説明

呼受付判定装置、呼受付判定方法、及び、コンピュータプログラム

【課題】IP網におけるセッション設定アプリケーションにおいて、少ないデータ収集で網内の全てのリンクの使用帯域を推定し、新規のセッションの受付可否を判定する。
【解決手段】呼受付判定装置4は、自グループのユーザから受信したセッション設定または解除の通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測し、計測した自グループの同時接続数から発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する。そして、セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、ルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した使用リンクのリンク帯域と、推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP網において、少なくとも電話を含むセッションを設定するアプリケーションのネットワーク使用状況を推定する呼受付判定装置、呼受付判定方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図12〜図14を用いて、現行の電話網において発信者Aが着信者Bに電話をかける場合に、どのように帯域が確保されるかを非特許文献1に従って説明する。
図12は、現行の電話網の簡単な構成図を示す。発信者Aを収容している加入者交換機Aは、発信者Aからの発呼を受け取ると、着信者Bの番号を調べ、着信者Bに呼を接続するためには加入者交換機Aと直接つながっている交換機のうちどの交換機に発呼を送ればよいのかを番号翻訳表を調べて決定する。加入者交換機Aは、次の交換機として中継交換機Cを決定すると、その中継交換機Cとの間の中継ケーブルの中に空いている回線があるかどうかを調べ、空いていたら予約する。
【0003】
図13は、加入者交換機Aと中継交換機C間の回線を示す図である。
回線の予約の手順として、加入者交換機Aは、当該加入者交換機Aから次の中継交換機Cにつながる中継ケーブルの中で空いている回線番号(CIC番号)99番を、共通線信号網を使って中継交換機Cに送る。次に、加入者交換機Aは、発信者Aとの間の回線と、CIC番号99の回線とを連結する。
【0004】
図14は、中継交換機Cにおける回線の接続を示す図である。
中継交換機Cは、共通線信号を介してメッセージを受信し、加入者交換機AからCIC番号99番を受け取る。加入者交換機AからCIC番号99番を受け取った中継交換機Cは、着番号と番号翻訳表から次の交換機である加入者交換機Bを割り出す。中継交換機Cは、加入者交換機Bにつながる中継ケーブルの中の空いている回線としてCIC番号58番を選択し、共通線信号で加入者交換機Bへ通知するとともに、加入者交換機Aと間の中継ケーブルのCIC番号99番と、加入者交換機Bとの間の中継ケーブルのCIC番号58番とを連結する。
【0005】
次の交換機である加入者交換機Bでも同様に着番号から着信者Bを探し出し、着信者Bとの間の回線とCIC番号58の回線とを連結する。これにより、発信者Aから着信者Bへの帯域が確保される。発信者Aから着信者Bまでの回線が確保されれば呼は受け付けられ、確保できなければ発呼は拒否される。
【非特許文献1】米田 正明,“電話はなぜつながるのか”,日経BP社,2006年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術の電話網は、別名回線交換網とも呼ばれるように、発信者から着信者までの回線を確保しながら呼を設定する。そのため、新たに設定要求された呼(セッション)を受付可能か否かは、発信者から着信者に至るまでに経由する交換機間で回線を確保できたかどうかにより判定することができる。つまり、加入者交換機であれば当該加入者交換機が収容しているユーザからの発呼もしくはそのユーザへの着呼について、中継交換機であれば当該中継交換機が中継する呼について、入り側と出側の回線が確保できるかどうかによって判定すればよい。
【0007】
一方、SIP(Session Initiation Protocol)を用いたVoIP(Voice over IP)網の場合、そもそも回線交換網ではないため、SIPの信号パケットのやりとりの際に帯域を確保していくようなことは行わない。すなわち、元々信号パケットのやりとりにおいて帯域を確保するしくみがない。また、SIPの信号パケットが経由するルートと音声パケットが経由するルートとは、必ずしも一致する必要がないため、電話網のときの交換局が行っていたように、VoIPにおいては呼(セッション)制御サーバとしてのSIPサーバにおいて、発から着に至るまでのルート上の通信装置の帯域を確保していくような方法をとることができない。つまり、部分的に帯域を確保できるかを判断し、それらをまとめて全体として1つのセッションについての帯域を確保できるか判断することができない。よって、網内の使用帯域を管理するためには、網内のすべての通信装置についての使用状況をリアルタイムに監視し、リンク毎に帯域が確保できるかを判断しなければならない。それには、日本全国の通信装置を1つの監視装置で監視しなければならず、負荷が集中するため、非常に高速な処理能力を求められるという課題があった。また、日本全体の負荷が上昇したときに、処理能力が追いつかないという問題や、高負荷による処理遅延からリアルタイムの監視が非常に困難であるという課題もある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、IP網における電話などのセッションを設定するアプリケーションにおいて、サンプリングを行うことによって、少ないデータ収集で網内の全てのリンクの使用帯域を推定し、新規のセッションの受付可否を判定することができる呼受付判定装置、呼受付判定方法、及び、コンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置であって、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段と、自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段と、前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段と、前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、前記発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段と、前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段と、を備えることを特徴とする呼受付判定装置である。
【0010】
また、本発明は、IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置であって、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段と、自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段と、前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段と、発または着の地域毎に、1から自グループがユーザ全体に占める割合を減算した数と、前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算した数とを乗算した数に、自グループの同時接続数を加算することにより前記発または着の地域の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段と、前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段と、を備えることを特徴とする呼受付判定装置である。
【0011】
また、本発明は、上述する呼受付判定装置であって、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報は、ユーザのアドレスのうち地域に依存しない番号から所定の部分を抽出した番号、あるいは、ユーザのアドレスのうち地域に依存しない番号のハッシュ値である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述する呼受付判定装置であって、前記発または着の地域について、各グループが当該地域のユーザ全体に占める割合のうち最も小さい割合を、ユーザ全体に占める自グループの割合の代わりに用いることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述する呼受付判定装置であって、前記発または着の地域に対応した、当該地域の自グループが当該地域のユーザ全体に占める割合を、ユーザ全体に占める自グループの割合の代わりに用いることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述する呼受付判定装置であって、高負荷時、前記同時接続数計測手段は、自身が対応するグループを細分化したうちの所定のグループのユーザから受信したセッション設定の通知と、確立済みのセッションの解除通知とに基づいて自グループの同時接続数を計測する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述する呼受付判定装置であって、前記網内で送受信される経路情報を収集し、収集した経路情報からルーティングテーブルを生成して前記記憶手段に書き込むルーティング情報構成部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述する呼受付判定装置であって、前記網には、前記グループに属するユーザのセッションの設定及び解除を行うセッション制御装置が備えられており、前記受信手段は、前記セッション制御装置が当該セッション制御装置の収容するユーザの端末についてのセッションの設定または解除を受信する毎に、当該セッションの設定または解除の通知を受信する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置における呼受付判定方法であって、前記呼受付判定装置は、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段を備えており、前記呼受付判定装置が、自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信過程と、前記受信過程において受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測過程と、前記同時接続数計測過程において計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、前記発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出過程と、前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出過程において推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定過程と、を有することを特徴とする呼受付判定方法である。
【0018】
また、本発明は、IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置における呼受付判定方法であって、前記呼受付判定装置は、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段を備えており、前記呼受付判定装置が、自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信過程と、前記受信過程により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測過程と、発または着の地域毎に、1から自グループがユーザ全体に占める割合を減算した数と、前記同時接続数計測過程において計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算した数とを乗算した数に、自グループの同時接続数を加算することにより前記発または着の地域の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出過程と、前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出過程において推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定過程と、を有することを特徴とする呼受付判定方法である。
【0019】
また、本発明は、IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置として用いられるコンピュータを、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段、自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段、前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段、前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、前記発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段、前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0020】
また、本発明は、IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置として用いられるコンピュータを、ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段、自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段、前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段、発または着の地域毎に、1から自グループがユーザ全体に占める割合を減算した数と、前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算した数とを乗算した数に、自グループの同時接続数を加算することにより前記発または着の地域の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段、前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発着信者のアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいてサンプリングを行うため、全ユーザの発着信情報から統計学における系統抽出法によるサンプリングを行ったものとなり、無作為抽出に非常に近い、地域の偏りのないサンプリングが可能となる。このサンプリングにより、いわば、網全体をそのまま縮小した状態の情報が得られる。また、サンプリングにより負荷分散が実現するため、非常に高速な処理能力を持った装置の設置が不要となるとともに、処理遅延が発生する可能性が低くなるため、リアルタイム監視も可能となる。従って、サンプリングにより収集した情報から網全体の同時接続数及び使用帯域を推定し、呼(セッション)の受付判定を行うことが可能になる。
また、日本全体の発呼率が上昇した場合には、系統抽出法のサンプリングレートを下げることにより、高負荷に処理能力が追いつかないような状況を回避することができる。また、トラヒックの地域交流マトリックスを作成する際にも、サンプリングにより測定量を減らして精度の高い結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による呼受付判定装置を用いた通信システムの簡単なネットワーク構成例を示す図である。ここでは、メディア通信としてVoIPを例とし、メディアデータを送受信するためのセッションとして呼を確立する場合について説明する。呼受付判定装置4は、呼の同時接続数を推定しており、この推定した同時接続数を利用して新規の呼の受付可否を判断する。
【0023】
同図において、端末1、SIPサーバ3、呼受付判定装置4が、IP(Internet Protocol)ネットワークを構成するルータに接続されている。以下、発信者Eの端末1を発端末1e、着信者Wの端末1を着端末1wとする。
端末1は、電話番号の下n桁に従って、SIPサーバ3に収容されているものとする。ここでは、例としてn=2とし、地域とは関連のない電話番号の下4桁のうちの下2桁により端末1をグループ化する。電話番号の下2桁により分けられたグループi(i=00〜99)の端末1を収容するSIPサーバ3をSIPサーバ3(i)と表し、SIPサーバ3(i)に対応した、すなわち、グループiに対応した呼受付判定装置4を呼受付判定装置4(i)と表している。図1においては、電話番号の下2桁が11、22、33、44である端末1を収容するSIPサーバ3として、SIPサーバ3(11)、3(22),3(33),3(44)が示されており、SIPサーバ3(11)、3(22),3(33),3(44)それぞれに呼受付判定装置4(11)、4(22),4(33),4(44)が対応しているものとする。
【0024】
同図において、発端末1eは、エッジルータであるルータ2aに接続され、呼(セッション)制御装置としてのSIPサーバ3(11)及び3(33)、呼受付判定装置4(11)及び4(33)ならびにルータ2aは、中継ルータであるルータ2bに接続されている。SIPサーバ3(22)及び3(44)、呼受付判定装置4(22)及び4(44)ならびにルータ2bは、中継ルータであるルータ2cに接続され、着端末1w及びルータ2cは、エッジルータであるルータ2dに接続されている。ルータ2a、2b、2c、2dを総称して、ルータ2と記載する。発信者Eの電話番号を03−3333−3311とし、着信者Wの電話番号を06−6666−6622とする。なお、図1においては、SIPサーバ3が4台、呼受付判定装置4が4台のみ示されているが、実際は、全てのグループiに対応したSIPサーバ3と呼受付判定装置4が設置される。
【0025】
電話網では、加入者交換機が信号端局を兼ねていたのに対して、上記のように、呼受付判定装置4は、地域情報に関係のない番号に基づいてユーザを収容し、その番号のユーザからの発呼あるいはその番号への着呼の情報と、ネットワークの設備情報及びルーティング情報と、全ユーザに占めるSIPサーバ3もしくは呼受付判定装置4が収容するユーザの割合とから全国の発着地域毎の同時接続数を推定する。そして、推定された同時接続数に基づいてリンク毎の帯域状況を推定し、その推定結果を用いて呼(セッション)の受付判定を行う。呼受付判定装置4は、専用装置でもよく、SIPサーバ3が兼ねてもよい。そのときは、上述するように、SIPサーバ3に収容されるユーザは、地域情報に関係のない番号、例えば、電話番号の下4桁のうちの下2桁に基にユーザを収容しているものとする。また、帯域の使用状況を推定するには、呼(セッション)の同時接続数は設備量に制限がない場合にはポアソン分布に従うこと(文献:秋丸、川島:情報通信トラヒック−基礎と応用、電気通信協会)と、呼(セッション)の全体がポアソン過程に従って発呼されていれば、下n桁によって分けられた各番号グループからの発呼もポアソン過程に従い、その発呼のレートは、そのグループが全体に対する割合を元のレートにかけたものとなることを利用する。
【0026】
ここで、発信者Eが着信者Wに電話をかける場合を想定し、各装置の動作概要を説明する。図2は、発信者Eが着信者Wに電話をかける場合のシーケンス図である。発端末1eから発信されたSIPのINVITE信号は、ルータ2a、ルータ2bを経由し、発信者Eが収容されているSIPサーバ3(11)へ到着する(ステップS105)。SIPサーバ3(11)は、着信者Wが収容されているSIPサーバ3(22)へ、受信したINVITE信号を転送する(ステップS110)。INVIT信号を受信したSIPサーバ3(22)は、呼を受け付けてよいか否かを判定するために、呼受付判定装置4(22)へ呼受付判定依頼パケットを送信する(ステップS115)。呼受付判定依頼パケットには、呼を特定する情報、発信者番号及び着信者番号が設定される。
【0027】
呼受付判定装置4(22)は、呼受付判定依頼パケットを受信すると、発端末1eから着端末1wへのパケットの転送ルートを判断するとともにネットワーク全体の同時接続数を推定することにより転送ルートの使用帯域を推定し、呼を受け付けるに足る程度の帯域の余裕がある場合、呼を受付可能と判断する(ステップS120)。呼受付判定装置4(22)は、受付可能と判断した場合、内部に受け付けた呼を特定する情報、発信者番号及び着信者番号、呼を受け付けた時間、転送ルート等の情報を内部に記憶するとともに、受付可能であることを示す情報を設定した判定結果通知パケットをSIPサーバ3(22)へ返送する(ステップS125)。呼受付可能が設定された判定結果通知パケットを受信したSIPサーバ3(22)は(ステップS130:YES)、着端末1wへINVITEパケットを送信し(ステップS135)、その後は、通常の呼接続手順に従って、SIP信号のやり取りを行い、発端末1e及び着端末1w間の呼(セッション)を確立する(ステップS140)。
【0028】
一方、呼受付判定装置4(22)は、呼を受け付けるに足る程度の帯域の余裕がないため、呼受付不可と判断した場合(ステップS120)、受付不可であることを示す情報を設定した判定結果通知パケットをSIPサーバ3(22)へ返送する(ステップS125)。呼受付不可が設定され判定結果通知パケットを受信したSIPサーバ3(22)は(ステップS130:NO)、発端末1eに対して、SIP信号により接続不可を通知する(ステップS145、S150)。
【0029】
次に、呼を解除(解放)するために、端末1からSIPのBYE信号が送信された場合について説明する。図3は、発端末1eがBYE信号を送信して呼を解除する場合のシーケンス図である。発端末1eがBYE信号を送信すると、その信号パケットは、ルータ2を経由してSIPサーバ3(11)へ送信される(ステップS205)。SIPサーバ3(11)は、受信したBYE信号を着端末1wが収容されているSIPサーバ3(22)へ送信する(ステップS210)。
【0030】
呼受付判定装置4(22)は、BYE信号を受信すると、通常の呼(セッション)解除手順に従って、SIP信号のやり取りを行うのと同時に(ステップS215)、呼が解除されたことを示す情報を設定した解除通知パケットを呼受付判定装置4(22)へ送信する(ステップS220)。解除通知パケットには、呼を特定する情報が設定される。呼受付判定装置4(22)は、解除通知パケットを受信すると、呼を特定する情報に対応した呼が解除されたことを内部に記録する(ステップS225)。
【0031】
図4は、呼受付判定装置4の機能ブロック図を示す。呼受付判定装置4は、例えば、サーバで構成することができ、情報入力部41、物理網情報DB(DB:データベース)42、パケット受信部43、ルーティング情報構成部44、発信者場所特定部45、グループ内ユーザ使用帯域算出部46、使用帯域推定・呼受付判定部47、パケット送信部48、処理負荷監視部49を備える。
【0032】
情報入力部41は、ユーザインタフェースや外部装置からの情報の受信、あるいは、情報記録媒体から情報の読み取り等により、情報の入力を受ける。物理網情報DB42は、ネットワーク内に備えられているルータ2、どのルータ2とどのルータ2とが接続されているか、どの電話番号の端末1をどのルータ2が収容しているかなどのネットワークの物理構成、及び、ルータ2間のリンクにおいて呼のために使用可能な帯域の情報を示す物理網情報を保持する。パケット受信部43は、ネットワークを流れるパケットを受信する。ルーティング情報構成部44は、ルーティングに関する情報をやりとりするための経路情報パケットから、ルーティングテーブルを作成する。経路情報パケットは、例えば、各ルータ2が送信する、当該ルータ2における、宛先と、次にパケットを転送すべきルータ2との対応付けを示す情報である。ルーティングテーブルは、発及び着の位置(エッジのルータ2)から、どのルータ2を経由して呼が中継されるかのルートを示すテーブルである。
【0033】
発信者場所特定部45は、発端末1eと着端末1wの位置、すなわち、発端末1eと着端末1wが収容されるルータ2を特定する。グループ内ユーザ使用帯域算出部46は、当該呼受付判定装置4に対応する下2桁の電話番号の端末1による、各リンクの使用帯域を算出し、内部のグループ内ユーザ使用帯域DB461に記憶する。使用帯域推定・呼受付判定部47は、ネットワーク全体の同時接続数を推定して、経路上の使用帯域を推定し、その結果に応じて呼の受付可否を判断する。パケット送信部48は、パケットをネットワークに出力する。処理負荷監視部49は、パケット受信部43による受信パケットから高負荷を検出する。
【0034】
次に、呼受付判定装置4における処理の流れを説明する。
まず、呼受付判定装置4の情報入力部41に、網管理者が物理網情報を入力し、入力された物理網情報は、物理網情報DB42に保存される。物理網情報の登録後、パケット受信部43は、ルーティングテーブルを作成するための一般的な方法に基づいてルータ2とやりとりされる経路情報パケットを受信する。ルーティング情報構成部44は、パケット受信部43が受信した経路情報パケットからルーティングに関する情報を取得し、前述の一般的なルーティングテーブルの生成方法を用いて、ルーティングテーブルを生成する。なお、呼受付判定装置4の設置場所によって、物理網情報に登録されているルータ2に関する全ての経路情報パケットが受信できないなど、ルーティングテーブルを作成するために必要な経路情報が当該呼受付判定装置4の接続するルートを流れる経路情報パケットから得られない場合、経路情報が得られていないルータ2等から必要な情報を収集するために、パケット送信部48は経路情報が得られていないルータ2へ経路情報依頼パケットを送信する。そして、呼受付判定装置4のパケット受信部43が経路情報依頼パケットに対応する応答パケットを受信することにより、ルーティング情報構成部44において網全体での経路情報を取得する。ルーティングテーブルを作成する一般的な方法として、例えば、OSPF(open shortest path first)などのIGSs(interior gateway protocols)等が使用されうるが、任意のルーティングプロトコルを用いることができる。
【0035】
図5は、呼受付判定装置4における呼受付判定処理のフローを示す図である。
端末1からINVITE信号などの呼(セッション)の確立依頼が送信された場合、呼受付判定装置4のパケット受信部43は、SIPサーバ3から呼受付判定依頼パケットを受信する(ステップS305)。パケット受信部43は、受信した呼受付判定依頼パケットを発信者場所特定部45に出力する。発信者場所特定部45は、発端末1eと着端末1wの位置、すなわち、発端末1e、着端末1wそれぞれがどのルータ2に接続されているかを、物理網情報DB42内の物理網情報を参照して、呼受付判定依頼パケット内の発信者番号及び着信者番号に基づいて取得し、グループ内ユーザ使用帯域DB461に記録する(ステップS310)。
【0036】
グループ内ユーザ使用帯域算出部46は、発信者場所特定部45の特定した発端末1eと着端末1wの位置と、ルーティング情報構成部44が生成したルーティングテーブル、及び、物理網情報DB42内の物理網情報とから、呼がどのルートのリンクを経由するのかを特定する(ステップS315)。そして、経由するそれぞれのルートのリンクについて、観測可能な番号グループ、すなわち、当該呼受付判定装置4に対応したグループに属するユーザ全体での現在の使用帯域を内部に一時的に記録する(ステップS320)。現在の使用帯域は、当該呼受付判定装置4が対応するグループにおける同時接続数を発着地域のルート毎に求め、各ルートのリンクについて、当該リンクの同時接続数に1呼あたりに必要な帯域を乗算することにより求める。当該呼受付判定装置4に対応するグループについての同時接続数は、グループ内ユーザ使用帯域DB461内に記憶されている、当該呼受付判定装置4が対応するグループ内の呼の設定及び解放の情報から得られる。
【0037】
使用帯域推定・呼受付判定部47は、上記において自身が対応するグループ内のユーザの端末1についての発呼情報を元に得られたリンク毎の使用帯域、推定した網全体の同時接続数、及び、当該グループに所属するユーザ数と網全体でのユーザ数との割合から、網全体でのリンク毎の使用帯域を推定する(ステップS325)。なお、当該呼受付判定装置4が対応するグループに属するユーザ数と、網全体でのユーザ数との割合は、情報入力部41から予め入力しておき、物理網情報DB42に保持しておく。あるいは、グループに属するユーザ数として、地域(ルータ2)毎のユーザ数も保持しておく。
【0038】
使用帯域推定・呼受付判定部47における網全体での使用帯域の推定に必要な同時接続数の推定方法は、(推定方法1)観測可能な番号グループの情報から全体の平均同時接続数を推定同時接続数とする方法と、(推定方法2)その番号を除いた分の平均同時接続数を推定し、その値に観測した値を足した値を推定同時接続数とする方法との大きく2つに分けられる。その際に必要な番号グループが示す割合については、(1)日本全体での番号グループの割合とする方法、(2)各地域毎に番号グループが占める割合を求め、その値の最も小さい値を日本全体の番号グループに占める割合とする方法、(3)各地域ごとに各番号が占める割合をそのまま使用する方法、との3つに分けられる。
【0039】
従来より、発呼がレートλのポアソン過程に従うこと、保留時間分布が平均1/μの指数分布のとき同時接続数は平均λ/μのポアソン分布に従うことがわかっている(文献:秋丸、川島:情報通信トラヒック−基礎と応用、電気通信協会)。さらに発呼を全体が1となるようにグループ分けした場合、各グループからの発呼のレートは、そのグループ全体に占める割合に元のレートλをかけたものになる(文献:R.Nelson : Probability, Stochastic Process and Queueing theory, Springer-Verlag)。つまり、特定のグループをサンプリングしたものも、網全体の呼と性質が変わらないということである。これらを用いると、同時接続数は以下のように求めることができる。
【0040】
(推定方法1)
まず、自身において観測可能な番号グループi(当該呼受付判定装置4が対応する下2桁の番号の呼)の同時接続数の情報から全体の平均同時接続数を推定同時接続数とする方法について述べる。いま、時間tにおいて求めたい全ての番号全体の同時接続数をA(t)とすると、以下の式のようになる。
【0041】
【数1】

となる。ただし、
【0042】
【数2】

である。
【0043】
なお、同時接続数がn番目に変化した時点とは、呼が生起したかあるいは終了した時点をいう。また、tは、呼の観測開始から一番最初に呼が生起した時点である。Sは、何回呼が変化したかの数を示し、N(t)は、直近のインデックス、すなわち、その時点までに発生した呼の変化数を示す。
【0044】
(式1)の右辺の1/rを除く部分は、当該呼受付判定装置4(i)に対応するグループiについての呼の平均同時接続数を示す。a(n)は、グループ内ユーザ使用帯域DB461内に記憶している、当該呼受付判定装置4(i)に対応するグループiの呼の設定及び解放の情報から得られる。
【0045】
(推定方法2)
もう一つの方法であるその番号を除いた分の平均同時接続数を推定し、その値に観測した値を足した値を推定同時接続数とする方法の場合、時間tにおいて求めたいすべての番号全体の同時接続数をA(t)とすると、以下の式のようになる。
【0046】
【数3】

【0047】
(式9)の右辺の初項であるa(N(t))は、当該呼受付判定装置4(i)に対応するグループiについて現在観測されている同時接続数であり、右辺の第2項は、自身が対応するグループiの呼を除いた推定の平均同時接続数である。第2項のうち、(1−r)/rを除く部分は、自身が対応するグループiの平均同時接続数を示す。
【0048】
番号グループの割合rの値としては、(1)下n桁の番号が日本全体のユーザに占める割合、(2)各地域毎に番号によるグループの占める割合を求め、その値のもっとも小さい値を日本全体の番号グループの占める割合とする、(3)各地域毎に各番号が占める割合をそのまま使用する方法のいずれかを使用する。例えば、呼受付判定装置4が下2桁「11」に対応しており、地域が東京、大阪、福岡の3地域であり、下2桁「11」の占める割合が、全国では4.5%、地域別にみると東京では5%、大阪では4%、福岡では6%であるとする。(1)の場合、rは4.5%を用い、(2)の場合、rは4%を用い、(3)の場合、rは東京発(または着)では5%、大阪発(または着)では4%、福岡(または着)では6%を用いる。
【0049】
使用帯域推定・呼受付判定部47は、上記により全体の同時接続数を発着地域のルート毎に求め、各ルートのリンクについて、当該リンクの同時接続数に1呼あたりに必要な帯域を乗算することにより、リンク毎の推定使用帯域を求める。そして、求めた推定使用帯域と、物理網情報DB42に保持される物理網情報で示されるリンク帯域とを比較し、場合によっては推定誤差を見込んで、実際のリンク帯域から誤差見込み分の帯域を減じた帯域とを比較する。比較により、発端末1eから着端末1wまでに経由するすべてのリンクで帯域が足りると判断した場合には、呼受付可能と判断する。そうでない場合には、受付不可と判断する(ステップS330)。パケット送信部48は、使用帯域推定・呼受付判定部47による受付可否の判断結果を通知するための応答パケットをSIPサーバ3に送信する(ステップS335)。受付可と判断した場合、呼を特定する情報、呼の生起及び生起時刻と、ステップS320において一時的に記憶していた観測可能な番号グループに属するユーザ全体での現在の使用帯域とをグループ内ユーザ使用帯域DB461に記録する。
【0050】
図6は、呼受付判定装置4における呼の解除通知受信処理のフローを示す図である。
一度確立した呼の解除依頼が端末1から送信された場合には、そのパケットをSIPサーバ3が受信し、呼受付判定装置4へ呼が解除されたことを通知する(ステップS405)。解除通知パケットには、発電話番号及び着電話番号が含まれている。呼受付判定装置4では、パケット受信部43でその解除通知パケットを受信すると、発信者場所特定部45において、発端末1eと着端末1wの場所(収容されるルータ2)を特定し(ステップS410)、グループ内ユーザ使用帯域算出部46で、ルーティング情報構成部44、物理網情報DB42の情報から使用リンクを特定し(ステップS415)、経由する全てのリンクにおいて、観測可能な番号グループ全体での使用帯域から、解除された呼が使用していた帯域を減算してグループ内ユーザ使用帯域DB461に記録するとともに、呼を特定する情報、呼の解除及び解除時刻をグループ内ユーザ使用帯域DB461に書き込む(ステップS420)。
【0051】
図7は、呼受付判定装置4における高負荷時の処理フローを示す図である。
処理負荷監視部49は、パケット受信部43で単位時間毎に到着する呼受付判定依頼パケット数をあるいはバッファ長を常時監視している。処理負荷監視部49で決められた閾値を、複数の監視対象時間越えた場合、処理負荷が高いと判断する(ステップS505:YES)。処理負荷が高いと判断されると、下3桁が一致するグループを新たに生成する(ステップS510)。この下3桁に属するユーザ数は予め情報入力部41から入力し、使用帯域推定・呼受付判定部47内に保持するものとする。例えば、下2桁が11のグループでれば、011を下3桁が一致する新たなグループとしたり、111、311、511、711、911を下3桁が一致する新たなグループとしたりすることができる。
【0052】
処理負荷が高いと判断されると、SIPサーバ3からパケットを受信したときに(ステップS515)、従来の下2桁のグループに対しては、呼の解除通知パケットについては図6に示す解除通知受信処理を行う(ステップS520:YES、ステップS525)。処理負荷が高い間は、呼新規設定のための呼受付判定依頼パケットについては、新たな下3桁のグループに属していないユーザのパケットのものはパケット受信部43で破棄する(ステップS530:NO、ステップS535:YES、ステップS540)。一方、新たに設定した下3桁のグループの呼については(ステップS530:YES)、図5に示す呼受付判定処理を行う(ステップS545)。
【0053】
グループ内ユーザ使用帯域算出部46は、下2桁と下3桁で2つ用意する。そして、使用帯域の推定については、使用帯域推定・呼受付判定部47にて、下2桁のグループについては、その時点で使用している帯域(ただし、呼の解除については処理を行う)を算出し、下2桁のグループに所属するユーザ数と網全体のユーザ数との比から推定帯域を算出し、さらに下3桁のグループについても同様に推定帯域を算出し、その2つの算出結果を合計して推定使用帯域とする。そして、その推定使用帯域を用いて呼の受付判定を行う。これにより、下3桁の新たなグループに切り替わる前に発生して現在も接続している呼に基づいた推定使用帯域と、その切り替え後に発生した新たなグループの呼に基づく推定使用帯域の両方を考慮し、網全体の推定同時接続数とすることができる。
【0054】
処理負荷監視部49で負荷が軽減されたと判定した場合には(ステップS550:YES)、処理負荷の大きな間なされていたパケット受信部43での廃棄を停止し、通常通りの処理に戻す(ステップS555)。さらに、下3桁のグループを扱うグループ内ユーザ使用帯域算出部46のグループ内ユーザ使用帯域算出部DB461においても、下3桁のグループに所属するユーザで既に呼が設定済みの呼について解除を記録する。下2桁については新たな発呼について通常通りの処理を行い、処理負荷が高いときと同じように下2桁のグループ、下3桁のグループ双方で推定値を算出し、それらの合計値を推定使用帯域とする。いずれ下3桁のグループは、全ての呼が解除され、下3桁のグループはなくなる。
【0055】
図8に示すように、SIPサーバ3と呼受付判定装置4とで収容するユーザが異なる場合、例えば、SIPサーバ3が地域毎に収容している場合について説明する。既に説明してきたものと同様に呼受付判定装置4は、ある下2桁の番号のユーザの呼あるいは下2桁の番号のユーザの呼の情報を収集し、呼の受付について判定を行う。
【0056】
図9は、SIPサーバ3と呼受付判定装置4とで収容するユーザが異なる場合のSIPサーバ3の構成を示す図である。
同図において、SIPサーバ3は、パケット送受信部31、ユーザ判定部32、呼受付判定依頼部33、判定依頼中呼DB34、セッション設定部35、保留呼DB36、セッション解除部37を備える。パケット送受信部31は、パケットの送受信を行う。ユーザ判定部32は、信号の送信元が自身の収容するユーザであるかを判断する。呼受付判定依頼部33は、呼受付判定装置4へ呼受付判定依頼や解除通知のパケットを送信する。判定依頼中呼DB34は、呼受付判定を依頼している呼受付判定装置4の情報を記憶する。セッション設定部35は、呼設定処理を行う。保留呼DB36は、確立した呼の受付判定を行った呼受付判定装置4の情報を記憶する。セッション解除部37は、呼解除処理を行う。
【0057】
図10は、SIPサーバ3と呼受付判定装置4とで収容するユーザが異なる場合のSIPサーバ3における呼受付時の処理フローを示す。
SIPサーバ3は、パケット送受信部31でINVITE信号を受信すると(ステップS605)、ユーザ判定部32で自分が収容するユーザを発信者とするINVITE信号かどうかを判定する(ステップS610)。自分が収容するユーザを発信者とするINVITE信号であった場合(ステップS610:YES)、セッション設定部35にてセッション設定の継続を行い、パケット送受信部31から次のSIPサーバにINVITE信号が送信される(ステップS615)。
【0058】
受信したINVITE信号の着信者が、自分の収容するユーザであった場合(ステップS620:YES)、呼受付判定依頼部33により呼受付判定装置4へ呼受付判定の依頼を指示する。そのとき、判定依頼中呼DB34に、その呼を特定する情報と、どの呼受付判定装置4へ依頼パケットを送信したかの情報を保存し(ステップS625)、パケット送受信部31から呼受付判定装置4へ呼受付判定依頼パケットを送信する。
呼受付判定装置4から帯域確保不可のため呼受付不可であるという結果が返送された場合には(ステップS635:NO)、セッション設定部35にてセッションの設定不可の場合のSIP信号の処理を行う(ステップS640)。
【0059】
一方、帯域が確保できたため、呼受付可の旨の応答を受信した場合には(ステップS635:YES)、セッション設定部35は、保留呼DB36に呼を特定する情報に対応付けて、呼受付判定を行った呼受付判定装置4の情報を記録する(ステップS645)。さらに、発端末1eへのSIP信号に呼受付判定を行った呼受付判定装置4を特定する情報を設定して発信側のSIPサーバ3にパケットを送信する(ステップS650)。当該パケットを受信した送信側のSIPサーバ3は、自分の中の保留呼DB36に呼を特定する情報と併せて呼受付判定を行った呼受付判定装置4の情報を記録する。
なお、ステップS620において、受信したINVITE信号の着信者が、自分の収容するユーザではなかった場合(ステップS620:YES)、当該SIPサーバ3は中継を行うSIPサーバであることが想定され、パケット送受信部31により、次のSIPサーバ3にINVITE信号が転送される(ステップS655)。
【0060】
図11は、SIPサーバ3と呼受付判定装置4とで収容するユーザが異なる場合のSIPサーバ3における呼解除時の処理フローを示す。
セッションを解除するときには、端末1は、セッションを解除するためのBYE信号をSIPサーバ3に送信する。BYE信号を端末1から直接受信したSIPサーバ3は(ステップS705)、ユーザ判定部32においてBYE信号を自身の収容する端末1から直接受信したと判断すると(ステップS710:YES)、保留呼DB36に記録されている呼受付判定装置4の情報を取得し(ステップS715)、その呼受付判定装置4にセッションが解除された旨の情報をパケットに設定して送信する(ステップS720)。
【0061】
BYE信号を受信する側の端末1を収容するSIPサーバ3では、BYE信号を受信し(ステップS705)、ユーザ判定部32でBYE信号の送信元の端末1が自身の収容する端末ではないことを判断すると(ステップS710:NO)、保留呼DB36に記録されているセッション情報を削除し(ステップS725)、セッション解除部37により通常のSIPセッション解除のための信号の送受信を実行する(ステップS730)。
【0062】
ここでは、呼受付判定装置4は着信側のSIPサーバ3とやりとりを行い、呼受付判定を行うとしたが、発信側のSIPサーバ3とやりとしても発着信双方のSIPサーバ3とやりとりしてもかまわない。さらに、呼受付判定装置4を、SIPサーバ3とは別の装置として説明したが、SIPサーバ3と呼受付判定装置4とを同一の装置で実現してもよい。呼受付判定装置4を複数のSIPサーバ3に対して1台、例えば、SIPサーバ3が下2桁ごとに設定されている場合、呼受付判定装置4は下1桁に対して設定してもよいし、逆にSIPサーバ3が下1桁に対応して設定されている場合に、呼受付判定装置4を下2桁に対して設置する、すなわち、1台のSIPサーバ3に対して複数の呼受付判定装置4を設定してもよい。SIPサーバ3及び呼受付判定装置4が対応する桁数や、SIPサーバ3と呼受付判定装置4との対応は、各装置の性能と各装置にかかる負荷の大きさを考慮して決定する。複数のSIPサーバ3に対して呼受付判定装置4が1台の場合には、呼受付判定装置4が複数の下2桁の番号の情報を収集する場合もあるし、ある下2桁の番号で代表させる場合もある。
【0063】
ここまで、電話番号の地域とは関連しない下n桁によりユーザをグループ化し、そのグループに属する端末1からの発呼情報あるいは、そのグループに属する端末1への発呼情報が統計学における系統抽出に相当することを利用して呼の受付判定を行うことを説明してきた。次に、ハッシュ値を使ったグループ分け、そのグループに属するユーザを抽出することが統計学における系統抽出に相当し、それを利用した呼の受付判定を行うことについて説明する。
【0064】
グループ数(n)を予め設定し、そのグループ数で電話番号を割り算し、その余りの番号でグループを分類する。ハッシュ値は、ハッシュ関数をどのように設定するかによって変わるが、ここでは、一番簡単な剰余演算をハッシュ関数として採用し、余りの数をハッシュ値とする。その他は、いままで説明して電話番号の下n桁による方法と同様である。ハッシュ値のつくり方として、電話番号全体をグループ数で除算してもよいし、下n桁を除算してもよい。下n桁を利用し、剰余演算における割る数を10、100、1000、10000に設定すれば、下1、2、3、4桁の方法と一致する。
【0065】
なお、上記実施の形態においては、呼受付判定装置4は、着信者番号に基づいてグループ分けされたグループiに対応しているが、発信者番号に基づいてグループ分けされたグループiに対応してもよい。たとえば、SIPサーバ3は、自身が収容するユーザから呼(セッション)の開始要求を受信したとき、あるいは、自分が収容する端末1が着信者である呼(セッション)の開始要求を受けたときに、発信者番号が属するグループに対応した呼受付判定装置4へ呼受付判定パケットを送信してもよい。
また、一部のグループiに対応にした呼受付判定装置4のみで推定同時接続数を推定し、その推定結果、または、その推定結果に基づく各リンクの推定利用帯域の情報を他のグループiに対応する呼受付判定装置4へ配信し、受信した情報により呼接続判定を行うことでもよい。
【0066】
上記実施の形態によれば、全ユーザの発着信情報から統計学における系統抽出法によるサンプリングを行ったもので、無作為抽出に非常に近い、地域の偏りのないサンプリングが可能となる。これにより負荷分散が実現するため、非常に高速な処理能力を持った装置の設置が不要になるとともに、処理遅延が発生する可能性が低くなるため、リアルタイム監視も可能となる。従って、サンプリングにより収集した情報から網全体の同時接続数及び使用地域を推定し、呼(セッション)の受付判定を行うことが可能になる。また、日本全体の発呼率が上昇した場合には、系統抽出法のサンプリングレートを下げることにより、高負荷に処理能力が追いつかないような状況を回避することができる。また、トラヒックの地域交流マトリックスを作成する際にも、サンプリングにより測定量を減らして精度の高い結果を得ることができる。
【0067】
また、上述の呼受付判定装置4にて算出される推定同時接続数、推定使用帯域は、その瞬間における網の状態を表すが、これらの情報を長期間記録することにより、改めてSIPサーバ3から発着の情報をログ等で収集しなくとも、対地間でのトラヒック需要の計測が可能となり、設備設計にも利用できる。設備設計が目的の対地間でのトラヒック計測は、細かい測定の精度が問われないため、現状のように網全体の各装置にてトラヒック測定を行わなくとも、本実施形態による呼受付判定装置4において行うようなサンプリングによる測定で精度は十分であり、それにより測定負荷が軽減できる。
【0068】
なお、上述のSIPサーバ3、及び、呼受付判定装置4は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述したSIPサーバ3、及び、呼受付判定装置4の各手段の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0069】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態による呼受付判定装置を用いた通信システムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】図1の通信システムにおける呼設定時のシーケンス図である。
【図3】図1の通信システムにおける呼解除時のシーケンス図である。
【図4】図1に示す呼受付判定装置の機能ブロック図を示す。
【図5】図4に示す呼受付判定装置の呼受付判定処理フローを示す図である。
【図6】図4に示す呼受付判定装置の呼解除通知受信時の処理フローを示す図である。
【図7】図4に示す呼受付判定装置の高負荷時の処理フローを示す図である。
【図8】本実施形態による通信システムにおいて、SIPサーバとで収容するユーザが異なる場合のネットワーク構成例を示す図である。
【図9】図8に示すSIPサーバの機能ブロック図である。
【図10】図9に示すSIPサーバにおける呼受付時の処理フローを示す図である。
【図11】図9に示すSIPサーバにおける呼解除時の処理フローを示す図である。
【図12】従来の電話網の簡単な構成図を示す図である。
【図13】従来の交換機間の回線を示す図である。
【図14】従来の交換機における回線の接続を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1e…発端末
1w…着端末
2…ルータ
3…SIPサーバ
4…呼受付判定装置
31…パケット送受信部
32…ユーザ判定部
33…呼受付判定依頼部
34…判定依頼中呼DB
35…セッション設定部
36…保留呼DB
37…セッション解除部
41…情報入力部
42…物理網情報DB
43…パケット受信部
44…ルーティング情報構成部
45…発信者場所特定部
46…グループ内ユーザ使用帯域算出部
461…グループ内ユーザ使用帯域DB
47…使用帯域推定・呼受付判定部
48…パケット送信部
49…処理負荷監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置であって、
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段と、
自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段と、
前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、前記発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段と、
前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段と、
を備えることを特徴とする呼受付判定装置。
【請求項2】
IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置であって、
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段と、
自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段と、
発または着の地域毎に、1から自グループがユーザ全体に占める割合を減算した数と、前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算した数とを乗算した数に、自グループの同時接続数を加算することにより前記発または着の地域の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段と、
前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段と、
を備えることを特徴とする呼受付判定装置。
【請求項3】
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報は、ユーザのアドレスのうち地域に依存しない番号から所定の部分を抽出した番号、あるいは、ユーザのアドレスのうち地域に依存しない番号のハッシュ値である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の呼受付判定装置。
【請求項4】
前記発または着の地域について、各グループが当該地域のユーザ全体に占める割合のうち最も小さい割合を、ユーザ全体に占める自グループの割合の代わりに用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の呼受付判定装置。
【請求項5】
前記発または着の地域に対応した、当該地域の自グループが当該地域のユーザ全体に占める割合を、ユーザ全体に占める自グループの割合の代わりに用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の呼受付判定装置。
【請求項6】
高負荷時、前記同時接続数計測手段は、自身が対応するグループを細分化したうちの所定のグループのユーザから受信したセッション設定の通知と、確立済みのセッションの解除通知とに基づいて自グループの同時接続数を計測する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の呼受付判定装置。
【請求項7】
前記網内で送受信される経路情報を収集し、収集した経路情報からルーティングテーブルを生成して前記記憶手段に書き込むルーティング情報構成部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかの項に記載の呼受付判定装置。
【請求項8】
前記網には、前記グループに属するユーザのセッションの設定及び解除を行うセッション制御装置が備えられており、
前記受信手段は、前記セッション制御装置が当該セッション制御装置の収容するユーザの端末についてのセッションの設定または解除を受信する毎に、当該セッションの設定または解除の通知を受信する、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかの項に記載の呼受付判定装置。
【請求項9】
IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置における呼受付判定方法であって、
前記呼受付判定装置は、
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段を備えており、
前記呼受付判定装置が、
自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信過程と、
前記受信過程において受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測過程と、
前記同時接続数計測過程において計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、前記発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出過程と、
前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出過程において推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定過程と、
を有することを特徴とする呼受付判定方法。
【請求項10】
IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置における呼受付判定方法であって、
前記呼受付判定装置は、
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段を備えており、
前記呼受付判定装置が、
自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信過程と、
前記受信過程により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測過程と、
発または着の地域毎に、1から自グループがユーザ全体に占める割合を減算した数と、前記同時接続数計測過程において計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算した数とを乗算した数に、自グループの同時接続数を加算することにより前記発または着の地域の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出過程と、
前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出過程において推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定過程と、
を有することを特徴とする呼受付判定方法。
【請求項11】
IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置として用いられるコンピュータを、
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段、
自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段、
前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段、
前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算することにより、前記発又は着の地域毎の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段、
前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
IP網におけるセッションの同時接続数を推定する呼受付判定装置として用いられるコンピュータを、
ユーザのアドレスから得られる地域に依存しない情報に基づいて分けられたグループのうち、自身が対応するグループについて、ユーザ全体に占める割合、網の物理構成の情報、網のルーティング情報、及び、リンク帯域の情報を記憶する記憶手段、
自グループのユーザからセッション設定及び解除の通知を受信する受信手段、
前記受信手段により受信したセッション設定または解除の通知と、当該通知に含まれる発及び着のアドレスに基づいて発または着の地域毎に、自グループの同時接続数を計測する同時接続数計測手段、
発または着の地域毎に、1から自グループがユーザ全体に占める割合を減算した数と、前記同時接続数計測手段が計測した自グループの同時接続数から前記発又は着の地域毎に自グループの平均同時接続数を算出し、算出した平均同時接続数を、前記記憶手段内に記憶される自グループがユーザ全体に占める割合により除算した数とを乗算した数に、自グループの同時接続数を加算することにより前記発または着の地域の推定同時接続数を算出する推定同時接続数算出手段、
前記セッション設定の通知内から取得した発及び着のアドレスと、前記記憶手段内の物理構成の情報及びルーティング情報とから使用リンクを特定し、特定した当該使用リンクに対応して前記記憶手段から読み出したリンク帯域と、前記推定同時接続数算出手段が推定した推定同時接続数とから、新たに設定が要求されたセッションに割当可能な帯域があるか否か判断する使用帯域推定手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−49501(P2009−49501A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211359(P2007−211359)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人情報通信研究機構「次世代ネットワーク(NGN)基盤技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】