説明

哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法及びその製造装置

【課題】化粧品や食料品としての原料コラーゲンを哺乳動物の新鮮な生皮から短時間で、しかも二次処理の必要な薬品等を皆無にし、添加するものでもその種類と添加量を極少にした簡単な製造工程により、低コストで新鮮で且つ安全にコラーゲンを製造する方法と装置を提供する。
【解決手段】哺乳動物の生皮を順次、殺菌洗浄処理し、破砕してペレット状に成型固形化し、除湿調整後に凍結して細胞を氷結膨張させ、低周波電流を加電して凍結崩壊した後、脂肪酸アルコールを添加して加温攪拌しながら解凍し、高圧を付与し、遠心分離してコラーゲン成分を分離抽出し、分離コラーゲンを真空除湿してアルコール分を除去し、粉体化する哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚などの哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法及びその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、豚などの哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法に関するものである。
【0003】
「コラーゲン」という名称は、「コロイド」という用語がギリシャ語で「にかわ状」を意味するのと同様に、にかわに対応するギリシャ語に由来する。
哺乳動物の生皮を処理してコラーゲンを製造することは古くから知られている。哺乳動物の蛋白源の中でも、生皮からのコラーゲンは構成アミノ酸にヒドロキシプロリンを多量に含み、生理学的機能性が高く.化粧品、食料補助剤、 各種物理的機能を応用した種々の安定剤などの原料として製造され活用されている。
上皮成分外胚葉.内胚葉.中胚葉また.血液成分赤血球からの.アミノレブリン酸等の抽出が可能となり.生理学的.応用も可能となりえる。
皮膚は4つの異なる層からなり、これらは外側から内側へ順に次の四層から構成される。
(1)第一層の「表皮」と称される層は、上皮からなる薄い外層で、コラーゲンではなく、ケラチンというタンパク質に富む。
(2)第二層は、コラーゲンに富むち密な層で、「皮膚(dermal)」または「グレイン(grain)」層と称され、古い文献では「サーモスタット(thermostat)」層とも呼ばれる。
(3)第三層は、あまり緻密ではなく、コラーゲンに富む結合組織からなり、より厚い層で、「真皮」層と称される。
(4)第四層は「皮下組織」からなる内部層で、「フレッシュ(flesh)」として知られ、これにより皮膚はその下にある組織に結合する。
剥がされた動物の生皮は、一般に、微生物による分解を止めるために、塩および/または他の殺菌溶液中で「保存(cured)」されるか、またはこれらに次いで脱毛の予備処理として「石灰処理(limed)」される。
石灰処理が完了した後、毛、表皮、および他の残ったフレッシュ、脂肪、および表面の筋肉は剥離除去され、皮膚(dermal)層は、必要な真皮層と共に切り取られて酸または塩溶液中に浸漬することによって「脱石灰(delimed)」されコラーゲン構造を安定させる。
この後、コラーゲン製造メーカや、なめし革の製造メーカ等に出荷される。
【0004】
<従来のコラーゲンの製造方法>
一般的なコラーゲンの製造方法は、大別して原料選別工程、原料の前処理工程、抽出工程、抽出物を利用した可溶性コラーゲン製造工程及び精製工程で構成されている。より具体的に説明すると、選別された豚皮(pig skin)を前処理工程で酸処理を行った後、抽出を容易にするために過量投入された薬品を多量の水で洗浄する工程を経る。洗浄工程を経た豚皮からコラーゲンを抽出し、この抽出物を利用して可溶性コラーゲンを製造した後、純度を高めるための精製工程として脱塩処理工程を行うことによって、可溶性コラーゲンを製造することになる。従って、従来の豚皮からコラーゲンを製造する方法は、前処理工程及び洗浄工程から発生する廃水の処理のための付加的装置が要求され、 酸処理の際に使用される毒性が強い無機酸を除去する別途の脱塩工程を必要とするため、全体の製造工程が複雑であり、多段階の工程を経ることによって、収得効率も低下するものである。
【0005】
<他の具体例>
1、化粧品原料としてのコラーゲンの製法
(1)、魚鱗をアルカリ剤で加水分解し、得られた加水分解液を濾過後、濾液を蛋白質分解酵素で加水分解して魚鱗由来加水分解コラーゲンを製造するもので、優れた保湿性となめらかさをもたらし動物臭の無い魚鱗由来の加水分解コラーゲンが得られる製法が特開2003−238598号公報により紹介されている。
これは魚類由来の従来のコラーゲンの製造方法(例えば、特開平9−278639号公報、特開2000−256398号公報、特許第2722014号公報、特許第2864459号公報など)や魚鱗由来のもの(例えば、特開平5−93000号公報、特開平5−125100号公報、特開平5−155900号公報など)はコラーゲン源として、品質が一定な原料を確保することが困難な上に、魚皮では色素の除去、魚鱗では脱灰処理などが必要で、製造工程の煩雑さなどから、一定品質でかつ比較的高品質が要求される化粧品用原料とするには高価格になりすぎる等の課題を解決したものである。しかも化粧品に見合った分子量の200〜5,000程度に加水分解する必要があったとするものである。
これによるコラーゲンの平均アミノ酸分子量は、アミノ酸の存在割合をアミノ酸分析により求め、これに各アミノ酸の分子量を掛けて合計することにより求めると、魚鱗由来コラーゲンも牛皮や豚皮由来のコラーゲンと同様な平均アミノ酸分子量108前後となるとしている。
【0006】
(2)、pH9以下において可溶で、配合安定性、透明性に優れたコラーゲン誘導体を安価に製造する方法が、特開平9−77797(特許番号3746816 (平17.12.2))で紹介されている。
この方法は、コラーゲンを含有する動物組織において、コラーゲン分子に存在するカルボキシ基を、アルコールでエステル化すること、または、コラーゲン分子に存在するアミノ基を酸クロライドまたは酸無水物を用いてアシル化することにより修飾して、化粧品基剤用のコラーゲンを抽出するものである。
具体例としては、石灰漬け豚皮を漉いた後、脱灰・ミンチ化及び脱脂したもの10g,エチレングリコール2L,硫酸2.86ml(0.1N相当)を三角フラスコに仕込み、24℃で7日間振盪を行い。振盪後、脱脂豚皮を濾過し、蒸留水を加え0.1Nの水酸化ナトリウム溶液で中和および蒸留水500mlにより数回洗浄を行い、洗浄した脱脂豚皮を2%クエン酸溶液中で酵素処理することにより修飾アテロコラーゲンの抽出を行うものである。
これにより、溶解範囲が広くかつ優れた溶解安定性を有し、しかも低コストで製造がなし得るとするものである。
【0007】
2、食品としてのコラーゲンの製法
(1)、豚皮(pig skin)を原料として、より容易かつ簡単な方法で、人体に吸収が速く、冷たい水にも容易に溶けることができ、各種機能性飲料及び食品に利用することができるマイルドな可溶性コラーゲンの製造方法が、特開2003−319794(特許番号3720324 (平17.9.16))で紹介されている。
具体的な製造工程は、豚皮をチョッピングして原料コラーゲンを製造する工程と、前記原料コラーゲンに、水を質量で70:30乃至50:50の割合で混合し、その後、前記コラーゲン溶液のpHを6.5〜8.5に調節した後、前記原料コラーゲンに対し0.1〜1%(質量百分率)の第1蛋白質加水分解酵素を添加し、55〜70℃で処理する第1酵素処理工程と、前記第1酵素処理工程で処理されたコラーゲン溶液に、 前記コラーゲン溶液のpHを5.5〜7.5に調節した後、前記原料コラーゲンに対し0.1〜0.5%(質量百分率)の第2蛋白質加水分解酵素をリケニホルミス菌(Bacilluslicheniformis)や アミロクエファシエム菌(Basillus amylpouefaciems)を添加し、45〜55℃で処理する第2酵素処理工程及び、前記第2酵素処理工程で処理されたコラーゲン溶液を濾過して異物質を除去した後、 真空濃縮、殺菌及び乾燥を行う工程により分子量が1,000〜2,000のマイルドな可溶性コラーゲンを得る製造方法である。
【0008】
しかしながらこれら従来公知のコラーゲン製造方法は、原料の生皮の鮮度が問題で、いずれも前述の一般例のように、多くの要二次処理の薬品や酵素を添加する複雑で多数の工程を必要とし、多大な労力と時間と費用のかかるものであった。
【特許文献1】特開2003−238598号公報
【特許文献2】特開平9−77797号公報
【特許文献3】特開2003−319794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、二次処理の必要な薬品等の添加を皆無にし、且つ簡単な物理的手段を単独或いは併用した単純手法を採用して使用機器類のシンプル化と連結処理ライン工程化を簡易に可能とした製造工程により、化粧品や食料品等としての原料コラーゲンを新鮮な生皮から短時間で、新鮮で安全なコラーゲンを低コストで製造する方法と装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴とする技術条件は、次の(1)〜(4)の通りである。
(1)、哺乳動物の生皮を順次、殺菌洗浄処理し、破砕してペレット状に成型固形化し、除湿調整後に凍結して細胞を氷結膨張させ、低周波電流を加電して凍結崩壊した後、脂肪酸アルコールを添加して加温攪拌しながら解凍し、高圧を付与し、遠心分離してコラーゲン成分を分離抽出し、分離コラーゲンを真空除湿してアルコール分を除去し、粉対化することを特徴とする哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。
【0011】
(2)、哺乳動物の生皮を、遠紫外線照射.オゾンガス発泡浄水により殺菌洗浄処理し、次いで細かく破砕してペレット状に成型固形化し、冷蔵乾燥(除湿調整)し、0〜-5℃で凍結させて細胞を氷結膨張させ、この状態で50〜60Hzの低周波電流を加電して氷結細胞を破壊し、この後氷結状態を崩壊して、これに濃度65%以上の脂肪酸アルコールを65〜85wt%添加して30〜40℃の加温と攪拌しながら解凍し、次いで加電しながら500〜1.000hPa/cm3の超高圧を付与した後、遠心分離してコラーゲンと脂肪酸アルコールとその他の残屑物を分離抽出し、分離コラーゲンから残存アルコール分を真空除湿することを特徴とする哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。
【0012】
(3)、哺乳動物の生皮を、遠紫外線照射.オゾンガス発泡浄水により殺菌洗浄処理し、次いで細かく破砕してペレット状に成型固形化し、冷蔵乾燥(除湿調整)し、0〜-5℃で凍結させて細胞を氷結膨張させ、この状態で50〜60Hzの低周波電流を加電して氷結細胞を破壊し、この後氷結状態を崩壊して、これに濃度65%以上の脂肪酸アルコールを65〜85wt%添加して30〜40℃の加温と攪拌しながら解凍し、次いで加電しながら500〜1.000hPa/cm3の超高圧を付与した後、遠心分離してコラーゲンと脂肪酸アルコールとその他の残屑物を分離抽出し、分離コラーゲンから残存アルコール分を真空除湿する、この後遠赤外線照射により水分を加温除去して固形化し、これを粉末精製して難溶性コラーゲンを可溶性コラーゲンに変換調整して可溶性コラーゲンにすることを特徴とする哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。
【0013】
(4)、哺乳動物の生皮の殺菌洗浄処理装置1と、殺菌洗浄処理装置から殺菌洗浄済み生皮を破砕する破砕装置2と、破砕装置2からの破砕生皮をペレット状に成型固形化する成型固形化装置3と、成型固形化装置3からのペレット生皮を除湿調整する冷蔵乾燥装置4と、冷蔵乾燥装置4からの除湿調ペレット生皮を凍結して細胞を氷結膨張させた後、所定時間低周波電流を加電して細胞破壊する冷凍装置5と、冷凍加電装置からの凍結細胞破壊したペレット生皮を崩壊する凍結加電装置6と、凍結加電装置からの凍結崩壊したペレット生皮を脂肪酸アルコールを添加して加温と攪拌しながら解凍する加湿攪拌解凍装置7と、解凍アルコール攪拌装置からの解凍アルコール生皮を導入して加電しながら加圧する加圧加電装置9と、加圧加電装置からの解凍アルコール生皮を遠心分離してコラーゲン成分と脂肪酸アルコールとその他の残屑物に分離抽出する遠心分離装置10と、遠心分離装置からの分離コラーゲンからアルコール分を除去する真空除湿装置11と、真空除湿装置からの分離コラーゲンから更に水分を加温除去し固形化する遠赤外線照射装置12と、これを粉末精製しして難溶性コラーゲンを可溶性コラーゲンに変換調整して可溶性コラーゲンにする可溶性コラーゲン処理装置13とからなることを特徴とするコラーゲンの製造装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法及び製造装置は、オゾンガスと脂肪酸アルコール以外は無添加で脂肪酸アルコールも殆ど残存無く処理し、処理手段も無害な加圧成型、破砕、攪拌、温度、加電、加圧、真空度、遠心力等の物理的手段を単独或いは併用した単純手法を採用して、哺乳動物の新鮮な無菌状生皮から直接、短時間で食料用及び化粧品用の原料として適した分子量200〜5,000程度の安全で且つ新鮮なコラーゲンをバッチ的に或いは連続的に容易かつ高収率に製造することがでるものである。また、本発明の製造方法及び製造装置によって製造されたコラーゲンは、化粧品に配合した際に、毛髪や皮膚に対して、艶、潤い、なめらかさや良好な櫛通り性を付与し、皮膚に対しては優れた保湿性やなめらかさを付与する作用を発揮し、しかも動物臭がほとんどないという優れた特性を有している。
食品としてもウイルスや細菌、球菌、雑菌等の皆無な安全新鮮コラーゲンであるから多種多様な食糧原料に適用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態は、上記の特徴に記載の技術条件を備えたものであり、その各処理工程の意義と具体的な実施形態を図1に示す製造装置と共に次に詳述し、後記の実施例においても詳細に紹介する。
【0016】
工程1:生皮を殺菌洗浄処理する意義と具体的な例。
哺乳動物の生皮には、カビ、各種細菌、黄色ブドウ状菌等の各種球菌、ウイルス、臭いなどが存在するため当該生皮を即時に殺菌洗浄処理し、これ等を殺菌、除菌、滅菌、消臭する必要がある。
殺菌洗浄処理装置1として、種々の方法があるが、洗浄貯水機器、高圧ミスト発泡装置、プラズマクラスターイオン装置、オゾンガス発生処理装置等を用いて、循環濾過浄水中にオゾンガスを発泡させながら当該生皮を浸漬させる方法が好ましい。この際、遠紫外線を直接照射することにより更なる除菌、滅菌の相乗効果が得られる。
【0017】
工程2:生皮を殺菌洗浄処理後に破砕してペレット状に成型固形化する意義と具体的な例。
破砕装置2としては、チョッパーやミキサー等で押し出し圧入成型機などで1〜5mmに細かく破砕し、続いて押し出し圧入成型機や有機ペレット成型機等の成型固形化装置3によりペレット状に成型固形化して余剰水分を除去し、次の冷蔵乾燥工程での除湿効率を高めると共に後工程の脂肪酸アルコール添加による溶解効率を高めるものである。成型固形化体の大きさは2〜10mmの粒塊状が好ましい。
【0018】
工程3:生皮を成型固形後に冷蔵乾燥(除湿調整)する意義と具体的な例。
従来生態時の生理的水分構成への調整であり、次工程の凍結による氷結細胞膨張のために成型固形体をベルトフィーザ等の冷蔵乾燥装置4で連続的に又はバッチ的に冷蔵乾燥して含水量を効率よく好ましくは65〜70%にするものである。
【0019】
工程4:水分調整した生皮の成型固形体を0〜 -5℃に凍結して意義と具体的な例。
生理学的.物理要素の中での応用であり、冷蔵乾燥装置4により含水量を65〜70%にした生皮の成型固形体をベルトフリーザーなどの冷凍装置5で0〜 -5℃好ましくは-1℃でに凍結することにより細胞を破壊しない程度に即時に均一に氷結させ膨張させることを促進するものである。
【0020】
工程5:冷凍装置5により氷結細胞膨張させた生皮の成型固形体を凍結加電装置6により周波数50〜60Hzの低周波電流を加電して細胞を破壊する意義と具体的な例。
物理的要素のなかで周波数の物体に対する振動波形を利用するものであり、氷結細胞膨張させた生皮の成型固形体に周波数50〜60Hzの低周波電流を加電することにより氷結膨張している細胞を膨張破壊することなく迅速均一に振動破壊して、後工程の脂肪酸アルコール添加による解凍溶解効率を格段に高めるものである。
【0021】
工程6:細胞が氷結膨張され振動破壊された生皮の成型固形体の凍結状態を崩壊する意義と具体的な例。
細胞が氷結膨張され振動破壊された凍結状態の生皮の成型固形体を次の解凍工程で細胞に対する添加脂肪酸アルコールの浸透性効果を図り、解凍溶解効率を高めるため、例えばチョッパ等の破砕機や破砕・混練機などの崩壊手段で予め凍結状態を崩壊しておくことが好ましい。
【0022】
工程7:凍結状態を崩壊された生皮の成型固形体に脂肪酸アルコールを添加して加湿攪拌解凍する意義と具体的な例。
脂肪酸アルコールの特性として細胞膜の溶解等及び30〜39℃の加温、成分加工の際、人体への影響を最優先し安全性の高い成分を抽出するため、加湿攪拌解凍装置7において、凍結状態で崩壊された生皮の成型固形体を、濃度65〜70%の脂肪酸アルコールを70〜85wt%添加して凝固しない程度の温度30〜40℃で加温し攪拌し、揮発アルコールを排気回収しながら迅速に解凍して効率よくアルコール溶解するものである。
【0023】
工程8:アルコール溶解した生皮をそのまま加電しながら、直接加圧プレスして、或いはビニール袋詰しこれを間接的に高水圧又は加圧プレスする意義と具体的な例。
コラーゲンの迅速分子化と分子量範囲200〜5,000内で所期の均一な分子量を簡単に短時間で確実に得るため適宜な加圧加電装置9により加圧加電するものであり、例えば、直接加圧プレス装置によりアルコール溶解した生皮を加圧しながら700V程度の高電圧を数秒間加電して上記コラーゲンの迅速分子化と適正分子量化を更に促進させる。
また例えばアルコール溶解した生皮をビニール袋詰装置8によりビニール袋等に入れて真空パックし、これを水圧調整容器などの加圧加電装置9内の水中に浸漬して700〜1200気圧程度に加圧するものである。この際好ましくは、加圧と同時に加圧水中に600〜800V程度の高電圧を数秒間加電して上記コラーゲンの迅速分子化と適正分子量化を更に促進させる。これらにより次の分離工程でのアルコール、コラーゲン、その他の残屑物との効率的な分離を促す。
【0024】
工程9:上記のようにコラーゲン等をアルコール溶解した生皮を遠心分離する意義と具体的な例。
より人体への安全性を優先するため.品質.成分を純物.差別化するためであり、アルコール溶解した生皮を例えば三重槽式等の遠心分離装置10により遠心分離することにより、アルコール分と脂肪分を最外槽に濾過して排出し、コラーゲンを中間槽に、その他の残屑物を最内槽内に分離収容することを更に効率的に行わしめるものである。
残屑物は高圧熱処理により溶解し、加圧濾過して獣毛混成混濁物を精製し、獣毛混成混濁物を除去する。
【0025】
工程10:遠心分離して得た分離コラーゲンを真空除湿処理する意義と具体的な例。
コラーゲン成分の純物化であり、分離コラーゲンは、微量のアルコール分が残存するため真空除湿装置11により真空度10〜200Pa程度に減圧して除去して純コラーゲンにするものである。この際、微量に残存した脂肪分も除去される効果がある。
【0026】
工程11:この後、純コラーゲンは製品化のための公知の処理を施せばよい。
例えば、遠赤外線照射装置12により水分を加温除去して固形化し、これを可溶性コラーゲン処理装置13により果酸添加(アルカリ)を添加しまたは添加しないで難溶性コラーゲンを可溶性コラーゲンに変換調整して可溶性コラーゲンにし乾燥粉末精製する。
後述の実施例の結果では、
A級品として、3.2Kgのコラーゲンが得られた
【実施例1】
【0027】
豚の生皮を8.0kg、遠紫外線オゾンガス発泡浄水により1.0時間、殺菌洗浄処理し、次いで2.0mmx1.0cmx3cm〜2.0mmx3.0mmx3.00mmの大きさに細かく破砕してペレット状に成型固形化し、これを2℃で1時間冷蔵乾燥(除湿調整)して水分を68%にした後、-1℃〜-5で1時間凍結して氷結細胞膨張促進し、この状態で周波数50〜60Hzの低周波電流を10分間加電して細胞を破壊すると共に、1.0mm3以下の大きさに破砕して粉末状にし、これに脂肪酸アルコールを65〜85wt%を添加して30〜39℃に加温して攪拌解凍し、真空減圧でアルコール分を抽出除去し.次いでビニール袋に入れて真空パックし500〜1,000kg/cm3の高水圧を間接的に1時間かけ、この間に5分間50〜60HZを加電した、この高水圧の付与後ビニール袋から出して遠心分離機により遠心分離してコラーゲンとその他の残屑物を抽出した、分離コラーゲンは真空除湿と加温
除湿して分子量1,000〜2,000程度の化粧品用及び食料用のコラーゲンを1.9kg回収することができた。
このコラーゲンの回収と共に、その他の分離回収残屑物0.770kgは100℃で高気圧の高圧熱処理により溶解し、その後加圧濾過して獣毛混成混濁物0.77kgを精製し、獣毛混成混濁物を除去後に4℃に加水冷却して遠心分離し脂肪水分を除去し、真空減圧乾燥しその後粉末に精製して家畜等の飼料用製品として回収することができた。
【0028】
他の実施例2〜実施例10を表1−1〜表3-2により詳細に紹介する。
表1−1〜と表2−2には、最良の数値モデルを含む例を紹介し、表3−1、表3−2には準最良の数値モデル含む例を紹介する。
【0029】
【表1−1】

【0030】
【表2−2】

【0031】
【表3−1】

【0032】
【表4−1】

【0033】
【表5−1】

【0034】
【表6−2】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の製造方法は、オゾンガスと脂肪酸アルコール以外は無添加で脂肪酸アルコールも殆ど残存無く処理し、処理手段も無害な成型、破砕、攪拌、加温、加電、加圧、真空、遠心力等の物理的手段を単独或いは併用した単純手法を採用して使用機器類のシンプル化と連結処理ライン工程化を簡易に可能とし、哺乳動物の新鮮な無菌状生皮から直接、短時間で食料用及び化粧品用の原料として適した分子量200〜5,000程度の安全で且つ新鮮なコラーゲンをバッチ的に或いは連続的に容易かつ高収率にしかも安価に製造することがでるものである。また、本発明の製造方法によって製造されたコラーゲンは、化粧品に配合した際に、毛髪や皮膚に対して、艶、潤い、なめらかさや良好な櫛通り性を付与し、皮膚に対しては優れた保湿性やなめらかさを付与する作用を発揮し、しかも動物臭がほとんどないという優れた特性を有している。
また食品としても有害菌の皆無な新鮮コラーゲンであるから多種多様な滋養食糧原料などに適用することができるものである。
このように本発明は優れた効果を呈し、コラーゲン製造業及びそれの製品化産業などで活用され、この種産業界に貢献すること多大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の製造装置の実施例を示す概略ブロック線図である。
【符号の説明】
【0037】
1 殺菌洗浄処理装置
2 破砕装置
3 成型固形化装置
4 冷蔵乾燥装置
5 冷凍装置
6 凍結加電装置
7 加湿攪拌解凍装置
8 ビニール袋詰装置
9 加圧加電装置
10 遠心分離装置
11 真空除湿装置
12 遠赤外線照射装置
13 可溶性コラーゲン処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の生皮を順次、殺菌洗浄処理し、破砕してペレット状に成型固形化し、除湿調整後に凍結して細胞を氷結膨張させ、低周波電流を加電して凍結崩壊した後、脂肪酸アルコールを添加して加温攪拌しながら解凍し、高圧を付与し、遠心分離してコラーゲン成分を分離抽出し、分離コラーゲンを真空除湿してアルコール分を除去し、粉対化することを特徴とする哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。
【請求項2】
哺乳動物の生皮を、遠紫外線照射.オゾンガス発泡浄水により殺菌洗浄処理し、次いで細かく破砕してペレット状に成型固形化し、冷蔵乾燥(除湿調整)し、0〜-5℃で凍結させて細胞を氷結膨張させ、この状態で50〜60Hzの低周波電流を加電して氷結細胞を破壊し、この後氷結状態を崩壊して、これに濃度65%以上の脂肪酸アルコールを65〜85wt%添加して30〜40℃の加温と攪拌しながら解凍し、次いで加電しながら500〜1.000hPa/cm3の超高圧を付与した後、遠心分離してコラーゲンと脂肪酸アルコールとその他の残屑物を分離抽出し、分離コラーゲンから残存アルコール分を真空除湿することを特徴とする哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。
【請求項3】
哺乳動物の生皮を、遠紫外線照射.オゾンガス発泡浄水により殺菌洗浄処理し、次いで細かく破砕してペレット状に成型固形化し、冷蔵乾燥(除湿調整)し、0〜-5℃で凍結させて細胞を氷結膨張させ、この状態で50〜60Hzの低周波電流を加電して氷結細胞を破壊し、この後氷結状態を崩壊して、これに濃度65%以上の脂肪酸アルコールを65〜85wt%添加して30〜40℃の加温と攪拌しながら解凍し、次いで加電しながら500〜1.000hPa/cm3の超高圧を付与した後、遠心分離してコラーゲンと脂肪酸アルコールとその他の残屑物を分離抽出し、分離コラーゲンから残存アルコール分を真空除湿する、この後遠赤外線照射により水分を加温除去して固形化し、これを粉末精製し果酸添加(アルカリ)して難溶性コラーゲンを可溶性コラーゲンに変換調整して可溶性コラーゲンにすることを特徴とする哺乳動物の生皮からのコラーゲンの製造方法。
【請求項4】
哺乳動物の生皮の殺菌洗浄処理装置1と、殺菌洗浄処理装置から殺菌洗浄済み生皮を破砕する破砕装置2と、破砕装置2からの破砕生皮をペレット状に成型固形化する成型固形化装置3と、成型固形化装置3からのペレット生皮を除湿調整する冷蔵乾燥装置4と、冷蔵乾燥装置4からの除湿調ペレット生皮を凍結して細胞を氷結膨張させた後、所定時間低周波電流を加電して細胞破壊する冷凍装置5と、冷凍加電装置からの凍結細胞破壊したペレット生皮を崩壊する凍結加電装置6と、凍結加電装置からの凍結崩壊したペレット生皮を脂肪酸アルコールを添加して加温と攪拌しながら解凍する加湿攪拌解凍装置7と、解凍アルコール攪拌装置からの解凍アルコール生皮を導入して加電しながら加圧する加圧加電装置9と、加圧加電装置からの解凍アルコール生皮を遠心分離してコラーゲン成分と脂肪酸アルコールとその他の残屑物に分離抽出する遠心分離装置10と、遠心分離装置からの分離コラーゲンからアルコール分を除去する真空除湿装置11と、真空除湿装置からの分離コラーゲンから更に水分を加温除去し固形化する遠赤外線照射装置12と、これを粉末精製し果酸添加(アルカリ)して難溶性コラーゲンを可溶性コラーゲンに変換調整して可溶性コラーゲンにする可溶性コラーゲン処理装置13とからなることを特徴とするコラーゲンの製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−209056(P2010−209056A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96233(P2009−96233)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(309005490)
【Fターム(参考)】