説明

回動操作装置及び画像記録装置

【課題】回動体を筐体から起立する第2姿勢で保持する保持力を安定化でき、回動体を容易に回動させることができる回動操作装置を提供する。
【解決手段】リンク部材17は、回動可能に一端部同士が連結された第1部材50と第2部材60とを備え、開閉可能である。回動体40が第2姿勢であるとき、リンク部材17は最大開き角度α1(180度以上)で開かれており、第1部材50を回動体40側として回動体40から起立している。筐体側の第2部材60は、長孔71の第1端72と第2端73との間でスライド可能に支持部材70に支持されている。第2部材60は、第1コイルバネ91により前方斜め上へ向かって付勢されている。回動体40が第1コイルバネ91の付勢力よりも大きな力で押されると、第2部材60は、後方斜め下へ向かってスライドして下方に設けられた当接片93に当接し、第1部材50に対して回動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体へ倒伏する第1姿勢及び装置本体から起立する第2姿勢に回動により姿勢変化される回動体を第2姿勢で保持可能な回動操作装置、及びこの回動操作装置を用いた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置本体へ倒伏する第1姿勢及び装置本体から起立する第2姿勢に回動により姿勢変化される回動体を第2姿勢で保持可能な回動操作装置がある(例えば、特許文献1、2参照)。回動体は、タッチパネルや操作スイッチなどの操作部が設けられており、入力を受けたり表示を行ったりする。回動操作装置は、例えば、プリンタやコピー機や複合機などの画像記録装置に用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された回動操作装置は、第2姿勢にある回動体を支持可能な支持脚と、支持脚をロックするロック機構と、ロック機構による支持脚のロックを解除するロック解除機構とを備えている。ユーザにより回動体の操作部が押し操作される際は、回動体は、ロック機構によりロックされた支持脚により第2姿勢で保持される。ユーザによりロック解除機構の操作レバーが操作されて支持脚による回動体の支持が解除された後、回動体は、ユーザにより回動されて第1姿勢に戻される。
【0004】
特許文献2に記載された回動操作装置では、回動体の回動軸に摩擦ワッシャが設けられており、回動軸と摩擦ワッシャとの摩擦力により回動体は第2姿勢で保持される。当該摩擦力を超えた力で第2姿勢にある回動体がユーザにより押されることにより、回動体は第1姿勢に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−152936号公報
【特許文献2】特開平05−27764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された回動操作装置では、ロック機構及びロック解除機構が設けられて部品点数が多くなり、また、操作レバーの操作が必要で手間がかかり、また、ロック解除を忘れて回動体が押されてしまうとロック機構が破損してしまうことがある。
【0007】
特許文献2に記載された回動操作装置では、特許文献1に記載された回動操作装置に比べ、部品点数が少なく、回動体を第1姿勢に戻す際の手間が少なく、ロック機構の破損のおそれがない。しかしながら、摩擦力により回動体を第2姿勢で保持するから、回動体を第2姿勢で保持する保持力が個体間でばらつきやすく当該保持力が安定しない。また、回動軸の摩耗等により摩擦力が小さくなることも考えられるから、摩擦力を予め大きく設定しておかなければならず、回動体を回動させるために大きな力が必要となってしまう。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回動体を保持する保持力を安定化でき、回動体を容易に回動させることができる機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の回動操作装置は、装置本体と、回動体と、リンク部材と、ストッパと、支持部と、第1付勢部材と、当接部と、を備える。上記回動体は、押し操作を受け付ける操作部が設けられた第1面及び当該第1面とは反対側の第2面を有しており、且つ第1軸に対して回動可能に上記装置本体に支持されており、上記第1軸に対する回動により、上記装置本体へ倒伏する第1姿勢、及び上記装置本体から起立する第2姿勢に姿勢変化される。上記リンク部材は、上記回動体の上記第2面側に配置された第1部材及び第2部材が上記第1軸に沿う第2軸に対して相対的に回動可能に連結されている。また、上記リンク部材は、上記第1部材が上記第1軸に沿う第3軸において上記回動体に回動可能に連結され、上記第2部材が上記第1軸に沿う第4軸において上記装置本体に回動可能に連結されており、上記第2軸及び上記第3軸に対する回動により、上記第1部材が上記第2姿勢にある上記回動体の上記第2面から起立すると共に上記第1部材が上記第2部材に対して開かれた第3姿勢、及び上記第1部材が上記第1姿勢にある上記回動体の上記第2面へ倒伏すると共に上記第1部材が上記第2部材に対して閉じられた第4姿勢に姿勢変化される。上記ストッパは、上記第3姿勢にある上記リンク部材に当接して上記第1部材と上記第2部材との相対的な回動を制止する。上記支持部は、上記リンク部材の上記第2部材に設けられた上記第4軸が挿入され、且つ上記第4姿勢にある上記リンク部材の上記第4軸が位置する第1位置と当該第1位置から離間された第2位置とを両端とする長孔又は溝が設けられている。上記第1付勢部材は、上記第2部材を上記第2位置側から上記第1位置側へ付勢する。上記当接部は、上記第3姿勢にある上記リンク部材の上記第2部材に対して上記第1軸の反対側となる位置であって、上記第1位置から上記第2位置へ向かってスライドされた上記第2部材が当接する位置に配置されている。上記リンク部材は、上記第3姿勢において、上記第2軸と上記第3軸とを結ぶ第1直線と、上記第2軸と上記第4軸とを結ぶ第2直線とがなす角度のうち上記第1軸とは反対側の角度である開き角度が180度以上となり、且つ上記第4姿勢において、上記開き角度が180度未満となるよう構成されている。上記支持部は、上記第3姿勢における上記第2直線と、上記第1位置と上記第2位置とを結ぶ第3直線とがなす角度のうち上記当接部側の角度である交差角度が鈍角となるよう支持しており、上記第4軸を上記第1位置と上記第2位置との間でスライド可能且つ回動可能に支持する。
【0010】
回動体が第1姿勢にある場合、リンク部材は、開き角度が180度未満であり、且つ第1部材が回動体の第2面へ倒伏する閉じた第4姿勢にある。回動体が第1姿勢から第2姿勢となる向きへ回動されると、回動体と連結された第1部材が支持部から引き離される。支持部から引き離された第1部材と、支持部に保持されている第2部材とは、第2軸において相対的に回動される。第1部材と第2部材との相対的な回動によりリンク部材が開かれる。また、回動体の回動により、第1部材は、第3軸に対して回動され、回動体の第2面から起立する。回動体が第2姿勢となると、リンク部材は、開き角度が180度以上であり、且つ第1部材が回動体の第2面から起立した第3姿勢となる。リンク部材が第3姿勢となると、ストッパがリンク部材に当接し、リンク部材が開く向きへの第1部材と第2部材との相対的な回動を制止する。180度以上の開き角度で開かれた第3姿勢にあるリンク部材は、操作部においてユーザにより押された場合に閉じることがなく、回動体を第2姿勢で保持する。
【0011】
第2姿勢にある回動体が第1付勢部材の付勢力よりも大きな力で第1面側からユーザにより押されると、第1位置で保持されていたリンク部材の第4軸が第2位置へ向かってスライドされる。第4軸と共にスライドされた第2部材は当接部に当接する。第2部材は、スライドされると共に当接部と当接することにより、第2軸において第1部材と相対的に回動する。つまり、リンク部材が閉じ始める。リンク部材は、開き角度が180度未満となると、回動体を介してユーザが第1部材を押す力及び第1付勢部材が第2部材を付勢する力により更に閉じられ、回動体が第1姿勢に戻ったときに第4姿勢に戻される。上述のように、第1付勢部材の付勢力以下の付勢力で回動体が押された場合には、回動体は第2姿勢で保持され、第1付勢部材の付勢力より大きな力で回動体が押された場合には、回動体は第2姿勢から第1姿勢に戻される。
【0012】
本発明の回動操作装置では、第1付勢部材の付勢力により回動体を第2姿勢で保持可能な保持力が決まるから、摩擦力により回動体を保持する従来構成に比べ、個体間における上記保持力のばらつきを低減して当該保持力の大きさを安定化することができる。また、第1付勢部材の付勢力は、開き角度が180度未満となるまでしか回動体を押すユーザの抵抗とならず、また、回動体が第1姿勢から第2姿勢となる向きへ回動される際には第2部材の第4軸を第1位置で保持するだけでユーザの抵抗とならない。従って、ユーザは、回動体を第1姿勢と第2姿勢との間で容易に回動させることができる。
【0013】
(2) 上記第1部材及び上記第2部材は、上記回動体の上記第1軸に沿う方向における両端部に渡る幅の板状にそれぞれ形成されており、上記第1部材は、上記方向の両端部において上記回動体と連結されたものであってもよい。第1部材及び第2部材を板状に形成して第1部材の両端部において回動体と連結することにより、リンク部材の強度を更に高めることができる。よって、ユーザが回動体を持って装置本体ごと回動操作装置全体を持ち上げるなど、回動体に大きな力が加わる場合でも、リンク部材の破損を抑制できる。また、第1部材及び第2部材が回動体の上記方向の両端部に渡る幅に形成されていることにより、回動体が第2姿勢にされた際に、リンク部材により装置本体内部を覆い隠すことができる。
【0014】
(3) 上記当接部は、上記第2軸に沿う方向における上記第2部材の両端部にそれぞれ当接する一対が設けられたものであってもよい。一対の当接部は第2部材の両端部に当接するから、第2部材は、当接部に当接して第1部材に対して回動される際に捻れることがない。その結果、回動体を第2姿勢から第1姿勢に戻す際の摺動性が良くなる。
【0015】
(4) 上記第1部材は、上記回動体の回動先端部と連結されたものであってもよい。回動体は、回動先端部においてリンク部材に支持される。従って、操作部においてユーザにより押し操作された回動体を第2姿勢で確実に保持することができる。
【0016】
(5) 上記操作部は、上記回動体の上記第1軸に沿う方向における上記リンク部材の幅の範囲内となる領域に設けられたものであってもよい。操作部においてユーザにより押された回動体をリンク部材により第2姿勢で確実に保持することができる。
【0017】
(6) 上記当接部は、上記第2部材と当接する円弧状の凸面が設けられたものであってもよい。スライドされる第2部材が当接部上を滑り易くなる。その結果、回動体を第2姿勢から第1姿勢に戻す際の摺動性が良くなる。
【0018】
(7) 本発明の回動操作装置は、上記第4姿勢から上記第3姿勢となる向きへ上記リンク部材を付勢する第2付勢部材を更に備えたものであってもよい。第2付勢部材が設けられたことにより、回動体の重量によりリンク部材が閉じてしまうことがなくなる。
【0019】
(8) 本発明の回動操作装置は、上記第1姿勢において上記第1軸が設けられた側を上として回動体が配置され、且つ上記回動操作装置から入力される信号に基づいて被記録媒体への画像記録を行うプリンタ部を備えた画像記録装置として把握されてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、第1付勢部材の付勢力により回動体を第2姿勢で保持可能な保持力が決まるから、当該保持力の個体間でのばらつきを少なくして当該保持力を安定化でき、また、第1付勢部材の付勢力は、開き角度が180度未満となるまでしか回動体を回動させるユーザの抵抗とならず、且つ回動体を第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化させる際にもユーザの抵抗とならないから、回動体の回動が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像記録装置の正面側の斜視図である。
【図2】(A)は操作装置の正面側の斜視図であり、(B)は操作装置の背面側の斜視図である。
【図3】(A)は開姿勢にあるリンク部材の斜視図であり、(B)は閉姿勢にあるリンク部材の右側面図であり、(C)は開姿勢にあるリンク部材の右側面図である。
【図4】動作を説明するための操作装置の右側面図である。
【図5】変形例1の操作装置の背面側の斜視図である。
【図6】変形例2の画像記録装置の外観斜視図である。
【図7】変形例2の操作装置を示し、(A)は第2姿勢における下方側の斜視図であり、(B)は第1姿勢における縦断面図であり、(C)は第2姿勢における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1に示されるように、画像記録装置10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを備えたプリント、スキャン、コピーなどを実現可能な複合機である。画像記録装置10は、筐体14に収容された不図示の制御基板を備える。制御基板には、マイクロコンピュータや種々の電子部品が実装され、プリンタ部11やスキャナ部12の動作を制御する制御部が実現されている。制御部は、パソコンなどの他の機器から入力された情報や、ユーザによる入力を受け付ける操作装置13から入力された情報に基づいてプリンタ部11やスキャナ部12の動作を制御する。操作装置13が回動操作装置に相当する。プリンタ部11がプリンタ部に相当する。本実施形態では、操作装置13が画像記録装置10に設けられた態様が説明される。しかしながら、操作装置13は必ずしも画像記録装置10として実現されなくてもよいことは言うまでもない。
【0024】
画像記録装置10は、概ね直方体状の外形を呈する。以下の説明では、画像記録装置10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、操作装置13が設けられる側を前側として前後方向8が定義され、画像記録装置10を前側から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[操作装置13]
図1に示されるように、操作装置13は、画像記録装置10の筐体14の前面15の上部に設けられた凹部16に収容されている。図2(A)に示されるように、操作装置13は、回動体40と、回動体40を支持するリンク部材17と、を備える。回動体40が回動体に相当する。リンク部材17がリンク部材に相当する。
【0026】
[回動体40]
図2(A)、(B)に示されるように、回動体40は、厚みの薄い直方体状の外形を呈する回動ケース41と、回動ケース41に収容されたタッチパネル46と、を備える。タッチパネル46は、回動体40の左右方向9及び上下方向7における中央部に配置されている。また、タッチパネル46は、回動ケース41の厚み方向に対向する一対の面の一方である第1面42側に露出されている。タッチパネル46には、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイの表示面側に透光性を有するシート状のタッチスイッチを重ねたものが用いられる。回動体40は、タッチパネル46において入力を受け付ける。タッチパネル46は、不図示のケーブルにより、筐体14(図1)に収容された制御基板と電気的に接続されている。タッチパネル46への入力は、ケーブルを介して制御部へ伝えられる。タッチパネル46が操作部に相当する。第1面42が第1面に相当する。
【0027】
図2(A)、(B)に示されるように、回動ケース41の右側面41Aの上端部からは、左右方向9に沿う中心軸線を有する円柱状に形成された右側の第1回動軸44が右向きへ突出されている。回動ケース41の左側面(不図示)の上端部からは、左右方向9に沿う中心軸線を有する円柱状に形成された左側の第1回動軸45が左向きへ突出されている。右側の第1回動軸44と左側の第1回動軸45とは、中心軸線を一致させて設けられている。第1回動軸44、45は、筐体14(図1)に設けられた不図示の軸受けに支持されている。つまり、回動体40は、第1回動軸44、45の中心軸線周りに回動可能に筐体14に支持されている。筐体14が装置本体に相当する。第1回動軸44、45が第1軸に相当する。第1回動軸44、45が沿う左右方向9が、第1軸に沿う方向である。
【0028】
回動体40は、第1回動軸44、45の中心軸線周りに回動されることにより、図4(A)に示される第1姿勢(本発明の第1姿勢に相当する)、及び図4(B)に示される第2姿勢(本発明の第2姿勢に相当する)に姿勢変化される。第1姿勢において、回動体40は、第1回動軸44が設けられた側の端部を上端部とし、且つ第1面42を前面として筐体14の凹部16(図1)に収容されており、筐体14へ倒伏している(図1)。第2姿勢において、回動体40は、第1面42が前方斜め上を向いており、筐体14(図1)から起立している。ユーザは、例えば、第1姿勢にある回動体40を回動させて第2姿勢に起こした後、タッチパネル46(図2(A))を押して各種の入力を行う。
【0029】
図2(A)、(B)に示されるように、回動ケース41には、後述のリンク部材17との連結用の右側の支持片47及び左側の支持片(不図示)を備える。右側の支持片47及び左側の支持片は、回動ケース41の第1面42とは反対側の面である第2面43の左右両端部から第1姿勢において後向きへ突出されており、左右方向9に対向している。第2面43が第2面に相当する。また、右側の支持片47及び左側の支持片は、第1姿勢において上下方向7における回動ケース41の中央部と下端との間となる位置に設けられている。右側の支持片47及び左側の支持片は、円形状の開口を有する第3軸受孔49をそれぞれ備える。第3軸受孔49は、左右方向9において右側の支持片47、左側の支持片を貫通している。右側の支持片の第3軸受孔49には、後述されるように、リンク部材17に設けられた右側の第3回動軸55が挿入される。左側の支持片の第3軸受孔(不図示)には、リンク部材17に設けられた左側の第3回動軸56(図3)が挿入される。
【0030】
また、図2(A)、(B)に示されるように、回動ケース41の第2面43の下端部には、第1姿勢において後述の当接片93、94との干渉を避けるための左右一対の溝41Bが設けられている。
【0031】
[リンク部材17]
図3(A)に示されるように、リンク部材17は、回動体40の左右方向9の幅とほぼ同じ幅の板状にそれぞれ形成された第1部材50及び第2部材60を備える。第1部材50と第2部材60とは、後述されるように相対的に回動可能に連結されており、相対的な回動により、図3(B)に示される閉姿勢及び図3(C)に示される開姿勢に姿勢変化される。第1部材50が第1部材に相当する。第2部材60が第2部材に相当する。
【0032】
[第1部材50]
図3(B)における第1部材50の上端部には、円柱状に形成された右側の第2回動軸53、及び円柱状に形成された左側の第2回動軸(不図示)が設けられている。図3(A)に示されるように、右側の第2回動軸53は第1部材50の右側面51から右向きへ突出されている。左側の第2回動軸は第1部材50の左側面(不図示)から左向きへ突出されている。右側の第2回動軸53と左側の第2回動軸とは、中心軸線を一致させて設けられている。右側の第2回動軸53は、後述の第2部材60に設けられた右側の保持片65の第2軸受孔67に挿入されている。左側の第2回動軸は、第2部材60に設けられた左側の保持片66の第2軸受孔(不図示)に挿入されている。つまり、第1部材50と第2部材60とは、右側の第2回動軸53及び左側の第2回動軸の中心軸線周りに相対的に回動可能に連結されている。右側の第2回動軸53及び不図示の左側の第2回動軸が第2軸に相当する。
【0033】
図3(B)における第1部材50の下端部には、円柱状に形成された左右一対の第3回動軸55、56が設けられている。図3(A)に示されるように、右側の第3回動軸55は第1部材50の右側面51から右向きへ突出されている。左側の第3回動軸56は第1部材50の左側面(不図示)から左向きへ突出されている。第3回動軸55、56は、中心軸線を一致させて設けられている。右側の第3回動軸55は、回動体40に設けられた右側の支持片47の第3軸受孔49(図2(A))に挿入される。左側の第3回動軸56は、回動体40に設けられた左側の支持片(不図示)の第3軸受孔に挿入される。左右の第3回動軸55、56が第3軸に相当する。
【0034】
[第2部材60]
図3(B)に示されるように、第2部材60は、第1部材50の後面側に配置されている。図3(B)における第2部材60の下端部には、円柱状に形成された左右一対の第4回動軸63、64が設けられている。図3(A)に示されるように、右側の第4回動軸63は第2部材60の右側面61から右向きへ突出されている。左側の第4回動軸64は第2部材60の左側面(不図示)から左向きへ突出されている。第4回動軸63、64は、中心軸線を一致させて設けられている。第4回動軸63、64は、後述される左右の支持部材70、80(図2(A))により支持される。第4回動軸63、64が第4軸に相当する。
【0035】
図3(B)における第2部材60の上端部には、第1部材50との連結用の左右の保持片65、66が設けられている。図3(A)に示されるように、右側の保持片65は、第2部材60の右側面61から右向きへ突出されている。右側の保持片65は、円形状の開口を有する第2軸受孔67を備える。第2軸受孔67は、左右方向9において保持片65を貫通している。第2軸受孔67には、第1部材50に設けられた右側の第2回動軸53が挿入されている。左側の保持片66は、第2部材60の左側面(不図示)から左向きへ突出されている。左側の保持片66に設けられた第2軸受孔(不図示)には、第1部材50に設けられた左側の第2回動軸(不図示)が挿入されている。
【0036】
図3(B)における第2部材60の後面である第3面68には、ストッパ90が設けられている。ストッパ90は、図3(B)における第2部材60の上端よりも上方へ突出されている。図3(A)に示されるように、ストッパ90は、第2部材60の左右両端に渡る幅に形成されている。ストッパ90は、後述されるように、第1部材50と当接することにより、第1部材50と第2部材60との相対的な回動を制止する。ストッパ90がストッパに相当する。
【0037】
リンク部材17は、第1部材50と第2部材60とが右側の第2回動軸53及び左側の第2回動軸(不図示)の中心軸線周りに相対的に回動されることにより、図3(B)に示される閉姿勢、及び図3(C)に示される開姿勢に姿勢変化される。第1部材50と第2部材60との相対的な回動について以下説明がされる。
【0038】
第1部材50は、上下方向7における長さが第2部材60の上下方向7における長さよりも僅かに短くなるように形成されている。これは、閉姿勢において、第2部材60に設けられた第4回動軸63、64と、第1部材50に設けられた第3回動軸55、56との上下方向7における位置をずらして、第4回動軸63、64と、第3回動軸55、56を支持する回動体40の左右の支持片47(図2)との干渉を防ぐためである。
【0039】
図3(B)の閉姿勢にあるリンク部材17の第1部材50が、第2部材60から離れる第1回動向き31へ第2回動軸53の中心軸線周りに回動されると、図3(C)に示される開姿勢において、第1部材50は、第2部材60に設けられたストッパ90に当接し、第1回動向き31への回動が制止される。ストッパ90は、リンク部材17の開き角度αが180度以上の最大開き角度α1となったときに第1部材50と当接するように設けられている。開き角度αは、図3(C)に示されるように、第2回動軸53と第3回動軸55とを結ぶ第1直線35と、第2回動軸53と第4回動軸63とを結ぶ第2直線36とがなす角度のうち、ストッパ90とは反対側となる方の角度である。図4(B)に示されるように、操作装置13に取り付けられたリンク部材17は、開姿勢においてストッパ90を第1回動軸44側としている。つまり、開き角度αは、第1直線35と第2直線36とがなす角度のうち、第1回動軸44とは反対側に位置する方の角度である。図3(B)に示されるように、リンク部材17の閉姿勢では、開き角度αはほぼ0度である。第1直線35が第1直線に相当する。第2直線36が第2直線に相当する。開き角度αが開き角度に相当する。
【0040】
図2(A)、(B)に示されるように、リンク部材17の第2部材60に設けられた第4回動軸63、64(第4回動軸64は図3(A)参照)は、支持部材70、80に保持されている。また、リンク部材17の第1部材50に設けられた第3回動軸55、56(第3回動軸56は図3(A)参照)は、回動体40に設けられた右側の支持片47及び左側の支持片(不図示)に保持されている。右側の支持部材70は、第1姿勢にある回動体40の右側の支持片47の近傍であって、且つ回動体40の支持片47の後方斜め下となる位置に設けられている。同様に、左側の支持部材80は、第1姿勢にある回動体40の左側の支持片(不図示)の近傍であって、且つ左側の支持片の後方斜め下となる位置に設けられている。従って、リンク部材17は、図4(A)に示されるように、回動体40が第1姿勢にある場合、閉じた閉姿勢にあり、且つ第2回動軸53を上側として回動体40の第2面43へ倒伏している。閉姿勢にあり、且つ回動体40の第2面43へ倒伏する図4(A)のリンク部材17の姿勢を第4姿勢(本発明の第4姿勢に相当する)とする。閉姿勢は、第1部材50と第2部材60との相対的な位置関係における姿勢であり、第4姿勢は、第1部材50と第2部材60との相対的な位置関係、及び回動体40との相対的な位置関係における姿勢である。
【0041】
図4(A)に示される第1姿勢にある回動体40が第1回動軸44の中心軸線周りに回動先端部が筐体14(図1)から離れる第2回動向き32へ回動されると、回動体40に保持された第1部材50が回動体40と共に第1回動軸44の中心軸線周りに回動される。リンク部材17は、第1部材50が回動体40と共に回動され、且つ第2部材60が支持部材70、80に保持されていることにより、第2回動軸53の中心軸線周りに回動されて開かれる。また、第1部材50は、第3回動軸55の中心軸線周りに回動され、回動体40の第2面43から起き上がる。リンク部材17は、回動体40が図4(B)に示される第2姿勢になると、開姿勢になる。また、回動体40が第2姿勢になると、第1部材50が回動体40の第2面43に対して起立する。開姿勢にあり、且つ回動体40の第2面43から第1部材50が起立する図4(B)のリンク部材17の姿勢を第3姿勢(本発明の第3姿勢に相当する)とする。開姿勢は、第1部材50と第2部材60との相対的な位置関係における姿勢であり、第3姿勢は、第1部材50と第2部材60との相対的な位置関係、及び回動体40との相対的な位置関係における姿勢である。
【0042】
[支持部材70、80]
右側の支持部材70は、筐体14の凹部16(図1)の左右の側部から左右方向9に沿って突出されており、図2(A)、(B)に示されるように、第1姿勢にある回動体40の支持片47の後方斜め下、且つ支持片47の近傍となる位置にある。また、支持部材70は、左右方向9の厚みの薄い矩形板状に形成されており、リンク部材17の第2部材60に設けられた右側の第4回動軸63が挿入された長孔71を備えている。長孔71は、後方斜め下へ向かって延びている。図4(B)に示されるように、長孔71は、リンク部材17が第3姿勢にあるときの第2直線36と、長孔71の両端を結ぶ第3直線37とが交わる角度のうち、後述の当接片93側となる方の角度である交差角度βが鈍角となるように形成されている。第3直線37が第3直線に相当する。交差角度βが交差角度に相当する。
【0043】
図2(B)の拡大図に示されるように、支持部材70は、長孔71に挿入された第4回動軸63を、上側の第1端72と、下側の第2端73との間でスライド可能且つ回動可能に支持している。第4回動軸63は、長孔71の第1端72の第1位置(本発明の第1位置に相当する)と、長孔71の第2端73の第2位置(本発明の第2位置に相当する)との間でスライド可能、且つ中心軸線周りに回動可能である。
【0044】
支持部材70は、一端が第4回動軸63に当接する第1コイルバネ91の他端を支持する固定板74を備える。固定板74は、支持部材70の右側面の下端部から右方へ向かって突出されている。第1コイルバネ91は、中心軸線が長孔71が延びる向きに沿うように、長孔71の右側に配置され、一端を第4回動軸63に当接させ、他端を固定板74に当接させている。第1コイルバネ91は、長孔71の第1位置にある第4回動軸63と固定板74との間に圧縮状態で配置されており、第4回動軸63を第2端73(第2位置)側から第1端72(第1位置)側へ付勢している。第1コイルバネ91に付勢された第4回動軸63は、外力が作用していないときは、長孔71の第1端72(第1位置)に位置する。
【0045】
図2(B)に示されるように、左側の支持部材80は、右側の支持部材70と左右対称となる形状に形成されており、長孔81及び固定板84を備える。固定板84は、第2部材60に設けられた左側の第4回動軸64(図3(A))に一端が当接する第2コイルバネ92の他端を支持している。第2コイルバネ92は、長孔81の第1端82にある第4回動軸64(図3(A))と固定板84との間に圧縮状態で配置されており、第4回動軸64を長孔81の第2端83(第2位置)側から第1端82(第1位置)側へ付勢している。支持部材70、80が支持部に相当する。長孔71、81が長孔に相当する。第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92が 第1付勢部材に相当する。
【0046】
[当接片93、94]
筐体14の凹部16(図1)には、図2(B)に示される左右一対の当接片93、94が設けられている。右側の当接片93は、凹部16の右側面から左向きへ突出されている。左側の当接片94は、凹部16の左側面から右向きへ突出されている。図4(B)に示されるように、右側の当接片93は、第3姿勢にあるリンク部材17の第2部材60の右端部の下方に位置しており、当該右端部に近接又は当接している。左側の当接片94は、第3姿勢にあるリンク部材17の第2部材60の左端部の下方に位置しており、当該左端部に近接又は当接している。右側の当接片93及び左側の当接片94は、左右方向9から見て円弧状の凸面95を上端部にそれぞれ備えている。図2(B)に示されるように、当接片93、94は、回動体40が第1姿勢にあるときは、回動ケース41に設けられた左右一対の溝41Bに収容されている。当接片93、94が当接部に相当する。凸面95が凸面に相当する。
【0047】
[動作]
以下では、操作装置13の動作が説明される。なお、左右一対の部材については、右側の部材の符号を用いて説明がされる。図4(A)に示されるように、回動体40が第1姿勢にあるとき、リンク部材17は第4姿勢である。第4姿勢において、リンク部材17は、閉姿勢であり、且つ回動体40の第2面43へ倒伏している。
【0048】
第1姿勢にある回動体40が、第1回動軸44の中心軸線周りに第2回動向き32へ回動されると、回動体40に保持された第1部材50の第3回動軸55が回動体40と共に第1回動軸44の中心軸線周りに回動される。そうすると、閉姿勢にあったリンク部材17は、第2回動軸53の中心軸線周りに第1部材50と第2部材60とが相対的に回動されて開かれる。また、リンク部材17の第1部材50は、第3回動軸55の中心軸線周りに回動され、回動体40の第2面43から起き上がる。回動体40が図4(B)に示された第2姿勢となると、リンク部材17は、開姿勢となり、且つ回動体40の第2面43から起立する。つまり、リンク部材17は第3姿勢となる。
【0049】
第3姿勢にあるリンク部材17は、180度以上の最大開き角度α1で開かれており、且つ、回動体40の第2面43から起立している。よって、第3姿勢にあるリンク部材17は、第2姿勢にある回動体40のタッチパネル46(図2(A))に対してユーザにより押し操作がなされた場合、閉じることなく第3姿勢を維持する。その結果、第3姿勢にあるリンク部材17は、回動体40を第2姿勢で保持することができる。
【0050】
回動体40が第1面42側から第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92(図2(B))の付勢力よりも大きい力で押された場合、交差角度βが鈍角となるように長孔71が設けられているため、第2部材60は、長孔71の第1端72から第2端73へ向かう向き(後方斜め下向き)へスライドされる。スライドされた第2部材60は、下方に設けられた当接片93に当接して当接片93の凸面95上を滑る。第2部材60は、後方斜め下へ向かってスライドし、且つ当接片93により支持されることにより、当接片93を支点として第1回動向き31(図3(B))とは反対向きへ回動される。つまり、最大開き角度α1で開かれていたリンク部材17が閉じ始める。
【0051】
図4(C)に示されるように、閉じ始めたリンク部材17の開き角度αが180度未満の開き角度α2となると、リンク部材17は、ユーザが回動体40を押す力と第1付勢部材91が第2部材60を付勢する力とにより更に閉じられ、第4姿勢となる。つまり、回動体40が第2姿勢から第1姿勢に戻る。
【0052】
[実施形態の効果]
上述されたように、第2姿勢にある回動体40が第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92の付勢力よりも大きな力で第1面42側から押されない限り、回動体40は、リンク部材17により第2姿勢で保持される。つまり、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92の付勢力により回動体40を第2姿勢で保持可能な保持力が決まる。従って、摩擦力により回動体40を保持する構成に比べ、個体間における上記保持力のばらつきを低減して当該保持力の大きさを安定化することができる。
【0053】
また、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92の付勢力は、開き角度αが180度未満となるまでしか回動体40を押すユーザの抵抗とならない。また、回動体40が第1姿勢から第2姿勢となる向きへ回動される際には、第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92は、第2部材60の第4回動軸63、64を長孔71、81の第1端72、82に保持するだけであり、回動体40を回動させるユーザの抵抗とならない。従って、ユーザは、回動体40を第1姿勢と第2姿勢との間で容易に回動させることができる。
【0054】
また、リンク部材17の第1部材50及び第2部材60は、回動体40の左右方向9の幅とほぼ同じ幅の板状にそれぞれ形成されているから、回動体40が第2姿勢にされた際に、第3姿勢にあるリンク部材17により筐体14の内部を覆い隠すことができる。
【0055】
また、リンク部材17は、左右の第3回動軸55、56により回動体40と連結されているから、左右方向9の一方の端部のみで回動体40と連結されたり、左右方向9の中央部でのみ回動体40と連結される構成に比べ、十分な強度を確保することができる。従って、ユーザが回動体40を持って画像記録装置10を持ち上げた場合などにおいても、リンク部材17の破損のおそれを低減することができる。
【0056】
また、左右一対の当接片93、94は、第2部材60の左右両端部に当接するから、回動体40が第2姿勢から第1姿勢に戻される際に、第2部材60が捻れることがなく、第2部材60の捻れによる回動体40の摺動性の悪化が生じない。その結果、操作装置13の使い勝手が良くなる。
【0057】
また、当接片93、94には、第2部材60と当接する円弧状の凸面95が設けられているから、第2部材60が当接片93、94上を滑り易くなり、第2姿勢から第1姿勢に戻す際の回動体40の摺動性が更に良くなる。
【0058】
また、タッチパネル46は、図2(A)に示されるように、左右方向9における回動体40の中央部に配置されており、リンク部材17は、左右方向9の両端部において回動体40と連結されている。つまり、タッチパネル46は、左右方向9において、リンク部材17が連結される位置より内側に配置されている。従って、タッチパネル46においてユーザにより押された回動体40を第2姿勢で確実に保持することができる。
【0059】
[変形例1]
図5に示されるように、本変形例では、筐体14の凹部16(図1)の左右の両側面に左右一対の保持部材100、110が設けられている。右側の保持部材100は、左右方向9を厚み方向とする板状に形成されており、リンク部材17の第2部材60の右側面61に近接するように配置されている。右側の保持部材100の左内側面からは、4つの凸部101〜104が左向きへ突出されている。4つの凸部101〜104は、長孔71の第1端72(又は長孔81の第1端82)周りの第2部材60の回動方向に沿って設けられている。凸部101〜104は、円柱状に形成された弾性部材を保持部材100の左側面に固着することにより形成されている。左側の保持部材110は、右側の保持部材100に対して左右対称となる形状に形成されており、右側の保持部材100と同様に凸部111〜114を備えている。
【0060】
第1姿勢にある回動体40がユーザにより第2回動向き32(図4(A))へ回動されることにより長孔71の第1端72(又は長孔81の第1端82)周りに回動された第2部材60は、凸部101、111を弾性変形させて乗り越える。凸部101、111を乗り越えた第2部材60は、タッチパネル46(図2(A))をユーザが押し操作する等、凸部101、111が弾性変形する力以下の力で回動体40が押された場合に、回動体40を保持する。回動体40がユーザにより第2回動向き32(図4(A))へ更に回動されると、第2部材60は、凸部102、112、凸部103、113、凸部104、114の順に乗り越える。第2部材60が凸部104、114を乗り越えたあと、回動体40は最大開き角度α1(図4(B))の第2姿勢になる。よって、回動体40は、開き角度αが最大開き角度α1となるまでに、3つの相違する開き角度において保持部材100、110に支持される。
【0061】
本変形例では、左右の保持部材100、110及びリンク部材17により、4つの相違する開き角度のそれぞれにおいて回動体40を支持することができる。
【0062】
本変形例では保持部材100、110に4つの凸部101〜104、111〜114が設けられた構成が説明されたが、保持部材100、110には、1乃至3つの凸部、又は5つ以上の凸部がそれぞれ設けられてもよい。
【0063】
[変形例2]
本変形例では、図6に示されるように、回動体40は、第1面42が前方斜め上を向き、第1回動軸44、45(図7(A))が設けられた端部が前端部となるように筐体14の凹部16に取り付けられている。回動体40は、第1回動軸44、45の中心軸線周りに回動されることにより、図6及び7(B)に示される第1姿勢及び図7(C)に示される第2姿勢に姿勢変化される。
【0064】
図7(A)に示されるように、第1姿勢にある回動体40の第2面43と、第3姿勢にあるリンク部材17の第1部材50との間に板バネ96が設けられている。板バネ96は、それぞれ矩形板状に形成された第1部97と第2部98との一端同士が結合された構成を有している。板バネ96は、外力が作用していない場合において、第1部97が第2部98に対して傾斜する形状となっている。板バネ96には、例えば、金属板を折り曲げたものが用いられる。板バネ96が第2付勢部材に相当する。
【0065】
図7(A)に示されるように、第1部97は、回動体40の第2面43の左端部に設けられた凹み41Cの内底面に固着されている。第2部98は、リンク部材17の第1部材50に固着されている。板バネ96は、回動体40が第2姿勢にある場合において第1部97が第2部98に対して傾斜する初期形状となるように形成されている。板バネ96は、第2姿勢にある回動体40が第1姿勢に姿勢変化されると、第1部97と第2部98とが結合部を中心に相対的に回動されて閉じられ、図7(B)に示されるように、凹み41Cに収容される。
【0066】
開かれた第3姿勢にあるリンク部材17は、板バネ96により、回動体40の重量により閉じることが防止される。つまり、リンク部材17が独りでに閉じることが防止され、回動体40が第2姿勢で確実に保持される。
【0067】
上述の実施形態では、リンク部材17の第1部材50は、第1姿勢における回動体40の上下方向7の中央部と下端との間となる位置において回動体40と連結されているが、上記下端において回動体40と連結されることが望ましい。第2姿勢にある回動体40は、回動先端部においてリンク部材17に支持されることになり、第2姿勢にある回動体40がリンク部材17により確実に支持される。また、リンク部材17の第1部材50が回動体40の上記下端と連結されることにより、タッチパネル46は、第1姿勢における回動体40の上端と下端との間に位置することになる。よって、タッチパネル46におけるユーザによる入力時において、回動体40は、第1回動軸44、45により支持された上記上端と、リンク部材17により支持された上記下端との間において押されることになる。その結果、上記入力時において、第2姿勢にある回動体40は、リンク部材17により確実に支持され得る。
【0068】
また、上述の実施形態では、長孔71、81が支持部材70、80を貫通している例が説明されたが、長孔71、81は、支持部材70、80を貫通していなくてもよい。つまり、長孔71、81の代わりに溝が支持部材70、80に設けられていてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、ストッパ90が第2部材60に設けられた構成が説明されたが、ストッパ90の代わりに、同様の構成のストッパが第1部材50に設けられていてもよい。また、第2部材60に設けられた保持片65と、第1部材50に設けられた第2回動軸53との一方又は両方に、最大開き角度α1において当接するストッパが設けられていてもよい。同様に、左側の保持片66と、左側の第2回動軸(不図示)との一方又は両方に、最大開き角度α1において当接するストッパが設けられてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態では、第1部材50に設けられた第2回動軸53により第1部材50と第2部材60とが相対的に回動可能な構成が説明されたが、第1部材50及び第2部材60に軸受孔をそれぞれ設け、当該軸受孔に挿入された支軸により第1部材50と第2部材60とが相対的に回動可能な構成が用いられてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、第1付勢部材として第1コイルバネ91及び第2コイルバネ92が用いられた例が説明されたが、板バネ等の他の弾性部材が第1付勢部材として用いられてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、第1部材50と第2部材60とが、回動体40の左右両端に渡る幅にそれぞれ形成された構成が説明されたが、第1部材50と第2部材60とは、回動体40よりも短い幅で形成されていてもよい。リンク部材17は、例えば、回動体40の左右方向9の中央部と連結される。また、回動体40の左右方向9の幅の半分以下の幅で形成された左右一対のリンク部材17を回動体40の左右方向9の両端部と連結してもよい。
【0073】
また、上述の実施形態では、支持部材70、80は、筐体14の凹部16の左右の側部から左右方向9へ沿って突出された構成が説明されたが、支持部材70、80は、筐体14の凹部16の底部から上向きへ突出されていてもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、第1回動軸44、45が回動体40に設けられ、第1回動軸44、45が筐体14に設けられた不図示の軸受けにより支持された構成が説明されたが、第1回動軸44、45が筐体14に設けられ、軸受けが回動体40に設けられていてもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、右側の第2回動軸53及び左側の第2回動軸(不図示)が第1部材50に設けられ、右側の第2軸受孔67及び左側の第2回動軸(不図示)が第2部材60に設けられた構成が説明されたが、第2回動軸53が第2部材60に設けられ、第2軸受孔67が第1部材50に設けられていてもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、第3回動軸55、56がリンク部材17に設けられ、第3回動軸55、56が挿入される第3軸受孔49が筐体14に設けられた構成が説明されたが、第3回動軸55、56が筐体14に設けられ、第3軸受孔49が回動体40に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10・・・・・・画像記録装置
11・・・・・・プリンタ部
13・・・・・・操作装置(回動操作装置)
14・・・・・・筐体(装置本体)
17・・・・・・リンク部材
35・・・・・・第1直線
36・・・・・・第2直線
37・・・・・・第3直線
40・・・・・・回動体
42・・・・・・第1面
43・・・・・・第2面
44、45・・・第1回動軸(第1軸)
46・・・・・・タッチパネル(操作部)
50・・・・・・第1部材
53・・・・・・第2回動軸(第2軸)
55、56・・・第3回動軸(第3軸)
60・・・・・・第2部材
63、64・・・第4回動軸(第4軸)
70、80・・・支持部材(支持部)
71、81・・・長孔
72、82・・・第1端(第1位置)
73、83・・・第2端(第2位置)
90・・・・・・ストッパ
91・・・・・・第1コイルバネ(第1付勢部材)
92・・・・・・第2コイルバネ(第1付勢部材)
93、94・・・当接片(当接部)
95・・・・・・凸面
96・・・・・・板バネ(第2付勢部材)
α・・・・・・・開き角度
β・・・・・・・交差角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
押し操作を受け付ける操作部が設けられた第1面及び当該第1面とは反対側の第2面を有しており、且つ第1軸に対して回動可能に上記装置本体に支持されており、上記第1軸に対する回動により、上記装置本体へ倒伏する第1姿勢、及び上記装置本体から起立する第2姿勢に姿勢変化される回動体と、
上記回動体の上記第2面側に配置された第1部材及び第2部材が上記第1軸に沿う第2軸に対して相対的に回動可能に連結されたリンク部材であって、上記第1部材が上記第1軸に沿う第3軸において上記回動体に回動可能に連結され、上記第2部材が上記第1軸に沿う第4軸において上記装置本体に回動可能に連結されており、上記第2軸及び上記第3軸に対する回動により、上記第1部材が上記第2姿勢にある上記回動体の上記第2面から起立すると共に上記第1部材が上記第2部材に対して開かれた第3姿勢、及び上記第1部材が上記第1姿勢にある上記回動体の上記第2面へ倒伏すると共に上記第1部材が上記第2部材に対して閉じられた第4姿勢に姿勢変化されるリンク部材と、
上記第3姿勢にある上記リンク部材に当接して上記第1部材と上記第2部材との相対的な回動を制止するストッパと、
上記リンク部材の上記第2部材に設けられた上記第4軸が挿入され、且つ上記第4姿勢にある上記リンク部材の上記第4軸が位置する第1位置と当該第1位置から離間された第2位置とを両端とする長孔又は溝が設けられた支持部と、
上記第2部材を上記第2位置側から上記第1位置側へ付勢する第1付勢部材と、
上記第3姿勢にある上記リンク部材の上記第2部材に対して上記第1軸の反対側となる位置であって、上記第1位置から上記第2位置へ向かってスライドされた上記第2部材が当接する位置に配置された当接部と、を備えており、
上記リンク部材は、上記第3姿勢において、上記第2軸と上記第3軸とを結ぶ第1直線と、上記第2軸と上記第4軸とを結ぶ第2直線とがなす角度のうち上記第1軸とは反対側の角度である開き角度が180度以上となり、且つ上記第4姿勢において、上記開き角度が180度未満となるよう構成されており、
上記支持部は、上記第3姿勢における上記第2直線と、上記第1位置と上記第2位置とを結ぶ第3直線とがなす角度のうち上記当接部側の角度である交差角度が鈍角となるよう支持しており、上記第4軸を上記第1位置と上記第2位置との間でスライド可能且つ回動可能に支持するものである回動操作装置。
【請求項2】
上記第1部材及び上記第2部材は、上記回動体の上記第1軸に沿う方向における両端部に渡る幅の板状にそれぞれ形成されており、
上記第1部材は、上記方向の両端部において上記回動体と連結されたものである請求項1に記載の回動操作装置。
【請求項3】
上記当接部は、上記第2軸に沿う方向における上記第2部材の両端部にそれぞれ当接する一対が設けられたものである請求項2に記載の回動操作装置。
【請求項4】
上記第1部材は、上記回動体の回動先端部と連結されたものである請求項1から3のいずれかに記載の回動操作装置。
【請求項5】
上記操作部は、上記回動体の上記第1軸に沿う方向における上記リンク部材の幅の範囲内となる領域に設けられたものである請求項1から4のいずれかに記載の回動操作装置。
【請求項6】
上記当接部は、上記第2部材と当接する円弧状の凸面が設けられたものである請求項1から5のいずれかに記載の回動操作装置。
【請求項7】
上記第4姿勢から上記第3姿勢となる向きへ上記リンク部材を付勢する第2付勢部材を更に備えたものである請求項1から6のいずれかに記載の回動操作装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の回動操作装置と、
上記回動操作装置から入力される信号に基づいて被記録媒体への画像記録を行うプリンタ部と、を備えており、
上記回動体は、上記第1姿勢において、上記第1軸側を上として配置されたものである画像記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−183677(P2012−183677A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46987(P2011−46987)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】