説明

商品管理装置、商品管理方法およびプログラム

【課題】店舗や自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を示す情報を効率的に収集する。
【解決手段】商品管理装置1は、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得部10と、レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、処理領域内の画像と、商品各々の外観画像とをパターンマッチングした後、当該処理領域を特定するための情報と、当該外観画像で特定される商品を識別する情報と、パターンマッチングの結果とを対応付けてメモリに記憶させる処理を、処理領域および外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチング部11と、パターンマッチングの結果に基づいて、処理領域に表示されている商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定部14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品管理装置、商品管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の商品販売スタイルとしては、コンビニエンスストア等の店舗における店頭販売や、自動販売機を利用した販売などがある。いずれにおいても商品の売上は、商品の陳列状態に依存することが知られている。
【0003】
特許文献1(特開2003−203155号公報)には、売場に自動販売機を設置した場合の、売場側の顧客利益を算出するシミュレーションおよびその効果検証を行う技術が記載されている。当該文献において、設置計画作成段階では必要最小限のデータで迅速にシミュレーション結果を得るとともに、計画提案段階では機種特性および商品配置に配慮することにより、計画作成段階よりも精度を高めたシミュレーションを得るようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−203155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、商品の売り上げは、商品の陳列状態に依存することが知られており、商品の陳列状態に関する様々な研究がなされている。
【0006】
このような研究結果に基づいて商品を適切に陳列することで、商品売上を伸ばす試みが多くなされており、さらなる研究が期待されている。このため、研究に用いるデータとして、店舗における商品の陳列状態や、自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を示す情報を収集することが望まれている。
【0007】
また、商品のメーカーにとって、店舗における商品の陳列状態や、自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を把握し、その店舗や自動販売機での商品の売れ行きなどを考慮して、例えば店舗に商品レイアウトの改善を提案したり、または、自動販売機のディスプレイ部における商品レイアウトを変更したりすることは重要な戦略である。このような理由からも、店舗における商品の陳列状態や、自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を示す情報を収集することが望まれている。
【0008】
しかし、従来、店舗における商品の陳列状態や、自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を示す情報を効率的に収集することが困難であった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、店舗における商品の陳列状態や、自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を示す情報を効率的に収集する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得部と、前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチング部と、前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定部とを有する商品管理装置が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得ステップと、前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチングステップと、前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定ステップとを有する商品管理方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、コンピュータを、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得手段、前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチング手段、前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定手段として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、店舗における商品の陳列状態や、自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を示す情報を効率的に収集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の商品管理装置の概要を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態の商品管理装置の一例を説明するための機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の商品領域抽出部の構成を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態の商品領域抽出部の構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態の外観データ保持部の構成を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態のマッチング結果記憶部の構成を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態のレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態のレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態のレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態のレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態の商品管理装置の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態の商品管理装置の処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態のレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態のマッチング部の構成を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態のマッチング部およびレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図16】本発明の実施形態のマッチング部およびレイアウト推定部の構成を説明するための図である。
【図17】本発明の実施形態の商品管理装置の一例を説明するための機能ブロック図である。
【図18】本発明の実施形態の什器の構成を説明するための図である。
【図19】本発明の実施形態の什器情報保持部の構成を説明するための図である。
【図20】本発明の実施形態の商品管理装置の一例を説明するための機能ブロック図である。
【図21】本発明の実施形態の自販機情報保持部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態の各部は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム(あらかじめ機器を出荷する段階からメモリ内に格納されているプログラムのほか、CD等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムも含む)、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、機器にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0016】
また、本実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、本実施形態の各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。
【0017】
<実施形態1>
最初に、本実施形態の概要について図1を用いて説明する。
まず、商品の陳列状態を示す情報の取得を希望するユーザは、図1に示すように、デジタルカメラ4などの画像撮像機能を有する装置を用いて、複数種の商品が陳列されている状態を撮像する。例えば、ユーザは、店舗に配置され、複数種の商品が陳列されている状態の什器2を撮像したり、複数種の商品がディスプレイ部に陳列されている状態の自動販売機3のディスプレイ部を撮像したりする。その後、ユーザは、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを、商品管理装置1に入力する。
【0018】
商品管理装置1は、複数種の商品各々の外観画像のデータを利用可能に構成されている。そして、商品管理装置1は、入力されたレイアウト画像内の所定領域と、上記商品の外観画像とをパターンマッチングしていくことで、上記レイアウト画像内における複数種の商品各々の位置を特定する。その後、商品管理装置1は、特定した結果を用いて、複数種の商品のレイアウトを推定する。
【0019】
以下、本実施形態の商品管理装置1について詳細に説明する。図2には、本実施形態の商品管理装置1の構成の一例を示す機能ブロック図が示されている。図2に示す本実施形態の商品管理装置1は、レイアウトデータ取得部10と、マッチング部11と、外観データ保持部12と、マッチング結果記憶部13と、レイアウト推定部14と、商品領域抽出部15とを有する。
【0020】
なお、商品管理装置1は、外観データ保持部12およびマッチング結果記憶部13の少なくとも1つを有さない構成とすることもできる。かかる場合、商品管理装置1が有さない部(外観データ保持部12および/またはマッチング結果記憶部13)は商品管理装置1以外の装置に備えられ、当該装置と商品管理装置1とは有線および/または無線で接続される。そして、商品管理装置1は外観データ保持部12およびマッチング結果記憶部13にアクセスし、これらの部に対してデータの取得および書込み等の処理を実行できるように構成される。
【0021】
以下、各部の構成について詳細に説明する。
レイアウトデータ取得部10は、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得する。当該レイアウト画像のデータは、画像撮像機能を有する装置、例えばデジタルカメラや携帯電話などを用いてユーザが撮像した画像データとすることができる。
【0022】
上述のようなレイアウト画像のデータをレイアウトデータ取得部10が取得する手段は特段制限されない。例えば、ユーザは、デジタルカメラ等の装置を用いて所望のレイアウト画像を撮像し、撮像した画像データを、あらかじめ商品管理装置1が有するメモリや、商品管理装置1と有線および/または無線で接続可能に構成された装置が有するメモリに記憶させておく。そして、レイアウトデータ取得部10は、上記メモリからレイアウト画像のデータを取得する。
【0023】
商品領域抽出部15は、レイアウト画像内において、1つの商品が表示されている領域である商品領域を抽出する。例えば、レイアウトデータ取得部10が、図3(a)に示すような、複数種の商品Aが陳列されている什器のレイアウト画像Cを取得した場合、商品領域抽出部15は、図3(b)に示すように、当該レイアウト画像C内において、商品Aが表示されている領域である商品領域Bを抽出する。商品領域抽出部15が商品領域を抽出する手段は、例えば、以下のような処理とすることができる。
【0024】
まず、商品領域抽出部15は、レイアウト画像に対してエッジ検出処理を行う。エッジ検出処理は、画像内の明るさが大きく変化する箇所をエッジとして検出する処理であり、現在多くの手法がある。商品領域抽出部15は、従来のあらゆる技術を利用して、エッジ検出処理を行うことができる。
【0025】
エッジ検出処理によりエッジを検出した後、商品領域抽出部15は、検出したエッジにより閉じられた少なくとも1つの領域を抽出する。なお、ここで抽出する「エッジにより閉じられた領域」は、エッジにより完全に閉じられている必要はなく、エッジが部分的に欠けることで、閉じられた領域と他の領域とを繋ぐ開いた箇所が部分的に含まれてもよい。
【0026】
なお、上記抽出した閉じられた領域の中には、商品領域とは異なる領域も含まれる可能性がある。そこで、商品領域抽出部15は、抽出した閉じられた領域の中から、商品領域を抽出する処理を行う。当該処理内容は特段制限されないが、例えば、商品領域抽出部15は、抽出した閉じられた領域の中から、所定の形状の領域を商品領域として抽出してもよい。ここでの「所定の形状」は、商品の陳列状態を撮像したレイアウト画像に映ると考えられる商品の形状とすることができる。すなわち、所定の形状は、商品の外観形状に基づいて定めることができる。例えば商品がたばこの場合、所定の形状は、たばこの正面形状または側面形状(所定の縦横比の長方形)、あるいは、カートンの正面形状または側面形状(所定の縦横比の長方形)などが考えられる。
【0027】
具体的処理としては、商品領域抽出部15は、あらかじめ上記所定の形状を示す情報を保持しておく。そして、抽出した閉じられた領域の中から商品領域を抽出する際、商品領域抽出部15は、上記情報を用いて所定の形状を認識し、認識した形状の縦横比を維持したまま拡大縮小することで所定の形状の大きさを変更したり、所定の形状を回転したりしながら、抽出した閉じられた領域の形状と比較していく。すなわち、商品領域抽出部15は、所定の形状の多数の相似形と、抽出した閉じられた領域の形状とを、所定の形状を回転しながら比較していく。そして、比較の結果、所定値以上の一致率が得られた場合、商品領域抽出部15は、その閉じられた領域を商品領域として抽出する。なお、上記「所定値」は設計的事項である。また、商品領域抽出部15は、上記所定の形状の大きさの上限および下限を示す情報を保持しておき、この範囲内で、上記所定の形状の大きさを変更してもよい。上記「上限および下限」は、例えば、レイアウト画像内に映ると考えられる商品の大きさの上限および下限を、商品に応じてユーザが予め予測した値とすることができる。
【0028】
上述のように構成する場合、商品領域抽出部15は、上記所定の形状を示す情報を複数保持することもできる。これは、複数種の商品の中に、外観形状が異なる商品が含まれる場合を想定した構成である。なお、所定の形状は矩形に限定されず、陳列状態を知りたい商品の外観形状が他の形状であれば、その形状とすることができる。そして、所定の形状が他の形状である場合においても、商品領域抽出部15は、上記と同様にして商品領域を抽出することができる。
【0029】
なお、商品領域抽出部15は、その他の手法を用いて、抽出した閉じられた領域の中から商品領域を抽出することもできる。例えば、商品領域抽出部15は、抽出した閉じられた領域の中に、同様の形状および大きさの領域が所定数以上存在する場合、または、同様の形状および大きさの領域が所定数以上一定のピッチで繰り返し配置されている場合、これらの領域を商品領域として抽出してもよい。「同様の形状」および「同様の大きさ」は、必ずしも形状および大きさが完全に一致している必要はなく、一定のズレを含んでもよい概念である。ここで例示した処理はあくまで一例であり、商品領域抽出部15は、あらゆる手法を利用して、抽出した閉じられた領域の中から、商品領域を抽出することができる。
【0030】
商品領域抽出部15は商品領域を抽出すると、抽出した商品領域を示す情報を、メモリに記憶させる。当該メモリは、商品管理装置1が有するメモリであってもよいし、他の装置が備えるメモリであってもよいが、少なくとも、以下で説明するマッチング部11がアクセス可能なメモリである必要がある。商品領域を示す情報は、レイアウト画像C(図3(b)参照)内において商品領域Bを特定できる情報である。その表現手法は特段制限されないが、例えば、レイアウト画像Cに座標軸(x−y軸)を設定し、座標を用いて表現してもよい。例えば、商品領域抽出部15は、図4に示すようなテーブルに、商品領域を示す情報を記録する。
【0031】
図4に示すテーブルは、レイアウト画像番号「P000001」で特定されるレイアウト画像内において抽出した商品領域を示している。「商品領域番号」は、抽出した商品領域に任意に付された識別番号である。「座標」は、商品領域を特定するための情報である。例えば、商品領域番号「00001」には、座標「(2、5)、(5、5)、(2、10)、(5、10)」が対応付けられている。これは、商品領域番号「00001」で特定される商品領域は、対応付けられている4つの座標点を結ぶことで形成される矩形の内部領域であることを示している。以下、図4に示すようなテーブルを「商品領域テーブル4a」という。
【0032】
なお、座標を用いて商品領域を表現する手法は、図4に示すものに限定されない。例えば、複数種の商品の外観形状が同じ形状である場合、商品領域テーブル4aには、レイアウト画像内における商品領域の形状および大きさを示す情報を記録するとともに、各商品領域の位置を示す情報として、特定の一点を示す情報を記録してもよい。具体的には、商品領域が矩形の場合、商品領域の縦および横の辺の長さを示す情報を商品領域テーブル4aに記録するとともに、各商品領域の位置を示す情報として、各商品領域の左上の点を示す座標を記録してもよい。このような情報からも、各商品領域を特定することができる。その他、商品領域が丸の場合、中心点と半径を示す情報により、商品領域を表現してもよい。
【0033】
外観データ保持部12は、複数種の商品各々の外観画像のデータを保持する。外観画像は、商品の陳列状態を撮像したレイアウト画像に映ると考えられる商品の外観を示す画像とする必要がある。一般的に、各商品に特有のデザインまたは商品名が示された箇所が顧客側に向けられるように、すなわち前面になるように商品は陳列される。よって、レイアウト画像には、各商品に特有のデザインまたは商品名が示された箇所が映ると考えられる。そこで、外観画像は、各商品に特有のデザインまたは商品名が示された箇所(面)を示す画像としてもよい。例えば、商品がたばこの場合、外観画像は、たばこの正面を示す画像や、たばこの背面または側面を示す画像や、カートンの正面、背面または側面を示す画像とすることができる。なお、外観データ保持部12は、1種の商品の外観画像のデータとして1つの外観画像のデータを保持してもよいし、複数の外観画像のデータを保持してもよい。
【0034】
外観データ保持部12は、例えば、図5に示すような、複数種の商品各々を識別する商品識別情報に対応付けて、当該商品の外観画像のデータが記録されているテーブル(以下、「外観画像テーブル5a」という)を保持する。
【0035】
マッチング部11は、
(1)レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、
(2)処理領域内の画像と、外観データ保持部12から取得した第1の外観画像とをパターンマッチングし、
(3)当該処理領域を特定するための情報と、第1の外観画像で特定される商品を識別する商品識別情報と、パターンマッチングの結果とを対応付けて、マッチング結果記憶部13に記憶させる。
【0036】
マッチング部11は、上記(1)乃至(3)の処理を、レイアウト画像内における処理領域およびパターンマッチングに用いる外観画像の少なくとも一方を変更しながら、繰り返し行う。以下、マッチング部11による上記処理を説明する。
【0037】
まず、マッチング部11が、(1)レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定する処理について説明する。
【0038】
本実施形態のマッチング部11は、商品領域抽出部15が抽出した商品領域を、処理領域として特定する。例えば、マッチング部11は、図4に示すような商品領域テーブル4aから、商品領域番号「00001」に対応付けられている座標「(2、5)(5、5)(2、10)(5、10)」を取得し、当該座標で特定されるレイアウト画像内の領域を、処理領域として特定する。
【0039】
次に、マッチング部11が、(2)処理領域内の画像と、外観データ保持部12から取得した第1の外観画像とをパターンマッチングする処理について説明する。
【0040】
マッチング部11は、従来のあらゆる手法を用いて、パターンマッチングを行うことができる。そして、マッチング部11は、パターンマッチングの結果として、認識率を算出する。なお、マッチング部11は、処理領域内の画像と第1の外観画像の大きさが異なる場合、少なくともいずれか一方の大きさを、縦横比を維持したまま互いに一致する方向に変更した後、変更後の画像を用いて、マッチング処理を行うことができる。この時、マッチング部11は、2つの画像の大きさを完全に一致させるのが好ましいが、必ずしもそのようにする必要はなく、多少のずれが残っていてもよい。
【0041】
マッチング部11は、第1の処理領域内の画像に対して、複数種の外観画像各々を順次用いてパターンマッチングを複数回行う。なお、マッチング部11は、外観データ保持部12が保持する複数種の外観画像すべてを順次用い、上記パターンマッチングを行ってもよい。
【0042】
また、マッチング部11は、第1の外観画像を用い、複数の処理領域の画像各々に対して、パターンマッチングを複数回行う。なお、マッチング部11は、商品領域抽出部15が抽出したすべての商品領域を順次処理領域として特定し、上記パターンマッチングを行ってもよい。
【0043】
次に、マッチング部11が、(3)処理領域を特定するための情報と、第1の外観画像で特定される商品を識別する商品識別情報と、パターンマッチングの結果とを対応付けて、マッチング結果記憶部13に記憶する処理について説明する。
【0044】
マッチング結果記憶部13は、所定の情報を記録するため、例えば図6に示すようなテーブルを保持する。図6に示すテーブルには、レイアウト画像番号「P000001」で特定されるレイアウト画像に対して行ったパターンマッチングの結果が記録されている。当該テーブルには、処理領域を特定するための情報として、座標が記録されている。また、当該テーブルには、各処理領域に対応付けて、当該処理領域内の画像とパターンマッチングを行った外観画像で特定される商品の商品識別情報が記録されている。さらに、当該テーブルには、処理領域を特定するための情報および商品識別情報に対応付けて、パターンマッチングの結果である認識率が記録されている。以下、図6に示すテーブルを「マッチング結果テーブル6a」という。
【0045】
マッチング部11は、上記(1)および(2)の処理を行った後、例えば図6に示すようなマッチング結果テーブル6aに、処理領域を特定するための情報、第1の外観画像で特定される商品を識別する商品識別情報、および、第1の外観画像を用いて行ったパターンマッチングの結果を対応付けて記録する。なお、マッチング部11は、図5に示すような外観画像テーブル5aを参照することで、第1の外観画像で特定される商品を識別する商品識別情報を取得することができる。
【0046】
レイアウト推定部14は、マッチング結果記憶部13を参照し、パターンマッチングの結果に基づいて、処理領域に表示されている商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定する。
【0047】
例えば、レイアウト推定部14は、図6に示すマッチング結果テーブル6aを参照し、第1の処理領域を特定するための座標「(2、5)、(5、5)、(2、10)、(5、10)」に対応付けられている商品識別情報の中から、対応付けられている認識率が最も高い商品識別情報、例えば「MS」を抽出する。そして、レイアウト推定部14は、抽出した商品識別情報「MS」で特定される商品を、第1の処理領域に表示されている商品として推定する。レイアウト推定部14は、すべての処理領域に対して、表示されている商品を推定する。
【0048】
なお、レイアウト推定部14は、推定した結果を、図7に示すような推定結果テーブル7aに記録してもよい。図7に示す推定結果テーブル7aによれば、レイアウト推定部14は、レイアウト画像番号「P000001」で特定されるレイアウト画像内において、座標「(2、5)、(5、5)、(2、10)、(5、10)」で特定される領域に、商品識別情報「MS」で特定される商品が表示されていると推定し、座標「(7、5)、(10、5)、(7、10)、(10、10)」で特定される領域に、商品識別情報「MSL」で特定される商品が表示されていると推定したことが示されている。
【0049】
ここで、商品領域抽出部15が抽出した商品領域の中には、商品が表示されていない領域が含まれる可能性がある。例えば、レイアウト画像内に、商品の外観形状と同様の形状を有する物が含まれる場合、商品領域抽出部15は、当該物が表示されている領域を、商品領域として抽出してしまう可能性がある。
【0050】
具体的には、例えばレイアウト画像内に含まれる什器の外観形状が商品の外観形状と同様の形状である場合、商品領域抽出部15は、什器が表示されている領域を、商品領域として抽出してしまう場合がある。かかる場合、マッチング部11は、什器が表示されている領域をも処理領域として特定し、当該領域に表示されている画像と商品の外観画像とをパターンマッチングする。そして、マッチング部11は、什器が表示されている領域(処理領域)を特定するための情報と、商品識別情報と、パターンマッチングの結果とを対応付けて、例えば図6に示すようなマッチング結果テーブル6aに記録することとなる。すなわち、マッチング結果テーブル6aには、商品が表示されていない領域を特定するための情報に、商品識別情報と、パターンマッチングの結果とを対応付けた情報が記録されている可能性がある。かかる場合、レイアウト推定部14は、複数種の商品の陳列状態を的確に推定することはできない。
【0051】
そこで、レイアウト推定部14は、上記不都合を回避するため、マッチング結果テーブル6aに記録されている処理領域の中から、商品が表示されていない領域を特定し、例えば当該テーブルから削除する、または、当該領域は商品が表示されていない領域であることを認識可能な情報を、マッチング結果テーブル6aに付与するなどの処理を行うことができる。
【0052】
なお、レイアウト推定部14が、マッチング結果テーブル6aに記録されている処理領域の中から、商品が表示されていない領域を特定する処理としては、例えば、マッチング結果テーブル6aに記録されているパターンマッチングの結果を利用して行う処理が考えられる。
【0053】
具体的には、レイアウト推定部14は、マッチング結果テーブル6aに記録されている処理領域ごとに、対応付けられている複数の認識率の中の最も高い認識率が、所定の値以下または所定の値より小さいか判断する。そして、レイアウト推定部14は、対応付けられている複数の認識率の中の最も高い認識率が所定の値以下または所定の値より小さい処理領域は、商品が表示されていない領域として推定する。なお、ここで説明した構成はあくまで一例であり、レイアウト推定部14は、他の構成により、マッチング結果テーブル6aに記録されている処理領域の中から、商品が表示されていない領域を特定してもよい。
【0054】
レイアウト推定部14は、各処理領域に表示されている商品を推定し、また、処理領域の中の商品が表示されていない領域を推定した後、推定した結果を、ディスプレイ、印刷装置などのあらゆる出力装置を用い、ユーザに向けて出力することができる。例えば、レイアウト推定部14は、図7に示すような推定結果テーブル7aを出力してもよい。
【0055】
その他、レイアウト推定部14は、推定した結果を用いて図8に示すような出力画像Gを作成し、ユーザに向けて出力してもよい。図8に示す出力画像Gは、レイアウト画像Cと、レイアウト画像Cに表示されている複数種の商品の陳列状態を推定した結果画像Eとを並べて表示している。なお、出力画像Gは結果画像Eのみを表示した画像とすることもできる。
【0056】
結果画像Eは、図7に示す推定結果テーブル7aに記録されている複数の領域各々を特定するための座標を用いて複数の矩形を表し、複数の矩形すべてを含む矩形群が結果画像Eに適度な大きさで表示されるよう拡大表示したものである。そして、各矩形の中に、各矩形を表示するために用いた座標に対応付けられている商品識別情報を表示している。また、結果画像Eの上隅に、レイアウト画像番号「P000001」を表示することで、いずれのレイアウト画像の結果であるかをユーザが識別できるようにしている。このような結果画像Eによれば、ユーザは複数種の商品の陳列状態を直感的に把握することができる。また、図8に示すように、結果画像Eとレイアウト画像Cとを並べて表示することで、ユーザは、本実施形態の商品管理装置1による陳列状態の推定結果が適切なものか容易に確認することができる。
【0057】
その他、レイアウト推定部14は、推定した結果から、陳列されている商品の列数および段数を推定し、各列の各段にいずれの商品が陳列されているかを示した情報を出力してもよい。例えば、レイアウト推定部14は、図9に示すような出力テーブル9aを作成し、出力してもよい。図9に示す出力テーブル9aは、レイアウト画像番号「P000001」で特定されるレイアウト画像に対して行ったパターンマッチングの結果が記録されており、陳列されている商品の列数および段数が示されている。また、各列の各段に、当該位置に陳列されている商品を識別する商品識別情報が対応付けて記録されている。
【0058】
なお、レイアウト推定部14が列数および段数を推定する手段は特段制限されない。以下、一例を説明する。まず、レイアウト推定部14は、図7に示す推定結果テーブル7aに記録されている複数の領域各々を特定するための情報(座標)の中から、1つの情報(座標)を抽出する。例えば、レイアウト推定部14は、図10に示すレイアウト画像Cに関する推定結果テーブル7aに記録されている複数の領域Dを特定するための情報の中から、領域D'を特定するための情報を抽出する。そして、レイアウト推定部14は、抽出した情報で特定される領域D'を、レイアウト画像C内において、y軸の位置を固定したままx軸方向に移動した際に、領域D'と重なる他の領域Dがいくつ含まれるかカウントする。図10の場合、カウント値は3となる。そして、レイアウト推定部14は、当該カウント値に「1」を加えた数を列数とする。すなわち、図10の場合、レイアウト推定部14は、列数を「4」と推定する。
【0059】
同様に、レイアウト推定部14は、抽出した情報で特定される領域D'を、レイアウト画像C内において、x軸の位置を固定したままy軸方向に移動した際に、領域D'と重なる他の領域Dがいくつ含まれるかカウントする。そして、レイアウト推定部14は、当該カウント値に「1」を加えた数を段数とする。図10の場合、レイアウト推定部14は、段数を「3」と推定する。当該処理例はあくまで一例であり、レイアウト推定部14は、他の手段を用いて列数および段数を推定することもできる。
【0060】
なお、商品の陳列状態は多様であるので、各段の列数が異なる場合が考えられる。例えば、1段目は6列、2段目は6列、3段目は5列などの陳列状態が考えられる。そこで、レイアウト推定部14は、上述の手段を用いて段数を算出した後、各段に対して、上述の列数を算出する処理を行ってもよい。当然、レイアウト推定部14は、上述の手段を用いて列数を算出した後、各列に対して、上述の段数を算出する処理を行うこともできる。
【0061】
次に、本実施形態の商品管理装置1の処理の流れの一例について、図2、3、5、6、7、8および11を用いて説明する。
【0062】
図11のフローチャートに示すように、まず、図2に示すレイアウトデータ取得部10が、レイアウト画像のデータを取得する(S10)。例えば、レイアウトデータ取得部10は、図3(a)に示すような、複数の商品Aが陳列された什器を撮像したレイアウト画像Cのデータを取得する。
【0063】
次に、図2に示す商品領域抽出部15が、S10でレイアウトデータ取得部10が取得したレイアウト画像の中から、商品領域を抽出する(S20)。例えば、商品領域抽出部15は、レイアウトデータ取得部10が取得した図3(a)に示すようなレイアウト画像Cから、図3(b)に示すように、複数の商品領域Bを抽出する。
【0064】
次に、図2に示すマッチング部11が、S20で商品領域抽出部15が抽出した商品領域の中の1つを、処理領域として特定する(S30)。例えば、マッチング部11は、図3(b)に示す複数の商品領域Bの中から、図中、最も左側の最も上側に位置する商品領域Bを、処理領域として特定する。
【0065】
次に、図2に示すマッチング部11が、外観データ保持部12が保持する外観画像を順に用い、当該外観画像と、S30で特定した処理領域に含まれる画像とをパターンマッチングし、結果をマッチング結果記憶部13に記憶させる(S40)。
【0066】
例えば、マッチング部11は、外観データ保持部12が保持する図5に示すような外観画像テーブル5aから、商品識別情報「MS」に対応付けられている外観画像データを取得する。そして、マッチング部11は、当該外観画像と、図3(b)中、最も左側の最も上側に位置する商品領域B内の画像とをパターンマッチングする。
【0067】
次に、マッチング部11は、図3(b)中、最も左側の最も上側に位置する商品領域Bを特定するための情報と、商品識別情報「MS」と、パターンマッチングの認識率とを対応付けて、マッチング結果記憶部13に記憶させる。例えば、マッチング部11は、上記情報を、図6に示すマッチング結果テーブル6aに記録する。
【0068】
その後、マッチング部11は、外観データ保持部12が保持する図5に示すような外観画像テーブル5aから、商品識別情報「CBN」に対応付けられている外観画像データを取得する。そして、マッチング部11は、当該外観画像と、図3(b)中、最も左側の最も上側に位置する商品領域B内の画像とをパターンマッチングし、結果をマッチング結果記憶部13に記憶させる。
【0069】
その後、マッチング部11は、外観データ保持部12が保持する外観データを順に取得し、上記処理を繰り返す。そして、当該処理が終了すると、商品管理装置1はS50に進む。
【0070】
その後、S20で商品領域抽出部15が抽出した商品領域の中に、S30で処理領域として特定されていない商品領域がある場合(S50のYes)、商品管理装置1はS30に戻り、上記処理を繰り返す。例えば、戻ったS30において、マッチング部11は、図3(b)に示す複数の商品領域Bの中から、図中、最も左側の上から2番目に位置する商品領域Bを、処理領域として特定する。そして、上記処理を繰り返す。
【0071】
一方、S20で商品領域抽出部15が抽出した商品領域の中に、S30で処理領域として特定されていない商品領域がない場合(S50のNo)、商品管理装置1はS60に進む。
【0072】
その後、S60において、図2に示すレイアウト推定部14は、S40でパターンマッチングの結果が記憶されたマッチング結果記憶部13を参照し、複数種の商品の陳列状態を推定する(S60)。
【0073】
例えば、レイアウト推定部14は、図6に示すマッチング結果テーブル6aを参照し、第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている商品識別情報の中から、最も高い認識率が対応付けられている商品識別情報を抽出する。そして、レイアウト推定部14は、抽出した商品識別情報で特定される商品が、第1の処理領域に表示されていると推定する。レイアウト推定部14は、すべての処理領域に表示されている商品を推定し、推定した結果を、例えば、図7に示すような推定結果テーブル7aに記録する。その後、レイアウト推定部14は、推定結果テーブル7aを利用して、図8に示すような、結果画像Eとレイアウト画像Cとを並べて表示した出力画像Gを作成し、ユーザに向けて出力する。
【0074】
次に、本実施形態の商品管理装置1の処理の流れの他の一例について、図2、3、5、6、7、8および12を用いて説明する。
【0075】
図12のフローチャートに示すように、まず、図2に示すレイアウトデータ取得部10が、レイアウト画像のデータを取得する(S11)。例えば、レイアウトデータ取得部10は、図3(a)に示すような、複数の商品Aが陳列された什器を撮像したレイアウト画像Cのデータを取得する。
【0076】
次に、図2に示す商品領域抽出部15が、S11でレイアウトデータ取得部10が取得したレイアウト画像の中から、商品領域を抽出する(S21)。例えば、商品領域抽出部15は、レイアウトデータ取得部10が取得した図3(a)に示すようなレイアウト画像Cにおいて、図3(b)に示すように、複数の商品領域Bを抽出する。
【0077】
次に、図2に示すマッチング部11が、外観データ保持部12が保持する外観画像の中から1つを取得する(S31)。例えば、マッチング部11は、外観データ保持部12が保持する図5に示すような外観画像テーブル5aから、商品識別情報「MS」に対応付けられている外観画像データを取得する。
【0078】
次に、図2に示すマッチング部11が、S21で商品領域抽出部15が抽出した複数の商品領域を順に処理領域として特定し、特定した処理領域に含まれる画像と、S31で取得した外観画像とをパターンマッチングして、結果をマッチング結果記憶部13に記憶させる(S41)。
【0079】
例えば、マッチング部11は、図3(b)に示す複数の商品領域Bの中から、図中、最も左側の最も上側に位置する商品領域Bを、処理領域として特定する。
【0080】
そして、マッチング部11は、図3(b)中、最も左側の最も上側に位置する商品領域B内の画像と、商品識別情報「MS」に対応付けられている外観画像と、をパターンマッチングする。
【0081】
次に、マッチング部11は、図3(b)中、最も左側の最も上側に位置する商品領域Bを特定するための情報と、商品識別情報「MS」と、パターンマッチングの認識率とを対応付けて、マッチング結果記憶部13に記憶させる。例えば、マッチング部11は、上記情報を、図6に示すマッチング結果テーブル6aに記録する。
【0082】
その後、マッチング部11は、図3(b)に示す複数の商品領域Bの中から、他の商品領域Bを処理領域として特定する。そして、マッチング部11は、特定した処理領域内の画像と、商品識別情報「MS」に対応付けられている外観画像と、をパターンマッチングし、結果をマッチング結果記憶部13に記憶させる。
【0083】
その後、マッチング部11は、S21で商品領域抽出部15が抽出した複数の商品領域すべてを、S41で処理領域として特定するまで、上記処理を繰り返す。そして、当該処理が終了すると、商品管理装置1はS51に進む。
【0084】
その後、外観データ保持部12が保持する外観画像の中に、S31で取得されていない外観画像がある場合(S51のYes)、商品管理装置1はS31に戻り、上記処理を繰り返す。例えば、戻ったS31において、マッチング部11は、外観データ保持部12が保持する図5に示すような外観画像テーブル5aから、商品識別情報「CBN」に対応付けられている外観画像データを取得する。そして、上記処理を繰り返す。
【0085】
一方、外観データ保持部12が保持する外観画像の中に、S31で取得されていない外観画像がない場合(S51のNo)、商品管理装置1はS61に進む。
【0086】
その後、S61において、図2に示すレイアウト推定部14は、S41でパターンマッチングの結果が記憶されたマッチング結果記憶部13を参照し、複数種の商品の陳列状態を推定する(S61)。
【0087】
例えば、レイアウト推定部14は、図6に示すマッチング結果テーブル6aを参照し、第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている商品識別情報の中から、最も高い認識率が対応付けられている商品識別情報を抽出する。そして、レイアウト推定部14は、抽出した商品識別情報で特定される商品が、第1の処理領域に表示されていると推定する。レイアウト推定部14は、すべての処理領域に表示されている商品を推定し、推定した結果を、図7に示すような推定結果テーブル7aに記録する。その後、レイアウト推定部14は、推定結果テーブル7aを利用して、図8に示すような、結果画像Eとレイアウト画像Cとを並べて表示した出力画像Gを作成し、ユーザに向けて出力する。
【0088】
本実施形態の商品管理装置1は、例えば以下のプログラムをコンピュータにインストールすることで実現することができる。
コンピュータを、複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得手段、
前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチング手段、
前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定手段として機能させるためのプログラム。
【0089】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態の商品管理装置1は、複数種の商品が陳列されている状態を撮像した画像データを取得すると、当該画像内において商品が表示されている領域を抽出し、抽出した領域各々に表示されている画像と、複数種の商品各々の外観画像とをパターンマッチングしていく。そして、商品管理装置1は、パターンマッチングの結果に基づいて、各領域に表示されている商品を推定し、推定した結果に基づいて、複数種の商品の陳列状態を推定することができる。
【0090】
このような本実施形態の商品管理装置によれば、複数種の商品の陳列状態を知りたいユーザは、複数種の商品が陳列されている状態を撮像した画像データを取得し、当該画像データを商品管理装置1に入力するだけで、商品の陳列状態を示した情報を取得することができる。このような本実施形態の商品管理装置1によれば、効率的かつ正確に、複数種の商品の陳列状態を示す情報を収集することができる。
【0091】
また、本実施形態の商品管理装置1によれば、レイアウト画像内における商品が表示されている領域を特定した後、当該領域内の画像と、商品の外観画像とをパターンマッチングしていく。このような本実施形態の商品管理装置1によれば、パターンマッチングの回数を減らすことができるので、処理効率を向上させることができる。
【0092】
なお、本実施形態の商品管理装置1は、あらゆる商品の陳列状態を推定することができるが、特に、商品がたばこ、飲料、食品および医薬品のいずれかである場合、優れた作用効果を実現することができる。以下説明する。
【0093】
まず、商品がたばこである場合に得られる作用効果について説明する。
たばこは、その特徴的な形状および大きさなどのため、店頭販売のための什器に陳列された状態、および、自動販売機のディスプレイ部に陳列された状態いずれにおいても、各商品に特有のデザインまたは商品名が示された面が顧客側に向けられるように陳列されやすい。また、顧客側から見た複数の商品の配列は縦横規則正しい状態となりやすい。このため、本実施形態の商品管理装置1は、高い精度で、たばこの陳列状態を推定することが可能となる。
【0094】
なお、近年、たばこの販売事情は大きく変動している。すなわち、自動販売機によるたばこの購入に比べて店舗における販売の数が増加している。結果、店頭に陳列されるたばこの銘柄が増加したり、また、売れ筋の銘柄を陳列するスペースを多く確保したりと、店頭におけるたばこの陳列状態が変動している。このような理由などから、たばこの陳列状態に関する研究は、特に強く望まれている。
【0095】
また、たばこのメーカーにとって、自動販売機での販売および販売数が増加している店頭販売いずれの販売形態においても十分な売り上げを確保するため、店舗や自動販売機のディスプレイ部における商品の陳列状態を把握し、管理することは重要である。このような理由などから、店舗や自動販売機におけるたばこの陳列状態を示す情報を収集することは、特に強く望まれている。
【0096】
本実施形態の商品管理装置1によれば、店頭販売のため什器に陳列されている複数種のたばこの陳列状態、および、自動販売機での販売のため自動販売機のディスプレイ部に陳列されている複数種のたばこの陳列状態いずれにおいても、効率的かつ正確に、複数種のたばこの陳列状態を示す情報を収集することができるので、上記要求を満たすことができる。
【0097】
次に、商品が飲料である場合に得られる作用効果について説明する。
飲料は、たばこ同様、店頭販売のほか、自動販売機で販売される。店頭販売の場合、例えばコンビニエンスストアなどでは、冷蔵庫内に複数のレーンを設け、各レーンに1つの商品を陳列している場合が多い。かかる場合、顧客側から見た商品の配列は縦横規則正しい状態となる。このため、本実施形態の商品管理装置1は、高い精度で、コンビニエンスストアなどで店頭販売されている飲料の陳列状態を推定することが可能となる。
【0098】
また、自動販売機で飲料を販売する場合も同様、顧客側から見た商品の配列は縦横規則正しい状態となる。また、かかる場合、顧客側を向く商品の面は、各商品に特有のデザインまたは商品名が示された面となりやすく、かつ、当該状態が変動することはほとんどない。このため、本実施形態の商品管理装置1は、高い精度で、自動販売機で販売されている飲料の陳列状態を推定することが可能となる。
【0099】
次に、商品が食品である場合に得られる作用効果について説明する。
食品の種類は様々であるが、例えば冷凍食品や、包装が箱状の食品(例:カレールー)などである場合に、本実施形態の商品管理装置1は優れた作用効果を実現する。冷凍食品は、内容物が冷凍状態であるためその外観形状は略固定されている。また、包装が箱状の食品も同様に、外観形状が略固定されている。よって、これらの食品は、陳列の仕方等に起因して外観形状が変動することはほとんどない。このため、本実施形態の商品管理装置1は、高い精度で、これらの食品の陳列状態を推定することが可能となる。
【0100】
次に、商品が医薬品である場合に得られる作用効果について説明する。
医薬品は、包装が箱状のものが多く、外観形状が略固定されている。よって、これらの商品は、陳列の仕方等に起因して外観形状が変動することはほとんどない。このため、本実施形態の商品管理装置1は、高い精度で、医薬品の陳列状態を推定することが可能となる。
【0101】
<実施形態2>
本実施形態の商品管理装置1は、図2に示すマッチング部11の構成が異なる以外は、実施形態1の商品管理装置1の構成と同様である。以下、図2に示す機能ブロック図を用いて、マッチング部11について説明する。
【0102】
マッチング部11は、第1の処理領域内の画像、例えば図3(b)に示す最も左側の最も上側に位置する商品領域B内の画像と、所定の外観画像とをパターンマッチングすると、その都度、パターンマッチングの結果として得られた認識率が所定値以上または所定値より高いか大小比較する。そして、当該認識率が所定値以上または所定値より高い場合、マッチング部11は、以降、第1の処理領域内の画像と外観画像とをパターンマッチングする処理を行わない。すなわち、その時点で、第1の処理領域内の画像とパターンマッチングを行っていない外観画像が存在しても、マッチング部11は、これらの外観画像と、第1の処理領域内の画像とのパターンマッチングを行わず、第1の処理領域内の画像に対するパターンマッチングを終了する。
【0103】
かかる場合、レイアウト推定部14は、必然的に、所定値以上または所定値より高い認識率が得られたパターンマッチングに用いた外観画像で特定される商品を、第1の処理領域内に表示されている商品として推定することとなる。なお、上記「所定値」は設計的事項であり、例えば90%、95%など、十分に高い値とすることができる。
【0104】
ここで、例えば、マッチング部11は、第1の処理領域内の画像と、所定の外観画像とのパターンマッチングにおいて所定値以上または所定値より高い認識率が得られると、第1の処理領域を特定するための情報に、パターンマッチングが終了した旨を示す情報(以下、「処理終了情報」という)を対応付けて記録してもよい。そして、マッチング部11は、各処理領域内の画像と、外観画像とをパターンマッチングしていく際、各処理領域に処理終了情報が対応付けられているか否かを確認することで、各処理領域のパターンマッチングが終了しているか否かを判断してもよい。なお、マッチング部11は、例えば、マッチング結果テーブル6aに、上記処理終了情報を記録してもよい。
【0105】
本実施形態の商品管理装置1によれば、ある領域に表示されている商品を所望の認識率(例えば90%以上)で特定できた場合、当該領域に表示されている商品は当該商品であると推定し、以降、その領域に表示されている商品を推定する処理を行わない。このような本実施形態の商品管理装置1によれば、不要なパターンマッチングを減らすことができ、結果、処理効率を向上させることができる。
【0106】
<実施形態3>
本実施形態の商品管理装置1は、図2に示すレイアウト推定部14の構成が異なる以外は、実施形態1および2の商品管理装置1の構成と同様である。以下、図2に示す機能ブロック図を用いて、レイアウト推定部14について説明する。
【0107】
実施形態1および2では、レイアウト推定部14が、マッチング結果記憶部13を参照し(図6参照)、第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている複数の商品識別情報の中から、対応付けられている認識率が最も高い商品識別情報を抽出し、抽出した商品識別情報で特定される商品を、第1の処理領域に表示されている商品として推定する構成について説明した。
【0108】
これに対し、本実施形態では、レイアウト推定部14は、マッチング結果記憶部13を参照し(図6参照)、第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている複数の商品識別情報の中から、対応付けられている認識率が高い方から順に所定数の商品識別情報を抽出する。そして、抽出した商品識別情報で特定される商品を、第1の処理領域に表示されている商品の候補として、ユーザに向けて出力する。
【0109】
例えば、レイアウト推定部14は、図6に示すマッチング結果テーブル6aを参照して、処理領域ごとに所定数の商品識別情報を抽出後、図13に示すような出力画像G'を作成し、ユーザに向けて出力してもよい。図13に示す出力画像G'は、結果画像Fに表示されている矩形の中に複数の商品識別情報が表示されている点以外は、実施形態1において図8を用いて説明した出力画像Gと同様である。矩形の中に表示されている複数の商品識別情報は、レイアウト推定部14が処理領域ごとに抽出した所定数の商品識別情報である。出力画像G'は、商品識別情報を表示する代わりに、各商品の外観画像を出力することもできる。出力手段は特段制限されず、ディスプレイ、印刷装置などのあらゆる出力装置を用いて実現することができる。
【0110】
なお、出力画像G'をディスプレイに出力する場合、出力画像G'は以下のように構成することもできる。すなわち、出力画像G'は、各矩形の中に複数の商品識別情報を表示するのでなく、最も高い認識率が対応付けられている1つの商品識別情報のみを表示する。そして、例えばカーソル位置を1つの矩形の表示位置に合わせられると、その矩形で特定される処理領域において抽出した所定数の商品識別情報、すなわち当該処理領域に表示されている候補である商品の商品識別情報をディスプレイに表示してもよい。
【0111】
また、レイアウト推定部14は、第1の処理領域に表示されている商品の候補として出力している複数の商品識別情報の中から、1つを指定する入力をユーザから受付けることができる。例えば、レイアウト推定部14は、図13に示すような出力画像G'をディスプレイに出力し、出力画像G'において、処理領域ごとに(矩形ごとに)、1つの商品識別情報を指定する入力をユーザから受付けてもよい。例えば、レイアウト推定部14は、図13に示すような出力画像G'において、カーソル位置を1つの処理領域に表示されている1つの商品識別情報に合わせる入力、および、当該状態での決定入力(右クリックなど)を受付けることで、処理領域ごとに、1つの商品識別情報を指定する入力をユーザから受付けてもよい。図13に示す出力画像G'の場合、レイアウト画像Cと結果画像Fとを並べて表示しているので、ユーザは、各処理領域に表示されている商品を容易に認識し、処理領域ごとに、1つの商品識別情報を指定する入力を容易に行うことができる。
【0112】
そして、レイアウト推定部14は、ユーザが指定した商品を、第1の処理領域に表示されている商品として推定することができる。なお、上記入力を受付ける手段は特段制限されず、マウス、キーボード、操作ボタン、タッチパネルディスプレイなどのあらゆる入力手段を用いて実現することができる。また、上記「所定数」は設計的事項である
【0113】
本実施形態の商品管理装置1によれば、ある領域に表示されている商品の候補を所定数抽出し、抽出した商品を当該領域に表示されている商品の候補として、ユーザに向けて出力することができる。そして、商品管理装置1は、ユーザから受付けた入力内容に従い、当該領域に表示されている商品を推定することができる。
【0114】
このような本実施形態の商品管理装置1によれば、表示されている商品を所望の認識率で特定できなかった場合であっても、十分な精度で、当該領域に表示されている商品を推定することができる。なお、本実施形態の商品管理装置1によれば、候補の中から1つを指定するというユーザの操作が新たに加わるが、ユーザは、所定数に絞り込まれた候補の中から1つを指定すればよいので、過度の負担にならない。
【0115】
本実施形態の変形例として、以下のものが考えられる。すなわち、商品管理装置1は、所定値以上または所定値より高い認識率が得られた処理領域においては、最も高い認識率が対応付けられている商品識別情報で特定される商品を、その処理領域に表示されている商品として推定する。一方、商品管理装置1は、所定値以上または所定値より高い認識率が得られていない処理領域においては、所定数の候補を抽出し、その処理領域に表示されている商品の候補としてユーザに向けて出力する。このように構成すれば、複数の候補から1つを指定するユーザ操作を減らすことができ、結果、ユーザの負担を軽減することができる。
【0116】
<実施形態4>
本実施形態の商品管理装置1は、図2に示すマッチング部11およびレイアウト推定部14の構成が異なり、かつ、商品領域抽出部15を有さなくてもよい点以外は、実施形態1乃至3の商品管理装置1の構成と同様である。以下、マッチング部11およびレイアウト推定部14について説明する。
【0117】
マッチング部11は、処理領域を特定する手段が、実施形態1乃至3と異なる。すなわち、実施形態1乃至3においては、マッチング部11は、商品領域抽出部15が抽出した商品領域を処理領域として特定した。これに対し、本実施形態においては、マッチング部11は、レイアウト画像内において特定可能なあらゆる領域を、処理領域として特定する。
【0118】
すなわち、マッチング部11は、(1)レイアウト画像内における任意の領域を処理領域として特定した後、(2)当該処理領域の位置、大きさおよび形状の少なくとも1つを変更しながら、複数の処理領域を特定することができる。例えば、マッチング部11は、図14に示すレイアウト画像Cにおいて、左上隅に位置する任意の形状および大きさの領域Kを処理領域として特定後、当該処理領域の形状および大きさを維持したまま、当該処理領域の位置を1ピクセルごとx軸方向に移動することで、複数の処理領域を特定する。また、マッチング部11は、領域Kを1ピクセル分y軸方向に移動した領域を処理領域として特定し、当該処理領域の形状および大きさを維持したまま、当該処理領域の位置を1ピクセルごとx軸方向に移動することで、複数の処理領域を特定する。マッチング部11は上記処理を繰り返し行い、レイアウト画像Cの右下隅に位置する領域Kと同じ形状および大きさの領域を処理領域として特定した後、領域Kの形状および/または大きさを変更した領域を処理領域として特定し、上記処理を繰り返す。
【0119】
マッチング部11は、例えば上述のような処理により、レイアウト画像C内において特定可能なあらゆる領域を、処理領域として特定する。このように構成することで、マッチング部11は、レイアウト画像C内において商品が表示されている領域を、確実に処理領域として特定することができる。
【0120】
しかし、上記構成とした場合、マッチング部11による処理負担が大きくなる。そこで、マッチング部11は、上記構成を前提とし、処理負担を軽減可能とする構成をさらに有してもよい。以下、当該構成について説明する。
【0121】
まず、マッチング部11が、(1)レイアウト画像内において任意の領域を処理領域として特定する処理は、以下のような処理とすることができる。
【0122】
例えば、マッチング部11は、所定の形状で、任意の大きさかつ任意の位置の領域を処理領域として特定する。ここでの「所定の形状」は、商品の陳列状態を撮像したレイアウト画像に映ると考えられる商品の形状とすることができる。すなわち、所定の形状は、商品の外観形状に基づいて定めることができる。例えば商品がたばこの場合、所定の形状は、たばこの正面形状または側面形状(所定の縦横比の長方形)、あるいは、カートンの正面形状または側面形状(所定の縦横比の長方形)などが考えられる。
【0123】
例えばマッチング部11は、あらかじめ所定の形状を示す情報を保持しておく。そして、処理領域を特定する際、マッチング部11は、上記情報を用いて所定の形状を認識し、当該形状であって、任意の大きさかつ任意の位置の領域を処理領域として特定する。
【0124】
上述のように構成する場合、マッチング部11は、所定の形状を示す情報を複数保持することもできる。これは、複数種の商品の中に、外観形状が異なるものが含まれる場合を想定した構成である。なお、所定の形状は矩形に限定されず、陳列状態を知りたい商品の外観形状が他の形状であれば、その形状とすることができる。
【0125】
次に、マッチング部11が、(2)処理領域の位置、大きさおよび形状の少なくとも1つを変更し、複数の処理領域を特定する処理は、以下のような処理とすることができる。
【0126】
例えば、マッチング部11は処理領域の大きさを変更する場合、上記所定の形状の縦横比を維持したまま拡大または縮小する。このように構成すれば、レイアウト画像内において特定される処理領域の形状が限定されるので、マッチング部11が特定する処理領域の数を軽減することができる。結果、マッチング部11の処理負担を軽減することができる。なお、このように構成しても、上述の通り、所定の形状は、商品の陳列状態を撮像したレイアウト画像に映ると考えられる商品の形状とすることができるので、マッチング部11は十分な確率で、レイアウト画像内において商品が表示されている領域を、処理領域として特定することができる。
【0127】
また、マッチング部11は、上記所定の形状の大きさの上限および下限を示す情報を保持しておき、この範囲内で、上記所定の形状の大きさを変更してもよい。上記「上限および下限」は、例えば、レイアウト画像内に映ると考えられる商品の大きさの上限および下限を、商品に応じてユーザが予め予測した値とすることができる。このように構成することで、マッチング部11が特定する処理領域の数を軽減することができ、結果、マッチング部11の処理負担を軽減することができる。
【0128】
その他、マッチング部11は、ユーザからレイアウト画像内における検索領域を指定する入力を受付け、当該検索領域内でのみ、処理領域を特定するよう構成してもよい。このようにすれば、マッチング部11の処理負担を軽減することができる。
【0129】
その他、マッチング部11は、複数種の商品が陳列されている什器や自動販売機の外観形状を示す情報を保持しておき、当該情報を利用して、レイアウト画像C(図14参照)内において什器や自動販売機が表示されている領域を特定してもよい。そして、マッチング部11は、什器や自動販売機が表示されている領域内のみで、処理領域を特定してもよい。このようにすれば、マッチング部11の処理負担を軽減することができる。なお、レイアウト画像C内において什器や自動販売機が表示されている領域を特定する処理は、実施形態1で説明した商品領域抽出部15が商品領域を抽出する処理と同様にして実現することができる。
【0130】
ここで、上述した本実施形態のマッチング部11の構成によれば、マッチング部11は、十分な確率で、レイアウト画像内において商品が表示されている領域を、処理領域として特定することができる。しかし、マッチング部11は、図15に示すように、商品が表示されている領域Jのみならず、商品が表示されていない領域、例えば領域Iをも処理領域として特定する場合がある。
【0131】
かかる場合、マッチング部11が処理領域ごとにパターンマッチングを行い、その結果を記憶したマッチング結果記憶部13、例えばマッチング結果テーブル6a(図6参照)には、商品が表示されていない領域が、商品識別情報およびパターンマッチングの結果と対応付けて記録される事となる。
【0132】
また、上述した本実施形態のマッチング部11の構成によれば、マッチング部11は、図16に示すように、互いに重なる複数の領域を処理領域として特定することとなる。図16はレイアウト画像の一部を抽出して示した図であり、レイアウト画像内の商品A1およびA2が示されている。また、図16には、マッチング部11が特定した処理領域の一例として、複数の処理領域H1乃至H5が示されている。なお、図16に示した処理領域H1乃至H5はあくまで一例であり、マッチング部11は、互いに重なるさらに多数の処理領域を特定することとなる。
【0133】
かかる場合、マッチング部11が処理領域ごとにパターンマッチングを行い、その結果を記録した例えばマッチング結果テーブル6a(図6参照)には、互いに重なる複数の処理領域H1乃至H5すべてが、各々商品識別情報およびパターンマッチングの結果と対応付けて記録される事となる。
【0134】
本実施形態のマッチング部11の構成によれば、上述のように、商品が表示されている領域でない領域が処理領域として、例えばマッチング結果テーブル6a(図6参照)に記録される不都合が生じ得る。当然、このようなマッチング結果テーブル6aのままでは、複数種の商品の陳列状態を十分な精度で推定することは困難である。
【0135】
そこで、本実施形態のレイアウト推定部14は、上記不都合を解消するために、以下の構成を有する。なお、以下の構成を有する点以外は、本実施形態のレイアウト推定部14は、実施形態1乃至3の構成と同様である。
【0136】
レイアウト推定部14は、本実施形態のマッチング部11が特定した複数の処理領域の中から、商品が表示されている領域である処理領域を特定する構成を有する。すなわち、レイアウト推定部14は、マッチング部11が特定した複数の処理領域の中から、図15に示す領域Jのみを特定する構成を有する。また、レイアウト推定部14は、図16に示す処理領域H1乃至H5を含む複数の処理領域の中から、商品A1が表示されている領域である処理領域H1と、商品A2が表示されている領域である処理領域H5とを特定する。
【0137】
上記構成を実現する手段は特段制限されないが、例えば、レイアウト推定部14は、まず、図6に示すようなマッチング結果テーブル6aに記録されているすべての処理領域を、商品が表示されている領域の候補とする。そして、これらの処理領域の中から、対応付けられている最も高い認識率が所定値以上または所定値より高い処理領域のみを、商品が表示されている領域の候補として残し、他の処理領域は当該候補から外す。当該処理により、図15に示すような、全く商品を表示していない領域Iを、候補から外すことができる。「所定値」は設計的事項である。
【0138】
なお、上記処理によっても、例えば、図16に示す領域H2、H3およびH4は、商品が表示されている領域を含むため、候補から外すことができない恐れがある。
【0139】
そこで、レイアウト推定部14は、図6に示すようなマッチング結果テーブル6aを参照し、残っている候補の中から互いに重なる2つの処理領域を抽出し、第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている最も高い認識率と、第2の処理領域を特定するための情報に対応付けられている最も高い認識率とを大小比較する。そして、より高い認識率が対応付けられている処理領域を、商品が表示されている領域の候補として残し、他の処理領域は当該候補から外す。
【0140】
例えば図16に示す処理領域H1と、処理領域H2とは互いに重なる。このため、レイアウト推定部14は、マッチング結果テーブル6aを参照し、処理領域H1に対応付けられている最も高い認識率と、処理領域H2に対応付けられている最も高い認識率とを大小比較する。そして、認識率が高かった方を、商品が表示されている領域の候補として残し、他の処理領域は当該候補から外す。
【0141】
また、図16に示す処理領域H3と、処理領域H4とは互いに重なる。このため、レイアウト推定部14は、マッチング結果テーブル6aを参照し、処理領域H3に対応付けられている最も高い認識率と、処理領域H4に対応付けられている最も高い認識率とを大小比較する。そして、認識率が高かった方を、商品が表示されている領域の候補として残し、他の処理領域は当該候補から外す。
【0142】
レイアウト推定部14は、商品が表示されている領域の候補の中に互いに重なる処理領域がなくなるまで、上記処理を繰り返し行い、最終的に残った処理領域を、商品が表示されている領域として特定する。
【0143】
レイアウト推定部14は、例えば上述のような手段により、マッチング部11が特定した複数の処理領域の中から、商品が表示されている領域である処理領域を特定する。なお、レイアウト推定部14は、他の手段により、上記特定を実現してもよい。
【0144】
レイアウト推定部14は、上述のようにして、マッチング部11が特定した複数の処理領域の中から商品が表示されている領域である処理領域を特定し、実施形態1で説明した手段により、特定した処理領域に表示されている商品を推定することで、実施形態1で説明した図7に示すような推定結果テーブル7aを取得することができる。
【0145】
本実施形態の構成によれば、実施形態1乃至3と同様の作用効果を実現することができる。
【0146】
<実施形態5>
本実施形態の商品管理装置1は、複数種の商品が陳列されている什器のレイアウト情報を保持し、複数種の商品が、什器の中のどの位置に陳列されているのか推定する構成をさらに有する点以外は、実施形態1乃至4の商品管理装置1の構成と同様である。以下、本実施形態の商品管理装置1について詳細に説明する。
【0147】
図17は、本実施形態の商品管理装置1の構成の一例を示す機能ブロック図が示されている。図17に示す本実施形態の商品管理装置1は、レイアウトデータ取得部10と、マッチング部11と、外観データ保持部12と、マッチング結果記憶部13と、レイアウト推定部14と、商品領域抽出部15と、什器情報保持部16とを有する。以下、レイアウト推定部14および什器情報保持部16の構成について説明する。なお、他の部の構成は、実施形態1乃至4と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0148】
什器情報保持部16は、什器のレイアウト情報を保持する。当該什器は、複数列複数段で構成され、複数種の商品が陳列されており、一の列と一の段とで指定される1つの領域に1種の商品が陳列される。当該什器は、例えば、複数種のたばこを陳列するための什器であってもよい。
【0149】
ここで、什器の一例について説明する。図18は、3列5段で構成される什器20の構成の一例を示す正面図である。図18(a)は、商品(たばこ21)を陳列前の状態、図18(b)は、たばこ21を陳列後の状態を示す。
【0150】
図18(a)に示す什器20は、横3×縦5の合計15個の基本フェイス24を有する。本実施の形態において、基本フェイス24は、たばこ21のパックを、正面が前面となるように陳列可能なサイズとすることができる。
【0151】
図18(b)は、たばこ21のパックが、正面が前面となるように陳列された状態を示す図である。また、ここでは、各基本フェイス24には、プライスカード23が付されたプライスタグ22が配置されている。
【0152】
本実施形態の什器情報保持部16は、このような什器20の列数および段数を含むレイアウト情報を保持する。例えば、什器情報保持部16は、図19に示すような什器情報テーブル19aを保持してもよい。
【0153】
什器情報テーブル19aは、什器欄、基本フェイス欄および商品情報欄等を含む。什器欄は、什器情報欄、什器種別欄、列数欄および段数欄等を含む。什器情報欄には、什器20を特定する情報が記録される。ここでは、什器情報欄は、さらに、什器20を配置している店舗を示す店コード欄、当該店舗内における売場を示す売場ナンバー欄、什器グループナンバー欄、および什器ナンバー欄等を含む。図19に示す什器情報テーブル19aによれば、什器20は、(店コード)−(売場ナンバー)−(什器グループナンバー)−(什器ナンバー)で特定される。
【0154】
什器種別欄には、什器20が売場のどこに配置されるかを示す情報が記録される。具体的には、什器種別は、例えば顧客が自分で商品を取る「セルフ」、レジの後ろに配置され店員が商品を取る「バックエンド」、「レジ前」等とすることができる。列数欄および段数欄には、それぞれ什器20の列数および段数が記憶される。
【0155】
基本フェイス欄は、段欄、列欄、およびレイアウト欄等を含む。段欄および列欄で、当該什器20における各基本フェイス24が特定される。レイアウト欄には、段欄および列欄で特定された基本フェイス24に陳列されるたばこのレイアウトが記憶される。たばこのレイアウトとしては、例えば、たばこのパックが単体で最大面(正面)を前面にして配置される「単品」、たばこのパック10個のカートンが、各パックの最大面を底面にして前面に各パックの側面が2段重ねで横型配置された「ツマ」、たばこのパック10個のカートンが各パックの最小面を底面にして、前面に各パックの側面が2つ縦型配置された「ツマ縦」等とすることができる。
【0156】
商品情報欄は、商品識別情報を記録する欄を含む。当該欄は、最初は空欄となっており、レイアウト推定部14が所定の情報を記録することができるようになっている。
【0157】
レイアウト推定部14は、処理領域を特定するための情報を用い、複数の処理領域の位置関係に基づいて、什器20内における第1の処理領域の位置、すなわち列および段を推定する。例えば、レイアウト推定部14は、実施形態1で説明した処理に準じ、図7に示すような推定結果テーブル7aを利用して、陳列されている商品の段数および各段の列数を特定する。そして、特定した列および段を基に、各領域の什器20内における列および段を推定することができる。
【0158】
レイアウト推定部14は、第1の処理領域の什器20内における列および段を推定すると、第1の処理領域に表示されていると推定した商品の商品識別情報を、当該列および段に対応付けて記録することができる。例えば、レイアウト推定部14は、什器情報保持部16が保持する什器情報テーブル16aの商品識別情報を記録する欄に、当該情報を記録してもよい。
【0159】
ここで、上述のように、レイアウト推定部14が図19に示す什器情報テーブル19aに所定の情報を記録するためには、レイアウト推定部14は、レイアウト画像に表示されている什器20の(店コード)−(売場ナンバー)−(什器グループナンバー)−(什器ナンバー)を認識する必要がある。
【0160】
上記認識を実現する手段としては、例えば、(店コード)−(売場ナンバー)−(什器グループナンバー)−(什器ナンバー)を、各什器20の所定位置、具体的には、複数種の商品が陳列されている状態の什器20を撮像したレイアウト画像に映る位置に記載しておく。そして、レイアウト推定部14は、文字認識技術を用いて、レイアウト画像に含まれる(店コード)−(売場ナンバー)−(什器グループナンバー)−(什器ナンバー)を読み取ることで、レイアウト画像に表示されている什器20の店コード等を認識してもよい。その他、レイアウト推定部14は、ユーザから所定の情報の入力を受付けることで、レイアウト画像に表示されている什器20の店コード等を認識してもよい。
【0161】
本実施形態の商品管理装置1によれば、効率的かつ正確に、複数種の商品が陳列されている什器20のレイアウトと対応付けて、複数種の商品の陳列状態を示す情報を収集することができる。
【0162】
<実施形態6>
本実施形態の商品管理装置1は、複数種の商品が陳列されている自動販売機のディスプレイ部のレイアウト情報を保持し、複数種の商品が、ディスプレイ部の中のどの位置に陳列されているのか推定する構成をさらに有する点以外は、実施形態1乃至5の商品管理装置1の構成と同様である。以下、本実施形態の商品管理装置1について詳細に説明する。
【0163】
図20は、本実施形態の商品管理装置1の構成の一例を示す機能ブロック図が示されている。図20に示す本実施形態の商品管理装置1は、レイアウトデータ取得部10と、マッチング部11と、外観データ保持部12と、マッチング結果記憶部13と、レイアウト推定部14と、商品領域抽出部15と、自販機情報保持部17とを有する。以下、レイアウト推定部14および自販機情報保持部17の構成について説明する。なお、他の部の構成は、実施形態1乃至5と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0164】
自販機情報保持部17は、自動販売機のディスプレイ部のレイアウト情報を保持する。当該ディスプレイ部は、複数列複数段で構成され、複数種の商品が陳列されており、一の列と一の段とで指定される1つの領域に1種の商品が陳列される。当該自動販売機は、例えば、複数種のたばこを販売するための自動販売機であってもよい。
【0165】
例えば、自販機情報保持部17は、図21に示すような自販機情報テーブル21aを保持してもよい。自販機情報テーブル21aは、自販機識別情報欄、列数欄、段数欄、列欄、段欄、および、商品識別情報欄を含む。自販機識別情報欄に記録される自販機識別情報は、所定の場所に設置されている複数の自動販売機各々を識別するための情報である。列数欄、段数欄、列欄、段欄、および、商品識別情報欄に記録される情報は、実施形態5で説明した通りである。
【0166】
レイアウト推定部14は、処理領域を特定するための情報を用い、複数の処理領域の位置関係に基づいて、自動販売機のディスプレイ部内における第1の処理領域の位置、すなわち列および段を推定する。例えば、レイアウト推定部14は、実施形態5で説明した第1の処理領域の什器内における列および段を推定する処理に準じて、上記推定を実現することができる。
【0167】
レイアウト推定部14は、第1の処理領域の自動販売機のディスプレイ部内における列および段を推定すると、第1の処理領域に表示されていると推定した商品の商品識別情報を、当該列および段に対応付けて記録することができる。例えば、レイアウト推定部14は、自販機情報保持部17が保持する自販機情報テーブル18aの商品識別情報を記録する欄に、当該情報を記録してもよい。
【0168】
ここで、上述のように、レイアウト推定部14が図21に示す自販機情報テーブル21aに所定の情報を記録するためには、レイアウト推定部14は、レイアウト画像に表示されている自動販売機の自販機識別情報を認識する必要がある。
【0169】
上記認識を実現する手段としては、例えば、自販機識別情報を、各自動販売機の所定位置、具体的には複数種の商品が陳列されている状態のディスプレイ部を撮像したレイアウト画像に映る位置に記載しておく。そして、レイアウト推定部14は、文字認識技術を用いて、レイアウト画像に含まれる自販機識別情報を読み取ることで、レイアウト画像に表示されている自動販売機の自販機識別情報を認識してもよい。その他、レイアウト推定部14は、ユーザから所定の情報の入力を受付けることで、レイアウト画像に表示されている自動販売機の自販機識別情報を認識してもよい。
【0170】
本実施形態の商品管理装置1によれば、効率的かつ正確に、複数種の商品が陳列されている自動販売機のディスプレイ部のレイアウトと対応付けて、複数種の商品の陳列状態を示す情報を収集することができる。
【0171】
<実施形態7>
本実施形態の商品管理装置1は、実施形態5または6の構成を基本とし、さらに以下の構成を備える点で異なる。
【0172】
すなわち、本実施形態の商品管理装置1が有する什器情報保持部16または自販機情報保持部17は、過去のデータを記録した什器情報テーブル19a(図19参照)、または、自販機情報テーブル21a(図21参照)をさらに保持する。
【0173】
什器および自動販売機における商品の陳列状態は、時間が経つと変動する可能性があるため、商品の陳列状態を知りたいユーザは、所定期間ごとに、商品の陳列状態の調査を繰り返し行う場合があると考えられる。上記過去のデータとは、以前の調査の際に什器または自動販売機を撮像して得られたレイアウト画像を利用して、本実施形態の商品管理装置1が1つの段及び1つの列で特定される領域ごとに、当該位置に陳列されている商品を推定したデータである。なお、過去のデータは、本実施形態の商品管理装置1が推定した複数種の商品の陳列状態を示すデータを、ユーザが必要に応じて修正したデータであってもよい。
【0174】
本実施形態のレイアウト推定部14は、マッチング部11が行ったパターンマッチングの結果を利用して図9に示すような出力テーブル9aを作成すると、以下の処理を行う。
【0175】
すなわち、什器情報保持部16または自販機情報保持部17が保持する当該什器または自動販売機の上記過去のデータの中の最新のデータを取得する。そして、上記作成した出力テーブル9aと、取得した過去のデータとを利用して、1つの段および1つの列で特定される位置ごとに、当該位置に陳列されていると過去に推定された商品(過去のデータで特定)と、今回推定された商品との関係を推定する。
【0176】
例えば、レイアウト推定部14は、ある位置に陳列されていると過去に推定された商品(過去のデータで特定)と、当該位置に陳列されていると今回推定された商品とは、(1)一致する、(2)類似する、(3)異なる、(4)前回商品が陳列されていなかった位置に商品が陳列されている、(5)前回商品が陳列されていた位置に商品が陳列されていない、などの関係を推定する。
【0177】
上記「(2)類似する」関係とは、商品の外観が類似する商品間の関係をいう。レイアウト推定部14は、あらかじめ類似関係にある商品どうしを対応付けた情報を保持しておき、当該情報を利用して、類似関係にあるか否かを判断する。「(3)異なる」関係とは、上記(1)、(2)、(4)および(5)のいずれの関係にも該当しない関係である。
【0178】
レイアウト推定部14は、図9に示すような出力テーブル9aを作成した後、1つの段および1つの列で特定される位置ごとに、当該位置に陳列されていると過去に推定された商品(過去のデータで特定)と、当該位置に陳列されていると今回推定された商品との関係を推定すると、当該推定結果をも含めた結果データを、ディスプレイ、印刷装置などのあらゆる出力装置を用い、ユーザに向けて出力する。
【0179】
例えば、図8に示すような出力画像Gにおいて、商品識別情報を表示している各矩形の背景色、輪郭の色、または、商品識別情報の色を、矩形ごとに、過去に推定された商品と今回推定された商品との関係に応じて変更表示してもよい。このような実施形態の一例としては、上記(1)の関係にある場合、当該矩形の輪郭を黒色で表示し、上記(2)の関係にある場合、当該矩形の輪郭を青色で表示し、上記(3)の関係にある場合、当該矩形の輪郭を黄色で表示し、上記(4)の関係にある場合、当該矩形の輪郭を緑色で表示し、上記(5)の関係にある場合、当該矩形の輪郭を桃色で表示してもよい。このような出力画像Gを閲覧したユーザは、色情報により、1つの段および1つの列で特定される各位置に陳列されていると過去に推定された商品(過去のデータで特定)と、今回推定された商品との関係を把握することができる。なお、矩形ごとに識別表示する種打破上記列記したものに限定されない。
【0180】
本実施形態の商品管理装置1によれば、実施形態1乃至6と同様の作用効果が得られほか、以下のような作用効果を得ることができる。
【0181】
すなわち、本実施形態の商品管理装置1はあらゆるパターンマッチングの手法を用いることができるが、選択した手法や、陳列状態を推定する商品の種類によっては、十分な精度で商品の陳列状態を推定できない場合もあり得る。かかる場合、ユーザは、商品管理装置1が出力した推定結果(例:図8の出力画像G)を、レイアウト画像Cと見比べながら、必要に応じて、商品管理装置1が出力した推定結果(例:図8の出力画像G)を修正する作業(以下、「修正作業」)を行う必要がある。
【0182】
本実施形態の商品管理装置1によれば、上記修正作業におけるユーザ負担を軽減することができる。具体的には、本実施形態の商品管理装置1によれば、ユーザは、1つの段および1つの列で特定される各位置に陳列されていると過去に推定された商品(過去のデータで特定)と、当該位置に陳列されていると今回推定された商品との関係を把握することができる。
【0183】
ここで、過去に推定された商品と、今回推定された商品とが、「(1)一致する」関係にある場合、商品管理装置1によるパターンマッチングの精度は比較的信頼できると判断することができる。このため、ユーザは、当該位置に陳列されていると推定された商品に対して、上記修正作業を行わないよう決定することができる。
【0184】
一方、過去に推定された商品と、今回推定された商品とが、「(2)類似関係にある」、「(3)異なる」、「(4)前回商品が陳列されていなかった位置に商品が陳列されている」または「(5)前回商品が陳列されていた位置に商品が陳列されていない」のいずれかの関係にある場合には、商品の陳列状態が変動したか、または、商品管理装置1によるパターンマッチングの精度が低いかの何れかであると判断することができる。このため、ユーザは、当該関係にある位置に陳列されていると推定された商品と、レイアウト画像C内における対応する位置に表示されている商品とを対比し、当該推定結果が妥当か否かを判断する作業を行うよう決定することができる。
【0185】
このように、本実施形態の商品管理装置1によれば、上記修正作業におけるユーザ負担を軽減することができるともに、商品管理装置1による推定結果が疑わしい位置についてはユーザに上記修正作業を促すことができる。このため、ユーザは、精度の高いレイアウトの推定結果を取得することができる。
【符号の説明】
【0186】
1 商品管理装置
2 什器
3 自動販売機
4 デジタルカメラ
10 レイアウトデータ取得部
11 マッチング部
12 外観データ保持部
13 マッチング結果記憶部
14 レイアウト推定部
15 商品領域抽出部
16 什器情報保持部
17 自販機情報保持部
20 什器
21 たばこ
22 プライスタグ
23 プライスカード
24 基本フェイス
4a 商品領域テーブル
5a 外観画像テーブル
6a マッチング結果テーブル
7a 推定結果テーブル
9a 出力テーブル
19a 什器情報テーブル
21a 自販機情報テーブル
A 商品
B 商品領域
B' 商品領域
C レイアウト画像
D 領域
D' 領域
E 結果画像
F 結果画像
G 出力画像
G' 出力画像
H 処理領域
I 領域
J 領域
K 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得部と、
前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチング部と、
前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定部と、
を有する商品管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、前記パターンマッチングの結果として、前記パターンマッチングの認識率を前記マッチング結果記憶部に記憶させる商品管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、特定した第1の前記処理領域内の画像に対して、複数種の前記外観画像各々を用いて前記パターンマッチングを複数回行う商品管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト推定部は、前記マッチング結果記憶部を参照し、前記第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている前記商品識別情報の中から、対応付けられている前記認識率が最も高い前記商品識別情報を抽出し、抽出した前記商品識別情報で特定される前記商品を、前記第1の処理領域に表示されている前記商品として推定する商品管理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト推定部は、
前記マッチング結果記憶部を参照し、前記第1の処理領域を特定するための情報に対応付けられている前記商品識別情報の中から、対応付けられている前記認識率が高い方から順に所定数の前記商品識別情報を抽出する手段と、
抽出した前記商品識別情報で特定される前記商品を、前記第1の処理領域に表示されている前記商品の候補としてユーザに向けて出力する手段と、
を有する商品管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト推定部は、さらに、
前記第1の処理領域に表示されている前記商品の候補として出力している前記商品の中から、1つを指定する入力をユーザから受付ける手段と、
ユーザが指定した前記商品を、前記第1の処理領域に表示されている商品として推定する手段と、
を有する商品管理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、特定した第1の前記処理領域内の画像に対して、複数種の前記外観画像各々を用いて順次前記パターンマッチングを行い、ある前記外観画像を用いた前記パターンマッチングにおいて所定値以上または所定値より高い前記認識率が得られると、その時点において前記パターンマッチングに用いられていない前記外観画像が存在しても、前記第1の処理領域内の画像に対する前記パターンマッチングを終了する商品管理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト画像内において、1つの前記商品が表示されている領域である商品領域を抽出する商品領域抽出部をさらに有し、
前記マッチング部は、前記処理領域として、前記商品領域を特定する商品管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の商品管理装置において、
前記商品領域抽出部は、エッジ検出処理で検出したエッジにより閉じられた少なくとも1つの領域を抽出した後、抽出した前記領域の中の所定の形状の前記領域を、前記商品領域として抽出する商品管理装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、前記レイアウト画像内において、所定の領域を前記処理領域として特定した後、当該処理領域の位置、大きさおよび形状の少なくとも1つを変更して、複数の前記処理領域を特定する商品管理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、前記レイアウト画像内において、所定の形状の領域を前記処理領域として特定し、前記処理領域の大きさを変更する場合、前記形状の縦横比を維持したまま拡大または縮小する商品管理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、複数種の前記商品各々の外観形状に基づいて定められる前記所定の形状を示す情報を少なくとも1つ保持しておき、当該情報で特定される形状の領域を、前記処理領域として特定する商品管理装置。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、前記パターンマッチングの結果として、前記パターンマッチングの認識率を前記マッチング結果記憶部に記憶させ、
前記レイアウト推定部は、複数の前記処理領域が互いに重なる場合、前記複数の処理領域の中の最も高い前記認識率が対応付けられている前記処理領域を、前記商品が表示されている領域として推定する商品管理装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト推定部は、前記マッチング結果記憶部を参照し、複数の前記処理領域ごとに、各処理領域に表示されている商品を推定する商品管理装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記マッチング部は、前記処理領域内の画像の大きさ、および/または、前記第1の外観画像の大きさを、互いに一致する方向に変更した後、前記変更後の画像を用いて前記パターンマッチングを行う商品管理装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
複数列複数段で構成され、複数種の前記商品が陳列されており、一の列と一の段とで指定される1つの領域に1種の前記商品が陳列されている什器の列数および段数を含むレイアウト情報を保持する什器情報保持部をさらに有し、
前記レイアウト推定部は、前記処理領域を特定するための情報を用い、複数の前記処理領域の位置関係に基づいて、第1の前記処理領域の前記什器内における列および段を推定する商品管理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト推定部は、前記第1の処理領域に表示されていると推定した前記商品を識別する前記商品識別情報を、前記第1の処理領域の前記什器内における列および段として推定した列および段を示す情報に対応付けて前記什器情報保持部に記憶させる商品管理装置。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
複数列複数段で構成され、複数種の前記商品が陳列されており、一の列と一の段とで指定される1つの領域に1種の前記商品が陳列されている自動販売機のディスプレイ部の列数および段数を含むレイアウト情報を保持する自販機情報保持部をさらに有し、
前記レイアウト推定部は、前記処理領域を特定するための情報を用い、複数の前記処理領域の位置関係に基づいて、第1の前記処理領域の前記ディスプレイ部内における列および段を推定する商品管理装置。
【請求項19】
請求項18に記載の商品管理装置において、
前記レイアウト推定部は、前記第1の処理領域に表示されていると推定した前記商品を識別する前記商品識別情報を、前記第1の処理領域の前記ディスプレイ部内における段および当該段における位置として推定した段および当該段における位置を示す情報に対応付けて前記自販機情報保持部に記憶させる商品管理装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記外観データ保持部をさらに有する商品管理装置。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記マッチング結果記憶部をさらに有する商品管理装置。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の商品管理装置において、
前記商品はタバコである商品管理装置。
【請求項23】
複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得ステップと、
前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチングステップと、
前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定ステップと、
を有する商品管理方法。
【請求項24】
コンピュータを、
複数種の商品が陳列されている状態を撮像したレイアウト画像のデータを取得するレイアウトデータ取得手段、
前記レイアウト画像内における所定の領域である処理領域を特定し、前記処理領域内の画像と、複数種の前記商品各々の外観画像のデータを保持する外観データ保持部から取得した第1の前記外観画像とをパターンマッチングした後、前記処理領域を特定するための情報と、前記第1の外観画像で特定される前記商品を識別する商品識別情報と、前記パターンマッチングの結果とを対応付けてマッチング結果記憶部に記憶させる処理を、前記レイアウト画像内における前記処理領域および前記パターンマッチングに用いる前記外観画像の少なくとも一方を変更しながら繰り返し行うマッチング手段、
前記マッチング結果記憶部を参照し、前記パターンマッチングの結果に基づいて、前記処理領域に表示されている前記商品を推定し、当該推定の結果に基づいて、複数種の前記商品が陳列されている状態を推定するレイアウト推定手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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