説明

噴霧乾燥HMBを含む栄養粉末

HMBおよび脂肪、炭水化物、タンパク質の少なくとも1つを含む栄養粉末が開示されており、ここでHMBは、この組成物中で、脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つの少なくとも一部とともに噴霧乾燥されている。また、1)HMBならびにタンパク質、炭水化物および脂肪の少なくとも1つを含む液体スラリーを調製するステップおよび2)スラリーを噴霧乾燥して、噴霧乾燥HMBを含む噴霧乾燥栄養粉末を製造するステップを含む、このような粉末を作製する方法が開示されている。この栄養粉末はほとんどまたは全く異臭がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、噴霧乾燥β−ヒドロキシ−β−メチルブチレート(HMB)を含む栄養粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
β−ヒドロキシ−β−メチルブチレート(HMB)は、様々な栄養製品および栄養補助食品としての使用で知られている自然界中に存在するアミノ酸代謝物質である。特定の個体の健康な筋肉を構築するまたは維持するのに役立つように、HMBはこのような製品において一般に使用されている。
【0003】
HMBは必須アミノ酸ロイシンの代謝物質であり、タンパク質の代謝回転を調整することおよびタンパク質分解を抑制することが示された。ほとんどの個体において、筋肉は入手可能なロイシンのおよそ5%をHMBに変換し、したがって70kgの男性において1日当たり約0.2から0.4グラムのHMBを産生する。様々な種類のストレスが動物に引き起こされた研究において、HMB補給は除脂肪体重を増加させた。また、臨床研究は、病気または傷害からの回復において、HMBが、ストレス関連の損傷からの除脂肪体重の保護およびタンパク質合成の増強を含めた、少なくとも2つの機能を有することを示唆している。また、HMBは、免疫機能を強めること、アレルギーまたは喘息の発生率または重症度を低減すること、血清総コレステロールおよび低比重リポタンパクコレステロールを低減すること、筋肉の有酸素能力を増加させることならびに他の用途にも有用であると示唆された。
【0004】
筋肉量および筋力の発達ならびに維持をサポートするためにほとんどの場合HMBが個体に投与されるので、多くのHMB製品は、健康な筋肉の促進に役立ち得る追加の栄養素とともに調合されている。これらのHMB製品には、脂肪、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル等の追加の栄養素を含有する製品がある。経口の栄養製品として調合される場合、カルシウムHMBはHMBの一般に使用されている形態であり、この製品には、タブレット、カプセル剤、再構成可能な粉末、ならびに栄養液体および栄養乳剤が含まれる。再構成可能な粉末は特にこの点に関して有用であり、この理由は、アミノ酸、炭水化物、タンパク質および脂肪等の多数の成分とともに調合される場合でも、このような粉末は多くの場合、長期間にわたってこれらの液体相当物より常温保存可能であるためである。しかしながら、これらの粉末は多くの場合不快な匂いまたは臭気を発し、この匂いまたは臭気は使用前に開封した直後に、包装製品の上部空間において特に顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特に長期間にわたって包装され貯蔵された時、不快な匂いまたは異臭が実質的にないHMBを含む栄養粉末の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本開示の1つの実施形態は、HMBならびにタンパク質、炭水化物および脂肪の少なくとも1つを含む栄養粉末を対象とし、ここでHMBの少なくとも一部は、栄養粉末中で、タンパク質、炭水化物および脂肪の少なくとも1つの少なくとも一部と組み合わせて噴霧乾燥されている。
【0007】
本開示の別の実施形態は、全て栄養粉末重量で、約0.1%から約8%のHMB、約5%から約70%のタンパク質、約10%から約75%の炭水化物および約20%から約85%の脂肪を含む、栄養粉末を対象とし、ここでHMBの少なくとも一部は、組成物中で、タンパク質、脂肪および炭水化物の少なくとも1つの少なくとも一部とともに噴霧乾燥される。
【0008】
本開示の別の実施形態は噴霧乾燥HMBを含む栄養粉末を調製する方法を対象とする。この方法は、HMBならびにタンパク質、炭水化物および脂肪の少なくとも1つを含む液体組成物を調製するステップおよび次いでこの液体組成物を噴霧乾燥して、知覚特性が改善された栄養粉末を製造するステップを含む。
【0009】
また、噴霧乾燥HMBとともに栄養粉末を調合することによりHMBを含む栄養粉末からの不快な匂いまたは臭気を最小限にするまたは排除することができることが今や分かった。ここでこのHMBは、組成物中のタンパク質、脂肪および炭水化物の少なくとも1つの少なくとも一部とともに噴霧乾燥されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
栄養粉末は噴霧乾燥HMBおよび他の栄養素を含む。栄養粉末のこれらの特徴および他の特徴は、このような粉末を作製する方法、ならびに場合によるこの多くの変形形態および追加形態のいくつかを含めて、以下に詳述される。
【0011】
特に記載がない限り、本明細書で使用される用語「HMB」は、β−ヒドロキシ−β−メチルブチレート(β−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、β−ヒドロキシイソ吉草酸とも呼ばれる。)およびそれらの源を指す。特に記載がない限り、HMBを特徴づけるために、本明細書で使用される全ての重量、百分率および濃度は、HMBの重量に基づくが、カルシウムHMBを特徴づけるために、本明細書で使用される全ての重量、百分率および濃度は、カルシウムHMB一水和物の重量に基づく。
【0012】
特に記載がない限り、本明細書で使用される「栄養粉末」という用語は、HMBならびに脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つを含む栄養粉末を指し、この栄養粉末は水性液体で再構成可能であり、ヒトへの経口投与に適している。
【0013】
特に記載がない限り、本明細書で使用される「脂肪」および「油」という用語は植物または動物に由来するまたはこれから加工された脂質物質を指すのに交換可能に使用される。
【0014】
本明細書で使用される全ての百分率、部および比率は、特に記載がない限り総組成物の重量による。列挙された成分に関するこのような重量は全て、活性レベルに基づくため、特に記載がない限り、市販の材料に含まれ得る溶媒または副生成物を含まない。
【0015】
本開示の単数形の特徴または限定についての言及は全て、特に記載がない限りまたは言及された内容上特に逆の記載がない限り、対応する複数の特徴または限定を包含するものとし、この逆も同様である。
【0016】
本明細書で使用される方法またはプロセスステップの組合せは全て、特に記載がない限りまたは言及された組合せの内容上特に逆の記載がない限り、任意の順序で行なうことができる。
【0017】
本開示の栄養粉末の様々な実施形態は、本明細書に記載の場合によるまたは選択された必須成分または特徴のいずれもが実質的にないことも可能であるが、残りの栄養粉末が、本明細書に記載されている必要な成分または特徴の全てを尚も含有することを条件とする。この内容において、特に記載がない限り「実質的にない」という用語は、選択された栄養粉末が、場合による成分を、場合によるまたは選択されたこのような必須成分の重量に基づき、機能量未満、典型的には約0.5%未満(約0.1%未満を含み、0パーセントも含む。)含有することを意味する。
【0018】
本開示の栄養粉末およびそれに対応する製作方法は、本明細書に記載の本開示の必須要素および本明細書に記載されたまたは栄養粉末調製用途に有用な任意の追加的または場合による要素を含む、これらからなるまたはこれらから実質的になる。
【0019】
製品形態
典型的には、栄養粉末は、スプーンまたは同様の別の器具で容易にすくって計量することができる流動性もしくは実質的に流動性の粒子組成物または少なくとも粒子組成物の形態であり、ここでこの組成物は、意図される使用者より、適切な水性液体、典型的には水で容易に再構成されて、即時の経口または経腸使用向けの液体栄養製剤を形成することができる。この内容において、「即時の」使用とは、一般には約48時間以内、最も典型的には約24時間以内、好ましくは再構成の直後を意味する。
【0020】
栄養粉末は単独、主要、もしくは補助の栄養源を提供するまたは特定の疾患もしくは状態に苦しむ個体への使用向けの特殊な栄養粉末を提供するのに十分な種類および量の栄養素とともに調合されてもよい。1つの具体的な実施形態において、栄養粉末は、個体が筋肉量の維持または構築するための使用向けに調合されてもよい。
【0021】
栄養粉末は使用前に、最終使用者の栄養上の必要に合わせたカロリー密度まで水で再構成されてもよいが、ほとんどの場合、粉末は水で再構成されて約100から約500kcal/240ml(約150から約350kcal/240mlを含み、約200から約320kcal/240mlも含む。)を含む組成物を形成する。再構成された液体中のカルシウムHMBの量は、最も典型的には約0.4から約3.0g/240mlの範囲(約0.75から約2.0g/240mlを含み、約1.5g/240mlを含む。)である。
【0022】
多くの変数に依存して、再構成された栄養液体の分量サイズは変動し得るが、典型的な分量サイズは、約100から約300mlの範囲(約150から約250mlを含み、約190mlから約240mlを含む。)である。
【0023】
多量栄養素
栄養粉末は、脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つを含む。一般に、公知のまたはあるいは栄養製品においての使用に適しているいかなる脂肪源、タンパク質源および炭水化物源も、本明細書における使用に適していることがあるが、このような多量栄養素が本明細書において定義されるような栄養粉末の必須要素とやはり適合性であることを条件とする。
【0024】
意図される使用者の栄養上の必要に依存して、脂肪、タンパク質および炭水化物の総濃度または総量は変動してもよいが、このような濃度または量は、本明細書に記載されているような、いかなる別の必須の脂肪成分、タンパク質成分、および/または炭水化物成分を含めて、最も典型的には以下の具現的な範囲の1つ以内である。
【0025】
栄養粉末中の脂肪濃度は、栄養粉末重量で0から約99%の範囲(約5%から約75%を含み、約10%から約35%を含み、約15%から約20%も含む。)であってもよい。
【0026】
炭水化物濃度は、栄養粉末重量で0から約99%の範囲(約20%から約90%を含み、約30%から約80%を含み、約40%から約70%も含む。)であってもよい。
【0027】
タンパク質濃度は、栄養粉末重量で0から約90%の範囲(約5%から約75%を含み、約8%から約50%を含み、約12%から約30%も含む。)であってもよい。
【0028】
栄養粉末中の炭水化物、脂肪およびタンパク質の範囲またはレベルはまた、以下の表に記載のような栄養粉末における総カロリーの百分率として追加的にまたは代替的に特徴づけられ得る。
【0029】
【表1】

【0030】
栄養粉末において使用するのに適している脂肪または脂肪源の非限定的な例としては、ココナッツ油、分留ココナッツ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、高オレイン酸サフラワー油、MCT油(中鎖トリグリセリド)、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、パーム及びパーム核油、パームオレイン、キャノーラ油、魚油、綿実油およびこれらの組合せが挙げられる。
【0031】
栄養粉末において使用するのに適している炭水化物または炭水化物源の非限定的な例としては、マルトデキストリン、加水分解されたまたは加工された澱粉またはコーンスターチ、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固体、米由来の炭水化物、グルコース、フルクトース、ラクトース、高果糖コーンシロップ、蜂蜜、糖アルコール(例えばマルチトール、エリトリトール、ソルビトール)およびこれらの組合せが挙げられる。
【0032】
栄養粉末において使用するのに適しているタンパク質またはタンパク質源の非限定的な例としては、加水分解されたタンパク質、部分的に加水分解されたタンパク質または加水分解されていないタンパク質またはタンパク質源が挙げられ、このタンパク質源は、乳(例えばカゼイン、乳清)、動物(例えば肉、魚)、シリアル(例えば米、トウモロコシ)、野菜(例えば大豆)またはこれらの組合せ等のいかなる公知のまたはあるいは他の適切な源に由来してもよい。このようなタンパク質の非限定的な例としては乳タンパク質単離物、本明細書に記載されるような乳タンパク質濃縮物、カゼインタンパク質単離物、乳清タンパク質、カゼイン酸ナトリウムまたはカゼインカルシウム、牛全乳、部分または完全脱脂乳、大豆タンパク単離物、大豆タンパク濃縮物等が挙げられる。
【0033】
HMB
栄養粉末のHMB構成要素は、栄養製品において使用するのに適しているいかなるHMB源から得てもよい。このような源としては、遊離酸、塩、無水塩または水和塩、エステル、ラクトンまたは栄養粉末からHMBの生物学的に利用可能な形態を別法で提供する別の形態としてのHMBが挙げられる。
【0034】
適切なHMB源の非限定的な例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、クロム、カルシウムまたは別の無毒な塩形態のHMB塩、その水和物または無水物が挙げられる。カルシウムHMBが好ましく、最も典型的には、カルシウムHMB一水和物として調合されるまたはあるいは得られ、市販のカルシウムHMB一水和物源はSalt Lake City、Utah、USAにあるTechnical Sourcing International(TSI)から商業的に入手可能である。
【0035】
栄養粉末中のHMBの総濃度は、栄養粉末重量で、最大約10%までの範囲(約0.1%から約8%を含み、約0.2%から約5.0%も含み、約0.3%から約3%も含み、約0.4%から約1.5%も含む。)であってもよい。このような濃度は、組成物において使用されるHMBまたはHMB源の濃度を表わし得る。
【0036】
本明細書に記載されるように、栄養粉末中のHMBの全てまたは一部は、噴霧乾燥HMBの形態である。
【0037】
ビタミンD
栄養粉末は、標的とされる使用者の健康な筋肉を維持するのに役立つようにビタミンDをさらに含んでもよい。ビタミンD形態はビタミンD2(エルゴカルシフェロール)およびビタミンD3(コレカルシフェロール)または栄養製品において使用するのに適している別の形態を含む。
【0038】
本明細書に記載されているように、栄養粉末中のビタミンDの量は、1分量サイズ当たり典型的に最大約1000IUまで、より典型的には約10から約600IU、より典型的には約50から400IUの範囲である。
【0039】
場合による成分
栄養粉末は、製品の物理的、化学的、美的、もしくは加工特性を改変することができるまたは標的集団において使用されたとき、医薬構成成分もしくは追加栄養構成成分としての役割を果たすことのできる、場合による他の成分をさらに含むことができる。場合による多くのこのような成分は公知であるまたはあるいは他の栄養製品において使用するのに適しており、本明細書に記載の栄養粉末においても使用することができるが、場合によるこのような成分が経口投与に適しており、栄養粉末中の必須成分と適合性であることを条件とする。
【0040】
場合によるこのような成分の非限定的な例には、保存剤、抗酸化剤、乳化剤、緩衝剤、医薬活性剤、本明細書に記載の追加栄養素、着色剤、香味剤、増粘剤および安定化剤、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0041】
栄養粉末は、ビタミンまたは関連栄養素をさらに含むことができ、この非限定的な例には、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ビタミンB12、カロテノイド、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、コリン、イノシトール、これらの塩および誘導体、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0042】
栄養粉末は、ミネラルをさらに含むことができ、この非限定的な例には、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ナトリウム、カリウム、モリブデン、クロム、セレン、塩化物およびこれらの組合せが挙げられる。
【0043】
使用方法
栄養粉末は栄養液体を提供するために水または別の適切な液体で再構成される。本明細書に記載された粉末からのこのような液体は補助、主要もしくは単独の栄養源を提供するのに有用でありおよび/または本明細書に記載されるような1つもしくは複数の利益を個体に提供するのに有用である。このような方法によれば、液体は栄養の所望のレベルを提供するように必要に応じて経口で、最も典型的には毎日1から2分量の形態において、毎日1回または2回以上の分割用量として投与されてもよく、たとえば分量サイズは典型的には約100から約300mlの範囲(約150から約250mlを含み、約190mlから約240mlを含む。)であり、ここで各分量は、1分量当たり約0.4から約3.0g(約0.75から約2.0gを含み、約1.5gを含む。)のカルシウムHMBを含有する。
【0044】
このような方法は、このような製品を投与すると、最も典型的には約1から約6ヶ月(約1から約3ヶ月を含む。)の長期間にわたる毎日の使用後に、個人に以下の1つまたは複数を提供することをさらに対象とする。1)除脂肪体重の維持をサポートすること、2)力および/または筋力をサポートすること、3)筋細胞のタンパク質分解および損傷を低減すること、ならびに4)運動後または他の外傷後の筋肉回復に役立つこと、ならびに5)運動後の筋タンパク質分解を低減すること。
【0045】
このような方法は以下の1つまたは複数を達成するのに役立つ。1)サルコぺニアの高齢者が除脂肪体重を維持しサポートすること、2)個体、特に高齢者において、活動的で独立したライフスタイルをサポートするために栄養を提供すること、3)筋力の回復をサポートすること、4)筋肉を再建し、力を取り戻すのに役立つこと、ならびに5)筋力等の力および運動性を高めること。
【0046】
製作方法
栄養粉末は、栄養粉末を作製し調合するのに適している公知の技術またはあるいは有効な技術の集結によって調製されてもよいが、これらの技術が、必要とされる噴霧乾燥HMB成分を粉末に提供する噴霧乾燥ステップを含むまたは含むように変更されることを条件とする。
【0047】
噴霧乾燥ステップは、栄養粉末の製造において使用することで知られているまたはあるいはこれに適している任意の噴霧乾燥技術を同様に含み得る。様々な噴霧乾燥方法および技術が栄養分野における使用で知られており、それら全ては本明細書の栄養粉末の製作において使用するのに適している。
【0048】
栄養粉末を調製する1つの方法は、HMBならびにタンパク質、炭水化物および脂肪の少なくとも1つを含む水性スラリーまたは液体を形成するステップおよび次いで、このスラリーまたは液体を噴霧乾燥させて、噴霧乾燥HMBを含み知覚特性が改善された噴霧乾燥栄養粉末を製造するステップを含む。この方法は、本明細書に記載の成分のいずれか1つまたは複数を含む追加の栄養成分を、噴霧乾燥栄養粉末に噴霧乾燥、乾燥混合またはあるいは添加するステップをさら含むことができる。
【0049】
これらの製作方法は、これら方法において使用するHMB源として、カルシウムHMBとともに好ましくは調合され、このカルシウムHMBは、カルシウムHMB一水和物として最も典型的に調合される。
【0050】
本明細書の製作方法によれば、栄養粉末中のHMBは全て本明細書に記載のように噴霧乾燥されることが好ましく、栄養粉末重量で、より好ましくは50%から100%、最も好ましくは100%、同様に噴霧乾燥される。したがって、栄養粉末中の成分の大部分または全ては、粉末中のHMB全てを含めて一緒に噴霧乾燥されて噴霧乾燥栄養粉末を形成し、したがって噴霧乾燥栄養粉末中のHMBの100%は噴霧乾燥HMBであることが最も好ましい。
【0051】
また、本明細書の製作方法によれば、栄養粉末中のHMBの一部は、栄養粉末中の脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つの一部または全てとともに噴霧乾燥されてもよく、噴霧乾燥HMBとして総HMBの重量に基づき、20%から90%を含み、40%から90%も含み、50%から80%も含む。このような栄養粉末において、HMBの一部は非噴霧であってもよく、したがって栄養粉末中の総HMBの重量に基づき10%から80%(10%から60%を含み、20%から50%も含む。)を占める。
【0052】
栄養粉末は、好ましくは、完成粉末重量で、約3.0%未満の、最も典型的には約1.0%から約2.8%の含水量まで噴霧乾燥される。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、特定の実施形態および/または噴霧乾燥HMBを含む栄養粉末の特徴を示す。実施例はもっぱら具体例の目的で提示され、本開示の精神および範囲から外れずにその多くの変形が可能なので、本開示の限定として解釈するべきできない。例証された量は全て特に記載がない限り組成物の総重量に基づいた重量百分率である。
【0054】
例示された組成物は本明細書に記載の製作方法に従って調製された栄養粉末であり、したがって噴霧乾燥HMBを含む例示された各栄養粉末は、ほとんどまたは全く異臭がなく、密閉容器中に包装され、次いでこの一部が後に除去され、所望のカロリー密度まで水で再構成されて、240mlの再構成された液体当たり1.5gのカルシウムHMB一水和物を含有する栄養液体を形成する。液体240mlは、このような構成後48時間以内の経口投与に適している単回分量である。
【0055】
一般に、例示された組成物の各々は以下によって製作することができる。1)水、炭水化物、ミネラルおよびカルシウムHMB一水和物を含む第1液体スラリー(CHO/MIN)を調製し、2)油、安定化剤、脂溶性ビタミンおよびタンパク質(PROTEIN/OIL)を含む第2液体スラリーを調製し、3)タンパク質および水(PROTEIN/WATER)を含む第3液体スラリーを調製し、4)第1および第2スラリーを一緒にブレンドし、次いで、この結果生じたスラリーを第3スラリーとブレンドし、5)この結果生じたブレンドを均質化処理して熱処理し、6)この結果生じた均質化ブレンドを、ビタミン、香味剤、微量および超微量ミネラルおよび他の感熱性成分とともに標準化し、次いで7)標準化されたブレンドを噴霧乾燥して、噴霧乾燥栄養粉末を形成する。噴霧乾燥された粉末は次いで包装され、使用までの長期貯蔵に適している容器中に密封され、使用時に製品は開封され再構成されて、栄養液体を形成し本明細書において記載された方法に従って投与され得る。
【0056】
実施例1−4
実施例1−4は、本開示の栄養粉末を示し、それらの成分は下記の表に記載される。特に記載がない限り、成分量は全て、製品1000キログラムのバッチ当たりのキログラムとして記載される。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例5−8
実施例5−8は、本開示の栄養粉末を示し、それらの成分は下記の表に記載される。特に記載がない限り、成分量は全て、製品1000kgのバッチ当たりのkgとして記載される。
【0059】
【表3】

【0060】
実施例9−12
実施例9−12は、本開示の栄養粉末を示し、それらの成分は下記の表に記載される。特に記載がない限り、成分量は全て、製品1000kgのバッチ当たりのkgとして記載される。
【0061】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMBならびに脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つを含み、HMBが、脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つの少なくとも一部とともに噴霧乾燥されている栄養粉末。
【請求項2】
HMBがカルシウムHMBを含む、請求項1に記載の栄養粉末。
【請求項3】
約0.1重量%から約8重量%のHMBを含む、請求項1に記載の栄養粉末。
【請求項4】
全て栄養粉末重量で、約5%から約75%のタンパク質、約20%から約90%の炭水化物および約5%から約75%の脂肪を含む、請求項1に記載の栄養粉末。
【請求項5】
全て栄養粉末重量で、約12%から約30%のタンパク質、約30%から約80%の炭水化物および約10%から約35%の脂肪を含む、請求項1に記載の栄養粉末。
【請求項6】
栄養粉末の100%が噴霧乾燥されている、請求項1に記載の栄養粉末。
【請求項7】
全て栄養粉末重量で、0.1%から8%のカルシウムHMB、約5%から約75%のタンパク質、約20%から約90%の炭水化物および約5%から約75%の脂肪を含み、HMBが、脂肪、タンパク質および炭水化物の少なくとも1つの少なくとも一部とともに噴霧乾燥されている栄養粉末。
【請求項8】
カルシウムHMBが一水和物塩である、請求項7に記載の栄養粉末。
【請求項9】
栄養粉末の全てが噴霧乾燥されている、請求項7に記載の栄養粉末。
【請求項10】
約0.4重量%から約1.5重量%のカルシウムHMBを含む、請求項7に記載の栄養粉末。
【請求項11】
噴霧乾燥HMBを含む栄養粉末を調製する方法であって、
HMBならびにタンパク質、炭水化物および脂肪の少なくとも1つを含む液体スラリーを調製するステップ、ならびに
スラリーを噴霧乾燥させて、噴霧乾燥HMBを含む噴霧乾燥栄養粉末を製造するステップ
を含む、噴霧乾燥HMBを含む栄養粉末を調製する方法。
【請求項12】
噴霧乾燥後に追加の成分を添加するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
栄養粉末に存在するHMBの100%が噴霧乾燥HMBである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
HMBがカルシウムHMBを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
全て栄養粉末重量で、0.1%から8%のカルシウムHMB一水和物、約5%から約75%のタンパク質、約20%から約90%の炭水化物および約5%から約75%の脂肪を含む栄養粉末であって、栄養粉末中、カルシウムHMBが、脂肪、タンパク質および炭水化物とともに噴霧乾燥されている、栄養粉末。

【公表番号】特表2013−517806(P2013−517806A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551325(P2012−551325)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022935
【国際公開番号】WO2011/094549
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】