噛み合いクラッチ
【課題】本発明の目的は、簡単な構成で変速時間を短縮することができる噛み合いクラッチを提供することにある。
【解決手段】スプラインクラッチは雄スプライン8aまたは8bのスプライン歯をスリーブ(雌スプライン)7aのスプライン溝に嵌挿して雄雌の両スプライン7aと8aまたは8bを嵌合させる。スプラインクラッチであって、雄スプライン8aまたは8bと雌スプライン7aはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されている。雌スプライン7aを雄スプライン8bの方に移動させると、両スプライン7a、8bの嵌合案内歯同士が当接係合するので両スプライン7a、8bが同期状態になる。
【解決手段】スプラインクラッチは雄スプライン8aまたは8bのスプライン歯をスリーブ(雌スプライン)7aのスプライン溝に嵌挿して雄雌の両スプライン7aと8aまたは8bを嵌合させる。スプラインクラッチであって、雄スプライン8aまたは8bと雌スプライン7aはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されている。雌スプライン7aを雄スプライン8bの方に移動させると、両スプライン7a、8bの嵌合案内歯同士が当接係合するので両スプライン7a、8bが同期状態になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車、大型特殊作業車両などの伝達トルクの大きい変速機に用いて好適なスプライン結合の噛み合いクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に噛み合いクラッチは、ドッグクラッチ、爪クラッチと呼称され、一度結合したら結合状態を維持するのに油圧のような動力を必要としないので、入力トルクを損失無く出力側に伝達することができる。このような理由からマニュアル変速機、さらにはロボタイズドマニュアルと呼ばれる自動化マニュアル変速機に使用されている。
【0003】
良く知られているように、噛み合いクラッチにはスプラインクラッチとドッグクラッチとがある。スプラインクラッチは雄スプラインのスプライン歯を雌スプラインのスプライン溝に嵌合して雄雌の両スプラインのスプライン歯同士を噛み合わせるものであり、ドッグクラッチは歯車とスリーブ(回転軸に軸方向へ移動自在に装着固定されている)の対向側面にそれぞれ複数のドッグ歯(突歯)を周方向に設け、ドッグ歯同士を噛み合わせてトルクを伝達するものである。
【0004】
スプラインクラッチは公知例を挙げるまでもなく良く知られており、ドッグクラッチは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。特許文献1には、歯車とスリーブに設けたドッグ歯の長さをドッグ歯の1個おきに大きくして噛み込み易くし、素早く変速させるということも記載されている。
【0005】
しかしながら、ドッグクラッチはドッグ歯で受け持つ剪断応力に限界があり、伝達トルク容量を大きくするには直径を大きくせざるを得なくなり、大型化するという問題がある。このため、伝達トルク容量の大きい変速機には、スプラインクラッチが多く用いられるようになっている。
【0006】
ところで、スプラインクラッチは雄雌の両スプラインが回転している状態で両スプラインのスプライン歯を相互に相手方のスプラインのスプライン溝に嵌合して結合している。例えば、マニュアル変速機では摩擦クラッチによりエンジンからの動力を切断している間に前段ギアの噛み合いクラッチを開放して、次段ギアの噛み合いクラッチを結合させている。
【0007】
雄雌の両スプラインの結合は、両スプラインの回転速度と位相が等しい状態すなわち同期状態にする必要がある。このため、エンジンを切り離したときに自由回転する軸(例えばカウンターシャフト)にブレーキ装置を設けたり、あるいは噛み合いクラッチにシンクロナイザーと呼ばれる摩擦リングを設けて機械的に同期化している。また、エンジンの回転数を制御して同期化することも行われている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−120723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術は、カウンターシャフトブレーキやシンクロメッシュ機構による摩擦力で同期化したり、エンジンの回転数を制御して同期化しているので、構成が複雑になり、その上、変速時間が大きくなるという問題点を有する。また、摩擦力で同期化すると磨耗するためにメンテナンスを必要とするという実用上の問題もある。
【0010】
本発明の目的は、簡単な構成で変速時間を短縮することができる噛み合いクラッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴とするところは、雄スプラインのスプライン歯を雌スプラインのスプライン溝に嵌挿して雄雌の両スプラインを嵌合させるスプラインクラッチであって、雄スプラインと雌スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されていることにある。
【0012】
換言すると、本発明は、雄雌の両円筒状スプラインにおける所定個数毎のスプライン歯が嵌挿側面側へ軸方向に突出して他のスプライン歯より長く形成され、所定個数毎のスプライン歯の軸方向に突出した部分で嵌合案内歯を形成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は雄雌の両スプラインがスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯を形成されているので、一方のスプラインに推力を加えて移動させると相対速度差により両スプラインの嵌合案内歯同士が当接して係合するので両スプラインを簡単かつ短時間で同期状態にできる。したがって、両スプラインのスプライン歯を相互に相手方のスプラインのスプライン溝に速やかに嵌挿できるので、簡単な構成で変速時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例を図1〜8により説明する。
【0016】
図1は本発明が用いられる一例であるツインクラッチ方式自動変速機の構成図である。図1において、エンジン1の出力軸は変速機2の入力軸3に接続されている。入力軸3には2個の摩擦クラッチ4a、4bが結合できるようになっている。摩擦クラッチ4aは奇数段変速ギア列を備える奇数中間軸(回転軸)5aに接続され、摩擦クラッチ4bは偶数段変速ギア列を備える偶数中間軸(回転軸)5bに接続されている。
【0017】
奇数中間軸5aには1速ギア6a、3速ギア6b、5速ギア6c、および後進ギア6dが回転自在に設置されている。偶数中間軸5bには2速ギア6e、4速ギア6fが回転自在に設置されている。各段の変速ギア6a〜6fはそれぞれに対応する変速出力ギア10a〜10fに噛み合っており、変速出力ギア10a〜10fは出力軸11に固定されている。
【0018】
奇数中間軸5aには1速ギア6aと3速ギア6bを切り替えるために本発明の噛み合いクラッチであるスプラインクラッチが設置されている。奇数中間軸5aには雄スプライン9aが固着されている。雌スプラインのスリーブ7aは奇数中間軸5aに固着した雄スプライン9aに噛み合い、奇数中間軸5aの軸方向に移動自在に設置されている。
【0019】
1速ギア6aにはスリーブ7aと噛み合う雄スプラインの1速ギアスプライン8aが設けられている。同様に、3速ギア6bにはスリーブ7aと噛み合う雄スプラインの3速ギアスプライン8bが設けられている。雄スプライン8a、8bは回転軸5aと同軸的に相対回転可能に設けられている。スリーブ7aは図示しないシフトフォークにより推力を加えられと回転軸5aの左右軸方向に移動して、1速ギア6aの雄スプライン8aまたは3速ギア6bの雄スプライン8bと噛み合うことで、ギア段を切り替えることができる。
【0020】
スプラインクラッチは、回転軸5a、雄スプライン9a、スリーブ(雌スプライン)7aおよび雄スプライン8a、雄スプライン8bで構成される。
【0021】
奇数中間軸5aには、さらに5速ギア6cと後退ギア6dを切り替えるために本発明のスプラインクラッチが設置されており、雄スプライン9b、スリーブ7b、5速ギア6cの雄スプライン8c、後退ギア6dの雄スプライン8dが設けられている。
【0022】
また、偶数中間軸5bには2速ギア6eと4速ギア6fを切り替えるために本発明のスプラインクラッチが設置されており、雄スプライン9c、スリーブ7c、2速ギア6eの雄スプライン8e、4速ギア6fの雄スプライン8fが設けられている。
【0023】
図2は図1の1速ギア6aと3速ギア6bを切り替えるスプラインクラッチの拡大図である。5速ギア6cと後退ギア6dを切り替えるスプラインクラッチおよび2速ギア6eと4速ギア6fを切り替えるスプラインクラッチも同様に構成されている。
【0024】
図3、図4は図2の雄スプライン8a、8b、9aと雌スプライン7aを分解して示した分解図である。図3(a)は雄スプライン8a、8b、9aを示し、図3(b)は雄スプライン8bの左側面図である。また、図4(a)は雌スプライン7aを示し、図4(b)は雌スプライン7aの右側面図である。
【0025】
雄スプライン8bは図5の斜視図に示すように、円筒状に構成され外周面に複数のスプライン歯81およびスプライン溝82が形成されている。スプラインはインボリュートスプラインの例を示している。雄スプライン8bは、スプライン歯81の所定個数毎のスプライン歯81がスリーブ(雌スプライン)7aとの嵌挿側面84の側に突出して形成されている。
【0026】
スプライン歯81の突出部分は円筒状雄スプライン8bの軸方向に突出しており、嵌合案内歯83を形成している。換言すると、円筒状雄スプライン8bは、所定個数毎のスプライン歯81が嵌挿側面側へ軸方向に突出して他のスプライン歯81より長く形成されている。
【0027】
図5は2個置きのスプライン歯81に嵌合案内歯83を形成している例を示している。嵌合案内歯83の長さは2mm程度である。なお、図3(b)では嵌合案内歯83に多数の・印を付し識別し易いように図示している。
【0028】
一方、スリーブ(雌スプライン)7aは図6の斜視図に示すように、円筒状に構成され内周面に複数のスプライン歯71およびスプライン溝72が一体的に形成されている。雌スプライン7aのスプラインもインボリュートスプラインである。雌スプライン7aは、スプライン歯71の所定個数毎のスプライン歯71が雄スプライン8bとの嵌挿側面74の側に突出して形成されている。
【0029】
スプライン歯71の突出部分は円筒状雌スプライン7aの軸方向に突出しており、嵌合案内歯73を形成している。換言すると、円筒状雌スプライン7aは、所定個数毎のスプライン歯71が嵌挿側面側へ軸方向に突出して他のスプライン歯71より長く形成されている。
【0030】
図6は2個置きのスプライン歯71に嵌合案内歯73を形成している例を示している。嵌合案内歯73の長さは雄スプライン8bの嵌合案内歯83と同じ2mm程度である。なお、図4(b)では嵌合案内歯73に多数の・印を付し識別し易いように図示している。
【0031】
雄スプライン8bおよびスリーブ7aの雄スプライン8bとの嵌挿側面側はこのように構成されているが、雄スプライン8aおよびスリーブ7aの雄スプライン8aとの嵌挿側面側も同様に構成されている。また、他のスリーブ7b、7cおよび雄スプライン8c〜8fもスリーブ7aまたは雄スプライン8bと同様に構成されている。
【0032】
本発明のスプラインクラッチはこのように構成されているが、次に図7〜図10を用いて雄スプライン8bと雌スプライン7aを嵌合して結合する挙動を説明する。図7〜図10はスプライン歯とスプライン溝を直線状に模式的に示している。また、図7〜図10の図(a)は溝面から見た平面図で、図(b)は図(a)を側面から見た側面図である。さらに、雄スプライン8bと雌スプライン7aは図の上方に回転移動しており、雄スプライン8bの回転速度が多少速いものとする。
【0033】
図7は雄スプライン8bと雌スプライン7aが最も結合し難いケースで、雌スプライン7aが図示しないシフトフォークにより推力を加えられ,雄スプライン8bの嵌合案内歯83の先端面と雌スプライン7aの嵌合案内歯73の先端面が当接して接触している状態である。なお、雌スプライン7aの嵌合案内歯73と雄スプライン8bの嵌合案内歯83の時系列位置遷移状態が分かるように、雌スプライン7aの嵌合案内歯73に大文字A、B、Cを付し、雄スプライン8bの嵌合案内歯83に小文字a、b、cを付して示している。
【0034】
この状態で雄スプライン8bの方が速く回転しているとすれば、嵌合案内歯73Aは嵌合案内歯83aから滑り落ち、嵌合案内歯73Bは嵌合案内歯83bから滑り落ちる。このとき、滑り落ちた途端に雄スプライン8bと雌スプライン7aを同期結合できる場合もある。しかし、雄スプライン8bと雌スプライン7aの両者の相対速度差が大きいと、ほとんどが図8のように嵌合案内歯73B、73Cは雄スプライン8bのスプライン歯81に接触した状態になり、嵌合案内歯83a、83bは雌スプライン7aのスプライン歯71に接触した状態になる。
【0035】
図8の状態から位相がずれてくると、相対速度差が小さい場合には雄スプライン8bのスプライン歯81が雌スプライン7aのスプライン溝72に入り込んで嵌挿され、同期結合できることもある。しかし、相対速度差が大きいと雄スプライン8bのスプライン歯81が雌スプライン7aのスプライン溝72を通り越して同期結合できない状態になる。
【0036】
図8の状態から位相がずれて図9に示す状態になる。図9は嵌合案内歯83aが嵌合案内歯73Bに、嵌合案内歯83bが嵌合案内歯73Cに当接して係合する。したがって、雄スプライン8bと雌スプライン7aは同期状態になる。雌スプライン7aは回転軸5aの軸方向に推力を加えられているので、雄スプライン8bのスプライン歯81と雌スプライン7aのスプライン歯71が相手方スプライン7a、8bのスプライン溝72、82に嵌挿される。
【0037】
雄スプライン8bのスプライン歯81と雌スプライン7aのスプライン歯71は図10に示すように噛み合い深さLまでに嵌挿される。この状態で雄スプライン8bのスプライン歯81と雌スプライン7aのスプライン歯71の噛み合い嵌合が完了し、スプラインクラッチの切り替えが終了する。
【0038】
以上説明したように、本発明の噛み合いクラッチは、雄雌の両スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯に嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されているので、一方のスプラインに推力を加えて移動させると両スプラインの嵌合案内歯同士が当接し係合するので両スプラインを簡単かつ短時間で同期状態にできる。したがって、雄雌両スプラインのスプライン歯を相手方スプラインのスプライン溝に速やかに嵌挿して雄雌の両スプラインを嵌合でき、簡単な構成で変速時間を短縮することができる。
【0039】
また、摩擦力を用いて同期化していないので、部品の磨耗のためにメンテナンスを行う必要がないという実用上の効果もある。
【0040】
なお、実施例1は雌スプラインを回転軸方向に移動させているが、この移動させるスプラインを雄スプラインに形成し、これと嵌合させる他方を雌スプラインに形成しても同様な効果を奏しえることは勿論のことである。
【0041】
また、実施例1はインボリュートスプラインの例を挙げているが、台形スプラインや方形スプラインなど他の断面形状のスプラインを用いてもよいことは明らかなことである。
【実施例2】
【0042】
実施例1は雄雌の両スプラインが2個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けているが、回転バランスが取れるように均等に割り振ることにより何個置きであってもよく、さらに雄スプラインと雌スプラインで嵌合案内歯を設けるスプライン歯の数を異ならせることもできる。
【0043】
図11に実施例2としてその一例を示す。図11は雄スプライン8で嵌合案内歯を設けたスプライン歯に○印を付し、雌スプライン7で嵌合案内歯を設けたスプライン歯に●印を付している。
【0044】
図11(a)は雄雌の両スプライン7、8とも1個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例であり、図11(b)は雄雌の両スプライン7、8とも5個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例である。また、図11(c)は、雄スプライン8は5個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設け、雌スプライン7は2個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例であり、図11(d)は、雄スプライン8は11個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設け、雌スプライン7は5個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例である。
【0045】
図11(b)、(c)、(d)のように嵌合案内歯を設けたスプライン歯の数を減らすと噛み込みの機会は増えるが、同期状態になるまでの時間が実施例1や図11(a)の例よりも若干長くなる。また雄雌の両スプライン7、8の嵌合案内歯同士が係合して同期するときに、少ない嵌合案内歯で当たると歯1個あたりの衝撃が大きくなるが、スプライン軸の慣性モーメント等を考慮して設計することになる。
【0046】
実施例2においても実施例1と同様に、雄雌の両スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯に嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されているので、一方のスプラインに推力を加えて移動させると両スプラインの嵌合案内歯同士が当接係合するので両スプラインを簡単かつ短時間で同期状態にできる。したがって、両スプラインのスプライン歯を相手方スプラインのスプライン溝に速やかに嵌挿して雄雌の両スプラインを嵌合でき、簡単な構成で変速時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明が用いられる自動変速機の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す図1のスプラインクラッチの部分拡大図である。
【図3】図2の雄スプラインを分解して示した分解図である。
【図4】図2の雌スプラインを分解して示した分解図である。
【図5】図2の雄スプラインの拡大斜視図である。
【図6】図2のスリーブ(雌スプライン)の拡大斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図8】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図9】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図10】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図11】本発明の第2実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1:エンジン、2:変速機、3:入力軸、4a、4b:摩擦クラッチ、5a、5b:中間軸(回転軸)、6a〜6f:変速ギア、7a〜7c:スリーブ(雌スプライン)、8a〜8f:雄スプライン、9a〜9c:軸固着雄スプライン、10a〜10f:変速出力ギア、11:出力軸、71:雌スプライン歯、72:雌スプライン溝、73、83:嵌合案内歯、81:雄スプライン歯、82:雄スプライン溝。
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車、大型特殊作業車両などの伝達トルクの大きい変速機に用いて好適なスプライン結合の噛み合いクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に噛み合いクラッチは、ドッグクラッチ、爪クラッチと呼称され、一度結合したら結合状態を維持するのに油圧のような動力を必要としないので、入力トルクを損失無く出力側に伝達することができる。このような理由からマニュアル変速機、さらにはロボタイズドマニュアルと呼ばれる自動化マニュアル変速機に使用されている。
【0003】
良く知られているように、噛み合いクラッチにはスプラインクラッチとドッグクラッチとがある。スプラインクラッチは雄スプラインのスプライン歯を雌スプラインのスプライン溝に嵌合して雄雌の両スプラインのスプライン歯同士を噛み合わせるものであり、ドッグクラッチは歯車とスリーブ(回転軸に軸方向へ移動自在に装着固定されている)の対向側面にそれぞれ複数のドッグ歯(突歯)を周方向に設け、ドッグ歯同士を噛み合わせてトルクを伝達するものである。
【0004】
スプラインクラッチは公知例を挙げるまでもなく良く知られており、ドッグクラッチは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。特許文献1には、歯車とスリーブに設けたドッグ歯の長さをドッグ歯の1個おきに大きくして噛み込み易くし、素早く変速させるということも記載されている。
【0005】
しかしながら、ドッグクラッチはドッグ歯で受け持つ剪断応力に限界があり、伝達トルク容量を大きくするには直径を大きくせざるを得なくなり、大型化するという問題がある。このため、伝達トルク容量の大きい変速機には、スプラインクラッチが多く用いられるようになっている。
【0006】
ところで、スプラインクラッチは雄雌の両スプラインが回転している状態で両スプラインのスプライン歯を相互に相手方のスプラインのスプライン溝に嵌合して結合している。例えば、マニュアル変速機では摩擦クラッチによりエンジンからの動力を切断している間に前段ギアの噛み合いクラッチを開放して、次段ギアの噛み合いクラッチを結合させている。
【0007】
雄雌の両スプラインの結合は、両スプラインの回転速度と位相が等しい状態すなわち同期状態にする必要がある。このため、エンジンを切り離したときに自由回転する軸(例えばカウンターシャフト)にブレーキ装置を設けたり、あるいは噛み合いクラッチにシンクロナイザーと呼ばれる摩擦リングを設けて機械的に同期化している。また、エンジンの回転数を制御して同期化することも行われている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−120723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術は、カウンターシャフトブレーキやシンクロメッシュ機構による摩擦力で同期化したり、エンジンの回転数を制御して同期化しているので、構成が複雑になり、その上、変速時間が大きくなるという問題点を有する。また、摩擦力で同期化すると磨耗するためにメンテナンスを必要とするという実用上の問題もある。
【0010】
本発明の目的は、簡単な構成で変速時間を短縮することができる噛み合いクラッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴とするところは、雄スプラインのスプライン歯を雌スプラインのスプライン溝に嵌挿して雄雌の両スプラインを嵌合させるスプラインクラッチであって、雄スプラインと雌スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されていることにある。
【0012】
換言すると、本発明は、雄雌の両円筒状スプラインにおける所定個数毎のスプライン歯が嵌挿側面側へ軸方向に突出して他のスプライン歯より長く形成され、所定個数毎のスプライン歯の軸方向に突出した部分で嵌合案内歯を形成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は雄雌の両スプラインがスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯を形成されているので、一方のスプラインに推力を加えて移動させると相対速度差により両スプラインの嵌合案内歯同士が当接して係合するので両スプラインを簡単かつ短時間で同期状態にできる。したがって、両スプラインのスプライン歯を相互に相手方のスプラインのスプライン溝に速やかに嵌挿できるので、簡単な構成で変速時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例を図1〜8により説明する。
【0016】
図1は本発明が用いられる一例であるツインクラッチ方式自動変速機の構成図である。図1において、エンジン1の出力軸は変速機2の入力軸3に接続されている。入力軸3には2個の摩擦クラッチ4a、4bが結合できるようになっている。摩擦クラッチ4aは奇数段変速ギア列を備える奇数中間軸(回転軸)5aに接続され、摩擦クラッチ4bは偶数段変速ギア列を備える偶数中間軸(回転軸)5bに接続されている。
【0017】
奇数中間軸5aには1速ギア6a、3速ギア6b、5速ギア6c、および後進ギア6dが回転自在に設置されている。偶数中間軸5bには2速ギア6e、4速ギア6fが回転自在に設置されている。各段の変速ギア6a〜6fはそれぞれに対応する変速出力ギア10a〜10fに噛み合っており、変速出力ギア10a〜10fは出力軸11に固定されている。
【0018】
奇数中間軸5aには1速ギア6aと3速ギア6bを切り替えるために本発明の噛み合いクラッチであるスプラインクラッチが設置されている。奇数中間軸5aには雄スプライン9aが固着されている。雌スプラインのスリーブ7aは奇数中間軸5aに固着した雄スプライン9aに噛み合い、奇数中間軸5aの軸方向に移動自在に設置されている。
【0019】
1速ギア6aにはスリーブ7aと噛み合う雄スプラインの1速ギアスプライン8aが設けられている。同様に、3速ギア6bにはスリーブ7aと噛み合う雄スプラインの3速ギアスプライン8bが設けられている。雄スプライン8a、8bは回転軸5aと同軸的に相対回転可能に設けられている。スリーブ7aは図示しないシフトフォークにより推力を加えられと回転軸5aの左右軸方向に移動して、1速ギア6aの雄スプライン8aまたは3速ギア6bの雄スプライン8bと噛み合うことで、ギア段を切り替えることができる。
【0020】
スプラインクラッチは、回転軸5a、雄スプライン9a、スリーブ(雌スプライン)7aおよび雄スプライン8a、雄スプライン8bで構成される。
【0021】
奇数中間軸5aには、さらに5速ギア6cと後退ギア6dを切り替えるために本発明のスプラインクラッチが設置されており、雄スプライン9b、スリーブ7b、5速ギア6cの雄スプライン8c、後退ギア6dの雄スプライン8dが設けられている。
【0022】
また、偶数中間軸5bには2速ギア6eと4速ギア6fを切り替えるために本発明のスプラインクラッチが設置されており、雄スプライン9c、スリーブ7c、2速ギア6eの雄スプライン8e、4速ギア6fの雄スプライン8fが設けられている。
【0023】
図2は図1の1速ギア6aと3速ギア6bを切り替えるスプラインクラッチの拡大図である。5速ギア6cと後退ギア6dを切り替えるスプラインクラッチおよび2速ギア6eと4速ギア6fを切り替えるスプラインクラッチも同様に構成されている。
【0024】
図3、図4は図2の雄スプライン8a、8b、9aと雌スプライン7aを分解して示した分解図である。図3(a)は雄スプライン8a、8b、9aを示し、図3(b)は雄スプライン8bの左側面図である。また、図4(a)は雌スプライン7aを示し、図4(b)は雌スプライン7aの右側面図である。
【0025】
雄スプライン8bは図5の斜視図に示すように、円筒状に構成され外周面に複数のスプライン歯81およびスプライン溝82が形成されている。スプラインはインボリュートスプラインの例を示している。雄スプライン8bは、スプライン歯81の所定個数毎のスプライン歯81がスリーブ(雌スプライン)7aとの嵌挿側面84の側に突出して形成されている。
【0026】
スプライン歯81の突出部分は円筒状雄スプライン8bの軸方向に突出しており、嵌合案内歯83を形成している。換言すると、円筒状雄スプライン8bは、所定個数毎のスプライン歯81が嵌挿側面側へ軸方向に突出して他のスプライン歯81より長く形成されている。
【0027】
図5は2個置きのスプライン歯81に嵌合案内歯83を形成している例を示している。嵌合案内歯83の長さは2mm程度である。なお、図3(b)では嵌合案内歯83に多数の・印を付し識別し易いように図示している。
【0028】
一方、スリーブ(雌スプライン)7aは図6の斜視図に示すように、円筒状に構成され内周面に複数のスプライン歯71およびスプライン溝72が一体的に形成されている。雌スプライン7aのスプラインもインボリュートスプラインである。雌スプライン7aは、スプライン歯71の所定個数毎のスプライン歯71が雄スプライン8bとの嵌挿側面74の側に突出して形成されている。
【0029】
スプライン歯71の突出部分は円筒状雌スプライン7aの軸方向に突出しており、嵌合案内歯73を形成している。換言すると、円筒状雌スプライン7aは、所定個数毎のスプライン歯71が嵌挿側面側へ軸方向に突出して他のスプライン歯71より長く形成されている。
【0030】
図6は2個置きのスプライン歯71に嵌合案内歯73を形成している例を示している。嵌合案内歯73の長さは雄スプライン8bの嵌合案内歯83と同じ2mm程度である。なお、図4(b)では嵌合案内歯73に多数の・印を付し識別し易いように図示している。
【0031】
雄スプライン8bおよびスリーブ7aの雄スプライン8bとの嵌挿側面側はこのように構成されているが、雄スプライン8aおよびスリーブ7aの雄スプライン8aとの嵌挿側面側も同様に構成されている。また、他のスリーブ7b、7cおよび雄スプライン8c〜8fもスリーブ7aまたは雄スプライン8bと同様に構成されている。
【0032】
本発明のスプラインクラッチはこのように構成されているが、次に図7〜図10を用いて雄スプライン8bと雌スプライン7aを嵌合して結合する挙動を説明する。図7〜図10はスプライン歯とスプライン溝を直線状に模式的に示している。また、図7〜図10の図(a)は溝面から見た平面図で、図(b)は図(a)を側面から見た側面図である。さらに、雄スプライン8bと雌スプライン7aは図の上方に回転移動しており、雄スプライン8bの回転速度が多少速いものとする。
【0033】
図7は雄スプライン8bと雌スプライン7aが最も結合し難いケースで、雌スプライン7aが図示しないシフトフォークにより推力を加えられ,雄スプライン8bの嵌合案内歯83の先端面と雌スプライン7aの嵌合案内歯73の先端面が当接して接触している状態である。なお、雌スプライン7aの嵌合案内歯73と雄スプライン8bの嵌合案内歯83の時系列位置遷移状態が分かるように、雌スプライン7aの嵌合案内歯73に大文字A、B、Cを付し、雄スプライン8bの嵌合案内歯83に小文字a、b、cを付して示している。
【0034】
この状態で雄スプライン8bの方が速く回転しているとすれば、嵌合案内歯73Aは嵌合案内歯83aから滑り落ち、嵌合案内歯73Bは嵌合案内歯83bから滑り落ちる。このとき、滑り落ちた途端に雄スプライン8bと雌スプライン7aを同期結合できる場合もある。しかし、雄スプライン8bと雌スプライン7aの両者の相対速度差が大きいと、ほとんどが図8のように嵌合案内歯73B、73Cは雄スプライン8bのスプライン歯81に接触した状態になり、嵌合案内歯83a、83bは雌スプライン7aのスプライン歯71に接触した状態になる。
【0035】
図8の状態から位相がずれてくると、相対速度差が小さい場合には雄スプライン8bのスプライン歯81が雌スプライン7aのスプライン溝72に入り込んで嵌挿され、同期結合できることもある。しかし、相対速度差が大きいと雄スプライン8bのスプライン歯81が雌スプライン7aのスプライン溝72を通り越して同期結合できない状態になる。
【0036】
図8の状態から位相がずれて図9に示す状態になる。図9は嵌合案内歯83aが嵌合案内歯73Bに、嵌合案内歯83bが嵌合案内歯73Cに当接して係合する。したがって、雄スプライン8bと雌スプライン7aは同期状態になる。雌スプライン7aは回転軸5aの軸方向に推力を加えられているので、雄スプライン8bのスプライン歯81と雌スプライン7aのスプライン歯71が相手方スプライン7a、8bのスプライン溝72、82に嵌挿される。
【0037】
雄スプライン8bのスプライン歯81と雌スプライン7aのスプライン歯71は図10に示すように噛み合い深さLまでに嵌挿される。この状態で雄スプライン8bのスプライン歯81と雌スプライン7aのスプライン歯71の噛み合い嵌合が完了し、スプラインクラッチの切り替えが終了する。
【0038】
以上説明したように、本発明の噛み合いクラッチは、雄雌の両スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯に嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されているので、一方のスプラインに推力を加えて移動させると両スプラインの嵌合案内歯同士が当接し係合するので両スプラインを簡単かつ短時間で同期状態にできる。したがって、雄雌両スプラインのスプライン歯を相手方スプラインのスプライン溝に速やかに嵌挿して雄雌の両スプラインを嵌合でき、簡単な構成で変速時間を短縮することができる。
【0039】
また、摩擦力を用いて同期化していないので、部品の磨耗のためにメンテナンスを行う必要がないという実用上の効果もある。
【0040】
なお、実施例1は雌スプラインを回転軸方向に移動させているが、この移動させるスプラインを雄スプラインに形成し、これと嵌合させる他方を雌スプラインに形成しても同様な効果を奏しえることは勿論のことである。
【0041】
また、実施例1はインボリュートスプラインの例を挙げているが、台形スプラインや方形スプラインなど他の断面形状のスプラインを用いてもよいことは明らかなことである。
【実施例2】
【0042】
実施例1は雄雌の両スプラインが2個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けているが、回転バランスが取れるように均等に割り振ることにより何個置きであってもよく、さらに雄スプラインと雌スプラインで嵌合案内歯を設けるスプライン歯の数を異ならせることもできる。
【0043】
図11に実施例2としてその一例を示す。図11は雄スプライン8で嵌合案内歯を設けたスプライン歯に○印を付し、雌スプライン7で嵌合案内歯を設けたスプライン歯に●印を付している。
【0044】
図11(a)は雄雌の両スプライン7、8とも1個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例であり、図11(b)は雄雌の両スプライン7、8とも5個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例である。また、図11(c)は、雄スプライン8は5個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設け、雌スプライン7は2個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例であり、図11(d)は、雄スプライン8は11個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設け、雌スプライン7は5個置きのスプライン歯に嵌合案内歯を設けた例である。
【0045】
図11(b)、(c)、(d)のように嵌合案内歯を設けたスプライン歯の数を減らすと噛み込みの機会は増えるが、同期状態になるまでの時間が実施例1や図11(a)の例よりも若干長くなる。また雄雌の両スプライン7、8の嵌合案内歯同士が係合して同期するときに、少ない嵌合案内歯で当たると歯1個あたりの衝撃が大きくなるが、スプライン軸の慣性モーメント等を考慮して設計することになる。
【0046】
実施例2においても実施例1と同様に、雄雌の両スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯に嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されているので、一方のスプラインに推力を加えて移動させると両スプラインの嵌合案内歯同士が当接係合するので両スプラインを簡単かつ短時間で同期状態にできる。したがって、両スプラインのスプライン歯を相手方スプラインのスプライン溝に速やかに嵌挿して雄雌の両スプラインを嵌合でき、簡単な構成で変速時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明が用いられる自動変速機の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す図1のスプラインクラッチの部分拡大図である。
【図3】図2の雄スプラインを分解して示した分解図である。
【図4】図2の雌スプラインを分解して示した分解図である。
【図5】図2の雄スプラインの拡大斜視図である。
【図6】図2のスリーブ(雌スプライン)の拡大斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図8】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図9】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図10】本発明の第1実施例の動作説明図である。
【図11】本発明の第2実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1:エンジン、2:変速機、3:入力軸、4a、4b:摩擦クラッチ、5a、5b:中間軸(回転軸)、6a〜6f:変速ギア、7a〜7c:スリーブ(雌スプライン)、8a〜8f:雄スプライン、9a〜9c:軸固着雄スプライン、10a〜10f:変速出力ギア、11:出力軸、71:雌スプライン歯、72:雌スプライン溝、73、83:嵌合案内歯、81:雄スプライン歯、82:雄スプライン溝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状の雄スプラインと、内周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状の雌スプラインとを有し、前記雄雌の両スプラインが回転している状態で一方のスプラインに推力を加えて前記両スプラインを嵌合させる噛み合いクラッチであって、前記雄スプラインと前記雌スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されていることを特徴とする噛み合いクラッチ。
【請求項2】
回転軸と同軸的に相対回転可能に設けられ、外周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状の雄スプラインと、前記回転軸に軸方向への移動自在に装着固定され、内周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状のスリーブとを有し、前記雄スプラインと前記スリーブが回転している状態で前記スリーブを軸方向に移動させて前記雄スプラインと前記スリーブを嵌合させる噛み合いクラッチであって、前記雄スプラインと前記スリーブはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成され、前記雄スプラインと前記スリーブの前記嵌合案内歯同士を当接係合させて前記雄スプラインと前記スリーブを同期状態にすることを特徴とする噛み合いクラッチ。
【請求項3】
請求項1、2のいずれか1項において、前記雄雌の両スプラインあるいは前記雄スプラインと前記スリーブの前記嵌合案内歯が形成されているスプライン歯の数が異なることを特徴とする噛み合いクラッチ。
【請求項1】
外周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状の雄スプラインと、内周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状の雌スプラインとを有し、前記雄雌の両スプラインが回転している状態で一方のスプラインに推力を加えて前記両スプラインを嵌合させる噛み合いクラッチであって、前記雄スプラインと前記雌スプラインはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成されていることを特徴とする噛み合いクラッチ。
【請求項2】
回転軸と同軸的に相対回転可能に設けられ、外周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状の雄スプラインと、前記回転軸に軸方向への移動自在に装着固定され、内周面に複数のスプライン歯とスプライン溝が形成されている円筒状のスリーブとを有し、前記雄スプラインと前記スリーブが回転している状態で前記スリーブを軸方向に移動させて前記雄スプラインと前記スリーブを嵌合させる噛み合いクラッチであって、前記雄スプラインと前記スリーブはスプライン歯の所定個数毎のスプライン歯を嵌挿側面側へ軸方向に突出した嵌合案内歯が形成され、前記雄スプラインと前記スリーブの前記嵌合案内歯同士を当接係合させて前記雄スプラインと前記スリーブを同期状態にすることを特徴とする噛み合いクラッチ。
【請求項3】
請求項1、2のいずれか1項において、前記雄雌の両スプラインあるいは前記雄スプラインと前記スリーブの前記嵌合案内歯が形成されているスプライン歯の数が異なることを特徴とする噛み合いクラッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−108878(P2009−108878A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278831(P2007−278831)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(303025663)株式会社日立ニコトランスミッション (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(303025663)株式会社日立ニコトランスミッション (25)
【Fターム(参考)】
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