吸脱着装置
【課題】低いランニングコストで確実に臭気成分や有害成分、水分等を吸脱着できる吸脱着装置を提供する。
【解決手段】回転ロータ(22)には、供給装置(31)から供給される芳香物質を取り込んで包接する錯体構造を有したホスト物質が担持されている。芳香物質を包接した回転ロータ(22)は、脱離区域においてグリッド電極(32,32)により生じた電場内で芳香物質を放出する。芳香物質は送りファン(27)により室内へと運ばれる。
【解決手段】回転ロータ(22)には、供給装置(31)から供給される芳香物質を取り込んで包接する錯体構造を有したホスト物質が担持されている。芳香物質を包接した回転ロータ(22)は、脱離区域においてグリッド電極(32,32)により生じた電場内で芳香物質を放出する。芳香物質は送りファン(27)により室内へと運ばれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸脱着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルや住宅では気密性が向上する傾向にあり、これに伴い臭気成分及び有害成分の除去に対する関心が高まってきており、従来より様々な提案がなされている。また、抗菌剤や芳香物質を室内に一定割合で放出し続けることについても関心が高まっている。
【0003】
臭気成分及び有害成分を除去する一般的な方法としては、空気中の臭気成分及び有害ガス成分を吸着剤に吸着させて除去する方法がある。また、抗菌剤や芳香物質を室内に放出する方法としては、超音波などを利用した噴霧器を用いる方法がある。
【0004】
上記方法に用いられる吸着剤としては、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライトおよびイオン交換樹脂等を挙げることができる(例えば、非特許文献1)。
【0005】
また、上記吸着剤を用いて空気中の水分を吸脱着することもできる。
【非特許文献1】最新・吸着技術、p132−293、株式会社総合技術センター発行
【非特許文献2】NEDO報告書:平成13年度即効的・革新的エネルギー環境技術研究開発事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託「吸着剤を用いた新規な天然ガス貯蔵技術開発」成果報告書p26−27
【非特許文献3】NEDO報告書:平成14年度即効的・革新的エネルギー環境技術研究開発事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託「吸着剤を用いた新規な天然ガス貯蔵技術開発」成果報告書p26−27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記方法によれば、簡素な構造により臭気成分及び有害成分の除去が可能であるが、吸着剤は所定量吸着すると飽和して吸着性能が低下する。したがって、吸着剤を定期的に、例えば数ヶ月毎に交換する必要があり、吸着性能を維持するために多大な労力と費用を要する。これらの吸着剤を用いて水分を吸脱着する場合も同様の問題を抱えている。
【0007】
また、抗菌剤や芳香物質を室内に放出する上記方法は、一定の割合で放出を維持することが非常に困難であり、室内濃度が安定しないという問題点がある。
【0008】
さらに、吸着剤を用いて空気中に存在する低濃度の臭気成分及び有害成分を吸着し、吸着剤が飽和吸着状態になる前に吸着剤を加熱又は吸着剤に熱風を導入することにより吸着している臭気成分及び有害成分を脱離させて、触媒等を用いて分解除去又は屋外に排出する方法がある。この方法を用いれば、吸着剤は飽和しないので、吸着剤を定期的に交換する必要はないが、脱離に熱エネルギを用いるため、多大なランニングコストが必要であった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低いランニングコストで確実に臭気成分や有害成分、水分、芳香物質等を吸脱着できる吸脱着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明は、包接空間を錯体により仕切っているホスト物質を利用することを特徴とする。
【0011】
具体的には、この発明は吸脱着装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
即ち、請求項1に記載の発明は、所定の物質の分子を取り込んで保持する包接空間を有しているホスト物質を備え、前記包接空間と外部空間とは、錯体により仕切られていることを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、ホスト物質が所定の物質を吸着でき、また、包接空間と外部空間とを錯体が仕切っているので、小さいなエネルギー付与により包接空間の仕切が変形して吸着している所定の物質を脱離させることができる。ここで錯体とは、1つ以上の金属または金属類次元素の原子を中心原子として、それに配位子が結合して形成されている原子集団である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ホスト物質は、前記所定の物質のみを選択的に取り込むことを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、所定の物質のみを選択的に取り込みかつ脱離させることができるので、特定成分のみを取り去ったり、逆に特定成分を選択的に空間に一定の割合で供給することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、電場の存在する空間に置かれることにより該所定の物質を脱離させることを特徴とする。
【0017】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、ホスト物質を電場内に置くだけで所定の物質の脱離が行われるので、ランニングコストを低くでき、また、脱離装置を簡単且つ小型にすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2において、前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、加熱されることにより該所定の物質を脱離させることを特徴とする。
【0019】
上記の構成により、請求項4に記載の発明では、加熱という簡単な方法で所定の物質を脱離させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、芳香物質であることを特徴とする。ここで芳香物質とは、人の嗅覚に働きかけて心地よくさせる、いわゆるよい匂いの物質であり、例えばエッセンシャルオイル等を挙げることができる。
【0021】
上記の構成により、請求項5に記載の発明では、芳香物質を一定の割合あるいは一定の濃度で放出することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、抗菌剤であることを特徴とする。
【0023】
上記の構成により、請求項6に記載の発明では、抗菌剤を一定の割合あるいは一定の濃度で放出することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、水であることを特徴とする。
【0025】
上記の構成により、請求項7に記載の発明では、低ランニングコストで除湿あるいは調湿を行うことができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、有害物質であることを特徴とする。ここで有害物質とは、例えばCO、CO2、NOX、SOX、VOC(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン)、アンモニア、蟻酸、酢酸などである。
【0027】
上記の構成により、請求項8に記載の発明では、有害物質を低ランニングコストで除去できる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一つにおいて、前記ホスト物質に前記所定の物質を供給する供給手段を備えていることを特徴とする。
【0029】
上記の構成により、請求項9に記載の発明では、長期間持続的に所定の物質、例えば芳香物質や抗菌剤、水分などを空間に放出できる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一つにおいて、前記ホスト物質は、前記所定の物質を取り込む吸着ゾーンと、該所定の物質を脱離させる脱離ゾーンとの間を移動することを特徴とする。
【0031】
上記の構成により、請求項10に記載の発明では、簡単な構成の装置で所定の物質の吸着・脱離を行うことができる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一つにおいて、前記ホスト物質を担持する担体をさらに備えることを特徴とする。
【0033】
上記の構成により、請求項11に記載の発明では、ホスト物質を取り扱い易くでき、また簡単に種々の形状とすることができ、装置を小型化できる。
【発明の効果】
【0034】
請求項1に記載の発明によれば、所定の物質の吸着させた後、脱離を小さなエネルギーで容易に行うことができる。
【0035】
請求項2に記載の発明によれば、特定成分のみを空間から取り除いたり、特定成分のみを空間に供給することができる。
【0036】
請求項3に記載の発明によれば、簡単且つ低コストで所定物質を脱離させることができる。
【0037】
請求項4に記載の発明によれば、簡単な方法で所定物質を脱離させることができる。
【0038】
請求項5に記載の発明によれば、芳香物質を一定の割合で放出させることができる。
【0039】
請求項6に記載の発明によれば、抗菌剤を一定の割合で放出させることができる。
【0040】
請求項7に記載の発明によれば、低いランニングコストで除湿や調湿を行うことができる。
【0041】
請求項8に記載の発明によれば、低いランニングコストで有害物質除去を行うことができる。
【0042】
請求項9に記載の発明によれば、長期間且つ持続的に所定物質を空間に放出できる。
【0043】
請求項10に記載の発明によれば、簡単な装置で所定の物質を吸着脱離できる。
【0044】
請求項11に記載の発明によれば、ホスト物質を取り扱い易くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態に係る吸脱着装置は、空調機と一体に構成されている。なお、本実施形態の吸脱着装置は芳香物質を室内へ放出する役割を果たす。
【0047】
上記空調機は、室内機(10)と室外機(15)とによって構成されている。室内機(10)は、室内熱交換器(不図示)と室内ファン(12)を備え、室内の壁面に取り付けられている。室外機(15)は、室外に設置されている。この室外機(15)には、図示しないが、圧縮機、膨張機構、室外熱交換器、室外ファン等の構成機器が収納されている。室内機(10)と室外機(15)とは、一対の連絡配管(不図示)によって接続されている。
【0048】
室内熱交換器と共に圧縮機、膨張機構及び室外熱交換器が連絡配管等によって接続されて、冷媒回路が構成されている。この冷媒回路は、図外の四路切換弁を備え、冷媒の循環方向を反転可能に構成されている。そして、冷媒回路では、冷媒が循環して冷凍サイクル動作とヒートポンプ動作とが切り換えて行われる。
【0049】
吸脱着ユニット(20)は、吸脱着装置を構成するものであって、室外機(15)と一体に形成されている。この吸脱着ユニット(20)には、空気ダクト(21)の一端が接続されている。また、空気ダクト(21)の他端は、室内機(10)に接続されている。尚、空気ダクト(21)の他端は、室内機(10)の内部における室内熱交換器の上流に開口している。
【0050】
図2に示すように、吸脱着ユニット(20)には、吸着側区域(吸着ゾーン)と脱離側区域(脱離側通路(25)が存する区域、脱離ゾーン)とが区画形成されている。また、吸脱着ユニット(20)には、脱離側通路(25)を横断する姿勢で回転ロータ(22)が設置されている。この回転ロータ(22)については、後述する。
【0051】
吸着側区域における回転ロータ(22)の隣には、芳香物質の供給装置(31)が設けられている。この供給装置(31)を運転すると、回転ロータ(22)に芳香物質が滴下により供給される。なお、供給は噴霧等により行ってもよい。
【0052】
脱離側通路(25)には、グリッド電極(32,32)と送りファン(27)とが設けられている。また、脱離側通路(25)の終端には、上記空気ダクト(21)の一端が接続されている。これらについては後述する。
【0053】
上記回転ロータ(22)は、円板状に形成されている。また、回転ロータ(22)は、ハニカム状に形成された基材の表面に吸着剤を担持させて構成されている。即ち、回転ロータ(22)は、その厚さ方向に空気を通過させることができ、通過する空気と吸着剤とを接触させるように構成されている。
【0054】
回転ロータ(22)の基材としては、セラミック紙、ガラス繊維、セルロースを主成分とした有機化合物(例えば、紙)、金属、樹脂等の材料が好適に用いられる。この種の材料は、比熱の小さいものであり、このような材料で回転ロータ(22)を形成すると回転ロータ(22)の熱容量が小さくなる。
【0055】
基材表面に担持された吸着剤は、所定の物質である芳香物質をゲスト物質として選択的に取り込むホスト物質からなる。このホスト物質は、所定の物質の分子を取り込んで保持する包接空間を有している錯体である。具体的には、このホスト物質は、図3に示される[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)である。このホスト物質の合成法は、非特許文献2に記載されている。
【0056】
図3に示すように、このホスト物質は、略正方形の箱が並んだ構造を有しており、正方形の一辺の長さは7.8オングストロームである。なお、図3には略正方形の孔構造を一つ示しているだけであるが、実際にはこのホスト物質は、この正方形の箱状の構造が平面的に並んで広がった、あるいはその平面が積み重なって立体的に構成された、いわゆる多孔性配位高分子とでもいうべき構造を有している。[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)は、この正方形の空間に芳香物質分子を取り込んで包接する。正方形の各辺は包接空間と外部空間とを仕切っており、これらの辺は全体として錯体により構成されている。包接空間の大きさおよびこの空間を仕切る錯体の構造によってある特定の芳香物質の分子がこの包接空間に取り込まれる。つまり、供給装置(31)から特定の芳香物質がホスト物質に供給されるとその分子が包接空間に取り込まれて保持される。
【0057】
一方、芳香物質分子を包接した[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)は包接空間の骨格が配位結合、水素結合、ファンデルワールス力などの弱い力で構成されているので、小さなエネルギーを与えるだけで骨格が動き、包接されていた芳香物質分子を外部に放出する。本実施形態では、脱離側区域において電場を形成することにより、[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)の包接空間の骨格を歪めて芳香物質分子を外部に放出させている。即ち、回転ロータ(22)のうち扇形状の一部分が、脱離側通路(25)を横切る姿勢で設けられており、扇形形状の両面側にグリッド電極(32,32)が設置されて、電源(33)から印加される電圧により、この扇形状の部分に電場が形成される。この電場によって脱離した芳香物質分子は、回転ロータ(22)の下流に配置されている送りファン(27)により空気ダクト(21)に導入され、室内機(10)に送られ、室内に放出される。
【0058】
また、上記回転ロータ(22)は、図外のモータによって駆動されて中心軸周りに回転し、吸着側区域と脱離側区域の間を移動する。即ち、供給装置(31)から芳香物質の供給を受けた回転ロータ(22)の部分は、[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)によって芳香物質分子を包接し、回転ロータ(22)の回転に伴って脱離側通路(25)に移動する。一方、脱離側通路(25)を流れる空気と接触した回転ロータ(22)の部分は、グリッド電極(32,32)で形成された電場により芳香物質を放出して、回転ロータ(22)の回転に伴って吸着側区域に再び移動する。
【0059】
本実施形態では、芳香物質の放出量は回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとによって定まり、これらをコントロールすれば単位時間当たり所望の放出量で芳香物質を定常的に放出させることができる。これは芳香物質を単に蒸散させるこれまでの方法では簡単にはできなかったことである。回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとは容易にコントロールできるので、芳香物質の放出量の制御は容易に行うことができる。また、芳香物質を放出させるエネルギーは小さくて済むので、エネルギーの消費も少なくできる。芳香物質の補充を行うことができるので、長期間定常的に芳香物質を室内に放出することができる。芳香物質は特にその種類を限定されることはないが、人がよい香りだと感じる物質や人の健康を増進させたりするエッセンシャルオイル等を好ましく挙げることができる。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、抗菌剤を室内に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態1と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図4を参照して説明する。
【0061】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(30)は、実施形態1と同様に回転ロータ(22)と供給装置(31)と送りファン(27)とを備えている。供給装置(31)は抗菌剤を回転ロータ(22)に供給する。また、実施形態1とは異なり、脱離用の装置としてヒータ(26)が回転ロータ(22)の上流側に設置されている。
【0062】
本実施形態では回転ロータ(22)に担持された吸着剤として錯体である[Cu2(dhba)2bpy]n(ここで、dhba=2,5-dihydroxybenzoic acid、bpy=bipyridine)を用いている。この吸着剤の製造方法は、非特許文献3に記載されている。[Cu2(dhba)2bpy]n(42)は、図5に示されているように、ホスト分子を包接するか、放出するかによってdhbaの部分においてスタック構造が変化し、ホスト分子の吸脱着曲線においてヒステリシスが見られるという特徴を有している。即ち、吸着と脱離とが不可逆的に行われる。
【0063】
本実施形態で用いる抗菌剤はヨウ素(46)である。ヨウ素(46)は、抗菌剤として非常に優れた性質を有している。具体的には、ヨウ素(46)は塩素、臭素よりも殺菌力が強く、細菌、ウイルス、酵母、かび等の微生物に有効で抗菌スペクトルは広範囲に及び、抗生物質のように耐性菌を作らない。また、塩素、臭素より酸化作用、腐食性が小さく、生物に対して安全で機械や容器等を痛めにくい。
【0064】
抗菌剤としてのヨウ素(46)は、アルコール等の溶液として供給装置(31)から回転ロータ(22)に供給され、[Cu2(dhba)2bpy]n(42)に取り込まれ包接される。そして、回転ロータ(22)が回転し、脱離側区域に入ったらヒータ(26)に加熱され、その熱によって[Cu2(dhba)2bpy]n(42)からヨウ素(46)が脱離する。それから、ヨウ素(46)は回転ロータ(22)の下流に配置されている送りファン(27)により空気ダクト(21)に導入され、室内機(10)に送られ、室内に放出される。
【0065】
本実施形態では、ヨウ素(46)の放出量は回転ロータ(22)の回転速度とヒータ(26)が発する熱の大きさとによって定まり、これらをコントロールすれば単位時間当たり所望の放出量で抗菌剤であるヨウ素(46)を定常的に放出させることができる。これは抗菌剤を単に蒸散させるこれまでの方法では簡単にはできなかったことである。回転ロータ(22)の回転速度と熱の大きさとは容易にコントロールできるので、ヨウ素(46)の放出量の制御は容易に行うことができる。抗菌剤はヨウ素(46)に限定されず、無機系の抗菌剤や有機系の抗菌剤等を用いても構わない。
【0066】
(実施形態3)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、水分を室外で吸着し室内に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態1と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図6を参照して説明する。
【0067】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(40)は、実施形態1と同様に回転ロータ(22)と脱離手段としてのグリッド電極(32,32)と送りファン(27)とを備え、さらに実施形態1とは異なり吸着側区域には供給装置(31)がなく、替わりに吸着側通路(23)の下流側に除湿ファン(24)を備えている。
【0068】
本実施形態では回転ロータ(22)に担持された吸着剤として錯体である[Cu2(pzdc)2(azo)](ここで、pzdc=pyrazinedicarboxylate、azo=azopyridine)を用いている。[Cu2(pzdc)2(azo)]はH2O分子を選択的に取り込む包接空間を有している。
【0069】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(40)では、除湿ファン(24)を運転して外気を吸着側通路(23)に導入し回転ロータ(22)を通過させる。この時に回転ロータ(22)に担持された[Cu2(pzdc)2(azo)]に、外気に含有される水分が吸着される。回転ロータ(22)は水を吸着したまま回転していき、脱離側区域に到達すると、グリッド電極(32,32)からなる脱離手段により[Cu2(pzdc)2(azo)]に包接・吸着された水が放出される。この水は、送りファン(27)により空気ダクト(21)に導入され、室内機(10)に送られ、室内に放出される。
【0070】
本実施形態では、水分の放出量は回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとによって定まり、これらをコントロールすれば単位時間当たり所望の放出量で水分を定常的に放出させることができる。これは水分を単に蒸散させるこれまでの方法では簡単にはできなかったことである。回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとは容易にコントロールできるので、水分の放出量の制御は容易に行うことができる。また、水分を放出させるエネルギーは小さくて済むので、エネルギーの消費も少なくできる。さらに、水は外気に含まれている水分を利用するので、水の供給装置は不要である。
【0071】
(実施形態4)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、空調機内の悪臭成分を吸着し室外に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態1と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図7を参照して説明する。
【0072】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(50)は、実施形態1とは異なり室内機(10)内に設置されており、吸脱部材(52)と吸着側ファン(28a,28b)と脱離ファン(29)とグリッド電極(32,32)と電源(33)と駆動モータ(54)と連結部材(53)とを備えている。
【0073】
吸着部材(52)は矩形であり、この基材としては、セラミック紙、ガラス繊維、セルロースを主成分とした有機化合物(例えば、紙)、金属、樹脂等の材料が好適に用いられる。そしてこの基材には、錯体である[Cu2(bdc)2bpy]n(ここで、bdc=biphenyldicarxylic acid、bpy=bipyridine)が担持されている。この錯体は、悪臭成分の分子を取り込んで包接する包接空間を有している。
【0074】
次に本実施形態に係る吸脱着ユニット(50)の運転動作について説明をする。
【0075】
吸脱部材(52)は、悪臭成分を吸着する部分と、吸着した悪臭成分を脱離する部分との2つの部分からなっており、これらの部分は駆動モータ(54)に動かされる連結部材(53)によって交互に入れ替わる。即ち、図7において吸脱部材(52)の右側が吸着する部分であって吸着側ファン(28a)により室内機(10)内の悪臭成分が吸脱部材(52)内に送り込まれており、左側が脱離する部分であってグリッド電極(32,32)により生じた電場内に置かれ脱離ファン(29)により脱離した悪臭成分は空気ダクト(21)を通って室外に排気されるのであるが、吸着する部分が悪臭成分で飽和したときには、駆動モータ(54)を運転して吸脱部材(52)を左側に移動させて、吸脱部材(52)の今まで吸着する部分であったところをグリッド電極(32,32)間に置いて、悪臭成分を室外に排気する。一方、吸脱部材(52)の今まで脱離する部分であったところは左側に移動して、そこに設置されている別の吸着側ファン(28b)により室内機(10)内の悪臭成分を吸着するようになる。この部分が悪臭成分で飽和したら、駆動モータ(54)を運転して吸脱部材(52)を右側に移動させる。
【0076】
本実施形態では、錯体からなるホスト物質により悪臭成分を短時間で効率よく室内機(10)から除去することができる。また、悪臭成分を脱離するエネルギーが少なくて済む。悪臭成分は、アンモニア、かび臭などどのようなものでもよく、その成分に適したホスト物質を選べばよい。また、悪臭成分に限らず、人体に有毒なガスの除去に本実施形態の吸脱着装置を用いてもよい。
【0077】
(実施形態5)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、空調機内の有害物質を吸着し室外に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態2と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図9を参照して説明する。
【0078】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(60)は、実施形態2とは異なり室内機(10)内に設置されている。一方、吸脱着ユニット(60)の構造は、実施形態2の吸脱着ユニット(30)とよく似ており、回転ロータ(22)と脱離手段としてのヒータ(26)とを有しているが、吸着側ファン(28)および脱離ファン(29)を備えていること及び供給装置は備えていないことが異なっている。
【0079】
本実施形態では、空調機内の有害物質が吸着側通路(23)の下流側の吸着側ファン(28)によって回転ロータ(22)に担持された吸着剤に吸着され、この吸着された有害物質が脱離側区域においてヒータ(26)の熱で吸着剤から脱離して、脱離ファン(29)により空気ダクト(21)を通過して室外に排出される。
【0080】
本実施形態に用いられる吸着剤として機能する錯体は、[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)である。
【0081】
図8に[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)のCO2吸着等温線を示す。横軸は圧力の相対値を示しており、0.9が大気圧である。この図からわかるように、0℃で有害物質であるCO2を吸着したとすると吸着量は0.8であり、60℃に加熱してCO2を脱離させると吸着残量が0.2であるので、最初の吸着量の75%が脱離されることになる。従って脱離量のコントロールが容易に行える。
【0082】
これまでに説明した実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、空気調和機以外に空気浄化装置や芳香剤蒸散装置などに用いても構わない。
【0083】
所定の物質、例えば芳香物質や抗菌剤、水、有害物質を取り込んで包接するホスト物質は、上記の錯体以外でも構わない。例えば、[M3(btc)2(H2O)]n(ここで、M=Co、Ni、Zn、btc=1,3,5-benzenetricarboxylate)、[Co(btcH)(py)2]n(ここで、btcH=1,3,4-benzenetricarboxylate、py=pyridine)、[M2(4,4’−bpy)3(NO3)4]n(ここで、M=Co、Ni、Zn、bpy=bipyridine)、[M2(bdc)2]n(ここで、M=Cu、Zn、bdc=biphenyldicarxylic acid)といった錯体を用いてもよい。
【0084】
さらに、図10の構造を有する物質も本願発明のホスト物質として好ましく用いることができる。図10においてMは金属であり、Xはスペーサ分子である。MはCoやCuであることが好ましい。また、Xはアミド基を有する有機物であることが好ましく、例えばN-3ピリジルニコチンアミド、(N-2-ピリジン-4-イルエチル)-イソニコチンアミドを挙げることができる。具体的な例を、図11,図12に示す。
【0085】
上記の実施形態では、回転ロータ(22)や吸脱部材(52)の基材をハニカム状に形成しているが、これに限らず基材をメッシュ状やフィルタ状に形成してもよい。この場合であっても、回転ロータ(22)や吸脱部材(52)は、空気が通過できるように構成される。また、回転ロータ(22)を円板状に形成しているが、これに限らず多角形の板状に形成してもよい。吸脱部材(52)の形状も矩形以外でもよく、例えば円板状にしてもよい。さらに、ホスト物質の担持体を粒子状のものにしても構わない。この場合、この担持体を、吸着ゾーンと脱離ゾーンとの間を風送などで移動させてもよい。
【0086】
上記の実施形態1〜3では、室外に吸脱着装置をおいているが、室内に置いても構わない。また、実施形態1の吸脱着装置を実施形態2に用いてもよく、その逆でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明に係る吸脱着装置は、所定の物質を吸着して小さなエネルギーで脱離させることができ、空気調和機等に用いる吸脱着装置などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施形態1に係る空調機の模式図である。
【図2】実施形態1に係る吸脱着装置の模式図である。
【図3】[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)の模式的な構造図である。
【図4】実施形態2に係る吸脱着装置の模式図である。
【図5】[Cu2(dhba)2bpy]n(42)の模式的な吸脱着の様子を示した図である。
【図6】実施形態3に係る吸脱着装置の模式図である。
【図7】実施形態4に係る吸脱着装置の模式図である。
【図8】錯体の吸着等温線である。
【図9】実施形態5に係る吸脱着装置の模式図である。
【図10】ホスト物質の1種の模式的な構造図である。
【図11】ホスト物質の1種の具体的な構造図である。
【図12】別のホスト物質の具体的な構造図である。
【符号の説明】
【0089】
20,30,40,50、60 吸脱着ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸脱着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルや住宅では気密性が向上する傾向にあり、これに伴い臭気成分及び有害成分の除去に対する関心が高まってきており、従来より様々な提案がなされている。また、抗菌剤や芳香物質を室内に一定割合で放出し続けることについても関心が高まっている。
【0003】
臭気成分及び有害成分を除去する一般的な方法としては、空気中の臭気成分及び有害ガス成分を吸着剤に吸着させて除去する方法がある。また、抗菌剤や芳香物質を室内に放出する方法としては、超音波などを利用した噴霧器を用いる方法がある。
【0004】
上記方法に用いられる吸着剤としては、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライトおよびイオン交換樹脂等を挙げることができる(例えば、非特許文献1)。
【0005】
また、上記吸着剤を用いて空気中の水分を吸脱着することもできる。
【非特許文献1】最新・吸着技術、p132−293、株式会社総合技術センター発行
【非特許文献2】NEDO報告書:平成13年度即効的・革新的エネルギー環境技術研究開発事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託「吸着剤を用いた新規な天然ガス貯蔵技術開発」成果報告書p26−27
【非特許文献3】NEDO報告書:平成14年度即効的・革新的エネルギー環境技術研究開発事業 新エネルギー・産業技術総合開発機構委託「吸着剤を用いた新規な天然ガス貯蔵技術開発」成果報告書p26−27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記方法によれば、簡素な構造により臭気成分及び有害成分の除去が可能であるが、吸着剤は所定量吸着すると飽和して吸着性能が低下する。したがって、吸着剤を定期的に、例えば数ヶ月毎に交換する必要があり、吸着性能を維持するために多大な労力と費用を要する。これらの吸着剤を用いて水分を吸脱着する場合も同様の問題を抱えている。
【0007】
また、抗菌剤や芳香物質を室内に放出する上記方法は、一定の割合で放出を維持することが非常に困難であり、室内濃度が安定しないという問題点がある。
【0008】
さらに、吸着剤を用いて空気中に存在する低濃度の臭気成分及び有害成分を吸着し、吸着剤が飽和吸着状態になる前に吸着剤を加熱又は吸着剤に熱風を導入することにより吸着している臭気成分及び有害成分を脱離させて、触媒等を用いて分解除去又は屋外に排出する方法がある。この方法を用いれば、吸着剤は飽和しないので、吸着剤を定期的に交換する必要はないが、脱離に熱エネルギを用いるため、多大なランニングコストが必要であった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低いランニングコストで確実に臭気成分や有害成分、水分、芳香物質等を吸脱着できる吸脱着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明は、包接空間を錯体により仕切っているホスト物質を利用することを特徴とする。
【0011】
具体的には、この発明は吸脱着装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
即ち、請求項1に記載の発明は、所定の物質の分子を取り込んで保持する包接空間を有しているホスト物質を備え、前記包接空間と外部空間とは、錯体により仕切られていることを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、ホスト物質が所定の物質を吸着でき、また、包接空間と外部空間とを錯体が仕切っているので、小さいなエネルギー付与により包接空間の仕切が変形して吸着している所定の物質を脱離させることができる。ここで錯体とは、1つ以上の金属または金属類次元素の原子を中心原子として、それに配位子が結合して形成されている原子集団である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ホスト物質は、前記所定の物質のみを選択的に取り込むことを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、所定の物質のみを選択的に取り込みかつ脱離させることができるので、特定成分のみを取り去ったり、逆に特定成分を選択的に空間に一定の割合で供給することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、電場の存在する空間に置かれることにより該所定の物質を脱離させることを特徴とする。
【0017】
上記の構成により、請求項3に記載の発明では、ホスト物質を電場内に置くだけで所定の物質の脱離が行われるので、ランニングコストを低くでき、また、脱離装置を簡単且つ小型にすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2において、前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、加熱されることにより該所定の物質を脱離させることを特徴とする。
【0019】
上記の構成により、請求項4に記載の発明では、加熱という簡単な方法で所定の物質を脱離させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、芳香物質であることを特徴とする。ここで芳香物質とは、人の嗅覚に働きかけて心地よくさせる、いわゆるよい匂いの物質であり、例えばエッセンシャルオイル等を挙げることができる。
【0021】
上記の構成により、請求項5に記載の発明では、芳香物質を一定の割合あるいは一定の濃度で放出することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、抗菌剤であることを特徴とする。
【0023】
上記の構成により、請求項6に記載の発明では、抗菌剤を一定の割合あるいは一定の濃度で放出することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、水であることを特徴とする。
【0025】
上記の構成により、請求項7に記載の発明では、低ランニングコストで除湿あるいは調湿を行うことができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つにおいて、前記所定の物質は、有害物質であることを特徴とする。ここで有害物質とは、例えばCO、CO2、NOX、SOX、VOC(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン)、アンモニア、蟻酸、酢酸などである。
【0027】
上記の構成により、請求項8に記載の発明では、有害物質を低ランニングコストで除去できる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一つにおいて、前記ホスト物質に前記所定の物質を供給する供給手段を備えていることを特徴とする。
【0029】
上記の構成により、請求項9に記載の発明では、長期間持続的に所定の物質、例えば芳香物質や抗菌剤、水分などを空間に放出できる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一つにおいて、前記ホスト物質は、前記所定の物質を取り込む吸着ゾーンと、該所定の物質を脱離させる脱離ゾーンとの間を移動することを特徴とする。
【0031】
上記の構成により、請求項10に記載の発明では、簡単な構成の装置で所定の物質の吸着・脱離を行うことができる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一つにおいて、前記ホスト物質を担持する担体をさらに備えることを特徴とする。
【0033】
上記の構成により、請求項11に記載の発明では、ホスト物質を取り扱い易くでき、また簡単に種々の形状とすることができ、装置を小型化できる。
【発明の効果】
【0034】
請求項1に記載の発明によれば、所定の物質の吸着させた後、脱離を小さなエネルギーで容易に行うことができる。
【0035】
請求項2に記載の発明によれば、特定成分のみを空間から取り除いたり、特定成分のみを空間に供給することができる。
【0036】
請求項3に記載の発明によれば、簡単且つ低コストで所定物質を脱離させることができる。
【0037】
請求項4に記載の発明によれば、簡単な方法で所定物質を脱離させることができる。
【0038】
請求項5に記載の発明によれば、芳香物質を一定の割合で放出させることができる。
【0039】
請求項6に記載の発明によれば、抗菌剤を一定の割合で放出させることができる。
【0040】
請求項7に記載の発明によれば、低いランニングコストで除湿や調湿を行うことができる。
【0041】
請求項8に記載の発明によれば、低いランニングコストで有害物質除去を行うことができる。
【0042】
請求項9に記載の発明によれば、長期間且つ持続的に所定物質を空間に放出できる。
【0043】
請求項10に記載の発明によれば、簡単な装置で所定の物質を吸着脱離できる。
【0044】
請求項11に記載の発明によれば、ホスト物質を取り扱い易くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態に係る吸脱着装置は、空調機と一体に構成されている。なお、本実施形態の吸脱着装置は芳香物質を室内へ放出する役割を果たす。
【0047】
上記空調機は、室内機(10)と室外機(15)とによって構成されている。室内機(10)は、室内熱交換器(不図示)と室内ファン(12)を備え、室内の壁面に取り付けられている。室外機(15)は、室外に設置されている。この室外機(15)には、図示しないが、圧縮機、膨張機構、室外熱交換器、室外ファン等の構成機器が収納されている。室内機(10)と室外機(15)とは、一対の連絡配管(不図示)によって接続されている。
【0048】
室内熱交換器と共に圧縮機、膨張機構及び室外熱交換器が連絡配管等によって接続されて、冷媒回路が構成されている。この冷媒回路は、図外の四路切換弁を備え、冷媒の循環方向を反転可能に構成されている。そして、冷媒回路では、冷媒が循環して冷凍サイクル動作とヒートポンプ動作とが切り換えて行われる。
【0049】
吸脱着ユニット(20)は、吸脱着装置を構成するものであって、室外機(15)と一体に形成されている。この吸脱着ユニット(20)には、空気ダクト(21)の一端が接続されている。また、空気ダクト(21)の他端は、室内機(10)に接続されている。尚、空気ダクト(21)の他端は、室内機(10)の内部における室内熱交換器の上流に開口している。
【0050】
図2に示すように、吸脱着ユニット(20)には、吸着側区域(吸着ゾーン)と脱離側区域(脱離側通路(25)が存する区域、脱離ゾーン)とが区画形成されている。また、吸脱着ユニット(20)には、脱離側通路(25)を横断する姿勢で回転ロータ(22)が設置されている。この回転ロータ(22)については、後述する。
【0051】
吸着側区域における回転ロータ(22)の隣には、芳香物質の供給装置(31)が設けられている。この供給装置(31)を運転すると、回転ロータ(22)に芳香物質が滴下により供給される。なお、供給は噴霧等により行ってもよい。
【0052】
脱離側通路(25)には、グリッド電極(32,32)と送りファン(27)とが設けられている。また、脱離側通路(25)の終端には、上記空気ダクト(21)の一端が接続されている。これらについては後述する。
【0053】
上記回転ロータ(22)は、円板状に形成されている。また、回転ロータ(22)は、ハニカム状に形成された基材の表面に吸着剤を担持させて構成されている。即ち、回転ロータ(22)は、その厚さ方向に空気を通過させることができ、通過する空気と吸着剤とを接触させるように構成されている。
【0054】
回転ロータ(22)の基材としては、セラミック紙、ガラス繊維、セルロースを主成分とした有機化合物(例えば、紙)、金属、樹脂等の材料が好適に用いられる。この種の材料は、比熱の小さいものであり、このような材料で回転ロータ(22)を形成すると回転ロータ(22)の熱容量が小さくなる。
【0055】
基材表面に担持された吸着剤は、所定の物質である芳香物質をゲスト物質として選択的に取り込むホスト物質からなる。このホスト物質は、所定の物質の分子を取り込んで保持する包接空間を有している錯体である。具体的には、このホスト物質は、図3に示される[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)である。このホスト物質の合成法は、非特許文献2に記載されている。
【0056】
図3に示すように、このホスト物質は、略正方形の箱が並んだ構造を有しており、正方形の一辺の長さは7.8オングストロームである。なお、図3には略正方形の孔構造を一つ示しているだけであるが、実際にはこのホスト物質は、この正方形の箱状の構造が平面的に並んで広がった、あるいはその平面が積み重なって立体的に構成された、いわゆる多孔性配位高分子とでもいうべき構造を有している。[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)は、この正方形の空間に芳香物質分子を取り込んで包接する。正方形の各辺は包接空間と外部空間とを仕切っており、これらの辺は全体として錯体により構成されている。包接空間の大きさおよびこの空間を仕切る錯体の構造によってある特定の芳香物質の分子がこの包接空間に取り込まれる。つまり、供給装置(31)から特定の芳香物質がホスト物質に供給されるとその分子が包接空間に取り込まれて保持される。
【0057】
一方、芳香物質分子を包接した[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)は包接空間の骨格が配位結合、水素結合、ファンデルワールス力などの弱い力で構成されているので、小さなエネルギーを与えるだけで骨格が動き、包接されていた芳香物質分子を外部に放出する。本実施形態では、脱離側区域において電場を形成することにより、[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)の包接空間の骨格を歪めて芳香物質分子を外部に放出させている。即ち、回転ロータ(22)のうち扇形状の一部分が、脱離側通路(25)を横切る姿勢で設けられており、扇形形状の両面側にグリッド電極(32,32)が設置されて、電源(33)から印加される電圧により、この扇形状の部分に電場が形成される。この電場によって脱離した芳香物質分子は、回転ロータ(22)の下流に配置されている送りファン(27)により空気ダクト(21)に導入され、室内機(10)に送られ、室内に放出される。
【0058】
また、上記回転ロータ(22)は、図外のモータによって駆動されて中心軸周りに回転し、吸着側区域と脱離側区域の間を移動する。即ち、供給装置(31)から芳香物質の供給を受けた回転ロータ(22)の部分は、[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)によって芳香物質分子を包接し、回転ロータ(22)の回転に伴って脱離側通路(25)に移動する。一方、脱離側通路(25)を流れる空気と接触した回転ロータ(22)の部分は、グリッド電極(32,32)で形成された電場により芳香物質を放出して、回転ロータ(22)の回転に伴って吸着側区域に再び移動する。
【0059】
本実施形態では、芳香物質の放出量は回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとによって定まり、これらをコントロールすれば単位時間当たり所望の放出量で芳香物質を定常的に放出させることができる。これは芳香物質を単に蒸散させるこれまでの方法では簡単にはできなかったことである。回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとは容易にコントロールできるので、芳香物質の放出量の制御は容易に行うことができる。また、芳香物質を放出させるエネルギーは小さくて済むので、エネルギーの消費も少なくできる。芳香物質の補充を行うことができるので、長期間定常的に芳香物質を室内に放出することができる。芳香物質は特にその種類を限定されることはないが、人がよい香りだと感じる物質や人の健康を増進させたりするエッセンシャルオイル等を好ましく挙げることができる。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、抗菌剤を室内に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態1と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図4を参照して説明する。
【0061】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(30)は、実施形態1と同様に回転ロータ(22)と供給装置(31)と送りファン(27)とを備えている。供給装置(31)は抗菌剤を回転ロータ(22)に供給する。また、実施形態1とは異なり、脱離用の装置としてヒータ(26)が回転ロータ(22)の上流側に設置されている。
【0062】
本実施形態では回転ロータ(22)に担持された吸着剤として錯体である[Cu2(dhba)2bpy]n(ここで、dhba=2,5-dihydroxybenzoic acid、bpy=bipyridine)を用いている。この吸着剤の製造方法は、非特許文献3に記載されている。[Cu2(dhba)2bpy]n(42)は、図5に示されているように、ホスト分子を包接するか、放出するかによってdhbaの部分においてスタック構造が変化し、ホスト分子の吸脱着曲線においてヒステリシスが見られるという特徴を有している。即ち、吸着と脱離とが不可逆的に行われる。
【0063】
本実施形態で用いる抗菌剤はヨウ素(46)である。ヨウ素(46)は、抗菌剤として非常に優れた性質を有している。具体的には、ヨウ素(46)は塩素、臭素よりも殺菌力が強く、細菌、ウイルス、酵母、かび等の微生物に有効で抗菌スペクトルは広範囲に及び、抗生物質のように耐性菌を作らない。また、塩素、臭素より酸化作用、腐食性が小さく、生物に対して安全で機械や容器等を痛めにくい。
【0064】
抗菌剤としてのヨウ素(46)は、アルコール等の溶液として供給装置(31)から回転ロータ(22)に供給され、[Cu2(dhba)2bpy]n(42)に取り込まれ包接される。そして、回転ロータ(22)が回転し、脱離側区域に入ったらヒータ(26)に加熱され、その熱によって[Cu2(dhba)2bpy]n(42)からヨウ素(46)が脱離する。それから、ヨウ素(46)は回転ロータ(22)の下流に配置されている送りファン(27)により空気ダクト(21)に導入され、室内機(10)に送られ、室内に放出される。
【0065】
本実施形態では、ヨウ素(46)の放出量は回転ロータ(22)の回転速度とヒータ(26)が発する熱の大きさとによって定まり、これらをコントロールすれば単位時間当たり所望の放出量で抗菌剤であるヨウ素(46)を定常的に放出させることができる。これは抗菌剤を単に蒸散させるこれまでの方法では簡単にはできなかったことである。回転ロータ(22)の回転速度と熱の大きさとは容易にコントロールできるので、ヨウ素(46)の放出量の制御は容易に行うことができる。抗菌剤はヨウ素(46)に限定されず、無機系の抗菌剤や有機系の抗菌剤等を用いても構わない。
【0066】
(実施形態3)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、水分を室外で吸着し室内に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態1と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図6を参照して説明する。
【0067】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(40)は、実施形態1と同様に回転ロータ(22)と脱離手段としてのグリッド電極(32,32)と送りファン(27)とを備え、さらに実施形態1とは異なり吸着側区域には供給装置(31)がなく、替わりに吸着側通路(23)の下流側に除湿ファン(24)を備えている。
【0068】
本実施形態では回転ロータ(22)に担持された吸着剤として錯体である[Cu2(pzdc)2(azo)](ここで、pzdc=pyrazinedicarboxylate、azo=azopyridine)を用いている。[Cu2(pzdc)2(azo)]はH2O分子を選択的に取り込む包接空間を有している。
【0069】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(40)では、除湿ファン(24)を運転して外気を吸着側通路(23)に導入し回転ロータ(22)を通過させる。この時に回転ロータ(22)に担持された[Cu2(pzdc)2(azo)]に、外気に含有される水分が吸着される。回転ロータ(22)は水を吸着したまま回転していき、脱離側区域に到達すると、グリッド電極(32,32)からなる脱離手段により[Cu2(pzdc)2(azo)]に包接・吸着された水が放出される。この水は、送りファン(27)により空気ダクト(21)に導入され、室内機(10)に送られ、室内に放出される。
【0070】
本実施形態では、水分の放出量は回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとによって定まり、これらをコントロールすれば単位時間当たり所望の放出量で水分を定常的に放出させることができる。これは水分を単に蒸散させるこれまでの方法では簡単にはできなかったことである。回転ロータ(22)の回転速度と電場の大きさとは容易にコントロールできるので、水分の放出量の制御は容易に行うことができる。また、水分を放出させるエネルギーは小さくて済むので、エネルギーの消費も少なくできる。さらに、水は外気に含まれている水分を利用するので、水の供給装置は不要である。
【0071】
(実施形態4)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、空調機内の悪臭成分を吸着し室外に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態1と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図7を参照して説明する。
【0072】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(50)は、実施形態1とは異なり室内機(10)内に設置されており、吸脱部材(52)と吸着側ファン(28a,28b)と脱離ファン(29)とグリッド電極(32,32)と電源(33)と駆動モータ(54)と連結部材(53)とを備えている。
【0073】
吸着部材(52)は矩形であり、この基材としては、セラミック紙、ガラス繊維、セルロースを主成分とした有機化合物(例えば、紙)、金属、樹脂等の材料が好適に用いられる。そしてこの基材には、錯体である[Cu2(bdc)2bpy]n(ここで、bdc=biphenyldicarxylic acid、bpy=bipyridine)が担持されている。この錯体は、悪臭成分の分子を取り込んで包接する包接空間を有している。
【0074】
次に本実施形態に係る吸脱着ユニット(50)の運転動作について説明をする。
【0075】
吸脱部材(52)は、悪臭成分を吸着する部分と、吸着した悪臭成分を脱離する部分との2つの部分からなっており、これらの部分は駆動モータ(54)に動かされる連結部材(53)によって交互に入れ替わる。即ち、図7において吸脱部材(52)の右側が吸着する部分であって吸着側ファン(28a)により室内機(10)内の悪臭成分が吸脱部材(52)内に送り込まれており、左側が脱離する部分であってグリッド電極(32,32)により生じた電場内に置かれ脱離ファン(29)により脱離した悪臭成分は空気ダクト(21)を通って室外に排気されるのであるが、吸着する部分が悪臭成分で飽和したときには、駆動モータ(54)を運転して吸脱部材(52)を左側に移動させて、吸脱部材(52)の今まで吸着する部分であったところをグリッド電極(32,32)間に置いて、悪臭成分を室外に排気する。一方、吸脱部材(52)の今まで脱離する部分であったところは左側に移動して、そこに設置されている別の吸着側ファン(28b)により室内機(10)内の悪臭成分を吸着するようになる。この部分が悪臭成分で飽和したら、駆動モータ(54)を運転して吸脱部材(52)を右側に移動させる。
【0076】
本実施形態では、錯体からなるホスト物質により悪臭成分を短時間で効率よく室内機(10)から除去することができる。また、悪臭成分を脱離するエネルギーが少なくて済む。悪臭成分は、アンモニア、かび臭などどのようなものでもよく、その成分に適したホスト物質を選べばよい。また、悪臭成分に限らず、人体に有毒なガスの除去に本実施形態の吸脱着装置を用いてもよい。
【0077】
(実施形態5)
本実施形態の吸脱着装置は、実施形態1と同様に空調機と一体に形成されており、空調機内の有害物質を吸着し室外に放出させる構成となっている。なお、本実施形態は、実施形態2と吸脱着装置の部分のみが異なっているので、この吸脱着装置を、図9を参照して説明する。
【0078】
本実施形態に係る吸脱着ユニット(60)は、実施形態2とは異なり室内機(10)内に設置されている。一方、吸脱着ユニット(60)の構造は、実施形態2の吸脱着ユニット(30)とよく似ており、回転ロータ(22)と脱離手段としてのヒータ(26)とを有しているが、吸着側ファン(28)および脱離ファン(29)を備えていること及び供給装置は備えていないことが異なっている。
【0079】
本実施形態では、空調機内の有害物質が吸着側通路(23)の下流側の吸着側ファン(28)によって回転ロータ(22)に担持された吸着剤に吸着され、この吸着された有害物質が脱離側区域においてヒータ(26)の熱で吸着剤から脱離して、脱離ファン(29)により空気ダクト(21)を通過して室外に排出される。
【0080】
本実施形態に用いられる吸着剤として機能する錯体は、[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)である。
【0081】
図8に[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)のCO2吸着等温線を示す。横軸は圧力の相対値を示しており、0.9が大気圧である。この図からわかるように、0℃で有害物質であるCO2を吸着したとすると吸着量は0.8であり、60℃に加熱してCO2を脱離させると吸着残量が0.2であるので、最初の吸着量の75%が脱離されることになる。従って脱離量のコントロールが容易に行える。
【0082】
これまでに説明した実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、空気調和機以外に空気浄化装置や芳香剤蒸散装置などに用いても構わない。
【0083】
所定の物質、例えば芳香物質や抗菌剤、水、有害物質を取り込んで包接するホスト物質は、上記の錯体以外でも構わない。例えば、[M3(btc)2(H2O)]n(ここで、M=Co、Ni、Zn、btc=1,3,5-benzenetricarboxylate)、[Co(btcH)(py)2]n(ここで、btcH=1,3,4-benzenetricarboxylate、py=pyridine)、[M2(4,4’−bpy)3(NO3)4]n(ここで、M=Co、Ni、Zn、bpy=bipyridine)、[M2(bdc)2]n(ここで、M=Cu、Zn、bdc=biphenyldicarxylic acid)といった錯体を用いてもよい。
【0084】
さらに、図10の構造を有する物質も本願発明のホスト物質として好ましく用いることができる。図10においてMは金属であり、Xはスペーサ分子である。MはCoやCuであることが好ましい。また、Xはアミド基を有する有機物であることが好ましく、例えばN-3ピリジルニコチンアミド、(N-2-ピリジン-4-イルエチル)-イソニコチンアミドを挙げることができる。具体的な例を、図11,図12に示す。
【0085】
上記の実施形態では、回転ロータ(22)や吸脱部材(52)の基材をハニカム状に形成しているが、これに限らず基材をメッシュ状やフィルタ状に形成してもよい。この場合であっても、回転ロータ(22)や吸脱部材(52)は、空気が通過できるように構成される。また、回転ロータ(22)を円板状に形成しているが、これに限らず多角形の板状に形成してもよい。吸脱部材(52)の形状も矩形以外でもよく、例えば円板状にしてもよい。さらに、ホスト物質の担持体を粒子状のものにしても構わない。この場合、この担持体を、吸着ゾーンと脱離ゾーンとの間を風送などで移動させてもよい。
【0086】
上記の実施形態1〜3では、室外に吸脱着装置をおいているが、室内に置いても構わない。また、実施形態1の吸脱着装置を実施形態2に用いてもよく、その逆でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明に係る吸脱着装置は、所定の物質を吸着して小さなエネルギーで脱離させることができ、空気調和機等に用いる吸脱着装置などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施形態1に係る空調機の模式図である。
【図2】実施形態1に係る吸脱着装置の模式図である。
【図3】[Cu2(terephthalate)2N(C2H4)3]n(41)の模式的な構造図である。
【図4】実施形態2に係る吸脱着装置の模式図である。
【図5】[Cu2(dhba)2bpy]n(42)の模式的な吸脱着の様子を示した図である。
【図6】実施形態3に係る吸脱着装置の模式図である。
【図7】実施形態4に係る吸脱着装置の模式図である。
【図8】錯体の吸着等温線である。
【図9】実施形態5に係る吸脱着装置の模式図である。
【図10】ホスト物質の1種の模式的な構造図である。
【図11】ホスト物質の1種の具体的な構造図である。
【図12】別のホスト物質の具体的な構造図である。
【符号の説明】
【0089】
20,30,40,50、60 吸脱着ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物質の分子を取り込んで保持する包接空間を有しているホスト物質を備え、
前記包接空間と外部空間とは、錯体により仕切られている、吸脱着装置。
【請求項2】
前記ホスト物質は、前記所定の物質のみを選択的に取り込む、請求項1に記載の吸脱着装置。
【請求項3】
前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、電場の存在する空間に置かれることにより該所定の物質を脱離させる、請求項1または2に記載の吸脱着装置。
【請求項4】
前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、加熱されることにより該所定の物質を脱離させる、請求項1または2に記載の吸脱着装置。
【請求項5】
前記所定の物質は、芳香物質である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項6】
前記所定の物質は、抗菌剤である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項7】
前記所定の物質は、水である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項8】
前記所定の物質は、有害物質である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項9】
前記ホスト物質に前記所定の物質を供給する供給手段を備えている、請求項1から7のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項10】
前記ホスト物質は、前記所定の物質を取り込む吸着ゾーンと、該所定の物質を脱離させる脱離ゾーンとの間を移動する、請求項1から9のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項11】
前記ホスト物質を担持する担体をさらに備える、請求項1から10のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項1】
所定の物質の分子を取り込んで保持する包接空間を有しているホスト物質を備え、
前記包接空間と外部空間とは、錯体により仕切られている、吸脱着装置。
【請求項2】
前記ホスト物質は、前記所定の物質のみを選択的に取り込む、請求項1に記載の吸脱着装置。
【請求項3】
前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、電場の存在する空間に置かれることにより該所定の物質を脱離させる、請求項1または2に記載の吸脱着装置。
【請求項4】
前記所定の物質を取り込んでいる前記ホスト物質は、加熱されることにより該所定の物質を脱離させる、請求項1または2に記載の吸脱着装置。
【請求項5】
前記所定の物質は、芳香物質である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項6】
前記所定の物質は、抗菌剤である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項7】
前記所定の物質は、水である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項8】
前記所定の物質は、有害物質である、請求項1から4のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項9】
前記ホスト物質に前記所定の物質を供給する供給手段を備えている、請求項1から7のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項10】
前記ホスト物質は、前記所定の物質を取り込む吸着ゾーンと、該所定の物質を脱離させる脱離ゾーンとの間を移動する、請求項1から9のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【請求項11】
前記ホスト物質を担持する担体をさらに備える、請求項1から10のいずれか一つに記載の吸脱着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−617(P2006−617A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371995(P2004−371995)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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