説明

回動体装置及び収納装置

【課題】ダンパ装置を備えたグローブボックスを小形化し、外観を向上する。
【解決手段】後部に開口部23を設けたボックス本体12の側板部27の前端部に沿って、ダンパ装置46のダンパ本体46aを固定する。蓋体14のヒンジ部57より奥側に延設した部分からアーム部71を突設する。ダンパ本体46aから導出した操作ひも46bをアーム部71の先端側の連結部72に連結する。ダンパ装置46により、蓋体14はゆっくりと開き、グローブボックス10の品質が向上する。ダンパ装置46のダンパ本体46aを適宜の位置に固定できるため、グローブボックス10を小形化できる。ダンパ装置46及びアーム部71を外部から見えにくい位置に配置して、外観を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両のグローブボックスを構成する回動体装置及び収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両の助手席の前方に位置するインストルメントパネルに備えられる収納装置であるグローブボックスが用いられている。このグローブボックスは、ボックス本体が車体に取り付けられるとともに、ボックス本体の手前側の開口部を蓋体で開閉可能になっている。そして、蓋体は、平板状をなし、下端部のヒンジによりボックス本体に連結され、蓋体が開いた状態では、自重により回動限位置まで回動し、蓋体の内面から突設したアームの先端部がボックス本体の枠部に当接して、回動限位置に保持されるようになっている。
【0003】
このようなグローブボックスについて、例えば、蓋体の下端部にコ字状のアームの一端部を取り付け、このアームの他端部にダンパ装置を連結した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この構成では、ボックス本体の開口部を囲む枠部の下部に切欠部を形成し、アームをこの切欠部に挿入している。また、ダンパ装置は、円筒状をなす本体部と、この本体部に保持されて進退するロッドとを備え、全体として伸縮しながら制動を行うもので、枠部の背面側に配置され、ロッドの先端部がアームの他端部に回動可能に連結されるとともに、本体部の基端部がボックス本体の側面部に回動可能に取り付けられている。そこで、この構成では、蓋体の回動に伴い、枠体の背面側でアームが回動するとともにダンパ装置が伸縮しながら回動し、減速された状態で蓋体が回動するようになっている。
【特許文献1】実公平3−23883号公報(第1図−第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成では、蓋体の開閉に伴い、ダンパ装置がボックス本体の側方で伸縮しながら回動するため、ボックス本体の側方の大きな空間を占有し、ボックス本体の内部の容量が小さくなり、あるいは、ボックス本体の側方への部品の配置が困難になる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ダンパ装置を備えて回動体の移動速度を制御できる回動体装置及び収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の回動体装置は、被開閉部を備えた本体と、この被開閉部を閉じる第1の位置からこの被開閉部を開く第2の位置まで前記本体に回動可能に軸支される回動体と、前記本体に取り付けられ前記回動体を制動するダンパ装置とを具備し、前記ダンパ装置は、前記本体に固定されたダンパ本体と、このダンパ本体から外部に導出された柔軟に変形するダンパ作動部と、前記ダンパ本体に収納され前記ダンパ作動部に接続されて前記ダンパ作動部が前記ダンパ本体から引き出される方向への移動を減速させる制動機構とを備え、前記回動体は、前記本体に軸支されるヒンジ部と、このヒンジ部の一側に位置して前記被開閉部を開閉する開閉部と、前記ヒンジ部の前記一側の反対側である他側に位置して前記開閉部から延設された延設部と、この延設部から突設され前記ダンパ作動部が連結される連結部を設けたアーム部とを具備したものである。
【0007】
そして、この構成では、本体に回動可能に軸支される回動体が、本体の被開閉部を閉じる第1の位置からこの被開閉部を開く第2の位置まで移動し、被開閉部を開閉する。回動体のアーム部の連結部には、ダンパ作動部が連結されているため、回動体の移動が減速される。ダンパ作動部は、柔軟に変形するため、ダンパ本体が移動する必要がなく本体に固定して配置可能となるとともに、ダンパ本体を設置する位置の自由度が向上するため、回動体装置を小さい空間に設置可能であるとともに、回動体装置に種々の部材を取り付けることが容易になる。また、アーム部は、ヒンジ部に対して、被開閉部を開閉する開閉部の反対側に延設された延設部から突設されるため、回動体が第1の位置から第2の位置へ移動する際に、アーム部の連結部がダンパ作動部を引っ張るように配置可能となるとともに、外部に露出しにくい位置に配置可能であり、容易に外観が向上する。
【0008】
請求項2記載の収納装置は、請求項1記載の回動体装置を備え、本体は、収容部及び被開閉部としての開口部を有するボックス本体で、回動体は、前記開口部を開閉する蓋体であるものである。
【0009】
そして、この構成では、請求項1記載の回動体装置を備えたため、収容部の開口部を開閉する蓋体を備え、かつ、この蓋体が開く際に減速されて移動する品質の高い収納装置が提供される。また、この構成では、アーム部を外部に露出し難い位置に配置可能であり、収納装置の外観が容易に向上する。さらに、ダンパ装置のダンパ本体は、本体に固定され、さらに、設置の位置の自由度が高いため、収納装置を小さい空間に設置可能であるとともに、収納装置に種々の部材を取り付けることが容易になる。
【0010】
請求項3記載の収納装置は、請求項2記載の収納装置において、ボックス本体は、後側に位置する開口部と、底部と、両側の側板部とを備えるとともに、前記一方の側板部にストッパ部が設けられ、ダンパ装置のダンパ本体は、前記一方の側板部に固定されるとともに、前記ダンパ本体の下端部から糸状のダンパ作動部が導出され、蓋体の延設部は、前記底部の下方に位置して開閉部の下端に連続して延設され、アーム部は、前記一方の側板部の側方に位置し、前記延設部から上側に突設されるとともに、上側の端部近傍に位置して前記ダンパ作動部の先端部が引っ掛けて係止される連結部が設けられ、前記蓋体が前記開口部を閉じる第1の位置で、前記アーム部の連結部が第3の位置に位置し、前記開閉部が下方に移動して前記蓋体が前記開口部を開く第2の位置で、前記連結部が前記第3の位置より後方の第4の位置に位置するとともに、前記アーム部が前記ストッパ部に対向し、かつ、前記延設部が前記ボックス本体の底部に対向し、前記蓋体の位置を規制するものである。
【0011】
そして、この構成では、蓋体が自重により下方に移動して開口部を開く際に、アーム部の連結部がダンパ作動部を引っ張り、蓋体の移動を減速させて、品質を向上できる。蓋体が所定の位置まで移動すると、アーム部がストッパ部に当接し、あるいは、延設部がボックス本体の底部に当接して、蓋体の位置が規制される。蓋体の位置を規制する構成を外部に露出しにくい位置に配置可能であり、収納装置の外観が容易に向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ダンパ装置により回動体の移動を減速できる回動体装置について、ダンパ本体が移動する必要がなく本体に固定して配置可能となるとともに、ダンパ本体を設置する位置の自由度が向上するため、回動体装置を小さい空間に設置できるとともに、回動体装置に種々の部材を容易に取り付けできる。また、アーム部は、ヒンジ部に対して、被開閉部を開閉する開閉部の反対側に延設された延設部から突設したため、外部に露出しにくい位置に配置可能であり、外観を容易に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の回動体装置及び収納装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図5において、10は回動体装置としての収納装置であるグローブボックスで、このグローブボックス10は、自動車の車両の助手席の前方に位置するインストルメントパネルに備えられる車両用収納ボックスを構成している。そして、このグローブボックス10は、自動車の車体側に取り付けられる本体としてのボックス本体12と、このボックス本体12に回動可能に軸支される回動体としての蓋体14とを備えている。なお、以下、前後方向、両側方向及び上下方向などの方向は、グローブボックス10を車体に取り付けた状態を基準として説明する。なお、各図においては、車体の右側に助手席が位置するいわゆる左ハンドルの自動車に備えられるグローブボックス10を示している。
【0015】
そして、ボックス本体12は、ケーシングなどとも呼ばれるもので、合成樹脂にて一体に形成され、あるいは合成樹脂にて形成された複数の部材を接合して箱状に形成され、内部に収納部22が形成されるとともに、この収納部22に連通し、手前側すなわち乗員に向かう後面に両側方向を長手方向とする矩形状の被開閉部としての開口部23が形成されている。そして、ボックス本体12は、略板状の底部25と、この底部25の前側から立ち上げられた前板部26と、底部25の両側から立ち上げられた側板部27と、これら前板部26と側板部27との上端部に連続する天板部28とを備えているとともに、開口部23を囲み、フランジ部29が形成されている。また、このフランジ部29は、一側の側板部27の側部に沿って前側に滑らかに延設され、略水平な案内部30が形成されている。そして、この案内部30には、上下に貫通し、かつ前後方向に延びる案内溝30aが形成されている。
【0016】
そして、底部25には、ヒンジ機構を構成する両側一対のヒンジ受部31が合成樹脂にて一体に形成されている。これらヒンジ受部31は、底部25から下側に突設された両側一対の受板部31aを備え、これら受板部31aには、ヒンジ軸32を支持する軸受孔31bが形成されている。そして、これらヒンジ受部31の間に位置する部分が基底部25aとなり、この基底部25aに、本体側当接部33が合成樹脂にて一体に形成されている。この本体側当接部33は、底部25の平板状をなす部分から、格子状のリブ部35が底部25から一体に突設され、剛性が高められている。すなわち、このリブ部35は、前後方向に沿って延びる板状の列リブ36と、この列リブ36に交差さらには直交する方向である両側方向に沿って延びる板状の行リブ37とが、それぞれ所定の間隔を介して複数形成され、互いに隣接するリブ36,37同士を連結し、これら列リブ36と行リブ37とに囲まれて、下側を開口する四角柱状の空間部38が複数形成されている。さらに、これら列リブ36と行リブ37とに囲まれた複数の空間部38の内側には、複数の補助リブ部39が底部25から一体に突設されている。これら補助リブ部39は、列リブ36及び行リブ37よりも突出寸法が小さく、各空間部38の前側に位置し、底部25の前側部と行リブ37の上側部とを一体に連結する三角板状に形成されている。すなわち、補助リブ部39の先端部がなす線、さらには複数の補助リブ部39がなす面は、底部25の基底部25aの面及び列リブ36及び行リブ37の先端部がなす面に対して傾斜するとともに、これら列リブ36及び行リブ37の突設方向に対して傾斜するようになっている。
【0017】
また、前板部26には、上側に位置して、作業用開口41が設けられ、この作業用開口41は、通常の使用状態では図示しないマスクパネルが係止して取り付けられ、空調ダクトのフィルタの交換作業などの必要に応じて開閉できるようになっている。
【0018】
また、天板部28には、補強用の格子状の上部補強リブ43が突設されている。
【0019】
また、側板部27には、開口を有する照明取付部44が設けられ、この照明取付部44に、収納部22を照明するランプ45が取り付けられている。
【0020】
さらに、側板部27には、前端部に沿って、ダンパ装置46が取り付けられている。このダンパ装置46は、円筒状のケースであるダンパ本体46aを有し、このダンパ本体46aの内側に、図示しない制動機構が収納されている。この制動機構は、ダンパ本体46a内の空間に移動可能に収納されたコマと、このコマを付勢する付勢手段であるコイルスプリングとを備え、このコマに、柔軟なダンパ作動部としての操作ひも46bが接続されている。この操作ひも46bは、糸状あるいはひも状などとも言い得る形状で、ダンパ本体46aの下端部に形成された円孔から導出され、先端部には環状の引掛部46cが形成されている。そして、このダンパ装置46は、操作ひも46bに力が加わっていない状態で、コイルスプリングの付勢力により操作ひも46bの少なくとも一部が内部に引き込まれた状態で保持される。また、この操作ひも46bを引き出す方向に力を加えると、コマの移動時に加わる空気の抵抗により、抵抗力が生じ、対象物の移動が減速され高級感を演出するようになっている。
【0021】
また、フランジ部29には、図1に示すように、開口部23の上側に位置して、蓋体14に当接する閉ストッパ47及びボックス本体12を車体に取り付ける取付部48が設けられている。また、開口部23の側方に位置して、ラッチ受部49、トランク開口用などのスイッチ50、及びボックス本体12を車体に取り付けるクリップ51が取り付けられている。
【0022】
さらに、一側の側板部27には、側方に突出し、端面が前側に向かうストッパ部52が形成されている。
【0023】
一方、蓋体14は、リッドとも呼ばれるもので、全体としては湾曲した板状をなす蓋体本体53を備え、この蓋体本体53は、それぞれ合成樹脂にて形成されたリッドアウタとも呼ばれる表板部54とリッドインナとも呼ばれる裏板部55とを接合して構成されている。そして、この蓋体14の内面部すなわち背面側である裏板部55が外部に露出する面には、基端部すなわちこの蓋体14を閉じた状態での下端部近傍に位置して、ヒンジ機構を構成する両側一対のヒンジ部57が合成樹脂にて一体に上側に突設して形成されており、このヒンジ部57をボックス本体12のヒンジ受部31に組み合わせ、ヒンジ軸32で連結することにより、ボックス本体12に蓋体14が回動可能に軸支され、図1(a)に示すように、蓋体14が閉じた第1の位置から、図1(b)に示すように、蓋体14が開いた第2の位置まで回動可能になっている。すなわち、ヒンジ部57は、蓋体14の下側の端末部ではなく、端末部より蓋体14の中心側に偏って配置されている。
【0024】
そして、この蓋体14の内面部の、ヒンジ部57より一側である上側に位置する部分が開閉部としての蓋本体部61となり、フランジ部29とともに開口部23を覆うようになっている。一方、蓋体14の内面部の、ヒンジ部57より他側である下側に位置する端末の部分が延設部としての基板部となり、この基板部62の両側のヒンジ部57の間に位置し、回動体側当接部63が合成樹脂にて一体に形成されている。この回動体側当接部63には、内面部の平板状をなす部分から、四角柱状をなす突起部65が両側方向に並んで突設され、剛性が高められている。これら突起部65は、内部が空洞で表板部54側に開口する箱状で、所定の間隔を介して配置され、各突起部65の先端の面である突起先端部66は、内面部に対して所定の角度で傾斜するように形成されている。また、蓋体14の内面部の基板部62には、両側のヒンジ部57の外側に位置し、四角柱状をなす蓋体側ストッパ部68が一体に突設されている。さらに、一側の蓋体側ストッパ部68に隣接して、アーム取付部70が設けられ、このアーム取付部70に、裏板部55とは別体の合成樹脂製のアーム部71の基端部がねじ止めにより取り付けられている。このアーム部71は、細長い板状の部材の両面に格子状にリブを突設して補強したもので、所定の長さ寸法で上側に突設され、先端側に、後側に開いた切欠部でありダンパ受部である連結部72が形成されている。そして、このアーム部71は、案内溝30aに移動可能に挿入されて案内されるとともに、このアーム部71の連結部72に、ダンパ装置46の操作ひも46bの引掛部46cが引っ掛けて接続されている。
【0025】
そして、このアーム部71は、アーム取付部70から、すなわち蓋体14の内面部の基板部62から所定の長さ寸法で所定の角度に突設され、すなわち、図1(a)に示すように、蓋体14が閉じた第1の位置では、アーム部71は前側に傾斜し、連結部72が、ヒンジ部57のヒンジ軸32より上方に位置し、かつ、アーム部71の基端部に対し垂直上方より前側に位置する第3の位置に位置する。そして、図1(b)に示すように、蓋体14が開いた第2の位置では、アーム部71は後側に傾斜し、連結部72が、ヒンジ部57のヒンジ軸32より上方に位置し、かつ、アーム部71の基端部に対し垂直上方より後側に位置し、第3の位置より後側及び上側に位置する第4の位置に位置する。
【0026】
また、蓋体14の蓋体本体53の内側、すなわち表板部54と裏板部55との間には、ラッチ機構74が配置されている。このラッチ機構74は、表板部54から乗員側に露出する操作体75と、裏板部55から両側方に突出し、操作体75の操作に応じて進退するラッチ体76とを備えている。
【0027】
次に、蓋体14の開閉動作を説明する。
【0028】
ボックス本体12に回動可能に軸支された蓋体14は、図1(a)に示す閉じた状態、すなわち、蓋体14の蓋本体部61がボックス本体12の開口部23を覆った第1の位置では、両側に弾性的に突出するラッチ体76がボックス本体12のラッチ受部49に当接して、蓋体14を閉じた状態に保持している。また、この閉じた状態では、蓋体14の内面部の上端部の近傍が、ボックス本体12の閉ストッパ47に当接する。さらに、この閉じた状態では、アーム部71は前方に傾斜し、連結部72は比較的前側下方、すなわちダンパ装置46に近接して位置する。この状態で、ダンパ装置46は、コイルスプリングの付勢力により、操作ひも46bの少なくとも一部がダンパ本体46aの内部に引き込まれ張った状態となる。
【0029】
この閉じた状態から、乗員が操作体75を操作し、ラッチ体76を後退して係合を解除させると、蓋体14は、自重により上側部が手前側から下方に向かって移動するように回動限位置である第2の位置まで回動し、図1(b)に示すように、蓋体14が開いてボックス本体12の開口部23が開いた状態となる。そして、この回動の過程では、蓋体14に取り付けたアーム部71が回動し、アーム部71の連結部72が第3の位置から後側上方の第4の位置に移動し、すなわち連結部72がダンパ装置46から離間することにより、この連結部72に引掛部46cが引っ掛けて連結された操作ひも46bがダンパ本体46aの内部から引き出される。この際、アーム部71の回動すなわち連結部72の移動に伴いダンパ装置46の操作ひも46bが前方に引っ張られ、コマが受ける空気の抵抗により、蓋体14は制動され、すなわち、自然状態よりも減速した状態でいわばゆっくりと回動する。
【0030】
そして、蓋体14が第2の位置である回動限位置まで回動した最大開時には、以下のように蓋体14側の各部がボックス本体12側の各部に対向し、これら対向する部分の一カ所あるいは複数カ所あるいは全カ所が当接して、蓋体14を回動限位置に保持する。すなわち、この回動限位置では、蓋体14の基板部62の回動体側当接部63がボックス本体12の底部25の本体側当接部33に対向あるいは当接し、蓋体14の蓋体側ストッパ部68がボックス本体12の底部25に対向あるいは当接し、アーム部71の先端側の部分がボックス本体12のストッパ部52に対向あるいは当接し、蓋体14が回動限位置に保持される。また、回動体側当接部63と本体側当接部33との関係については、より詳細には、蓋体14の回動に伴い、蓋体14の基板部62から突設した突起部65が、ボックス本体12のリブ部35間に形成された空間部38に挿入されると同時に、突起部65同士の間にリブ部35が挿入され、これら突起部65とリブ部35とは蓋体14の回動方向に沿って非干渉となっている。例えば、通常、蓋体14の自重のみが加わった状態では、突起部65の突起先端部66が、補助リブ部39に線状に当接し、リブ部35の列リブ36と行リブ37とは、僅かな間隔を介して内面部の基板部62に対向し、蓋体14の蓋体側ストッパ部68がボックス本体12の底部25に僅かな間隔を介して対向し、蓋体14に、過大な力が加わった場合には、合成樹脂製のボックス本体12及び蓋体14は変形してたわみが生じるが、僅かなたわみが生じた時点で、リブ部35の列リブ36と行リブ37とが内面部の基板部62に当接し、蓋体14の蓋体側ストッパ部68がボックス本体12の底部25に当接して、ボックス本体12及び蓋体14の変形を防止することができる。
【0031】
また、この開いた状態から、乗員が蓋体14を持ち上げて回動させ、蓋体14を閉じると、両側に弾性的に突出するラッチ体76がボックス本体12のラッチ受部49に係合して、蓋体14を閉じた状態に保持する。
【0032】
そして、本実施の形態によれば、蓋体14が開く際に、ダンパ装置46により蓋体14の速度を減速させ、動作に高級感のある品質の高いグローブボックス10を提供できる。
【0033】
また、本実施の形態では、操作ひも46bを備えたダンパ装置46を用いるとともに、蓋体14のヒンジ部57より下側すなわち乗員から奥側に位置する基板部62からアーム部71を上側に突設し、このアーム部71の先端側の連結部72に操作ひも46bの引掛部46cを連結している。このように、柔軟に変形する操作ひも46bを備えたダンパ装置46を用いたため、ダンパ本体46aが移動する必要がなくボックス本体12の適宜の位置に固定して配置でき、ダンパ本体46aを設置する位置の自由度が向上するため、小さい空間を効率良く用い、グローブボックス10を小形化して小さい空間に設置でき、あるいはグローブボックス10の収納部22の容積を最大限に確保でき、あるいはグローブボックス10の側部にスイッチなどの種々の部材を容易に取り付けることができる。
【0034】
さらに、アーム部71は、蓋体14のヒンジ部57より下側すなわち乗員から奥側の基板部62に配置しているが、この基板部62からアーム部71を上側に突設したため、蓋体14を開く動作の際に操作ひも46bを引っ張る力を生成し、操作ひも46bを備えたダンパ装置46を用いることができる。そして、このようにダンパ装置46及びアーム部71をフランジ部29及び蓋体本体53に隠れる奥側の位置に配置して外部から見えなくできるため、グローブボックス10の外観を向上できる。
【0035】
また、蓋体14が開いた状態で、蓋体14の複数の部分がボックス本体12に対向して適宜当接するため、外部に露出する部分にレバーなどを設ける必要なく、外観を向上しつつ蓋体14の位置を安定して保持できる。
【0036】
すなわち、蓋体14の内面部のヒンジ部57より下側の基端部に回動体側当接部63を設け、この回動体側当接部63をボックス本体12の底部25に設けた本体側当接部33に当接させたため、蓋体14から突設したレバーをボックス本体12の側方で移動させる構成に比べ、収納部22の容積を大きく確保し、開口部23の面積を大きく確保できるとともに、構成を簡略化して金型を用いて合成樹脂にて容易に形成でき、製造コストを低減できる。そして、蓋体14の内面部とボックス本体12の底部25とを当接すると、これら部材が変形しやすくなるが、蓋体14の内面部には複数の突起部65を形成し、ボックス本体12の底部25には格子状のリブ部35を設けたため、これら蓋体14とボックス本体12との変形が抑制され、外観が容易に向上する。また、リブ部35は列リブ36と行リブ37とを有する格子状をなし、このリブ部35が構成する空間部38に各突起部65が挿入されるため、蓋体14を回動限位置まで開いた状態で、蓋体14に水平方向例えば前後方向や両側方向の力が加わった場合には、リブ部35と突起部65とが当接して、ヒンジ機構などの各部に加わる力を分散して受け止め、ヒンジ機構などを保護できる。また、リブ部35が構成する空間部38に補助リブ部39を突設したためボックス本体12の剛性をさらに向上できるとともに、蓋体14の自重のみが加わった状態では、突起部65の突起先端部66を、補助リブ部39に所定の角度で線状に当接させることができる。この構成により、突起部65からボックス本体12の底部25の基底部25aに加わる力は、面に対して垂直方向ではなく、傾斜した方向になるため、底部25の変形を容易に抑制できる。さらに、例えば本体側当接部33の補助リブ部39と同時にリブ部35を蓋体14の回動体側当接部63に当接させる構成に比べ、成形精度を高める必要がなく、製造コストを低減できる。
【0037】
また、アーム部71は、蓋体14の蓋本体部61と一体的に形成された基板部62から突設したため、コの字状に屈曲された金属製のアームなどを用いる必要がなく、構成を簡略化して製造コストを低減できる。
【0038】
なお、上記の実施の形態では、ダンパ装置46のダンパ本体46aは、側板部27の前端部に沿って配置したが、この構成に限られず、グローブボックス10を配置する空間に応じて、適宜の位置に固定することができる。
【0039】
また、アーム部71は、蓋体14の蓋本体部61の裏板部55とは別体に構成してねじ止めにより取り付けたが、この構成に限られず、蓋本体部61の裏板部55などから一体に突設することもできる。
【0040】
また、上記の実施の形態では、車両の車室に備えられるグローブボックス10について説明したが、この構成に限られず、車両の他の位置に配置される車両用収納ボックスに適用できる。また、車両用に限られず、種々の場所に取り付けられる収納装置に適用することもできる。さらに、収納装置に限られず、すなわち、回動体は収納ボックスの開口部を開閉する蓋体に限られず、操作部などの部分を覆う蓋体を備えた蓋装置として適用することもできる。さらに、回動体自体について、表示部や操作部を備えた回動装置として用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車両の車室に備えられるグローブボックスなどの車両用収納ボックスに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の収納装置の一実施の形態を示す説明図であり、(a)は第1の位置である閉じた状態の側面図、(b)は第2の位置である開いた状態の側面図である。
【図2】同上収納装置の後面図である。
【図3】同上収納装置の分解斜視図である。
【図4】同上収納装置の一部を省略した斜視図である。
【図5】同上収納装置の一部を省略した斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10 回動体装置としての収納装置であるグローブボックス
12 本体としてのボックス本体
14 回動体としての蓋体
22 収納部
23 被開閉部としての開口部
25 底部
27 側板部
46 ダンパ装置
46a ダンパ本体
46b ダンパ作動部としての操作ひも
52 ストッパ部
57 ヒンジ部
61 開閉部としての蓋本体部
62 延設部としての基板部
71 アーム部
72 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被開閉部を備えた本体と、この被開閉部を閉じる第1の位置からこの被開閉部を開く第2の位置まで前記本体に回動可能に軸支される回動体と、前記本体に取り付けられ前記回動体を制動するダンパ装置とを具備し、
前記ダンパ装置は、前記本体に固定されたダンパ本体と、このダンパ本体から外部に導出された柔軟に変形するダンパ作動部と、前記ダンパ本体に収納され前記ダンパ作動部に接続されて前記ダンパ作動部が前記ダンパ本体から引き出される方向への移動を減速させる制動機構とを備え、
前記回動体は、前記本体に軸支されるヒンジ部と、このヒンジ部の一側に位置して前記被開閉部を開閉する開閉部と、前記ヒンジ部の前記一側の反対側である他側に位置して前記開閉部から延設された延設部と、この延設部から突設され前記ダンパ作動部が連結される連結部を設けたアーム部とを具備した
ことを特徴とする回動体装置。
【請求項2】
請求項1記載の回動体装置を備え、
本体は、収容部及び被開閉部としての開口部を有するボックス本体で、
回動体は、前記開口部を開閉する蓋体である
ことを特徴とする収納装置。
【請求項3】
ボックス本体は、後側に位置する開口部と、底部と、両側の側板部とを備えるとともに、前記一方の側板部にストッパ部が設けられ、
ダンパ装置のダンパ本体は、前記一方の側板部に固定されるとともに、前記ダンパ本体の下端部から糸状のダンパ作動部が導出され、
蓋体の延設部は、前記底部の下方に位置して開閉部の下端に連続して延設され、
アーム部は、前記一方の側板部の側方に位置し、前記延設部から上側に突設されるとともに、上側の端部近傍に位置して前記ダンパ作動部の先端部が引っ掛けて係止される連結部が設けられ、
前記蓋体が前記開口部を閉じる第1の位置で、前記アーム部の連結部が第3の位置に位置し、
前記開閉部が下方に移動して前記蓋体が前記開口部を開く第2の位置で、前記連結部が前記第3の位置より後方の第4の位置に位置するとともに、前記アーム部が前記ストッパ部に対向し、かつ、前記延設部が前記ボックス本体の底部に対向し、前記蓋体の位置を規制する
ことを特徴とする請求項2記載の収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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