説明

呼吸器多核体ウイルスによる樹状細胞の寛容誘導

本発明は、単離された抗原提示細胞に、かかる抗原提示細胞を感染させるのに十分な、有効量の呼吸器多核体ウイルス(RSV)又はその一部分を感染させ、CD4、CD8又はCD4T細胞とCD8T細胞との両方を、RSV感染抗原提示細胞に接触させることによる、抗原提示細胞を用いた免疫寛容を誘導するための組成物、方法及び系を含む。混合白血球反応により、CD4、CD8又はCD4とCD8+との両方のT細胞が寛容原性となっていることがインビトロで測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、免疫細胞寛容の分野、より具体的には、免疫抑制を誘導するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、本発明の背景を寛容原性との関連において記載する。Robbins et al.に対して発行された米国特許第6936468号明細書は、宿主における寛容原性を増進するための寛容原性樹状細胞の使用と、それを作製するための方法を教示している。簡潔に、この方法は、寛容原性哺乳類樹状細胞(DC,dendritic cell)と、寛容原性DCの産生方法に関する。さらに、本発明の免疫原性哺乳類DCを宿主に投与するステップを含む、宿主における寛容原性を増進するための方法が教示されている。寛容原性DCは、1又は複数のNF−κB結合部位を有するオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN,oligodeoxyribonucleotide)を含む。本発明の寛容原性DCは、かかるDC中に存在する場合に寛容原性DCの寛容原性に影響しないウイルスベクター、好ましくはアデノウイルスベクターをさらに含み得る。宿主における増進された寛容原性は、外来移植片の生存を長引かせるため、及び自己免疫疾患のような炎症関連疾患を治療するために有用である。
【0003】
Beschornerに対して発行された米国特許第5597563号明細書は、抗原特異的免疫寛容を誘導する方法を教示している。常在性胸腺抗原提示細胞(APC,antigen presenting cell)の除去(depletion)及び寛容のための抗原を含む新しいAPCを含む胸腺の再増殖により抗原特異的免疫寛容を誘導する方法は、レシピエント動物に、樹状細胞が除去される量の免疫抑制剤を、前記レシピエントの胸腺髄質における樹状細胞の除去のために十分な時間及び条件下で投与するステップと、前記レシピエント動物に、寛容原性量の種内樹状細胞集団を、抗原と組み合わせて、免疫抑制剤と実質的に同時に存在するように投与するステップであって、種内樹状細胞集団が、抗原に対して寛容原性の種内樹状細胞に富み、投与が、前記レシピエントの樹状細胞が除去された胸腺髄質を再増殖させるのに十分な条件下で行われるステップと、胸腺再生剤を、樹状細胞の胸腺への動員を誘導するのに十分な時間及び条件下で投与するステップであって、胸腺再生剤が、免疫抑制剤の後で、かつ樹状細胞の投与と同時又はその後に投与されるステップとを含む。
【0004】
Thomas, et al.により出願された米国特許出願第20060182726号明細書は、免疫調節組成物、その製造方法及びその使用を教示している。この出願は、プライミングされた免疫応答を含む免疫応答の抗原特異的抑制のための組成物及び方法を開示している。特に、この発明は、そのCD40若しくはその等価物のレベル及び機能的活性が損なわれたか、妨げられたか又はそうでなければ低減された抗原提示細胞、特に樹状細胞と、自己免疫疾患、アレルギー及び移植片拒絶において発現するものを含む望ましくないか若しくは有害な免疫応答を治療及び/又は予防するためのそれらの使用を開示する。
【0005】
Leishmanに対して発行された米国特許出願第20040072348号明細書は、寛容原性抗原提示細胞を教示している。成熟できないが、T細胞に対する最初のシグナルを提供でき、しかし同時刺激シグナルを提供できない樹状細胞が調製できる。永続的に未熟な樹状細胞により刺激されるT細胞は、よって、アネルギーになり、よって、樹状細胞は、免疫原性というよりは寛容原性である。細胞は、通常、CD40、CD80及びCD86であり、この状態を、リポ多糖のような炎症性メディエーターにより刺激された場合も維持する。細胞は、GM−CSFの存在下で接着胚幹細胞を培養することにより簡便に調製できる。
【0006】
最後に、Qianにより出願された米国特許出願第20040043483号明細書は、新規な寛容原性樹状細胞及びその治療への使用について教示している。この出願は、寛容原性樹状細胞(DC)と、組織調製物中でこれらの細胞を濃縮するための方法及び移植片拒絶を予防若しくは最小限にするため又は自己免疫疾患を治療若しくは予防するためにこれらの細胞を用いる方法とに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6936468号明細書
【特許文献2】米国特許第5597563号明細書
【特許文献3】米国特許出願第20060182726号明細書
【特許文献4】米国特許出願第20040072348号明細書
【特許文献5】米国特許出願第20040043483号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗原提示細胞を用いて免疫寛容を誘導するための組成物及び方法を含む。ある実施形態において、本発明は、アネルギーの又は寛容化された免疫細胞と、単離された抗原提示細胞に、かかる抗原提示細胞を感染させるのに十分な有効量の呼吸器多核体ウイルス(RSV,respiratory syncytial virus)又はその一部分を感染させ、CD4+、CD8+又はCD4+T細胞とCD8+T細胞との両方を、RSV感染抗原提示細胞と接触させることによりそのような細胞を作製するための方法であって、混合白血球反応により、前記CD4+、CD8+又はCD4とCD8+との両方のT細胞が、寛容原性となっていることがインビトロで測定される方法とを含む。ある態様において、RSV感染抗原提示細胞は、末梢血単核細胞、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞又はランゲルハンス細胞である。別の態様において、RSV感染抗原提示細胞は、1:1〜1:100の寛容原性抗原提示細胞対T細胞の比率にて寛容原性である。別の態様において、RSV感染細胞は、T細胞との接触前に固定される。この方法を用いて作られる細胞は、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowであるRSV感染抗原提示細胞であってよい。別の態様において、RSV感染抗原提示細胞は、インフルエンザ感染抗原提示細胞と比較した場合に、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである。RSV感染抗原提示細胞が、制御性T細胞の増殖を誘導することが見出されている。RSV感染抗原提示細胞はIL−10を分泌し、未処理の抗原提示細胞よりも、SIGLEC−1、PDL−1、ILT−4、HLA−G、SLAM及びLAIRの発現が増加している。RSV感染抗原提示細胞は、未処理の抗原提示細胞と比較した場合に、IL−10、LAIR2、SOCS2、PTPN2、ILT−6、AQP9、PTX3及びSLAMF1の遺伝子発現も増加し得る。
【0009】
別の実施形態において、寛容化樹状細胞を作製するための方法は、樹状細胞に、有効量の呼吸器多核体ウイルスを感染させてIL−10依存性寛容原性免疫機能を生じさせるステップを含み、ここで、呼吸器多核体ウイルスは、同種CD4+T細胞を寛容化し、サプレッサーT細胞増殖を引き起こし、IL−10を分泌し、かつ阻害分子PDL−1、ILT−4及びHLA−Gを発現する樹状細胞の能力を増加させ、感染した樹状細胞は、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである。別の態様において、同種CD4+T細胞を活性化する樹状細胞の能力の阻害は、樹状細胞同士の細胞間接触を必要とする。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、単離された樹状細胞に有効量の呼吸器多核体ウイルスを感染させてIL−10依存性寛容原性免疫機能を生じさせることにより対象における樹状細胞の抗ウイルス免疫を抑制するための方法であって、呼吸器多核体ウイルスが、患者に再導入されたときに、同種CD4+T細胞を活性化し、ナイーブT細胞制御応答を誘導し、IL−10を分泌し、かつ阻害分子PDL−1、IKT−4及びHLA−Gを発現する樹状細胞の能力を阻害する方法を含む。ある態様において、同種CD4+T細胞を活性化する樹状細胞の能力の阻害は、樹状細胞同士の細胞間接触を必要とする。
【0011】
本発明の別の実施形態は、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである単離された樹状細胞を含む寛容原性樹状細胞である。寛容原性樹状細胞は、末梢血単核細胞に、CD4+、CD8+又はCD4+T細胞とCD8+T細胞との両方を寛容原性にするのに十分な有効量の呼吸器多核体ウイルス又はその一部分を感染させる方法により作製され、かかる寛容原性は、混合白血球反応によりインビトロで測定される。ここで、前記樹状細胞はCD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである。
【0012】
本発明の別の実施形態は、T細胞を、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowの少なくとも1つの表面発現を引き起こすのに十分な量のRSV又はその一部分に感染した樹状細胞と接触させることにより、寛容原性T細胞媒介免疫応答を促進する方法である。別の実施形態は、アネルギーTヘルパー細胞を誘導する方法であって、単離された抗原提示細胞(APC)を、かかる抗原提示細胞を感染させ、以下の細胞表面マーカーCD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowの少なくとも1つの表面発現を引き起こすのに十分な量のRSVと共にインキュベートするステップと、RSV感染抗原提示細胞を、T細胞を寛容化する条件下でT細胞と接触させるステップであって、前記寛容化が、混合リンパ球反応によりインビトロで測定されるステップとを含む方法である。
【0013】
本発明の別の実施形態は、単離された樹状細胞を、かかる樹状細胞を感染させるのに十分な量の呼吸器多核体ウイルスと共に、以下の細胞表面CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowの細胞表面発現を引き起こす条件下でインキュベートすることにより、単離された寛容原性樹状細胞を作製する方法である。本発明は、RSVに予め感染し、以下の細胞表面CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを有する単離された寛容原性樹状細胞を含む、哺乳類宿主において寛容原性を増進するためのキットも含む。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態は、APCに、かかる樹状細胞を感染させるのに十分な量の呼吸器多核体ウイルスを感染させ、以下の細胞表面マーカー発現CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを引き起こし、それにより寛容原性抗原提示細胞(APC)を生成させることにより、寛容原性抗原提示細胞(APC)を創製する方法を含む。哺乳動物対象における自己免疫疾患を治療する方法であって、哺乳類対象に、寛容原性抗原提示細胞(APC)を投与するステップを含み、寛容原性樹状細胞が、RSVに予め感染し、以下の細胞表面CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを有し、細胞が、自己免疫疾患を低減させるか若しくは消失させるか、又はその発生若しくは再発を予防するのに有効な量で投与される方法を用いてもよい。本発明を用いて治療され得る自己免疫疾患の限定しない例として、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、自己免疫性脳脊髄炎、関節リウマチ、自己免疫性関節炎、重症筋無力症、甲状腺炎、網膜ブドウ膜炎、橋本病、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、早発閉経、男性不妊症、若年性糖尿病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、乾癬交感性眼炎、水晶体原性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎、特発性肝硬変、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、多発性筋炎/皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス又は全身性エリテマトーデスが挙げられる。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、抗原に対する免疫応答を調節する処置を必要とする患者に、単離された寛容化抗原提示細胞を、免疫応答を調節するのに十分な時間及び条件下で投与することにより、抗原に対する免疫応答を調節するための方法であって、抗原特異的抗原提示細胞が、抗原提示細胞を、抗原提示細胞がT細胞に対して寛容化するのに十分な時間及び条件下でRSVと接触させることにより作製され、寛容化抗原提示細胞が、以下の細胞表面マーカーCD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを発現することを特徴とし、寛容化抗原提示細胞が、1:5〜1:100の寛容化抗原提示細胞対T細胞の比率にて寛容原性である方法を含む。
【0016】
本発明の特徴及び利点をより完全に理解するために、ここで、添付の図面に従って本発明の詳細な説明について言及する。添付の図面においては次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】急性RSV感染の小児科患者及び健常成人提供者から単離したPBMCを示す図である。健常提供者のCFSE標識CD4+T細胞の増殖は、フローサイトメトリーにより、RSV感染個体又は健常個体からの照射PBMCとの共培養の6日後に評価した。
【図1B】急性感染幼児の鼻粘膜洗浄液からのCD11c+HLA−DR+細胞の直接選別により単離されたmDCを示す図である。細胞を、CFSE標識CD4+T細胞と培養し、増殖をフローサイトメトリーにより評価した。
【図2A】記載されるようにして単離し、18時間、インフルエンザ若しくはRSV(MOI=1.0)に曝露したか又は曝露せず、十分に洗浄した血液mDCを示す図である。CD4+T細胞増殖を促進するそれらの能力を、次いで評価した。
【図2B】インフルエンザ若しくはRSV(MOI=1)、又はUV照射RSV(MOI=1)のいずれかに、37℃にて24時間曝露した2×10^4細胞のmDCを示す図である。1.5×10^5のCSFE標識T細胞を、2.5×10^3のインフルエンザ、RSV又はUV−RSV処理mDCと6日間インキュベートした。細胞増殖は、CFSE色素希釈により評価した。
【図2C】GM−CSFとIL−4又はGM−CSFとIL−10又はGM−CSFとビタミンD3又は記載される組合せの存在下で6日間分化したDCを示す図である。第6日に、薬剤処理したDCを2日間、LPSの存在下でインキュベートした。第8日に、CD4+T細胞増殖を促進するこれらのDCの能力を、RSV DCに対してチミジンの取り込みにより評価した。
【図2D】図1に記載されるようにして単離した血液mDCを示す図である。CD4+T細胞を細胞選別により精製し、次いでCSFE標識した。1.5×10細胞を、1MOIのインフルエンザ、RSV又は対照条件のいずれかに曝露した。細胞を、次いで、37℃にて6日間、抗CD3、抗CD28マイクロビーズの存在下でインキュベートした。細胞を、次いで、CD4発現について染色し、増殖をCFSE色素希釈により評価した。
【図2E】図1に概説する方法を用いて単離した血液mDC(緑色の三角形)及び形質細胞様DC(pDC,plasmacytoid DC)(青色のX)を示す図である。細胞に、RSV(MOI=1)を、96ウェルプレート中で接種した。Hela細胞(赤色のX)は、ウイルス複製についての陽性対照であった。細胞の非存在下で培養したRSV(黄色の丸)は、陰性対照であった。感染性ウイルス粒子産生は、24時間ごとに7日間評価した。RSVの新しく融解したバイアル(濃い青色の菱形)を用いて、組織培養感染量(TCID50,tissue culture infectious dose)の計算を確認した。
【図2F】図1に概説する方法を用いて単離した血液mDCを示す図であり、GM−CSF IL4培養単球に由来するDCを、第6日に単離した(GM/4DC)。細胞を、インフルエンザウイルス(MOI=1)又はRSV(MOI=1)のいずれかと96ウェルプレート中で培養した。24時間後に、細胞生存能を、トリパンブルー染色により評価した。データは、4回の独立した研究の平均及び標準偏差を表す。
【図3A】(パネル1)精製し、ウイルスなし、RSV(青色)又はインフルエンザウイルス(赤色)のいずれかに18時間曝露したmDCを示す図である。18時間後に、同種CFSE標識CD4+T細胞を、曝露していないDCと、漸増数のRSV曝露若しくはインフルエンザ曝露DCとともに共培養した。共培養6日後に、CD4+T細胞増殖を、フローサイトメトリーにより評価した。(パネル2)提供者適合mDCを用いる5回の独立した研究からの結果を示す図である(p=0.03対応t検定)。
【図3B】図3Aに記載されるようにして調製したmDCと、直接(青色)又は0.3uMトランスウェルを横切ってのいずれかでmDC/CD4+T細胞共培養物中に滴定した漸増数の曝露していないDC(丸)又はRSV曝露(三角)DCを示す図である。CD4+T細胞増殖は、上記のようにして評価した。
【図3C】ウイルスなし(対照)、RSV又はインフルエンザウイルスのいずれかに18時間曝露した血液mDCを示す図である。曝露した樹状細胞を、次いで、室温にて30分間、CytoChex固定試薬(BD)を用いて固定し、氷冷PBSで3回洗浄した。ウイルス曝露及び固定の後に、細胞を、イントランスアロ阻害アッセイに用いた。同種CFSE標識CD4+T細胞を、曝露していないDCと、固定しているか若しくは固定していない漸増数のRSV曝露又はインフルエンザ曝露DCとともに共培養した。共培養の6日後に、CD4+T細胞増殖を、フローサイトメトリーにより評価した。
【図3D】図1に記載されるようにして調製したDCを示す図である。ウイルスにより又は薬理学的に操作した漸増数のDCを、mDC/CD4+T細胞共培養物に加えた。CD4+T細胞増殖を、上記のようにして評価した。
【図3E】インフルエンザ若しくはRSV(MOI=1)又はウイルスなし(対照)と24時間培養して採集した血液mDCを示す図である。対照mDC(ウイルス曝露なし)を、漸増濃度のインフルエンザ又はRSV曝露DCのいずれかの存在下で、5.0ug/ml抗Fタンパク質抗体とともに又は抗体なしでインキュベートし、CFSE標識同種CD4+T細胞と100,000のCD4+T細胞あたり1,250の対照mDCの一定濃度にて共培養した。6日後に、細胞をCD4発現について染色し、増殖をCFSE色素希釈により評価した。
【図4A】本発明の方法を用いて単離し、インフルエンザ又はRSVのいずれか(MOI=1)と培養したmDCを示す図である。24時間後に、細胞をCD40、CD83、CD86及びCD80について染色し、フローサイトメトリーにより分析した。ピンク色のヒストグラムは、同じマーカーについて染色した、曝露していないmDCを表す。緑色のヒストグラムはRSVと培養したmDCを表し、青色のヒストグラムは、インフルエンザと培養したmDCを表す。
【図4B】16時間、インフルエンザ若しくはRSV(MOI=1.0)のいずれかに曝露したか又は曝露せず、その後RNAを抽出し、標識し、U133 2 plusチップ(Affymetrix社製)にハイブリッド形成させたmDC(3名の提供者)の結果を示す図である。差分解析を、Gene Spring 6.2ソフトウェアパッケージ(Silicon Genetics社製)を用いて行った。15プローブの発現パターンは、インフルエンザ若しくはRSVに曝露したか又は曝露しなかったmDCからの寛容原性DCと関連した。
【図4C】インフルエンザ又はRSVのいずれかへの18時間の曝露の後にフローサイトメトリーにより評価したITIM受容体及びリガンドの発現を示す図である。
【図4D】曝露していないmDCに対する3名の提供者のインフルエンザ又はRSV(MOI=1)の18時間後のmDCにおけるIFNラムダ及びIFNアルファファミリーメンバーの発現を示す図である。
【図4E】図1に記載されるようにして単離した血液mDCからの結果を示す図である。DCは、37℃にて24時間、未処理(対照)、インフルエンザ(MOI=1)で処理、RSV(MOI=1)で処理、又はIFN−アルファ(500pg/ml)とIFN−ラムダとIL−29(1又は5ng/ml)とで処理した。同種CFSE標識CD4+T細胞を、次いで、各処理のDCと37℃にて6時間共培養した。サイトカイン処理DCの場合、IFN−ラムダ、IFN−アルファ及びIL−29の濃度は、T細胞共培養の間、維持した。共培養の6日後に、CD4+T細胞増殖を、フローサイトメトリーにより評価した(上のパネル)。組換えIFN−ラムダ及びIL−29の生物活性を、曝露したGM−CSF/IL−4単球由来DCにおけるSTAT−1リン酸化を監視することにより評価した。単球由来DCを、5ng/mlのIFN−ラムダ及びIL−29に、それぞれ0、10、30及び60分間曝露した。STAT−1リン酸化の程度(P−STAT1)を、次いで、全細胞可溶化液中で、ウェスタンブロットにより、全STAT−1タンパク質に対して評価した。500pg/mlのIFN−アルファで60分間処理した単球由来DCは、STAT−1リン酸化についての陽性対照であった(下のパネル)。
【図5A】1MOIのインフルエンザ又はRSVのいずれかに18時間曝露したmDCからの結果を示す図である。細胞培養上清を、IL−10Luminex Multiplex Analysisの発現について分析した。データは、11回の独立した研究の平均及びSDを表す。
【図5B】アイソタイプ対照(パネル1及び3)又はIL−10及びIL−10受容体に対する遮断抗体(パネル2及び4)と、ウイルス曝露の30分前(パネル2)又はRSV曝露の18時間後(パネル4)のいずれかにインキュベートしたmDCからの結果を示す図である。CD4+T細胞アロ増殖を誘導するこれらの細胞の能力を、次いで、評価した(n=4)。 CFSE標識同種CD4+T細胞を、曝露していないか又はインフルエンザ若しくはRSVに曝露したmDCのいずれかと培養した。
【図6A】各条件からのCD4+T細胞集団(CFSEhigh)の第1及び第2世代を示す図であり、これらは、DC共培養の5日後に細胞選別により単離された。曝露していないか、インフルエンザ又はRSVに曝露したmDCから選別した1,500のCD4+T細胞を、よって、1,250の曝露していないmDCと500,000の標識CD4+T細胞とからなるMLRに加えた。CD4+T細胞アロ増殖を誘導する曝露していないDCの能力を、次いで評価した。
【図6B】3回の独立した研究からのデータを示す図である。
【図6C】3回の独立した研究からのデータを示す図である。
【図6D】研究プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の種々の実施形態を作製して用いることについて以下に詳細に論じるが、本発明は、様々な具体的な状況において具体化できる多くの応用可能な発明の概念を提供することが認識されるべきである。本明細書において論じる具体的な実施形態は、本発明を作製し、用いるための具体的な様式の単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものでない。
【0019】
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語を以下において定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関連する領域における当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本発明において単数で表記されている用語は、単数形の物体にのみ言及することを意図せず、全般的なクラスを含むことを意図し、その具体例は、例示のために用いられ得る。本明細書における専門用語は、本発明の具体的な実施形態を記載するために用いられるが、それらの使用は、特許請求の範囲に概説されることを除いて、本発明を限定しない。
【0020】
呼吸器多核体ウイルス(RSV)感染は、誕生して一年目の入院の主な原因である。今回、我々は、幼児における自然感染の経過の間に、RSVが、樹状細胞(DC)の抗原提示機能を遮断することを示す。RSVに曝露されたヒトDCは、ナイーブCD4T細胞を活性化できず、これらは、IL−10を分泌して、阻害分子PDL−1、ILT−4及びHLA−Gを発現する。RSV曝露DCは、同種T細胞増殖を、混合白血球反応において、細胞接触依存的機構により阻害する。さらに、RSV曝露DCと共培養したナイーブT細胞は、制御性T細胞機能を獲得する。RSVが、抗ウイルス免疫を、寛容原性表現型及び機能の方向へDC成熟をゆがめることにより抑制することが見出された。
【0021】
一本鎖RNAパラミクソウイルスである呼吸器多核体ウイルス(RSV)は世界的に、幼児及び若年の子供における主要な呼吸器病原体である。RSV感染は、不完全免疫を導く。なぜなら子供は同じ株のウイルスに再感染する場合があり(Henderson,F.W., Collier,A.M., Clyde,W.A., Jr. & Denny,F.W. Respiratory-syncytial-virus infections, reinfections and immunity. A prospective, longitudinal study in young children. N. Engl. J. Med. 300, 530-534 (1979))、免疫能が正常な成人も、再発RSV感染を経験するからである(Zambon,M.C., Stockton,J.D., Clewley,J.P. & Fleming,D.M. Contribution of influenza and respiratory syncytial virus to community cases of influenza-like illness: an observational study. Lancet 358, 1410-1416 (2001)、Hall,C.B., Walsh,E.E., Long,C.E. & Schnabel,K.C. Immunity to and frequency of reinfection with respiratory syncytial virus. J. Infect. Dis. 163, 693-698 (1991)、Hall,C.B., Long,C.E. & Schnabel,K.C. Respiratory syncytial virus infections in previously healthy working adults. Clin. Infect. Dis. 33, 792-796 (2001))。RSVには急性及び長期の病的状態が伴うので、有効なワクチンが非常に望まれている。残念なことに、ワクチン開発に対する初期の試みは、代わりにRSVに対する感作を導き、これは、適応免疫系に対するRSVの提示が、普通とは異なることを示唆している(Chin,J., Magoffin,R.L., Shearer,L.A., Schieble,J.H. & Lennette,E.H. Field evaluation of a respiratory syncytial virus vaccine and a trivalent parainfluenza virus vaccine in a pediatric population. Am. J. Epidemiol. 89, 449-463 (1969)、Fulginiti,V.A. et al. Respiratory virus immunization. I. A field trial of two inactivated respiratory virus vaccines; an aqueous trivalent parainfluenza virus vaccine and an alum-precipitated respiratory syncytial virus vaccine. Am. J. Epidemiol. 89, 435-448 (1969)、Kapikian,A.Z., Mitchell,R.H., Chanock,R.M., Shvedoff,R.A. & Stewart,C.E. An epidemiologic study of altered clinical reactivity to respiratory syncytial (RS) virus infection in children previously vaccinated with an inactivated RS virus vaccine. Am. J. Epidemiol. 89, 405-421 (1969))。
【0022】
樹状細胞(DC)は、適応免疫応答の発達及び極性化を導く主な抗原提示細胞(APC)である(Banchereau,J. & Steinman,R.M. Dendritic cells and the control of immunity. Nature 392, 245-252 (1998))。これらの細胞は、ウイルス免疫回避機構の主要な標的でもある(Palucka,K. & Banchereau,J. How dendritic cells and microbes interact to elicit or subvert protective immune responses. Curr. Opin. Immunol. 14, 420-431 (2002)、Tortorella,D., Gewurz,B.E., Furman,M.H., Schust,D.J. & Ploegh,H.L. Viral subversion of the immune system. Annu. Rev. Immunol. 18, 861-926 (2000))。DCは、T細胞アネルギーと制御性T細胞の生成との両方を誘導することにより、一次免疫応答を誘導し、免疫寛容を制御する独特の能力を有する(Steinman,R.M., Hawiger,D. & Nussenzweig,M.C. Tolerogenic dendritic cells. Annu. Rev. Immunol. 21, 685-711 (2003))。最初は、未熟DCのみの範囲と理論づけられていたが(Roncarolo,M.G., Levings,M.K. & Traversari,C. Differentiation of T regulatory cells by immature dendritic cells. J. Exp. Med. 193, F5-F9 (2001))、最近の研究は、部分的成熟DC又は完全成熟DCでさえインビボでの免疫寛容の誘導において中心的な役割を有し得ることを示す(Steinman,R.M. The control of immunity and tolerance by dendritic cell. Pathol Biol (Paris) 51, 59-60 (2003)、Bergwelt-Baildon,M.S. et al. CD25 and indoleamine 2,3-dioxygenase are up-regulated by prostaglandin E2 and expressed by tumor-associated dendritic cells in vivo: additional mechanisms of T-cell inhibition. Blood 108, 228-237 (2006)、Min,S.Y. et al. Antigen-induced, tolerogenic CD11c+,CD11b+ dendritic cells are abundant in Peyer's patches during the induction of oral tolerance to type II collagen and suppress experimental collagen-induced arthritis. Arthritis Rheum. 54, 887-898 (2006)、Fujita,S. et al. Regulatory dendritic cells act as regulators of acute lethal systemic inflammatory response. Blood 107, 3656-3664 (2006)、Moser,M. Dendritic cells in immunity and tolerance-do they display opposite functions? Immunity 19, 5-8 (2003)、Probst,H.C., McCoy,K., Okazaki,T., Honjo,T. & Van Den,B.M. Resting dendritic cells induce peripheral CD8+ T cell tolerance through PD-1 and CTLA-4. Nat. Immunol. 6, 280-286 (2005))。RSVに対する保護免疫応答を開始するための正常な個体の限られた能力に導かれて、我々は、急性ウイルス感染の間のAPCの状態を調査し、RSV感染に対するDCの応答を分析した(Zambon,M.C., Stockton,J.D., Clewley,J.P. & Fleming,D.M. Contribution of influenza and respiratory syncytial virus to community cases of influenza-like illness: an observational study. Lancet 358, 1410-1416 (2001)、Hall,C.B., Long,C.E. & Schnabel,K.C. Respiratory syncytial virus infections in previously healthy working adults. Clin. Infect. Dis. 33, 792-796 (2001))。
【0023】
混合白血球反応。PBMCを、急性RSV感染小児科患者及び健常成人提供者から、密度遠心分離により単離した。健常「レスポンダー」からのPBMCをCFSEで標識し、1mlあたり500kの濃度にて6日間、RSV患者又は健常提供者のいずれかからの「刺激物質」である照射PBMCの多様な濃度とともに培養した。レスポンダーPBMC培養物におけるCD4+T細胞増殖を刺激する、RSV患者からのPBMC対非感染提供者からのPBMCの能力を、以下の刺激物質:レスポンダーPBMCの比率にて測定した:0:500k、125:500k、250:500k、及び500:500k。健常レスポンダーPBMC内でのCD4+T細胞の増殖を、RSV感染個体又は健常個体からの照射PBMCとの共培養の6日後に、フローサイトメトリーにより(CFSE色素希釈として)評価した。
【0024】
気道mDC。鼻洗浄液試料を、急性RSV又はインフルエンザ感染で入院した子供からの鼻咽頭吸引により得た。これらの試料からの細胞を、LINEAGE−FITC(抗CD3、CD14、CD16、CD19、CD20及びCD56を含むFITCコンジュゲート抗体のカクテル)、CD123−PE、HLA−DR−PerCP及びCD11c−APC(BD Biosciences社製、San Jose、CA)で標識した。mDCを、次いで、FACS ARIAでの直接選別により、LINEAGE−ネガティブ、HLA−DR+、CD11c+細胞として単離した。
【0025】
血液mDC。白血球濃縮血液試料を、地域の血液バンクから得た。PBMCを、Ficoll勾配(密度遠心分離)を用いて得た。次いで、PBMCを、抗CD3、抗CD14、抗CD16、抗CD19及び抗CD56とコンジュゲートした磁気マイクロビーズとインキュベートし、次いで、磁気カラムを通過させた。ネガティブ画分を回収し、LINEAGE−FITC、CD123−PE、HLA−DR−PerCP及びCD11c−APCについて染色した。染色された細胞を、次いで、FACS ARIA細胞ソーターにて選別した。mDCは、LINEAGEneg、HLA−DR+、CD11c+細胞と定義した。単離mDCの純度は、平均で97%であった。
【0026】
フローサイトメトリー分析のための細胞染色。PBMC又は精製mDCを、5マイクロリットルの蛍光色素コンジュゲート抗ヒト抗体と4℃にて30分間インキュベートし、PBSですすぎ、1200rpmにて5分間遠心分離し、1%パラホルムアルデヒドに再懸濁した。試料を、次いで、FACSCalibur又はFACS ARIAにて獲得し、Cellquestソフトウェア(BD Biosciences社製、San Jose、CA)又はFloJoソフトウェア(Tree Star Inc.社製、Ashland、OR)のいずれかを用いて分析した。以下の蛍光色素コンジュゲート抗ヒト抗体を用いた:CD83−FITC、HLA−DR−Per−CP、CD86−Alexa−405、CD80−FITC及びCD40−PE(精製mDC研究のため)並びにCD8PE、CD3−PerCP及びCD4−APC(PBMC研究のため)。
【0027】
CFSE染色。細胞を、0.5mlあたり1〜5百万細胞の濃度にて、1.25マイクロモルのカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE,CarboxyFluoroscein Succinimidyl Ester)中で10分間インキュベートし、1200rpmにて5分間遠心分離し、1mlのRPMI1640/10%ヒトAB血清の溶液中で4℃にて洗浄した。遠心分離及び洗浄のステップを2回繰り返し、その後、細胞を1640RPMI/10%ヒトAB血清に再懸濁した。細胞増殖を、染色されたCD4+T細胞上でCFSEの色素希釈を監視することにより評価した。いくつかの研究において、CFSEを用いて、1又は2回分裂したT細胞集団を同定した。これらの集団は、その後選別され、本文中に記載されるT細胞増殖アッセイにおいて用いた。
【0028】
ウイルス複製の定量。RSV複製を、組織培養感染量(TCID50)の計算により評価した。TCID50は、接種された感受性Hela細胞培養物の50%が感染する、アッセイ試料の希釈と定義される。簡潔に、TCID50の値:−m=log10最初の希釈−[p−0.5]×d。この等式では、mは、log10 TCID50(同型培養あたりに接種された単位用量あたり)、dは、log10希釈係数、pは、ウイルス感染について陽性のウェルの割合と定義される。
【0029】
mDCのインビトロでのウイルス曝露。精製血液mDCを、18〜24時間、200マイクロリットルあたり25,000のmDCの濃度にて、96ウェルプレート中で、1の感染多重度(MOI,multiplicity of infection)にてインフルエンザAウイルス(Charles Rivers Laboratories社、Wilmington、MAからのA/PR/8/34H1N1)又はRSV A2(HeLA細胞上で生成させ、スクロース勾配により精製)とともに培養した。
【0030】
寛容原性DCの調製。PBMCを、ヒト末梢血からFicoll-Hypaque遠心分離により精製した。単球を、接着により精製し、GM−CSFとIL−4(DC GM+IL−4)又はGM−CSFとIL−10(100ng/ml、R&D社製)(DC GM+IL−10)又はGM−CSFとビタミンD3(100nM、Calbiochem社製))(DC GM+VitD3)の存在下で6日後にmoDCに分化させた。第6日に、DCを洗浄し、GM−CSF若しくはGM−CSFとデキサメタゾン(10nM、Sigma-Aldrich社製)、又はGM−CSFとビタミンD3の存在下で2日間再培養した。DCを2回洗浄し、2500のDCを10の同種Tリンパ球と、U底96ウェルにおいて、5%AB培地中で5日間培養した(3重)。1uCiの[H]−チミジンを、培養の最後の18時間加えた。プレートをTomtec Harvester 96上で採集し、増殖をWallac microbeta trilux-uシンチレーションカウンタ(PerkinElmer社製、Wellesly、MA、USA)で検出した。
【0031】
RSV感染患者からのAPCは、同種T細胞を活性化しない。抗原提示能力の指標として、RSVに急性感染した患者からの末梢血単核細胞(PBMC,peripheral blood mononuclear cell)を、同種CD4+T細胞の増殖を促進するそれらの能力について(混合白血球反応(MLR,mixed leukocyte reaction))、CFSE色素の希釈を評価することにより試験した。図1aに示すように、急性RSV感染に罹患した患者からのPBMC(赤色の線)は、2名の健常個体からのCD4+T細胞の増殖を促進できなかった。これらのCD4+T細胞は、健常個体からのPBMCに曝露された場合に増殖できる(緑色及び青色の線)。RSV複製は、上気道にて主に生じるので、我々は、急性感染RSV患者の鼻粘膜からDCを単離した。精製DCは、同種CD4+T細胞増殖を促進できなかった(図1bの中央のパネル)(Gill,M.A. et al. Mobilization of plasmacytoid and myeloid dendritic cells to mucosal sites in children with respiratory syncytial virus and other viral respiratory infections. J. Infect. Dis. 191, 1105-1115 (2005))。これとは対照的に、インフルエンザ患者の粘膜から単離されたmDC(CD11c+HLA−DRhigh)は、同種T細胞の強力な刺激物質であった(図1b、左のパネル)。このことは、RSVに感染した6名の患者及びインフルエンザに感染した3名の患者から単離された細胞を用いて観察された(p<0.05)(図1bの右のパネル)。これらの患者のうちの1人から、RSV感染の消散の1ヶ月後に単離したmDCは、アロ反応性を誘導でき、このことは、APC機能についてのRSVの遮断効果が一過性であることを示唆する(データは示さず)。よって、急性RSV感染に罹患した患者からのDCを含む抗原提示細胞は、同種抗原を有効に提示しない。
【0032】
RSVに曝露した血液mDCは、アロ反応を誘導できない。RSVがDCの抗原提示能力を変化させる機構を理解するために、一連のインビトロ研究を行った。細胞選別により末梢血から単離されたヒトmDC(CD11c(+)HLA−DR(+)LIN)を、18時間、インフルエンザ(インフルエンザ)又は呼吸器多核体ウイルス(RSV)のいずれかに曝露した。RSV曝露DC(RSV−DC)は、CSFE標識同種CD4+T細胞の増殖を促進できなかったが、インフルエンザ曝露DCは、曝露していないDCよりも効果があった(図2A)。増殖の欠如は、RSVにより誘導されるT細胞死が原因ではなかった。なぜなら、ウイルス曝露CD4+T細胞は、抗CD3/28に応答して増殖したからである(図2D)。mDC曝露の前のUV照射は、同種T細胞刺激の遮断の点でウイルスを失活させ、このことは、ウイルス複製又は非構造タンパク質合成が必要であることを示唆する(図2B)。感染性粒子産生の分析は、RSVが初代ヒトDCにおいて複製しないことを示した(図2E)。RSVによる前記阻害効果は、細胞死が原因ではなかった。なぜなら、初代mDCの生存能は、曝露細胞及び未処理細胞の間で等しかったからである(図2F)。インビトロで作製されたGM−CSF/IL−4単球由来DCに対するRSVの効果について矛盾する報告が存在する(Jones,A., Morton,I., Hobson,L., Evans,G.S. & Everard,M.L. Differentiation and immune function of human dendritic cells following infection by respiratory syncytial virus. Clin. Exp. Immunol. 143, 513-522 (2006)、de Graaff,P.M. et al. Respiratory syncytial virus infection of monocyte-derived dendritic cells decreases their capacity to activate CD4 T cells. J. Immunol. 175, 5904-5911 (2005))。初代ヒトmDCとは異なって、RSVに曝露された単球由来DCの大部分が24時間以内に死滅する(図2F)。
【0033】
制御機能を有するDCを、GMCSF及びIL−4の存在下での単球前駆体からのその分化の間に薬理学的操作によりインビトロで作製できると他の者が報告している。RSV曝露DCと単球由来DCとの制御活性を比較するために、我々は、GM−CSFと、デキサメタゾン(Woltman,A.M. et al. The effect of calcineurin inhibitors and corticosteroids on the differentiation of human dendritic cells. Eur. J. Immunol. 30, 1807-1812 (2000)、Xia,C.Q., Peng,R., Beato,F. & Clare-Salzler,M.J. Dexamethasone induces IL-10-producing monocyte-derived dendritic cells with durable immaturity. Scand. J. Immunol. 62, 45-54 (2005))、IL−10(Steinbrink,K., Graulich,E., Kubsch,S., Knop,J. & Enk,A.H. CD4(+) and CD8(+) anergic T cells induced by interleukin-10-treated human dendritic cells display antigen-specific suppressor activity. Blood 99, 2468-2476 (2002))、1アルファ,25−ジヒドロキシビタミン−D(3)(VitD3)(Pedersen,A.E., Gad,M., Walter,M.R. & Claesson,M.H. Induction of regulatory dendritic cells by dexamethasone and 1alpha,25-Dihydroxyvitamin D(3). Immunol. Lett. 91, 63-69 (2004))又はそれらの組合せのいずれかとの存在下で後者を作製し、それらを用いて同種CD4+T細胞を刺激した。これらの細胞調製物のそれぞれは、CD14high及びDC−SIGN陽性であったGM−CSF IL−10培養DCを除いて、CD11c、MHCクラスII及びマンノース受容体(CD206)並びに低レベルのCD14を含むDC分化の表現型マーカーを示した(データは示さず)。これらの薬理学的に操作したDCは、GM−CSF及びIL−4を用いて生成させたDCと比較した場合に、MLRの誘導について効果がより低かった。しかし、全ての場合において、これらのDCは、RSV−DCと比較した場合に、著しくより高いMLRを誘導した(図2C)。
【0034】
RSV DCは、MLRに対する効力のあるサプレッサーである。RSV DCが同種T細胞を刺激できないことに導かれて、我々は、RSV曝露mDCが、曝露されていないmDCがT細胞アロ増殖を促進することを阻害するのではないかと考えた。提供者AからのRSV又はインフルエンザのいずれかに曝露した漸増数のmDCを、よって、1,250の曝露していないmDC提供者Aと提供者Bからの100,000の標識CD4+T細胞とからなるMLRに加えた。図3Aのパネル1及び2に示すように(青色の線)、25〜50程の少ないRSV曝露mDCが、曝露していないmDCにより誘導されるアロ反応を、85%を超えて阻害したが(パネル3、n=5 p<0.05)、インフルエンザ曝露DCは効果を示さなかった(図3aパネル1、赤色の線)。興味深いことに、RSV感染DCは、関連しない提供者からのDCとT細胞との間のMLRを遮断できた(データは示さず)。この阻害は、ウイルス曝露mDCに依存し、培養系におけるRSVの持ち越しが原因ではなかった。なぜなら、遮断抗体をRSV融合タンパク質(F)に加えても、RSV−DCの阻害能力を妨げることができなかったからである(図3E)。RSV−DCにより誘導されるこのMLRの阻害は、細胞間の直接の接触を必要とした。なぜなら、0.3umのトランスウェルの上部のチャンバに加えたRSV−DCは、下部のウェルのアロ増殖応答を阻害しなかったからである(図3B、青色の線対緑色の線)。さらに、RSV−DCは、パラホルムアルデヒド固定の後にそれらの抑制能力を維持した(図3C)。薬理学的に創製した寛容原性DCのうち、VitD3及びVitD3デキサメタゾン分化DCのみが、トランスにアロ反応を阻害できたが、それらの阻害能力は、RSV−DCのものよりはるかに小さかった(図3D)。よって、RSV DCが、アロ反応性応答の抑制により測定して、最も効力のある寛容原性DCである。
【0035】
RSV DCは、独特の表現型を示す。初期の研究は、低レベルの共刺激分子CD80及びCD86を発現する寛容原性DCについて記載した(Roncarolo,M.G., Levings,M.K. & Traversari,C. Differentiation of T regulatory cells by immature dendritic cells. J. Exp. Med. 193, F5-F9 (2001)、Woltman,A.M. et al. The effect of calcineurin inhibitors and corticosteroids on the differentiation of human dendritic cells. Eur. J. Immunol. 30, 1807-1812 (2000)、Xia,C.Q., Peng,R., Beato,F. & Clare-Salzler,M.J. Dexamethasone induces IL-10-producing monocyte-derived dendritic cells with durable immaturity. Scand. J. Immunol. 62, 45-54 (2005)、Pedersen,A.E., Gad,M., Walter,M.R. & Claesson,M.H. Induction of regulatory dendritic cells by dexamethasone and 1alpha,25-Dihydroxyvitamin D(3). Immunol. Lett. 91, 63-69 (2004))。これとは対照的に、RSV−DCは、高レベルのCD80及びCD86を発現した(図4A)。CD40のレベルは、RSV−DC上でインフルエンザ−DCよりも一貫してより高かったが、CD83のレベルはインフルエンザ−DC上でより高かった(図4A)。これらの結果は、RSV曝露の後に観察されたmDC機能の選択的阻害が、共刺激を提供するそれらの能力の遮断を原因とするのでないことを示す。DCに対するウイルス曝露の影響をさらに理解するために、我々は、RSV又はインフルエンザのいずれかに16時間曝露したmDCのRNA転写プロファイルを分析した(図4B)。RSV特異的遺伝子発現プロファイリングの著しい特徴は、阻害機能に伴う分子の上方制御であった。これらの分子は、2つの主要なクラス、ITIM含有阻害受容体及び下流変換分子に分けられる。阻害クラスI免疫受容体ILT4、ILT5及びILT6は、DCにおける寛容原性機能と関連付けられてきた(Chang,C.C. et al. Tolerization of dendritic cells by T(S) cells: the crucial role of inhibitory receptors ILT3 and ILT4. Nat. Immunol. 3, 237-243 (2002)、Manavalan,J.S. et al. High expression of ILT3 and ILT4 is a general feature of tolerogenic dendritic cells. Transpl. Immunol. 11, 245-258 (2003))。ITIM含有受容体であるLAIR1及びLAIR2は、DC分化を阻害する(Poggi,A., Tomasello,E., Ferrero,E., Zocchi,M.R. & Moretta,L. p40/LAIR-1 regulates the differentiation of peripheral blood precursors to dendritic cells induced by granulocyte-monocyte colony-stimulating factor. Eur. J. Immunol. 28, 2086-2091 (1998))。ITIM含有受容体SLAMF1は、寛容原性DC及びIL−10処理単球において上方制御される(Velten,F.W., Duperrier,K., Bohlender,J., Metharom,P. & Goerdt,S. A gene signature of inhibitory MHC receptors identifies a BDCA3(+) subset of IL-10-induced dendritic cells with reduced allostimulatory capacity in vitro. Eur. J. Immunol. 34, 2800-2811 (2004)、Jung,M. et al. Expression profiling of IL-10-regulated genes in human monocytes and peripheral blood mononuclear cells from psoriatic patients during IL-10 therapy. Eur. J. Immunol. 34, 481-493 (2004))。サイトカインシグナル伝達のサプレッサーとしてのSOCS2は、DC炎症性サイトカイン産生の負の制御因子である(Machado,F.S. et al. Anti-inflammatory actions of lipoxin A4 and aspirin-triggered lipoxin are SOCS-2 dependent. Nat. Med. 12, 330-334 (2006))。STAT3は、IL−10受容体シグナル伝達のメディエーターであり、その活性化は、多くのその免疫抑制特性のために必要である(Kortylewski,M. et al. Inhibiting Stat3 signaling in the hematopoietic system elicits multicomponent antitumor immunity. Nat. Med. 11, 1314-1321 (2005))。同様に、タンパク質チロシンホスファターゼPTPN2は、炎症性シグナル伝達の重要な負の制御因子である(van Vliet,C. et al. Selective regulation of tumor necrosis factor-induced Erk signaling by Src family kinases and the T cell protein tyrosine phosphatase. Nat. Immunol. 6, 253-260 (2005))。いくつかのITIM含有阻害受容体及びリガンドの発現は、その後、RSV曝露の24時間後にmDCの表面上で確認された(図4C)。RSV−DCは、表面PD−L1の著しく増加した発現を示した。PD−L1のT細胞認識は、IL−2産生を阻害し、自己抗原に対するCD4+T細胞寛容を媒介する(Keir,M.E. et al. Tissue expression of PD-L1 mediates peripheral T cell tolerance. J. Exp. Med. 203, 883-895 (2006)、Sharpe,A.H., Wherry,E.J., Ahmed,R. & Freeman,G.J. The function of programmed cell death 1 and its ligands in regulating autoimmunity and infection. Nat. Immunol. 8, 239-245 (2007))。さらに、樹状細胞上へのPD−L1の結合は、DC IL−10産生を直接誘導することが示されている(Kuipers,H. et al. Contribution of the PD-1 ligands/PD-1 signaling pathway to dendritic cell-mediated CD4+ T cell activation. Eur. J. Immunol. 36, 2472-2482 (2006)、Van Keulen,V.P. et al. Immunomodulation using the recombinant monoclonal human B7-DC cross-linking antibody rHIgM12. Clin. Exp. Immunol. 143, 314-321 (2006))。興味深いことに、RSV曝露は、ILT−4及びその高親和性リガンドHLA−Gの両方の発現を誘導した。これらの分子のそれぞれは、IL−10誘導性であり、寛容原性樹状細胞機能と関連する(Chang,C.C. et al. Tolerization of dendritic cells by T(S) cells: the crucial role of inhibitory receptors ILT3 and ILT4. Nat. Immunol. 3, 237-243 (2002)、Manavalan,J.S. et al. High expression of ILT3 and ILT4 is a general feature of tolerogenic dendritic cells. Transpl. Immunol. 11, 245-258 (2003)、Moreau,P. et al. IL-10 selectively induces HLA-G expression in human trophoblasts and monocytes. Int. Immunol. 11, 803-811 (1999)、Spencer,J.V. et al. Potent immunosuppressive activities of cytomegalovirus-encoded interleukin-10. J. Virol. 76, 1285-1292 (2002))。
【0036】
自己分泌IL−10は、寛容原性変換に必要である。GMCSF/IL−4単球由来DCをRSVにインビトロで曝露することは、IFN−アルファ、IFN−ラムダ及びIL−29を含むいくつかの潜在的に抑制性の因子を誘導すると報告されている(Chi,B. et al. Alpha and lambda interferon together mediate suppression of CD4 T cells induced by respiratory syncytial virus. J. Virol. 80, 5032-5040 (2006))。しかし、これらの因子は、RSV曝露に応答して初代ヒトmDCにおいて発現されなかった(図4D)。むしろ、インフルエンザは、IFN−アルファ、IFN−ラムダ及びIL−29の効力のある誘導因子であり、インフルエンザ曝露DCは、強力なアロ刺激能力を維持した(図4D)。さらに、これらの因子をアロ増殖アッセイに加えても、CD4+T細胞増殖を抑制できなかった(図4E)。IL−10転写(図4B)及び分泌(図5A)を誘導するインフルエンザでなくRSVの能力に導かれて、我々は、これがmDCの寛容原性変換に関与するかを調査した。IL−10受容体シグナル伝達を(IL−10及びIL−10受容体に対する抗体を用いて)アロ増殖アッセイの間に遮断すると、同種CD4+T細胞が増殖をできなかった(図5Bパネル4)。しかし、IL−10受容体シグナル伝達をウイルス曝露の間に遮断すると、RSV曝露mDCのアロ刺激能力を部分的に回復できる(図5Bパネル2)。これらの結果は、mDCのRSV媒介成熟の間の自己分泌IL−10産生が、寛容原性変換において重要な役割を有することを示す。さらに、これらの結果は、mDCがウイルスに一旦曝露されると、IL−10は、RSV−DCアロ阻害効果のためになくてもよいことを示す。
【0037】
RSV曝露DCは制御性T細胞(Treg)を誘導する。曝露されていないmDCにより引き起こされる同種CD4+T細胞増殖を阻害する少数のRSV曝露mDCの能力に導かれて、我々は、これらが制御性T細胞の分化を誘導するのではないかと考えた。CFSE標識同種CD4+T細胞を、よって、曝露していないか、インフルエンザ又はRSVに曝露したmDCのいずれかとともに培養した。制御性T細胞は、限られた増殖能力を有すると報告されているので、1又は2回しか分裂していない同種CD4+T細胞集団を、DC共培養の5日後に細胞選別により単離した(Malek,T.R. & Bayer,A.L. Tolerance, not immunity, crucially depends on IL-2. Nat. Rev. Immunol. 4, 665-674 (2004)、Lohr,J., Knoechel,B. & Abbas,A.K. Regulatory T cells in the periphery. Immunol. Rev. 212, 149-162 (2006))。次に、曝露していないか、インフルエンザ又はRSVに曝露したmDC共培養物から選別した1,500のCD4+T細胞を、よって、1,250の曝露していないmDCと500,000の標識CD4+T細胞とからなるMLRに加えた。図6に示すように、RSV曝露mDCに由来するT細胞は、それら自体で、曝露していないmDCにより誘導されるアロ反応を阻害できた。これとは対照的に、曝露していないか又はインフルエンザに曝露したDCに由来するT細胞は、阻害効果を示さなかった(図6)。つまり、RSV曝露DCは、制御性T細胞の効力のある誘導因子である。
【0038】
DCとのRSVの相互作用についてのこれらの研究により、ヒトにおけるRSVに対する適応免疫応答がなぜ効果がなく、個体の一生の間になぜ反復感染が生じるのかを説明し得る2つの主な結論が得られる。第1に、RSV感染は、自然感染の間にAPC機能を遮断する。急性RSV感染は、血液APCの同種抗原提示能力の著しい欠陥をもたらす。感染の部位から単離されたmDCは、同様に、アロ増殖応答を開始できない。我々のインビトロ研究は、患者において観察される免疫抑制が、DCに対するRSVの直接の影響の結果であり得ることを証明する。
【0039】
これらの研究から導かれる第2の主な結論は、RSVが、強力な寛容原性機能を生じるようにDCを誘導することである。実際に、著しく少ないRSV−DCがアロ増殖応答をトランスに阻害できる。我々の手のうちでは、この抑制機能は、以前に記載された薬理学的に創製された寛容原性樹状細胞よりも効力がある。制御性T細胞を誘導するRSV曝露mDCの能力は、この阻害シグナルを伝達することにおけるこれらの細胞の役割を示す。実際に、RSV−DC自体を用いる場合と同様に、RSV−DCに曝露された非常に少ない(1500)T細胞が、100,000のT細胞を用いて行われるアロ反応を阻害できる。
【0040】
広く多様な阻害受容体及びリガンドがRSVにより上方制御されるが、寛容原性DC抑制の機構は明確にされないままである。細胞間の接触の必要性と、固定細胞の阻害能力は、この抑制におけるIL−10又はIFN−ラムダのような可溶性阻害因子の直接の役割を排除する。寛容原性DCのRSVにより媒介される誘導は、RSV特異的免疫が効果的に生じないことを説明し得る。RSVは、自己分泌IL−10を必要とする機構によりDC成熟をゆがめることにより、寛容原性DCを誘導する。これらのDCは、次いで、制御性CD4+T細胞の分化を駆動できる。免疫破壊のこの効果的な機構は、RSVワクチン設計に対してだけでなく、自己免疫疾患及び臓器移植のような過免疫疾患の治療においても密接な関係を有する。
【0041】
本明細書で論じられるいずれの実施形態も、本発明のいずれの方法、キット、試薬又は組成物に関しても実行でき、またその逆も同じであると考えられる。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために用いることができる。
【0042】
本明細書に記載される具体的な実施形態は、例示のために示され、本発明の限定として示されるのでないことが理解される。本発明の主な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の実施形態において用いることができる。当業者は、日常的なものを超える実験を行うことなく、本明細書に記載される特定の手順の多数の等価物を認識するか、又は確認できる。このような等価物は、本発明の範囲内と考えられ、特許請求の範囲によりカバーされる。
【0043】
本明細書で言及する全ての出版物及び特許出願は、本発明が関する当かかる技術における当業者のレベルを示す。全ての出版物及び特許出願は、それぞれ個別の出版物又は特許出願が、参照により組み込まれると具体的にかつ個別に記載されているのと同程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
特許請求の範囲及び/又は明細書において用語「含む」とともに用いる場合の単数表記の使用は、「1つ(one)」を意味し得るが、「1又は複数」、「少なくとも1つ」及び「1及び1より多い」の意味とも一致する。特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、それが選択肢のみ及び「及び/又は」に言及するという定義を開示が支持しても、選択肢のみに言及すると明記するか、又は選択肢が互いに排他的である場合を除いて、「及び/又は」を意味するために用いられる。本出願をとおして、用語「約」は、値が、値を決定するために用いた装置、方法についての固有の誤差の変動、又は研究対象のうちに存在する変動を含むことを示すために用いられる。
【0045】
本明細書及び特許請求の範囲において用いる場合、語句「含んでいる(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」のような含んでいる(comprising)の任意の形)、「有している(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」のような有している(having)の任意の形)、「含んでいる(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」のような含んでいる(including)の任意の形)、又は「含有している(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」のような含有している(containing)の任意の形)は、包括的又は拡張可能であり、追加の明記されていない要素又は方法ステップを排除しない。
【0046】
本明細書で用いる場合、用語「又はそれらの組合せ」とは、この用語に先行する列挙された項目の全ての順列及び組合せに言及する。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの少なくとも1つを含むことを意図し、もし特定の文脈において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABも含むことを意図する。この例の続きとして、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどのような1若しくは複数の項目又は用語の反復を含む組合せも明確に含まれる。当業者は、文脈から明らかでない限り、典型的には、任意の組合せの項目又は用語の数に制限がないことを理解する。
【0047】
本明細書に開示され、請求される組成物及び/又は方法の全ては、本発明の開示に照らして、過度の実験を行うことなく作製して実行できる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態の点で記載されているが、組成物及び/又は方法並びに本明細書に記載される方法のステップ又はステップの順序を、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱することなく、変動し得ることが当業者に明らかである。当業者にとって明らかな全てのこのような類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の精神、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0048】
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42. Lohr,J., Knoechel,B. & Abbas,A.K. Regulatory T cells in the periphery. Immunol. Rev. 212, 149-162 (2006)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原提示細胞を用いて免疫寛容を誘導するための方法であって、
単離された抗原提示細胞に、該抗原提示細胞を感染させるのに十分な有効量の呼吸器多核体ウイルス(RSV)又はその一部分を感染させるステップと、
CD4、CD8又はCD4T細胞とCD8T細胞との両方を、RSV感染抗原提示細胞と接触させるステップであって、混合白血球反応により、前記CD4、CD8又はCD4とCD8+との両方のT細胞が寛容原性となっていることがインビトロで測定されるステップと
を含む方法。
【請求項2】
RSV感染抗原提示細胞が、末梢血単核細胞、未熟樹状細胞、成熟樹状細胞又はランゲルハンス細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RSV感染抗原提示細胞が、1:1〜1:100の寛容原性抗原提示細胞対T細胞の比率にて寛容原性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
RSV感染細胞が、T細胞との接触前に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
RSV感染抗原提示細胞が、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
RSV感染抗原提示細胞が、インフルエンザ感染抗原提示細胞と比較した場合に、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
RSV感染抗原提示細胞が、制御性T細胞の増殖を誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
RSV感染抗原提示細胞が、IL−10を分泌し、未処理の抗原提示細胞よりも、SIGLEC−1、PDL−1、ILT−4、HLA−G、SLAM及びLAIRの発現が増加している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
RSV感染抗原提示細胞が、未処理の抗原提示細胞と比較した場合に、IL−10、LAIR2、SOCS2、PTPN2、ILT−6、AQP9、PTX3及びSLAMF1の遺伝子発現が増加している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
寛容化樹状細胞を作製するための方法であって、
樹状細胞に、有効量の呼吸器多核体ウイルスを感染させてIL−10依存性寛容原性免疫機能を生じさせるステップであって、呼吸器多核体ウイルスが、同種CD4+T細胞を寛容化し、サプレッサーT細胞増殖を引き起こし、IL−10を分泌し、かつ阻害分子PDL−1、ILT−4及びHLA−Gを発現する前記樹状細胞の能力を増加させ、感染した樹状細胞が、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowであるステップ
を含む方法。
【請求項11】
同種CD4T細胞を活性化する樹状細胞の能力の阻害が、樹状細胞同士の細胞間接触を必要とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象における樹状細胞の抗ウイルス免疫を抑制するための方法であって、
単離された樹状細胞に有効量の呼吸器多核体ウイルスを感染させてIL−10依存性寛容原性免疫機能を生じさせるステップであって、呼吸器多核体ウイルスが、患者に再導入されたときに、同種CD4+T細胞を活性化し、ナイーブT細胞制御応答を誘導し、IL−10を分泌し、かつ阻害分子PDL−1、IKT−4及びHLA−Gを発現する前記樹状細胞の能力を阻害するステップ
を含む方法。
【請求項13】
同種CD4+T細胞を活性化する樹状細胞の能力の阻害が、樹状細胞同士の細胞間接触を必要とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである単離された樹状細胞を含む寛容原性樹状細胞。
【請求項15】
末梢血単核細胞に、CD4、CD8又はCD4T細胞とCD8T細胞との両方を寛容原性にするのに十分な有効量の呼吸器多核体ウイルス又はその一部分を感染させ、混合白血球反応により、前記寛容原性がインビトロで測定される方法により作製される寛容原性樹状細胞であって、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowである樹状細胞。
【請求項16】
T細胞を、CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowの少なくとも1つの表面発現を引き起こすのに十分な量のRSV又はその一部分に感染した樹状細胞と接触させることにより、寛容原性T細胞媒介免疫応答を促進する方法。
【請求項17】
アネルギーTヘルパー細胞を誘導する方法であって、
単離された抗原提示細胞(APC)を、該抗原提示細胞を感染させ、以下の細胞表面マーカーCD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowの少なくとも1つの表面発現を引き起こすのに十分な量のRSVとインキュベートするステップと、
RSV感染抗原提示細胞を、T細胞を寛容化する条件下でT細胞と接触させるステップであって、前記寛容化が、混合リンパ球反応においてインビトロで測定されるステップと
を含む方法。
【請求項18】
単離された寛容原性樹状細胞を作製する方法であって、
単離された樹状細胞を、該樹状細胞を感染させるのに十分な量の呼吸器多核体ウイルスと、以下の細胞表面CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowの細胞表面発現を引き起こす条件下でインキュベートするステップ
を含む方法。
【請求項19】
RSVに予め感染し、以下の細胞表面CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを有する単離された寛容原性樹状細胞を含む、哺乳動物宿主において寛容原性を増進させるためのキット。
【請求項20】
寛容原性抗原提示細胞(APC)を創製する方法であって、
APCに、樹状細胞を感染させるのに十分な量の呼吸器多核体ウイルスを感染させるステップと、
以下の細胞表面マーカー発現CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを引き起こし、それにより寛容原性抗原提示細胞(APC)を創製するステップと
を含む方法。
【請求項21】
哺乳動物対象における自己免疫疾患を治療するための方法であって、哺乳動物対象に、寛容原性抗原提示細胞(APC)を投与するステップを含み、前記寛容原性樹状細胞が、RSVに予め感染し、以下の細胞表面CD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを有し、前記細胞が、自己免疫疾患を低減させるか若しくは消失させるか、又はその発生若しくは再発を予防するのに有効な量で投与される方法。
【請求項22】
自己免疫疾患が、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、自己免疫性脳脊髄炎、関節リウマチ、自己免疫性関節炎、重症筋無力症、甲状腺炎、網膜ブドウ膜炎、橋本病、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、早発閉経、男性不妊症、若年性糖尿病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、乾癬交感性眼炎、水晶体原性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎、特発性肝硬変、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、多発性筋炎/皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス又は全身性エリテマトーデスである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抗原に対する免疫応答を調節するための方法であって、そのような処置を必要とする患者に、単離された寛容化抗原提示細胞を、免疫応答を調節するのに十分な時間及び条件下で投与するステップを含み、抗原特異的抗原提示細胞が、前記抗原提示細胞を、該抗原提示細胞がT細胞に対して寛容化するのに十分な時間及び条件下でRSVと接触させることにより作製され、寛容化抗原提示細胞が、以下の細胞表面マーカーCD80high、CD86high、CD40high及びCD83lowを発現することを特徴とし、前記寛容化抗原提示細胞が、1:5〜1:100の寛容化抗原提示細胞対T細胞の比率にて寛容原性である方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2011−522837(P2011−522837A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512714(P2011−512714)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/046482
【国際公開番号】WO2009/149397
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】