説明

回路付サスペンション基板およびその製造方法

【課題】光アシスト法を採用できながら、設計上の自由を確保でき、製造効率を向上させることができるとともに、製造コストの低減を図ることができる回路付サスペンション基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属支持基板11、ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層し、金属支持基板11、ベース絶縁層12またはカバー絶縁層14の上面に、光導波路19のアンダークラッド層22またはオーバークラッド層24を、接着剤層25を介して接着するとともに、発光素子20を、光導波路19と光学的に接続するように設置することにより、回路付サスペンション基板1を得る。この回路付サスペンション基板1に、磁気ヘッドが実装されたヘッドスライダ27を搭載し、これらをハードディスクドライブに搭載させて、光アシスト法により、ハードディスク26に情報を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路付サスペンション基板およびその製造方法、詳しくは、光アシスト法が採用されるハードディスクドライブなどに搭載される回路付サスペンション基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクなどに対する磁気記録方式として、情報の記録時において、ハードディスクを光照射により加熱して、その保磁力を低下させた状態で、磁気ヘッドによって記録することにより、情報を小さな記録磁界で高密度に記録できる光アシスト法(光アシスト磁気記録方式)が知られている。
例えば、光アシスト法を採用する光アシスト磁気記録装置では、ヘッドスライダの側面に、磁気再生素子および磁気記録素子(磁気ヘッド)と光導波路と光源とを形成することにより、磁気記録再生素子を設け、このヘッドスライダをサスペンションに支持させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−195002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ヘッドスライダは、小型化の要求に対応すべく、比較的小さく形成されており、しかも、磁気ヘッドが設けられているため、それ以外の部品を設置することは、スペース的に困難である。そのため、光アシスト法に用いられる光導波路および光源を、磁気ヘッドと一緒にヘッドスライダに設けようとすると、レイアウト上の制限を受け、製造に手間がかかり、製造コストが増大するという不具合がある。
【0004】
本発明の目的は、光アシスト法を採用できながら、設計上の自由を確保でき、製造効率を向上させることができるとともに、製造コストの低減を図ることができる回路付サスペンション基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の回路付サスペンション基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンと、前記ベース絶縁層の上に前記導体パターンを被覆するように形成されるカバー絶縁層と、光導波路とを備え、前記光導波路は、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上に接着されていることを特徴としている。
【0006】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記光導波路は、アンダークラッド層と、前記アンダークラッド層の表面に形成され、前記アンダークラッド層よりも屈折率の高いコア層と、前記アンダークラッド層の表面に、前記コア層を被覆するように形成され、前記コア層よりも屈折率の低いオーバークラッド層とを備え、前記アンダークラッド層または前記オーバークラッド層は、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上面に、接着剤層を介して接着されていることが好適である。
【0007】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、さらに、発光素子を備えており、その発光素子が前記光導波路と光学的に接続されていることが好適である。
また、本発明の回路付サスペンション基板では、さらに、ヘッドスライダを搭載するための搭載部を備え、前記光導波路が、前記導体パターンが延びる方向に沿って配置されており、前記発光素子が、前記金属支持基板の長手方向一方側に配置され、前記搭載部が、前記金属支持基板の長手方向他方側に配置されていることが好適である。
【0008】
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法は、金属支持基板を用意して、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンと、前記ベース絶縁層の上に、前記導体パターンを被覆するように形成されるカバー絶縁層とを形成する工程と、光導波路を用意する工程と、前記光導波路を、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上に接着する工程とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法では、前記光導波路は、アンダークラッド層と、前記アンダークラッド層の表面に形成され、前記アンダークラッド層よりも屈折率の高いコア層と、前記アンダークラッド層の表面に、前記コア層を被覆するように形成され、前記コア層よりも屈折率の低いオーバークラッド層とを備え、前記光導波路を接着する工程では、前記アンダークラッド層または前記オーバークラッド層を、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上面に、接着剤層を介して接着することが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の回路付サスペンション基板では、光アシスト法に用いられる光導波路が、金属支持基板、ベース絶縁層またはカバー絶縁層の上に接着されているので、かかる光導波路を、ヘッドスライダよりも、スペース的に余裕を持って形成することができる。しかも、金属支持基板、ベース絶縁層またはカバー絶縁層の上に、光導波路を確実に設けることができる。
【0011】
また、この回路付サスペンション基板では、光導波路を、金属支持基板、ベース絶縁層およびカバー絶縁層とは、別途形成して、それらに接着できるので、簡便な工程で得られる。
そのため、設計上の自由を確保でき、製造効率を向上させることができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
また、本発明の回路付サスペンション基板の製造方法によれば、光アシスト法に用いられる光導波路を、ヘッドスライダよりも、スペース的に余裕を持って、金属支持基板、ベース絶縁層またはカバー絶縁層の上に接着することができる。
また、この製造方法では、光導波路を、金属支持基板、ベース絶縁層およびカバー絶縁層とは、別途形成することができるので、回路付サスペンション基板を簡便に得ることができる。
【0013】
そのため、得られる回路付サスペンション基板の設計上の自由を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す回路付サスペンション基板における光導波路に沿う断面図、図3は、図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における長手方向に直交する方向(以下、幅方向という。)に沿う断面図であって、光導波路(アンダークラッド層)がベース絶縁層の上面に接着される形態の断面図を示す。なお、図1および図2において、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14は、導体パターン13および光導波路19の相対配置を明確に示すために、省略している。
【0015】
図1において、この回路付サスペンション基板1は、ハードディスクドライブにおける磁気ヘッド(図示しない)を実装して、その磁気ヘッドを、磁気ヘッドとハードディスク26(図5参照)とが相対的に走行するときの空気流に抗して、ハードディスク26との間に微小な間隔を保持しながら支持するための金属支持基板11に、外部回路基板(例えば、リード・ライト基板など)2と磁気ヘッドとを接続するための導体パターン13が一体的に形成されている。
【0016】
この回路付サスペンション基板1は、長手方向に延びる平帯状に形成されており、長手方向一方側(以下、後側という。)に配置される配線部3と、配線部3の長手方向他方側(以下、先側という。)に配置されるジンバル部4とを一体的に備えている。
配線部3は、長手方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
ジンバル部4は、配線部3の先端から連続して形成され、配線部3に対して幅方向両外側に膨出する平面視略矩形状に形成されている。また、ジンバル部4には、平面視において先側に向かって開く略U字状のスリット部5が形成されている。また、ジンバル部4は、スリット部5に幅方向において挟まれるタング部6と、スリット部5の幅方向両外側およびタング部6の先端側に配置されるアウトリガー部8とを一体的に備えている。
【0017】
タング部6は、平面視略矩形状に形成されており、搭載部9を備えている。
搭載部9は、ヘッドスライダ27を搭載するための領域(図1の破線の領域)であって、平面視において、タング部6のほぼ全体にわたって配置されており、平面視略矩形状に形成されている。また、搭載部9は、端子形成部10と、台座40とを備えている。
端子形成部10は、後述する磁気ヘッド側接続端子部17が形成される、幅方向に沿って延びる平面視略形状をなす領域であって、搭載部9の先端側に配置されている。また、端子形成部10には、開口部7が形成されている。
【0018】
開口部7は、金属支持基板11を厚み方向に貫通するように平面視略矩形状に形成されており、端子形成部10における幅方向中央に形成されている。また、開口部7は、平面視において、搭載部9の先端縁(端子形成部10の後端縁)を跨ぐように、端子形成部10の先端部とアウトリガー部8の幅方向中央の後端部とにわたって形成されている。
台座40は、ヘッドスライダ27(図5参照)を支持するために設けられており、端子形成部10の後側に配置され、具体的には、搭載部9の長手方向中央(途中)および後端部にわたって配置されている。台座40は、幅方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0019】
また、台座40は、台座ベース絶縁層41と、台座ベース絶縁層41の上に形成される台座導体層42とを備えている。
台座ベース絶縁層41は、搭載部9における金属支持基板11の表面において、台座40の外形形状に対応して形成されている。
台座導体層42は、台座ベース絶縁層41の表面において、平面視において、台座ベース絶縁層41よりやや小さい相似形状に形成されている。
【0020】
導体パターン13は、外部側接続端子部16と、磁気ヘッド側接続端子部17と、これら外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17を接続するための信号配線15とを、一体的に連続して備えている。
各信号配線15は、回路付サスペンション基板1の長手方向に沿って複数(4本)設けられ、幅方向において互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0021】
複数の信号配線15は、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dから形成されており、これら第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dが、幅方向一方側から幅方向他方側に向かって、順次配置されている。
より具体的には、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dは、配線部3において、互いに並行して延びるように形成されている。ジンバル部4において、第1配線15aおよび第2配線15bは、幅方向一方側のアウトリガー部8に沿うように配置され、第3配線15cおよび第4配線15dは、幅方向他方側のアウトリガー部8に沿うように配置されている。第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dは、先端側のアウトリガー部8に至った後、幅方向内側に延び、さらに後側に折り返されて、磁気ヘッド側接続端子部17の先端部に至るように配置されている。
【0022】
なお、第1配線15aおよび第2配線15bは、配線部3において後述する発光素子20を幅方向内側に迂回するように、発光素子2と幅方向内側に間隔を隔てて配置されている。
外部側接続端子部16は、配線部3の後端部に配置され、各配線15の後端部がそれぞれ接続されるように、複数(4つ)設けられている。また、この外部側接続端子部16は、幅方向に間隔を隔てて配置されている。また、外部側接続端子部16は、外部側接続端子部16に接続する第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dに対応して、第1外部側接続端子部16a、第2外部側接続端子部16b、第3外部側接続端子部16cおよび第4外部側接続端子部16dが、幅方向一方側から幅方向他方側に向かって順次配置されている。この外部側接続端子部16には、破線で示す外部回路基板2の図示しない端子部が接続される。
【0023】
磁気ヘッド側接続端子部17は、ジンバル部4に配置され、より具体的には、タング部6の端子形成部10に配置されている。磁気ヘッド側接続端子部17は、各信号配線15の先端部がそれぞれ接続されるように、複数(4つ)設けられている。
より具体的には、磁気ヘッド側接続端子部17は、端子形成部10の後端縁(搭載部9の先端縁)に沿うように、幅方向において互いに間隔を隔てて配置されている。また、磁気ヘッド側接続端子部17は、これに接続する第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dに対応して、第1磁気ヘッド側接続端子部17a、第2磁気ヘッド側接続端子部17b、第3磁気ヘッド側接続端子部17cおよび第4磁気ヘッド側接続端子部17dが、幅方向一方側から幅方向他方側に向かって順次配置されている。この磁気ヘッド側接続端子部17には、図示しない磁気ヘッドの端子部が接続される。
【0024】
そして、この回路付サスペンション基板1は、図3に示すように、金属支持基板11と、金属支持基板11の上に形成されるベース絶縁層12と、ベース絶縁層12の上に形成される導体パターン13と、ベース絶縁層12の上に導体パターン13を被覆するように形成されるカバー絶縁層14とを備えている。
金属支持基板11は、図1および図3に示すように、回路付サスペンション基板1の外形形状に対応して形成されている。
【0025】
ベース絶縁層12は、金属支持基板11の上面において、金属支持基板11の周端縁が露出するように、配線部3およびジンバル部4における導体パターン13が形成される位置に対応するように形成されている。より具体的には、ベース絶縁層12は、金属支持基板11より長手方向および幅方向がやや短くなる平帯状に形成されている。なお、ベース絶縁層12は、後述する供給配線30および供給端子部31が形成される位置に対応するように形成されている。
【0026】
導体パターン13は、配線部3およびジンバル部4にわたって配置されており、厚み方向に投影したときに、ベース絶縁層12に含まれるように配置されている。また、導体パターン13は、ベース絶縁層12の上面において、外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17と、信号配線15とを、一体的に連続して備える配線回路パターンとして形成されている。
【0027】
カバー絶縁層14は、配線部3およびジンバル部4にわたって配置され、ベース絶縁層12の上面において、信号配線15が形成される位置に対応するように配置されている。また、カバー絶縁層14は、ベース絶縁層12の上面において、後述する光導波路19が形成される領域が確保されるように配置されている。また、ベース絶縁層12は、外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17が露出し、信号配線15を被覆するように形成されている。
【0028】
そして、この回路付サスペンション基板1は、図1に示すように、光アシスト法に用いられる光アシスト部18を備えている。
光アシスト部18は、光導波路(第1導波路)19と、発光素子20とを備えている。
光導波路19は、図1および図3に示すように、配線部3およびジンバル部4にわたって配置され、ベース絶縁層12の上において、導体パターン13が延びる方向に沿って配置されている。
【0029】
より具体的には、光導波路19は、配線部3において、幅方向一方側、つまり、第1配線15aと幅方向最外側に間隔を隔てて配置されており、第1配線15aと並行して延びるように設けられている。また、光導波路19は、アウトリガー部8における幅方向一方側および先端側と端子形成部10とにおいて、第1配線15aに対する第2配線15bの反対側に間隔を隔てて配置され、第1配線15aと並行して延びるように設けられている。すなわち、光導波路19は、第1配線15aと並行して延び、先端側のアウトリガー部8で後側に折り返した後、ジンバル部4の幅方向中央に沿って延び、開口部7に至るように配置されている。
【0030】
さらにまた、光導波路19は、発光素子20および後述する第2光導波路34(図5参照)と光学的に接続される。より具体的には、光導波路19は、その後端が、発光素子20と接続されるとともに、その先端が、開口部7に臨み、かつ、ヘッドスライダ27の搭載時に、ヘッドスライダ27の第2光導波路34と光学的に接続される。
発光素子20は、光導波路19に光を入射させるための光源であって、例えば、電気エネルギーを光エネルギーに変換して、高エネルギーの光を出射する光源である。この発光素子20は、金属支持基板11の後端側に配置されており、より具体的には、配線部3の後端側であって、外部側接続端子部16と先側に間隔を隔てて配置されており、信号配線15(第1配線15a)と幅方向一方側に間隔を隔てて配置されている。また、この発光素子20は、ベース絶縁層12の上に形成されている。
【0031】
また、この発光素子20には、発光素子20に電気エネルギーを供給するための供給配線30が接続されており、この供給配線30には、外部回路基板2の図示しない端子部と接続されるための供給端子部31が接続されている。なお、供給配線30は、発光素子20の後端側において、信号配線15(第1配線15a)に沿って延び、供給端子部31は、外部側接続端子部16(第1外部側接続端子部16a)と幅方向一方側に間隔を隔てて配置されている。また、供給配線30および供給端子部31は、ともにベース絶縁層12の上に形成されており、供給配線30は、カバー絶縁層14に被覆され、供給端子部31は、カバー絶縁層14から露出している。
【0032】
この光アシスト部18では、発光素子20において、外部回路基板2から供給端子部31および供給配線30を介して供給される電気エネルギーが光エネルギーに変換され、その光が光導波路19に出射される。出射された光は、光導波路19を通過して、次に述べる端面21において、反射されて、ヘッドスライダ27の第2光導波路34(図5参照)に入射される。
【0033】
また、光導波路19は、図5に示すように、その先端部の端面21が、例えば、光導波路19の長手方向と所定の角度(傾斜角)αで交差するように形成されている。これにより、光導波路19は、その端面21が傾斜角αを有するミラー面となるように形成されるので、光導波路19に入射した光は、端面21によって所定の角度で光路変換されて、光路変換された光が第2光導波路34の入口(後述)に向けて照射される。このような傾斜角αは、特に限定されず、例えば、35〜55°、好ましくは、40〜50°であり、より具体的には、45°である。
【0034】
そして、図3に示すように、この回路付サスペンション基板1では、光導波路19は、ベース絶縁層12の上面に接着されている。具体的には、光導波路19は、ベース絶縁層12の上面に、接着剤層25を介して接着されている。
接着剤層25は、厚み方向において、ベース絶縁層12と光導波路19との間に介在されている。すなわち、接着剤層25は、ベース絶縁層12の上面と光導波路19の下面(後述するアンダークラッド層22の下面)とに接触している。
【0035】
また、接着剤層25は、その平面視形状が、光導波路19の平面視形状と略同一に形成されている。つまり、接着剤層25の周端縁が、光導波路19の周端縁(幅方向両端縁および長手方向両端縁)と平面視において略同一位置となるように形成されている。すなわち、接着剤層25は、金属支持基板11の上面とアンダークラッド層22の下面とに接触している。
【0036】
このような光導波路19は、アンダークラッド層22と、アンダークラッド層22の表面に形成されるコア層23と、アンダークラッド層22の表面に、コア層23を被覆するように形成されるオーバークラッド層24とを備えている。
アンダークラッド層22は、金属支持基板11の上面に、接着剤層25を介して接着されている。
【0037】
コア層23は、アンダークラッド層22の上(上面)に形成されている。
オーバークラッド層24は、アンダークラッド層22の上(上面)に、コア層23の上面および幅方向両側面を被覆するように形成されている。オーバークラッド層24は、その幅方向両外側端縁が、アンダークラッド層22の幅方向両外側端縁と平面視において同一位置となるように形成されている。
【0038】
なお、光導波路19および接着剤層25は、図1および図5に示すように、開口部7に臨む部分(端面21を含む部分)が金属支持基板11の開口部7から露出している。
図4は、図3に示す回路付サスペンション基板の製造工程を示す断面図であって、左側図は、図3に対応する配線部における幅方向に沿う断面図、右側図は、端子形成部における長手方向に沿う拡大断面図を示す。
【0039】
次いで、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図4を参照して、説明する。
まず、この方法では、図4(a)に示すように、金属支持基板11を用意する。
金属支持基板11は、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。金属支持基板11の厚みは、例えば、15〜30μm、好ましくは、20〜25μmである。
【0040】
次いで、この方法では、図4(b)に示すように、金属支持基板11の上に、ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層する。
ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層するには、まず、ベース絶縁層12を、金属支持基板11の上面に形成する。また、ベース絶縁層12は、台座ベース絶縁層41(図1参照)と同時に形成する。
【0041】
ベース絶縁層12および台座ベース絶縁層41は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0042】
ベース絶縁層12および台座ベース絶縁層41を形成するには、例えば、金属支持基板11の上面に、感光性の、上記した絶縁材料のワニスを塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光し、現像後、必要により硬化させる。
これにより形成されるベース絶縁層12および台座ベース絶縁層41の厚みは、例えば、1〜35μm、好ましくは、8〜15μmである。
【0043】
次いで、導体パターン13を上記したパターンで形成する。また、導体パターン13は、台座導体層42(図1参照)と同時に形成する。
導体パターン13および台座導体層42を形成する導体材料としては、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはそれらの合金などの導体材料が用いられる。
導体パターン13および台座導体層42を形成するには、例えば、アディティブ法、サブトラクティブ法などの公知のパターンニング法を用いる。好ましくは、アディティブ法を用いる。
【0044】
これにより形成される導体パターン13および台座導体層42の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。また、各信号配線15の幅は、例えば、10〜200μm、好ましくは、20〜100μmであり、各信号配線15間の間隔は、例えば、10〜1000μm、好ましくは、20〜100μmである。また、各外部側接続端子部16および各磁気ヘッド側接続端子部17の幅は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmであり、各外部側接続端子部16間の間隔および各磁気ヘッド側接続端子部17間の間隔は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。
【0045】
カバー絶縁層14を上記したパターンで形成するには、例えば、導体パターン13およびベース絶縁層12を含む金属支持基板11の上面に、感光性の、上記した絶縁材料のワニスを塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光し、現像後、必要により硬化させる。
これにより形成されるカバー絶縁層14の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、1〜7μmである。
【0046】
これにより、金属支持基板11の上に、ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層することができる。同時に、台座ベース絶縁層41および台座導体層42を備える台座40を形成することができる。
なお、上記した導体パターン13の形成と同時に、供給配線30および供給端子部31を上記と同様の方法により、同時に形成する。
【0047】
次いで、この方法では、図4(c)に示すように、光導波路19を別途用意する。
光導波路19を用意するには、図示しないポリエチレンテレフタレート(PET)シートなどの離型シートに、アンダークラッド層22、コア層23およびオーバークラッド層24を順次積層する。その後、光導波路19を離型シートから引き剥がす。
アンダークラッド層22、コア層23およびオーバークラッド層24を順次積層するには、まず、アンダークラッド層22を、離型シートの上に形成する。
【0048】
アンダークラッド層22を形成する材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂(脂環式エポキシ樹脂など)、アクリル樹脂、または、フルオレン誘導体樹脂、さらには、フルオレン誘導体樹脂と脂環式エポキシ樹脂との混合樹脂、これら樹脂と脂環式エーテル化合物(例えば、オキセタン化合物など)との混合樹脂が用いられる。これら樹脂は、好ましくは、感光剤を配合して、感光性樹脂として用いられる。好ましくは、感光性フルオレン誘導体樹脂(原料としては、感光性フルオレン系エポキシ樹脂)と脂環式エポキシ樹脂との混合樹脂が用いられる。また、感光剤としては、例えば、公知のオニウム塩などが用いられ、より具体的には、4,4-ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートなどが用いられる。
【0049】
アンダークラッド層22を上記したパターンで形成するには、例えば、上記した樹脂のワニス(樹脂溶液)を、公知の希釈剤を用いて調製して、そのワニスを離型シートの表面に塗布後、乾燥し、必要により硬化させる。また、感光性樹脂が用いられる場合には、ワニスの塗布および乾燥後に、フォトマスクを介して露光して、公知の有機溶剤などにより未露光部分を溶解させることにより、現像して、その後、必要により硬化させる。
【0050】
このようにして形成されるアンダークラッド層22の屈折率は、例えば、1.45〜1.55である。また、アンダークラッド層22の厚みは、例えば、1〜50μm、好ましくは、5〜10μmであり、幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。
次いで、コア層23を、アンダークラッド層22の表面(上面)に形成する。
【0051】
コア層23を形成する材料としては、アンダークラッド層22の樹脂材料よりも、屈折率が高くなる樹脂材料が用いられる。このような樹脂材料としては、例えば、上記と同様の樹脂が用いられ、好ましくは、感光性フルオレン誘導体樹脂(原料としては、感光性フルオレン系エポキシ樹脂)とオキセタン化合物との混合樹脂が用いられる。
コア層23を上記したパターンで形成するには、例えば、上記した樹脂のワニス(樹脂溶液)を、公知の希釈剤を用いて調製して、そのワニスを、アンダークラッド層22を含む離型シートの表面に塗布後、乾燥し、必要により硬化させる。また、感光性樹脂が用いられる場合には、ワニスの塗布および乾燥後に、フォトマスクを介して露光して、公知の有機溶剤などにより未露光部分を溶解させることにより、現像して、その後、必要により硬化させる。
【0052】
このようにして形成されるコア層23の屈折率は、アンダークラッド層22の屈折率より高く設定されており、例えば、1.55〜1.65である。また、コア層23の厚みは、例えば、1〜30μm、好ましくは、2〜10μmであり、幅は、例えば、1〜30μm、好ましくは、2〜20μmである。
次いで、オーバークラッド層24を、アンダークラッド層22の表面(上面)に、コア層23を被覆するように形成する。
【0053】
オーバークラッド層24を形成する材料としては、上記したアンダークラッド層22と同様の樹脂材料が用いられる。
オーバークラッド層24を上記したパターンで形成するには、例えば、上記した樹脂のワニス(樹脂溶液)を、公知の希釈剤を用いて調製して、そのワニスを、コア層23およびアンダークラッド層22を含む離型シートの表面に、塗布後、乾燥し、必要により硬化させる。また、感光性樹脂が用いられる場合には、ワニスの塗布および乾燥後に、フォトマスクを介して露光して、公知の有機溶剤などにより未露光部分を溶解させることにより、現像して、その後、必要により硬化させる。
【0054】
このようにして形成されるオーバークラッド層24の屈折率は、コア層23の屈折率より低く設定されており、例えば、アンダークラッド層22の屈折率と同様に設定されている。また、オーバークラッド層24のコア層23の表面からの厚みは、例えば、1〜50μm、好ましくは、5〜10μmであり、幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。
【0055】
このようにして、離型シートの上に、アンダークラッド層22、コア層23およびオーバークラッド層24を順次積層することにより、これらを備える光導波路19を用意することができる。
なお、光導波路19の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、12〜25μmである。
【0056】
次いで、この方法では、図4(c)および図4(d)に示すように、光導波路19をベース絶縁層12の上面に接着する。
光導波路19をベース絶縁層12の上に接着するには、まず、図4(c)に示すように、アンダークラッド層22の下面に、接着剤層25を積層(貼着)する。
接着剤層25を形成する接着剤としては、特に限定されず、例えば、ポリイミド系接着剤、エポキシ系接着剤などが用いられる。接着剤層25の厚みは、例えば、3〜30μm、好ましくは、5〜20μmである。
【0057】
次いで、図4(d)に示すように、アンダークラッド層22を、ベース絶縁層12の上面に、接着剤層25を介して接着する。具体的には、接着剤層25をベース絶縁層12の上面に接触させる。
次いで、この方法では、図4(e)に示すように、端子形成部10における金属支持基板11に開口部7を形成する。
【0058】
開口部7を形成するには、例えば、ドリルなどの穿孔、例えば、ドライエッチング、ウエットエッチングなどのエッチングなどにより、形成する。好ましくは、エッチングにより、形成する。
この開口部7は、光導波路19の先端部と厚み方向において重なるように、より具体的には、幅方向においては、光導波路19の先端部が開口部7の中央に配置され、長手方向においては、光導波路19の先端部が開口部7の先側半分に配置されるように形成されている。
【0059】
このようにして形成される開口部7は、幅が、例えば、50〜500μm、好ましくは、100〜200μmであり、長さ(長手方向長さ)が、例えば、50〜500μm、好ましくは、100〜200μmである。
次いで、この方法では、図4(e)に示すように、光導波路19の先端部を、開口部7側から、レーザ加工により、光導波路19の先端部の端面21が長手方向と交差するように、切削する。なお、光導波路19の先端部は、その下面の接着剤層25およびベース絶縁層12と同時に切削する。
【0060】
レーザ加工では、図4(e)の破線で示すように、開口部7を通過するレーザ光を、長手方向と所定の角度で交差するように、開口部7側(厚み方向下側)から、ベース絶縁層12、接着剤層25および光導波路19に照射することにより、ベース絶縁層12、接着剤層25および光導波路19を一度に切削する。
これにより、ベース絶縁層12、接着剤層25および光導波路19を、開口部7側から、レーザ加工により、光導波路19の先端部の端面21が長手方向と交差するように、切削することができる。
【0061】
その後、配線部3の後端側において、光導波路19の後端と光学的に接続され、供給配線30の先端と電気的に接続されるように、発光素子20を、ベース絶縁層12の上面に、公知の接着剤層を介して設置する。これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
そして、このようにして得られた回路付サスペンション基板1では、図1および図2の破線で示すように、配線部3において、外部側接続端子部16および供給端子部31が、外部回路基板2の図示しない端子部と接続される。また、この外部回路基板2には、磁気ヘッドおよび発光素子20を制御するためのIC32が実装されており、このIC32が、IC配線33を介して、外部側接続端子部16および供給端子部31が接続される端子部と電気的に接続されている。
【0062】
また、回路付サスペンション基板1には、図1および図5に示すように、ジンバル部4の搭載部9にヘッドスライダ27が搭載される。具体的には、台座40(台座導体層42)の上面に、ヘッドスライダ27が載置される。
ヘッドスライダ27は、スライダ本体29と、その先端部に設けられる第2光導波路34および近接場光発生部材35とを、一体的に備えている。
【0063】
第2光導波路34は、光導波路19の端面21から出射される光を近接場光発生部材35に入射させるために設けられている。第2光導波路34は、回路付サスペンション基板1の厚み方向(回路付サスペンション基板1の光導波路19の端面21がハードディスク26と対向する方向)に沿うように形成されており、下端(入口)が光導波路19の端面21と厚み方向に間隔を隔てて対向配置され、上端(出口)が、次に説明する近接場光発生部材35と接続されている。
【0064】
近接場光発生部材35は、第2光導波路34の上端から出射された光(伝搬光)から近接場光を発生させ、この近接場光をハードディスク26の表面に照射して、ハードディスク26の表面の微小な領域を加熱するために設けられている。近接場光発生部材35は、ハードディスク26の表面と厚み方向において微小な間隔を隔てて対向配置されている。
このような近接場光発生部材35は、金属散乱体や開口などからなり、例えば、特開2007−280572号公報、特開2007−052918号公報、特開2007−207349号公報、特開2008−130106号公報などに記載される、公知の近接場光発生装置が用いられる。
【0065】
また、ヘッドスライダ27には、図示しない磁気ヘッドが実装されている。磁気ヘッドの実装によって、磁気ヘッドの図示しない端子部が、磁気ヘッド側接続端子部17と電気的に接続される。
そして、このような磁気ヘッド、ヘッドスライダ27、回路付サスペンション基板1および外部回路基板2が搭載されるハードディスクドライブでは、光アシスト法を採用することができる。
【0066】
このハードディスクドライブでは、例えば、ハードディスク26が、近接場光発生部材35および磁気ヘッドに対して、相対的に走行している。そして、発光素子20から出射された光が、光導波路19を通過して、その端面21において、光路が上方に変換され、その後、第2光導波路34に導入されて、近接場光発生部材35によって発生した近接場光が、近接場光発生部材35の上側に対向するハードディスク26の表面に照射される。そして、近接場光発生部材35からの近接場光の照射により、ハードディスク26の表面が加熱され、この状態で、磁気ヘッドからの磁界の照射により、ハードディスク26に情報が記録される。そうすると、ハードディスク26の保磁力が低下されているので、このハードディスク26に情報を、小さな磁界の照射によって、高密度で記録することができる。
【0067】
そして、この回路付サスペンション基板1では、光アシスト法に用いられる光導波路19が、ベース絶縁層12の上面に接着されている。そのため、光アシスト法に用いられる光導波路19を、回路付サスペンション基板1より小さく形成されるヘッドスライダ27よりも、スペース的に余裕を持って形成することができる。
また、この製造方法では、ベース絶縁層12が形成された製造途中の回路付サスペンション基板1とは、別途、光導波路19を用意する。具体的には、光導波路19が接着されるベース絶縁層12とは別に、離型シートの上において、上記した感光性樹脂のワニスを用いて、アンダークラッド層22、コア層23およびオーバークラッド層24を形成して、これらを有する光導波路19を、自由なレイアウトで形成することができる。その後、この光導波路19をベース絶縁層12の上面に接着するので、回路付サスペンション基板1における設計上の自由度を向上させることができる。
【0068】
さらに、光導波路19を、ベース絶縁層12の上に接着するので、簡便な方法で、光導波路19を設けることができる。そのため、回路付サスペンション基板1の製造工程数を低減でき、製造コストの低減を図ることができる。
しかも、この回路付サスペンション基板1では、光導波路19は、ベース絶縁層12の上面に接着されているので、光導波路19を、ベース絶縁層12からの脱落を防止して、ベース絶縁層12の上面に確実に設けることができる。より具体的には、アンダークラッド層22が、ベース絶縁層12の上面に、接着剤層25を介して接着されている。そのため、アンダークラッド層22をベース絶縁層12の上面に簡便かつ確実に接着することができる。
【0069】
とりわけ、光導波路19が、ヘッドスライダ27よりも、スペース的に余裕のあるベース絶縁層12の上面に接着されているので、設計上の自由を確保でき、製造効率を向上させることができるとともに、製造コストのさらなる低減を図ることができる。
また、この回路付サスペンション基板1は、発光素子20を備えており、その発光素子20が光導波路19と光学的に接続されているので、ベース絶縁層12の上面に、発光素子20と光導波路19とを一緒に設けることができる。そのため、光学的な接続信頼性を向上させて、光アシスト法を確実に実施することができる。
【0070】
また、この回路付サスペンション基板1は、搭載部9を備えているので、ヘッドスライダ27を確実に搭載することができる。
また、この回路付サスペンション基板1は、発光素子20が、回路付サスペンション基板1の後端側、すなわち、配線部3の後端側に配置され、搭載部9が、回路付サスペンション基板1の先端側、すなわち、ジンバル部4のタング部6に配置されている。そのため、発光素子20およびヘッドスライダ27のレイアウトの設計上の自由を確実に確保することができる。
【0071】
なお、上記した図4(c)に示す回路付サスペンション基板1の製造方法では、接着剤層25を、まず、アンダークラッド層22の下面に貼着したが、例えば、図示しないが、接着剤層25を、まず、ベース絶縁層12の上面に積層し、次いで、アンダークラッド層22を、接着剤層25を介してベース絶縁層12の上に接着することもできる。
また、上記した説明では、回路付サスペンション基板1に、1本の光導波路19を設けたが、その本数は特に限定されず、例えば、図示しないが、回路付サスペンション基板1の用途および目的に応じて、複数本の光導波路19を設けることもできる。
【0072】
また、上記の説明では、コア層23を被覆するように、オーバークラッド層24を設けたが、例えば、図示しないが、オーバークラッド層24を設けず、コア層23を露出、すなわち、空気に曝させて、いわゆるエアクラッドとすることもできる。好ましくは、コア層23の外的要因による損傷防止の観点から、オーバークラッド層24を設ける。
さらに、アンダークラッド層22やオーバークラッド層24に代えて、金属薄層からなる光反射層を設けることもできる。
【0073】
図6は、図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、光導波路がカバー絶縁層の上面に接着される形態の断面図、図7は、図6に示す回路付サスペンション基板の製造工程を示す断面図を示す。なお、上記した各部に対応する部材については、以降の各図において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
上記した説明では、光導波路19をベース絶縁層12の上面に接着したが、例えば、図6に示すように、カバー絶縁層14の上面に接着することもできる。
図6において、この回路付サスペンション基板1では、カバー絶縁層14は、その周端縁が、ベース絶縁層12の周端縁と平面視において略同一位置となるように形成されている。
【0075】
光導波路19のアンダークラッド層22が、カバー絶縁層14の上面に、接着剤層25を介して接着されている。
また、光導波路19は、図1が参照されるように、配線部3およびアウトリガー部8において、平面視において、信号配線15(より具体的には、第1配線15a)の上に形成されている。また、コア層23は、配線部3およびジンバル部4のアウトリガー部8において、第1配線15aと平面視において重複するように形成されている。
【0076】
また、光導波路19は、先端側のアウトリガー部8において、カバー絶縁層14の上に形成されており、端子形成部10の第1配線15aと幅方向他方側にずれるように配置されており、より具体的には、第1配線15aと間隔を隔てて、第1配線15aと並行して延びるように配置されている。すなわち、光導波路19は、先端側のアウトリガー部8において、端子形成部10の開口部7に至るように配置されている。
【0077】
この回路付サスペンション基板1を製造するには、まず、図7(a)に示すように、金属支持基板11を用意して、次いで、図7(b)に示すように、金属支持基板11の上に、ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層する。次いで、図7(c)に示すように、光導波路19を用意し、続いて、アンダークラッド層22の下面に、接着剤層25を積層(貼着)する。
【0078】
その後、図7(d)に示すように、アンダークラッド層22を、カバー絶縁層14の上面に、接着剤層25を介して接着する。
次いで、図4(e)の右側図が参照されるように、開口部7を形成して、次いで、図7(f)の右側図が参照されるように、ベース絶縁層12、カバー絶縁層14、接着剤層25および光導波路19を、開口部7側から、レーザ加工により、光導波路19の先端部の端面21が長手方向と交差するように、切削する。これにより、回路付サスペンション基板1を製造することができる。
【0079】
このように、光導波路19をカバー絶縁層14の上面に接着することにより、ベース絶縁層12がスペース的に余裕のない場合にも、光導波路19の設計上の自由を確保でき、製造効率を向上させることができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
図8は、図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、光導波路が金属支持基板の上面に接着される形態の断面図、図9は、図8に示す回路付サスペンション基板の製造工程を示す断面図を示す。
【0080】
また、光導波路19を、例えば、金属支持基板11の上面に接着することもできる。
図8において、この回路付サスペンション基板1では、ベース絶縁層12は、金属支持基板11の上面において、光導波路19が形成される領域が確保されるように配置されている。
この回路付サスペンション基板1を製造するには、まず、図9(a)に示すように、金属支持基板11を用意して、次いで、図9(b)に示すように、金属支持基板11の上に、ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層する。次いで、図9(c)に示すように、光導波路19を用意し、続いて、アンダークラッド層22の下面に、接着剤層25を積層(貼着)する。
【0081】
その後、図9(d)に示すように、アンダークラッド層22を、金属支持基板11の上面に、接着剤層25を介して接着する。
次いで、図4(e)の右側図が参照されるように、開口部7を形成して、次いで、図4(f)の右側図が参照されるように、接着剤層25および光導波路19を、開口部7側から、レーザ加工により、光導波路19の先端部の端面21が長手方向と交差するように、切削する。これにより、回路付サスペンション基板1を製造することができる。
【0082】
このように、光導波路19を金属支持基板11の上面に接着することにより、ベース絶縁層12やカバー絶縁層14がスペース的に余裕のない場合にも、光導波路19の設計上の自由を確保でき、製造効率を向上させることができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
図10は、図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、オーバークラッド層がベース絶縁層の上面に接着される形態の断面図を示す。
【0083】
上記した説明では、光導波路19のアンダークラッド層22を、ベース絶縁層12の上に接着したが、例えば、図10に示すように、オーバークラッド層24をベース絶縁層12の上に接着することもできる。
図10において、光導波路19は、図3に示す光導波路19が上下反転されたものであって、具体的には、光導波路19は、アンダークラッド層22と、アンダークラッド層22の下(下面)に形成されるコア層23と、アンダークラッド層22の下(下面)に、コア層23の下面および幅方向両側面を被覆するように形成されるオーバークラッド層24とを備えている。
【0084】
光導波路19を用意するには、図10の仮想線で示すように、上記した図3に示す光導波路19を上下反転させる。次いで、オーバークラッド層24の下面に、接着剤層25を積層(貼着)する。
次いで、図10の矢印で示すように、オーバークラッド層24を、ベース絶縁層12の上面に、接着剤層25を介して接着する。
【0085】
これにより、光導波路19における接着剤層25の配置の自由度を向上させることができる。
【実施例】
【0086】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例に限定されない。
実施例1
(アンダークラッド層がベース絶縁層の上面に接着される形態)
厚み20μmのステンレスからなる金属支持基板を用意した(図4(a)参照)。
【0087】
次いで、ポリイミド樹脂からなる、ベース絶縁層および台座ベース絶縁層を、金属支持基板の上に、上記したパターンで同時に形成した。ベース絶縁層および台座ベース絶縁層の厚みは10μmであった。
次いで、アディティブ法により、銅からなる、導体パターンと、台座導体層と、供給配線および供給端子部とを、同時に形成した。これらの厚みは、10μmであった。
【0088】
次いで、ポリイミド樹脂からなるカバー絶縁層を、ベース絶縁層の上に、上記したパターンで形成した。このカバー絶縁層の厚みは5μmであった。これにより、金属支持基板の上に、ベース絶縁層、導体パターンおよびカバー絶縁層を順次積層した(図4(b)参照)。なお、カバー絶縁層は、次の工程で形成される光導波路の領域が確保されるように配置した。
【0089】
別途、光導波路を用意した。
光導波路を用意するには、PETシートに、アンダークラッド層、コア層およびオーバークラッド層を順次積層した(図4(c)参照)。
アンダークラッド層を上記したパターンで形成するには、まず、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(フルオレン誘導体、エポキシ当量300g/eq.)35重量部、シクロヘキセンオキシド骨格を有する脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2081、ダイセル化学社製)25重量部、4,4−ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(感光剤)の50%プロピオンカーボネート溶液2重量部、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(希釈剤、脂環式エポキシ、セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)40重量部を配合してワニスを調製した。次いで、このワニスを、PETシートの上面に塗布し、80℃で15分間加熱することにより、乾燥した。その後、フォトマスクを介して露光して、ガンマブチロラクトン系の有機溶剤によって未露光部分を溶解させることにより、現像した。その後、100℃で15分間、加熱して硬化させることにより、PETシートの上面に、アンダークラッド層を形成した。
【0090】
このアンダークラッド層(硬化後のアンダークラッド層)の波長830nmにおける屈折率は1.540であった。また、アンダークラッド層の厚みは10μm、幅は30μmであった。
次いで、コア層をアンダークラッド層の上面に形成した。
コア層を上記したパターンで形成するには、まず、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(フルオレン誘導体、エポキシ当量300g/eq.)70重量部、1,1,1−トリス{4−[2−(3−オキセタニル)]ブトキシフェニル}エタン(オキセタン化合物)30重量部、4,4−ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(感光剤)の50%プロピオンカーボネート溶液1重量部、乳酸エチル(希釈剤)30重量部を配合してワニスを調製した。次いで、このワニスを、アンダークラッド層を含むPETシートの上面に塗布し、80℃で15分間加熱することにより、乾燥した。その後、フォトマスクを介して露光して、ガンマブチロラクトン系の有機溶剤によって未露光部分を溶解させることにより、現像した。その後、100℃で15分間、加熱して硬化させることにより、アンダークラッド層の上に、コア層を形成した。
【0091】
このコア層(硬化後のコア層)の波長830nmにおける屈折率は1.594であった。また、コア層の厚みは5μm、幅は5μmであった。
次いで、オーバークラッド層を、アンダークラッド層の上面に、コア層を被覆するように形成した。
オーバークラッド層を上記したパターンで形成するには、まず、上記したアンダークラッド層を形成するためのワニスと同様のワニスを調製し、次いで、このワニスを、コア層およびアンダークラッド層を含むPETシートの上面に塗布し、80℃で15分間加熱することにより、乾燥した。その後、フォトマスクを介して露光して、ガンマブチロラクトン系の有機溶剤によって未露光部分を溶解させることにより、現像した。その後、100℃で15分間、加熱して硬化させることにより、アンダークラッド層の上に、コア層を被覆するように、オーバークラッド層を形成した。
【0092】
このオーバークラッド層(硬化後のオーバークラッド層)の波長830nmにおける屈折率は1.540であった。また、オーバークラッド層のコア層の上面からの厚みは10μm、幅は30μmであった。
その後、光導波路をPETシートから引き剥がし、続いて、アンダークラッド層の下面に、エポキシ系接着剤から形成される厚さ5μmの接着剤層を積層した。
【0093】
次いで、光導波路のアンダークラッド層を、接着剤層を介してベース絶縁層の上面に接着した(図4(d)参照)。
次いで、端子形成部における金属支持基板に、ウエットエッチングによって、平面視矩形状の開口部を形成した(図4(e)参照)。この開口部の幅は100μm、長さは100μmであった。
【0094】
次いで、光導波路、ベース絶縁層および接着剤層を、開口部側からレーザ加工により、光導波路の先端部の端面が長手方向と交差するように、一度に切削した(図4(f)参照)。この切削により形成された光導波路の端面の傾斜角は45°であった。
その後、この回路付サスペンション基板の配線部の後端側において、光導波路の後端と光学的に接続され、供給配線の先端と電気的に接続されるように、発光素子を、ベース絶縁層の上面に設置した(図1および図2参照)。
【0095】
実施例2
(アンダークラッド層がカバー絶縁層の上面に接着される形態)
ベース絶縁層およびカバー絶縁層を、これらの周端縁が平面視において同一位置となるように形成し、そして、光導波路のアンダークラッド層を、カバー絶縁層の上面に接着剤層を介して接着した以外は、実施例1と同様に処理して、回路付サスペンション基板を得た(図6および図7参照)。
【0096】
なお、光導波路は、配線部およびアウトリガー部(先端側を除く。)において、平面視で第1配線の上に形成し、先端側のアウトリガー部において、第1配線と幅方向他方側にずれるように形成した。
実施例3
(アンダークラッド層が金属支持基板の上面に接着される形態)
ベース絶縁層およびカバー絶縁層を、これらの周端縁が平面視において同一位置となり、かつ、光導波路が形成される領域が確保されるように形成し、そして、光導波路のアンダークラッド層を、金属支持基板の上面に接着剤層を介して接着した以外は、実施例1と同様に処理して、回路付サスペンション基板を得た(図8および図9参照)。
【0097】
実施例4
(オーバークラッド層がベース絶縁層の上面に接着される形態)
実施例1で用意した光導波路を上下反転させ、オーバークラッド層を、接着剤層を介してベース絶縁層の上面に接着した以外は、実施例1と同様に処理して、回路付サスペンション基板を得た(図10参照)。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態を示す平面図を示す。
【図2】図1に示す回路付サスペンション基板における光導波路に沿う断面図を示す。
【図3】図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、光導波路(アンダークラッド層)がベース絶縁層の上面に接着される形態の断面図を示す。
【図4】図3に示す回路付サスペンション基板の製造工程を示す断面図であって、左側図は、図3に対応する配線部における幅方向に沿う断面図、右側図は、端子形成部における長手方向に沿う拡大断面図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層、導体パターンおよびカバー絶縁層を、金属支持基板の上に順次積層する工程、(c)は、光導波路を用意し、アンダークラッド層の下面に接着剤層を積層する工程、(d)は、アンダークラッド層を、ベース絶縁層の上面に接着する工程、(e)は、開口部を金属支持基板に形成する工程、(f)は、光導波路を切削する工程を示す。
【図5】ヘッドスライダ、磁気ヘッドおよび図1に示す回路付サスペンション基板が搭載されたハードディスクドライブが、光アシスト法を採用して、ハードディスクに情報を記録する状態の説明図である。
【図6】図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、光導波路がカバー絶縁層の上面に接着される形態の断面図を示す。
【図7】図6に示す回路付サスペンション基板の製造工程を示す断面図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層、導体パターンおよびカバー絶縁層を、金属支持基板の上に順次積層する工程、(c)は、光導波路を用意し、アンダークラッド層の下面に接着剤層を積層する工程、(d)は、アンダークラッド層を、カバー絶縁層の上面に接着剤層を介して接着する工程を示す。
【図8】図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、光導波路が金属支持基板の上面に接着される形態の断面図を示す。
【図9】図8に示す回路付サスペンション基板の製造工程を示す断面図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層、導体パターンおよびカバー絶縁層を、金属支持基板の上に順次積層する工程、(c)は、光導波路を用意し、アンダークラッド層の下面に接着剤層を積層する工程、(d)は、アンダークラッド層を、金属支持基板の上面に接着剤層を介して接着する工程を示す。
【図10】図1に示す回路付サスペンション基板の配線部における幅方向に沿う断面図であって、オーバークラッド層がベース絶縁層の上面に接着される形態の断面図を示す。
【符号の説明】
【0099】
1 回路付サスペンション基板
9 搭載部
11 金属支持基板
12 ベース絶縁層
13 導体パターン
14 カバー絶縁層
19 光導波路
20 発光素子
22 アンダークラッド層
23 コア層
24 オーバークラッド層
25 接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンと、前記ベース絶縁層の上に前記導体パターンを被覆するように形成されるカバー絶縁層と、光導波路とを備え、
前記光導波路は、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上に接着されていることを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【請求項2】
前記光導波路は、アンダークラッド層と、前記アンダークラッド層の表面に形成され、前記アンダークラッド層よりも屈折率の高いコア層と、前記アンダークラッド層の表面に、前記コア層を被覆するように形成され、前記コア層よりも屈折率の低いオーバークラッド層とを備え、
前記アンダークラッド層または前記オーバークラッド層は、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上面に、接着剤層を介して接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項3】
さらに、発光素子を備えており、
その発光素子が前記光導波路と光学的に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項4】
さらに、ヘッドスライダを搭載するための搭載部を備え、
前記光導波路が、前記導体パターンが延びる方向に沿って配置されており、
前記発光素子が、前記金属支持基板の長手方向一方側に配置され、
前記搭載部が、前記金属支持基板の長手方向他方側に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項5】
金属支持基板を用意して、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンと、前記ベース絶縁層の上に、前記導体パターンを被覆するように形成されるカバー絶縁層とを形成する工程と、
光導波路を用意する工程と、
前記光導波路を、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上に接着する工程と
を備えることを特徴とする、回路付サスペンション基板の製造方法。
【請求項6】
前記光導波路は、アンダークラッド層と、前記アンダークラッド層の表面に形成され、前記アンダークラッド層よりも屈折率の高いコア層と、前記アンダークラッド層の表面に、前記コア層を被覆するように形成され、前記コア層よりも屈折率の低いオーバークラッド層とを備え、
前記光導波路を接着する工程では、前記アンダークラッド層または前記オーバークラッド層を、前記金属支持基板、前記ベース絶縁層または前記カバー絶縁層の上面に、接着剤層を介して接着することを特徴とする、請求項5に記載の回路付サスペンション基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−15641(P2010−15641A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175698(P2008−175698)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】