説明

嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子の調節因子

本発明は、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子を含む、ATP結合カセット(「ABC」)輸送体またはそのフラグメントの調節因子、その組成物、およびそれを用いる方法に関する。本発明はまた、このような調節因子を用いるABC輸送体媒介性疾患の処置方法に関する。本発明の化合物およびその薬学的に受容される組成物は、ABC輸送体活性の調節因子として有効である。これらの化合物は、一般式Iまたは一般式I’を有するか、または薬学的に受容されるその塩であり、式中R、R、R、RおよびArは本明細書に定義されるとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許法第119条の下、「MODULATORS OF CYSTIC FIBROSIS TRANSMEMBRANE CONDUCTANCE REGULATOR」と題された、2007年5月25日に出願された米国特許出願第60/931,755号、「MODULATORS OF CYSTIC FIBROSIS TRANSMEMBRANE CONDUCTANCE REGULATOR」と題された、2007年8月29日に出願された米国特許出願第60/968,704号への優先権を主張し、このそれぞれの米国特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子(「CFTR」)の調節因子、その組成物およびそれを用いる方法に関する。本発明はまた、このような調節因子を用いてCFTR媒介性疾患を処置する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ABC輸送体は、さまざまな薬剤、潜在的に毒性のある薬物および生体異物、ならびにアニオンの輸送を調節する一群の膜輸送体タンパク質である。ABC輸送体は、その比活性のために細胞アデノシン三リン酸(ATP)を結合しかつ用いる相同な膜タンパク質である。これらの輸送体のいくつかは、悪性癌細胞を化学療法薬から防御する多剤耐性タンパク質(例えば、MDR1−P糖タンパク質、または多剤耐性タンパク質、MRP1)として発見された。これまでに48個のABC輸送体が同定されており、配列同一性および機能に基づいて7群に分類されている。
【0004】
ABC輸送体は、体内におけるさまざまな重要な生理的役割を調節し、かつ有害な環境化合物に対する防御を提供する。このため、これらは輸送体における欠陥に関連する疾患の治療、標的細胞からの薬物輸送の防止、およびABC輸送体活性の調節が有益であり得るその他の疾患の診療に対する、重要な潜在的薬物標的である。
【0005】
ABC輸送体のファミリーのうち、通常は疾患を伴うものの1つは、cAMP/ATP媒介性のアニオンチャネル、CFTRである。CFTRは、吸収性の上皮細胞および分泌性の上皮細胞を含むさまざまな細胞型で発現され、ここで膜を横切るアニオンの流動ならびにその他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を調節する。上皮細胞において、CFTRが正常に機能することは、呼吸組織および消化組織を含む全身の電解質輸送の維持において非常に重要である。CFTRは、それぞれ6個の膜貫通へリックスとヌクレオチド結合ドメインとを含む、膜貫通ドメインのタンデムリピートから構成されるタンパク質をコードする約1480個のアミノ酸からなる。2つの膜貫通ドメインが、チャネル活性および細胞輸送を調節する複数のリン酸化部位を持つ、大型で極性の調節(R)ドメインによって連結されている。
【0006】
CFTRをコードする遺伝子は、同定され配列が決定している。(非特許文献1;非特許文献2参照)、(非特許文献3)。この遺伝子の欠損は、CFTRの変異の原因となり、ヒトにおいて最もよく見られる致命的な遺伝性疾患である嚢胞性線維症(「CF」)を引き起こす。嚢胞性線維症は、米国内の幼児の約2,500人に1人に発症する。米国内の一般住民のうち最大1千万人が、明白な病的影響なくこの欠損遺伝子の単一のコピーを保有している。これに対し、CF関連の遺伝子の2個のコピーを持つ人々は、慢性肺疾患を含むCFの消耗性および致命性の影響に苦しんでいる。
【0007】
嚢胞性線維症の患者において、呼吸上皮に内因性発現したCFTRの変異は、イオンと液体輸送の不均衡の原因となるアピカル・アニオンの分泌低下につながる。結果として生じるアニオン輸送の減少は、肺内の粘液蓄積、およびCF患者を最終的に死に至らしめる付随する微生物感染に寄与する。CF患者は、呼吸器疾患に加え、胃腸障害および膵機能不全に悩まされることが多く、これらを治療せずに放置した場合、死にいたる。さらに、嚢胞性線維症を患う男性の多くは不妊であり、嚢胞性線維症を患う女性の受精能力は低くなる。2個のコピーのCF関連の遺伝子による重篤な影響に比べ、単一のコピーのCF関連の遺伝子を持つ個体は、コレラおよび下痢による脱水症に対する耐性の増加を示すが、これはおそらくこうした集団内での比較的高頻度のCF遺伝子を説明するものであろう。
【0008】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析によって、疾患の原因となるさまざまな変異が明らかになっている(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。これまでに、CF遺伝子における疾患の原因となる1000を超える変異が特定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も蔓延している変異は、CFTRアミノ酸配列の508位におけるフェニルアラニン欠失であり、これは一般にΔF508−CFTRとよばれる。この変異は、嚢胞性線維症の症例のうち約70%に発生し、重篤な疾患をともなう。
【0009】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、新生のタンパク質の正しい折り畳みを妨げる。これによって、変異タンパク質がERを出て、原形質膜へ移動することが不可能になる。その結果、膜内に存在するチャネルの数は野生型CFTRを示す細胞内で観察されるものを大幅に下回る。移動障害に加え、変異はチャネル開閉の障害をもたらす。まとめると、膜内のチャネル数の減少と開閉の障害が上皮を横切るアニオン輸送の減少をもたらし、これがイオンおよび液体輸送の欠陥をもたらす(非特許文献8)。しかし、研究により、膜内のΔF508−CFTRの数の減少は、野生型CFTRは下回るものの、機能的であることが明らかになっている(非特許文献9;Denning et al.上掲;非特許文献10)。ΔF508−CFTRに加え、輸送、合成、および/またはチャネル開閉の欠陥を招く、CFTRにおける他の疾患の原因の変異を上方制御または下方制御してアニオン分泌を変化させ、疾患の増悪および/または重篤度を緩和することができるであろう。
【0010】
CFTRはアニオンに加えてさまざまな分子を輸送するが、この役割(アニオンの輸送)は、イオンおよび水を上皮組織を横切って輸送する重要な機構の1つの要素であることは明らかである。その他の要素としては、上皮組織のNaチャネル、ENaC、Na/2Cl/K共同輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび塩素イオンの細胞への摂取に関与する側底膜Kチャネルが挙げられる。
【0011】
これらの要素は、細胞内における選択的発現および局在性を介し、一緒になって作用して上皮組織を横切る方向性輸送を達成する。塩素イオン吸収は、頂端膜上に存在するEnaCおよびCFTRの配位性活性、ならびに細胞の側底面に発現されるNa−K−ATPaseポンプおよびCl−チャネルによって起こる。腔側からの塩素イオンの二次性能動輸送は、細胞内塩素イオンの蓄積を招き、これが次にClチャネルを経由して細胞から受動的に遊離し得、方向性の輸送をもたらす。Na/2Cl/K共輸送体、Na−K−ATPaseポンプおよび側底面の側底膜Kチャネルおよび腔側のCFTRの配置は、腔側のCFTRを経由して塩素イオンの分泌を協調させる。水はおそらく自ら能動的に輸送されないため、その上皮組織を横切る流れは、ナトリウムおよび塩素イオンの大きな流れによって生じる微小な経上皮浸透勾配に依存する。
【0012】
CFTR活性の調節は、嚢胞性線維症に加え、分泌性の疾患およびCFTRに媒介されるその他のタンパク質の折り畳み疾患などの、CFTRの変異を直接の原因としない他の疾患にも有益である場合がある。これらとしては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ドライアイ疾患およびシェーグレン症候群が挙げられるがこれに限定されない。COPDは、進行性であり完全に可逆性でない気流の制限を特徴とする。この気流の制限は、粘液過分泌、肺気腫および細気管支炎に起因する。変異型または野生型CFTRの活性化因子は、COPDに共通である粘液過分泌および粘液線毛クリアランス障害の潜在的な治療を提供する。詳細には、CFTRを横切るアニオン分泌の増大により、気道表面液体への液体輸送を容易にして粘膜に水分を補給し、繊毛周囲の液体粘性を最適化する場合がある。これによって粘液線毛クリアランスが強化され、COPDに付随する症状の低減がもたらされる。ドライアイ疾患は、涙液の生成の減少、ならびに涙液膜の脂質、タンパク質およびムチンプロフィールの異常を特徴とする。ドライアイには多くの原因があり、そのうちのいくつかとしては年齢、レーシック眼球手術、関節炎、薬物治療、化学熱傷/熱傷、アレルギー、ならびに嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群などの疾患が挙げられる。CFTRを介した陰イオン分泌の増加は、角膜内皮細胞および眼の周囲の分泌腺からの液体輸送を強化し、角膜の水和を増大させるであろう。これは、ドライアイ疾患に付随する症状を和らげることにつながる。シェーグレン症候群は、眼、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣および腸を含む、全身の水分を生成する腺を免疫系が攻撃する自己免疫疾患である。症状としては、目、口および膣の乾燥、ならびに肺疾患が挙げられる。また、この疾患は関節リウマチ、全身性ループス、全身性硬化症および多発性筋炎/皮膚筋炎を伴う。この疾患の原因はタンパク質輸送の欠陥と考えられており、これに対する治療法の選択肢は限られている。CFTR活性の調節因子は、この疾患に悩まされているさまざまな臓器に水分を補給し、付随する症状の増大を補助し得る。
【0013】
上記に記載のとおり、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は新生タンパク質の正確な折り畳みを妨げ、これによってこの変異タンパク質のERからの遊離および原形質膜への輸送を不可能にすると考えられている。結果として、原形質膜に存在する成熟タンパク質の量が不足し、上皮組織内の塩化イオン輸送が有意に減少する。実際、ER機構によるABC輸送体のERプロセシングの欠陥というこの細胞現象は、CF疾患だけでなく、広範囲にわたる単独性および遺伝性疾患の基礎となっていることが示されている。ER機構が異常をきたし得るのは、タンパク質のER移行への連結が失われることにより分解が起こる場合か、またはこれらの欠陥/異常な折り畳み構造のタンパク質のERの蓄積による場合の2つである[非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15]。第一のクラスのER異常に関連する疾患は、嚢胞性線維症(上記に記載のとおり異常な折り畳み構造のΔF508−CFTRに起因する)、遺伝性の肺気腫(a1−アンチトリプシン、非Piz改変体に起因する)、遺伝性の血色素症、凝固・繊維素溶解欠乏症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症(リソソームプロセシング酵素に起因する)、サンドホフ病/テイ・サックス病(β−ヘキソサミニダーゼに起因する)、クリーグラー・ナジャー病II型(UDP−グルクロン酸シアル転移酵素に起因する)、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリン受容体に起因する)、ラロン小人症(成長ホルモン受容体に起因する)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンに起因する)、黒色腫(チロシナーゼに起因する)である。ER異常の下位分類に関連する疾患は、グリカノシスCDG1型、遺伝性の肺気腫(α1−アンチトリプシン(PiZ改変体)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型プロコラーゲンに起因する)、遺伝性線維素原減少症(フィブリノゲンに起因する)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンに起因する)、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症(バソプレッシンホルモン/V2−受容体に起因する)、腎性尿崩症(アクアポリンIIに起因する)、シャルコー・マリー・ツース症候群(末梢性ミエリンタンパク質22に起因する)、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因する)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病(リソソームα−ガラクトシダーゼAに起因する)およびストロイスラー・シャインカー症候群(Prpプロセシング欠損に起因する)である。
【0014】
CFTR活性の上方調節に加え、CFTR調節因子による陰イオン分泌の減少も分泌性下痢の治療に有効である場合があり、ここでは分泌促進物質活性の塩化イオン輸送の結果として上皮の水輸送が劇的に増加する。この機構は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を含む。
【0015】
下痢には多数の原因があるが、過度の塩化イオン輸送から生じる下痢疾患の主要な帰結としてはすべてに共通して、脱水症、アシドーシス、発育障害および死亡が挙げられる。
【0016】
急性および慢性の下痢は、世界の多くの地域において大きな医療上の問題を示している。下痢は、栄養不良の重要な要素であり、かつ5歳未満の子供における死因の第1位である(年間500万人が死亡)。
【0017】
分泌性下痢もまた後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性大腸疾患(IBD)患者における危険な状態である。毎年、先進工業国から発展途上国を訪れる1600万人の旅行者が重度の下痢を発症し、下痢の重症度および症例数は旅行先の国および地域によって異なる。
【0018】
動物性の下痢(scours)としても公知の、ウシ、ブタおよびウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌなどの家畜およびペットの下痢は、これらの動物の主要な死因である。下痢は、離乳または物的移動などの任意の主要な変遷、ならびに種々の細菌やウイルス感染への反応に由来することがあり、概してこれらの動物の生後最初の数時間以内に発生する。
【0019】
下痢を引き起こす最も一般的な細菌は、K99繊毛抗原を有する腸管毒素原性E.coli(ETEC)である。下痢によく見られるウイルス性の原因は、ロタウイルスおよびコロナウイルスが挙げられる。その他の感染因子としては、とりわけクリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫(giardia lablia)、サルモネラ菌が挙げられる。
【0020】
ロタウイルス感染の症状としては、水様便の排泄、脱水症および衰弱が挙げられる。コロナウイルスは、新生動物により重篤な病気を引き起こし、ロタウイルス感染よりも高い死亡率を有する。しかし、若齢の動物は、複数のウイルスまたはウイルス性および細菌性の微生物の組み合わせに同時に感染している場合がある。これによって、疾患の重篤度は劇的に高まる。
【0021】
従って、哺乳動物の細胞膜におけるCFTRの活性を調節するために用いられ得る、CFTR活性の調節因子、およびその組成物が必要とされる。
【0022】
このようなCFTR活性の調節因子を用いてCFTR媒介性の疾患を処置する方法が必要とされる。
【0023】
哺乳動物のエキソビボの細胞膜におけるCFTR活性を調節する方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Gregory、R.J.et al.(1990)Nature 347:382−386
【非特許文献2】Rich、D.P.et al.(1990)Nature 347:358−362
【非特許文献3】Riordan,J.R.et al.(1989)Science 245:1066−1073
【非特許文献4】Cutting,G.R.et al.(1990)Nature 346:366−369
【非特許文献5】Dean,M.et al.(1990)Cell 61:863:870
【非特許文献6】Kerem,B−S.et al.(1989)Science 245:1073−1080
【非特許文献7】Kerem,B−S.et al.(1990)Proc.Natl.Acad. Sci.USA 87:8447−8451
【非特許文献8】Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709−2727
【非特許文献9】Dalemans et al.(1991)、Nature Lond.354:526−528
【非特許文献10】PasykおよびFoskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347−50
【非特許文献11】Aridor M,et al.、Nature Med.,5(7),745−751頁(1999)
【非特許文献12】Shastry,B.S.,et al.、Neurochem.International,43,1−7頁(2003)
【非特許文献13】Rutishauser,J.,et al.、Swiss Med Wkly,132,211−222頁(2002)
【非特許文献14】Morello,JP et al.,TIPS,21,466−469頁(2000)
【非特許文献15】Bross P.,et al.,Human Mut.,14,186−198頁(1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0025】
現在、本発明の化合物およびその薬学的に受容される組成物は、ABC輸送体活性の調節因子として有効であることがわかっている。これらの化合物は、一般式Iまたは一般式I’:
【0026】
【化1】

を有するか、または薬学的に受容されるその塩であり、式中R、R、R、RおよびArは一般的にかつ下の分類および下位分類で記載されている。
【0027】
これらの化合物および薬学的に受容される組成物は、限定はしないが、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固・繊維素溶解欠乏症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ・サックス病、クリーグラー・ナジャー病II型、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー・マリー・ツース病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病を含む、さまざまな疾患、障害または状態を処置するためかまたはその重篤度を軽減するために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.本発明の化合物の一般的説明
本発明は、ABC輸送体活性の調節因子として有用な式Iもしくは式I’の化合物:
【0029】
【化2】

またはその薬学的に受容可能な塩に関しており、式中:
Arは窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族単環式の環であって、この環は必要に応じて、5〜12員の単環または二環の、芳香族の、部分的に不飽和の、または飽和の環であり、ここで各々の環は、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、Arは各々独立して−WRから選択されるm個の置換基を有し;
Wは結合または必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、Wの最大2個のメチレン単位が必要に応じてかつ独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換され;
は独立してR’、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル)、5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me)、O−(2−tert−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt、−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペリジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me)、アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、C(Me)CHOH、C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、O(CHOEt、O(CHOH、COMe、ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、C(Et)C(Me)、C(Et)、CONHCHCH(Me),2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、−C(Me)CHNHCOCHCHCH3、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、C(Me)CHNHCO(CHOMe、C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、C(Me)CHO(CHOMe、または3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルであり;
mは0〜5であり;
kは0〜2であり;
各々のRは独立して−X−Rであり;
Xは結合であるかまたは必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、ここでXの最大2個のメチレン単位が必要に応じてかつ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立して、R’、ハロ、NO、CN、CF、またはOCFであり;
は水素であり;
は水素であり;
は水素またはC1−6脂肪族基であって、必要に応じて−X−Rで置換されており;
R’は独立して水素、あるいはC1−脂肪族基、3〜8員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式の環であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有している環、または8〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の二環式の環系であって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有している環系から選択される必要に応じて置換されている基から選択され;あるいはR’の2つの出現はそれらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有している、必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成する。
【0030】
2.化合物および定義:
本発明の化合物は、上記に記載の化合物を包含し、かつ本明細書に開示される分類、下位分類および種類によってさらに例示される。本明細書において用いる場合、別段の注記がない限り、以下の定義があてはまるものとする。
【0031】
本明細書において用いられる「ABC−輸送体」という用語は、少なくとも1つの結合ドメインを含むABC−輸送体タンパク質またはそのフラグメントを意味し、当該のタンパク質またはそのフラグメントはインビボにまたはインビトロに存在する。本明細書において用いられる「結合ドメイン」という用語は、調節因子に結合することができるABC−輸送体上のドメインを意味する。例えば、Hwang,T.C.et al.,J.Gen.Physiol.(1998):111(3)、477−90を参照のこと。
【0032】
本明細書において用いられる「CFTR」という用語は、調節活性の能力がある嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子またはその変異を意味し、これにはΔF508CFTRおよびG551D CFTRを含むがこれに限定されない(例えば、CFTRの変異については、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)。
【0033】
本明細書において用いられる「調節(する)」という用語は、測定可能な量の増加または減少を意味する。
【0034】
本発明の目的に関しては、化学元素はCAS版Handbook of Chemistry and Physics,75版の元素周期表に従って識別される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」Thomas Sorrell,University Science Books,Sausolito:1999,および「March’s Advanced Organic Chemistry」5版,Ed.:Smith,M.BおよびMarch,J.,John Wiley&Sons、New York:2001に記載され、その内容は参照によって全体として本明細書に援用される。
【0035】
本明細書に記載されるとおり、本発明の化合物は必要に応じて、1つ以上の置換基で置換されてもよく、例えば、上記で一般に図示されるか、または本発明の特定の分類、下位分類および種類によって例示されるとおりである。「必要に応じて置換される」という句は、「置換されるかまたは非置換」という句と交換可能に用いられることが理解される。一般には、「置換される」という用語は、「必要に応じて」という用語が先行してもしなくても、特定の置換基のラジカルによる所定の構造中の水素ラジカルの置換をいう。別段示さない限り、必要に応じて置換される基は、その基の各々の置換可能な位置で置換基を有してもよく、任意の所定の構造中の2つ以上の位置が特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得るとき、その置換基は、あらゆる位置で同じであってもまたは異なってもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成を生じる組み合わせである。本明細書において用いる「安定な」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の目的のためにその産生、検出および好ましくはその回収、精製および使用を可能にする条件に供された場合、実質的に変化のない化合物をいう。ある実施形態では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、少なくとも1週間にわたって、湿気も他の化学的に反応性の条件もなしに、40℃以下の温度で保持した場合、実質的に変化のない化合物をいう。
【0036】
「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書において用いる場合、完全に飽和しているか、または不飽和の1個以上の単位を含む直鎖(すなわち、非分枝状)または分枝状の、置換または非置換である炭化水素鎖、あるいは完全に飽和しているか、または芳香族ではないがその分子の残部に対する単一の結合点を有する不飽和の1個以上の単位を含む、完全に飽和しているかまたは不飽和の1個以上の単位を含む単環式炭化水素または二環式炭化水素(本明細書中で、「炭素環(carbocycle)」、「脂環式」または「シクロアルキル」とも称される)を意味する。別段特定しない限り、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態では、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、そしてなお他の実施形態では、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、「脂環式」(または「炭素環」または「シクロアルキル」)とは、完全に飽和しているか、または不飽和の1つ以上の単位を含み、芳香族ではないが、その分子の残部に対する単一の結合点を有する、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C14炭化水素または三環式C〜C14炭化水素をいい、その二環式環系中の任意の個々の環は、3員〜7員を有する。適切な脂肪族基としては、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびそれらの混成、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルが挙げられるが、これらに限定されない。適切な脂環式基としては、シクロアルキル、二環式シクロアルキル(例えば、デカリン)、架橋ビシクロアルキル(例えば、ノルボルニルまたは[2.2.2]ビシクロ−オクチル)、または架橋三環系(例えば、アダマンチル)が挙げられる。
【0037】
「ヘテロ脂肪族」という用語は、本明細書において用いる場合、1個または2個の炭素原子が酸素、イオウ、窒素、リン、またはケイ素のうちの1個以上によって独立して置換されている脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝状であっても非分枝状であってもよく、環状であっても非環状であってもよく、これには、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式(heterocycloaliphatic)」、または「複素環式」基を含む。
【0038】
「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」または「複素環式」という用語は、本明細書において用いる場合、1個以上の環員が独立して選択されたヘテロ原子である非芳香環系、単環式環系、二環式環系、または三環式環系を意味する。いくつかの実施形態では、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」または「複素環式」基は、1個以上の環員が酸素、イオウ、窒素、またはリンから独立して選択されるヘテロ原子である3個〜14個の環員を有し、そしてその系における各環は、3個〜7個の環員を含む。
【0039】
「ヘテロ原子」という用語は、1個以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素(窒素、イオウ、リンもしくはケイ素の任意の酸化型;任意の塩基性窒素の四級化型、または;複素環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにあるような)、NH(ピロリジニルにあるような)またはNR(N−置換ピロリジニルにあるような)を含む)を意味する。
【0040】
「不飽和」という用語は、本明細書において用いる場合、ある部分が1つ以上の不飽和の単位を有することを意味する。
【0041】
「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は本明細書において用いる場合、以前に定義のとおり、酸素(「アルコキシ」)またはイオウ(「チオアルキル」)原子を通じて主要な炭素鎖に結合された、アルキル基を指す。
【0042】
「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」という用語は、場合によっては、1個以上のハロ原子によって置換されている脂肪族またはアルコキシを意味する。「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。ハロ脂肪族の例としては、−CHF、−CHF、−CF、−CF−、またはペルハロアルキル、例えば、−CFCFが挙げられる。
【0043】
単独で用いられるか、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」にあるようなより大きい部分の一部として用いられる「アリール」という用語は、合計で5〜14個の環員を有している単環式環系、二環式環系、および三環式環系であって、その系中の少なくとも1つの環が芳香環であり、かつその系中の各環が3〜7個の環員を含む環系をいう。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に用いてもよい。「アリール」という用語はまた、以下に定義されるヘテロアリール環系をいう。
【0044】
単独で用いられるか、あるいは「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」にあるようなより大きい部分の一部として用いられる「ヘテロアリール」という用語は、合計で5〜14個の環員を有する単環式環系、二環式環系、および三環式環系であって、その系中の少なくとも1つの環が芳香環であり、その系中の少なくとも1つの環が1個以上のヘテロ原子を含み、かつその系中の各環が3〜7個の環員を含む環系をいう。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に用いてもよい。
【0045】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1個以上の置換基を含み得る。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロ;−R;−OR;−SR;1,2−メチレン−ジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;Rによって必要に応じて置換されているフェニル(Ph);Rによって必要に応じて置換されている−O(Ph);Rによって必要に応じて置換されている−(CH1−2(Ph);Rによって必要に応じて置換されている−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(O)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−C(=S)N(R;−C(=NH)−N(R;あるいは−(CH0−2NHC(O)Rから選択され、ここでRの各独立した出現は、水素、必要に応じて置換されているC1−6脂肪族非置換の5員〜6員のヘテロアリールもしくは複素環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択されるか、あるいは、上の定義にかかわらず、Rの2つの独立した出現は、同じ置換基または異なる置換基において、各R基が結合する原子と一緒になって窒素、酸素、またはイオウから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する3員〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基上の必要に応じた置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロC1−4脂肪族から選択され、ここでRの上記C1−4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0046】
脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基、または非芳香族複素環は1個以上の置換基を含み得る。脂肪族基またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素に関して上に列挙されるものから選択され、そしてさらに、以下を含む:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NR(各々のRは、独立して、水素または必要に応じて置換されているC1−6脂肪族から選択される)。Rの脂肪族基上の必要に応じた置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロ(C1−4脂肪族)から選択され、Rの上記C1−4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0047】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRSOから選択され;ここでRは、水素、必要に応じて置換されているC1−6脂肪族必要に応じて置換されているフェニル、必要に応じて置換されている−O(Ph)、必要に応じて置換されている−CH(Ph)、必要に応じて置換されている−(CH1―2(Ph);必要に応じて置換されている−CH=CH(Ph);または酸素、窒素、もしくはイオウから独立して選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する非置換である5員〜6員のヘテロアリールもしくは複素環であるか、あるいは上の定義にかかわらず、Rの2つの独立した出現は、同じ置換基または異なる置換基において、各R基が結合する原子と一緒になって窒素、酸素、またはイオウから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有している3員〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基またはフェニル環上の必要に応じた置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、またはハロ(C1−4脂肪族)から選択され、Rの上記C1−4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0048】
「アルキリデン鎖」という用語は、直鎖または分枝鎖の炭素鎖を指しており、この鎖は、完全に飽和されていてもよいし、または1つ以上の単位の不飽和を有しており、かつその分子の残りに対する2ポイントの結合を有していてもよい。「スピロシクロアルキリデン」という用語は、炭素環をいい、この環は完全に飽和されていてもよいし、または1つ以上の単位の不飽和を有し、かつその分子の残りに対して同じ環の炭素原子由来の2ポイントの結合を有してもよい。
【0049】
上で詳述されるように、いくつかの実施形態では、R(またはR、あるいは本明細書中で同様に定義される任意の他の変数)の2つの独立した出現は、各変数が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素、またはイオウから独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する3員〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環を形成する。R(もしくはR、または本明細書中で同様に定義される任意の他の変数)の2つの独立した出現が、各変数が結合する原子と一緒になった場合に形成される例示的な環としては、限定はしないが以下が挙げられる:a)同じ原子に結合し、かつその原子と一緒になって環を形成するR(もしくR、または本明細書中で同様に定義される任意の他の変数)の2つの独立した出現(例えば、N(R(Rの両方の出現は、その窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルホリン−4−イル基を形成する));およびb)異なる原子に結合し、そしてそれらの原子の両方と一緒になって環を形成するR(もしくはR、または本明細書中で同様に定義される任意の他の変数)の2つの独立した出現(例えば、フェニル基は、ORの2つの出現:
【0050】
【化3】

によって置換され、Rのこれら2つの出現は、それらが結合する酸素原子と一緒になって、環:
【0051】
【化4】

を含む縮合した6員の酸素を形成する)。種々の他の環はR(もしくR、または本明細書中で同様に定義される任意の他の変数)の2つの独立した出現が、各変数が結合する原子と一緒になった場合に形成され得ること、および上に記載される例は限定する意図ではないことが、理解されるであろう。
【0052】
例えば、二環式の環系において結合した置換基とは、下に示されるとおり、その置換基が、二環式の環系:
【0053】
【化5】

のいずれかの環上の任意の置換可能な環原子に結合され得ることを意味する。
【0054】
特に記載されない限り、本明細書中に示された構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性、ジアステレオ異性、および幾何(または立体配座))型;例えば、各不斉中心に対するR立体配置およびS立体配置、(Z)二重結合異性体および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)立体配座異性体および(E)立体配座異性体を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオ異性体、および幾何(または立体配座)異性体の混合物は、本発明の範囲内である。特に記載されない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。例えば、式Iまたは式I’の化合物中のRが水素であるとき、式Iまたは式I’の化合物は以下の互変異性体として存在してもよい:
【0055】
【化6】

さらに、別段の注記がない限り、本明細書中に示される構造はまた、1個以上の同位体リッチな原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素もしくは三重水素(トリチウム)による水素の置換または13Cリッチな炭素もしくは14Cリッチな炭素による炭素の置換を除いて、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたは分析プローブとして有用である。
【0056】
3.例示的な化合物の説明
本発明のいくつかの実施形態では、Arは以下:
【0057】
【化7】

から選択され、ここで環Aは、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有している5〜6員の芳香族単環式の環であるか;または
およびAが一緒になって、8〜14員の芳香族、二環式または三環式のアリールであって、ここで各々の環が、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、Aは、0〜4個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている6員の芳香族環であり、このヘテロ原子は窒素である。いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているフェニルである。またはAは必要に応じて置換されているピリジル、ピリミジニル、ピラジニルまたはトリアジニルである。またはAは必要に応じて置換されているピラジニルまたはトリアジニルである。またはAは必要に応じて置換されているピリジルである。
【0059】
いくつかの実施形態では、Aは、0〜3個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている5員の芳香族環であり、このヘテロ原子は窒素、酸素またはイオウである。いくつかの実施形態では、Aは、1〜2個の窒素原子を有している必要に応じて置換された5員の芳香族環である。一実施形態では、Aはチアゾリル以外の必要に応じて置換されている5員の芳香族環である。
【0060】
いくつかの実施形態では、Aは、0〜4個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている6員の芳香族環であり、このヘテロ原子は窒素である。いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されているフェニルである。またはAは必要に応じて置換されているピリジル、ピリミジニル、ピラジニルまたはトリアジニルである。
【0061】
いくつかの実施形態では、Aは、0〜3個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている5員の芳香族環であり、このヘテロ原子は窒素、酸素またはイオウである。いくつかの実施形態では、Aは、1〜2個の窒素原子を有する必要に応じて置換されている5員の芳香族環である。特定の実施形態では、Aは必要に応じて置換されているピロリルである。
【0062】
いくつかの実施形態では、Aは、窒素、イオウまたは酸素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5〜7員の飽和または不飽和の複素環である。例示的なこのような環としては、ピペリジル、ピペラジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、Aは、必要に応じて置換されている5〜10員の飽和または不飽和の炭素環である。一実施形態では、Aは、必要に応じて置換されている5〜10員の飽和の炭素環である。例示的なこのような環としては、シクロヘキシル、シクロペンチルなどが挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、環Aは、以下:
【0065】
【化8】

【0066】
【化9】

から選択され、ここでこの環Aは、2つの隣接する環原子を通じて環Aに縮合される。
【0067】
他の実施形態では、Wは、結合であるか、または必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、ここでWの最大2個のメチレン単位は必要に応じてかつ独立して、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;かつRはR’またはハロである
さらに他の実施形態では、WRの各々の存在は独立して、−C1−C3アルキル、t−ブチル、C1−C3ペルアロアルキル、−OH、−O(C1−C3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、または−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されている5〜7員の複素環、必要に応じて置換されている5〜7員の脂環式基、必要に応じて置換されている単環もしくは二環式の芳香族環、必要に応じて置換されているアリールスルホン、必要に応じて置換されている5員のヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)である。
【0068】
式a−i中のArの一実施形態では、環Aはフェニル環であり、mは1であり、かつWRは独立して必要に応じて置換されているピロリジンまたはピペリジンである。
【0069】
いくつかの実施形態では、mは0である。またはmは1である。またはmは2である。いくつかの実施形態では、mは3である。さらに他の実施形態ではmは4である。
【0070】
本発明の一実施形態では、R、R、R、およびRは同時に水素である。
【0071】
本発明の別の実施形態では、kは1または2であり、各々のRは独立してC1−C3アルキルまたはC3−C6シクロアルキルである。
【0072】
一実施形態では、kは1または2であり、かつ各々のRはハロである。
【0073】
いくつかの実施形態では、Xは結合であるか、または必要に応じて置換されているC1−6アルキリデン鎖であって、ここで1つまたは2つの隣接していないメチレン単位は必要に応じてかつ独立してO、NR’、S、SO、またはCOO、COによって置換され、かつRはR’またはハロである。さらに他の実施形態では、XRの各々の出現は独立して、−C1−3アルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、OH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されているフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)である。
【0074】
一実施形態では、RはC1−C4脂肪族、ハロ、またはC3−C6脂環式である。
【0075】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。特定の他の実施形態では、RはC1−4の直鎖または分枝の脂肪族化合物である。
【0076】
いくつかの実施形態では、Rは、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル),5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me)、O−(2−tert−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt、−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペリジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me),アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、C(Me)CHOH、C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、O(CHOEt、O(CHOH、COMe,ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、C(Et)C(Me)、C(Et)、CONHCHCH(Me)、2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、−C(Me)CHNHCOCHCHCH3、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、C(Me)CHNHCO(CHOMe、C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、C(Me)CHO(CHOMe、または3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルから選択される。
【0077】
一実施形態では、R’は水素である。
【0078】
一実施形態では、R’はC1−C8脂肪族基であって、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、またはOCHFから選択される必要最大3個の置換基で必要に応じて置換されており、ここでこのC1−C8脂肪族の最大2個のメチレン単位は必要に応じて、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で置換されている。
【0079】
一実施形態では、R’は窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有している、3〜8員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式の環であって、ここでR’はハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHFまたはC1−C6アルキルから選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されており、ここでこのC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は必要に応じて−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で置換されている。
【0080】
一実施形態では、R’は窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有している8〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の二環式の環系であって;ここでR’はハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHFまたはC1−C6アルキルから選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されており、ここでこのC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は必要に応じて−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で置換されている。
【0081】
一実施形態では、R’の2つの出現はそれらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有している、必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成し、ここでR’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、またはC1−C6アルキルから選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されており、ここでこのC1−C6アルキルのうち最大2個のメチレン単位は必要に応じて−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、または−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で置換されている。
【0082】
一実施形態によれば、本発明は、式IIAまたは式IIA’の化合物を提供する:
【0083】
【化10】

一実施形態によれば、本発明は、式IIBまたは式IIB’の化合物を提供する:
【0084】
【化11】

一実施形態によれば、本発明は、式IIIAまたは式IIIA’:
【0085】
【化12】

の化合物であって、式中各々のX、X、X、X、およびXが独立してCHまたはNから選択される化合物を提供する。
【0086】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIBまたは式IIIB’の化合物:
【0087】
【化13】

であって、式中、X、X、およびXの各々が独立してCHまたはNから選択される化合物を提供する。
【0088】
一実施形態によれば、本発明は、式IIICまたは式IIIC’の化合物:
【0089】
【化14】

であって、式中、X、X、およびXの各々が独立してCHまたはNから選択される化合物を提供する。
【0090】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIDまたは式IIID’の化合物:
【0091】
【化15】

であって、ここでXが独立してCHまたはNから選択され、かつXがO、SまたはNR’である化合物を提供する。
【0092】
一実施形態によれば、本発明は、式IIIEまたは式IIIE’の化合物:
【0093】
【化16】

であって、ここでXが独立してCHまたはNから選択され、かつXがO、S、またはNR’である化合物を提供する。
【0094】
式IIIAまたは式IIIA’のいくつかの実施形態では、X、X、X、X、およびXの各々はCHである。
【0095】
式IIIAまたは式IIIA’のいくつかの実施形態では、X、X、X、X、およびXは一緒になって、ピリジル、ピラジニル、またはピリミジニルから選択される必要に応じて置換されている環である。
【0096】
式IIIB、式IIIB’、式IIIC、または式IIIC’のいくつかの実施形態では、X、X、X、またはXは環Aと一緒になって、以下から選択される必要に応じて置換されている環である:
【0097】
【化17】

【0098】
【化18】

【0099】
【化19】

いくつかの実施形態では、Rは、R’ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt,n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、orNHSOMeから選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、XおよびRは一緒になって、Me、Et、ハロ、CN、CF、OH、OMe、OEt、SON(Me)(フルオロフェニル)、SO−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)、またはSO−N−ピロリジニルである。
【0101】
別の実施形態によれば、本発明は、式IVAまたは式IVA’の化合物:
【0102】
【化20】

を提供する。
【0103】
別の実施形態によれば、本発明は、式IVBまたは式IVB’の化合物を提供する:
【0104】
【化21】

別の実施形態によれば、本発明は、式IVCまたは式IVC’の化合物:
【0105】
【化22】

を提供する。
【0106】
一実施形態では、本発明は、式IVA、式IVA’、式IVB、式IVB’、式IVC、または式IVC’の化合物を提供し、ここでkは1または2であり、かつRはH、Me、またはハロである。別の実施形態では、kは1であり、かつRはMeである。別の実施形態では、kは2であり、かつRはMeである。
【0107】
一実施形態では、本発明は、式IVB、式IVB’、式IVCまたは式IVC’の化合物を提供し、ここで環Aは、O、SまたはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、飽和、不飽和または芳香族の7員の環である。例示的な環としては、アゼパニル、5,5−ジメチルアゼパニルなどが挙げられる。
【0108】
一実施形態では、本発明は、式IVB、式IVB’、式IVCまたは式IVC’の化合物を提供し、ここで環Aは、O、SまたはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、飽和、不飽和または芳香族の6員の環である。例示的な環としては、ピペリジニル、4,4−ジメチルピペリジニルなどが挙げられる。
【0109】
一実施形態では、本発明は、式IVB、式IVB’、式IVC、または式IVC’の化合物を提供し、ここで環Aは、O、SまたはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、飽和、不飽和または芳香族の5員の環である。
【0110】
一実施形態では、本発明は、式IVB、式IVB’、式IVC、または式IVC’の化合物を提供し、ここで環Aは、1つの窒素原子を有する必要に応じて置換されている5員の環、例えば、ピロリルまたはピロリジニルである。
【0111】
式IVAの1実施形態によれば、式VA−1または式VA−1’の以下の化合物:
【0112】
【化23】

が提供され、式中各々のWRW2およびWRW4は独立して、水素、CN、CF、OCF、ハロ、C1−C6の直鎖または分枝のアルキル、3〜12員の脂環式、フェニル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7複素環式から選択され、ここでこのヘテロアリールまたは複素環式はO、SまたはNから選択される最大3個のヘテロ原子を有し、ここでこのWRW2およびWRW4は独立してかつ必要に応じて、−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、CN、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、CHCN、必要に応じて置換されているフェニルまたはフェノキシ、−N(R’)(R’)、−NR’C(O)OR’、−NR’C(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)から選択される最大3個の置換基で置換されており;かつ
WRW5は、水素、ハロ、−OH、NH、CN、CHF、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、NHSOR’、−OR’、CHOH、CHN(R’)、C(O)OR’、C(O)N(R’)、SONHR’、SON(R’)、OSON(R’)、OSOCF、またはCHNHC(O)OR’から選択される。または、WRW4およびWRW5は一緒になって、N、O、またはSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の環を形成し、ここでこの環は、最大3個のWR置換基で必要に応じて置換されている。
【0113】
一実施形態では、本発明は、式VA−1または式VA−1’の化合物を提供し、ここでkは0である。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、式VA−2または式VA−2’の化合物:
【0115】
【化24】

であって、式中:
環Bは、5〜7員の単環式または二環式、複素環式またはヘテロアリールの環であって、−Q−Rの最大n個の出現で必要に応じて置換されており;
QはWであり;
はRであり;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;かつ
、k、W、およびRは上記のとおりである化合物を提供する。
【0116】
一実施形態では、mは0〜2である。または、mは0である。またはmは1である。
【0117】
一実施形態では、nは0〜2である。または、nは0である。またはnは1である。
【0118】
別の実施形態では、環Bは、−Q−Rの最大n個の出現で必要に応じて置換されている、O、SまたはNから選択される最大2個のヘテロ原子を有している、5〜7員の単環式、複素環式環である。例示的な複素環式環としては、N−モルホリニル、N−ピペリジニル、4−ベンゾイル−ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、または4−メチル−ピペリジン−1−イルが挙げられる。
【0119】
別の実施形態では、環Bは、−Q−Rの最大n個の出現で必要に応じて置換されている、O、SまたはNから選択される最大2個のヘテロ原子を有している、5〜6員の単環式、ヘテロアリール環である。例示的なこのような環としては、ベンズイミダゾール−2−イル、5−メチル−フラン−2−イル、2,5−ジメチル−ピロール−1−イル、ピリジン−4−イル、インドール−5−イル、インドール−2−イル、2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、2−アシル−チエン−2−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、4−メチル−チエン−2−イル、5−シアノ−チエン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルが挙げられる。
【0120】
別の実施形態では、本発明は、式VA−3または式VA−3’の化合物:
【0121】
【化25】

であって、式中:
QがWであり;
がRであり;
mが0〜4であり;
nが0〜4であり;かつ
、k、W、およびRが上記のとおりである、化合物を提供する。
【0122】
一実施形態では、nは0〜2である。
【0123】
別の実施形態では、mは0〜2である。一実施形態では、mは0である。一実施形態では、mは1である。または、mは2である。
【0124】
一実施形態では、QRは一緒になって、ハロ、CF、OCF、CN、C1−C6脂肪族、O−C1−C6脂肪族、O−フェニル、NH(C1−C6脂肪族)、またはN(C1−C6脂肪族)であり、この脂肪族およびフェニルは、C1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OHまたはCFから選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されており、ここでこのC1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、SOR’、SOR’、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0125】
例示的なQRとしては、メチル、イソプロピル、sec−ブチル、ヒドロキシメチル、CF、NMe、CN、CHCN、フルオロ、クロロ、OEt、OMe、SMe、OCF、OPh、C(O)OMe、C(O)O−iPr、S(O)Me、NHC(O)MeまたはS(O)Meが挙げられる。
【0126】
別の実施形態では、本発明は、式VB−1または式VB−1’の化合物:
【0127】
【化26】

であって、式中:
W1が水素もしくはC1−C6脂肪族であるか;
各々のRW3が水素もしくはC1−C6脂肪族であるか;または
両方のRW3が一緒になって、O、S、またはNR’から選択される最大2個のヘテロ原子を有しているC3−C6シクロアルキルまたは複素環式環を形成し、ここでこの環が最大2個のWR置換基で必要に応じて置換されており;
mは0〜4であり;かつ
k、R、W、およびRは上記のとおりである、化合物を提供する。
【0128】
一実施形態では、WRW1は水素、C1−C6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、またはC(O)OC1−C6脂肪族である。
【0129】
別の実施形態では、各々のRW3は水素、C1−C4アルキルである。または、両方のRW3が一緒になって、O、SもしくはNから選択される最大2個のヘテロ原子を有している、C3−C6の脂環式環または5〜7員の複素環式環を形成し、ここでこの脂環式または複素環式の環は、WRW1から選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されている。例示的なこのような環としては、シクロプロピル、シクロペンチル、必要に応じて置換されているピペリジルなどが挙げられる。
【0130】
別の実施形態では、本発明は、式VB−2または式VB−2’の化合物:
【0131】
【化27】

であって、式中:
環Aがフェニルまたは5〜6員のヘテロアリール環であり、環Aおよびそこに縮合したフェニル環が一緒になって、WRから独立して選択される4個までの置換基を有しており;
mは0〜4であり;かつ
W、R、k、およびRが上記のとおりである、化合物を提供する。
【0132】
一実施形態では、環Aはピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルから選択される必要に応じて置換されている5員の環である。
【0133】
一実施形態では、環Aは、ピロリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、またはトリアゾリルから選択される必要に応じて置換されている5員の環である。このような環の例としては以下:
【0134】
【化28】

が挙げられ、この環は上記のように必要に応じて置換されている。
【0135】
別の実施形態では、環Aは必要に応じて置換されている6員の環である。例示的なこのような環としては、ピリジル、ピラジニル、またはトリアジニルが挙げられる。別の実施形態では、この環は必要に応じてピリジルである。
【0136】
一実施形態では、環Aはフェニルである。
【0137】
別の実施形態では、環Aはピロリル、ピラゾリル、ピリジル、またはチアジアゾリルである。
【0138】
式VB−2または式VB−2’における例示的なWとしては、結合、C(O)、C(O)OまたはC1−C6アルキレンが挙げられる。
【0139】
式V−B−2または式V−B−2’における例示的なRとしては、シアノ、ハロ、C1−C6脂肪族、C3−C6脂環式、アリール、O、SまたはNから選択される最大2個のヘテロ原子を有している5〜7員の複素環式環が挙げられ、ここでこの脂肪族、フェニル、および複素環式は、C1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OH、またはCFから選択される最大3個の置換基で独立してかつ必要に応じて置換されており、このC1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は必要に応じて−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0140】
一実施形態では、本発明は、式VB−3または式VB−3’の化合物:
【0141】
【化29】

であって、式中:
が水素、ハロ、CN、CF、CHF、CHF、必要に応じて置換されているC1−C6脂肪族、アリール−C1−C6アルキル、またはフェニルであり、ここでGが最大4個のWR置換基で必要に応じて置換されており;ここでこのC1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位が必要に応じて−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で置換されており;
が水素、必要に応じて置換されているC1−C6脂肪族、CF、またはCNであり;
ここでこのインドール環系がさらにWRから独立して選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されている、化合物を提供する。
【0142】
一実施形態では、Gは水素である。または、Gは水素である。
【0143】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGはC1−C6脂肪族、CF、またはCNであり、ここでこの脂肪族は、必要に応じてC1−C6アルキル、ハロ、シアノ、またはCFで置換されており、ここでこのC1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0144】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGはシアノ、CF、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、CHC(O)OMe、(CH−NHC(O)O−tert−ブチル、またはシクロペンチルである。
【0145】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGはハロ、C1−C6脂肪族またはフェニルであり、かつこの脂肪族またはフェニルはC1−C6アルキル、ハロ、シアノ、またはCFで必要に応じて置換されており、ここでこのC1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0146】
別の実施形態では、Gは水素であり、かつGはハロ、CF、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、sec−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、またはピペリジン−1−イルカルボニルである。
【0147】
別の実施形態では、GおよびGは両方とも水素であり、かつこのインドール環の窒素環原子は、C1−C6脂肪族、C(O)(C1−C6脂肪族)、またはベンジルで置換されており、ここでこの脂肪族またはベンジルは、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、またはCFで必要に応じて置換されており、このC1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている。別の実施形態では、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0148】
別の実施形態では、GおよびGは両方とも水素であり、かつこのインドール環の窒素環原子は、アシル、ベンジル、C(O)CHN(Me)C(O)CHNHMe、またはエトキシカルボニルで置換されている。
【0149】
本発明の代表的な化合物は、下の表1に示される。
【0150】
【表1−1】

【0151】
【表1−2】

4.一般的な合成スキーム
本発明の化合物は、当該分野で公知の方法によって容易に調製される。本明細書において下の実施例に図示されるのは、本発明の化合物の調製のための例示的な方法である。
【0152】
5.使用、処方物および投与
薬学的に受容可能な組成物
上記で考察されるとおり、本発明は、ABC輸送体の調節因子として有用であり、従って、疾患、障害または状態、例えば、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−繊維素溶解欠乏症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ・サックス病、クリーグラー・ナジャー病II型、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー・マリー・ツース病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病の処置に有用である化合物を提供する。
【0153】
従って、本発明の別の局面では、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここで、これらの組成物は、本明細書中に記載の任意の化合物を含有し、かつ必要に応じて、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する。特定の実施実施形態では、これらの組成物は、必要に応じて、さらに、1つ以上の追加の治療剤を含有する。
【0154】
本発明の特定の化合物は、処置のための遊離型で、または必要に応じて、薬学的に受容可能な誘導体もしくはそのプロドラッグとして存在し得ることも理解され得る。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体またはプロドラッグとしては限定はしないが、薬学的に受容可能な塩、エステル、このようなエステルの塩、または任意の他の添加物もしくは誘導体が挙げられ、これはその必要な患者への投与の際に、本明細書において他に記載される化合物、またはその代謝物もしくは残留物を直接または間接的に提供し得る。
【0155】
本明細書において用いる場合、「薬学的に受容可能な塩」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしで、ヒトおよび下等な動物の組織との接触の際に、妥当な医学的判断の範囲内での使用に適切であり、かつ合理的な利益/危険の比で釣り合っている塩を指す。「薬学的に受容可能な塩」とは、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できる、本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩を意味する。
【0156】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、本明細書中で参考として援用されるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、薬学的に受容可能な塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機および有機の酸および塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に受容可能な、非毒性の酸添加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸)で形成されるか、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸)で形成されるアミノ基の塩であるか、あるいは当該分野で用いられる他の方法(例えば、イオン交換)を用いることにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性の生成物を得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切である場合、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、および対イオン(例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸低級アルキル、およびスルホン酸アリール)を用いて形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0157】
上述されているように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、さらに、薬学的に受容可能な担体、アジュバント、もしくはビヒクルを含み、これらとしては、本明細書中で用いられているような任意のおよび全ての溶媒、希釈剤、もしくはそのほかの液体ビヒクル、分散剤もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤もしくは乳化剤、保存料、固形結合剤、潤滑剤などの所望される特定の物質に適切であるものが挙げられる。レミントンの医薬品化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)に、薬学的に受容可能な組成物の処方に用いられる様々な担体、およびそれらの調製のための公知の技術が開示されている。任意の従来の担体媒体が、なんらかの望ましくない生物学的効果を生じるか、もしくはその薬学的に受容可能な組成物のいずれかの他の成分と有害な相互作用を起こすような、本発明の化合物とは不適合な媒体である場合を除き、その媒体の使用は、本発明の範囲内であると考えられる。薬学的に受容可能な担体として利用される材料のいくつかの例としては、限定はしないが、イオン交換樹脂、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸もしくはソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、プロタミン硫酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバターおよび座剤用ワックス;オイル、例えば、ピーナツ油;綿実油;菜種油;ゴマ油;オリーブ油;コーン油および大豆油;グリコール;例えば、ポリピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギニン酸;パイロジェン・フリーの水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性適合性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色料、解除剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および芳香剤、保存料および酸化防止剤もまた、処方者の判断により、その組成物にあってもよい。
【0158】
化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用
さらに別の局面では、本発明は、ABC輸送体活性に関係する状態、疾患または障害、例えば、CFTRを処置する方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、ABC輸送体活性の欠損に示される状態、疾患または障害を処置する方法を提供し、この方法は、式(I)の化合物を含む組成物を、その必要な被験体、好ましくは哺乳動物に投与することを包含する。
【0159】
特定の実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−繊維素溶解欠乏症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ・サックス病、クリーグラー・ナジャー病II型、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー・マリー・ツース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病を処置する方法を提供し、この方法は、本発明の化合物を含んでいる組成物の有効量をこの哺乳動物に投与することを包含する。
【0160】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、嚢胞性線維症を処置する方法を提供し、この方法は、本発明の化合物を含んでいる組成物の有効量を哺乳動物に対して投与することを包含する、この哺乳動物に対して組成物を投与する工程を包含する。
【0161】
本発明によれば、化合物または薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−繊維素溶解欠乏症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ・サックス病、クリーグラー・ナジャー病II型、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー・マリー・ツース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病のうちの1つ以上を処置するためまたはその重篤度の軽減のために有効な量である。
【0162】
この化合物および組成物は、本発明の方法によれば、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−繊維素溶解欠乏症、例えば、プロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ・サックス病、クリーグラー・ナジャー病II型、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー・マリー・ツース症候群、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因する)、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病のうちの1つ以上を処置またはその重篤度を軽減するために有効な任意の量および任意の投与経路を用いて投与され得る。
【0163】
一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、患者における嚢胞性線維症を処置またはその重篤度を軽減するために有用である。
【0164】
特定の実施形態では、本発明の化合物および組成物は、呼吸器および非呼吸器の上皮の頂端膜における残りのCFTR活性を示す患者における嚢胞性線維症を処置またはその重篤度を軽減するために有用である。上皮表面での残留CFTR活性の存在は、当該分野で公知の方法、例えば、標準的な電気生理学的、生物化学的または組織学的技術を用いて容易に検出され得る。このような方法は、インビボもしくはエキソビボにおける電気生理学的技術、汗もしくは唾液のCl濃度の測定、またはエキソビボでの生化学的もしくは組織化学的技術を用いて細胞表面密度をモニターして、CFTR活性を測定する。このような方法を用いて、残留CFTR活性は、最も一般的な変異であるΔF508にホモ接合性またはヘテロ接合性の患者を含む、種々の異なる変異についてヘテロ接合性またはホモ接合性である患者で容易に検出され得る。
【0165】
別の実施形態では、本発明の化合物および組成物は、薬理学的方法または遺伝子治療を用いて誘導または増強された残留CFTR活性を有する患者において、嚢胞性線維症を処置またはその重篤度を軽減するために有用である。このような方法は、細胞表面に存在するCFTRの量を増大し、それによって、患者においてそれまでは存在しないCFTR活性を誘導するか、または患者における残留CFTR活性の既存のレベルを増強する。
【0166】
一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、残留CFTR活性を呈する特定の遺伝子型、例えばクラスIII変異群(損なわれた調節またはゲーティング)、クラスIV変異群(改変されたコンダクタンス)、またはクラスV変異群(合成低下)に含まれる患者において嚢胞性線維症を処置するか、またはその重篤度を軽減するのに有用である(Lee R.Choo−Kang,Pamela L.,Zeitlin,Type I,II,III,IV,and V cystic fibrosis Tansmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy;Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521〜529,2000)。残留CFTR活性を呈する他の患者遺伝子型は、これらのクラスの1つにホモ接合性であるか、またはクラスI変異群、クラスII変異群もしくは分類されない変異群を含む、任意の他のクラスの変異群とヘテロ接合性である患者を含む。
【0167】
一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、ある種の臨床遺伝子型、例えば、代表的には上皮の頂端膜における残留CFTR活性の量と相関関係を有する中程度〜軽度臨床遺伝子型に含まれる患者において嚢胞性線維症を処置するか、またはその重篤度を軽減するのに有用である。このような表現型は、膵臓機能不全を呈する患者、または特発性膵炎および先天性両側精管欠損症、または軽度の肺疾患を有すると診断された患者を含む。
【0168】
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢および全身状態、感染症の重篤度、特定の薬剤、その投与方法などに依存して、被験体の間で異なる。本発明の化合物は、好ましくは、投与し易く、かつ投与量の均一性が保たれる単位剤形で処方される。本明細書で用いる「単位剤形」という表現は、処置されるべき患者に適当な薬剤の物理的に独立した単位を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の総1日投与量は、信頼できる医学的判断の範囲内で、担当医により決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物に特異的な有効投与量レベルは、処置されている障害および障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別および食餌;投与時間、投与経路、および使用される特定化合物の排泄速度;処置の持続時間;使用される特定化合物と併用または同時使用される薬物、および医学分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存するであろう。本明細書で用いる用語「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0169】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、ヒトおよび他の動物に対し、経口的に、直腸内に、非経口的に、クモ膜下槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏、または滴下によって)、口腔内に、口内または鼻腔内噴霧としてなど、治療される感染の重篤度に応じて投与することが可能である。特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療作用を実現するために、1日に1回以上、1日当たり被検体の体重1kg当たり、約0.01mg〜約50mg、および好ましくは約1mg〜約25mgの用量レベルで、経口的に、または非経口的に投与してよい。
【0170】
経口投与用の液体剤形としては、限定はしないが、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、縣濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。活性化合物の外に、液体剤形は、当該分野で通常用いられる不活性希釈剤、例えば、水、またはその他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カルボン酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(詳細には、綿実油、落花生、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含んでもよい。不活性希釈剤の外に、経口組成物はさらに、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および縣濁剤、甘味剤、香味料、および芳香剤を含んでもよい。
【0171】
注射可能な調製物、例えば、滅菌の注射可能な水性または油性の縣濁液を、適切な分散または湿潤剤、および縣濁剤を用いて、当該分野で公知の技術に従って処方してよい。滅菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈液または溶媒、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、滅菌の注射可能な溶液、縣濁液、またはエマルジョンであってもよい。なかでも受容可能なビヒクルおよび使用可能な溶媒とは、水、米国薬局方のリンゲル液、および等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌の固定油が、溶媒または縣濁媒体として慣習的に使用される。この目的のために、任意の無刺激性の固定油、例えば、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが使用されてもよい。さらに、注射剤の調製にはオレイン酸などの脂肪酸を用いる。
【0172】
注射可能処方は、例えば、細菌保有フィルターを通過するろ過によって、または、滅菌剤を滅菌の固体組成物の形態で取り込むことによって滅菌することが可能であり、後者では、使用の前に、滅菌水、または他の滅菌の注射可能な媒体に、この組成物を溶解させてもまたは分散させてもよい。
【0173】
本発明の化合物の作用を延長させるために、この化合物の吸収を皮下または筋肉内の注射から遅らせることが好ましい場合が多い。水溶性の劣る結晶性または非晶性物質の液体懸濁物の使用によって、これを実現してもよい。その際、この化合物の吸収速度は、溶解速度に依存するが、この溶解速度は、次いで、結晶のサイズおよび結晶型に依存する場合がある。あるいは、非経口的に投与される型の化合物の吸収遅延は、この化合物を油状ビヒクルに溶解または縣濁することによって実現される。ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性ポリマーの中にこの化合物のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって、注射可能なデポ型が作製される。ポリマーに対する化合物の比率、および使用する特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を調節することが可能である。他の生物分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエーテル)、およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポ処方物はまた、生体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンの中にこの化合物を捕捉することによっても調製される。
【0174】
直腸または膣内投与用の組成物は好ましくは、周囲温度では固体であって、ただし体温では液体であり、従って直腸または膣腔において溶解して活性化合物を放出する適切な非刺激性賦形剤または担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または座剤ワックスと、本発明の化合物とを混合することによって調製することが可能な座剤である。
【0175】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に受容可能な賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウム、またはリン酸二カルシウム、および/または、a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなど、c)保湿剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、アガー−−アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、f)吸収加速剤、例えば、四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ、および、i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、この剤形はさらに緩衝剤を含んでもよい。
【0176】
同様のタイプの固体組成物はさらに、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングルコールなどの賦形剤を用いて、軟性および硬質充填性のゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用されてもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒の固体剤形は、製薬処方技術で周知のコーティングおよび被覆、例えば、腸溶コーティングおよびその他のコーティングによって調製されてもよい。これらの剤形は必要に応じて、乳白剤を含んでもよく、さらに、腸管の特定部位のみに、またはその部位に優先的に、必要に応じて遅延方式で、活性成分を放出する組成物であってもよい。用いることができる埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物はさらに、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングルコールなどの賦形剤を用いた、軟性および硬質充填性のゼラチンカプセルにおいて充填剤として使用してもよい。
【0177】
この活性化合物はさらに、前述の一つ以上の賦形剤とともにマイクロカプセル型として存在してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒の固体剤形は、製薬処方技術で周知のコーティングおよび被覆、例えば、腸溶コーティング、放出調節コーティング、およびその他のコーティングによって調製してもよい。これらの固体剤形では、活性化合物を、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース、またはデンプンと混ぜ合わせてもよい。このような剤形はさらに、通常の慣行として行われるように、不活性希釈剤以外の添加物質、例えば、錠剤潤滑剤、およびその他の錠剤補助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含んでもよい。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、この剤形はさらに緩衝剤を含んでもよい。これらの剤形は必要に応じて、乳白剤を含んでもよく、さらに、腸管の特定部位のみに、またはその部位に優先的に、必要に応じて遅延方式で、活性成分を放出する組成物であってもよい。使用が可能な埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0178】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、スプレー、吸入薬、またはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能な担体、および、任意の必要な防腐剤または緩衝液と必要に応じて混ぜ合わされる。眼科用処方、点耳薬、および点眼薬も、本発明の範囲内にあると考えられる。さらに、本発明は、身体に対し化合物の制御された送達を実現する新たな利点を提供する、経皮パッチの使用も考慮の対象とする。このような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解または滴下することによって調製される。皮膚を横切る化合物のフラックスを増すために、吸収増強剤を用いることも可能である。この速度は、速度調節膜を提供するか、または、化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルの中に分散させることによって調節することが可能である。
【0179】
上に概説したように、本発明の化合物は、ABC輸送体の調節因子として有用である。従って、いずれの特定の理論にも拘束されることは望まないが、本発明の化合物および組成物は、ABC輸送体の過度の活性または不活性が関与する、疾患、病態、または障害の治療、またはその重篤度の緩和のために特に有用である。ある特定の疾患、病態、または障害においてABC輸送体の過度の活性または不活性が関与する場合、その疾患、病態、または障害はまた、「ABC輸送体媒介性の疾患、病態、または障害」と呼んでもよい。従って、別の局面では、本発明は、ABC輸送体の過度の活性または不活性が、その病状に関与する、疾患、病態、または障害を治療するための、またはその重篤度を緩和するための方法を提供する。
【0180】
ABC輸送体の調節因子として本発明で利用される化合物の活性は、当該分野で一般に記載されており、かつ本明細書の実施例に記載されている方法に従ってアッセイされ得る。
【0181】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物は、併用療法で使用が可能であること、すなわち、その化合物および薬学的に受容可能な組成物は、1つ以上の他の所望の治療剤、または医学的手順と同時に、その前に、またはその後に投与することが可能であることも理解されよう。併用レジメンにおいて使用する治療(治療剤または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療剤および/または手順、ならびに達成される所望の治療効果の適合性を考慮に入れる。使用される治療剤は、同じ障害に対し所望の効果を実現してもよいし(例えば、本発明の化合物は、同じ障害を治療するために、もう1つの薬剤と同時に投与されてもよい)、あるいは、それらは、異なる効果(例えば、任意の副作用の制御)を達成してもよいことが理解される。本明細書で用いる場合、通常、ある特定の疾患または病態を治療または予防するために投与される、追加の治療剤は、「治療される疾患または病態に対し適切である」ことが知られる。
【0182】
一実施形態では、追加の薬剤は、粘液分解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTR調節因子、または栄養剤から選択される。
【0183】
本発明の組成物に存在する、追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含んでいる組成物として通常投与される量以下である。ここに開示される組成物における追加の治療剤の量は好ましくは、その治療剤を唯一の治療的活性剤として含んでいる組成物において通常存在する量の約50%から100%までの範囲である。
【0184】
本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な組成物はさらに、埋め込み可能な医用デバイス、例えば、人工補綴物、人工弁、移植血管、ステント、およびカテーテルをコーティングするための組成物中に取り込んでもよい。従って、本発明は、別の局面では、埋め込み可能なデバイスをコーティングするための組成物であって、上に概説し、かつ本明細書の分類および下位分類に属する本発明の化合物と、前記埋め込み可能なデバイスをコーティングするのに好適な担体とを含む組成物を含む。さらに別の局面では、本発明は、上に概説しており、かつ本明細書の分類および下位分類に属する本発明の化合物と、前記埋め込み可能なデバイスをコーティングするのに好適な担体とを含む組成物によってコートされた埋め込み可能デバイスを包含する。コーティングされた埋め込み可能デバイスの好適なコーティング、および一般的調製法は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。コーティングは、代表的には、生物適合性ポリマー材料、例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニール、およびそれらの混合物である。組成物に徐放性の特徴を付与するために、このコーティングを必要に応じて、フルオロシリコン、ポリサッカリド、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはそれらの組み合わせの適切なトップコートによってさらに被覆してもよい。
【0185】
本発明の別の局面は、生物学的サンプルまたは患者(例えば、インビトロまたはインビボ)におけるABC輸送体活性の調節に関し、その方法は、式Iの化合物またはその化合物を含む組成物を患者に投与するか、またはその組成物とこの生物学的サンプルを接触させる工程を包含する。「生物学的サンプル」という用語は、本明細書において用いる場合、限定はしないが、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得た生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、便、精液、涙、もしくは他の体液またはそれらの抽出物を包含する。
【0186】
生物学的サンプルにおけるABC輸送体活性の調節、例えば、CFTRは、当業者に公知である種々の目的のために有用である。このような目的の例としては限定はしないが、生物学的および病的事象におけるABC輸送体の研究;ならびに新規なABC輸送体の調節因子の比較評価が挙げられる。
【0187】
さらに別の実施形態では、インビトロまたはインビボでアニオンチャネルの活性を調節する方法であって、このチャネルと式(I)の化合物とを接触させる工程を包含する方法が提供される。好ましい実施形態では、アニオンチャネルはクロライドチャネルまたは重炭酸イオンチャネルである。他の好ましい実施形態では、アニオンチャネルはクロライドチャネルである。
【0188】
別の実施形態によれば、本発明は、細胞の膜における機能的ABC輸送体類の数を増加させる方法であって、この細胞と式(I)の化合物とを接触させる工程を包含する方法を提供する。「機能的ABC輸送体」という用語は、本明細書において用いる場合、輸送活性が可能なABC輸送体を意味する。好ましい実施形態では、この機能的ABC輸送体はCFTRである。
【0189】
別の好ましい実施形態によれば、ABC輸送体の活性を、経膜電位の測定によって測定する。生物学的サンプルにおいて膜を横切る電位を測定するための手段は、当該分野における任意の公知の方法、例えば光学膜電位アッセイまたは他の電気生理学的方法を使用してもよい。
【0190】
電位感受性FRETセンサーを利用する光学膜電位アッセイは、GonzalezおよびTsienにより(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272−80、ならびにGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269−77参照)、蛍光変化を測定するための機器、例えば電位/イオン・プローブ・リーダー(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oades,et al.(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431−439参照)と組み合わせて記載されている。
【0191】
これらの電位感受性アッセイは、膜可溶性、電位感受性色素であるDiSBAC(3)と、原形質膜の外側の小葉状部分に結合し、かつFRETドナーとして機能する蛍光リン脂質であるCC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)における変化に基づく。膜電位(V)の変化は、負に帯電したDiSBAC(3)の原形質膜を通す再分配およびそれに応じたCC2−DMPEからのエネルギー伝達量の変化をもたらす。蛍光放出の変化は、96または384ウェルマイクロタイタープレート中で細胞をベースにしたスクリーニングを行うために設計された一体型の液体取扱器(liquid handler)および蛍光検出器であるVIPR(商標)IIを用いてモニターできる。
【0192】
別の局面において、本発明は、インビトロまたはインビボにおいて生物学的サンプルのABC輸送体またはそのフラグメントの活性の測定における使用のためのキットであって、(i)式(I)の化合物、または任意の上記の実施形態を含む組成物と;(ii)a)この組成物とこの生物学的サンプルを接触させ、そしてb)このABC輸送体またはそのフラグメントの活性を測定するための説明書を備える、キットを提供する。一実施形態では、本キットは、さらにa)さらなる組成物と生物学的サンプルを接触させ;b)この追加の化合物の存在下、このABC輸送体またはそのフラグメントの活性を測定し、そしてc)この追加の化合物存在下のABC輸送体活性と、式(I)の組成物の存在下のABC輸送体の密度を比較するための説明書とを備える。好ましい実施形態では、このキットをCFTRの密度を測定するために用いる。
【0193】
本明細書に記載される本発明をさらに詳しく理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、単なる例示目的であって、決して本発明を制限すると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0194】
一般的スキーム
【0195】
【化30】

実施例
【0196】
【化31】

ジエチル2−((チオフェン−3−イルアミノ)メチレン)マロネート2:メチル3−アミノチオフェン−2−カルボキシレート1(5.0g、32mmol、1.0当量)、N−メチルピペラジン(6.5g、64mmol、2.0当量)およびNMP(30mL)の混合物を16時間加熱還流した。脱炭酸終了後、その反応混合物を室温まで冷却させて、ジエチル2−(エトキシメチレン)−マロネート(7.0g、32mmol、2.0当量)を添加した。その反応混合物を4時間加熱還流した。その産物をSiOカラムクロマトグラフィー(Hex/EtOAc;100:0〜80:20%)を用いて精製して、黄色の粉末5.0g(31%)を得た。LC/MS(10〜99%のCHCN/0.05%のTFA勾配で5分におよぶ):m/z 270.2、保持時間1.52分。H NMR(DMSO−d)δ:10.80(d,1.0H,J=13.87Hz,NH)、8.30(d,1.0H,J=13.94Hz)、7.60(dd,1.0H,J=3.0Hz,J’=2.0Hz)、7.40(dd,1.0H,J=1.5Hz,J’=3.13Hz)、7.28(dd,1.0H,J=1.5Hz,J’=5.2Hz)、4.20(q,2H,J=7.0Hz)、4.10(q,2H,J=7.0Hz)、1.30(m,6H)。
【0197】
エチル7−ヒドロキシチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシレート3:このジエチル2−((チオフェン−3−イルアミノ)メチレン)マロネート2(1.0g、3.7mmol、1当量)をPhO(10mL)中で6時間240℃に加熱した。出発材料が消費された後、その反応混合物を室温まで冷却させて、その固体をろ過した。その固体を水およびジクロロメタンで洗浄して所望の化合物を淡褐色の粉末として得た(0.42g、50%収率)。LC/MS(10〜99%のCHCN/0.05%のTFAの勾配で5分におよぶ):m/z 224.0、保持時間0.40分。H NMR(DMSO−d)δ:12.80(s,1.0H)、8.50(s,1.0H)、8.05(d,1.0H,J=5.4Hz)、7.30(d,1.0H,J=5.4Hz)、4.20(q,2H,J=7.0Hz)、4.10(q,2H,J=7.0Hz)、1.30(t,3H,J=7.0Hz)。
【0198】
7−オキソ−4,7−ジヒドロチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボン酸4:このエチル7−ヒドロキシチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシレート3(1.0g、4.5mmol)を15%のNaOH中で30分間加熱還流した。反応が完了した後、それを室温まで冷却させて、その固体をろ過によって取り出し、水およびエーテルで洗浄して所望の化合物をオフ・ホワイトの粉末として得た(0.6g、70%の収率)。LC/MS(10〜99%のCHCN/0.05%のTFA勾配で5分におよぶ):m/z 196.0、m/z 210.0、保持時間0.94分。H NMR(DMSO−d)δ:15.50(bs,1.0H)、14.0(s,1.0H)、8.80(s,1.0H)、8.30(d,1.0H,J=5.4Hz)、7.48(d,1.0H,J=5.4Hz)。
【0199】
アミン前駆体の合成:
【0200】
【化32】

a)SOCl、R2=Cl;b)R2OH、R2=アルキル;c)NBS、R1=Br;d)ClCOR,TEA;e)HNO,HSO;f)塩基;g)ArB(OH)、R1=Br;h)[H];I)R’X、R1=Br;j)ClCFCOMeまたはFSOCFCOMe/CuI;k)[H];l)[H]。
【0201】
一般的スキーム:
【0202】
【化33−1】

一般的スキーム:
【0203】
【化33−2】

a)RX(X=Br,I)、トリフル酸亜鉛、TBAI、DIEA、トルエン;b)H、ラネーNi、EtOHまたはSnCl・2HO,EtOH。
【0204】
特定の実施例:
【0205】
【化34】

3−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール
無水トルエン(11mL)中の6−ニトロインドール(1g、6.2mmol)、トリフル酸亜鉛(2.06g、5.7mmol)およびTBAI(1.7g、5.16mmol)の混合物に、DIEA(1.47g、11.4mmol)を室温において窒素下で添加した。その反応混合物を120℃で10分間攪拌し、続いてt−臭化ブチル(0.707g、5.16mmol)を添加した。得られた混合物を120℃で45分間攪拌した。その固体をろ過して除き、その濾液を乾燥するまで濃縮して、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィー(Pet.エーテル/EtOAc 20:1)によって精製して、3−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドールを黄色固体として得た(0.25g、19%)。H NMR(CDCl)δ8.32(d,J=2.1Hz,1H)、8.00(dd,J=2.1,14.4Hz,1H)、7.85(d,J=8.7Hz,1H)、7.25(s,1H)、1.46(s,9H)。
【0206】
B−11;3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
エタノール中の3−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール(3.0g、13.7mmol)およびラネーNi(0.5g)の懸濁物を室温でH(1気圧)のもとで3時間攪拌した。その触媒を濾過して除き、その濾液を乾燥するまで濃縮した。その残滓をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAcが4:1)によって精製して3−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン(B−11)(2.0g、77.3%)を灰色の固体として得た。H NMR(CDCl):δ7.58(m,2H)、6.73(d,J=1.2Hz,1H)、6.66(s,1H)、6.57(dd,J=0.8,8.6Hz,1H)、3.60(br s,2H)、1.42(s,9H)。
【0207】
実施例
【0208】
【化35】

2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン
DMF(500mL)中の4−tert−ブチル−フェニルアミン(447g、3mol)の溶液に、DMF(500mL)中のNBS(531g、3mol)を室温で滴下して加えた。終了時に、その反応混合物を水で希釈して、EtOAcで抽出した。その有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。その粗生成物をさらに精製することなく次の工程に直接用いた。
【0209】
2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン
2−ブロモ−4−tert−ブチル−フェニルアミン(162g、0.71mol)をHSO(410mL)に室温で滴下して加え、透明な溶液を得た。次いでこの透明な溶液を−5〜−10℃に冷却した。HSO(410mL)中のKNO(82.5g、0.82mol)の溶液を、その温度を−5〜−10℃に維持しながら滴下して加えた。終了の際、その反応混合物を氷/水に注いで、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を5%のNaCOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して、濃縮した。その残滓をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテルが1/10)によって精製して、2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミンを黄色の固体として得た(152g、78%)。
【0210】
4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン
トルエン(200mL)および水(100mL)の中の2−ブロモ−4−tert−ブチル−5−ニトロ−フェニルアミン(27.3g、100mmol)の混合物に、EtN(27.9mL、200mmol)、Pd(PPhCl(2.11g、3mmol)、CuI(950mg、0.5mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(21.2mL、150mmol)を窒素雰囲気下で加えた。その反応混合物を密閉した圧力フラスコ中において70℃で2.5時間加熱し、室温まで冷却して、セライトの短いプラグを通じて濾過した。フィルターケーキをEtOAcで洗浄した。その合わせた濾液を5%のNHOH溶液および水で洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜10%のEtOAc/石油エーテル)によって精製して、4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミンを褐色の粘性の液体として得た(25g、81%)。
【0211】
5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール
DMF(100mL)中の4−tert−ブチル−5−ニトロ−2−トリメチルシラニルエチニル−フェニルアミン(25g、86mmol)の溶液に、CuI(8.2g、43mmol)を窒素雰囲気下で添加した。その混合物を135℃で密閉圧力フラスコ中で一晩加熱して、室温まで冷却し、セライトの短いプラグを通して濾過した。そのフィルターケーキをEtOAcで洗浄した。その合わせた濾液を水で洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10〜20%のEtOAc/ヘキサン)で精製して5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドールを黄色の固体として得た(12.9g、69%)。
【0212】
B−24;5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン
ラネー(Raney)Ni(3g)を、メタノール(100mL)中の5−tert−ブチル−6−ニトロ−1H−インドール(14.7g、67mmol)に添加した。その混合物を水素(1気圧)のもとで、30℃で3時間攪拌した。その触媒をろ過して除いた。その濾液をNaSOで乾燥して濃縮した。その濃い褐色の粘性の粗油状物をカラムクロマトグラフィー(10〜20%のEtOAc/石油エーテル)によって精製して、5−tert−ブチル−1H−インドール−6−イルアミン(B−24)を灰色の固体として得た(11g、87%)。H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ 10.3(br s,1H)、7.2(s,1H)、6.9(m,1H)、6.6(s,1H)、6.1(m,1H)、4.4(br s,2H)、1.3(s,9H)。
実施例4
一般的スキーム
【0213】
【化36】

X=F、Cl;a)ROH、HSOまたはMeSOH、CHCl;b)R’COCl、EtN、1,4−ジオキサンまたはCHCl;c)HNO、HSOまたはKNO、HSOまたはHNO、AcOH;d)ピペリジン、CHCl;e)HCONH、Pd−C、EtOHまたはSnCl・2HO、EtOHまたはH、Pd−C、MeOH。
【0214】
特定の実施例
【0215】
【化37】

2−tert−ブチル−4−フルオロフェノール
4−フルオロフェノール(5g、45mmol)および tert−ブタノール(5.9mL、63mmol)をCHCl(80mL)に溶解して、濃硫酸(98%、3mL)で処理した。その混合物を室温で一晩攪拌した。その有機層を水で洗浄し、NaHCOで中和し、MgSOで乾燥して、濃縮した。その残渣をカラムクロマトグラフィー(5〜15%のEtOAc−ヘキサン)で精製して、2−tert−ブチル−4−フルオロフェノール(3.12g、42%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.32(s,1H)、6.89(dd,J=11.1,3.1Hz,1H)、6.84−6.79(m,1H)、6.74(dd,J=8.7,5.3Hz,1H)、1.33(s,9H)。
【0216】
2−tert−ブチル−4−フルオロフェニルメチルカーボネート
ジオキサン(45mL)中の2−tert−ブチル−4−フルオロフェノール(2.63g,15.7mmol)およびNEt(3.13mL、22.5mmol)の溶液に、クロロギ酸メチル(1.27mL、16.5mmol)を添加した。その混合物を室温で1時間攪拌した。その沈殿物を濾過によって除去した。次にその濾液を水で希釈してエーテルで抽出した。そのエーテル抽出物を水で洗浄してMgSOで乾燥した。溶媒の除去後、その残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、2−tert−ブチル−4−フルオロフェニルメチルカーボネートを得た(2.08g、59%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ7.24(dd,J=8.8,5.4Hz,1H)、7.17−7.10(m,2H)、3.86(s,3H)、1.29(s,9H)。
【0217】
2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェニルメチルカーボネート(C−7−a)および2−tert−ブチル−4−フルオロ−6−ニトロフェニルメチルカーボネート(C−6−a)
SO(98%、1mL)中の2−tert−ブチル−4−フルオロフェニル メチルカーボネート(1.81g,8mmol)の溶液に、HSO(1mL)およびHNO(1mL)の冷却混合物を0℃でゆっくり添加した。その混合物を、室温で温めながら2時間攪拌し、氷に注いで、ジエチルエーテルで抽出した。そのエーテル抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して濃縮した。その残渣をカラムクロマトグラフィー(0〜10%のEtOAc−ヘキサン)によって精製して、2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェニルメチルカーボネート(C−7−a)(1.2g、55%)および2−tert−ブチル−4−フルオロ−6−ニトロフェニルメチルカーボネート(C−6−a)(270mg、12%)を得た。2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェニルメチルカーボネート(C−7−a):H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.24(d,J=7.1Hz,1H)、7.55(d,J=13.4Hz,1H)、3.90(s,3H)、1.32(s,9H)。2−tert−ブチル−4−フルオロ−6−ニトロフェニルメチルカーボネート(C−6−a):H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.04(dd,J=7.6,3.1Hz,1H)、7.69(dd,J=10.1,3.1Hz,1H)、3.91(s,3H)、1.35(s,9H)。
【0218】
2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェノール
CHCl(40mL)中の2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェニル メチルカーボネート(C−7−a)(1.08g、4mmol)の溶液に、ピペリジン(3.94mL、10mmol)を添加した。その混合物を室温で1時間攪拌して、1NのNaOH(3×)で抽出した。その水層を1NのHClで酸性にして、ジエチルエーテルで抽出した。そのエーテル抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮して2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェノール(530mg、62%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ10.40(s,1H)、7.49(d,J=6.8Hz,1H)、7.25(d,J=13.7Hz,1H)、1.36(s,9H)。
【0219】
C−7;2−tert−ブチル−5−アミノ−4−フルオロフェノール
EtOH(20mL)中の2−tert−ブチル−4−フルオロ−5−ニトロフェノール(400mg、1.88mmol)およびギ酸アンモニウム(400mg、6.1mmol)の還流溶液に、5%のPd−C(260mg)を添加した。その混合物をさらに1時間還流して、冷却して、セライトを通して濾過した。その溶媒をエバポレーションによって除去して、2−tert−ブチル−5−アミノ−4−フルオロフェノール(C−7)(550mg、83%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.83(br s,1H)、6.66(d,J=13.7Hz,1H)、6.22(d,J=8.5Hz,1H)、4.74(br s,2H)、1.26(s,9H);HPLC保持時間2.58分、10〜99%のCHCN、5分実施;ESI−MS 184.0m/z(MH)。
【0220】
表1の化合物の分析データを下に示す:
【0221】
【表1−3】

【0222】
【表1−4】

化合物のΔF508−CFTR電位特性を検出および測定するためのアッセイ
化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための光学的膜電位方法
光学的膜電位アッセイは、蛍光変化の測定装置、例えば電位差/イオン・プローブ・リーダー(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oades,et al.(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431〜439を参照のこと)と組み合わせて、GonzalezおよびTsienにより記載された電位感受性FRETセンサー(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272−80、ならびにGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269−77を参照のこと)を利用する。
【0223】
これらの電位感受性アッセイは、膜−可溶性の電位感受性色素であるDiSBAC(3)と、蛍光リン脂質であるCC2−DMPE(これは、原形質膜の外側の小葉状構造に結合して、FRETドナーとして機能する)との間の、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)における変化に基づく。膜電位(V)の変化は、負に荷電されたDiSBAC(3)が原形質膜を横切って再分布するのを誘発し、それによってCC2−DMPEからのエネルギー伝達量を変化させる。蛍光放射の変化を、96−または384−ウェルマイクロタイタープレートにおいて細胞ベースのスクリーニングを行うよう設計された、一体型の液体取扱器(handler)および蛍光検出器であるVIPR(商標)IIを用いてモニターした。
【0224】
増強因子化合物の同定
代表的なプロトコールでは、基底側から頂端膜のCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するため、通常のリンゲル溶液を基底側膜に用いて、ニスタチン(360μg/ml)で透過処理し、一方で、頂端NaClを、等モルのグルコン酸ナトリウムに置き換え(NaOHを用いてpH7.4に滴定)、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。全ての実験は、ニスタチン透過処理の30分後に行った。フォルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、両サイドの細胞培養インサートに添加した。推定上のΔF508−CFTR増強因子の有効性を、公知の増強因子であるゲニステインの有効性と比較した。
【0225】
溶液
基底側溶液(mM):NaCl(135)、CaCl(1.2)、MgCl(1.2)、KHPO(2.4)、KHPO(0.6)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)(10)、およびデキストロース(10)。溶液を、NaOHを用いてpH7.4に滴定した。
【0226】
頂端側溶液(mM):NaClをグルコン酸Na(135)に置き換えて、基底側溶液と同じ。
【0227】
細胞培養
ΔF508−CFTRを発現するフィッシャーのラット上皮(FRT)細胞(FRTΔF508−CFTR)を、本発明者らの光学アッセイにより同定された推定上のΔF508−CFTR調節因子に関してユッシング(Ussing)チャンバー実験に用いた。この細胞を、Costar Snapwell細胞培養インサート上で培養し、37℃および5%COにて5日間、5%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを添加したCoonの修飾Ham’sF−12培地中で培養した。化合物の増強因子活性を特徴付けるために使用前に、この細胞を、ΔF508−CFTRを補正するために、27℃で16〜48時間インキュベートした。補正化合物の活性を決定するため、この細胞を化合物の有無の下で、27℃または37℃にて24時間インキュベートした。
【0228】
2.全細胞の記録
ΔF508−CFTRを安定に発現する、温度補正および試験化合物補正したNIH3T3細胞における肉眼的ΔF508−CFTR電流(IΔF508)は、有孔パッチ、全細胞記録を用いてモニターした。要するに、IΔF508の電圧クランプ記録を、Axopatch 200Bパッチクランプ増幅器(patch−clamp amplifier)(Axon Instruments Inc.,Foster City,CA)を用いて室温で行った。全ての記録は、10kHzおよび1kHzでの低域フィルターのサンプリング頻度で得た。ピペットを細胞内溶液で満たしたとき、それは5〜6MΩの抵抗性を有した。これらの記録条件下で、室温でのCl(ECl)の計算した逆転電位は、−28mVであった。全ての記録は、シール抵抗>20GΩおよび直列抵抗<15MΩを有した。パルス発生、データ収集、および分析は、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)と併用してDigidata 1320 A/Dインターフェースを備えたPCを用いて行った。浴は、250μl未満の食塩水を含み、重力駆動式の灌流システムを用いて、2ml/分の流速で連続的に灌流させた。
【0229】
本明細書に例示される化合物は、本明細書において上記に記載されるアッセイで活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iもしくは式I’の化合物
【化38】

またはその薬学的に受容可能な塩であり、式中:
Arは窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族単環式の環であって、該環は必要に応じて、5〜12員の単環または二環の、芳香族の、部分的に不飽和の、または飽和の環であり、ここで各々の環は、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、Arは各々独立して−WRから選択されるm個の置換基を有しており;
Wは結合または必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、Wの最大2個のメチレン単位が必要に応じてかつ独立して、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立してR’、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、またはNHSOMeであり;
mは0〜5であり;
kは0〜2であり;
各々のRは独立して−X−Rであり;
Xは結合であるかまたは必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、ここでXの最大2個のメチレン単位が必要に応じてかつ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立して、R’、ハロ、NO、CN、CF、またはOCFであり;
は水素であり;
は水素であり;
は水素または必要に応じて−X−Rで置換されたC1−6脂肪族基であり;
R’は独立して水素、あるいはC1−脂肪族基、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式の環、または窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の二環式の環系から選択される必要に応じて置換されている基から選択され;あるいはR’の2つの出現がそれらが結合される原子と一緒になって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている3〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成する、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩
【請求項2】
Arが:
【化39】

から選択され、式中、環Aが窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有している5〜6員の芳香族単環式の環であるか;または
およびAが一緒になって、8〜14員の芳香族、二環式または三環式の芳香族環であって、ここで各々の環が、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、0〜4個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている6員の芳香族環であり、該ヘテロ原子が窒素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、必要に応じて置換されているフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
が、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている6員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、窒素、酸素またはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有している必要に応じて置換されている5員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
が、1〜2個の窒素原子を有している5員の芳香族環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
が:
【化40】

【化41】

から選択され、環Aが2つの隣接する環原子を通じて環Aに縮合される、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
およびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が水素である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が式IIA、式IIA’、式IIB、または式IIB’:
【化42】

【化43】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が式IIIA、式IIIA’、式IIIB、式IIIB’、式IIIC、式IIIC’、式IIID、式IIID’、式IIIE、または式IIIE’:
【化44】

【化45】

を有し、式中:
、X、X、XおよびXの各々がCHまたはNから独立して選択され;かつXがO、S,またはNR’である、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
式IIIAまたは式IIIA’におけるX、X、X、X、およびXの各々がCHである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
、X、X、X、およびXが式IIIAまたは式IIIA’の化合物中で一緒になって、ピリジル、ピラジニル、またはピリミジニルから選択される必要に応じて置換されている環である、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
、X、X、またはXが式IIIB、式IIIB’、式IIIC、または式IIIC’、式IIID、式IIID’の化合物における環Aと一緒になって、以下:
【化46】

【化47】

【化48】

から選択される必要に応じて置換されている環である、
請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、式IVA、式IVA’、式IVB、式IVB’、式IVC、または式IVC’:
【化49】

を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項17】
環Aが、O、SまたはNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、飽和、不飽和、または芳香族の5〜7員の環である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が式VA−1または式VA−1’:
【化50】

を有し、
式中、各々のWRW2およびWRW4が独立して、水素、CN、CF、OCF、ハロ、C1−C6の直鎖または分枝のアルキル、3〜12員の脂環式、フェニル、C5−C10ヘテロアリールまたはC3−C7複素環式基から選択され、ここで該ヘテロアリールまたは複素環式基は、O、S、またはNから選択される最大3個のヘテロ原子を有し、ここで該WRW2およびWRW4は独立してかつ必要に応じて、−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、CN、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、CHCN、必要に応じて置換されているフェニルまたはフェノキシ、−N(R’)(R’)、−NR’C(O)OR’、−NR’C(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、または−(CH)N(R’)(R’)から選択される最大3個の置換基で置換されており;
WRW5は、水素、ハロ、−OH、NH、CN、CHF、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、NHSOR’、−OR’、CHOH、CHN(R’)、C(O)OR’、C(O)N(R’)、SONHR’、SON(R’)、OSON(R’)、OSOCF、またはCHNHC(O)OR’から選択される、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が式VA−2または式VA−2’:
【化51】

を有し、式中:
環Bが−Q−Rの最大n個の出現で必要に応じて置換されている5〜7員の単環式または二環式、複素環式またはヘテロアリール環であって、
QがWであり;
がRであり;
mが0〜4であり;かつ
nが0〜4である、
請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が式VA−3または式VA−3’:
【化52】

を有し、式中:
環Bが−Q−Rの最大n個の出現で必要に応じて置換されている5〜7員の単環式または二環式、複素環式またはヘテロアリール環であって、
QがWであり;
がRであり;
mが0〜4であり;かつ
nが0〜4である、
請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が式VB−1または式VB−1’:
【化53】

を有し、式中:
W1が水素またはC1−C6脂肪族であり;
各々のRW3が水素またはC1−C6脂肪族であるか;
または必要に応じて両方のRW3が一緒になってO、SもしくはNR’から選択される最大2個のヘテロ原子を有しているC3−C6シクロアルキルまたは複素環式の環を形成し、ここで該環が必要に応じて最大2個のWR置換基で置換されており;かつ
mが0〜4である、
請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
WRW1が水素、C1−C6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、またはC(O)OC1−C6脂肪族である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
各々のRW3が水素、C1−C4アルキルであるか;あるいは両方のRW3が一緒になってC3−C6の脂環式環、またはO、SもしくはNから選択される最大2個のヘテロ原子を有する5〜7員の複素環式環を形成し、ここで該脂環式または複素環式環がWRW1から選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されている、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が式VB−2または式VB−2’:
【化54】

を有し、式中:
環Aがフェニルまたは5〜6員のヘテロアリール環であり、ここで環Aおよび該環に縮合したフェニル環が一緒になって、WRから独立して選択される4個までの置換基を有し;かつ
mが0〜4である、請求項16に記載の化合物。
【請求項25】
環Aがピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルから選択される、必要に応じて置換されている5員の環である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
環Aが:
【化55】

【化56】

から選択され、式中、該環が必要に応じて置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が式VB−3または式VB−3’:
【化57】

を有する、請求項26に記載の化合物であって、式中:
が水素、ハロ、CN、CF、CHF、CHF、必要に応じて置換されているC1−C6脂肪族、アリール−C1−C6アルキル、またはフェニルであり、ここでGが最大4個のWR置換基で必要に応じて置換されており;ここで該C1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位が−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されており;
が水素、CN、または必要に応じて置換されているC1−C6脂肪族であり;
ここで該インドール環系がさらに、WRから独立して選択される最大3個の置換基で必要に応じて置換されている、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
が水素であり、かつGがC1−C6脂肪族であり、かつ該脂肪族がC1−C6アルキル、ハロ、シアノ、またはCFで必要に応じて置換されており、かつ該C1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位が、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
が水素であり、かつGがシアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、CHC(O)OMe、(CH−NHC(O)O−tert−But、またはシクロペンチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
が水素、CNまたはCFであり、かつGがハロ、C1−C6脂肪族またはフェニルであり、該脂肪族またはフェニルが、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、またはCFで必要に応じて置換されており、該C1−C6脂肪族またはC1−C6アルキルの最大2個のメチレン単位が、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−で必要に応じて置換されている、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
が水素、CNまたはCFであり、かつGがハロ、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、sec−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、またはピペリジン−1−イルカルボニルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が表1から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
請求項1に記載の式Iの化合物および薬学的に受容可能な担体またはアジュバントを含んでいる薬学的組成物。
【請求項34】
前記組成物が、粘液溶解剤、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTR調節因子、または栄養剤から選択される追加の薬剤を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記CFTRと式Iの化合物:
【化58】

またはその薬学的に受容可能な塩とを接触させる工程を包含する、CFTR活性を調節する方法であって、式中:
Arは窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有している5〜6員の芳香族単環式の環であって、該環は必要に応じて5〜12員の単環または二環の、芳香族の、部分的に不飽和の、または飽和の環に結合されており、ここで各々の環は、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、ここでArは各々独立して−WRから選択されるm個の置換基を有しており;
Wは結合であるか、または必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、ここでWの最大2個のメチレン単位は必要に応じてかつ独立して、O、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−C(O)NR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立してR’、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OH、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、またはNHSOMeであり;
mは0〜5であり;
kは0〜2であり;
各々のRは独立して−X−Rであり;
Xは結合であるか、または必要に応じて置換されているC−Cアルキリデン鎖であって、ここでXの最大2個のメチレン単位は必要に応じてかつ独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、または−NR’SONR’−によって置換されており;
は独立してR’、ハロ、NO、CN、CFまたはOCFであり;
は水素であり;
は水素であり;
は水素または必要に応じて−X−Rで置換されたC1−6脂肪族基であり;
R’は独立して、水素、あるいは窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有するC1−脂肪族基、3〜8員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式の環、または窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の二環式の環系、から選択される必要に応じて置換されている基であるか;あるいはR’の2つの出現が、それが結合されている原子と一緒になって、窒素、酸素もしくはイオウから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて飽和された3〜12員の飽和、部分的に不飽和もしくは完全に不飽和の単環式もしくは二環式の環を形成する、
方法。
【請求項36】
患者における疾患を処置またはその重篤度を軽減する方法であって、該疾患は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固−線維素溶解欠損症、例えば、プロテインC欠損症、1型遺伝性血管浮腫、脂質処理欠損症、例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えば、I−細胞病/偽ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ・サックス病、クリーグラー・ナジャー病II型、多腺内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経身体的尿崩症、腎性尿崩症、シャルコー・マリー・ツース病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、各種のポリグルタミン神経障害、例えば、ハンチントン、脊髄小脳失調I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー症、ならびに海綿状脳症、例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠陥に起因)、ファブリー病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病から選択され、該方法は、請求項1に記載の式Iの化合物の有効量を該患者に投与することを包含する、方法。
【請求項37】
インビトロまたはインビボにおいて生物学的サンプル中のCFTRまたはそのフラグメントの活性を測定における使用のためのキットであって:
(i)請求項1に記載の式Iの化合物を含む組成物と;
(ii)a)該組成物と該生物学的サンプルとを接触させる工程;
b)該CFTRまたはそのフラグメントの活性を測定する工程、
のための説明書と、
を備えるキット。
【請求項38】
請求項37に記載のキットであって、
a)追加の組成物と前記生物学的サンプルとを接触させる工程と;
b)該追加の化合物の存在下で前記CFTRまたはそのフラグメントの活性を測定する工程と;
c)該追加の化合物の存在下での該CFTRの活性と、式Iの化合物の存在下でのCFTRの密度とを比較する工程、
のための説明書をさらに備える、キット。

【公表番号】特表2010−528050(P2010−528050A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509563(P2010−509563)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/064646
【国際公開番号】WO2008/147952
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】