中心領域等、任意の場所に存在することができる。
【0101】
また、液透過性のトップシートが不織布又は織布から形成されている場合には、上記着色抑制剤は、不織布又は織布の繊維間の空隙を閉塞しないことが好ましく、上記着色抑制剤は、例えば、不織布の繊維の表面に、液滴状又は粒子状で付着しているか、又は繊維の表面を覆っていることができる。一方、液透過性のトップシートが開孔フィルムから形成されている場合には、上記着色抑制剤は、開孔フィルムの開孔を閉塞しないことが好ましく、上記着色抑制剤は、例えば、開孔フィルムの表面に、液滴状又は粒子状で付着していることができる。上記着色抑制剤が、不織布又は織布の繊維間の空隙または開孔フィルムの開孔を閉塞すると、吸収した液体の吸収体への移行を阻害することがあるからである。
また、上記着色抑制剤は、吸収した体液に迅速に移行するために、その表面積が大きいことが好ましく、液滴状又は粒子状で存在する着色抑制剤は、粒径が小さいことが好ましい。
【0102】
また、吸収性物品がセカンドシートを有する実施形態では、当該セカンドシートが、着色抑制剤を含んでもよい。また、上記吸収性物品の実施形態の1つでは、吸収体が着色抑制剤を含んでもよい。
上記吸収性物品において、トップシートは、上記着色抑制剤を、好ましくは約1〜約30g/m2、より好ましくは約2〜約20g/m2、そしてさらに好ましくは約3〜約10g/m2の坪量の範囲で含む。着色抑制剤の坪量が、約1g/m2を下回ると、着色抑制剤の効果が不十分となる傾向があり、そして着色抑制剤の坪量が多くなると、着用中のべたべた感が増加する傾向がある。
【0103】
上記着色抑制剤の塗布方法は、特に制限されるものではなく、必要に応じて加熱され、例えば、非接触式のコーター、例えば、スパイラルコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ディップコーター等、接触式のコーター等により塗布されることができる。液滴状又は粒子状の着色抑制剤が全体に均一に分散される点、及び資材にダメージを与えない観点から、非接触式のコーターが好ましい。また、上記着色抑制剤は、室温で液体の場合にはそのまま、又は粘度を下げるために加熱され、そして室温で固体の場合には液化するように、例えば、融点+20℃に加熱され、コントロールシームHMAガンにより塗布されることができる。コントロールシームHMAガンのエアー圧を高くすることにより、微粒子状の着色抑制剤を塗布することができる。
【0104】
上記着色抑制剤は、トップシートの素材、例えば、不織布を製造する際に塗布されることができ、又は吸収性物品を製造する製造ラインにおいて塗布されることもできる。設備投資を抑制する観点からは、吸収性物品の製造ラインにおいて、着色抑制剤を塗布することが好ましく、着色抑制剤が脱落し、ラインを汚染することを抑制するためには、製造ラインの川下工程、具体的には、製品を個包装に封入する直前に、着色抑制剤を塗布することが好ましい。
着色抑制剤が塗布される資材、例えば、トップシートが合成樹脂からなる不織布、開孔フィルムである場合には、これらは、親水剤がコーティングされるか、又は混合されることにより、親水化処理されていることが好ましい。元々の資材が親水性を有すると、次いで約0〜約0.35のIOBを有し、有機性が高く且つ親油性の着色抑制剤が塗布されるため、親油性領域と、親水性領域とがまばらに共存することになる。それにより、親水性成分(血漿等)と、親油性成分(血球等)から成る経血に対して、一定の効果を発揮することができると考えられる。
【0105】
上記着色抑制剤は、約2,000以下の重量平均分子量を有することが好ましく、そして約1,000以下の重量平均分子量を有することがより好ましい。重量平均分子量が高くなると、着色抑制剤の粘度を、塗工に適した粘度に下げることが難しくなり、溶媒で希釈すべき場合が生ずるからである。また、重量平均分子量が大きくなると、着色抑制剤にタック性が生じ、着用者に不快感を与える場合があるからである。
【0106】
上記吸収性物品は、血液を吸収することを目的とする吸収性物品、例えば、生理用ナプキン、パンティーライナー等に好適である。
なお、本開示の吸収性物品では、従来公知のスキンケア組成物、ローション組成物等を含む吸収性物品とは異なり、エモリエント剤、固定化剤等の成分が不要であり、着色抑制剤単体で、トップシートに適用されうる。
【実施例】
【0107】
以下、例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実験に用いられた着色抑制剤は、以下の通りである。
[(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル]
・ユニスター H−408BRS,日油株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール
・ユニスター H−2408BRS−22,日油株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリトールと、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールとの混合物(58:42,重量比)
【0108】
[(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのトリエステル]
・Cetiol SB45DEO,コグニスジャパン株式会社製
脂肪酸が、オレイン酸又はステアリル酸である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・SOY42,日油株式会社製
14の脂肪酸:C16の脂肪酸:C18の脂肪酸:C20の脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ0.2:11:88:0.8の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
【0109】
・トリC2L油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸:C12の脂肪酸がおおよそ37:7:56の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・トリCL油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C12の脂肪酸がおおよその重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
【0110】
・パナセート810s,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル、
・パナセート800,日油株式会社製
脂肪酸が全てオクタン酸(C8)である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・パナセート800B,日油株式会社製
脂肪酸が全て2−エチルヘキサン酸(C8)である、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
【0111】
・NA36,日油株式会社製
16の脂肪酸:C18の脂肪酸:C20の脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ5:92:3の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・トリヤシ油脂肪酸グリセリド,日油株式会社製
8の脂肪酸:C10の脂肪酸:C12の脂肪酸:C14の脂肪酸:C16の脂肪酸(飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の両方を含む)がおおよそ4:8:60:25:3の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのトリエステル
【0112】
[(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステル]
・ユニスター H−208BRS,日油株式会社製
ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール
[(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、アルコキシ酸、又はオキシ酸と、脂肪族1価アルコールとのジエステル]
・アジピン酸ジオクチル,和光純薬工業製
【0113】
[(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル]
・エレクトールWE20,日油株式会社製
ドデカン酸(C12)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル
・エレクトールWE40,日油株式会社製
テトラデカン酸(C14)と、ドデシルアルコール(C12)とのエステル
【0114】
[(E1)鎖状アルカン]
・パールリーム6,日油株式会社製
流動イソパラフィン、イソブテン及びn-ブテンを共重合し、次いで水素を付加することにより生成された分岐鎖炭化水素、重合度:約5〜約10
【0115】
[その他]
・NA50,日油株式会社製
NA36に水素を付加し、原料である不飽和脂肪酸に由来する二重結合の比率を下げたグリセリンと脂肪酸とのトリエステル
・カプリル酸ジグリセリド,日油株式会社製
脂肪酸がオクタン酸である、グリセリンと脂肪酸とのジエステル
・(カプリル酸/カプリン酸)モノグリセリド,日油株式会社製
オクタン酸(C8)及びデカン酸(C10)がおおよそ85:15の重量比で含まれている、グリセリンと脂肪酸とのモノエステル
【0116】
・Monomuls 90−L2ラウリン酸モノグリセリド,コグニスジャパン株式会社製
・ユニオックスHC60,日油株式会社製
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
・ウィルブライトs753,日油株式会社製
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリン
【0117】
・クエン酸トリブチル,東京化成工業製
・クエン酸イソプロピル,東京化成工業製
・コムポールBL,日油株式会社製
ブチレングリコールのドデカン酸(C12)モノエステル
・コムポールBS,日油株式会社製
ブチレングリコールのオクタデカン酸(C18)モノエステル
【0118】
・ユニオールD−400(ユニオールは、全て日油株式会社製)
重量平均分子量約400のポリプロピレングリコール
・ユニオールD−1000
重量平均分子量約1,000のポリプロピレングリコール
・ユニオールD−1200
重量平均分子量約1,200のポリプロピレングリコール
・ユニオールD−3000
重量平均分子量約3000のポリプロピレングリコール
【0119】
・ユニオールD−4000
重量平均分子量約4000のポリプロピレングリコール
・ユニオールPB500
重量平均分子量約500のポリブチレングリコール
・ユニオールPB700
重量平均分子量約700のポリブチレングリコール
【0120】
・ユニオールPB1000R
重量平均分子量約1000のポリブチレングリコール
・ウィルブライトcp9,日油株式会社製
両末端のOH基がヘキサデカン酸(C16)によりエステル化されている、重量平均分子量約1,100のポリブチレングリコール
・ユニルーブMS−70K,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのステアリルエーテル,約15の繰返し単位
【0121】
・PEG1500,日油株式会社製
重量平均分子量約1,500〜約1,600のポリエチレングリコール
・ワセリン,コグニスジャパン株式会社製
石油に由来する炭化水素、半固形
・ノニオンS−6,日油株式会社製
ポリオキシエチレンモノステアレート、約7の繰返し単位、重量平均分子量:約600
【0122】
・ユニオール TG−330,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約6の繰返し単位,重量平均分子量:約330
・ユニオール TG−1000,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのグリセリルエーテル,約16の繰返し単位,重量平均分子量:約1000
・ユニルーブ DGP−700,日油株式会社製
ポリプロピレングリコールのジグリセリルエーテル,約9の繰返し単位,重量平均分子量:約700
【0123】
[製造例1]
市販の生理用ナプキンを準備した。当該生理用ナプキンは、親水剤で処理されたエアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:35g/m2)から形成されたトップシートと、エアスルー不織布(ポリエステル及びポリエチレンテレフタレートから成る複合繊維、坪量:30g/m2)から形成されたセカンドシートと、パルプ(坪量:150〜450g/m2、中央部ほど多い)、アクリル系高吸収ポリマー(坪量:15g/m2)及びコアラップとしてのティッシュを含む吸収体と、撥水剤処理されたサイドシートと、ポリエチレンフィルムから成るバックシートとから形成されていた。
【0124】
上記生理用ナプキンのトップシートの肌当接面を、H−408BRSで塗工した。具体的には、H−408BRSを、コントロールシームHMAガンを用いて微粒化し、トップシートの肌当接面の全面に、坪量がおおよそ5g/m2となるように塗布することにより、生理用ナプキンNo.1を形成した。
【0125】
[製造例2〜6]
H−408BRSを、表2に示される化合物に変更し、融点が37℃であるトリC2L油脂肪酸グリセリド及びWE40を約57℃まで加温した以外は、製造例1と同様にして、生理用ナプキンNo.2〜6を形成した。
[比較製造例1〜7]
H−408BRSを、表2に示される化合物に変更し、必要に応じて融点+約20℃まで加温して塗工した以外は、製造例1と同様にして、生理用ナプキンNo.7〜13を形成した。
【0126】
[比較製造例9]
製造例1で用いられた、未処理の、市販の生理用ナプキンを、生理用ナプキンNo.14として用いた。
【0127】
[例1]
生理用ナプキンNo.1〜14に関して、本明細書に記載の方法に従って、液残存性試験と、液滴下試験とを行った。上記液残存性試験における吸光度は、Bio−Tek Instruments,Inc社製,マイクロプレートリーダー(型番:EL808IU)を用いて測定し、そして上記液滴下試験における色差は、コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300を用いて測定した。吸光度、色差、及びトップシート1g当りの血球数を、表2に示す。
【0128】
また、ウマEDTA血は、ウマの静脈血65mLに、12%EDTA・2K生理食塩液0.5mLを添加したものを用いた。
上記液残存性試験において、2回目のウマEDTA血の滴下終了から40秒後の生理用ナプキンNo.1,2,4,5及び6の画像を、それぞれ、図1〜図5に示す。また、同様に、生理用ナプキンNo.7,9,10,11及び14の画像を、それぞれ、図6〜図10に示す。
【0129】
次に、生理用ナプキンNo.1〜14に関して、リウェット率及び吸収体移行速度を測定した。
リウェット率は、本明細書に記載される液滴下試験において、(1)及び(2)の手順を実施し、次いで、直ちに上記アクリル板を外し、ウマEDTA血を滴下した場所に、あらかじめ質量を測定したろ紙(50mm×35mm)10枚を置き、その上から、圧力が30g/cm2となるようにおもりを置き、1分後、ろ紙を取出し、ウマEDTA血を含むろ紙の質量を測定し、以下の式に従って算出した。
リウェット率(%)=100×(試験後のろ紙質量−当初のろ紙質量)/6
【0130】
また、吸収体移行速度は、本明細書に記載される液滴下試験において、(1)及び(2)の手順を実施し、(2)の手順の後、ウマEDTA血がトップシートから吸収体に移行するまでの時間を計測することにより評価した。
リウェット率及び吸収体移行速度の結果を、併せて表2に示す。
また、表2に示される化合物の、IOB,融点及び水溶解度のデータを、併せて表2に示す。
なお、水溶解度は、上述の方法に従って測定したが、100gの脱塩水に、20.0gを添加し、24時間後に溶解した試料は、「20g<」と評価した。
また、融点に関し、「<45」は、融点が45℃未満であることを意味する。
【0131】
【表2】

【0132】
表2から、生理用ナプキンNo.1〜No.6は、生理用ナプキンNo.14よりも、リウェット率及び吸収体移行速度に優れることが分かる。
次に、色差ΔEが36〜80の範囲内にある、生理用ナプキンNo.1,2,4,5及び6はまた、図1〜5から、ウマEDTA血が、トップシートにあまり残存していないこと、及び吸収体がウマEDTA血を吸収したことが、視覚的に認識できる。
【0133】
従って、色差ΔEが36〜80の範囲内にある、生理用ナプキンNo.1〜6は、リウェット率及び吸収体移行速度に優れる上に、粘度の高い経血を吸収した際に、経血が吸収体に迅速に移行し、トップシートの経血の残存が少ないことをユーザーが視覚的に認識できるため、ユーザーが安心感を得ることができるものと考えられる。
なお、Monomuls 90−L12ラウリン酸モノグリセリドでは、血球数を測定する際に、大量の、血球が破壊された断片が確認された。これは、血球数が少ない割に、吸光度が高い(ヘモグロビン量が多い)結果と合致するものである。
【0134】
次に、生理用ナプキンNo.1〜14を、複数のボランティアの被験者に着用してもらったところ、生理用ナプキンNo.1〜6は、生理用ナプキンNo.7〜14と比較して、トップシートの表面に経血が残存せず且つ経血が吸収体に移行したことを視覚的に判断できるので、安心感を得ることができたとの回答を得た。また、生理用ナプキンNo.1〜6は、生理用ナプキンNo.14よりも、経血の吸収性に優れ、経血を吸収後もサラサラ感に優れるとの回答を得た。
【0135】
[例2]
表3に示す種々の化合物を、製造例1と同様の手順で塗布し、リウェット率及び吸収体移行速度を評価した。また、上記吸収体移行速度の試験後のトップシートの肌当接面の白さを、以下の基準に従って、目視で評価した。
◎:血液の赤さがほとんど残っておらず、血液が存在した場所と、存在していない場所の区別がつかない
○:血液の赤さが若干残っているが、血液の存在した場所と、存在していない場所の区別がつきいにくい
△:血液の赤さが若干残っており、血液が存在した場所が分かる
×:血液の赤さがそのまま残っている
結果を、併せて以下の表3に示す。
【0136】
【表3】

【0137】
本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを有する吸収性物品であって、
液滴下試験において、上記トップシートの表面側から測定したL***表色系の色差が、36〜80の範囲にあることを特徴とする、
上記吸収性物品。
【0138】
[態様2]
上記トップシートが、液残存性試験において、0.1以下の吸光度より表わされるヘモグロビン量と、30×107個/g以下の血球数とを有する、態様1に記載の吸収性物品。
[態様3]
上記トップシートが、0〜0.35のIOBと、45℃以下の融点とを有する着色抑制剤を含む、態様1又は2に記載の吸収性物品。
【0139】
[態様4]
上記着色抑制剤が、25℃の水100gに対する、0.05g以下の水溶解度をさらに有する、態様3に記載の吸収性物品。
[態様5]
上記着色抑制剤が、
(i)炭化水素、又は
(ii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)及び/若しくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、
であり、ここで、(ii)の化合物において、エーテル結合(−O−)が2つ以上挿入されている場合には、エーテル結合同士は隣接していない、
態様3又は4に記載の化合物。
【0140】
[態様6]
上記着色抑制剤が、
(i’)炭化水素、又は
(ii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)及び/若しくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、
であり、ここで、(ii’)の化合物において、2以上の結合が挿入されている場合には、各結合は隣接していない、
態様3〜5のいずれか一つに記載の吸収性物品。
【0141】
[態様7]
上記着色抑制剤が、
(A)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル、
(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル、
(C)2,3又は4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル、
(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物、あるいは
(E)鎖状炭化水素、
である、態様3〜6のいずれか一つに記載の吸収性物品。
【0142】
[態様8]
上記着色抑制剤が、(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル、(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのトリエステル、(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステル、
(B1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテル、(B2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテル、(B3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのジエーテル、(C1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのテトラエステル、(C2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのトリエステル、(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのジエステル、(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(D2)ジアルキルケトン、(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(D4)ジアルキルカーボネート、及び(E1)鎖状アルカンから成る群から選択される、態様3〜7のいずれか一つに記載の吸収性物品。
【0143】
[態様9]
上記トップシートが、不織布又は織布から形成されており、上記着色抑制剤が、上記不織布又は織布の繊維の表面に付着している、態様3〜8のいずれか一つに記載の吸収性物品。
[態様10]
生理用ナプキン又はパンティーライナーである、態様1〜9のいずれか一つに記載の吸収性物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを有する吸収性物品であって、
液滴下試験において、前記トップシートの表面側から測定したL***表色系の色差が、36〜80の範囲にあることを特徴とする、
前記吸収性物品。
【請求項2】
前記トップシートが、液残存性試験において、0.1以下の吸光度より表わされるヘモグロビン量と、30×107個/g以下の血球数とを有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記トップシートが、0〜0.35のIOBと、45℃以下の融点とを有する着色抑制剤を含む、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記着色抑制剤が、25℃の水100gに対する、0.05g以下の水溶解度をさらに有する、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記着色抑制剤が、
(i)炭化水素、又は
(ii)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)及び/若しくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、
であり、ここで、(ii)の化合物において、エーテル結合(−O−)が2つ以上挿入されている場合には、エーテル結合同士は隣接していない、
請求項3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
前記着色抑制剤が、
(i’)炭化水素、又は
(ii’)炭化水素のC−C単結合間に、少なくとも1つのカルボニル結合(−CO−)、少なくとも1つのエステル結合(−COO−)、少なくとも1つのカーボネート結合(−OCOO−)及び/若しくは少なくとも1つのエーテル結合(−O−)が挿入された化合物、
であり、ここで、(ii’)の化合物において、2以上の結合が挿入されている場合には、各結合は隣接していない、
請求項3〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記着色抑制剤が、
(A)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のカルボキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル、
(B)2,3又は4個のヒドロキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエーテル,トリエーテル又はテトラエーテル、
(C)2,3又は4個のカルボキシル基を有する化合物と、1個のヒドロキシル基を有する化合物との、それぞれ、ジエステル,トリエステル又はテトラエステル、
(D)炭化水素に、エーテル結合(−O−)、カルボニル結合(−CO−)、エステル結合(−COO−)、及びカーボネート結合(−OCOO−)から成る群から選択されるいずれか1つが挿入された化合物、あるいは
(E)鎖状炭化水素、
である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記着色抑制剤が、(A1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪酸とのテトラエステル、(A2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪酸とのトリエステル、(A3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪酸とのジエステル、
(B1)鎖状炭化水素テトラオールと脂肪族1価アルコールとのテトラエーテル、(B2)鎖状炭化水素トリオールと脂肪族1価アルコールとのトリエーテル、(B3)鎖状炭化水素ジオールと脂肪族1価アルコールとのジエーテル、(C1)4個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素テトラカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのテトラエステル、(C2)3個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素トリカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのトリエステル、(C3)2個のカルボキシル基を有する鎖状炭化水素ジカルボン酸、アルコキシ酸又はオキソ酸と、脂肪族1価アルコールとのジエステル、(D1)脂肪族1価アルコールと脂肪族1価アルコールとのエーテル、(D2)ジアルキルケトン、(D3)脂肪酸と脂肪族1価アルコールとのエステル、(D4)ジアルキルカーボネート、及び(E1)鎖状アルカンから成る群から選択される、請求項3〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記トップシートが、不織布又は織布から形成されており、前記着色抑制剤が、前記不織布又は織布の繊維の表面に付着している、請求項3〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
生理用ナプキン又はパンティーライナーである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−236001(P2012−236001A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192148(P2011−192148)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】