説明

周期性欠陥検出方法および周期性欠陥検出装置

【課題】発生周期が未知であっても用いることができ、かつ、同期加算に要する領域が少なくてもよい周期性欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】鋼板2に磁界をかける磁化器4,4’と、鋼板2の表面に漏洩する漏洩磁束を検出して表面測定データを取得する表面の磁気センサ5と、被検体の裏面に漏洩する漏洩磁束を検出して裏面測定データを取得する裏面の磁気センサ5’と、表面測定データおよび裏面測定データに基づいて周期性欠陥の発生周期を判定する周期性判定装置8と、鋼板2の表面および裏面の同一位置についての表面測定データと裏面測定データを組み合わせて同期加算するデータ列加算部91と、同期加算した測定データを用いて被検体に周期性欠陥があるか否かを判定する欠陥判定部92を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性体被検体上の周期性欠陥を検出する周期性欠陥検出方法および周期性欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄鋼板の製造プロセスにおいて、製造ライン内のロールに付着した異物(あるいはその異物がロールに噛み込んだことによってロール自体に生じた凹凸)が鋼板に転写され、ローキと呼ばれる周期性欠陥が鋼板に発生する場合がある。これらの周期性欠陥は、特に2つのロールによって鋼板が圧下されている場合、鋼板の両面に凹凸疵を発生させる(一方の面が凸疵であれば反対面は凹疵)。これらの疵が一旦発生するとロールを交換したり、プロセスを改善したりするまで継続して発生するため、周期性欠陥を早期に発見し対策を講じることは歩留向上の点からも極めて重要である。
【0003】
従来、この周期性欠陥の検出方法として、欠陥の周期性に着目した検出方法が数多く提案されている。例えば、まず被検体を欠陥検知用センサで計測し、予想される欠陥の周期(例えば鉄鋼ラインの最終圧延ロールの1回転に相当する長さ)で当該センサの出力信号を同期加算し、周期性を持つ欠陥信号をノイズ成分から強調する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記同期加算は欠陥の周期が予め判っている場合にしか用いる事が出来ない。したがって、欠陥の発生周期が事前に判らない又は変化しうる場合には、同期加算の前に欠陥周期の判定を行うことが一般的である。このための欠陥周期の判定の例としては、欠陥検知用センサで複数の疵候補を抽出し、これら複数の疵候補の間隔を比較して間隔が一致する場合に、この間隔を欠陥周期として判定するものがある。
【0005】
一方、実際の製造ラインでは、ロールと鋼板の接触の程度は必ずしも一様ではない。ロールと鋼板の接触の程度が弱い場合では、欠陥信号が弱くなるために、欠陥を検出できないことがある。また、周期性を持たない突発性の欠陥やノイズが周期性欠陥に混在するので、周期性欠陥及びその周期性を正確に検出することができないという問題点がある。そこで、周期性の判断のためにも欠陥信号の強調処理を実施する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−324005号公報
【特許文献2】特開2009−265087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば特許文献2記載の方法のように、十分な強度の信号を得るために何周期にもわたって同期加算を行う方法では、欠陥探傷に必要な領域が長手方向に大きく広がるため1つの製造コイルでは探傷が終わらず、次の製造コイルにかかってしまう場合がある。つまり、2個分の製造コイルが出荷不合格品となってしまうことがあり、結果として歩留まりが低下してしまう問題があった。したがって、欠陥の発生周期が未知であっても用いることができ、かつ、周期性欠陥からの信号が微小であっても同期加算に要する領域が少なくてもよい周期性欠陥検出装置及び周期性欠陥検出方法が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、周期性欠陥の発生周期が未知であっても用いることができ、かつ、周期性欠陥からの信号が微小であっても同期加算に要する領域が少なくてもよい周期性欠陥検出装置及び周期性欠陥検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる周期性欠陥検出方法は、磁化器を利用して被検体に磁界をかける磁化ステップと、前記被検体の表側に配置した磁気センサを用いて該被検体の表面の漏洩磁束を測定して表面測定データを取得する表面測定ステップと、前記被検体の裏側に配置した磁気センサを用いて該被検体の裏面の漏洩磁束を測定して裏面測定データを取得する裏面測定ステップと、前記被検体の表面および裏面の同一位置についての前記表面測定データと前記裏面測定データを組み合わせて同期加算する同期加算ステップと、前記同期加算した測定データを用いて前記被検体に欠陥があるか否かを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる周期性欠陥検出装置は、被検体に磁界をかける磁化器と、前記被検体の表面に漏洩する漏洩磁束を検出して表面測定データを取得する表面の磁気センサと、前記被検体の裏面に漏洩する漏洩磁束を検出して裏面測定データを取得する裏面の磁気センサと、前記表面測定データおよび前記裏面測定データに基づいて周期性欠陥の発生周期を判定する周期性判定手段と、前記被検体の表面および裏面の同一位置についての前記表面測定データと前記裏面測定データを組み合わせて同期加算する同期加算手段と、前記同期加算した測定データを用いて前記被検体に周期性欠陥があるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる周期性欠陥検出装置および周期性欠陥検出方法によれば、周期性欠陥の発生周期が未知であっても用いることができ、かつ、周期性欠陥からの信号が微小であっても同期加算に要する領域を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる周期性欠陥検出装置の模式図である。
【図2】図2は、周期性判定装置および欠陥判定装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、周期性判定装置および欠陥判定装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3に示す処理と鋼板における検査の対応を説明する図である。
【図5】図5は、周期性欠陥の周期と小領域の間隔が一致した場合の測定信号の模式図である。
【図6】図6は、周期性欠陥の周期と小領域の間隔が一致しない場合の測定信号の模式図である。
【図7】図7は、小領域の間隔を変化させた場合の測定信号の模式図である。
【図8】図8は、周期性判定装置および欠陥判定装置の前処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、間引き処理の説明を行う模式図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態にかかる周期性欠陥検出装置の模式図である。
【図11】図11は、第2実施形態における測定信号を説明する模式図である。
【図12】図12は、本発明の実施による周期性欠陥の検出例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる周期性欠陥検出装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1の構成を示す模式図である。なお、図1は、鋼板2の下に配置した機器を理解しやすいように透視図で示している。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1は、矢印方向に走行する鋼板2の表面および表層に存在する周期性欠陥3を検出するものである。ここで周期性欠陥3とは、圧延ロールに起因した表面欠陥が鋼板2の圧延方向(図1では矢印方向)に周期的存在しているものである。なお、本実施形態では、被検体を鋼板2として本発明を説明するが、被検体は鋼板2に限定されることはなく、磁界をかけることによって欠陥部位から漏洩磁束が発生する強磁性体材料全般において本発明を適切に実施することが可能である。
【0016】
図1に示す漏洩磁束探傷装置1は、磁化器4,4’と、磁気センサ5,5’と、信号前処理装置6,6’と、A/D変換装置7,7’と、周期性判定装置8と、欠陥判定装置9とを備える。また、磁化器4,4’は、鋼板2の表面検出用の磁化器4および裏面検出用の磁化器4’に区別され、磁気センサ5,5’は、鋼板2の表面検出用の磁気センサ5および裏面検出用の磁気センサ5’に区別される。
【0017】
表面検出用の磁化器4と磁気センサ5の組は、鋼板2を挟んで対向して配置し、鋼板2の裏側より磁化器4により鋼板2を磁化し、鋼板2の表面の漏洩磁束を磁気センサ5により検出する。一方、裏面検出用の磁化器4’と磁気センサ5’の組は、鋼板2を挟んで対向して配置し、鋼板2の表側より磁化器4’により鋼板2を磁化し、鋼板2の裏面の漏洩磁束を磁気センサ5’により検出する。なお、本実施形態では、上記のように磁化器4と磁気センサ5を、鋼板2を挟んで対向して配置する構成としたが、配置スペースおよび磁気の干渉が起きないよう配慮するかぎり、磁化器4と磁気センサ5を鋼板2の同じ側に配置することもできる。さらに、表面検出用の磁化器4と裏面検出用の磁化器4’を共通化する構成も可能である。
【0018】
なお、表面検出用の磁化器4および裏面検出用の磁化器4’には図示しない磁化電源からの直流電流が供給されており、この直流電源の直流時間電流は、表面検出用の磁化器4および裏面検出用の磁化器4’で等しく設定する。
【0019】
磁気センサ5,5’は、鋼板2の表面および裏面の漏洩磁束を検出信号として検出し、検出された検出信号は、増幅器及びフィルタ回路を内蔵した信号前処理装置6,6’による信号処理を経由して、A/D変換装置7,7’に入力される。A/D変換装置7,7’は、入力された検出信号をデジタルの測定データに変換し、変換後の測定データを周期性判定装置8に出力する。
【0020】
周期性判定装置8および欠陥判定装置9は、上述のように磁気センサ5,5’によって検出された検出信号を解析して周期性欠陥3の周期を抽出して欠陥の判定をするものである。以下、図2を参照しながら、周期性判定装置8および欠陥判定装置9について詳細に説明する。
【0021】
図2は、周期性判定装置8および欠陥判定装置9の機能ブロック図である。図2に示される周期性判定装置8は、データ記憶領域81と、第1の小領域選択部82と、第1の小領域データ設定部83と、第2の小領域選択部84と、第2の小領域データ設定部85と、類似性評価指数演算部86と、周期性判定部87とを備える。
【0022】
データ記憶領域81は、A/D変換装置7,7’によりA/D変換された検出信号を測定データ(ここでは、磁気センサ5および磁気センサ5’が幅方向に複数配置されているので2次元のデータ列となる)として記憶しておく記憶領域である。さらに、データ記憶領域81の内部は、表面検出用の磁気センサ5からの測定データと裏面検出用の磁気センサ5’からの測定データとを区別して格納するように構成する。
【0023】
第1の小領域選択部82は、データ記憶領域81に記憶されている測定データから、鋼板2の表面における第1の小領域についての測定データを選択する。第1の小領域データ設定部83は、第1の小領域選択部82が第1の小領域についての測定データを選択するために当該小領域の大きさと位置を設定するものである。
【0024】
第2の小領域選択部84は、データ記憶領域81に記憶されている測定データから、鋼板2の表面および裏面の測定データにおける第2の小領域の測定データを選択する。第2の小領域データ設定部85は、第2の小領域選択部84が第2の小領域の測定データを選択するために各小領域間の距離間隔を設定する。なお、本実施形態ではデータ記憶領域81内では表面の測定データと裏面の測定データを区別して格納しているので、それに対応して、第2の小領域選択部84を表面の測定データ用の第2の小領域選択部84と裏面の測定データ用の第2の小領域選択部84とに分けて構成することも可能である。
【0025】
類似性評価指数演算部86は、上述のように第1の小領域選択部82および第2の小領域選択部により選択された測定データを入力して、第1の小領域の測定データと第2の小領域の測定データとの類似性評価指数を算出する。周期性判定部87は、この類似性評価指数に基づいて測定データに周期性があるか否かの判定し、判定結果を欠陥判定装置9に出力する。
【0026】
図2に示されるように欠陥判定装置9は、データ列加算部91と欠陥判定部92と判定結果記憶部93とを備える。データ列加算部91は、周期性判定装置8の周期性判定部87によって判定された周期性欠陥の周期に基づいて、磁気センサ4および磁気センサ4’の測定データのデータ列を同期加算する。欠陥判定部92は、データ列加算部91によって同期加算された測定データから周期性欠陥に起因する信号であるか否かを判定する。判定結果記憶部93は、欠陥判定部92による判定結果を記憶するための機器である。
【0027】
以下、図3に示されるフローチャートを参照して、周期性判定装置8および欠陥判定装置9が行う処理について説明する。また、周期性判定装置8および欠陥判定装置9が行う処理と鋼板2における測定位置の対応を説明するために、以下の説明では図4を適宜参照する。
【0028】
図3に示されるフローチャートにかかる処理では、まず、製造ラインにおける最小のロール周長を周期候補dの初期値(欠陥周期の最小値)に設定する。
【0029】
その後、第1の小領域選択部82は、データ記憶領域81に記憶されている鋼板2の測定データから、鋼板2の幅方向hかつ圧延方向kの大きさの領域Aを基準領域として第1の小領域を選択する(ステップS1)。図4(a)を参照。
【0030】
第2の小領域選択部84は、データ記憶領域81に記憶されている鋼板2の測定データから、幅方向が領域Aと同じ位置かつ圧延方向に領域Aから距離dだけ離れた位置に領域Aと同じ大きさ(つまりh×k)で領域Bを選択する(ステップS2)。図4(a)を参照。
【0031】
さらに、第2の小領域選択部84は、同様に領域Aから2d離れた位置に領域Cを選択し、鋼板2の裏面における領域Aに対応する位置に領域Dを選択し、領域Dからd離れた位置に領域Eを選択する。なお、領域Aは上述の第1の小領域に相当し、領域B,C,D,Eは上記の第2の小領域に相当する領域である。
【0032】
類似性評価指数演算部86は、下記式1に従い、領域Aと領域B、領域Bと領域C、領域Cと領域D、領域Dと領域Eについての相関値RAB,RBC,RCD,RDEを求める(ステップS3)。
【数1】

ここで、x(i,j)は、鋼板2の表面の測定データにおける幅方向i番目かつ圧延方向j番目の点の値であり、y(i,j)は、鋼板2の裏面の測定データにおける幅方向i番目かつ圧延方向j番目の点の値である。
【0033】
その後、類似性評価指数演算部86は、同様に下記式2に従い、相関値RABと相関値RBCと相関値RCDと相関値RDEとを加算して類似性の評価指数Rを求める(ステップS4)。ここで、複数の領域の相関値を加算するのは領域ごとのバラツキや偏りなどの影響を排除しようとするものであり、周期性欠陥を検出する特有の処理である。
【数2】

【0034】
次に、周期性判定部87は、上記評価指数Rについて、予め設定された閾値以上の場合に周期性欠陥候補があると判定する(ステップS5)。この判定により、周期性欠陥候補があると判定された場合、その判定結果である周期dと測定データのデータ列を欠陥判定装置9に送信する。
【0035】
一方、この判定により、周期性欠陥候補があると判定されない場合、周期候補dをd+Δに変更して(d=d+Δ)上記ステップS2〜ステップS5の処理を繰り返す(ステップS6)。図4(b)を参照。
【0036】
なお、ここで、周期候補のずらし量Δは予め決めた領域の圧延方向の大きさkよりも小さい定数とする。検出漏れをなくすためには、Δ<k/2が望ましい。また、周期候補のずらし量dの変更の範囲は、周期性欠陥が発生し得る周期の範囲とする。鋼板2のラインではロール疵が発生し得る製造ライン内にあるロールの周長を網羅することが望ましい。なお、周期候補のずらし量dの変更は、各ロールについて想定される周長の前後範囲(例えば、数10mm程度の範囲)を行えばよいので、ライン内の各ロールの周長が大きく異なっており、周期性欠陥が発生しないとされる範囲がある場合には、その範囲に周期候補のずらし量dの値を設定しなくてもよい。
【0037】
次に、類似性評価の基準となる領域Aの位置を圧延方向にずらして上記のステップS1〜S6の処理を繰り返す(ステップS7)。この時の1回のずらし量としては、検出漏れを無くすために領域の圧延方向の大きさkの1/2よりも小さい値を設定することが望ましい。なお、ずらし量の下限は、デジタル化されたセンサ出力の測定した圧延方向サンプリング間隔であるが、演算時間がかかるので、適宜調節して設定することが可能である。
【0038】
さらに、類似性評価の基準となる領域Aの位置を幅方向にずらして上記ステップS1からS7の処理を繰り返す(ステップS8)。この時のずらし量としては、抜けなく評価するために領域の幅方向に対してその大きさhの1/2よりも小さい値を設定することが望ましい。
【0039】
以上の周期性判定を行った結果、周期dの周期性欠陥候補があると判定された場合には、データ列加算部91が、当該周期dに基づいて、鋼板2の両面の同じ測定位置の欠陥候補の検出信号のデータ列を所定回数(本実施例では領域Aから領域Eの5回分)同期加算する(ステップS9)。すなわち、上述と同様に、x(i,j)およびy(i,j)を鋼板2の表面および裏面の測定データにおける幅方向i番目かつ圧延方向j番目の点の値とすれば、同期加算値A(i,j)は以下の式3に示される値となる。
【数3】

【0040】
なお、データ列加算部91が行う同期加算では、欠陥候補の位置と周期が事前のステップで明確にわかっているため、領域Aと同じ(ないしは同じ程度)大きさの範囲についてのみの同期加算をすれば欠陥検出に十分である。つまり、最も簡単には欠陥候補を含むと判定された時点での片面の小領域A、B、C、および反対面の小領域D、Eの欠陥部の信号を同期加算すればよい。
【0041】
欠陥判定部92は、上記同期加算値A(i,j)が予め設定された閾値を超えた場合、この位置に周期性欠陥が存在すると判定し、当該欠陥の圧延方向、幅方向の位置、周期の長さおよびその周辺の領域の測定データを判定結果記憶部93に記憶する(ステップS10)。
【0042】
なお、上記判定における閾値の設定としては、周期性欠陥なしと判定された測定データを用いてノイズレベルNを決定し、このノイズレベルNを用いて、例えば3Nを閾値と設定する方法が考えられる(つまり、S/N>3の場合に欠陥とする)。なお、ノイズレベルNは、所定領域の最大値や平均自乗誤差により決定すればよい。また、幅方向に広がりをもった欠陥である場合には、同じ圧延方向位置について幅方向に積算するとS/Nが向上する効果があるので、この手法を組み合わせることもできる。
【0043】
以上、本発明の第1実施形態にかかる周期性判定装置8および欠陥判定装置9が行う処理について説明したが、上記処理手順は一例であり、その処理手順は適宜変更されてもよい。例えば、上記処理手順では、周期候補dを変更にかかる繰り返しループが領域Aの位置を変更する繰り返しループの中にあるが、逆であってもよい。また、ステップS5の類似性評価指標Rの評価処理についても、上記処理手順では類似性評価指標Rを算出する毎に実行するように説明したが、全ての繰り返し処理が完了した後に、類似性評価指標Rの評価処理を行うようにしてもよい。また、ステップS8のデータ領域Aにおける幅方向位置の変更は、1次元データを対象とする場合には行わなくてよい。
【0044】
ここで、上述の周期性判定に用いた相関値RAB,RBC,RCD,RDEおよび類似性評価指数Rについて、図5〜7を参照してより詳しく説明する。
【0045】
従来、鋼板2の表裏にそれぞれセンサを設置していたとしても、それぞれの面について独立に測定データの評価を行っていた。しかし本発明では、ロールによって発生する疵では疵の発生位置において表面、裏面ともに同等の信号を検出できることが明らかになったので、この知見を基に相関値RAB,RBC,RCD,RDEおよび類似性評価指数Rを定義してたものである。
【0046】
図5〜7は、類似性評価指数をもちいた周期性判定の原理について説明するための検出信号の模式図である。図5は、周期性欠陥の周期pと第1および第2の小領域の間隔dとが一致している場合を示した模式図であり、図6は、周期性欠陥の周期pと第1および第2の小領域の間隔dとが一致していない場合を示した模式図であり、図7は、周期性欠陥の周期pと第1および第2の小領域の間隔dを間隔d’に変化させた場合を示した模式図である。なお、図5〜7では、図解を容易にするために、2次元のデータ列の一部を抜粋して1次元のデータ列を用いて説明する。
【0047】
図5に示される周期性欠陥の周期pと第1および第2の小領域の間隔dとが一致している場合、第1の小領域Aに周期性欠陥が含まれれば、表面における第2の小領域B,Cおよび裏面における第2の小領域D,Eにおいても周期性欠陥が含まれる。したがって、上述の式1に従い、第1の小領域Aと第2の小領域Bなどにおける積和演算を計算する(つまり相関値RAB,RBC,RCD,RDEを計算する)と、欠陥に起因する信号が増幅される。したがって、これら4つの相関値RAB,RBC,RCD,RDEを加算した類似性評価指数Rとして算出すると、この類似性評価指数Rは欠陥の周期性を反映して大きな値となる。
【0048】
一方、図6のように第1の小領域Aに欠陥が含まれない、あるいは、間隔dが欠陥周期pと一致しない場合には、相関値RAB,RBC,RCD,RDEのうちどれかがたまたま大きな値であっても、全てが大きな値となることはないので、類似性評価指数Rは大きくならない。したがって、上述定義した類似性評価指数Rは、小領域の間隔dを周期候補としたときの周期性判定に利用することができるのである。
【0049】
上述の周期性判定装置8および欠陥判定装置9が行う処理は、上記の考え方に基づいてなされたものであり、例えば、図7のように、間隔dをd’(=d+Δd)のように少しずつ変えて所定の範囲(例えば、想定される欠陥周期の最大長まで)を網羅させ、間隔dの各々について類似性評価指数Rを求めることにより、当該間隔dを周期とする周期性の判定を行うのである。
【0050】
次に、図8のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る周期判定装置7及び欠陥判定装置8の処理を別の観点から説明する。以下で説明する処理は図3に示した処理に前処理を加えたものであり、説明の重複を避けるために図8のフローチャートの説明においても図3に示したステップを引用することにより説明を省略する。
【0051】
まず、初期設定としてA/D変換装置7,7’のサンプリングピッチを欠陥の最小長を検出可能とする値に設定し、磁気センサ5,5’の測定データを取得する(ステップS11)。当該測定データをデータ記憶領域81に記憶する(ステップS12)。このとき、表面測定用の磁気センサ5の測定データと裏面測定用の磁気センサ5’の測定データとを、データ記憶領域81内に記憶する。
【0052】
次に、取得した測定データの圧延方向に対して、ローパスフィルタ(例えば移動平均)を施す(ステップS13)。これは、後段の周期性演算を行う際に、データを間引くことから、欠陥位置とサンプリング位置とがずれても欠陥を検出できるようにするためである。つまり、測定データのままで間引き処理を行うと欠陥信号が残らない可能性があることを考慮している。
【0053】
その後、上記ステップS13の処理を施した測定データを、サンプリングピッチの数回に1回(例えば、4回に1回、2〜8回に1回でもよい)の割合で信号を利用することにより、周期性評価用データを作成する(ステップS14)。そして、作成された当該周期性評価用データをデータ記憶領域81に記憶する(ステップS15)。
【0054】
以降は、図3に示したステップS1〜S8までの処理を行う(ステップS16)。なお、ステップS15で、周期性評価用データを記憶するため記憶領域をデータ記憶領域81とは別に設けた場合、ステップS16はデータ領域81に記憶されている測定データに代えて、周期性評価用データ記憶領域に記憶されたデータを用いて行うこととなる。
【0055】
そして、ステップS16(つまり図3のステップS1〜S8)の処理にて周期性ありとなった場合、図3のステップS9〜S10の処理を行って欠陥判定を行う(ステップS17)。
【0056】
ここで、図9を参照しながら、上述ステップS14における間引き処理についての補足説明を行う。
【0057】
図9(A)から理解できるように、圧延方向の同位置にて幅方向に等間隔に離れた一連の幅方向データを利用する(図中ではピッチ4pの縞模様状の測定データを使用する)と、タイミングによっては欠陥の検出漏れが発生してしまう。そこで、このような事態を避けるためには、例えば図9(B)および(C)のように、幅方向に圧延方向位置をずらして間引くことにより、欠陥の検出漏れを抑制することが考えられる。
【0058】
〔第2実施形態〕
図10は、本発明の第2実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1の構成を示す模式図である。第1実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1は鋼板2の長手方向に励磁をする構成であったが、第2実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1は鋼板2の幅方向に磁化をする構成とし、鉛直方向の磁場を感知するセンサを幅方向に並べて漏洩磁束を検出する構成である。なお、図7も、鋼板2の下に配置した機器を理解しやすいように透視図で示したものである。
【0059】
図7に示す漏洩磁束探傷装置1は、磁化器4,4’と、磁気センサ5,5’と、信号前処理装置6,6’と、A/D変換装置7,7’と、周期性判定装置8と、欠陥判定装置9とを備える。また、磁化器4,4’は、鋼板2の表面検出用の磁化器4および裏面検出用の磁化器4’に区別され、磁気センサ5,5’は、鋼板2の表面検出用の磁気センサ5および裏面検出用の磁気センサ5’に区別される。
【0060】
表面検出用の磁化器4と磁気センサ5の組は、鋼板2を挟んで対向して配置し、鋼板2の裏側より磁化器4により鋼板2を幅方向に磁化し、鋼板2の表面の漏洩磁束を磁気センサ5により検出する。一方、裏面検出用の磁化器4’と磁気センサ5’の組は、鋼板2を挟んで対向して配置し、鋼板2の表側より磁化器4’により鋼板2を幅方向に磁化し、鋼板2の裏面の漏洩磁束を磁気センサ5’により検出する。
【0061】
周期性判定装置8および欠陥判定装置9は、第1実施形態と共通の構成であるので個々では詳細な説明を省略する。すなわち、周期性判定装置8および欠陥判定装置9は、図2に示した構成と共通の構成であり、図3および図8のフローチャートに示した処理を実行することができる。
【0062】
上記構成による漏洩磁束探傷装置1によれば、欠陥により発生する漏洩磁束は幅方向に正負の分布を持つことになる(図11を参照)。本実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1では、検出信号がこのような特徴的な正負のピークを持つので、図9(C)のようなデータサンプリング(測定データの間引き処理)を行ったとしても未検出となる確率が低減でき、周期性評価の精度を上げる事ができる。
【0063】
また、本実施形態にかかる漏洩磁束探傷装置1によれば、欠陥にかかる検出信号が幅方向に複数の磁気センサに渡って生じるので、2次元的な特徴を持つ欠陥信号についての類似性を評価することで、周期性を評価するうえでより精度良く評価を行うことが可能となる。
【0064】
〔検出例〕
ここで、本発明の実施による周期性欠陥の検出例を説明する。
【0065】
図12は、片面5周期分と裏面5周期分との周期性欠陥信号を同期加算した結果を示すグラフである。図12に示されるグラフから理解できるように、鋼板2の200mmの位置には周囲のノイズの影響を抑制して欠陥信号と考えられる信号が強調されている。したがって、表裏両面から得られる欠陥データによる評価でも同等に欠陥を検出することが可能であることが理解できる。
【0066】
従来の周期性欠陥の検出では、板幅1800mmの鋼板上の微小な周期性欠陥を検出するため、測定データを10周期の相関処理を繰り返し、幅方向に350mmの位置に約2000mm周期の欠陥を検出する必要があった。その場合、圧延ロールを交換して欠陥の発生源を解消しても、それまでに20m分の鋼板がライン上を通過しており、この部分は製品として出荷できなかった。
【0067】
しかしながら、本発明の実施によれば、同じ仕様の鋼板において、表裏両面で測定したデータで評価を行うことが可能である。すなわち、上記同様の約2000mmの周期を持つ周期性欠陥を検出ために、表面5周期および裏面5周期分の測定データから相関処理をするのみで十分である。したがって、従来は20m分の鋼板が不合格となっていたものが、10m分のみが製品として不合格となるだけある。
【0068】
以上より、本発明の実施にかかる周期性欠陥検出装置によれば、鋼板2に磁界をかける磁化器4,4’と、鋼板2の表面に漏洩する漏洩磁束を検出して表面測定データを取得する表面の磁気センサ5と、鋼板2の裏面に漏洩する漏洩磁束を検出して裏面測定データを取得する裏面の磁気センサ5’と、表面測定データおよび裏面測定データに基づいて周期性欠陥の発生周期を判定する周期性判定装置8と、鋼板2の表面および裏面の同一位置についての表面測定データと前記裏面測定データを組み合わせて同期加算するデータ列加算部91と、同期加算した測定データを用いて鋼板2に周期性欠陥があるか否かを判定する欠陥判定部92とを備えるので、周期性欠陥からの検出信号が微小であっても同期加算に要する領域が少なくてよく、欠陥探傷に要する領域が次のロットで製造される被検体にまで及ぶことがなくなるので歩留まりも向上する。
【0069】
さらに、本発明の実施にかかる周期性欠陥検出方法によれば、周期性判定装置8が、表面測定データから第1の小領域を選択する第1小領域選択部82と、表面測定データから第1の小領域と周期候補の距離だけ離れた位置に表面の第2の小領域を選択し、裏面測定データから第1の小領域および表面の第2の小領域に対応した位置に裏面の第2の小領域を選択する第2小領域選択部84と、第1の小領域、表面の第2の小領域、および裏面の第2の小領域における測定データの相関値から周期候補の類似性評価指数を算出する類似性評価指数算出部86と、類似性評価指数が閾値以上である場合に当該周期候補を周期性欠陥の発生周期として判定する周期判定部87とを備えるので、周期性欠陥の発生周期が未知であっても用いることができ、かつ当該小領域のみの測定データについての同期加算で周期性欠陥の判定を行える。
【0070】
以上より、本発明の実施にかかる周期性欠陥検出方法によれば、磁化器4,4’を利用して被検体に磁界をかける磁化ステップと、鋼板2の表側に配置した磁気センサ5を用いて鋼板2の表面の漏洩磁束を測定して表面測定データを取得する表面測定ステップと、鋼板2の裏側に配置した磁気センサ5’を用いて鋼板2の裏面の漏洩磁束を測定して裏面測定データを取得する裏面測定ステップと、鋼板2の表面および裏面の同一位置についての表面測定データと裏面測定データを組み合わせて同期加算する同期加算ステップと、同期加算した測定データを用いて鋼板2に欠陥があるか否かを判定する判定ステップとを含むので、周期性欠陥からの検出信号が微小であっても同期加算に要する領域が少なくてよく、欠陥探傷に要する領域が次のロットで製造される被検体にまで及ぶことがなくなるので歩留まりも向上する。
【0071】
さらに、本発明の実施にかかる周期性欠陥検出方法によれば、表面測定データと裏面測定データを組み合わせて該測定データの類似性評価指数を周期性欠陥の周期候補について算出する類似性評価指数算出ステップと、類似性評価指数が閾値以上である場合に周期候補を同期加算周期として選択する周期選択ステップを含み、同期加算ステップが、同期加算周期に基づいて同期加算するので、周期性欠陥の発生周期が未知であっても用いることができる。
【0072】
また、本発明の実施にかかる周期性欠陥検出方法によれば、表面測定データから第1の小領域を選択する第1小領域選択ステップと、表面測定データから第1の小領域と周期候補の距離を離れた位置に表面の第2の小領域を選択する表面の第2小領域選択ステップと、裏面測定データから第1の小領域および表面の第2の小領域に対応した位置に裏面の第2の小領域を選択する裏面の第2小領域選択ステップと、第1の小領域、表面の第2の小領域、裏面の第2の小領域における測定データの相関値を求める相関算出ステップを含み、類似性評価指数算出ステップが、相関値に基づいて類似性評価指数を算出するので、測定データから周期性判定を効率よく実行することができ、かつ当該小領域のみの測定データについての同期加算で周期性欠陥の判定を行える。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。例えば、漏洩磁束のセンサとしては、ホール素子、コイル、磁気抵抗素子、SQUID等の磁気センサが使える。また、幅方向にセンサを複数個並べているが、1個ないしは複数個のセンサをトラバースさせる方式でもかまわない。また、全幅を探傷しているが、幅方向の一部の領域を探傷する方式でもかまわない。特に、周期性の連続欠陥であれば、幅方向の一部の領域をある長さ探傷し、幅方向に位置を変えて繰り返し探傷する方式でもかまわない。
【符号の説明】
【0074】
1 漏洩磁束探傷装置
2 鋼板
3 周期性欠陥
4 磁化器
5 磁気センサ
6 信号前処理装置
7 A/D変換装置
8 周期性判定装置
9 欠陥判定装置
81 データ記憶領域
82 第1の小領域選択部
83 第1の小領域データ設定部
84 第2の小領域選択部
85 第2の小領域データ設定部
86 類似性評価指数演算部
87 周期性判定部
91 データ列加算部
92 欠陥判定部
93 判定結果記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に磁界をかける磁化ステップと、
該被検体の表面の漏洩磁束を測定して表面測定データを取得する表面測定ステップと、
該被検体の裏面の漏洩磁束を測定して裏面測定データを取得する裏面測定ステップと、
前記被検体の表面および裏面の同一位置についての前記表面測定データと前記裏面測定データを組み合わせて同期加算する同期加算ステップと、
前記同期加算した測定データを用いて前記被検体に周期性欠陥があるか否かを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする周期性欠陥検出方法。
【請求項2】
前記表面測定データと前記裏面測定データを組み合わせて、該測定データの類似性評価指数を周期性欠陥の周期候補について算出する類似性評価指数算出ステップと、
前記類似性評価指数が閾値以上である場合に前記周期候補を同期加算周期として選択する周期選択ステップと、をさらに含み、
前記同期加算ステップは、前記同期加算周期に基づいて同期加算することを特徴とする請求項1に記載の周期性欠陥検出方法。
【請求項3】
前記表面測定データから第1の小領域を選択する第1小領域選択ステップと、
前記表面測定データから前記第1の小領域と前記周期候補の距離だけ離れた位置に表面の第2の小領域を選択する表面の第2小領域選択ステップと、
前記裏面測定データから前記第1の小領域および前記表面の第2の小領域に対応した位置に裏面の第2の小領域を選択する裏面の第2小領域選択ステップと、
前記第1の小領域、前記表面の第2の小領域、および前記裏面の第2の小領域における測定データの相関値を求める相関算出ステップと、をさらに含み、
前記類似性評価指数算出ステップは、前記相関値に基づいて類似性評価指数を算出することを特徴とする請求項2に記載の周期性欠陥検出方法。
【請求項4】
被検体に磁界をかける磁化器と、
前記被検体の表面に漏洩する漏洩磁束を検出して表面測定データを取得する表面の磁気センサと、
前記被検体の裏面に漏洩する漏洩磁束を検出して裏面測定データを取得する裏面の磁気センサと、
前記表面測定データおよび前記裏面測定データに基づいて周期性欠陥の発生周期を判定する周期性判定手段と、
前記被検体の表面および裏面の同一位置についての前記表面測定データと前記裏面測定データを組み合わせて同期加算する同期加算手段と、
前記同期加算した測定データを用いて前記被検体に周期性欠陥があるか否かを判定する欠陥判定手段と、
を備えることを特徴とする周期性欠陥検出装置。
【請求項5】
前記周期性判定手段は、
前記表面測定データから第1の小領域を選択する第1小領域選択ステップと、
前記表面測定データから、前記第1の小領域と周期候補の距離だけ離れた位置に表面の第2の小領域を選択し、前記裏面測定データから、前記第1の小領域および前記表面の第2の小領域に対応した位置に裏面の第2の小領域を選択する第2小領域選択手段と、
前記第1の小領域、前記表面の第2の小領域、および前記裏面の第2の小領域における測定データの相関値から前記周期候補の類似性評価指数を算出する類似性評価指数算出手段と、
前記類似性評価指数が閾値以上である場合に前記周期候補を前記周期性欠陥の発生周期として判定する周期性判定部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の周期性欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−159437(P2012−159437A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20153(P2011−20153)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】