説明

呼吸器疾患を治療するためのベンゾチオフェンおよびチオクロメン含有フェネタノールアミン誘導体

選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状、例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療に有用な、式(I)で表される化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェネタノールアミン誘導体、その製造方法、それを含む組成物、ならびに医学、特に呼吸器疾患の予防および治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のフェネタノールアミン化合物が、β2-アドレナリン受容体での選択的刺激作用を有し、従って気管支喘息および関連障害の治療における有用性を有するものとして当業界で公知である。かくして、GB 2 140 800は、現在、そのような医学的症状の治療において臨床的に用いられている4-ヒドロキシ-α1-[[[6-(4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ]メチル]-1,3-ベンゼンジメタノール1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート(サルメテロールキシナフォエート)などのフェネタノールアミン化合物を記載している。
【0003】
サルメテロールおよび他の市販のβ2-アドレナリン受容体アゴニストは有効な気管支拡張剤であるが、作用期間は約12時間であり、従って1日2回の投与がしばしば必要となる。従って、β2-アドレナリン受容体に対して強力かつ選択的な刺激作用を有し、有利な作用プロフィールを有する化合物の臨床的な必要性が存在する。
【発明の開示】
【0004】
本発明に従えば、式(I):
【化1】

【0005】
(式中、
mは2〜8の整数であり;
nは3〜11、好ましくは3〜7の整数であり;
但し、m+nは5〜19、好ましくは5〜12であり;
xは0であり、かつyは2または3の整数であるか、あるいは、
yは0であり、かつxは2または3の整数であり;
zは0であるか、または1もしくは2の整数であり;
RaおよびRbは水素およびC1-4アルキルから独立に選択され;
R1およびR2は水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニル、およびC1-6ハロアルキルから独立に選択され;
R3およびR4は水素およびC1-4アルキルから独立に選択されるが、但し、R3およびR4中の炭素原子の総数は4以下であり;
Arは、以下:
【化2】

【0006】
(式中、
R6は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR9、-NR9C(O)R10、-NR9SO2R10、-SO2NR9R10、-NR9R10、-OC(O)R11または-OC(O)NR9R10であり、かつR5は水素、ハロゲンまたはC1-4アルキルを表すか;

あるいは、R6は-NHR12を表し、かつR5と-NHR12は一緒になって5-または6-員の複素環を形成しており;
R7は水素、ハロゲン、-OR9または-NR9R10を表し;
R8は水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、-OR9、-NR9R10、-OC(O)R11または-OC(O)NR9R10を表し;
R9およびR10は水素またはC1-4アルキルを独立に表すか、あるいは、R9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5-、6-または7-員の窒素含有環を形成しており、
R11は、非置換であるか、ハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシ、C1-4アルコキシもしくはハロC1-4アルキルから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよいアリール(例えば、フェニルもしくはナフチル)基を表し;
qは0であるか、または1〜4の整数である)
から選択される基である)
で表される化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0007】
式(I)の化合物において、R3およびR4は、好ましくは水素およびメチルから独立に選択され、より好ましくは、R3およびR4は両方とも水素である。
【0008】
式(I)の化合物において、R1およびR2は、好ましくは各々水素を表す。
【0009】
mは好適には4、5または6であり、nは好適には3、4、5または6である。好ましくは、mは5または6であり、nは3または4であるが、m+nは8、9または10であり、好ましくは9である。
【0010】
Zは好ましくは2を表わす。
【0011】
式(I)の化合物においては、基Arは、好ましくは上記の基(a)および(b)から選択される。
【0012】
前記基(a)および(b)においては、R6がハロゲンを表す場合、これは好ましくは塩素またはフッ素である。
【0013】
R9およびR10は、好ましくは、各々独立に水素またはメチルを表す。
【0014】
R11は、好ましくは、置換されているフェニルを表す。
【0015】
整数qは、好ましくは0または1を表わす。
【0016】
従って、例えば、
-(CH2)qOR9は、好ましくは-OHまたは-CH2OHを表し;
-NR9C(O)R10は、好ましくは-NHC(O)Hを表し;
-SO2NR9R10は、好ましくは-SO2NH2またはSO2NHCH3を表し;
-NR9R10は、好ましくは-NH2を表し;
-OC(O)R11は、好ましくは置換されているベンゾイルオキシ(例えば、-OC(O)-C6H4-(p-CH3))を表し;
-OC(O)NR9R10は、好ましくはOC(O)N(CH3)2を表わす。
【0017】
R6がNHR12を表し、かつR5と一緒になって、5-または6-員の複素環を形成する場合、-NHR12-R5-は、好ましくは次の基:
-NH-CO-R13(式中、R13はアルキル、アルケニルまたはアルキルオキシ基である);
-NH-SO2R14(式中、R14はアルキルオキシ基である);
-NH-R15(式中、R15は、(COOR16)により置換されていてもよいアルキルまたはアルケニル基であり、式中、R16はC1-4アルキルである);あるいは、
-NH-CO-S
を表し;
ここで、前記アルキル基およびアルケニル基、ならびにアルキル部分およびアルケニル部分は、1個または2個の炭素原子を含有する。
【0018】
特に好ましい基(a)および(b)は、以下の基(i)〜(xxi):
【化3】

【0019】

【0020】
(式中、(xvi)および(xix)中の点線は場合によって二重結合であってよいことを意味する)
から選択することができる。
【0021】
好ましくは、Arは基(i)を表す。
【0022】
本発明は、上記の特定の基および好ましい基のすべての組み合わせを網羅することは理解されよう。
【0023】
式(I)および(Ia)の化合物は、非対称中心、すなわち、基:
【化4】

【0024】
の炭素原子を含むことは認識されよう。従って、これらの化合物は、前記キラル中心に関する2つの異なる異性体で存在し得る。本発明は、実質的に純粋な形態または任意の比率で混合された形態において、前記キラル中心での(S)および(R)鏡像異性体の両方を含む。
【0025】
同様に、R3およびR4が異なる基である場合、またはRaおよびRbが異なる基である場合、それらが結合している炭素原子は非対称中心であり、本発明は実質的に純粋な形態または任意の比率で混合された形態において、この中心での(S)および(R)鏡像異性体の両方を含む。
【0026】
さらに、zが1を表わす場合、非対称中心はスルホキシド部分の硫黄原子で存在する。
【0027】
従って、式(I)の化合物は、すべての鏡像異性体(スルホキシド(S)および(R)鏡像異性体を含む)およびジアステレオマーならびに任意の比率でのその混合物を含む。
【0028】
医学における使用に好適な式(I)の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは会合溶媒が製薬上許容されるものである。しかしながら、製薬上許容されない対イオンまたは会合溶媒を有する塩および溶媒和物は、例えば、式(I)の他の化合物ならびにその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、および生理学的に機能的な誘導体の製造における中間体としての使用に関して、本発明の範囲内にある。
【0029】
用語「生理学的に機能的な誘導体」とは、例えば、体内で変換可能であることにより、式(I)の親化合物と同じ生理学的機能を有する式(I)の化学的誘導体を意味する。本発明に従えば、生理学的に機能的な誘導体の例としてはエステルが挙げられる。
【0030】
本発明に従う好適な塩としては、有機および無機の酸または塩基と共に形成されるものが挙げられる。製薬上許容し得る酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、オキサロ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ブロモベンゼンスルホン酸、4-フェニルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸(tricarballic)、桂皮酸、置換桂皮酸(例えば、フェニル、メチル、シアノ(cynao)、メトキシまたはハロ置換桂皮酸、例えば、4-メチルおよび4-メトキシ桂皮酸)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-または4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4-ベンゼンジアクリル酸)およびイセチオン酸から形成されるものが挙げられる。製薬上許容し得る塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムのものなどのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムのものなどのアルカリ土類金属塩ならびにジシクロヘキシルアミンおよびN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
【0031】
式(I)および(Ia)の化合物の製薬上許容し得るエステルは、C1-6アルキル、アリール、アリールC1-6アルキル、またはアミノ酸エステルに変換されたヒドロキシル基を有してもよい。
【0032】
上述のように、式(I)の化合物は、以下に記載のヒトβ-アドレナリン受容体を用いてトランスフェクトした細胞系またはこれらの細胞に由来した細胞膜から読み出される機能的遺伝子またはリポーター遺伝子を用いて証明されるように、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストである。また本発明による化合物は、作用の速やかな発現とともに効果の長い持続時間を持つ可能性がある。
【0033】
式(I)の化合物、ならびにその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、および生理学的に機能的な誘導体は、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状の予防および治療において有用である。かかる症状としては、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、慢性および呼吸困難性気管支炎、肺気腫)、気道感染および上気道疾患(例えば、季節性およびアレルギー性鼻炎などの鼻炎)などの可逆性気道閉塞に関連する疾患が挙げられる。
【0034】
治療可能な他の症状としては、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)、ならびに筋肉消耗性疾患が挙げられる。
【0035】
従って、本発明は、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療のための方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の投与を含む前記方法を提供する。特に、本発明は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のためのそのような方法を提供する。さらなる態様において、本発明は早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のためのそのような方法を提供する。
【0036】
あるいは、医学的治療における使用、特に、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療における使用のための式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体も提供される。特に、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のための式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。さらなる態様において、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のための式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0037】
本発明はまた、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のための薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の使用も提供する。さらなる態様においては、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のための薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0038】
治療効果を達成するのに必要とされる式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の量は、勿論、特定の化合物、投与経路、治療下の被験体、および治療しようとする特定の障害または疾患に応じて変化するであろう。本発明の化合物を、0.0005mg〜10mg、好ましくは0.005mg〜0.5mg(例えば、0.05mg〜0.5mg)の用量での吸入により投与することができる。成人のヒトのための用量範囲は、一般的には1日当たり0.0005mg〜10mg、好ましくは1日当たり0.01mg〜1mg、最も好ましくは、例えば0.05mg〜0.5mgである。
【0039】
式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を単独で投与することも可能であるが、医薬製剤としてそれを存在させるのが好ましい。
【0040】
従って、本発明はさらに、式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体、および製薬上許容し得る担体もしくは賦形剤を含み、必要に応じて1種以上の他の治療成分を含む医薬製剤を提供する。
【0041】
本明細書においては以後、用語「活性成分」とは、式(I)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を意味するものとする。
【0042】
前記製剤としては、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内および関節内など)、吸入(様々な型の定量加圧式エアロゾル、ネブライザーもしくはインサフレーターの手段により作製することができる微粒子の粉末または霧)、直腸および局所(真皮、頬、舌下および眼内など)投与に好適なものが挙げられるが、最も好適な経路は、例えば、レシピエントの症状および障害に依存する。前記製剤は、単位投与剤形中で提供することが都合がよく、製薬業界で公知の任意の方法により製造することができる。全ての方法は前記活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般的には、前記製剤を、前記活性成分と液体担体もしくは微細に分割した固体担体またはその両方とを均一かつ密接に結合させた後、必要に応じて、生成物を所望の製剤に形状化することにより製造する。
【0043】
経口投与に好適な本発明の製剤を、各々所定量の活性成分を含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別々の単位;粉末または顆粒;水性液体もしくは非水性液体中での溶液または懸濁液;または水中油液体乳濁液もしくは油中水液体乳濁液として提供することができる。前記活性成分をボーラス剤、舐剤またはペースト剤として提供することもできる。
【0044】
錠剤は、必要に応じて1種以上の補助成分と共に圧縮または成型することにより作製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械中で、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分と、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤とを混合して圧縮することにより製造することができる。成型錠剤は、好適な機械中で、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化化合物の混合物を成型することにより作製することができる。錠剤は、必要に応じて被覆するか、または切り目を入れてもよく、活性成分のゆっくりした、または制御された放出を提供するように製剤化することができる。
【0045】
非経口投与のための製剤としては、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にさせる溶質を含んでもよい水性および非水性滅菌注入溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。この製剤を、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルなどの単回投与または複数回投与用容器中で提供し、使用直前に、例えば、生理食塩水または注入用水などの滅菌液体担体の添加のみを要する凍結乾燥状態で保存することができる。即時調合溶液および懸濁液を、先に記載された種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0046】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、吸入器または吹入器における使用のために、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または、例えば、薄層化アルミニウムホイルのブリスター中で提供することができる。粉末混合製剤は、一般的には、本発明の化合物とモノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライド(例えば、ラクトースまたはデンプン)などの好適な粉末基剤(担体/希釈剤/添加剤物質)の吸入用粉末混合物を含む。好ましくは、ラクトースを使用する。
【0047】
各カプセルまたはカートリッジは、一般的には、別の治療上の活性成分と組合せてもよい20μg〜10mgの式(I)の化合物を含んでもよい。あるいは、本発明の化合物を、賦形剤を用いずに提供することができる。製剤の包装は、単回投与または複数回投与送達に好適なものであってよい。複数回投与送達の場合、製剤を予め定量する(例えば、Diskus、GB 2242134、米国特許第6,632,666号、第5,860,419号、第5,873,360号および第5,590,645号、もしくはDiskhaler、GB 2178965、2129691および2169265、米国特許第4,778,054号、第4,811,731号、第5,035,237号(これらの開示は、これによって参照により組み込まれるものとする)を参照されたい)か、または使用時に定量する(例えば、Turbuhaler、EP 69715、もしくは米国特許第6,321,747号に記載のデバイスで(これらの開示は、これによって参照により組み込まれるものとする)を参照されたい)ことができる。単回投与用デバイスの例は、Rotahaler(GB 2064336および米国特許第4,353,656号(これらの開示は、これによって参照により組み込まれるものとする)を参照)である。Diskusの吸入デバイスは、その長さに沿って配置された複数の凹部を有する基部シートおよび複数の容器を規定する気密的であるが剥がれるように密封された蓋シートから形成された長いストリップを含み、各容器はその中に、好ましくは、ラクトースと混合された式(I)の化合物を含む吸入可能製剤を有する。このストリップはロールに巻き取れるように十分に可撓性であるのが好ましい。蓋シートおよび基本シートは、好ましくは互いに密封されていない先導末端部分を有し、該先導末端部分の少なくとも一方は巻き取り手段に取り付けられるように構築される。また、基本シートと蓋シートの間の気密シートはその全体の幅に渡って伸びているのが好ましい。蓋シートは、前記基本シートの最初の末端から長軸方向に基本シートから剥がすことができるのが好ましい。
【0048】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物は、例えば、定量噴霧式吸入器などの加圧した包装から送達される水性溶液もしくは懸濁液として、またはエアロゾルとして、好適な液体推進剤を用いて製剤化することができる。吸入に好適なエアロゾル組成物は懸濁液であっても溶液であってもよく、一般的には、必要に応じて別の治療上の活性成分およびフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、特に、ヒドロフルオロアルカン、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはその混合物などの好適な推進剤と組合せた式(I)の化合物を含む。二酸化炭素または他の好適な気体を推進剤として用いることもできる。エアロゾル組成物は賦形剤を含まなくてもよく、必要に応じてオレイン酸またはレシチンなどの界面活性剤およびエタノールなどの共溶媒などの当業界で公知のさらなる製剤賦形剤を含んでもよい。加圧製剤は一般的には、バルブ(例えば、定量用バルブ)を用いて閉じられ、マウスピースを備えた作動装置中に固定されたキャニスター(例えば、アルミニウムキャニスター)中で保持することができる。
【0049】
吸入による投与のための薬剤は制御された粒子径を有するのが望ましい。気管支系への吸入のための最適な粒子径は通常1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。20μmを超える径を有する粒子は、吸入された場合には小さい気道に到達するには一般的には大きすぎる。これらの粒子径を達成するために、製造する活性成分の粒子を、例えば微粉状化などの従来の手段により径を減少させることができる。所望の画分を、空気分類または篩により分離することができる。この粒子は結晶であるのが好ましい。ラクトースなどの賦形剤を用いる場合、一般的には、賦形剤の粒子径は本発明内の吸入される薬剤よりも大きいであろう。賦形剤がラクトースである場合、それは典型的には粉砕されたラクトースとして存在し、85%を超えるラクトース粒子が60〜90μmのMMDを有し、15%未満が15μm未満のMMDを有するであろう。
【0050】
経鼻スプレーは、増粘剤、pHを調整するためのバッファー塩もしくは酸もしくはアルカリ、等張性調整剤または酸化防止剤などの薬剤を添加した水性または非水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。
【0051】
噴霧による吸入のための溶液は、酸もしくはアルカリ、バッファー塩、等張性調整剤または抗微生物剤などの薬剤を添加した水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。これらを、濾過もしくはオートクレーブ中での加熱により滅菌するか、または非滅菌製品として提供することができる。
【0052】
直腸投与のための製剤は、ココアバターまたはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供することができる。
【0053】
例えば、頬または舌下などの口中での局所投与のための製剤としては、スクロースおよびアカシアもしくはトラガカントなどの香料基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンもしくはスクロースおよびアカシアなどの基剤中に活性成分を含むトローチ剤が挙げられる。
【0054】
好ましい単位投与製剤は、前記の有効量、またはその好適な画分の活性成分を含むものである。
【0055】
特に上記した成分に加えて、本発明の製剤は目的の製剤のタイプに応じて当業界で従来的な他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適なものは香料を含んでもよいことを理解すべきである。
【0056】
本発明による化合物および医薬製剤は、1種以上の他の治療剤、例えば、抗炎症剤、抗コリン剤(特にM1、M2、M1/M2もしくはM3受容体アンタゴニスト)、他のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤と組合せて用いてもよく、またはこれを含んでもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、1種以上の他の治療的に活性な薬剤、例えば、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイドもしくはNSAID)、抗コリン剤、別のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質もしくは抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤とを含む組合せ物を提供する。好ましいものは、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、コルチコステロイド、および/または抗コリン剤、および/またはPDE-4阻害剤とを含む組合せ物である。好ましい組合せ物は1または2種の他の治療剤を含むものである。
【0057】
当業者にとっては、好適には、他の治療成分を、塩(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはプロドラッグの形態で、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として用いて、該治療成分の活性および/または安定性および/または物理的特徴(例えば、溶解性)を最適化することができることが明らかであろう。また、好適には、前記治療成分を光学的に純粋な形態で用いることができることも明らかであろう。
【0058】
好適な抗炎症剤としてはコルチコステロイドおよびNSAIDが挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて用いることができる好適なコルチコステロイドは、経口用および吸入用コルチコステロイドならびに抗炎症活性を有するそのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステルまたは17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコート、RPR-106541、およびST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルおよび6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルが挙げられるが、より好ましくは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルである。
【0059】
好適なNSAIDとしては、ナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤もしくは混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト)またはサイトカイン合成の阻害剤が挙げられる。好適な他のβ2-アドレナリン受容体アゴニストとしては、サルメテロール(例えば、キシナフォエートとして)、サルブタモール(例えば、硫酸塩もしくは遊離塩基として)、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、フェノテロールまたはテルブタリンおよびその塩が挙げられる。
【0060】
特に興味深いのは、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤と組合せた式(I)の化合物の使用である。本発明のこの態様において有用なPDE4-特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、またはPDE4阻害剤として作用することが発見されており、PDEファミリーの他のメンバーを阻害する化合物ではなく、PDE4阻害剤のみである任意の化合物ならびにPDE4であってよい。一般的には、高い親和性でロリプラムに結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和性でロリプラムに結合する形態のIC50で割った値に関して、約0.1以上のIC50比を有するPDE4阻害剤を使用するのが好ましい。本発明の開示のために、低い親和性でRおよびSロリプラムに結合するcAMP触媒部位を「低親和性」結合部位(LPDE4)と命名し、高い親和性でロリプラムに結合するこの触媒部位の他の形態を「高親和性」結合部位(HPDE4)と命名する。この用語「HPDE4」を、ヒトPDE4を指すのに用いる「hPDE4」と混同してはならない。
【0061】
IC50比を決定するための方法は、米国特許第5,998,428号(これは、参照により、あたかも本明細書に述べられたかのようにその全体を本明細書に組み入れるものとする)に説明されている。また、前記アッセイの別の記載についてはPCT出願WO 00/51599を参照されたい。
【0062】
本発明において使用するのに好ましいPDE4阻害剤は、有益な治療比を有する化合物、すなわち、酵素が低い親和性でロリプラムに結合する形態にある場合にcAMP触媒活性を優先的に阻害し、それによって高い親和性でロリプラムに結合する形態を阻害するのに関連しているように見える副作用を低減する化合物である。これを記述する別の方法は、好ましい化合物は高い親和性でロリプラムに結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和性でロリプラムに結合する形態のIC50で割った値に関して、約0.1以上のIC50比を有するであろうということである。
【0063】
この基準のさらなる改良版(refinement)は、PDE4阻害剤は約0.1以上のIC50比を有し;該比は、基質として1μM[3H]-cAMPを用いた場合の、高い親和性でロリプラムに結合するPDE4の形態への1nMの[3H]R-ロリプラムの結合との競合についてのIC50値の、低い親和性でロリプラムに結合する形態のPDE4触媒活性の阻害についてのIC50値に対する比である。
【0064】
最も好ましいものは、0.5を超えるIC50比を有するPDE4阻害剤、および特に1.0を超える比を有する化合物である。好ましい化合物はシス4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オンおよびシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]であり;これらは低親和性結合部位に優先的に結合し、0.1以上のIC50比を有する化合物の例である。
【0065】
目的の他の化合物としては、1996年9月3日発行の米国特許第5,552,438号に記載の化合物が挙げられ、この特許および化合物は参照によりその開示全体が本明細書に組み入れられるものとする。米国特許第5,552,438号に開示されている、特定の目的の化合物は、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロマラストとしても知られる)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物理的形態;elbionからのAWD-12-281(Hofgen, N.ら、15版 EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst P.98; CAS参照番号247584020-9);NCS-613と命名された9-ベンジルアデニン誘導体(INSERM);ChiroscienceおよびSchering-PloughからのD-4418;CI-1018(PD-168787)として同定され、Pfizerに属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;WO99/16766中でKyowa Hakkoにより開示されたベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoからのK-34;NappからのV-11294A (Landells, L.J.ら、Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393);Byk-Guldenからのロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)およびフタラジノン(WO99/47505、その開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする);Byk-Gulden、現在はAltanaにより製造および公開された混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaにより開発中のアロフィリン;VernalisからのVM554/UM565;またはT-440(Tanabe Seiyaku; Fuji, K.ら、J Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1): 162)およびT2585である。
【0066】
他の可能性のあるPDE-4および混合PDE3/PDE4阻害剤としては、WO01/13953に列挙されたものが挙げられ、その開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0067】
好適な抗コリン剤は、ムスカリン受容体に対するアンタゴニストとして働く化合物、特にM1およびM2受容体のアンタゴニストである化合物である。例示的な化合物としては、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンなどにより示されるベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられる;これらの化合物は通常は4級アミンである塩として投与される。これらの薬剤、特にその塩形態は、いくつかの市販の起源から容易に入手可能であり、または以下の文献データ:アトロピン-CAS-51-55-8もしくはCAS-51-48-1(無水形態)、硫酸アトロピン-CAS-5908-99-6;酸化アトロピン-CAS-4438-22-6もしくはそのHCl塩-CAS-4574-60-1および硝酸メチルアトロピン-CAS-52-88-0、ホマトロピン-CAS-87-00-3、臭化水素酸塩-CAS-51-56-9、臭化メチル塩-CAS-80-49-9、ヒヨスチアミン(d,l)-CAS-101-31-5、臭化水素酸塩-CAS-306-03-6および硫酸塩-CAS-6835-16-1、スコピラミン-CAS-51-34-3、臭化水素酸塩-CAS-6533-68-2、臭化メチル塩-CAS-155-41-9から製造もしくは調製することができる。
【0068】
好ましい抗コリン剤としては、Atroventの名で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)およびチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS-139404-48-1)が挙げられる。また興味深いのは、メタンテリン(CAS-53-46-3)、臭化プロパンテリン(CAS-50-34-9)、アニソトロピンメチルブロミドまたはValpin 50 (CAS-80-50-2)、臭化クリジニウム(Quarzan, CAS-3485-62-9)、コピロレート (Robinul)、ヨウ化イソプロパミド (CAS-71-81-8)、臭化メペンゾレート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(パチロン, CAS-4310-35-4)、およびヘキソシクリウムメチルサルフェート(Tral, CAS-115-63-9)である。また、塩酸シクロペントレート(CAS-5870-29-1)、トロピカミド(CAS-1508-75-4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS-144-11-6)、ピペンゼピン(CAS-29868-97-1)、テレンゼピン(CAS-80880-90-9)、AF-DX 116、またはメトクトラミン、およびWO01/04118に開示された化合物(この開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする)も参照されたい。
【0069】
好適な抗ヒスタミン剤(H1-受容体アンタゴニストとも呼ばれる)としては、H1-受容体を阻害し、ヒトへの使用にとって安全であることが知られている多数のアンタゴニストのうちの1種以上のアンタゴニストが挙げられる。全てはH1-受容体とヒスタミンとの相互作用の可逆的、競合的な阻害剤である。これらの阻害剤の大部分、ほとんど第1世代のアンタゴニストは、下記式:
【化5】

【0070】
により表されるコア構造を有する。
【0071】
この一般化された構造は、一般的に入手可能な、エタノールアミン、エチレンジアミン、およびアルキルアミンの3つの型の抗ヒスタミン剤を表す。さらに、他の第1世代の抗ヒスタミン剤としては、ピペリジンおよびフェノチアジンに基づくものとして特徴付けることができるものが挙げられる。非鎮静性である第2世代のアンタゴニストは、それらがコアエチレン基(アルキルアミン)を保持し、ピペラジンまたはピペリジンを有する第3アミン基を模倣するという点で類似した構造活性相関を有する。例示的なアンタゴニストとしては:
エタノールアミン:マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン、およびジメンヒドリネート、
エチレンジアミン:マレイン酸ピリルアミン(pyrilamine ameleate)、トリペレナミンHCl、およびクエン酸トリペレナミン、
アルキルアミン:クロロフェニラミンおよびマレイン酸塩などのその塩、ならびにアクリバスタチン、
ピペラジン:ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl、およびセチリジンHCl、
ピペリジン:アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジン、またはそのデスカルボエトキシ類似体、ならびに塩酸テルフェナジンおよび塩酸フェキソフェナジン、あるいは別の製薬上許容し得る塩が挙げられる。
【0072】
塩酸アゼラスチンは、PDE4阻害剤と組み合わせて用いることができるさらに別のH1受容体アンタゴニストである。
【0073】
好ましい抗ヒスタミン剤の例としては、メタピリレンおよびロラタジンが挙げられる。
【0074】
本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)の化合物、または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体とPDE4阻害剤とを含む組合せを提供する。
【0075】
本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)もしくは(Ia)の化合物、または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体とコルチコステロイドとを含む組合せを提供する。好ましくは、本発明は、上記のような好ましいコルチコステロイド、例えば、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、および6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルと一緒に、式(Ia)の化合物またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体を含む組み合わせを提供する。
【0076】
本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と抗コリン剤とを含む組合せを提供する。
【0077】
本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と抗ヒスタミン剤とを含む組合せを提供する。
【0078】
本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体とPDE4阻害剤およびコルチコステロイドとを含む組合せを提供する。
【0079】
本発明はかくして、さらなる態様において、式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と抗コリン剤およびPDE-4阻害剤とを含む組合せを提供する。
【0080】
上記の組合せを、医薬製剤の形態における使用のために都合よく提供することができ、かくして生理学的に許容し得る希釈剤もしくは担体と一緒に上記の組合せを含む医薬製剤は本発明のさらなる態様を表す。
【0081】
そのような組合せの個々の化合物を、個別のものを連続的もしくは同時的に、または混合した医薬製剤として投与することができる。公知の治療剤の好適な用量は、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0082】
本発明のさらなる態様に従えば、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体を製造するための方法であって、以下に定義する方法を含み、その後、任意の順序での以下の工程:
(i) 任意の保護基を必要に応じて除去する工程;
(ii) 鏡像異性体の混合物から、一方の鏡像異性体を必要に応じて分離する工程;
(iii) 式(I)の1つの化合物を、異なる式(I)の化合物に必要に応じて変換する工程、
(iv) 生成物を、対応するその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体に必要に応じて変換する工程、
を含む方法が提供される。
【0083】
1つの一般的な方法(a)においては、式(I)の化合物を、例えば、式(II):
【化6】

【0084】
(式中、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、m、n、x、yおよびzは式(I)または(Ia)の化合物について定義された通りであり、Ar1はArの場合により保護されていてもよい形態を表し;P1およびP2は各々独立に水素もしくは保護基であるが、但し、式(II)の化合物は少なくとも1つは保護基を含有する)
の保護された中間体、またはその塩もしくは溶媒和物の脱保護により取得することができる。
【0085】
好ましい基Arの場合により保護されている形態は、以下:
【化7】

【0086】

【0087】
(式中、P3およびP4は各々独立に水素または保護基から選択され、(xvia)および(xixa)中の点線は場合によって二重結合であってよいことを意味する)
から選択することができる。Ar1が基(viia)であるか、(xia)〜(xiva)のいずれかである場合、保護は必要でなく、従って、これらの場合にはAr1はArに等しいことは理解されよう。
【0088】
好適な保護基は、Theodora W GreeneおよびPeter G M Wutsによる「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第3版(John Wiley & Sons, 1999)に記載されたものなどの任意の従来の保護基であってよい。P3およびP4により表される好適なヒドロキシル保護基の例は、酢酸エステルなどのエステル、ベンジル、ジフェニルメチル、またはトリフェニルメチルなどのアラルキル基、およびテトラヒドロピラニルである。P2により表される好適なアミノ保護基の例としては、ベンジル、α-メチルベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、およびトリクロロアセチルまたはトリフルオロアセチルなどのアシル基が挙げられる。
【0089】
当業者には明らかであるように、そのような保護基の使用は、別の基の存在下で一方の基の選択的な除去を容易にするために、式(II)の化合物において基の直交的な保護を含んでよく、かくして1個のアミノまたはヒドロキシル官能基の選択的な官能化が可能となる。例えば、-CH(OH)基を、例えば、トリエチルシリルなどのトリアルキルシリル基を用いて、-CHOP1として直交的に保護することができる。当業者はまた、Theodora W Greene(上掲)に記載された従来の手段により利用可能な他の直交的保護戦略を理解できるであろう。
【0090】
式(I)または(Ia)の化合物を得るための脱保護を、従来の技術を用いて行うことができる。かくして、例えば、P2、P3および/またはP4がアラルキル基である場合、これを金属触媒(例えば、活性炭上のパラジウム)の存在下での水素添加により切断することができる。
【0091】
P3および/またはP4がテトラヒドロピラニルである場合、これを酸性条件下での加水分解により切断することができる。P2により表されるアシル基を、例えば、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いる加水分解により除去するか、またはトリクロロエトキシカルボニルなどの基を、例えば、亜鉛および酢酸を用いる還元により除去することができる。他の脱保護法はTheodora W Greene(上掲)に見出すことができる。
【0092】
方法(a)の特定の実施形態において、Arが、例えば式(Ia)中の構造(i)の基を表す場合、P3およびP4は一緒になって、式(III):
【化8】

【0093】
(式中、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、R5、P1、P2、m、n、x、yおよびzは式(I)の化合物について定義された通りであり、R17およびR18は水素、C1-6アルキル、もしくはアリールから独立に選択されるか、またはR17およびR18は一緒になって、C3-7アルキル基を形成する)
の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物中の保護基を表す。好ましい態様においては、R17およびR18は共にメチルである。
【0094】
式(III)の化合物は、例えば、好適な溶媒中の酢酸もしくは塩酸などの希釈した水性の酸を用いる加水分解により、または酸(例えば、トルエンスルホン酸)もしくは塩(ピリジニウムトシラート)の存在下、通常の温度または上昇した温度で、例えば、エタノールなどのアルコール中でのケタール交換により、式(I)の化合物に変換することができる。
【0095】
保護基P1、P2、P3およびP4(式(III)に図示されたP3およびP4により形成される環化した保護基を含む)を単一の工程で、または連続的に除去することができることが理解されるであろう。保護基を除去する正確な順序は、前記基の性質に部分的には依存するであろうが、これは当業者には容易に理解できるであろう。好ましくは、P3およびP4は一緒になって、式(III)におけるような保護基を形成しており、この保護基を、CH(OH)部分上の任意の保護基P1と一緒に除去した後、P2を除去する。
【0096】
式(II)および(III)の化合物は、式(IV):
【化9】

【0097】
(式中、Ar1は式(II)について上記で定義された通りであり、P1およびP2は各々独立に水素または保護基を表す)
の化合物を、式(V):
【化10】

【0098】
(式中、Lは脱離基、例えばハロ基(一般にはブロモもしくはヨード)、またはスルホネート、例えばアルキルスルホネート(一般にはメタンスルホネート)、アリールスルホネート(一般にはトルエンスルホネート)、またはハロアルキルスルホン酸(一般にはトリフルオロメタンスルホネート)であり、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、n、m、x、yおよびzは式(I)の化合物について定義された通りである)
の化合物と反応させることによって製造することができる。
【0099】
式(IV)および(V)の化合物の反応は、場合により、トリアルキルアミン(例えばジイソプロピルエチルアミン)などの有機塩基の存在下で、かつ適当な溶媒(例えばジメチルホルムアニド(dimethylformanide))中で行われる。
【0100】
P1およびP2の各々がAr1中の任意の基P3およびP4と一緒になって水素を表す、式(IV)の化合物を用いる場合、化合物(IV)および(V)の反応は式(I)の化合物を直接形成することは理解されよう。
【0101】
従って、さらなる態様では、本発明は、式(IV)(式中、P1、P2、P3およびP4の各々は水素を表す)の化合物と式(V)の化合物との反応を含む工程(b)をさらに提供する。
【0102】
式(IV)の化合物は当技術分野で公知であるか、または、当技術分野で周知の方法によって製造することができる。
【0103】
従って、例えば、化合物(IV)(式中、Ar1は基(ia)である)の製造に関する詳細は、EP-A 0947498で確認することができ;化合物(IV)(式中、Ar1は基(va)である)の製造に関するさらなる詳細は、DE3524990で確認することができ;化合物(IV)(式中、Ar1は基(iia)、(viia)および(xvia)である)の製造に関するさらなる詳細は、EP-A-162576で確認することができ;化合物(IV)(式中、Ar1は基(iva)である)の製造に関するさらなる詳細は、EP-A-220054で確認することができ;化合物(IV)(式中、Ar1は基(xia)である)の製造に関するさらなる詳細は、GB2165542で確認することができ、化合物(IV)(式中、Ar1は基(c)である)の製造に関するさらなる詳細はGB2230523で確認することができる。
【0104】
式(V)の化合物は、式(VI):
【化11】

【0105】
(式中、L、R3、R4、mおよびnは式(V)について定義された通りである)
のオレフィンを、式(VII):
【化12】

【0106】
(式中、L1は式(V)について定義された脱離基であり、Ra、Rb、R1、R2、x、yおよびzは式(V)について定義された通りである)
の化合物と反応させることによって製造することができる。
【0107】
この方法では、最初に式(VI)の化合物を立体的ヒンダードボラン化合物、例えば、環状ボラン誘導体(9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、テキシルボラン、カテコールボランまたはジシアミルボランなど)と反応させた後、触媒、例えば、酢酸パラジウム、PdCl2、Pd(PPh3)4またはPd2(dba)3;およびホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン、(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィンまたはトリ-tert-ブチルホスフィン;および塩基、例えば、リン酸カリウムまたはリン酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたは炭酸ナトリウム、あるいは酢酸ナトリウムの存在下、化合物(VII)とカップリングさせる。この反応は、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中で実施するのが好都合である。
【0108】
式(VI)の化合物は、当業者に周知の標準方法によって、例えば、臭化テトラアルキルアンモニウムなどのアンモニウム塩が存在する相間移動条件下、一般には水酸化ナトリウム水溶液などの無機塩基の存在下で慣用の化学反応によって、対応するジハロアルカンおよびヒドロキシアルケンから製造することができる。
【0109】
式(VII)の化合物は、市販の前駆体からの標準方法によって製造することができる。
【0110】
あるいは、式(II)および(III)(式中、P1およびP2は水素である)の化合物は、式(VIII):
【化13】

【0111】
(式中、Ar1、R1、R2、R3、R4、m、n、x、yおよびzは式(II)または(III)の化合物について定義された通りである)
の対応する化合物、またはその塩もしくは溶媒和物から製造することができる。
【0112】
式(II)または(III)で表される化合物への式(VIII)の化合物の変換は、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中、非水溶性塩基(例えばカリウムトリメチルシラノレート)、または水溶性塩基(例えば水酸化ナトリウム水溶液)などの塩基で処理することにより実施することができる。
【0113】
式(VIII)の化合物は、式(IX):
【化14】

【0114】
の化合物を、上記で定義された式(V)の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0115】
式(IX)で表される化合物の式(V)の化合物とのカップリングは、非プロトン性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン)中、金属水素化物(例えば水素化ナトリウム)などの塩基、または炭酸セシウムなどの無機塩基の存在下で実施することができる。
【0116】
式(IX)の化合物は、例えば、WO 02/066422に記載のようにして製造することができる。
【0117】
さらなる工程(c)においては、式(I)の化合物は、式(X):
【化15】

【0118】
(式中、Ar1およびP1は上記で定義された通りであり、Lは上記で定義された脱離基である)
の化合物を、式(XI):
【化16】

【0119】
(式中、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、P2、m、n、x、yおよびzは式(II)について定義された通りである)
のアミンと反応させた後、式(II)の化合物の脱保護について上記で記載した慣用の方法によって存在する任意の保護基を除去することによって製造することができる。
【0120】
この反応は、かかる置換反応に対して慣用の条件を用いて実施することができる。
【0121】
式(X)の化合物は、当技術分野で周知の方法によって製造することができる。
【0122】
式(XI)の化合物は、式(V)の化合物をP2NH2のアミンと反応させることにより製造することができる。
【0123】
上記の経路のいずれにおいても、種々の基および部分を分子中に導入する合成工程の正確な順序は変更されてもよいことは理解されるであろう。前記方法のある段階で導入される基または部分がその後の転位および反応により影響されないことを確実にすること、およびそれに応じて合成工程の順序を選択することは当業者の技術の範囲内にあるであろう。
【0124】
本発明の鏡像異性化合物は、(i)例えば、キラルクロマトグラフィーカラム、酵素的分割方法、もしくは好適なジアステレオマーの製造および分離などの手段による、対応するラセミ混合物の成分の分離、(ii)上記の方法による好適なキラル中間体からの直接合成、または(iii)硫黄原子のエナンチオ選択酸化によって取得することができる。
【0125】
式(I)の化合物の、対応する塩への必要に応じた変換は、好適な酸または塩基との反応により都合よく行うことができる。式(I)の化合物の、対応する溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体への必要に応じた変換は、当業者には公知の方法により行うことができる。
【0126】
好ましい実施形態では、上記の任意の工程において、Ar1は基(ia):
【化17】

【0127】
を表す。
【0128】
本発明をより良く理解するために、以下の実施例を例示により記載する。
【実施例】
【0129】
合成例
実施例を通して、以下の省略を用いる:
LC:液体クロマトグラフィー
LCMS:液体クロマトグラフィー質量スペクトル法
RT:保持時間
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
MeCN:アセトニトリル
PPh3:トリフェニルホスフィン
AcOH:氷酢酸
EtOAc:酢酸エチル
PE:石油エーテル
EtOH:エタノール
BBN:9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
bp:沸点
ca:約
h:時間
min:分。
【0130】
温度は全て摂氏で示す。
【0131】
シリカゲルはMerckシリカゲル60商品番号7734を指す。
【0132】
フラッシュシリカゲルはMerckシリカゲル60商品番号9385を指す。
【0133】
Biotageはフラッシュ12iクロマトグラフィーモジュール上で動くKP-Silを含む予めパックされたシリカゲルカートリッジを指す。
【0134】
SPE Bond Elutカラムは、通常は減圧下での平行精製において用いられる予めパックされたカートリッジである。これらはVarianから市販されている。
【0135】
NMRは、(特段の指示のない限り)400MHzで実験する。
【0136】
LCMSを、水中の0.1% HCO2Hおよび0.01 M 酢酸アンモニウム(溶媒A)、ならびにアセトニトリル中の0.05% HCO2Hおよび5%の水(溶媒B)で溶出させるSupelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cm×4.6mm ID)上で、以下の溶出勾配:0.0〜7分 0% B、0.7〜4.2分 100% B、4.2〜5.3分 100% B、5.3〜5.5分 0% Bを3 ml/分の流速で用いて行った。質量スペクトルは、電子スプレーポジティブおよびネガティブモード(ES+veおよびES-ve)を用いて、Fisons VG Platform質量分析装置上で記録した。
【0137】
分取質量指向性(preparative mass directed)HPLCを、水中の0.1%蟻酸(溶媒A)およびアセトニトリル中の0.1%蟻酸(溶媒B)で溶出させ、以下の溶出勾配:0.0-1.0分 15% B、1.0-10.0分 55%B、10.0-14.5分 99%B、14.5-14.9分 99%B、14.9-15.0分 15%Bを20 ml/分の流速で用いて、室温にて200-320nmで検出する10cm×2.54cmのID ABZ+カラム上の伸長されたポンプヘッドを有するWaters 600ポンプ、Waters 2700オートサンプラー、Waters 996ダイオードアレイおよびGilson 202フラクションコレクターから構成されたWaters FractionLynxシステム上で行った。質量スペクトルを、電子スプレーポジティブおよびネガティブモード、オルタネートスキャンを用いて、Micromass ZMD質量分析装置上で記録した。用いたソフトウェアはOpenLynxおよびFractionLynxオプションを備えたMassLynx 3.5であった。
【0138】
実施例1
4-[(1R)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエン-6-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
i) 2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン-6-アミン1,1-ジオキシド
酢酸(50ml)および酢酸エチル(50ml)中の6-ニトロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシド(1.04g)の溶液を、10%パラジウム炭素(130mg、50%含水)上で水素化した。触媒を濾過により除去し、酢酸エチルで洗浄した。濾液および洗浄液を減圧下で蒸発させ、表題化合物(1.1g)を得た。LCMS RT=1.50 min。
【0139】
ii) 6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシド
2M塩酸(14ml)中の2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン-6-アミン1,1-ジオキシド(1.1g)の混合物を氷浴で冷却した。水(5ml)中の亜硝酸ナトリウム(355mg)を滴下添加し、混合物を15分間撹拌した後、水性ヨウ化カリウム(830mg)を添加した。混合物を一晩撹拌した後、0.5時間で65℃まで加熱した。混合物を20℃まで冷却し、酢酸エチルへ抽出させた。有機溶液をメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄し、乾燥させ、ジクロロメタン、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルで溶出する、2個のSPEシリカカートリッジ(10g)上で精製した。ジクロロメタン画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物(550mg)を得た。LCMS RT=2.65 min。
【0140】
iii) 6-{3-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]プロピル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシドおよび6-{3-[(6-ヨードヘキシル)オキシ]プロピル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシド
テトラヒドロフラン(1ml)中の6-ブロモヘキシルブタ-3-エニルエーテル(282mg)の溶液を、窒素下20℃でTHF(0.5M、2.88ml)中の9-BBNの溶液で処理した。混合物を2時間撹拌し、次いで、水(0.75ml)中のリン酸三カリウム(530mg)を加えた後、THF(3ml)中の6-ヨード-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシド(550mg)、パラジウムジアセテート(0.27mg)およびトリフェニルホスフィン(0.62mg)を加え、窒素下、混合物を2時間で65℃まで加熱した。反応混合物を濃縮し、次いで、ジクロロメタン-ペトロール(1:1)、ジクロロメタン、ジエチルエーテルで溶出する、シリカSPEカートリッジ(10g)に供し、表題化合物(370mg)を得た。LCMS RT=3.59 min、ES+ve 420および422 (M+NH4)+ (臭化物)、ならびにRT=3.70 min、ES+ve 486 (M+NH4)+ (ヨウ化物)。
【0141】
iv) 4-[(1R)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエン-6-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノールアセテート
ジメチルホルムアミド(1ml)中の(1R)-2-アミノ-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(112mg)および6-{3-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]プロピル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシドおよび6-{3-[(6-ヨードヘキシル)オキシ]プロピル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチオフェン1,1-ジオキシド(370mg)の混合物を室温で一晩静置した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をエタノール中に溶解し、エタノール、次いでエタノールに溶解した10%アンモニア水で溶出するSCX-2カートリッジ(10g)に供した。アンモニア画分を濃縮し、残渣を酢酸(4ml)および水(2ml)中に溶解し、15分間65℃まで加熱した。溶媒を減圧下で除去し、17分かけて、0〜15%の勾配[エタノール中10%アンモニア]−ジクロロメタンで溶出する、シリカSPEカートリッジ(10g)上で精製した。適当な画分を合わせて、減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸中に溶解させ、次いで蒸発乾固し、表題化合物(59mg)を得た。LCMS RT=2.32 min, ES+ve 506 (M+H)+
【0142】
実施例2
4-[(1R)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-7-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノールホルメート
i) エチル3-[(3-ブロモフェニル)チオ]プロパノエート
ジメチルホルムアミド(10ml)およびトリエチルアミン(2ml)中の1-ブロモ-3-ヨードベンゼン(3g)と1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(90mg)の混合物を、窒素下、20℃でトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(175mg)を用いて処理した。10分後、エチル3-メルカプトプロピオネート(1.14ml)を加え、混合物を1.5時間60℃に加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、2M塩酸、塩水で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。濾液を濃縮し、ジクロロメタン−シクロヘキサン(1:3)で溶出する、biotageカートリッジ(40g)上でクロマトグラフィーに供し、表題化合物(1.58g)を得た。LCMS RT=3.50 min。
【0143】
ii) 3-[(3-ブロモフェニル)チオ]プロパン酸
エタノール(5ml)中のエチル3-[(3-ブロモフェニル)チオ]プロパノエート(1.15g)の溶液を水酸化ナトリウム水溶液(2M、5ml)で処理し、混合物を20℃で15時間撹拌した。この混合物を塩酸で酸性化し、溶液を酢酸エチルで抽出した。有機溶液を塩酸、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させて、表題化合物(390mg)を得た。LCMS RT=3.19 min。
【0144】
iii) 7-ブロモ-2,3-ジヒドロ-4H-チオクロメン-4-オン
3-[(3-ブロモフェニル)チオ]プロパン酸(390mg)と濃硫酸(1.6ml)の混合物を4日間、20℃で静置した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機溶液を重炭酸ナトリウム溶液、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。シクロヘキサン、ジクロロメタン−シクロヘキサン(1:2、1:1)およびジクロロメタンで溶出する、シリカSPEカートリッジ(10g)のクロマトグラフィーにより残渣を精製し、表題化合物(116mg)を得た。13C NMR δ(CDCl3) 193.5, 144.4, 131.0, 130.3, 130.0, 128.9, 128.8, 39.6, 27.1。
【0145】
iv) 7-ブロモチオクロマン
トリフルオロ酢酸(12ml)中の7-ブロモ-2,3-ジヒドロ-4H-チオクロメン-4-オン(1g)の溶液をトリエチルシラン(1.48ml)で処理し、混合物を4時間還流で撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機溶液を塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。ペトロール−ジエチルエーテル(10:1)で溶出する、Biotageカートリッジ(40g)のクロマトグラフィーにより残渣を精製し、表題化合物(946mg)を得た。LCMS RT= 3.71 min。
【0146】
v) 7-ブロモチオクロマン1,1-ジオキシド
3-クロロペルオキシ安息香酸(2.8g)を、無水ジクロロメタン(50ml)中の7-ブロモチオクロマン(946mg)の冷却溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、2Nの亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機溶液を中性アルミナを通して濾過し、濃縮して、表題化合物(200mg)を得た。LCMS RT= 2.71 min。
【0147】
vi) 7-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}チオクロマン1,1-ジオキシド
テトラヒドロフラン(0.6ml)中の4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブタ-1-エン(180mg)の溶液に、テトラヒドロフラン(1.8ml)に溶解した9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの0.5M溶液を加えた。窒素下で2時間、室温にてその溶液を撹拌した。水(0.46ml)中のリン酸三カリウム(324mg)を添加した後、7-ブロモチオクロマン1,1-ジオキシド(200mg)、パラジウム(II)アセテート(2mg)およびトリフェニルホスフィン(4mg)を加えた。得られた混合物を60℃で17時間加熱した。水を添加し、有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。シクロヘキサン−酢酸エチル(1:1)で溶出する、Biotageカートリッジ(40g)のクロマトグラフィーにより残渣を精製し、表題化合物(121mg)を得た。LCMS RT=3.66 min。
【0148】
vii) (1R)-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-7-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)エタノール
無水テトラヒドロフラン(6ml)およびジメチルホルムアミド(2ml)中の(1R)-2-アミノ-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)エタノール(128mg)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.066ml)および7-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}チオクロマン1,1-ジオキシド(120mg)を加えた。反応混合物を50℃で17時間加熱した。次いで、混合物を真空で濃縮し、ジクロロメタン−エタノール−アンモニア水溶液(100:8:1)で溶出する、Biotageカートリッジ(8g)のクロマトグラフィーにより残渣を精製し、表題化合物(134mg)を得た。LCMS RT= 2.74 min。
【0149】
viii) 4-[(1R)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-7-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノールホルメート
氷酢酸(10ml)および水(5ml)中の(1R)-1-(2,2-ジメチル-4H-1,3-ベンゾジオキシン-6-イル)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-7-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)エタノール(134mg)の溶液を、80℃で40分間加熱した。混合物を真空で濃縮し、残渣を質量指向性オートプレップによって精製し、表題化合物(79mg)を得た。LCMS RT=2.46 min, ES+ve 520 (MH)+
【0150】
生物学的活性
in vitroにおけるヒトβ1、β2およびβ3受容体での化合物効力と固有活性の測定
方法
ヒトβ2、β1およびβ3受容体での本発明の化合物の効力を、レポーター遺伝子とともにヒト受容体を共発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて測定した。試験は、全細胞またはこれらの細胞由来の細胞膜を用いて実施した。
【0151】
これらの3つのβ受容体はGs G-タンパク質を介して結合され、アデニル酸シクラーゼの刺激を引き起こし、細胞中のcAMPのレベルを上昇させる。cAMPの直接測定については、細胞膜または凍結細胞のいずれかを、HitHunter酵素フラグメント相補キット(DiscoveRx)またはFP2蛍光極性化キット(Perkin Elmer)と共に用い、cAMPの存在レベルを定量した。これらのアッセイにより、様々な受容体における化合物のアゴニスト効力と固有活性の測定値が得られる。
【0152】
このアッセイでは、ヒトβ2-受容体での化合物効力はpEC50値として表される。実施例1および2の化合物は、pEC50が6を超えていた。
【0153】
本明細書および特許請求の範囲が部分を形成する本出願を、任意のその次の出願に関して優先権のための基礎として用いることができる。そのようなその次の出願の特許請求の範囲を、本明細書に記載の任意の特徴または特徴の組合せに向けることができる。これらは生成物、組成物、方法、または使用のクレームの形態を取ってもよく、また実施例により、かつ限定なしに、以下の特許請求の範囲を含んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
mは2〜8の整数であり;
nは3〜11の整数であり;
但し、m+nは5〜19であり;
xは0であり、かつyは2または3の整数であるか、あるいは、
yは0であり、かつxは2または3の整数であり;
zは0であるか、または1もしくは2の整数であり;
RaおよびRbは水素およびC1-4アルキルから独立に選択され;
R1およびR2は水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロ、フェニル、およびC1-6ハロアルキルから独立に選択され;
R3およびR4は水素およびC1-4アルキルから独立に選択されるが、但し、R3およびR4中の炭素原子の総数は4以下であり;
Arは、以下:
【化2】

(式中、
R6は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR9、-NR9C(O)R10、-NR9SO2R10、-SO2NR9R10、-NR9R10、-OC(O)R11またはOC(O)NR9R10であり、かつR5は水素、ハロゲンまたはC1-4アルキルを表すか;
あるいは、R6は-NHR12を表し、かつR5と-NHR12は一緒になって5-または6-員の複素環を形成しており;
R7は水素、ハロゲン、-OR9または-NR9R10を表し;
R8は水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、-OR9、-NR9R10、-OC(O)R11または-OC(O)NR9R10を表し;
R9およびR10は水素またはC1-4アルキルを独立に表すか、あるいは、R9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、5-、6-または7-員の窒素含有環を形成しており、
R11は、非置換であるか、ハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシ、C1-4アルコキシもしくはハロC1-4アルキルから選択される1個または複数の置換基により置換されていてもよいアリール(例えば、フェニルもしくはナフチル)基を表し;
qは0であるか、または1〜4の整数である)
から選択される基である)
で表される化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項2】
R3およびR4が水素およびメチルから独立に選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1およびR2が各々水素を表す、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
整数mが4、5または6であり、nが3、4、5または6である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
基Arが基(a)および(b):
【化3】

から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
基(a)および(b)が以下の基(i)〜(xxi):
【化4】


から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Arが基(i):
【化5】

を表す、請求項6に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
zが2を表わす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
4-[(1R)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾチエン-6-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-[(1R)-2-({6-[4-(1,1-ジオキシド-3,4-ジヒドロ-2H-チオクロメン-7-イル)ブトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
ならびにその塩、溶媒和物およびその生理学的に機能的な誘導体から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療のための方法であって、治療上有効量の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
医学的治療における使用のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項12】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる症状の予防または治療における使用のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体、および製薬上許容し得る担体または賦形剤を含み、必要に応じて1種以上の他の治療成分を含む医薬製剤。
【請求項14】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状の予防または治療のための薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の製造方法であって、
(a) 例えば、式(II):
【化6】

(式中、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、m、n、x、yおよびzは式(I)または(Ia)の化合物について定義された通りであり、Ar1はArの場合により保護されていてもよい形態を表し、P1およびP2は各々独立に水素もしくは保護基であるが、但し、式(II)の化合物は少なくとも1つの保護基を含有する)
で表される保護された中間体、またはその塩もしくは溶媒和物を脱保護する工程;あるいは、
(b) 式(IV):
【化7】

(式中、Ar1は式(II)の化合物について上記で定義された通りであり、P1およびP2は各々独立に水素または保護基である)
で表される化合物を、式(V):
【化8】

(式中、Lはハロなどの脱離基またはアルキルスルホネート、アリールスルホネートもしくはハロアルキルスルホネートなどのスルホネートであり、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、n、m、x、yおよびzは式(I)の化合物について定義された通りである)
で表される化合物と反応させる工程;あるいは、
(c) 式(X):
【化9】

(式中、Ar1およびP1は上記で定義された通りであり、Lは上記で定義された脱離基である)
で表される化合物を、式(XI):
【化10】

(式中、Ra、Rb、R1、R2、R3、R4、P2、m、n、x、yおよびzは式(II)で定義された通りである)
で表されるアミンと反応させる工程、
次いで、任意の保護基を除去する工程
を含み、
その後、以下の工程:
(i) 任意の保護基を必要に応じて除去する工程;
(ii) 鏡像異性体の混合物から、一方の鏡像異性体を必要に応じて分離する工程;
(iii) 式(I)の1つの化合物を、異なる式(I)の化合物に必要に応じて変換する工程、
(iv) 生成物を、対応するその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体に必要に応じて変換する工程、
を任意の順序で行うことを含む、前記方法。

【公表番号】特表2007−514691(P2007−514691A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544348(P2006−544348)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014381
【国際公開番号】WO2005/058867
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】