説明

哺乳動物サイトカイン;関連試薬

【課題】新規インターロイキン組成物および関連する化合物、およびその使用方法を提供すること。
【解決手段】哺乳動物に由来するサイトカインをコードする精製された遺伝子(単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチド)、それに関連する試薬(精製されたタンパク質、特異抗体、およびこの分子をコードする核酸を含む)が提供される。この試薬および診断キットを使用する方法もまた、提供される。本発明はまた、細胞または組織培養細胞の生理機能または発生を調節する方法を提供し、この方法は、その細胞を霊長類IL−D80のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、1999年7月30日に出願された、同一人物に譲渡された同時継続米国特許出願USSN09/364,674;および1999年8月6日に出願されたUSSN09/369,634に対する優先権を主張する。これらの各々は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、哺乳動物細胞、例えば哺乳動物免疫系の細胞の生物学および生理学を調節するのに機能するタンパク質に関連する組成物に関する。特に、それは、例えば造血細胞を含む様々な細胞型の活性化、発生、分化、および機能を制御するのに有用な精製遺伝子、タンパク質、抗体、および関連する試薬を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
組換えDNA技術は、一般的にはドナー供給源からの遺伝情報を、宿主への導入によるような続く処理のためにベクターへ組み込み、それによって転移された遺伝情報が新しい環境下で複製および/または発現される技術を指す。一般的に、遺伝情報は、望ましいタンパク質産物をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)由来の相補的DNA(cDNA)の形で存在する。担体は、多くの場合、宿主細胞における後の複製のためにcDNAを組み込む、およびある場合にはcDNAの発現を実際に制御し、そしてそれによって宿主におけるコードされた産物の合成を指示する能力を有するプラスミドである。
【0004】
しばらくの間、哺乳動物免疫応答は「免疫ネットワーク」と呼ばれる一連の複雑な細胞相互作用に基づくことが知られていた。最近の研究が、このネットワークの内部作用に新たな洞察を提供した。反応の多くは実際リンパ球、マクロファージ、顆粒球および他の細胞のネットワーク様相互作用を循環していることは明らかなままであるが、免疫学者は現在一般的に、リンホカイン、サイトカイン、またはモノカインとして知られる可溶性タンパク質が、これらの細胞相互作用の制御に決定的な役割を果たしているという意見を持っている。従って、細胞調節因子の単離、特徴付け、および作用メカニズムにかなりの興味があり、その理解は多くの医学的異常、例えば免疫系疾患の診断および治療における重要な進歩を導く。これら因子のいくつかは、造血系増殖および/または分化因子、例えば幹細胞因子(SCF)またはIL−11である。例えば、Mire−SluisおよびThorpe(1998)Cytokines、Academic Press、San Diego;Thomson(編、1998)The Cytokine Handbook(第3版)Academic Press、San Diego;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors、Cambridge University Press;ならびにAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines、Blackwellを参照のこと。
【0005】
リンホカインは明らかに、様々な方法で細胞活性を媒介する。これらは多能性造血幹細胞の、複雑な免疫系を作る多様な細胞系統を含む多数の祖先への増殖、成長、および分化を支持することが示された。細胞成分間の適当なそしてバランスのとれた相互作用が、健康な免疫反応に必要である。リンホカインが他の薬剤と共に投与された場合、異なる細胞系統は、多くの場合異なる様式で反応する。
【0006】
免疫反応に特に重要な細胞系統は、2種類のリンパ球を含む:免疫グロブリン(外来性物質を認識および結合してそれを除去する能力を有するタンパク質)を産生および分泌し得るB細胞、そしてリンホカインを分泌して、そして免疫ネットワークを形成するB細胞および様々な他の細胞(他のT細胞を含む)を誘導または抑制する様々なサブセットのT細胞。これらのリンパ球は多くの他の細胞型と相互作用する。
【0007】
別の重要な細胞系統は、体中の基部から毛細血管に位置する顆粒を含む結合組織細胞である、肥満細胞である(これは全ての哺乳動物種で明確に同定されていない)。これらの細胞は、肺、皮膚、および胃腸管および尿生殖路で特に高い濃度で見出される。肥満細胞は、アレルギー関連障害、特に以下のようにアナフィラキシーで中心的な役割を果たす:選択された抗原が、肥満細胞表面の受容体に結合した1種類の免疫グロブリンを架橋すると、肥満細胞は脱顆粒し、そしてメディエーター、例えばヒスタミン、セロトニン、ヘパリン、およびプロスタグランジンを放出し、それがアレルギー反応、例えばアナフィラキシーを引き起こす。
【0008】
様々な免疫障害をよりよく理解および治療するための研究は、一般的にインビトロで免疫系の細胞を維持できないことによって妨げられてきた。免疫学者は、これらの細胞の培養は、多くのリンホカインを含む様々な増殖因子を含む、T細胞および他の細胞の上清を使用することによって達成され得ることを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のことから、例えばIL−11に関連する新規リンホカインの発見および開発は、直接または間接的に免疫系および/または造血細胞に関与する広い範囲の変性または異常状態の新規治療に貢献し得ることが明らかである。特に、公知のリンホカインの有用な活性を増強または強化するリンホカインの発見および開発は、非常に有用である。本発明は新規インターロイキン組成物および関連する化合物、およびその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、DNAX80、またはIL−D80と番号をふられた哺乳動物、例えばげっ歯類、イヌ、ネコ、霊長類のインターロイキンおよびその生物学的活性に関する。それは、ポリペプチド自身をコードする核酸、およびその産生および使用方法を含む。本発明の核酸は、部分的には本明細書中で開示された相補的DNA(cDNA)配列との相同性によって、および/または代表的にはこれらの核酸によってコードされるポリペプチドに適用される、増殖因子またはサイトカイン様活性、例えばIL−11(Thomson(1998)The Cytokine Handbook 第3版、Academic Press、San Diegoを参照のこと)に関する機能的アッセイによって特徴付けられる。増殖因子依存的生理学または免疫反応の制御における修飾または介入の方法が提供される。
【0011】
本発明は、部分的にはIL−11に対する有意な配列および構造類似性を示す新規サイトカイン配列の発見に基づく。特に、それは、霊長類、例えばヒト、およびげっ歯類、例えばマウス配列を提供する。有意な配列相同性を示す機能的同等物が、他の哺乳動物、例えばウシ、ウマ、およびラット、マウス、ならびに非哺乳動物種から入手可能である。
【0012】
様々なタンパク質実施形態で、本発明は、配列番号2、4、8、または10と少なくとも約12アミノ酸の長さで同一性を示す本質的に純粋なまたは組換えIL−D80ポリペプチド;配列番号2、4、8、または10の天然配列IL−D80;および配列番号2、4、8、または10のIL−D80配列を含む融合タンパク質を提供する。特定の実施形態では、同一の部分は少なくとも約14、17、または19アミノ酸である。他の実施形態では、IL−D80は、表1の配列を含む成熟配列を含む;または天然IL−D80とは違う翻訳後修飾パターンを示す;またはポリペプチドは、霊長類を含む哺乳動物から選択された温血動物由来である;配列番号2、4、8、または10の少なくとも1つのポリペプチド部分を含む;複数のアミノ酸残基断片を示す;IL−D80の天然対立遺伝子改変体である;少なくとも約30アミノ酸の長さを有する;霊長類IL−D80に特異的な少なくとも2つの重複しないエピトープを示す;霊長類IL−D80と少なくとも約20アミノ酸の長さで配列同一性を示す;グリコシル化されている;天然糖鎖付加を有し少なくとも10kDの分子量を有する;合成ポリペプチドである;固体基質に接着している;別の化学的分子に結合している;天然配列から5倍かそれより少ない置換である;または天然配列の欠失または挿入変異体である。好ましい実施形態は、以下のものを含む組成物を含む:滅菌IL−D80ポリペプチド;またはIL−D80ポリペプチドおよび担体、ここで担体は、水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物である;および/または経口、直腸内、鼻腔内、局所、または非経口投与のために処方される。融合タンパク質実施形態では、タンパク質は、表1の成熟ポリペプチド配列;FLAG、His6、またはIg配列を含む検出または精製タグ;および/またはIL−11を含む別のサイトカインまたはケモカインの配列を有し得る。
【0013】
キット実施形態は、IL−D80ポリペプチドを有するもの、およびポリペプチドを含む区画;および/またはキット中の試薬の使用または廃棄に関する指示を含む。
【0014】
結合化合物実施形態では、化合物は、天然IL−D80ポリペプチドに特異的に結合する、抗体由来の抗原結合部位を有し得る。ここで:IL−D80は霊長類タンパク質である;結合化合物はFv、Fab、またはFab2断片である;結合化合物は別の化学部分に結合している;または抗体は:表1の成熟ポリペプチド部分のペプチド配列に対して惹起される;成熟IL−D80に対して惹起される;精製霊長類IL−D80に対して惹起される;免疫選択される;ポリクローナル抗体である;変性IL−D80に結合する;少なくとも30μMのKdを示す;ビーズまたはプラスチック膜を含む固体基質に結合している;滅菌組成物である;または放射活性または蛍光標識を含んで検出可能に標識される。結合化合物を含むキットは、結合化合物を含む区画;および/またはキット中の試薬の使用および廃棄方法に関する指示を有するものを含む。多くの場合、キットは定性または定量分析を行うことができる。好ましい組成物は、滅菌結合化合物;または結合化合物および担体を含む。ここで担体は、水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物である;および/または経口、直腸内、鼻腔内、局所、または非経口投与のために処方される。
【0015】
核酸実施形態は、IL−D80ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする単離または組換え核酸を含む。ここでIL−D80は霊長類由来である;および/または核酸は、表1の抗原性ペプチド配列をコードする;表1の複数の抗原性ペプチド配列をコードする;その部分をコードする天然cDNAと同一性を示す;発現ベクターである;さらに複製開始点を含む;天然の供給源由来である;検出可能標識を含む;合成ヌクレオチド配列を含む;6kbより少ない、好ましくは3kbより少ない;ヒトを含む霊長類由来である;天然全長コード配列を含む;IL−D80をコードする遺伝子のハイブリダイゼーションプローブである;またはPCRプライマー、PCR産物、または変異誘発プライマーである。本発明はまた、そのような組換え核酸を含む細胞、組織、または臓器を提供する。そして好ましくは、細胞は、原核細胞;真核細胞;細菌細胞;酵母細胞;昆虫細胞;哺乳動物細胞;マウス細胞;霊長類細胞;またはヒト細胞である。
【0016】
キット実施形態は、そのような核酸を有するもの、および核酸を含む区画;さらにIL−D80タンパク質またはポリペプチドを含む区画;および/またはキット中の試薬の使用または廃棄に関する指示を含む。代表的には、キットは定性または定量分析を行うことができる。
【0017】
特定の実施形態では、核酸は、30℃および2Mより少ない塩濃度、または45℃および/または500mMの塩濃度、または55℃および/または150mMの塩濃度の洗浄条件下で、配列番号1、3、7、または9にハイブリダイズする;または霊長類IL−D80に対して少なくとも約30、55、または75ヌクレオチドの長さで同一性を示す。
【0018】
本発明は、細胞を霊長類IL−D80のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させることを含む、細胞または組織培養細胞の生理学または発生を調節する方法を含む。その方法は、接触はIL−11のアゴニストまたはアンタゴニストと組み合わせる;または接触はIL−D80に特異的に結合する抗体結合部位を含む結合組成物を含むアンタゴニストを用いるものであり得る。
本発明はさらに、以下の項目を提供する。
(項目1)配列番号2、4、8、または10に由来する成熟ポリペプチドに由来する少なくとも17個連続したアミノ酸を含む抗原性ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチド。
(項目2)配列番号2、4、8、または10に由来する成熟ポリペプチドをコードする、項目1に記載のポリヌクレオチド。
(項目3)55℃、500mM未満の塩、および50%ホルムアミドにおいて、配列番号1、3、7、または9のコード部分にハイブリダイズする、項目1に記載のポリヌクレオチド。
(項目4)配列番号1、3、7、または9のコード部分の少なくとも35個連続したヌクレオチドを含む、項目3に記載のポリヌクレオチド。
(項目5)項目1に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
(項目6)項目5に記載の発現ベクターを含む宿主細胞であって、該宿主細胞は、真核生物細胞を含む、宿主細胞。
(項目7)抗原性ポリペプチドを作製する方法であって、該方法は、項目1に記載の組換えポリヌクレオチドを発現させる工程を包含する、方法。
(項目8)項目1に記載のポリヌクレオチドとの二重鎖を形成するための方法であって、該方法は、該ポリヌクレオチドを、ストリンジェントな条件下で、配列番号1、3、7、または9のコード部分の少なくとも25個連続したヌクレオチドにハイブリダイズするプローブと接触させて、それにより該二重鎖を形成する工程を包含する、方法。
(項目9)項目1に記載のポリヌクレオチドを検出するためのキットであって、該キットは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、項目1に記載のポリヌクレオチドの少なくとも17個連続したヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを備える、キット。
(項目10)前記プローブが検出可能に標識されている、項目9に記載のキット。
(項目11)配列番号2、4、8、または10に由来する、少なくとも17個連続したアミノ酸と特異的に結合する抗体結合部位を含む、結合化合物。
(項目12)項目11に記載の結合化合物であって、ここで:
a)前記抗体結合部位が、
1)配列番号2、4、8、もしくは10のポリペプチドに対して特異的に免疫反応性であるか;
2)精製されたヒトIL−D80タンパク質もしくは組換えて産生されたヒトIL−D80タンパク質に対して惹起されるか;または
3)モノクローナル抗体、Fab、もしくはF(ab)2内にあるか;あるいは
b)該結合化合物が、
1)抗体分子であるか;
2)ポリクローナル抗血清であるか;
3)検出可能に標識されるか;
4)滅菌されているか;または
5)緩衝化組成物内にある、結合化合物。
(項目13)項目11に記載の結合化合物を使用する方法であって、該方法は、該結合化合物を、抗原を含む生物学的サンプルと接触させる工程を包含し、ここで該接触させる工程が、結合化合物:抗原複合体の形成を生じる、方法。
(項目14)前記生物学的サンプルがヒト由来であり、そして前記結合化合物が抗体である、項目13に記載の方法。
(項目15)検出キットであって、該キットは、項目12に記載の結合化合物、および以下:
a)前記検出のための該結合化合物の使用についての使用説明資料;または
b)該結合化合物の隔離を提供する区画、
を備える、検出キット。
(項目16)実質的に純粋な抗原性ポリペプチドまたは実質的に単離された抗原性ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、項目11に記載の結合組成物と結合し、そして配列番号2、4、8、または10に由来する少なくとも17個連続したアミノ酸をさらに含む、ポリペプチド。
(項目17)項目16に記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、
a)霊長類IL−D80タンパク質に由来する少なくとも25個連続したアミノ酸残基の少なくとも1つのフラグメントを含むか;
b)可溶性ポリペプチドであるか;
c)検出可能に標識されているか;
d)滅菌組成物内にあるか;
e)緩衝化組成物内にあるか;
f)細胞表面レセプターに結合するか;
g)組換えて産生されるか;または
h)天然に存在するポリペプチド配列を有する、ポリペプチド。
(項目18)配列番号2、4、8、または10の少なくとも17個連続したアミノ酸を含む、項目17に記載のポリペプチド。
(項目19)細胞または組織培養細胞の生理機能または発生を調節する方法であって、該方法は、該細胞を霊長類IL−D80のアゴニストまたはアンタゴニストと接触させる工程を包含する、方法。
(項目20)項目19に記載の方法であって、ここで:
a)前記接触させる工程がIL−11のアゴニストもしくはアンタゴニストとの組み合わせであるか;または
b)該接触させる工程がアンタゴニストを用いるものであり、該アンタゴニストとしては、IL−D80と特異的に結合する抗体結合部位を含む結合組成物が挙げられる、方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細書中で引用される全ての参考文献は、個々の出版物または特許出願がそれぞれ明確におよび個々に参考文献に組み込まれると示されたように同じ程度、本明細書中で参考として援用される。
【0020】
(I.概要)
本発明は、サイトカインである、例えば免疫および他の細胞間のシグナルを伝達し得る分泌分子である、様々な哺乳動物タンパク質をコードするアミノ酸配列およびDNA配列を提供する。例えば、Paul(1997)Fundamental Immunology(第3版)Raven Press、N.Y.を参照のこと。全長サイトカイン、および断片、またはアンタゴニストが、受容体を発現する細胞の生理学的調節に有用である。おそらくIL−D80は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、樹状細胞、造血祖先等のような、例えばリンパ性細胞を含む造血細胞に対して刺激または阻害効果のいずれかを有する。そのタンパク質はまた、タンパク質上の様々なエピトープ、直線および配座エピトープ両方に対する抗体を産生するために、抗原、例えば免疫原として有用である。
【0021】
IL−D80をコードするcDNAは、染色体16のBACの、様々な霊長類、例えばヒトの配列から同定された。例えばCIT987SK−A−575C2、およびCIT987SK−A−761H5を参照のこと。その分子はhuIL−D80と呼ばれた。ヒトEST、ヒトEST AI085007が同定および記載された。マウスEST AA266872も同定および記載された。
【0022】
霊長類、例えばヒト遺伝子は、約216アミノ酸(配列番号2)または約243アミノ酸(配列番号8)の小さい可溶性サイトカイン様タンパク質をコードする。表1および配列番号1、2、7、および8を参照のこと。IL−D80は長鎖サイトカインのメンバーに特徴的な構造モチーフを示す。例えばGenBankから入手可能なIL−D80およびIL−11配列を比較すること。またげっ歯類配列および表2または3も参照のこと。
【0023】
(表1:霊長類、例えばヒト由来のIL−D80をコードする核酸(配列番号1))
【0024】
【化1】

エキソン境界は、約219/220;393/394;492/493;および551/552に対応するようである。それらの境界に対応するコード部分は、特に興味深い。193から918までの翻訳アミノ酸配列は配列番号2である。
【0025】
【化2】

予期されるシグナル切断部位は...VWGおよびFPR...間;へリックスA境界は約...GRPおよびQLS...間から約...RKLおよびLSE...間まで;へリックスB境界は約...QLPおよびDVS...間から約...TLQおよびPFH...間まで;へリックスC境界は約...GLGおよびTQG...間から約...VLAおよびAGF...間まで;およびへリックスD境界は約...STYおよびRLL...間から約...HSVおよびWPL...間まで。出願人は、高度に反復される残基、例えばLおよびE反復(13−20、220−223、および163−175)にマッチする配列、および対応するコード部分を但し書き(proviso out)するつもりである。霊長類、例えばヒト由来の改変体IL−D80をコードする核酸(配列番号7)(注記、非コード配列は配列番号1のものと同一であるが、明確さのためのここでは省いた)。
【0026】
【化3】

翻訳されたアミノ酸配列は配列番号8である:
【0027】
【化4】

予期されるシグナル切断部位は...VWGおよびFPR...間;へリックスA境界は約...GRPおよびQLS...間から約...RKLおよびLSE...間まで;へリックスB境界は約...QLPおよびDVS...間から約...TLQおよびPFH...間まで;へリックスC境界は約...GLGおよびTQG...間から約...VLAおよびAGF...間まで;およびへリックスD境界は約...STYおよびRLL...間から約...HSVおよびWPL...間まで。出願人は、高度に反復される残基、例えばLおよびE反復(13−20、220−223、および163−175)にマッチする配列、および対応するコード部分を但し書きするつもりである。
配列番号2および8の比較:
【0028】
【化5】

げっ歯類、例えばマウス由来のIL−D80をコードする核酸(配列番号3)。
【0029】
【化6】

エキソン境界は、約198/199;360/361;459/460;および618/619である。それらの境界に対応するコード部分は、特に興味深い。199から891までの翻訳アミノ酸配列は配列番号4である。
【0030】
【化7】

予期されるシグナル切断部位は...SWGおよびFPT...間;へリックスA境界は約...TDPおよびLSL...間から約...RKLおよびLSE...間まで;へリックスB境界は約...HLPおよびNVS...間から約...PFPおよびAML...間まで;へリックスC境界は約...GLGおよびTQG...間から約...VLAおよびAGF...間まで;およびへリックスD境界は約...WPQおよびLLY...間から約...LSLおよびPRR...間まで。出願人は、高度に反復される残基、例えばLおよびE反復(残基4−7、209−212、および156−165)にマッチする配列、および対応するコード部分を但し書きするつもりである。
改変体げっ歯類、例えばマウスIL−D80(配列番号9)
【0031】
【化8】

1−702の翻訳;げっ歯類、例えばマウスIL−D80(配列番号10)
【0032】
【化9】

配列番号4および10の比較:
【0033】
【化10】

表2:様々なIL−11実施形態のIL−D80との比較。ヒトIL−11は配列番号5;マウスIL−11は配列番号6である。
【0034】
【化11】

配列の比較はまた、進化系統樹を提供する。これは、例えばTreeViewプログラムをClustalX分析ソフトウェアプログラムと組み合わせて使用することによって産生され得る。Thompsonら、Nuc.Acids Res.25:4876−4882;およびTreeView、Page、IBLS、University of Glasgow、e−mail rpage@bio.gla.ac.uk;http://taxonomy.zoology.gla.ac.uk.rod.treeview.htmlを参照のこと。
【0035】
表3:様々のIL−11実施形態と霊長類IL−D80(表2の配列番号2の代わりに配列番号8)およびげっ歯類IL−D80(表2の配列番号4の代わりに配列番号10)とのさらなる比較。霊長類、例えばヒトIL−11は配列番号5である;げっ歯類、例えばマウスIL−11は配列番号6である。CLUSTAL X(1.4b)複数配列アラインメントプログラムを用いたIL−11とのアラインメント。
【0036】
【化12】

上記のように、配列の比較はまた、進化系統樹を提供する。これは、例えばTreeViewプログラムをClustalX分析ソフトウェアプログラムと組み合わせて使用することによって産生し得る。Thompsonら、Nuc.Acids Res.25:4876−4882;およびTreeView、Page、IBLS、University of Glasgow、e−mail rpage@bio.gla.ac.uk;http://taxonomy.zoology.gla.ac.uk.rod.treeview.htmlを参照のこと。
【0037】
IL−D80の関連するサイトカインタンパク質に対する構造的相同性は、この分子の関連する機能を示唆する。IL−D80は、IL−11と配列類似性を示す長鎖サイトカインである。
【0038】
IL−11の生物学の多くの局面がよく認識されている。例えば、Sonisら(1999)Leukemia 13:831−834;Jacquesら(1998)Res.Immunol.149:737−740;Trepicchioら(1998)Ann.N.Y.Acad.Sci.856:12−21;Thomson、The Cytokine Handbook、Academic Press中のJacobsen(1998);Maslakら(1998)Semin.Hematol.35:253−260;Lengら(1997)Int.J.Biochem.Cell.Biol.29:1059−1062;Duら(1997)Blood 89:3897−3908;Goldman(1995)Stem Cells 13:462−471;およびDuら(1995)Curr.Opin.Hematol.2:182−188を参照のこと。IL−D80の生物学は同様であると予期され、例えばいくつかの生物学的活性は重複し得る。
【0039】
IL−D80アゴニストまたはアンタゴニストもまた、機能的または受容体アンタゴニストとして作用し得る。例えばそれはIL−11の各受容体への結合を阻害し、または反対の作用を媒介する。従って、IL−D80またはそのアンタゴニストは、免疫障害、例えばT細胞免疫欠損症、慢性炎症、または組織の拒絶を含む異常な医学的状態の治療に、または心血管または神経生理学的状態で有用であり得る。IL−D80およびIL−11関連試薬を組み合わせた組成物が多くの場合使用される。
【0040】
天然の抗原は、標的細胞において生物学的または生理学的反応を導く様々な生化学的反応を媒介することができる。本明細書中で特徴付けられる好ましい実施形態は、ヒト由来であるが、他の霊長類、または他の種の対応物が天然に存在する。他の哺乳動物種、例えば霊長類、イヌ、ネコ、およびげっ歯類、特に家畜種におけるタンパク質のさらなる配列も、入手可能であるはずである。下記を参照のこと。下記の説明は、例示の目的で、ヒトIL−D80に向けられるが、他の種由来の関連する実施形態に同様に適用可能である。
【0041】
(II.精製されたIL−D80)
霊長類、例えばヒトIL−D80アミノ酸配列を、いくつかの実施形態、例えば配列番号2、4、8、または10に示す。そのタンパク質をコードする他の天然に存在する核酸を、提供された配列を用いて標準的な手順、例えばPCR技術によって、またはハイブリダイゼーションによって単離し得る。アミノ末端からカルボキシ末端まで提供される、これらのアミノ酸配列は、そのタンパク質抗原を他のタンパク質および例示する多くの変異体から区別するのを可能にする、サイトカインの配列情報を提供するのに重要である。さらに、そのペプチド配列はそのようなセグメントを認識する抗体を産生するペプチドの調製を可能にする、そしてヌクレオチド配列はオリゴヌクレオチドプローブの調製を可能にする。これらはどちらも、そのような配列をコードする遺伝子の検出または単離、例えばクローニングの戦略である。
【0042】
本明細書中で使用される場合、「ヒト可溶性IL−D80」という用語は、タンパク質の文脈で使用される場合、配列番号2、または8に示した可溶性ポリペプチドに対応するアミノ酸配列を有するタンパク質、またはその重要なフラグメントを含む。好ましい実施形態は、指定された長さの複数の区別できる、例えば重複しないセグメントを含む。代表的には、その数は少なくとも2、より通常は少なくとも3、そして好ましくは5、7、またはそれ以上である。長さの最小値が提供されるが、様々な大きさのより長い長さ、例えば1つの長さ7、および2つの長さ12が適当であり得る。
【0043】
結合成分、例えば抗体は、代表的にはIL−D80に、例えば少なくとも約100nM、通常約30nMよりよい、好ましくは約10nMよりよい、そしてより好ましくは約3nMよりよい、高い親和性で結合する。対応するタンパク質が、ヒト以外の哺乳動物種、例えば他の霊長類、有蹄動物、またはげっ歯類において見出される。また、非哺乳動物種、例えば鳥類または両生類も構造的または機能的に関連する遺伝子およびタンパク質を有するはずである。
【0044】
本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、重要なフラグメントまたはセグメントを含み、そして少なくとも約8アミノ酸、一般的には少なくとも約12アミノ酸、代表的には少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、そして特に好ましい実施形態では、少なくとも約30以上のアミノ酸、例えば35、40、45、50、60、75、100等の一連のアミノ酸残基を含む。そのような断片は、実質的に全ての位置で始まる、および/または終わる末端を有し得る。例えば、全ての実際的な組み合わせで、残基1、2、3等で始まり、そして例えば150、149、148等で終わる。特に興味深いペプチドは、構造ドメイン境界、例えばヘリックスA、B、Cおよび/またはDに対応する末端を有する。表1、2、および3を参照のこと。
【0045】
「結合組成物」という用語は、例えば抗体−抗原相互作用で、IL−D80に特異性をもって結合する分子を指す。特異性は多かれ少なかれ包括的、例えば特定の実施形態に対して、または関連する実施形態、例えば霊長類、げっ歯類等のグループに対して特異的であり得る。それはまた、共有結合または非共有結合のいずれか、天然の生理的に関連するタンパク質−タンパク質相互作用を含んで、IL−D80と特異的に結合する化合物、例えばタンパク質を含む。その分子はポリマー、または化学的試薬であり得る。機能的アナログは、構造的修飾を有するタンパク質であり得、またはそれは適当な結合決定基と相互作用する分子の形を有する分子であり得る。その化合物は、受容体結合相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る。例えば、Goodmanら(編)Goodman & Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics(最新版)Pergamon Pressを参照のこと。
【0046】
例えばタンパク質の文脈において、実質的に純粋なとは、代表的には、タンパク質がもとの供給源有機体由来の、他の混入タンパク質、核酸、または他の生物製剤を含まないことを意味する。純度は標準的な方法、代表的には重量によってアッセイされ得、そして普通少なくとも約40%純粋、一般的には少なくとも約50%純粋、多くの場合少なくとも約60%純粋、代表的には少なくとも約80%純粋、好ましくは少なくとも約90%純粋、そして最も好ましい実施形態では少なくとも約95%純粋である。担体または賦形剤が多くの場合加えられる。
【0047】
ポリペプチドまたはフラグメントの可溶性は、環境およびポリペプチドに依存する。温度、電解質環境、ポリペプチドのサイズおよび分子の特徴、および溶媒の性質を含む多くのパラメーターがポリペプチドの可溶性に影響する。代表的には、ポリペプチドが使用される温度は約4℃から約65℃の範囲である。通常使用温度は約18℃より高い。診断的目的のためには、温度は通常約室温であるかまたはより暖かいが、アッセイ中の成分の変性温度より低い。治療的目的のためには、温度は通常体温、代表的にはヒトおよびマウスでは約37℃であるが、特定の状況下では、インサイチュまたはインビトロで温度を上昇または下降させ得る。
【0048】
ポリペプチドのサイズおよび構造は、一般的に、実質的に安定状態であり、そして通常変性状態ではない。ポリペプチドは、例えば可溶性を与えるために、4次構造において他のポリペプチドと、または脂質または界面活性剤と結合し得る。 溶媒および電解質は通常、生物学的活性の保存のために使用される型の、生物学的に適合性の緩衝液であり、そして通常生理的水性溶媒に近似する。通常、溶媒は、代表的には約5および10の間、そして好ましくは約7.5の中性pHを有する。いくつかの場合には、1つ以上の界面活性剤、代表的には弱い非変性のもの、例えばCHS(コレステリルヘミスクシナート)またはCHAPS(3−[3−コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホナート)が、またはタンパク質の構造的または生理的性質の有意な崩壊を避けるために十分低い濃度で加えられる。他の例では、有意な変性を起こすために強い界面活性剤を使用し得る。
【0049】
(III.物理的改変体)
本発明はまた、IL−D80抗原のアミノ酸配列と実質的なアミノ酸配列同一性を有するタンパク質またはペプチドを含む。改変体は種、多型、または対立遺伝子改変体を含む。
【0050】
アミノ酸配列相同性、または配列同一性は、残基のマッチを最適化することによって、もし必要なら必要に応じてギャップを導入することによって決定される。Needlehamら(1970)J.Mol.Biol.48:443−453;Sankoffら(1983)Time Warps,String Edits, and Macromolecules:The Theory and Practice of Sequence Comaprisonの第1章、Addison−Wesley、Reading、MA;およびIntelliGenetics、Mountain View、CA;およびUniversity of Wisconsin Genetics Computer Group、Madison、WIのソフトウェアパッケージも参照のこと。保存的置換をマッチと考えるならば、配列同一性は変化する。保存的置換は、代表的には以下のグループ内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。保存は、生物学的特徴、機能的特徴、または構造的特徴に当てはまり得る。相同的なアミノ酸配列は、代表的にはタンパク質配列の天然の多型または対立遺伝子および種間のバリエーションを含むように意図される。代表的な相同的タンパク質またはペプチドは、IL−D80のアミノ酸配列と25−100%の同一性(もしギャップが導入され得るなら)から50−100%の同一性(もし保存的置換が含まれるなら)を有する。同一性の測定値は、少なくとも約35%、一般的に少なくとも40%、多くの場合少なくとも約50%、代表的には少なくとも約60%、通常少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、そしてより好ましくは少なくとも約90%である。
【0051】
単離されたIL−D80DNAは、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入、そして短いヌクレオチド区間の反転によって容易に修飾し得る。これらの修飾は、これら抗原、その誘導体、または同様の生理的、免疫原的、抗原的、または他の機能的活性を有するタンパク質をコードする新規DNA配列を産生する。これら修飾配列を、変異抗原を産生する、または発現を増強するために使用し得る。増強された発現は、遺伝子増幅、増加した転写、増加した翻訳、および他のメカニズムを含み得る。「変異IL−D80」は、他の点では上記で述べたIL−D80の配列同一性の定義にあてはまるが、欠失、置換、または挿入のいずれかによって天然に通常見出されるIL−D80とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。これは一般的には、配列番号2、4、8、または10の配列を有するタンパク質と有意な同一性を有する、そしてそれらの配列と様々な生物学的活性、例えば抗原性または免疫原性を共有する、そして好ましい実施形態では天然全長開示配列のほとんどを含むタンパク質を含む。全長配列が代表的には好ましいが、切断されたバージョンも有用であり、同様に、天然の供給源から見出された遺伝子またはタンパク質が代表的には最も望ましい。同様のコンセプトが異なるIL−D80タンパク質、特に様々な温血動物、例えば哺乳動物および鳥類で見出されるものにあてはまる。これらの記載は一般的に、多くのIL−D80タンパク質を含むことを意味し、具体的に議論される特定の霊長類実施形態に制限されない。
【0052】
IL−D80変異誘発はまた、アミノ酸を挿入または欠失させることによって行われ得る。置換、欠失、挿入、またはあらゆる組み合わせが、最終構築物に到達するために産生される。挿入はアミノまたはカルボキシル末端融合を含む。無作為変異誘発を標的コドンにおいて行い得、そして発現した変異体を次いで望ましい活性に関してスクリーニングし得る。例えば、M13プライマー変異誘発またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術による、公知の配列を有するDNAにおいて、前もって決定した部位で置換変異を起こす方法は、当該分野で周知である。例えば、Sambrookら(1989);Ausubelら(1987および増刊);およびKunkelら(1987)Methods in Enzymol.154:367−382を参照のこと。好ましい実施形態は、例えば1倍、2倍、3倍、5倍、7倍等の、好ましくは保存的置換をヌクレオチドまたはアミノ酸レベルで含む。好ましくは、置換は保存されたシステインから遠く、そして多くの場合ヘリックス構造ドメインから離れた領域にある。そのような改変体は、特異的な抗体を産生するために有用であり得、そして多くの場合多くのまたは全ての生物学的性質を共有する。
【0053】
本発明はまた、組換えタンパク質、例えばこれらタンパク質由来のセグメントを使用した異種由来融合タンパク質を提供する。異種由来融合タンパク質は、天然には通常同じ方法で融合しないタンパク質またはセグメントの融合である。同様のコンセプトが異種由来核酸配列にあてはまる。
【0054】
それに加えて、新規構築物を、他のタンパク質由来の、同様の機能的ドメインを組み合わせることから作成し得る。例えば、標的結合または他のセグメントを、異なる新規融合ポリペプチドまたはフラグメントの間で「交換」し得る。例えば、Cunninghamら(1989)Science 243:1330−1336;およびO’Dowdら(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992を参照のこと。
【0055】
BeaucageおよびCarruthers(1981)Tetra.Letts.22:1859−1862によって記載されたホスホロアミダイト法は、適当な合成DNAフラグメントを産生する。二本鎖断片は多くの場合、相補鎖を合成することおよび適当な条件下で鎖を共にアニーリングすることによって、または適当なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を加えること、例えばPCR技術のいずれかによって得られる。
【0056】
構造的分析を、サイトカインのIL−11ファミリーと比較してこの遺伝子に適用し得る。ヒトIL−D80配列の、他のIL−11ファミリーメンバーとのアラインメントは、構造的特徴の決定を可能にするはずである。特に、βシートおよびαヘリックス残基を、例えばRASMOLプログラムを用いて決定し得る。Bazanら(1996)Nature 379:591;Lodiら(1994)Science 263:1762−1766;SayleおよびMilner−White(1995)TIBS 20:374−376;およびGronenbergら(1991)Protein Engineering 4:263−269を参照のこと。置換に好ましい残基は、受容体と相互作用することが予期される表面に露出した残基を含む。機能を保存する他の残基は、特に表面露出残基から遠い位置では、保存的置換である。
【0057】
(IV.機能的変異体)
IL−D80に対する生理的反応の阻害は、リガンドのその受容体に対する結合の競合的阻害により起こり得る。
【0058】
本発明のインビトロアッセイは、多くの場合単離タンパク質、これらタンパク質の受容体結合部分を含む可溶性断片、または固相基板に結合した断片を使用する。これらのアッセイはまた、結合部分変異および修飾、またはサイトカイン変異および修飾(例えばIL−D80アナログ)のいずれかの、効果の診断的決定を可能にする。
【0059】
本発明はまた、競合的薬剤スクリーニングアッセイの使用を企図する。例えばここで、サイトカインに対する中和抗体、または受容体結合断片が、試験化合物と競合する。
【0060】
IL−D80抗原の「誘導体」は、天然に存在する形からのアミノ酸配列変異体、糖鎖付加変異体、および他の化学的部分との共有結合物または凝集結合物を含む。共有結合誘導体は、IL−D80アミノ酸側鎖またはNもしくはC末端において見出される基への官能基の結合によって、例えば標準的な手段によって調製され得る。例えば、LundbladおよびNoyes(1988)Chemical Reagents for Protein Modification、第1−2巻、CRC Press,Inc.、Boca Raton、FL;Hugli(編、1989)Techniques in Protein Chemistry、Academic Press、San Diego、CA;およびWong(1991)Chemistry of Protein Conjugation and Cross Linking、CRC Press、Boca Raton、FLを参照のこと。
【0061】
特に、糖鎖付加の変更が含まれ、例えば、その合成および処理の間、またはさらなる処理工程において、ポリペプチドの糖鎖付加パターンを修飾することによって産生される。例えば、Elbein(1987)Ann.Rev.Biochem.56:497−534を参照のこと。同じ一次アミノ酸配列を有し、リン酸化アミノ酸残基(例えばホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニン)を含む他の小さい修飾を有するペプチドのバージョンも含まれる。
【0062】
IL−D80と他の同種タンパク質または異種タンパク質との間の融合ポリペプチドも提供される。多くのサイトカイン受容体または他の表面タンパク質は、多量体(例えばホモ2量体実体)であり、そして反復構築物はタンパク質溶解切断に対する減少した感受性を含む、様々な利点を有し得る。典型的な例は、融合リガンドの存在または位置を容易に決定し得るような、リポーターポリペプチド(例えばルシフェラーゼ)と、タンパク質のセグメントまたはドメイン、例えば受容体結合セグメントとの融合である。例えば、Dullら、米国特許第4,859,609号を参照のこと。他の遺伝子融合パートナーは、細菌βガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA、βラクタマーゼ、アルファアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、酵母アルファ交配因子、およびHis6配列のFLAG配列のような検出または精製タグを含む。例えば、Godowskiら(1988)Science 241:812−816を参照のこと。
【0063】
融合ペプチドは、典型的には組換え核酸法または合成ポリペプチド法のいずれかによって作成される。核酸操作および発現の技術は、一般的に、例えばSambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、第1−3巻、Cold Spring Harbor Laboratory;およびAusubelら(編、1993)Current Protocols in Molecular Biology、Greene and Wiley、NYに記載されている。ポリペプチド合成の技術は、例えばMerrifield(1963)J.Amer.Chem.Soc.85:2149−2156;Merrifield(1986)Science 232:341−347;Athertonら(1989)Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach、IRL Press、Oxford;およびGrant(1992)Synthetic Peptides:A User’s Guide、W.H.Freeman、NYに記載されている。再フォールディング法を合成タンパク質に適用し得る。
【0064】
本発明はまた、アミノ酸配列における変化または糖鎖付加以外の、IL−D80タンパク質誘導体の使用を企図する。そのような誘導体は、化学的部分またはタンパク質担体との共有結合または凝集結合を含み得る。共有結合誘導体または凝集誘導体は、免疫原として、イムノアッセイの試薬として、または結合パートナー(例えば他の抗原)のアフィニティー精製のような精製方法において有用である。IL−D80を、抗IL−D80抗体または代替の結合組成物のアッセイまたは精製に使用するために、共有結合によって、臭化シアン活性化SEPHAROSEのような固体支持体へ、当該分野で周知の方法によって固定化し得るか、またはグルタルアルデヒド架橋を用いて、または用いずにポリオレフィン表面上へ吸着し得る。IL−D80タンパク質をまた、例えば診断的アッセイで使用するために、検出可能なグループで標識し得る。IL−D80の精製は、固定化抗体または相補的結合パートナー、例えば受容体の結合部分によって実施し得る。
【0065】
本発明の可溶化IL−D80または断片を、結合に特異的な抗血清または抗体の産生のために免疫原として使用し得る。精製抗原を、モノクローナル抗体または天然抗体の抗原結合断片、例えばFab、Fab’、F(ab)2、等を含む抗原結合断片をスクリーニングするために使用し得る。精製IL−D80抗原をまた、上昇したレベルのサイトカインの存在に反応して産生された抗体を検出する試薬として使用し得、それは異常なまたは特定の生理的または疾患状態の診断になり得る。本発明は、配列番号第1、3、7、または9番に示されたヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列、またはそれを含むタンパク質の断片に対して産生された抗体を企図する。特に、本発明は特定のドメイン、例えばヘリックスA、B、C、またはDに対して結合親和性を有するか、またはそれに対して産生された抗体を企図する。
【0066】
本発明は、さらに密接に関連した種変異体の単離を企図する。サザンブロットおよびノーザンブロット分析が、類似の遺伝子実体が他の哺乳類に存在することを確立する。IL−D80は種変異体、例えばげっ歯類、ウサギ目、肉食動物、偶蹄目、奇蹄目、および霊長類に広く存在するようである。
【0067】
本発明はまた、構造、発現、および機能において差異および類似性を両方示す関連抗原のグループを単離する手段を提供する。分子の多くの生理的効果を解明することは、さらなる別の種またはその多型変異体の単離および特徴付けによって非常に加速される。特に、本発明は、異なる種においてさらなる相同的遺伝子実体を同定するために有用なプローブを提供する。
【0068】
単離遺伝子は、IL−D80の発現を欠く細胞(例えば対応するタンパク質を欠きそして負のバックグラウンド活性を示す種の型または細胞)の形質転換を可能にする。これは形質転換していないコントロール細胞と比較してIL−D80の機能の分析を可能にする。
【0069】
これらの抗原によって媒介される様々な生理的機能を可能にする、重要な構造的エレメントの吟味は、近代分子生物学の標準的な技術を用いて、特に関連するクラスのメンバーを比較して可能である。例えば、Cunninghamら(1989)Science 243:1339−1336に記載されたホモログスキャニング突然変異生成技術;およびO’Dowdら(1988)J.Biol.Chem.263:15985−15992で使用されたアプローチ、およびLechleiterら(1990)EMBO J.9:4381−4390を参照のこと。
【0070】
細胞内機能は、おそらく受容体シグナル伝達を含む。しかし、タンパク質の内在化が特定の環境下で起こり得、そして細胞内成分およびサイトカイン間の相互作用が起こり得る。相互作用している成分とのIL−D80の特異的な相互作用セグメントを、突然変異生成または直接生化学的手段、例えば架橋またはアフィニティー法によって同定し得る。結晶学的または他の物理的方法による構造的分析も適用可能である。シグナル伝達メカニズムのさらなる調査は、アフィニティー法または遺伝的手段、例えば変異体の相補分析による、単離可能な結合成分の研究を含む。
【0071】
IL−D80の発現および調節に関するさらなる研究を追及する。抗原に結合している調節エレメントは、特異な生理的、発生的、組織特異的、または他の発現パターンを示す。上流または下流の遺伝領域、例えば調節エレメントが興味深い。
【0072】
IL−D80抗原の構造的研究は、新規抗原、特に分子に対してアゴニストまたはアンタゴニスト特性を示すアナログの設計を導く。これを、前に記載した望ましい活性のスペクトルを示す抗原を単離するスクリーニング方法と組み合わせ得る。
【0073】
(V.抗体)
抗体は、種、多型、または対立遺伝子変異体を含むIL−D80タンパク質、およびその断片の、天然に存在する形でおよびその組換えの形の両方で、様々なエピトープに対して惹起され得る。さらに、抗体は、ネイティブまたは変性バージョンを含む、その活性形態またはその不活性形態のいずれかのIL−D80に対して惹起され得る。抗イディオタイプ抗体も企図される。
【0074】
結合断片および一本鎖バージョンを含む、抗原の前もって決定された断片に対する抗体は、動物を断片と免疫原性タンパク質の結合物で免疫することによって産生し得る。モノクローナル抗体を、望ましい抗体を分泌する細胞から調製する。これらの抗体を、正常または不完全なIL−D80への結合に関してスクリーニングし得る、または例えば受容体によって媒介されるアゴニストまたはアンタゴニスト活性に関してスクリーニングし得る。抗体は、例えば受容体への結合を立体的に阻害することによって、アゴニストまたはアンタゴニストであり得る。これらのモノクローナル抗体は、通常少なくとも約1mM、より通常には少なくとも約300μM、典型的には少なくとも約100μM、より典型的には少なくとも約30μM、好ましくは少なくとも約10μM、そしてより好ましくは少なくとも約3μMかよりよいKDで結合する。
【0075】
配列番号第2、4、8、または10番のアミノ酸配列からなる免疫原のような、規定された免疫原に対して産生された抗体に特異的に結合するか、またはそれと特異的に免疫反応性であるIL−D80タンパク質は、典型的にはイムノアッセイで決定される。イムノアッセイは典型的には、例えば配列番号第2、4、8、または10番のポリペプチドに対して産生されたポリクローナル抗血清を使用する。この抗血清は、好ましくは同じ種由来の他のIL−11、例えばヒトまたはげっ歯類IL−11に対して低い交差反応性を有するように選択され、そしてそのような交差反応性は、イムノアッセイに使用する前に免疫吸収によって除去される。
【0076】
イムノアッセイで使用する抗血清を産生するために、配列番号2、4、8、もしくは10のタンパク質、またはこれらの組み合せを、本明細書中で記載したように単離する。例えば、組換えタンパク質を哺乳動物細胞系統で産生し得る。適当な宿主、例えばBalb/cのようなマウスの近交系の系統を、選択されたタンパク質で、典型的にはフロイントアジュバントのような標準的なアジュバントおよび標準的なマウス免疫プロトコールを用いて免疫する(HarlowおよびLane、前出を参照のこと)。あるいは、本明細書中で開示された配列由来で、そしてキャリアタンパク質に結合した合成ペプチドを、免疫原として使用し得る。ポリクローナル血清を回収し、そしてイムノアッセイ、例えば固体支持体に固定化された免疫原を用いた固相イムノアッセイにおいて免疫原タンパク質に対して滴定する。104以上の力価を有するポリクローナル抗血清を選択し、そして他のIL−11ファミリーメンバー(例えば、げっ歯類IL−11)に対する交差反応性に関して、HarlowおよびLane、前出、570−573頁で記載されているような競合的結合イムノアッセイを用いて試験する。好ましくは、例えば霊長類IL−11と組み合わせて、少なくとも1つの他のIL−11ファミリーメンバーをこの決定に使用する。IL−11ファミリーメンバーを、本明細書中で記載されたように、標準的な分子生物学およびタンパク質化学技術を用いて、組換えタンパク質として産生し、そして単離し得る。
【0077】
競合的結合形式のイムノアッセイを、交差反応性決定のために使用し得る。例えば、配列番号2または8のタンパク質を、固体支持体に固定化し得る。アッセイに加えられたタンパク質は、固定化抗原への抗血清の結合と競合する。固定化タンパク質への抗血清の結合と競合する上記のタンパク質の能力を、配列番号2または8のタンパク質と比較する。上記タンパク質の交差反応性パーセントを、標準的な計算を用いて計算する。上記に挙げたタンパク質のそれぞれと10%より低い交差反応性を有する抗血清を選択およびプールする。次いで交差反応性抗体を、プールした抗血清から上記で挙げたタンパク質を用いた免疫吸収によって除去する。
【0078】
免疫吸収しそしてプールしされた抗血清を次いで、2番目のタンパク質を免疫原タンパク質(例えば、配列番号2、4、8、または10のIL−11様タンパク質)と比較するために、上記のように競合的結合イムノアッセイで使用する。この比較を行うために、2つのタンパク質をそれぞれ広い範囲の濃度でアッセイし、そして固定化タンパク質への抗血清の結合を50%阻害するのに必要とされる各タンパク質の量が決定される。2番目のタンパク質の必要とされる量が、選択されたタンパク質の必要とされるタンパク質量の2倍より少なければ、2番目のタンパク質は、免疫原に対して産生された抗体に特異的に結合すると言われる。
【0079】
本発明の抗体はまた、診断的適用において有用であり得る。捕獲または非中和化抗体として、それらを受容体への結合を阻害することなく抗原に結合する能力に関してスクリーニングし得る。中和化抗体として、それらは競合的結合アッセイで有用であり得る。それらはまた、IL−D80タンパク質またはその受容体を検出または定量するのに有用である。例えば、Chan(編、1987)Immunology:A Practical Guide、Academic Press、Orlando、FL;PriceおよびNewman(編、1991)Principles and Practice of Immunoassay、Stockton Press、N.Y.;およびNgo(編、1988)Nonisotopic Immunoassay、Plenum Press、N.Y.を参照のこと。交差吸収、涸渇、または他の手段が、規定された選択性(例えば、独特のまたは共通の種特異性)の調製物を提供する。これらは様々なグループの抗原を同定する試験の基礎となり得る。
【0080】
さらに、抗原結合断片を含む本発明の抗体は、抗原に結合し、そして例えば、生物学的応答を誘発し得るレセプターへの機能的結合を阻害する強力なアンタゴニストであり得る。それらはまた、非中和化抗体として有用であり得、そして抗体が抗原に結合する場合、例えば、その抗原を表面に発現する細胞が殺傷されるように、毒素または放射性核種と結合し得る。さらに、これらの抗体を薬物または他の治療的薬剤に、直接かまたはリンカーによって間接的かのいずれかでに結合し得、そして薬剤標的化を行い得る。
【0081】
抗原フラグメントを、免疫原として使用される融合または共有結合ポリペプチドとして、他の材料、特にポリペプチドと結合し得る。抗原およびその断片を、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、ウシ血清アルブミン、破傷風毒素等のような様々な免疫原と融合または共有結合し得る。ポリクローナル抗血清を調製する方法の記載に関しては、Microbiology、Hoeber Medical Division、Harper and Row、1969;Landsteiner(1962)Specificity of Serological Reactions、Dover Publications、New York;Williamsら(1967)Methods in Immunology and Immunochemistry、第1巻、Academic Press、New York;およびHarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press、NYを参照のこと。
【0082】
ある場合には、マウス、げっ歯類、霊長類、ヒト等のような様々な哺乳動物宿主からモノクローナル抗体を調製することが望ましい。そのようなモノクローナル抗体を調製する技術の記載は、例えばStitesら(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)、Lange Medical Publications、Los Altos、CA、およびそこで引用される参考文献;HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)、Academic Press、New York;および特にモノクローナル抗体を産生する1つの方法を議論しているNature 256:495−497のKohlerおよびMilstein(1975)に見出し得る。
【0083】
他の適当な技術としては、リンパ球の抗原性ポリペプチドへのインビトロの曝露、あるいはファージベクターまたは同様のベクターにおける抗体ライブラリーの選択が挙げられる。Huseら(1989)「ファージラムダにおける免疫グロブリンレパートリーの大規模コンビナトリアルライブラリーの産生」Science 246:1275−1281;およびWardら(1989)Nature 341:544−546を参照のこと。本発明のポリペプチドおよび抗体を、改変の有りまたは無しに使用し得、これには、キメラ抗体およびヒト抗体を含む。しばしば、ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を共有結合かまたは非共有結合かのいずれかで結合することによって標識される。広範な種々の標識および結合技術が公知であり、そして科学文献および特許文献の両方において広範囲に報告されている。適当な標識は、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁気粒子等を含む。そのような標識の使用を教示する特許は、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号を含む。また、組換え免疫グロブリンを産生し得る。Cabilly、米国特許第4,816,567号;Mooreら、米国特許第4,642,334号;およびQueenら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照のこと。
【0084】
本発明の抗体をまた、タンパク質の単離におけるアフィニティークロマトグラフィーに使用し得る。抗体が固体支持体に結合されるカラムを調製し得る。例えば、Wilchekら(1984)Meth.Enzymol.104:3−55を参照のこと。抗体を精製するためにこの逆を使用し得る。
【0085】
各IL−D80に対して産生された抗体はまた、抗イディオタイプ抗体を惹起するのに有用である。これらは、それぞれの抗原の発現に関連する様々な免疫学的状態を検出または診断するのに有用である。
【0086】
(VI.核酸)
記載されたペプチド配列および関連する試薬は、例えば天然の供給源からIL−D80をコードするDNAクローンを検出、単離、または同定するのに有用である。典型的には、これらは哺乳動物から遺伝子を単離するのに有用であり、そして同様の手順を他の種、例えば鳥類および哺乳動物のような温血動物から遺伝子を単離するのに適用する。クロスハイブリダイゼーションは、同じ、例えば多型変異体、または他の種からIL−D80を単離することを可能にする。適当な核酸クローンを首尾良く単離するために、多くの異なるアプローチが利用可能である。
【0087】
精製タンパク質または規定されたペプチドは、上記のように、標準的な方法によって抗体を産生するのに有用である。合成ペプチドまたは精製タンパク質を、免疫系に提示して、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生し得る。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in Immunology、Wiley/Greene;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。
【0088】
例えば、特異的結合組成物を、IL−D80を発現する細胞株から作製された発現ライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。細胞内発現のスクリーニングを、様々な染色または免疫蛍光手順によって行い得る。結合組成物を、アフィニティー精製または表面融合タンパク質を発現する細胞を分類するために使用し得る。
【0089】
ペプチドセグメントをまた、ライブラリーをスクリーニングするための適切なオリゴヌクレオチドを予測するために使用し得る。遺伝暗号を、スクリーニングのプローブとして有用な適切なオリゴヌクレオチドを選択するために使用し得る。例えば配列番号1、3、7、または9を参照のこと。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術と組み合わせて、合成オリゴヌクレオチドは、ライブラリーから正しいクローンを選択するのに有用である。相補配列もまた、プローブ、プライマー、またはアンチセンス鎖として使用する。例えば、アンカーベクターもしくはポリA相補PCR技術または他のペプチドの相補的DNAと結合した、様々なフラグメントが特に有用である。
【0090】
本発明は、抗原性または生物学的に活性な対応するIL−D80ポリペプチド、特に記載した配列の非翻訳5’部分をコードする部分を欠くものをコードする、単離DNAまたは単離フラグメントの使用を意図する。それに加えて、本発明は生物学的に活性なタンパク質またはポリペプチドをコードし、そして適当な条件下で、本明細書中で記載されたDNA配列とハイブリダイズすることができる、単離DNAまたは組換えDNAを含む。上記の生物学的に活性なタンパク質またはポリペプチドは、インタクトな抗原、またはフラグメントであり得、そして例えば配列番号2、4、8、または10で開示されたアミノ酸配列を有し、特に成熟した分泌ポリペプチドを有する。さらに、本発明は、分泌IL−D80と高い同一性を示すタンパク質をコードする、単離もしくは組換えのDNA、またはそれらのフラグメントの使用を含む。単離DNAは、5’および3’隣接部にそれぞれ調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ポリA付加シグナルなどを有し得る。あるいは、発現は、コードセグメントを異種プロモーターに作動可能に連結することによって(例えば、内因性遺伝子由来の上流プロモーターを挿入することによって)実施し得る。
【0091】
「単離」核酸は、核酸(例えば、RNA、DNAまたは混合ポリマー)であり、それは自然にネイティブな配列に付随する他の成分(例えば、リボソーム、ポリメラーゼ、および/またはもとの種由来の隣接するゲノム配列)から実質的に分離している。その用語は、その天然に存在する環境から取り出された核酸配列を含み、そして組換え体またはクローン化DNA単離物および化学的に合成されたアナログまたは異種由来の系によって生物学的に合成されたアナログを含む。実質的に純粋な分子は、分子の単離された形を含む。一般的に、核酸はベクター中または約50kbより短い、通常約30kbより短い、典型的には約10kbより少ない、そして好ましくは約6kbより短い断片である。
【0092】
単離核酸は、一般的には分子の均一な組成物であるが、ある実施形態では、少ない不均一性を含む。この不均一性は、典型的にはポリマー末端または望ましい生物学的機能または活性に重要でない部分に見出される。
【0093】
「組換え」核酸は、その産生方法またはその構造のいずれかによって定義される。その産生方法、例えばある過程によって産生される産物に関して、その過程は、ヌクレオチド配列におけるヒトの介入、典型的には選択または産生を含む、組換え核酸技術の使用である。あるいは、それは、天然にはお互いに隣接しない2つの断片の融合を含む配列の産生によって産生される核酸であり得るが、天然の産物、例えば天然に存在する変異体を除くことを意味する。従って、任意の合成オリゴヌクレオチド過程を用いて得られた配列を含む核酸と同様に、例えば任意の天然に存在しないベクターを用いて細胞を形質転換することによって生成した産物が含まれる。同じかまたは保存的アミノ酸をコードする重複コドンでコドンを置換することが多くの場合行われるが、典型的には配列認識部位を導入または除去することが行われる。
【0094】
あるいは、通常入手可能な天然の形で見出されない、所望の機能の組み合わせを含む単一の遺伝子(genetic entity)を産生するために、所望の機能の核酸セグメントを一緒に結合させるためにそれを行う。制限酵素認識部位は、しばしばそのような人工的操作の標的であるが、他の部位特異的標的、例えばプロモーター、DNA複製部位、調節配列、コントロール配列、または他の有用な特徴を設計に組み込み得る。同様のコンセプトが組換え(例えば、融合)ポリペプチドについて意図される。遺伝コードの重複性によって、これら抗原の断片に類似したポリペプチドをコードする合成核酸、および様々な異なる種または多型変異体由来の配列の融合が特に含まれる。
【0095】
核酸関連における有意な「断片」は、少なくとも約17ヌクレオチド、一般的に少なくとも約22ヌクレオチド、普通少なくとも約29ヌクレオチド、より多くの場合少なくとも約35ヌクレオチド、典型的には少なくとも約41ヌクレオチド、通常少なくとも約47ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約55ヌクレオチド、そして特に好ましい実施形態では少なくとも約60以上のヌクレオチド(例えば、67、73、81、89、95等)の連続セグメントである。
【0096】
IL−D80タンパク質をコードするDNAは、関連するかまたは同様のタンパク質をコードする遺伝子、mRNA、およびcDNA種、および異なる種由来の相同的タンパク質をコードするDNAを同定するのに特に有用である。霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、鳥類、および魚類を含む他の種においてホモログが存在する。様々なIL−D80タンパク質が相同的であり、そして本明細書中に含まれる。しかし、抗原に対してより遠い進化上の関係を有するタンパク質でさえ、それらが十分相同性であるならば、これらの配列を用いて適当な条件下で容易に単離し得る。霊長類IL−D80タンパク質が特に興味深い。
【0097】
例えばイントロンを含むゲノム配列に由来する組換えクローンは、例えばトランスジェニック細胞およびトランスジェニック生物を含むトランスジェニック研究、および遺伝子治療に有用である。例えば、Roitt(編)Encyclopedia of Immunology、Academic Press、San Diego、1502−1504頁のGoodnow(1992)「トランスジェニック動物」;Travis(1992)Science 256:1392−1394;Kuhnら(1991)Science 245:707−710;Capecchi(1989)Science 244:1288;Robertson(編、1987)Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach、IRL Press、Oxford;Rosenberg(1992)J.Clinical Oncology 10:180−199;およびCournoyerおよびCaskey(1993)Ann.Rev.Immunol.11:297−329を参照のこと。あるいは、発現は、例えば、内因性遺伝子から上流にプロモーターを挿入することによって、コードセグメントを異種由来のプロモーターに、作動可能に連結することによって実施され得る。例えば、Trecoら、WO96/29411またはUSSN08/406,030を参照のこと。
【0098】
核酸配列比較関係における実質的な相同性(例えば、同一性)は、比較したとき、適当なヌクレオチド挿入または欠失を伴って最適に整列した場合、そのセグメント、またはその相補鎖のいずれかが、少なくとも約50%のヌクレオチド、一般的に少なくとも約58%、普通少なくとも約65%、多くの場合少なくとも約71%、典型的には少なくとも約77%、通常少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約95から98%またはそれより多く、そして特定の実施形態では約99%またはそれ以上のヌクレオチドで同一であることを意味する。あるいは、そのセグメントが、選択されたハイブリダイゼーション条件下で、鎖、またはその相補鎖に、典型的には例えば配列番号1、3、7、または9のIL−D80の配列を用いて、ハイブリダイズする場合、実質的な相同性が存在する。典型的には、少なくとも約30ヌクレオチドの区間にわたり少なくとも約55%、好ましくは約25ヌクレオチドの区間にわたり少なくとも約75%、そして最も好ましくは約20ヌクレオチドにわたり少なくとも約90%の同一性が存在する時、選択的ハイブリダイゼーションが起こる。Kanehisa(1984)Nuc.Acids Res.12:203−213を参照のこと。記載したように、同一性比較の長さは、より長い区間にわたり得、そしてある実施形態では少なくとも約17ヌクレオチド、通常少なくとも約28ヌクレオチド、典型的には少なくとも約40ヌクレオチド、そして好ましくは少なくとも約75〜100またはそれ以上のヌクレオチドの区間である。
【0099】
ハイブリダイゼーション関連の相同性に関して、ストリンジェントな条件は、塩、温度、有機溶媒、および他のパラメーター、典型的にはハイブリダイゼーション反応において調節される条件の、ストリンジェントな組み合わせた条件である。ストリンジェントな温度条件は、通常、約30℃を超える、通常約37℃を超える、典型的には約55℃、60℃、または65℃を超える、そして好ましくは約70℃を超える温度を含む。ストリンジェントな塩条件は、普通約1000mMより少なく、通常約400mMより少なく、典型的には約250mMより少なく、好ましくは、約150mMより少なく、約100mM、50mM、または20mMさえも含む。しかし、パラメーターの組み合わせが、任意の1つのパラメーターの計測値よりはるかに重要である。例えば、WetmurおよびDavidson(1968)J.Mol.Biol.31:349−370を参照のこと。ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、バックグラウンドに対して少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3−5倍またはそれ以上のバックグラウンドを与える。
【0100】
配列比較に関して、典型的には1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを用いて、試験および参照配列がコンピューターに入力される時、もし必要ならサブシークエンス座標が指定され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。配列比較アルゴリズムは次いで、参照配列に関連する試験配列について配列同一性パーセントを、指定されたプログラムパラメーターに基づいて計算する。
【0101】
比較のために配列の最適なアラインメントを、例えばSmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482の局所相同性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 85:2444の類似性探索法によって、これらアルゴリズムのコンピューター化された実行によって(Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science、Madison博士、WI)、または視覚的な観察によって(一般的にはAusubelら、前出を参照のこと)行い得る。
【0102】
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、累進的な対のアラインメントを使用して、関連する配列のグループから複数の配列アラインメントを作成し、関係および配列同一性パーセントを示す。それはまた、アラインメントを作成するために使用された密集する関係を示すツリーまたは系統樹をプロットする。PILEUPは、FengおよびDoolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351−360の連続アラインメント法の簡約化を使用する。その使用される方法は、HigginsおよびSharp(1989)CABIOS 5:151−153により記載された方法と同様である。そのプログラムは、それぞれ最長5,000ヌクレオチドまたはアミノ酸の、300の配列までを整列し得る。複数アラインメント手順は、2つの整列した配列の集団を産生する、2つの最も類似した配列の対のアラインメントから始まる。この集団を次いで、次に最も関連した配列または整列配列の集団に対して整列させる。2つの配列の集団を、2つの個々の配列の、対のアラインメントの単純な拡張によって整列させる。最終的なアラインメントを、一連の連続した対のアラインメントによって達成する。そのプログラムは、配列比較の領域に関して特定の配列およびそのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することによって、およびプログラムパラメーターを指定することによって実行される。例えば、参照配列を他の試験配列と比較して、以下のパラメーターを使用して配列同一性パーセントの関係を決定し得る:デフォルトギャップ重量(default gap weight)(3.00)、デフォルトギャップ長重量(default gap length weight)(0.10)、および重量末端ギャップ(weighted end gaps)。
【0103】
配列同一性パーセントおよび配列類似性を決定するのに適当な、他のアルゴリズムの例は、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http:www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公に入手可能である。このアルゴリズムは、まず問合せ(query)配列中で長さWの短いワードを同定することによって、ハイスコア配列対(high scoring sequence pairs)(HSPs)を同定することを含む。これは、データベース配列において同じ長さのワードと整列した場合に、ある正の値の閾値スコアTに一致するかまたは満たす。Tは隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる(Altschulら、前出)。これら最初の隣接ワードヒット(neighborhood word hits)は、それらを含むより長いHSPsを発見する探索を開始する種として作用する。word hitsを次いで、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、各配列にそって両方向に拡張する。各方向へのword hitsの拡張は、以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアがその最大達成値よりX量だけ減少する場合;1つ以上のネガティブスコア残基アラインメントの蓄積に起因して、累積スコアがゼロまたはそれ以下になる場合;またはいずれかの配列の末端に達した場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アラインメントの感受性およびスピードを決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして11のワード長(wordlength)(W)、50のBLOSUM62スコア付けマトリックス(scoring matrix)(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を使用する。
【0104】
配列同一性パーセント計算することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の、類似性の統計学的分析を行う(例えば、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:5873−5787を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定値は、最少和可能性(smallest sum probability)(P(N))である。これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然に起こる可能性の指標を示す。例えば、試験核酸の参照核酸に対する比較におけるsmallest sum probabilityが約0.1より低い、より好ましくは約0.01より低い、そして最も好ましくは約0.001より低いならば、核酸は参照配列と類似していると判断される。
【0105】
ポリペプチドの2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらなる指標は、下記で記載するように、最初の核酸によってコードされるポリペプチドが、2番目の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。従って、例えば2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、ポリペプチドは、典型的には第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの他の指標は、下記で記載するように、2つの分子がストリンジェントな条件下でお互いにハイブリダイズすることである。
【0106】
他の哺乳類種由来のIL−D80を、密接に関連する種の種間ハイブリダイゼーションによってクローニングおよび単離し得る。相同性は、遠く関連する種の間では比較的低くあり得、従って比較的密接に関連した種のハイブリダイゼーションが賢明である。あるいは、あまり種特異性を示さない抗体製剤(preparation)の調製が、発現クローニングアプローチに有用であり得る。
【0107】
(VII.IL−D80の作成;模倣物)
IL−D80またはその断片をコードするDNAを、化学的合成、cDNAライブラリーのスクリーニング、または広範な種々の細胞系統または組織試料から調製したゲノムライブラリーのスクリーニングによって得ることができる。例えば、OkayamaおよびBerg(1982)Mol.Cell Biol.2:161−170;GublerおよびHoffman(1983)Gene 25:263−269;およびGlover(編、1984)DNA Cloning:A Practical Approach、IRL Press、Oxfordを参照のこと。あるいは、本明細書中で提供される配列は、有用なPCRプライマーを提供するか、または、IL−D80をコードする適当な遺伝子の合成または他の調製を可能にし、これらには、天然に存在する実施形態が挙げられる。
【0108】
次に例えばポリクローナルまたはモノクローナル抗体を産生するために使用され得る全長IL−D80または断片の合成のために;結合研究のために;修飾分子の構築および発現のために;そして構造/機能研究のために、このDNAを広範な種々の宿主細胞に発現し得る。効果的な分泌のためにシャペロンタンパク質の必要性が存在し得るか、または細胞内区画からタンパク質を回収するためにさらなる工程が必要であり得る。
【0109】
本明細書中で使用される場合、ベクターは、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組み込み可能なDNA断片、および宿主ゲノムへのDNA断片の組み込みが可能な他の担体を含む。例えば、Pouwelsら(1985および補遺)Cloning Vectors:A Laboratory Manual、Elsevier、N.Y.;およびRodriguezら(編、1988)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Buttersworth、Boston、MAを参照のこと。
【0110】
本発明の目的のために、DNA配列は、それらが互いに機能的に関連している時、作動可能に連結されている。例えば、シグナルペプチド(preseqence)または分泌リーダーのDNAは、それがプレタンパク質として発現されるか、または細胞膜へのポリペプチドの方向付けに関与するかまたはポリペプチドの分泌に関与する場合、ポリペプチドに作動可能に連結されている。プロモーターは、それがポリペプチドの転写を調節する場合、コード配列と作動可能に連結しており;リボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にするように位置する場合、コード配列と実施可能に連結している。通常、作動可能に連結されて(して)いるとは、隣接およびリーディングフレーム内であることを意味するが、リプレッサー遺伝子のようなある遺伝エレメントは、隣接して連結していないが依然として発現を調節するオペレーター配列に結合する。例えば、Rodriguezら、第10章、205−236頁;BalbasおよびBolivar(1990)Methods in Enzymology 185:14−37、およびAusubelら(1993)Current Protocols in Molecular Biology、Greene and Wiley、NYを参照のこと。
【0111】
適当な発現ベクターの代表的な例としては、pCDNA1;pCD(Okayamaら(1985)Mol.Cell Biol.5:1136−1142を参照のこと);pMC1neo Poly−A(Thomasら(1987)Cell 51:503−512を参照のこと);およびpAC373またはpAC610のようなバキュロウイルスベターが挙げられる。例えば、Miller(1988)Ann.Rev.Microbiol.42:177−199を参照のこと。
【0112】
特異的または規定されたグリコシル化パターンを提供するシステムでIL−D80ポリペプチドを発現することが、多くの場合望ましい。例えば、LuckowおよびSummers(1988)Bio/Technology 6:47−55;およびKaufman(1990)Meth.Enzymol.185:487−511を参照のこと。
【0113】
IL−D80またはその断片は、細胞膜に結合したホスファチジルイノシトール(PI)へ操作され得るが、ホスファチジルイノシトール切断酵素(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC)を用いた処理によって膜から除取り出され得る。これは、抗原を生物学的に活性な形で放出し、そしてタンパク質化学の標準的手順による精製を可能にする。例えば、Low(1989)Biochem.Biophys.Acta 988:427−454;Tseら(1985)Science 230:1003−1008;およびBrunnerら(1991)J.Cell Biol.114:1275−1283を参照のこと。
【0114】
ここで、IL−D80が特徴付けられ、その断片または誘導体を、ペプチド合成の従来の処理によって調製し得る。これらは、StewartおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Systhesis、Pierce Chemical Co.、Rockford、IL;BodanszkyおよびBodanszky(1984)The Practice of Peptide Systhesis、Springer−Verlag、New York;Bodanszky(1984)The Principles of Peptide Systhesis、Springer−Verlag、New York;およびVillafranca(編、1991)Techniques in Protein Chemistry II、Academic Press、San Diego、Caで記載されているような手順を含む。
(VIII.使用)
本発明は、例えばIL−D80が媒介する状態、または下記の診断キットの記載において、本明細書中の他の場所で記載されるように、診断的適用において用途を見出す試薬を提供する。その遺伝子は、例えば、げっ歯類をヒトと区別するために、または異なる発現または修飾パターンを示す、異なる細胞間を区別するマーカーとして、法科学において有用であり得る。
【0115】
本発明はまた、有意な商業および/または治療的可能性を有する試薬を提供する。IL−D80(天然に存在するまたは組換えの)、その断片、およびそれに対する抗体は、IL−D80に結合親和性を有すると同定された化合物とともに、分子生物学、免疫学、または生理学の技術を教える試薬として有用である。適切なキットを、例えばタンパク質、抗体、クローニング法、組織学等の産生または使用の実際的な研究室実習において、試薬とともに調製し得る。
【0116】
その試薬はまた、炎症性状態を含む異常な生理学または発症に関連する状態の治療に有用である。それらは、相互作用する成分の存在または非存在に関するインビトロ試験に有用であり得る。それは特定の治療戦略の成功と関連し得る。特に、様々な、例えば造血またはリンパ性細胞の生理機能の調節を、本明細書中で提供される組成物を用いる適当な治療法によって達成する。例えば、Thomson(編、1988)The Cytokine Handbook(第3版)Academic Press、San Diego;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors、Cambridge University Press;およびAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines、Blackwell Pubを参照のこと。
【0117】
例えば、異常な発現またはIL−D80による異常なシグナル伝達に関連する疾患または障害は、アゴニストまたはアンタゴニストについての標的であるようである。その新規サイトカインは造血細胞(例えばリンパ球)の調節または発生に役割を果たし、造血細胞は免疫学的反応(例えば、炎症および/または自己免疫疾患)に影響を与える。あるいは、これは血管生理学または発生、または神経効果に影響を与え得る。
【0118】
特に、そのサイトカインは、様々な関連で、細胞によるサイトカイン合成、増殖等を媒介する。IL−D80の天然に存在する形のムテイン改変体、または阻害抗体のようなIL−D80のアンタゴニストは、例えば炎症性または自己免疫反応のような状況において、免疫反応を阻害する選択的および強力な方法を提供し得る。Samterら(編)Immunological Diseases 第1および2巻、Little,Brown and Co.をも参照のこと。
【0119】
例えば、ノーザンブロット分析によるmRNA発現によって評価されるように、IL−D80を産生する異なる細胞型における、様々な異常な状態が公知である。Berkow(編)The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、Merck&Co.、Rahway、N.J.;Thornら、Harrison’s Principles of Internal Medicine、Mcgraw−Hill、N.Y.;およびWeatherallら(編)Oxford Textbook of Medicine、Oxford University Press、Oxfordを参照のこと。多くの他の医学的状態および疾患が、マクロファージまたは単球による活性化を含み、そしてこれらの多くが、本明細書中で提供されるアゴニストまたはアンタゴニストによる治療に反応性である。例えば、StitesおよびTerr(編、1991)Basic and Clinical Immunology、Appleton and Lange、Norwalk、Conneticut;およびSamterら(編)Immunological Diseases、Little,Brown and Coを参照のこと。これらの問題は、本明細書中で提供される組成物を使用する予防または治療に感受性である。
【0120】
IL−D80、アンタゴニスト、抗体等は、精製し次いで患者、獣医のまたはヒトに投与し得る。これらの試薬を、治療的使用のために、例えば伝統的な薬剤学的に許容できる担体または希釈剤、例えば免疫原性アジュバント中で、生理学的に無害な安定化剤、賦形剤、または保存剤とともに、さらなる活性または不活性成分と組み合わせ得る。これらの組み合せを滅菌濾過し、そして投薬バイアル中における凍結乾燥によるように投薬形式に配置、または安定化水性調製物中で保存し得る。本発明はまた、補体結合をしない形を含む、抗体またはその結合フラグメントの使用を企図する。
【0121】
IL−D80またはそのフラグメントを用いた薬剤のスクリーニングを、関連する成分の単離を含んで、結合親和性を有する、またはIL−D80機能に対して他の関連する生物学的効果を有する化合物を同定するために実施し得る。次いで続く生物学的アッセイを、その化合物が内因性の刺激活性を有するかどうか、および従ってそのサイトカインの活性を阻害する阻害剤またはアンタゴニストであるかどうかを決定するために利用し得る。同様に、内因性刺激活性を有する化合物は、シグナル伝達経路を活性化し得、そして従ってIL−D80の活性を刺激するアゴニストである。本発明はさらに、アンタゴニストとしてのIL−D80に対する阻害抗体およびアゴニストとしての刺激抗体の治療的使用を企図する。このアプローチは、他のIL−D80種変異体で特に有用であるはずである。
【0122】
有効な治療に必要な試薬の量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態、および投与される他の薬剤を含む、多くの異なる因子に依存する。従って、治療投与量は、安全性および有効性を最適化するために滴定されるべきである。代表的には、インビトロで使用される投与量が、これらの試薬のインサイチュ投与に有用な量の、有用な指標を提供し得る。特定の障害の治療に関する有効な投与量の動物試験は、ヒト投与量のさらに予期される指標を提供する。例えば、Gilmanら(編)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、最新版、Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、最新版、Mack Publishing Co.、Easton、Pennに様々な考慮事項が記載されている。投与方法は、例えば経口、静脈内、腹腔内、または筋肉内投与、経皮拡散、および他に関して、その中および下記で議論される。薬剤学的に許容できる担体は、水、生理食塩水、緩衝液、および例えばMerck Index、Merck&Co.、Rahway、New Jerseyで記載されている他の化合物を含む。投与量範囲は、適当な担体とともに、普通1mM濃度より低い、代表的には約10μM濃度未満、通常約100nM未満、好ましくは約10pM(ピコモル)未満、そして最も好ましくは約1fM(フェムトモル)未満であることが予期される。徐放性の処方または徐放性の装置が、連続的または長期投与のために多くの場合利用される。例えばLanger(1990)Science 249:1527−1533を参照のこと。
【0123】
IL−D80、そのフラグメント、およびそれに対する抗体またはそのフラグメント、アンタゴニスト、およびアゴニストを、治療される宿主へ直接投与し得るか、または化合物の大きさに依存して、投与の前にそれらを卵アルブミンまたは血清アルブミンのような担体タンパク質に結合させることが望ましくあり得る。治療的処方を、多くの伝統的な投薬処方で投与し得る。活性成分を単独で投与することが可能であるが、それを薬剤学的処方として提供することが好ましい。処方は、代表的には上記で定義されたような少なくとも1つの活性成分を、1つ以上のその許容できる担体とともに含む。各担体は、他の成分と適合性であり、そして患者に有害でないという意味で、薬剤学的にもおよび生理学的にも許容可能であるべきである。処方は、経口、直腸内、鼻腔内、局所、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)投与に適当なものを含む。処方は、単位投薬形式で簡便に提供され得、そして薬学の分野で周知のあらゆる方法によって調製され得る。例えば、Gilmanら(編、1990)Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Penn.;Avisら(編、1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、Dekker、New York;Liebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Dekker、New York;およびLiebermanら(編、1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、Dekker、New Yorkを参照のこと。本発明の治療は、他の薬剤、例えばIL−11を含む他のサイトカイン、またはそのアンタゴニストと組み合わせ得る、またはそれと共同して使用し得る。
【0124】
本発明のIL−D80の天然に存在する形式および組換え形式はどちらも、化合物をそのタンパク質への結合活性に関してスクリーニングすることができるキットおよびアッセイ方法で特に有用である。自動化アッセイのいくつかの方法が最近開発され、短い期間で何万もの化合物のスクリーニングを可能にした。例えば、Fodorら(1991)Science 251:767−773を参照のこと。それは固体基板上で合成された複数の規定されたポリマーによる、結合親和性の試験方法を記載している。適当なアッセイの開発は、本発明によって提供されるような、大量の精製、可溶性IL−D80が入手可能であることによって非常に促進され得る。
【0125】
IL−D80−IL−D80受容体相互作用において決定的な残基を決定するために、他の方法を使用し得る。相互作用および/またはシグナル伝達において決定的な特定の残基を決定するために、突然変異分析を行い得る。例えば、Somozaら(1993)J.Exptl.Med.178:549−558を参照のこと。PHD(RostおよびSander(1994)Proteins 19:55−72)およびDSC(KingおよびSternberg(1996)Protein Sci.5:2298−2310)は、αヘリックス(H)、β鎖(E)またはコイル(L)の2次構造の予測を提供し得る。受容体相互作用においてヘリックスAおよびDが最も重要であり、Dヘリックスがより重要な領域である。様々なヘリックスの境界を上記で示す。表面に曝露された残基は、受容体結合に影響し、一方埋め込まれた残基は一般的な構造に影響する。
【0126】
例えば、一旦抗原が構造的に定義されれば、例えば3次構造データによって、アンタゴニストは普通見出され得る。可能性のある相互作用アナログの試験は、精製IL−D80を用いた高度に自動化されたアッセイ方法の開発によって現在可能である。特に、新規アゴニストおよびアンタゴニストが、本明細書中で記載されるスクリーニング技術を用いて発見される。ある範囲のIL−D80分子に対してあわせた結合親和性を有することが見出された化合物、例えばIL−D80の種変異体に対してアンタゴニストとして作用し得る化合物が特に重要である。
【0127】
薬剤スクリーニングの1つの方法は、IL−D80を発現する組換えDNA分子で安定に形質転換した真核または原核宿主細胞を利用する。他の分子と離れてIL−D80を発現する細胞を単離し得る。そのような細胞を、生存可能なまたは固定された形式のいずれかで、標準的な結合パートナー結合アッセイで使用し得る。Parceら(1989)Science 246:243−247;およびOwickiら(1990)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 87:4007−4011も参照のこと。それは細胞反応を検出する鋭敏な方法を記載している。
【0128】
薬剤スクリーニングの別の技術は、IL−D80に対して適当な結合親和性を有する化合物のハイスループットスクリーニングを提供するアプローチを含み、そしてそれは1984年9月13日に公開されたGeysen、欧州特許出願第84/03564号に詳しく記載されている。まず、多くの異なる小さなペプチド試験化合物を固体基板、例えばプラスチックピンまたは他の適当な表面上に合成する。Fodorら(1991)を参照のこと。次いで全てのピンを可溶化未精製IL−D80、または可溶化精製IL−D80と反応させ、そして洗浄する。次の工程は、結合したIL−D80を検出することを含む。
【0129】
合理的な薬剤設計も、IL−D80および他のエフェクターまたはアナログの分子形の構造的研究に基づき得る。エフェクターは、結合に反応して他の機能を媒介する他のタンパク質、または通常IL−D80と相互作用する他のタンパク質、例えば受容体であり得る。特定の他のタンパク質とどの部位が相互作用しているか決定する1つの方法は、物理的構造決定、例えばX線結晶学、または2次元NMR技術である。これらは、例えば他のサイトカイン−受容体モデルに対してモデルを作ったときに、どのアミノ酸残基が分子接触領域を形成するかに関して指標を提供する。タンパク質構造決定の詳しい記載に関しては、例えば、BlundellおよびJohnson(1976)Protein Crystallography、Academic Press、New Yorkを参照のこと。
【0130】
(IX.キット)
本発明はまた、別のIL−D80または結合パートナーの存在を検出するための、様々な診断キットおよび方法において、IL−D80タンパク質、そのフラグメント、ペプチド、およびその融合産物の使用を企図する。代表的には、キットは、規定されたIL−D80ペプチドもしくは遺伝子セグメントのいずれか、またはどちらか1つ(例えばIL−D80フラグメントもしくは抗体)を認識する試薬を含む区画を有する。
【0131】
試験化合物のIL−D80への結合親和性を決定するキットは、代表的には試験化合物;標識化合物、例えばIL−D80に対して公知の結合親和性を有する結合パートナーまたは抗体;IL−D80の供給源(天然に存在するものまたは組換え体);および分子を固定化する固相のような、遊離標識化合物から結合したものを分離する手段を含む。一旦化合物をスクリーニングすると、抗原に対して適当な結合親和性を有するものを、当該分野で周知であるような適当な生物学的アッセイで評価して、それらがIL−D80シグナル伝達経路に対してアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するかどうか決定し得る。組換えIL−D80ポリペプチドが入手可能であることはまた、そのようなアッセイを較正する、よく規定された標準を提供する。
【0132】
試料中の、例えばIL−D80の濃度を決定する好ましいキットは、代表的には標識化合物、例えば抗原に対して公知の結合親和性を有する結合パートナーまたは抗体、サイトカインの供給源(天然に存在するものまたは組換え体)、およびIL−D80を固定化する固相のような、遊離標識化合物から結合したものを分離する手段を含む。試薬および指示を含む区画が正常に提供される。
【0133】
IL−D80またはフラグメントに特異的な、抗原結合フラグメントを含む抗体は、上昇したレベルのIL−D80および/またはそのフラグメントの存在を検出する診断的適用に有用である。そのような診断的アッセイは、溶解物、生きた細胞、固定細胞、免疫蛍光、細胞培養物、体液を採用し得、そしてさらに血清等におけるその抗原に関連する抗原の検出を含み得る。診断アッセイは、同種(遊離試薬および抗原−結合パートナー複合体間の分離工程なし)または異種(分離工程あり)であり得る。ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、酵素増幅免疫測定法(EMIT)、基質標識蛍光イムノアッセイ(SLFIA)等のような様々な市販のアッセイが存在する。例えば、Van Vunakisら(1980)Meth.Enzymol.70:1−525;HarlowおよびLane(1980)Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press、NY;およびColiganら(編、1993)Current Protocols in Immunology、GreeneおよびWiley、NYを参照のこと。
【0134】
抗イディオタイプ抗体を、様々な異常状態の診断になり得るので、IL−D80に対する抗体の存在を診断するために同様に使用し得る。例えば、IL−D80の過剰産生は、特に癌または異常な活性化または分化のような増殖細胞状態において、異常な生理的状態の診断となり得る様々な免疫反応の産生を引き起こし得る。さらに、入手可能な分布パターンは、そのサイトカインは膵島に発現されているという情報を提供し、そのサイトカインはその臓器の機能、例えば糖尿病に関連する医学的状態に関連し得る可能性を示唆する。
【0135】
多くの場合、アッセイの感受性を最適化するために、診断アッセイの試薬はキットで供給される。本発明のために、アッセイの性質に依存して、プロトコール、および標識、標識化もしくは未標識化抗体または結合パートナーのいずれか、または標識化IL−D80が提供される。これは普通、緩衝剤、安定化剤、酵素の基質のようなシグナル産生に必要な材料等のような、他の添加剤と組み合わせられる。好ましくは、キットはまた、適当な使用および使用後の内容物の廃棄に関する指示を含む。代表的には、キットは各有用な試薬のための区画を有する。望ましくは、試薬は凍結乾燥粉末として提供される。ここで試薬は、アッセイを行うのに適当な試薬濃度を提供する水性溶媒中で再構築され得る。
【0136】
薬剤スクリーニングおよび診断アッセイの、多くの前述の成分は、修飾無しで使用し得る、または様々な方法で修飾し得る。例えば、標識は、直接または間接的に検出可能なシグナルを提供する部分と共有または非共有結合させることによって達成し得る。いかなるこれらのアッセイにおいても、結合パートナー、試験化合物、IL−D80、またはそれに対する抗体は、直接または間接的に標識し得る。直接標識の可能性は、標識グループ:125Iのような放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼのような酵素(米国特許第3,645,090号)、および蛍光強度の変化、波長の変化、または蛍光の偏光をモニターすることができる蛍光標識(米国特許第3,940,475号)を含む。間接的標識の可能性は、1つの成分のビオチン化、続く上記の標識グループの1つと結合したアビジンへの結合を含む。
【0137】
遊離IL−D80から結合したものを、あるいは遊離試験化合物から結合したものを分離する多くの方法も存在する。IL−D80を様々なマトリックスに固定化、続いて洗浄し得る。適当なマトリックスは、ELISAプレートのようなプラスチック、フィルター、およびビーズを含む。例えば、Coliganら(編、1993)Current Protocols in Immunology、第1巻、第2章、Greene and Wiley、NYを参照のこと。他の適当な分離技術は、制限無しに、Rattleら(1984)Clin.Chem.30:1457−1461で記載されたフルオレセイン抗体磁化可能粒子法、および米国特許第4,659,678号で記載されたような二重抗体磁気粒子分離を含む。
【0138】
タンパク質またはそのフラグメントを様々な標識に結合させる方法は、文献に広く報告されており、そしてここで詳しく議論する必要はない。その技術の多くは、結合のために、ペプチド結合を形成するためにカルボジイミドまたは活性エステルの使用による活性化カルボキシル基の使用、メルカプト基のクロロアセチルのような活性化ハロゲンまたはマレイミドのような活性化オレフィンとの反応によるチオエーテルの形成等を含む。融合タンパク質もこれらの適用において使用される。
【0139】
本発明の別の診断的局面は、IL−D80の配列から取られたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列の使用を含む。これらの配列を、異常な状態、例えば炎症または自己免疫を有することが疑われる患者由来の試料中で、IL−D80メッセージのレベルを検出するプローブとして使用し得る。サイトカインは活性化のマーカーまたはメディエーターとなり得るので、例えば効果が有意になりそして進行する前に予防的な様式で、例えばいつ追加治療が要求され得るかを決定するために、活性化細胞の数を決定するのに有用であり得る。RNAおよびDNAヌクレオチド配列の両方の調製、配列の標識、および配列の好ましいサイズは、文献において豊富に記載および議論されている。例えば、Langer−Saferら(1982)Proc.Nat’l.Acad.Sci.79:4381−4385;Caskey(1987)Science 236:962−967;およびWilchekら(1988)Anal.Biochem.171:1−32を参照のこと。
【0140】
他の分子の定性または定量的発現を試験する診断キットもまた企図される。診断または予後はマーカーとして使用される複数の指標の組み合わせに依存し得る。従って、キットはマーカーの組み合わせに関して試験し得る。例えば、Vialletら(1989)Progress in Growth Factor Res.1:89−9を参照のこと。他の細胞サブセットを評価するために他のキットを使用し得る。
【0141】
(X.IL−D80受容体の単離)
特異的なリガンド−受容体相互作用のリガンドが単離されたなら、受容体を単離する方法が存在する。Gearingら(1989)EMBO J.8:3667−3676を参照のこと。例えば、その受容体への結合を阻害することなくIL−D80サイトカインを標識する手段を決定し得る。例えば、親和性標識をリガンドのアミノまたはカルボキシル末端のいずれかに融合し得る。そのような標識は、FLAGエピトープタグ、または、例えばIgまたはFcドメインであり得る。発現ライブラリーを、例えば細胞分類、または他のスクリーニングによって、サイトカインに対する特異的な結合に関してスクリーニングして、そのような結合成分を発現する部分集団を検出し得る。例えば、Hoら(1993)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:11267−11271;およびLiuら(1994)J.Immunol.152:1821−29を参照のこと。あるいは、パニング法を使用し得る。例えば、SeedおよびAruffo(1987)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 84:3365−3369を参照のこと。
【0142】
標識とのタンパク質架橋技術を適用して、IL−D80サイトカインの結合パートナーを単離し得る。これは、例えばリガンド−受容体様の方法でサイトカインと特異的に相互作用するタンパク質の同定を可能にする。IL−D80はIL−11Rαサブユニットまたは密接に相同的な受容体サブユニットに結合することが予期される。受容体のβサブユニットは、gp130であるようであり、おそらくLIF受容体がさらなる受容体成分として関与している。
【0143】
初期の実験は、予期されるように、公知のIL−11受容体成分がIL−D80への反応に関与しているかどうかを決定するために行われる。これらの機能的受容体複合体が、特異的受容体サブユニットまたは補助受容体サブユニットのいずれか、IL−D80受容体複合体と多くのまたは全ての成分を共有し得ることも、かなり可能性がある。
【実施例】
【0144】
(実施例)
(I.一般的な方法)
下記の標準的な方法の多くは、例えばManiatisら(1982)Molecular Cloning, A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Press、NY;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)第1−3巻、CSH Press、NY;Ausubelら、Biology、Greene Publishing Associates、Brooklyn、NY;またはAusubelら(1987および増刊)Current Protocols in Molecular Biology、Wiley/Greene、NY;Innisら(編、1990)PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Academic Press、NYにおいて記載または参照されている。タンパク質精製方法は、硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法を含む。例えば、Ausubelら(1987および定期的な増刊);Duetscher(1990)「タンパク質精製ガイド」、Methods in Enzymology、第182巻、およびこのシリーズの他の巻;Coliganら(1995および増刊)Current Protocols in Protein Science、John Wiley and Sons、New York、NY;P.Matsudaira(編、1993)A Practical Guide to Protein and Peptide Purification for Microsequencing、Academic Press、San Diego、CA;およびタンパク質精製製品を使用する時の製造業者の文献、例えばPharmacia、Piscataway、NJ、またはBio−Rad、Richmond、CAを参照のこと。組換え技術との組み合わせは、例えばプロテアーゼで除去し得る配列による、適当なセグメント(エピトープタグ)の、例えば融合され得るFLAG配列または同等物への融合を可能にする。例えば、Hochuli(1989)Chemische Industrie 12:69−70;Setlow(編)Genetic Engineering, Principles and Methods 12:87−98、Plenum Press、NYのHochuli(1990)「金属キレート吸収物質による組換えタンパク質の精製」;およびCroweら(1992)OIAexpress:The High Level Expression & Protein Purification System、QUIAGEN Inc.、Chatsworth、CAを参照のこと。
【0145】
標準的な免疫学的技術は、例えば、Hertzenbergら(編、1996)Weir’s Handbook of Experimental Immunology、第1−4巻、Blackwell Science;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology、Wiley/Greene、NY;およびMethods in Enzymology 第70、73、74、84、92、93、108、116、121、132、150、162、および163巻において記載されている。サイトカインアッセイは、例えば、Thomson(編、1998)The Cytokine Handbook(第3版)Academic Press、San Diego;Mire−SluisおよびThorpe(1998)Cytokines、Academic Press、San Diego;MetcalfおよびNicola(1995)The Hematopoietic Colony Stimulating Factors、Cambridge University Press;およびAggarwalおよびGutterman(1991)Human Cytokines、Blackwell Pub.において記載されている。
【0146】
血管生物学的活性に関するアッセイは、当該分野で周知である。それらは、腫瘍、または他の組織、例えば動脈平滑筋の増殖(例えばKoyomaら(1996)Cell 87:1069−1078を参照のこと)、血管上皮に対する単球の接着(McEvoyら(1997)J.Exp.Med.185:2069−2077を参照のこと)等における血管形成および血管形成抑制性(angiostatic)活性を含む。Ross(1993)Nature 362:801−809;RekhterおよびGordon(1995)Am.J.Pathol.147:668−677;Thybergら(1990)Atherosclerosis 10:966−990;およびGumbiner(1996)Cell 84:345−357も参照のこと。
【0147】
神経細胞生物学的活性に関するアッセイは、例えばWouterlood(編、1995)Neuroscience Protocols、モジュール10、Elsevier;Methods in Neurosciences、Academic Press;およびNeuromethods、Humana Press、Totowa、NJにおいて記載されている。発生系の方法論は、例えばMeisami(編)Handbook of Human Growth and Developmental Biology、CRC Press;およびChrispeels(編)Molecular Techniques and Approaches in Developmental Biology、Interscienceにおいて記載されている。
【0148】
FACS分析は、Melamedら(1990)Flow Cytometry and Sorting、Wiley−Liss,Inc.、New York、NY;Shapiro(1988)Practical Flow Cytometry、Liss、New York、NY;およびRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methods、Wiley−Liss、New York、NYにおいて記載されている。
【0149】
(II.ヒトIL−D80のクローニング)
霊長類、例えばヒト遺伝子の配列が、表1で提供される。これらの配列は配列データベースから得られる。これらの配列は、遺伝子の細胞分布を決定するためのPCRプライマー、またはプローブの調製を可能にする。これらの配列は、メッセージをコードするゲノムDNAの単離を可能にする。
【0150】
プローブまたはPCRプライマーを用いて、様々な組織または細胞型を探索(probe)して細胞分布を決定する。PCR産物を、例えばTAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングする。できたcDNAプラスミドを、自動化シーケンサー(Applied Biosystems)において両端から配列決定する。
【0151】
(III.IL−D80の細胞発現)
霊長類IL−D80をコードするcDNAに特異的な、適切なプローブまたはプライマーを調製する。典型的には、プローブを例えばランダムプライミングによって標識する。
【0152】
サザン分析:1次増幅したcDNAライブラリー由来のDNA(5μg)を、適切な制限酵素で消化して挿入物を放出し、1%アガロースゲルに泳動して、そしてナイロン膜へ転写した(Schleicher and Schuell、Keene、NH)。
【0153】
ヒトmRNA単離のための試料は、以下のものを含み得る:末梢血単核細胞(単球、T細胞、NK細胞、顆粒球、B細胞)、休止(T100);末梢血単核細胞、2、6、12時間抗CD3で活性化してプール(T101);T細胞、TH0クローンMot72、休止(T102);T細胞、TH0クローンMot72、3、6、12時間抗CD28および抗CD3で活性化してプール(T103);T細胞、TH0クローンMot72、2、7、12時間特異的ペプチドでアネルギー処理してプール(T104);T細胞、TH1クローンHY06、休止(T107);T細胞、TH1クローンHY06、3、6、12時間抗CD28および抗CD3で活性化してプール(T108);T細胞、TH1クローンHY06、2、6、12時間特異的なペプチドでアネルギー処理してプール(T109);T細胞、TH2クローンHY935、休止(T110);T細胞、TH2クローンHY935、2、7、12時間抗CD28および抗CD3で活性化してプール(T111);T細胞腫瘍株JurkatおよびHut78、休止(T117);T細胞クローン、プールしたAD130.2、Tc783.12、Tc783.13、Tc783.58、Tc782.69、休止(T118);T細胞ランダムγδT細胞クローン、休止(T119);CD28−T細胞クローン;脾臓細胞、休止(B100);脾臓細胞、抗CD40およびIL−4で活性化(B101);B細胞EBV株、プールしたWT49、RSB、JY、CVIR、721.221、RM3、HSY、休止(B102);B細胞株JY、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(B103);プールしたNK20クローン、休止(K100);プールしたNK20クローン、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化(K101);NKLクローン、LGL白血病患者の末梢血由来、IL−2処理(K106);造血前駆細胞株TF1、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(C100);U937前単球株、休止(M100);U937前単球株、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(M101);溶出(elutriate)単球、1、2、6、12、24時間LPS、IFNγ、抗IL−10で活性化してプール(M102);溶出単球、1、2、6、12、24時間LPS、IFNγ、IL−10で活性化してプール(M103);溶出単球、4、16時間LPS、IFNγ、抗IL−10で活性化してプール(M106);溶出単球、4、16時間LPS、IFNγ、IL−10で活性化してプール(M107);溶出(elutriate)単球、1時間LPSで活性化(M108);溶出単球、6時間LPSで活性化(M109);DC70% CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα 12日間、休止(D101);DC70% CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα 12日間、1時間PMAおよびイオノマイシンで活性化(D102);DC70% CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα 12日間、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化(D103);DC95% CD1a+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα 12日間、FACS分類、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(D104);DC95% CD14+、ex CD34+ GM−CSF、TNFα 12日間、FACS分類、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(D105);DC CD1a+ CD86+、CD34+ GM−CSF由来、TNFα 12日間、FACS分類、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(D106);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、休止(D107);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、休止(D108);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、4、16時間LPSで活性化してプール(D109);単球GM−CSF由来DC、IL−4 5日間、4、16時間TNFα、単球スープ(supe)で活性化してプール(D110);上皮細胞、未刺激;上皮細胞、IL−1β活性化;肺線維芽細胞肉腫株MRC5、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(C101);腎臓上皮癌細胞株CHA、1、6時間PMAおよびイオノマイシンで活性化してプール(C102)。
【0154】
げっ歯類、例えばマウスの対応物が同定され、そしてその分布を同様に評価する。マウスmRNA単離の試料は、以下の物を含み得る:休止マウス線維芽L細胞株(C200);Braf:ER(エストロゲンレセプターに融合したBraf)トランスフェクト細胞、コントロール(C201);脾臓由来Mel14+未処理T細胞、休止(T209);脾臓由来Mel14+未処理T細胞、TH1細胞へ分極化(polarized)させるためにIFNγ、IL−12、および抗IL−4で刺激、6、12、24時間IFNγおよびIL−4へ曝露してプール(T210);脾臓由来Mel14+未処理T細胞、Th2細胞へ分極化させるためにIL−4および抗IFNγで刺激、6、13、24時間IL−4および抗IFNγへ曝露してプール(T211);T細胞、TH1分極化(脾臓由来のMel14光(bright)CD4+細胞、IFNγおよび抗IL−4で7日間分極化;T200);T細胞、TH2分極化(脾臓由来のMel14光CD4+細胞、IL−4および抗IFNγで7日間分極化;T201);T細胞、トランスジェニックBalb/C由来の高度にTH1分極化3×(Openshawら(1995)J.Exp.Med.182:1357−1367を参照のこと;2、6、24時間抗CD3で活性化してプール;T202);T細胞、トランスジェニックBalb/C由来の高度にTH2分極化3×(2、6、24時間抗CD3で活性化してプール;T203);T細胞、トランスジェニックC57bl/6由来の高度にTH1分極化3×(2、6、24時間抗CD3で活性化してプール;T212);T細胞、トランスジェニックC57bl/6由来の高度にTH2分極化3×(2、6、24時間抗CD3で活性化してプール;T213);T細胞、高度にTH1分極化(トランスジェニックBalb/C由来の未処理CD4+T細胞、IFNγ、IL−12、および抗IL−4で分極化3×;6、12、24時間IGIF、IL−12、および抗IL−4で刺激、プール);CD44− CD25+ 前駆T細胞、胸腺から分類(T204);TH1 T細胞クローンD1.1、抗原による最後の刺激から3週間休止(T205);TH1 T細胞クローン D1.1、15時間 10μg/mlのConA刺激(T206);TH2 T細胞クローンCDC35、抗原による最後の刺激から3週間休止(T207);TH2 T細胞クローンCDC35、15時間 10μg/mlのConA刺激(T208);未刺激B細胞株CH12(B201);未刺激成熟B細胞白血病細胞株A20(B200);脾臓由来の未刺激ラージB細胞(B202);全脾臓由来のB細胞、LPS刺激(B203);脾臓由来メトリザマイド濃縮樹状細胞、休止(D200);骨髄由来樹状細胞、休止(D201);抗B220、抗CD3、および抗クラスIIで枯渇した未刺激骨髄由来樹状細胞、GM−CSFおよびIL−4中で培養(D202);抗B220、抗CD3、および抗クラスIIで枯渇した骨髄由来樹状細胞、GM−CSFおよびIL−4中で培養、1、5時間抗CD40で刺激、プール(D203);LPSで4時間活性化した単球細胞株RAW264.7(M200);GMおよびM−CSFで得た骨髄マクロファージ(M201);GM−CSFで得た骨髄マクロファージ、24時間LPS、IFNγ、およびIL−10で刺激(M205);GM−CSFで得た骨髄マクロファージ、24時間LPS、IFNγ、および抗IL−10で刺激(M206);腹腔マクロファージ(M207);マクロファージ細胞株J774、休止(M202);0.5、1、3、6、12時間のマクロファージ細胞株J774+LPS+抗IL−10、プール(M203);0.5、1、3、5、12時間のマクロファージ細胞株J774+LPS+IL−10、プール(M204);未刺激肥満細胞株MC−9およびMCP−12(M208);脳微小血管内皮細胞由来の不死化内皮細胞株、未刺激(E200);脳微小血管内皮細胞由来の不死化内皮細胞株、TNFαで一晩刺激(E201);脳微小血管内皮細胞由来の不死化内皮細胞株、TNFαで一晩刺激(E202);脳微小血管内皮細胞由来の不死化内皮細胞株、TNFαおよびIL−10で一晩刺激(E203);wtC57bl/6マウス由来の全大動脈;5ヶ月齢ApoE KO マウス由来の全大動脈(X207);12ヶ月齢ApoE KO マウス由来の全大動脈(X207);wt胸腺(O214);全胸腺、rag−1(O208);全腎臓、rag−1(O209);全腎臓、NZ B/Wマウス;および全心臓、rag−1(O202)。LPSで4時間活性化した単球細胞株RAW264.7(M200);T細胞、トランスジェニックC57bl/6由来の高度にTH1分極化3×(2、6、24時間抗CD3で活性化してプール;T212);およびT細胞、高度にTH1分極化(トランスジェニックBalb/C由来の未処理CD4+T細胞、IFNγ、IL−12、および抗IL−4で分極化3×;IGIF、IL−12、および抗IL−4で6、12、24時間刺激してプール)で高いシグナルが検出された。
【0155】
(IV.IL−D80の染色体マッピング)
単離されたIL−D80をコードするcDNAを使用する。染色体マッピングは標準的な技術である。例えば、BIOS Laboratories(New Haven、CT)およびマウス体細胞ハイブリッドパネルをPCRと共に使用する方法を参照のこと。
【0156】
(V.IL−D80タンパク質の精製)
複数のトランスフェクトした細胞株を、他の細胞に比べて高いレベルでサイトカインを発現するものに関してスクリーニングする。様々な細胞株を、操作に好ましい性質に関してスクリーニングおよび選択する。天然IL−D80を天然の供給源から、または適切な発現ベクターを用いて形質転換した細胞からの発現によって単離し得る。発現タンパク質の精製は、標準的な手順によって達成され得る、または細胞溶解物または上清から高い効率で効率的に精製するために遺伝子工学の手段と組み合わせられ得る。FLAG、またはHis6セグメントをそのような精製の特徴のために使用し得る。あるいは、アフィニティークロマトグラフィーを、特異的な抗体と共に使用し得る。下記を参照のこと。
【0157】
タンパク質を、望むように、大腸菌、昆虫細胞、または哺乳動物発現系で産生する。IL−D80構築物を、エピトープタグ付加(extension)、例えばFLAGと共に調製した。その構築物を一過的に293細胞に発現させ、そしてタグイムノアフィニティーカラム技術を用いて上清から精製した。高度に精製されたタンパク質を得た。
【0158】
(VI.相同なIL−D80遺伝子の単離)
IL−D80 cDNA、または他の種の対応する配列を、望ましい供給源由来のライブラリー、例えば霊長類細胞cDNAライブラリーをスクリーニングするためのハイブリダイゼーションプローブとして使用し得る。多くの異なる種を、容易なハイブリダイゼーションに必要なストリンジェンシーに関して、そしてプローブを用いて存在に関してスクリーニングし得る。適切なハイブリダイゼーション条件を、クロスハイブリダイゼーションの特異性を示すクローンを選択するために使用する。
【0159】
ペプチド配列に基づく縮重プローブを用いたハイブリダイゼーションによるスクリーニングはまた、適切なクローンの単離を可能にする。あるいは、PCRスクリーニングに適切なプライマーの使用は、適切な核酸クローンの濃縮を生じる。
【0160】
種変異体、多型変異体、または対立遺伝子変異体のいずれかを単離するのに、同様の方法を適用できる。種変異体を、プローブとして1つの種由来の全長単離物またはフラグメントの単離に基づく種間ハイブリダイゼーション技術を用いて単離する。
【0161】
あるいは、ヒトIL−D80に対して産生した抗体を、例えば適切なcDNAライブラリーから交差反応性タンパク質を発現する細胞をスクリーニングするために使用する。精製タンパク質または規定されたペプチドは、上記で記載されたような、標準的な方法によって抗体を産生するのに有用である。合成ペプチドまたは精製タンパク質を、免疫系に提示して、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を産生する。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in Immunology、Wiley/Greene;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。生じた抗体を、記載されたように、スクリーニング、精製、または診断に使用する。
【0162】
(VII.IL−D80に特異的な抗体の調製)
合成ペプチドまたは精製タンパク質を免疫系に提示してモノクローナルまたはポリクローナル抗体を産生する。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in Immunology、Wiley/Greene;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照のこと。ポリクローナル血清、またはハイブリドーマを調製し得る。適切な状況で、結合試薬は、例えば蛍光または他の方法で、上記で記載されたように標識されるか、またはパニング法のために基材に固定化される。免疫選択、吸着、および関連する技術が、例えば結合の選択性の望ましいスペクトルを示す選択的試薬を調製するために利用可能である。
【0163】
(VIII.生物学的機能の範囲の評価)
IL−D80の生物学的活性を、部分的にはIL−D80とIL−11との間の配列および構造的相同性に基づいて試験する。最初に、IL−11の生物学的活性を示すアッセイを試験する。例えば、Thomson、The Cytokine Handbook、Academic PressのJacobsen(1998)を参照のこと。
【0164】
(A.前駆細胞の増殖/分化に対する効果)
様々な細胞型の増殖または分化に対する効果を、様々なサイトカイン濃度で評価する。用量応答性分析を、ある場合には他のサイトカイン、例えば関連するサイトカインIL−11と相乗作用を示すものと組み合わせて実施する。これらは、例えばIL−1、IL−4、IL−6、IL−12、LIF、G−CSF、M−CSF、GM−CSF、IL−3、TPO、Kitリガンド、またはFltリガンドを含む。
【0165】
特に、IL−11は幹細胞において相乗的活性を示す。IL−D80を臍帯血細胞で試験し、IL−11から得られた初期の前駆細胞の増殖または分化に効果があるかどうかを見る。好ましくは、細胞は初期前駆細胞、例えば臍帯血、骨髄、胸腺、脾臓、またはCD34+前駆細胞由来の、例えば幹細胞である。サイトカインを、B細胞前駆細胞を含む骨髄および/または赤血球前駆細胞に対する効果に関して試験する。
【0166】
(B.巨核球の増殖に対するIL−D80の効果)
全PBMCを、正常健康ドナーの軟膜から、記載されたようにフィコール−ハイパーク(ficoll−hypaque)による遠心によって単離する(Boyumら)。PBMCを、IL−D80の存在または非存在下で、単独または他のサイトカインと組み合わせて、96穴プレート(Falcon、Becton−Dickinson、NJ)で、1%のヒトAB血清を含む200μlのYssel培地(Gemini Bioproducts、Calabasas、CA)中で培養する。細胞を、培地単独または100U/mlのIL−2(R&D Systems)と組み合わせて120時間培養する。3H−チミジン(0.1mCi)を、培養の最後の6時間に加え、そして3H−チミジンの組み込みを液体シンチレーション計測によって決定する。
【0167】
ネイティブ、組換え、および融合タンパク質を、多くの他の生物学的アッセイシステムにおいて、例えばT細胞、B細胞、NK、マクロファージ、樹状細胞、造血前駆体等におけるアゴニストおよびアンタゴニスト活性に関して試験する。
【0168】
IL−D80を、IL−11レセプターおよびコントロールを発現するトランスフェクトした細胞において、アゴニストまたはアンタゴニスト活性に関して評価する。
【0169】
IL−D80を、マクロファージ/樹状細胞活性化および抗原提示アッセイ、抗原または同種異系刺激に反応するT細胞サイトカイン産生および増殖における影響に関して、単独または他のサイトカインと組み合わせて評価する。例えば、de Waal Malefytら(1991)J.Exp.Med.174:1209−1220;de Waal Malefytら(1991)J.Exp.Med.174:915−924;Fiorentinoら(1991)J.Immunol.147:3815−3822;Fiorentinoら(1991)J.Immunol.146:3444−3451;およびGrouxら(1996)J.Exp.Med.184:19−29を参照のこと。
【0170】
IL−D80をまた、NK細胞刺激における効果に関して評価する。アッセイは、例えばHsuら(1992)Internat.Immunol.4:563−569;およびSchwarzら(1994)J.Immunother.16:95−104に基づき得る。細胞傷害性T細胞およびLAK細胞における効果を評価するために、他のアッセイを適用する。例えば、NamienおよびMire−Sluis(1998)を参照のこと。
【0171】
B細胞の増殖および分化効果を、例えば、IgG2およびIgA2スイッチ因子アッセイを含む、例えばDefranceら(1992)J.Exp.Med.175:671−682;Roussetら(1992)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 89:1890−1893において記載された方法論によって、分析する。COS7上清と異なり、NIH3T3およびCOP上清は明らかにヒトB細胞アッセイを妨害しないことに注意すること。
【0172】
(C.ヒト単球の細胞表面分子の発現に対する効果)
単球を、正常健康ドナーの末梢血単核細胞からネガティブセレクションによって精製する。簡単には、3×108のフィコールバンド化(banded)単核細胞を、氷上で例えば200μlのαCD2(Leu−5A)、200μlのαCD3(Leu−4)、100μlのαCD8(Leu 2a)、100μlのαCD19(Leu−12)、100μlのαCD20(Leu−16)、100μlのαCD56(Leu−19)、100μlのαCD67(IOM 67;Immunotech、Westbrook、ME)、および抗グリコホリン抗体(10F7MN、ATCC、Rockville、MD)を含むモノクローナル抗体の反応混液(Becton−Dickinson;Mountain View、CA)と共にインキュベートする。抗体に結合した細胞を洗浄し、そして次いでヒツジ抗マウスIgGを結合した磁気ビーズ(Dynal、Oslo、Norway)と共に、ビーズ対細胞の比が20:1でインキュベートする。抗体に結合した細胞を、磁場の適用によって単球から分離する。続いて、ヒト単球を、IL−D80の存在または非存在下で、単独または他のサイトカインと組み合わせて、1%ヒトAB血清を含むYssel培地(Gemini Bioproducts、Calabasas、CA)中で培養する。
【0173】
細胞表面分子の発現の分析を、直接免疫蛍光検査によって行い得る。例えば、2×105の精製ヒト単球を、1%のヒト血清を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で、氷上で20分間インキュベートする。細胞を200×gでペレット化する。細胞を20mlのPEまたはFITC標識mAbに再懸濁する。さらに氷上で20分間インキュベートした後、細胞を、1%ヒト血清を含むPBS中で洗浄し、続いてPBS単独で2回洗浄する。細胞を、1%のパラホルムアルデヒドを含むPBS中で固定化し、そしてFACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson;Mountain View、CA)で分析する。代表的なmAbを使用する。例えば:Becton−DickinsonからのCD11b(抗mac1)、CD11c(抗gp150/95)、CD14(Leu−M3)、CD54(Leu 54)、CD80(抗BB1/B7)、HLA−DR(L243)、およびCD86(FUN1;Pharmingen)、CD64(32.2;Medarex)、CD40(mAb89;Schering−Plough France)。
【0174】
(D.ヒト単球によるサイトカイン産生におけるIL−D80の効果)
ヒト単球を、記載したように単離し、そしてIL−D80(1/100希釈バキュロウイルス発現材料)の存在または非存在下で1%ヒトAB血清を含むYssel培地(Gemini Bioproducts、Calabasas、CA)中で培養する。それに加えて、単球を、IL−D80の存在または非存在下でLPS(E.coli 0127:B8 Difco)で刺激し、そして細胞培養上清中のサイトカイン(IL−1β、IL−6、TNFα、GM−CSF、およびIL−10)濃度をELISAによって決定する。
【0175】
サイトカインの細胞質内染色のために、単球を、IL−D80およびLPS(E.coli 0127:B8 Difco)および10mg/mlのブレフェルジンA(Epicentre technologies、Madison、WI)の存在または非存在下で、Yssel培地中で12時間培養する(100万/ml)。細胞をPBS中で洗浄して、そして2%のホルムアルデヒド/PBS溶液中で、室温で20分間インキュベートする。続いて細胞を洗浄し、透過化処理緩衝液(PBS/BSA(0.5%)/アジド(1mM)中0.5%のサポニン(Sigma))に再懸濁し、そして室温で20分間インキュベートする。細胞(2×105)を遠心分離して、そして透過化緩衝液中で1:10に希釈した20mlの直接結合抗サイトカインmAbに、室温で20分間再懸濁する。以下の抗体を使用し得る:IL−1α−PE(364−3B3−14);IL−6−PE(MQ2−13A5);TNFα−PE(MAb11);GM−CSF−PE(BVD2−21C11);およびIL−12−PE(C11.5.14;Pharmingen、San Diego、CA)。続いて、細胞を透過化緩衝液中で2回、およびPBS/BSA/アジド中で1回洗浄し、そしてFACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson;Mountain View、CA)で分析する。
【0176】
骨リモデリング、軟骨細胞(chondriocyte)、ニューロン、脂肪細胞、胃腸上皮、または気管支上皮の領域で、さらなるアッセイを試験する。
【0177】
(IX.遺伝子改変した動物の作製および分析)
トランスジェニックマウスを標準的な方法によって作製し得る。そのような動物は、特定の組織における、または完全に生物体全体で、遺伝子の欠失の効果を決定するのに有用である。そのようなものは、動物または特定の組織の、様々な段階における発生に興味深い洞察を提供し得る。さらに、生物学的ストレスに対する様々な反応に対する効果を評価し得る。例えば、Hoganら(1995)Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual(第2版)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。
【0178】
本明細書中で引用された全ての参考文献は、個々の出版物または特許出願それぞれが、全体として全ての目的のために参考文献に援用されると明確にそして個々に示されたように同じ程度、本明細書中で参考文献に援用される。
【0179】
当業者に明らかであるように、本発明の多くの修飾および変化が、その意図および範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書中で記載された特定の実施態様は、例示のためにのみ提供され、そして本発明は、このような請求が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ制限される。
[配列表]
【0180】
【表1−1】

【0181】
【表1−2】

【0182】
【表1−3】

【0183】
【表1−4】

【0184】
【表1−5】

【0185】
【表1−6】

【0186】
【表1−7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−227120(P2010−227120A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157202(P2010−157202)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【分割の表示】特願2001−513982(P2001−513982)の分割
【原出願日】平成12年7月27日(2000.7.27)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】