説明

品質改良コーティング加工の施された繊維状平坦形成物、その製造およびその使用

本発明は、異なる組成の熱可塑性の加熱封鎖接着剤からなりかつ互いに重なり合う2層からなるコーティング加工層を持つ繊維状平坦形成物であって、第1の加熱封鎖接着剤上に塗布された第2の加熱封鎖接着剤が、135℃を上回る融点および50〜250g/10分(190℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するものに関する。本発明は、繊維状平坦形成物の製造方法であって、a)平坦繊維構成技術により繊維状平坦形成物を製造し、b)繊維状平坦形成物上へ第1の加熱封鎖接着剤層を塗布し、c)平坦繊維形成物上へ第2の加熱封鎖接着剤層を塗布し、これにより、d)第2の加熱封鎖接着剤層からなる層が、第1の加熱封鎖接着剤層上に形成され、その場合、第2の加熱封鎖接着剤としては135℃を上回る融点および50〜250g/10分(190℃/2.16kg)のメルトフローインデックス(MFI)値を有するものを使用する。この繊維状平坦形成物は、手入れ処理の際の高い要求に対応可能な芯地または裏地として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に芯地または裏地として適し、改良された応用技術特性および改良された加工特性を特徴とする繊維状平坦形成物(繊維状のシート状物、textile Flaechengebilde)、ならびに繊維品用芯地としてのその製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
芯地または裏地に、加熱接着用の接着媒質として種々様々な熱可塑性物質を使用できることは公知である。それには、通常、コポリアミド、コポリエステルおよびポリオレフィンが使用される。
【0003】
従来技術から、芯地の加工特性および応用特性を改良するための試みがいくつか知られている。
【0004】
米国特許出願公開第3,893,883号明細書には、ホットメルト接着剤(Schmelzkleber)でコーティングされた繊維状平坦形成物が記載され、ホットメルト接着剤としては、選択されたポリエチレンおよびテルペン樹脂の混合物が使用されている。
【0005】
欧州特許出願公開第110,454号明細書には、化学的クリーニング法において改良された付着力および安定性を示す芯地が記載されている。この芯地は、極めて密に狭い分子量分布、高い密度および選択されたメルトフローインデックス(MFI)を持つ選択されたポリエチレンを使用することを特徴としている。
【0006】
幅広い加工範囲内での手触りおよび付着強度の変化に対する改良のため、また多数の表面生地における均一な固着条件を得るため、異なった接着特性を持つ加熱封鎖接着剤もしくは加熱シール接着剤(Heisssiegelkleber)からなり、互いに重なり合いかつ少なくとも2層の網状層からなる網状コーティング層を有する繊維状平坦形成物が既に開発されている。このような繊維状平坦形成物については、独国特許出願公開第22142236号明細書および独国特許出願公開第2351405号明細書に記載されている。この公知の繊維状平坦形成物では、異なるポリマーからなる圧感接着剤が使用されている。この公知の「ダブルドット法」は、芯地および裏地の製造および加工における操業現場で数年来定評を博してきた。
【0007】
ポリマーはそれぞれ分子構造が異なっているため、物理的および化学的特性、例えば融点、粘度およびアルカリ洗浄液や化学的クリーニング剤等に対する安定性には相違がある。これらの値は、芯地の分野用のポリマーの選択において重要である。
【0008】
例えば、95℃までの洗濯条件に耐えることが要求されるシャツ芯地の分野では、加熱封鎖接着剤として、高密度の典型的なポリエチレン(以下では“HDPE”と呼ぶ)が使用されている。このポリマーは、例えば、約130℃の高い融解領域および10〜20g/10分(190℃/2.16kg負荷)の低いMFI値(融解指数またはメルトフローインデックス)を有している。しかし、このポリマーの融解領域および粘度が高い(MFI値が低いことに相当)ことから、140℃を超える固着温度を必要とするのが欠点である。その上、十分な付着作用を得るには極めて多量のHDPEが必要である。
【0009】
特に、洗濯に対する高い耐性を要しかつ厳しい条件で乾燥される場合の利用のためには、現在市販されているホットメルト接着剤用ポリマーは十分な適性を有していない。
【0010】
融解領域100〜125℃、MFI値2〜70g/10分(140℃/2.16kg負荷)の低密度型のコポリアミド、コポリエステル、ポリエチレン(LDPE)では、繰り返しの手入れ処理を行った後、許容可能な分離強度が得られない。
【0011】
また、多量の塗布量を利用する用途では、融解領域約130℃、MFI値2〜20g/10分(190℃/2.16kg負荷)のHDPEは十分に良好な分離強度をもたらすが、例えばトンネル式仕上加工機(Tunnlefinischer)中での乾燥工程では、気泡の形成および接着層の剥離が起きてしまう。また、強力に運動する熱風による高い機械的負荷、およびさらなる蒸気の導入は、塗布されるホットメルト接着層には極端な負担となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような背景技術から出発した本発明は、常用の固着プレスにより問題なく加工可能であり、95℃までの極めて良好な洗濯耐性を示し、高サイクルでの極端な乾燥条件にも耐えられる、付着接着剤(Haftkleber)により形成された繊維状平坦形成物を提供することを課題とする。
【0013】
つまり、本発明の課題は、加熱封鎖接着剤を用いて形成された繊維状平坦形成物であって、強力な洗濯負荷、ならびにそれに続く厳しい乾燥に対する要求に関する標準試験の条件下での加工において従来技術の周知の欠点を示さず、少なくとも50回のクリーニングサイクルに耐え、しかもその際「色移行(color pick up)」や付着性の低下等の周知の欠点を示すことのないものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、組成の異なる熱可塑性の加熱封鎖接着剤からなりかつ互いに重なり合う2つのコーティング層を備えている繊維状平坦形成物であって、第1の加熱封鎖接着剤上に塗布された第2の加熱封鎖接着剤が、135℃を上回る融点および50〜250g/10分(190℃/2.16kg)のメルトフローインデックス(MFI値)を有するものに関する。
【0015】
前記加熱封鎖接着剤からなるコーティング層を備えている繊維状平坦形成物において、第2の層の形成に使用される加熱封鎖接着剤が、145℃を上回る融点および50〜200g/10分(190℃/2.16kg)のMFI値を有すると有利である。
【0016】
前記繊維状平坦形成物において、第2層の形成に使用される前記加熱封鎖接着剤が、150℃を上回る融点および50〜150g/10分(190℃/2.16kg)のMFI値を有すると特に有利である。
【0017】
さらに、前記加熱封鎖接着剤からなるコーティング層を備えている繊維状平坦形成物において、第2の加熱封鎖接着剤が、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリアミドをベースとしていると有利である。
【0018】
さらに、前記繊維状平坦形成物において、第2の加熱封鎖接着剤がポリウレタンをベースとしていると有利である。
【0019】
前記繊維状平坦形成物において、第2の加熱封鎖接着剤が、ポリプロピレンをベースとし、145℃を上回る融点および60g/10分(190℃/2.16kg)より大きいMFI値を有するコポリエステルと共に2〜98重量%の比率で含まれていると有利である。
【0020】
さらに、第2の加熱封鎖接着剤が、ポリプロピレンをベースとし、160℃を上回る融点および140g/10分(190℃/2.16kg)より大きいMFI値を持つコポリエステルを2〜98重量%の比率で含む繊維状平坦形成物であると特に有利である。
【0021】
また、前記繊維状平坦形成物において、第1の加熱封鎖接着剤が、架橋結合性または熱弾性ポリマーをベースとしていると有利である。
【0022】
特に有利であるのは、第1の加熱封鎖接着剤が10g/10分(190℃/2.16kg)より大きいMFIを有する繊維状平坦形成物である。
【0023】
さらに、前記繊維状平坦形成物において、第1の加熱封鎖接着剤のMFIが20g/10分(190℃/2.16kg)より大きく200g/10分(190℃/2.16kg)までの範囲にあるものが有利である。
【0024】
繊維状平坦形成物の第1の加熱封鎖接着剤が、ポリオレフィン、ポリアミドおよび/またはポリエステルをベースとすると有利である。
【0025】
極めて有利には、繊維状平坦形成物の第1の加熱封鎖接着剤がポリプロピレンをベースとする。
【0026】
第1の加熱封鎖接着剤と第2の加熱封鎖接着剤との質量比が2:1〜1:3である繊維状平坦形成物は、有利である。
【0027】
145℃を上回る融点および60g/10分(190℃/2.16kg)より大きいMFI値を有する高融点のコポリエステルおよびコポリアミドも第2の層に使用することができる。
【0028】
驚くべきことに、加熱封鎖接着剤の塗布のための、選択された融解粘度を有する圧感接着剤の使用およびそれ自体公知であるダブルドット法との組合せによって、ポリオレフィンをベースとする加熱封鎖接着剤により、155℃を超える温度で表面生地に良好に固着させることができ、その後、ISO15797:2004「作業衣の試験のための工業用洗浄仕上加工法」の試験条件、少なくとも25から50を超えるサイクルの耐久回数も満たし、かつ/または95℃までの洗濯処理にも耐え、使用時に「色移行」を示すことのない芯地を得られることができることが見出された。
【0029】
さらに、驚くべきことに、使用されるポリマーのMFI値が比較的高いにも拘わらず、加熱封鎖接着剤の表面生地を通したストライクスルー(浸出)、および層間のサンドイッチ式(挟込み式)の固定の際の背面リベッティング(ストライクバックして機械とのリベット留めが生じてしまうこと)がないことが確認できた。
【0030】
さらに、驚くべきことに、上記ポリマーにより、分散ペーストドット印捺法(Dispersionspastenpunktdruck)による一層塗布を用いた場合も、あるいは彫刻ローラ(Gravurwalzen)によるポリマー粉末塗布(パウダードット法)を用いた場合も、極めて良好な試験測定値およびより高いサイクル数を、標準的なポリマーとして達成できることが見出された。
【0031】
圧感接着剤の使用によって本発明により改良された繊維状平坦形成物は、あらゆる平坦形成物形成技術により製造することができる。その技術は、例えば、製織、シート形成、編成、ループ形成あるいは湿潤式または乾燥式の不織布製造法である。
【0032】
「繊維状平坦形成物」という概念は、本明細書では、織物、ループ地、編物、シート地あるいは特に不織布であると理解されたい。
【0033】
典型的には、本発明による繊維状平坦形成物、特に不織布は、10〜500g/mの単位面積重量を有する。
【0034】
特に有利には、単位面積重量30〜200g/mの繊維状平坦形成物が使用される。
【0035】
本発明による繊維状平坦形成物は、それ自体公知の方法によって、例えば機械的あるいは流体力学的なニードリングにより、繊維状平坦形成物に存在する結合繊維の融解により、熱機械的固化により、あるいは結合剤の適用により固定(ボンディング)させることができる。
【0036】
繊維状平坦形成物には、その製造後、それ自体公知の方法、有利には「ダブルドット法」によって、2層の異なる加熱封鎖接着剤が設けられる。
【0037】
加熱封鎖接着剤としては、有利には、上に規定した範囲の融解指数(MFI値)を有するポリオレフィンベースの接着剤を使用する。
【0038】
融解指数(溶液指数)とは、本明細書の枠内では、DIN53735:1980−10またはISO1133に従って算出されたMFI値のことである。
【0039】
ポリオレフィンという概念には、α−オレフィンから、有利にはプロピレンまたはエチレンから誘導されたホモポリマーの他、α−オレフィンから誘導された構造単位、ならびにその他のエチレン性不飽和炭化水素、例えば他のα−オレフィンからおよび/またはスチレン等のビニル芳香族から誘導された構造単位を含むコポリマーも包含される。
【0040】
α−オレフィンの例としては、エチレン、プロプ−1−エン、ブト−1−エン、ペント−1−エン、へクス−1−エン、オクト−1−エンまたはデク−1−エンがある。
【0041】
それ自体公知のポリオレフィンの全ての種類を使用することができる。その例としては、チーグラー/ナッタ法に従って、またはメタロセン触媒の使用下で製造されるポリオレフィンがある。
【0042】
有利に使用されるポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレンおよびプロピレンから誘導されたコポリマーがある。さらなる例としては、エチレンから、またはブト−1−エン、ペント−1−エン、へクス−1−エン、オクト−1−エンまたはデク−1−エン等の高炭素数の他のα−オレフィンを含むプロピレンから誘導されたコポリマーがある。
【0043】
加熱封鎖接着剤の一方または両方の層は、それぞれのポリオレフィン(混合物)の他に、改質ポリオレフィンを含んでいてよい。それは、少なくとも一種のα−オレフィン、エチレン性不飽和酸またはその無水物、あるいはエチレン性不飽和エポキシド化合物またはこれら2つもしくはそれ以上のコモノマーの混合物から誘導されたコポリマーを指している。その場合、改質は、任意の方法で、例えばα−オレフィンのモノマーと選択されたコモノマーとの共重合として、および/または選択された極性コモノマーのポリオレフィンへのグラフトとして行なうことができる。
【0044】
コポリマーのこれら群の製造に単独でまたは組み合わせて使用されるα−オレフィンまたはその他オレフィン性不飽和炭化水素の例は、本明細書で上述したように、1つまたは複数のα−オレフィンから誘導されたモノポリマーまたはコポリマーの製造に関する説明に記載した通りである。
【0045】
改質ポリオレフィンの群の中で有利に使用されるのは、ポリプロピレンまたは特にポリエチレン、あるいはエチレンおよびアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、特にアルキルエステルから誘導されたコポリマーである。
【0046】
本発明により使用される加熱封鎖接着剤は、以上の挙げたもの以外に、常用の補助剤をさらに含んでいてよい。この補助剤は、希望する特性および加熱封鎖接着剤の塗布方法および加工方法に依存して添加される。そのような添加剤の例としては、乳化剤、増粘剤、顔料および加工助剤がある。
【0047】
コーティングされた繊維状平坦形成物に直接載置されている下層の材料特性は、加熱封鎖接着の条件下で、その上に設けられている上層より小さな熱可塑性流動性を有するように選択すると有利である。これは、本発明によれば、加熱封鎖コーティングの溶融粘度に相応する所定の領域の溶融指数を有する加熱封鎖接着剤の使用によって達成することができる。
【0048】
加熱封鎖接着剤は、規則的な、または有利には不規則的な模様の形態で、繊維状平坦形成物の表面に塗布される。コーティングのスクリーンパターンは、線状、網状または螺旋状に、あるいはその他のあらゆる規則的または不規則的に配置されたスクリーンもしくは格子の形態で構成することができる。加熱封鎖接着剤は、有利には不規則な点スクリーン状の形態で塗布されるのが好ましい。
【0049】
有利な実施形態では、平坦形成物上に直接載置されている下層は、90〜100重量%のポリプロピレンおよび0〜10重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、下層上に配置されている上層は、下層で使用されるポリマーと同じまたはそれより高い融解流動性を有するポリプロピレンを含む。
【0050】
別の有利な実施形態では、平坦形成物上に塗布される下層はペーストからなっており、このペーストが、不規則な点スクリーン状の形態で平坦形成物上に塗布されており、その上に配置される上層は粉末または粉末混合物からなっており、これは、平坦形成物上に塗布されている。粉末(混合物)は、ペーストの存在するところには固着して留まるが、その他の箇所では、平坦形成物の表面から簡単に除去できる。
【0051】
本発明により使用される第1および第2の加熱封鎖接着剤の質量比は、広い範囲で変動可能であり、典型的には5:1〜1:5、好ましくは2:1〜1:3の範囲で変動する。
【0052】
本発明は、上記繊維状平坦形成物の製造方法にも関する。この方法は、次のステップを含む。
【0053】
a)繊維状平坦形成物の形成技術により、それ自体公知の方法によって、繊維状平坦形成物を製造するステップ、
b)第1の加熱封鎖接着剤の層を、規則的または不規則的な模様の形態で、繊維状平坦形成物に公知の方法によって塗布するステップ、および
c)第2の加熱封鎖接着剤の層を繊維状平坦形成物に塗布し、これにより、第1の加熱封鎖接着剤の層の上に、第2の加熱封鎖接着剤からなる層を公知の方法によって形成するステップ。
【0054】
この場合、上記で定義した第1および第2の加熱封鎖接着剤を使用する。
【0055】
この方法は、選択された加熱封鎖接着剤の使用を特徴とする、修正された「ダブルドット法」に関する。
【0056】
本発明により使用される加熱封鎖接着剤の製造は、様々な方法で行うことができる。
【0057】
その例としては、成分を摩砕し、続いて粉末混合する方法、顆粒形態で成分を混合し、続いて摩砕する方法、ならびに押出しにより成分を混合し、続いて摩砕する方法がある。
【0058】
加熱封鎖接着剤の塗布も、それ自体公知の様々な方法により行うことができる。
【0059】
第1のステップでは、第1の加熱封鎖接着剤のペーストを、規則的な、または有利には不規則的な模様の形態で、繊維状平坦形成物上に塗布することができる。その場合、塗布は、スクリーン印刷または刻印ローラ(strukurierte Walze)により行うことができる。次に、第2のステップでは、第2の加熱封鎖接着剤からなる粉末を、繊維状平坦形成物上に散布する。この粉末は、第1の加熱封鎖接着剤がある箇所ではそのペーストに接着して留まるが、繊維状平坦形成物の表面のその他部分からは、吸引によって除去することができる。後続の熱処理過程で、第1および第2の加熱封鎖接着剤を、互いに重なり合う層として固着させる。
【0060】
本発明により改質された繊維状平坦形成物は、芯地または裏地として使用することができる。本発明は、この目的での使用、特に手入れ処理における高い負荷もしくは要求に対応する固定芯地および/または裏地としての使用にも関する。
【0061】
本発明による繊維状平坦形成物は、特に職業用衣料(作業服)のカラーおよびそで口の固定芯地または補強芯地としての使用に適している。
【0062】
本発明による改質繊維状平坦形成物は、補強用表面生地とそれ自体公知の方法により接着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
下記の実施例は本発明を説明するものであるが、本発明がこの実施例に限定されることなはない。
【0064】
実施例1
単位面積重量100g/mの100%ポリエステル(「PES」)をそれ自体公知のダブルドット法によりコーティングした。その場合、下点には、乳化剤、増粘剤および工程助剤など常用の補助剤が添加されたペーストを使用した。このペーストは、ポリマー成分として、融点130℃、MFI値10g/10分(190℃、負荷2.16kgの条件)のHDPEを含んでいた。上点用の散布粉末としては、融解領域145〜155℃、MFI値が200g/10分(190℃、負荷2.16kgの条件)を超えるポリウレタン粉末を塗布した。
【0065】
コーティング過程では12gの下点用ペーストを塗布し、25gの散布粉末で覆った。
【0066】
このようにして製造された芯地は、温度175℃で様々な表面生地に対して極めて良好な付着状態で固着させることができ、95℃での洗濯に対しても安定であった。
【0067】
分離強度は、固着(175℃、20秒、2barの条件−Gygliシャツプレス機)後では21.6N/5cm、95℃での10回の洗濯および乾燥の後では17.4N/5cmであった。
【0068】
分離強度は、固着時間30秒での固着後には30.7N/5cm、95℃での10回の洗濯および乾燥の後では17.4N/5cmであった。
【0069】
この芯地は、上記のように、同一のプレス機調整条件では25秒で固着し、28サイクルの工業用洗濯およびその都度の後続のトンネル式仕上機内での乾燥に耐久し、気泡の形成もなかった。
【0070】
実施例2
木綿100%の織物を前処理し、単位面積重量130g/mのシャツ芯地として使用するために装着させた後、ダブルドット法によってコーティングした。その場合、下点には、乳化剤、増粘剤および工程助剤など常用の補助剤が添加されたペーストを使用した。このペーストは、ポリマー成分として、融点160℃、MFI値50g/10分(190℃、負荷2.16kgの条件)のポリプロピレンを含んでいた。上点用の散布粉末としては、融点160℃、150g/10分(190℃、負荷2.16kgの条件)を超えるMFI値のポリプロピレンを使用した。コーティング工程では10gの下点用ペーストを塗布し、19gの散布粉末で覆った。
【0071】
このようにして製造された芯地は、温度180℃で様々な表面生地に対して極めて良好な付着状態で固着させることができ、95℃の洗濯に対し安定であった。
【0072】
得られた分離強度は、固着(180℃、20秒、2barの条件−Gygliシャツプレス機)後では23.5N/5cm、95℃での10回の洗濯および乾燥の後では21.2N/5cmであった。固着時間30秒での固着の場合では、分離強度は固着後の時点で25.7N/5cm、95℃での10回の洗濯および乾燥の後では22.4N/5cmであった。この芯地は、上記のとおり、同一のプレス機調整条件で、25秒で固着させ、50サイクルを超える工業用洗濯およびその都度の後続のトンネル式仕上機での乾燥に耐久し、気泡の形成もなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる組成を有する熱可塑性加熱封鎖接着剤からなる互いに重なり合った2層からなるコーティング層を備えている繊維状平坦形成物であって、第1の加熱封鎖接着剤上に塗布された第2の加熱封鎖接着剤が、135℃を上回る融点および50〜250g/10分(190℃、2.16kg)のメルトフローインデックスMFI値を有する、繊維状平坦形成物。
【請求項2】
前記第2層の形成に使用される加熱封鎖接着剤が、145℃を上回る融点および50〜200g/10分(190℃、2.16kg)のMFI値を有する、請求項1に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項3】
第2の層の形成に使用される前記加熱封鎖接着剤が、150℃を上回る融点および50〜150g/10分(190℃、2.16kg)のMFI値を有する、請求項1に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項4】
前記第2の加熱封鎖接着剤が、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリアミドをベースとして構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項5】
前記第2の加熱封鎖接着剤が、ポリウレタンをベースとして構成されている、請求項4に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項6】
前記第2の加熱封鎖接着剤が、145℃を上回る融点および60g/10分(190℃、2.16kg)より大きいMFI値を有するコポリエステルを2〜98重量%の比率で含むポリプロピレンをベースに構成されている、請求項4に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項7】
前記第2の加熱封鎖接着剤が、160℃を上回る融点および140g/10分(190℃、2.16kg)より大きいMFI値を有するコポリエステルを2〜98重量%の比率で含むポリプロピレンをベースに構成されている、請求項6に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項8】
前記第1の加熱封鎖接着剤が、架橋結合性または熱可塑性のポリマーをベースとして構成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項9】
前記第1の加熱封鎖接着剤が、10g/10分(190℃、2.16kg)より大きいMFI値を有する、請求項8に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項10】
前記第1の加熱封鎖接着剤が、20g/10分(190℃、2.16kg)より大きく200g/10分(190℃、2.16kg)までの範囲のMFI値を有する、請求項8に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項11】
前記第1の加熱封鎖接着剤が、ポリオレフィン、ポリアミドおよび/またはポリエステルをベースとするものである、請求項8から10のいずれか1項に記の繊維状平坦形成物。
【請求項12】
前記第1の加熱封鎖接着剤が、ポリプロピレンをベースとして構成されている、請求項11に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項13】
第1および第2の加熱封鎖接着剤の質量比が、2:1〜1:3である、請求項1から12のいずれか1項に記載の繊維状平坦形成物。
【請求項14】
請求項1に記載の繊維状平坦形成物の製造方法であって、
a)前記繊維状平坦形成物を平坦繊維形成技術により製造し、
b)前記繊維状平坦形成物へ第1の加熱封鎖接着剤層を塗布し、
c)前記繊維状平坦形成物へ第2の加熱封鎖接着剤層を塗布し、これにより、
d)前記第2の加熱封鎖接着剤からなる層が、前記第1の加熱封鎖接着剤層上に形成され、該第1および第2加熱封鎖接着剤として請求項1に記載のものを使用する、ステップを含む、請求項1に記載の繊維状平坦形成物の製造方法。
【請求項15】
第1のステップで、前記第1の加熱封鎖接着剤のペーストを、規則的な、または有利には不規則的な模様の形態で、前記繊維状平坦形成物に塗布し、第2のステップで、前記第2の加熱封鎖接着剤の粉末を、前記繊維状平坦形成物上に散布し、該粉末が、前記第1の加熱封鎖接着剤がある箇所ではペーストに接着したままとなり、前記繊維状平坦形成物の表面のその他の箇所からは吸引によって除去され、後続の熱処理において、前記第1および第2の加熱封鎖接着剤を、互いに重なり合う層として固着させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に記載された繊維状平坦形成物の、手入れ処理における高い負のための芯地または裏地としての使用。
【請求項17】
請求項13に記載された繊維状平坦形成物の、職業衣料の襟および袖口の固定芯地または補強芯地としての使用。

【公表番号】特表2008−529840(P2008−529840A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554504(P2007−554504)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001192
【国際公開番号】WO2006/084700
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(501479868)カール・フロイデンベルク・カーゲー (73)
【Fターム(参考)】