説明

吸着剤前処理を利用した吸着型気体貯蔵及び計量分配システムの製造方法

【課題】高純度の計量分配用気体を提供する。
【解決手段】気体貯蔵及び計量分配システム10は、(i)計量分配容器内に保持され、続いて選択的に容器12から放出される可吸着計量分配用気体に、及び(ii)異質可吸着体に対する吸着親和性を有する物理的吸着剤16を保持するための計量分配容器12を有し、異質可吸着体が吸着している物理的吸着剤は、そこから異質可吸着体の少なくとも一部を脱着させるように処理される。処理済み吸着剤16は容器12内に充填され、計量分配用気体の容器12からの脱着及び放出による選択的計量分配が可能な高純度形態で、容器12が計量分配気体を含有するに、物理的吸着剤に吸着された計量分配用気体を保持している容器12が密封させるために、可吸着計量分配気体が容器12に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体成分を固体吸着媒体との吸着関係を保持し、計量分配過程にお
いて流体成分を脱着的に遊離させることにより、流体を容器又は貯蔵容器から選
択的に計量分配する貯蔵と計量分配システムの製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な工業プロセス及び応用において、信頼性の高いプロセス流体ソースの要
望がある。
【0003】
かかるプロセス及び応用分野には、半導体製造、イオン注入、フラットパネル
・ディスプレイ製造、医療介入及び治療、水処理、救急呼吸装置、溶接作業、液
体及び気体の宇宙配送などがある。
【0004】
1996年5月21日発行の、グレンM.トムとジェームズV.マクマナスの米国
特許第5,518,528号は、気体を貯蔵及び計量分配するための気体貯蔵及び
計量分配システムを開示する。前記トム他の特許に記載されている気体貯蔵及び
計量分配システムは、水素化物気体、ハロゲン化物気体、族V有機金属化合物等
の気体貯蔵及び計量分配用の吸着・脱着装置を備え、固相物理的吸着媒体を保持
し、また気体を容器に選択的に流出入させるため構成・配置した貯蔵と計量分配
用容器と、前記貯蔵と計量分配用容器に内部気体圧力で配置した固相物理的吸着
媒体と、前記固相物理的吸着媒体に物理的に吸着された吸着済み気体と、前記貯
蔵と計量分配用容器に気体流れと連通して連結された計量分配アセンブリーを含
む。
【0005】
脱離は計量分配される気体を熱脱着させるか、又は容器内容量と外部計量分配
部位との間に圧力差を付与、例えば、貯蔵と計量分配容器を真空状態にしたり計
量分配用気体を利用したい所望の部位に気体を噴出することによって達成される
。このような計量分配形態の結果、貯蔵と計量分配容器の内部気体圧力は大気圧
又はそれ以下の圧力に設定可能である。
【0006】
よって、前記トム他の特許に記載されている貯蔵と計量分配容器は、従来の高
圧ガス・シリンダと比べ、本技術分野において実質的な技術の進歩を具現化する
ものである。従来の高圧ガス・シリンダは、調節アセンブリーの破損や故障など
による漏れ及び気体の内部分解に伴うシリンダ内の急激な内部気体圧力の上昇に
よる破裂の危険性を有しており、シリンダの破裂又はシリンダから望まれない大
量の気体の放出が起こることが考えられる。
【0007】
前記トム他の特許に記載されている気体の貯蔵と計量分配容器は、担体吸着媒
体、例えばゼオライトや活性炭物資に貯蔵されている吸着済み気体を可逆的吸着
させることにより、その内部圧力を軽減している。
【0008】
前記トム他の特許に記載されている気体貯蔵及び計量分配システムの使用にお
いては、例えば、マイクロ電子デバイス構造の製造などを含む多数の最終用途に
おいて、貯蔵されている気体の計量分配を高純度で行うことが好ましい。
【0009】
多くの場合、この望まれる高純度の特徴を有する気体貯蔵及び計量分配システ
ムは、吸着剤に吸着的に保持されている余剰の、つまり「天然」の汚染物質によ
って妨害される。これは材料の吸着特性に起因するもので、ある程度までは市販
されているすべての吸着剤が有する特性であり、特定の吸着組成物、その製造方
法、貯蔵の過程、運送及び環境上の露出などにより異質の吸着可能種の範囲又は
濃度が変化する。
【0010】
よって、例えば、高純度で製造されたにもかかわらず、吸着剤は次の工程で大
気の水分及び外気、又は製造者から本来提供された吸着剤が入っている容器内の
ガス種に晒されることにより、それらの異質吸着体が吸着剤に吸着して、吸着剤
を汚染する。
【0011】
かかる条件下において、異質可吸着種を含む吸着剤が気体貯蔵及び計量分配容
器に充填され、計量分配用気体(例えば、容器に貯蔵されその後選択的に容器か
ら計量分配される気体)が吸着と充填のために吸着剤に導入されると、異質可吸
着体の存在により吸着剤の吸着容量が悪影響を受ける場合がある。さらに、後の
計量分配工程において当該異質可吸着体が脱着することで、異質可吸着体の存在
により計量分配される気体の純度が低減する結果となる。
【0012】
例えば、活性炭の吸着剤が気体貯蔵及び計量分配容器に採用され、吸着剤を保
持している容器がアルシンなどの水素化物気体で充填された場合(例えば、ヒ素
ドープされた半導体基盤を生成するためのイオン注入工程における後の計量分配
)、当初提供された活性炭の吸着剤/一酸化炭素のレベルが20-50ppmv、そし
てそれに相当する二酸化炭素のレベルが100ppmvを越えることに誘導されて、
計量分配されたアルシン気体は比較的高いレベルの一酸化炭素及び二酸化炭素の
不純物を含む場合がある。
【0013】
よって、このような異質可吸着体の不純物がもたらす問題を解決し、高いレベ
ルの不純物を含む気体のオンデマンド型計量分配を可能にするシステムを提供す
ることができれば、気体貯蔵及び計量分配システムの分野において実質的な技術
の進歩が具現化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
すなわち、本発明の目的の一つは、このような異質可吸着体の不純物がもたら
す問題を解決し、高純度気体の選択的計量分配を可能にする、前記トム他の特許
第5,518,528に記載されている一般的な気体貯蔵及び計量分配システムを提供す
ることである。
【0015】
本発明の他の目的及び効果は、次の開示と添付の特許請求の範囲からさらに十
分に明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(i)計量分配容器内に保持され続いて選択的に計量分配される可
吸着計量分配用気体に、及び(ii)着体に対する吸着親和性を有する物理的吸着
剤を保持するための計量分配容器を有する、気体貯蔵及び計量分配システムの製
造方法に関する。
【0017】
一つの形態において、本発明の方法は、
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着
体が吸着している物理的吸着剤を処理する工程と、
物理的吸着剤を前記容器に充填する工程と、
計量分配用気体を物理的吸着剤に物理的に吸着させるために物理的吸着剤を保
持している計量分配容器内に可吸着計量分配用気体を導入する工程と、
計量分配用気体の物理的吸着剤からの脱着により計量分配用気体が選択的に計
量分配可能及び容器から放出可能な状態で前記計量分配容器が計量分配用気体を
含有するように、物理的吸着剤に吸着された計量分配用気体を保持している計量
分配容器を密封する工程と、を具備することを特徴とする気体貯蔵及び計量分配
システムの製造方法である。
【0018】
この方法において、好ましくは、前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤
から脱着させる物理的吸着剤を処理する工程は、
(a) 異質可吸着体を熱的に脱着させるように物理的吸着剤を加熱する工程

(b) 異質可吸着体を物理的吸着剤から流れている非吸着気体に脱着させる
ように非可吸着気体を物理的吸着剤と接触させて流し込む工程、及び
(c) 異質可吸着体を物理的吸着剤から真空脱離させるように物理的吸着剤
を真空状態にする工程の少なくとも一つの工程を具備することを特徴とする。
【0019】
本発明の他の形態において、前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から
脱着させる物理的吸着剤を処理する工程は、上記(a) −(c)のうち二つの工程を
具備することを特徴とする。
【0020】
これらの工程は、特定の気体貯蔵及び計量分配容器の製造方法における最終用
途に必要又は望ましい組合せ、あるいは順列で実施されてもよい。
【0021】
好ましい形態において、本発明の方法は(1)前記異質可吸着体の少なくとも
一部を吸着剤から脱着させるように物理的吸着剤を処理する工程の開始から、(
2)計量分配用気体が選択的に計量分配可能な状態で前記計量分配容器が計量分
配用気体を含有するように、計量分配容器を密封する工程の終了までの期間中、
物理的吸着剤が大気ガス、最も好ましくは酸素及び水蒸気との接触から隔離され
ていることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の形態において、吸着剤として活性炭物質が使用される場合、好ま
しくは、異質可吸着体を物理的吸着剤から除去する処理は、計量分配用気体が選
択的に計量分配可能な状態で前記計量分配容器が計量分配用気体を含有するよう
に、計量分配容器が密封されるまで、前記吸着剤を650℃以上に加熱する工程
中及びその後も、吸着剤が酸素と水蒸気との接触から隔離されていることを特徴
とする。
【0023】
本発明の一般的な実施において、前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤
から脱着させるように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を前記容器
に充填する工程の前及び/又は後に行われてもよく、例えば、流れている不活性
気体のガス流で物理的吸着剤を加熱する予備充填工程、及び真空状態で容器内の
物理的吸着剤を加熱する事後充填工程を具備することを特徴とする。
【0024】
気体貯蔵及び計量分配システムの製造方法において使用される物理的吸着剤と
しては適当な種類でよく、例えば、アルミナ、シリカ、結晶性アルミノ珪酸塩、
マクロ網状ポリマー、珪藻土、炭素などが使用される。本発明の一般的な実施に
おいては、ビード活性炭吸着剤の使用が特に好ましい。
【0025】
採用される特定の吸着組成物、その製造方法、貯蔵の過程、運送及び環境上の
露出などにより、異質可吸着体は幅広い種類のものが考えられる。吸着剤上の好
ましくない吸着済み成分の気体種の具体例としては、水蒸気、酸素、水素、酸化
炭素、窒素、炭化水素、ハロゲン、及びこれらの組合せ、並びにこれら種を一つ
以上含有する組成物を含むが、これに限定されない。
【0026】
好ましい炭素吸着剤の場合、代表的な問題となる異質可吸着体は酸化炭素、す
なわち一酸化炭素と二酸化炭素を含む。
【0027】
好ましい形態において、ビード活性炭の状態で炭素が吸着剤であり、異質可吸
着体が一酸化炭素と二酸化炭素を含み、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%
のアルシン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填さ
れた場合に、20ppmv以下、好ましくは10ppmv以下、さらに好ましくは1ppmv
以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさ、及び/又は物理的吸着剤の重量
に基づく50重量%のアルシン気体で、圧力700トル及び22°Cの条件下で
物理的吸着剤が充填された場合に、50ppmv以下、好ましくは20ppmv以下、さ
らに好ましくは10ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせること
を特徴とする。
【0028】
他の好適な態様において、本発明の方法における前記異質可吸着体の少なくと
も一部を吸着剤から脱着させるように異質吸着体が吸着している物理的吸着剤を
処理する工程は、前記容器内に物理的吸着剤を充填する前に、異質吸着体の脱着
の達成に十分な時間、物理的吸着剤を約300℃乃至約800℃まで加熱する工
程を備えることを特徴とする。
【0029】
この加熱する工程において不活性気体、例えばヘリウムが物理的吸着剤と接触
するように流し込まれてもよく、容器に充填された物理的吸着剤に対して、物理
的吸着剤を加熱する工程及び/又は物理的吸着剤を真空状態にする工程を行って
もよい。
【0030】
気体貯蔵及び計量分配容器内の処理済の物理的吸着剤に導入される可吸着計量
分配用気体は、処理済の吸着剤が適応する吸着親和性を有する適切な種類であれ
ばよく、例えば、シラン、ジボラン、アルシン、ホスフィン、塩素、BCl3、BF3
、B2D6、タングステン六フッ化物、(CH3Sb、フッ化水素、塩化水素、GeF4
、SiF、重水素水素化物、ヨウ化水素、臭化水素、ゲルマン、アンモニア、ス
チビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、及びNF3からなる群より選ば
れる気体などが含まれる。
【0031】
一つの特定の実施例において、本発明は(i)計量分配容器内に保持され続い
て選択的に計量分配される可吸着計量分配用気体に、及び(ii)異質可吸着体に
対する吸着親和性を有するビード活性炭物理的吸着剤を保持するための計量分配
容器を有し、
物理的吸着剤を第一温度範囲の約300℃乃至約800℃まで加熱し、第一温
度範囲を約1〜15時間維持し、及び前記加熱中に不活性気体を物理的吸着剤に
接触するように流し込む工程を具備する、前記異質可吸着体の少なくとも一部を
吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的吸着剤を処理す
る工程と、
物理的吸着剤を前記容器に充填する工程と、
前記容器内の物理的吸着剤を第二温度範囲の約100℃乃至約250℃まで加
熱し、第二温度範囲を約1〜10時間維持し、前記加熱中に容器内の物理的吸着
剤を真空状態にする工程と、
物理的吸着剤を第二温度範囲以下に冷却する工程と、
計量分配用気体を物理的吸着剤に物理的に吸着させるために物理的吸着剤を保
持している計量分配容器内に可吸着計量分配用気体を導入する工程と、
計量分配用気体の物理的吸着剤からの脱着により計量分配用気体が選択的に計
量分配可能及び容器から放出可能な状態で前記計量分配容器が計量分配用気体を
含有するように、物理的吸着剤に吸着された計量分配用気体を保持している計量
分配容器を密封する工程と、を具備することを特徴とする気体貯蔵及び計量分配
システムの製造方法に関する。
【0032】
当該実施例における方法は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシ
ン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合
に、1ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさ、1ppmv以下の二酸化
炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴とする。
【0033】
本発明の他の態様、特徴及び実施例は続く開示と添付の特許請求の範囲からさ
らに十分に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1図は、本発明の実施例1による貯蔵と送出システムの概略図である。
【図2】第2図は、実施例1による本発明の方法を実施する処理システムの概略図である。
【図3】第3図は、特定の工程を反映する本発明による方法の概略フローチャートである。
【図4】第4図は、650℃以上に加熱した場合に、酸素を含む族の吸着剤から脱着減少を示す、活性炭吸着剤用の熱重量分析(TGA)の図表示である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
下記の米国特許及び米国特許出願の開示は、本明細書において参考のため、す
べて援用される。
1996年5月21日発行のグレンM.トム他(Glenn M. Tom, et al.)の米国特
許第5,518,528号、1998年1月6日発行のグレンM.トム他(Glenn M.
Tom, et al.)の米国特許第5,704,967号、1998年1月6日発行のグレ
ンM.トム他(Glenn M. Tom, et al.)の米国特許第5,704,965号、1998
年1月13日発行のグレンM.トム他(Glenn M. Tom, et al.)の米国特許第5,7
07,424号、1997年10月14日発行のジェームズV.マクマナス(James
V. McManus)の米国特許第5,676,735号、1997年5月20日出願のグ
レンM.トム(Glenn M. Tom)の米国特許出願第08/859,172号、及び199
7年4月11日出願のグレンM.トム他(Glenn M. Tom, et al.)の米国特許出願第
08/809,019号。
【0036】
本発明は、未吸着気体の汚染及び製品ガス純度の減少をもたらす異質可吸着体
を含む吸着剤が、上記グレンM.トム他の米国特許第5,518,528号に記載さ
れている種類の気体の貯蔵と計量分配アセンブリーの製造方法の一部として処理
されることにより、その後の気体貯蔵及び計量分配システムの使用において、気
体貯蔵及び計量分配容器から当該異質可吸着体を効率的に除去し高純度の計量分
配作業を可能にする発見に基づいている。
【0037】
異質可吸着体は幅広い種類のものが考えられ、例えば、気体貯蔵及び計量分配
システムが使用する、その製造時に吸着剤上に存在している可吸着成分を含む。
異質可吸着体としては、空気、酸素、窒素、水蒸気、水素、一酸化炭素や二酸化
炭素などの酸化炭素、NxOyなどの酸化窒素、炭化水素、ハロゲン、及び周囲環境
種など、物理的吸着剤に接触・吸着可能な組成物が挙げられる。
【0038】
本発明の方法においては、吸着剤に保存され、後に当該吸着剤を保持している
貯蔵と計量分配容器から計量分配される気体に対する吸着剤の可吸着面積を多く
するために、物理的吸着剤は異質可吸着体を脱着するように処理される
【0039】
異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように物理的吸着剤を
処理する工程は、あらゆる好適な脱着技術の組合せが可能であり、例えば、(i)
物理的吸着剤を加熱してそこから異質可吸着体を熱的に脱着する工程、(ii)吸
着剤に対する吸着親和性が実質的にゼロの非活性気体又はその他の気体成分・種
などの非可吸着気体を物理的吸着剤に接触するように流し込み、異質吸着体を物
理的吸着剤から流れている非吸着気体に脱着させる工程、(iii)異質吸着体を
物理的吸着剤から真空脱離するために物理的吸着剤を真空状態にする工程、又は
これら脱着工程の組合せが可能である。
【0040】
通常、吸着剤から異質可吸着体を高レベルで除去するために、これら工程を一
つ以上行うことが好ましい。例えば、非可吸着気体を物理的吸着剤に接触するよ
うに流し込みながら同時に加熱することも可能である。
【0041】
あるいは、その加熱中に物理的吸着剤を真空状態にすることも可能である。
【0042】
異質可吸着体を吸着剤から脱離する工程は、気体貯蔵及び計量分配システムの
製造中に、物理的吸着剤を前記容器に充填する工程の前及び/又は後に行うこと
が可能である。
【0043】
例えば、場合によっては、物理的吸着剤を加熱してそこから異質可吸着体を熱
的に脱着し、同時に非可吸着気体を物理的吸着剤に接触するように流し込み、続
いて、吸着剤が当該加熱処理による高温から冷却されながら非活性気体層下又は
その他の非吸着状態で維持されることが好ましい。冷却後、吸着剤は気体貯蔵及
び計量分配容器に充填される。あるいは、かかる冷却工程を省略し、高温の吸着
剤を貯蔵と計量分配容器に充填して容器の壁が熱媒体として吸着剤の冷却効果を
もたらすようにすることも可能である。
【0044】
本発明の好ましい形態において、本発明の方法は(1)前記異質可吸着体の少
なくとも一部を吸着剤から脱着させるように物理的吸着剤を処理する工程の開始
から、(2)計量分配用気体が選択的に計量分配可能な状態で前記計量分配容器
が計量分配用気体を含有するように、計量分配容器を密封する工程の終了までの
期間中、物理的吸着剤が計量分配用気体以外の可吸着気体との接触から隔離され
ている。好ましくは、物理的吸着剤が酸素や水蒸気などの大気ガスとの接触から
隔離されている。
【0045】
吸着剤として活性炭物質が使用される場合、好ましくは、異質可吸着体を物理
的吸着剤から除去する処理は、計量分配用気体が選択的に計量分配可能な状態で
前記計量分配容器が計量分配用気体を含有するように、計量分配容器が密封され
るまで、前記吸着剤を650℃以上に加熱する工程中及びその後も、吸着剤が酸
素、水蒸気などとの接触から隔離されている。
【0046】
さらに、又はその代わりに、貯蔵と計量分配用に充填された吸着剤は、異質可
吸着体を除去するために加熱し、同時に容器の内容量を真空状態にしてもよい。
【0047】
もう一つの方法として、その後の気体貯蔵及び計量分配システムの使用におい
て、気体の貯蔵と計量分配容器からの当該異質可吸着体の除去を最大限にするた
めに、かかる予備充填及び事後充填工程の組合せを実行してもよい。
【0048】
吸着剤が処理され、貯蔵及び計量分配される気体が吸着剤に導入され物理的に
吸着された後、容器は従来の方法で密閉される。例えば、容器上にバルブヘッド
・アセンブリーを装着したり、あるいは容器をフロー・マニホールドやその他の
計量分配装置に連結してもよく、かかるマニホールドを選択的に作動させること
によって、吸着済みの製品ガス(以下、「計量分配用気体」という)の脱着を含
む、貯蔵と計量分配容器から気体のオンデマンド型計量分配が可能になる。
【0049】
計量分配用気体は、処理済の吸着剤が適応する吸着親和性を有する適切な種類
であればよく、例えば、シラン、ジボラン、アルシン、ホスフィン、塩素、BCl
、BF3、B2D6、タングステン六フッ化物、(CHSb、フッ化水素、塩化水
素、GeF4、SiF4、重水素水素化物、ヨウ化水素、臭化水素、ゲルマン、アンモニ
ア、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、及びNF3からなる群よ
り選ばれる気体などが含まれる。
【0050】
本発明の気体貯蔵及び計量分配システムは、気体を貯蔵と計量分配容器に貯蔵
し、そこから選択的に計量分配する便宜的な手段及び方法を提供するものであり
、当該容器を低圧に維持することにより、半導体業界において気体の貯蔵及び輸
送に標準装置として使用されてきた高圧ガス・シリンダーと比較して、技術の進
歩を具現化するものである。
【0051】
本明細書において使用する「低圧」という表現は、1気圧を実質的に越えない
圧力、例えば、圧力が≦1.25気圧、好ましくは圧力が≦1.0、もっとも好
ましくは圧力が約0.15乃至0.8気圧の範囲内である。
【0052】
本発明の貯蔵及び計量分配システムは、本発明の一般的な実施において、上記
の低圧範囲を超えるより高い圧力でも動作可能である。但し、かかる低圧貯蔵及
び計量分配システムは、例えば、イオン注入工程などの減圧において流体が採用
される場合に特に効果的である。このような最終用途において、本発明のシステ
ムは流体の貯蔵と計量分配を低圧で可能にする。
【0053】
かかる低圧動作により、本発明のシステムは、従来技術において利用されてい
る高圧流体容器に必要不可欠な工程を省くことができる。特に、有害ガスが関連
する場合、高圧容器の使用はガス漏れの危険性を伴い、作業員及び/又は財物に
危害が加えられる可能性を有する。一方、本発明の低圧システムにおいては、気
体はほぼ大気圧レベルで貯蔵され、素早く制御可能な状態で計量分配される。
【0054】
本発明の気体貯蔵及び計量分配システムは、吸着剤、例えば炭質の物理的吸着
剤に吸着されたアルシン、ホウ素三フッ化物、ゲルマンなどの計量分配される流
体を含む炭素密閉容器、例えばガス・シリンダーを備える。水素化物気体などの
気体を計量分配する場合、活性炭素の吸着剤や分子篩の吸着剤は吸着気体の蒸気
圧を1気圧に効率良く低減させる。
【0055】
本明細書において、本発明の物理的吸着剤の言及に使用する「炭質」という表
現は、吸着剤が吸着質量における主要成分として元素状態で存在する炭素を有し
ていることを意味する。
【0056】
好適な炭素吸着剤の態様として、ポリアクリロニトリルやスルホン化ポリス
チレン・ジビニルベンゼンなどの合成炭化水素樹脂の熱分解により成形される炭
素、セルロース系炭化物、木炭、及びココナツの殻、ピッチ、木材、石油、石炭
などの自然源素材により成形される活性炭などが含まれる。
【0057】
活性炭、つまり適当な高温まで加熱された粒状の木炭により生成される高吸着
性を有する炭素が好適な炭素吸着剤として使用される。もっとも好ましくは、俗
にいうビード炭素の活性炭が使用され、極めて均一な直径を有する球状の粒子で
あるビードは、約0.1乃至1センチ、好ましくは約0.25乃至2ミリの範囲
内の直径を有する。
【0058】
本発明の一般的な実施において好適に使用される市販の炭素吸着剤としては、
ニューヨーク州、ニューヨークの米国クレハ・コーポレーション(Kreha Corpora
tion of America)が市販しているBAC-MP、BAC-LP、及びBAC-G-70Rと指定されて
いるビード炭素材、ペンシルベニア州、フィラデルフィアのローム&ハ‐ス・カ
ンパニー(Rohm & Haas Company)が市販しているアンバーソーブ(登録商標)(A
mbersorb®)563、アンバーソーブ(Ambersorb®)564、アンバーソーブ
(Ambersorb®)348F、アンバーソーブ(Ambersorb®)575、アンバーソ
ーブ(Ambersorb®)572、アンバーソーブ(Ambersorb®)1500、などの
アンバーソーブ(Ambersorb®)炭質の吸着剤、ガルゴン・カーボン・コーポレ
ーション(Calgon Carbon Corporation)が市販しているカルゴン・フィルトラソ
ーブ400(登録商標)(Calgon Filtrasorb 400®)及びBPL GACの炭素吸着剤、
及びドイツのBlucher GmbH, Erkrath社が市販しているビード活性炭吸着剤など
がある。上記アンバーソーブの素材は通常50オングストロームより実質的に大
きい気孔容積を有しており、このような大きい気孔容積を有する素材よりも、約
40オングストロームを越えない気孔を有する素材のほうが好ましい。
【0059】
本発明の貯蔵及び計量分配システムに使用される吸着剤は、最終用途及び関連
する特定の吸着済み流体種に適切な大きさ、形状及び配座であればよい。吸着剤
は、例えば、ビード、顆粒 、ペレット、タブレット、パウダー、粒子、粒流物
、布又は織物素材、蜂の巣状のマトリクス・モノリス、炭素吸着剤とその他の成
分の合成物、又は上記配座が細分あるいは粉砕された形状のものを含む。
【0060】
集合的に、本発明の貯蔵と送出システムは、通常のガス・シリンダーと、シリ
ンダーに連結されるシリンダー・バルブ又はその他の流量計量分配アセンブリー
(レギュレーター、モニター、センサー、流量案内手段、圧力コントローラー、
質量流量コントローラー、配管、バルブ、計測器、自動起動・停止装置、など)
を有効に有し、シリンダーが吸着剤を保持しており、シリンダーが1気圧になる
ように水素化物気体などの計量分配用気体が充填される。
【0061】
貯蔵及び計量分配システムの容器内容量の圧力と、吸着剤を含む容器の外部の
低い圧力の圧力差を活用することにより、圧力差脱着による本発明の貯蔵及び計
量分配システムからの流体を容易に流すことができる。
【0062】
例えば、吸着剤を含む容器は、イオン注入工程の使用において、ホスフィンな
どの試薬ガスを、例えば600トルの減圧で保持することができる。リンを含む
成分を注入するためのイオン注入室は真空状態、あるいは貯蔵と計量分配容器の
内容量圧力より低い、例えば100トル以下の低圧で維持される。この結果、イ
オン注入室と、吸着済みホスフィン気体を含む貯蔵と計量分配容器間のガスフロ
ー・コミュニケーションが確立されていれば、ホスフィン気体は吸着剤から脱離
してイオン注入室へ流れることになる。よって、貯蔵と計量分配システムはホス
フィン気体の流れを接続された配管、バルブ及び計測器に通し、所望の流量で容
易にコントロールできる。質量流量コントローラーなどの装置を活用すれば、継
続的な計量分配により吸着容器の圧力は低下するので一定の流量が確保できる。
【0063】
さらに、又はその代わりに、本発明の貯蔵及び計量分配システムの気体計量分
配アセンブリーは物理的吸着剤を加熱してそこから異質可吸着体を熱的に脱着さ
せる手段を具備してもよい。かかる加熱手段として、吸着媒体から吸着剤を熱脱
着させるために吸着剤の加熱に作用的に関連している適当な熱伝達又は熱変換装
置、機構又は器材などを挙げることができる。よって、本発明は吸着剤に貯蔵さ
れている吸着済み流体を熱及び/又は圧力を介して計量分配することを目指す。
【0064】
本発明の実施において使用される特定の吸着剤、それらの気孔の寸法、気孔容
積、及び表面積特性は、本発明の一般的な実施において幅広く応用できる。当該
分野の技術者は、水銀有孔性技術や特定の吸着剤候補に貯蔵されそこから計量分
配される特定の流体に関する親和性の研究により、本発明の貯蔵と計量分配シス
テムの最終用途に適切な吸着特性を容易に判断できる。
【0065】
本発明の貯蔵と計量分配システムの製造において、容器によって後に実行され
る貯蔵と計量分配工程に悪影響を与える可能性を有する、容器の壁内に存在する
外部ガス発生種を含むいかなる汚染物質又は種の非存在をも確保するために、必
要であれば貯蔵と計量分配容器は消毒される。この目的のために、容器及びその
内面を焼成、溶剤脱脂、あるいはその他の消毒や処理工程を行い、後に充填され
る吸着剤のために適当に消毒された容器を提供することが好ましい。
【0066】
続いて、吸着剤は、異質可吸着体を吸着剤から除去する本発明の方法に従い処
理され、計量分配用気体を前処理を行った吸着剤と共に容器に注入することによ
り、吸着剤は吸着され後に計量分配されるべき気体と共に充填される。
【0067】
注入工程の間は、処理管理の目的上、計量分配用気体の温度と共に、容器と吸
着剤の温度を個別に観測することができる。注入工程の終点を判断するために圧
力も観測される。
【0068】
温度作用が周囲環境又は熱伝達媒体に少なくとも部分的に分散されるように、
計量分配用気体を容器に段階的に注入し、システムの平衡をもたらすことが好ま
しい。
【0069】
あるいは、容器を特定の圧力まで注入し、吸着ベッド及びそれに伴う容器の最
終温度と圧力条件まで容器を冷却することが好ましい。
【0070】
よって、計量分配用気体の線量注入や連続的な注入は、容器内に計量分配用気
体を導入して内部の吸着剤による吸着のために実行される。注入手順に続き、容
器は、注入マニホールドから取り外された後、計量分配が行われる場所で配管、
連結及び計量分配回路構成に接続されて使用できるように出荷、保存又は準備さ
れる。
【0071】
本発明の貯蔵と計量分配システムの装置及び方法は、可吸着気体の貯蔵及び計
量分配に現在使用されている高圧力ガス・シリンダーに代わる安全性が大幅に向
上した選択肢を提供する。本発明は、0psigで可吸着気体をシリンダーから他の
容器への移動、貯蔵及び送出を可能にする。計量分配用気体は、吸着剤の気孔、
表面及びミクロ・キャビティに物理的に吸着しており、これによって貯蔵及び計
量分配用気体の圧力を大幅に低減させている。
【0072】
計量分配工程において、吸着剤に対する低温度での加熱、俗にいう熱促進送出
により、500sccm以上の流速が容易に達成できるように脱着気体の送出率
を増加することが可能である。しかし、吸着容器と外部計量分配部位の減圧との
圧力差だけで、高率の気体送出は断熱的工程(負過状態の吸着剤に熱や熱エネル
ギーなどの補足的投入を行わない状態)で達成できる。外部の計量分配部位とは
、例えば、イオン注入室、分子線エピタキシャル成長法装置、又はCVD反応装置
などの半導体又はその他の工業プロセスや製造工程施設などである。
【0073】
気体の貯蔵及び計量分配装置は単一装置の形態、例えば、ガス・キャビネット
に本発明の貯蔵及び計量分配システムを一つ以上配置する形態で容易に提供され
る。このような複数の吸着容器を有するガス・キャビネットにおいては、各容器
をマニホールドして、一つ以上の容器から可吸着気体を選択的に送出することも
可能である。かかるキャビネットは、その使用において、容器及び/又はガスキ
ャビネットの内部部品の過熱を防ぐために、個別の熱電対あるいはその他の温度
センサー・観測装置及び部品を備えることができる。
【0074】
かかるガス源キャビネットはさらに、容器と内部の吸着剤に対する加熱の選択
的増加用の可溶性連結加熱要素、スプリンクラー装置、排熱センサー、有毒ガス
を感知すると装置を停止する有毒ガス・モニター、気体洗浄装置又は大量吸着装
置、及び余剰圧力・温度調整手段を備えてもよい。このような貯蔵と送出システ
ム装置において、15psigの圧力で500sccmの気体送出速度は容易に達成でき
る。
【0075】
以下、図面を参照する。第図は、本発明の実施例1による気体の貯蔵と計量分
配システム10の概略図である。
【0076】
気体の貯蔵と計量分配システム10は、気体の貯蔵と計量分配容器12を備え
、これは内容量を囲む円筒型壁14を有する従来のガス・シリンダーの形状であ
ってもよい。
【0077】
容器12の内容量には物理的吸着剤16、例えば分子篩素材又はビード活性炭
素材、あるいはその他の適切な吸着媒体が配置される。吸着剤は通常細粒状、例
えばペレット、ビード、顆粒などで採用され、標準的な有孔性(例えばBrunnaue
r-Emmit-Teller)の方法により観測される、広範囲の表面積を有する吸着剤のベ
ッドを提供する。
【0078】
図中に示すとおり、細長い形状の気体の貯蔵と計量分配容器12は、バルブ
ヘッド・アセンブリー20が接合された頸状部18を有しており、本実施例にお
いては、単一ブロック・バルブ本体24を含み、バルブ本体のバルブの手動開閉
用のハンドル26が当該バルブ本体に連結されている。バルブ本体24は、バル
ブ本体24のバルブを開くためにハンドル26が回されると、吸着剤から脱離さ
れた気体を気体の貯蔵と計量分配容器内に計量分配するため、例えば、VCRコ
ネクターなどのカップリング26を備えている。
【0079】
このような構成において、下流の計量分配部位の外部圧力が容器12の内容量
の気圧より低い場合、例えば、下流のイオナイザーが非常に低い圧力条件にある
イオン注入工程に応用される場合、気体は気体の貯蔵と計量分配容器から放出さ
れる。
【0080】
もう一つの方法として、カップリング26は、気体の貯蔵と計量分配容器12
をマニホールド又は流体回路に接合することも可能であり、かかる流量回路は、
容器12内の吸着剤ベッドから吸着可能な気体を脱離するポンプ、送風機、排出
装置、エダクター、圧縮機、ファン、クライオポンプ、圧力増加回路、又はその
他の流体圧縮機を備える。
【0081】
さらに別の方法として、容器内の吸着剤から可吸着気体を熱脱離着させるため
に、容器12又は内部の吸着剤を直接的にあるいは間接的に加熱してもよい。例
えば、容器12を図示しない加熱ジャケット内に配置してもよく、又、同様に図
示しない加熱コイルを容器内の吸着ベッド全体に配置してもよい。
【0082】
よって、第1図に示すシステム10によれば、容器から計量分配用気体を送出
するために、あらゆる適当な計量分配様式(圧力差及び/又は加熱による脱離)
で、容器12内の物理的吸着剤からの可吸着気体の選択的な計量分配が可能にな
る。
【0083】
第2図は、異質可吸着体を吸着剤から脱着させるための、本発明の方法に従い
物理的吸着剤を処理する吸着処理システムの概略図である。
【0084】
第2図に示すシステムは、流動制御バルブ66を内臓する不活性気体供給ライ
ン64に接続され、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、窒素などの不活性気体を
含む容器などの不活性気体供給源50を有する。不活性気体供給ライン64は、
処理される吸着剤の容器60とフロー・リレーションシップで接続されている。
【0085】
容器60は、例えば、完成された気体の貯蔵と計量分配システムを提供するた
めに、後に可吸着気体を充填され密閉される気体貯蔵及び計量分配容器であって
もよく、又、製品ガスの貯蔵と計量分配システムの気体の貯蔵と計量分配容器へ
処理済の吸着剤が移送される別の容器を備えてもよい。
【0086】
第2図に示すシステムにおいては、容器60は加熱炉62内に配置され、かか
る加熱炉は吸着剤から異質か吸着体を熱脱着させるために容器60とその吸着剤
を予め定められた温度まで加熱するように構成・準備されている。加熱炉は従来
の方法で構成されてもよく、例えば、容器60とその内容物を約100℃乃至約
1500℃の範囲内の温度まで選択的に加熱するように準備されてもよい。
【0087】
容器60には、不活性気体の流れを供給するために、処理システムから不活性
気体を放出するための流動制御バルブ70を有する不活性気体排出ライン68が
さらに接続されている。
【0088】
不活性気体放出ライン68は、内部に流動制御バルブ74を内臓し、真空ポン
プに接合された真空ライン72が接続されている。
【0089】
以下、本発明の吸着処理工程を具体的な実施例として第2図に示される吸着剤
処理システム及び第3図に示される処理工程のフローチャートを参照しながら説
明する。
【0090】
この具体的な工程は計量分配容器60(第3図のステップ100)を提供し、
この容器に充填される(第3図のステップ105)吸着剤を提供する(第3図の
ステップ102)を実行することにより達成される。
【0091】
吸着剤は、容器に充填される前及び/又は後に処理されてもよい(第3図のス
テップ103及び104)。この具体的実施例では、容器60は加熱炉内に位置
しており、加熱炉を作動することによって容器は加熱される。同時に、流動制御
バルブ66は、不活性気体を供給源50からライン64を通じて容器60に流し、
そこからライン68に放出するために開放され、バルブ70は、不活性気体及び
加熱された吸着剤から脱着されたその他の混入異質可吸着体の流れを供給するた
めに開放される。不活性気体の加熱及び流れは、異質可吸着体とその流出物の放
出ライン68のシステムからの脱着を可能にする。
【0092】
この作業においてバルブ74は閉まっている。不活性気体の加熱及び流動の終
了後、バルブ66及び77は閉鎖され、加熱炉は停止されるか、あるいは次のス
テップにおいてより低い温度状態で選択的に維持される。
【0093】
次に、バルブ74は開放され、真空ポンプ52は作動し、容器60内の吸着剤
に残っている異質可吸着体の真空脱着を実行する。これは加熱炉62の加熱によ
り選択的に補強されてもよい。
【0094】
この結果、異質可吸着体の内容物が実質的に低減された吸着剤を含む容器が生
成される。
【0095】
続いて、吸着剤を保持している容器に計量分配用気体が注入され(第3図のス
テップ106)、計量分配用気体は吸着剤に吸着され、後の計量分配作業のため
に保持される。
【0096】
最後に、負過状態の計量分配用気体と吸着剤を保持している容器は密閉される
(第3図のステップ107)。この密閉作業は、気体の貯蔵と計量分配システム
の後の使用に備えるために、機械的な工程、例えばバルブの閉鎖、又は容器の流
体隔離、あるいはバルブヘッド・アセンブリー、プラグ、蓋もしくはその他の密
閉部品の取付けが行われる。密閉作業は、本発明における特定の気体貯蔵及び計
量分配システムに製造に適切あるいは望ましく、真空状態又は不活性気体環境に
おいて実行可能である。
【0097】
本発明の実施における吸着剤の前処理において、異質可吸着体が一酸化炭素を
含み、異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質吸可着
体が吸着している物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤の重量に基づく
50重量%のアルシン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着
剤が充填された場合に、20ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさ
せるように有効的に実行される。
【0098】
同様に、異質可吸着体が二酸化炭素を含み、異質可吸着体の少なくとも一部を
吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的吸着剤を処理す
る工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシン気体で、圧力70
0トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合に、50ppmv以下の
二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせるように有効的に実行される。
【0099】
異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が
吸着している物理的吸着剤を処理する工程は、前記容器内に物理的吸着剤を充填
する前に、異質可吸着体の脱着の達成に十分な時間、物理的吸着剤を約300乃
至約800℃まで加熱する工程を適当に具備してももよく、さらに選択的に、物
理的吸着剤の加熱中に不活性気体、例えばヘリウムを物理的吸着剤に接触するよ
うに流し込むこともできる。
【0100】
第4図は、650℃以上に加熱した場合に、酸素を含む族の吸着剤から脱着減
少を示す、活性炭吸着剤用の熱重量分析(TGA)の図表示である。図中のTGA
スペクトルはアルゴン雰囲気におけるビード活性炭素材で得たものである。重量
減少曲線が示すとおり、約100℃までの温度にある素材の重量は、水蒸気の段
階的な脱着により減少する。その後は、温度が上昇するにつれて、約650℃の
温度までは吸着剤の重量は基本的に一定である。650℃を超える温度では、CO
やCO2などの酸素系族が吸着剤から脱着・除去されることによって重量減少が大
幅に増加する。
【0101】
よって、計量分配用気体の高純度を達成するには、吸着剤上に残余の異質可吸
着体が残っている場合、加熱作業の温度が重量減少変更ゼロになる時点を大幅に
超えることを確保することが重要である。最初の重量減少(100℃までの温度
)及びその後の温度上昇に伴う不変(600℃まで)に基づき、吸着剤からすべ
ての異質可吸着体が除去されたと推測可能であるが、それにもかかわらず、吸着
剤から残余の異質可吸着体を除去するために、十分な時間と範囲において650
℃を超えて加熱し続けることによって計量分配用気体の純度は顕著に向上する。
【0102】
このような高温加熱において、吸着剤に溶着し、後の貯蔵と計量分配容器の作
業における吸着剤(及び計量分配用気体)を汚染するような可吸着成分が存在し
ない周囲環境を維持することが重要である。
【0103】
本発明の気体貯蔵及び計量分配システムの製造方法における特に好ましい実施
例においては、(i)計量分配容器内に保持され続いて選択的に計量分配される
可吸着計量分配用気体に、及び(ii)異質吸着体に対する吸着親和性を有するビ
ード活性炭物理的吸着剤を保持するための計量分配容器を有し、
物理的吸着剤を第一温度範囲の約300乃至約800℃まで加熱し、第一温度
範囲を約1〜15時間維持し、及び前記加熱中に不活性気体を物理的吸着剤に接
触するように流し込む工程を備える、前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着
剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的吸着剤を処理する工
程と、
物理的吸着剤を前記容器に充填する工程と、
前記容器内の物理的吸着剤を第二温度範囲の約100℃乃至約250℃まで加
熱し、第二温度範囲を約1〜10時間維持し、前記加熱中に容器内の物理的吸着
剤を真空状態にする工程と、
物理的吸着剤を第二温度範囲以下に冷却する工程と、
計量分配用気体を物理的吸着剤に物理的に吸着させるために物理的吸着剤を保
持している計量分配容器内に可吸着計量分配用気体を導入する工程と、
計量分配用気体の物理的吸着剤からの脱離により計量分配用気体が選択的に計
量分配可能及び容器から放出可能な状態で前記計量分配容器が計量分配用気体を
含有するように、物理的吸着剤に吸着された計量分配用気体を保持している計量
分配容器を密封する工程と、を具備することを特徴とする。
【0104】
このような製造方法は、異質可吸着体が一酸化炭素を含み、物理的吸着剤の重
量に基づく50重量%のアルシン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で
物理的吸着剤が充填された場合に、20ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン
内で生じさせ、異質吸着体が二酸化炭素を含み、物理的吸着剤の重量に基づく5
0重量%のアルシン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤
が充填された場合に、50ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせ
るように実行される。
【0105】
具体例として、異質可吸着体が一酸化炭素と二酸化炭素を含む場合、本発明に
従い物理的吸着剤を効率的に処理することにより異質可吸着体を脱着させ、物理
的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシン気体で、圧力700トル及び22
℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合に、1ppmv以下の一酸化炭素レベル
をアルシン内で生じさ、10ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさ
せる処理済吸着剤をもたらすことが可能である。
【0106】
本発明の特徴及び効果は限定されない実施例からさらに十分に明白になるであ
ろう。
【0107】
実施例I
ステンレスの試料シリンダー内に多量のクレハBAC活性炭素材(ニューヨーク
州、ニューヨークのクレハ・コーポレーション)を充填し、それを第2図に概略
的に示す構成を有する処理システムの加熱炉内に入れた。処理システムの加熱炉
は、加熱炉処理後に行われる処理用のグローブ・ボックスに連結されている。
【0108】
ヘリウムが流れている環境下で吸着剤を300乃至800℃で12時間前処理
した後、吸着剤は不活性環境下で貯蔵と計量分配容器(気体容器)内に注入され
、続いて真空状態で5時間の脱気作業を150℃で行った。次に、アルシン気体
を圧力700トル及び22℃の条件下になるように容器に充填した。
【0109】
アルシンの充填は、吸着剤の原重量に基づき50重量%であり、これは別の容
器内においていかなる前処理も行われていない吸着剤の対応するバッチに同時に
加えられる充填と同じである。
【0110】
アルシン気体は両方の容器から計量分配され、個別に放出イオン化検出器(D
ID)が装備されている気体クロマトグラフの中を通るように流された。下記表
Aに示すとおり、未処理の吸着剤を含む制御容器からのアルシン気体に比べて、
前処理が行われた吸着剤を含む容器からのアルシン気体内のCO及びCO2のレベル
は大幅に低減された。
【0111】
【表1】

上記分析において、GC−DIDの検出感度はCOで0.05ppmv、CO
で0.02ppmvであった。
【0112】
前処理された吸着剤が加熱炉から物理的に分離されているグローブ・ボックス
に移送された対応試験においては、加熱炉とグローブ・ボックス間の外気接触に
より、吸着剤は大量のCOを吸着し、表Aの前処理吸着剤サンプルと同様の加
工及び処理状況下にありながらも、CO濃度は4.9ppmvであった。この
外気に露出された素材は、(外気露出から隔離された)表Aの前処理吸着剤のC
濃度よりも37倍以上のCO濃度を示した。
【0113】
本発明は各種の具体例、特徴及び実施例を参照して開示及び説明されたが、本
発明の応用はこれらに限定されるものではなく、当該分野の技術者が容易に想像
できるその他の多数の変更例、変形例及び実施例の範囲に及び、かつ、包含する
ものである。よって、本明細書に開示される発明は、特許請求の精神と範囲内に
おいて他のすべての変更例、変形例及び実施例を包含するように幅広く検討及び
解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)計量分配容器内に保持され、続いて選択的に放出され
る可吸着計量分配用気体に、及び(ii)異質可吸着体に対する吸着親和性を有す
る物理的吸着剤を保持するための計量分配容器を有する気体貯蔵及び計量分配シ
ステムの製造方法であって、
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように、異質可吸
着体が吸着している物理的吸着剤を処理する工程と、
物理的吸着剤を前記容器に充填する工程と、
計量分配用気体を物理的吸着剤に物理的に吸着させるために、物理的吸着剤を
保持している計量分配容器内に可吸着計量分配用気体を導入する工程と、
計量分配用気体の物理的吸着剤からの脱着により計量分配用気体が選択的に計
量分配可能及び容器から放出可能な状態で前記計量分配容器が計量分配用気体を
含有するように、物理的吸着剤に吸着された計量分配用気体を保持している計量
分配容器を密封する工程と、を具備することを特徴とする気体貯蔵及び計量分配
システムの製造方法。
【請求項2】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着するた
めに物理的吸着剤を処理する工程は、
(a) 異質可吸着体を熱的に脱着させるように、物理的吸着剤を加熱する工
程、
(b) 異質可吸着体を物理的吸着剤から流れている非可吸着気体に脱着させ
るように、非可吸着気体を物理的吸着剤に接触させて流し込む工程、及び
(c) 異質可吸着体を物理的吸着剤から真空脱着させるように、物理的吸着
剤を真空状態にする工程の少なくとも一つの工程を具備することを特徴とする請
求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように、物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を加熱してそこから異質
可吸着体を熱的に脱着させる工程を具備することを特徴とする請求項1記載の製
造方法。
【請求項4】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように物理的吸着剤を処理する工程は、異質可吸着体を物理的吸着剤から流れて
いる非吸着気体に脱着するように、非可吸着気体を物理的吸着剤に接触するよう
に流し込む工程を具備することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように物理的吸着剤を処理する工程は、異質吸着体を物理的吸着剤から真空脱着
させるように物理的吸着剤を真空状態にする工程を具備することを特徴とする請
求項1記載の製造方法。
【請求項6】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように物理的吸着剤を処理する工程は、
(a) 異質可吸着体を熱的に脱着させるように物理的吸着剤を加熱する工程

(b) 異質可吸着体を物理的吸着剤から流れている非可吸着気体に脱着させ
るように、非可吸着気体を物理的吸着剤に接触させて流し込む工程、及び
(c) 異質吸着体を物理的吸着剤から真空脱着させるように物理的吸着剤を
真空状態にする工程の少なくとも二つの工程を具備することを特徴とする請求項
1記載の製造方法。
【請求項7】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を加熱する工程と、非可吸
着気体を物理的吸着剤と接触させて流し込む工程とを具備することを特徴とする
請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を加熱する工程と、物理的
吸着剤を真空状態にする工程とを具備することを特徴とする請求項1記載の製造
方法。
【請求項9】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させる
ように物理的吸着剤を処理する工程は、非可吸着気体を物理的吸着剤に接触させ
て流し込む工程と、その後、異質可吸着体を物理的吸着剤から真空脱着させるよ
うに物理的吸着剤を真空状態にする工程とを具備することを特徴とする請求項1
記載の製造方法。
【請求項10】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させ
るように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を加熱する工程と、異質
可吸着体を物理的吸着剤から流れている非可吸着気体に脱着させるように非可吸
着気体を物理的吸着剤と接触させて流し込む工程と、物理的吸着剤を真空状態に
する工程とを具備することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させ
るように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を前記容器に充填する工
程の前に行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項12】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させ
るように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を前記容器に充填する工
程の後に行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させ
るように物理的吸着剤を処理する工程は、物理的吸着剤を前記容器に充填する工
程の前後に行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項14】
物理的吸着剤は、アルミナ、シリカ、結晶性アルミノ珪酸
塩、マクロ網状ポリマー、珪藻土、及び炭素からなる群より選択されることを特
徴とする請求項1の製造方法。
【請求項15】
物理的吸着剤が炭素であることを特徴とする請求項1記載
の製造方法。
【請求項16】
物理的吸着剤がビード活性炭であることを特徴とする請求
項1記載の製造方法。
【請求項16】
前記異質可吸着体が、水蒸気、酸素、水素、酸化炭素、窒
素、炭化水素、ハロゲン、及びこれら種を一つ以上含有する組成物からなる群よ
り選択される気体種を含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項17】
前記異質可吸着体が酸化炭素を含むことを特徴とする請求
項1記載の製造方法。
【請求項18】
前記異質可吸着体は少なくとも一酸化炭素及び二酸化炭素
の少なくと一を含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項19】
前記異質可吸着体は一酸化炭素を含み、前記異質可吸着体
の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように、異質可吸着体が吸着している
物理的吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%の
アルシン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填され
た場合に、20ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特
徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項20】
前記異質可吸着体は二酸化炭素を含み、前記異質可吸着体
の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように、異質可吸着体が吸着している
物理的吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%の
アルシン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填され
た場合に、50ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特
徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項21】
前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させ
るように異質可吸着体が吸着している物理的吸着剤を処理する前記工程は、前記
容器内に物理的吸着剤を充填する前に、異質可吸着体の脱着の達成に十分な時間
、物理的吸着剤を約300乃至約800℃まで加熱する工程を具備することを特
徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項22】
物理的吸着剤を加熱する前記工程において、不活性気体が
物理的吸着剤と接触させて流し込まれることを特徴とする請求項21記載の製造
方法。
【請求項23】
前記不活性気体はヘリウムであることを特徴とする請求項
22記載の製造方法。
【請求項24】
容器に充填された後の物理的吸着剤は、物理的吸着剤を加
熱する工程及び物理的吸着剤を真空状態にする工程からなる群より選ばれる少な
くとも一つの工程にさらされることをを特徴とする請求項21記載の製造方法。
【請求項25】
容器に充填された後の物理的吸着剤は、真空状態で加熱さ
れることを特徴とする請求項21記載の製造方法。
【請求項26】
容器に充填された後の物理的吸着剤は、物理的吸着剤を加
熱する工程及び物理的吸着剤を真空状態にする工程からなる群より選ばれた少な
くとも一の工程にさらされることを特徴とする請求項22記載の製造方法。
【請求項27】
容器に充填された後の物理的吸着剤は真空状態で加熱され
ることを特徴とする請求項22記載の製造方法。
【請求項28】
可吸着計量分配用気体は、シラン、ジボラン、アルシン、
ホスフィン、塩素、BCl、BF3、B2D6、タングステン六フッ化物、(CHSb
、フッ化水素、塩化水素、GeF4、SiF4、重水素水素化物、ヨウ化水素、臭化水素
、ゲルマン、アンモニア、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、
及びNF3からなる群より選ばれる気体を含むことを特徴とする請求項1記載の製
造方法。
【請求項29】
可吸着計量分配用気体は水素化物気体を含むことを特徴と
する請求項1記載の製造方法。
【請求項30】
可吸着計量分配用気体はアルシンを含むことを特徴とする
請求項1記載の製造方法。
【請求項31】
可吸着計量分配用気体はホスフィンを含むことを特徴とす
る請求項1記載の製造方法。
【請求項32】
可吸着計量分配用気体は三フッ化物ホウ素を含むことを特
徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項33】
可吸着計量分配用気体はジボランを含むことを特徴とする
請求項1記載の製造方法。
【請求項34】
可吸着計量分配用気体は重水素スチビンを含むことを特徴
とする請求項1記載の製造方法。
【請求項35】
(i)配容器内に保持され、続いて選択的に放出れる可吸
着量分配用気体に、及び(ii)着体に対する吸着親和性を有するビード活性炭物
理的吸着剤を保持するための計量分配容器を有する気体貯蔵及び計量分配システ
ムの製造方法であって、
物理的吸着剤を第一温度範囲の約300乃至約800℃へ加熱し、前記第一の
温度範囲を約1〜15時間維持し、及び前記加熱中に不活性気体を物理的吸着剤
に接触させて流し込む工程を具備する、前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸
着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的吸着剤を処理する
工程と、
物理的吸着剤を前記容器に充填する工程と、
前記容器内の物理的吸着剤を第二温度範囲の約100℃乃至約250℃まで加
熱し、第二温度範囲を約1〜10時間維持し、前記加熱中に容器内の物理的吸着
剤を真空状態にする工程と、
物理的吸着剤を第二温度範囲以下に冷却する工程と、
計量分配用気体を物理的吸着剤に物理的に吸着させるために物理的吸着剤を保
持している計量分配容器内に可吸着計量分配用気体を導入する工程と、
計量分配用気体の物理的吸着剤からの脱着により計量分配用気体が選択的に計
量分配可能及び容器から放出可能な状態で前記計量分配容器が計量分配用気体を
含有するように、物理的吸着剤に吸着された計量分配用気体を保持している計量
分配容器を密封する工程と、を具備することを特徴とする気体貯蔵及び計量分配
システムの製造方法。
【請求項36】
異質可吸着体は、水蒸気、酸素、水素、酸化炭素、窒素、
炭化水素、ハロゲン、及びこれら種を一つ以上含有する組成物からなる群より選
ばれる気体種を含むことを特徴とする請求項35記載の製造方法。
【請求項37】
異質可吸着体は酸化炭素を含むことを特徴とする請求項3
5記載の製造方法。
【請求項38】
異質可吸着体は少なくとも一酸化炭素及び二酸化炭素を含
むことを特徴とする請求項35記載の製造方法。
【請求項39】
異質可吸着体は一酸化炭素を含み、前記異質可吸着体の少
なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的
吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシ
ン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合
に、20ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴とす
る請求項35記載の製造方法。
【請求項40】
異質可吸着体は二酸化炭素を含み、前記異質可吸着体の少
なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的
吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシ
ン気体で、圧力700トル及び22°Cの条件下で物理的吸着剤が充填された場
合に、50ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴と
する請求項35記載の製造方法。
【請求項42】
異質可吸着体は一酸化炭素と二酸化炭素を含み、前記異質
可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着し
ている物理的吸着剤を処理する前記工程と、前記容器内の物理的吸着剤を第二温
度範囲の約100℃乃至約250℃まで加熱し、第二温度範囲を約1〜10時間
、前記加熱中に容器内の物理的吸着剤を真空状態にする工程との両方を行うこと
により、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシン気体で、圧力700
トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合に、1ppmv以下の一酸
化炭素レベルをアルシン内で生じさ、10ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシ
ン内で生じさせることを特徴とする請求項35記載の製造方法。
【請求項43】
可吸着計量分配用気体は、シラン、ジボラン、アルシン、
ホスフィン、塩素、BCl、BF3、B2D6、タングステン六フッ化物、(CHSb
、フッ化水素、塩化水素、GeF4、SiF4、重水素水素化物、ヨウ化水素、臭化水素
、ゲルマン、アンモニア、スチビン、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素、
及びHF3からなる群より選ばれる気体を含むことを特徴とする請求項35記載の
製造方法。
【請求項44】
可吸着計量分配用気体は水素化物気体を含むことを特徴と
する請求項35記載の製造方法。
【請求項45】
可吸着計量分配用気体はアルシンを含むことを特徴とする
請求項35記載の製造方法。
【請求項46】
可吸着計量分配用気体はホスフィンを含むことを特徴とす
る請求項35記載の製造方法。
【請求項47】
可吸着計量分配用気体は三フッ化物ホウ素を含むことを特
徴とする請求項35記載の製造方法。
【請求項48】
可吸着計量分配用気体はジボランを含むことを特徴とする
請求項35記載の製造方法。
【請求項49】
可吸着計量分配用気体は重水素スチビンを含むことを特徴
とする請求項35記載の製造方法。
【請求項50】
(1)前記異質可吸着体の少なくとも一部を吸着剤から脱
着させるように物理的吸着剤を処理する工程の開始から、(2)計量分配用気体
が選択的に計量分配可能な状態で、前記計量分配容器が計量分配用気体を含有す
るように、計量分配容器を密封する工程の終了までの期間中、物理的吸着剤が大
気ガスとの接触から隔離されていることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項51】
前記期間中、物理的吸着剤は酸素との接触から隔離されて
いることを特徴とする請求項50記載の製造方法。
【請求項52】
吸着剤として活性炭材料が使用され、異質可吸着体を物理
的吸着剤から除去する処理は、吸着剤を650℃以上の温度へ加熱する工程を具
備することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項53】
計量分配用気体が選択的に計量分配可能な状態で、前記計
量分配容器が前記計量分配用気体を含有するように計量分配容器が密封されるま
で、前記吸着剤を650℃以上の温度へ加熱する工程中及びその後も、吸着剤が
酸素と水蒸気との接触から隔離されていることを特徴とする請求項52記載の製
造方法。
【請求項54】
異質可吸着体は一酸化炭素を含み、前記異質可吸着体の少
なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的
吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシ
ン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤がと充填された場
合に、5ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴とす
る請求項1記載の製造方法。
【請求項55】
異質可吸着体は二酸化炭素を含み、前記異質可吸着体の少
なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的
吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシ
ン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合
に、10ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴とす
る請求項1記載の製造方法。
【請求項56】
異質可吸着体は一酸化炭素を含み、前記異質可吸着体の少
なくとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的
吸着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシ
ン気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合
に、1ppmv以下の一酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴とする
請求項35記載の製造方法。
【請求項57】
異質吸着体は二酸化炭素を含み、前記異質可吸着体の少な
くとも一部を吸着剤から脱着させるように異質可吸着体が吸着している物理的吸
着剤を処理する前記工程は、物理的吸着剤の重量に基づく50重量%のアルシン
気体で、圧力700トル及び22℃の条件下で物理的吸着剤が充填された場合に
、1ppmv以下の二酸化炭素レベルをアルシン内で生じさせることを特徴とする請
求項35記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−99562(P2011−99562A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−280915(P2010−280915)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【分割の表示】特願2000−567292(P2000−567292)の分割
【原出願日】平成11年8月30日(1999.8.30)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】