説明

吹付装置及び吹付施工方法

【課題】無機繊維とセメントミルクとを完全に混合した状態で噴射できる、吹付装置及び吹付施工方法を提供する。
【解決手段】空気流により、無機繊維が先端方向へと搬送される搬送ホース1と、搬送ホース1の下流側先端に接続され、無機繊維を噴射するための主噴射孔21aを備えたノズル2とを有し、搬送ホース1の側方から内部に水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方を注入するための、ホース区間注入部3が、上記搬送ホース1の先端寄り部分に設けられ、このホース区間注入部3よりも下流側における、搬送ホース1内部の空気流により、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方と、無機繊維とが混合されてノズル2に送られ、ノズル2の主噴射孔21aから噴射されるものであることを特徴とする吹付装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ロックウールなどの無機繊維を、建築構造物に対して吹き付けるための吹付装置及び吹付施工方法の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2000−153187号公報
【特許文献2】特開平7−91062号公報
【0003】
従来から、耐火性の向上などを目的として、解繊された状態にあるロックウール(岩綿)などの無機繊維を、建築構造物に対して吹き付けるための吹付装置が存在している。これは、無機繊維とセメントミルクとを混合させた状態で、高圧空気によりノズルから噴射し、この混合物を建築構造物の、骨組や天井面や壁面などに付着させるためのものである。
【0004】
この吹付装置の一例として、特許文献1に記載された「無機繊維吹付け用ガン」がある。これは、ホースの先端に取り付けられたノズルに関するもので、主通路と外方噴射ノズルとを有し、主通路において、空気流により運ばれた無機繊維とセメントミルクとを混合され、噴射されるものである。一方、主通路の外側に取り巻くようにして設けられた外方噴射ノズルからはセメントミルクのみが噴射される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなノズルの構造では、無機繊維とセメントミルクとの混合が不十分な状態で噴射されてしまう。よって、セメントミルクと混合できなかった分の無機繊維が、建築構造物に付着せずに落下してしまう可能性があった。この落下してしまう無機繊維は、場合によって、供給量に対して約10%にも及ぶことがあった。また、このように建築構造物に付着しなかった無機繊維が空中にキラキラと浮遊することにより、視界の悪化、清掃の負担増が生じていた。また、吹付施工現場では防塵マスクの着用が必要であったため、この吹き付け作業を行っている間は、同一現場内では他の作業を行うことが困難な状態となっていた。
【0006】
なお、本願出願人の一部らは、特許文献2に記載の発明において、落下した無機繊維を回収して再利用する機構を提案しているが、これは、上記の課題を抜本的に解決するものではなかった。
【0007】
本願発明は、無機繊維とセメントミルクとを完全に混合した状態で噴射できる、吹付装置及び吹付施工方法を提供することにより、上記の課題を解決せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、ロックウールなどの無機繊維Rを、建築構造物に対して吹き付けるための吹付装置10において、空気流により、無機繊維Rが先端方向へと搬送される搬送ホース1と、搬送ホース1の下流側先端に接続され、無機繊維Rを噴射するための主噴射孔21aを備えたノズル2とを有し、搬送ホース1の側方から内部に水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方を注入するための、ホース区間注入部3が、上記搬送ホース1の先端寄り部分に設けられ、このホース区間注入部3よりも下流側における、搬送ホース1内部の空気流により、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方と、無機繊維Rとが混合されてノズル2に送られ、ノズル2の主噴射孔21aから噴射されるものであることを特徴とする吹付装置を提供する。
【0009】
また、本願の請求項2に記載の発明は、上記のホース区間注入部3が、ノズル2の先端部から1m以上5m以下の距離に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の吹付装置を提供する。
【0010】
また、本願の請求項3に記載の発明は、上記のホース区間注入部3が、ホース区間注入部3の設けられた位置における搬送ホース1の内径を基準として、ノズル2の先端部から20倍以上100倍以下の距離に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の吹付装置を提供する。
【0011】
また、本願の請求項4に記載の発明は、上記のノズル2が、上記の主噴射孔21aと、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方を噴射する副噴射孔22aとを備えたものであり、この副噴射孔22aは、ノズル2の先端、若しくは、主噴射孔21aの属する通路21の内部に開口されたものであり、無機繊維RとセメントミルクCと水Wとが、或いは無機繊維RとセメントミルクCとが混合されて、建築構造物に対して、噴射されるものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の吹付装置を提供する。
【0012】
また、本願の請求項5に記載の発明は、上記の搬送ホース1の基端側には、解繊装置41とブロワー42とが設けられており、解繊装置41は、ロックウールなどの無機繊維Rの集合体を、空気流で搬送可能な大きさに解繊するためのものであり、ブロワー42は、上記解繊された無機繊維Rを搬送ホース1へと送り込む空気流を発生させるためのものであり、上記のホース区間注入部3には、水Wを供給するための水用ホース61とセメントミルクCを供給するためのセメントミルク用ホース51との少なくともいずれか一方が接続されており、ノズル2には、副噴射孔22aからセメントミルクCと水Wとの少なくともいずれか一方が噴射されるようにセメントミルク用ホース51と水用ホース61との少なくともいずれか一方が接続されており、セメントミルク用ホース51の基端側には、セメントミキサー52とセメントミルク用ポンプ53とが設けられており、セメントミキサー52は、セメントと水とを混合してセメントミルクCとするためのものであり、セメントミルク用ポンプ53は、セメントミルクCをセメントミルク用ホース51へ送るために加圧するためのものであることを特徴とする、請求項4に記載の吹付装置に記載の吹付装置を提供する。
【0013】
また、本願の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の吹付装置10を用い、ロックウールなどの無機繊維Rを、建築構造物に対して吹き付けることを特徴とする、吹付施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本願の請求項1〜3に記載の発明は、ホース区間注入部3が、搬送ホース1の先端寄り部分に設けられ、このホース区間注入部3よりも下流側における、搬送ホース1内部の空気流により、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方と、無機繊維Rとが混合されてノズル2に送られたことで、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方と、無機繊維Rとが、充分に混合した状態で噴射できたものであり、このことで、建築構造物に付着せずに落下してしまう無機繊維Rの量を大幅に減少させることができ、飛散する無機繊維Rの量を激減させることができた。その結果、良好な視界での作業が可能とり、清掃の負担も軽減でき、さらに、防塵マスクを付けずとも作業を行うことも可能となり、吹付施工現場の作業効率の大幅な改善に寄与することができたものである。
【0015】
また、本願の請求項4及び5に記載の発明は、搬送ホース1の途中で、無機繊維Rと、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方とが混合され、これにノズル2から供給されたセメントミルクCと水Wとの少なくともいずれか一方が混合されて、建築構造物に対して、噴射されるものであるため、無機繊維Rと、水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方とがホース中で充分に混合される。しかも、建築構造物に付着した段階ではセメントミルクCと水Wとの少なくともいずれか一方が、無機繊維R、と水WとセメントミルクCとの少なくともいずれか一方との混合物を外側から覆うといった形態となり、良好な付着状態を維持できる。
【0016】
また、本願の請求項6に記載の発明は、上記の効果を有する吹付施工方法を提供することができたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態の一例をとりあげて説明する。図1は、本願発明の第1の実施の形態に係る吹付装置の構成を示す概略図であり、図2は第2の実施の形態に係る吹付装置の構成を示す概略図である。図3は、本例のホースとノズルの構成を示す断面図である。
【0018】
本例の吹付装置10の基本構成を図1、図2に示す。従来と同様に、ロックウールなどの無機繊維Rを空気流に乗せて供給する経路と、セメントミルクCを供給する経路と水Wを供給する経路とを各々有し、各経路が途中で合流することにより、無機繊維RとセメントミルクCと水Wとを混合させることができるものとされている。
なお、図示はしないが、水Wを供給する経路を設けずに、無機繊維Rを供給する経路と、セメントミルクCを供給する経路とが合流することにより、無機繊維RとセメントミルクCとを混合させることができるものであっても良い。
【0019】
まず、無機繊維Rを供給する経路は、空気流により、無機繊維Rが先端(下流)方向へと搬送される搬送ホース1と、搬送ホース1の下流側先端に接続され、無機繊維Rを建築構造物に向けて噴射するためのノズル2とを有するものからなる。搬送ホース1の長さは50m〜200mが実用的な範囲である。本例で用いられる搬送ホース1は、長さが50mとされており、先端寄りの20mでは内径が50mm、基端寄りの30mでは内径が65mmとされている。
【0020】
ノズル2は、図3に示すように、内部に搬送ホース1と連通する通路21を備えたものである。この通路21の先端は主噴射孔21aとして開口されている。本例のノズル2は、主噴射孔21aの他に副噴射孔22aを備えたものとされているが、これについては後述する。
【0021】
上記搬送ホース1の基端側には、図1、図2に示すように、解繊装置41とブロワー42とが設けられている。解繊装置41は、無機繊維Rの集合体を、空気流で搬送可能な大きさに解繊するためのものであり、内部に回転刃などの機械的な解繊手段が設けられたものである。ブロワー42は、上記解繊された無機繊維Rを搬送ホース1へと送り込む空気流を発生させるためのものである。ブロアー42は、従来と同様のものなどを適宜選択して用いることができる。本例では、風量が3〜4m3のものが用いられており、噴射圧力は0.7MPaとされている。
これにより、ブロワー42から送られる空気流に、解繊装置41により解繊された無機繊維Rを乗せ、搬送ホース1を通じて無機繊維Rを搬送し、ノズル2の主噴射孔21aから噴射させることができる。
【0022】
一方、セメントミルクCを供給する経路は、セメントミルク用ホース51を有するものとされている。
上記のセメントミルク用ホース51の基端側には、セメントミキサー52とセメントミルク用ポンプ53とが設けられている。セメントミキサー52は、粉状のセメントと水とを混合して、液状のセメントミルクCとするためのものであり、セメントミルク用ポンプ53は、セメントミルクCをセメントミルク用ホース51へ送るための加圧をなすものである。なお、本例では、セメントと水との混合比が1:2とされているが、適宜変更可能である。また本例では、無機繊維RとセメントミルクCとの供給量は、重量比で6:4とされている。
【0023】
上記の各経路の合流は、搬送ホース1の先端寄り部分に設けられたホース区間注入部3、或いは、このホース区間注入部3とノズル2の先端若しくは通路21の内部とにてなされる。このうち、ホース区間注入部3には、搬送ホース1の側面に、図1に示す第1の実施の形態では、水用ホース61が接続される。また、図2に示す第2の実施の形態では、セメントミルク用ホース51が接続される。水用ホース61の基端側には、図1、図2に示すように、水タンク62と水用ポンプ63とが設けられている。水用ホース61から供給される水Wと、セメントミルク用ホース51から供給されるセメントミルクC中の水の重量比率は1:10とされているが、この値は適宜変更し得る。
なお、上記第1の実施の形態では、ホース内には水Wを供給し、セメントミルクCを供給しないため、ホース内で、セメントミルクが詰まってしまうという懸念を解消し得るという効果を有する。
【0024】
ホース区間注入部3は、図3に示すようなものであり、管部材31と分配部材32とを備える。管部材31は、搬送ホース1が中断された部分に挿入されたものであり、本例では外径が、ホース1の内径と一致する50mmとされている。そして、内周面には注入孔33が設けられている。この注入孔33は、水W又はセメントミルクCを円滑に注入できるものであればよく、本例では周方向に等間隔に4〜10カ所に設けられた直径1〜3mmの貫通孔であって、図3に示すように、空気流の下流方向に向け約45°の角度を持って設けられている。なお、注入方向(言い換えれば注入穴33の方向)は、上記のように下流側に向いたものであってもよく、上流側に向いたものであってもよく、空気流に略直交するものであってもよく、適宜変更して実施し得る。
【0025】
分配部材32は、管部材31の外周を取り巻くように設けられた中空の筒状体である。この分配部材32は、接続されたホース51、61から供給された水W又はセメントミルクCを、管部材31の注入孔33に均等に分配するためのものである。本例では外径が75mmとされており、外周面に水用ホース61又はセメントミルク用ホース51が接続可能とされており、両者61、51を途中で合流させて接続することもできる。また、管部材31の外周面と当接する部分にはOリング34が設けられており、漏れ防止が図られている。また、洗浄時には管部材31と分配部材32とを分解することができる。
【0026】
なお、このホース区間注入部3は、本例のもの以外に、例えば、注入孔33を直接搬送ホース1の側面に設けておき、その注入孔33が設けられた部分を覆うように分配部材32のみを設けても良く、種々の形態で実施が可能である。
【0027】
上記ノズル2の先端部とホース区間注入部3との間の距離は、小さすぎると、無機繊維Rに対して水WやセメントミルクCが良好に混合されず、大きすぎると、無機繊維Rと水WやセメントミルクCとの混合物の粘度の影響で、噴射の勢いが低下してしまう。よって、搬送ホース1、ノズル2その他の配管抵抗やブロワー42の容量を考慮の上、最適値を決定することが望ましい。具体的には、このホース区間注入部3の、無機繊維Rを供給する経路中の位置は、ノズル2の先端部から1m以上5m以下、より望ましくは1m以上4m以下の距離、ホース区間注入部3の設けられた位置における搬送ホース1の内径を基準とした表現では、ノズル2の先端部から20倍以上100倍以下、より望ましくは20倍以上80倍以下の距離とする。なお、本例の場合、上記のように搬送ホース1が中断され、ホース区間注入部3が挿入された構造のため、上記搬送ホース1の内径とは、ホース区間注入部3の管部材31が接続された、すぐ上流側或いは下流側における搬送ホース1の内径を指す。
【0028】
ここで、搬送ホース1の内部において、空気流中の無機繊維Rの流れは乱流状態にあるため、このホース区間注入部3で水W又はセメントミルクCをホース内に注入することで、無機繊維Rに対して水W又はセメントミルクCを良好に混合することができる。従来においては、ノズル内で各経路が重ね合わされていたため、混合が不十分なまま無機繊維Rの噴射がなされる虞があったが、本願発明においては、ホース内で乱流が生ずると共に、ホース区間注入部3からノズル2の主噴射孔21aまでの距離が充分に確保できるため、噴射後、建築構造物に付着せずに落下してしまう無機繊維Rの量を従来の1/10程度と、大幅に減少させることができる。
【0029】
次に、図1に示した第1の実施の形態では、セメントミルク用ホース51がノズル2に接続されている。また、図2に示した第2の実施の形態では、水用ホース61がノズル2に接続されている。なお第2の実施の形態では、水用ホースを61を接続せずに実施することもできる。また、図示はしないが、上記第2の実施の形態と同様、ホース区間注入部3にセメントミルク用ホース51が接続された状態であって、更にノズル2にもセメントミルク用ホース51が接続されたものとしても良い。つまり、ホース区間注入部3とノズル2とにホースを接続した場合において、各々の箇所で供給される物質の組み合わせは、水WとセメントミルクC(第1の実施の形態)、セメントミルクCと水W(第2の実施の形態)、セメントミルクCとセメントミルクC、の3種である。
【0030】
ノズル2は、上記の主噴射孔21aに加え、水W又はセメントミルクCを噴射する副噴射孔22aを備える。そして、副噴射孔22aは、本例のノズル2においては、図3に示すように、主噴射孔21aの周囲に取り巻くように設けられている。セメントミルク用ホース51又は水用ホース61はノズル2の側面に接続されており、セメントミルクC又は水Wが、ノズル2の内部における副通路22を通り、副噴射孔22aから噴射される。
【0031】
なお、上記の無機繊維Rを速やかに落下させる効果をより効果的に発揮させるためには、ノズル2からの噴射後において、主噴射孔21aからの噴射物の流れの外側に、副噴射孔22aから噴射物の流れが存在する、つまり、外側から包み込むような状態での噴射がなされるように、主噴射孔21aと副噴射孔22aとの位置を定めることが望ましい。
【0032】
また、本例では、主噴射孔21aと副噴射孔22aとが各々ノズル2の外部に開口されたものとされているが、これに限られず、副噴射孔22aを、主噴射孔21aの属する通路21に開口されたものとしても良い。また、この副噴射孔22aから、水WとセメントミルクCとを混合したものを噴射するものとしても良い。
【0033】
次に、本願出願人が、ホース区間注入部3の位置を種々に変更した実施例についての実機テストを行ったので、結果を表1及び表2に示す。表1は図1に示した第1の実施の形態によるもの、表2は図2に示した第2の実施の形態によるものである。このテストは、ホース区間注入部3の、ノズル2の先端部からの距離を1m、2m、3m、4m、5mとした実施例の各々と、ノズル内で無機繊維RとセメントミルクCとの混合をなすタイプの従来品とを用いて行った。
【0034】
まず、噴射後の粉塵の発生を目視で確認し、相対的に評価した。表中の「×」は作業者のマスク着用が必須な程に大量の粉塵が発生したもの、「△」はマスク着用をした方が良いと思われる程度の粉塵が発生したもの、「○」はほとんど粉塵が発生しなかったもの、「◎」は粉塵が発生しなかったものを示す。この試験項目にあっては、第1の実施の形態では、距離1m〜5mが快適に使用できる範囲であり、特に、距離2m〜3mにおいて特に好ましい結果が得られた。第2の実施の形態では、距離2m〜5mが快適に使用できる範囲であり、特に、距離3m〜5mにおいて特に好ましい結果が得られた。
【0035】
次に、噴射後の無機繊維Rの床面への落下量を目視で確認し、相対的に評価した。表中の「×」は大量の落下が確認されたもの、「△」は落下が確認されたもの、「◎」は落下が確認されなかったものを示す。この試験の結果、第1の実施の形態では、距離1m〜3mにおいて特に好ましい結果が得られた。第2の実施の形態では、距離2m〜4mにおいて特に好ましい結果が得られた。
【0036】
次に、噴射後、建築構造物に付着した状態における、無機繊維RとセメントミルクCとの混合物の表面に無機繊維Rが露出している割合を目視で確認し、面積比で評価した。従来品が50%程度の露出であったのに対し、第1の実施の形態では距離1m〜5mの実施品が、第2の実施の形態では距離2m〜5mの実施品が、5〜10%の露出と、無機繊維RのほとんどをセメントミルクCに埋没するものとでき、建築構造物に対し、より強固に混合物を付着させることができることが確認できた。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本願の第1の実施の形態に係る吹付装置の構成を示す概略図である。
【図2】本願の第2の実施の形態に係る吹付装置の構成を示す概略図である。
【図3】本例のホースとノズルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 吹付装置
1 搬送ホース
2 ノズル
21 通路
21a 主噴射孔
22a 副噴射孔
3 ホース区間注入部
41 解繊装置
42 ブロワー
51 セメントミルク用ホース
52 セメントミキサー
53 セメントミルク用ポンプ
61 水用ホース
C セメントミルク
R 無機繊維
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックウールなどの無機繊維(R)を、建築構造物に対して吹き付けるための吹付装置(10)において、
空気流により、無機繊維(R)が先端方向へと搬送される搬送ホース(1)と、
搬送ホース(1)の下流側先端に接続され、無機繊維(R)を噴射するための主噴射孔(21a)を備えたノズル(2)とを有し、
搬送ホース(1)の側方から内部に水(W)とセメントミルク(C)との少なくともいずれか一方を注入するための、ホース区間注入部(3)が、上記搬送ホース(1)の先端寄り部分に設けられ、
このホース区間注入部(3)よりも下流側における、搬送ホース(1)内部の空気流により、水(W)とセメントミルク(C)との少なくともいずれか一方と、無機繊維(R)とが混合されてノズル(2)に送られ、ノズル(2)の主噴射孔(21a)から噴射されるものであることを特徴とする吹付装置。
【請求項2】
上記のホース区間注入部(3)が、ノズル(2)の先端部から1m以上5m以下の距離に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の吹付装置。
【請求項3】
上記のホース区間注入部(3)が、ホース区間注入部(3)の設けられた位置における搬送ホース(1)の内径を基準として、ノズル(2)の先端部から20倍以上100倍以下の距離に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の吹付装置。
【請求項4】
上記のノズル(2)が、上記の主噴射孔(21a)と、水(W)とセメントミルク(C)との少なくともいずれか一方を噴射する副噴射孔(22a)とを備えたものであり、
この副噴射孔(22a)は、ノズル(2)の先端、若しくは、主噴射孔(21a)の属する通路(21)の内部に開口されたものであり、
無機繊維(R)とセメントミルク(C)と水(W)とが、或いは無機繊維(R)とセメントミルク(C)とが混合されて、建築構造物に対して、噴射されるものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の吹付装置。
【請求項5】
上記の搬送ホース(1)の基端側には、解繊装置(41)とブロワー(42)とが設けられており、
解繊装置(41)は、ロックウールなどの無機繊維(R)の集合体を、空気流で搬送可能な大きさに解繊するためのものであり、
ブロワー(42)は、上記解繊された無機繊維(R)を搬送ホース(1)へと送り込む空気流を発生させるためのものであり、
上記のホース区間注入部(3)には、水(W)を供給するための水用ホース(61)とセメントミルク(C)を供給するためのセメントミルク用ホース(51)との少なくともいずれか一方が接続されており、
ノズル(2)には、副噴射孔(22a)からセメントミルク(C)と水(W)との少なくともいずれか一方が噴射されるようにセメントミルク用ホース(51)と水用ホース(61)との少なくともいずれか一方が接続されており、
セメントミルク用ホース(51)の基端側には、セメントミキサー(52)とセメントミルク用ポンプ(53)とが設けられており、
セメントミキサー(52)は、セメントと水とを混合してセメントミルク(C)とするためのものであり、
セメントミルク用ポンプ(53)は、セメントミルク(C)をセメントミルク用ホース(51)へ送るために加圧するためのものであることを特徴とする、請求項4に記載の吹付装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の吹付装置(10)を用い、ロックウールなどの無機繊維(R)を、建築構造物に対して吹き付けることを特徴とする、吹付施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−61758(P2007−61758A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252942(P2005−252942)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【出願人】(391020562)岡三機工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】