説明

噴霧熱分解方法を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置及び触媒製造方法

【課題】炭素ナノチューブ製造用触媒試薬の定量供給及び連続工程が可能であり、乾燥炉では、液状の試薬をノズルを通して反応器に連続的に供給して乾燥する方式で触媒を製造するとき、高温のヒーター熱で瞬間的に乾燥することで、別途の焼成工程なしに高純度の触媒を連続的に合成できるようにする噴霧熱分解方法を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置及び触媒製造方法を提供する。
【解決手段】多数個の原料タンクと、前記原料タンクからそれぞれ供給される原料を混合する攪拌部と、前記攪拌部から供給される混合物を噴射し、高温焼成を進行する乾燥部と、前記乾燥部から排出された乾燥物を貯蔵する貯蔵部とを含んで噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧熱分解方法を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置及び触媒製造方法に関するもので、より詳細には、試薬の定量供給及び連続工程が可能であり、乾燥炉では、液状の試薬をノズルを通して反応器に供給して乾燥する方式で触媒を製造するとき、高温のヒーター熱で瞬間的に乾燥することで、焼成工程なしに高純度の触媒を連続的に合成できるようにする噴霧熱分解方法を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置及び触媒製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、炭素ナノチューブ(Carbon Nanotube;CNT)とは、地球上に多量で存在する炭素からなる炭素同素体として、一つの炭素が他の炭素原子と六角形の蜂の巣状に結合されてチューブ形態をなす物質であり、チューブの直径がナノミリメートル(nm=10億分の1メートル)水準に極めて小さい領域の物質をいう。
【0003】
最近、ナノ科学技術は、今後21世紀を先導していく科学技術として、電子情報通信、医薬、素材、製造工程、環境及びエネルギーなどの分野で未来の技術として浮き彫りにされた。特に、ナノ科学技術分野のうち炭素ナノチューブ(Carbon Nanotube;CNT)は、新しい物質特性の具現が可能であり、基礎研究の重要性と産業的応用性が同時に大いに脚光を浴びている。
【0004】
1985年に、KrotoとSmalleyは、炭素の同素体(allotrope)の一つであるフラーレン(Fullerene)(60個の炭素原子が集まったもの:C60)を初めて発見した。その後、1991年に、この新しい物質を研究していた日本電気会社(NEC)付設研究所のIijima博士は、電気放電法を使用して黒鉛陰極上に形成した炭素塊りをTEMで分析する過程で細くかつ長い筒状の炭素ナノチューブ[1]を発見し、これをNatureに初めて発表した。このときに成長された炭素ナノチューブの長さは数十nm〜数mで、外径は2.5〜30nmであった。炭素ナノチューブでは、一つの炭素原子が3個の異なる原子とsp2結合の六角形の蜂の巣状をなしており、このチューブの直径が数nm程度に極めて小さいので、ナノチューブと呼ばれるようになった。
【0005】
1992年に、Ebbesen、Ajayanなどは、電気放電法を使用して炭素ナノチューブを合成するときにチャンバー内のヘリウム圧力を高める場合、黒鉛陰極上で炭素ナノチューブの合成収率が大いに増加するという事実を発表した。1993年に、IBMのBethuneとNECのIijimaなどは、電気放電法を使用して直径が1nm水準である単一壁ナノチューブ(single wall nanotube;SWNT)合成を発表した。次いで、1996年に、Smalleyなどは、レーザー蒸着法[2]で均一な直径を有するSWNTを高収率で成長させる方法を発表し、このときに成長されたSWNTは、束形態で存在するので、束状ナノチューブ(rope nanotube)と命名した。1998年に、Renなどは、プラズマ化学気相蒸着法[3]を使用してガラス基板上に垂直配向された高純度の炭素ナノチューブを合成することで、炭素ナノチューブの合成と応用技術面で画期的な進展をもたらした。その後、炭素ナノチューブ合成及び応用に関する研究は、国内外で多くの研究者によって活発に行われている。
【0006】
上記のような炭素ナノチューブは、電気放電法、レーザー蒸着法、気相合成法及び電気分解法などによって製造されており、気相合成法には、基板を使用する方法と基板を使用しない方法があり、反応炉内に反応ガスと基板なしに触媒を直接供給して合成する方法は、炭素ナノチューブを大量で合成するのに有利な方法である。
【0007】
炭素ナノチューブの合成に使用される触媒の製造方法には、一般的に含浸法、イオン交換法、沈殿法などがあり、現在まで炭素ナノチューブ合成で紹介されている触媒の製造方法は、次の通りである。
【0008】
1)ソル−ジェル方法
ソル−ジェル反応による触媒製造方法は、硝酸鉄(Fe nitrate)などの転移金属前駆体物質とTEOS(tetraethoxysilane)、アルミナ前駆体などのネットワーク形成物質をエタノールと水溶液で混合し、数時間の間にゲル化反応を行った後、最終的に溶媒を除去するための超臨界乾燥過程及び焼成過程を経て触媒を製造する方法である。ネットワーク形成物質は、触媒粒子を安定化させ、熱処理過程の間に焼結が起こることを防止する役割をする。
【0009】
2)含浸法
触媒前駆体を溶液上で商用のシリカ、アルミナ、MgOなどの支持体に接触させた後、多孔性支持体の外部気孔と内部気孔に触媒溶液を浸透させ、吸着が起こるようにして触媒を製造する方法である。
【0010】
3)固溶体法
Co(NO6HO及びMg(NO6HOの二つの前駆体を発泡剤であるウレアまたはクエン酸などの有機化合物と混合し、約500℃で加熱して燃焼した後、乾燥と粉砕過程を通して触媒を製造する方法である。このとき、助触媒としてMo前駆体を一緒に使用して触媒を製造することもできる。
【0011】
4)イオン交換法
イオン交換法で担持すると、触媒物質が非常に均一に分布されるという長所がある。触媒前駆体溶液とゼオライトを接触させることは上記の方法と同一であるが、ゼオライトは、陽イオン交換性質を有するので、触媒前駆体の陽イオンとゼオライトの陽イオンとのイオン交換が起こり、新しい前駆体分子が形成される。触媒前駆体の熱分解を経ると、酸化された形態の触媒粒子がゼオライトの表面上に形成される。所望の触媒担持量を得るために、交換過程を複数回反復することもある。
【0012】
5)共沈法
Co(HC−CO4HOなどの触媒前駆体に支持体物質を浸すと、支持体の表面上で酸−塩基反応が起こりながら触媒前駆体物質の沈殿が起こる。この反応において、初期触媒前駆体のpHが重要な役割をする。アルミナを水溶液に浸すと、pHによって表面電位が異なるようになる。酸性では表面が陽電荷を帯びるので、陰イオン状態の活性物質がよく吸着され、アルカリ性では表面が陰電荷を帯びるので、陽イオン状態の活性物質がよく吸着される。これは、固体表面の電荷分布と関連があり、特に、表面電荷が0になるpHを等電点(isoelectric point)という。
【0013】
6)逆ミセル(Reverse micelle)方法
この方法では、陽イオン性界面活性剤をトルエンなどの有機溶媒上に溶解し、この溶液に金属塩を添加した後、酸化された金属を還元するために還元剤を添加する。その結果、コロイド形態のナノ大きさの触媒粒子が形成される。コロイドナノ触媒溶液をCVD反応器に噴射してCNTを合成できるが、ナノ触媒の濃度自体を大いに増加できないので、CNTの生産性に問題が生じる。
【0014】
7)カルボニル化合物の熱分解方法
カルボニル化合物の熱分解によって触媒金属粒子がクラスター形態であるナノ粒子金属を製造することができる。エーテル溶媒上にカルボニル化合物の凝集現象を最小化するためのオクタン酸などの添加剤を入れた後、反応物の熱分解反応が起こるように逆流(reflux)過程を経る。Fe(CO)、Ni(CO)などの有機金属化合物を運搬気体によって反応器領域に移動させた後、基板上に前記有機金属化合物の熱的分解が起こるようにして触媒粒子を形成することもできる。
【0015】
上記のような各方法によって、現在、炭素ナノチューブ合成用触媒の生産が小規模水準で可能であるが、触媒の製造原価、すなわち、経済性を確保できる量産技術が確保されていないので、最終的に炭素ナノチューブの原価を大いに増加させるという短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、炭素ナノチューブ製造用触媒試薬の定量供給及び連続工程が可能であり、乾燥炉では、液状の試薬をノズルを通して反応器に連続的に供給して乾燥する方式で触媒を製造するとき、高温のヒーター熱で瞬間的に乾燥することで、別途の焼成工程なしに高純度の触媒を連続的に合成できるようにする噴霧熱分解方法を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置及び触媒製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記のような目的を達成するために、次のような構成を有する。
【0018】
本発明の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置は、多数個の原料タンクと、前記原料タンクからそれぞれ供給される原料を混合する攪拌部と、前記攪拌部から供給される混合物を噴射し、加熱及び焼成を進行する乾燥部と、前記乾燥部から排出された乾燥物を貯蔵する貯蔵部とを含んで構成される。
【0019】
また、前記乾燥部は、攪拌部から供給された混合物を噴射し、乾燥炉を通して熱分解し、熱分解によって発生する触媒を冷却して排出し、前記乾燥部では、混合物と運搬ガスとを混合して噴射し、前記乾燥部では、活性材をさらに混合し、前記活性材は混合原料を精製する。
【0020】
そして、前記運搬ガスは、窒素(N)またはアルゴン(Ar)から選択された何れか一つからなる。
【0021】
また、前記乾燥部は、内部混合型または外部混合型から選択された何れか一つを用いて混合原料を噴射する。
【0022】
そして、前記原料タンクは、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群をそれぞれ個別的に供給する。
【0023】
一方、本発明の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置は、1)多数個の原料を供給する段階と、2)1)段階で供給された多数個の原料を混合する段階と、3)混合原料を液体状態で噴霧して高温乾燥する段階と、4)3)段階によって乾燥されて発生した触媒を貯蔵する段階とを含んで構成される。
【0024】
そして、前記1)段階は、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群をそれぞれ個別的に供給する。
【0025】
また、前記2)段階における原料の混合時間は、20〜24時間以内である。
【0026】
そして、前記3)段階では、噴射される混合原料を200〜1100℃以内で乾燥し、前記3)段階では、混合原料を20ml/h〜2l/h以内の速度で乾燥炉の内部に噴射して自由落下させ、前記3)段階では、混合原料の噴射時に混合原料とノズルを通して噴射される運搬ガスを噴射し、前記運搬ガスは、窒素(N)またはアルゴン(Ar)から選択された何れか一つからなり、前記3)段階は、混合原料を精製する段階をさらに含む。
【0027】
また、前記精製段階では、活性材を混合原料と混合・噴射し、前記活性材は混合原料を精製し、前記活性材は酸素(O)である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、液状またはスラリー形態の触媒製造用試薬または混合物の乾燥炉内部への定量供給及び連続投入工程が可能であり、乾燥炉では、前記液状の試薬を微細ノズルを通して反応器に供給して乾燥する方式で触媒を製造するとき、高温の熱によって瞬間的に乾燥することで、別途の焼成工程なしに高純度の触媒を連続的に合成することができる。
【0029】
また、均一な大きさの触媒を得ることができ、炭素ナノチューブの均一性を追求することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な各実施例を添付された図面に基づいて一層詳細に説明する。本発明の各実施例は多様な形態に変形可能であり、本発明の範囲は、下記で説明する各実施例に限定されるものとして解析されてはならない。本実施例は、当該発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に本発明を一層詳細に説明するために提供されるものである。したがって、図面には、より明確な説明を強調するために、各要素の形状が誇張されて図示される。
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。
【0032】
図1及び図2に示すように、前記触媒製造装置10は、原料供給部100、攪拌部200、乾燥部300及び貯蔵部400を含んで構成される。
【0033】
前記原料供給部100は、多数個の原料タンク110,120,130,140からなるが、前記原料タンクには、触媒を製造するための主触媒、助触媒、触媒を支持する支持体及び各原料を液化するための液化原料がそれぞれ収容されている。そして、前記各原料としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)、ゼオライト及びアンモニア水(Ammonia)があり、前記各原料タンクは、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群を個別的に供給する。すなわち、前記各原料タンクは、一つ以上の触媒原料、これを固定するための支持体及び触媒を液体状態にするための液状の原料を含み、各原料を個別的に供給する。
【0034】
前記攪拌部200は、適正な大きさのタンクがそれぞれ一対に設けられ、前記原料供給部100から原料供給ラインL1に沿って供給された原料を受ける。前記攪拌部200に供給された原料は、攪拌部200内で長時間の間混合されるが、20〜24時間の間混合されることが好ましい。これは、各原料を正確に混合するための時間であり、過度に長い時間の間攪拌すると、触媒製造のための供給に支障が生じ、過度に短い時間の間攪拌すると、原料が均一に混合されなくなる。そのため、一対の攪拌部を通して一側が攪拌する間、他側が混合原料を供給することで、触媒製造に連続性を持たせる。
【0035】
前記乾燥部300は、前記攪拌部200から原料供給ラインL2を通して供給された混合原料を受けて、これを乾燥炉330の内部に噴射するノズル320と、噴射された混合原料を乾燥するヒーター340と、乾燥炉330の熱が外部に発散されることを防止するための断熱材350とを備えており、前記ノズル320は、混合原料と運送ガスをノズル320の内部で混合・噴射している。ここで、前記乾燥炉本体310の上部には、乾燥炉330側と連通された排出口331を設けており、前記排出口331を通して排気ガスを排出している。また、前記排出口331側に別途に集塵器332と排出ガス処理装置360を備えることで、排出ガスを浄化することもできる。そして、前記集塵器332の内部に設けられたフィルター333の上部には外部から空気を供給するためのエア供給ラインALが連結され、下部には排出ラインDLが連結されることで、外部に排出される空気に含まれた触媒剤を貯蔵部400に集塵することができ、前記乾燥炉本体310上部の原料供給ラインL2とノズル320が連結されることで、ノズル320を通して混合原料を噴射することができる。
【0036】
また、前記ノズル320では、図3aまたは図3bに示すように、混合原料を乾燥炉330の内部で運送する運送ガス供給口321aが混合原料供給路321と連結されることで、外部からガスを供給することができ、前記運送ガス供給口321aの下端には混合原料供給路321と隣接するように別途の活性材供給路322を設けることで、運送ガス及び活性材を混合することができる。ここで、前記ノズル320は、運送ガス及び混合原料がノズルの内部で混合された状態で前記ノズル320の内部で活性材と混合される内部混合型、及び活性材がノズル320の外部で混合される外部混合型から選択された何れか一つを使用して混合原料を噴射することができる。すなわち、内部混合型の場合、運送ガス、活性材及び混合原料をノズル320の内部に形成された空間部323で混合してノズル口324を通して噴射しており、外部混合型の場合、まず、運搬ガスと混合原料を混合した後、ノズル口325を通して噴射し、前記ノズル口325と隣接した位置で活性材を別途のノズル口324を通して噴射し、ノズル口324,325の外側空間部323で混合する。ここで、前記活性材は、乾燥炉の内部で混合原料を精製して不純物を除去する精製役割を行い、酸素(O)を用いている。
【0037】
そして、前記運送ガスとしては、窒素(N)またはアルゴン(Ar)から選択された何れか一つが使用される。これは、混合原料が乾燥炉330の内部に噴射されたとき、運送ガスを用いて乾燥炉330の内壁側に混合原料が密着されることを防止し、高温乾燥による触媒発生を容易にするためであり、前記混合原料に酸素を供給することで、触媒の活性度を極大化するためである。
【0038】
また、前記乾燥炉330は、ノズル320から下側に長く形成され、前記乾燥炉330の外周を取り囲むヒーター340が長さ方向に沿って多数個設けられて乾燥炉330を加熱しており、下側に冷却ラインWLが設けられて高温の触媒を冷却している。ここで、前記ヒーターの加熱温度は、200〜1100℃にすることが好ましい。これは、加熱温度が過度に高い場合、混合原料が熱によって気化される現象が発生し、加熱温度が過度に低い場合、混合原料が自由落下する間に充分に加熱されないためである。
【0039】
そして、前記乾燥炉330に設けられた排出口331側に集塵器332を配置し、前記集塵器332の内部にフィルター333を設けて、前記フィルター333の上部側に延長されるエア供給ラインを前記ノズル320に連結されたエア供給ラインALから延長することで、触媒は、集塵器332を通して集塵された状態で貯蔵部400側に貯蔵されるようになる。
【0040】
前記排出ガス処理装置360は、廃棄ガスを処理するための一般的な公知技術を用いているので、それに対する具体的な説明は省略する。
【0041】
前記貯蔵部400は、乾燥部300から形成された触媒を貯蔵するための手段であり、前記乾燥部300の下側に設けられ、外部空気によって発生した触媒を貯蔵部400側に運送する排出ラインDLを通して触媒を貯蔵部400に移送している。
【0042】
本発明の作動状態を見ると、原料供給部100の原料タンク110,120,130,140から触媒製造のための原料を個別的に供給する。
【0043】
次に、供給された原料は、原料供給ラインL1に沿って攪拌部200に収容される。このとき、原料供給ラインL1を通して供給される原料としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)、ゼオライト及びアンモニア水などがあり、前記各原料タンクは、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群を個別的に供給する。すなわち、前記各原料タンクは、一つ以上の触媒原料、これを固定するための支持体及び触媒を液体状態にするための液状の原料を含み、各原料を個別的に供給する。
【0044】
次に、前記攪拌部200に収容された原料は、一定時間(20〜24時間)の間の攪拌過程を経て混合され、混合された原料は、原料供給ラインL2を通して乾燥部300に供給され、前記乾燥部300は、ノズル320を通して混合原料を運送ガスと混合して噴射する。このとき、前記ノズル320では、運送ガスと混合原料との混合物と別途の活性材とを混合して乾燥炉330の内部に噴射することができ、前記ノズル320は、活性材を外部混合型及び内部混合型から選択された何れか一つを用いて混合原料を噴射することができる。
【0045】
次に、噴射された混合原料は、乾燥炉330の内部で自由落下してヒーター340によって高温で乾燥され、乾燥過程で触媒剤として活性化される。活性化された触媒剤は、乾燥炉330の下側に設けられた冷却ラインWLを通過して冷却され、冷却触媒剤は、排出ラインDLを通して外部に排出されて貯蔵される。このとき、前記排出ラインDLが前記集塵器332側と連結されているので、触媒剤は、集塵器332の内部に流入し、集塵器332内部のフィルター333によって捕集される。捕集された触媒剤は、フィルター333の上部に設けられたエア供給ラインALによって一定時間の経過時ごとにフィルター333が空になるという原理に基づいて、集塵器332の下部に連結された貯蔵部400に貯蔵される。そして、フィルター333を通過した空気は、排出ガス処理装置360側に移動して排出される。
【0046】
以下、添付された図面を参照して本発明の触媒製造方法を説明する。
【0047】
本発明の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法は、1)多数個の原料を供給する段階(S10)と、2)1)段階で供給された多数個の原料を混合する段階(S20)と、3)混合原料を液体状態で噴霧して高温状態で乾燥する段階(S30)と、4)3)段階によって乾燥されて発生した触媒を貯蔵する段階(S40)とを含んで構成される。
【0048】
前記1)段階(S10)は、多数個の原料タンクを用いてそれぞれ異なる原料を収容した状態で各原料を攪拌部に供給する段階であり、前記1)段階(S10)では、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群をそれぞれ個別的に供給している。すなわち、前記各原料は、触媒製造時に主触媒、助触媒及び支持体として用いられ、これらが結合された状態を液化するための液体原料が供給される。
【0049】
2)段階(S20)は、前記1)段階(S10)で供給された各原料を混合する段階であり、供給された原料を一対の攪拌部を通して収容し、これをそれぞれ攪拌することで、混合原料を連続的に供給している。ここで、前記原料が各攪拌部を通して20〜24時間以内の原料混合時間を有して攪拌されることで、連続的な工程が可能になる。すなわち、一つの攪拌部から供給される混合原料が、他の攪拌部で攪拌中の原料混合が終了するまで混合されることで、反復的に工程が行われる。
【0050】
前記3)段階(S30)は、2)段階で混合された混合原料を供給ラインを通してノズルに移動させ、ノズルを通して乾燥炉の内部に噴射して乾燥する段階である。この段階では、ノズルを通して混合原料及び運送ガスを混合して噴射し、このときに噴射される混合原料は、自由落下によって乾燥炉側を通過する。そして、前記3)段階は、精製段階をさらに含んでいる。この段階は、噴射される運送ガスに含まれた混合原料と活性材を混合・噴射する段階で、活性材と混合原料は、ノズルの内部または外部で混合されるように選択することができる。すなわち、混合原料と運送ガスを混合した後、活性材を別途に噴射して外部で混合する場合と、混合原料、運送ガス及び活性材をノズルの内部で混合した後で噴射する場合がある。ここで、前記活性材は、混合原料と混合・噴射することで、乾燥時に触媒剤との反応によって触媒剤の不純物を除去・精製するもので、前記活性材としては、酸素(O)を用いることが好ましい。
【0051】
一方、前記ノズルを通して噴射される混合原料は、1μm〜10μm大きさの微粒子形態となり、乾燥炉内での充分な乾燥によって触媒剤の形態で形成される。
【0052】
また、前記運搬ガスとしては、窒素(N)またはアルゴン(Ar)から選択された何れか一つを使用し、前記混合原料を20ml/h〜2l/h以内の速度で乾燥炉の内部に噴射して自由落下させ、噴射される混合原料を200〜1100℃以内で乾燥する。これは、加熱温度が過度に高い場合、混合原料が熱によって気化される現象が発生し、加熱温度が過度に低い場合、混合原料が自由落下する間に充分に加熱されないためである。ここで、前記乾燥炉の温度は、自由落下する混合原料の落下速度などを勘案して調節することができる。すなわち、前記ノズルを通して均一な大きさ及び速度で噴射することで、触媒の形成量を一定に調節し、乾燥炉での乾燥を均一にすることができ、触媒形成の均一性を追求可能にするためであり、図5に示すように、触媒剤を精製可能な活性材を混合・噴射することで、触媒剤の構造を球形態の中空状態で形成することができ、表面積を極大化し、炭素ナノチューブとの活性度を極大化することができる。
【0053】
そして、前記3)段階(S30)は、図面に示していないが、混合原料の乾燥時に発生する廃棄ガスを排出して浄化する段階を含むことが好ましい。
【0054】
前記4)段階(S40)は、前記3)段階(S30)で形成された触媒を空気運送によって貯蔵する段階である。
【0055】
本発明を好適な各実施例に基づいて詳細に説明したが、これと異なる形態の実施例も可能である。したがって、特許請求の範囲の技術的思想と範囲は、好適な各実施例に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る炭素ナノチューブ用触媒製造装置を示したブロック図である。
【図2】図1の乾燥部を示した断面図である。
【図3a】図2のノズルを示した断面図である。
【図3b】図2のノズルを示した断面図である。
【図4】本発明に係る炭素ナノチューブ用触媒製造方法を示したブロック図である。
【図5】本発明に係る炭素ナノチューブ用触媒の顕微鏡組織を示した写真である。
【符号の説明】
【0057】
100 原料供給部
200 攪拌部
300 乾燥部
400 貯蔵部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の原料タンクと、
前記原料タンクからそれぞれ供給される原料を混合する攪拌部と、
前記攪拌部から供給される混合物を噴射し、加熱及び焼成を進行する乾燥部と、
前記乾燥部から排出された乾燥物を貯蔵する貯蔵部と、を含んで構成されることを特徴とする噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項2】
前記乾燥部は、攪拌部から供給された混合物を噴射し、乾燥炉を通して熱分解し、熱分解によって発生する触媒を冷却して排出することを特徴とする請求項1に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項3】
前記乾燥部では、混合物と運搬ガスとを混合して噴射することを特徴とする請求項2に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項4】
前記乾燥部では、活性材をさらに混合することを特徴とする請求項3に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項5】
前記活性材は、混合原料を精製することを特徴とする請求項4に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項6】
前記運搬ガスは、窒素(N)またはアルゴン(Ar)から選択された何れか一つからなることを特徴とする請求項3に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項7】
前記乾燥部は、内部混合型または外部混合型から選択された何れか一つを用いて混合原料を噴射することを特徴とする請求項3または4に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項8】
前記原料タンクは、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群をそれぞれ個別的に供給することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造装置。
【請求項9】
1)多数個の原料を供給する段階と、
2)1)段階で供給された多数個の原料を混合する段階と、
3)混合原料を液体状態で噴霧して高温乾燥する段階と、
4)3)段階によって乾燥されて発生した触媒を貯蔵する段階と、を含んで構成されることを特徴とする噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項10】
前記1)段階は、Fe、Ni、Coまたはこれらの前駆体、アルミニウム(Al)または前駆体、Mgまたは前駆体、モリブデン(Mo)または前駆体及びアンモニア水に対して選択された触媒製造群をそれぞれ個別的に供給することを特徴とする請求項9に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項11】
前記2)段階における原料の混合時間は、20〜24時間以内であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項12】
前記3)段階では、噴射される混合原料を200〜1100℃以内で乾燥することを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項13】
前記3)段階では、混合原料を20ml/h〜2l/h以内の速度で乾燥炉の内部に噴射して自由落下させることを特徴とする請求項11に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項14】
前記3)段階では、混合原料の噴射時に混合原料とノズルを通して噴射される運搬ガスを噴射し、前記運搬ガスは、窒素(N)またはアルゴン(Ar)から選択された何れか一つからなることを特徴とする請求項13に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項15】
前記3)段階は、混合原料を精製する段階をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項16】
前記精製する段階では、活性材を混合原料と混合及び噴射することを特徴とする請求項15に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項17】
前記活性材は、混合原料を精製することを特徴とする請求項16に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。
【請求項18】
前記活性材は、酸素(O)であることを特徴とする請求項17に記載の噴霧熱分解方式を用いた炭素ナノチューブ用触媒製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−148758(P2009−148758A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327993(P2008−327993)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(508377381)イーエム−パワー カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】