説明

吸水媒体、それを用いた懸濁液の濃縮方法

【課題】 新規な吸水媒体とそれを用いた懸濁液の濃縮方法を提供する。
【解決手段】 この吸水媒体は、層状粘土鉱物で架橋された高分子架橋体であり、相転移点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する感温性高分子ゲルを含む吸水媒体であり、これを用いた懸濁液の濃縮方法は、上記した吸水媒体と懸濁液とを、感温性高分子ゲルが親水性を示す温度域で接触させて懸濁液を濃縮する懸濁液の濃縮方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、懸濁液の濃縮方法に好適な、感温性高分子ゲルを用いた吸水媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工場やガラス工場などからは、研磨材などの無機系の微細粒子が懸濁している廃液が排出される。これらの廃液は、通常、各種の無機または有機凝集剤を用いた凝集沈澱処理を行って当該廃液を濃縮するか、または、直接産業廃棄物として処理されている。
しかしながら、この凝集沈澱処理の場合、凝集剤などの薬品コストの負担が大きく、また多量の汚泥が発生するためその処理コストも嵩むという問題がある。
【0003】
また、例えばインクジェット記録シートの製造の際にインク受理層として塗工されるシリカ微細粒子の懸濁液など、無機系の微細粒子を含む溶液の製造工程では、膜を用いた溶液の濃縮や、蒸発濃縮などが行われている。
しかしながら、上記した膜を用いた濃縮では、溶液に懸濁している微細粒子による膜閉塞が起こることもあり、また、蒸発濃縮の場合は、イニシアルコストとランニングコストが嵩み、その経済的負担が大きいという問題がある。
【0004】
このようなことから、無機系の微細粒子が懸濁する懸濁液を脱水して濃縮することに関しては、操作が簡便で、処理コストも安価な処理方法が求められている。
一方、例えば金属帯板の表面に付着している水分を効率よく脱水するために、相転移点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する高分子化合物、具体的にはポリビニルメチルエーテル、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル部分鹸化物などを吸水媒体として用いる水切り法が知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
この先行技術では、吸水媒体が親水性を示す温度域(低温)で当該吸水媒体と金属帯板を接触させて金属帯板に付着する水分を脱水し、次いで吸水媒体を疎水性を示す温度域(高温)に搬送し、そこで吸水した水分を放水させるという処置を反復することにより金属帯板の水切りを行っている。
【特許文献1】特公平6−46134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示するような感温性を備えた吸水媒体を用いて懸濁液の水を吸水して当該懸濁液を濃縮するという事例は、現在までのところ報告されていない。
このようなことを踏まえて、本発明者は、懸濁液の濃縮に際し、上記したような吸水媒体を用いることにより、例えば蒸発濃縮法と対比して加熱のための熱的エネルギーが格段に少なく、加圧ろ過のためのポンプ駆動等の機械的エネルギーも不要となり、そのためランニングコストの低減が可能になるとの着想を抱いた。
【0007】
そしてその場合に用いる吸水媒体としては、その吸水速度ができるだけ大きく、また懸濁液と混合したときに崩壊しない程度の機械的強度(形態保持力)を備えることが好適であろうとの観点に立ち、それを満たすべき吸水媒体について鋭意研究を重ねて、後述する本発明の新規な吸水媒体を開発するに至ったのである。
すなわち、本発明は、吸水速度が大きく、また適切な機械的強度も備えている新規な吸水媒体と、その吸水媒体を用いた懸濁液の濃縮方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の本発明においては、層状粘土鉱物で架橋された高分子架橋体であり、相転移点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する感温性高分子ゲルを含むことを特徴とする吸水媒体が提供される。
前記層状粘土鉱物は、特に限定しないがスメクタイトが好適であり(請求項2)、また前記感温性高分子ゲルが、アクリルアミド誘導体およびメタクリルアミド誘導体から選ばれる1種または2種以上の高分子架橋体であることを好適とする(請求項3)。アクリルアミド誘導体およびメタクリルアミド誘導体のうち、特に、N−イソプロピルアクリルアミドが好適である(請求項4)。
【0009】
また、前記感温性高分子ゲルとしては、前記アクリルアミド誘導体およびメタクリルアミド誘導体から選ばれる1種または2種以上に、水溶性ビニル系ノニオンモノマーおよび/または水溶性ビニル系アニオンモノマーを共重合させた高分子架橋体が好適である(請求項5)。
また、請求項6に記載の本発明においては、上記感温性高分子ゲルを含む吸水媒体と懸濁液とを、前記感温性高分子ゲルが親水性を示す温度域で接触させて前記懸濁液を濃縮することを特徴とする懸濁液の濃縮方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
この吸水媒体は、それを構成する感温性高分子ゲル(高分子架橋体)の合成時に架橋剤として用いられる層状粘土鉱物が感温性高分子ゲルにおける架橋密度を均一化してその機械的強度(形態保持力)を高めるので、懸濁液と接触させたときに崩壊せず、反復使用に耐えることができる。
吸水媒体が親水性を示す温度域でその吸水媒体と懸濁液を接触させると、吸水媒体は懸濁液から水を選択的にしかも自動的に吸水する。その結果、懸濁液は濃縮される。そして、その吸水媒体を、疎水性を示す温度に加熱すれば、吸蔵されていた水は自動的に放出され、当該吸水媒体は吸水可能な状態に復元する。
【0011】
この過程では、例えば蒸発濃縮法に比べて、必要とする熱的、機械的エネルギーは大幅に減少するので、濃縮に必要なランニングコストは大幅に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の吸水媒体は、基本的には、相転移点(温度)を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する感温性高分子ゲルで構成されている。
そして、この感温性高分子ゲルは、後述する層状粘土鉱物を用いて架橋された高分子架橋体であることを特徴とする。
感温性高分子ゲルとしては、上記した相転移点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する感温性を備えていて、かつ後述する層状粘土鉱物を架橋剤として用いることによって合成された高分子架橋体であれば特に制限を受けるものではない。
【0013】
このような感温性高分子ゲルのうち、本発明においては、例えば、アクリルアミド誘導体の架橋体、メタクリルアミド誘導体の架橋体、またはアクリルアミド誘導体とメタクリルアミド誘導体の共重合体などを好適例としてあげることができる。
その場合、アクリルアミド誘導体としては、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−ジクロロプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−ノルマルプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−ノルマルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジンなどを用いることができる。
【0014】
また、メタクリルアミド誘導体としては、例えばN−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−ノルマルプロピルメタクリルアミドなどを用いることができる。
これら誘導体のうち、N−イソプロピルアクリルアミドは重合速度が大きく、高分子量化が可能であることや、他のモノマーとの共重合性が良好であるという点で好適である。
【0015】
上記したアクリルアミド誘導体の1種または2種以上を適宜選択し、それを架橋することによりアクリルアミド誘導体の高分子架橋体を得ることができ、上記したメタクリルアミド誘導体の1種または2種以上を適宜選択し、それらを架橋することによりメタクリルアミド誘導体の高分子架橋体を得ることもできる。
また、上記したアクリルアミド誘導体の1種または2種以上を適宜選択し、上記したメタクリル誘導体の1種または2種以上を適宜選択し、両者を共重合させることにより、アクリルアミド誘導体とメタクリルアミド誘導体の共重合体を含む高分子架橋体を得ることもできる。
【0016】
なお、本発明の感温性高分子ゲルは、アクリルアミド誘導体やメタクリルアミド誘導体の架橋体に、さらに、アクリルアミドやメタクリルアミドのような水溶液ビニル系ノニオンモノマーまたは/およびアクリル酸やメタクリル酸のような水溶液ビニル系アニオンモノマーを共重合させた高分子架橋体であることが好ましい。
これら水溶性ビニル系ノニオンモノマーや水溶性ビニル系アニオンモノマーを共重合させることにより、合成された感温性高分子ゲルの相転移点の高低や吸水・放水速度の大小を制御することができる。
【0017】
上記した水溶性ビニル系ノニオンモノマーまたは/および水溶性ビニル系アニオンモノマーを共重合させる場合は、感温性高分子ゲルの感温性を維持することが必要であること、吸水・放水速度のバランスを保つこと、および適度な相転移点に制御することなどの点からすると、用いるアクリルアミド誘導体やメタクリルアミド誘導体に対して、0.1〜30質量%導入することが好ましい。
【0018】
なお、用いるアクリルアミド誘導体やメタクリルアミド誘導体の種類、または共重合させる水溶液ビニル系ノニオンモノマーや水溶液ビニル系アニオンモノマーの種類やその共重合比などが変わると、合成された感温性高分子ゲルの相転移点も変化するので、感温性高分子ゲルの使用温度との関係で、上記した各成分の種類などを適宜に選択することが必要になる。
【0019】
また、これらの高分子架橋体としては、通常、分子量が10〜2000万程度のものを用いることができるが、分子量の大きいものほど架橋密度を小さくすることができるので、吸水・放水速度が大きくなり、最大吸水速度も大きくなるという特徴を有しているので、本発明では、分子量が200万以上のものを用いることが好ましい。ただし、分子量が2000万を超えると、高分子架橋体におけるポリマー鎖の絡み合いによって、応答速度が低下するなどの問題が生じてくる。
【0020】
これらの高分子架橋体は、上記した誘導体の架橋時に、層状粘土鉱物を架橋剤として用いることにより製造される。
この層状粘土鉱物としては、特に限定されないが例えば2−8面体型スメクタイトや3−8面体型スメクタイトなどのスメクタイトがあげられ、これらは、特性として膨潤型(Na+を交換性陽イオンとして持つ)、有機物をインターカレート(層間に取り込む)できる性質を備える。これら層状粘土鉱物を架橋剤として用いることにより、合成された高分子架橋体(感温性高分子ゲル)の架橋密度が均一化してその機械的強度(形態保持力)は高くなり、また吸水・放水速度も大きくなるという効果が得られる。なお、懸濁液に接触させて使用する吸水媒体としては感温性高分子ゲルの機械的強度が高いことは特に必要となる。
【0021】
スメクタイトは、感温性高分子ゲルに上記した効果を有効に付与することができるという点で有用である。
2−8面体型スメクタイトとしては、モンモリロナイトやバイデライトがあげられ、3−8面体型スメクタイトとしては、サホナイト、ヘクトナイト、ソーコナイトなどがあげられる。これらスメクタイトには、天然物も合成されたものもあるが、架橋密度を均一化して合成した感温性高分子ゲルを高強度化でき、また吸水・放水速度を大きくすることが可能であるという点で、粒径10nm〜1μm程度に整粒されている合成スメクタイトが好適である。
【0022】
高分子架橋体の合成時における層状粘土鉱物の使用量が少なすぎると、架橋点が少なくなるので機械的強度の高い架橋体が得られず、また使用量が多すぎると、架橋体の強度は高くなるとはいえ、その架橋体の吸水・放水速度が小さくなる傾向を示すので、層状粘土鉱物の使用量は、架橋対象のアクリルアミド誘導体やメタクリルアミド誘導体のモノマーの使用量に対し、1〜50質量%であることが好ましい。
【0023】
本発明の感温性高分子ゲルは、上記した各成分を含む反応系に対するラジカル重合方法で製造される。
光重合方法の場合には、更に、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどを光重合開始剤とし、反応系に波長365nmの紫外線を照射して製造可能である。
【0024】
重合促進法の場合には、重合促進剤として、例えば、N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミンを用い、または重合開始剤として過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどを用いて製造可能である。
これらのラジカル重合方法においては、用いる各薬品の量、照射する紫外線の強度、重合温度などを制御することにより、合成される感温性高分子ゲルの重合度や分子量を調節することができる。
【0025】
本発明では、上記した感温性高分子ゲルを吸水媒体として用いることにより、懸濁液が濃縮される。
具体的には、相転移点以下の温度で、親水性を示す温度域において、懸濁液にこの吸水媒体を投入して懸濁液と吸水媒体を接触させる。懸濁液の水分は吸水媒体に吸蔵されるので、当該懸濁液が濃縮される。
【0026】
このとき、吸水媒体の使用量を適宜に選択することにより、懸濁液の濃縮度を調節することができる。
そして、懸濁液と吸水媒体を分離したのち、吸水媒体を、相転移点より高温で、疎水性を示す温度域で加熱する。その結果、吸水媒体に吸蔵されていた水分が放出される。加熱手段としては、例えば温水、熱風、ヒータ手段など適宜な手段を用いればよい。
【0027】
放水後の吸水媒体は、例えば大気冷却して相転移点以下の親水性を示す温度域まで冷却することにより、再度、懸濁液の濃縮工程に戻して再利用することができる。
なお、用いる吸水媒体の形状は任意に選択して使用することができる。例えば濃縮工程を連続方式で行う場合には、吸水媒体を板状にして、それをベルトコンベアの表面に配置した状態で、懸濁液の槽内を移動させることができる。また濃縮工程をバッチ方式で行う場合には、吸水媒体を顆粒状にして使用することができる。
【実施例】
【0028】
(試料作製)
脱イオン水90gに、N−イソプロピルアクリルアミド10gと、合成スメクタイトであるヘクトライト(Rockwood社製、粒径72〜148nm)3gを添加して成る溶液に、ベンゾインイソプロピルエーテル(光重合開始剤)10mgをアセトン0.1gに溶解させた溶液を添加したのち、ここに、100mL/minの流量で窒素ガスを2時間送入して充分に撹拌し、ついで、透明なガラス製のふたで密閉された幅10cm、長さ20cm、高さ5cmのステンレス鋼製の容器に流し込んだ。
【0029】
ついで、ふたの上から、波長365nmの紫外線を2時間に亘って照射して光重合を進めて感温性高分子ゲルを合成した。これを実施例試料1とする。
脱イオン水90gに、N−イソプロピルアクリルアミド9.9gと合成スメクタイト3gを添加して成る溶液に、ベンゾインイソプロピルエーテル10mgをアクリル酸(水溶性ビニル系アニオンモノマー)0.1gに溶解させた溶液を添加したのち、更に水酸化ナトリウムを添加して中和し、ここに、100mL/minの流量で窒素ガスを2時間送入し、ついでガラス製のふたで密閉された前記ステンレス鋼製の容器に流し込んだ。
【0030】
ついで、ふたの上から、波長365nmの紫外線を2時間に亘って照射して光重合を進めた。得られた感温性高分子ゲルを実施例試料2とする。
合成スメクタイトの代わりに、エチレンビスアクリルアミドを架橋剤として用いたことを除いては実施例試料1の場合と同じ条件下で感温性高分子ゲルを合成した。これを比較例試料とする。
(試料の機械的強度、吸水速度)
以上、3種類の感温性高分子ゲルの性能を調査したところ、実施例試料1は、架橋密度が均一であり、そのため、全体は透明で、機械的強度は高く、そして吸水速度は4g/g-ゲル・hrであった。
【0031】
また、実施例試料2の場合は、その吸水速度が50g/g-ゲル・hrと著しく大きくなっていた。これは、明らかに、N−イソプロピルアクリルアミドの架橋時にアクリル酸(水溶性ビニル系アニオンモノマー)を共重合させたことの効果である。
一方、架橋剤として合成スメクタイトを使用していない比較例試料は、架橋密度が不均一であり、そのため、全体は白濁しており、少しの外力を加えても脆く崩壊してしまい、そして吸水速度も0.4g/g-ゲル・hrと極めて小さい値であった。
【0032】
ここで実施例試料1と比較例試料を対比すると、架橋剤として合成スメクタイトを使用することの有用性が明白である。そして、架橋剤として合成スメクタイトを使用した場合、実施例試料1と実施例試料2を対比して明らかなように、アクリルアミド誘導体に水溶性ビニル系アニオンモノマーを共重合させることの有用性が明白である。
(懸濁液の濃縮テスト)
実施例試料2を用いて次のようにして懸濁液の濃縮を行った。
【0033】
ケイ酸微粒子が濃度13%で懸濁する懸濁液300mLに、5g(乾燥重量として)の実施例試料2を添加して1時間放置したのち、実施例試料2の吸水量と懸濁液濃度を調べた。
吸水量は150mLであった。懸濁液は濃度26.0%に濃縮された。
実施例試料2を濃縮液から取り出し、温度60℃で30分間加熱して放水させたのち、上記と同じ濃縮処理に供したところ、その濃縮性能に変化は認められなかった。
【0034】
また、研磨剤微粒子が濃度6%で懸濁する懸濁液300mLに、3g(乾燥重量として)の実施例試料2を添加して1時間放置したのち、実施例試料2の吸水量と懸濁液濃度を調べた。
吸水量は150mLであった。懸濁液は濃度12.0%に濃縮された。
実施例試料2を濃縮液から取り出し、温度60℃で30分間加熱して放水させたのち、上記と同じ濃縮処理に供したところ、その濃縮性能に変化は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この吸水媒体は、架橋剤として層状粘土鉱物を用いて合成されているので、形態保持力が大きく、そのため、懸濁液に接触させても崩壊せず形態を保持することができるので繰り返しの使用が可能である。そして、相転移点以下の温度域で吸水し、相転移点以上の温度域で放水する性質を備えているので、懸濁液と接触させるだけで当該懸濁液の水分を吸水して濃縮させることができる。
【0036】
そのため、これを用いた懸濁液の濃縮方法は、従来の懸濁液の濃縮方法に比べて、熱的、機械的エネルギーの使用量は少なくなり、またランニングコストは大幅に低減されるので、工業的に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状粘土鉱物で架橋された高分子架橋体であり、相転移点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する感温性高分子ゲルを含むことを特徴とする吸水媒体。
【請求項2】
前記層状粘土鉱物が、スメクタイトである請求項1の吸水媒体。
【請求項3】
前記感温性高分子ゲルが、アクリルアミド誘導体およびメタクリルアミド誘導体から選ばれる1種または2種以上の高分子架橋体である請求項1または2の吸水媒体。
【請求項4】
前記感温性高分子ゲルが、N−イソプロピルアクリルアミドの単独またはこれを含む高分子架橋体である請求項3の吸水媒体。
【請求項5】
前記感温性高分子ゲルが、前記アクリルアミド誘導体またはメタクリルアミド誘導体から選ばれる1種または2種以上に、水溶性ビニル系ノニオンモノマーおよび/または水溶ビニル系アニオンモノマーを共重合させた高分子架橋体である請求項3または4の吸水媒体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の吸水媒体と懸濁液とを、前記吸水媒体の感温性高分子ゲルが親水性を示す温度域で接触させて前記懸濁液を濃縮することを特徴とする懸濁液の濃縮方法。

【公開番号】特開2006−95470(P2006−95470A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286787(P2004−286787)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】