説明

噴霧化用のシクレソニドの水性懸濁液

本発明は、湿熱による滅菌によってシクレソニドの水性懸濁液を製造するための方法に関する。更に本発明は、呼吸器疾患の予防及び/又は治療において噴霧化によって投与するための医薬品組成物、特にシクレソニドの滅菌水性懸濁液に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、湿熱による滅菌によってシクレソニドの水性懸濁液を製造するための方法に関する。更に本発明は、呼吸器疾患の予防及び/又は治療において噴霧化によって投与するための医薬品組成物、特にシクレソニドの水性懸濁液に関する。
【0002】
背景技術
US5482934号は、プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン−16−17−アセタール−21エステル及び炎症状態の治療におけるそれらの使用を開示している。該化合物は一般構造:
【0003】
【化1】

[式中、R1は2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、シクロヘキシル又はフェニルであり、かつR2はアセチル又はイソブタノイルである]を有する。シクレソニドは、式Iで示され、その式中で、R1がシクロヘキシルであり、かつR2がイソブタノイルである化合物についてのINNであり、その化学名は[11β,16α(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンである。
【0004】
この化合物は抗喘息薬として評価され、そして薬動力学的研究は、その化合物が吸入製剤に有用であることを示している。シクレソニドは経口投与後に控えめに吸収されるにすぎず、低い全身活性を有する。肺中の薬剤濃度が高く、肝臓のオキシダーゼによる代謝が非常に高いので、その薬剤は低い血漿内半減期を示す。シクレソニドの全身活性はブデゾニドのそれより3倍低いが、抗炎症活性はより高い。
【0005】
シクレソニドを吸入するための加圧式定量噴霧式吸入器(MDI)に適した製剤は、例えばUS6264923号及びUS6120752号に開示されている。
【0006】
ドライパウダー吸入器(DPI)及び加圧式定量噴霧式吸入器(MDI)の他に、ネブライザは、吸入薬剤投与を可能にするもう一つの分類の装置である。殊に、子供と老人がDPIとMDIを正しく取り扱うことができない場合に、噴霧化は、肺への薬剤投与に好ましい方法である。このように、噴霧化による投与に適した製剤中にシクレソニドを提供することが望まれる。水溶性薬剤の場合には水溶液が噴霧化されるが、これはシクレソニドのような水不溶性薬剤の場合には不可能である。従って、これらの薬剤物質は、懸濁液の形に適用する必要がある。肺内での滞積を可能にするために、噴霧化後のアエロゾル小滴の粒度は、約1〜7μmの範囲にある必要がある。懸濁液を投与しようとする場合に、懸濁された薬剤粒子の粒度が重要であり、それはアエロゾル小滴自体より小さい粒子のみが噴霧化されるからである。例えば平均粒度2〜6μmを有する微粉化された薬剤物質はかかる懸濁液に適している。
【0007】
噴霧化用の懸濁液に関してのもう一つの必要条件は、これらの懸濁液が、製剤と接触する組織の刺激を避けるために等浸透性である必要があるということである。
【0008】
更に、噴霧化による投与のための製剤は無菌である必要がある。このことは、溶液の場合には、最終的な製剤を湿熱によるか又は細菌固定フィルタを通ずる濾過により滅菌することで達成できるが、規定の粒度を有する滅菌懸濁液を得ることはより困難である。濾過による滅菌は、平均粒度2〜6μmを有する微粉化された薬剤物質を使用する場合には選択されない。それというのも粒子がフィルタを通過できないからである。
【0009】
乾熱により(粉末状)薬剤物質を滅菌し、引き続き無菌条件下で懸濁液を製造することは、もう一つの製造方法である。この製造方法は、薬剤物質がこの滅菌法(欧州薬局方4.07の第5.1.1章によれば、160℃の温度を少なくとも2時間必要とする)の間の高温に耐えうるほど安定である場合にのみ可能である。WO99/25359号は、粉末形の副腎皮質ステロイドの滅菌方法を記載している。WO99/25359号は、副腎皮質ステロイドの乾熱による滅菌方法が、他の物質の加熱滅菌に必要であると考えられる温度より相当低い温度で実施できることを開示している。薬剤物質は110〜120℃に10時間より長く晒されない。更にWO99/25359号は、副腎皮質ステロイド及び1種以上の製剤学的に認容性の添加剤、希釈剤又は担体を含有する滅菌医薬品製剤を開示している。かかる添加剤の例には、界面活性剤、pH調節剤、キレート化剤、懸濁液に等浸透性を与える剤及び増粘剤が含まれる。これらの滅菌製剤は、滅菌された副腎皮質ステロイドと、任意の適当な追加成分、例えば界面活性剤、pH調節剤又はキレート化剤、懸濁液に等浸透性を与える剤又は増粘剤とを混合することによって製造することができる。副腎皮質ステロイド以外の全ての成分は、それらの水溶液の滅菌濾過によって製造することができる。実施例4及び5は、ブデソニドを含有する滅菌製剤に関連するものである。
【0010】
WO00/25746号は、ガンマ線照射による微粉化された滅菌副腎皮質ステロイド(プロピオン酸ベクロメタゾン)の製造方法を開示している。
【0011】
しかしながら、滅菌水性懸濁液を提供するために、該懸濁液を製造方法全体にわたり無菌条件下で、ステロイドを含む滅菌された成分を用いて製造する必要があり、その際、大規模な特殊な製造プラントを必要とすることが指摘されている。
【0012】
滅菌の水性医薬品組成物を提供するためのもう一つの方法は、放射線による懸濁液の滅菌である。Illum他(Pharm. Chemi. Sci., Ed.2, 1974, pp. 167-174)は、ベータ線又はガンマ線の照射によるステロイド含有水性懸濁液の滅菌方法を推奨している。
【0013】
医薬品組成物の滅菌のためのもう一つの非常に一般的な滅菌法はオートクレーブ処理(湿熱による滅菌)である。オートクレーブ処理は通常121℃での加熱によって行われるので、該方法は、かかる高温で水の存在下に不安定な薬剤について適合させることができない。湿熱による最終的な懸濁液製剤の滅菌の場合には、滅菌過程にわたり粒度増大の危険性が考えられる。更にシクレソニドは、かかる高温で化学的に安定であるとは思えない。それというのもシクレソニドは16位と17位にアセタール構造を有するからである。
【0014】
WO04/004739号は、オートクレーブ処理によって滅菌されたシクレソニド含有の滅菌水性懸濁液であって、オートクレーブ処理後のシクレソニドの濃度がオートクレーブ処理前の濃度と比較して95%以上である懸濁液に関する。更に、シクレソニド含分の均一性は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが懸濁液中にオートクレーブによる滅菌後にさえも存在する場合に保たれることが判明したことを開示している。
【0015】
噴霧化のための副腎皮質ステロイドに関する市販の懸濁液製剤は、例えば商標名Pulmicort(商標)及びFlixotide(商標)として入手できる。噴霧化用のPulmicort(商標)は、薬剤物質としてブデソニドを含有する。その薬剤物質の他に、該懸濁液は、塩化ナトリウム(オスモル濃度の調整剤)、ポリソルベート80(懸濁剤)、ナトリウムEDTA(キレート化剤)、クエン酸/クエン酸ナトリウム(緩衝剤)及び水からなる。噴霧化用のFlixotide(商標)は、プロピオン酸フルチカゾンを含有する。その薬剤物質の他に、該懸濁液は、塩化ナトリウム(オスモル濃度の調整剤)、ポリソルベート20及びソルビタンモノラウレート(懸濁剤)、リン酸一ナトリウム二水和物及び二塩基性のリン酸ナトリウム無水物(緩衝剤)及び水からなる。この製剤及びその製造は、WO95/31964号にも開示されている。第4頁において、原薬懸濁液を、蒸気を用いた加熱滅菌により滅菌することが示されている。
【0016】
本発明の課題は、吸入投与に適した、シクレソニドを含有する水性懸濁液、特に滅菌水性懸濁液を提供することである。
【0017】
噴霧化用のシクレソニドの水性懸濁液であって、通常の噴霧化用の製剤中に存在する賦形剤(例えばオスモル濃度の調整剤としての塩化ナトリウム)を含有する懸濁液をオートクレーブ処理する場合に、滅菌過程にわたってシクレソニド粒子の凝結が観察され、それによりもはや吸入適用には適さない懸濁液となる。
【0018】
発明の開示
驚くべきことに、今回、オスモル濃度の調整剤を含有するシクレソニドの滅菌水性懸濁液は、懸濁液中の賦形剤として非イオン性のオスモル濃度の調整剤を用いた場合に、シクレソニドの水性懸濁液をオートクレーブ処理することによって製造できることが判明した。滅菌過程にわたってシクレソニド粒子の凝結は観察されず、かつシクレソニド粒度の著しい増大は観察されない。
【0019】
従って、本発明の対象は、噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液の製造方法において、
(a)非イオン性のオスモル濃度の調整剤少なくとも1種と場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤とを含有するシクレソニドの水性懸濁液を提供する工程、
(b)(a)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法である。
【0020】
シクレソニドは、化学名[11β,16α(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンを有する有効化合物についてのINNである。シクレソニド及びその製造はUS5482934号に記載されている。また本発明によれば、シクレソニドという名称は、シクレソニドの溶媒和物、シクレソニドの生理学的に機能的な誘導体又はそれらの溶媒和物を含む。本発明の関連で挙げることができる、シクレソニドの生理学的に機能的な誘導体は、有利にはシクレソニドの化学的誘導体であって、シクレソニドと同等の生理学的機能を有する誘導体であるか、又はシクレソニドの活性代謝物、例えばシクレソニドの21−ヒドロキシ誘導体(以下にデスイソブチリル−シクレソニド=デス−CICと呼称する)である。21−ヒドロキシ化合物は、16α,17−(22R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ−11β,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンという化学名を有する。この化合物及びその製造はWO94/22899号に開示されている。本発明によれば、名称“シクレソニド”は、化合物[11β,16α]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンの純粋なRエピマーだけでなく、任意の所望の混合比のR/Sエピマー混合物(つまり化合物[11β,16α(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン及び[11β,16α(S)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)も意味すると解されるが、実質的にRエピマーからなるものが好ましい。本発明によれば、実質的にRエピマーからなるとは、混合物中のSエピマーの割合が5%未満又はそれに等しい、有利には1%未満又はそれに等しいことを意味する。
【0021】
水性懸濁液中に存在するシクレソニドの平均粒度は、噴霧化によりシクレソニドを効率的に投与できる範囲内にあることが好ましい。有利には、シクレソニドの(レーザ回折によって測定した)平均粒度は、12μm未満、有利には0.1〜8μm、好ましくは1〜6μm、特に好ましくは2〜4μmである。かかる粒度を有するシクレソニドは、シクレソニドの製造方法(例えばWO98/009982号に記載される)で得られたより大きい粒度を有するシクレソニドを微粉化するか、又は所望の平均粒度に導く結晶化法によって直接的に得ることができる。
【0022】
治療効果の達成に必要なシクレソニド、又はそれらの製剤学的に認容性の塩、溶媒和物又は生理学的に機能的な誘導体の量は、当然のように、治療される被験者、及び治療される特定の疾患又は疾病により変化する。更に、その量は、使用されるネブライザの効率と肺内でのアエロゾル小滴の滞積に依存する。噴霧化用の懸濁液内の好適なシクレソニドの濃度は、0.005%〜0.5%(質量/容量)(すなわち0.05mg/ml〜5mg/ml)の範囲であってよい。
【0023】
本発明に関連する非イオン性のオスモル濃度の調整剤は、非イオン性の性質を有し、かつ溶液及び/又は懸濁液の医薬品に体液との等浸透性を与えるのに通常使用される製剤学的に認容性の剤を指す。本発明に関連して使用することができる、非イオン性のオスモル濃度の調整剤のための例は、マンニトール、グリセロール、グルコース、ラクトース、トレハロース、スクロース、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、エタノール、イソプロパノール、シクロデキストリン、シクロデキストリンの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい例は、マンニトール、グリセロール、グルコース又はそれらの混合物である。オスモル濃度の調整剤を添加する目的は、体液と等浸透性又はそれとほぼ等浸透性、すなわち290ミリオスモル/kgである、本発明による懸濁液を提供するためである。本発明の有利な一実施態様では、非イオン性のオスモル濃度の調整剤は、本発明による懸濁液中に、該懸濁液のオスモル濃度を225〜430ミリオスモル/kgの範囲、有利には250〜350ミリオスモル/kgの範囲、特に有利には280〜300ミリオスモル/kgの範囲にするような量で存在する。当業者としては、オスモル濃度の調整に必要な剤量が、製剤内の他の賦形剤の存在に依存し、その賦形剤が該製剤の全オスモル濃度に寄与するであろうことは認識している。
【0024】
シクレソニドと非イオン性のオスモル濃度の調整剤との他に、本発明による方法で使用される懸濁液は、1種以上の追加的な好適な賦形剤を含有してよい。
【0025】
挙げることができる好適な賦形剤には、懸濁剤、懸濁液のpHを調節するための剤、キレート化剤及び場合により保存剤が含まれる。この関連で、イオン性の賦形剤(例えばイオン性の緩衝剤系)は、本発明による方法では避けるべきである。それというのも、これらの賦形剤は、オートクレーブ処理過程にわたって懸濁液中のシクレソニドの粒度増大と凝結とを導きうるからである。本発明による有利な実施態様では、好適な賦形剤は、非イオン性の賦形剤の群から選択される。
【0026】
従って、もう一つの実施態様では、本発明は、噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液の製造方法において、
(a)全てが非イオン性の賦形剤である1種以上の製剤学的に認容性の賦形剤を含有する、シクレソニドの水性懸濁液を提供する工程、及び
(b)(a)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法に関する。
【0027】
懸濁剤を用いると、製剤中でシクレソニド単一粒子の均一な分布が得られ、こうして均質な懸濁液が得られる。本発明の関連で挙げることができる懸濁剤のための例には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、アルキルアリールポリエーテルアルコール、例えばチロキサポール、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、リン脂質、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物が含まれる。有利な懸濁剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポロキサマー、ポリソルベート、チロキサポール及びそれらの混合物である。特に有利な懸濁剤は、ポリソルベート、例えばポリソルベート20(=ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート80(=ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート)である。使用される懸濁剤の製剤中での濃度は、懸濁される薬剤物質の濃度に大きく依存する。懸濁剤をシクレソニドの効果的な懸濁を達成する量で添加することで、均質な懸濁液が提供される。薬剤物質と懸濁剤との比は、通常は0.05〜50で変動しうる。
【0028】
必要に応じて、懸濁液のpHを調節するための剤を添加してよい。挙げられる好適な例は、例えば塩酸、リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択される無機酸及び有機酸である。有機酸が存在することが好ましい。シクレソニドはアルカリ条件下で不安定であることが知られているので、懸濁液のpH値を調整して、中性又は僅かに酸性の条件を得ることが好ましい。
【0029】
キレート化剤、例えばエデト酸又はエデト酸塩を好適な濃度(例えば0.01〜0.1%)で添加することができる。これらは、微量の重金属を封鎖し、それにより薬剤物質又は賦形剤の化学的安定性を改善することによって酸化防止相乗剤として作用することができる。更に、これらは幾らかの殺微生物活性を有する。
【0030】
場合により、本発明による製剤は、本発明による方法によって滅菌されるが、1種以上の保存剤を有してよい。本発明による製剤中に保存剤が存在し、使用の間に微生物学的品質が保存されることが好ましい。これは、マルチドーズバイアルの場合に特に重要である。好適な保存剤は、例えば安息香酸、ソルビン酸及びその塩、プロピオン酸及びその塩、フェノール及びその誘導体、例えばクレゾール及びクロロクレゾール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ブチルパラベン及びプロピルパラベンである。
【0031】
本発明による有利な製剤は、以下の成分:
微粉化されたシクレソニド 0.025〜0.1%(質量/容量)
グリセロール 2.5%(質量/容量)
ポリソルベート20 0.0125〜0.05%(質量/容量)
微粉化されたシクレソニド 0.025〜0.1%(質量/容量)
グリセロール 2.5%(質量/容量)
ポリソルベート80 0.0125〜0.05%(質量/容量)
微粉化されたシクレソニド 0.025〜0.1%(質量/容量)
マンニトール 5.0%(質量/容量)
ポリソルベート20 0.0125〜0.05%(質量/容量)
微粉化されたシクレソニド 0.025〜0.1%(質量/容量)
マンニトール 5.0%(質量/容量)
ポリソルベート80 0.0125〜0.05%(質量/容量)
を注射用水中に懸濁させて/溶解させて含有する。
【0032】
もう一つの態様では、本発明は、噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液であって、全てが非イオン性である1種以上の製剤学的に認容性の賦形剤を含有する懸濁液に関する。
【0033】
また更なる一態様では、本発明はシクレソニドの滅菌水性懸濁液であって、非イオン性のオスモル濃度の調整剤少なくとも1種と、場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤とを含有する懸濁液に関する。有利には、該滅菌水性懸濁液は、本発明による製造方法によって得られる。本発明による一実施態様では、該滅菌水性懸濁液は保存剤を含有しない。
【0034】
もう一つの態様では、本発明は、噴霧化によって投与するためのシクレソニドの水性懸濁液であって、噴霧化用の懸濁液内のシクレソニドの濃度が0.005%〜0.5%(質量/容量)(すなわち0.05mg/ml〜5mg/ml)の範囲にある懸濁液に関する。有利な一実施態様では、該懸濁液は滅菌懸濁液である。
【0035】
本発明による方法で使用される懸濁液は、懸濁液製剤の製造のための慣用の方法によって製造することができる。本発明の有利な一実施態様では、本発明による方法で使用される懸濁液は、非イオン性のオスモル濃度の調整剤と場合により他の賦形剤(例えば懸濁剤)とを精製水又は注射用水中に溶解させることによって製造することができる。所望であれば、この賦形剤の溶液を濾過してよい(滅菌濾過)。好適な粒度を有するシクレソニドは、溶液内に(例えば撹拌によって、又はターボ乳化装置、例えばUltraturraxを用いることによって)均質に懸濁される。最終的な製剤を好適な容器(例えばバイアル)中に充填し、密封して、そして湿熱によって滅菌する。選択的に、該製剤を原薬として湿熱によって滅菌し、それから滅菌バイアル中に無菌条件下で充填して、密封することもできる。ガラスバイアルの代わりに、製袋−充填−密封法によって製造された容器も適している。この場合に、該製剤を原薬として湿熱によって滅菌して、それから無菌条件下に充填することができる。製袋−充填−密封容器中に充填し、湿熱により加熱滅菌することも可能である。
【0036】
湿熱による滅菌又はオートクレーブ処理は、本発明の関連では、好適なオートクレーブ処理装置中で蒸気によって、米国薬局方26の第1211章の“Sterilization and sterility assurance of compendial articles”、欧州薬局方(欧州薬局方4.07、第5.1.1章の“Methods of preparation of sterile products”)又は他の薬局方による条件を満たす高い圧力及び温度で滅菌する方法を指す。滅菌水性懸濁液は、この関連で、米国薬局方26の第71章の“Sterility tests”、欧州薬局方(欧州薬局方4.07の第2.6.1章の“Sterility”……)、又は他の薬局方による条件を満たす水性懸濁液を指す。
【0037】
本発明による方法に関連して、該製剤は、90℃より高い温度、有利には120℃の温度、特に有利には少なくとも121℃の温度に晒すことが好ましい。更に有利な一実施態様では、本発明による製剤を、少なくとも15分間にわたり、圧力下で飽和蒸気の存在下で少なくとも121℃の温度に晒す。他の好適な温度(例えば90℃未満の温度)と時間との組合せは、それらが種々の薬局方で定められた基準によって必要とされる滅菌製剤に導く限りは使用することができる。
【0038】
本発明の更なる対象は、
(a)非イオン性のオスモル濃度の調整剤と、場合により他の賦形剤とを水中に溶解させる工程、
(b)該溶液を場合により濾過する工程、
(c)シクレソニドを該溶液内に均質に懸濁する工程、及び
(d)(c)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法である。
【0039】
[百分率(%)で表現された量は、特に別の指定がなされない限りは、製剤の全質量に対する質量の比率(質量/容量)を指す]
本発明を以下の実施例によって説明するが、本発明を制限するものではない。
【0040】
実施例
実施例1
2.5kgのグリセロールと12.5gのポリソルベート80とを100リットルの注射用水中に溶解させる。該溶液を、細孔径0.2μmを有するフィルタを通じて濾過する。25gの微粉化されたシクレソニドを添加し、そして該懸濁液を少なくとも1時間撹拌して、均質な懸濁液を得る。該懸濁液をガラスバイアル中に充填する。各バイアルは2mlの懸濁液を含有する。これらのバイアルを、オートクレーブ内で温度121℃で15分間にわたり飽和蒸気の存在下に滅菌する。
【0041】
実施例2
5kgのマンニトールと25gのポリソルベート20とを100リットルの注射用水中に溶解させる。該溶液を、細孔径0.2μmを有するフィルタを通じて濾過する。50gの微粉化されたシクレソニドを添加し、そして該懸濁液を少なくとも1時間撹拌して、均質な懸濁液を得る。該懸濁液をガラスバイアル中に充填する。各バイアルは2mlの懸濁液を含有する。これらのバイアルを、オートクレーブ内で温度121℃で15分間にわたり飽和蒸気の存在下に滅菌する。
【0042】
実施例3
5.5kgのグルコースと12.5gのチロキサポールとを100リットルの注射用水中に溶解させる。該溶液を、細孔径0.2μmを有するフィルタを通じて濾過した。25gの微粉化されたシクレソニドを添加し、そして該懸濁液を少なくとも1時間撹拌して、均質な懸濁液を得る。該懸濁液を、それぞれが約1リットルを含むガラス瓶中に充填する。これらの瓶を、オートクレーブ内で温度121℃で20分間にわたり飽和蒸気の存在下に滅菌する。滅菌過程後に、その滅菌懸濁液を製袋−充填−密封法で無菌条件下で充填する。その最終的な製品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから製造される製袋−充填−密封容器中に2mlの懸濁液から構成される。
【0043】
実施例4
5kgのマンニトールと25gのポリソルベート20とを100リットルの注射用水中に溶解させる。溶液のpHをクエン酸の添加によってpH6に調整する。該溶液を、細孔径0.2μmを有するフィルタを通じて濾過する。50gの微粉化されたシクレソニドを添加し、そして該懸濁液を少なくとも1時間撹拌して、均質な懸濁液を得る。該懸濁液をガラスバイアル中に充填する。各バイアルは2mlの懸濁液を含有する。これらのバイアルを、オートクレーブ内で温度115℃で40分間にわたり飽和蒸気の存在下に滅菌する。
【0044】
比較例
実施例5
0.05%の微粉化されたシクレソニドと、懸濁剤としての0.025%のポリソルベート20(製剤I)、ポリソルベート80(製剤II)又はCremophor RH40(製剤III)と、オスモル濃度の調整剤としての0.9%の塩化ナトリウムとを注射用水中に含有する懸濁液を調製した。該懸濁液をガラスバイアル中に充填し、そして湿熱(121℃、20分)によって滅菌した。滅菌の前とその後で、懸濁された粒子の粒度をレーザ回折(マルバーン社製の粒径分析装置シリーズ2600、ポリソルベート80溶液0.1%で希釈された水中の懸濁液、フラウンホーファーに従って計算、必要に応じて超音波を適用)によって測定した。d10、d50及びd90の値を以下の表に表す。d10、d50及びd90の値は本発明の関連では、粒子の全容積の10%、50%又は90%について粒度がその値より低いことを意味する。測定前に、試料を振盪し、沈殿した粒子を再懸濁させた。
【0045】
【表1】

【0046】
全ての懸濁液については表に示されるように、滅菌後に粒子の増大が検出された。
【0047】
大きく凝結された粒子凝集体が見て取れる。
【0048】
実施例6
0.05%の微粉化されたシクレソニドと、懸濁剤としての0.025%のポリソルベート20と、オスモル濃度の調整剤としての2.5%のグリセロール(製剤IV)、5%のマンニトール(製剤V)又は5%のグルコース(製剤VI)とを注射用水中に含有する懸濁液を調製した。該懸濁液をガラスバイアル中に充填し、そして湿熱(121℃、20分)によって滅菌した。滅菌前とその後で、懸濁された粒子の粒度をレーザ回折(マルバーン社製のMastersizer 2000、水で希釈した懸濁液、Mieに従って計算、懸濁された粒子の想定される屈折率1.52)によって測定した。測定前に、試料を振盪し、沈殿した粒子を再懸濁させた。d10、d50及びd90の値を以下の表に表す。
【0049】
【表2】

【0050】
表中に示すように、非イオン性のオスモル濃度の調整剤を使用した場合には粒度の顕著な増大はない。滅菌後の全ての製剤中のシクレソニドの純度はHPLCによって分析して99.5%より高く、これは薬剤物質が安定であることを指摘している。
【0051】
実施例7
0.05%の微粉化されたシクレソニドと、懸濁剤としての0.025%のポリソルベート20と、イオン性のオスモル濃度の調整剤としての0.9%の塩化ナトリウム(製剤I)とを含有する懸濁液又はそのイオン性の剤を含まない(製剤VII)懸濁液を調製した。該懸濁液をガラスバイアル中に充填し、そして湿熱(121℃、20分)によって滅菌した。滅菌前とその後で、懸濁された粒子の粒度をレーザ回折(マルバーン社製のMastersizer 2000、水で希釈した懸濁液、Mieに従って計算、懸濁された粒子の想定される屈折率1.52)によって測定した。測定前に、試料を振盪し、沈殿した粒子を再懸濁させた。d10、d50及びd90の値を以下の表に表す。
【0052】
【表3】

【0053】
表中に示すように、イオン性のオスモル濃度の調整剤を含まない懸濁液は、滅菌過程後にいかなる粒度の著しい増大をも示さない。
【0054】
実施例8
非イオン性のオスモル濃度の調整剤を有する滅菌された懸濁液が貯蔵の間に粒度に関して安定であるかを評価するために、懸濁液の粒度を室温で4週間貯蔵した後に測定した。測定前に、試料を振盪し、沈殿した粒子を再懸濁させた。
【0055】
【表4】

【0056】
貯蔵の間に著しい粒度の変化は観察されず、これは該懸濁液製剤の良好な安定性を示している。
【0057】
実施例9
0.05%の微粉化されたシクレソニドを含有するシクレソニド懸濁液を実施例1と実施例2に記載される方法によって製造した。更に、クエン酸を添加して懸濁液のpHを調整した。滅菌の前と後に、試料の粒度を実施例6に記載される方法によって測定した。
【0058】
【表5】

【0059】
結果として、滅菌後に粒度の著しい変化は観察されなかった。
【0060】
実施例10
0.05%の微粉化されたシクレソニドを含有するシクレソニド懸濁液を実施例5と実施例6に記載される方法によって製造した。更にクエン酸緩衝液pH5(クエン酸/クエン酸ナトリウム)を種々の濃度で懸濁液に添加した。滅菌の前と後に、試料の粒度を実施例6に記載される方法によって測定した。
【0061】
【表6】

【0062】
滅菌の前と後で測定された粒度は、緩衝液濃度の増大に伴い、滅菌後の粒度が増大することを示している。このことは、イオン性の緩衝剤を含有する懸濁液が滅菌過程の間の粒子成長を受けやすいことを示している。
【0063】
実施例11
0.05%の微粉化されたシクレソニドと、懸濁剤としての0.025%のポリソルベート20と、オスモル濃度の調整剤としての2.5%のグリセロール(製剤IV)又は5%のマンニトール(製剤V)とを注射用水中に含有する懸濁液を調製した。該懸濁液をガラスバイアル中に充填し、そして湿熱により110℃で、120分にわたり滅菌した。滅菌の前と後に、試料の粒度を実施例6に記載される方法によって測定した。
【0064】
【表7】

【0065】
結果として、滅菌後とその滅菌製剤を室温で約5ヶ月貯蔵した後とで粒度に著しい変化は観察されなかった。
【0066】
商業的利用
本発明によるシクレソニドの水性懸濁液は、副腎皮質ステロイドを必要とする哺乳動物、例えばヒト(患者とも呼称する)における臨床的状態の予防又は治療のために使用することができる。従って、本発明は、副腎皮質ステロイドを必要とする哺乳動物、例えばヒトにおける臨床的状態の予防又は治療のための方法であって、治療学的有効量のシクレソニドの水性懸濁液、特に本発明によるシクレソニドの滅菌水性懸濁液を投与することを含む方法を提供する。
【0067】
本発明によるシクレソニドの水性懸濁液は、呼吸器疾患の予防及び/又は治療において特に適している。本発明による呼吸器疾患には、特に炎症性気道疾患及び/又は可逆的な気道閉塞に関連する疾患、例えば喘息、夜間喘息、運動に誘発される喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば慢性でゼーゼーと音が出る気管支炎、肺気腫)、偽膜性喉頭炎、気道感染症及び上部気道疾病(例えば鼻炎、例えばアレルギー性鼻炎及び季節性鼻炎)が含まれる。
【0068】
本発明による水性懸濁液は、肺内投与に特に適している、特に噴霧化による投与を通じた肺内投与に特に適している。また該懸濁液は、任意の他の好適な経路によって投与することもできる。噴霧化による投与のために、本発明による懸濁液は、好適なネブライザ、例えばコンプレッサに連結されたネブライザ(=ジェットネブライザ)(例えば、ネブライザ:Pari LC star(商標)、Pari LC plus(商標)、Omron VC(商標)、Sidestream MS 2400(商標)及びSidestream MS 2200(商標)、Halolite(商標)、Circulaire(商標)と、コンプレッサ:例えばPari Proneb(商標)Ultra、DeVilbriss Pulmo Aide(商標)、Medic Aid Portaneb(商標)、Invacare Envoy(商標)、MPV Truma MicroDrop(商標))及び異なる駆動原理の新世代のネブライザ(例えばPARI社のeflow(商標)、Omron社のOmron U22及びMicroair(商標)、Aerogen社のAeroNeb(商標)、Odem社のTouchspray(商標)、Pfeiffer社のMicrohaler(商標))によって噴霧化される。
【0069】
噴霧化による投与は、呼吸器疾患を患い、吸入用の他の装置を正しく使用することが困難な患者、例えばDPIとMDIを正しく扱えない幼児及び若い子供又は老人の治療に特に適している。有利には、本発明に関しては患者は児童である。本発明に関する児童とは、18歳未満(例えば17歳、15歳、10歳、9歳、5歳、2歳、6月齢など)のヒトを指す。有利には、児童は、青春期前のヒトを指し、特に6月齢ないし10歳のヒト、殊に12月齢ないし8歳のヒトを指す。
【0070】
治療効果の達成に必要なシクレソニド、又はそれらの製剤学的に認容性の塩、溶媒和物又は生理学的に機能的な誘導体の量は、当然のように、治療される患者、及び治療される特定の疾患又は疾病により変化する。単独療法としては、シクレソニドは、一般に患者に吸入によって0.05〜2mg、有利には0.1〜1mgの日用量で投与され、これは1回の投薬又は複数回の投薬で投与してよい。その用量は有利には日用量であり、一日一回又は二回で、有利には一日一回で投与される。一日一回の用量は、一日のどの時点でも、例えば朝又は好ましくは午後に投与できる。シクレソニドの日用量の投与は、有利には持続的な治療計画の一部、有利には1日より長い治療期間、特に有利には1週間より長い治療期間、例えば2週間の治療期間、例えば2週間の治療期間、1ヶ月の治療期間、1年の治療期間又は一生の治療期間の一部である。各投与の用量は、連続的な治療計画全体にわたって同じであるか又は可変であってよい。
【0071】
本発明の更なる対象は、本発明による水性懸濁液を含む密閉された容器と、連続的な治療計画で噴霧化によって投与することを指示するラベルを含む医薬品である。その容器は任意の好適な種類の容器、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから製造された製袋−充填−密封容器であってよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液の製造方法において、
(a)全てが非イオン性の賦形剤である1種以上の製剤学的に認容性の賦形剤を含有する、シクレソニドの水性懸濁液を提供する工程、及び
(b)(a)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法。
【請求項2】
噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液の製造方法において、
(a)非イオン性のオスモル濃度の調整剤少なくとも1種と、場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤とを含有する、シクレソニドの水性懸濁液を提供する工程、及び
(b)(a)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法。
【請求項3】
シクレソニドが、[11β,16α(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン、任意の所望の混合比の化合物[11β,16α(S)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンと[11β,16α(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンとの混合物、並びに化合物[11β,16α(S)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンと[11β,16α(R)]−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンとの主にRエピマーからなる混合物の群から選択される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
シクレソニドが、シクレソニド、シクレソニドの溶媒和物、シクレソニドの生理学的に機能的な誘導体、生理学的に機能的な誘導体の溶媒和物及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
シクレソニドの生理学的に機能的な誘導体が、16α,17−(22R)−シクロヘキシルメチレンジオキシ−11β,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン、16α,17−(22S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ−11β,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン並びに任意の所望の混合比の混合物からなる群から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
シクレソニドの平均粒度が、12μm未満、有利には1〜7μm、好ましくは2〜6μm、特に好ましくは2〜4μmである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】
非イオン性のオスモル濃度の調整剤が、マンニトール、グリセロール、グルコース、ラクトース、トレハロース、スクロース、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、エタノール、イソプロパノール、シクロデキストリン、シクロデキストリンの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項8】
オスモル濃度の調整剤が、マンニトール、グリセロール、グルコース及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
好適な賦形剤が、オスモル濃度の調整剤、懸濁剤、懸濁液のpHを調節する剤、キレート化剤、保存剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
好適な賦形剤が、懸濁剤、懸濁液のpHを調節する剤、キレート化剤、保存剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項11】
好適な賦形剤が非イオン性の賦形剤である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
懸濁液のpHを調節する剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択される有機酸である賦形剤として存在する、請求項9又は10記載の方法。
【請求項13】
懸濁剤が、ポリソルベート、チロキサポール、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、リン脂質、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9又は10記載の方法。
【請求項14】
懸濁剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法であって、
(a)非イオン性の1種以上の賦形剤を水中に溶解させる工程、
(b)該溶液を場合により濾過する工程、
(c)シクレソニドを該溶液内に均質に懸濁させる工程、及び
(d)(c)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法。
【請求項16】
請求項2記載の方法であって、
(a)非イオン性のオスモル濃度の調整剤と、場合により他の賦形剤とを水中に溶解させる工程、
(b)該溶液を場合により濾過する工程、
(c)シクレソニドを該溶液内に均質に懸濁する工程、及び
(d)(c)で提供された水性懸濁液をオートクレーブ処理する工程
を含む方法。
【請求項17】
オートクレーブ処理を90℃より高い温度で実施する、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
オートクレーブ処理を120℃より高い温度で実施する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
オートクレーブ処理を121℃で少なくとも15分間にわたり実施する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液が、225〜430ミリオスモル/kgの範囲、250〜350ミリオスモル/kgの範囲又は280〜300ミリオスモル/kgの範囲のオスモル濃度を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項21】
噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液であって、全てが非イオン性の賦形剤である1種以上の製剤学的に認容性の賦形剤を含有する滅菌水性懸濁液。
【請求項22】
噴霧化に適したシクレソニドの滅菌水性懸濁液であって、非イオン性のオスモル濃度の調整剤少なくとも1種と、場合により更なる製剤学的に認容性の賦形剤とを含有する滅菌水性懸濁液。
【請求項23】
請求項21又は22記載の滅菌水性懸濁液であって、225〜430ミリオスモル/kgの範囲、250〜350ミリオスモル/kgの範囲、又は280〜300ミリオスモル/kgの範囲のオスモル濃度を有する滅菌水性懸濁液。
【請求項24】
請求項21又は22記載の滅菌水性懸濁液であって、シクレソニドの平均粒度が、12μm未満、有利には0.1〜8μm、好ましくは1〜6μm、特に好ましくは2〜4μmである滅菌水性懸濁液。
【請求項25】
非イオン性のオスモル濃度の調整剤が、マンニトール、グリセロール、グルコース、ラクトース、トレハロース、スクロース、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、エタノール、イソプロパノール、シクロデキストリン、シクロデキストリンの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項26】
オスモル濃度の調整剤が、マンニトール、グリセロール、グルコース及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項25記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項27】
好適な賦形剤が、オスモル濃度の調整剤、懸濁剤、懸濁液のpHの調節のための剤、キレート化剤、保存剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項21記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項28】
好適な賦形剤が、懸濁剤、懸濁液のpHの調節のための剤、キレート化剤、保存剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項29】
好適な賦形剤が、非イオン性の賦形剤である、請求項22記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項30】
懸濁液のpHの調節のための剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸及びそれらの混合物からなる群から選択される有機酸である賦形剤として存在する、請求項27又は28記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項31】
懸濁剤が、ポリソルベート、チロキサポール、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、リン脂質、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項27又は28記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項32】
懸濁剤であるポリソルベートが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)である、請求項31記載の滅菌水性懸濁液。
【請求項33】
噴霧化によって投与するためのシクレソニドの水性懸濁液であって、噴霧化用の懸濁液内のシクレソニドの濃度が0.005%〜0.5%(質量/容量)(すなわち0.05mg/ml〜5mg/ml)の範囲にある水性懸濁液。
【請求項34】
シクレソニドの平均粒度が、12μm未満、有利には0.1〜8μm、好ましくは1〜6μm、特に好ましくは2〜4μmである、請求項21、22又は33記載の水性懸濁液。
【請求項35】
滅菌懸濁液である、請求項33記載のシクレソニドの水性懸濁液。
【請求項36】
請求項21又は22記載の配合である、請求項33記載のシクレソニドの水性懸濁液。
【請求項37】
請求項21又は22記載の滅菌水性懸濁液であって、賦形剤としてマンニトールとポリソルベート又はグリセロールとポリソルベートを含有する滅菌水性懸濁液。
【請求項38】
請求項37記載の滅菌水性懸濁液であって、追加的に塩酸又はクエン酸を含有する滅菌水性懸濁液。
【請求項39】
副腎皮質ステロイドを必要とする患者における臨床的状態を予防又は治療するための方法であって、治療学的有効量の請求項21、22又は33記載のシクレソニドの滅菌水性懸濁液を投与することを含む方法。
【請求項40】
臨床的状態が、喘息であり、患者が児童であり、治療が連続的な治療計画であり、かつシクレソニドの滅菌水性懸濁液を噴霧化によって投与する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
請求項21、22又は33記載の滅菌水性懸濁液を含有する密閉された容器と、連続的な治療計画における噴霧化による投与を指示するラベルとを含む医薬品。

【公表番号】特表2007−513993(P2007−513993A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544438(P2006−544438)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053495
【国際公開番号】WO2005/058935
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2、 D−78467 Konstanz、 Germany
【Fターム(参考)】