説明

呼受付制御方法、及び呼受付制御システム

呼の受付時に、端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行ない(ステップA01)、収容可能と判断された場合、更に、無線リンク品質等に依存する重み関数を用いて無線リンク品質等の良い端末を確率的に優先して受け付ける(ステップA02)。これにより、ネットワーク使用率の向上およびブロック・ドロップ率の低減を図ることができる呼受付制御方および呼受付制御システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークにおけるマルチサービスに対する呼受付制御方法、及び呼受付制御システムに関し、特にモバイルネットワークにおけるマルチサービスにおいて、種々の条件に基づいた確率により、呼の受け付け判断を行う呼受付制御方法、及び呼受付制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼受付制御(CAC:Call Admission Control)技術とは、ネットワーク・オペレータが現時点のネットワーク・リソース使用量、近未来の発呼確率、更にモバイルネットワークの場合はハンドオーバ発生確率などを考慮しつつ、発呼ユーザに対して管理下のネットワークの使用の可否の判断を行うものである。
【0003】
近年、この呼受付制御技術を、モバイルネットワークにおけるマルチサービスのもとで適用する技術が盛んに行なわれている。ここで、マルチサービスとは、複数のQoS(Quality of Service)クラスのサービスを意味する。CACアルゴリズムの優劣は、ネットワーク使用率と、呼を拒絶する確率であるブロック率・ドロップ率とで一般的に判断される。すなわち、ネットワーク使用率が高ければ高いほど優れ、ブロック率・ドロップ率が低いほど優れている。
【0004】
以下に、ブロック率・ドロップ率を低く設定する技術の従来例を以下に述べる。
【0005】
例えば、対象を2つのQoSクラスの呼とし、ネットワークの状態を、ネットワーク使用率に応じてPriority Accessと、Conditional Accessと、Equal Accessとの三つにわける。そして、発生した呼のQoSクラスとネットワーク状態との組み合わせから受付処理を変え、新規な呼発生時点のネットワーク使用率ごとに以下のように新規な呼を処理する。
1 Equal Access状態の場合にはQoSクラスに関わらず全てのトラヒックを無条件に受け付ける。
2 Conditional Access状態の場合には低優先クラスの呼は条件付で受け付け、高優先クラスの呼は無条件に受け付ける。
3 Priority Access状態の場合には高優先クラスの呼のみ受け付ける。
【0006】
以上の処理によってマルチサービスに対してQoSクラスの高い呼に対してブロック率を低く設定する呼受付制御が可能となる(例えば、非特許文献1及び2)。
【0007】
【非特許文献1】Jay R.Moorman、John W.Lockwood、″Wireless Call Admission ControlUsing Threshold Access sharing″
【非特許文献2】Proceedingsof IEEE GLOBECOM‘01、Volume 6、pp.3698−3703、Nov.2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術においては、以下の二つの課題が存在していた。
【0009】
従来CACアルゴリズムでは,呼が発生する順に近未来の発呼を特に考慮せず、受付制御を行っていた。この為、呼の受付は新規呼の所要リソース量と残存リソース量とから決定され、受付可能な場合は無条件に受け付けていた。
【0010】
しかしながら、モバイルネットワークにおいては、例えば、所要リソース量が多く、無線リンク品質の悪いユーザ(端末)による呼を受け付けてしまった後に、所要リソース量が少なく、無線リンク品質の良いユーザ(端末)による呼が多数発生した場合等は、ブロック率やネットワーク使用率といった観点から見ると、非効率な受付制御を行っているという問題があった。
【0011】
また、従来の技術では発呼ユーザの契約ISPを考慮しないCACアルゴリズムなので、モバイルネットワークのオペレータとISPとの間で収容ユーザ数,ブロック率,リソース量などの指標を用いて提供するサービスを契約している場合、そのような契約を維持することが不可能であるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は上記課題に鑑みてなされたものであって、受付判定時に重み関数を用いて確率的に呼を受け付ける事により、ネットワーク使用率の向上及びブロック・ドロップ率の低減を図ることができる呼受付制御方法、及び呼受付制御システムを提供することにある。
【0013】
また本発明の目的は、発呼ユーザの属するISPとの契約した割当リソース量と、その時点でISPに割当済みのリソース量を計測し,契約内容(収容ユーザ数,ブロック率,リソース量)を満足するよう呼受付判定を行い、ISPに対して契約通りのサービスを提供することができる呼受付制御方法、及び呼受付制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明に係る呼受付制御方法は、端末からの発呼を受信した際に、前記端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断ステップと、
前記収容可否判断ステップにおいて収容可能と判断された場合、重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する呼受付判断ステップとを有することを特徴とするものである。
【0015】
前記重み関数としては、無線リンク品質に依存する重み関数,端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数,ネットワークの未使用のリソース量に依存する関数、或は二以上の要件に従う重み関数を用いることが望ましいものである。
【0016】
前記呼受付判断ステップにおいて、無線リンク品質に依存する関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断ステップにおいて、端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。
【0017】
また前記呼受付判断ステップにおいて、ネットワークの未使用のリソース量に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断ステップにおいて、無線リンク品質に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。
【0018】
また前記呼受付判断ステップにおいて、呼の品質レベルに依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断ステップにおいて、ネットワークの未使用のリソース量に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断ステップにおいて、異なる重み関数による受付確率により、端末の発呼の受付の判断を二以上行うようにしてもよいものである。
【0019】
また前記呼受付判断ステップにおいて、呼の品質レベルごとにネットワーク・リソース使用量を管理し、呼の品質レベルごとに設定されたリソース使用量の閾値を境界として、受付確率を決定する重み関数を切り替えて、端末の発呼を判断するようにしてもよいものである。
【0020】
さらに切断ステップを有し、前記切断ステップにおいて、新規な発呼がネットワーク・リソース内に収容不可能であると前記収容可否判断ステップで判断された場合、ネットワークに収容している他の端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、新規な呼を収容するようにしてもよいものである。
【0021】
さらに切断ステップを有し、前記切断ステップにおいて、ネットワーク・リソース使用量が閾値以上となった場合に、ネットワークに収容している端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、収容しているそれ以外の呼を維持するようにしてもよいものである。
【0022】
また前記呼受付判断ステップにおいて、前記判断処理を行う際に、さらに発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる前記端末の割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断するようにしてもよいものである。
【0023】
また本発明に係る呼受付制御方法は、移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断ステップと、前記収容可否判断ステップで受付不可能と判断された場合、ネットワークに収容している移動端末の呼に対して、呼の品質レベル、又は無線リンク品質に依存する重み関数によって切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断し、新規呼を収容する収容処理ステップとを有する構成とすることが可能である。
【0024】
また本発明に係る呼受付制御方法は、移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断ステップを有し、
前記収容可否判断ステップにおいて、発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる複数の端末に対する割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する構成としてもよいものである。
【0025】
本発明に係る呼受付制御方法は、端末移動のハンドオーバ時の移動先での呼受付制御に適用することが可能である。
【0026】
本発明に係る呼受付制御方法を実施するための呼受付制御システムは、端末の発呼に応答して、前記端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断手段と、
前記収容可否判断手段において収容可能と判断された場合、重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する呼受付判断手段とを有する構成として構築する。
【0027】
また前記呼受付判断手段は、無線リンク品質に依存する重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断するようにすることが望ましいものである。また前記呼受付判断手段は、端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、ネットワークの未使用のリソース量に依存する重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、二以上の要件を因数とする重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断するようにしてもよいものである。
【0028】
また前記呼受付判断手段は、無線リンク品質に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断する、或は端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、ネットワークの未使用のリソース量に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。
【0029】
また前記呼受付判断手段は、無線リンク品質に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、呼の品質レベルに依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、ネットワークの未使用のリソース量に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断するようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、異なる重み関数による受付確率により、端末の発呼の受付の判断を二以上行うようにしてもよいものである。また前記呼受付判断手段は、呼の品質レベルごとにネットワーク・リソース使用量を管理し、呼の品質レベルごとに設定されたリソース使用量の閾値を境界として、受付確率を決定する重み関数を切り替えるようにしてもよいものである。
【0030】
さらに切断処理手段を有し、前記切断処理手段は、新規な発呼がネットワーク・リソース内に収容不可能と判断された場合、ネットワークに収容している他の端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより新規な呼を収容するようにしてもよいものである。
【0031】
さらに切断処理手段を有し、前記切断処理手段は、ネットワーク・リソース使用量が閾値以上となった場合に、ネットワークに収容している端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、収容しているそれ以外の呼を維持するようにしてもよいものである。
【0032】
さらに第2の切断処理手段を有し、前記第2の切断処理手段は、発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる前記端末の割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断するようにしてもよいものである。
【0033】
また本発明に係る呼受付制御システムは、移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断手段と、
前記収容可否判断手段で受付不可能と判断された場合、ネットワークに収容している移動端末の呼に対して、呼の品質レベル、又は無線リンク品質に依存する重み関数によって切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断し、新規呼を収容する手段とを有する構成とすることが可能である。
【0034】
また本発明に係る呼受付制御システムは、移動端末から発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断手段を有し、
前記収容可否判断手段は、発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる前記端末の割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する構成とすることが可能である。
【0035】
前記本発明に係る呼受付制御システムは、端末移動のハンドオーバ時の移動先での呼受付制御システムに適用することが可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明は呼の受付時に、端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行い、収容可能と判断された場合、更に、無線リンク品質等に依存する重み関数を用いて無線リンク品質等の良い端末を確率的に優先して受け付けているので、ネットワーク使用率の向上、ブロック・ドロップ率の低減図ることができる。
【0037】
また、本発明は、ネットワーク・リソース使用量が閾値以上となった場合や、新規な発呼がネットワーク・リソース内に収容不可能と判断された場合であっても、ネットワークに収容している他の端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、既存の呼や新規な呼を収容するようにしているので、ネットワークの有効利用を図ることができる。
【0038】
更に、本発明は、発呼ユーザの属するISPとの契約した割当リソース量と、その時点でISPに割当済みのリソース量とを計測し、契約内容(収容ユーザ数、ブロック率、リソース量等)を満足するよう呼受付判定するように構成しているので、ISPに対して契約通りのサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明が適用されるアクセスネットワークの一例を示す図である。
【図2】図2は無線ネットワーク制御局の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は発呼要求メッセージの送信から、受付可否通知メッセージの送信までの動作を説明する為の図である。
【図4】図4は呼受付制御処理の動作フローチャートである。
【図5】図5は共通処理の動作フローチャートである。
【図6】図6は無線リンク品質依存処理の動作フローチャートである。
【図7】図7はQoSクラス毎にあらかじめ決められたリソース使用量を超過したか否かの条件により関数を変化させる場合のフローチャートである。
【図8】図8はQoSクラス数分のMax Qos No個のテーブルを示す図である。
【図9】図9は実施例2の動作フローチャートである。
【図10】図10はISP依存処理のフローチャートである。
【図11】図11はISPの数であるMax Isp No個の要素を持つISP Infoというテーブルを示す図である。
【図12】図12は実施例2の他の形態のフローチャートである。
【図13】図13は第1の切断呼選択処理のフローチャートである。
【図14】図14は第2の呼の切断処理のフローチャートである。
【図15】図15は実施例4の動作フローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明は、呼の受付時に、端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行い、収容可能と判断された場合、更に、無線リンク品質等に依存する重み関数を用いて無線リンク品質等の良い端末を確率的に優先して受け付けることを特徴とする。これにより、ネットワーク使用率の向上、ブロック・ドロップ率の低減を図ることができる。
【0041】
また、本発明は、新規な発呼がネットワーク・リソース内に収容不可能と判断された場合であっても、ネットワークに収容している他の端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより新規な呼を収容することを特徴とする。更に、ネットワーク・リソース使用量が閾値以上となった場合に、ネットワークに収容している端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を演算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、収容しているそれ以外の呼を維持することを特徴とする。これにより、ネットワークの有効利用を図ることができる。
【0042】
更に、本発明は、発呼ユーザの属するISP(Internet Service Provider)と契約した割当リソース量と、その時点でISPに割当済みのリソース量とを計測し、契約内容(収容ユーザ数,ブロック率,リソース量等)を満足するよう呼受付判定を行うことを特徴とする。これにより、ISPに対して契約通りのサービスを提供することができる。
【0043】
以下、これらの本発明の具体的な実施例を説明する。
【実施例1】
【0044】
本発明の実施例1を説明する。
【0045】
図1は本発明が適用されるアクセスネットワークの一例を示す図である。図1に示すように、本発明が適用されるアクセスネットワークは、無線アクセスネットワーク121と、コアネットワーク122と、外部網123とからなるネットワークで構成される。
【0046】
無線アクセスネットワーク121は、任意の数の端末101,102と、無線基地局103と、無線ネットワーク制御局104とからなる。セル124内の端末101,102は、無線リンクによって無線基地局103と接続されている。
【0047】
無線基地局103は、無線ネットワーク制御局104により制御され、無線リンクの開設や、切断などの処理、データ転送処理を行う。
【0048】
無線ネットワーク制御局104は、端末101,102の発呼に対して呼受付制御、無線リンクの開設、切断のシグナリング、データ転送処理とその指示を行う。また、無線ネットワーク制御局104は、コアネットワーク122と接続されている。
【0049】
コアネットワーク122は、パケットを転送するネットワークである。
【0050】
尚、無線アクセスネットワーク121は、無線基地局103と無線ネットワーク制御局104とに必ずしも分離している必要はなく、一ノードの形態をとっても構わない。コアネットワーク122を設けずに、無線ネットワーク制御局104を外部網123に直接接続するようにしてもよいものである。この場合、コアネットワークの機能を無線アクセスネットワーク側でカバーする。
【0051】
外部網123は、無線アクセスネットワーク121と複数のISP111〜113とからなる。これらのISP111は、コアネットワーク122のオペレータと接続契約している。
【0052】
次に、本実施例の動作例と、その際の無線ネットワーク制御局104の呼受付制御に関する動作を説明する。
【0053】
図2は無線ネットワーク制御局104の一例を示すブロック図である。
【0054】
無線ネットワーク制御局104は、図2に示される如く、無線基地局103に接続される入出力端子201,202と、転送部211と、メッセージ作成部212と、受付可否判断部213と、記憶部214と、ネットワーク使用状況モニタ部215とを有する。
【0055】
ネットワーク使用状況モニタ部215は、定期的にネットワーク使用状況をモニタし、そのモニタにより得た情報を記憶部214に記録しておく。記憶部214が記憶する情報には、無線基地局103からの使用リソースに関するレポート、もしくは端末101,102からの使用リソースに関するレポートなどが含まれる。
【0056】
続いて、端末101,102の呼要求メッセージの送信から、無線ネットワーク制御局104の受付可否通知メッセージの送信までの動作を説明する。図3は、発呼要求メッセージの送信から、受付可否通知メッセージの送信までの動作を説明する為の図である。
【0057】
まず初めに、ユーザの操作により端末101,102が発呼要求メッセージ301を無線基地局103に送信する。その際、端末101,102は、発生する呼の所要リソース量や要求QoSクラスなどの呼に関する情報と識別可能な端末IDとをメッセージ301に含めて、これらを無線基地局103に送信する。無線基地局103は、受信した発呼要求メッセージ301を無線ネットワーク制御局104に出力する。
【0058】
ただし、システムによってはさらに無線ネットワーク制御局104がコアネットワーク122内のノードに発呼要求メッセージ301を転送し、コアネットワーク122内の処理を経てから発呼要求メッセージ301を無線ネットワーク制御局104に出力させる場合もある。
【0059】
本発明は、無線ネットワーク制御局104内の呼受付制御処理に関するものであり、無線ネットワーク制御局104に達するまでの発呼要求メッセージの経路は問わず、どのような経路を通るにせよ、無線ネットワーク制御局104において呼受付制御処理を発生させるシステムに対して適用可能である。
【0060】
また、発呼要求メッセージ301を含む情報は、必ずしも端末101,102が発する時点で含んでいる必要はなく、経由したコアネットワーク122のノードにおいて付加、変換されても構わない。具体的には、端末101,102は、パイロットチャネルの受信CIR(Carrier power to Interference power Ratio)データを前記情報に含め、無線ネットワーク制御局104は前記端末101,102からの情報に基いて所要リソース量を演算することが考えられる。所要リソース量の単位は任意で構わないが、従来の呼受付制御方法を利用する場合、下り方向ならば所要電力/基地局最大電力など、上り方向ならばNoise Riseなどの単位を用いたリソース量を取り扱うことが一般的である。
【0061】
発呼要求メッセージ301が無線ネットワーク制御局104の入力端子202に入力すると、無線ネットワーク制御局104は、図3に示す呼受付制御処理302を開始する。この呼受付制御処理302は、端末101,102からの呼を受け付けるか否かの制御を行う処理である。
【0062】
具体的に説明すると、発呼要求メッセージ301が入力端子202から受付可否判断部213に入力すると、受付可否判断部213は、呼受付制御処理302を開始する。
【0063】
受付可否判断部213は、呼受付制御処理の中で、記憶部214に記録されているネットワーク使用状況と発呼要求メッセージに含まれる情報とから端末の呼の受付可否を判断し、その結果をメッセージ作成部212に出力する。
【0064】
メッセージ作成部212は、端末101,102が理解可能なフォーマットにメッセージを整形し、その整形したメッセージデータを転送部211に出力する。
【0065】
転送部211は、入力したメッセージを、受付可否通知メッセージ303として出力端子201を通じて端末101,102に送信する。
【0066】
次に、実施例1の動作における呼受付制御処理302について説明する。
【0067】
実施例1における呼受付制御処理302は、図4に示される如く、共通処理(ステップA01)、無線リンク品質依存処理(ステップA02)を順次実行する。
【0068】
共通処理(ステップA01)は、端末の発呼に応答して、端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う処理である。そして、無線リンク品質依存処理(ステップA02)は、共通処理(ステップA01)で呼の受け付が可能と判断された後、発呼端末の無線リンク品質に依存した関数に基づいて確率的に呼の受け付判断を再度行うことを特徴とする処理である。
【0069】
まず、共通処理を説明する。
【0070】
図5は、共通処理の動作フローチャートである。
【0071】
発呼要求メッセージ301は、呼の所要リソース量を示す指標値であるNew Call Indexを含んでいる。このNew Call Indexには、端末101,102で受信したパイロットチャネルの受信電力やCIR(Carrier to Interference Radio:希望波対干渉波電力比)などのデータが含まれている。
【0072】
無線ネットワーク制御局104は、受け取った発呼要求メッセージ301からNew Call Indexを抽出する(ステップB01)。
【0073】
続いて、New Call Indexと現在同一セルで消費しているリソース量を示す指標値Total Used Indexとの和と、使用可能リソース上限値を示す指標値であるTsh Indexとを比較する(ステップB02)。
【0074】
比較の結果、前記和がTsh Indexよりも小さければ、ネットワークに端末の呼を収容できることが判明するので、端末からの呼を受け付ける(アクセプト,ACCEPT)。もし、前記和がTsh Indexよりも大きければ、端末からの呼を受け入れた場合に設定された上限値を超えてしまうため、端末からの呼を拒絶する(リジェクト,REJECT)。
【0075】
以上が共通処理の概要である。
【0076】
次に、無線リンク品質依存処理を説明する。
【0077】
無線リンク品質依存処理は、上述の共通処理で端末からの呼の受け付が可能と判断された後、発呼端末の無線リンク品質に依存した関数に基づいて確率的に端末からの呼の受け付判断を再度行うことを特徴とする処理である。
【0078】
以下に、無線リンク品質依存処理の具体的動作を説明する。図6は、無線リンク品質依存処理の動作フローチャートである。
【0079】
まず、任意のP_Weight( )関数(重み関数)を用いて受付確率値を計算し、この受付確率値と、0から1の範囲で発生させた乱数rand( )とを比較する(ステップC01)。受付確率値よりも乱数rand( )の方が小さければ、端末からの呼を受け付け(アクセプト,ACCEPT)、大きければ端末からの呼を拒絶する(リジェクト,REJECT)。
【0080】
ここで、P_Weight( )関数(重み関数)は任意でかまわないが、以下にいくつか具体例を示す。
【0081】
一つ目の具体例は以下の(式1)であらわされる。
P_Weight( )=(Tsh Index−Total Used Index−New Call Index)/Tsh Index*(Normalized QoL) (式1)
この(式1)において、((Tsh Index−Total Used Index−New Call Index)/Tsh Index)は残りリソース量指標値を示しており、(Normalized QoL)は無線リンク品質を示している。式1としては、(残りリソース量指標値)*(無線リンク品質)を表している。ただし、いずれの項も規格化されている。これによって、無線リンク品質の悪い呼ほど受け付けられる確率が低くなる為、無線リンク品質の良い呼を従来よりも多く受け付けることが可能となる。つまり、ネットワーク使用率を向上させ、また呼損率を低減することが可能となる。
【0082】
二つ目の具体例は以下の(式2)であらわされる。
P_Weight( )=(Tsh Index−Total Used Index−New Call Index)/Tsh Index*(Normalized QoS Class)*(Normalized QoL) (式2)
この(式2)において、((Tsh Index−Total Used Index−New Call Index)/Tsh Index)は残りリソース量指標値を示しており、(Normalized QoS Class)はQoSクラスを示しており、(Normalized QoL)は無線リンク品質を示している。式2としては(残りリソース量指標値)*(QoSクラス)*(無線リンク品質)をあらわしている。ただし、いずれの項も規格化されている。これによって、一つ目の具体例の効果に加え、オペレータのポリシーに従って呼の品質レベルであるQoSクラス毎に受付確率を変えることが可能となる。
【0083】
最後に三つ目の具体例は、QoSクラス毎にあらかじめ決められたリソース使用量を超過したか否かの条件により関数を変化させるものである。図7にQoSクラス毎にあらかじめ決められたリソース使用量を超過したか否かの条件により関数を変化させる場合のフローチャートを示す。
【0084】
まず、図8に示すようにQoSクラス数分のMax Qos No個のテーブルを用意し、QoSクラス毎にモニタしているリソースの使用量であるUsed Index QoSクラス毎に設定されたリソースの使用上限値であるTsh Index QoSとの情報を保持している。新規呼のQoSクラスをNew Call QoS Noとして、(New Call QoS NoのTsh Index QoS)−(New Call QoS NoのUsed Index QoS)>0を判断する。そして、QoSクラス毎にあらかじめ決められたリソース使用量を超過したか否かの条件により関数を変化させる(ステップD01)。
【0085】
判断の結果、0以上、つまりQoSクラス毎にあらかじめ決められたリソース使用量を超過していない場合、P_Weightとして以下の(式3)を用いる(ステップD02)。
P_Weight( )={(New Call QoS NoのTsh Index QoS)−(New Call QoS NoのUsed Index QoS)−New Call Index}/(New Call QoS NoのTsh Index QoS)*(NormalizedQoL) (式3)
この(式3)において、{(New Call QoS NoのTsh Index QoS)−(New Call QoS NoのUsed Index QoS)−New Call Index}/(New Call QoS NoのTsh Index QoS)はQoSクラスに割り当てられた残りリソース量指標値を示しており、(Normalized QoL)は無線リンク品質を示している。
(式3)としては(QoSクラスに割り当てられた残りリソース量指標値)*(無線リンク品質)を表している。ただし、いずれの項も規格化されている。
【0086】
一方、判断の結果、0以下、つまりQoSクラス毎にあらかじめ決められたリソース使用量を超過した場合、P_Weight( )として以下の(式4)を用いる(ステップD03)。
P_Weight( )={Tsh Index(QoS#0のTsh Index QoS)−…−(QoS# Max QoS NoのTsh Index QoS)−New Call Index}/Tsh Index*(NormalizedQoL)(式4)
この(式4)において、{Tsh Index(QoS#0のTsh Index QoS)−…−(QoS# Max QoS NoのTsh Index QoS)−New Call Index}/Tsh Indexは使用可能な全リソースのうちQoSクラスに割り当てられていないリソースの中の残りリソース量指標値を示しており、(Normalized QoL)は無線リンク品質を示している。
(式4)としては、(使用可能な全リソースのうちQoSクラスに割り当てられていないリソースの中の、残りリソース量指標値)*(無線リンク品質)を表している。ただし、いずれの項も規格化されている。
【0087】
最後に、P_Weight( )関数を用いて受付確率値を計算し、この受付確率値と、0から1の範囲で発生させた乱数rand( )とを比較する(ステップD04)。受付確率値よりも乱数の方が小さければ端末からの呼を受け付け(アクセプト,ACCEPT)、大きければ端末からの呼を拒絶する(リジェクト,REJECT)。
【0088】
これによって、QoSクラス毎に一定量のリソースを割り当て、余剰リソースは全QoSクラスが共有する形態の呼受付制御が可能となる。
【0089】
尚、以上の呼受付制御においては、無線リンク品質,QoSに依存して変化する閾値を設定し、一様分布の乱数を発生し、比較を行い受付の可否を決定した。
【0090】
その他の実施の形態の例として、あらかじめ一定の閾値を決定しておき、無線リンク品質,QoSに依存して異なるパラメータに従う乱数を発生させ、比較を行って、受付の可否を判断するように構成しても良い。
【0091】
例えば、任意の閾値を0.5と設定する。異なるパラメータに従う乱数を発生させる場合は、無線リンク品質qの端末に対して、平均を観測される無線リンク品質の最大値で規格化したN(q)、分散を0.2とする正規分布に従う乱数を発生させる。ただし、これらの値は任意で構わない。この場合、既述の実施の形態と同様に、無線リンク品質qが優れているほど高い受付確率が期待できる。
【0092】
以上の如く本発明によれば、オペレータのネットワーク使用率を向上させ、且つブロック率、ドロップ率を低下させることが可能となる。
【実施例2】
【0093】
本発明の実施例2を説明する。
【0094】
実施例2では、呼受付制御処理として、実施例1における無線リンク品質の依存処理に代えて、図9に示す如く、ISPとの契約内容(収容ユーザ数、ブロック率、リソース量等)に依存したISP依存処理(ステップA03)を行う。
【0095】
以下に、ISP依存処理(ステップA03)の動作を説明する。
【0096】
図10はISP依存処理のフローチャートである。
【0097】
まず、図11に示すように、契約したISPの数であるMax Isp No個の要素を持つISP Infoというテーブルを記憶部に用意し、ISP毎にコアネットワーク122とのサービス提供契約リソース量指標値であるContract Indexと、現在所属する端末群が使用しているリソース量の指標値であるUsed Indexの情報を保持している。
【0098】
まず、端末の属するISPを指定するNew Call ISP Noを発呼要求メッセージ301から抽出する(ステップE01)。
【0099】
次に、記憶部214から前記ISPのContract Indexと、Used Indexと、すでに共通処理において取得済みのユーザの所要リソース量指標値(New Call Index)から、新規呼を受け入れた場合の使用リソース量指標値が契約リソース量指標値を上回る量Over Indexを計算する(ステップE02)。計算式としてあらわすと、以下の(式5)ようになる。
Over Index=(New Call ISP NoのUsed Index)+New Call Index−(New Call ISP NoのContract Index) (式5)
ただし、サービス提供契約リソース量指標値は、帯域幅や収容ユーザ数など契約に用いた別の指標から変換した値でもかまわない。
【0100】
次に、Over Indexの正負を判断する(ステップE03)。もし、負であれば、契約指標値を超過しないことを意味するので、呼を受け付ける(アクセプト,ACCEPT)。もし、正であれば、使用可能リソース量上限値と全体の使用リソース量指標値の差をとり、全体のリソースの中での余剰リソース量の余裕の有無をチェックする(ステップE04)。Margin Indexは全体の余裕を表す。計算式としてあらわすと、以下の(式6)ようになる。
Total Used Index+New Call Index−Tsh Index>Margin Index (式6)
この(式6)の不等式が成り立つ場合には端末からの呼を受け付け(アクセプト,ACCEPT)、もし成り立たなければ端末からの呼を拒絶する(リジェクト,REJECT)。
【0101】
以上の処理において、ISP毎に契約に基づいて呼受付制御が可能になる。また、ISP毎のリソースの中で、既述したQoSクラスを考慮した処理を行っても構わない。
【0102】
尚、実施例2では、共通処理の後にISP依存処理を行ったが、呼受付制御処理として、共通処理を除いてISP依存処理を単独で用いても良い。
【0103】
また、上述したISP依存処理は、図12に示される如く、実施例1で説明した共通処理、無線リンク品質依存処理と組み合わせて用いても良い。
【0104】
また、上述したISP依存処理は、ISPの契約内容(収容ユーザ数,ブロック率,リソース量等)に依存して変化する閾値を設定し、一様分布の乱数を発生し、比較を行って、受付の可否を決定したが、上述した無線リンク品質や、QoSと同様にあらかじめ一定の閾値を決定しておき、ISPの契約内容(収容ユーザ数,ブロック率,リソース量等)に依存して異なるパラメータに従う乱数を発生させ、比較を行い受付の可否を判断するように構成しても良い。
【0105】
以上の如く、本発明によれば、ユーザの属するISPとの契約を元に呼受付制御が可能となる。
【実施例3】
【0106】
本発明の実施例3を説明する。
【0107】
実施例3は、端末からの呼の切断処理に関するものである。呼切断選択処理は、以下の二通りの場合に行われる。
【0108】
第1の場合は、呼受付済みの端末の無線リンク品質が悪化して呼を維持するための必要リソース量が増加し、全ての呼を存続させる事が不可能であるため、いずれかの呼を切断し、それ以外の呼を存続させる場合である。
【0109】
第2の場合は、新規な端末からの発呼の際に、システムリソースの観点から受付は不可能だが、オペレータポリシーにより、その端末からの呼を受け付ける必要がある場合である。
【0110】
第1の場合は、新規の発呼とは別に単独で行なわれるが、呼受付制御と同様の効果が期待できる。そこで、まず、単独で行なわれる切断処理について説明する。
【0111】
図13は第1の切断呼選択処理のフローチャートである。
【0112】
まず、切断優先度関数Cost( )による順序付け(ステップF01)を行う。
【0113】
この切断優先度関数Cost( )は任意で構わないが、たとえば次のような式(7)が考えられる。
Cost( )=Normalized QoS Class*Normalized QoL 式(7)
この式(7)は(QoSクラス)*(無線リンク品質)をあらわしている。ただし、いずれの項も規格化されている。この式に従って収容している全ての呼に関して切断優先度を計算する(ステップF01)。そして、切断優先度の高い呼を切断し、他の呼を存続させる(ステップF02)。
【0114】
次に、上述した第2の場合における切断呼選択処理について説明する。
【0115】
図14は第2の呼の切断処理のフローチャートである。
【0116】
まず、既存呼の切断処理を行うか(ステップF10)を判定する。この判断においては、New Call Indexなどのパラメータを利用して動的に決定しても良いし、オペレータのポリシーで静的に設定しても構わない。ここで既存呼の切断処理を行ってでも新規呼を受け入れると判断した場合、次に切断優先度関数Cost( )による順序付け(ステップF11)を行う。
【0117】
この切断優先度関数Cost( )は任意で構わないが、上述の式(7)の例が考えられる。
Cost( )=Normalized QoS Class*Normalized QoL 式(7)
この式は(QoSクラス)*(無線リンク品質)をあらわしている。ただし、いずれの項も規格化されている。この式(7)に従って収容している全ての呼に関して切断優先度を計算する。
【0118】
計算された切断優先度に従い全ての呼のうち最も切断優先度の高い呼を記憶(ステップF12)しておく。この処理はここで一旦停止し、切断呼選択処理の結果をACCEPTとして次の処理に移行する。そして、設定された処理を全て行った後の呼受付制御の最後に選択された切断優先度の高い呼を切断し、新規呼を受け付ける事になる。
【実施例4】
【0119】
本発明の実施例4について説明する。
【0120】
実施例4は、上述した実施例1、実施例2及び実施例3を組み合わせたものである。
【0121】
共通処理、ISP依存処理、無線リンク品質依存処理及び切断処理を組み合わせた全体の処理例を図15に示す。
【0122】
図15では、共通処理(ステップG01)、ISP依存処理(ステップG02)、無線リンク品質依存処理(ステップG03)の順に行っている。
【0123】
ただし、ステップG01の結果がリジェクト(REJECT)であれば、切断呼選択処理(ステップG04)に移行し、既存呼を切断しても新規呼を受け入れる場合には、ISP依存処理(ステップG05)、無線リンク品質依存処理(ステップG06)の順に行い、最後に記憶していた最も切断優先度の高い呼を切断し(ステップG07)、新規呼を受け入れることになる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、オペレータのネットワーク使用率を向上させ、且つブロック率、ドロップ率を低下させることが可能な技術であり、アクセスネットワークにおける呼受付制御の技術に好適なものである。
【0125】
また、本発明は、ユーザの属するISPとの契約を元に呼受付制御が可能な技術であり、アクセスネットワークにおける呼受付制御の技術に好適なものである。
【0126】
更に、本発明の呼受付制御は移動通信網において端末がセルを移動する場合のハンドオーバ呼に対しても同様の仕組みを適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末からの発呼を受信した際に、前記端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断ステップと、
前記収容可否判断ステップにおいて収容可能と判断された場合、重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する呼受付判断ステップとを有することを特徴とする呼受付制御方法。
【請求項2】
前記重み関数として、無線リンク品質に依存する関数を用いることを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項3】
前記重み関数として、端末の要求する呼の品質レベルに依存する関数を用いることを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項4】
前記重み関数として、ネットワークの未使用のリソース量に依存する関数を用いることを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項5】
前記重み関数として、二以上の要件を因数とする関数を用いることを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項6】
前記呼受付判断ステップにおいて、無線リンク品質に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項7】
前記呼受付判断ステップにおいて、端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項8】
前記呼受付判断ステップにおいて、ネットワークの未使用のリソース量に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項9】
前記呼受付判断ステップにおいて、無線リンク品質に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項10】
前記呼受付判断ステップにおいて、呼の品質レベルに依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項11】
前記呼受付判断ステップにおいて、ネットワークの未使用のリソース量に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項12】
前記呼受付判断ステップにおいて、異なる重み関数による受付確率により、端末の発呼の受付の判断を二以上行うことを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項13】
前記呼受付判断ステップにおいて、呼の品質レベルごとにネットワーク・リソース使用量を管理し、呼の品質レベルごとに設定されたリソース使用量の閾値を境界として、受付確率を決定する重み関数を切り替えて、端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項14】
さらに切断処理ステップを有し、
前記切断処理ステップにおいて、新規な発呼がネットワーク・リソース内に収容不可能であると前記収容可否判断ステップで判断された場合、ネットワークに収容している他の端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、新規な呼を収容することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項15】
さらに切断処理ステップを有し、
前記切断処理ステップにおいて、ネットワーク・リソース使用量が閾値以上となった場合に、ネットワークに収容している端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、収容しているそれ以外の呼を維持することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項16】
前記呼受付判断ステップにおいて、前記判断処理を行う際に、さらに発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる前記端末の割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項1に記載の呼受付制御方法。
【請求項17】
移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断ステップと、
前記収容可否判断ステップで受付不可能と判断された場合、ネットワークに収容している移動端末の呼に対して、呼の品質レベル、又は無線リンク品質に依存する重み関数によって切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断し、新規呼を収容する収容処理ステップとを有することを特徴とする呼受付制御方法。
【請求項18】
移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断ステップを有し、
前記収容可否判断ステップにおいて、発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる複数の端末に対する割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断すること特徴とする呼受付制御方法。
【請求項19】
端末移動のハンドオーバ時の移動先ネットワークにおける呼受付制御に請求項1に記載の呼受付制御方法を適用することを特徴とするハンドオーバ受付方法。
【請求項20】
端末移動のハンドオーバ時の移動先ネットワークにおける呼受付制御に請求項17に記載の呼受付制御方法を適用することを特徴とするハンドオーバ受付方法。
【請求項21】
端末移動のハンドオーバ時の移動先ネットワークにおける呼受付制御に請求項18に記載の呼受付制御方法を適用することを特徴とするハンドオーバ受付方法。
【請求項22】
端末からの発呼に応答して、前記端末の発呼がシステムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断手段と、
前記収容可否判断手段で収容可能と判断された場合、重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する呼受付判断手段とを有することを特徴とする呼受付制御システム。
【請求項23】
前記呼受付判断手段は、無線リンク品質に依存する重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項24】
前記呼受付判断手段は、端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項25】
前記呼受付判断手段は、ネットワークの未使用のリソース量に依存する重み関数よって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項26】
前記呼受付判断手段は、二以上の要件を因数とする重み関数によって変化する受付確率に基づいて、前記端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項27】
前記呼受付判断手段は、無線リンク品質に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項28】
前記呼受付判断手段は、端末の要求する呼の品質レベルに依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項29】
前記呼受付判断手段は、ネットワークの未使用のリソース量に依存する重み関数から得られた値と乱数とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項30】
前記呼受付判断手段は、無線リンク品質に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項31】
前記呼受付判断手段は、呼の品質レベルに依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項32】
前記呼受付判断手段は、ネットワークの未使用のリソース量に依存して異なる分布に従う乱数と、予め定められた閾値とを比較することによって、前記端末の発呼の受付を確率的に判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項33】
前記呼受付判断手段は、異なる重み関数による受付確率により、端末の発呼の受付の判断を二以上行うことを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項34】
前記呼受付判断手段は、呼の品質レベルごとにネットワーク・リソース使用量を管理し、呼の品質レベルごとに設定されたリソース使用量の閾値を境界として、受付確率を決定する重み関数を切り替えることを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項35】
さらに切断処理手段を有し、
前記切断処理手段は、新規な発呼がネットワーク・リソース内に収容不可能と判断された場合、ネットワークに収容している他の端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより新規な呼を収容することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項36】
さらに切断処理手段を有し、
前記切断処理手段は、ネットワーク・リソース使用量が閾値以上となった場合に、ネットワークに収容している端末の呼に対して、呼の品質レベルおよび無線リンク品質とに基づいた切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断することにより、収容しているそれ以外の呼を維持することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項37】
さらに第2の発呼受付判断手段を有し、
前記第2の発呼受付判断手段は、発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる前記端末の割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断することを特徴とする請求項22に記載の呼受付制御システム。
【請求項38】
移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断手段と、
前記収容可否判断手段で受付不可能と判断された場合、ネットワークに収容している移動端末の呼に対して、呼の品質レベル、又は無線リンク品質に依存する重み関数によって切断優先度を計算し、切断優先度の最も高い呼を切断し、新規呼を収容する収容処理手段とを有することを特徴とする呼受付制御システム。
【請求項39】
移動端末からの発呼を受信した際に、システムの保持するネットワーク・リソース内に収容可能か否かの判断を行う収容可否判断手段を有し、
前記収容可否判断手段は、発呼した端末の属するインターネットサービスプロバイダによる複数の端末に対する割当リソース量と、発呼時に前記端末に割当済みのリソース量とに基づいて、前記端末の発呼の受付を判断する機能を有すること特徴とする呼受付制御システム。
【請求項40】
端末移動のハンドオーバ時の移動先ネットワークにおける呼受付制御に請求項22に記載の呼受付制御システムを適用することを特徴とするハンドオーバ受付システム。
【請求項41】
端末移動のハンドオーバ時の移動先ネットワークにおける呼受付制御に請求項38に記載の呼受付制御システムを適用することを特徴とするハンドオーバ受付システム。
【請求項42】
端末移動のハンドオーバ時の移動先ネットワークにおける呼受付制御に請求項39に記載の呼受付制御システムを適用することを特徴とするハンドオーバ受付システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【国際公開番号】WO2005/011319
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511990(P2005−511990)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009527
【国際出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】