周波数制御回路、モータ駆動装置、周波数制御方法、モータ駆動装置の制御方法、及び、制御方法をコンピュータに実行させるプログラム
【課題】発振部の発振周波数及び各振動モードの駆動信号の位相差を細かく設定することを可能としたモータ駆動装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】振動波モータは、振動体4、圧電素子5、移動体7を備える。振動波モータ駆動回路は、CPU32、増幅回路33a、増幅回路33b、発振器部34、位置検出部35を備える。発振器部34は、加算器36に内蔵したカウンタにより単位時間あたりに発振周波数設定値を加算し、加算値がAモード及びBモードにそれぞれ対応して設定された設定値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、Aモード及びBモードにそれぞれ対応する位相差の異なる駆動信号を振動波モータに出力する。
【解決手段】振動波モータは、振動体4、圧電素子5、移動体7を備える。振動波モータ駆動回路は、CPU32、増幅回路33a、増幅回路33b、発振器部34、位置検出部35を備える。発振器部34は、加算器36に内蔵したカウンタにより単位時間あたりに発振周波数設定値を加算し、加算値がAモード及びBモードにそれぞれ対応して設定された設定値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、Aモード及びBモードにそれぞれ対応する位相差の異なる駆動信号を振動波モータに出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子により振動される振動体に接触した移動体を摩擦力により相対移動させる周波数制御回路、モータ駆動装置、周波数制御方法、モータ駆動装置の制御方法、及び、制御方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波モータもしくは圧電モータと称する振動波(振動型)モータが開発され、本出願人等によって実用化されている。振動波モータは、既によく知られているように、圧電素子もしくは電歪素子等の電気−機械エネルギ変換素子に交番電圧を印加することで該素子に高周波振動を発生させ、振動エネルギを連続的な機械運動として取り出すように構成した非電磁駆動式のモータである。振動波モータの動作原理については、本出願人による提案など(例えば、特許文献1参照)、既に多くの特許文献で公知であるので、説明を省略する。
【0003】
図12は、従来例に係る棒状の超音波モータの外観及び圧電素子の電圧供給及び出力電圧の取り出しを説明する図である。
【0004】
図12において、超音波モータ100は、端面に絶縁シート104が接合された振動体101、ロータ102、出力ギア103を備えている。振動体101は、圧電素子もしくは電歪素子と弾性体との結合体から構成される。振動体101は、圧電素子a1、b1、それを挟む電極板A−d、A'−d、B−d、B'−d、振動検出素子S1、電極板S−d、絶縁シート105を備えており、4相(ブロックA、A'、B、B')で駆動する構造となっている。尚、共通電極(GND)は存在しない。
【0005】
上記構成において、ブロックA、A'とブロックB、B'にそれぞれ位相が反転したduty50%の駆動信号を供給し駆動することで、圧電素子a1、b1の両端に逆位相の電圧が印加される。これにより、片側を共通電極にした構成の場合の半分の電源電圧で、超音波モータ100を駆動することができる。
【0006】
図13は、図12の棒状超音波モータ100の駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0007】
図13において、駆動回路は、スイッチング回路110a、110b、マイクロコンピュータ(以下マイコンと表記)111、電圧検出回路112、位相差検出回路113、インダクタンス素子114、116、キャパシタンス素子115、117を備えている。スイッチング回路110a、110bは、スイッチング素子にFETを用いている。また、各FETには、逆方向電流通過用ダイオードが設けられている。逆方向電流通過用ダイオードを設けることで、逆方向電流によるFETの破損を回避している。
【0008】
インダクタンス素子114、116、キャパシタンス素子115、117は、超音波モータ100とのインピーダンスを整合させる素子である。図12で説明した上記4相の駆動方法で、実際にはインピーダンス素子を図13に示す位置に付加することで、より低電圧且つ高効率で超音波モータ100を駆動することができる。尚、キャパシタンス素子115、117、は必ずしも付加しなくてもよい。
【0009】
電圧検出回路(例えばA/D変換器)112は、スイッチング回路110a、110bに供給する電源電圧の大きさVbatを検出し、マイコン111に取り込む。実際には電圧検出回路112で検出した結果に基づき駆動信号のパルス幅などを変更し、超音波モータ100に対する入力電力を制御する。
【0010】
図14は、より小型化を図るために提案された振動波アクチュエータの振動体の外観を示す斜視図である。
【0011】
図14において、振動波アクチュエータの振動体201は、金属材料からなり矩形の板状に形成された弾性体204、弾性体204の裏面に接合された圧電素子(電気−機械エネルギ変換素子)205、弾性体204の上面に配設された突起部206を備えている。この振動波アクチュエータについては公知であるため(例えば、特許文献2参照)、詳細は省略する。
【0012】
突起部206は、その先端において後述するように被駆動体に接触することで被駆動体を移動させる。振動体201は、2つの曲げ振動モードによる振動を励起することができ、この2つの曲げ振動モードを組み合わせることにより、突起部206の先端に楕円運動を生じさせるものである。
【0013】
図15(a)は、一方の曲げ振動モードを示す図、図15(b)は、他方の曲げ振動モードを示す図である。
【0014】
図15において、図15(a)に示す振動モードは、2つの曲げ振動モードのうち一方の曲げ振動モード(Aモードと呼ぶ)を表している。Aモードは、振動体201(弾性体204)の長辺方向(矢印X方向)における2次の屈曲振動であり、短辺方向(矢印Y方向)と平行な3本の節を有している。突起部206は、Aモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、Aモードの振動により矢印X方向で往復運動を行う。このように突起部206を配置することにより、突起部206を矢印X方向で最も大きく変位させることができる。
【0015】
また、図15(b)に示す振動モードは、2つの曲げ振動モードのうち他方の曲げ振動モード(Bモードと呼ぶ)を表している。Bモードは、振動体201(弾性体204)の短辺方向(矢印Y方向)における1次の屈曲振動であり、長辺方向(矢印X方向)と平行な2本の節を有している。ここで、Aモードにおける節と、Bモードにおける節は、XY平面内において略直交するようになっている。突起部206は、Bモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、Bモードの振動により矢印Z方向で往復運動を行う。このように突起部206を配置することにより、突起部206を矢印Z方向で最も大きく変位させることができる。
【0016】
即ち、上述したようにAモードの節とBモードの節を略直交させることにより、Aモードの節の位置とBモードの腹の位置とを一致させることができる。この位置に突起部206を配置することにより、突起部206の振動変位を最も大きくすることができ、高出力を得ることができるようになる。そして、上述したように突起部206をX方向及びZ方向で大きく変位させることにより、突起部206に接触する被駆動体に対して大きな駆動力を与えることができる。
【0017】
図16は、図14の振動体を備えた振動波アクチュエータの外観を示す斜視図である。
【0018】
図16において、振動波アクチュエータは、弾性体204、圧電素子205、突起部206からなる振動体と、スライダ207を備えている。上述したAモードとBモードの振動を所定の位相差で発生させることにより、突起部206の先端に楕円運動を発生させることができる。突起部206の先端には、被駆動体であるスライダ207が加圧接触するようになっている。スライダ207は、突起部206の楕円運動によって矢印L方向に移動することができる。
【0019】
尚、2つの突起部206を、弾性体204の中心を通るXZ平面又はYZ平面に対して対称に配置すれば、突起部206においてスライダ207から受ける反力を振動体は偏り無く受けることができる。また、スライダ207と突起部206の相対位置関係が安定するため、環境や負荷の変動等の影響を受けずに振動体の出力を安定させることができる。
【0020】
このように、簡単な構造で2つの曲げ振動モードを励起させることができる小型の振動波モータは、従来の円環型の振動波モータに比べ、2つの曲げ振動モードを独立して発生させることが可能である。そのため、圧電素子205に印加する電圧の大きさと、2つの曲げ振動モードに各々対応した2つの駆動信号の位相差を制御することで、スライダ207の移動速度を容易に変更することが可能である。
【特許文献1】特開平3−289375号公報
【特許文献2】特開2004−320846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、振動波モータが小型化され振動波モータの駆動周波数が高くなると、デジタルクロックを分周して発振周波数を作り出す従来の振動波モータ駆動回路では、駆動周波数や2つの曲げ振動の各々の駆動信号の位相差が粗くなる。そのため、振動波モータの共振周波数付近においては、被駆動体(スライダ)を細かい移動速度で制御することが不可能であるという問題が発生する。
【0022】
本発明の目的は、発振部の発振周波数を細かく設定することを可能とした装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述の目的を達成するために、本発明の周波数制御回路は、発振周波数設定値を設定する制御手段と、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替えて信号を出力する信号出力手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
上述の目的を達成するために、本発明のモータ駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子により振動体に振動を発生させることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、前記振動波モータを駆動するパルス状の駆動信号を生成する発振部と、発振周波数設定値を設定する制御手段とを有し、前記発振部は、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
上述の目的を達成するために、本発明のモータ駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子により振動体の異なる位置にそれぞれ振動を発生させる少なくとも2つの振動モードに時間的な位相差を設けることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、前記振動波モータを駆動するパルス状の駆動信号を生成する発振部と、発振周波数設定値を設定する制御手段とを有し、前記発振部は、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する第1の加算手段と、前記第1の加算手段による加算値に位相差設定値を加算する第2の加算手段と、前記第1及び第2の加算手段による各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記各振動モードにそれぞれ対応する位相差の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、単位時間あたりに発振周波数設定値を加算していき、加算値が目標値を超えたときに、駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返す。これにより、発振部の発振周波数を細かく設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0028】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るモータ駆動装置としての振動波モータ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1において、振動波モータは、振動体4、圧電素子5、移動体7を備えた超音波モータとして構成されている。振動波モータ駆動回路は、マイクロコンピュータ(以下CPUと表記)32、増幅回路33a、増幅回路33b、発振器部34、位置検出部35を備えている。
【0030】
振動波モータにおいて、圧電素子5は、交流電界の印加により高周波振動を発生する電気−機械エネルギ変換素子である。振動体4は、圧電素子5の表面に接合されると共に、移動体(スライダ)7に接触状態で配置された弾性体である。振動体4は、圧電素子5により、2つの曲げ振動モード(振動体長辺方向における2次の屈曲振動である第1の振動モード(Aモード)、振動体短辺方向における1次の屈曲振動である第2の振動モード(Bモード))の振動を励起する。Aモードの振動とBモードの振動に時間的な位相差を持たせることで、振動体4の表面粒子に楕円運動を行わせ、移動体7を摩擦力により矢印方向へ移動させる。
【0031】
振動波モータ駆動回路において、CPU32は、駆動回路各部の制御を司る。CPU32は、freq信号(発振周波数設定値)、phase信号(位相差設定値)、duty信号(デューティ設定値)を発振器部34に出力する。発振器部34は、CPU32から出力される設定値(指令値)に応じて、振動波モータをAモードで駆動する駆動信号と、振動波モータをBモードで駆動する駆動信号とを発生する発振動作を行う。発振器部34には、所定(〇〇)bit数(本実施の形態では例えば20bitとする)の不図示のカウンタおよび目標カウント値か否かを判断する比較器が設けられている。
【0032】
増幅回路33aは、Aモードの駆動信号を増幅し、インダクタンス素子を介して振動波モータに駆動力を与える。増幅回路33bは、Bモードの駆動信号を増幅し、インダクタンス素子を介して振動波モータに駆動力を与える。位置検出部35は、移動体7の移動量を検出する。CPU32は、位置検出部35により検出された移動体7の移動量に基づく情報(移動体7の位置情報及び速度情報)に応じて、振動波モータを駆動制御する。
【0033】
なお、本実施の形態では第1の振動モード(Aモード)と第2の振動モード(Bモード)を有する振動体に2相の駆動信号を供給する振動波モータ駆動回路を例にあげて説明を行っているが、これに限られるものではない。駆動信号を供給する振動体の有する振動モードの数に応じて、供給する駆動信号の相数に応じて、発振器部34から出力される駆動信号の相数は変化する。
【0034】
図2は、振動波モータ駆動回路の発振器部34が発振周波数信号(駆動信号)を出力する仕組みを説明する図である。
【0035】
図2において、縦軸が発振器部34の上記カウンタのカウント値、横軸が時間であり、Aモードの駆動信号を出力する1相出力の場合を示している。発振器部34においては、CPU32から出力されるfreq信号で設定された値をあるクロックのタイミングでカウンタに加える。これにより、カウンタのカウント値が時間と共に増加していく。カウンタに加えられた値が黒丸で示すポイントである。
【0036】
まず、発振器部34は、カウンタのカウント値がn1(ここではゼロとする)を超えたときに、振動波モータに出力するパルス状の駆動信号(出力信号)をHiにするように動作し、カウント値がn2を超えたときに出力信号をLoにするように動作する。この動作を繰り返していくとカウンタがオーバーフローしてゼロに戻り(1周期)、そのときに発振器部34は出力信号をHiに戻す。この動作をクロック毎に繰り返していくことにより、カウンタがオーバーフローし、カウント値がn1を超えたときまでの上記動作の繰り返し回数に対応する発振周波数信号が発振器部34から出力される。
【0037】
ここで、発振器部34は、カウンタのbit数とCPU32から出力されるfreq信号で設定された値とが丁度割り切れる数値の場合は、同じ発振周波数で発振を続ける。反対に、カウンタのbit数とCPU32から出力されるfreq信号で設定された値とが割り切れない数値の場合は、上記動作の繰り返し回数がmとm+1がある周期で発生する。例えばクロックが27MHzでカウンタのbit数が20bitであれば、「freq× 27MHz/(2^20)」に基づき発振する発振周波数が得られる。ここで、freq信号の値が6990に設定された場合を例にあげて、図2のカウンタの動作について詳細な説明を行う。
【0038】
2^20(2の20乗)は1048576であるため、カウンタのカウント値はゼロから1048575まで増加し、合計1048576が加算されることでカウント値は再びゼロに戻る。最初の周期ではカウントの値は初期値としてゼロが設定された状態から加算が開始され、150番目のクロックが入力されることによってカウンタの値は1048500に達する。カウンタの上限値は1048575であるため、次の151番目のクロックで6990が加算されることによってカウンタが上限値に到達し、上限値を超えた6915は次の周期に加算される。次の第2周期ではカウンタの値は初期値として6914が設定された状態から加算が開始されるため、150番目のクロックでカウンタの上限値に達し、上限値を超えた6763が次の第3周期に加算される。次の第3周期ではカウンタの値は初期値として6762が設定された状態から加算が開始されるため、150番目のクロックでカウンタの上限値に達し、上限値を超えた6687が次の第3周期に加算される。このように第2周期以降は第91周期までは150番目のクロックでカウンタの上限に達する。そして、第92周期ではカウンタの値は初期値として74が設定された状態から加算が開始されるため、150番目のクロックではカウンタの上限値に達せず、151番目のクロックでカウンタの上限に達する。そして第93周期以降では、再び150番目のクロックがカウンタの上限に達する動作が暫く繰り返される。
【0039】
この例では、第1、第92周期での駆動信号の周波数は178.81kHzとなり、第2から第91周期までの駆動信号の周波数は180.00kHzとなる。これを長期的に繰り返えせば、駆動信号の平均周波数は、6990×27MHz/(2^20)≒179.99kHzとなる。このように、発振器部34によって、クロックの分解能よりも細かな範囲で駆動信号の周波数を設定することが可能となる。
【0040】
ここでは、カウンタがオーバーフローしてゼロに戻ると、発振器部34が出力信号をHiに戻す動作を例にあげたが、カウンタを2回あるいは3回続けてオーバーフローすることで、発振器部34が出力信号をHiに戻す動作としても構わない。このように設定すれば、より周波数の低い駆動信号を生成することができる。
【0041】
また、CPU32から出力されるfreq信号で設定される値は、必要に応じて、カウンタのbit数を割り切れる数値としても構わない。 図3は、発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0042】
図3において、発振器部(2相発振器)34は、加算器(アダー)36、比較器37、比較器38、増幅器51、増幅器52を備えている。加算器36は、CPU32から出力されるfreq信号で設定された値(発振周波数設定値)を加算するものであり、上記カウンタを内蔵している。比較器37は、振動波モータに出力するAモードの駆動信号を生成する。比較器37は、CPU32から出力されるduty信号の設定値に応じて、パルス幅即ち出力信号の立下りのタイミングを設定できるように構成されている。
【0043】
比較器38は、振動波モータに出力するBモードの駆動信号を生成する。比較器38は、Aモードの駆動信号を出力する比較器37に対し、出力信号がHi、Loになるカウント値をCPU32から出力されるphase信号により入力している。比較器38も、比較器37と同様に、CPU32から出力されるduty信号の値に応じて、パルス幅即ち出力信号の立下りのタイミングを設定できるように構成されている。
【0044】
図4は、図3の構成により発振器部34から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【0045】
図4において、縦軸がカウント値、横軸が時間であり、振動波モータに出力するパルス波形のAモードの駆動信号と、振動波モータに出力するパルス波形のBモードの駆動信号を出力する2相出力の場合を示している。図2に示した1相出力の場合は、カウント値がn1を超えたときに出力信号をHi、カウント値がn2を超えたときに出力信号をLoにするように設定していた。
【0046】
図4に示す2相出力の場合は、Aモードの駆動信号出力時(A出力)には、カウント値がna1を超えたときに出力信号をHi、カウント値がna2を超えたときに出力信号をLoにするように設定する。また、Bモードの駆動信号出力時(B出力)には、カウント値がnb1を超えたときに出力信号をHi、カウント値がnb2を超えたときに出力信号をLoにするように設定する。即ち、A出力用及びB出力用として出力信号がHi、Loになる設定値na1、na2、nb1、nb2が設けられており、それぞれna1、na2がA出力用、nb1、nb2がB出力用になっている。
【0047】
例えばB出力がHiになる位相を90°にする場合、カウンタ全体が20bitであれば、1048576(=2^20)(発振周波数設定値)が1周期分(カウンタがオーバーフローしてゼロに戻るまで)のカウント値となる。そこで、1048576の1/4(カウント値nb1=262144)(目標値)のときにB出力がHiになるように設定すれば、A出力のHi(カウント値na1=ゼロ)に対し、B出力は90°位相が遅れた信号となる。B出力がLoになるカウント値も、duty50%であれば、na2=524288(目標値)、nb2=786432(目標値)となる。駆動信号におけるHiの区間とLoの区間を任意に設定することで、dutyの異なる駆動信号を得ることもできる。
【0048】
本実施の形態では、発振器部34を上記のように構成し動作させることにより、Aモードの駆動信号に対し位相がずれた(遅れた)同じ周波数とパルス幅を有するBモードの駆動信号を得ることができる。 ここで、Aモードの駆動信号の出力(A出力)と、Bモードの駆動信号の出力(B出力)との位相差の設定について考える。本実施の形態では発振器部34に20bitのカウンタを装備しているため、1周期を20bitの細かさで設定することが可能であり、位相差の設定分解能は、360度/1048576=0.000343度となる。このように、上記構成の発振器部34を用いると、周波数もさることながら、細かい位相差の出力信号を得ることができる。
【0049】
振動波モータ(超音波モータ)においては、Aモードの駆動信号の出力(A出力)と、Bモードの駆動信号の出力(B出力)との位相差を細かく設定することにより、移動体7の移動速度を変更することが可能である。この場合、上記従来例の異なる曲げ振動モードを用いた超音波モータは、同じ曲げ振動モードを用いた超音波モータに比べ、A出力とB出力の位相差を変更したときの0度位相差付近の移動体7の移動速度の不感帯が無い(移動速度を細かく制御できる)。そのため、本実施の形態の発振器部34を用いた場合の効果がより強調される。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34は、ある単位時間あたりに発振周波数設定値をカウンタで加算していき、加算値が設定値を超えたときに駆動信号のHi、Loを切り替える動作を繰り返し、Aモード及びBモードの駆動信号を得る。これにより、発振器部34の発振周波数及びAモードの駆動信号(A出力)とBモードの駆動信号(B出力)の位相差を細かく設定することが可能となる。この結果、振動波モータの共振周波数付近において、移動体7を細かい移動速度で制御することが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、振動波モータ駆動回路の発振器部が図5に示す構成を有する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0052】
図5は、本実施の形態に係る発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0053】
図5において、発振器部(2相発振器)34は、上記カウンタを内蔵した加算器36、上記カウンタを内蔵した加算器39、Aモードの駆動信号出力用の比較器37、Bモードの駆動信号出力用の比較器37、増幅器51、増幅器52を備えている。加算器36及びAモードの駆動信号出力用の比較器37は、第1の実施の形態と同一である。加算器39は、加算器36の出力値に対し、CPU32から出力されるphase信号の設定値に応じて位相差を設定するものである。
【0054】
図6は、図5の構成により発振器部34から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【0055】
図6において、縦軸がカウント値、横軸が時間であり、Aモードの駆動信号とBモードの駆動信号を出力する2相出力の場合を示している。図4に示した2相出力の場合は、A出力用及びB出力用として発振器部34の出力信号がHi、Loになる設定値na1、na2、nb1、nb2を設け、それぞれna1、na2をA出力用、nb1、nb2をB出力用とした。
【0056】
図6に示す2相出力の場合は、発振器部34が2つの比較器37を装備しているものの、発振器部34の出力信号がHi、Loになる設定値はA出力用及びB出力用ともに等しく、n1、n2となっている。加算器39は、CPU32から出力されるphase信号の設定値(位相差に応じた値)と、加算器36から出力される値とを加算する移相用回路としての機能を有する。
【0057】
図6から分かるように、加算器39から出力される信号は位相差の設定値分だけ位相がずれる。加算器39から出力される信号を、Aモードの駆動信号出力用の比較器37と同じ構成のBモードの駆動信号出力用の比較器37に入力することで、該比較器37から、Aモードの駆動信号とdutyが等しく位相のみ異なるBモードの駆動信号を得ることができる。
【0058】
本実施の形態では、発振器部34を上記のように構成し動作させることにより、A出力とB出力の位相差を設定するときに、発振器部34の出力信号がHi、Loになるカウント値をA出力及びB出力それぞれについて計算する必要が無い。即ち、phase信号の設定値を変えるだけで位相差を変更することが可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34に加算器39を設け、加算器36の出力値に対しphase信号の設定値に応じて位相差を設定する。これにより、A出力とB出力の位相差を設定するときに、phase信号の設定値を変えるだけで位相差を変更することが可能となり、振動波モータ駆動回路を制御するソフトウェアの構成を簡単にすることが可能となる。
【0060】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、振動波モータ駆動回路の発振器部が図9に示す構成を有する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0061】
図7は、上述した第1の実施の形態における振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFT(Fast Fourier Transform)スペクトラムを示す図である。
【0062】
図7において、縦軸がマイクで検出した音のレベル(db)、横軸が駆動信号の周波数(Hz)である。図示のように、駆動信号のある周波数に音のレベルのピークが発生していることが分かる。駆動信号の周波数のピークは、上記第1の実施の形態における発振器部34の発振周波数(fdrv)と、カウンタの端数により発生する周期X(例えば10周期発振させるごとにカウンタが元の状態に戻る場合は周期X=10)との関係により発生するものである。ここで、発振器部34の発振周波数が100KHzで、カウンタが元の状態に戻る周期が10であるとすると、(fdrv)/X=100/10=10KHzとなり、その周波数のFFTスペクトラムが発生する。
【0063】
一方、上記FFTスペクトラムが可聴域に発生し、音として聞こえてしまうという問題がある。音として聞こえてしまう原因として、発振器部34で発生する周波数成分が決まっており、特定の周波数の音のレベルが鋭利になるPeeky(ピーキー)な周波数成分になっていることが考えられる。そこで、本実施の形態は、Peekyな周波数成分が発生しないように改善したものである。
【0064】
図8は、本実施の形態に係る発振器部34が発振周波数信号を出力する原理を説明する図である。図9は、図8の発振周波数特性を出すための発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0065】
図8及び図9において、発振器部(2相発振器)34は、乱数発生器40、上記カウンタを内蔵した加算器36、上記カウンタを内蔵した加算器39、比較器37、比較器37、増幅器51、増幅器52を備えている。上記第1の実施の形態では、CPU32から出力されるfreq信号の設定値をクロックのタイミングで加算器36により繰り返し加算した。これに対し、本実施の形態では、発振器部34にRan(乱数)を発生する乱数発生器40を設け、freq信号の設定値(発振周波数設定値)+Ran(乱数)を加算器36により加算していく構成としたものである。
【0066】
本実施の形態では、発振器部34を上記のように構成し動作させることにより、図8に示すように発振器部34のカウンタに加算された値が増減し、カウンタがオーバーフローする値に達するまでの周期がランダムになり規則性が無くなる。図8では黒丸で示す加算されていくポイントが縦長の領域の何れかとなり、カウンタが所定(〇〇)bitの値を超えるまでの周期も乱数の影響を受け、短い周期と長い周期が発生する。
【0067】
ここで、上記周期のばらつきを決定しているのは乱数の大きさαであり、αの範囲が大きければ周期即ち発振周波数のばらつきも増える。これにより、Peekyに発生していた周波数成分が減り、音のレベルが下がることにより、音としても聞こえなくなるという効果が得られるようになる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34に乱数発生器40を設け、乱数発生器40で発生したRan(乱数)とfreq信号の設定値を加算器36により加算していく。これにより、特定の周波数の音のレベルが鋭利になるPeekyな周波数成分を減少させ、FFTスペクトラムが可聴域に発生し音として聞こえてしまうという問題を解消することが可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態では図5に示す2相発振器の構成に乱数発生器40を追加した例をあげて説明を行ったが、図3に示す2相発振器の構成に乱数発生器40を追加しても構わない。
【0070】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、振動波モータ駆動回路の発振器部が図10に示す構成を有する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0071】
図10は、本実施の形態に係る発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0072】
図10において、発振器部(2相発振器)34は、テーブル41、上記カウンタを内蔵した加算器36、上記カウンタを内蔵した加算器39、比較器37、比較器37、増幅器51、増幅器52を備えている。テーブル41は、発振周波数を決定するパラメータfreqをテーブル化して記憶するものである。CPU32は、テーブル41から、後述するように人が音として聞こえないような周波数(パラメータfreqの値)を選択する。
【0073】
図11は、振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFTスペクトラムを示す図である。
【0074】
図11において、縦軸がマイクで検出した音のレベル(db)、横軸が駆動信号の周波数(Hz)である。図示のように、駆動信号の周波数45KHz付近にピークが発生していることが分かる。駆動信号の周波数のピークは、発振器部34の発振周波数(fdrv)と、カウンタの端数により発生する周期X(例えば10周期発振させるごとにカウンタが元の状態に戻る場合は周期X=10)との関係により発生するものである。ここで、発振器部34の発振周波数が180KHzで、カウンタが元の状態に戻る周期が4であるとすると、(fdrv)/X=180/4=45KHzとなり、その周波数のFFTスペクトラムが発生する。
【0075】
このとき、周波数45KHz付近にピークが発生しているが、この周波数は人には聞こえない領域の周波数なので問題にはならない。即ち、駆動信号の特定の周波数付近にピークは発生するものの、人が音として聞こえる周波数にならなければよいということが分かる。従って、上記図10に示したように、人が音として聞こえないような発振周波数を選択するためのテーブル41を作成することで、音の発生を抑えることが可能となる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34に発振周波数を決定するためのテーブル41を設け、テーブル41から人が音として聞こえないような発振周波数を選択する。これにより、駆動信号の特定の周波数付近にピークが発生した際の音の発生を抑えることが可能となる。
【0077】
なお、上記の各実施の形態では2相発振器を例にあげて説明を行ったが、互いに120度の位相差を持たせた3相発振器や、互いに90度の位相差を持たせた4相発振器であっても構わない。
【0078】
[他の実施の形態]
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0079】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0080】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、次のものがあげられる。フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0081】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0082】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、次のプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るモータ駆動装置としての振動波モータ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の振動波モータ駆動回路の発振器部が発振周波数信号を出力する仕組みを説明する図である。
【図3】図2の発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の構成により発振器部から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の構成により発振器部から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【図7】振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFTスペクトラムを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る発振器部が発振周波数信号を出力する原理を説明する図である。
【図9】図8の発振周波数特性を出すための発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図11】振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFTスペクトラムを示す図である。
【図12】従来例に係る棒状の超音波モータの外観及び圧電素子の電圧供給及び出力電圧の取り出しを説明する図である。
【図13】図12の超音波モータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図14】振動波アクチュエータの振動体の外観を示す斜視図である。
【図15】(a)は、一方の曲げ振動モードを示す図、(b)は、他方の曲げ振動モードを示す図である。
【図16】図14の振動体を備えた振動波アクチュエータの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
4 振動体
5 圧電素子(電気−機械エネルギ変換素子)
7 移動体(被駆動体)
32 CPU(制御部)
34 発振器部(発振部)
36 加算器(加算手段)
37 比較器(信号出力手段)
38 比較器(信号出力手段)
39 加算器(加算手段)
40 乱数発生器(乱数発生手段)
41 テーブル(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子により振動される振動体に接触した移動体を摩擦力により相対移動させる周波数制御回路、モータ駆動装置、周波数制御方法、モータ駆動装置の制御方法、及び、制御方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波モータもしくは圧電モータと称する振動波(振動型)モータが開発され、本出願人等によって実用化されている。振動波モータは、既によく知られているように、圧電素子もしくは電歪素子等の電気−機械エネルギ変換素子に交番電圧を印加することで該素子に高周波振動を発生させ、振動エネルギを連続的な機械運動として取り出すように構成した非電磁駆動式のモータである。振動波モータの動作原理については、本出願人による提案など(例えば、特許文献1参照)、既に多くの特許文献で公知であるので、説明を省略する。
【0003】
図12は、従来例に係る棒状の超音波モータの外観及び圧電素子の電圧供給及び出力電圧の取り出しを説明する図である。
【0004】
図12において、超音波モータ100は、端面に絶縁シート104が接合された振動体101、ロータ102、出力ギア103を備えている。振動体101は、圧電素子もしくは電歪素子と弾性体との結合体から構成される。振動体101は、圧電素子a1、b1、それを挟む電極板A−d、A'−d、B−d、B'−d、振動検出素子S1、電極板S−d、絶縁シート105を備えており、4相(ブロックA、A'、B、B')で駆動する構造となっている。尚、共通電極(GND)は存在しない。
【0005】
上記構成において、ブロックA、A'とブロックB、B'にそれぞれ位相が反転したduty50%の駆動信号を供給し駆動することで、圧電素子a1、b1の両端に逆位相の電圧が印加される。これにより、片側を共通電極にした構成の場合の半分の電源電圧で、超音波モータ100を駆動することができる。
【0006】
図13は、図12の棒状超音波モータ100の駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0007】
図13において、駆動回路は、スイッチング回路110a、110b、マイクロコンピュータ(以下マイコンと表記)111、電圧検出回路112、位相差検出回路113、インダクタンス素子114、116、キャパシタンス素子115、117を備えている。スイッチング回路110a、110bは、スイッチング素子にFETを用いている。また、各FETには、逆方向電流通過用ダイオードが設けられている。逆方向電流通過用ダイオードを設けることで、逆方向電流によるFETの破損を回避している。
【0008】
インダクタンス素子114、116、キャパシタンス素子115、117は、超音波モータ100とのインピーダンスを整合させる素子である。図12で説明した上記4相の駆動方法で、実際にはインピーダンス素子を図13に示す位置に付加することで、より低電圧且つ高効率で超音波モータ100を駆動することができる。尚、キャパシタンス素子115、117、は必ずしも付加しなくてもよい。
【0009】
電圧検出回路(例えばA/D変換器)112は、スイッチング回路110a、110bに供給する電源電圧の大きさVbatを検出し、マイコン111に取り込む。実際には電圧検出回路112で検出した結果に基づき駆動信号のパルス幅などを変更し、超音波モータ100に対する入力電力を制御する。
【0010】
図14は、より小型化を図るために提案された振動波アクチュエータの振動体の外観を示す斜視図である。
【0011】
図14において、振動波アクチュエータの振動体201は、金属材料からなり矩形の板状に形成された弾性体204、弾性体204の裏面に接合された圧電素子(電気−機械エネルギ変換素子)205、弾性体204の上面に配設された突起部206を備えている。この振動波アクチュエータについては公知であるため(例えば、特許文献2参照)、詳細は省略する。
【0012】
突起部206は、その先端において後述するように被駆動体に接触することで被駆動体を移動させる。振動体201は、2つの曲げ振動モードによる振動を励起することができ、この2つの曲げ振動モードを組み合わせることにより、突起部206の先端に楕円運動を生じさせるものである。
【0013】
図15(a)は、一方の曲げ振動モードを示す図、図15(b)は、他方の曲げ振動モードを示す図である。
【0014】
図15において、図15(a)に示す振動モードは、2つの曲げ振動モードのうち一方の曲げ振動モード(Aモードと呼ぶ)を表している。Aモードは、振動体201(弾性体204)の長辺方向(矢印X方向)における2次の屈曲振動であり、短辺方向(矢印Y方向)と平行な3本の節を有している。突起部206は、Aモードの振動で節となる位置の近傍に配置されており、Aモードの振動により矢印X方向で往復運動を行う。このように突起部206を配置することにより、突起部206を矢印X方向で最も大きく変位させることができる。
【0015】
また、図15(b)に示す振動モードは、2つの曲げ振動モードのうち他方の曲げ振動モード(Bモードと呼ぶ)を表している。Bモードは、振動体201(弾性体204)の短辺方向(矢印Y方向)における1次の屈曲振動であり、長辺方向(矢印X方向)と平行な2本の節を有している。ここで、Aモードにおける節と、Bモードにおける節は、XY平面内において略直交するようになっている。突起部206は、Bモードの振動で腹となる位置の近傍に配置されており、Bモードの振動により矢印Z方向で往復運動を行う。このように突起部206を配置することにより、突起部206を矢印Z方向で最も大きく変位させることができる。
【0016】
即ち、上述したようにAモードの節とBモードの節を略直交させることにより、Aモードの節の位置とBモードの腹の位置とを一致させることができる。この位置に突起部206を配置することにより、突起部206の振動変位を最も大きくすることができ、高出力を得ることができるようになる。そして、上述したように突起部206をX方向及びZ方向で大きく変位させることにより、突起部206に接触する被駆動体に対して大きな駆動力を与えることができる。
【0017】
図16は、図14の振動体を備えた振動波アクチュエータの外観を示す斜視図である。
【0018】
図16において、振動波アクチュエータは、弾性体204、圧電素子205、突起部206からなる振動体と、スライダ207を備えている。上述したAモードとBモードの振動を所定の位相差で発生させることにより、突起部206の先端に楕円運動を発生させることができる。突起部206の先端には、被駆動体であるスライダ207が加圧接触するようになっている。スライダ207は、突起部206の楕円運動によって矢印L方向に移動することができる。
【0019】
尚、2つの突起部206を、弾性体204の中心を通るXZ平面又はYZ平面に対して対称に配置すれば、突起部206においてスライダ207から受ける反力を振動体は偏り無く受けることができる。また、スライダ207と突起部206の相対位置関係が安定するため、環境や負荷の変動等の影響を受けずに振動体の出力を安定させることができる。
【0020】
このように、簡単な構造で2つの曲げ振動モードを励起させることができる小型の振動波モータは、従来の円環型の振動波モータに比べ、2つの曲げ振動モードを独立して発生させることが可能である。そのため、圧電素子205に印加する電圧の大きさと、2つの曲げ振動モードに各々対応した2つの駆動信号の位相差を制御することで、スライダ207の移動速度を容易に変更することが可能である。
【特許文献1】特開平3−289375号公報
【特許文献2】特開2004−320846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、振動波モータが小型化され振動波モータの駆動周波数が高くなると、デジタルクロックを分周して発振周波数を作り出す従来の振動波モータ駆動回路では、駆動周波数や2つの曲げ振動の各々の駆動信号の位相差が粗くなる。そのため、振動波モータの共振周波数付近においては、被駆動体(スライダ)を細かい移動速度で制御することが不可能であるという問題が発生する。
【0022】
本発明の目的は、発振部の発振周波数を細かく設定することを可能とした装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述の目的を達成するために、本発明の周波数制御回路は、発振周波数設定値を設定する制御手段と、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替えて信号を出力する信号出力手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
上述の目的を達成するために、本発明のモータ駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子により振動体に振動を発生させることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、前記振動波モータを駆動するパルス状の駆動信号を生成する発振部と、発振周波数設定値を設定する制御手段とを有し、前記発振部は、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
上述の目的を達成するために、本発明のモータ駆動装置は、電気−機械エネルギ変換素子により振動体の異なる位置にそれぞれ振動を発生させる少なくとも2つの振動モードに時間的な位相差を設けることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、前記振動波モータを駆動するパルス状の駆動信号を生成する発振部と、発振周波数設定値を設定する制御手段とを有し、前記発振部は、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する第1の加算手段と、前記第1の加算手段による加算値に位相差設定値を加算する第2の加算手段と、前記第1及び第2の加算手段による各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記各振動モードにそれぞれ対応する位相差の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、単位時間あたりに発振周波数設定値を加算していき、加算値が目標値を超えたときに、駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返す。これにより、発振部の発振周波数を細かく設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0028】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るモータ駆動装置としての振動波モータ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1において、振動波モータは、振動体4、圧電素子5、移動体7を備えた超音波モータとして構成されている。振動波モータ駆動回路は、マイクロコンピュータ(以下CPUと表記)32、増幅回路33a、増幅回路33b、発振器部34、位置検出部35を備えている。
【0030】
振動波モータにおいて、圧電素子5は、交流電界の印加により高周波振動を発生する電気−機械エネルギ変換素子である。振動体4は、圧電素子5の表面に接合されると共に、移動体(スライダ)7に接触状態で配置された弾性体である。振動体4は、圧電素子5により、2つの曲げ振動モード(振動体長辺方向における2次の屈曲振動である第1の振動モード(Aモード)、振動体短辺方向における1次の屈曲振動である第2の振動モード(Bモード))の振動を励起する。Aモードの振動とBモードの振動に時間的な位相差を持たせることで、振動体4の表面粒子に楕円運動を行わせ、移動体7を摩擦力により矢印方向へ移動させる。
【0031】
振動波モータ駆動回路において、CPU32は、駆動回路各部の制御を司る。CPU32は、freq信号(発振周波数設定値)、phase信号(位相差設定値)、duty信号(デューティ設定値)を発振器部34に出力する。発振器部34は、CPU32から出力される設定値(指令値)に応じて、振動波モータをAモードで駆動する駆動信号と、振動波モータをBモードで駆動する駆動信号とを発生する発振動作を行う。発振器部34には、所定(〇〇)bit数(本実施の形態では例えば20bitとする)の不図示のカウンタおよび目標カウント値か否かを判断する比較器が設けられている。
【0032】
増幅回路33aは、Aモードの駆動信号を増幅し、インダクタンス素子を介して振動波モータに駆動力を与える。増幅回路33bは、Bモードの駆動信号を増幅し、インダクタンス素子を介して振動波モータに駆動力を与える。位置検出部35は、移動体7の移動量を検出する。CPU32は、位置検出部35により検出された移動体7の移動量に基づく情報(移動体7の位置情報及び速度情報)に応じて、振動波モータを駆動制御する。
【0033】
なお、本実施の形態では第1の振動モード(Aモード)と第2の振動モード(Bモード)を有する振動体に2相の駆動信号を供給する振動波モータ駆動回路を例にあげて説明を行っているが、これに限られるものではない。駆動信号を供給する振動体の有する振動モードの数に応じて、供給する駆動信号の相数に応じて、発振器部34から出力される駆動信号の相数は変化する。
【0034】
図2は、振動波モータ駆動回路の発振器部34が発振周波数信号(駆動信号)を出力する仕組みを説明する図である。
【0035】
図2において、縦軸が発振器部34の上記カウンタのカウント値、横軸が時間であり、Aモードの駆動信号を出力する1相出力の場合を示している。発振器部34においては、CPU32から出力されるfreq信号で設定された値をあるクロックのタイミングでカウンタに加える。これにより、カウンタのカウント値が時間と共に増加していく。カウンタに加えられた値が黒丸で示すポイントである。
【0036】
まず、発振器部34は、カウンタのカウント値がn1(ここではゼロとする)を超えたときに、振動波モータに出力するパルス状の駆動信号(出力信号)をHiにするように動作し、カウント値がn2を超えたときに出力信号をLoにするように動作する。この動作を繰り返していくとカウンタがオーバーフローしてゼロに戻り(1周期)、そのときに発振器部34は出力信号をHiに戻す。この動作をクロック毎に繰り返していくことにより、カウンタがオーバーフローし、カウント値がn1を超えたときまでの上記動作の繰り返し回数に対応する発振周波数信号が発振器部34から出力される。
【0037】
ここで、発振器部34は、カウンタのbit数とCPU32から出力されるfreq信号で設定された値とが丁度割り切れる数値の場合は、同じ発振周波数で発振を続ける。反対に、カウンタのbit数とCPU32から出力されるfreq信号で設定された値とが割り切れない数値の場合は、上記動作の繰り返し回数がmとm+1がある周期で発生する。例えばクロックが27MHzでカウンタのbit数が20bitであれば、「freq× 27MHz/(2^20)」に基づき発振する発振周波数が得られる。ここで、freq信号の値が6990に設定された場合を例にあげて、図2のカウンタの動作について詳細な説明を行う。
【0038】
2^20(2の20乗)は1048576であるため、カウンタのカウント値はゼロから1048575まで増加し、合計1048576が加算されることでカウント値は再びゼロに戻る。最初の周期ではカウントの値は初期値としてゼロが設定された状態から加算が開始され、150番目のクロックが入力されることによってカウンタの値は1048500に達する。カウンタの上限値は1048575であるため、次の151番目のクロックで6990が加算されることによってカウンタが上限値に到達し、上限値を超えた6915は次の周期に加算される。次の第2周期ではカウンタの値は初期値として6914が設定された状態から加算が開始されるため、150番目のクロックでカウンタの上限値に達し、上限値を超えた6763が次の第3周期に加算される。次の第3周期ではカウンタの値は初期値として6762が設定された状態から加算が開始されるため、150番目のクロックでカウンタの上限値に達し、上限値を超えた6687が次の第3周期に加算される。このように第2周期以降は第91周期までは150番目のクロックでカウンタの上限に達する。そして、第92周期ではカウンタの値は初期値として74が設定された状態から加算が開始されるため、150番目のクロックではカウンタの上限値に達せず、151番目のクロックでカウンタの上限に達する。そして第93周期以降では、再び150番目のクロックがカウンタの上限に達する動作が暫く繰り返される。
【0039】
この例では、第1、第92周期での駆動信号の周波数は178.81kHzとなり、第2から第91周期までの駆動信号の周波数は180.00kHzとなる。これを長期的に繰り返えせば、駆動信号の平均周波数は、6990×27MHz/(2^20)≒179.99kHzとなる。このように、発振器部34によって、クロックの分解能よりも細かな範囲で駆動信号の周波数を設定することが可能となる。
【0040】
ここでは、カウンタがオーバーフローしてゼロに戻ると、発振器部34が出力信号をHiに戻す動作を例にあげたが、カウンタを2回あるいは3回続けてオーバーフローすることで、発振器部34が出力信号をHiに戻す動作としても構わない。このように設定すれば、より周波数の低い駆動信号を生成することができる。
【0041】
また、CPU32から出力されるfreq信号で設定される値は、必要に応じて、カウンタのbit数を割り切れる数値としても構わない。 図3は、発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0042】
図3において、発振器部(2相発振器)34は、加算器(アダー)36、比較器37、比較器38、増幅器51、増幅器52を備えている。加算器36は、CPU32から出力されるfreq信号で設定された値(発振周波数設定値)を加算するものであり、上記カウンタを内蔵している。比較器37は、振動波モータに出力するAモードの駆動信号を生成する。比較器37は、CPU32から出力されるduty信号の設定値に応じて、パルス幅即ち出力信号の立下りのタイミングを設定できるように構成されている。
【0043】
比較器38は、振動波モータに出力するBモードの駆動信号を生成する。比較器38は、Aモードの駆動信号を出力する比較器37に対し、出力信号がHi、Loになるカウント値をCPU32から出力されるphase信号により入力している。比較器38も、比較器37と同様に、CPU32から出力されるduty信号の値に応じて、パルス幅即ち出力信号の立下りのタイミングを設定できるように構成されている。
【0044】
図4は、図3の構成により発振器部34から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【0045】
図4において、縦軸がカウント値、横軸が時間であり、振動波モータに出力するパルス波形のAモードの駆動信号と、振動波モータに出力するパルス波形のBモードの駆動信号を出力する2相出力の場合を示している。図2に示した1相出力の場合は、カウント値がn1を超えたときに出力信号をHi、カウント値がn2を超えたときに出力信号をLoにするように設定していた。
【0046】
図4に示す2相出力の場合は、Aモードの駆動信号出力時(A出力)には、カウント値がna1を超えたときに出力信号をHi、カウント値がna2を超えたときに出力信号をLoにするように設定する。また、Bモードの駆動信号出力時(B出力)には、カウント値がnb1を超えたときに出力信号をHi、カウント値がnb2を超えたときに出力信号をLoにするように設定する。即ち、A出力用及びB出力用として出力信号がHi、Loになる設定値na1、na2、nb1、nb2が設けられており、それぞれna1、na2がA出力用、nb1、nb2がB出力用になっている。
【0047】
例えばB出力がHiになる位相を90°にする場合、カウンタ全体が20bitであれば、1048576(=2^20)(発振周波数設定値)が1周期分(カウンタがオーバーフローしてゼロに戻るまで)のカウント値となる。そこで、1048576の1/4(カウント値nb1=262144)(目標値)のときにB出力がHiになるように設定すれば、A出力のHi(カウント値na1=ゼロ)に対し、B出力は90°位相が遅れた信号となる。B出力がLoになるカウント値も、duty50%であれば、na2=524288(目標値)、nb2=786432(目標値)となる。駆動信号におけるHiの区間とLoの区間を任意に設定することで、dutyの異なる駆動信号を得ることもできる。
【0048】
本実施の形態では、発振器部34を上記のように構成し動作させることにより、Aモードの駆動信号に対し位相がずれた(遅れた)同じ周波数とパルス幅を有するBモードの駆動信号を得ることができる。 ここで、Aモードの駆動信号の出力(A出力)と、Bモードの駆動信号の出力(B出力)との位相差の設定について考える。本実施の形態では発振器部34に20bitのカウンタを装備しているため、1周期を20bitの細かさで設定することが可能であり、位相差の設定分解能は、360度/1048576=0.000343度となる。このように、上記構成の発振器部34を用いると、周波数もさることながら、細かい位相差の出力信号を得ることができる。
【0049】
振動波モータ(超音波モータ)においては、Aモードの駆動信号の出力(A出力)と、Bモードの駆動信号の出力(B出力)との位相差を細かく設定することにより、移動体7の移動速度を変更することが可能である。この場合、上記従来例の異なる曲げ振動モードを用いた超音波モータは、同じ曲げ振動モードを用いた超音波モータに比べ、A出力とB出力の位相差を変更したときの0度位相差付近の移動体7の移動速度の不感帯が無い(移動速度を細かく制御できる)。そのため、本実施の形態の発振器部34を用いた場合の効果がより強調される。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34は、ある単位時間あたりに発振周波数設定値をカウンタで加算していき、加算値が設定値を超えたときに駆動信号のHi、Loを切り替える動作を繰り返し、Aモード及びBモードの駆動信号を得る。これにより、発振器部34の発振周波数及びAモードの駆動信号(A出力)とBモードの駆動信号(B出力)の位相差を細かく設定することが可能となる。この結果、振動波モータの共振周波数付近において、移動体7を細かい移動速度で制御することが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、振動波モータ駆動回路の発振器部が図5に示す構成を有する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0052】
図5は、本実施の形態に係る発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0053】
図5において、発振器部(2相発振器)34は、上記カウンタを内蔵した加算器36、上記カウンタを内蔵した加算器39、Aモードの駆動信号出力用の比較器37、Bモードの駆動信号出力用の比較器37、増幅器51、増幅器52を備えている。加算器36及びAモードの駆動信号出力用の比較器37は、第1の実施の形態と同一である。加算器39は、加算器36の出力値に対し、CPU32から出力されるphase信号の設定値に応じて位相差を設定するものである。
【0054】
図6は、図5の構成により発振器部34から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【0055】
図6において、縦軸がカウント値、横軸が時間であり、Aモードの駆動信号とBモードの駆動信号を出力する2相出力の場合を示している。図4に示した2相出力の場合は、A出力用及びB出力用として発振器部34の出力信号がHi、Loになる設定値na1、na2、nb1、nb2を設け、それぞれna1、na2をA出力用、nb1、nb2をB出力用とした。
【0056】
図6に示す2相出力の場合は、発振器部34が2つの比較器37を装備しているものの、発振器部34の出力信号がHi、Loになる設定値はA出力用及びB出力用ともに等しく、n1、n2となっている。加算器39は、CPU32から出力されるphase信号の設定値(位相差に応じた値)と、加算器36から出力される値とを加算する移相用回路としての機能を有する。
【0057】
図6から分かるように、加算器39から出力される信号は位相差の設定値分だけ位相がずれる。加算器39から出力される信号を、Aモードの駆動信号出力用の比較器37と同じ構成のBモードの駆動信号出力用の比較器37に入力することで、該比較器37から、Aモードの駆動信号とdutyが等しく位相のみ異なるBモードの駆動信号を得ることができる。
【0058】
本実施の形態では、発振器部34を上記のように構成し動作させることにより、A出力とB出力の位相差を設定するときに、発振器部34の出力信号がHi、Loになるカウント値をA出力及びB出力それぞれについて計算する必要が無い。即ち、phase信号の設定値を変えるだけで位相差を変更することが可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34に加算器39を設け、加算器36の出力値に対しphase信号の設定値に応じて位相差を設定する。これにより、A出力とB出力の位相差を設定するときに、phase信号の設定値を変えるだけで位相差を変更することが可能となり、振動波モータ駆動回路を制御するソフトウェアの構成を簡単にすることが可能となる。
【0060】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、振動波モータ駆動回路の発振器部が図9に示す構成を有する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0061】
図7は、上述した第1の実施の形態における振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFT(Fast Fourier Transform)スペクトラムを示す図である。
【0062】
図7において、縦軸がマイクで検出した音のレベル(db)、横軸が駆動信号の周波数(Hz)である。図示のように、駆動信号のある周波数に音のレベルのピークが発生していることが分かる。駆動信号の周波数のピークは、上記第1の実施の形態における発振器部34の発振周波数(fdrv)と、カウンタの端数により発生する周期X(例えば10周期発振させるごとにカウンタが元の状態に戻る場合は周期X=10)との関係により発生するものである。ここで、発振器部34の発振周波数が100KHzで、カウンタが元の状態に戻る周期が10であるとすると、(fdrv)/X=100/10=10KHzとなり、その周波数のFFTスペクトラムが発生する。
【0063】
一方、上記FFTスペクトラムが可聴域に発生し、音として聞こえてしまうという問題がある。音として聞こえてしまう原因として、発振器部34で発生する周波数成分が決まっており、特定の周波数の音のレベルが鋭利になるPeeky(ピーキー)な周波数成分になっていることが考えられる。そこで、本実施の形態は、Peekyな周波数成分が発生しないように改善したものである。
【0064】
図8は、本実施の形態に係る発振器部34が発振周波数信号を出力する原理を説明する図である。図9は、図8の発振周波数特性を出すための発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0065】
図8及び図9において、発振器部(2相発振器)34は、乱数発生器40、上記カウンタを内蔵した加算器36、上記カウンタを内蔵した加算器39、比較器37、比較器37、増幅器51、増幅器52を備えている。上記第1の実施の形態では、CPU32から出力されるfreq信号の設定値をクロックのタイミングで加算器36により繰り返し加算した。これに対し、本実施の形態では、発振器部34にRan(乱数)を発生する乱数発生器40を設け、freq信号の設定値(発振周波数設定値)+Ran(乱数)を加算器36により加算していく構成としたものである。
【0066】
本実施の形態では、発振器部34を上記のように構成し動作させることにより、図8に示すように発振器部34のカウンタに加算された値が増減し、カウンタがオーバーフローする値に達するまでの周期がランダムになり規則性が無くなる。図8では黒丸で示す加算されていくポイントが縦長の領域の何れかとなり、カウンタが所定(〇〇)bitの値を超えるまでの周期も乱数の影響を受け、短い周期と長い周期が発生する。
【0067】
ここで、上記周期のばらつきを決定しているのは乱数の大きさαであり、αの範囲が大きければ周期即ち発振周波数のばらつきも増える。これにより、Peekyに発生していた周波数成分が減り、音のレベルが下がることにより、音としても聞こえなくなるという効果が得られるようになる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34に乱数発生器40を設け、乱数発生器40で発生したRan(乱数)とfreq信号の設定値を加算器36により加算していく。これにより、特定の周波数の音のレベルが鋭利になるPeekyな周波数成分を減少させ、FFTスペクトラムが可聴域に発生し音として聞こえてしまうという問題を解消することが可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態では図5に示す2相発振器の構成に乱数発生器40を追加した例をあげて説明を行ったが、図3に示す2相発振器の構成に乱数発生器40を追加しても構わない。
【0070】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、振動波モータ駆動回路の発振器部が図10に示す構成を有する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、説明を省略する。
【0071】
図10は、本実施の形態に係る発振器部34の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【0072】
図10において、発振器部(2相発振器)34は、テーブル41、上記カウンタを内蔵した加算器36、上記カウンタを内蔵した加算器39、比較器37、比較器37、増幅器51、増幅器52を備えている。テーブル41は、発振周波数を決定するパラメータfreqをテーブル化して記憶するものである。CPU32は、テーブル41から、後述するように人が音として聞こえないような周波数(パラメータfreqの値)を選択する。
【0073】
図11は、振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFTスペクトラムを示す図である。
【0074】
図11において、縦軸がマイクで検出した音のレベル(db)、横軸が駆動信号の周波数(Hz)である。図示のように、駆動信号の周波数45KHz付近にピークが発生していることが分かる。駆動信号の周波数のピークは、発振器部34の発振周波数(fdrv)と、カウンタの端数により発生する周期X(例えば10周期発振させるごとにカウンタが元の状態に戻る場合は周期X=10)との関係により発生するものである。ここで、発振器部34の発振周波数が180KHzで、カウンタが元の状態に戻る周期が4であるとすると、(fdrv)/X=180/4=45KHzとなり、その周波数のFFTスペクトラムが発生する。
【0075】
このとき、周波数45KHz付近にピークが発生しているが、この周波数は人には聞こえない領域の周波数なので問題にはならない。即ち、駆動信号の特定の周波数付近にピークは発生するものの、人が音として聞こえる周波数にならなければよいということが分かる。従って、上記図10に示したように、人が音として聞こえないような発振周波数を選択するためのテーブル41を作成することで、音の発生を抑えることが可能となる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発振器部34に発振周波数を決定するためのテーブル41を設け、テーブル41から人が音として聞こえないような発振周波数を選択する。これにより、駆動信号の特定の周波数付近にピークが発生した際の音の発生を抑えることが可能となる。
【0077】
なお、上記の各実施の形態では2相発振器を例にあげて説明を行ったが、互いに120度の位相差を持たせた3相発振器や、互いに90度の位相差を持たせた4相発振器であっても構わない。
【0078】
[他の実施の形態]
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0079】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0080】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、次のものがあげられる。フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0081】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0082】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、次のプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るモータ駆動装置としての振動波モータ駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の振動波モータ駆動回路の発振器部が発振周波数信号を出力する仕組みを説明する図である。
【図3】図2の発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の構成により発振器部から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の構成により発振器部から位相差信号が得られる仕組みを説明する図である。
【図7】振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFTスペクトラムを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る発振器部が発振周波数信号を出力する原理を説明する図である。
【図9】図8の発振周波数特性を出すための発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る発振器部の具体例である2相発振器の構成を示すブロック図である。
【図11】振動波モータの駆動信号のある周波数における音をマイクで検出したときのFFTスペクトラムを示す図である。
【図12】従来例に係る棒状の超音波モータの外観及び圧電素子の電圧供給及び出力電圧の取り出しを説明する図である。
【図13】図12の超音波モータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図14】振動波アクチュエータの振動体の外観を示す斜視図である。
【図15】(a)は、一方の曲げ振動モードを示す図、(b)は、他方の曲げ振動モードを示す図である。
【図16】図14の振動体を備えた振動波アクチュエータの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
4 振動体
5 圧電素子(電気−機械エネルギ変換素子)
7 移動体(被駆動体)
32 CPU(制御部)
34 発振器部(発振部)
36 加算器(加算手段)
37 比較器(信号出力手段)
38 比較器(信号出力手段)
39 加算器(加算手段)
40 乱数発生器(乱数発生手段)
41 テーブル(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振周波数設定値を設定する制御手段と、
単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、
前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替えて信号を出力する信号出力手段と、を有することを特徴とする周波数制御回路。
【請求項2】
前記加算手段は、前記発振周波数設定値として前記目標値の約数とならない値を設定することを特徴とする請求項1記載の周波数制御回路。
【請求項3】
乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記加算手段は、前記発振周波数設定値と前記乱数発生手段により発生した乱数とを加算することを特徴とする請求項1又は2記載の周波数制御回路。
【請求項4】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体に振動を発生させることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部と、
発振周波数設定値を設定する制御手段と、を有し、
前記発振部は、
単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、 前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項5】
前記加算手段は、前記発振周波数設定値として前記目標値の約数とならない値を設定することを特徴とする請求項4記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記加算手段が加算動作に伴いオーバーフローしてゼロに戻るまでを1周期とすることを特徴とする請求項4又は5記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記発振部は、乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記加算手段は、前記発振周波数設定値と前記乱数発生手段により発生した乱数とを加算することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記加算手段は、単位時間あたりに発振周波数設定値を加算する第1の加算手段と第2の加算手段を有し、
前記信号出力手段は、前記第1及び第2の加算手段による各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に、前記第1及び第2の加算手段のそれぞれに対応する駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、位相の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力することを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体の異なる位置にそれぞれ振動を発生させる少なくとも2つの振動モードに時間的な位相差を設けることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部と、
発振周波数設定値を設定する制御手段と、を有し、
前記発振部は、
単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する第1の加算手段と、
前記第1の加算手段による加算値に位相差設定値を加算する第2の加算手段と、
前記第1及び第2の加算手段による各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に前記第1及び第2の加算手段のそれぞれに対応する駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記各振動モードにそれぞれ対応する位相の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の加算手段のそれぞれが加算動作に伴いオーバーフローしてゼロに戻るまでを1周期とすることを特徴とする請求項9記載のモータ駆動装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記位相差設定値を前記発振部に供給することを特徴とする請求項9又は10記載のモータ駆動装置。
【請求項12】
前記発振部は、乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記第1の加算手段は、前記発振周波数設定値と前記乱数発生手段により発生した乱数とを加算することを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項13】
前記駆動信号におけるHiの区間とLoの区間を任意に設定することで、dutyの異なる駆動信号を得ることを特徴とする請求項4乃至12の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項14】
発振周波数設定値を設定する制御ステップと、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算ステップと、前記加算ステップによる加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替えて信号を出力する信号出力ステップとを備えた信号の周波数制御方法。
【請求項15】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体に振動を発生させることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置の制御方法であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部において、発振周波数設定値が設定される制御ステップと、制御単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算ステップと、前記加算ステップによる加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項16】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体の異なる位置にそれぞれ振動を発生させる少なくとも2つの振動モードに時間的な位相差を設けることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置の制御方法であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部において、発振周波数設定値が設定される制御ステップと、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する第1の加算ステップと、前記第1の加算ステップによる加算値に位相差設定値を加算する第2の加算ステップと、前記第1及び第2の加算ステップによる各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に前記第1及び第2の加算手段のそれぞれに対応する駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記各振動モードにそれぞれ対応する位相の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
発振周波数設定値を設定する制御手段と、
単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、
前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替えて信号を出力する信号出力手段と、を有することを特徴とする周波数制御回路。
【請求項2】
前記加算手段は、前記発振周波数設定値として前記目標値の約数とならない値を設定することを特徴とする請求項1記載の周波数制御回路。
【請求項3】
乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記加算手段は、前記発振周波数設定値と前記乱数発生手段により発生した乱数とを加算することを特徴とする請求項1又は2記載の周波数制御回路。
【請求項4】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体に振動を発生させることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部と、
発振周波数設定値を設定する制御手段と、を有し、
前記発振部は、
単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算手段と、 前記加算手段による加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項5】
前記加算手段は、前記発振周波数設定値として前記目標値の約数とならない値を設定することを特徴とする請求項4記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記加算手段が加算動作に伴いオーバーフローしてゼロに戻るまでを1周期とすることを特徴とする請求項4又は5記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記発振部は、乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記加算手段は、前記発振周波数設定値と前記乱数発生手段により発生した乱数とを加算することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記加算手段は、単位時間あたりに発振周波数設定値を加算する第1の加算手段と第2の加算手段を有し、
前記信号出力手段は、前記第1及び第2の加算手段による各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に、前記第1及び第2の加算手段のそれぞれに対応する駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、位相の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力することを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体の異なる位置にそれぞれ振動を発生させる少なくとも2つの振動モードに時間的な位相差を設けることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部と、
発振周波数設定値を設定する制御手段と、を有し、
前記発振部は、
単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する第1の加算手段と、
前記第1の加算手段による加算値に位相差設定値を加算する第2の加算手段と、
前記第1及び第2の加算手段による各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に前記第1及び第2の加算手段のそれぞれに対応する駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記各振動モードにそれぞれ対応する位相の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力手段と、を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の加算手段のそれぞれが加算動作に伴いオーバーフローしてゼロに戻るまでを1周期とすることを特徴とする請求項9記載のモータ駆動装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記位相差設定値を前記発振部に供給することを特徴とする請求項9又は10記載のモータ駆動装置。
【請求項12】
前記発振部は、乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記第1の加算手段は、前記発振周波数設定値と前記乱数発生手段により発生した乱数とを加算することを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項13】
前記駆動信号におけるHiの区間とLoの区間を任意に設定することで、dutyの異なる駆動信号を得ることを特徴とする請求項4乃至12の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項14】
発振周波数設定値を設定する制御ステップと、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算ステップと、前記加算ステップによる加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替えて信号を出力する信号出力ステップとを備えた信号の周波数制御方法。
【請求項15】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体に振動を発生させることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置の制御方法であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部において、発振周波数設定値が設定される制御ステップと、制御単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する加算ステップと、前記加算ステップによる加算値が目標値を超えた場合に駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項16】
電気−機械エネルギ変換素子により振動体の異なる位置にそれぞれ振動を発生させる少なくとも2つの振動モードに時間的な位相差を設けることで、前記振動体に接触した被駆動体を移動させる振動波モータを駆動するモータ駆動装置の制御方法であって、
前記振動波モータを駆動するための駆動信号を生成する発振部において、発振周波数設定値が設定される制御ステップと、単位時間あたりに前記発振周波数設定値を加算する第1の加算ステップと、前記第1の加算ステップによる加算値に位相差設定値を加算する第2の加算ステップと、前記第1及び第2の加算ステップによる各加算値がそれぞれの目標値を超えた場合に前記第1及び第2の加算手段のそれぞれに対応する駆動信号のHiとLoを切り替える動作を繰り返し、前記各振動モードにそれぞれ対応する位相の異なる駆動信号を前記振動波モータに出力する信号出力ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−124156(P2007−124156A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311959(P2005−311959)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]