説明

商品販売データ処理装置

【課題】持ち寄られた個々の商品とディスプレイに表示される商品との照合作業を容易にする。
【解決手段】商品販売データ処理装置は、情報を表示するディスプレイと、商品又は注文札に付されている近距離無線通信用の無線タグから記憶データを取得する無線通信部と、商品画像データベースを格納する記憶部にアクセスし、無線通信部が取得した記憶データに含まれている商品コードに対応する画像データを取得し、取得した画像データに基づく複数商品のそれぞれの形態画像を表示させるよう制御する制御手段とを備える。制御手段は、無線通信部が取得した記憶データに含まれている、商品又は注文札を示す識別情報に基づいて、形態画像の表示を商品又は注文札で区別してディスプレイに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客との対面販売によって生ずる商品販売データを処理するための商品販売データ処理装置に係り、特に、取引情報の表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品に無線タグを取り付け、無線タグのメモリにその無線タグを付した商品に関するデータ、例えば、商品コードを記憶させておき、そのデータを用いて商品販売データ処理や商品管理を実行するようにした各種の技術が提案され、実用化されている。また、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、郊外型大型店舗等のような各種の店舗で使用されるPOS端末では、ショッピングバスケットに収められた商品に付された無線タグのメモリに記憶されている商品コード等のデータを一括して読み取ることで、効率的なチェックアウトを可能にすることが期待されている。このような複数の商品に付された無線タグの一括読み取りについては、鋭意研究が進められており、将来的には広く普及するものと考えられている。
【0003】
その一方で、上述したような各種の店舗では、顧客が購入を望む商品に付されている無線タグのメモリに記憶されている商品コード等のデータが読み取られると、その読み取られた商品コードに基づいて対応する商品の名称や単価等のデータが検索され、購入商品としてディスプレイに表示される。一般的には、店員側に向けられたキャッシャディスプレイと顧客側に向けられたカスタマディスプレイとの両方に、購入商品が表示される。そして、この場合のディスプレイ表示は、一覧表示であるのが一般的である(例えば、特許文献1の図11参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、上述したような各種の店舗では、顧客は、購入しようとする商品を店舗が用意するショッピングバスケットに収納した状態でチェックアウトカウンタに持ち寄る。キャッシャである店員は、この時に始めてチェックアウトカウンタに持ち寄られた購入希望の商品を目視する。この場合、その購入希望の商品は、言うまでもなく現実の商品である。その一方で、その現実の商品に付されている商品コードが読み取られることによってディスプレイに一覧表示される購入商品のリストは、文字という記号で表現されている。このため、ショッピングバスケットに収納されている商品とディスプレイに一覧表示されている商品とを照合しようとする場合には、現実の世界と記号化された世界とを比較対照する必要がある。
【0005】
ここで、一商品毎に商品コードを読み取ったらディスプレイの一覧表示にその商品の商品情報を付加表示していくチェックアウト方式の場合、ショッピングバスケットから商品を取り出す度にその現実の商品とディスプレイに一覧表示される記号化された商品とを比較対照することになるので、複数の商品について照合する場合であっても、その照合作業が比較的容易である。これに対して、複数の商品に付された無線タグを一括読み取りし、個々の商品の商品情報を一度に一覧表示するチェックアウト方式の場合、そのような照合作業が容易には進まない。ショッピングバスケットに収納されたままの複数の現実の商品とディスプレイに一覧表示される記号化された複数の商品との比較をする必要から、一度に比較対象をすべき数が多くなってしまうからである。
【0006】
本発明の目的は、持ち寄られた複数の商品に付された無線タグを一括読み取りし、個々の商品の商品情報をディスプレイに一度に表示するチェックアウト方式を採用した場合であっても、持ち寄られた個々の商品とディスプレイに表示される商品との照合作業を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の商品販売データ処理装置は、情報を表示するディスプレイと、商品又は注文札に付されている近距離無線通信用の無線タグとデータ通信を実行し、前記無線タグからその記憶データを取得する無線通信部と、商品コードとその商品の形態を視覚的に表現する形態画像の画像データとを対応付けて記憶する商品画像データベースを格納する記憶部にアクセスし、前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている商品コードに対応する画像データを取得し、取得した画像データに基づく複数商品のそれぞれの形態画像を表示させるよう制御する制御手段と、前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている商品コードに基づいて決済処理を含む商品販売データ処理を実行するデータ処理手段と、を備え、前記制御手段は、前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている、商品又は注文札を示す識別情報に基づいて、前記形態画像の表示を商品又は注文札で区別して前記ディスプレイに表示させるように制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、持ち寄られた商品より無線通信部が取得した記憶データに基づいて記憶部から取得される商品の形態画像を表示させるので、持ち寄られた複数の商品に付された無線タグを一括読み取りし、個々の商品の商品情報をディスプレイに一度に表示するチェックアウト方式を採用した場合であっても、持ち寄られた個々の商品とディスプレイに表示される商品との照合を直感的に行なわせることができ、したがって、その照合作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の一形態として、POS端末(商品販売データ処理装置)が設置される店舗を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の一形態として、対面販売中であるPOS端末(商品販売データ処理装置)を示す斜視図である。
【図3】POS端末(商品販売データ処理装置)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】ディスプレイに販売待機画面が表示されている状態を示すPOS端末(商品販売データ処理装置)の平面図である。
【図5】商品載置領域に商品等が収納されたショッピングバスケットが載置される瞬間を示すPOS端末(商品販売データ処理装置)の平面図である。
【図6】全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ショッピングバスケットに収納された商品等から読み取られた商品情報が店員側に向けてディスプレイに表示されている状態を示すPOS端末(商品販売データ処理装置)の平面図である。
【図8】図7に示す商品情報が顧客側に向けて反転表示されている状態を示すPOS端末(商品販売データ処理装置)の平面図である。
【図9】オブジェクト操作のための処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】手動操作による表示内容の反転表示を説明するためのPOS端末(商品販売データ処理装置)の平面図である。
【図11】商品情報が一覧表示されている状態を示す模式図である。
【図12】本発明の別の実施の一形態として、ショッピングバスケットに収納された商品等から読み取られた商品情報がディスプレイに表示されている状態を示すPOS端末(商品販売データ処理装置)の平面図である。
【図13】本発明の更に別の実施の一形態として、対面販売中であるPOS端末(商品販売データ処理装置)を示す斜視図である。
【図14】ショッピングバスケットに収納された商品等から読み取られた商品情報がディスプレイに表示されている状態を示すPOS端末(商品販売データ処理装置)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の実施の一形態)
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
本実施の形態の商品販売データ処理装置は、POS端末101(図1等参照)への適用例である。このPOS端末101について詳細に説明する前に、POS端末101が設置される店舗301(図1等参照)での販売形態について述べる。
【0012】
図1は、POS端末101が設置される店舗301を示す模式図である。店舗301は、売場302、チェックアウトコーナー303及びバックヤード304に区分されている。店舗301の入口ドア305を開けると売場302に至り、売場302から通路306を介してチェックアウトコーナー303に入れるようになっている。売場302及びチェックアウトコーナー303とバックヤード304との間は仕切られており、ドア307によって開閉可能となっている。
【0013】
売場302には、複数個の商品陳列棚308が配置されており、これらの商品陳列棚308には現実の商品Aの他に、注文札Oが陳列されている。
【0014】
チェックアウトコーナー303には、二台のPOS端末101が設置されている。
【0015】
バックヤード304には、ストアサーバ401が設置されている。
【0016】
ここで、現実の商品Aと注文札Oとについて説明を加える。現実の商品Aは購入後にそのまま持ち帰る商品であり、注文札Oは購入後に配送してもらう商品を札として表現している。すなわち、後述する商品載置領域105(図2参照)に載置される商品とは、現実の商品Aと注文札Oとを示すものである。現実の商品Aにも注文札Oにも、近距離無線通信用の無線タグ(図示せず)が取り付けられている。無線タグのメモリには、この無線タグが付されている商品A又は注文札Oが表現している商品についての各種商品情報が記憶保存されている。代表的な商品情報は、その商品の種類を識別するための商品コードである。その他、無線タグのメモリには、現実の商品Aと注文札Oとを識別するための識別コードも記憶保存されている。現実の商品Aに付される無線タグのメモリには現実の商品であることを特定する識別コードが、注文札Oに付される無線タグのメモリには注文札であることを特定する識別コードがそれぞれ記憶保存されている。注文札Oは、一例として、カード形態や棒状形態をしている。商品陳列棚308に陳列できる形態であれば、注文札Oの形態はどのようなものであっても良い。もっとも、注文札Oには、それが表現している商品の名称や価格等が印刷等によって表示されていることが望ましい。
【0017】
図2は、対面販売中であるPOS端末101を示す斜視図である。POS端末101は、チェックアウトカウンタ102をその構成要素として含み、チェックアウトカウンタ102と一体に構成されている。チェックアウトカウンタ102は、その天板面の一部領域に、情報を表示するディスプレイ103を備える。ディスプレイ103としては、液晶表示ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いることができる。このようなディスプレイ103にはタッチパネル104が積層配置されている。チェックアウトカウンタ102の天板面において、ディスプレイ103及びタッチパネル104が配置されていない他の一部領域は、購入する商品を載置するための商品載置領域105となっている。チェックアウトカウンタ102の天板面におけるディスプレイ103及びタッチパネル104の配置領域と商品載置領域105との区別については、図4に示す通りである。図4中、便宜上、ディスプレイ103及びタッチパネル104の配置領域をOA、商品載置領域105をPAと表記して示す。
【0018】
チェックアウトカウンタ102には、近距離用の無線通信部106と、近距離無線通信用のリーダライタ107と、秤部108とが内蔵されている(いずれも図3参照)。
【0019】
無線通信部106は、商品載置領域105に載置された品物に付されている近距離無線通信用の無線タグとデータ通信を実行し、無線タグからその記憶データを取得する。つまり、無線通信部106は、商品載置領域105に図示しないアンテナを埋設し、RFID(Radio Frequency Identification)の技術を用いて無線タグとデータ通信を実行する。無線通信部106が近距離無線通信をする対象物は、代表的には前述した現実の商品A及び注文札Oに付されている無線タグである。その他、無線通信部106は、顧客が所持する会員カードCに内蔵されている無線タグとの間でも近距離無線通信を実行する。この場合、会員カードCは、商品載置領域105に載置する商品Aや注文札Oを収納するショッピングバスケット309に取り付けられた状態となっている。
【0020】
リーダライタ107は、RFID技術によって決済可能な非接触型のICチップとの間で通信する。ICチップは、一例として、現金と等価な価値を有する電子マネーを記憶保存するデータ構造のものが用いられる。別の実施の一形態として、ICチップは、引き落し銀行口座を特定するための識別番号を記憶保存し、決済に際して利用されるデビット型のものであってもよい。いずれにしても、ICチップは、例えばカードに埋め込まれたり、携帯電話に内蔵されたりしている。
【0021】
秤部108は、一例としてロードセル秤によって構成され、チェックアウトカウンタ102の天板面に配置されている商品載置領域105に載置された品物の重量を計量する。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態のPOS端末101は、チェックアウトカウンタ102を挟んでキャッシャである店員と顧客とが対面した状態で商品の販売を行なうように構成されている。この際、POS端末101は、顧客が購入しようとする商品、その単価、合計金額等の取引情報を含む取引画面151をディスプレイ103に表示する。ディスプレイ103は、前述したように、チェックアウトカウンタ102の天板面上に上向きで配置されている。したがって、POS端末101は、店員と顧客とが共に視認することができるチェックアウトカウンタ102の天板面という特異な位置に取引情報を表示する。そして、店員及び顧客の双方は、共に、必要に応じてタッチパネル104をタッチ操作することで、ディスプレイ103に表示される表示状態を変化させたり、特定の指示を入力したりすることができる。この点については、図9〜図11に基づいて後に詳述する。
【0023】
POS端末101は、まず、ディスプレイ103上に、取引画面151の基礎となる背景画像152を表示させる。そして、チェックアウトカウンタ102の商品載置領域105に商品Aや注文札Oが収納されたショッピングバスケット309が載置されたならば、無線通信部106が取得したそれらの商品Aや注文札Oに取り付けられている無線タグ(図示せず)の記憶データに基づいて後述する商品画像データベース210c(図3参照)から取得される商品の形態画像153を背景画像152上に展開して表示する。この際に背景画像152に展開して表示される商品は、一画面として表示できる限りにおいて、無線タグから記憶データを読み取られた全ての商品である。
【0024】
図3は、POS端末101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末101は、前述したように、ディスプレイ103への情報表示処理とタッチパネル104からの情報入力処理とを実行し、無線タグと近距離無線通信を実行する無線通信部106、決済可能な非接触型のICチップとの間のデータ送受信処理を実行するリーダライタ107及び秤部108からのデータ受信処理を実行し、更に、決済処理を含む商品販売データ処理を実行する。このような各種の処理は、制御部201によって行なわれる。制御部201は、例えば動作シーケンスが書き込まれた半導体チップ構成のものであっても、メモリにプログラムを記憶させて動作するマイクロコンピュータ構成のものであっても良い。ここでは、マイクロコンピュータ構成の制御部201を紹介する。
【0025】
制御部201の中核をなすのはCPU202である。CPU202には、固定データを固定的に記憶するROM203と、可変データを書き換え自在に記憶するRAM204と、ディスプレイ103に表示する表示画像を生成するVRAM205と、HDD206とがシステムバス207を介して接続されている。HDD206には、OS208(オペレーティングシステム)、商品販売データ処理用のコンピュータプログラム209、商品データファイル210及び画像ライブラリー211が格納されている。これらのOS208、コンピュータプログラム209、商品データファイル210及び画像ライブラリー211は、その全部又は一部がPOS端末101の起動時にRAM204に移されて使用される。
【0026】
商品データファイル210は、店舗301で扱う各種の商品に関する情報を記憶するファイルであり、PLUファイル210a、商品重量データベース210b及び商品画像データベース210cを含んでいる。
【0027】
PLUファイル210aは、個々の商品を特定する商品コードに対応させてその商品の単価を記憶している。
【0028】
商品重量データベース210bは、個々の商品を特定する商品コードに対応させてその商品の重量を記憶している。重量は、一例として単一の重量値として記憶されており、別の一例として単一の重量値に許容されるべき上限値及び/又は下限値として記憶されており、更に別の一例としてある重量値範囲が記憶されている。
【0029】
商品画像データベース210cは、個々の商品を特定する商品コードに対応させてその商品の画像データを記憶している。画像データは、商品の形態を視覚的に表現する形態画像の画像データである。このような画像データとしては、例えば、商品の外観を写実的あるいは印象的に表現した2次元イラストレーション、3次元イラストレーション、デジタルカメラによって撮像された写真等が用いられる。
【0030】
画像ライブラリー211は、コンピュータプログラム209の実行に際して必要な各種の画像データやフレーム画像から構成されている。したがって、商品画像データベース210cは、画像ライブラリー211の一部を構成する。
【0031】
制御部201には、ディスプレイ103、タッチパネル104、無線通信部106、リーダライタ107及び秤部108が、システムバス207に接続されたそれらの機器のコントローラやインターフェース(いずれも図示せず)を介して接続されている。したがって、それらのディスプレイ103、タッチパネル104、無線通信部106、リーダライタ107及び秤部108は、制御部201による制御を受ける。
【0032】
制御部201には、システムバス207を介して通信インターフェース212も接続されている。通信インターフェース212は、例えば構内通信網402に接続され、外部に設置されたストアサーバ401等の各種外部機器と制御部201との間のデータ通信を実現させる。
【0033】
図4は、ディスプレイ103に販売待機画面が表示されている状態を示すPOS端末101の平面図である。前述したように、図4中、便宜上、ディスプレイ103及びタッチパネル104の配置領域をOA、商品載置領域105をPAと表記して示している。PAとして表記されている商品載置領域105には、「ここにカゴをおいて下さい。」という顧客に対するインストラクションが印刷等によって表記されている。
【0034】
制御部201は、ディスプレイ103を表示制御することで、ディスプレイ103及びタッチパネル104の配置領域OAに背景画像152を表示している。この背景画像152は、HDD206にインストールされてRAM204にコピーされている画像ライブラリー211に含まれている画像データに基づいて生成されている。背景画像152の基礎となる画像データは、2次元イラストレーションや3次元イラストレーションである。
【0035】
制御部201は、また、ディスプレイ103を表示制御することで、ディスプレイ103及びタッチパネル104の配置領域OAに、取引情報表示欄154を表示している。取引情報表示欄154は、キャッシャである店員側に向けられた店員用の取引情報表示欄154aと顧客側に向けられた顧客用の取引情報表示欄154bとが用意されている。店員用の取引情報表示欄154aには、合計金額欄154a−1、値引金額欄154a−2及び買上点数欄154a−3が含まれており、更に、反転表示指示ボタン154a−4と一覧表示指示ボタン154a−5とが含まれている。また、顧客用の取引情報表示欄154bには、支払金額欄154b−1、値引金額欄154b−2、配送日時指定欄154b−3及びポイント指定欄154b−4が含まれており、更に、一覧表示指示ボタン154b−5及びかざし位置表示154b−6が含まれている。
【0036】
合計金額欄154a−1及び支払金額欄154b−1は、顧客が購入しようとする商品の合計金額を表示するための欄である。
【0037】
値引金額欄154a−2及び値引金額欄154b−2は、値引金額を表示するための欄である。
【0038】
買上点数欄154a−3は、店員用の取引情報表示欄154にのみ表示される買上点数を表示するための欄である。
【0039】
反転表示指示ボタン154a−4は、店員用の取引情報表示欄154aにのみ表示される背景画像152の表示内容の反転を指示するためのオブジェクトである。ここでいう反転というのは、背景画像152の表示内容の表示向きを店員の側と顧客の側とに切り換えることを意味する。
【0040】
一覧表示指示ボタン154a−5及び一覧表示指示ボタン154b−5は、背景画像152に商品画像データベース210c(図3参照)から取得される商品の形態画像として表示している商品の一覧表示を指示するためのオブジェクトである。
【0041】
配送日時指定欄154b−3は、顧客用の取引情報表示欄154bにのみ表示され、デフォルト表示される配送日時をタッチパネル104でのタッチ操作によって変更指定するためのオブジェクトである。この場合にデフォルト表示される配送日時は、顧客が所持してショッピングバスケット309に取り付けられている会員カードCに内蔵されている無線タグの記憶データに記憶されている情報に基づき設定される。一例として、当該無線タグの記憶データとして、「決済日の翌日の午前9時〜午前11時」と記憶されているとすると、配送日時指定欄154b−3には、「明日 9:00〜11:00」とデフォルト表示される。
【0042】
ポイント指定欄154b−4は、顧客用の取引情報表示欄154bにのみ表示されるオブジェクトであり、顧客の現在の蓄積ポイント数とその利用ポイント数とが表示される。蓄積ポイント数は、顧客が所持してショッピングバスケット309に取り付けられている会員カードCに内蔵されている無線タグの記憶データに記憶されている情報に基づき設定される。利用ポイント数は、デフォルト設定が「0」となっており、タッチパネル104でのタッチ操作によって変更指定が可能になっている。
【0043】
かざし位置表示154b−6は、顧客用の取引情報表示欄154bにのみ表示され、決済可能な非接触型のICチップを内蔵する媒体のかざし位置を示している。このような媒体は、前述したように、カードや携帯電話等に内蔵されている。このように、かざし位置表示154b−6は、カードや携帯電話等に内蔵されている決済可能な非接触型のICチップをかざす位置を示していることから、リーダライタ107(図3参照)のアンテナ(図示せず)は、かざし位置表示154b−6の下方に位置付けられている。
【0044】
図5は、商品載置領域105に商品A等が収納されたショッピングバスケット309が載置される瞬間を示すPOS端末101の平面図である。顧客は、店舗301内に設置されている商品陳列棚308から購入しようとする現実の商品A又はその商品に対応する注文札Oを取り、これをショッピングバスケット309に収納する。この際、一例として、現実の商品Aについては、顧客が持参したマイバッグ310をショッピングバスケット309に収納しておき、このマイバッグ310に収納する。これに対して、注文札Oについては、ショッピングバスケット309のマイバッグ310ではない収納領域に収納する。こうすることで、顧客は、決済終了後にショッピングバスケット309から会員カードCを回収した後、マイバッグ310を持って速やかに立ち去ることができる。また、店舗側は、ショッピングバスケット309に残った注文札Oを速やかに配送に回すことができる。こうして、円滑なチェックアウトが実現する。
【0045】
図6は、全体の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、HDD206にインストールされてその全部又は一部がRAM204にコピーされているコンピュータプログラム209に従い、CPU202によって実行される。
【0046】
図5に示すように商品載置領域105にショッピングバスケット309が載置されると、無線通信部106はショッピングバスケット309に収納されている商品Aや注文札O、ショッピングバスケット309に取り付けられている会員カードCとの間で近距離無線通信を実行し、それらの商品A、注文札O及び会員カードCに取り付けられている無線タグからその記憶データを取得する。無線通信部106は、システムバス207を介して、取得した無線タグの記憶データを制御部201に送信する。これにより、CPU202は、無線タグデータの受信を判定する(ステップS101のY)。
【0047】
CPU202は、無線タグデータの受信を判定すると(ステップS101のY)、RAM204内のデータバッファを検索し(ステップS102)、同一の無線タグデータの有無を判定する(ステップS103)。この判定の結果、同一の無線タグデータがデータバッファに記憶されている場合には(ステップS103のY)、ステップS101で受信判定した無線タグデータを廃棄してステップS101の判定処理にリターンする(ステップS104)。これに対して、ステップS103での判定の結果、同一の無線タグデータがデータバッファに記憶されていない場合には(ステップS103のN)、ステップS101で受信判定した無線タグデータをデータバッファに記憶する(ステップS105)。この際にデータバッファに記憶される無線タグデータは、商品A又は注文札Oに取り付けら
れている無線タグのデータか、会員カードCに内蔵されている無線タグのデータか、あるいはその他の無線タグデータである。
【0048】
CPU202は、続くステップS106で、ステップS105でデータバッファに記憶させた無線タグデータが商品A又は注文札Oに取り付けられている無線タグのデータであるか否かを判定する。この判定の結果が否定的である場合には(ステップS106のN)、ステップS101の処理にリターンする。これに対して、その判定の結果が肯定的である場合には(ステップS106のY)、商品データファイル210を検索して対応する商品情報を取得するという検索処理を実行する(ステップS107)。つまり、CPU202は、商品A又は注文札Oに取り付けられている無線タグの記憶データに含まれている商品コードを検索キーとして商品データファイル210を検索し、PLUファイル210aから単価を取得し、商品重量データベース210bから重量を取得し、商品画像データベース210cから画像データを取得する。
【0049】
このような検索処理については、その他にも、各種の実施の形態を実施することができる。例えば、商品データファイル210のうちの全部又は一部がストアサーバ401に記憶保存され、あるいはストアサーバ401によってアクセス可能な外部記憶装置(図示せず)に記憶保存され、POS端末101は構内通信網402を介してストアサーバ401から必要なデータを取得するようにしても良い。更に別の実施の一形態として、無線タグそれ自体に単価、重量、画像データの全部又は一部を記憶保存しており、POS端末101は無線タグそれ自体から必要なデータを取得するようにしても良い。このような各種のバリエーションは、結局のところ、無線通信部106により読み取るべき無線タグを付した商品Aや注文札Oによって特定される商品の単価、重量及び画像データが何処に記憶されているのかに依存する。
【0050】
CPU202は、続くステップS108で、ディスプレイ103に表示している背景画像152に、ステップS107で取得した商品情報に含まれている画像データに基づく商品の形態画像153を表示する。つまり、制御部201は、その表示制御により、無線通信部106が取得した記憶データに基づいて例えば商品画像データベース210cから取得される商品の形態画像153を背景画像152上に展開して表示する。これにより、取引画面151が表示される。こうして、ステップS108に従い表示される取引画面151は、キャッシャである店員の方に向けられて表示されている。先ずは店員において、ショッピングバスケット309に収納された現実の商品A及び注文札Oによって特定される商品と、取引画面151としてディスプレイ103に展開される商品との同一性確認をする必要があるからである。
【0051】
図7は、ショッピングバスケット309に収納された商品A等から読み取られた商品情報が店員側に向けてディスプレイ103に表示されている状態を示す模式図である。図7に示すように、ディスプレイ103に表示されている背景画像152には、ステップS107で取得した商品情報に含まれている画像データに基づく商品の形態画像153が表示されている。図7に例示する商品の形態画像153は、対応する商品の3次元イラストレーションに、その商品の名称及び単価が付されて表現されている。一例として、形態画像153に含まれているイラストレーション、名称及び単価は、商品画像データベース210cに格納されている画像データとして予め用意されている。別の一例として、商品画像データベース210cにはイラストレーションの画像データのみが格納され、対応商品の名称及び単価は例えばPLUファイル210aに格納され、これらのイラストレーションと名称及び単価とを組み合わせて形態画像153を生成するようにしても良い。この場合、PLUファイル210aには名称及び単価のテキストデータのみを格納しておき、形態画像153を表示するたびにテキストデータをイメージデータに変換して表示するようにしてもよい。
【0052】
図7に示すように、背景画像152は、中央部分に商品表示領域152aを有し、一側方に寄せた領域に注文札表示領域152bを有している。形態画像153のうちの一郡(形態画像153a)は、商品表示領域152aに2次元的あるいは3次元的に展開された形態で表示されている。形態画像153のうちの別の一群(画像153b)は、注文札表示領域152bにタイル形態で表示されている。商品表示領域152aに表示されている形態画像153aは、現実の商品Aに付されている無線タグから読み取られた商品情報に基づき表示される画像である。注文札表示領域152bに表示されている形態画像153bは、注文札Oに付されている無線タグから読み取られた商品情報に基づき表示される画像である。このような区別は、現実の商品Aに付されている無線タグと注文札Oに付されている無線タグとに、現実の商品Aと注文札Oとを区別可能な識別コードを含ませることによって、容易に実現可能である。つまり、CPU202は、現実の商品Aに付されている無線タグであることを示す識別コードを受信した場合には、形態画像153aを表示することができる表示フレームを画像ライブラリー211から取得し、この表示フレームに商品画像データベース210cから取得したその商品の画像データを組み合わせて表示する。また、CPU202は、注文札Oに付されている無線タグであることを示す識別コードを受信した場合には、形態画像153bを表示することができる表示フレームを画像ライブラリー211から取得し、この表示フレームに商品画像データベース210cから取得したその商品の画像データを組み合わせて表示する。
【0053】
図6に示すフローチャートの説明に戻る。CPU202は、ディスプレイ103に取引画面151を表現して表示した後(ステップS108参照)、売上商品の合計金額及び合計点数を計算する(ステップS109)。合計金額の計算は、商品データファイル210に含まれているPLUファイル210aから取得した単価に基づいて実行される。合計点数の計算は、ステップS106で商品A又は注文札Oに付された無線タグであると判定した回数に基づいて実行される。
【0054】
そして、CPU202は、ディスプレイ103に表示されている取引情報表示欄154にステップS109の処理によって得た取引情報等を表示する(ステップS110)。つまり、キャッシャである店員側に向けられた店員用の取引情報表示欄154a中、合計金額欄154a−1にはステップS109で計算した合計金額を表示し、値引金額欄154a−2にはステップS107でPLUファイル210aから取得した個々の商品についての値引金額の合計を表示し、買上点数欄154a−3にはステップS109で計算した合計点数を表示する。また、顧客側に向けられた顧客用の取引情報表示欄154b中、支払金額欄154b−1にステップS109で計算した合計金額を表示し、値引金額欄154b−2にはステップS107でPLUファイル210aから取得した個々の商品についての値引金額の合計を表示する。また、配送日時指定欄154b−3には、ステップS105でRAM204のバッファに記憶した会員カードCに内蔵されている無線タグから取得した配送日時についてのデフォルト値が表示される。更に、ポイント指定欄154b−4には、ステップS105でRAM204のバッファに記憶した会員カードCに内蔵されている無線タグから取得したポイント数が表示される。
【0055】
その後、CPU202は、重量チェック処理を実行する(ステップS111〜ステップS113)。重量チェック処理では、まず、ステップS107の検索処理によって取得した重量値の合計を合計重量値として算出する(ステップS111)。そして、秤部108によって計量されて秤部108から出力される計量値を取得する(ステップS112)。その上で、ステップS111で算出した合計重量値とステップS112で取得した秤部108からの計量値とを比較し、その同一性を判定することによってなされる(ステップS113)。
【0056】
ここで、ステップS111で算出した合計重量値とステップS112で取得した秤部108からの計量値と同一性を有しているかどうかは、一例として、計量値が検索処理によって取得した重量の下限値と上限値との間に収まっているかどうかを判定することによってなされる。この場合、本実施の形態における重量チェックは、個々の商品単独での重量チェックではなく、商品載置領域105に載置されたショッピングバスケット309に収納されている全ての商品A及び注文札Oそれ自体の重量の合計値についての重量チェックである。そこで、計量値と重量値との同一性の判定に際しては、検索処理によって取得した重量値である全ての商品の下限値の合計値と全ての商品の上限値の合計値とが許容範囲を構成し、当該許容範囲内に計量値が収まっているかどうかを判定することになる。もっとも、このような手法により取得される許容範囲は、実施の上で一例をなすに過ぎず、例えば、当該許容範囲の値にある係数を乗ずる等して当該許容範囲の幅を狭くしたり、反対に広くしたりするようにしても良い。別の一例としては、検索処理によって下限値及び上限値を取得しないか、あるいは取得してもそれらの値を使用せず、検索処理によって得られた重量の値のみを使用し、これを加算して合計値を算出し、この合計値に対してある許容範囲を設定することによって合計重量値とするようにしても良い。
【0057】
CPU202は、ステップS113で、算出した合計重量値と秤部108から取得した計量値との間に同一性を判定しない場合には(ステップS113のN)、ステップS101の処理にリターンし、再度、ステップS101〜113の処理を実行する。この場合には、ステップS107で商品情報を取得していない商品A等がショッピングバスケット309に残っているはずだからである。
【0058】
CPU202は、ステップS113で、算出した合計重量値と秤部108から取得した計量値との間に同一性を判定した場合には(ステップS113のY)、ディスプレイ103に表示している取引画面151の表示方向を顧客側に切り換える(ステップS114)。
【0059】
図8は、図7に示す商品情報が顧客側に向けて反転表示されている状態を示すPOS端末101の平面図である。図7に示す表示状態と比較することによって明らかなように、図8に示す表示状態では、ディスプレイ103に表示されている取引画面151の表示向きが切り換えられている。これにより、顧客の側において、取引画面151としてディスプレイ103に展開される商品を容易に確認することができる。しかも、ディスプレイ103に表示されている取引画面151の表示位置は、その表示方向の反転の前後で変わらない位置となっている。これにより、より一層、取引画面151としてディスプレイ103に展開される商品を容易に確認することができる。
【0060】
図6に示すフローチャートの説明に戻る。CPU202は、顧客に向けて取引画面151を表示した後(ステップS114)、ディスプレイ103に決済を促すダイアログを表示する(ステップS115)。そして、決済の完了判定に待機する(ステップS116)。
【0061】
決済を促すダイアログを見た顧客は、決済動作を促され、一例として、自ら所持する決済可能な非接触型のICチップを内蔵する媒体、例えば携帯電話で決済を行なう。この場合、顧客の側に向けられている取引情報表示欄154bの最も右方に位置するかざし位置表示154b−6の上方位置に携帯電話等をかざす。これにより、一例として、携帯電話が内蔵する非接触型のICチップに蓄えられている電子マネーによる決済が可能になり、別の一例として、携帯電話が内蔵する非接触型のICチップが記憶している情報に基づくデビット決済が可能になる。
【0062】
CPU202は、決済の完了を判定すると(ステップS116のY)、明細データをストアサーバ401及び顧客が決済に使用した携帯電話等に送信する(ステップS117)。ストアサーバ401への明細データの送信は、通信インターフェース212から構内通信網402を介して行なわれる有線によるデータ転送によって実行される。顧客が所持する携帯電話等への明細データの送信は、リーダライタ107による近距離無線通信によって実行される。
【0063】
その後、CPU202は、取引情報表示欄154に表示している情報を消去し(ステップS118)、RAM204のバッファをクリアし(ステップS119)、一取引の処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ディスプレイ103上に背景画像152を表示させる。そして、商品載置領域105に商品A等が載置されると、その商品の形態画像153を背景画像152上に展開して表示させる。したがって、チェックアウトカウンタ102に持ち寄られた複数の商品A等に付された無線タグを一括読み取りし、個々の商品の商品情報をディスプレイ103に一度に表示するチェックアウト方式を採用した場合であっても、チェックアウトカウンタに持ち寄られた個々の商品とディスプレイ103に表示される商品との照合を直感的に行なわせることができ、したがって、その照合作業を容易にすることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、ディスプレイ103は、チェックアウトカウンタ102の天板面に上向きで配置されている。これにより、キャッシャである店員と顧客とが同一画面を確認しながらチェックアウト処理を進めることができる。この場合であっても、店員側と顧客側とにそれぞれ向けられた二つの取引情報表示欄154(取引情報表示欄154a、取引情報表示欄154b)が提供されるので、店員と顧客との双方にとって取引情報の確認が容易となる。しかも、取引画面151の表示方向を店員側と顧客側とに反転表示するようにしたので、店員と顧客との双方にとって買上商品の確認が容易となる。この場合、取引画面151の表示方向を、当初は店員側とし、重量チェック処理を通過した場合(図6中のステップS113のY)には顧客側とするようにしたので、店員と顧客とに対してタイムリーに買上商品の情報を提供することができる。
【0066】
もっとも、本実施の形態のPOS端末101では、タッチパネル104上でのオブジェクト操作に応じて取引画面151の表示方向を反転表示するようにしたり、あるいは、購入商品を一覧表示させたりすることができる。そして、店員及び顧客の双方は、共に、必要に応じてタッチパネル104をタッチ操作することで、ディスプレイ103に表示される表示状態を変化させたり、特定の指示を入力したりすることができる。以下、このような内容を図9〜図11に基づいて説明する。
【0067】
図9は、オブジェクト操作のための処理の流れを示すフローチャートである。CPU202は、タッチパネル104による画面タッチの有無の判定に待機している(ステップS201)。そこで、画面タッチありと判定した場合(ステップS201のY)、オブジェクトの種類を判定する(ステップS202)。つまり、CPU202は、画面タッチされた対象物が、背景(背景画像152)なのか、商品(形態画像153)なのか、日時(配送日時指定欄154b−3)なのか、ポイント(ポイント指定欄154b−4)なのか、インストラクション(反転表示指示ボタン154a−4、一覧表示指示ボタン154a−5、一覧表示指示ボタン154b−5)なのかを判定する。
【0068】
その後、CPU202は、タッチパネル104上での画面タッチ位置の移動の有無を判定する(ステップS203)。つまり、タッチパネル104上で画面タッチがあり、その後にそのタッチ位置が移動したのであれば、インストラクション以外のオブジェクト操作がなされたことになる。そこで、本実施の形態では、タッチパネル104上での画面タッチ位置の移動の有無を判定することにより(ステップS203)、オブジェクト操作がインストラクションなのかインストラクション以外なのかを判定するようにしている。
【0069】
CPU202は、タッチパネル104上での画面タッチ位置の移動があったと判定した場合(ステップS203のY)、タッチ位置の移動を認識し、認識したタッチ位置の移動に応じたオブジェクト動作の解析を実行する(ステップS204)。一例として、HDD206にインストールされているコンピュータプログラム209には、
(ア)背景画像152上で店員側から顧客側にタッチ位置移動
(イ)背景画像152上で顧客側から店員側にタッチ位置移動
(ウ)商品表示領域152aに位置する形態画像153aのタッチ位置を注文札表示領域152bに移動
(エ)注文札表示領域152bに位置する形態画像153bのタッチ位置を商品表示領域152aに移動
(オ)配送日時指定欄154b−3の「日」指定位置でタッチ位置を時計周りに移動
(カ)配送日時指定欄154b−3の「日」指定位置でタッチ位置を反時計周りに移動
(キ)配送日時指定欄154b−3の「時間」指定位置でタッチ位置を時計周りに移動
(ク)配送日時指定欄154b−3の「時間」指定位置でタッチ位置を反時計周りに移動
(ケ)ポイント指定欄154b−4でタッチ位置を時計回りに移動
(コ)ポイント指定欄154b−4でタッチ位置を反時計回りに移動
というオブジェクト動作が定義されている。そこで、CPU202は、ステップS204の処理として、タッチ位置の移動に応じたオブジェクト動作として、上記(ア)〜(コ)のいずれのオブジェクト動作がなされたかを解析する。
【0070】
次いで、CPU202は、ステップS204で解析したオブジェクト動作の解析結果に応じたオブジェクト表示の変更を実行する(ステップS205)。一例として、HDD206にインストールされているコンピュータプログラム209には、
(ア)のオブジェクト動作:ディスプレイ103に表示されている取引画面151を顧客の側に向けて表示
(イ)のオブジェクト動作:ディスプレイ103に表示されている取引画面151を店員の側に向けて表示
(ウ)のオブジェクト動作:タッチ指定された形態画像153aを注文札表示領域152bに移動して形態画像153bとする
(エ)のオブジェクト動作:タッチ指定された形態画像153bを商品表示領域152aに移動して形態画像153aとする
(オ)のオブジェクト動作:配送日時指定欄154b−3の「日」の表示を将来に進行させる
(カ)のオブジェクト動作:配送日時指定欄154b−3の「日」の表示を過去に戻す
(キ)のオブジェクト動作:配送日時指定欄154b−3の「時間」の表示を将来に進行させる
(ク)のオブジェクト動作:配送日時指定欄154b−3の「時間」の表示を過去に戻す
(ケ)のオブジェクト動作:ポイントとして表示されている数値を高くする
(コ)のオブジェクト動作:ポイントとして表示されている数値を低くする
というオブジェクト表示の変更動作が定義されている。そこで、CPU202は、ステップS205の処理として、タッチ位置の移動に応じたオブジェクト表示の変更動作が行なわれるように、上記(ア)〜(コ)に応じた処理を実行する。
【0071】
そして、CPU202は、ステップS204で解析したオブジェクト動作の解析結果に応じた内部処理を実行し(ステップS206)、処理を終了する。一例として、HDD206にインストールされているコンピュータプログラム209には、
(ウ)のオブジェクト動作:タッチ指定された形態画像153aによって特定される持ち帰り用の商品を配送用の商品に変更
(エ)のオブジェクト動作:タッチ指定された形態画像153bによって特定される配送用の商品を持ち帰り用の商品に変更
(オ)のオブジェクト動作:配送日時の「日」を将来に進行させる
(カ)のオブジェクト動作:配送日時の「日」を過去に戻す
(キ)のオブジェクト動作:配送日時の「時間」を将来に進行させる
(ク)のオブジェクト動作:配送日時の「時間」を過去に戻す
(ケ)のオブジェクト動作:売上合計金額から割り引くポイントの数値を高くする
(コ)のオブジェクト動作:売上合計金額から割り引くポイントの数値を低くする
という内部処理の変更が定義されている。そこで、CPU202は、ステップS206の処理として、タッチ位置の移動に応じた内部処理の変更が行われるように、上記(ウ)〜(コ)に応じた処理を実行する。
【0072】
図10は、手動操作による表示内容の反転表示を説明するためのPOS端末101の平面図である。図10(a)に示すディスプレイ103に表示される取引画面151は、店員の側に向けられている。図10(b)に示すディスプレイ103に表示される取引画面151は、顧客の側に向けられている。そこで、ディスプレイ103に図10(a)の向きで取引画面151が表示されている状態で上記(ア)のオブジェクト動作がなされると、取引画面151の表示向きは図10(b)のように反転する。これに対して、ディスプレイ103に図10(b)の向きで取引画面151が表示されている状態で上記(イ)のオブジェクト動作がなされると、取引画面151の表示向きは図10(a)のように反転する。
【0073】
図9に示すフローチャートの説明に戻る。CPU202は、タッチパネル104上での画面タッチ位置の移動がなかったと判定した場合(ステップS203のN)、ステップS202で判定したオブジェクトの種類がインストラクションであったがどうかを確認する(ステップS207)。CPU202は、インストラクションではなかったと確認した場合(ステップS207のN)、タッチパネル104上で何らかのミスタッチが合ったことになるので、ステップS201の処理にリターンする。これに対して、CPU202は、インストラクションであったと確認した場合(ステップS207のY)、ステップS202で判定された種類のインストラクションを実行し(ステップS208)、処理を終了する。
【0074】
図11は、商品情報が一覧表示されている状態を示す模式図である。図9のフローチャート中のステップS202でオブジェクトの種類がインストラクションであると判定されるのは、店員側に表示される取引情報表示欄154a中の反転表示指示ボタン154a−4がタッチ指定された場合か、一覧表示指示ボタン154a−5がタッチ指定された場合か、あるいは、顧客側に表示される取引情報表示欄154b中の一覧表示指示ボタン154b−5がタッチ指定された場合かのいずれかである。
【0075】
CPU202は、店員側に表示される取引情報表示欄154a中の反転表示指示ボタン154a−4がタッチ指定された場合には、図10(a)と図10(b)とに示すように、ディスプレイ103に表示される取引画面151の表示向きを反転させる。
【0076】
CPU202は、また、店員側に表示される取引情報表示欄154a中の一覧表示指示ボタン154a−5がタッチ指定されたか、あるいは、顧客側に表示される取引情報表示欄154b中の一覧表示指示ボタン154b−5がタッチ指定された場合には、図11に示すような一覧表示画面155をディスプレイ103にポップアップ表示させる。一覧表示画面155には、商品名155a、個数155b、値引き金額155c及び単価155dが個々の商品毎に示され、更に、個数155b、値引き金額155c及び単価155dについては、その合計が表示される。
【0077】
そして、一覧表示画面155において特異な点は、商品名155aとして、テキスト表示の他に縮小された形態画像153cが表示されている点である。この縮小された形態画像153cは、商品画像データベース210cから取得した画像データに基づいて生成されている。
【0078】
(本発明の別の実施の一形態)
本発明の別の実施の一形態を図12に基づいて説明する。図1ないし図11に基づいて説明した前記実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0079】
図12は、ショッピングバスケット309に収納された商品A等から読み取られた商品情報がディスプレイ103に表示されている状態を示すPOS端末101の平面図である。本実施の形態では、顧客側に向けられた取引情報表示欄154bがディスプレイ103の側縁に沿って配列されておらず、前記実施の形態では取引画面151を表示していた領域の一部に配列されている。つまり、図10に示すように、顧客の側から見ると、ディスプレイ103の右側領域に顧客側に向けられた取引情報表示欄154bの表示領域が確保されている。
【0080】
また、本実施の形態において特異な点は、取引画面151の表示形態である。前記実施の形態では、背景画像152が商品表示領域152aと注文札表示領域152bとに区分されているのに対して、本実施の形態では、背景画像152にそのような区別がない。つまり、前記実施の形態では、現実の商品Aに付された無線タグから読み取られた記憶データに基づき表示される形態画像153aと注文札Oに付された無線タグから読み取られた記憶データに基づく形態画像153bとの区別を、形態画像153そのものの表示態様によって区別する他、その表示領域によっても区別している。これに対して、本実施の形態では、そのような二種類の形態画像153a、153bの区別を、専ら形態画像153そのものの表示態様によってのみ区別している。そして、これらの二種類の形態画像153a、153bは、領域が区別されない単一の背景画像152にランダムな表示向きで表示され、取引画面151を構成している。したがって、店員側と顧客側とに、取引画面151の表示向きを切り換える必要がなく、何れの側からも、個々の形態画像153a、153bを一見して認識し易くしている。したがって、前記実施の形態の取引情報表示欄154には設けられていた反転表示指示ボタン154a−4は設けられていない。
【0081】
(本発明の更に別の実施の一形態)
本発明の更に別の実施の一形態を図13及び図14に基づいて説明する。図1ないし図11に基づいて説明した前記実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0082】
図13は、対面販売中であるPOS端末101を示す斜視図である。本実施の形態のチェックアウトカウンタ102は、その上面にディスプレイ103及びタッチパネル104を有していない。これらのディスプレイ103及びタッチパネル104は、チェックアウトカウンタ102の端部に立設されている。図13中には、ディスプレイ103しか表示されていないが、タッチパネル104はディスプレイ103の図示しない表示面に積層配置されている。これらのディスプレイ103及びタッチパネル104の立設位置は、商品載置領域105とは反対側の端部であり、その表示面を商品載置領域105の側に向けて配置されている。したがって、キャッシャである店員及び顧客の双方が、ディスプレイ103の表示内容を閲覧することができ、かつ、タッチパネル104によるタッチ操作が可能となっている。
【0083】
図14は、ショッピングバスケット309に収納された商品A等から読み取られた商品情報がディスプレイ103に表示されている状態を示すPOS端末101の正面図である。本実施の形態のディスプレイ103の表示内容は、前記実施の形態と基本的に相違しない。相違する点は、取引情報表示欄154が店員用と顧客用とに別れておらず、単一であるという点である。本実施の形態は、店員と顧客とがディスプレイ103を挟んで対面する形態を採用していないため、店員用と顧客用とに取引情報表示欄154を分ける必要がないからである。本実施の形態では、前記実施の形態でいうと、店員用の取引情報表示欄154aに相当する取引情報表示欄154が設けられていない。取引情報表示欄154の内容は、前記実施の形態における顧客用の取引情報表示欄154bに相当する内容となっている。
【符号の説明】
【0084】
102…チェックアウトカウンタ、103…ディスプレイ、104…タッチパネル、105…商品載置領域、106…無線通信部、108…秤部、151…取引画面、152…背景画像、153…形態画像、201…制御部、204…RAM(記憶部)、210c…商品画像データベース、210b…商品重量データベース、A…商品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2005−339353公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示するディスプレイと、
商品又は注文札に付されている近距離無線通信用の無線タグとデータ通信を実行し、前記無線タグからその記憶データを取得する無線通信部と、
商品コードとその商品の形態を視覚的に表現する形態画像の画像データとを対応付けて記憶する商品画像データベースを格納する記憶部にアクセスし、前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている商品コードに対応する画像データを取得し、取得した画像データに基づく複数商品のそれぞれの形態画像を表示させるよう制御する制御手段と、
前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている商品コードに基づいて決済処理を含む商品販売データ処理を実行するデータ処理手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている、商品又は注文札を示す識別情報に基づいて、前記形態画像の表示を商品又は注文札で区別して前記ディスプレイに表示させるように制御することを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記形態画像の表示の位置を、前記商品に付されている無線タグから取得した記憶データに基づく形態画像を表示する商品表示領域と、前記注文札に付されている無線タグから取得した記憶データに基づく形態画像を表示する注文札表示領域とに区別して前記ディスプレイに表示させる、請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記商品を載置するための商品載置領域を有するチェックアウトカウンタを備え、
前記チェックアウトカウンタの天板面に上向きで前記ディスプレイと、前記商品載置領域とが設けられ、
前記制御手段は、前記商品載置領域と隣り合うように前記商品表示領域を前記ディスプレイに表示させる、請求項2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記形態画像の表示の態様を商品又は注文札で区別して前記ディスプレイに表示させる、請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記無線通信部が取得した前記記憶データに含まれている商品コードに対応する商品の名称及び単価を取得し、当該取得した商品の名称及び単価を前記形態画像に付して前記ディスプレイに表示させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−54186(P2011−54186A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227226(P2010−227226)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【分割の表示】特願2007−309505(P2007−309505)の分割
【原出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】