説明

嗜好性向上剤及び嗜好性を向上させる方法

本発明は、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含有する嗜好性向上剤、並びにそのような嗜好性向上剤を使用して食用組成物の嗜好性を向上させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2008年6月3日出願の米国特許仮出願第61/130,942号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
[0002]本発明は、全般には嗜好性向上剤、詳細には、少なくとも1つの動物分解物(animal digest)及び少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上剤、並びにそのような嗜好性向上剤を使用して食用組成物の嗜好性を向上させる方法に関する。
【0003】
[関連技術の説明]
[0003]一般に食品は、動物にとって1つ又は複数の栄養所要量を満足させるように通常はデザインされる。場合により、食品は、その動物にとっての全ての公知の栄養所要量をもたらす完全で栄養バランスのよい食品であるようにデザインされる。多くの食品は、第一に、多様な栄養所要量を満足させるために調合されるが、それでもその食品の嗜好性は考慮されなければならない。食品の実際の栄養含有量にかかわらず、動物がその食品を摂取しようとしなければ、又は当該食品を十分な量で摂取しなければ、その動物の栄養必要量を十分満たすことはできない。証拠から、嗜好性の高い食品を摂取すると、動物の純粋に身体的又は栄養的な必要量を超える利益、例えば、ストレスホルモンの減少、及び健康で好調であるという全身的な感覚がもたらされることが示唆されている。さらに、ある種の疾患及びある種の薬物適用といった状態によっては、動物の食欲が抑制されることがある。より嗜好性の高い食品は、そのような動物にとって有益である場合があるが、その理由は、動物がより嗜好性の高い食品をより多く摂取すれば、そうした食品により、その動物にとっての栄養不足が予防又は最小化されるからである。
【0004】
[0004]食品組成物の嗜好性を向上させる多様な方式が存在する。魅力的なアロマ又はフレーバーをもたらす1つ又は複数の成分を加えると、食品の嗜好性を高めることができる。アロマ、フレーバー、食感又は口当たりといった食品の特性に影響する成分は、全て、嗜好性に影響を及ぼすことができる。いくつかの食品については、甘味を増すか、又は脂肪若しくは塩の含有量を増すことにより、ある種の動物にとっての嗜好性を向上させることができることが公知である。グルタミン酸又はその塩、及び多様なヌクレオチド又はリボヌクレオチド化合物などのフレーバー向上剤は嗜好性向上剤であることが当技術分野では公知である。食品中の既存のフレーバーを向上させるフレーバー向上剤は、食欲をそそる食品において通常使用されている。そのようなフレーバー向上剤の場合は、それ自体のいかなるフレーバーを加えることが望ましくない場合がある。これに対し、場合により嗜好性向上剤は、嗜好性に影響を及ぼすフレーバー又はアロマ又は他の特性を加えることができるだけでなく、そのような属性があるために特に選ばれることがある。
【0005】
[0005]嗜好性の向上に有用な、多くの公知の方法及び組成物が存在する。例えば、米国特許出願公開第20080085350号では、コンパニオンアニマル(companion amimal)用の食用製品のための嗜好性向上剤を作製する方法であって、2−メチルフラン、2−メチルピロール、2−メチルチオフェン及び二硫化ジメチルから選択される少なくとも1つのアロマ化学物質を動物又は草食動物の分解組成物と組み合わせることを含む方法が開示されている。米国特許出願公開第20050276881号では、イヌハッカ、イヌハッカ油、マタタビ、マタタビ抽出物、ネペタラクトン及び/又はネペタラクトンの活性類似体の形態のネペタラクトンを含むイヌハッカの嗜好性向上剤が開示されている。米国特許出願公開第20010002272号では、ピロリン酸四ナトリウムを用いて押出し型のペットフードの嗜好性を高めることが開示されている。米国特許出願公開第20050037108号では、ピロリン酸四カリウムと、動物副産物、微生物タンパク質、酪農副産物、アミノ酸から選択される添加成分とを含有する嗜好性向上剤が開示されている。米国特許第7329426号では、イオウ又は窒素の供与源としての少なくとも1つの非細胞性供与化合物と混合された植物源又は動物源由来のトリグリセリド分子の液化混合物を調理することによる、動物用食品のための嗜好性向上剤の調製が開示されている。
【0006】
[0006]嗜好性の向上に有用な多くの公知の方法及び組成物が存在するが、それでも尚、食品及び他の食用組成物の嗜好性をより高める新しい嗜好性向上剤に対する必要性は常に存在する。
【0007】
[発明の概要]
[0007]したがって、本発明の目的は、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性の向上に有用な嗜好性向上剤を提供することである。
【0008】
[0008]本発明の別の目的は、嗜好性を高めた、食品、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物を提供することである。
【0009】
[0009]本発明のさらなる目的は、食用組成物の嗜好性を向上させる方法を提供することである。
【0010】
[0010]本発明の別の目的は、食用組成物の嗜好性の向上に有用な嗜好性向上剤を作製する方法を提供することである。
【0011】
[0011]こうした様々な目的の1つ又は複数は、食品、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性を向上させる新規な嗜好性向上剤を用いて達成される。この嗜好性向上剤は、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤を、食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む。
【0012】
[0012]本発明のそれ以外のさらなる目的、特徴及び利点は、当業者には容易に明らかとなろう。
【0013】
[発明の詳細な説明]
定義
[0013]本明細書では、以下の略称を使用することがある:AAFCO、Association Of American Feed Control Officials,Inc.(米国飼料検査官協会);HLB、hydrophilic−lipophilic balance(親水性−親油性バランス);MEA、モノエタノールアミン;DEA、ジエタノールアミン及びTEA、トリエタノールアミン。
【0014】
[0014]用語「動物」は、一般的な意味で使用され、鳥類、ウシ亜科(bovine)、イヌ科(canine)、ウマ科(equine)、ネコ科(feline)、ヤギ(hicrine)、オオカミ(lupine)、ネズミ科(murine)、ヒツジ(ovine)及びブタ(porcine)の動物など、食用組成物をその嗜好性に基づいて選ぶ可能性のあるヒト又は他の動物を意味する。
【0015】
[0015]用語「コンパニオンアニマル」は、任意の飼育動物を意味し、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ(goat)、ヒツジ(sheep)、ロバ、ブタ(pig)などが挙げられるが、これらに限定されない。ヒトが、明示的に除外されるか又は文脈により明らかに除外される一定の実施形態が、本発明においては好ましい場合がある。一定の実施形態では、例えば、イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルが好ましい。コンパニオンアニマルの中には、完全で栄養バランスのよい食品(例えばキブル)など、同じ食用食品(dietary food)を長期間にわたって摂取するものがある。本発明の嗜好性向上剤は、そのような食品の嗜好性を向上させ、それにより動物の栄養状態及び健康状態に利益をもたらすことにとりわけ有用である。
【0016】
[0016]用語「嗜好性の高い」又は「嗜好性」は、動物の感覚、とりわけ味覚及び嗅覚の1つ又は複数に訴え又は満足させる、食品、保健食品(food supplement)、食品添加物、栄養補助食品、医薬などの食用組成物の特性を指す。したがって、嗜好性は主観的に決定される。本明細書で使用する場合、動物が、例えば、2つ以上の食品のうち1つへの好みを示す場合は常に、好みのより高い食品はより「嗜好性の高い」ものであり、「嗜好性」がより高い。コンパニオンアニマル及び他の非ヒト動物の場合、例えば、並列の自由選択比較において、例えば、食品の相対摂取量、又は、嗜好性の指標となる好みについての他の適切な測定値により、1つ又は複数の他の食品と比較した場合の1つの食品の相対的な嗜好性を測定できる。
【0017】
[0017]「嗜好性」の多様な側面又は相は、独立及び相互依存のものとして、その両面から考えることができることは、当業者には理解されよう。例えば、「初期アピール(initial appeal)」、「継続摂取嗜好性(continued consumption palatability)」及び「反復提示嗜好性(repeated presentation palatability)」を全て考えることができる。「初期アピール」は、動物に、食品、栄養補助食品又は医薬を最初に口にする又は試す気を起こさせる、嗜好性の一側面である。「継続摂取嗜好性」は、動物に、最初は口にする又は試すのみであった製品を摂取し続ける気を起こさせる、嗜好性の一側面である。「反復提示嗜好性」又は「反復給餌嗜好性」は、以前口にされ摂取されたことのある食品組成物、栄養補助食品又は医薬が、摂取用として長期にわたり動物に繰り返し提示されるときに明らかになる嗜好性の一側面である。例えば、動物に毎日与えられる完全で栄養バランスのよい食品組成物は、動物がその食品を適切な量で摂取し続けるように、給餌の提示を繰り返す毎に嗜好性を提供することが望ましいであろう。
【0018】
[0018]用語「嗜好性向上剤」は、食品組成物、栄養補助剤、医薬などの食用組成物の嗜好性の向上に有用な任意の化合物、組成物、調合物又は他の材料を意味する。嗜好性向上剤は、嗜好性の側面の任意の1つ又は複数で嗜好性を向上させる。したがって、そのような嗜好性向上剤は、初期アピール、継続摂取若しくは反復提示の嗜好性側面又はその任意の組合せに寄与することができる。嗜好性向上剤の例としては、脂肪(例えば獣脂)、フレーバー、アロマ、抽出物、分解物などが挙げられる。
【0019】
[0019]用語「界面活性剤」は、表面活性のある化合物を意味する。界面活性剤分子は、親水性部分(例えば、1つ又は複数の頭部基)及び疎水性(又は親油性)部分(例えば、1つ又は複数の尾部)を典型的に有する。界面活性剤は多様な様式で分類でき、例えば、界面活性剤は、その親水性−親油性バランス(HLB)により分類することがある。(1つ又は複数の)頭部基における形式荷電しているものの有無に基づき、界面活性剤は、非イオン性、イオン性又は両イオン性に分類できる。非イオン性界面活性剤の頭部は荷電基をもたない。イオン性界面活性剤は、頭部の少なくとも1つの荷電基が特徴である。この基が負に帯電していれば、その界面活性剤は陰イオン性界面活性剤である。(1つ又は複数の)頭部基の電荷が正であれば、その界面活性剤は陽イオン性界面活性剤である。逆に荷電した基を2つ有する頭部をもつ界面活性剤は、両イオン性界面活性剤として公知である。
【0020】
[0020]用語「非イオン性界面活性剤」は、1つ又は複数の荷電していない親水性頭部と1つ又は複数の全体に極性の尾部とを備えるあらゆる一群の界面活性剤を意味する。非イオン性界面活性剤の機能的用途は、例えば複合系中の水−油間の界面における表面張力を減らすことである。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、嗜好性向上用組成物のエマルションを形成することが可能である。一般的な型の非イオン性界面活性剤としては、コカミドMEA、コカミドDEA及びコカミドTEAなどアミド連結を有するもの、並びにモノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコールなどエステル基を有するものが挙げられる。非イオン性界面活性剤の数例としては、ポロキサマー(例えばプルロニック(Pluronic))、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばブリッジ(Brij))及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばツイーン(Tween))が挙げられる。界面活性剤は、好ましくは、親水性−親油性バランス(HLB)が10より大きく、より好ましくは12より大きく、最も好ましくは14より大きい。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態では、本発明において有用な非イオン性界面活性剤は、誘導体化された食用若しくは食品に適用できる油若しくは脂肪酸分子、又はエステル化若しくはエチオキシ化(ethyoxylated)された食用炭水化物のいずれかを含む。本発明において提供される組成物と一緒に用いて有用であり得る非イオン性界面活性剤の追加的な例としては、アルキルポリ(エチレンオキシド)化合物、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)とのコポリマー(例えば、ポロキサマー(Poloxamer)又はポロキサミン(Poloxamine))、オクチルグルコシド及びデシルマルトシドなどのアルキルグルコシド又はポリグルコシド、セチルアルコール及びオレイルアルコール、ツイーン80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などの脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA及びコカミドTEAなどのコカミドエタノールアミンが挙げられる。適当な界面活性剤としては、食用油若しくは植物油のポリオキシエチレン誘導体又は水素化食用油又は水素化植物油、ポリエトキシ化ヒマシ油又はポリエトキシ化水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体なども挙げられる。レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリル脂肪酸エステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油又は水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンラノリン/ラノリンアルコール/蜜蝋誘導体を含む界面活性剤も、本発明において有用である。
【0022】
[0022]医薬及び食品の用途において有用な市販の非イオン性界面活性剤も、本発明において有用であり得る。例としては、ツイーン20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ツイーン40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、ツイーン60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、ツイーン80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ニッコール(NIKKOL)HCO30(PEG−30水素化ヒマシ油)、ニッコールHCO40(PEG−40水素化ヒマシ油)、ニッコールHCO50(PEG−50水素化ヒマシ油)、ニッコールHCO60(PEG−60水素化ヒマシ油)、クレモフォア(CREMOPHORE)RH40(ポリオキシエチレン40ヒマシ油)、クレモフォアRH60(ポリオキシエチレン60ヒマシ油)及びクレモフォアEL35(ポリオキシエチレン35ヒマシ油)が挙げられる。
【0023】
[0023]用語「動物分解物」は、清潔で腐敗していない動物組織の化学的及び/又は酵素的な加水分解の結果得られる材料を意味する。一定の実施形態では、「動物分解物」は、本明細書で使用する場合、米国飼料検査官協会(AAFCO)により公布された動物分解物の定義と完全に一致している。動物分解物は、海に住む冷血動物などの動物組織に好ましくは由来する。ただし、毛、角、歯、蹄及び羽を除く。そのような組織は好ましくはないものの、良好な製造現場であってもやむを得ず微量が見出される可能性があることは、当業者には理解されよう。内臓の内容物又は異物又は糞便も含まれないが、わずかな混入量が時に存在する。動物分解物が乾燥している場合は、これを「乾燥動物分解物」と呼ぶことがある。本発明による動物分解物は、食品又は飼料組成物中での使用に適している。具体的には、(1)牛肉(又は鳥肉、豚肉、子羊肉、魚など)の分解物、すなわち、清潔で腐敗していない組織の化学的及び/又は酵素的な加水分解の結果得られる牛肉(鳥肉、豚肉など)由来材料、(2)牛肉(又は、豚肉、子羊肉など)の副産物の分解物、すなわち、ウシ(ブタ、子ヒツジ、魚など)の、肉以外の未精製の清潔部位、例えば、肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、部分的に脱脂した低温脂肪組織、及び内容物を除去した胃腸の、清潔で腐敗していない組織の化学的及び/又は酵素的な加水分解の結果得られる牛肉(鳥肉、豚肉など)由来材料、並びに(3)鳥肉副産物の分解物、すなわち、屠殺された家禽の死体の未精製の清潔部位(頭、脚及び内臓など)に由来する清潔で腐敗していない組織の化学的及び/又は酵素的な加水分解の結果得られる材料が挙げられる。本明細書で使用する場合、「家禽/鳥肉」は、任意の種又は種類の鳥、好ましくは、ニワトリ、七面鳥、アヒル又は他の食用種を包含する。
【0024】
[0024]用語「有効量」は、特定の所望の結果を達成するために有効な化合物、材料、組成物、医薬、界面活性剤又は他の材料の量を意味する。そのような結果としては、以下:(a)嗜好性を向上させること、(b)動物を、一回の給餌か、又は一連の複数回給餌にわたるかいずれかにおいて、他の方法による場合に考えられるより多く特定の食用組成物を摂取する気にさせること、又は(c)動物を、当該動物が他の方法では自発的に摂取しないと考えられる医薬又は食品又は栄養補助食品を摂取する気にさせることのうち1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
[0025]用語「食品」又は「食用製品」又は「食品組成物」は、ヒトなどの動物による摂取を意図され、動物に少なくとも1つの栄養素をもたらす製品又は組成物を意味する。用語「食品」には、任意の食品、飼料、スナック、栄養補助食品、おやつ(treat)、代用食又は置換食が含まれ、ヒト用であるか別の動物用であるかを問わない。「食品」は、任意の形態、固形物、液体、ゲル又はそれらの混合物若しくは組合せのそうした製品を包含する。したがって、任意の種類の飲料は、用語「食品」内に明確に包含される。
【0026】
[0026]「動物用食品」には、任意の飼育種又は野生種用の食品又は飼料が含まれる。好ましい実施形態では、動物用の食品は、栄養的に完全な食品組成物、例えば、ペレット状、押出し状又は乾燥状の食品を表す。
【0027】
[0027]用語「ペットフード」は、動物、好ましくはコンパニオンアニマルによる摂取を意図した組成物を意味する。栄養バランスのよいペットフードは、当技術分野では広く知られ使用されている。
【0028】
[0028]「栄養的に完全な」「栄養バランスのよい」又は「完全で栄養バランスのよい食品」は、例えば、コンパニオンアニマル栄養の分野における公認の又は法的資格を有する専門家の推奨に基づき、当該食品の受容者又は摂取者用の公知の必要栄養素を全て、適切な量及び割合で含有するものである。したがって、そのような食品は、補助的な栄養源を加えることなく、生命を維持し、又は繁殖を促進するための単独の食餌摂取源として供給することが可能である。この用語には、任意の食品、飼料、スナック、栄養補助食品、おやつ、代用食又は置換食が含まれ、ヒト用であるか別の動物用であるかを問わず、固形物、液体、ゲルなどを含めた任意の形態であってもよい。そのような食品は、コンパニオンアニマル用である場合、イヌ及び/又はネコ用のキブルタイプの食品など押出し型のペットフードの形態であることが多い。
【0029】
[0029]用語「栄養補助食品(dietary supplement)」は、普通の動物の食事に追加して摂取されることを意図した製品を意味する。栄養補助食品は、例えば、固形物、液体、ゲル、錠剤、カプセル、粉末など任意の形態であってもよい。好ましくは、このような製品は、便利な剤形で提供される。いくつかの実施形態では、このような製品は、大量の粉末、液体、ゲル又は油など消費者用の大量包装で提供される。他の実施形態では、栄養補助食品は、スナック、おやつ、栄養補助バー、飲料など他の食品アイテムの中に含めるようにバルク量で提供される。嗜好性向上用組成物は、食品の嗜好性を改善するために使用されるのと同じ様式で、栄養補助食品の嗜好性を改善するために使用できる。
【0030】
[0030]用語「併せて」は、本明細書に記載の、食品組成物、栄養補助食品又は医薬などの食用組成物の嗜好性を向上させるための組成物(嗜好性向上剤)と、嗜好性が向上されるべき食品組成物又は医薬とが、(1)食品組成物、栄養補助食品若しくは医薬の中で一緒に、又は(2)別々に、同じ又は異なる頻度で、同じ又は異なる投与経路を用い、ほぼ同時又は定期的に、動物に投与されることを意味する。「定期的に」は、特定の向上剤にとって許容される投与スケジュールで、当該剤が投与されること、及び食品、栄養補助食品又は医薬が、動物に対し、当該特定の動物にとって適切なように日常的に提供されることを意味する。「ほぼ同時」は、食品、栄養補助食品又は医薬及び向上剤が、同時又は互いに約72時間以内に投与されることを一般に意味する。「併せて」には、所定の、既定の又は所望の期間にわたって向上剤が投与され、嗜好性を向上されるべき食品、栄養補助食品又は医薬の提供の前、間又は後の決まった時間枠、例えば、当該動物の普通の給餌時間、栄養補給時間又は医薬投与時間の開始前及び完了後約0〜240分の間である時間枠内に、本明細書で開示する組成物が投与される投与スキームが具体的に含まれる。
【0031】
[0031]用語「単一パッケージ」は、キットの構成要素が、1つ若しくは複数の容器の中で、又はその容器と一緒に物理的に結び付いており、製造、流通、販売又は使用のための単位とみなされることを意味する。容器としては、任意の種類又はデザイン又は材料の、袋、箱、ボール箱、瓶、パッケージ;オーバーラップ、シュリンクラップ、ステープル止め又は他の方法で添付された構成要素又はその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。単一パッケージは、製造、流通、販売又は使用のための単位とみなされるように物理的に結び付けられた、嗜好性向上剤及び食品組成物の個別容器であってもよい。
【0032】
[0032]用語「仮想パッケージ」は、キットの構成要素に、他の構成要素の入手の仕方を使用者に指示する1つ又は複数の物理的又は仮想的なキットの構成要素についての手引きが付いていること、例えば、袋又は他の容器に、1つの構成要素と、ウェブサイトへのアクセスの仕方、録音メッセージ若しくはファックス返信サービスへの連絡の仕方、画像メッセージの見方、又は、看護者若しくは指導者に連絡をとり、例えば、キットの使い方、又はキットの1つ若しくは複数の構成要素についての安全若しくは技術情報についての指導を受ける方法を使用者に指示する案内とが入っていることを意味する。仮想キットの一部として提供できる情報の例としては、使用についての説明;材料の安全データシートなどの安全情報;中毒管理情報;有害反応の可能性についての情報;臨床試験結果;食品組成又はカロリー組成などの食事情報;食餌中の嗜好性の改善、若しくはその必要のある動物の食欲増進についての一般情報;栄養素摂取の減少若しくは不適切な栄養素摂取により生じる健康上の結果;又は、栄養について若しくは最適栄養の実現についての一般情報;栄養及び食欲に関する自己管理;栄養上の難題、及び体重の減少、消耗など、若しくは他の食欲減退の難題を引き起こす疾患を有する動物を看護する者のための看護者情報;経口投与される栄養補助食品若しくは医薬の忍容性の改善、並びに本明細書に記載の組成物、例えば嗜好性向上剤についての使用、利点、及び副作用の可能性若しくは禁忌(あれば)が挙げられる。
【0033】
[0033]本明細書に示す全ての比率(%)は、他に具体的に記載がない限り、乾燥物質基準での組成物の重量比である。用語「乾燥物質基準」は、自由水を除去した後で組成物中のある原料の濃度若しくは比率(%)が測定されたか、又は組成物中の全ての自由水分の全重量を引いた後で当該組成物の重量を基準にして定量されたことを意味することは、当業者には理解されよう。
【0034】
[0034]全体を通して使用されるように、本明細書に記載の範囲は、その範囲内のありとあらゆる値を冗長に示し記載しなくても済むように省略表現で示してある。当該範囲内の全ての適切な値を適宜、その範囲の上限値、下限値又は限界として選択できる。例えば、0.1〜1.0という範囲は、0.1及び1.0という末端の値と同時に、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9という中間値、及び0.2〜0.5、0.2〜0.8、0.7〜1.0など0.1〜1.0内に包含される全ての中間範囲を表す。
【0035】
[0035]本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、そうではない旨が文脈により明確に述べられていない限り、単語の単数形には複数形が含まれ、その逆も同じである。したがって、「a」、「an」及び「the」と言う場合には、それぞれの用語の複数形が総じて含まれる。例えば、「界面活性剤(a surfactant)」、「方法(a method)」又は「食品(a food)」と言う場合は、複数の当該「界面活性剤」、「方法」又は「食品」が含まれる。同様に、単語「〜を含む(comprise)」、「〜を含む(comprises)」及び「〜を含む(comprising)」は、排他的ではなく包括的に解釈されたい。同様に、用語「〜を包含する/含む(include)」、「〜を含め/〜など(including)」及び「或いは/又は/若しくは(or)」は、そのような構成が文脈から明確に不可能である場合を除き、全て、包括的なものととらえられるべきである。本明細書で使用する場合、用語「例」は、とりわけ、その後に用語が列挙される場合は、単に例示的及び例証的なものであり、排他的又は網羅的なものとみなされるべきではない。
【0036】
[0036]本明細書で開示される方法及び組成物及び他の利点は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコール及び試薬に限定されるものではなく、その理由は、当業者には理解されるであろうが、そうしたものは変化する可能性があるからである。さらに、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであって、開示又は請求される内容の範囲の限定を意図したものでも、そうした範囲を限定するものでもない。
【0037】
[0037]別に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語、専門用語及び頭字語は、本発明の(1つ又は複数の)技術分野において、又は当該用語が使用される(1つ又は複数の)技術分野において当業者が普通に理解する意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の一切の組成物、方法、製造物又は他の手段又は材料を本発明の実行において使用できるが、本明細書には、好ましい組成物、方法、製造物又は他の手段又は材料を記載する。
【0038】
[0038]本明細書で引用又は参照される全ての特許、特許出願、出版物、技術的及び/又は学術的な論文並びに他の参考文献は、法により認められる範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そうした参考文献の考察は、当該文献においてなされている主張の要約を意図して行うにすぎない。そのような一切の特許、特許出願、出版物若しくは参考文献又はその任意の部分は、関連のある、重要な又は先行する技術であるとは認められない。関連のある、重要な又は先行する技術としてのそのような特許、特許出願、出版物及び他の参考文献の一切の主張の正確性及び妥当性に異議申し立てする権利は明確に確保される。
【0039】
本発明
[0039]一態様では、本発明は、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性の向上に有用な嗜好性向上剤を提供する。この嗜好性向上剤は、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を、食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む。本発明は、界面活性剤を動物分解物に加えると、動物分解物及び動物分解物を含む食用組成物の嗜好性が増すという驚くべき発見に基づく。
【0040】
[0040]一般に、嗜好性を向上させる組成物、化合物又は他の材料を、本明細書及び当技術分野では「嗜好性向上剤(palatability enhancers)」、「嗜好性向上物質(palatability enhancing agents)」、「嗜好性物質(palatability agents)」などと呼ぶ。嗜好性向上剤は「フレーバー向上剤」とは異なるが、それは、後者が、食欲をそそる(又は旨味)食品のみで通常用いられ、好ましくはそれ自体のいかなるフレーバーも加えないという点においてである。本発明の嗜好性向上剤は、嗜好性に寄与する食用組成物の任意の特性に影響することにより嗜好性を向上させる。多様な実施形態では、この嗜好性向上剤は、食用組成物のアロマ、フレーバー、食感、口当たり、満腹感又は嗜好性の他の側面を向上させることにより、嗜好性を向上させる。いくつかの実施形態では、嗜好性向上剤は、そうしなければ食用組成物の嗜好性の低さの一因となると考えられるフレーバー、アロマ又は他の特性を少なくとも部分的に隠蔽する。
【0041】
[0041]界面活性剤は、動物分解物と適合し、動物分解物と組み合わせた際に嗜好性を向上させる、当業者に公知の任意の界面活性剤であってもよい。好ましい実施形態では、この嗜好性向上剤は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。この非イオン性界面活性剤は、任意の非イオン性界面活性剤であってもよい。好ましくは、この非イオン性界面活性剤は、アルキルポリ(エチレンオキシド);ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)とのコポリマー;アルキルグルコシド又はポリグルコシド;脂肪アルコール;コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン又はコカミドトリエタノールアミン、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリル脂肪酸エステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油又は水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、又はポリオキシエチレンラノリン、ラノリンアルコール若しくは蜜蝋誘導体を含む。
【0042】
[0042]非イオン性のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む嗜好性向上剤は、驚くべきことに、嗜好性の増加又は向上に有効である。実施例において示すように、動物は、非イオン性のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む嗜好性向上剤を加えた食品を、嗜好性向上剤を含まない対照と比較して3:1を超える好みで摂取した。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、例えば、ツイーン20、ツイーン40、ツイーン60及びツイーン80(それぞれ、モノラウリン酸エステル、モノパルミチン酸エステル、モノステアリン酸エステル及びモノオレイン酸エステルである)などのツイーン製品として市販されている。
【0043】
[0043]好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸モノオレエート又はツイーン80調合物である。
【0044】
[0044]動物分解物は、界面活性剤と適合し、界面活性剤と組み合わせた際に嗜好性を向上させる、当業者に公知の任意の動物分解物であってもよい。好ましい実施形態では、動物分解物は、牛肉、豚肉、鳥肉、子羊肉、魚又はその任意の組合せを含む。実施形態によっては、例えば、内容物を一切含まない内臓など、動物の未精製部位から実質的に作られた動物分解物が含まれる。一実施形態では、動物分解物は、鳥肉及び/又は豚肉の分解物を含む。異なる動物は異なる動物分解物を他のものより嗜好性が高いと感じる場合があることから、異なる動物には異なる動物分解物が好ましい場合があることは、当業者には理解されよう。さらに、当業者には理解されるであろうが、例えば、異なる動物分解物を使用するか又は動物分解物の量、供給源若しくは組成を変えることで嗜好性向上剤を変化させることにより、ベースの食品組成又は調合が比較的変わらないままであっても、より食餌の多様性を動物に認知させることができる。
【0045】
[0045]この嗜好性向上剤は、約0.05%〜約10%の界面活性剤及び約90%〜約99.95%の動物分解物を一般に含む。多様な実施形態では、界面活性剤は、約0.05%〜5%の嗜好性向上剤及び約95%〜約99.95%の動物分解物、好ましくは約0.1%〜3%の界面活性剤及び約97%〜約99.9%の動物分解物、より好ましくは約0.25%〜約1%の界面活性剤及び約99%〜約99.75%の動物分解物を含む。
【0046】
[0046]多様な実施形態では、この嗜好性向上剤は、食品、栄養補助食品又は医薬などの食用組成物の嗜好性を向上させる1つ又は複数の添加成分をさらに含む。そのような成分の例としては、食品に適した酸、酸性化剤又はその塩、塩(例えば、NaCl若しくはKCl)、甘味剤、食用脂肪、フレーバーを向上させるアミノ酸(例えばグルタミン酸)又はその誘導体若しくは塩、フレーバーを向上させるヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド又はその誘導体若しくは塩が挙げられる。嗜好性を向上させることができる添加成分としては、食品、栄養補助食品又は医薬の他の特性、例えば、食感、固さ、口当たり、後味、融点他を変化させる成分が挙げられる。
【0047】
[0047]食品に適した又は食品用の任意の酸又はその塩(特に、ナトリウム塩、カルシウム塩若しくはカリウム塩)若しくは誘導体を、本発明において提供する嗜好性向上用組成物と併せて使用することができる。多様な脂肪酸、クエン酸回路の酸、糖酸及びケト酸などの有機酸を含めた酸は全て、嗜好性向上用組成物に加えることができる。多様な実施形態では、この組成物は、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、カプリン酸、カプロン酸、酪酸、ヘキサミン酸、酒石酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルクロン酸、グアニル酸、イノシン酸、コウジ酸及びイタコン酸など1つ又は複数の有機酸を含む。リン酸並びにその塩及び誘導体、同様に重硫酸ナトリウム、ピロリン酸、トリポリリン酸及びヘキサポリリン酸も有用である。
【0048】
[0048]別の態様では、本発明は、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は嗜好性の向上している他の食用材料などの食用組成物を提供する。この食用組成物は、動物による摂取に適した1つ又は複数の成分と、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を当該食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む少なくとも1つの嗜好性向上剤とを含む。嗜好性向上剤中の動物分解物及び界面活性剤は、界面活性剤が約0.05%〜約10%、動物分解物が約90%〜約99.95%の量で存在する。多様な実施形態では、この界面活性剤は、嗜好性向上剤の約0.05%〜5%、好ましくは約0.1%〜3%、より好ましくは約0.25%〜約1%を含み、残りは動物分解物及び他の任意選択成分である。この食用組成物は、組成物によっては、約0.001%〜約90%、好ましくは約0.05%〜50%、より好ましくは約0.1%〜30%、最も好ましくは約1%〜約10%の嗜好性向上剤を含む。例えば、食品組成物においては、この食用組成物は約10%の嗜好性向上剤を含む場合があるが、栄養補助食品、とりわけあまり嗜好性の高くないものにおいては、この食用組成物は90%の嗜好性向上剤を含む場合がある。
【0049】
[0049]別の態様では、本発明は、1つ又は複数の食用食品成分と、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を当該食品組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む嗜好性向上剤とを含む食品組成物を提供する。好ましくは、この界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0050】
[0050]多様な実施形態では、この食品組成物は、約0.001%〜約10%の嗜好性向上剤を含む。一実施形態では、この組成物は、約0.05%〜5%、より好ましくは約0.1%〜3%、最も好ましくは約0.25%〜約1%の嗜好性向上剤を含む。この嗜好性向上剤を食品組成物に表面施用として、例えばコーティングとして施用する場合、同程度の嗜好性向上を達成するために必要な嗜好性向上剤の濃度はもっと低くてもよい。
【0051】
[0051]この食品組成物の好ましい一実施形態では、嗜好性向上剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む。一実施形態では、この嗜好性向上剤は局所施用される。
【0052】
[0052]別の態様では、本発明は、コンパニオンアニマルによる摂取に適した押出し型の食品組成物を提供する。この押出し型の食品組成物は、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上剤を含む。好ましくは、この組成物は、10%未満の水分(又は水)含有量、例えば、10%、9%、8%、7%、6%又はさらには5%又はそれを下回る水分を含む。他の実施形態では、押出し型の食品の含水量は、5%未満、4%未満又は3%未満であるが、又他の実施形態では、この組成物は、2.5%未満、又はさらには2%又は1%又はそれを下回る水分である。そのような組成物は、常温保存可能であり商業用に乾燥したものである。好ましくは、押出し型の食品組成物は、細菌及びカビによる劣化への耐性があるが、その理由は、含水量及び水の活性が低すぎてそのような生物の成長を支えることができないからである。一実施形態では、押出し型の組成物は、キブル(粗挽き粒)、とりわけ、イヌ又はネコなどのイヌ科又はネコ科の動物による摂取に適したキブルの形態である。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0053】
[0053]この嗜好性向上剤は、内容物の動物分解物を、ターゲットとなるコンパニオンアニマルの好みに合わせることにより対象としたコンパニオンアニマルの少なくとも1つの感覚に訴えるように構成される。例えば、イヌをターゲットにした動物分解物は、牛肉、豚肉、鳥肉、子羊肉又はその組合せを優先的に含んでよく、ネコをターゲットにした動物分解物は、鳥肉、魚又はその組合せを優先的に含んでよい。
【0054】
[0054]別の態様では、本発明は、少なくとも1つの活性成分、例えば、栄養素又は活性医薬成分と、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上用組成物とを含む栄養補助食品又は医薬を提供する。現時点で好ましいのは、獣医用途を意図した食事性調合物又は医薬である。栄養補助食品及び医薬の中には投与が難しいものがあるが、その理由は、コンパニオンアニマルなどの動物が、栄養補助食品又は医薬を好まず、容易に摂取しようとしないからである。動物の健康に決定的に重要な栄養補助食品又は医薬の場合、予定された用量又は治療を受けることができないと、問題が生じ、又は健康が脅かされ又はさらには生命が脅かされることになりかねない。この問題を克服するために、本発明の嗜好性向上剤は、栄養補助食品又は医薬と併せて投与できる。いくつかの実施形態では、この嗜好性向上剤は、コーティング又は他の局所施用として提供される。他の実施形態では、この嗜好性向上剤は、多量の栄養補助食品又は医薬と混合される。嗜好性向上剤の組成は、医薬の栄養補助食品のアロマ、味、及び顕著な望ましくない特性(例えば、フレーバー、アロマの低下)一切を含めた他の性質、並びに当該製品が対象とする動物の嗜好性の好み又は推測される嗜好性の好みを考慮して構成できる。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0055】
[0055]別の態様では、本発明は、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性を向上させる方法を提供する。この方法は、食用組成物を、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む有効量の嗜好性向上剤と合わせることを含む。この嗜好性向上剤中の動物分解物及び界面活性剤は、界面活性剤が約0.05%〜約10%、動物分解物が約90%〜約99.95%の量で存在する。多様な実施形態では、界面活性剤は、約0.05%〜5%、好ましくは約0.1%〜3%、より好ましくは約0.25%〜約1%の嗜好性向上剤を含み、残りは動物分解物及び他の任意選択成分である。この食用組成物は、特定の組成物によっては、約0.001%〜約90%、好ましくは約0.05%〜50%、より好ましくは約0.1%〜30%、最も好ましくは約1%〜約10%の嗜好性向上剤を含む。
【0056】
[0056]この嗜好性向上剤は、最初の製造工程の前、間又は後に、数々の任意の方式で食用組成物と組み合わせることができる。一実施形態では、この組み合わせる工程は、最初に製造された食用組成物に嗜好性向上剤を局所施用することを含む。局所施用は、吹付け、エンロービング、浸漬、及び液体、乾燥又は粉末コーティングなどを含め当技術分野で公知の多様な方式により達成できる。いくつかの実施形態では、施用の容易さ、及び食品組成物、栄養補助食品又は医薬などの食用組成物への多様な施用が可能であることから、コーティング又は他の表面若しくは局所処理が好ましい。さらに、いくつかの実施形態では、動物分解物及び界面活性剤の嗜好性向上特性を最大化するために、コーティング又は表面施用という近接性が有利である。食用組成物のバルク相で混合するのではなく、嗜好性向上剤を、味蕾、嗅覚組織など動物の感覚系と最大に相互作用できる表面に集中させる。好ましくは、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0057】
[0057]一実施形態では、この方法は、押出し工程をさらに含む。多様な実施形態では、押出し工程は、組み合わせる工程の前、間又は同時に行われる。一定の実施形態では、押出し工程は、食品組成物又は栄養補助食品で用いられる。例えば、食品を押し出すことができてから、押し出された食品を、コーティング又は表面施用の形態などで後から嗜好性向上剤と組み合わせてもよい。
【0058】
[0058]別の態様では、本発明は、嗜好性向上剤を製造する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で組み合わせる工程を一般に含む。一実施形態では、この方法は、動物分解物及び界面活性剤を乳化するさらなる工程を含む。この乳化工程は、エマルションを作製するための当技術分野で公知の任意の手法を採用できる。嗜好性向上剤は、製造してそのまま使用してもよく、又は、さらに乾燥させて、一定の実施形態用に一切の余分な水分を除去してもよい。コーティングにおけるむらのない被覆又は他の局所施用を可能にするために、粘稠性及び固形物濃度を調節及び標準化してもよい。動物分解物及び界面活性剤は、界面活性剤が約0.05%〜約10%、分解物が約90%〜約99.95%の量で組み合わせる。多様な実施形態では、界面活性剤は、嗜好性向上剤の約0.05%〜5%、好ましくは約0.1%〜3%、より好ましくは約0.25%〜約1%を含み、残りは動物分解物及び他の任意選択成分である。好ましくは、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
【0059】
[0059]さらなる一態様では、本発明は、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性の向上に適したキットを提供する。このキットは、単一のパッケージに入った別の容器又は仮想パッケージの中に、キットの構成要素に適したものとして、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む嗜好性向上剤と、(1)1つ又は複数の食用食品成分、(2)嗜好性を向上させるための嗜好性向上剤についての情報又はその使用のための説明を伝達する手段、(3)嗜好性向上剤を食用組成物と混合するための手段、(4)1つ又は複数の栄養補助食品、及び(5)医薬のうち少なくとも1つを備える。嗜好性向上剤を食用組成物と混合するための手段は、嗜好性向上剤を食品組成物、栄養補助食品又は医薬と混合するのに適した簡単な容器又は混合用具であってもよい。混合用の手段は、食品組成物、栄養補助食品又は医薬に嗜好性向上剤を施用又はコーティングするのに適した器具、例えば、嗜好性向上剤の粉末状、乾燥状、湿り気のある又は液状の調合物を食用組成物の表面に施用するためのスプレー瓶、噴霧器又は他の低圧施用器具を備えてもよい。
【0060】
[0060]別の実施形態では、このキットは、動物の嗜好性を向上させ又は食欲を増進させるための1つ又は複数の作用剤、追加の組成物又は医薬と、嗜好性向上剤と併せて当該作用剤、追加の組成物又は医薬を使用するためのさらなる説明書とをさらに備える。
【0061】
[0061]別の態様では、本発明は、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上剤、例えば、本明細書に記載のような嗜好性向上剤についての情報又はその使用のための説明を伝達する手段を提供する。この情報又は説明は、(1)嗜好性向上剤を、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料と併せて動物に投与するための説明、(2)食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料の嗜好性を向上させるために嗜好性向上剤を使用する1つ又は複数の方法についての説明、(3)組成物の使用を含め、嗜好性が向上している食品を必要とする動物、又は、疾患若しくは他の健康状態により食欲が低下している動物への適正な栄養供給についての情報、(4)嗜好性及び食欲についての情報、(5)栄養不足がもたらす身体的、細胞的及び生化学的な結果、食欲減退の原因となる状態若しくは消耗性疾患、或いは、そうした結果、状態若しくは疾患からの回復又はその予防若しくは治療に関する情報、(6)嗜好性向上剤に関する比較情報又は試験結果、或いは(7)食用組成物の嗜好性を向上させるための本発明のキットの使用のうち1つ又は複数についてのものである。伝達する手段は、情報又は説明の入った、物質的又は電子的な文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、音声説明、音声画像ディスプレイ又は画像ディスプレイを備える。
【0062】
[0062]多様な好ましい実施形態では、この手段は、ウェブサイト表示、画像ディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、パッケージ挿入物、広告、チラシ、公共放送、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピューター可読チップ、コンピューター可読カード、コンピューター可読ディスク、USBデバイス、FireWireデバイス、コンピューターメモリー及びその任意の組合せのいずれかを備える。
【0063】
[0063]別の態様では、本発明は、少なくとも1つの動物分解物及び非イオン性界面活性剤など少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上剤を備えるパッケージを提供する。このパッケージには、この嗜好性向上剤が、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物の嗜好性の向上に有用であることを表示する、単語若しくは言葉、画像、デザイン、ロゴ、図、記号、頭字語、標語、語句若しくは他の意匠又はそれらの組合せが、直接パッケージ上、又はパッケージに添付されたラベル上のいずれかに入っている。
【0064】
[0064]一実施形態では、このパッケージは、本発明の嗜好性向上剤と、パッケージの中には「嗜好性の向上した」又は「食欲を刺激できる」「摂取量が増える」、「食欲減退の克服に役立つ」、「好ましい嗜好性調合物である」嗜好性向上剤が入っていることを表示する、単語若しくは言葉、画像、デザイン、頭字語、標語、語句若しくは他の意匠又はそれらの組合せの入った、パッケージに添付されたラベル、又はパッケージに印刷された同等表現とを備える。別の実施形態では、このパッケージは、嗜好性が向上している、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料などの食用組成物を備える。この食用組成物は、動物による摂取に適した1つ又は複数の成分と、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を当該食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む少なくとも1つの嗜好性向上剤とを備える。本発明においては、この組成物を入れるのに適した任意のパッケージ又はパッケージ材、例えば、紙、プラスチック、フォイル、金属などから製造された袋、箱、瓶、缶、ポーチなどが有用である。好ましい一実施形態では、パッケージには、ラベルに表示するのに適切なように、ヒト、イヌ科又はネコ科の動物など特定の動物用に構成された食品組成物、好ましくはコンパニオンアニマル用食品組成物が入っている。
【実施例】
【0065】
[0065]本発明は、以下の実施例によりさらに例証できるが、この実施例は例証の目的で含めたものであるにすぎず、他に具体的に示されない限り本発明の範囲を限定することを意図したものでないことは理解されよう。
【0066】
実施例1
[0066]嗜好性を増加させるようにデザインされた異なる量の組成物を含有する食品組成物を試験して、相対的な嗜好性を定量した。嗜好性向上用組成物を作製するために、非イオン性界面活性剤ツイーン80を、表1に示す量で動物分解物(家禽の内臓の加水分解産物)と混合した。対照は、ツイーンを一切含有しない組成物を使用した。吹付けコーティングにより、各嗜好性向上用組成物を別々のバッチの乾燥ドッグフード組成物に施用した。この組成物を施用して、およそ0.25%及び0.5%の嗜好性向上用組成物を含有する食品組成物を製造した。
【0067】
[0067]この食品組成物をイヌのパネルに与え、食品に対する好みを観察及び計算した。約20匹のイヌからなるパネルで、動物を試験した。試験した動物は、品種、年齢、性別、体重及び体組成が同様であった。使用した品種は、以下のとおりであった:大型犬(ジャーマンシェパード、ラブラドールレトリーバー)、中型犬(ブリタニースパニエル、ビーグル、フォックステリア)及び小型犬(キャバリアキングチャールズ、ケアーンテリア)。試験は、屋内のイヌ用飼育場内で実施した。温度は最低でも15℃に維持した。30分間、食品組成物を自由に摂らせた。食品摂取量は、イヌの栄養必要量を満たすのに十分であった。水道水も自由に摂らせた。
【0068】
[0068]実験は、2種類の異なる食品組成物が各動物に同時に提示される、対応のある比較検定を用いてデザインした。一方の組成物がボウル「A」に入った状態で、他方はボウル「B」に入った状態で提示される、2ボウルシステム(ボウル「A」及び「B」)を用いた。
【0069】
[0069]各イヌについて、差:Win−Wout(式中、Winは与えられた食品の総重量であり、Woutは残った(摂取されていない)食品の総重量である)により総食品摂取量(g)を計算した。ボウルA及びBに入った組成物のそれぞれの摂取量(g)を各イヌについて個別に定量するための測定も実施した。Bに対するAの好みは、以下のような食品の全摂取量から計算した組成物Aの計算摂取率(%)で表した:A(%)=A/(A+B)(式中、Aは摂取された組成物Aの重量(g)であり、Bは摂取された組成物Bの重量(g)である)。対応のあるt検定を用いて、組成物AのBに対する実際の摂取(すなわちA(%))と、「好みなし」(すなわち50%)又はランダムレベルとの間の結果を統計的に比較した。結果を表1に示す。
【0070】
[0070]表1を参照すると、結果から、非イオン性界面活性剤を含有する食品組成物の方が、界面活性剤を含有しない対照組成物より好ましい(したがって、より嗜好性が高い)ことが示される。試験に用いたイヌは、界面活性剤を含有する乾燥ドッグフード組成物の方を、界面活性剤を含有しない対照の乾燥ドッグフード組成物より3:1を上回る比率で好んだ。
【表1】

【0071】
実施例2
[0071]動物、好ましくはコンパニオンアニマル用の栄養補助食品を、好ましくは丸剤又はカプレット又は液体調合物の形態で製造する。本明細書に記載のような1つ又は複数の嗜好性向上用組成物を製造し、約0.05%〜約5%でのコーティングとして栄養補助食品に加えるか、又は組成物全体の約0.05〜5%で液体若しくは他の調合物に加える。この栄養補助食品を、嗜好性向上用組成物を一切加えずに調合した対照の栄養補助食品との並列比較で、1匹又は複数の動物に与える。結果から、動物は、(1つ又は複数の)嗜好性向上剤を含む栄養補助食品に対する明確な好みを有することが示される。
【0072】
実施例3
[0072]動物、好ましくはコンパニオンアニマル用の医薬を、好ましくは、丸剤又はカプレット又は液体調合物の形態で製造する。本明細書に記載のような1つ又は複数の嗜好性向上用組成物を製造し、約0.05%〜約5%でのコーティングとして医薬に加えるか、又は組成物全体の約0.05〜5%で液体若しくは他の調合物に加える。この医薬を、(1つ又は複数の)対照実験において、1匹又は複数の動物に与え、嗜好性向上用組成物を一切加えずに調合した対照医薬との比較した当該医薬に対する好みを試験した。結果から、動物は、(1つ又は複数の)嗜好性向上剤でコーティングされるか又はそれを含む医薬に対する明確な好みを有することが示される。
【0073】
[0073]本明細書においては、本発明の典型的な好ましい実施形態が開示されている。具体的な用語を用いてはいても、そうした用語は、限定を目的としてではなく、一般的及び説明的な意味でのみ使用されている。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載する。前述の教示に照らせば、本発明の多くの改変形及び変形が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内で、本発明は、具体的に記載されたとおりではなく別の方法で実行できることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む嗜好性向上剤。
【請求項2】
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の嗜好性向上剤。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤が、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)とのコポリマー、アルキルグルコシド又はポリグルコシド、脂肪アルコール、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン又はコカミドトリエタノールアミン、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリル脂肪酸エステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油又は水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、又はポリオキシエチレンラノリン、ラノリンアルコール若しくは蜜蝋誘導体を含む、請求項2に記載の嗜好性向上剤。
【請求項4】
非イオン性のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、請求項1に記載の嗜好性向上剤。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸モノオレエートである、請求項4に記載の嗜好性向上剤。
【請求項6】
前記動物分解物が、牛肉、豚肉、鳥肉、子羊肉、魚又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の嗜好性向上剤。
【請求項7】
約0.05%〜10%の界面活性剤及び約90%〜約99.95%の動物分解物を含む、請求項1に記載の嗜好性向上剤。
【請求項8】
食用の酸又は酸性化剤、甘味剤、食用脂肪、アミノ酸又はその誘導体又はその塩、塩、ヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド又はその誘導体又はその塩のうち、1つ又は複数をさらに含む、請求項1に記載の嗜好性向上剤。
【請求項9】
前記食用の酸又は酸性化剤が、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、カプリン酸、カプロン酸、酪酸、ヘキサミン酸、酒石酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルクロン酸、グアニル酸、イノシン酸、コウジ酸、イタコン酸、リン酸、重硫酸ナトリウム、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサポリリン酸、並びにその塩及び誘導体並びに前記の組合せのうち1つ又は複数を含む、請求項8に記載の嗜好性向上剤。
【請求項10】
動物による摂取に適した1つ又は複数の成分と少なくとも1つの嗜好性向上剤とを含む食用組成物であって、前記嗜好性向上剤が、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を前記食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む食用組成物。
【請求項11】
前記嗜好性向上剤が、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記動物分解物が、牛肉、豚肉、鳥肉、子羊肉、魚又はそれらの任意の組合せを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記嗜好性向上剤が、約0.05%〜10%の界面活性剤及び約90%〜約99.95%の動物分解物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
約0.001%〜約90%の嗜好性向上剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
食品組成物、栄養補助食品又は医薬である、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
食用組成物を、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む有効量の嗜好性向上剤と組み合わせる工程を含む、食用組成物の嗜好性を向上させる方法。
【請求項17】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
押出し工程をさらに含む、請求項16に記載の方法であって、前記押出し工程は、前記組み合わせる工程の前、間又は同時に行う、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記組み合わせる工程が前記嗜好性向上剤の局所施用を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記局所施用が吹付け又は粉末コーティングを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1つ又は複数の食用食品成分と嗜好性向上剤とを含む食品組成物であって、前記嗜好性向上剤が、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を前記食品組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む食品組成物。
【請求項22】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
約0.05%〜約10%の嗜好性向上剤を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記嗜好性向上剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記嗜好性向上剤が局所施用される、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
動物分解物及び界面活性剤を含む嗜好性向上剤を含む押出し型のコンパニオンアニマル用食品組成物。
【請求項27】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
10%未満の含水量を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
キブルの形態の、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記嗜好性向上剤が、前記動物分解物を変化させることにより、対象とするコンパニオンアニマルの少なくとも1つの感覚に訴えるように構成される、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1つの動物分解物が、量、供給源又は組成において変化している、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で組み合わせる工程を含む、嗜好性向上剤を製造する方法。
【請求項33】
前記動物分解物及び前記界面活性剤を乳化する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記動物分解物及び界面活性剤を組み合わせて、約0.05%〜10%の界面活性剤及び約90%〜約99.95%の動物分解物を含む嗜好性向上剤を製造する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
食用組成物の嗜好性の向上に適したキットであって、単一のパッケージに入った別の容器又は仮想パッケージの中に、前記キットの構成要素に適したものとして、少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を食用組成物の嗜好性の向上に有効な量で含む嗜好性向上剤と、(1)1つ又は複数の食用食品成分、(2)嗜好性を向上させるための前記嗜好性向上剤についての情報又はその使用のための説明を伝達する手段、(3)前記嗜好性向上剤を食用組成物と混合するための手段、(4)1つ又は複数の栄養補助食品、及び(5)医薬のうち、少なくとも1つとを備えるキット。
【請求項37】
食品、栄養補助食品又は医薬の嗜好性を向上させるため、又はその必要がある動物の食欲を増進させるための1つ又は複数の作用剤、追加の組成物又は医薬と、食品、栄養補助食品又は医薬の嗜好性を向上させるために前記組成物と併せて前記作用剤、追加の組成物又は医薬を使用するためのさらなる説明書とをさらに備える、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上剤についての情報又はその使用のための説明を伝達する手段であって、前記情報又は前記説明が、(1)前記嗜好性向上剤を、食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料と併せて動物に投与するための説明、(2)食品組成物、栄養補助食品、医薬又は他の食用材料の嗜好性を向上させるために前記嗜好性向上剤を使用する1つ又は複数の方法についての説明、(3)前記組成物の使用を含め、嗜好性が向上している食品を必要とする動物、又は、疾患若しくは他の健康状態により食欲が低下している動物への適正な栄養供給についての情報、(4)嗜好性及び食欲についての情報、(5)栄養不足がもたらす身体的、細胞的及び生化学的な結果、食欲減退の原因となる状態、若しくは消耗性疾患、或いは、そうした結果、状態若しくは疾患からの回復又はその予防若しくは治療に関する情報、(6)前記嗜好性向上剤に関する比較情報又は試験結果、及び(7)食用組成物の嗜好性を向上させるための本発明のキット、前記情報又は説明の入った、物質的又は電子的な文書、デジタル記憶媒体、光学記憶媒体、音声説明、音声画像ディスプレイ又は画像ディスプレイを備える伝達の手段の使用のうち、1つ又は複数についてのものである手段。
【請求項39】
ウェブサイト表示、画像ディスプレイキオスク、パンフレット、製品ラベル、パッケージ挿入物、広告、チラシ、公共放送、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピューター可読チップ、コンピューター可読カード、コンピューター可読ディスク、USBデバイス、FireWireデバイス、コンピューターメモリー及びその任意の組合せからなる群から選択される、請求項38に記載の手段。
【請求項40】
少なくとも1つの動物分解物及び少なくとも1つの界面活性剤を含む嗜好性向上剤を備えるパッケージであって、前記組成物が食用組成物の嗜好性の向上に有用であることを表示する、単語若しくは言葉、画像、デザイン、ロゴ、図、記号、頭字語、標語、語句若しくは他の意匠又はそれらの組合せが、直接前記パッケージ上、又は前記パッケージに添付されたラベル上のいずれかに入っているパッケージ。

【公表番号】特表2011−524165(P2011−524165A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512453(P2011−512453)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/003195
【国際公開番号】WO2009/148521
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】