説明

回路付サスペンション基板

【課題】スライダを導体領域に対して相対移動可能に実装することができ、磁気ヘッドの位置および角度を精細に調節することができながら、小型化および導体層の高密度化を図りつつ、導体層の損傷を防止することのできる回路付サスペンション基板を提供すること。
【解決手段】導体層6が形成される導体領域2と、導体層6と電気的に接続される磁気ヘッド27を搭載するスライダ26を実装するための実装領域28とを備える回路付サスペンション基板1であって、実装領域28は、スライダ26を導体領域2に対して相対移動可能に実装し、導体領域2は、スライダ26の導体領域2に対する相対移動時に、スライダ26と厚み方向に対向する対向領域29を備え、スライダ26による対向領域29への損傷を防止するための損傷防止部である薄肉領域30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路付サスペンション基板、詳しくは、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ヘッドの位置および角度を精細に調節すべく、磁気ヘッドが搭載される回路付サスペンション基板において、マイクロアクチュエータを設けることが知られている。
【0003】
例えば、ステージを有し、トレースが形成されるタング部と、ステージに固定されるヘッド・スライダと、タング部内に設けられ、ステージを回動可能に支持するピエゾ素子とを備えるヘッド・ジンバル・アセンブリが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1のヘッド・ジンバル・アセンブリでは、ピエゾ素子の伸縮動作によって、ステージおよびヘッド・スライダを回動させている。また、トレースは、回動時のヘッド・スライダの端部を迂回するように、引き回されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−146631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、トレースを、ヘッド・スライダを迂回するように配置すると、回路付サスペンション基板の小型化およびトレースの高密度化を図ることが困難である。
【0007】
一方、トレースを、ヘッド・スライダと厚み方向に重なるように配置すると、ヘッド・スライダの回動時に、ヘッド・スライダの端部がトレースに摺擦して、トレースが破損するという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、スライダを導体領域に対して相対移動可能に実装することができ、磁気ヘッドの位置および角度を精細に調節することができながら、小型化および導体層の高密度化を図りつつ、導体層の損傷を防止することのできる回路付サスペンション基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の回路付サスペンション基板は、導体層が形成される導体領域と、前記導体層と電気的に接続される磁気ヘッドを搭載するスライダを実装するための実装領域とを備える回路付サスペンション基板であって、前記実装領域は、前記スライダを前記導体領域に対して相対移動可能に実装し、前記導体領域は、前記スライダの前記導体領域に対する相対移動時に、前記スライダと厚み方向に対向する対向領域を備え、前記スライダによる前記対向領域への損傷を防止するための損傷防止部を備えている
ことを特徴としている。
【0010】
この回路付サスペンション基板によれば、実装領域が、スライダを導体領域に対する相対移動可能に実装して、磁気ヘッドの位置および角度を精密に調節することができる。
【0011】
また、導体領域は、対向領域を備えるので、回路付サスペンション基板の小型化および導体層の高密度化を図ることができる。
【0012】
さらに、回路付サスペンション基板は、損傷防止部を備えるので、スライダによる対向領域への損傷を防止することができる。
【0013】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記損傷防止部が、前記導体領域に対して相対移動する前記スライダと、前記対向領域とを、厚み方向に離間する離間部であることが好適である。
【0014】
この回路付サスペンション基板では、離間部によって、スライダと対向領域とを厚み方向に離間するので、スライダによる対向領域への損傷を確実に防止することができる。
【0015】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記離間部が、前記対向領域以外の前記導体領域に比べて厚みが薄い薄肉領域であることが好適である。
【0016】
この回路付サスペンション基板では、薄肉領域は、対向領域以外の導体領域に比べて厚みが薄いので、スライダの相対移動時に、スライダとの厚み方向における間隔を十分に確保することができる。そのため、スライダによる対向領域への損傷をより一層確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記実装領域は、前記スライダの一端を固定し、かつ、その他端を前記導体領域に対して相対移動可能に、前記スライダを実装し、前記薄肉領域が、厚み方向に投影したときに、前記導体領域に対する相対移動時の前記スライダの他端と対向することが好適である。
【0018】
また、この回路付サスペンション基板では、前記導体領域は、ベース絶縁層、前記ベース絶縁層の上に形成される前記導体層、および、前記ベース絶縁層の上に、前記導体層を被覆するように形成されるカバー絶縁層を備え、前記薄肉領域における前記ベース絶縁層、前記導体層および前記カバー絶縁層からなる群から選択される少なくとも1層の厚みが、前記対向領域以外の前記導体領域における少なくとも前記1層に比べて、厚みが薄いことが好適である。
【0019】
また、この回路付サスペンション基板では、前記離間部が、前記スライダを相対移動可能に支持するための台座であることが好適である。
【0020】
この回路付サスペンション基板によれば、台座は、スライダを相対移動可能に支持することによって、スライダの相対移動時に、スライダとの厚み方向における間隔を確保することができる。そのため、スライダによる対向領域への損傷をより一層確実に防止することができる。
【0021】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記台座は、前記スライダの相対移動の前後にわたって、前記スライダと摺動可能に接触することが好適である。
【0022】
この回路付サスペンション基板では、台座は、スライダの相対移動の前後にわたって、スライダと摺動可能に接触するので、スライダの円滑な相対移動を担保し、それによって、対向領域とスライダとの厚み方向における間隔を確実に確保することができる。
【0023】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記台座は、前記スライダの移動方向に沿って延びるように形成されていることが好適である。
【0024】
この回路付サスペンション基板では、台座は、スライダの移動方向に沿って延びるように形成されているので、移動するスライダを確実に支持し、それによって、対向領域とスライダとの厚み方向における間隔を確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の回路付サスペンション基板は、スライダを導体領域に対する相対移動可能に実装して、磁気ヘッドの位置および角度を精密に調節することができながら、小型化および導体層の高密度化を図ることができるとともに、スライダによる対向領域への損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態(薄肉領域が設けられる態様)の平面図を示す。
【図2】図2は、図1に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の拡大平面図を示す。
【図3】図3は、図2に示すジンバル部のA−A線に沿う断面図を示す。
【図4】図4は、図2に示すジンバル部のB−B線に沿う断面図を示す。
【図5】図5は、図2に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の平面図を示す。
【図6】図6は、図2に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の断面図を示す。
【図7】図7は、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程(b)は、ベース絶縁層を用意する工程、(c)は、導体層を形成する工程、(d)は、カバー絶縁層を用意する工程、(e)は、基板開口部を形成する工程を示す。
【図8】図8は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の薄肉部分(薄肉カバー部分を備える態様)の断面図を示す。
【図9】図9は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の薄肉部分(薄肉カバー部分および薄肉ベース部分を備える態様)の断面図を示す。
【図10】図10は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の薄肉部分(薄肉導体部分を備える態様)の断面図を示す。
【図11】図11は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の薄肉部分(薄肉導体部分および薄肉ベース部分を備える態様)の断面図を示す。
【図12】図12は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の薄肉部分(薄肉カバー部分および薄肉導体部分を備える態様)の断面図を示す。
【図13】図13は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(台座が設けられる態様)の平面図を示す。
【図14】図14は、図13に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の平面図を示す。
【図15】図15は、図13に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の底面図を示す。
【図16】図16は、図14および図15に示すジンバル部のC−C線に沿う断面図を示す。
【図17】図17は、図14に示すジンバル部の平面図であり、第1ベース絶縁層を明示した平面図を示す。
【図18】図18は、図15に示すジンバル部の底面図であり、第2ベース絶縁層を明示した底面図を示す。
【図19】図19は、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、第1導体パターンを形成する工程、(d)は、第1カバー絶縁層を形成する工程、(e)は、導通開口部を金属支持基板に形成する工程を示す。
【図20】図20は、図19に引き続き、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(f)は、第2ベース絶縁層を形成する工程、(g)は、第2導体パターンを形成する工程を示す。
【図21】図21は、図20に引き続き、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(h)は、第2カバー絶縁層を形成する工程、(i)は、基板開口部および連通空間を形成する工程を示す。
【図22】図22は、図14に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の平面図を示す。
【図23】図23は、図16に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態(薄肉領域が設けられる態様)の平面図、図2は、図1に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の拡大平面図、図3および図4は、図2に示すジンバル部のA−A線およびB−B線に沿う断面図、図5および図6は、図2に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の平面図および断面図、図7は、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図を示す。
【0028】
なお、図1、図2および図5において、後述するベース絶縁層7およびカバー絶縁層8は、後述する導体層6およびスライダ26の相対配置を明瞭に示すため、省略している。
【0029】
図1および図2において、この回路付サスペンション基板1は、磁気ヘッド27(図3)を搭載するスライダ26(図2の仮想線および図3の実線)およびピエゾ素子23を実装して、ハードディスクドライブ(図示せず)に搭載される。
【0030】
回路付サスペンション基板1では、金属支持基板5に導体層6が支持されている。
【0031】
金属支持基板5は、長手方向に延びる平面視略矩形平帯状に形成されており、本体部3と、本体部3の先側(長手方向一側、以下同じ)に形成されるジンバル部4とを一体的に備えている。
【0032】
本体部3は、平面視略矩形状に形成されている。
【0033】
ジンバル部4は、本体部3の先端から先側に延びるように形成されている。また、ジンバル部4には、厚み方向を貫通する平面視略矩形状の基板開口部11が形成されている。
【0034】
ジンバル部4は、基板開口部11の幅方向(先後方向に直交する方向)外側に仕切られるアウトリガー部34と、アウトリガー部34に連結されるタング部12とを備えている。
【0035】
アウトリガー部34は、本体部3の幅方向両端部から先側に向かって直線状に延びるように形成されている。
【0036】
タング部12は、図2に示すように、アウトリガー部34の幅方向内側に設けられ、アウトリガー部34の先端部から幅方向内側斜め後方に向かって延びる第1連結部35を介して、アウトリガー部34に連結されている。タング部12は、平面視略H字状に形成されており、幅方向に長く延びる平面視略矩形状の基部15と、基部15の先側に間隔を隔てて配置され、幅方向に長く延びる平面視略矩形状のステージ17と、基部15およびステージ17の幅方向中央を接続し、先後方向に長い平面視略矩形状の中央部16とを一体的に備えている。
【0037】
ステージ17の幅方向中央および先後方向中央は、スライダ26が実装される実装領域28とされている。また、ステージ17は、第2連結部20によって、アウトリガー部34に接続されている。
【0038】
第2連結部20は、各アウトリガー部34の先端と、ステージ17の幅方向両端を湾曲状に連結する湾曲部21と、各アウトリガー部34の先端と、ステージ17の先端とを連結するE字部22とを備えている。
【0039】
湾曲部21は、アウトリガー部34の先端から幅方向内側斜め先側に向かって湾曲状に延び、ステージ17の幅方向両端に至っている。
【0040】
E字部22は、平面視略E字状をなし、具体的には、両アウトリガー部34の先端から先側に向かって延び、その後、幅方向内側に屈曲し、幅方向内側に延びて合一となった後、後側に屈曲して、ステージ17の先端に至っている。
【0041】
中央部16は、幅方向に湾曲可能な幅狭に形成されている。
【0042】
導体層6は、図1に示すように、外部側端子10と、ヘッド側端子18と、ピエゾ先側端子24(図2)と、ピエゾ後側端子25(図2)と、配線9とを備えている。
【0043】
外部側端子10は、本体部3の後端部に設けられ、先後方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)配置されている。
【0044】
ヘッド側端子18は、図2に示すように、ステージ17の先端部に設けられ、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)配置されている。
【0045】
ピエゾ先側端子24は、ステージ17の幅方向外側部の後端縁から後方に向かって突出するように形成され、中央部16の幅方向両外側に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。
【0046】
詳しくは、ピエゾ先側端子24は、ステージ17の後端部の配線9(後述)が、ステージ17の後端縁から後側に向かって突出し、かつ、幅方向に膨出するように形成されている。なお、後述するが、図3が参照されるように、ピエゾ先側端子24を形成する導体層6の周端部には、ステージ17の後端部の配線9の下に形成されるベース絶縁層7が連続して平面視枠状に形成されており、導体層6がかかるベース絶縁層7の枠内に落ち込んでいる。
【0047】
ピエゾ後側端子25は、図2に示すように、ピエゾ先側端子24に対応して形成されており、各ピエゾ先側端子24の後側に間隔を隔てて形成されている。ピエゾ後側端子25は、基部15の幅方向外側部の先端縁から先方に向かって突出するように形成され、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置されている。
【0048】
詳しくは、ピエゾ後側端子25は、導体層6が、基部15の先端縁から先側に向かって突出し、かつ、幅方向に膨出するように形成されている。なお、後述するが、図3が参照されるように、ピエゾ後側端子25を形成する導体層6の周端部には、ベース絶縁層7が平面視枠状に形成されており、導体層6がかかるベース絶縁層7の枠内に落ち込んでいる。なお、ピエゾ後側端子25は、配線9と独立して設けられるとともに、図示しないグランド配線を介して接地されている。
【0049】
配線9は、図1および図2に示すように、外部側端子10と、ヘッド側端子18およびピエゾ先側端子24とに連続し、それらを電気的に接続している。
【0050】
配線9は、図1に示すように、本体部3において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(6つ)形成されている。
【0051】
具体的には、配線9は、本体部3の後端部において、外部側端子10から先側に向かって延び、本体部3の先後方向途中において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、幅方向両端部において先側に屈曲し、本体部3の先端部に向けて、幅方向外端縁に沿って延び、図2に示すように、ジンバル部4において、基板開口部11および第1連結部35を通過し、続いて、ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25の間を通過した後、中央部16の先後方向途中に集束状に至り、先側に屈曲し、続いて、中央部16に沿って先側に延び、その後、ステージ17の後端部において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、ステージ17の周端縁に沿って延び、その後、折り返されて、ヘッド側端子18およびピエゾ先側端子24に至るように形成されている。
【0052】
なお、配線9において、第1連結部35と中央部16との間に架設される部分(後述する薄肉領域30を形成する配線9に相当)は、幅方向に沿う直線状に形成されている。
【0053】
また、図3に示すように、配線9の周囲には、断面視において、ベース絶縁層7およびカバー絶縁層8が形成されており、配線9は、ベース絶縁層7およびカバー絶縁層8とともに、導体領域2を形成している。
【0054】
この回路付サスペンション基板1は、金属支持基板5、金属支持基板5の上に形成されるベース絶縁層7、ベース絶縁層7の上に形成される導体層6、および、ベース絶縁層7の上に、導体層6を被覆するように形成されるカバー絶縁層8を備えている。
【0055】
金属支持基板5は、図1に示すように、回路付サスペンション基板1の外形形状に対応する形状に形成されている。金属支持基板5は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。金属支持基板5の厚みは、例えば、15〜50μm、好ましくは、20〜30μmである。
【0056】
ベース絶縁層7は、図1および図2が参照されるように、本体部3およびジンバル部4にわたって形成されており、図3に示すように、導体層6が形成される部分に対応して形成されている。また、ベース絶縁層7は、導体層6とともに、導体領域2を形成する。
【0057】
具体的には、ベース絶縁層7は、本体部3において、金属支持基板5の上に形成される一方、ジンバル部4の基板開口部11内と、第1連結部35および中央部16の上とにも、配線9に沿って形成されている。
【0058】
さらに、ベース絶縁層7は、ステージ17の金属支持基板5から後方に突出し、ピエゾ先側端子24の周端部に、平面視略矩形枠形状に形成されるとともに、基部15の金属支持基板5から先方に突出し、ピエゾ後側端子25の周端部に、平面視略矩形枠形状に形成されている。
【0059】
また、ベース絶縁層7は、図2に示すように、第2連結部20を形成するパターンとしても形成されている。
【0060】
ベース絶縁層7は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0061】
ベース絶縁層7の厚みは、例えば、1〜35μm、好ましくは、3〜33μmである。
【0062】
導体層6は、上記したように、外部側端子10(図1)、ヘッド側端子18、ピエゾ先側端子24、ピエゾ後側端子25および配線9を備えるパターンとして形成されている。
【0063】
ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25は、図3に示すように、平面視略枠状に形成されるベース絶縁層7の内側に落ち込むように形成され、それにより、ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25の下面がベース絶縁層7から下方に露出している。
【0064】
また、ピエゾ先側端子24の下面は、その周端部に形成されるベース絶縁層7の下面と、幅方向および先後方向において面一に形成されている。また、ピエゾ後側端子25の下面は、その周端部に形成されるベース絶縁層7の下面と、幅方向および先後方向において面一に形成されている。
【0065】
導体層6は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだまたはこれらの合金などの導体材料から形成されている。導体層6の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。
【0066】
配線9の幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、8〜100μmである。また、外部側端子10、ヘッド側端子18、ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25の幅および長さ(長手方向長さ)は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。
【0067】
カバー絶縁層8は、図1が参照されるように、本体部3およびジンバル部4にわたって形成され、図3に示すように、平面視において導体層6を含むパターンに形成されている。また、カバー絶縁層8は、導体層6およびベース絶縁層7とともに導体領域2を形成する。
【0068】
具体的には、カバー絶縁層8は、配線9、ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25の上面を被覆し、外部側端子10(図1参照)およびヘッド側端子18の上面を露出するパターンに形成されている。
【0069】
カバー絶縁層8は、ベース絶縁層7を形成する絶縁材料と同様の絶縁材料から形成されている。カバー絶縁層8の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、3〜10μmである。
【0070】
そして、この回路付サスペンション基板1には、スライダ26およびピエゾ素子23が実装される。
【0071】
スライダ26は、図2の仮想線および図3に示すように、平面視略矩形箱形状に形成されており、スライダ26の先端部が、ステージ17の実装領域28に、公知の接着剤からなる接着剤層37を介して接着される。
【0072】
接着剤層37の厚みは、例えば、ベース絶縁層7、導体層6およびカバー絶縁層8の総厚みと実質的に同一である。
【0073】
これにより、スライダ26の先端部は、実装領域28に固定される。
【0074】
スライダ26の先端縁は、図2に示すように、ヘッド側端子18に沿って形成されており、具体的には、ヘッド側端子18の後側に微小間隔を隔てて形成される。これにより、図3に示すように、スライダ26の先端部に搭載される磁気ヘッド27が、ヘッド側端子18とはんだボール83などによって電気的に接続される。
【0075】
スライダ26の後端縁は、図2に示すように、ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25の間と、中央部16の先後方向途中とを、幅方向に横切るように配置される。具体的には、スライダ26の後端縁が、第1連結部35と中央部16との間にわたって幅方向に沿って直線状に架設される導体領域2(後述する薄肉領域30)に沿うように配置され、厚み方向に投影したときに、かかる導体領域2の先側に微小間隔を隔てて平行状に配置される。
【0076】
なお、スライダ26は、平面視において、中央部16に沿う導体領域2と、ステージ17の後端部における導体領域2とを含むように実装される。
【0077】
ピエゾ素子23は、先後方向に伸縮可能となるように、各ピエゾ先側端子24および各ピエゾ後側端子25を架設するように実装される。具体的には、各ピエゾ素子23の先端部および後端部は、ピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25に電気的に接続されるとともに、それらにそれぞれ固定される。
【0078】
ピエゾ素子23は、ピエゾ先側端子24を介して電気が供給され、その電圧が制御されることによって、伸縮する。
【0079】
なお、図3および図4では、ピエゾ素子23の上面に、第1連結部35と中央部16との間に架設される導体領域2が載置されるように図示されているが、実際には、それらの間には微小間隔が設けられている。
【0080】
次に、ピエゾ素子23の伸縮によるスライダ26の揺動について、図2、図3、図5および図6を参照して説明する。
【0081】
まず、ピエゾ素子23は、電気がピエゾ先側端子24を介して供給され、電気の電圧が制御されることによって、一方が収縮する。すると、一方のピエゾ素子23を固定するピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25が相対的に近接する。つまり、一方のピエゾ先側端子24が、基部15に支持される一方のピエゾ後側端子25に対して後側に移動する。
【0082】
これと同時に、電気がピエゾ先側端子24を介して供給され、電気の電圧が制御されることによって、他方のピエゾ素子23が伸長する。すると、他方のピエゾ素子23を固定するピエゾ先側端子24およびピエゾ後側端子25が相対的に離間する。つまり、他方のピエゾ先側端子24が、基部15に支持される他方のピエゾ後側端子25に対して、先側に移動する。
【0083】
これにより、中央部16の先端および先後方向途中が、幅方向一方側に(図5における左側)湾曲しながら、ステージ17が、中央部16の後端を支点として、幅方向一方側に向かって揺動する。これとともに、スライダ26が幅方向一方側に向かって揺動する。
【0084】
そうすると、図5および図6に示すように、スライダ26の後端部の幅方向一端部が、第1連結部35と中央部16との間に架設される導体領域2と、厚み方向に対向する。他方、スライダ26の後端部の幅方向他端部は、上記した導体領域2から離間する。
【0085】
なお、ピエゾ素子23の一方を伸長させ、他方を収縮させれば、スライダ26が上記と逆向き(幅方向他方側、図5における右側)に揺動する。
【0086】
この回路付サスペンション基板1では、図5において、上記したスライダ26の揺動時に、導体領域2において、スライダ26と厚み方向に対向する部分が、対向領域29とされる。
【0087】
対向領域29は、第1連結部35と中央部16との間に架設される導体領域2(後述する薄肉領域30)と、中央部16に沿う導体領域2と、ステージ17の後端部における導体領域2とを含んでいる。
【0088】
そして、この回路付サスペンション基板1では、第1連結部35と中央部16との間に架設される導体領域2が薄肉領域30とされている。
【0089】
薄肉領域30は、図3および図4に示すように、対向領域29以外の導体領域2に比べて厚みが薄く形成されている。例えば、薄肉領域30の厚みは、対向領域29以外の導体領域2の厚みに比べて、例えば、2〜45μm薄く、好ましくは、5〜40μm薄い。
【0090】
詳しくは、薄肉領域30の厚みは、例えば、5〜48μm、好ましくは、8〜45μmである。
【0091】
また、対向領域29以外の導体領域2の厚みは、例えば、10〜50μm、好ましくは、13〜35μmである。
【0092】
具体的には、薄肉領域30におけるベース絶縁層7の厚みが、対向領域29以外の導体領域2のベース絶縁層7の厚みより薄く、具体的には、例えば、2〜30μm薄く、好ましくは、5〜30μm薄く形成されている。薄肉領域30におけるベース絶縁層7、つまり、薄肉ベース部分31の厚みが、例えば、1〜33μm、好ましくは、3〜30μmである。
【0093】
この回路付サスペンション基板1を得るには、図7(a)に示すように、まず、金属支持基板5を用意する。
【0094】
次いで、図7(b)に示すように、ベース絶縁層7を金属支持基板5の上に形成する。ベース絶縁層7を形成するには、感光性の絶縁材料のワニスを金属支持基板5の上に塗布して乾燥させて、ベース皮膜を形成する。
【0095】
その後、ベース皮膜を、図示しない階調露光フォトマスクを介して露光する(階調露光)。階調露光フォトマスクは、遮光部分、光半透過部分および光全透過部分をパターンで備えており、ベース絶縁層7(薄肉ベース部分31を形成する部分を除く。)を形成する部分には光全透過部分を、薄肉ベース部分31を形成する部分には光半透過部分を、ベース絶縁層7を形成しない部分には遮光部分を、ベース皮膜に対して、対向配置する。
【0096】
その後、ベース皮膜を現像し、必要により硬化させることにより、薄肉ベース部分31を備えるベース絶縁層7を、上記したパターンで形成する。
【0097】
次いで、図7(c)に示すように、導体層6を、金属支持基板5およびベース絶縁層7の上に、アディティブ法またはサブトラクティブ法などのパターン形成法によって形成する。
【0098】
次いで、図7(d)に示すように、カバー絶縁層8を、ベース絶縁層7の上に形成する。カバー絶縁層8を形成するには、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させて、カバー皮膜を形成した後、カバー皮膜を露光し、続いて、現像して、加熱硬化することにより、上記したパターンで形成する。
【0099】
次いで、図7(e)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工して、基板開口部11を形成する。
【0100】
そして、上記した回路付サスペンション基板1によれば、実装領域28が、スライダ26を導体領域2に対する相対移動可能に実装して、磁気ヘッド27の位置および角度を精密に調節することができる。
【0101】
また、導体領域2は、対向領域29を備えるので、回路付サスペンション基板1の小型化および導体層6の高密度化を図ることができる。
【0102】
さらに、薄肉領域30は、対向領域29以外の導体領域2に比べて厚みが薄いので、揺動時のスライダ26との厚み方向における間隔を十分に確保することができる。
【0103】
具体的には、薄肉ベース部分31の厚みが、対向領域29以外の導体領域2におけるベース絶縁層7の厚みより薄いので、薄肉領域30における導体層6の上面の上下方向位置が、対向領域29以外の導体領域2における導体層6の上面の上下方向位置より低い。
【0104】
よって、図6に示すように、薄肉領域30を、厚み方向に投影したときに、スライダ26と重なっても、かかるスライダ26と厚み方向に離間する離間部とすることができる。
【0105】
そのため、薄肉領域30によって、スライダ26と対向領域29とを厚み方向に離間するので、スライダ26による対向領域29への損傷を確実に防止することができる。
【0106】
これによって、薄肉領域30における導体層6と、スライダ26の下面とが接触することを有効に防止することができる。
【0107】
つまり、薄肉領域30を、スライダ26による対向領域29における導体層6への損傷を防止するための損傷防止部とすることができる。
【0108】
一方、図6の仮想線で示すように、薄肉領域30が、厚く形成されると、揺動時のスライダ26の下面と接触してしまう。つまり、薄肉領域30とスライダ26とを厚み方向に離間することができず、さらには、スライダ26による導体層6への損傷を防止することもできない。
【0109】
しかし、この回路付サスペンション基板1では、薄肉領域30と、スライダ26との接触を有効に防止して、かかる接触に起因する配線9の損傷を防止することができる。
【0110】
また、この回路付サスペンション基板1では、スライダ26の後端部は、先端部に比べて、薄肉領域30に対する揺動が大きく、その分、導体領域2と接触し易い。しかし、上記した回路付サスペンション基板1では、導体領域2に対する揺動時のスライダ26と薄肉領域30との接触を有効に防止して、かかる接触に起因する配線9の損傷を防止することができる。
【0111】
また、上記した説明では、薄肉領域30を、対向領域29のうち、第1連結部35と中央部16との間に架設される導体領域2としているが、例えば、図示しないが、上記に加え、あるいは、上記に代えて、中央部16に沿う導体領域2、および/または、ステージ17の後端部における導体領域2を、薄肉領域30とすることもできる。
【0112】
図8〜図12は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態の薄肉部分の断面図を示す。
【0113】
なお、上記した各部に対応する部材については、以降の各図面において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0114】
上記した説明では、薄肉領域30は、ベース絶縁層7の薄肉ベース部分31を備えているが、例えば、薄肉カバー部分32および/または薄肉導体部分33を追加的に、あるいは、単独で備えることができる。
【0115】
図8において、薄肉領域30は、対向領域29以外の導体領域2におけるカバー絶縁層8に比べて厚みが薄い薄肉カバー部分32を備えている。
【0116】
図9において、薄肉領域30は、対向領域29以外の薄肉ベース部分31と、薄肉カバー部分32とを備えている。
【0117】
図10において、薄肉領域30は、導体領域2における導体層6に比べて厚みが薄い薄肉導体部分33を備えている。
【0118】
図11において、薄肉領域30は、薄肉ベース部分31と、薄肉導体部分33とを備えている。
【0119】
図12において、薄肉領域30は、薄肉導体部分33と、薄肉カバー部分32とを備えている。
【0120】
図10〜図12で示す薄肉導体部分33を形成するには、例えば、サブトラクティブ法において、導体層6をパターンに形成した後、薄肉導体部分33以外の部分にエッチングレジストを積層し、続いて、エッチングレジストから露出する導体層6をハーフエッチングし、その後、エッチングレジストを除去する。
【0121】
また、図8、図9および図12で示す薄肉カバー部分32を備えるカバー絶縁層8を形成するには、例えば、感光性の絶縁材料のワニスを、ベース絶縁層7の上に塗布して乾燥させて、カバー皮膜を形成する。
【0122】
その後、カバー皮膜を、図示しない階調露光フォトマスクを介して露光する(階調露光)。階調露光フォトマスクは、遮光部分、光半透過部分および光全透過部分をパターンで備えており、カバー絶縁層8(薄肉カバー部分32を形成する部分を除く。)を形成する部分には光全透過部分を、薄肉カバー部分32を形成する部分には光半透過部分を、カバー絶縁層8を形成しない部分には遮光部分を、カバー皮膜に対して、対向配置する。
【0123】
その後、カバー皮膜を現像し、必要により硬化させることにより、薄肉カバー部分32を備えるカバー絶縁層8を、上記したパターンで形成する。
【0124】
なお、図8における薄肉領域30では、導体層6の上面の上下方向位置が、対向領域29以外の導体領域2における導体層6の上面の上下方向位置と同じ位置にある。しかしながら、薄肉カバー部分32の厚みが薄いことから、スライダ26の下面と、薄肉カバー部分32との接触に基づくカバー絶縁層8の損傷に起因する、薄肉領域30における導体層6の損傷を防止することができる。
【0125】
図13は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(台座が設けられる態様)の平面図を、図14および図15は、図13に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の平面図および底面図、図16は、図14および図15に示すジンバル部のC−C線に沿う断面図、図17は、図14に示すジンバル部の平面図であり、第1ベース絶縁層を明示した平面図、図18は、図15に示すジンバル部の底面図であり、第2ベース絶縁層を明示した底面図、図19〜図21は、回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図、図22は、図14に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の平面図、図23は、図16に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の断面図を示す。
【0126】
なお、図13、図14および図22において、後述する第1ベース絶縁層51および第1カバー絶縁層53は、後述する第1導体パターン52の相対配置を明確に示すために省略している。
【0127】
また、図15において、後述する第2ベース絶縁層71および第2カバー絶縁層73は、後述する第2導体パターン72の相対配置を明確に示すために、省略している。
【0128】
さらに、図17において、後述する第1カバー絶縁層53は、後述する第1導体パターン52および第1ベース絶縁層51の相対配置を明確に示すために、省略している。
【0129】
さらにまた、図15において、後述する第2カバー絶縁層73は、後述する第2導体パターン72および第2ベース絶縁層71の相対配置を明確に示すために、省略している。
【0130】
図13および図16において、この回路付サスペンション基板1は、磁気ヘッド27を搭載するスライダ26およびピエゾ素子23が搭載されて、ハードディスクドライブ(図示せず)に搭載される。
【0131】
回路付サスペンション基板1は、図13に示すように、先後方向に延びる平帯形状に形成されており、本体部3と、ジンバル部4とを一体的に備えている。
【0132】
本体部3は、先後方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。本体部3は、回路付サスペンション基板1がハードディスクドライブに搭載されるときに、ハードディスクドライブのロードビーム(図示せず)に支持されながら、リード・ライト基板などの外部回路基板46(仮想線)、および、電源47(仮想線)に電気的に接続される。
【0133】
ジンバル部4には、厚み方向を貫通する平面視略矩形状の基板開口部11が形成されている。
【0134】
ジンバル部4は、図14に示すように、アウトリガー部34と、タング部12とを備えている。
【0135】
タング部12は、基部15と、ステージ17と、中央部16とを一体的に備えている。
【0136】
ステージ17の後端部は、スライダ26が実装される実装領域28とされている。
【0137】
また、先後方向において、基部15の幅方向両端部と、ステージ17の幅方向端部との間に囲まれる空間として、連通空間14が仕切られている。
【0138】
つまり、連通空間14は、中央部16の幅方向両側に仕切られており、各連通空間14は、回路付サスペンション基板1の厚み方向を貫通するように形成されている。
【0139】
ステージ17には、先後方向中央部分に配線折返部55が区画されている。
【0140】
配線折返部55は、ステージ17において後述する第1導体パターン52が折り返される領域として、幅方向に長い平面視略矩形状に仕切られている。
【0141】
また、ステージ17は、第2連結部20によって、アウトリガー部34に接続されている。第2連結部20は、湾曲部21と、E字部22を備えている。
【0142】
中央部16は、幅方向に湾曲可能な幅狭に形成されている。なお、中央部16は、次に説明する第2台座92が設置される領域を確保する幅で形成されている。
【0143】
また、タング部12には、スライダ26を支持するための台座90が設けられている。
【0144】
台座90は、基部15に設けられる第1台座91と、中央部16に設けられる第2台座92とを備えている。
【0145】
第1台座91は、基部15の先側部分に配置され、具体的には、厚み方向に投影したときに、後述する第1導体パターン52と重ならないように、配置されている。第1台座91は、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)対向配置されている。各第1台座91は、幅方向に沿って延びるように形成されており、具体的には、幅方向に長い平面視略矩形状に形成されている。
【0146】
他方、第2台座92は、平面視略円形状をなし、第1台座91の先側に間隔を隔てて設けられ、具体的には、中央部16の先後方向中央部分に配置されている。また、第2台座92は、厚み方向において、中央部16における第1導体パターン52と重複するように、配置されている。
【0147】
台座90は、図16に示すように、上面の上下方向位置が互いに同じ高さとなるように形成されており、具体的には、第1台座91および各第2台座92の上面は、先後方向または幅方向に投影したときに、直線状になるように、形成されている。
【0148】
また、第1台座91および各第2台座92の上面は、平坦状に形成されている。
【0149】
そのため、台座90は、スライダ26を摺動可能に接触することができる。
【0150】
そして、回路付サスペンション基板1は、金属支持基板5と、金属支持基板5の上に形成される第1ベース絶縁層51と、第1ベース絶縁層51の上に形成される導体層としての第1導体パターン52と、第1ベース絶縁層51の上に、第1導体パターン52を被覆するように形成される第1カバー絶縁層53とを備えている。
【0151】
図13に示すように、金属支持基板5は、先後方向に延び、上記した回路付サスペンション基板1の外形形状と実質的に同じ外形形状に形成されている。
【0152】
また、図16に示すように、金属支持基板5には、導通開口部59が形成されている。
【0153】
導通開口部59は、基部15およびステージ17に、図14が参照されるように、間隔を隔てて複数(4つ)設けられている。具体的には、導通開口部59は、基部15の幅方向両端部およびステージ17の幅方向両端部にそれぞれ形成されている。各導通開口部59は、金属支持基板5を厚み方向に貫通する平面視略円形状に形成されている。
【0154】
第1ベース絶縁層51は、図16および図17に示すように、第1導体パターン52が形成される部分に対応するように形成されている。
【0155】
詳しくは、第1ベース絶縁層51は、本体部3およびジンバル部4の上面に形成されている。より具体的には、第1ベース絶縁層51は、基部15の金属支持基板5の先端縁(幅方向中央部を除く)および後端縁の上面を露出し、中央部16の金属支持基板5の幅方向両端縁の上面を露出するとともに、ステージ17の先端縁および幅方向両端縁の上面を露出するパターンに形成されている。
【0156】
また、第1ベース絶縁層51は、連通空間14の先端部を被覆するように形成されている。
【0157】
つまり、ステージ17に対応する第1ベース絶縁層51は、その後端縁65が、厚み方向に投影したときに、連通空間14の先端縁よりも後側へ突出している。
【0158】
なお、基部15に対応する第1ベース絶縁層51は、その先端縁63が、厚み方向に投影したときに、連通空間14の後端縁よりも後側に配置されている。
【0159】
また、第1ベース絶縁層51は、次に説明する第1導体パターン52とともに、導体領域2を形成する。
【0160】
さらに、第1ベース絶縁層51は、第2連結部20を形成する。
【0161】
さらにまた、第1ベース絶縁層51は、図16に示すように、金属支持基板5の各導通開口部59の周端縁を円環状に被覆している。これにより、第1ベース絶縁層51には、各導通開口部59に対応する複数(4つ)の第1ベース貫通孔64が、導通開口部59と中心を共有する平面視略円形状に形成されている。
【0162】
第1導体パターン52は、図13および図17に示すように、磁気ヘッド27(図16)に電気的に接続されるヘッド側パターン57と、ピエゾ素子23(図16)に電気的に接続される素子側パターン58とを備えている。
【0163】
ヘッド側パターン57は、ヘッド側端子18と、外部側端子10(図13)と、これらヘッド側端子18および外部側端子10を接続するための信号配線62とを一体的に備えている。
【0164】
ヘッド側端子18は、図14および図17に示すように、ステージ17の幅方向両端部の後端部に複数(4つ)配置されている。具体的には、各ヘッド側端子18は、平面視略矩形状をなし、配線折返部55の後側に配置され、幅方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。また、ヘッド側端子18は、先後方向に投影したときに、中央部16の幅方向両側に間隔を隔てて配置されている。
【0165】
ヘッド側端子18の後端縁87は、図16および図17に示すように、ステージ17における第1ベース絶縁層51の後端縁65よりも先側に退避するように、配置されている。
【0166】
外部側端子10は、図13に示すように、本体部3の後端部において、幅方向に互いに間隔を隔てて整列配置され、ヘッド側端子18に対応するように、複数(4つ)設けられている。外部側端子10には、仮想線で示す外部回路基板46が接続される。
【0167】
各信号配線62は、対応するヘッド側端子18と外部側端子10とを接続するように、互いに間隔を隔てて、複数(4つ)形成されている。
【0168】
具体的には、信号配線62の後端は、外部側端子10に連続している。詳しくは、信号配線62は、本体部3の後端部において、外部側端子10から先側に向かって延び、本体部3の先後方向途中において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲する。その後、信号配線62は、本体部3の先後方向途中において、幅方向両端部において先側に屈曲し、本体部3の先端部に向けて、幅方向外端縁に沿って延び、ジンバル部4において、図14および図17に示すように、基板開口部11を通過した後、第1連結部35に至る。
【0169】
その後、信号配線62は、第1連結部35に沿って後方斜め幅方向内側に延び、基部15の幅方向両端部に至り、幅方向内側に屈曲した後、基部15の幅方向中央において合一する。その後、信号配線62は、中央部16に沿って先側に向かって延び、ステージ17の配線折返部55において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲し、その後、ステージ17の後端縁に沿って幅方向両外側に向かって延び、次いで、後側に折り返された後、ヘッド側端子18の先端部に接続されている。
【0170】
なお、信号配線62は、基部15において、第1台座91の後側に間隔を隔てて配置されおり、幅方向に沿う直線状に形成されている。
【0171】
素子側パターン58は、図13、図14および図16に示すように、供給側端子36と、表側導通部13と、供給側端子36および表側導通部13を接続するための表側電源配線68とを一体的に備えている。
【0172】
供給側端子36は、図13に示すように、本体部3の後端部において、外部側端子10の先側に間隔を隔てて複数(4つ)設けられている。各供給側端子36は、平面視略矩形状をなし、幅方向に間隔を隔てて整列配置されている。供給側端子36には、仮想線で示す電源47が接続される。
【0173】
表側導通部13は、図16に示すように、各第1ベース貫通孔64内にそれぞれ充填されるように、複数(4つ)形成されている。
【0174】
表側電源配線68は、図13および図14に示すように、表側導通部13と供給側端子36とに接続されるように、互いに間隔を隔てて、複数(4つ)形成されている。また、表側電源配線68は、本体部3およびジンバル部4にわたって、信号配線62の外側に間隔を隔てて配置されている。
【0175】
そして、第1導体パターン52、具体的には、信号配線62、表側導通部13および表側電源配線68の周囲には、断面視において、第1ベース絶縁層51および第1カバー絶縁層53が形成されている。信号配線62、表側導通部13および表側電源配線68は、第1ベース絶縁層51および第1カバー絶縁層53とともに、導体領域2を形成している。
【0176】
第1カバー絶縁層53は、図16に示すように、第1導体パターン52が形成される部分に対応して形成されている。
【0177】
具体的には、第1カバー絶縁層53は、ヘッド側パターン57に対応して、外部側端子10(図13参照)およびヘッド側端子18を露出し、信号配線62を被覆するパターンで形成されている。また、第1カバー絶縁層53は、素子側パターン58に対応して、供給側端子36(図13参照)を露出し、表側電源配線68および表側導通部13を被覆するパターンで形成されている。
【0178】
また、上記した第1ベース絶縁層51、第1導体パターン52および第1カバー絶縁層53は、表側支持層93(後述)とともに、各台座90を形成する。
【0179】
すなわち、台座90は、図16に示すように、第1ベース絶縁層51と、その上に形成される第1導体パターン52と、第1ベース絶縁層51の上に、第1導体パターン52を被覆するように形成される第1カバー絶縁層53と、第1カバー絶縁層53の上に形成される表側支持層93とを備えている。
【0180】
台座90において、表側支持層93は、平面視において、第1カバー絶縁層53よりやや小さく形成されている。
【0181】
また、回路付サスペンション基板1は、金属支持基板5の下に形成される第2ベース絶縁層71と、第2ベース絶縁層71の下に形成される第2導体パターン72と、第2ベース絶縁層71の下に、第2導体パターン72を被覆するように形成される第2カバー絶縁層73とを備えている。
【0182】
第2ベース絶縁層71は、図16および図18に示すように、次に説明する第2導体パターン72が形成される部分に対応して形成されている。
【0183】
詳しくは、第2ベース絶縁層71は、基部15およびステージ17から連通空間14内に臨むように形成されている。具体的には、第2ベース絶縁層71は、4つの導通開口部59に対応して4つ設けられている。各第2ベース絶縁層71は、先後方向および幅方向に互いに間隔を隔てて独立して配置されており、具体的には、基部15およびステージ17の幅方向両端部に配置されている。
【0184】
また、各第2ベース絶縁層71は、底面視において、各導通開口部59を含むように、先後方向に長く延びる略矩形状に形成されている。
【0185】
基部15に対応する第2ベース絶縁層71は、基部15の幅方向両端部および連通空間14の後端部にわたって形成されている。
【0186】
また、基部15に対応する第2ベース絶縁層71の先端縁69は、ジンバル部4において、厚み方向に投影したときに、連通空間14の後端縁よりも先側へ(つまり、連通空間14の先後方向中央に向かって)突出している。すなわち、基部15に対応する第2ベース絶縁層71は、厚み方向に投影したときに、幅方向に沿う金属支持基板5の先端縁84を、先後方向に横切るように形成されている。
【0187】
ステージ17に対応する第2ベース絶縁層71は、ステージ17の幅方向両端部および連通空間14の先端部にわたって形成されている。また、ステージ17に対応する第2ベース絶縁層71は、その後端縁70が、厚み方向に投影したときに第1ベース絶縁層51の後端縁65に重なるように、形成されている。
【0188】
つまり、第2ベース絶縁層71の後端縁70は、ジンバル部4において、厚み方向に投影したときに、連通空間14の先端縁よりも後側へ(つまり、連通空間14の先後方向中央に向かって)突出している。
【0189】
すなわち、ステージ17に対応する第2ベース絶縁層71は、厚み方向に投影したときに、幅方向に沿う金属支持基板5の後端縁85を、先後方向に横切るように形成されている。
【0190】
なお、第2ベース絶縁層71は、図16において、基部15およびステージ17において、金属支持基板5の各導通開口部59の周端縁を円環状に被覆している。これにより、第2ベース絶縁層71には、各導通開口部59に対応する複数(4つ)の第2ベース貫通孔77が、導通開口部59と中心を共有する平面視略円形状に形成されている。
【0191】
なお、第2ベース絶縁層71は、図18に示すように、第1ベース絶縁層51とともに、第2連結部20を形成している。
【0192】
第2導体パターン72は、図15において、裏側導通部74、素子側端子75、および、裏側導通部74と素子側端子75とを接続するための裏側電源配線76を一体的に備えている。
【0193】
裏側導通部74は、図16において、各第2ベース貫通孔77内にそれぞれ充填されるように、複数(4つ)形成されている。
【0194】
これにより、表側導通部13と裏側導通部74とは、第1ベース貫通孔64内および第2ベース貫通孔77内において、直接接触し、厚み方向に電気的に接続されている。
【0195】
素子側端子75は、図15において、基部15に対応する第2ベース絶縁層71の先端部と、ステージ17に対応する第2ベース絶縁層71の後端部とに独立して配置されている。また、各素子側端子75は、連通空間14に臨んでおり、各裏側導通部74に対応するように、幅方向および先後方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)設けられている。各素子側端子75は、底面略矩形状をなし、その幅方向両端縁は、厚み方向に投影したときに、第2ベース絶縁層51のそれらと同一位置に形成されている。
【0196】
また、素子側端子75は、連通空間14の後端部に設けられる素子側後端子80と、素子側先端子50の先側に間隔を隔てて設けられる素子側先端子81とを備えている。
【0197】
素子側後端子80は、基部15において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)並列配置されている。
【0198】
素子側先端子81は、ステージ17において、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(2つ)並列配置されている。各素子側先端子81は、幅方向最外側のヘッド側端子18に対応して設けられており、具体的には、図16に示すように、厚み方向に投影したときに、幅方向最外側のヘッド側端子18の後側部分と重複するように、配置されている。
【0199】
図15に示すように、幅方向一方側の素子側後端子80および幅方向一方側の素子側先端子81は、中央部16の幅方向一方側の連通空間14を隔てて対をなして設けられている。また、幅方向他方側の素子側後端子80および幅方向他方側の素子側先端子81は、中央部16の幅方向他方側の連通空間14を隔てて対をなして設けられている。
【0200】
素子側後端子80の先端縁78は、図16に示すように、厚み方向に投影したときに、基部15に対応する第2ベース絶縁層71の先端縁69と略面一になるように、配置されている。
【0201】
素子側先端子81の後端縁79は、厚み方向に投影したときに、ステージ17に対応する第2ベース絶縁層71の後端縁70と略面一になるように、配置されている。
【0202】
また、素子側先端子81の後端縁79は、ヘッド側端子18の後端縁87の後側に微小な間隔を隔てて近接配置されている。
【0203】
裏側電源配線76は、図16および図18に示すように、対応する裏側導通部74と素子側端子75とを接続するように、互いに間隔を隔てて複数(4つ)形成されている。
【0204】
第2カバー絶縁層73は、図16に示すように、ジンバル部4において、第2導体パターン72に対応するように形成されている。具体的には、第2カバー絶縁層73は、素子側端子75を露出し、裏側電源配線76および裏側導通部74を被覆するように形成されている。
【0205】
そして、この回路付サスペンション基板1には、図14および図16に示すように、スライダ26(図14の仮想線)とピエゾ素子23とが実装される。
【0206】
スライダ26は、回路付サスペンション基板1とともに、ハードディスクドライブ(図示せず)のロードビーム(図示せず)の先端に実装され、ハードディスクドライブ(図示せず)が駆動されたときには、磁気ディスク(図示せず)に対して、相対的に走行しながら、微小間隔を隔てて浮上される。
【0207】
スライダ26は、平面視略矩形状、かつ、側断面視略矩形状をなし、図14の仮想線で示すように、厚み方向に投影したときに、その先端部が、ステージ17の後端部と重なり、かつ、その後端部が基部15の先端部と重なるように、配置されている。また、スライダ26は、厚み方向に投影したときに、その先後方向途中部であって、幅方向途中部が、中央部16と重なるように、配置されている。
【0208】
さらに、スライダ26は、その先後方向途中部および後端部が、厚み方向に投影したときに、台座90を含むように、配置されている。
【0209】
具体的には、スライダ26の後端縁は、基部15において幅方向に沿って形成される導体領域2(後述する対向領域29)に沿うように配置され、厚み方向に投影したときに、かかる導体領域2の先側に微小間隔を隔てて平行状に配置される。
【0210】
また、スライダ26の先端部には、図16に示すように、磁気ヘッド27が、スライダ26の厚み方向全体にわたって搭載されている。磁気ヘッド27は、ヘッド側端子18とはんだボール83によって先後方向に電気的に接続される。
【0211】
これにより、スライダ26は、その先端部が、ステージ17に固定される。詳しくは、スライダ26は、その先端縁が、ステージ17の実装領域28と厚み方向に対向するように、ステージ17に固定される。
【0212】
そして、スライダ26の後端部が、基部15に対して面方向(厚み方向に直交する方向)にスライド(揺動)可能に支持される。
【0213】
つまり、スライダ26は、その下面が各台座90の上面に摺動可能に接触するように、設けられている。
【0214】
なお、スライダ26の後端部は、厚み方向に投影したときに、素子側後端子80と重複している。
【0215】
ピエゾ素子23は、図14および図15に示すように、先後方向に伸縮可能であって、先後方向に長い平面視略矩形状に形成されている。また、図16に示すように、ピエゾ素子23は、スライダ26の下側に間隔を隔てて配置されている。
【0216】
また、ピエゾ素子23は、厚み方向に投影したときに、連通空間14内に配置されており、連通空間14を先後方向に跨ぐように配置されている。
【0217】
詳しくは、図14および図15に示すように、ピエゾ素子23は、連通空間14を先後方向に挟む2組の1対の素子側端子75(素子側先端子81および素子側後端子80)間に架設されるように、搭載されている。
【0218】
より具体的には、図16に示すように、各ピエゾ素子23の先端部の端子が、素子側先端子81の下面に接合され、それらは、はんだボール83を介して電気的に接続されている。また、各ピエゾ素子23の後端部の端子が、素子側後端子80の下面に接合され、それらが、はんだボール83を介して電気的に接続されている。
【0219】
これにより、各ピエゾ素子23は、素子側先端子81および素子側後端子80にそれぞれ固定される。
【0220】
また、図14に示すように、ピエゾ素子23は、厚み方向に投影したときに、スライダ26と重複しており、具体的には、ピエゾ素子23は、厚み方向に投影したときに、スライダ26にすべて含まれる。
【0221】
そして、ピエゾ素子23は、電源47(図13の仮想線)から素子側パターン58および第2導体パターン72を介して電気が供給され、その電圧が制御されることによって、伸縮する。
【0222】
次に、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図19〜図21を参照して説明する。
【0223】
この方法では、まず、図19(a)に示すように、金属支持基板5を用意する。
【0224】
次いで、図19(b)に示すように、金属支持基板5の上に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより第1ベース絶縁層51を、上記したパターンで形成する。
【0225】
これと同時に、台座90(図19(d)参照)に対応する第1ベース絶縁層51を形成する。
【0226】
第1ベース絶縁層51を形成する材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料が挙げられる。好ましくは、ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0227】
第1ベース絶縁層51の厚みは、例えば、1〜35μm、好ましくは、3〜15μmである。
【0228】
各第1ベース貫通孔64の直径は、例えば、20〜280μm、好ましくは、40〜200μmである。
【0229】
次いで、図19(c)に示すように、第1ベース絶縁層51の上に、第1導体パターン52を、アディティブ法またはサブトラクティブ法などにより形成する。
【0230】
これと同時に、台座90(図19(d)参照)に対応する第1導体パターン52を、第1ベース絶縁層51の上に形成する。
【0231】
第1導体パターン52を形成する材料は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはそれらの合金などの導体材料などが挙げられ、好ましくは、銅が挙げられる。
【0232】
第1導体パターン52の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。
【0233】
各信号配線62および表側電源配線68の幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、8〜100μmである。
【0234】
また、各信号配線62間の間隔(幅方向における間隔、以下同様。)は、例えば、5〜1000μm、好ましくは、8〜100μmである。また、信号配線62と表側電源配線68との間の間隔は、例えば、5〜1000μm、好ましくは、8〜100μmである。
【0235】
また、各ヘッド側端子18、各外部側端子10(図13参照)および各供給側端子36(図13参照)の幅は、例えば、15〜1000μm、好ましくは、20〜800μmである。
【0236】
また、各ヘッド側端子18間の間隔と、各外部側端子10(図13参照)間の間隔とは、例えば、15〜1000μm、好ましくは、20〜800μmである。
【0237】
また、図14が参照されるように、各第1台座91に対応する第1導体パターン52の先後方向長さ(幅)L1は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜150μmであり、幅方向長さ(長さ)L2は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜150μmである。さらに、各第1台座91間の間隔L3は、例えば、50〜300μm、好ましくは、80〜200μmである。
【0238】
さらに、第2台座92に対応する第1導体パターン52の最大長さ(直径)は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜150μmである。また、第1台座91および第2台座92間の先後方向間隔L4は、例えば、50〜600μm、好ましくは、100〜200μmである。
【0239】
次いで、図19(d)に示すように、第1ベース絶縁層51の上に、第1導体パターン52を被覆するように、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより第1カバー絶縁層53を上記したパターンで形成する。
【0240】
これと同時に、台座90に対応する第1カバー絶縁層53を、第1ベース絶縁層51の上に、第1導体パターン52を被覆するように、形成する。
【0241】
第1カバー絶縁層53を形成する材料としては、上記した第1ベース絶縁層51の絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられる。第1カバー絶縁層53の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、1〜10μmである。
【0242】
続いて、図19(d)に示すように、台座90に対応する第1カバー絶縁層53の上に、表側支持層93を形成する。表側支持層93は、例えば、上記した絶縁材料または金属材料などから公知の形成方法によって形成する。
【0243】
表側支持層93の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上、さらに好ましくは、3μm以上であり、通常、例えば、10μm以下である。表側支持層93の厚みが上記下限に満たない場合には、後述する対向領域29とスライダ26との厚み方向間隔を十分に確保できない場合がある。
【0244】
次いで、図19(e)に示すように、金属支持基板5に、各導通開口部59を形成する。
【0245】
各導通開口部59は、例えば、ドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)やウェットエッチング(例えば、化学エッチング)などのエッチング法、例えば、ドリル穿孔、例えば、レーザ加工などにより、形成する。好ましくは、エッチング法により形成する。
【0246】
これにより、金属支持基板5の導通開口部59から、第1ベース絶縁層51の下面と、表側導通部13の下面とを露出させる。
【0247】
各導通開口部59の内径は、例えば、50〜300μm、好ましくは、100〜250μmである。
【0248】
次いで、図20(f)に示すように、金属支持基板5の下面(各導通開口部59から露出される第1ベース絶縁層51の下面および表側導通部13の下面を含む。)に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより第2ベース絶縁層71を、上記したパターンで形成する。
【0249】
第2ベース絶縁層71を形成する材料としては、上記した第1ベース絶縁層51の絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられる。
【0250】
第2ベース絶縁層71の厚みは、例えば、1〜35μm、好ましくは、8〜15μmである。
【0251】
各第2ベース貫通孔77の直径は、例えば、20〜280μm、好ましくは、40〜200μmである。
【0252】
次いで、図20(g)に示すように、第2ベース絶縁層71の下面に、第2導体パターン72を、アディティブ法またはサブトラクティブ法などにより形成する。
【0253】
第2導体パターン72を形成する材料としては、第1導体パターン52の導体材料と同様の導体材料が挙げられる。
【0254】
第2導体パターン72の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。
【0255】
各裏側電源配線76の幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、8〜100μmである。
【0256】
また、各素子側端子75の幅は、例えば、15〜1000μm、好ましくは、20〜800μmである。
【0257】
次いで、図21(h)に示すように、第2ベース絶縁層71の裏面に、裏側の第2導体パターン72を被覆するように、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより第2カバー絶縁層73を上記したパターンで形成する。
【0258】
第2カバー絶縁層73を形成する材料としては、上記した第1ベース絶縁層51の絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられる。第2カバー絶縁層73の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、1〜10μmである。
【0259】
次いで、図21(i)に示すように、金属支持基板5に基板開口部11(図13参照)および連通空間14を形成する。
【0260】
連通空間14および基板開口部11は、例えば、化学エッチングなどのウェットエッチングにより形成する。
【0261】
このとき、連通空間14を形成するには、エッチング時間を比較的長く設定して、金属支持基板5をオーバーエッチングすることにより、第1ベース絶縁層51と第2ベース絶縁層71との間にあり、ステージ17に対応する金属支持基板5を先側へエッチング(オーバーエッチング)するとともに、第2ベース絶縁層71の下にあり、基部15に対応する金属支持基板5を後側へエッチング(オーバーエッチング)する。
【0262】
これにより、図16に示すように、ステージ17における金属支持基板5の後端縁85が、ステージ17に対応する第1ベース絶縁層51の後端縁65および第2ベース絶縁層71の後端縁79よりも、先側に配置される。
【0263】
すなわち、第1ベース絶縁層51の後端縁65および第2ベース絶縁層71の後端縁79は、金属支持基板5の後端縁85よりも、連通空間14内に突出する。
【0264】
また、基部15における金属支持基板5の先端縁84が、基部15に対応する第2ベース絶縁層71の先端縁69よりも、連通空間14内に突出する。
【0265】
次いで、金属支持基板5を外形加工して、回路付サスペンション基板1を得る。
【0266】
その後、回路付サスペンション基板1の上側において、磁気ヘッド27が設けられたスライダ26を、台座90の上面に載置する。
【0267】
続いて、ヘッド側端子18の上に、はんだボール83を、はんだボール83が磁気ヘッド27の端子(側面端子)に接触するように、設ける。
【0268】
これとともに、回路付サスペンション基板1の下側において、ピエゾ素子23の先端部および後端部を、素子側先端子81および素子側後端子80に接合する。つまり、ヘッド側端子18の上、および、素子側端子75の上に、はんだボール83をそれぞれ設ける。
【0269】
そして、各はんだボール83を溶融させることにより、ヘッド側端子18を磁気ヘッド27に固定して電気的に接続する。
【0270】
これにより、スライダ26は、台座90に面方向に揺動(スライド)可能に支持される。
【0271】
また、各ピエゾ素子23は、1対の素子側端子75(素子側先端子81および素子側後端子80)間に架設されるように、回路付サスペンション基板1に搭載される。
【0272】
同時に、素子側端子75をピエゾ素子23に固定して電気的に接続させる。
【0273】
なお、図13が参照されるように、外部側端子10を外部回路基板46と電気的に接続させるとともに、供給側端子36を電源47と電気的に接続させる。
【0274】
これにより、回路付サスペンション基板1にスライダ26およびピエゾ素子23が搭載される。
【0275】
次に、ピエゾ素子23の伸縮によるスライダ26の揺動について、図22および図23を参照して説明する。
【0276】
まず、ピエゾ素子23は、電気が電源47(図13)から素子側端子75を介して供給され、電気の電圧が制御されることによって、一方が収縮する。すると、一方のピエゾ素子23を固定する素子側先端子81および素子側後端子80が相対的に近接する。つまり、ステージ17に支持される一方の素子側先端子81が、基部15に支持される一方の素子側後端子80に対して後側に移動する。
【0277】
これと同時に、電気が電源47(図13)から素子側端子75を介して供給され、電気の電圧が制御されることによって、他方のピエゾ素子23が伸長する。すると、他方のピエゾ素子23を固定する素子側先端子81および素子側後端子80が相対的に離間する。つまり、ステージ17に支持される他方の素子側先端子81が、基部15に支持される他方の素子側後端子80に対して、先側に移動する。
【0278】
これにより、中央部16の先端および先後方向途中が、幅方向一方側(左側)に湾曲しながら、ステージ17が、中央部16の後端を支点として、幅方向一方側に向かって揺動する。これとともに、スライダ26の先側部分が幅方向一方側に向かって揺動する。
【0279】
一方、図示しないが、一方のピエゾ素子23を伸長させ、他方のピエゾ素子23を収縮させれば、スライダ26の先側部分が上記と逆向き(幅方向他方側、右側)に揺動する。
【0280】
そして、この回路付サスペンション基板1では、上記したスライダ26の揺動時に、導体領域2において、スライダ26と厚み方向に対向する部分が、対向領域29とされる。
【0281】
対向領域29は、基部15において幅方向に沿う導体領域2と、中央部16における導体領域2とを含んでいる。
【0282】
対向領域29のうち、基部15において幅方向に沿う導体領域2は、スライダ26の揺動前には、厚み方向に投影した時に、スライダ26と対向しない一方、スライダ26の揺動後(あるいは揺動途中)には、スライダ26と対向する。
【0283】
他方、台座90の上面は、スライダ26の揺動前後にわたって、スライダ26の上面と摺動可能に接触している。
【0284】
そして、この回路付サスペンション基板1では、台座90を、スライダ26の揺動時において、かかるスライダ26と対向領域29とを厚み方向に離間させる離間部とすることができる。
【0285】
そのため、台座90によって、スライダ26と対向領域29とを厚み方向に離間するので、スライダ26による対向領域29への損傷を確実に防止することができる。
【0286】
これによって、対向領域29における第1導体パターン52と、スライダ26の下面とが接触することを有効に防止することができる。
【0287】
つまり、台座90を、スライダ26による対向領域29における第1導体パターン52への損傷を防止するための損傷防止部とすることができる。
【0288】
さらに、台座90は、スライダ26の揺動の前後にわたって、スライダ26と摺動可能に接触するので、スライダ26の円滑な揺動を担保し、それによって、対向領域29とスライダ26との厚み方向における間隔を確実に確保することができる。
【0289】
なお、図14および図22の実施形態では、第1台座91を、幅方向に沿って延びるように形成しているが、その形状は特に限定されず、例えば、図示しないが、円形状、あるいは、先後方向に沿って延びる矩形状に形成することもできる。
【0290】
好ましくは、第1台座91は、スライダ26の揺動方向、つまり、幅方向に沿って延びるように形成されている。これによれば、幅方向に沿って揺動するスライダ26を確実に支持し、それによって、対向領域29とスライダ26との厚み方向における間隔を確実に確保することができる。
【0291】
また、上記した実施形態では、損傷防止部および離間部として、図3において、薄肉領域30を設け、あるいは、図16において、台座90を設けているが、例えば、図示しないが、薄肉領域30と台座90との両方を設けることもできる。
【0292】
これによって、スライダ26と対向領域29とを厚み方向により一層確実に離間できるので、スライダ26による対向領域29への損傷をより一層確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0293】
1 回路付サスペンション基板
2 導体領域
6 導体層
7 ベース絶縁層
8 カバー絶縁層
26 スライダ
27 磁気ヘッド
28 実装領域
29 対向領域
30 薄肉領域
90 台座
91 第1台座
92 第2台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層が形成される導体領域と、
前記導体層と電気的に接続される磁気ヘッドを搭載するスライダを実装するための実装領域とを備える回路付サスペンション基板であって、
前記実装領域は、前記スライダを前記導体領域に対して相対移動可能に実装し、
前記導体領域は、前記スライダの前記導体領域に対する相対移動時に、前記スライダと厚み方向に対向する対向領域を備え、
前記スライダによる前記対向領域への損傷を防止するための損傷防止部を備えている
ことを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【請求項2】
前記損傷防止部が、前記導体領域に対して相対移動する前記スライダと、前記対向領域とを、厚み方向に離間する離間部である
ことを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項3】
前記離間部が、前記対向領域以外の前記導体領域に比べて厚みが薄い薄肉領域である
ことを特徴とする、請求項2に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項4】
前記実装領域は、前記スライダの一端を固定し、かつ、その他端を前記導体領域に対して相対移動可能に、前記スライダを実装し、
前記薄肉領域が、厚み方向に投影したときに、前記導体領域に対する相対移動時の前記スライダの他端と対向する
ことを特徴とする、請求項3に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項5】
前記導体領域は、ベース絶縁層、前記ベース絶縁層の上に形成される前記導体層、および、前記ベース絶縁層の上に、前記導体層を被覆するように形成されるカバー絶縁層を備え、
前記薄肉領域における前記ベース絶縁層、前記導体層および前記カバー絶縁層からなる群から選択される少なくとも1層の厚みが、前記対向領域以外の前記導体領域における少なくとも前記1層に比べて、厚みが薄い
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項6】
前記離間部が、前記スライダを相対移動可能に支持するための台座である
ことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項7】
前記台座は、前記スライダの相対移動の前後にわたって、前記スライダと摺動可能に接触する
ことを特徴とする、請求項6に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項8】
前記台座は、前記スライダの移動方向に沿って延びるように形成されている
ことを特徴とする、請求項7に記載の回路付サスペンション基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−99204(P2012−99204A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155499(P2011−155499)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】