回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法及び回路シミュレーションプログラム
【課題】一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することで回路解析時間の短縮を図る。
【解決手段】クライアント端末12から送信されるコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段14と、このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段19と、回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部18と、回路状態をファイルとして保持する回路状態ファイル保持部22と、回路状態保持部18に保持されている回路状態を回路状態ファイル保持部22にファイルとして保持する回路状態出力手段23と、クライアント端末からのコマンドに基づいて回路状態ファイル保持部22に保持されている回路状態ファイルを読み込み現在の回路状態として設定する回路情報/回路状態読み込み手段15とを備える。
【解決手段】クライアント端末12から送信されるコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段14と、このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段19と、回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部18と、回路状態をファイルとして保持する回路状態ファイル保持部22と、回路状態保持部18に保持されている回路状態を回路状態ファイル保持部22にファイルとして保持する回路状態出力手段23と、クライアント端末からのコマンドに基づいて回路状態ファイル保持部22に保持されている回路状態ファイルを読み込み現在の回路状態として設定する回路情報/回路状態読み込み手段15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者がネットワークを経由して回路シミュレーションを実行するのに使用する回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法及び回路シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバとクライアント端末とがネットワークを経由して接続している環境において、例えば、電源回路のシミュレーションを行う場合には、図22に示すように、S1にて、シミュレーションに必要なデータを入力し、S2にて、整流方式に対する計算を行い、S3にて、定電圧開始点を算出し、S4にて、評価ポイントの算出を行い、S5にて、スイッチング素子のスイッチング波形をグラフ表示する。続いて、S6にて、トランスのコアの磁束密度を算出し、S7にて、励磁巻線の電流を算出し、S8にて、出力保持時間を算出し、S9にて、各出力の電圧と電流を算出して終了し、結果を表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−231197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、回路シミュレーションを実行する前に予めシミュレーションの項目を決定し、決定したシミュレーション項目を実行し結果を表示するものでは、実行するシミュレーションの項目が予め決まっている場合はよいが、シミュレーション結果をもとに引き続きシミュレーションを実行する場合、再度同じシミュレーションをやり直さなければならないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法及び回路シミュレーションプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部と、回路状態をファイルとして保持する回路状態ファイル保持部と、回路状態保持部に保持されている回路状態を回路状態ファイル保持部にファイルとして保持する回路状態出力手段と、クライアント端末からのコマンドに基づいて回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は全体構成を示すブロック図で、インターネット11に複数のクライアント端末12を接続するとともに回路シミュレーション装置13を接続している。前記回路シミュレーション装置13はサーバ内に備えられている。
【0009】
前記回路シミュレーション装置13は、クライアント端末12からネットワーク11を介して送信される回路シミュレーションのためのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末12に送信する。この回路シミュレーション装置13は、クライアント端末12から送信された全コマンド記述が保持されるコマンド記述保持部16、前記コマンド記述保持部16に保持されたコマンド記述をシミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈するコマンド記述解釈手段14、前記コマンド記述解釈手段14で解釈されたコマンドのうち、回路情報を取得するためのコマンド及び回路状態を取得するためのコマンドで指定されているファイル名の回路情報及び回路状態を読み込む回路情報/回路状態読み込み手段15、各種回路情報を記述した複数のファイルを保持した回路情報保持部17を備えている。
【0010】
また、前記回路シミュレーション装置13は、回路情報/回路状態読み込み手段15で読み込んだ回路情報及び回路状態で、シミュレーションを実行するためのコマンドを実行し、このときの回路状態を回路状態保持部18に保持するコマンド実行手段19、このコマンド実行手段19が実行した結果を実行結果保持部20に保持する実行結果作成手段21、前記回路状態保持部18に保持されている回路状態をファイルに出力し、このファイルを回路状態ファイル保持部22に保持する回路状態出力手段23を備えている。
【0011】
前記回路情報/回路状態読み込み手段15は、図2に示すように、前記コマンド記述解釈手段14が解釈したコマンドのうち、回路情報を取得するためのコマンドで指定されているファイル名の回路情報を回路情報保持部17から取得する回路情報取得部151、前記コマンド記述解釈手段14が解釈したコマンドのうち、回路状態を取得するためのコマンドで指定されているファイル名の回路状態を回路状態ファイル保持部22から取得する回路状態取得部152、前記回路情報取得部151が取得した回路情報を前記回路状態取得部152が取得した回路状態に変更し、前記回路状態保持部18に保持する回路状態設定部153によって構成されている。
【0012】
前記コマンド記述解釈手段14は、図3に示すように、クライアント端末12から送信されたコマンド記述を全て読み込み、前記コマンド記述保持部16に保持させる全コマンド記述読み込み部141、前記コマンド記述保持部16に保持された全てのコマンド記述をシミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈する保持コマンド記述解釈部142、この保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、シミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンドで指定されているファイル名を解釈する出力ファイル名解釈部143、前記保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、回路情報を取得するためのコマンド及び回路状態を取得するためのコマンドで指定されているファイル名を解釈する回路状態ファイル名解釈部144、前記保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドを前記回路状態読み込み手段15を経由して前記コマンド実行手段19に送信するコマンド送信部145によって構成されている。
【0013】
前記回路状態出力手段23は、図4に示すように、前記回路状態保持部18に保持されている回路状態を取得する保持回路状態取得部231、この保持回路状態取得部231が取得した回路状態を前記出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名のファイルに出力し、このファイルを前記回路状態ファイル保持部22に保持させる回路状態ファイル出力部232によって構成されている。
【0014】
このような構成の回路シミュレーション装置13は、図5に示す手順に従って回路シミュレーションを実行するようになっている。先ず、S11にて、クライアント端末12から送信されたコマンド記述をコマンド記述解釈手段14が受信する。
【0015】
ここで、コマンド記述に記述されているコマンドの例を示すと図6に示すコマンドがある。すなわち、回路情報ファイルを指定し、回路情報を取得するためのCirInfoコマンド、回路状態ファイルを指定し、回路状態を取得するためのCirStateコマンド、過渡解析を実行するためのTranコマンド、シミュレーション結果データを保存するためのSaveDateコマンド、シミュレーション実行後の回路状態を保存するためのSaveCirコマンドがある。
【0016】
なお、コマンド記述で使用するコマンド名は個々のコマンドが分別できるのであればどのような名前でも構わない。また、コマンドの種類も図6に示すコマンドだけでなく、波形解析を実行するコマンドや周波数を変更するコマンド、回路定数を変更するためのコマンドなど、シミュレーションに必要なコマンドを追加することができる。
【0017】
続いて、S12にて、コマンド記述解釈手段14の全コマンド記述読み込み部141は受信したコマンド記述を全て読み込み、コマンド記述保持部16に保持させる。図7はコマンド記述保持部16に保持したコマンド記述例を示している。コマンド記述はコマンドとパラメータからなる。
【0018】
続いて、S13にて、保持コマンド記述解釈部142は、コマンド記述保持部16に保持された全てのコマンド記述を、シミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈する。この解釈によりコマンドを実行するために実行項目を示すコマンドコードと実行内容を示すパラメータに分類する。
【0019】
例えば、図8に示すように、解析時間が0.1秒の過渡解析実行を行うためのコマンドコード「01」、ファイル名circuit.txtの回路情報を読み込むことを行うためのコマンドコード「10」、ファイル名state.txtの回路状態を読み込むことを行うためのコマンドコード「11」、ファイル名result.txtに実行結果を出力することを行うためのコマンドコード「12」、ファイル名resultstate.txtに実行後の回路状態を出力することを行うためのコマンドコード「13」に分類する。
【0020】
続いて、S14にて、保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、回路状態を読み込むためのファイル名を解釈し決定する。ここで、回路状態を読み込むファイル名を決定するコマンドコード「11」のパラメータはstate.txtであるため、回路状態を読み込むためのファイル名はstate.txtとなる。
【0021】
続いて、S15にて、保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、回路状態を出力するためのファイル名を解釈し決定する。ここで、回路状態を出力するためのファイル名を指定するコマンドコード「13」のパラメータはresultstate.txtであるため、回路状態を出力するファイル名はresultstate.txtとなる。
【0022】
続いて、S16にて、回路情報取得部151はコマンド記述解釈手段14が解釈したファイル名の回路情報を回路情報保持部17から取得する。ここで、回路情報のファイル名を指定するコマンドコード「10」のパラメータはcircuit.txtであるため、circuit.txtの内容を取得する。
【0023】
図9に回路情報の例を示す。ここで、1列目は素子の種類を示す。Cはコンデンサ、Lはインダクタ、Rは抵抗を示している。2列目、3列目はピン番号を示す。同じ番号のピンが接続していることを示す。4列目は素子名を示し、5列目、6列目は素子の定数を示す。コンデンサの場合、定数としてキャパシタンスとキャパシタ電圧が示され、インダクタの場合、定数としてインダクタンスとインダクタ電流が示され、抵抗の場合、定数として抵抗値が示される。
【0024】
ここでは、キャパシタンスが1e-6Fでキャパシタ電圧が0VのコンデンサC1と、キャパシタンスが1e-3Fでキャパシタ電圧が0VのコンデンサC2と、インダクタンスが1e-3Hでインダクタンス電流が0AのインダクタL1と、抵抗値が0.01Ωの抵抗R1の回路情報が記述されている。
【0025】
図10は図9で示した回路情報からなる回路図である。この回路図では、コンデンサC1とインダクタL1が接続し、コンデンサC2と抵抗R3が接続し、コンデンサC2と抵抗R1が接続している。なお、V1は交流電源、R2は電源の内部抵抗、D1は整流回路、S1は半導体スイッチ素子、D2は整流用ダイオード、R1は負荷抵抗である。
【0026】
S16にて回路情報を取得したならば、続いて、S17にて、前記回路状態取得部152はコマンド記述解釈手段14が解釈したファイル名の回路状態を回路状態ファイル保持部22から取得する。
【0027】
図11に取得した回路状態の例を示す。回路状態の1列目は素子名を示す。2列目、3列目は変更する素子の値を示す。ここでは、素子名として、コンデンサC1とC2、インダクタL1、抵抗R1が示され、コンデンサC1はキャパシタンスが1e-6Fでキャパシタンス電圧が5V、コンデンサC2はキャパシタンスが1e-3Fでキャパシタンス電圧が3V、インダクタL1はインダクタンスが1e-3Hでインダクタンス電流が0.01A、抵抗R1は抵抗値が0.01Ωであることが示されている。
【0028】
続いて、S18にて、回路状態設定部153は回路情報取得部151が取得した回路情報を回路状態取得部152が取得した回路状態に変更し設定する。
図12に変更した回路情報を示す。すなわち、図9の当初の回路情報に対し、コンデンサC1のキャパシタンス電圧が5Vに変更され、コンデンサC2のキャパシタンス電圧が3Vに変更され、インダクタL1のインダクタンス電流が0.01Aに変更されたことを示している。
【0029】
続いて、S19にて、回路状態設定部153は回路情報を変更したならば、回路状態保持部18に設定する。続いて、S20にて、コマンド実行手段19は回路状態保持部18に設定した回路情報を使ってコマンド記述解釈手段14が解釈したコマンドを実行する。
【0030】
そして、S21にて、全てのコマンドについて実行を完了したかを判断し、完了していれば、S22にて、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持する。
【0031】
図13にコマンド実行後の回路状態を示す。コンデンサC1のキャパシタンス電圧が24Vに変化し、コンデンサC2のキャパシタンス電圧が20Vに変化し、インダクタL1のインダクタンス電流が0.1Aに変化している。
【0032】
続いて、S23にて、実行結果作成手段21はコマンド実行結果を実行結果保持部20に保持させる。そして、S24にて、回路状態出力手段23は回路状態保持部18に保持されている回路状態を出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保持させる。
【0033】
このような構成においては、利用者は、先ず、クライアント端末12から回路シミュレーション装置13にアクセスする。そして、回路シミュレーション装置13に回路シミュレーションを実行させるためのコマンド記述を送信する。回路シミュレーション装置13は、クライアント端末12から送信されるコマンド記述を受信してコマンド記述保持部16に保持する。そして、コマンド記述保持部16に保持されたコマンド記述を保持コマンド記述解釈部142でシミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈し、この解釈したコマンドのうち、回路状態を出力するためのファイル名を解釈し、このファイル名の回路情報を回路情報保持部17から取得する。また、回路状態取得部152はコマンド記述解釈手段14が解釈した回路状態を回路状態ファイル保持部22から取得する。そして、回路情報を取得した回路状態に変更し、これを回路状態保持部18に保持した後、コマンド実行手段19が回路情報を使って、過渡解析を実行するためのコマンド、波形解析を実行するためのコマンドや周波数を変更するためのコマンド、回路定数を変更するためのコマンドなどを実行する。そして、全てのコマンドの実行が終了すると、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持し、さらに、回路状態保持部18に保持された回路状態を出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保持する。
【0034】
従って、後で同じ回路状態を再現し、これをさらに変更して回路シミュレーションを実行する場合には、先ず、回路状態ファイル保持部22から該当する回路状態を読み出して入力し、この回路状態を一部変更するなどしてから回路シミュレーションを実行すればよい。
【0035】
このように、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる。しかも、回路状態は回路状態ファイル保持部22に保持されるので、クライアント端末12から回路状態を送信する必要はない。
【0036】
また、コマンド記述解釈手段14の全コマンド記述読み込み部141は受信したコマンド記述を全て読み込んでコマンド記述保持部16に保持させる構成としているので、コマンド記述を一括して読み込むことができ、シミュレーション実行時間を短縮することができる。
【0037】
また、コマンド記述解釈手段14は、回路状態が記述されたファイル名を解釈する回路状態ファイル名解釈部144を設け、回路状態読み込み手段15は、回路状態ファイル名解釈部144が解釈したファイル名の回路状態を読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態設定部153を設けているので、クライアント端末12を操作する利用者は回路シミュレーション装置13に保持されている回路状態を指定することが可能となる。
【0038】
また、コマンド記述解釈手段14は、回路状態を出力するファイル名を解釈する出力ファイル名解釈部143を設け、回路状態出力手段23は、出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名のファイルに保持している回路状態を出力する回路状態ファイル出力部232を設けているので、シミュレーション実行後の回路状態を保持するファイル名を任意に指定することが可能となる。
【0039】
(第2の実施の形態)
この実施の形態においても全体構成は基本的には図1と同様である。異なる点は、コマンド記述解釈手段の構成とコマンド実行手段の構成である。
【0040】
コマンド記述解釈手段24は、図14に示すように、クライアント端末12から送信されたコマンド記述を1コマンドずつ読み込む単体コマンド記述読み込み部241、この単体コマンド記述読み込み部241が読み込んだコマンドを解釈する単体コマンド記述解釈部242、この単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドがシミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンドならば、出力ファイル名を解釈し決定する出力ファイル名解釈部243、前記単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが回路状態を取得するためのコマンドならば、回路状態ファイル名を解釈し決定する回路状態ファイル名解釈部244、前記単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドをコマンド実行手段29に送信するコマンド送信部245、前記コマンド実行手段29からコマンド完了通知を受信するコマンド完了受信部246によって構成されている。
【0041】
前記コマンド実行手段29は、図15に示すように、前記コマンド記述解釈手段24からコマンドを受信するコマンド受信部291、このコマンド受信部291が受信したコマンドを実行するシミュレーション実行部292、シミュレーション実行後の回路状態を回路状態保持部18に保持する回路保持部293、前記コマンド記述解釈手段24にコマンド実行完了を通知するコマンド完了通知部294によって構成されている。
【0042】
この実施の形態の回路シミュレーション装置13は、図16に示す手順に従って回路シミュレーションを実行するようになっている。先ず、S31にて、クライアント端末12から送信されたコマンド記述をコマンド記述解釈手段24が受信し、単体コマンド記述読み込み部241は受信したコマンド記述を1コマンド読み込む。そして、S32にて、コマンドの有無をチェックし、コマンドが有れば、S33にて、単体コマンド記述解釈部242は受信したコマンド記述を、シミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈する。
【0043】
S34にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが回路情報を取得するためのコマンドであることを判断したときは、S35にて、回路情報ファイル名を解釈し決定する。そして、回路情報ファイル名が決定したならば、再びS31にて、単体コマンド記述読み込み部241は次の1コマンドを読み込み、S33にて、単体コマンド記述解釈部242はコマンドを解釈する。
【0044】
また、S36にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが回路状態を取得するためのコマンドであることを判断したときは、S37にて、回路状態ファイル名を解釈し決定する。そして、S38にて、回路情報保持部17からS35で決定したファイルの回路情報を取得する。
【0045】
続いて、S39にて、回路状態ファイル保持部22からS37で決定したファイルの回路状態を取得する。そして、回路状態を取得したならば、S40にて、取得した回路状態に回路情報を変更し、S41にて、回路状態保持部18に変更した回路情報を保持する。そして、回路情報を保持したならば、再びS31にて、単体コマンド記述読み込み部241は次の1コマンドを読み込み、S33にて、単体コマンド記述解釈部242はコマンドを解釈する。
【0046】
また、S42にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドがシミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンドであることを判断したときは、S43にて、出力ファイル名を解釈し決定する。そして、出力ファイル名を決定したならば、再びS31にて、単体コマンド記述読み込み部241は次の1コマンドを読み込み、S33にて、単体コマンド記述解釈部242はコマンドを解釈する。
【0047】
S33にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが、回路情報を取得するためのコマンド、回路状態を取得するためのコマンド、シミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンド以外のコマンドのときには、S44にて、コマンド送信部245はコマンド実行手段29にコマンドを送信する。
【0048】
S45にて、コマンド実行手段29のコマンド受信部291はコマンドを受信したならば、シミュレーション実行部292にコマンドを送り、シミュレーションを実行する。そして、S46にて、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持し、S47にて、コマンド完了通知部294はコマンド実行完了通知をコマンド記述解釈手段24に通知する。コマンド完了受信部246はコマンド実行完了通知を受信すると、単体コマンド記述読み込み部241に次のコマンドを読み込むよう読み込み通知を送信する。
【0049】
単体コマンド記述読み込み部241は読み込み通知を受信すると、次のコマンドを読み込む。そして、S32にて、全てのコマンドを読み込んでいてコマンドが無いことを判断すると、S48にて、実行結果作成手段21はコマンド実行結果を実行結果保持部20に保持する。続いて、S49にて、回路状態出力手段23は回路状態保持部18に保持されている回路状態を出力ファイル名解釈部243が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保存する。
【0050】
このような構成においても、コマンド実行手段29が回路情報を使ってコマンドを実行すると、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持し、さらに、回路状態保持部18に保持された回路状態を出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保持するので、後で同じ回路状態を再現し、これをさらに変更して回路シミュレーションを実行する場合には、先ず、回路状態ファイル保持部22から該当する回路状態を読み出して入力し、この回路状態を一部変更するなどしてから回路シミュレーションを実行すればよい。
【0051】
このように、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる。
【0052】
また、コマンド記述解釈手段24は、単体コマンド記述読み込み部241でコマンド記述を1コマンドずつ読み込み、これを単体コマンド記述解釈手段242が1コマンド記述単位で解釈するので、複数のコマンド記述を保持するコマンド記述保持部を不要にできる。
【0053】
(第3の実施の形態)
なお、前述した第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明は省略する。図17は全体構成を示すブロック図で、インターネット11に回路シミュレーション装置131を接続している。前記回路シミュレーション装置131はサーバ内に備えられている。
【0054】
前記回路シミュレーション装置131は、コマンド記述解釈手段14、コマンド記述保持部16、回路情報保持部17、回路状態保持部18、コマンド実行手段19、実行結果保持部20、実行結果作成手段21を備えた点においては前述した回路シミュレーション装置13と同じである。異なる点は、回路状態ファイル保持部22及び回路状態出力手段23に代えて回路状態送信手段31及び回路状態受信手段32を備え、また、構成が異なる回路情報/回路状態読み込み手段33を備えたことである。
【0055】
前記回路状態送信手段31は、回路状態保持部18に保持されている回路状態を、インターネット11を介してクライアント端末12に送信するものである。前記回路状態受信手段32は、クライアント端末12からインターネット11を介して送信される回路状態を受信するものである。
【0056】
前記回路情報/回路状態読み込み手段33は、図18に示すように、回路情報保持部17から回路情報を取得する回路情報取得部151と、この回路情報取得部151が取得した回路情報を前記回路状態受信手段32が受信した回路状態を使用して変更し回路状態保持部18に保持する受信回路状態設定部154とで構成されている。
【0057】
この実施の形態の回路シミュレーション装置131は、図19に示す手順に従って回路シミュレーションを実行するようになっている。先ず、S51にて、回路状態受信手段32はクライアント端末12から回路状態を受信する。図20はクライアント端末12のディスプレイに表示される回路状態を送信するときの画面を示している。クライアント端末12ではテキスト入力画面に回路状態をテキストで入力し、送信ボタンKをクリックすることにより、回路状態を回路シミュレーション装置131に送信することができる。なお、ここでは回路状態を送信するためにテキスト入力を行っているが、ファイルを使用して送信してもよい。
【0058】
続いて、S52にて、コマンド記述解釈手段14は全コマンド記述を受信し、コマンド記述保持部16に保持し、S53にて、コマンド記述解釈手段14はコマンド記述保持部16に保持されているコマンド記述を読み込み、S54にて、コマンド記述をシミュレーション実行用のコマンドとして解釈する。
【0059】
コマンド記述解釈手段14がコマンドを解釈すると、続いて、回路情報/回路状態読み込み手段33は、S55にて、回路情報ファイル名を解釈し決定し、S56にて、回路情報保持部17に保持されている回路情報を取得し、S57にて、回路状態受信手段32が受信した回路状態を使用して回路情報を変更し、S58にて、回路状態保持部18に回路情報を保持する。
【0060】
コマンド実行手段19は、S59にて、回路状態保持部18に保持されている回路情報を使って、コマンドを実行する。そして、S60にて、全てのコマンドの実行が完了したことを判断すると、S61にて、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持する。
【0061】
回路状態を保持したならば、S62にて、実行結果作成手段21はコマンド実行結果を作成し実行結果保持部20に保持する。そして、S63にて、回路状態送信手段31は回路状態保持部18に保持された回路状態をクライアント端末12に送信する。図21は回路状態送信手段31から送信され、クライアント端末12のディスプレイに表示された回路状態の画面を示している。クライアント端末12のディスプレイに回路状態がテキストで表示される。
【0062】
なお、ここでは、クライアント端末12に対して回路状態をテキストデータとして送信したがこれに限定するものではなく、バイナリデータとして送信してもよい。また、回路シミュレーション装置131において、回路状態をファイルとして作成し、このファイルをクライアント端末12に送信するものであってもよい。要は、回路状態が送信できるならば、その形式はどのような形式であってもよい。
【0063】
この構成においては、回路シミュレーション装置131は回路シミュレーションを実行したときの回路状態をクライアント端末12に送信するので、回路シミュレーション装置としては回路シミュレーションを実行した結果の回路状態をファイルとして保存する必要は無い。従って、回路状態ファイル保持部は不用になる。
【0064】
なお、この実施の形態においても、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる、という効果を奏するのは勿論である。
【0065】
なお、前述した各実施の形態は、回路シミュレーション装置の内部に発明を実施する各手段を予め備えた場合を例として述べたがこれに限定するものではない。回路シミュレーション装置に組み込まれているコンピュータを、発明を実施する各手段として機能させるための回路シミュレーションプログラムをネットワークからダウンロードしてもよい。また、回路シミュレーション装置に組み込まれているコンピュータを、発明を実施する各手段として機能させるための回路シミュレーションプログラムを記録媒体に記録し、これを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等、プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態はいずれの形態であってもよい。また、このように予めダウンロードやインストールにより得る手段は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその手段を実現させるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の、第1の実施の形態における全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態における回路状態読み込み手段の構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態におけるコマンド記述解釈手段の構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態における回路状態出力手段の構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態における回路シミュレーション装置による回路シミュレーション実行時の手順を示す流れ図。
【図6】同実施の形態における回路シミュレーション実行時のコマンド記述に記述されているコマンドの例を示す図。
【図7】同実施の形態における回路シミュレーション装置のコマンド記述保持部に保持したコマンド記述例を示す図。
【図8】同実施の形態における回路シミュレーション装置の保持コマンド記述解釈部が解釈したコマンドコードとパラメータの例を示す図。
【図9】同実施の形態における回路シミュレーション装置の回路情報保持部に保持された回路情報の例を示す図。
【図10】図9の回路情報に基づいて作成した回路図例を示す図。
【図11】同実施の形態における回路シミュレーション装置において回路状態ファイル保持部から取得した回路状態の例を示す図。
【図12】図9の回路情報を変更した回路情報例を示す図。
【図13】同実施の形態における回路シミュレーション装置のコマンド実行後の回路状態を示す図。
【図14】本発明の、第2の実施の形態におけるコマンド記述解釈手段の構成を示すブロック図。
【図15】同実施の形態におけるコマンド実行手段の構成を示すブロック図。
【図16】同実施の形態における回路シミュレーション装置による回路シミュレーション実行時の手順を示す流れ図。
【図17】本発明の、第3の実施の形態における全体構成を示すブロック図。
【図18】同実施の形態における回路状態読み込み手段の構成を示すブロック図。
【図19】同実施の形態における回路シミュレーション装置による回路シミュレーション実行時の手順を示す流れ図。
【図20】同実施の形態においてクライアント端末のディスプレイに表示される回路状態を送信するための画面を示す図。
【図21】同実施の形態において回路状態送信手段から送信されてクライアント端末のディスプレイに表示された回路状態の画面を示す図。
【図22】従来における電源回路のシミュレーション実行時の手順を示す図。
【符号の説明】
【0067】
13…回路シミュレーション装置、14…コマンド記述解釈手段、15…回路情報/回路状態読み込み手段、18…回路状態保持部、19…コマンド実行手段、22…回路状態ファイル保持部、23…回路状態出力手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者がネットワークを経由して回路シミュレーションを実行するのに使用する回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法及び回路シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバとクライアント端末とがネットワークを経由して接続している環境において、例えば、電源回路のシミュレーションを行う場合には、図22に示すように、S1にて、シミュレーションに必要なデータを入力し、S2にて、整流方式に対する計算を行い、S3にて、定電圧開始点を算出し、S4にて、評価ポイントの算出を行い、S5にて、スイッチング素子のスイッチング波形をグラフ表示する。続いて、S6にて、トランスのコアの磁束密度を算出し、S7にて、励磁巻線の電流を算出し、S8にて、出力保持時間を算出し、S9にて、各出力の電圧と電流を算出して終了し、結果を表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−231197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、回路シミュレーションを実行する前に予めシミュレーションの項目を決定し、決定したシミュレーション項目を実行し結果を表示するものでは、実行するシミュレーションの項目が予め決まっている場合はよいが、シミュレーション結果をもとに引き続きシミュレーションを実行する場合、再度同じシミュレーションをやり直さなければならないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる回路シミュレーション装置、回路シミュレーション方法及び回路シミュレーションプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部と、回路状態をファイルとして保持する回路状態ファイル保持部と、回路状態保持部に保持されている回路状態を回路状態ファイル保持部にファイルとして保持する回路状態出力手段と、クライアント端末からのコマンドに基づいて回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は全体構成を示すブロック図で、インターネット11に複数のクライアント端末12を接続するとともに回路シミュレーション装置13を接続している。前記回路シミュレーション装置13はサーバ内に備えられている。
【0009】
前記回路シミュレーション装置13は、クライアント端末12からネットワーク11を介して送信される回路シミュレーションのためのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末12に送信する。この回路シミュレーション装置13は、クライアント端末12から送信された全コマンド記述が保持されるコマンド記述保持部16、前記コマンド記述保持部16に保持されたコマンド記述をシミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈するコマンド記述解釈手段14、前記コマンド記述解釈手段14で解釈されたコマンドのうち、回路情報を取得するためのコマンド及び回路状態を取得するためのコマンドで指定されているファイル名の回路情報及び回路状態を読み込む回路情報/回路状態読み込み手段15、各種回路情報を記述した複数のファイルを保持した回路情報保持部17を備えている。
【0010】
また、前記回路シミュレーション装置13は、回路情報/回路状態読み込み手段15で読み込んだ回路情報及び回路状態で、シミュレーションを実行するためのコマンドを実行し、このときの回路状態を回路状態保持部18に保持するコマンド実行手段19、このコマンド実行手段19が実行した結果を実行結果保持部20に保持する実行結果作成手段21、前記回路状態保持部18に保持されている回路状態をファイルに出力し、このファイルを回路状態ファイル保持部22に保持する回路状態出力手段23を備えている。
【0011】
前記回路情報/回路状態読み込み手段15は、図2に示すように、前記コマンド記述解釈手段14が解釈したコマンドのうち、回路情報を取得するためのコマンドで指定されているファイル名の回路情報を回路情報保持部17から取得する回路情報取得部151、前記コマンド記述解釈手段14が解釈したコマンドのうち、回路状態を取得するためのコマンドで指定されているファイル名の回路状態を回路状態ファイル保持部22から取得する回路状態取得部152、前記回路情報取得部151が取得した回路情報を前記回路状態取得部152が取得した回路状態に変更し、前記回路状態保持部18に保持する回路状態設定部153によって構成されている。
【0012】
前記コマンド記述解釈手段14は、図3に示すように、クライアント端末12から送信されたコマンド記述を全て読み込み、前記コマンド記述保持部16に保持させる全コマンド記述読み込み部141、前記コマンド記述保持部16に保持された全てのコマンド記述をシミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈する保持コマンド記述解釈部142、この保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、シミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンドで指定されているファイル名を解釈する出力ファイル名解釈部143、前記保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、回路情報を取得するためのコマンド及び回路状態を取得するためのコマンドで指定されているファイル名を解釈する回路状態ファイル名解釈部144、前記保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドを前記回路状態読み込み手段15を経由して前記コマンド実行手段19に送信するコマンド送信部145によって構成されている。
【0013】
前記回路状態出力手段23は、図4に示すように、前記回路状態保持部18に保持されている回路状態を取得する保持回路状態取得部231、この保持回路状態取得部231が取得した回路状態を前記出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名のファイルに出力し、このファイルを前記回路状態ファイル保持部22に保持させる回路状態ファイル出力部232によって構成されている。
【0014】
このような構成の回路シミュレーション装置13は、図5に示す手順に従って回路シミュレーションを実行するようになっている。先ず、S11にて、クライアント端末12から送信されたコマンド記述をコマンド記述解釈手段14が受信する。
【0015】
ここで、コマンド記述に記述されているコマンドの例を示すと図6に示すコマンドがある。すなわち、回路情報ファイルを指定し、回路情報を取得するためのCirInfoコマンド、回路状態ファイルを指定し、回路状態を取得するためのCirStateコマンド、過渡解析を実行するためのTranコマンド、シミュレーション結果データを保存するためのSaveDateコマンド、シミュレーション実行後の回路状態を保存するためのSaveCirコマンドがある。
【0016】
なお、コマンド記述で使用するコマンド名は個々のコマンドが分別できるのであればどのような名前でも構わない。また、コマンドの種類も図6に示すコマンドだけでなく、波形解析を実行するコマンドや周波数を変更するコマンド、回路定数を変更するためのコマンドなど、シミュレーションに必要なコマンドを追加することができる。
【0017】
続いて、S12にて、コマンド記述解釈手段14の全コマンド記述読み込み部141は受信したコマンド記述を全て読み込み、コマンド記述保持部16に保持させる。図7はコマンド記述保持部16に保持したコマンド記述例を示している。コマンド記述はコマンドとパラメータからなる。
【0018】
続いて、S13にて、保持コマンド記述解釈部142は、コマンド記述保持部16に保持された全てのコマンド記述を、シミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈する。この解釈によりコマンドを実行するために実行項目を示すコマンドコードと実行内容を示すパラメータに分類する。
【0019】
例えば、図8に示すように、解析時間が0.1秒の過渡解析実行を行うためのコマンドコード「01」、ファイル名circuit.txtの回路情報を読み込むことを行うためのコマンドコード「10」、ファイル名state.txtの回路状態を読み込むことを行うためのコマンドコード「11」、ファイル名result.txtに実行結果を出力することを行うためのコマンドコード「12」、ファイル名resultstate.txtに実行後の回路状態を出力することを行うためのコマンドコード「13」に分類する。
【0020】
続いて、S14にて、保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、回路状態を読み込むためのファイル名を解釈し決定する。ここで、回路状態を読み込むファイル名を決定するコマンドコード「11」のパラメータはstate.txtであるため、回路状態を読み込むためのファイル名はstate.txtとなる。
【0021】
続いて、S15にて、保持コマンド記述解釈部142が解釈したコマンドのうち、回路状態を出力するためのファイル名を解釈し決定する。ここで、回路状態を出力するためのファイル名を指定するコマンドコード「13」のパラメータはresultstate.txtであるため、回路状態を出力するファイル名はresultstate.txtとなる。
【0022】
続いて、S16にて、回路情報取得部151はコマンド記述解釈手段14が解釈したファイル名の回路情報を回路情報保持部17から取得する。ここで、回路情報のファイル名を指定するコマンドコード「10」のパラメータはcircuit.txtであるため、circuit.txtの内容を取得する。
【0023】
図9に回路情報の例を示す。ここで、1列目は素子の種類を示す。Cはコンデンサ、Lはインダクタ、Rは抵抗を示している。2列目、3列目はピン番号を示す。同じ番号のピンが接続していることを示す。4列目は素子名を示し、5列目、6列目は素子の定数を示す。コンデンサの場合、定数としてキャパシタンスとキャパシタ電圧が示され、インダクタの場合、定数としてインダクタンスとインダクタ電流が示され、抵抗の場合、定数として抵抗値が示される。
【0024】
ここでは、キャパシタンスが1e-6Fでキャパシタ電圧が0VのコンデンサC1と、キャパシタンスが1e-3Fでキャパシタ電圧が0VのコンデンサC2と、インダクタンスが1e-3Hでインダクタンス電流が0AのインダクタL1と、抵抗値が0.01Ωの抵抗R1の回路情報が記述されている。
【0025】
図10は図9で示した回路情報からなる回路図である。この回路図では、コンデンサC1とインダクタL1が接続し、コンデンサC2と抵抗R3が接続し、コンデンサC2と抵抗R1が接続している。なお、V1は交流電源、R2は電源の内部抵抗、D1は整流回路、S1は半導体スイッチ素子、D2は整流用ダイオード、R1は負荷抵抗である。
【0026】
S16にて回路情報を取得したならば、続いて、S17にて、前記回路状態取得部152はコマンド記述解釈手段14が解釈したファイル名の回路状態を回路状態ファイル保持部22から取得する。
【0027】
図11に取得した回路状態の例を示す。回路状態の1列目は素子名を示す。2列目、3列目は変更する素子の値を示す。ここでは、素子名として、コンデンサC1とC2、インダクタL1、抵抗R1が示され、コンデンサC1はキャパシタンスが1e-6Fでキャパシタンス電圧が5V、コンデンサC2はキャパシタンスが1e-3Fでキャパシタンス電圧が3V、インダクタL1はインダクタンスが1e-3Hでインダクタンス電流が0.01A、抵抗R1は抵抗値が0.01Ωであることが示されている。
【0028】
続いて、S18にて、回路状態設定部153は回路情報取得部151が取得した回路情報を回路状態取得部152が取得した回路状態に変更し設定する。
図12に変更した回路情報を示す。すなわち、図9の当初の回路情報に対し、コンデンサC1のキャパシタンス電圧が5Vに変更され、コンデンサC2のキャパシタンス電圧が3Vに変更され、インダクタL1のインダクタンス電流が0.01Aに変更されたことを示している。
【0029】
続いて、S19にて、回路状態設定部153は回路情報を変更したならば、回路状態保持部18に設定する。続いて、S20にて、コマンド実行手段19は回路状態保持部18に設定した回路情報を使ってコマンド記述解釈手段14が解釈したコマンドを実行する。
【0030】
そして、S21にて、全てのコマンドについて実行を完了したかを判断し、完了していれば、S22にて、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持する。
【0031】
図13にコマンド実行後の回路状態を示す。コンデンサC1のキャパシタンス電圧が24Vに変化し、コンデンサC2のキャパシタンス電圧が20Vに変化し、インダクタL1のインダクタンス電流が0.1Aに変化している。
【0032】
続いて、S23にて、実行結果作成手段21はコマンド実行結果を実行結果保持部20に保持させる。そして、S24にて、回路状態出力手段23は回路状態保持部18に保持されている回路状態を出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保持させる。
【0033】
このような構成においては、利用者は、先ず、クライアント端末12から回路シミュレーション装置13にアクセスする。そして、回路シミュレーション装置13に回路シミュレーションを実行させるためのコマンド記述を送信する。回路シミュレーション装置13は、クライアント端末12から送信されるコマンド記述を受信してコマンド記述保持部16に保持する。そして、コマンド記述保持部16に保持されたコマンド記述を保持コマンド記述解釈部142でシミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈し、この解釈したコマンドのうち、回路状態を出力するためのファイル名を解釈し、このファイル名の回路情報を回路情報保持部17から取得する。また、回路状態取得部152はコマンド記述解釈手段14が解釈した回路状態を回路状態ファイル保持部22から取得する。そして、回路情報を取得した回路状態に変更し、これを回路状態保持部18に保持した後、コマンド実行手段19が回路情報を使って、過渡解析を実行するためのコマンド、波形解析を実行するためのコマンドや周波数を変更するためのコマンド、回路定数を変更するためのコマンドなどを実行する。そして、全てのコマンドの実行が終了すると、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持し、さらに、回路状態保持部18に保持された回路状態を出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保持する。
【0034】
従って、後で同じ回路状態を再現し、これをさらに変更して回路シミュレーションを実行する場合には、先ず、回路状態ファイル保持部22から該当する回路状態を読み出して入力し、この回路状態を一部変更するなどしてから回路シミュレーションを実行すればよい。
【0035】
このように、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる。しかも、回路状態は回路状態ファイル保持部22に保持されるので、クライアント端末12から回路状態を送信する必要はない。
【0036】
また、コマンド記述解釈手段14の全コマンド記述読み込み部141は受信したコマンド記述を全て読み込んでコマンド記述保持部16に保持させる構成としているので、コマンド記述を一括して読み込むことができ、シミュレーション実行時間を短縮することができる。
【0037】
また、コマンド記述解釈手段14は、回路状態が記述されたファイル名を解釈する回路状態ファイル名解釈部144を設け、回路状態読み込み手段15は、回路状態ファイル名解釈部144が解釈したファイル名の回路状態を読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態設定部153を設けているので、クライアント端末12を操作する利用者は回路シミュレーション装置13に保持されている回路状態を指定することが可能となる。
【0038】
また、コマンド記述解釈手段14は、回路状態を出力するファイル名を解釈する出力ファイル名解釈部143を設け、回路状態出力手段23は、出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名のファイルに保持している回路状態を出力する回路状態ファイル出力部232を設けているので、シミュレーション実行後の回路状態を保持するファイル名を任意に指定することが可能となる。
【0039】
(第2の実施の形態)
この実施の形態においても全体構成は基本的には図1と同様である。異なる点は、コマンド記述解釈手段の構成とコマンド実行手段の構成である。
【0040】
コマンド記述解釈手段24は、図14に示すように、クライアント端末12から送信されたコマンド記述を1コマンドずつ読み込む単体コマンド記述読み込み部241、この単体コマンド記述読み込み部241が読み込んだコマンドを解釈する単体コマンド記述解釈部242、この単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドがシミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンドならば、出力ファイル名を解釈し決定する出力ファイル名解釈部243、前記単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが回路状態を取得するためのコマンドならば、回路状態ファイル名を解釈し決定する回路状態ファイル名解釈部244、前記単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドをコマンド実行手段29に送信するコマンド送信部245、前記コマンド実行手段29からコマンド完了通知を受信するコマンド完了受信部246によって構成されている。
【0041】
前記コマンド実行手段29は、図15に示すように、前記コマンド記述解釈手段24からコマンドを受信するコマンド受信部291、このコマンド受信部291が受信したコマンドを実行するシミュレーション実行部292、シミュレーション実行後の回路状態を回路状態保持部18に保持する回路保持部293、前記コマンド記述解釈手段24にコマンド実行完了を通知するコマンド完了通知部294によって構成されている。
【0042】
この実施の形態の回路シミュレーション装置13は、図16に示す手順に従って回路シミュレーションを実行するようになっている。先ず、S31にて、クライアント端末12から送信されたコマンド記述をコマンド記述解釈手段24が受信し、単体コマンド記述読み込み部241は受信したコマンド記述を1コマンド読み込む。そして、S32にて、コマンドの有無をチェックし、コマンドが有れば、S33にて、単体コマンド記述解釈部242は受信したコマンド記述を、シミュレーションを実行するためのコマンドとして解釈する。
【0043】
S34にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが回路情報を取得するためのコマンドであることを判断したときは、S35にて、回路情報ファイル名を解釈し決定する。そして、回路情報ファイル名が決定したならば、再びS31にて、単体コマンド記述読み込み部241は次の1コマンドを読み込み、S33にて、単体コマンド記述解釈部242はコマンドを解釈する。
【0044】
また、S36にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが回路状態を取得するためのコマンドであることを判断したときは、S37にて、回路状態ファイル名を解釈し決定する。そして、S38にて、回路情報保持部17からS35で決定したファイルの回路情報を取得する。
【0045】
続いて、S39にて、回路状態ファイル保持部22からS37で決定したファイルの回路状態を取得する。そして、回路状態を取得したならば、S40にて、取得した回路状態に回路情報を変更し、S41にて、回路状態保持部18に変更した回路情報を保持する。そして、回路情報を保持したならば、再びS31にて、単体コマンド記述読み込み部241は次の1コマンドを読み込み、S33にて、単体コマンド記述解釈部242はコマンドを解釈する。
【0046】
また、S42にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドがシミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンドであることを判断したときは、S43にて、出力ファイル名を解釈し決定する。そして、出力ファイル名を決定したならば、再びS31にて、単体コマンド記述読み込み部241は次の1コマンドを読み込み、S33にて、単体コマンド記述解釈部242はコマンドを解釈する。
【0047】
S33にて、単体コマンド記述解釈部242が解釈したコマンドが、回路情報を取得するためのコマンド、回路状態を取得するためのコマンド、シミュレーション実行後の回路状態を保存するためのコマンド以外のコマンドのときには、S44にて、コマンド送信部245はコマンド実行手段29にコマンドを送信する。
【0048】
S45にて、コマンド実行手段29のコマンド受信部291はコマンドを受信したならば、シミュレーション実行部292にコマンドを送り、シミュレーションを実行する。そして、S46にて、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持し、S47にて、コマンド完了通知部294はコマンド実行完了通知をコマンド記述解釈手段24に通知する。コマンド完了受信部246はコマンド実行完了通知を受信すると、単体コマンド記述読み込み部241に次のコマンドを読み込むよう読み込み通知を送信する。
【0049】
単体コマンド記述読み込み部241は読み込み通知を受信すると、次のコマンドを読み込む。そして、S32にて、全てのコマンドを読み込んでいてコマンドが無いことを判断すると、S48にて、実行結果作成手段21はコマンド実行結果を実行結果保持部20に保持する。続いて、S49にて、回路状態出力手段23は回路状態保持部18に保持されている回路状態を出力ファイル名解釈部243が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保存する。
【0050】
このような構成においても、コマンド実行手段29が回路情報を使ってコマンドを実行すると、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持し、さらに、回路状態保持部18に保持された回路状態を出力ファイル名解釈部143が解釈したファイル名で回路状態ファイル保持部22に保持するので、後で同じ回路状態を再現し、これをさらに変更して回路シミュレーションを実行する場合には、先ず、回路状態ファイル保持部22から該当する回路状態を読み出して入力し、この回路状態を一部変更するなどしてから回路シミュレーションを実行すればよい。
【0051】
このように、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる。
【0052】
また、コマンド記述解釈手段24は、単体コマンド記述読み込み部241でコマンド記述を1コマンドずつ読み込み、これを単体コマンド記述解釈手段242が1コマンド記述単位で解釈するので、複数のコマンド記述を保持するコマンド記述保持部を不要にできる。
【0053】
(第3の実施の形態)
なお、前述した第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明は省略する。図17は全体構成を示すブロック図で、インターネット11に回路シミュレーション装置131を接続している。前記回路シミュレーション装置131はサーバ内に備えられている。
【0054】
前記回路シミュレーション装置131は、コマンド記述解釈手段14、コマンド記述保持部16、回路情報保持部17、回路状態保持部18、コマンド実行手段19、実行結果保持部20、実行結果作成手段21を備えた点においては前述した回路シミュレーション装置13と同じである。異なる点は、回路状態ファイル保持部22及び回路状態出力手段23に代えて回路状態送信手段31及び回路状態受信手段32を備え、また、構成が異なる回路情報/回路状態読み込み手段33を備えたことである。
【0055】
前記回路状態送信手段31は、回路状態保持部18に保持されている回路状態を、インターネット11を介してクライアント端末12に送信するものである。前記回路状態受信手段32は、クライアント端末12からインターネット11を介して送信される回路状態を受信するものである。
【0056】
前記回路情報/回路状態読み込み手段33は、図18に示すように、回路情報保持部17から回路情報を取得する回路情報取得部151と、この回路情報取得部151が取得した回路情報を前記回路状態受信手段32が受信した回路状態を使用して変更し回路状態保持部18に保持する受信回路状態設定部154とで構成されている。
【0057】
この実施の形態の回路シミュレーション装置131は、図19に示す手順に従って回路シミュレーションを実行するようになっている。先ず、S51にて、回路状態受信手段32はクライアント端末12から回路状態を受信する。図20はクライアント端末12のディスプレイに表示される回路状態を送信するときの画面を示している。クライアント端末12ではテキスト入力画面に回路状態をテキストで入力し、送信ボタンKをクリックすることにより、回路状態を回路シミュレーション装置131に送信することができる。なお、ここでは回路状態を送信するためにテキスト入力を行っているが、ファイルを使用して送信してもよい。
【0058】
続いて、S52にて、コマンド記述解釈手段14は全コマンド記述を受信し、コマンド記述保持部16に保持し、S53にて、コマンド記述解釈手段14はコマンド記述保持部16に保持されているコマンド記述を読み込み、S54にて、コマンド記述をシミュレーション実行用のコマンドとして解釈する。
【0059】
コマンド記述解釈手段14がコマンドを解釈すると、続いて、回路情報/回路状態読み込み手段33は、S55にて、回路情報ファイル名を解釈し決定し、S56にて、回路情報保持部17に保持されている回路情報を取得し、S57にて、回路状態受信手段32が受信した回路状態を使用して回路情報を変更し、S58にて、回路状態保持部18に回路情報を保持する。
【0060】
コマンド実行手段19は、S59にて、回路状態保持部18に保持されている回路情報を使って、コマンドを実行する。そして、S60にて、全てのコマンドの実行が完了したことを判断すると、S61にて、現在の回路状態を回路状態保持部18に保持する。
【0061】
回路状態を保持したならば、S62にて、実行結果作成手段21はコマンド実行結果を作成し実行結果保持部20に保持する。そして、S63にて、回路状態送信手段31は回路状態保持部18に保持された回路状態をクライアント端末12に送信する。図21は回路状態送信手段31から送信され、クライアント端末12のディスプレイに表示された回路状態の画面を示している。クライアント端末12のディスプレイに回路状態がテキストで表示される。
【0062】
なお、ここでは、クライアント端末12に対して回路状態をテキストデータとして送信したがこれに限定するものではなく、バイナリデータとして送信してもよい。また、回路シミュレーション装置131において、回路状態をファイルとして作成し、このファイルをクライアント端末12に送信するものであってもよい。要は、回路状態が送信できるならば、その形式はどのような形式であってもよい。
【0063】
この構成においては、回路シミュレーション装置131は回路シミュレーションを実行したときの回路状態をクライアント端末12に送信するので、回路シミュレーション装置としては回路シミュレーションを実行した結果の回路状態をファイルとして保存する必要は無い。従って、回路状態ファイル保持部は不用になる。
【0064】
なお、この実施の形態においても、一度回路シミュレーションを実行した回路状態を使用して引き続きシミュレーションを実行することができ、これにより、再度同じシミュレーションを繰り返す必要が無く、回路解析時間を短縮することができる、という効果を奏するのは勿論である。
【0065】
なお、前述した各実施の形態は、回路シミュレーション装置の内部に発明を実施する各手段を予め備えた場合を例として述べたがこれに限定するものではない。回路シミュレーション装置に組み込まれているコンピュータを、発明を実施する各手段として機能させるための回路シミュレーションプログラムをネットワークからダウンロードしてもよい。また、回路シミュレーション装置に組み込まれているコンピュータを、発明を実施する各手段として機能させるための回路シミュレーションプログラムを記録媒体に記録し、これを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等、プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態はいずれの形態であってもよい。また、このように予めダウンロードやインストールにより得る手段は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその手段を実現させるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の、第1の実施の形態における全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態における回路状態読み込み手段の構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態におけるコマンド記述解釈手段の構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態における回路状態出力手段の構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態における回路シミュレーション装置による回路シミュレーション実行時の手順を示す流れ図。
【図6】同実施の形態における回路シミュレーション実行時のコマンド記述に記述されているコマンドの例を示す図。
【図7】同実施の形態における回路シミュレーション装置のコマンド記述保持部に保持したコマンド記述例を示す図。
【図8】同実施の形態における回路シミュレーション装置の保持コマンド記述解釈部が解釈したコマンドコードとパラメータの例を示す図。
【図9】同実施の形態における回路シミュレーション装置の回路情報保持部に保持された回路情報の例を示す図。
【図10】図9の回路情報に基づいて作成した回路図例を示す図。
【図11】同実施の形態における回路シミュレーション装置において回路状態ファイル保持部から取得した回路状態の例を示す図。
【図12】図9の回路情報を変更した回路情報例を示す図。
【図13】同実施の形態における回路シミュレーション装置のコマンド実行後の回路状態を示す図。
【図14】本発明の、第2の実施の形態におけるコマンド記述解釈手段の構成を示すブロック図。
【図15】同実施の形態におけるコマンド実行手段の構成を示すブロック図。
【図16】同実施の形態における回路シミュレーション装置による回路シミュレーション実行時の手順を示す流れ図。
【図17】本発明の、第3の実施の形態における全体構成を示すブロック図。
【図18】同実施の形態における回路状態読み込み手段の構成を示すブロック図。
【図19】同実施の形態における回路シミュレーション装置による回路シミュレーション実行時の手順を示す流れ図。
【図20】同実施の形態においてクライアント端末のディスプレイに表示される回路状態を送信するための画面を示す図。
【図21】同実施の形態において回路状態送信手段から送信されてクライアント端末のディスプレイに表示された回路状態の画面を示す図。
【図22】従来における電源回路のシミュレーション実行時の手順を示す図。
【符号の説明】
【0067】
13…回路シミュレーション装置、14…コマンド記述解釈手段、15…回路情報/回路状態読み込み手段、18…回路状態保持部、19…コマンド実行手段、22…回路状態ファイル保持部、23…回路状態出力手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、
このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、
このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部と、
回路状態をファイルとして保持する回路状態ファイル保持部と、
前記回路状態保持部に保持されている回路状態を前記回路状態ファイル保持部にファイルとして保持する回路状態出力手段と、
クライアント端末からのコマンドに基づいて前記回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段とを備えたことを特徴とする回路シミュレーション装置。
【請求項2】
コマンド記述を保持するコマンド記述保持部を設け、
コマンド記述解釈手段は、クライアント端末から送信されるコマンド記述を全て読み込んで前記コマンド記述保持部に保持する全コマンド記述読み込み部と、前記コマンド記述保持部に保持されているコマンド記述からシミュレーション実行用のコマンドを解釈する保持コマンド記述解釈部と、この保持コマンド記述解釈部が解釈したコマンドをコマンド実行手段に送信するコマンド送信部とを設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項3】
コマンド記述解釈手段は、クライアント端末から送信されるコマンド記述を1コマンドずつ読み込む単体コマンド読み込み部と、この単体コマンド読み込み部が読み込んだコマンド記述を解釈する単体コマンド記述解釈部と、この単体コマンド記述解釈部が解釈したコマンドをコマンド実行手段に送信するコマンド送信部と、前記コマンド実行手段からコマンド完了通知を受信するコマンド完了受信部とを設け、
前記コマンド実行手段は、コマンドの実行が終了すると、前記コマンド記述解釈手段のコマンド完了受信部に次のコマンドを読み込むように通知するコマンド完了通知部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項4】
コマンド記述解釈手段は、指定されたファイルに記述されているコマンドから、回路状態が記述されたファイル名を解釈する回路状態ファイル名解釈部を設け、回路状態読み込み手段は、前記回路状態ファイル名解釈部が解釈したファイル名のファイルに記述された回路状態を読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態設定部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項5】
コマンド記述解釈手段は、指定されたファイルに記述されているコマンドから、回路状態を出力するファイル名を解釈する出力ファイル名解釈部を設け、回路状態出力手段は、前記出力ファイル名解釈部が解釈したファイル名のファイルに保持している回路状態を出力する回路状態ファイル出力部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項6】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、
このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、
このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部と、
クライアント端末から送信される回路状態を受信する回路状態受信手段と、
この回路状態受信手段が受信した回路状態を現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段と、
前記回路状態保持部が保持する回路状態をクライアントに送信する回路状態送信手段とを備えたことを特徴とする回路シミュレーション装置。
【請求項7】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈する手順と、この解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行する手順と、この回路シミュレーションを実行したときの回路状態を回路状態保持部に保持する手順と、この保持した回路状態をファイルとして回路状態ファイル保持部に保持する手順と、クライアント端末からのコマンドに基づいて前記回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する手順を順次実行することを特徴とする回路シミュレーション方法。
【請求項8】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
回路シミュレーション装置のコンピュータを、
クライアント端末からネットワークを介して送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、
このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、
このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部に保持されている回路状態を回路状態ファイル保持部にファイルとして保持する回路状態出力手段と、
クライアント端末からのコマンドに基づいて前記回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段として機能させるための回路シミュレーションプログラム。
【請求項1】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、
このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、
このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部と、
回路状態をファイルとして保持する回路状態ファイル保持部と、
前記回路状態保持部に保持されている回路状態を前記回路状態ファイル保持部にファイルとして保持する回路状態出力手段と、
クライアント端末からのコマンドに基づいて前記回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段とを備えたことを特徴とする回路シミュレーション装置。
【請求項2】
コマンド記述を保持するコマンド記述保持部を設け、
コマンド記述解釈手段は、クライアント端末から送信されるコマンド記述を全て読み込んで前記コマンド記述保持部に保持する全コマンド記述読み込み部と、前記コマンド記述保持部に保持されているコマンド記述からシミュレーション実行用のコマンドを解釈する保持コマンド記述解釈部と、この保持コマンド記述解釈部が解釈したコマンドをコマンド実行手段に送信するコマンド送信部とを設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項3】
コマンド記述解釈手段は、クライアント端末から送信されるコマンド記述を1コマンドずつ読み込む単体コマンド読み込み部と、この単体コマンド読み込み部が読み込んだコマンド記述を解釈する単体コマンド記述解釈部と、この単体コマンド記述解釈部が解釈したコマンドをコマンド実行手段に送信するコマンド送信部と、前記コマンド実行手段からコマンド完了通知を受信するコマンド完了受信部とを設け、
前記コマンド実行手段は、コマンドの実行が終了すると、前記コマンド記述解釈手段のコマンド完了受信部に次のコマンドを読み込むように通知するコマンド完了通知部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項4】
コマンド記述解釈手段は、指定されたファイルに記述されているコマンドから、回路状態が記述されたファイル名を解釈する回路状態ファイル名解釈部を設け、回路状態読み込み手段は、前記回路状態ファイル名解釈部が解釈したファイル名のファイルに記述された回路状態を読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態設定部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項5】
コマンド記述解釈手段は、指定されたファイルに記述されているコマンドから、回路状態を出力するファイル名を解釈する出力ファイル名解釈部を設け、回路状態出力手段は、前記出力ファイル名解釈部が解釈したファイル名のファイルに保持している回路状態を出力する回路状態ファイル出力部を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路シミュレーション装置。
【請求項6】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、
このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、
このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部と、
クライアント端末から送信される回路状態を受信する回路状態受信手段と、
この回路状態受信手段が受信した回路状態を現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段と、
前記回路状態保持部が保持する回路状態をクライアントに送信する回路状態送信手段とを備えたことを特徴とする回路シミュレーション装置。
【請求項7】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
クライアント端末から送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈する手順と、この解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行する手順と、この回路シミュレーションを実行したときの回路状態を回路状態保持部に保持する手順と、この保持した回路状態をファイルとして回路状態ファイル保持部に保持する手順と、クライアント端末からのコマンドに基づいて前記回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する手順を順次実行することを特徴とする回路シミュレーション方法。
【請求項8】
クライアント端末からネットワークを介して送信される回路シミュレーションのコマンドを実行し、結果を該当するクライアント端末に送信する回路シミュレーション装置において、
回路シミュレーション装置のコンピュータを、
クライアント端末からネットワークを介して送信された回路シミュレーションのためのコマンド記述を解釈するコマンド記述解釈手段と、
このコマンド記述解釈手段が解釈したコマンドに基づいて回路シミュレーションを実行するコマンド実行手段と、
このコマンド実行手段が回路シミュレーションを実行したときの回路状態を保持する回路状態保持部に保持されている回路状態を回路状態ファイル保持部にファイルとして保持する回路状態出力手段と、
クライアント端末からのコマンドに基づいて前記回路状態ファイル保持部に保持されている回路状態ファイルを読み込み、現在の回路状態として設定する回路状態読み込み手段として機能させるための回路シミュレーションプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−18437(P2006−18437A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193863(P2004−193863)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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