説明

呼吸測定システムに用いられる電空アセンブリ

呼吸測定システムに用いられる電子空気式アセンブリ100が、中に規定される複数のチャネル212、214、216、218と、空腔220を形成する複数の壁224とを持つ筐体210を含む。筐体は、上部面215、下部面225及びこの筐体の下部面に規定される複数の開口を含む。カバー250は、空腔を囲みこれによりチャンバが形成されるよう、及びチャネルを囲みこれにより複数の導管が形成されるよう、筐体の上部面に固定される。制御要素320は、複数の開口における少なくとも1つの開口に動作可能に結合され、測定要素352、354は、複数の開口における少なくとも1つの開口に動作可能に結合される。このアセンブリは、呼吸測定システムの空気圧を管理するための、単純で堅牢な要素を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条(e)項の規定により、本出願は、2007年8月29日に出願された米国仮出願シリアル番号第60/968,732号による優先権利益を請求する。更に、米国特許法第120/365条の規定により、本出願は、2008年8月22日に出願された米国特許出願シリアル番号第12/196,358号による優先権利益を請求する。
【0002】
本発明は、呼吸測定システムに用いられる一体化された電空アセンブリ及びこのアセンブリの組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集中治療環境における麻酔の投与の間、並びにトレーニング・プログラム及び他の医療テストの前及びその過程でのスポーツマン及び他の個人の体調をモニタする際、呼吸フロー及び圧力測定は、心肺機能及び呼吸回路の完全性を評価するための有益な情報を提供する。これらの環境における厳しい要件を満たすフロー及び/又は圧力センサを作製するため、多くの異なる技術が適用されてきた。
【0004】
さまざまな他のタイプのフロー測定装置が知られているが、呼吸フロー測定を得るため、従来は差圧流量センサが用いられてきた。圧力監視は一般的に、供給される(即ち吸気の)ガス圧、呼気のガス圧又はその両方を測定するために実行される。フロー測定は、例えば換気量といった流量及び容積情報を提供する。圧力及びフロー監視は、例えば酸素消費量、二酸化炭素除去量及び心拍出量又は肺毛細管血流といった他の呼吸パラメータを評価するため、呼吸ガス測定と一緒に又は連動して使用されることができる。
【0005】
差圧流量センサは、ベルヌーイの法則に基づき作動する。即ち、「フロー要素」とも呼ばれる規制(restriction)を横切る圧力降下は、空気のボリュメトリック流量に比例する。圧力降下は、差圧センサにより測定される。規制又はフローに対する他の抵抗を横切る圧力降下とフローとの間の関係は、この抵抗の設計に依存する。一般に「呼吸流量計(pneumotachs)」と呼ばれるいくつかの差圧流量センサでは、フロー規制が、フローと圧力差との間の線形関係を生みだす。斯かるデザインは、フライシュ呼吸流量計を含む。この場合、規制は、層流及びフローに対するより線形な応答を確実にするため、多くの小さい管又は精細なスクリーンを含む。フローセンサに対する別の物理的構成は、開口部を持つフロー規制を提供することである。この開口部のサイズ又は形状は、フローに関連して変化する。
【0006】
典型的な差圧ベースのフローセンサは、呼吸導管において列状に配置されるフロー要素を含む。差圧センサは、フロー要素に、又はその近くに配置される。圧力センサがフロー規制の各サイドでガス流と流体連通状態にあるよう、管が、フロー要素と差圧センサとを接続する。より詳細には、フロー要素は、フロー規制の各サイドで圧力ピックオフ・ポートを含み、管は、差圧センサの各サイドの各ポートで圧力を伝える。一般的に、数フィートの柔軟な小さいボアのデュアル又はトリプル・ルーメン管が、差圧センサにフロー要素を接続するのに用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
臨床環境における性能及び機能を維持するために、呼吸測定システムは、測定機能に加えて、ゼロ化及びパージ機能も含む。差圧トランスデューサ及びゲージ圧トランスデューサが、フロー測定及び気道圧測定のために使用される。フロー及び気道圧測定は、救命救急環境において数日から数週間の期間に実行される。しかしながら、圧力センサは、温度における変化を含む要素により本質的にドリフトする。その結果、フロー及び圧力センサが適切に較正されることを確実にするため、周期的なゼロ化が必要とされる。差圧センサをゼロ化又は再較正することは一般的に、差圧トランスデューサの2つのサイドを同じ圧力、通常は大気圧に露出させることを必要とする。ゲージ圧トランスデューサをゼロ化又は再較正することは一般的に、ゲージ圧トランスデューサの回路側を大気圧に露出させることを必要とする。従って、一般的にゼロ化機能は、フロー要素と差圧及び/又はゲージ圧トランスデューサとの間に配置される弁の使用を必要とする。
【0008】
更に、差圧ベースのトランスデューサはしばしば、救命救急及び集中治療ユニットといった臨床環境において使用される。こうした環境は一般に、患者へ又はからの高湿度のガス流を含む。圧力伝達管又は呼吸導管の任意の部分が加熱されるかどうかに関係なく、ガス流における高湿度は、圧力伝達管において水分の凝結をもたらす可能性がある。最初に、凝結は、減衰され及び歪む圧力信号を生じさせる場合があり、凝結が解消しない場合管の完全な妨害物を生じさせる可能性がある。従って、圧力及びフロー測定に対する凝結物の悪影響を減らすため、圧力伝達管は、圧縮ガス源又はポンプからの空気を用いて周期的にパージされる。
【0009】
ゼロ化及びパージ機能に関して必要とされる弁及び相互接続に関連付けられる複雑さは、「扱いにくく」、組み立てが困難でコストがかかり、手作業で作製されなければならない多くの複雑な空気式接続を持つマルチ・ピース・アセンブリである従来の呼吸測定システムを生じさせた。更に、異なる要素間の空気式接続の数が比較的多数であるので、これらの接続で漏れる可能性が高い。斯かる漏れは、測定に悪影響を与え、空気路における変動を増加させる。これにより、特に負荷状態(例えば低順応性、より高圧)の下での測定における変動が増加される。
【0010】
従来の呼吸測定システムにおけるこれらの課題に鑑み、従来の呼吸測定システムに伴う以下の1つ又は複数の課題に対処する、コスト効率の良い組み立てが容易な呼吸測定ソリューションを提供することが望ましい。その課題とは、(a)手作業で作製されなされなければならない空気式接続を除去すること、(b)長期の信頼性を改善すること、(c)性能を高めること、及び、(d)圧力伝達管経路の間の変動を減らすことにより、ユニット間反復性を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って本発明の目的は、従来の呼吸測定システムの欠点を克服する呼吸測定システムに用いられる電子空気式アセンブリを提供することである。この目的は、複数のチャネルと空腔を形成する複数の壁とを持つ筐体を含む、呼吸測定システムに用いられる電子空気式アセンブリを提供する本発明の一実施形態に基づき実現される。この筐体は、上部面、下部面及び筐体の下部面に規定される複数の開口を含む。カバーは、空腔を囲みこれによりチャンバが形成されるよう、及びチャネルを囲みこれにより複数の導管が形成されるよう、筐体の上部面に固定される。制御要素は、複数の開口における少なくとも1つの開口に動作可能に結合され、測定要素は、複数の開口における少なくとも1つの開口に動作可能に結合される。このアセンブリは、呼吸測定システムの空気圧を管理するための、単純で堅牢な要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】個人の気道と伝達状態にあり、気道と動作可能に結合される本発明の呼吸流量計及び電子空気式アセンブリを持つ、呼吸導管の概略図である。
【図2】フロー/圧力測定システムに用いられる電子空気式アセンブリの斜視図である。
【図3】図2における電子空気式アセンブリの分解図である。
【図4】図1における電子空気式アセンブリの筐体部分の斜視図である。
【図5】図4における筐体の下部面の斜視図である。
【図6】図5における筐体の上部面の上面図である。
【図7】図5における筐体の下部面の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び特性が、この構造の関連要素及び部品の組合せにおける動作方法及び機能、並びに製造コストと共に、対応する図面を参照して以下の明細書及び添付の特許請求の範囲を考慮することにより、一層明らかになるだろう。図面、明細書及び特許請求の範囲はすべて、この明細書の一部を形成する。同様な参照符号は、さまざまな図面における対応する部品を表す。しかしながら、図面が図示及び説明のためにだけあること、及び本発明の範囲を規定するものとして意図されないことは、明示的に理解されたい。明細書及び請求項において用いられる単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈上他の意図が明示的に示されない限り複数形の参照を含むものである。
【0014】
図1を参照すると、呼吸導管10が図示される。本発明の例示的な実施形態において、呼吸導管10は、一端12で患者とのインタフェースを含む呼吸回路(患者回路とも呼ばれる)である。患者とのインタフェースは、個人Iの気道Aと流体連通状態にある呼吸導管に結合されるよう構成される、侵襲的又は非侵襲的な任意のデバイスである。例えば、気管内チューブ、気管チューブ、鼻マスク、鼻/口マスク又は鼻カニューレとすることができる。図示されるように、呼吸導管10の一端12は、気道Aと連通して配置される。一方、呼吸導管の別の端14は、個人Iにより吸入されるガス源に対して開いている。本発明は、源又はガスが、任意のガス供給源とすることができることを想定する。例えば従来において知られる、大気、酸素供給源、ベンチレータ、圧力支援システム(例えば、CPAP、バイレベル圧力支援システム、自動滴定圧力支援システム)、他のガス源(例えばheliox)とすることができる。
【0015】
呼吸導管10は、その長さに沿って配置される少なくとも1つの気道アダプタ20を含む。このアダプタは、圧力及び/又はフローセンサの要素を規定するフロー規制を含む。図1には、気道アダプタと電子空気式アセンブリ100を含む呼吸モニタ50との間の流体連通を提供する管30も図示される。電子空気式アセンブリ100は、以下図2〜7を参照して詳細に説明される。本発明での使用に適した気道アダプタの例は、米国特許第5,789,660号、第6,312,389号及び第7,174,789号に教示され、この内容は参照により本書に含まれる。
【0016】
図2は、本発明の原理による、呼吸測定システムの使用に適した電子空気式アセンブリ100を表す。電子空気式アセンブリ100は、筐体アセンブリ200と、回路基板アセンブリ300と、ポンプ支持部290及びポンプ294を含むフロー供給要素285とを有する。電子空気式アセンブリの全ての要素は、使用前に組み立てられる。他のフロー供給要素は、例えば圧縮ガス源を含む電子空気式アセンブリに関して想定される。筐体アセンブリ200及び回路基板アセンブリ300の組立てに際し、測定及び制御要素は、導管及び互いと流体連通状態にある。以下に詳細に述べられるように、フロー供給要素285は、圧力チャンバと流体連通状態にあり、圧力チャンバは、患者呼吸回路におけるアダプタ管と流体連通状態にある。
【0017】
本発明は、呼吸測定システムに用いる一体的構造の筐体を可能にする。この筐体は、フロー/圧力測定システムに容易に組み立てられ、従来のフロー/圧力測定システムの機能の全てを組み込む。フロー測定システムのサイズ、組立ての複雑さ及びコストは、少なくとも部分的に、管及び圧力容器の全てを単一の低コスト筐体に一体化し、同時に個別のユニットの均衡化の必要性を除去することの結果として明らかに減らされる。従って、本発明のフロー/圧力測定システムは、製造の容易さを最大化する。
【0018】
図3は、電子空気式アセンブリ100の分解図を表す。筐体アセンブリ200は、実質的に堅い筐体210と実質的に平面のカバー250とを有する。筐体210は、上部面215及び下部面225を含む。カバー250は、内側面254及び外側面252を含む。筐体210は、圧力又はフローを伝える複数のチャネルと、フロー/圧力貯蔵部として機能する空腔と、少なくとも1つのチャネルと流体連通状態にある複数の開口部と、(オプションで)空腔と流体連通状態にある複数の開口部とを含む。筐体アセンブリ200は、以前の既知の呼吸フロー/圧力測定デバイスで要求される必要な空気式接続及びボリュームの全てを有し、こうした要素の全てを「単一の」部分で提供する。
【0019】
図3〜7に示されるように、筐体カバー250の内側面254は空腔220を囲むよう筐体の上部面に固定される。これにより、チャンバが形成される。カバーが筐体を覆うよう閉じられるとき、複数の導管も形成される。本発明に関して、筐体アセンブリ200の筐体210及びカバー250は、寸法の安定性及び気密耐性を維持するため十分に硬いプラスチッで作られる。筐体210及びカバー250に関する例示的な物質は、例えばABS、ポリカーボネート(PC)、PC/ABS混合及びアクリルといった熱可塑性物質を含む。
【0020】
例示的な筐体アセンブリ200は、回路基板300への組み立て又は測定及び制御要素への空気式接続の作製のためのツールを必要としない。筐体210及びカバー250は、好ましくは超音波溶接により、好ましくは同じ物質で、例えば非晶質ポリマーといった超音波溶接に適した物質で接合される。代替的なソリューションは溶剤接着、エポキシ、接着剤、及びチャネルが接着剤に対して露出されないよう切断される型抜きラベルの使用を含む。
【0021】
超音波組立プロセスは、接合領域での摩擦熱を発生させるため、熱可塑性パーツを介するエネルギー伝達に依存する。カバーとの結合は、チャネル間の外部壁及び内部壁である接合面上へ成形されエネルギー導波器として知られる筐体内の三角形構造を用いて作られる。エネルギー導波器の主要な目的は、「接合面の軟化及び溶解を急速に開始するため、エネルギーを集中させる」ことにある。超音波溶接により接合される場合、本発明は、パーツ間の摩擦を増加させることにより溶接品質を改善するため、カバーの接着面を織物面で成形することを考慮する。
【0022】
回路基板アセンブリ300は、回路基板310に組み立てられる測定要素、制御要素、インタフェース要素及び関連する電子機器を含む。例示的な実施形態において、制御要素は弁320を含み、測定要素は圧力トランスデューサ352及び354を含む。本発明での使用に適した弁の商業的な例は、Lee Company(ウェストブルック、CT)及びParker Pneutronics(ホーリス、NH)から入手可能な2ウェイ又は3ウェイ・ミニチュア・ソレノイド弁である。例示的な実施形態における弁は、幅8mm、高さ9mm及び長さ24mmであリ、1/16インチの内径を持つ管に対するインタフェースを可能にする3つのポート又はマニホルドを含む。圧力トランスデューサ354は差圧を測定するよう構成され、圧力トランスデューサ352はゲージ圧を測定するよう構成される。本発明での使用に適した圧力トランスデューサの商業的な例は、Honeywell及びAll Sensors(モーガン・ヒル、CA)から入手可能である。
【0023】
インタフェース要素は、電気コネクタ325、326、327、328及び329を含む。電気的コネクタ325は、ポンプ294のコネクタ部とのインタフェースとなる。電気的コネクタ325は、将来の拡張のためのインタフェースを提供する。電気的コネクタ327は、光学検出のためのインタフェースを提供する。電気的コネクタ328は、ホストシステムに対する一般的なI/O及び電力接続を提供する。本発明は、電子空気式アセンブリ100が他の監視要素に対するインタフェースとなることも想定し、これらの他の要素及び電子空気式アセンブリ100でなされる測定から得られるパラメータを計算することも想定する。そのようなものとして、電気接続329は、個別の監視要素に対する接続を提供する。この監視要素は、例示的な実施形態ではCapnostat 5センサ又はQuoセンサ(共にRespironics,Inc)である。電子空気式アセンブリ100により実行されるフロー及び圧力測定と共に、これらのセンサからのガス波形データを用いると、例えば酸素消費量、二酸化炭素除去、死角並びにボリュメトリック・ガス波形からの傾斜及び角度といったボリュメトリック・ガス測定が、回路基板310のプロセッサ又はホストシステムのプロセッサを用いてなされることができる。回路基板300を備える筐体アセンブリ200の簡単な組立てを可能にするため、回路基板310は、スロット311、312及び313も含む。
【0024】
図3には、弁シール330、トランスデューサ・シール340、ポンプフィルタ292、ポンプ支持部290及びポンプ294も表される。弁シール330は、各弁ポートと弁接続ポートとの間で実質的に漏れることがない接続を確立するため、弁320のポート及び筐体210の底面上の弁接続ポート260(図5を参照)の内径に対して圧入される。同様に圧入され、個別の接続ポート233、234及び235、236(図5を参照)と圧力トランスデューサの2つのポート352及び354とを接続するものとして機能するトランスデューサ・シール340も同様に示される。トランスデューサ・シール及び弁シールに関する例示的な物質は、シリコーン、ニトリルゴム、EPDM及びポリウレタンを含む。アセンブリの容易さから圧入組立てが好まれるが、例えば接着といった他の接合方法が使用されることができる点に留意されたい。ポンプフィルタ292は、ポンプ支持部290に圧入され、ポンプフィルタ292を備えて組み立てられるポンプ支持部290は、筐体210の開口部230に挿入される。ポンプフィルタに関する例示的な物質は、焼結ポリエチレン、多孔性金属及び焼結多孔性金属を含む。
【0025】
図4及び5は、筐体210の上部及び下部の斜視図を表す。筐体210は、スナップラッチ240、242、244、及び246を含む。各ラッチは、偏向する隆起を持つ片持梁を含む。回路基板アセンブリ300を持つ筐体アセンブリ200を組み立てるため、スナップラッチ240、242、244、246はそれぞれ、回路基板310におけるスロット311、312及び313にスナップされる(スナップラッチ246を受ける第4のスロットが図示省略される点に留意されたい)。説明の便宜上、スナップラッチ242の隆起245は(他のスナップラッチも同様)、スロット311と嵌合する90°フックを形成する面243を含む。これは、スナップラッチ242が、分解のため垂直な力の印加で分離されることができるよう、サイドにおいてウインドウを備える90°リセスも持つ。組立及び動作の間の構造的安定性を提供するため、スタンドオフ231及び232が筐体210に提供される。
【0026】
バーブ(barb)整合部226及び228は、電子空気式アセンブリ100を入力管にインタフェース接続するものとして機能し、これにより差圧及び気道圧力測定に関する入力ポートとして機能する。チャネル212、214、216及び218は、測定及び制御要素の間の流体接続を提供する。
【0027】
図6及び7は、開口部及びチャネルが明確に図示される筐体210の底面及び上面図である。接続ポート226及び228は、患者の呼吸回路における気道アダプタ20と流体連通状態にある。接続ポート226は、アダプタのベンチレータ・サイド(機械的に肺換気される患者の場合)又は大気サイド(自発的に呼吸する患者の場合)と流体連通状態にあり、チャネル216並びにその個別の弁接続ポート及び開口部と流体連通状態にある。接続ポート228は、アダプタの患者サイドと流体連通状態にあり、弁接続部266と流体連通状態にある。チャネル212は、それぞれトランスデューサ接続ポート234及び236、並びに弁接続ポート268、271及び272と流体連通状態にある開口部279、281、283、285及び286を含む。チャネル214は、それぞれトランスデューサ接続ポート235、並びに弁接続ポート267及び269と流体連通状態にある開口部280、282及び284を含む。チャネル216は、接続ポート226及び弁接続ポート263と流体連通状態にある開口部287及び277を含む。チャネル218は、開口部276及び275を含み、空腔220と流体連通状態にある。開口部276及び275はそれぞれ、弁接続ポート262及び265と流体連通状態にある。弁接続部233及び234は、圧力トランスデューサ352の個別のポートと流体連通状態にある。弁接続部235及び236は、圧力トランスデューサ354の個別のポートと流体連通においてある。
【0028】
図示される実施形態では、4つの弁はすべて、3ウェイソレノイド弁である。しかしながら、弁のうちの2つは、3ウェイ弁として機能し、残りの2つは、2ウェイ弁として機能する。接続/開口部261、267及び268は、2ウェイ弁として機能する第1の弁に関連付けられる。接続/開口部262、263及び269は、3ウェイ弁として機能する第2の弁に関連付けられる。接続/開口部264、270及び271は、2ウェイ弁として機能する第3の弁に関連付けられる。接続/開口部265、266及び272は、3ウェイ弁として機能する第4の弁に関連付けられる。接続261及び264が終端される点にも留意されたい。開口部270は、大気ベントポート256と流体連通状態にある。本発明は、(a)パージ・システムに完全に一体化される空気式マニホルドと、(b)より小さな設置面積と、(c)圧力トランスデューサに対する空気式部を通るより短い経路長と、(d)超音波溶接といった方法を用いる新規な組み立て方法とを持つ。
【0029】
図2〜7に示される例示的な電子空気式アセンブリ100は、呼吸測定システムにおいて必要とされる測定、ゼロ化及びパージ機能が信頼性高くコスト効率の良いソリューションにおいて実現されることを可能にする。測定機能は、圧力トランスデューサ352及び354とコネクタ226及び228との間の流体連通を可能にすることにより実行される。ゼロ化機能は、圧力トランスデューサと大気とのポートの間の流体連通を可能にすることにより、及び差圧トランスデューサ354の場合、同じ圧力トランスデューサの各ポート間の流体連通を同様に可能にすることにより実行される。
【0030】
筐体アセンブリ200は、数秒にわたり加圧される容積と、より有効なパージ機能を可能にするため開放される圧力とを含む。この容積は、筐体210の空腔220及びカバー250の一部により形成される。空腔220は、壁224を含み、圧力容器として機能するチャンバを作成するためカバー250により囲まれる。作動されるとき、ポンプ294はチャンバに空気を供給する。チャンバが十分に加圧されるまで、チャネル218における開口部に接続される弁は、閉じられたままである。気道アダプタのベンチレータ側の管がパージされることになる場合、弁は開口部276及び277の間の経路を開ける。気道アダプタの患者側の管がパージされることになる場合、弁は開口部275及び弁接続部266の間の経路を開ける。
【0031】
本発明の電子空気式アセンブリは、簡単なアセンブリを可能にする。そのステップは以下のように要約される。
1.筐体210及びカバー250を結合する。
2.弁シール及びトランスデューサ・シールをマニホルド・アセンブリの底面の空気式ポートへと圧入する。
3.ポンプフィルタ292をポンプ支持部290にインストール(圧入)する。
4.ポンプフィルタ292を備えて組み立てられるポンプ支持部290を筐体アセンブリ200の開口部230へと押し込む。
5.回路基板310と「負荷状態の」筐体アセンブリ200とを結合(例えばスナップ)する。
6.ポンプ294をポンプ支持部290に挿入する。
7.回路基板コネクタ325にポンプ294を電気的に接続する。
8.筐体アセンブリ200の開口部256に大気ベント・フィルタ258を押し込む。
【0032】
本発明により実現される利点は、以下の通りである。
(1)パージに関するすべての空気式部、空気式接続、回路基板取り付け接続及び圧力容器を含む単一ピース設計。
(2)より高い性能。内部容積がより少なく、均衡化の必要もなく、主に管システムに関連付けられる漏れもほとんどない。
(3)低コスト。射出成形設計に対する機械加工マニホルドよりピース当りのコストの下げ幅が大きい。
(4)製造の容易さ。デザインにより、5分未満でデバイスの完全な組み立てが可能にされる。
【0033】
本発明はフロー及び圧力感知機能を両方含むものとして説明されてきたが、これらの機能の1つだけが提供されることができる状況を本発明が想定する点に留意されたい。どの場合でも、要素に関する同じ構成が使用されることができるが、例えば開口部及びセンサといった必要のない要素は、遮断又は除去されることができる。逆にいえば、本発明は、例えば温度、湿度、pH又は他のガス監視機能といった電子空気式アセンブリ100における追加的な機能を提供することも想定する。もちろん、複数のフロー又は圧力測定といった1つ以上のタイプの機能が提供されることもできる。いずれにせよ、ポート、センサ及びチャネルの数は適切に増加される。
【0034】
最も実際的かつ好ましい実施形態であると現在考慮されるものに基づき、本発明が説明目的で詳述されたが、斯かるその詳細は、単に説明目的のためだけにあること、及び本発明は、開示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び均等な構成を覆うよう意図されることを理解されたい。例えば、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と結合されることができる点を本発明は想定していることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸測定システムに用いられる電子空気式アセンブリであって、
(a)複数のチャネルと空腔を形成する複数の壁とを持つ筐体であって、前記筐体が、上部面及び下部面を含み、複数の開口は、前記筐体の前記下部面に規定され、開口が、前記筐体において規定され、かつ圧力源と流体連通状態にあるよう構成される、筐体と、
(b)内側面及び外側面を持つカバーであって、前記内側面が、前記空腔を囲みチャンバが形成されるよう、及び前記チャネルを囲み複数の導管が形成されるよう、前記筐体の前記上部面に固定される、カバーと、
(c)前記複数の開口における少なくとも1つの開口に動作可能に結合される制御要素と、
(d)前記複数の開口における少なくとも1つの開口に動作可能に結合される測定要素とを有する、電子空気式アセンブリ。
【請求項2】
前記チャンバと流体連通状態にあるフロー供給要素を更に有する、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項3】
前記フロー供給要素が、ポンプである、請求項2に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項4】
前記測定要素が、圧力センサ、フローセンサ、又は圧力センサ及びフローセンサの両方である、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項5】
前記制御要素が、弁である、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項6】
前記制御要素が、複数の弁を含み、前記測定要素は、複数のセンサを含む、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項7】
前記カバーが、実質的に平らである、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項8】
前記筐体が、実質的に堅い、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項9】
回路基板を更に有し、前記制御要素、前記測定要素及び前記筐体が、前記回路基板に固定される、請求項1に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項10】
呼吸測定システムに用いられる電子空気式アセンブリであって、
(a)第1の面と、複数のチャネルと、前記第1の面に規定される空腔とを持つ筐体と、
(b)気道アダプタと流体連通状態にある前記複数のチャネルと前記空腔とを結合する接続手段と、
(b)前記空腔を囲みチャンバが形成されるよう、及び前記チャネルを囲み複数の導管が形成されるよう、前記第1の面を覆うカバー手段と、
(c)前記複数のチャネルにおける流体のフローを制御するフロー制御手段と、
(d)前記気道アダプタを通過するガスの特性を測定するため前記複数のチャネルに動作可能に結合される測定手段と有する、電子空気式アセンブリ。
【請求項11】
前記チャンバにガスを提供するため、前記チャンバと流体連通状態にあるフロー生成手段を更に有する、請求項10に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項12】
前記測定手段が、圧力センサ、フローセンサ、又は圧力センサ及びフローセンサの両方である、請求項10に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項13】
前記フロー制御手段が、弁である、請求項10に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項14】
前記筐体が、実質的に堅い、請求項10に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項15】
回路基板を更に有し、前記フロー制御手段、前記測定手段及び前記筐体が、前記回路基板に固定される、請求項10に記載の電子空気式アセンブリ。
【請求項16】
呼吸測定システムに用いられる電子空気式アセンブリを組み立てる方法において、
複数のチャネルと空腔を形成する複数の壁とを持つ筐体を提供するステップであって、前記筐体が、上部面及び下部面を含み、複数の開口は、前記筐体の前記下部面に規定され、開口が、前記筐体に規定され、かつ圧力源と流体連通状態にあるよう構成される、ステップと、
内側面及び外側面を持つカバーを提供するステップと、
前記空腔を囲みチャンバが形成されるよう、及び前記チャネルを囲み複数の導管が形成されるよう、前記筐体の前記上部面に前記内側面を固定するステップと、
前記複数の開口における少なくとも1つの開口に制御要素を結合するステップと、
前記複数の開口における少なくとも1つの開口に測定要素を結合するステップとを有する、方法。
【請求項17】
前記制御要素、前記測定要素及び前記筐体を回路基板に結合するステップを更に有する、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−537742(P2010−537742A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523145(P2010−523145)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/074698
【国際公開番号】WO2009/029732
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】