周辺基地局情報更新方法、移動通信システム、移動局および基地局
【課題】基地局から移動局に通知する周辺基地局の情報を適切に更新し、設定する。
【解決手段】とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムの移動局において、基地局が送信した周辺基地局情報を受信し、受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する。探索・受信ステップの際に実際に観測された周辺基地局情報を基地局に送信する。基地局において、移動局が送信した周辺基地局情報を受信し、受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する。
【解決手段】とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムの移動局において、基地局が送信した周辺基地局情報を受信し、受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する。探索・受信ステップの際に実際に観測された周辺基地局情報を基地局に送信する。基地局において、移動局が送信した周辺基地局情報を受信し、受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいてとまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している携帯電話のような移動通信システムでは、サービスエリア全体をセルと呼ばれる比較的小さな無線ゾーンに分割してサービスを行っている。このようなシステムは、例えば図1に示すように、分割された無線ゾーンをカバーする複数の基地局111−1〜111−5と、これら基地局111−1〜111−5との間に無線チャネルを設定して通信を行う移動局112−1〜112−3により構成されている。
【0003】
基地局と移動局の間の主なアクセス方式として、周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access; FDMA)、時分割多元接続(Time Division Multiple Access; TDMA)、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access; CDMA)がある。いずれの方式においても各基地局は、移動局が接続すべき基地局を識別できるようにするためのチャネルを送信している。ここでは、このようなチャネルをとまり木チャネルとよぶことにする。FDMA方式やTDMA方式では、各基地局のとまり木チャネルは異なる無線周波数を使用し、移動局は無線周波数により、各基地局を識別する。一方、直接拡散(DS)−CDMAは従来の情報データ変調信号を高速レートの拡散符号にて拡散する2次変調を行って情報伝送することで複数のユーザが同一の無線周波数帯を用いて通信を行う方式である。各ユーザの通信波は各ユーザ毎に割り当てられた拡散符号により識別される。
【0004】
ところで、基地局からある送信電力で送信された電波は減衰しながら空間を伝搬し受信点に到達する。電波が受ける減衰量は送信点と受信点の距離が遠くなるほど大きくなるという性質があるため、基本的に遠い基地局から送信されるとまり木チャネルは弱い受信レベルで、近い基地局から送信されるとまり木チャネルは強い受信レベルで受信される。現実には、伝搬損失の大小は距離だけではなく、地形や建造物などの状況により異なってくるため、移動局の移動に伴って各基地局からのとまり木チャネルの受信電力は大きく変動する。基地局から送信される信号をよりよい品質で受信するためには、移動局は各基地局からのとまり木チャネルを常に監視し、最良の基地局を選択することが重要となる。各基地局からのとまり木チャネルの受信レベルが常に変動する状況にあっては、所要の受信レベル以上となるとまり木は常に入れ替わっており、それまで受信していたとまり木の受信レベルが急に低くなり受信不能となったり、逆にそれまで受信不能だったとまり木の受信レベルが急に高くなり受信可能となったりする。このような状況においても、移動局が最良のとまり木チャネルに追従できるようにするために、一般に移動通信システムにおいては、周辺の基地局が使用しているとまり木チャネルに関する情報を網側から移動局に通知する方法がとられている。周辺の基地局に関する情報は、FDMAやTDMAのシステムでは、とまり木の無線周波数など、またCDMAのシステムでは使用されている拡散符号やその位相に関する情報などである。このような方法は、周辺の基地局の情報をシステム運用者が用意し、各基地局にあらかじめ格納しておく必要があった。周辺基地局の情報は、地図上の距離を用いて人手によって決めたり、地形や建物データに基づいて実際の伝搬環境を模擬するソフトウェアを用いて決定したりしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の手法では、現実の伝搬環境を正確に予測することが困難であるために、あらかじめ用意した周辺基地局情報が適切でない、あるいは、建物や地形の変化に迅速に追従できないなどの問題点があった。周辺基地局情報が適切でないと、移動局の通信中ハンドオーバ制御や待ち受け中のセル移行の処理に支障を来し、通話が途中で切断されるあるいは着信が受けられないなどの、移動通信サービスにとって好ましくない重大な問題を生ずるという欠陥を有していた。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、各基地局から移動局に通知される周辺基地局の情報を適切に更新し、設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、移動局が複数の基地局から送信される信号を受信することにより自局において受信可能な基地局の基地局情報を取得し、該取得した情報を基地局に通知することをその要旨としている。すでに説明したように、現実の伝搬環境を正確に予測することは非常に困難である。移動局において観測された基地局情報(例えば、情報レートより高速度の拡散符号を用いて信号を広帯域に拡散することにより基地局と移動局が相互に通信を行い、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有し全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを使用し2重に拡散して信号を伝送するシステムにおける第2拡散符号番号、または第2拡散符号番号と位相情報。あるいは、とまり木チャネルの無線周波数)に基づいて、基地局で保持している周辺基地局情報(例えば、情報レートより高速度の拡散符号を用いて信号を広帯域に拡散することにより基地局と移動局が相互に通信を行い、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有し全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを使用し2重に拡散して信号を伝送するシステムにおける第2拡散符号番号、または第2拡散符号番号と位相情報。あるいは、とまり木チャネルの無線周波数)を更新するよう構成したので、現実の伝搬環境が周辺基地局情報により正確に反映されるよう作用する。
【0008】
図2は地図上の距離などにより、予想された各基地局の勢力範囲の例を示す図である。図では基地局BS1の周辺基地局情報としては、基地局BS2、BS3、BS4、およびBS5に関する情報を登録しておけば十分であると判定されたことを、これらの記号の下に下線を引いて示している。
【0009】
ところが、現実の伝搬環境では、図3のような勢力範囲であったとする。基地局BS1から、基地局BS6へハンドオーバしようとした移動局はBS1の周辺基地局情報にBS6に関する情報が登録されていないためにハンドオーバできずに通話途中で切断されてしまう。
【0010】
しかし、本発明では現実の伝搬環境を反映して、BS1とBS6の境界に位置する移動局からそれぞれの基地局からの信号を受信可能であることが基地局に対して報告されるため、BS1からBS6へのハンドオーバを可能とさせるように作用する(図4)。なお、図2〜図4では予測された勢力範囲が円で表されており、現実が円とならない場合を例にとって説明したが、この図は単に予想と現実が異なることを意味しているにすぎず、予想された勢力範囲が円である必要はない。
【0011】
さらに、第2拡散符号と位相情報を併せて測定・基地局へ報告するように構成すれば、ハンドオーバのために新たなセルを探索する際に位相情報を用いて高速なセルサーチ(基地局のとまり木チャネルの探索)が小さな消費電力で実行されるように作用する(図4)。ここで位相情報とは、自基地局で使用している第2拡散符号と周辺基地局で使用している第2拡散符号の位相差を表す情報であり、移動局はこの情報および現在捕捉している基地局の第2拡散符号の位相に基づき、周辺基地局を高速にサーチすることが可能となる。
【0012】
また、基地局が周辺基地局情報を報告件数やハンドオーバ成功率、ハンドオーバ成功回数により優先順位付けするよう構成すれば、移動局においてより高い確率で受信されると予想されるとまり木チャネルを優先的にサーチすることが可能となり、セルサーチにかかる時間及び電力を小さく抑えるように作用する。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法は、前記移動局において、前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信ステップと、前記第1受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信ステップと、前記探索・受信ステップにおいて実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信ステップとを備え、前記基地局において、前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信ステップと、前記第2受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新ステップとを備える。
【0014】
ここで、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれるものとすることができる。
【0015】
ここで、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であるものとすることができる。
【0016】
本発明の第2の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムは、前記移動局が、前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信手段と、前記第1受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備え、前記基地局が、前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信手段と、前記第2受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新手段とを備える。
【0017】
ここで、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれるものとすることができる。
【0018】
ここで、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であるものとすることができる。
【0019】
本発明の第3の側面において、移動局は、基地局が送信した周辺基地局情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備える。
【0020】
ここで、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれるものとすることができる。
【0021】
ここで、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であるものとすることができる。
【0022】
本発明の第4の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、前記周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいて前記とまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法は、前記移動局において、受信したとまり木チャネルから、該とまり木チャネルを送信した基地局の基地局情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記基地局情報取得ステップにより取得した基地局情報を前記基地局に送信する基地局情報送信ステップとを備え、前記基地局において、前記移動局が送信した基地局情報を受信する基地局情報受信ステップと、前記基地局情報受信ステップにより受信した基地局情報に基づいて前記周辺基地局情報を更新する周辺基地局情報更新ステップとを備える。
【0023】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号および該符号の位相情報により構成されるものとすることができる。
【0024】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号により構成されるものとすることができる。
【0025】
ここで、前記基地局情報は、とまり木チャネルの無線周波数により構成されるものとすることができる。
【0026】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、前記基地局情報受信ステップにより受信した基地局情報に多く含まれる基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0027】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功または失敗の結果に基づいて算出されるハンドオーバの成功率の高い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0028】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功回数の多い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0029】
ここで、前記移動局は、順位の高い基地局に対して高頻度に、順位の低い基地局に対して低頻度にとまり木チャネルの探索を行うものとすることができる。
【0030】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報の上位N局分(Nはあらかじめ定められた定数)の情報を送信するものとすることができる。
【0031】
本発明の第5の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、前記周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいて前記とまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備えた移動通信システムは、前記移動局が、受信したとまり木チャネルから、該とまり木チャネルを送信した基地局の基地局情報を取得する基地局情報取得手段と、前記基地局情報取得手段により取得した基地局情報を前記基地局に送信する基地局情報送信手段とを備え、前記基地局が、前記移動局が送信した基地局情報を受信する基地局情報受信手段と、前記基地局情報受信手段により受信した基地局情報に基づいて前記周辺基地局情報を更新する周辺基地局情報更新手段とを備える。
【0032】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号および該符号の位相情報により構成されるものとすることができる。
【0033】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号により構成されるものとすることができる。
【0034】
ここで、前記基地局情報は、とまり木チャネルの無線周波数により構成されるものとすることができる。
【0035】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、前記基地局情報受信手段により受信した基地局情報に多く含まれる基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0036】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功または失敗の結果に基づいて算出されるハンドオーバの成功率の高い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0037】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功回数の多い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0038】
ここで、前記移動局は、順位の高い基地局に対して高頻度に、順位の低い基地局に対して低頻度にとまり木チャネルの探索を行うものとすることができる。
【0039】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報の上位N局分(Nはあらかじめ定められた定数)の情報を送信するものとすることができる。
【0040】
本発明の第6の側面において、基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する移動局は、受信したとまり木チャネルから、該とまり木チャネルを送信した基地局の基地局情報を取得する基地局情報取得手段と、前記基地局情報取得手段により取得した基地局情報を基地局に送信する基地局情報送信手段とを備える。
【0041】
本発明の第7の側面において、周辺基地局情報を送信する基地局は、移動局が送信した基地局情報を受信する基地局情報受信手段と、前記基地局情報受信手段により受信した基地局情報に基づいて前記周辺基地局情報を更新する周辺基地局情報更新手段とを備える。
【0042】
以上の構成によれば、各基地局から移動局に通知される周辺基地局の情報を適切に更新し、設定することができる。
【0043】
また、第2拡散符号と位相情報を併せて測定・基地局へ報告するようにすれば、高速なセルサーチを小さな消費電力で実行することができる。
【0044】
さらに、基地局が周辺基地局情報を優先順位付けするようにすれば、セルサーチにかかる時間及び電力を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、各基地局から移動局に通知される周辺基地局の情報を適切に更新し、設定することができる。
【0046】
また、第2拡散符号と位相情報を併せて測定・基地局へ報告するようにすれば、高速なセルサーチを小さな消費電力で実行することができる。
【0047】
さらに、基地局が周辺基地局情報を優先順位付けするようにすれば、セルサーチにかかる時間及び電力を小さく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下で、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0049】
本実施形態に係る移動通信システムは、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいてとまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備える。本実施形態に係る基地局は、とまり木チャネルに周辺基地局情報、すなわち該基地局の周辺の基地局のとまり木チャネル等の情報を含めて送信する。
【0050】
本発明は無線アクセス方式によらず適用可能であるが、本実施形態に係る移動通信システムでは無線アクセス方式としてCDMA方式を用いている。拡散に用いられる拡散符号は、情報シンボル周期の繰り返し周期を有し全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局ごとに異なる第2拡散符号との2種類の拡散コードの組み合わせにより構成されている。
【0051】
図5は本実施形態に係る移動通信システムの拡散コードの使用方法を説明するための概念図である。同図中、上段のレイヤは長周期で基地局毎に割り当てられるスクランブリングコードのレイヤを、下段のレイヤは短周期で全基地局に共通に用いられるスプレッディングコードのレイヤを示している。各基地局から送出される信号は、各基地局毎に割り当てられている長周期のスクランブリングコードを用いて識別される。
【0052】
図6は本実施形態に係る移動局において受信される各基地局からの信号について、スクランブリングコードのタイミング関係を示す模式図である。本実施形態に係る移動通信システムは、基地局間の同期を必ずしも必要としない非同期の移動通信システムであり、移動局において受信されるスクランブリングコードのタイミングも各基地局毎に区々である。
【0053】
図7は本実施形態に係る移動局の構成例を示す図である。図では、本発明に関係する部分の構成のみ示している。本実施形態に係る移動局は、移動局送受信装置720、ユーザインタフェース722、アンテナ724、基地局情報報告処理回路726、共通制御回路728、セルサーチ制御回路730、基地局情報取得・処理回路732、メモリ734、およびバス736を備える。本実施形態に係る移動局は、基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信することにより通信または待ち受けを行う基地局を決定する。
【0054】
移動局送受信機720は基地局から送出される無線変調されたユーザ情報や制御信号を復調したり、ユーザ信号や制御信号を符号化・変調し送るための装置である。移動局送受信装置720はアンテナ724およびユーザインタフェース722にそれぞれ接続されている。共通制御回路728は、移動局の全般的な制御を司る回路である。セルサーチ制御回路730は周辺基地局情報の優先度などに基づいてタイミングを制御したりしながらセルサーチ動作を制御する回路である。また他の回路において、セルサーチの結果を再利用できるように、セルサーチ制御回路730はセルサーチ結果をメモリ734に格納する動作を行う。基地局情報取得・処理回路732は、メモリ734に格納されたセルサーチ結果を用いて、基地局のスクランブリングコード情報や、位相情報を作成する回路である。基地局情報報告処理回路726は、生成された基地局情報を、基地局に報告するために移動局送受信装置720に対して該情報の送信を指令する回路である。共通制御回路728、セルサーチ制御回路730、基地局情報取得・処理回路732、基地局情報報告処理回路726、およびメモリ734はバスを介して相互に接続されている。
【0055】
図8は本実施形態に係るとまり木チャネルの構造例を説明するための図である。以下、セルサーチ制御回路730により制御されるセルサーチの動作について説明する。とまり木チャネルは、移動局が電源立ち上げ時にシステムへの同期をとってシステム情報を取得したり、待ち受け中や通信中に自局が他の基地局に移動したことを検知したりするときに使用するチャネルであり、各基地局は少なくともひとつのとまり木チャネルを時間的に一定の送信電力にて送信している。とまり木チャネルは情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散される。また、とまり木チャネルはシンボル周期と等しい繰り返し周期を持ち全基地局で共通に仕様するスプレッディングコードと、各基地局ごとに異なるスクランブリングコードで二重に拡散される。とまり木チャネルの拡散に用いられるスクランブリングコードは一定周期ごとにマスクされており、マスクされた区間はスクランブリングコードによる拡散は行われずスプレッディングコードのみで拡散される。この部分をマスクシンボルとよぶ。とまり木チャネルに用いるスプレッディングコードは全基地局で共通である。移動局はこの共通スプレッディングコードを拡散符号レプリカとしてマッチトフィルタで相関をとると、どのスクランブリングコードが用いられているかに関わらず、受信信号のスプレッディングコード拡散部の受信タイミングで相関のピークを検出できる。この相関ピークからマスクシンボルのタイミングに従って各この時間を記憶しておくことで、スクランブリングコードのタイミング同期は確立される。続いて、受信信号を拡散するスクランブリングコード番号を識別すればよい。これは、スプレッディングコードとスクランブリングコードが乗算された拡散符号をレプリカ符号とし、すでに得られているタイミングで相関検出し、しきい値判定することで行うことで、受信されたとまり木がそのスクランブリングコードを使用しているか否かが判定できる。可能なスクランブリングコードについてこの処理を繰り返すことにより、受信されるとまり木が使用しているスクランブリングコードが特定できることになる。セルサーチ方法の詳細については、Higuchi, Sawahashi, Adachi, “Fast Cell Search Algorithm in Inter-Cell Asynchronous DS-CDMA Mobile Radio,” IEICE Trans. Commun., Vol. E81-B, No. 7, July 1998に詳細に説明されている。結局このような動作により、基地局情報の取得が可能である。すなわち、移動局において受信可能なとまり木チャネルのスクランブリングコード番号および位相情報を取得することが可能である。図9に移動局が基地局の情報を取得し、自局が接続している基地局に報告し、基地局で情報を更新するイメージを示す。
【0056】
本実施形態では、基地局情報を、基地局が用いる第2拡散符号番号および該符号の位相情報により構成している。位相情報を用いることにより、高速なセルサーチを小さな消費電力で実行することができる。ただし、基地局情報を、基地局が用いる第2拡散符号番号のみにより構成することも可能である。また、無線アクセス方式としてFDMA方式やTDMA方式を用いて、基地局情報を、とまり木チャネルの無線周波数により構成するようにすることもできる。
【0057】
移動局は基地局情報を基地局に送信する。図4の例のように新たにBS6の基地局情報が得られた場合には、例えばBS1にBS6の基地局情報を送信する。さらに、BS6にBS1の基地局情報を送信するようにすることもできる。BS6への基地局情報の送信は移動局が直接行うようにしてもよいし、BS1を介して行うようにしてもよい。移動局が送信した基地局情報を受信した基地局は、その基地局情報に基づいて周辺基地局情報を更新する。
【0058】
基地局では周辺基地局情報に優先順位付けをすることができる。
【0059】
図10は報告件数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。基地局は一定周期ごとに在圏移動局に周辺基地局情報を通知(送信)する。移動局から基地局情報の報告を受けると、基地局情報を抽出し、各基地局毎の報告件数を更新する。そして、報告件数の多い順、すなわち基地局情報に多く含まれる基地局の順に周辺基地局情報を並べ替える。
【0060】
図11はハンドオーバ成功率またはハンドオーバ成功回数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。基地局は一定周期ごとに在圏移動局に周辺基地局情報を通知(送信)する。移動局から基地局情報の報告を受けると、基地局情報を抽出し、各基地局毎の報告件数を更新する。また、ハンドオーバが発生すると、ハンドオーバ先およびその結果を取得して、周辺基地局情報を並べ替える。このとき、ハンドオーバの成功または失敗の結果を取得してハンドオーバの成功率を計算し、ハンドオーバの成功率の高い基地局の順に周辺基地局情報を並べ替えるようにすることができる。また、ハンドオーバの成功回数を取得して、ハンドオーバの成功回数の多い基地局の順に周辺基地局情報を並べ替えるようにすることができる。
【0061】
基地局は、周辺基地局情報を順位付けした場合に、周辺基地局情報の上位N局分(Nはあらかじめ定められた定数)の情報を送信するようにすることができる。
【0062】
一方、移動局においては、順位付きの周辺基地局情報を受信した際に、順位の高い基地局に対して高頻度に、順位の低い基地局に対して低頻度にとまり木チャネルの探索を行うようにすることができる。
【0063】
図12は、基地局から通知された周辺基地局情報に基づいて個々の基地局を優先順位付けし、とまり木チャネルの探索頻度を変化させる場合に用いる順位表の例を示す図である。基地局から取得した周辺基地局情報および、あらかじめ移動局に用意された対応表を用いて、各基地局のとまり木探索頻度が定められる。すなわち、周辺基地局情報により順位付けられた基地局について、対応表のその順位に対応する探索周期でその基地局のとまり木チャネルを探索する。
【0064】
図12では、各優先順位毎に探索頻度を異ならせるかのように説明したが、これは必ずしも必要な条件ではない、例えば、優先順位を前半と後半に分け、前半に属する物には高頻度のひとつの頻度を適用し、後半に属するものには低頻度のひとつの頻度を適用するなど、様々な他の方法が考えられる。どのような手法を用いたとしても、優先度の高い基地局に対する頻度を高く、優先度の低い基地局に対する頻度を低く設定する限りにおいて、同様の効果がある。また、優先順位と頻度の関係はあらかじめ定めておいて移動局に格納するかのごとく説明したが、これも本発明を適用するために必要な条件ではない。他にも例えば、基地局から本情報を定期的に通知する方法や、ユーザが定める手法など様々な手法が考えられるが、どのような手法をとったとしても、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】移動通信システムの例を示す図である。
【図2】地図上の距離などにより、予想された各基地局の勢力範囲の例を示す図である。
【図3】現実の各基地局の勢力範囲の例を示す図である。
【図4】現実の各基地局の勢力範囲の例に対して、本発明を適用した場合のハンドオーバを説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る移動通信システムの拡散コードの使用方法を説明するための概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係る移動局において受信される各基地局からの信号について、スクランブリングコードのタイミング関係を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る移動局の構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るとまり木チャネルの構造例を説明するための図である。
【図9】移動局が基地局の情報を取得し、自局が接続している基地局に報告し、基地局で情報を更新するイメージを示す図である。
【図10】報告件数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。
【図11】ハンドオーバ成功率またはハンドオーバ成功回数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。
【図12】基地局から通知された周辺基地局情報に基づいて個々の基地局を優先順位付けし、とまり木チャネルの探索頻度を変化させる場合に用いる順位表の例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
111−1〜111−5、BS1〜BS6 基地局
112−1〜112−3 移動局
720 移動局送受信装置
722 ユーザインタフェース
724 アンテナ
726 基地局情報報告処理回路
728 共通制御回路
730 セルサーチ制御回路
732 基地局情報取得・処理回路
734 メモリ
736 バス
【技術分野】
【0001】
本発明は、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいてとまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及している携帯電話のような移動通信システムでは、サービスエリア全体をセルと呼ばれる比較的小さな無線ゾーンに分割してサービスを行っている。このようなシステムは、例えば図1に示すように、分割された無線ゾーンをカバーする複数の基地局111−1〜111−5と、これら基地局111−1〜111−5との間に無線チャネルを設定して通信を行う移動局112−1〜112−3により構成されている。
【0003】
基地局と移動局の間の主なアクセス方式として、周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access; FDMA)、時分割多元接続(Time Division Multiple Access; TDMA)、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access; CDMA)がある。いずれの方式においても各基地局は、移動局が接続すべき基地局を識別できるようにするためのチャネルを送信している。ここでは、このようなチャネルをとまり木チャネルとよぶことにする。FDMA方式やTDMA方式では、各基地局のとまり木チャネルは異なる無線周波数を使用し、移動局は無線周波数により、各基地局を識別する。一方、直接拡散(DS)−CDMAは従来の情報データ変調信号を高速レートの拡散符号にて拡散する2次変調を行って情報伝送することで複数のユーザが同一の無線周波数帯を用いて通信を行う方式である。各ユーザの通信波は各ユーザ毎に割り当てられた拡散符号により識別される。
【0004】
ところで、基地局からある送信電力で送信された電波は減衰しながら空間を伝搬し受信点に到達する。電波が受ける減衰量は送信点と受信点の距離が遠くなるほど大きくなるという性質があるため、基本的に遠い基地局から送信されるとまり木チャネルは弱い受信レベルで、近い基地局から送信されるとまり木チャネルは強い受信レベルで受信される。現実には、伝搬損失の大小は距離だけではなく、地形や建造物などの状況により異なってくるため、移動局の移動に伴って各基地局からのとまり木チャネルの受信電力は大きく変動する。基地局から送信される信号をよりよい品質で受信するためには、移動局は各基地局からのとまり木チャネルを常に監視し、最良の基地局を選択することが重要となる。各基地局からのとまり木チャネルの受信レベルが常に変動する状況にあっては、所要の受信レベル以上となるとまり木は常に入れ替わっており、それまで受信していたとまり木の受信レベルが急に低くなり受信不能となったり、逆にそれまで受信不能だったとまり木の受信レベルが急に高くなり受信可能となったりする。このような状況においても、移動局が最良のとまり木チャネルに追従できるようにするために、一般に移動通信システムにおいては、周辺の基地局が使用しているとまり木チャネルに関する情報を網側から移動局に通知する方法がとられている。周辺の基地局に関する情報は、FDMAやTDMAのシステムでは、とまり木の無線周波数など、またCDMAのシステムでは使用されている拡散符号やその位相に関する情報などである。このような方法は、周辺の基地局の情報をシステム運用者が用意し、各基地局にあらかじめ格納しておく必要があった。周辺基地局の情報は、地図上の距離を用いて人手によって決めたり、地形や建物データに基づいて実際の伝搬環境を模擬するソフトウェアを用いて決定したりしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の手法では、現実の伝搬環境を正確に予測することが困難であるために、あらかじめ用意した周辺基地局情報が適切でない、あるいは、建物や地形の変化に迅速に追従できないなどの問題点があった。周辺基地局情報が適切でないと、移動局の通信中ハンドオーバ制御や待ち受け中のセル移行の処理に支障を来し、通話が途中で切断されるあるいは着信が受けられないなどの、移動通信サービスにとって好ましくない重大な問題を生ずるという欠陥を有していた。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、各基地局から移動局に通知される周辺基地局の情報を適切に更新し、設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、移動局が複数の基地局から送信される信号を受信することにより自局において受信可能な基地局の基地局情報を取得し、該取得した情報を基地局に通知することをその要旨としている。すでに説明したように、現実の伝搬環境を正確に予測することは非常に困難である。移動局において観測された基地局情報(例えば、情報レートより高速度の拡散符号を用いて信号を広帯域に拡散することにより基地局と移動局が相互に通信を行い、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有し全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを使用し2重に拡散して信号を伝送するシステムにおける第2拡散符号番号、または第2拡散符号番号と位相情報。あるいは、とまり木チャネルの無線周波数)に基づいて、基地局で保持している周辺基地局情報(例えば、情報レートより高速度の拡散符号を用いて信号を広帯域に拡散することにより基地局と移動局が相互に通信を行い、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有し全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを使用し2重に拡散して信号を伝送するシステムにおける第2拡散符号番号、または第2拡散符号番号と位相情報。あるいは、とまり木チャネルの無線周波数)を更新するよう構成したので、現実の伝搬環境が周辺基地局情報により正確に反映されるよう作用する。
【0008】
図2は地図上の距離などにより、予想された各基地局の勢力範囲の例を示す図である。図では基地局BS1の周辺基地局情報としては、基地局BS2、BS3、BS4、およびBS5に関する情報を登録しておけば十分であると判定されたことを、これらの記号の下に下線を引いて示している。
【0009】
ところが、現実の伝搬環境では、図3のような勢力範囲であったとする。基地局BS1から、基地局BS6へハンドオーバしようとした移動局はBS1の周辺基地局情報にBS6に関する情報が登録されていないためにハンドオーバできずに通話途中で切断されてしまう。
【0010】
しかし、本発明では現実の伝搬環境を反映して、BS1とBS6の境界に位置する移動局からそれぞれの基地局からの信号を受信可能であることが基地局に対して報告されるため、BS1からBS6へのハンドオーバを可能とさせるように作用する(図4)。なお、図2〜図4では予測された勢力範囲が円で表されており、現実が円とならない場合を例にとって説明したが、この図は単に予想と現実が異なることを意味しているにすぎず、予想された勢力範囲が円である必要はない。
【0011】
さらに、第2拡散符号と位相情報を併せて測定・基地局へ報告するように構成すれば、ハンドオーバのために新たなセルを探索する際に位相情報を用いて高速なセルサーチ(基地局のとまり木チャネルの探索)が小さな消費電力で実行されるように作用する(図4)。ここで位相情報とは、自基地局で使用している第2拡散符号と周辺基地局で使用している第2拡散符号の位相差を表す情報であり、移動局はこの情報および現在捕捉している基地局の第2拡散符号の位相に基づき、周辺基地局を高速にサーチすることが可能となる。
【0012】
また、基地局が周辺基地局情報を報告件数やハンドオーバ成功率、ハンドオーバ成功回数により優先順位付けするよう構成すれば、移動局においてより高い確率で受信されると予想されるとまり木チャネルを優先的にサーチすることが可能となり、セルサーチにかかる時間及び電力を小さく抑えるように作用する。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法は、前記移動局において、前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信ステップと、前記第1受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信ステップと、前記探索・受信ステップにおいて実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信ステップとを備え、前記基地局において、前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信ステップと、前記第2受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新ステップとを備える。
【0014】
ここで、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれるものとすることができる。
【0015】
ここで、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であるものとすることができる。
【0016】
本発明の第2の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムは、前記移動局が、前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信手段と、前記第1受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備え、前記基地局が、前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信手段と、前記第2受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新手段とを備える。
【0017】
ここで、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれるものとすることができる。
【0018】
ここで、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であるものとすることができる。
【0019】
本発明の第3の側面において、移動局は、基地局が送信した周辺基地局情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備える。
【0020】
ここで、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれるものとすることができる。
【0021】
ここで、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であるものとすることができる。
【0022】
本発明の第4の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、前記周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいて前記とまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法は、前記移動局において、受信したとまり木チャネルから、該とまり木チャネルを送信した基地局の基地局情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記基地局情報取得ステップにより取得した基地局情報を前記基地局に送信する基地局情報送信ステップとを備え、前記基地局において、前記移動局が送信した基地局情報を受信する基地局情報受信ステップと、前記基地局情報受信ステップにより受信した基地局情報に基づいて前記周辺基地局情報を更新する周辺基地局情報更新ステップとを備える。
【0023】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号および該符号の位相情報により構成されるものとすることができる。
【0024】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号により構成されるものとすることができる。
【0025】
ここで、前記基地局情報は、とまり木チャネルの無線周波数により構成されるものとすることができる。
【0026】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、前記基地局情報受信ステップにより受信した基地局情報に多く含まれる基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0027】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功または失敗の結果に基づいて算出されるハンドオーバの成功率の高い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0028】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功回数の多い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0029】
ここで、前記移動局は、順位の高い基地局に対して高頻度に、順位の低い基地局に対して低頻度にとまり木チャネルの探索を行うものとすることができる。
【0030】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報の上位N局分(Nはあらかじめ定められた定数)の情報を送信するものとすることができる。
【0031】
本発明の第5の側面において、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、前記周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいて前記とまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備えた移動通信システムは、前記移動局が、受信したとまり木チャネルから、該とまり木チャネルを送信した基地局の基地局情報を取得する基地局情報取得手段と、前記基地局情報取得手段により取得した基地局情報を前記基地局に送信する基地局情報送信手段とを備え、前記基地局が、前記移動局が送信した基地局情報を受信する基地局情報受信手段と、前記基地局情報受信手段により受信した基地局情報に基づいて前記周辺基地局情報を更新する周辺基地局情報更新手段とを備える。
【0032】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号および該符号の位相情報により構成されるものとすることができる。
【0033】
ここで、前記とまり木チャネルは、情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散されており、かつ、情報シンボル周期と同じ繰り返し周期を有する全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局毎に異なる第2拡散符号とを用いて二重に拡散されており、前記基地局情報は、基地局が用いる第2拡散符号番号により構成されるものとすることができる。
【0034】
ここで、前記基地局情報は、とまり木チャネルの無線周波数により構成されるものとすることができる。
【0035】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、前記基地局情報受信手段により受信した基地局情報に多く含まれる基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0036】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功または失敗の結果に基づいて算出されるハンドオーバの成功率の高い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0037】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報を、ハンドオーバの成功回数の多い基地局の順に並べ替えるものとすることができる。
【0038】
ここで、前記移動局は、順位の高い基地局に対して高頻度に、順位の低い基地局に対して低頻度にとまり木チャネルの探索を行うものとすることができる。
【0039】
ここで、前記基地局は、前記周辺基地局情報の上位N局分(Nはあらかじめ定められた定数)の情報を送信するものとすることができる。
【0040】
本発明の第6の側面において、基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する移動局は、受信したとまり木チャネルから、該とまり木チャネルを送信した基地局の基地局情報を取得する基地局情報取得手段と、前記基地局情報取得手段により取得した基地局情報を基地局に送信する基地局情報送信手段とを備える。
【0041】
本発明の第7の側面において、周辺基地局情報を送信する基地局は、移動局が送信した基地局情報を受信する基地局情報受信手段と、前記基地局情報受信手段により受信した基地局情報に基づいて前記周辺基地局情報を更新する周辺基地局情報更新手段とを備える。
【0042】
以上の構成によれば、各基地局から移動局に通知される周辺基地局の情報を適切に更新し、設定することができる。
【0043】
また、第2拡散符号と位相情報を併せて測定・基地局へ報告するようにすれば、高速なセルサーチを小さな消費電力で実行することができる。
【0044】
さらに、基地局が周辺基地局情報を優先順位付けするようにすれば、セルサーチにかかる時間及び電力を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、各基地局から移動局に通知される周辺基地局の情報を適切に更新し、設定することができる。
【0046】
また、第2拡散符号と位相情報を併せて測定・基地局へ報告するようにすれば、高速なセルサーチを小さな消費電力で実行することができる。
【0047】
さらに、基地局が周辺基地局情報を優先順位付けするようにすれば、セルサーチにかかる時間及び電力を小さく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下で、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0049】
本実施形態に係る移動通信システムは、とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、周辺基地局情報を受信し、該周辺基地局情報に基づいてとまり木チャネルを探索し、受信する移動局とを備える。本実施形態に係る基地局は、とまり木チャネルに周辺基地局情報、すなわち該基地局の周辺の基地局のとまり木チャネル等の情報を含めて送信する。
【0050】
本発明は無線アクセス方式によらず適用可能であるが、本実施形態に係る移動通信システムでは無線アクセス方式としてCDMA方式を用いている。拡散に用いられる拡散符号は、情報シンボル周期の繰り返し周期を有し全基地局に共通な第1拡散符号群と情報シンボル周期に比較して繰り返し周期の長い基地局ごとに異なる第2拡散符号との2種類の拡散コードの組み合わせにより構成されている。
【0051】
図5は本実施形態に係る移動通信システムの拡散コードの使用方法を説明するための概念図である。同図中、上段のレイヤは長周期で基地局毎に割り当てられるスクランブリングコードのレイヤを、下段のレイヤは短周期で全基地局に共通に用いられるスプレッディングコードのレイヤを示している。各基地局から送出される信号は、各基地局毎に割り当てられている長周期のスクランブリングコードを用いて識別される。
【0052】
図6は本実施形態に係る移動局において受信される各基地局からの信号について、スクランブリングコードのタイミング関係を示す模式図である。本実施形態に係る移動通信システムは、基地局間の同期を必ずしも必要としない非同期の移動通信システムであり、移動局において受信されるスクランブリングコードのタイミングも各基地局毎に区々である。
【0053】
図7は本実施形態に係る移動局の構成例を示す図である。図では、本発明に関係する部分の構成のみ示している。本実施形態に係る移動局は、移動局送受信装置720、ユーザインタフェース722、アンテナ724、基地局情報報告処理回路726、共通制御回路728、セルサーチ制御回路730、基地局情報取得・処理回路732、メモリ734、およびバス736を備える。本実施形態に係る移動局は、基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信することにより通信または待ち受けを行う基地局を決定する。
【0054】
移動局送受信機720は基地局から送出される無線変調されたユーザ情報や制御信号を復調したり、ユーザ信号や制御信号を符号化・変調し送るための装置である。移動局送受信装置720はアンテナ724およびユーザインタフェース722にそれぞれ接続されている。共通制御回路728は、移動局の全般的な制御を司る回路である。セルサーチ制御回路730は周辺基地局情報の優先度などに基づいてタイミングを制御したりしながらセルサーチ動作を制御する回路である。また他の回路において、セルサーチの結果を再利用できるように、セルサーチ制御回路730はセルサーチ結果をメモリ734に格納する動作を行う。基地局情報取得・処理回路732は、メモリ734に格納されたセルサーチ結果を用いて、基地局のスクランブリングコード情報や、位相情報を作成する回路である。基地局情報報告処理回路726は、生成された基地局情報を、基地局に報告するために移動局送受信装置720に対して該情報の送信を指令する回路である。共通制御回路728、セルサーチ制御回路730、基地局情報取得・処理回路732、基地局情報報告処理回路726、およびメモリ734はバスを介して相互に接続されている。
【0055】
図8は本実施形態に係るとまり木チャネルの構造例を説明するための図である。以下、セルサーチ制御回路730により制御されるセルサーチの動作について説明する。とまり木チャネルは、移動局が電源立ち上げ時にシステムへの同期をとってシステム情報を取得したり、待ち受け中や通信中に自局が他の基地局に移動したことを検知したりするときに使用するチャネルであり、各基地局は少なくともひとつのとまり木チャネルを時間的に一定の送信電力にて送信している。とまり木チャネルは情報レートより高速度の拡散符号を用いて広帯域に拡散される。また、とまり木チャネルはシンボル周期と等しい繰り返し周期を持ち全基地局で共通に仕様するスプレッディングコードと、各基地局ごとに異なるスクランブリングコードで二重に拡散される。とまり木チャネルの拡散に用いられるスクランブリングコードは一定周期ごとにマスクされており、マスクされた区間はスクランブリングコードによる拡散は行われずスプレッディングコードのみで拡散される。この部分をマスクシンボルとよぶ。とまり木チャネルに用いるスプレッディングコードは全基地局で共通である。移動局はこの共通スプレッディングコードを拡散符号レプリカとしてマッチトフィルタで相関をとると、どのスクランブリングコードが用いられているかに関わらず、受信信号のスプレッディングコード拡散部の受信タイミングで相関のピークを検出できる。この相関ピークからマスクシンボルのタイミングに従って各この時間を記憶しておくことで、スクランブリングコードのタイミング同期は確立される。続いて、受信信号を拡散するスクランブリングコード番号を識別すればよい。これは、スプレッディングコードとスクランブリングコードが乗算された拡散符号をレプリカ符号とし、すでに得られているタイミングで相関検出し、しきい値判定することで行うことで、受信されたとまり木がそのスクランブリングコードを使用しているか否かが判定できる。可能なスクランブリングコードについてこの処理を繰り返すことにより、受信されるとまり木が使用しているスクランブリングコードが特定できることになる。セルサーチ方法の詳細については、Higuchi, Sawahashi, Adachi, “Fast Cell Search Algorithm in Inter-Cell Asynchronous DS-CDMA Mobile Radio,” IEICE Trans. Commun., Vol. E81-B, No. 7, July 1998に詳細に説明されている。結局このような動作により、基地局情報の取得が可能である。すなわち、移動局において受信可能なとまり木チャネルのスクランブリングコード番号および位相情報を取得することが可能である。図9に移動局が基地局の情報を取得し、自局が接続している基地局に報告し、基地局で情報を更新するイメージを示す。
【0056】
本実施形態では、基地局情報を、基地局が用いる第2拡散符号番号および該符号の位相情報により構成している。位相情報を用いることにより、高速なセルサーチを小さな消費電力で実行することができる。ただし、基地局情報を、基地局が用いる第2拡散符号番号のみにより構成することも可能である。また、無線アクセス方式としてFDMA方式やTDMA方式を用いて、基地局情報を、とまり木チャネルの無線周波数により構成するようにすることもできる。
【0057】
移動局は基地局情報を基地局に送信する。図4の例のように新たにBS6の基地局情報が得られた場合には、例えばBS1にBS6の基地局情報を送信する。さらに、BS6にBS1の基地局情報を送信するようにすることもできる。BS6への基地局情報の送信は移動局が直接行うようにしてもよいし、BS1を介して行うようにしてもよい。移動局が送信した基地局情報を受信した基地局は、その基地局情報に基づいて周辺基地局情報を更新する。
【0058】
基地局では周辺基地局情報に優先順位付けをすることができる。
【0059】
図10は報告件数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。基地局は一定周期ごとに在圏移動局に周辺基地局情報を通知(送信)する。移動局から基地局情報の報告を受けると、基地局情報を抽出し、各基地局毎の報告件数を更新する。そして、報告件数の多い順、すなわち基地局情報に多く含まれる基地局の順に周辺基地局情報を並べ替える。
【0060】
図11はハンドオーバ成功率またはハンドオーバ成功回数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。基地局は一定周期ごとに在圏移動局に周辺基地局情報を通知(送信)する。移動局から基地局情報の報告を受けると、基地局情報を抽出し、各基地局毎の報告件数を更新する。また、ハンドオーバが発生すると、ハンドオーバ先およびその結果を取得して、周辺基地局情報を並べ替える。このとき、ハンドオーバの成功または失敗の結果を取得してハンドオーバの成功率を計算し、ハンドオーバの成功率の高い基地局の順に周辺基地局情報を並べ替えるようにすることができる。また、ハンドオーバの成功回数を取得して、ハンドオーバの成功回数の多い基地局の順に周辺基地局情報を並べ替えるようにすることができる。
【0061】
基地局は、周辺基地局情報を順位付けした場合に、周辺基地局情報の上位N局分(Nはあらかじめ定められた定数)の情報を送信するようにすることができる。
【0062】
一方、移動局においては、順位付きの周辺基地局情報を受信した際に、順位の高い基地局に対して高頻度に、順位の低い基地局に対して低頻度にとまり木チャネルの探索を行うようにすることができる。
【0063】
図12は、基地局から通知された周辺基地局情報に基づいて個々の基地局を優先順位付けし、とまり木チャネルの探索頻度を変化させる場合に用いる順位表の例を示す図である。基地局から取得した周辺基地局情報および、あらかじめ移動局に用意された対応表を用いて、各基地局のとまり木探索頻度が定められる。すなわち、周辺基地局情報により順位付けられた基地局について、対応表のその順位に対応する探索周期でその基地局のとまり木チャネルを探索する。
【0064】
図12では、各優先順位毎に探索頻度を異ならせるかのように説明したが、これは必ずしも必要な条件ではない、例えば、優先順位を前半と後半に分け、前半に属する物には高頻度のひとつの頻度を適用し、後半に属するものには低頻度のひとつの頻度を適用するなど、様々な他の方法が考えられる。どのような手法を用いたとしても、優先度の高い基地局に対する頻度を高く、優先度の低い基地局に対する頻度を低く設定する限りにおいて、同様の効果がある。また、優先順位と頻度の関係はあらかじめ定めておいて移動局に格納するかのごとく説明したが、これも本発明を適用するために必要な条件ではない。他にも例えば、基地局から本情報を定期的に通知する方法や、ユーザが定める手法など様々な手法が考えられるが、どのような手法をとったとしても、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】移動通信システムの例を示す図である。
【図2】地図上の距離などにより、予想された各基地局の勢力範囲の例を示す図である。
【図3】現実の各基地局の勢力範囲の例を示す図である。
【図4】現実の各基地局の勢力範囲の例に対して、本発明を適用した場合のハンドオーバを説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る移動通信システムの拡散コードの使用方法を説明するための概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係る移動局において受信される各基地局からの信号について、スクランブリングコードのタイミング関係を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る移動局の構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るとまり木チャネルの構造例を説明するための図である。
【図9】移動局が基地局の情報を取得し、自局が接続している基地局に報告し、基地局で情報を更新するイメージを示す図である。
【図10】報告件数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。
【図11】ハンドオーバ成功率またはハンドオーバ成功回数により順位づけをする場合の状態遷移例を示す図である。
【図12】基地局から通知された周辺基地局情報に基づいて個々の基地局を優先順位付けし、とまり木チャネルの探索頻度を変化させる場合に用いる順位表の例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
111−1〜111−5、BS1〜BS6 基地局
112−1〜112−3 移動局
720 移動局送受信装置
722 ユーザインタフェース
724 アンテナ
726 基地局情報報告処理回路
728 共通制御回路
730 セルサーチ制御回路
732 基地局情報取得・処理回路
734 メモリ
736 バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法であって、
前記移動局において、
前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信ステップと、
前記第1受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信ステップと、
前記探索・受信ステップにおいて実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信ステップとを備え、
前記基地局において、
前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信ステップと、
前記第2受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新ステップとを備えることを特徴とする周辺基地局情報更新方法。
【請求項2】
請求項1に記載の周辺基地局情報更新方法であって、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれることを特徴とする周辺基地局情報更新方法。
【請求項3】
請求項2に記載の周辺基地局情報更新方法であって、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であることを特徴とする周辺基地局情報更新方法。
【請求項4】
とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムであって、
前記移動局は、
前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、
前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備え、
前記基地局は、
前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新手段とを備えたことを特徴とする移動通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の移動通信システムであって、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれることを特徴とする移動通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動通信システムであって、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であることを特徴とする移動通信システム。
【請求項7】
移動局であって、
基地局が送信した周辺基地局情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、
前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする移動局。
【請求項8】
請求項7に記載の移動局であって、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれることを特徴とする移動局。
【請求項9】
請求項8に記載の移動局であって、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であることを特徴とする移動局。
【請求項1】
とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムにおける周辺基地局情報更新方法であって、
前記移動局において、
前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信ステップと、
前記第1受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信ステップと、
前記探索・受信ステップにおいて実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信ステップとを備え、
前記基地局において、
前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信ステップと、
前記第2受信ステップにより受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新ステップとを備えることを特徴とする周辺基地局情報更新方法。
【請求項2】
請求項1に記載の周辺基地局情報更新方法であって、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれることを特徴とする周辺基地局情報更新方法。
【請求項3】
請求項2に記載の周辺基地局情報更新方法であって、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であることを特徴とする周辺基地局情報更新方法。
【請求項4】
とまり木チャネルおよび周辺基地局情報を送信する複数の基地局と、移動局とを備えた移動通信システムであって、
前記移動局は、
前記基地局が送信した周辺基地局情報を受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、
前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備え、
前記基地局は、
前記移動局が送信した周辺基地局情報を受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、当該基地局の周辺基地局情報を更新する更新手段とを備えたことを特徴とする移動通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の移動通信システムであって、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれることを特徴とする移動通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動通信システムであって、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であることを特徴とする移動通信システム。
【請求項7】
移動局であって、
基地局が送信した周辺基地局情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した周辺基地局情報に基づいて、周辺基地局が送信したとまり木チャネルを探索し、受信する探索・受信手段と、
前記探索・受信手段において実際に観測された周辺基地局情報を前記基地局に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする移動局。
【請求項8】
請求項7に記載の移動局であって、前記周辺基地局情報には、当該周辺基地局が用いる拡散符号の位相に関する情報が含まれることを特徴とする移動局。
【請求項9】
請求項8に記載の移動局であって、前記位相に関する情報は、当該周辺基地局情報を送信する基地局が用いる拡散符号と、当該周辺基地局が用いる拡散符号との位相差を表す情報であることを特徴とする移動局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−33894(P2006−33894A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283015(P2005−283015)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【分割の表示】特願平11−230103の分割
【原出願日】平成11年8月16日(1999.8.16)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【分割の表示】特願平11−230103の分割
【原出願日】平成11年8月16日(1999.8.16)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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