説明

吸水装置

【課題】吸気部(例えばブロア)を容易に取り外すことができるように構成し、吸気部が故障した場合に、故障した吸気部のみを取り外して新たな吸気部と交換することができる吸水装置を提供する。
【解決手段】プラグ8を電源から抜いて、ねじを取り外して前蓋を外す。そして各カプラ61、63、65を取り外し、コード9をコード孔52から引き抜き、排水ホース25を排水口53から引き抜く。次に係止部37及び被係止部57による収容箱32の係止を解除する。取手36を把持し、前側にブロアユニット30を引っ張ることによって、接続パイプが接続口28から引き抜かれる。ブロアユニット30は、案内レール50に案内されて取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水又は温水に浸して冷却又は加熱された麺類から水分を吸引する吸水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類を供与する飲食店においては、麺類を水切かご(いわゆるテボ)に入れ、冷水又は温水に浸して冷却又は加熱し、テボを振って水切を行うことが多い。テボを振る作業は、腕への負担が大きく、腱鞘炎が発生することもある。近年では、作業者への負担を軽減させるべく、麺類の水切を行う水切装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
前記水切装置は、筐体の天面部に、底面に吸水孔を形成した凹型の吸水部を設け、該吸水部にテボを載置するようにしてある。吸水孔には通風路が連なっている。吸水部にテボが載置されたことが検知手段にて検知された場合に、ブロアで通風路の空気を吸引し、ブロワの吸引力でテボ内の麺類から水分を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−81102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブロワは、検知手段の検知結果に応じて、作動/停止を繰り返すため、消耗が激しく故障しやすい。従来の水切装置においては、ブロワが筐体内に一体的に固定してあっため、ブロワの故障時には装置全体を修理に出さざるを得ない。そのため修理時間が長期に及ぶ場合、水切装置無しで長期間の営業を強いられるという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、吸気部(例えばブロワ)を容易に取り外すことができるように構成し、吸気部が故障した場合に、故障した吸気部のみを取り外して新たな吸気部と交換することができる吸水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る吸水装置は、筐体と、該筐体の天面部に配置してあり、水を吸引する吸水孔を有する吸水部と、前記吸水孔に連なる通風路と、該通風路内の空気を吸引する吸気部と、前記吸水孔から吸引した水を排出する排水路とを備える吸水装置において、前記吸気部は前記通風路に着脱可能に接続してあることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、着脱時、例えば吸気部の故障時に、吸気部を通風路から取り外し、新たな吸気部と交換する。
【0009】
本発明に係る吸水装置は、着脱時に前記吸気部を前記通風路に案内する案内部を前記筐体内に設けてあることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、案内部の案内によって吸気部の取り外し及び取り付けを行い、吸気部と通風路との位置を整合させる。
【0011】
本発明に係る吸水装置は、前記天面部に開口を設けてあり、前記吸水部は前記開口内に配置され、前記開口の周囲はパッキンを介して前記吸水部に対向していることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、開口の周囲を、パッキンを介して吸水部に対向させることによって、吸水部と開口の周囲との隙間を埋めて、吸気部による吸引力を向上させる。また吸気部は制御装置からの指令によって駆動するが、停止指令の出力後、吸気部の吸引力は弱まり、パッキンの弾性復元力によって、吸水部又は開口の周囲とパッキンとの間に僅かな隙間が生じる。停止指令の出力後も、慣性力によって吸気部は駆動し続け、前述した隙間から、開口の周囲に残留した水が吸引される。
【0013】
本発明に係る吸水装置は、前記開口の周囲及び前記吸水部における前記周囲との対向部分は、前記パッキンが係合するパッキン溝をそれぞれ有することを特徴とする。
【0014】
本発明においては、各パッキン溝にパッキンを配置することによって、吸水部及び開口の周囲とパッキンとが密着しやすくなる。
【0015】
本発明に係る吸水装置は、前記吸気部の駆動を制御する制御装置と、前記吸気部の駆動を許可又は禁止するスイッチと、前記吸水部に物体が載置されたことを検出する検出器とを備え、前記制御装置は、前記スイッチにて前記吸気部の駆動が許可されており、且つ前記検出器にて物体が検出された場合に、前記吸気部を駆動させる手段と、前記スイッチにて前記吸気部の駆動が禁止された後、前記吸気部の駆動が許可された場合に、前記検出器による検出結果に拘わらず、前記吸気部を所定時間駆動させる手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、テボが吸水部に載置された場合に、吸気部を動作させてテボ内の麺類から水分を取り除く。また前記吸気部の駆動が禁止された後、前記吸気部の駆動が許可された場合に、テボが吸水部に載置されていなくても、初期動作として所定時間吸気部を駆動させ、吸水部又は通気路内に付着した水分を除去する。
【0017】
本発明に係る吸水装置は、前記制御装置は、前記スイッチにて前記吸気部の駆動が許可された後、前記吸気部の駆動が禁止された場合に、前記吸気部を停止させる前に、前記吸気部を所定時間駆動させる手段を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、前記吸気部の駆動が許可された後、前記吸気部の駆動が禁止された場合に、吸気部を所定時間駆動させて、吸気部内を乾燥させる。また吸水部又は通気路内に付着した水分を除去し、吸気部を停止させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にあっては、着脱時、例えば吸気部の故障時に、吸気部のみを通風路から取り外して、新たな吸気部と交換することができるので、吸水装置を短時間で修理し、直ちに作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】吸水装置を略示する外観斜視図である。
【図2】吸水装置を示す模式的縦断面図である。
【図3】吸水装置の天面部付近を示す模式的拡大縦断面図である。
【図4】前蓋を取り外してブロアユニットを取り出した状態を示す模式的斜視図である。
【図5】制御装置を略示するブロック図である。
【図6】制御装置による吸水処理を説明するフローチャートである。
【図7】制御装置による乾燥処理を説明するフローチャートである。
【図8】開口の周囲に残留した水が吸引される過程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明を、麺類の水切を主たる目的とした実施の形態に係る吸水装置を示す図面に基づいて詳述する。図1は吸水装置を略示する外観斜視図である。吸水装置は、縦長の直方体状をなすステンレス製の筐体1を備えている。該筐体1の天面部1aの中央部分に、上下に貫通した円形の開口3b(後述する図2参照)が設けてある。天面部1aには、その外縁部分から前記開口3bの付近まで緩斜面2が形成してある。
【0022】
また前記開口3bの縁に沿って、緩斜面2に連なる急斜面3が形成してある。なお緩斜面2及び急斜面3は、開口3b側を下向きにして傾斜している。前記開口3b内には、底面中央部に上下に貫通した吸水孔4bを有する漏斗状の吸水部4が、底面側から挿入してある。吸水部4は、吸水孔4bに連なり、下方に突出した突出管4cを有している。吸水部4の内周面は、テボ90を載置しやすいように滑らかな曲面に形成されている。吸水部4は平面視円形をなし、その外縁部分(上縁部分)は、急斜面3にて係止されている。吸水部4はステンレス鋼鈑からなり、例えば絞り加工によって成形される。なお麺類の水切を行う場合、利用者は、麺類を入れたテボ90を吸水部4に載置すればよい。筐体1及び吸水部4は、ステンレス製に限らない。例えば合成樹脂製であってもよい。
【0023】
筐体1の前面部の上部に、スイッチユニット10が、ねじ15によって前側から螺着してある。該スイッチユニット10は、ブロア31(後述する図2参照)をオン又はオフにする(ブロア31の駆動を許可又は禁止する)スイッチ11と、電源に接続された場合に点灯する主電源ランプ12と、スイッチ11がオンになった場合に点灯するスイッチランプ13と、センサ60(後述する図2参照)の検出結果に応じて点灯又は消灯するセンサランプ14とを備える。筐体1の前面部の下部は、矩形板状の前蓋5になっている。該前蓋5は、四隅にねじ7を取り付け、前側から螺着してある。
【0024】
筐体1の底面部からは、コード孔52(後述する図3参照)を介してコード9が延出している。該コード9の延出端部には、電源に接続されるプラグ8が設けてある。筐体1の底面部の四隅には、下方に突出した四つの支持脚6が設けてある。なお図1においては、三つの支持脚6が示されている。
【0025】
図2は吸水装置を示す模式的縦断面図、図3は吸水装置の天面部1a付近を示す模式的拡大縦断面図である。図3に示すように、吸水部4の上縁部分は、上側を底面にした断面円弧状をなす溝部(パッキン溝)4aとなっている。該溝部4aは、吸水部4の上縁部分において、全周に亘って形成されており、平面視円環状をなす。また図3に示すように、前記急斜面3において、開口3bの縁部分は下側を底面にした断面円弧状をなす溝部(パッキン溝)3aとなっている。該溝部3aは、開口3bの縁部分において、全周に亘って形成されており、平面視円環状をなす。両溝部3a、4aは上下に対向している。両溝部3a、4aには、弾性を有する円環形のパッキン81が係合している。該パッキン81は、両溝部3a、4aの内側の形状に倣った形状を有している。
【0026】
両溝部3a、4aにパッキン81を係合させることによって、両溝部3a、4aとパッキン81とを密着させやすくなる。またパッキン81を両溝部3a、4aの形状に倣う形状とすることによって、両溝部3a、4aに密着するパッキン81の表面積が大きくなる。
【0027】
図2に示すように、開口3bの下側には、吸水孔4bから流入した水を受ける水受槽20が設けてある。該水受槽20は有底円筒形をなし、開口3b側を上にして筐体1の天面部1aと一体になっている。水受槽20の近傍には、物体(例えばテボ90)が吸水部4に載置されたことを検出するセンサ60がねじ止めしてある。該センサ60は、例えばホールICを有する磁気センサと、物体が吸水部4に載置された場合に移動する移動機構と、該移動機構と連動して移動する磁石とを有し、磁石の移動によってホールICの電圧変化を検知するようにしてある。検知した電圧に応じて、物体が載置されたか否かを検出することができる。
【0028】
水受槽20の底面中央部は、前記突出部4cの下端部に接近している。水受槽20の底面には、水を排出する排水孔22が設けてあり、該排水孔22は水受槽20の側面近傍に位置している。排水孔22には、異物の流入を防止するために網21が設けてある。水受槽20の底面は、排水孔22側を下向きにして傾斜している。排水孔22には、上下に延びる排水管24が接続してあり、該排水管24の下端部には、蛇腹状の排水ホース25が接続してある。排水ホース25の下端部は、排水口53(後述する図4参照)に接続してある。吸水孔4bから吸い込まれた水は、排水孔22、排水管24、排水ホース25及び排水口53を介して、外部に排出される。
【0029】
前記水受槽20の上部側面には、吸気のための吸気孔23が設けてある。水受槽20の下方、筐体1底面の近傍に、吸気通路を有する吸気ボックス27が設けてある。該吸気ボックス27と前記吸気孔23とは、下向きに屈曲した逆L状の吸気パイプ26によって接続してある。吸気ボックス27の前部には、接続口28が設けてあり、該接続口28にはブロアユニット30が接続してある。なお前述したように、突出部4cの下端部は、水受槽20の底面中央部に接近しており、吸気孔23よりも排水孔22に近い。突出部4cから水受槽20に異物が侵入した場合に、異物は排水孔22に移動しやすくなり、吸気孔23及び吸気パイプ26などに異物が詰まることを防止することができる。
【0030】
ブロアユニット30は、吸気を行うブロア31と、該ブロア31を収容する収容箱32と、ブロア31の駆動を制御する制御装置33とを備えている。ブロア31は、モータ、該モータの回転軸に接続されたファン及びモータの駆動を行う駆動回路31a(後述する図5参照)を有し、制御装置33から駆動回路31aに駆動指令が出力され、モータが回転し、吸気が行われる。収容箱32は、前後に長く、上面が開放された矩形の箱体をなしている。収容箱32の前面には、前方に突出した取手36が設けてある。収容箱32には、ブロア31及び制御装置33が収容してある。
【0031】
制御装置33は、カプラ61及び各信号線62を介して、スイッチ11、スイッチランプ13及びセンサランプ14に接続してある。またカプラ63及び信号線64を介して、主電源ランプ12に接続してある。またカプラ65及び信号線66を介して、センサ60に接続してある。センサ60及びスイッチユニット10は、各別のカプラを介して制御装置33に接続してあるので、必要に応じてセンサ60又はスイッチユニット10を筐体1から取り外すことができる。例えばスイッチユニット10が故障した場合に、スイッチユニット10のみを取り外すことができる。
【0032】
ブロア31の後側には、排気通路を有する排気ボックス35が設けてあり、該排気ボックス35は収容箱32に収容してある。排気ボックス35には後方に突出した接続パイプ34が設けてある。該接続パイプ34の後端部は、前記接続口28に接続してある。排気ボックス35の底面には、排気のための貫通孔(図示せず)が設けてある。収容箱32の底面には、前記貫通孔に対向する貫通孔32aが設けてある。
【0033】
前記収容箱32の下側に、ゴム板40が設けてある。該ゴム板40には、前記貫通孔32aに対向する貫通孔40aが設けてある。ゴム板40は、ブロア31の振動を吸収する。ゴム板40は、筐体1の底面部に載置してある。筐体1の底面部には、前記ゴム板40の貫通孔40aに対向する排気口51が設けてある。ブロア31の駆動によって吸気孔23から水受槽20内の空気が吸引され、吸気パイプ26、吸気ボックス27、接続パイプ34、各貫通孔32a、40a及び排気口51を経由して、排出される。水受槽20内は負圧となるため、吸水部4に麺類を入れたテボ90が載置されている場合、吸水部4の吸水孔4bから麺類の水が吸引され、排水孔22から排出される。
【0034】
図4は前蓋5を取り外してブロアユニット30を取り出した状態を示す模式的斜視図である。図4に示すように、筐体1の底面部には、前記ゴム板40の左右に、前後に長く横断面形状がL状をなす二つの案内レール50、50が設けてある。各案内レール50、50は、収容箱32の左右寸法と略同じ距離、左右に離隔している。収容箱32は、両案内レール50、50の間に位置する。右側に位置する案内レール50は、その下部が左側に屈曲しており、左側に位置する案内レール50は、その下部が右側に屈曲している。案内レール50の下部における上下方向の厚みは、前記ゴム板40の上下方向の厚みよりも僅かに小さい。
【0035】
また筐体1の底面部において、左側のレールの左隣に上下に貫通したコード孔52が設けてある。なお該コード孔52には、グロメットを装着しても良い。両案内レール50、50の外側の側面には、後述する係止部37、37が係止する被係止部57、57がそれぞれ設けてある。図4に示すように、収容箱32の左右側面には、収容箱32を案内レール50に固定する係止部37、37が設けてある。係止部37及び被係止部57は、係止部37を被係止部57に係止させた場合に、収容箱32が下側に押圧されるように構成してある。そのため収容箱32はゴム板40に圧接し、ブロア31の振動はゴム板40の弾性力によって減衰される。筐体1の底面部において、右側のレールの右隣に上下に貫通した排水口53が設けてあり、該排水口53に前記排水ホース25が接続してある。
【0036】
ブロア31が故障した場合に、ブロアユニット30を取り出す作業は、以下のようにして行われる。まずプラグ8を電源から抜く。次にねじ7を取り外して前蓋5を外す。そして各カプラ61、63、65を取り外し、コード9をコード孔52から引き抜き、排水ホース25を排水口53から引き抜く。次に係止部37及び被係止部57による収容箱32の係止を解除する。取手36を把持し、前側にブロアユニット30を引っ張る。前記接続パイプ34は接続口28から引き抜かれる。ブロアユニット30は、案内レール50に案内されて取り出される。
【0037】
なおブロアユニット30を取り出す作業と逆の作業によって、新たなブロアユニット30又は修理したブロアユニット30を、接続口28に接続することができる。この場合においても、新たなブロアユニット30又は修理したブロアユニット30は、案内レール50によって接続口28まで案内され、短時間で接続される。また案内レール50によって、接続パイプ34と接続口28との左右の位置が整合する。
【0038】
図5は制御装置33を略示するブロック図である。制御装置33は、CPU33a(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶したROM33b(Read Only Memory)、一時的に情報を記憶するRAM33c(Random Access Memory)及びタイマ33dを備える。CPU33aは、RAM33cを作業領域として、ROM33bに記憶した制御プログラムを読出し、ブロア31の駆動を制御する。
【0039】
制御装置33には、入力インタフェース33eを介して、検出部から検出値が入力され、プラグ8から電力が供給される。またスイッチ11からオン/オフ信号が入力される。制御装置33からは、出力インタフェース33fを介して、主電源ランプ12、スイッチランプ13及びセンサランプ14に点灯又は消灯信号が出力される。またブロア31の駆動回路31aに駆動信号が出力される。制御装置33は、スイッチ11からオン信号が入力された場合(スイッチ11がオフからオンになった場合)に、吸水処理を実行する。利用者は吸水装置の使用を開始する場合に、スイッチ11をオフからオンにする。
【0040】
図6は制御装置33による吸水処理を説明するフローチャートである。なお吸水処理の実行前に、プラグ8は電源に接続されており、主電源ランプ12は点灯してるものとする。またセンサランプ14及びスイッチランプ13は消灯しているものとする。またスイッチ11はオフになっているものとする。
【0041】
CPU33aは、スイッチ11からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。スイッチ11からオン信号が入力された場合(ステップS1:YES)、CPU33aはスイッチランプ13に点灯信号を出力し(ステップS2)、駆動回路31aに駆動信号を出力する(ステップS3)。そしてタイマ33dを起動し、時間T1(例えば5〜10秒)が経過するまで待機する(ステップS4:NO)。
【0042】
ブロア31が時間T1駆動することによって、吸水部4に残留していた水分が除去される。例えばスイッチ11をオフにした後に、吸水装置の周囲で水を使用する作業を行い、吸水部4に水が付着したとしても、最初にスイッチ11をオンにしたときに、その水は確実に除去される。テボ90が吸水部4に載置されていなくても、初期動作としてブロア31が駆動するので、麺類に余分な水が付着することを防ぐことができる。
【0043】
時間T1が経過した場合(ステップS4:YES)、CPU33aは駆動回路31aに停止信号を出力し(ステップS5)、タイマ33dをリセットして(ステップS6)、時間T2(例えば0.001〜0.1秒)が経過するまで待機する(ステップS7:NO)。時間T2が経過した場合(ステップS7:YES)、CPU33aは、タイマ33dをリセットし(ステップS8)、センサ60からの検出値を取り込んで物体が検出されたか否かを判定する(ステップS9)。物体が検出されていない場合(ステップS9:NO)、CPU33aは、センサランプ14に点灯信号を出力し(ステップS10)、ステップS9に処理を戻す。利用者は、物体(テボ90)を吸水部4に載せない状態で、センサランプ14を確認することによって、センサ60に異常が発生していないか確認することができる。センサランプ14が消灯している場合、センサ60に異常が発生し、センサ60から制御装置33に検出値が入力されていない可能性がある。
【0044】
物体が検出された場合(ステップS9:YES)、CPU33aは、センサランプ14に消灯信号を出力し(ステップS11)、駆動回路31aに駆動信号を出力して(ステップS12)、計時を開始する(ステップS13)。テボ90を吸水部4に載置している場合、センサ60がテボ90の存在を検出して駆動信号が出力される。そしてCPU33aは、物体が検出されたか否かを判定する(ステップS14)。物体が検出された場合(ステップS14:YES)、時間T3(例えば2〜7秒)が経過したか否かを判定する(ステップS15)。時間T3が経過していない場合(ステップS15:NO)、CPU33aはステップS14に処理を戻す。
【0045】
時間T3が経過した場合(ステップS15:YES)、CPU33aは、駆動回路31aに停止信号を出力し(ステップS16)、タイマ33dをリセットして(ステップS17)、物体を検出したか否かを判定し(ステップS18)、物体を検出している間、待機する(ステップS18:YES)。物体を検出していない場合(ステップS18:NO)、CPU33aはステップS10へ処理を戻す。
【0046】
上述したように、テボ90を吸水部4に載置したまま時間T3が経過した場合、ブロア31は停止する(ステップS14〜S16参照)。またテボ90が吸水部4から取り外された場合に、センサランプ14は点灯する(ステップS18及びS10参照)。物体が検出されていない場合(ステップS14:NO)、CPU33aは、駆動回路31aに停止信号を出力し(ステップS19)、タイマ33dをリセットして(ステップS20)、ステップS7に処理を戻す。
【0047】
利用者は、吸水装置の使用を終了する場合に、スイッチ11をオンからオフにする。制御装置33は、スイッチ11からオフ信号が入力された場合に、乾燥処理を実行する。図7は制御装置33による乾燥処理を説明するフローチャートである。なお乾燥処理の実行前において、スイッチ11はオンになっているものとする。
【0048】
CPU33aは、スイッチ11からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS31:NO)。スイッチ11からオフ信号が入力された場合(ステップS31:YES)、CPU33aは、駆動回路31aに駆動信号を出力し(ステップS32)、時間T4(例えば300〜500秒)が経過するまで待機する(ステップS33:NO)。スイッチ11がオフになった場合に、センサ60の検出値に拘わらず、長時間ブロア31を駆動させるので、吸水部4に付着した水を確実に取り除き、吸水部4を乾燥させることができる。また吸気パイプ26、吸気ボックス27、接続パイプ34及び排気ボックス35に水が侵入していても、侵入した水を排気口51から排出し、乾燥させることができる。
【0049】
時間T4が経過した場合(ステップS33:YES)、CPU33aは、駆動回路31aに停止信号を出力する(ステップS34)。ブロア31は、前述したようにモータを有しており、モータの回転のための部品(例えばベアリング)を有している。スイッチ11がオフになった後に、長時間(時間T4)駆動させることによって前記部品が乾燥するので、停止している間にベアリングに錆が発生することを抑制することができる。そのためブロア31の長寿命化を図ることができる。また吸水部4及び吸気パイプ26などを乾燥させてから、ブロワは停止するので、吸水装置の衛生状態を良好に保つことができる。
【0050】
なお吸水部4の上縁部分に残留した水80は、停止信号の出力後に、水受槽20内に吸引される。図8は開口3bの周囲に残留した水80が吸引される過程を説明する説明図である。図8Aは開口3bの周囲に水80が残留している状態を示し、図8Bは水受槽20内に水80が吸引されている状態を示す。
【0051】
図8Aに示すように、ブロワ31が駆動している間は、ブロワ31の吸引力によって吸水部4が下側に引っ張られ、吸水部4及び急斜面3の溝部3aは、いずれもパッキン81に密着している。そのため開口3bの周囲及び吸水部4の上縁部分に水80が付着した場合に、水80は残留する。なお前述したように、パッキン81を両溝部3a、4aの形状に倣う形状とすることによって、両溝部3a、4aに密着するパッキン81の表面積は大きくなり、ブロワの吸引力は大きくなる。
【0052】
一方図8Bに示すように、駆動回路31aに停止信号が出力された場合、ブロワの吸引力は弱まり、パッキン81の弾性復元力によって、両溝部3a、4aとパッキン81との間に僅かな隙間70、70が生じる。停止信号の出力後も、ブロワは慣性力によって駆動し続けるため、図8Bの矢印にて示すように、開口3bの周囲及び吸水部4の上縁部分に残留した水80は、前記隙間70、70から水受槽20内に吸引される。そのため開口3bの周囲及び前記上縁部分を乾燥させることができる。
【0053】
実施の形態に係る吸水装置は、汚れの付きやすい吸水部4及びパッキン81を取り外し、洗浄することができるので、衛生状態を良好に保ちやすい。またブロアユニット30、センサ60及びスイッチユニット10を取り外した場合には、電装部品が完全に取り除かれるので、吸水装置全体を丸洗いすることが可能になる。
【0054】
なおセンサ60は、以下のように光学センサによって構成されていも良い。急斜面3において、対向する2箇所に、PET(Polyethylene Terephthalate)などからなる透光性を有する窓部をそれぞれ設ける。筐体1内において、各窓部に対向させて発光部及び受光部を設ける。そして受光部での受光量が閾値よりも小さい場合に、物体が吸水部4に載置されたことを検出する。検出値は制御装置33に入力される。光学センサの場合、IH(Induction Heating)機器が吸水装置の周囲にあっても、電磁波による誤作動が起きない。
【0055】
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲に記載された事項及び特許請求の範囲の記載に基づいて定められる範囲内において種々変更した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 筐体
3 急斜面
3a 溝部(パッキン溝)
3b 開口
4 吸水部
4a 溝部(パッキン溝)
4b 吸水孔
11 スイッチ
20 水受槽(通風路、排水路)
24 排水管(排水路)
25 排水ホース(排水路)
26 吸気パイプ(通風路)
27 吸気ボックス(通風路)
31 ブロア(吸気部)
33 制御装置
34 接続パイプ(通風路)
35 排気ボックス(通風路)
50 案内レール
60 センサ(検出器)
81 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体の天面部に配置してあり、水を吸引する吸水孔を有する吸水部と、前記吸水孔に連なる通風路と、該通風路内の空気を吸引する吸気部と、前記吸水孔から吸引した水を排出する排水路とを備える吸水装置において、
前記吸気部は前記通風路に着脱可能に接続してあること
を特徴とする吸水装置。
【請求項2】
着脱時に前記吸気部を前記通風路に案内する案内部を前記筐体内に設けてあることを特徴とする請求項1に記載の吸水装置。
【請求項3】
前記天面部に開口を設けてあり、
前記吸水部は前記開口内に配置され、
前記開口の周囲はパッキンを介して前記吸水部に対向していること
を特徴とする請求項1又は2に記載の吸水装置。
【請求項4】
前記開口の周囲及び前記吸水部における前記周囲との対向部分は、前記パッキンが係合するパッキン溝をそれぞれ有すること
を特徴とする請求項3に記載の吸水装置。
【請求項5】
前記吸気部の駆動を制御する制御装置と、
前記吸気部の駆動を許可又は禁止するスイッチと、
前記吸水部に物体が載置されたことを検出する検出器とを備え、
前記制御装置は、
前記スイッチにて前記吸気部の駆動が許可されており、且つ前記検出器にて物体が検出された場合に、前記吸気部を駆動させる手段と、
前記スイッチにて前記吸気部の駆動が禁止された後、前記吸気部の駆動が許可された場合に、前記検出器による検出結果に拘わらず、前記吸気部を所定時間駆動させる手段と
を備えること
を特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の吸水装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記スイッチにて前記吸気部の駆動が許可された後、前記吸気部の駆動が禁止された場合に、前記吸気部を停止させる前に、前記吸気部を所定時間駆動させる手段を備えること
を特徴とする請求項5に記載の吸水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141085(P2012−141085A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293346(P2010−293346)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(509235523)
【Fターム(参考)】