回路基板取付け部の製造方法
【課題】従来の半田等の肉盛り部の形成以外の構成で、係合爪の係合時における破損を防止し、かつ加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得る。
【解決手段】
プレス加工または切削加工により形成された回路基板1の端面3、孔部8a、溝部8のいずれかに係合爪15を係合して、部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、上記端面3等の縁部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同種類の工具を成すルーター2、またはパンチ20によって切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部10を形成し、係合爪15の傾斜部1tを面取り部10に摺接させて、係合爪15が設けられた部品と回路基板1とスムーズに係合する。
【解決手段】
プレス加工または切削加工により形成された回路基板1の端面3、孔部8a、溝部8のいずれかに係合爪15を係合して、部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、上記端面3等の縁部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同種類の工具を成すルーター2、またはパンチ20によって切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部10を形成し、係合爪15の傾斜部1tを面取り部10に摺接させて、係合爪15が設けられた部品と回路基板1とスムーズに係合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板取付け部の製造方法に関するものである。特に、自動車用メータなどの電子回路機器の回路基板における部品の取付け部の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の回路基板取付け部構造が知られている。この特許文献1は、プリント基板等の回路基板に設けられた孔部等のエッジ部に、傾斜部を先端に持つ係合爪を挿入する。このときに、係合爪の傾斜部と回路基板側の鋭角状のエッジ部が当接してカジリを生じ、係合爪の割れや柔らかい方の樹脂の削りかすが発生するという問題に対処したものである。
【0003】
換言すれば、回路基板の爪係合部においては、回路基板の平面に直角方向からのプレス加工や切削加工により、孔部や端面部が形成されるため、回路基板の角部が鋭角のエッジ部となるため、このエッジ部に合成樹脂製の係合爪を係合させようとすると、回路基板のエッジ部が引掛り、食い込みを生じ易く、さらに力を加えて係合させようとすると、係合爪がたわむことなく折れてしまい、破損による欠陥品を発生させることになり、回路基板や、この回路基板を使用したケースが使用不可能となってしまうという。よって、特許文献1は、この問題に対処したものである。
【0004】
このために、特許文献1に記載の構造は、図19のように、上記カジリが生じるエッジ部3aに縁部鈍角化手段となる半田付け、接着剤、塗料、及び回路基板表面のレジスト等の肉盛り部150を形成したものである。図19において、15は係合爪、1は回路基板である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−101261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術によると、半田付け、接着剤、塗料、及び回路基板表面のレジスト等の肉盛り部150を形成するが、これらの肉盛り部150を形成するための肉盛り工数、及び付帯する乾燥工数等で、加工費用は安価ではなくなる。
【0007】
上記の内、一番安価と考えられる半田付けによる肉盛り部150の形成でも、近年のリフロー半田付け処理での肉盛り程度では、多少の縁部鈍角化が達成される程度である。そのため、回路基板1のエッジ部3aが係合爪15が当たり、係合爪が破損し易いという問題が残る。
【0008】
また、手作業による半田付け、所謂手盛りなどの半田付けを行った場合でも、係合爪が直接、半田付けによる肉盛り部150に接触しつつ係合していくため、係合爪15が挿入される回路基板1のエッジ部3aに対し半田付けによる肉盛り部150がはみ出ていると、係合爪15の係合時に、半田付けによる肉盛り部150のはみ出し部が破損し易い。
【0009】
そして、破損した半田片が、他の電気導体部分に接触したときはショートの可能性がある。また、半田片が、指針軸受などの可動部分に入ると、作動不良を生ずる可能性がある。そのため、半田付けによる肉盛り部150の形成では、工数をかけて、エッジ部3aに正確に半田付けすることが必要であるが、現実的ではない。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、上記従来の肉盛り部の形成以外の構成で、係合爪の係合時における破損を防止し、かつ加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることにある。
【0011】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、回路基板の加工部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同種類の工具によって、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、係合爪は、回路基板の面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を面取り部に摺接させて、係合爪が設けられた部品と回路基板とを係合することを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、回路基板の加工部に、プレス加工または切削を行う同じ種類の工具同士、すなわち、プレス加工ならプレス加工用のパンチ同士、切削加工なら切削加工用の回転切削工具同士を引き続いて使用することによって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、工具を移動させる機械側を取り替える必要が無く、加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。また、面取り部により、係合爪の係合時における破損を防止できる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、
回路基板の加工部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同じ工具を連続して用いて、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、係合爪は、回路基板の面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を面取り部に摺接させて、係合爪が設けられた部品と回路基板とを係合することを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、回路基板の加工部に、プレス加工または切削を行う同じ工具を連続して使用している。すなわち、プレス加工または切削加工の後に、工具の付け替えを行うことなく連続的に同じ工具を使用することによって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、面取り部により係合爪の係合時における破損を防止でき、加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、回路基板に加工部を形成した後、工具の端面を回路基板の平面に対して傾斜させて当接し、工具の端面によって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、工具の端面を回路基板の平面に対して傾斜させて当接し、工具の端面によって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、迅速な加工が可能となる。これにより、加工工数及び加工費の低減が可能となる回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、工具は、該工具の軸方向と交差する傾斜した傾斜面を有し、回路基板の加工部がプレス加工または切削により形成された後、工具の傾斜面を回路基板に対して当接し、工具の傾斜面によって、回路基板を切削または押し潰すことにより面取り部を形成することを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、回路基板に加工部を形成した後、工具の傾斜面を回路基板に対して当接し、工具の傾斜面によって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、工具の軸方向を回路基板の平面に対して傾斜させる必要が無い。よって、工具と回路基板の平面とを傾斜させる手間が不要であり、迅速な加工が可能であり、加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、工具は、複数の段付き部を有し、該段付き部の各々に傾斜面を有し、段付き部の各々の傾斜面は互いに径が異なり、これら径の異なる傾斜面から選択された傾斜面を回路基板に当接することによって、回路基板を切削または押し潰して面取り部を形成することを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、径の異なる傾斜面を選択できるから、所望の面取り部を形成し易い。
【0022】
請求項6に記載の発明では、回路基板の加工部は、端面、孔部、及び溝部のいずれか一つからなることを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、端面、孔部、及び溝部のいずれか一つからなる回路基板の加工部に面取り部を形成し、この面取り部によって、係合爪の係合時における破損を防止できる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、回路基板の面取り部を形成した部位と面取り加工無しの部位とのつなぎ部は、面取り部を形成した部位に接した曲面を形成することを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、つなぎ部は、面取り部を形成した部位に接した曲面を形成するから、面取り部をプレス加工で形成する場合も、工具を斜めに当接して切削して形成する場合も加工が容易になる。
【0026】
なお、特許請求の範囲及び上記各手段に記載の括弧内の符号ないし説明は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を分かり易く示す一例であり、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態における回路基板の端面を切削用の工具となるルーターを用いて加工する工程を示す加工工程図である。
【図2】上記実施形態で使用可能な第1のルーターの正面図である。
【図3】上記実施形態で使用可能な第2のルーターの正面図である。
【図4】上記実施形態における回路基板の溝部を加工しているときのルーターと回路基板の関係を示す図1の(b)における矢印Z4方向から見た一部断面図である。
【図5】上記実施形態における回路基板の面取り部に係合爪が係合する直前の状態を図示した説明図である。
【図6】上記実施形態の変形例で使用可能な工具となるドリルの正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における回路基板の溝部の加工を説明する模式的斜視図である。
【図8】図7の矢印Z8−Z8線に沿う一部断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における回路基板の面取り部の加工状態を示す模式的斜視図である。
【図10】図9の矢印Z10−Z10線に沿う一部断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示す模式的斜視図である。
【図12】図11の矢印Y12方向から見た面取り部の外形図である。
【図13】図11の矢印Z13−Z13方向から見た一部断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態を示す一部断面図であり、(a)は面取り部形成前、(b)は面取り部形成後を図示している。
【図15】上記第4実施形態で使用するパンチの一部斜視図である。
【図16】本発明の第5実施形態を示す分解斜視図であり、(a)は回路基板、(b)は係合爪が形成された部品となる指針を駆動するムーブメントの斜視図である。
【図17】上記第5実施形態における係合爪が挿入され結合される回路基板の孔部を裏面から見た斜視図である。
【図18】上記第5実施形態の変形例における係合爪が挿入され結合される回路基板の孔部を裏面から見た斜視図である。
【図19】従来の特許文献1に記載の構造を示し、縁部鈍角化手段となる肉盛り部を形成した例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0029】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図6を用いて詳細に説明する。図1は、回路基板となるリジットプリント基板(フレキシブルプリント基板ではないもの)の端面を回転切削工具となるルーターを用いて加工する工程を示す加工工程図である。図1の(a)において、1は回路基板であり、複数の材料が積層された積層式のプリント基板からなるが、アルミニウム等の金属製の回路基板やセラミック製の回路基板であっても良い。
【0031】
2はルーターである。回路基板1の端面3を必要な形状にルーター2を回転させながらスライドさせることにより加工していく。
【0032】
ルーター2のスライドは回路基板1の平面に対して垂直に立てたルーター2を、回路基板1の平面であるX−Y平面に対して平行にX方向Y方向沿って移動させることによって行っている。4は、後述する係合爪が係合される係合部である。
【0033】
まず、図1の(a)のように、連結部7を残して溝部8をプレス等で加工する。ついで、図1の(b)のように、回路基板1の溝部8の中に、ルーター2が入るように、ルーター2を矢印Z方向に押し下げて回転させながらルーター2で回路基板1の端面3を必要な形状に加工していく。そして、ルーター2を用いて、連結部7を切断する。このとき、端面3には、若干突出した凸部5が形成されても良い。
【0034】
なお、図1の(a)と(b)とで、ルーター2をX方向及びY方向に微妙に動かして加工することもできる。このルーター2は図示しない数値制御機械によりX、Y,Z方向の動きが制御される。
【0035】
図2及び図3は、この第1実施形態で使用可能な2種類のルーターの正面図である。図2のルーター2は、段付き部2aにテーパー部から成る傾斜面2bを有しており、この傾斜面2bにリーマ用の歯部となるリーマ歯2cが形成してある。図3のルーター2は、段付き部2aにテーパー部から成る傾斜面2bを有しており、この傾斜面2bにはリーマ歯2c相当部が設けられていない。2dはルーター本来のルーター歯部である
次に、図1(c)の後述する係合爪が係合される係合部4の加工について説明する。この係合部4には図1の(c)のように、面取り部10が形成されている。面取り部10の面取り量としては、図4(b)のように、回路基板素材の厚さT1が1.6mmの場合、面取り半径Cが0.2mm〜1.5mm(C=0.2〜1.5)で設定される。
【0036】
図4は、回路基板の溝部を加工しているときのルーターと回路基板の関係を示す一部断面図であり(a)は溝部の加工時の状況、(b)は係合部の面取り部を加工する時の状況を図示している。面取り部10は、図4の(b)のように形成される。
【0037】
すなわち、図2のルーター2を使用してルーター2を回転させながら回路基板1の溝部8を加工する。次に、図4の(b)のようにリーマ歯2cで回路基板1の端面3を削取り、面取り部10を加工する。
【0038】
図5は、上述のようにして形成された回路基板の面取り部に係合爪が係合する直前の状態を図示する状態を示す説明図である。この図5のように、回路基板1の端面3に面取り部10が形成されているから、面取り部10の傾斜に沿って、係合中の係合爪15はスムーズにたわみ、回路基板1の端面3に正しく係合し、係合爪15の破損が生じることがない。
【0039】
図5において、係合爪15は周知のように延在部の先端に係合用の鉤部(フック部)を持ち、この鉤部の先端が細くなるようにテーパー部から成る傾斜部1tが形成されている。また、図5の幅寸法L2は、回路基板1の自重を確実に係合爪15で保持するため、回路基板1の係合面1r側と接触する重なり寸法であり、0.5mm〜2mmが確保されるように設定されている。
【0040】
また、図5の矢印Y5のように係合爪15が移動して、回路基板1の係合面1rと確実に係止されるように、係合爪15の先端に、上述のテーパー部から成る傾斜部1tが形成され、傾斜部1tの図5での横方向(幅寸法L2と平行な左右方向)の長さは、寸法L2以上の幅で形成されている。そして、係合時は、回路基板1の面取り部10と、係合爪15のテーパー部から成る傾斜部1tとは、互いに摺接しつつ、係合爪15がたわみながら、係合される。
【0041】
面取り部10は、図2のルーター2のリーマ歯2cから成る円錐台部分が削って出来た面である。図4の(b)において、角度θは、面取り加工角度であり、回路基板1平面に垂直なルーター2の中心軸と、ルーター2の傾斜面2bに沿った傾斜線との交差角であり、θは20度〜70度の範囲にある。
【0042】
また、図5の面取り部10の一辺の長さLは0.2mm以上の形状を確保している。この面取り部10が加工された部分の周囲の回路基板1上の図示しない回路導体部分は、図4及び図5の面取り部10の端10hから0.2mm以上離して形成されている。
【0043】
なお、回路基板1の表面にはプリント配線を成す上記回路導体が敷設されているが、回路基板1の片方の面にのみ上記回路導体が敷設されている片面導体の回路基板1を構成している。そして、係合爪15は、回路基板1の片面導体の無い側(図5上方)から矢印Y5のように係合爪15を回路基板1の係合面1rに係合させる。なお、係合爪15は合成樹脂製であるが金属製であってもよい。
【0044】
そして、係合爪15側は、図示しない車両用計器のムーブメント、ブザー、スピーカ、スイッチ等の操作機器、ディスプレイユニットなどのカバー、及びサブケース等のいずれかの部品から成る。例えば、サブケースの場合は、ポリプロピレン材などの合成樹脂で射出成形し、回路基板1との係合のため、たわみが可能な、図5のように、先端に引っかけ鉤状の爪形状を持った係合爪15を上記サブケースと一体で成型する。
【0045】
また、ルーター2のリーマ歯2cの外形が大きい場合は、図1の(c)のように、回路基板1の耳部1sにも面取り部10が形成されてしまうが、この耳部1sは、素子実装及び半田付け機のレールに乗せる部位としての役割終えた後は切り取られるため問題はない。つまり、耳部1sは半田付けなどの処置を完了した後に除去される。この除去を容易にする程度の、連結部7が図1の(a)のように形成されている。
【0046】
そして、耳部1sを連結部7で一体化し、連結部7の後加工を容易とするため、連結部7を最小限の幅、及び設定数にして、溝部8をプレス加工または切削加工などで形成している。ルーター2のリーマ歯2cの外形が溝部8の大きさに比べて比較的小さい場合は、回路基板1の耳部1sには、面取り部10が形成されない。
【0047】
上述のように、第1実施形態では、プレス加工または切削加工により形成された回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかに係合爪を嵌合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかの縁部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同種類の工具によって切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成している。また、係合爪は、回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかの縁部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を面取り部に摺接させて、係合爪が設けられた部品と回路基板とを嵌合している。
【0048】
これによれば、回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかの縁部に、プレス加工または切削を行う同じ種類の工具同士、すなわち、プレス加工ならプレス加工用のパンチ同士、切削加工なら切削加工用の回転切削工具同士を引き続いて使用することによって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、工具を移動させる専用機のような機械側を取り替える必要が無く加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。また、面取り部により、係合爪の嵌合時における破損を防止できる。
【0049】
(第1実施形態の変形例)
次に上記第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態では、図2のように、ルーター2としてリーマ歯2cが形成されたものを使用したが、図3のように、ルーター2としてリーマ歯2cがなく、単に円錐台状の傾斜面2bがルーター2の表面に形成されているものであっても良い。
【0050】
これによれば、図4(b)を援用して説明すれば、回路基板1を図示しない支持台に設置して、ルーター2を回路基板1の端面3に回転させないで加圧し、回路基板1の角を潰して、面取り部10を形成する。
【0051】
図6は、第1実施形態の変形例で使用可能な工具を成すドリルの正面図である。この工具となるドリル2(ルーターであっても良い)は、図6のように段付き部2a1、2a2が複数段になっており傾斜面2b1、2b2が複数形成されている。
【0052】
そして、下方の小径の傾斜面2b1を使用して面取り部10を形成するか、上方の大径の傾斜面2b2を使用して面取り部10を形成するかは、工具2の強度、面取り部10の寸法を考慮して選択する。
【0053】
上記構成の作用について説明する。回路基板1の製造においては、大きな回路基板1の原板を、必要な程度の大きさに切断する。この切断された回路基板素材に必要な配線用あるいは係合用の孔部を加工する。また、外形を寸法どおりに整えるために、パンチによるプレス加工で図1(a)のように耳部1sを形成する。
【0054】
この耳部1sは、素子実装及び半田付け機のレールに乗せる部位としての役割を持つものである。そして、耳部1sを連結部7で一体化し、連結部7の後加工を容易とするため、連結部7を最小限の幅、及び設定数にしている。
【0055】
次に、ルーター2で耳部1sを切除した後、図5の係合爪15が係合される回路基板の端面3に面取り部10を図1(c)のように形成する。この面取り部10が形成された回路基板1においては係合爪15のカジリ等が生じないので破損の心配がない。また、面取り部10を形成するときに発生する切削クズまたは押し潰しクズは基本的には樹脂製の絶縁物であり、エアブローまたはエアーの吸収と共に廃棄または回収することが可能である。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0057】
図7は、本発明の第2実施形態における回路基板の溝部の加工を説明する模式的斜視図である。また図8は図7の矢印Z8−Z8線に沿う一部断面図である。図9は、第2実施形態における面取り加工の状態を示す模式的斜視図である。また、図10は、図9の矢印Z10−Z10線に沿う一部断面図である。
【0058】
図7において、あらかじめプレス加工による打ち抜きによって回路基板1には溝部8が形成されている。この溝部8の連結部7を、溝部8内に挿入したルーター2で図7、図8のように切断していく。この切断の直後、工具であるルーター2を図9、図10のように、回路基板1の平面に対して傾斜させ、回転するルーター2の側面で面取り部10を形成している。
【0059】
このとき、耳部1sには、回路基板1の裏面側に面取り部10sが形成されることがあるが、耳部1sは後で切除されるため問題はない。なお、ルーター2を回転させないで、ルーター2の側面を回路基板1の端面3の角部に押し付けて、回路基板1の平面に平行にルーター2を相対的に移動させ、角部を押し潰して塑性変形させ、面取り部10を形成しても良い。
【0060】
この第2実施形態のルーター2は、リーマ歯を持つ第1実施形態のルーター2に比べると、工具の費用が安くなる。なお、回路基板1側と工具のルーター2側との間で相対的な傾斜が生じればよいため、工具であるルーター2を傾けず、回路基板1側を傾けても良い。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図11は、本発明の第3実施形態を示す模式的斜視図、図12は矢印Y12方向から見た面取り部の外形図、図13は矢印Z13−Z13方向に沿う一部断面図である。
【0062】
図11において、ルーター2で溝部8を加工した直後、ルーター2を回路基板1に対して相対的に傾斜させ、ルーター2の放射状の歯が付いた刃先平坦部2tを、面取り部10が局部的に形成される回路基板1の端面3の角に、矢印Y12方向から加圧して押し付ける。このようにして形成された面取り部10には、図12のように面取り部10のコーナー部に特徴的な曲面部10rが形成される。
【0063】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図14は、本発明の第4実施形態を示す一部断面図であり、(a)は、面取り部形成前、(b)は面取り部形成後を図示している。図15は、第4実施形態で使用するパンチの一部斜視図である。
【0064】
図14において、20はパンチ、21は回路基板1を支持するダイスである。回路基板1のプレス加工時において、溝部8形成の際に、パンチ20側に設定した傾斜面からなる面取り形状部25を回路基板1に押し付ける。
【0065】
このことにより、回路基板1を押し潰して面取り部10を形成している。また、同時に、打ち抜かれた溝部8部分に存在していた回路基板の廃材27は、ダイス21内の開口部26内に落下する。
【0066】
この場合、面取り量は大きい方が、図5と同様の係合爪15の係合が容易となるが、回路基板1の素材が積層型のプリント基板などで、厚さT14が1.6mmの場合、面取り部10の面取り半径を1mm(C=1)程度に設定すると良い。
【0067】
つまり、面取り部10が押し潰されて破砕状態となり、回路基板1の配線の導体部分まで回路基板1内の歪が到達し、上記導体部分の導通不良になるおそれがあるため、回路基板1の板厚T14の半分以下である面取り部10の曲面半径Cとすることが好ましい。よって、面取り半径Cが0.2mmから0.8mm(C=0.2〜C0.8)に設定することが望ましい。
【0068】
図15は、パンチ20の形状を示す一部斜視図であり、図14の(a)、(b)で示した溝部8が紙面垂直方向に長い形状である場合に使用され、長い溝部8に合わせてパンチ20の刃部20aも長く形成されている。
【0069】
係合爪15の係合を容易にするために、パンチ20に形成された面取り形状部25は、パンチ20の側面にも形成された盛上がり部28の傾斜面28a、28b、28cとして形成されている。またこの傾斜面28a、28b、28cは少なくとも3箇所に形成されており、傾斜面28a、28b、28c相互間のコーナー部は、曲面部28d、28eとして形成されている。
【0070】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図16は、本発明の第5実施形態を示す分解斜視図であり、(a)は、回路基板、(b)は係合爪が形成された車両用計器の指針を駆動するムーブメントの斜視図である。図17は、図16の係合爪15が挿入され結合される回路基板1の孔部8aを裏面から見た第5実施形態に係る斜視図であり、図18は第5実施形態の変形例である。
【0071】
図16において、回路基板1には、一対の係合爪15が挿入され係合される一対の孔部8a、計器の指針駆動軸40が貫通する指針軸孔41、ムーブメント42の位置決め用突起43、44が挿入される位置決め孔45、46、複数のムーブメント42の配線用突起47が挿入されて接続されるランド48を構成する孔が形成されている。
【0072】
係合爪15が挿入される係合用の孔部8aには、回路基板1の裏面から見た図17に示すように、プレス加工のときのパンチの面取り形状部(図14の面取り形状部25相当部)を押し付けることにより、回路基板1を塑性変形させて面取り部10が形成されている。
【0073】
図17のように、孔部8a内の面取り部10と他の側面の間には曲面部10r1、10r2が形成されている。この面取り部10の曲面部10r1、10r2は孔部8aの内側に形成されているが、図18に示すように、工具を斜めにエッジ部に当接して切削加工にて面取り形状加工を実施した場合では、曲面部10r1、10r2を孔部8aから外側に大きくはみ出すように形成してもよい。図18において、8a1及び8a2は工具の先端平面部で切削した傾斜平面、8a3及び8a4はストレートな壁面である。
【0074】
これによれば、図17では曲面部10r1、10r2の分、孔部8aの幅に対し面取り形成長さが小さくなるが、図18では孔部8aの幅全体に面取り形状が形成されるので、係合爪15の傾斜部1tの幅に対し面取り部10が確実に摺接されるため、係合爪15がより挿入し易い。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、車両用計器内のプリント基板に適応したが、これに限らず、その他の電子基板に使用することができる。
【0076】
また端部にプレス用のパンチを押し付けてエッジ部を塑性変形させる場合に、回路基板の温度を高めてから行ってもよい。また、工具となるルーター等はロボットで駆動することもできる。
【0077】
上記実施形態では図1のように溝部8に面取り部10を形成したが、孔部や回路基板の外縁部である端面に面取り部を形成しても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 回路基板
1r 係合面
1t テーパー部から成る傾斜部
1s 回路基板の耳部
2 工具となるルーターまたはドリル
2a、2a1、2a2 ルーターの段付き部
2b ルーターのテーパー部から成る傾斜面
2c ルーターのリーマ歯
3 回路基板の端面
4 係合爪が係合される係合部
8 溝部
8a 孔部
10 面取り部
15 係合爪
20 パンチ
21 ダイス
25 面取り形状部
28 パンチの側面にも形成された盛上がり部
40 指針駆動軸
42 ムーブメント
43、44 位置決め用突起
47 ムーブメントの配線用突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板取付け部の製造方法に関するものである。特に、自動車用メータなどの電子回路機器の回路基板における部品の取付け部の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の回路基板取付け部構造が知られている。この特許文献1は、プリント基板等の回路基板に設けられた孔部等のエッジ部に、傾斜部を先端に持つ係合爪を挿入する。このときに、係合爪の傾斜部と回路基板側の鋭角状のエッジ部が当接してカジリを生じ、係合爪の割れや柔らかい方の樹脂の削りかすが発生するという問題に対処したものである。
【0003】
換言すれば、回路基板の爪係合部においては、回路基板の平面に直角方向からのプレス加工や切削加工により、孔部や端面部が形成されるため、回路基板の角部が鋭角のエッジ部となるため、このエッジ部に合成樹脂製の係合爪を係合させようとすると、回路基板のエッジ部が引掛り、食い込みを生じ易く、さらに力を加えて係合させようとすると、係合爪がたわむことなく折れてしまい、破損による欠陥品を発生させることになり、回路基板や、この回路基板を使用したケースが使用不可能となってしまうという。よって、特許文献1は、この問題に対処したものである。
【0004】
このために、特許文献1に記載の構造は、図19のように、上記カジリが生じるエッジ部3aに縁部鈍角化手段となる半田付け、接着剤、塗料、及び回路基板表面のレジスト等の肉盛り部150を形成したものである。図19において、15は係合爪、1は回路基板である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−101261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術によると、半田付け、接着剤、塗料、及び回路基板表面のレジスト等の肉盛り部150を形成するが、これらの肉盛り部150を形成するための肉盛り工数、及び付帯する乾燥工数等で、加工費用は安価ではなくなる。
【0007】
上記の内、一番安価と考えられる半田付けによる肉盛り部150の形成でも、近年のリフロー半田付け処理での肉盛り程度では、多少の縁部鈍角化が達成される程度である。そのため、回路基板1のエッジ部3aが係合爪15が当たり、係合爪が破損し易いという問題が残る。
【0008】
また、手作業による半田付け、所謂手盛りなどの半田付けを行った場合でも、係合爪が直接、半田付けによる肉盛り部150に接触しつつ係合していくため、係合爪15が挿入される回路基板1のエッジ部3aに対し半田付けによる肉盛り部150がはみ出ていると、係合爪15の係合時に、半田付けによる肉盛り部150のはみ出し部が破損し易い。
【0009】
そして、破損した半田片が、他の電気導体部分に接触したときはショートの可能性がある。また、半田片が、指針軸受などの可動部分に入ると、作動不良を生ずる可能性がある。そのため、半田付けによる肉盛り部150の形成では、工数をかけて、エッジ部3aに正確に半田付けすることが必要であるが、現実的ではない。
【0010】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、上記従来の肉盛り部の形成以外の構成で、係合爪の係合時における破損を防止し、かつ加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることにある。
【0011】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、回路基板の加工部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同種類の工具によって、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、係合爪は、回路基板の面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を面取り部に摺接させて、係合爪が設けられた部品と回路基板とを係合することを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、回路基板の加工部に、プレス加工または切削を行う同じ種類の工具同士、すなわち、プレス加工ならプレス加工用のパンチ同士、切削加工なら切削加工用の回転切削工具同士を引き続いて使用することによって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、工具を移動させる機械側を取り替える必要が無く、加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。また、面取り部により、係合爪の係合時における破損を防止できる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、
回路基板の加工部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同じ工具を連続して用いて、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、係合爪は、回路基板の面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を面取り部に摺接させて、係合爪が設けられた部品と回路基板とを係合することを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、回路基板の加工部に、プレス加工または切削を行う同じ工具を連続して使用している。すなわち、プレス加工または切削加工の後に、工具の付け替えを行うことなく連続的に同じ工具を使用することによって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、面取り部により係合爪の係合時における破損を防止でき、加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、回路基板に加工部を形成した後、工具の端面を回路基板の平面に対して傾斜させて当接し、工具の端面によって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、工具の端面を回路基板の平面に対して傾斜させて当接し、工具の端面によって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、迅速な加工が可能となる。これにより、加工工数及び加工費の低減が可能となる回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、工具は、該工具の軸方向と交差する傾斜した傾斜面を有し、回路基板の加工部がプレス加工または切削により形成された後、工具の傾斜面を回路基板に対して当接し、工具の傾斜面によって、回路基板を切削または押し潰すことにより面取り部を形成することを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、回路基板に加工部を形成した後、工具の傾斜面を回路基板に対して当接し、工具の傾斜面によって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、工具の軸方向を回路基板の平面に対して傾斜させる必要が無い。よって、工具と回路基板の平面とを傾斜させる手間が不要であり、迅速な加工が可能であり、加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、工具は、複数の段付き部を有し、該段付き部の各々に傾斜面を有し、段付き部の各々の傾斜面は互いに径が異なり、これら径の異なる傾斜面から選択された傾斜面を回路基板に当接することによって、回路基板を切削または押し潰して面取り部を形成することを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、径の異なる傾斜面を選択できるから、所望の面取り部を形成し易い。
【0022】
請求項6に記載の発明では、回路基板の加工部は、端面、孔部、及び溝部のいずれか一つからなることを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、端面、孔部、及び溝部のいずれか一つからなる回路基板の加工部に面取り部を形成し、この面取り部によって、係合爪の係合時における破損を防止できる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、回路基板の面取り部を形成した部位と面取り加工無しの部位とのつなぎ部は、面取り部を形成した部位に接した曲面を形成することを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、つなぎ部は、面取り部を形成した部位に接した曲面を形成するから、面取り部をプレス加工で形成する場合も、工具を斜めに当接して切削して形成する場合も加工が容易になる。
【0026】
なお、特許請求の範囲及び上記各手段に記載の括弧内の符号ないし説明は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を分かり易く示す一例であり、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態における回路基板の端面を切削用の工具となるルーターを用いて加工する工程を示す加工工程図である。
【図2】上記実施形態で使用可能な第1のルーターの正面図である。
【図3】上記実施形態で使用可能な第2のルーターの正面図である。
【図4】上記実施形態における回路基板の溝部を加工しているときのルーターと回路基板の関係を示す図1の(b)における矢印Z4方向から見た一部断面図である。
【図5】上記実施形態における回路基板の面取り部に係合爪が係合する直前の状態を図示した説明図である。
【図6】上記実施形態の変形例で使用可能な工具となるドリルの正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における回路基板の溝部の加工を説明する模式的斜視図である。
【図8】図7の矢印Z8−Z8線に沿う一部断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における回路基板の面取り部の加工状態を示す模式的斜視図である。
【図10】図9の矢印Z10−Z10線に沿う一部断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態を示す模式的斜視図である。
【図12】図11の矢印Y12方向から見た面取り部の外形図である。
【図13】図11の矢印Z13−Z13方向から見た一部断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態を示す一部断面図であり、(a)は面取り部形成前、(b)は面取り部形成後を図示している。
【図15】上記第4実施形態で使用するパンチの一部斜視図である。
【図16】本発明の第5実施形態を示す分解斜視図であり、(a)は回路基板、(b)は係合爪が形成された部品となる指針を駆動するムーブメントの斜視図である。
【図17】上記第5実施形態における係合爪が挿入され結合される回路基板の孔部を裏面から見た斜視図である。
【図18】上記第5実施形態の変形例における係合爪が挿入され結合される回路基板の孔部を裏面から見た斜視図である。
【図19】従来の特許文献1に記載の構造を示し、縁部鈍角化手段となる肉盛り部を形成した例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0029】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図6を用いて詳細に説明する。図1は、回路基板となるリジットプリント基板(フレキシブルプリント基板ではないもの)の端面を回転切削工具となるルーターを用いて加工する工程を示す加工工程図である。図1の(a)において、1は回路基板であり、複数の材料が積層された積層式のプリント基板からなるが、アルミニウム等の金属製の回路基板やセラミック製の回路基板であっても良い。
【0031】
2はルーターである。回路基板1の端面3を必要な形状にルーター2を回転させながらスライドさせることにより加工していく。
【0032】
ルーター2のスライドは回路基板1の平面に対して垂直に立てたルーター2を、回路基板1の平面であるX−Y平面に対して平行にX方向Y方向沿って移動させることによって行っている。4は、後述する係合爪が係合される係合部である。
【0033】
まず、図1の(a)のように、連結部7を残して溝部8をプレス等で加工する。ついで、図1の(b)のように、回路基板1の溝部8の中に、ルーター2が入るように、ルーター2を矢印Z方向に押し下げて回転させながらルーター2で回路基板1の端面3を必要な形状に加工していく。そして、ルーター2を用いて、連結部7を切断する。このとき、端面3には、若干突出した凸部5が形成されても良い。
【0034】
なお、図1の(a)と(b)とで、ルーター2をX方向及びY方向に微妙に動かして加工することもできる。このルーター2は図示しない数値制御機械によりX、Y,Z方向の動きが制御される。
【0035】
図2及び図3は、この第1実施形態で使用可能な2種類のルーターの正面図である。図2のルーター2は、段付き部2aにテーパー部から成る傾斜面2bを有しており、この傾斜面2bにリーマ用の歯部となるリーマ歯2cが形成してある。図3のルーター2は、段付き部2aにテーパー部から成る傾斜面2bを有しており、この傾斜面2bにはリーマ歯2c相当部が設けられていない。2dはルーター本来のルーター歯部である
次に、図1(c)の後述する係合爪が係合される係合部4の加工について説明する。この係合部4には図1の(c)のように、面取り部10が形成されている。面取り部10の面取り量としては、図4(b)のように、回路基板素材の厚さT1が1.6mmの場合、面取り半径Cが0.2mm〜1.5mm(C=0.2〜1.5)で設定される。
【0036】
図4は、回路基板の溝部を加工しているときのルーターと回路基板の関係を示す一部断面図であり(a)は溝部の加工時の状況、(b)は係合部の面取り部を加工する時の状況を図示している。面取り部10は、図4の(b)のように形成される。
【0037】
すなわち、図2のルーター2を使用してルーター2を回転させながら回路基板1の溝部8を加工する。次に、図4の(b)のようにリーマ歯2cで回路基板1の端面3を削取り、面取り部10を加工する。
【0038】
図5は、上述のようにして形成された回路基板の面取り部に係合爪が係合する直前の状態を図示する状態を示す説明図である。この図5のように、回路基板1の端面3に面取り部10が形成されているから、面取り部10の傾斜に沿って、係合中の係合爪15はスムーズにたわみ、回路基板1の端面3に正しく係合し、係合爪15の破損が生じることがない。
【0039】
図5において、係合爪15は周知のように延在部の先端に係合用の鉤部(フック部)を持ち、この鉤部の先端が細くなるようにテーパー部から成る傾斜部1tが形成されている。また、図5の幅寸法L2は、回路基板1の自重を確実に係合爪15で保持するため、回路基板1の係合面1r側と接触する重なり寸法であり、0.5mm〜2mmが確保されるように設定されている。
【0040】
また、図5の矢印Y5のように係合爪15が移動して、回路基板1の係合面1rと確実に係止されるように、係合爪15の先端に、上述のテーパー部から成る傾斜部1tが形成され、傾斜部1tの図5での横方向(幅寸法L2と平行な左右方向)の長さは、寸法L2以上の幅で形成されている。そして、係合時は、回路基板1の面取り部10と、係合爪15のテーパー部から成る傾斜部1tとは、互いに摺接しつつ、係合爪15がたわみながら、係合される。
【0041】
面取り部10は、図2のルーター2のリーマ歯2cから成る円錐台部分が削って出来た面である。図4の(b)において、角度θは、面取り加工角度であり、回路基板1平面に垂直なルーター2の中心軸と、ルーター2の傾斜面2bに沿った傾斜線との交差角であり、θは20度〜70度の範囲にある。
【0042】
また、図5の面取り部10の一辺の長さLは0.2mm以上の形状を確保している。この面取り部10が加工された部分の周囲の回路基板1上の図示しない回路導体部分は、図4及び図5の面取り部10の端10hから0.2mm以上離して形成されている。
【0043】
なお、回路基板1の表面にはプリント配線を成す上記回路導体が敷設されているが、回路基板1の片方の面にのみ上記回路導体が敷設されている片面導体の回路基板1を構成している。そして、係合爪15は、回路基板1の片面導体の無い側(図5上方)から矢印Y5のように係合爪15を回路基板1の係合面1rに係合させる。なお、係合爪15は合成樹脂製であるが金属製であってもよい。
【0044】
そして、係合爪15側は、図示しない車両用計器のムーブメント、ブザー、スピーカ、スイッチ等の操作機器、ディスプレイユニットなどのカバー、及びサブケース等のいずれかの部品から成る。例えば、サブケースの場合は、ポリプロピレン材などの合成樹脂で射出成形し、回路基板1との係合のため、たわみが可能な、図5のように、先端に引っかけ鉤状の爪形状を持った係合爪15を上記サブケースと一体で成型する。
【0045】
また、ルーター2のリーマ歯2cの外形が大きい場合は、図1の(c)のように、回路基板1の耳部1sにも面取り部10が形成されてしまうが、この耳部1sは、素子実装及び半田付け機のレールに乗せる部位としての役割終えた後は切り取られるため問題はない。つまり、耳部1sは半田付けなどの処置を完了した後に除去される。この除去を容易にする程度の、連結部7が図1の(a)のように形成されている。
【0046】
そして、耳部1sを連結部7で一体化し、連結部7の後加工を容易とするため、連結部7を最小限の幅、及び設定数にして、溝部8をプレス加工または切削加工などで形成している。ルーター2のリーマ歯2cの外形が溝部8の大きさに比べて比較的小さい場合は、回路基板1の耳部1sには、面取り部10が形成されない。
【0047】
上述のように、第1実施形態では、プレス加工または切削加工により形成された回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかに係合爪を嵌合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかの縁部に、プレス加工または切削加工を行ったのと同種類の工具によって切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成している。また、係合爪は、回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかの縁部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を面取り部に摺接させて、係合爪が設けられた部品と回路基板とを嵌合している。
【0048】
これによれば、回路基板の端面、孔部、溝部のいずれかの縁部に、プレス加工または切削を行う同じ種類の工具同士、すなわち、プレス加工ならプレス加工用のパンチ同士、切削加工なら切削加工用の回転切削工具同士を引き続いて使用することによって、切削または押し潰すことにより面取り部を形成するから、工具を移動させる専用機のような機械側を取り替える必要が無く加工工数及び加工費の低減を可能とする回路基板取付け部の製造方法を得ることができる。また、面取り部により、係合爪の嵌合時における破損を防止できる。
【0049】
(第1実施形態の変形例)
次に上記第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態では、図2のように、ルーター2としてリーマ歯2cが形成されたものを使用したが、図3のように、ルーター2としてリーマ歯2cがなく、単に円錐台状の傾斜面2bがルーター2の表面に形成されているものであっても良い。
【0050】
これによれば、図4(b)を援用して説明すれば、回路基板1を図示しない支持台に設置して、ルーター2を回路基板1の端面3に回転させないで加圧し、回路基板1の角を潰して、面取り部10を形成する。
【0051】
図6は、第1実施形態の変形例で使用可能な工具を成すドリルの正面図である。この工具となるドリル2(ルーターであっても良い)は、図6のように段付き部2a1、2a2が複数段になっており傾斜面2b1、2b2が複数形成されている。
【0052】
そして、下方の小径の傾斜面2b1を使用して面取り部10を形成するか、上方の大径の傾斜面2b2を使用して面取り部10を形成するかは、工具2の強度、面取り部10の寸法を考慮して選択する。
【0053】
上記構成の作用について説明する。回路基板1の製造においては、大きな回路基板1の原板を、必要な程度の大きさに切断する。この切断された回路基板素材に必要な配線用あるいは係合用の孔部を加工する。また、外形を寸法どおりに整えるために、パンチによるプレス加工で図1(a)のように耳部1sを形成する。
【0054】
この耳部1sは、素子実装及び半田付け機のレールに乗せる部位としての役割を持つものである。そして、耳部1sを連結部7で一体化し、連結部7の後加工を容易とするため、連結部7を最小限の幅、及び設定数にしている。
【0055】
次に、ルーター2で耳部1sを切除した後、図5の係合爪15が係合される回路基板の端面3に面取り部10を図1(c)のように形成する。この面取り部10が形成された回路基板1においては係合爪15のカジリ等が生じないので破損の心配がない。また、面取り部10を形成するときに発生する切削クズまたは押し潰しクズは基本的には樹脂製の絶縁物であり、エアブローまたはエアーの吸収と共に廃棄または回収することが可能である。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0057】
図7は、本発明の第2実施形態における回路基板の溝部の加工を説明する模式的斜視図である。また図8は図7の矢印Z8−Z8線に沿う一部断面図である。図9は、第2実施形態における面取り加工の状態を示す模式的斜視図である。また、図10は、図9の矢印Z10−Z10線に沿う一部断面図である。
【0058】
図7において、あらかじめプレス加工による打ち抜きによって回路基板1には溝部8が形成されている。この溝部8の連結部7を、溝部8内に挿入したルーター2で図7、図8のように切断していく。この切断の直後、工具であるルーター2を図9、図10のように、回路基板1の平面に対して傾斜させ、回転するルーター2の側面で面取り部10を形成している。
【0059】
このとき、耳部1sには、回路基板1の裏面側に面取り部10sが形成されることがあるが、耳部1sは後で切除されるため問題はない。なお、ルーター2を回転させないで、ルーター2の側面を回路基板1の端面3の角部に押し付けて、回路基板1の平面に平行にルーター2を相対的に移動させ、角部を押し潰して塑性変形させ、面取り部10を形成しても良い。
【0060】
この第2実施形態のルーター2は、リーマ歯を持つ第1実施形態のルーター2に比べると、工具の費用が安くなる。なお、回路基板1側と工具のルーター2側との間で相対的な傾斜が生じればよいため、工具であるルーター2を傾けず、回路基板1側を傾けても良い。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図11は、本発明の第3実施形態を示す模式的斜視図、図12は矢印Y12方向から見た面取り部の外形図、図13は矢印Z13−Z13方向に沿う一部断面図である。
【0062】
図11において、ルーター2で溝部8を加工した直後、ルーター2を回路基板1に対して相対的に傾斜させ、ルーター2の放射状の歯が付いた刃先平坦部2tを、面取り部10が局部的に形成される回路基板1の端面3の角に、矢印Y12方向から加圧して押し付ける。このようにして形成された面取り部10には、図12のように面取り部10のコーナー部に特徴的な曲面部10rが形成される。
【0063】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図14は、本発明の第4実施形態を示す一部断面図であり、(a)は、面取り部形成前、(b)は面取り部形成後を図示している。図15は、第4実施形態で使用するパンチの一部斜視図である。
【0064】
図14において、20はパンチ、21は回路基板1を支持するダイスである。回路基板1のプレス加工時において、溝部8形成の際に、パンチ20側に設定した傾斜面からなる面取り形状部25を回路基板1に押し付ける。
【0065】
このことにより、回路基板1を押し潰して面取り部10を形成している。また、同時に、打ち抜かれた溝部8部分に存在していた回路基板の廃材27は、ダイス21内の開口部26内に落下する。
【0066】
この場合、面取り量は大きい方が、図5と同様の係合爪15の係合が容易となるが、回路基板1の素材が積層型のプリント基板などで、厚さT14が1.6mmの場合、面取り部10の面取り半径を1mm(C=1)程度に設定すると良い。
【0067】
つまり、面取り部10が押し潰されて破砕状態となり、回路基板1の配線の導体部分まで回路基板1内の歪が到達し、上記導体部分の導通不良になるおそれがあるため、回路基板1の板厚T14の半分以下である面取り部10の曲面半径Cとすることが好ましい。よって、面取り半径Cが0.2mmから0.8mm(C=0.2〜C0.8)に設定することが望ましい。
【0068】
図15は、パンチ20の形状を示す一部斜視図であり、図14の(a)、(b)で示した溝部8が紙面垂直方向に長い形状である場合に使用され、長い溝部8に合わせてパンチ20の刃部20aも長く形成されている。
【0069】
係合爪15の係合を容易にするために、パンチ20に形成された面取り形状部25は、パンチ20の側面にも形成された盛上がり部28の傾斜面28a、28b、28cとして形成されている。またこの傾斜面28a、28b、28cは少なくとも3箇所に形成されており、傾斜面28a、28b、28c相互間のコーナー部は、曲面部28d、28eとして形成されている。
【0070】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。図16は、本発明の第5実施形態を示す分解斜視図であり、(a)は、回路基板、(b)は係合爪が形成された車両用計器の指針を駆動するムーブメントの斜視図である。図17は、図16の係合爪15が挿入され結合される回路基板1の孔部8aを裏面から見た第5実施形態に係る斜視図であり、図18は第5実施形態の変形例である。
【0071】
図16において、回路基板1には、一対の係合爪15が挿入され係合される一対の孔部8a、計器の指針駆動軸40が貫通する指針軸孔41、ムーブメント42の位置決め用突起43、44が挿入される位置決め孔45、46、複数のムーブメント42の配線用突起47が挿入されて接続されるランド48を構成する孔が形成されている。
【0072】
係合爪15が挿入される係合用の孔部8aには、回路基板1の裏面から見た図17に示すように、プレス加工のときのパンチの面取り形状部(図14の面取り形状部25相当部)を押し付けることにより、回路基板1を塑性変形させて面取り部10が形成されている。
【0073】
図17のように、孔部8a内の面取り部10と他の側面の間には曲面部10r1、10r2が形成されている。この面取り部10の曲面部10r1、10r2は孔部8aの内側に形成されているが、図18に示すように、工具を斜めにエッジ部に当接して切削加工にて面取り形状加工を実施した場合では、曲面部10r1、10r2を孔部8aから外側に大きくはみ出すように形成してもよい。図18において、8a1及び8a2は工具の先端平面部で切削した傾斜平面、8a3及び8a4はストレートな壁面である。
【0074】
これによれば、図17では曲面部10r1、10r2の分、孔部8aの幅に対し面取り形成長さが小さくなるが、図18では孔部8aの幅全体に面取り形状が形成されるので、係合爪15の傾斜部1tの幅に対し面取り部10が確実に摺接されるため、係合爪15がより挿入し易い。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、車両用計器内のプリント基板に適応したが、これに限らず、その他の電子基板に使用することができる。
【0076】
また端部にプレス用のパンチを押し付けてエッジ部を塑性変形させる場合に、回路基板の温度を高めてから行ってもよい。また、工具となるルーター等はロボットで駆動することもできる。
【0077】
上記実施形態では図1のように溝部8に面取り部10を形成したが、孔部や回路基板の外縁部である端面に面取り部を形成しても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 回路基板
1r 係合面
1t テーパー部から成る傾斜部
1s 回路基板の耳部
2 工具となるルーターまたはドリル
2a、2a1、2a2 ルーターの段付き部
2b ルーターのテーパー部から成る傾斜面
2c ルーターのリーマ歯
3 回路基板の端面
4 係合爪が係合される係合部
8 溝部
8a 孔部
10 面取り部
15 係合爪
20 パンチ
21 ダイス
25 面取り形状部
28 パンチの側面にも形成された盛上がり部
40 指針駆動軸
42 ムーブメント
43、44 位置決め用突起
47 ムーブメントの配線用突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、
前記回路基板の前記加工部に、前記プレス加工または前記切削加工を行ったのと同種類の工具によって、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、
前記係合爪は、前記回路基板の前記面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を前記面取り部に摺接させて、前記係合爪が設けられた前記部品と前記回路基板とを係合することを特徴とする回路基板取付け部の製造方法。
【請求項2】
回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、
前記回路基板の前記加工部に、前記プレス加工または前記切削加工を行ったのと同じ工具を連続して用いて、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、
前記係合爪は、前記回路基板の前記面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を前記面取り部に摺接させて、前記係合爪が設けられた前記部品と前記回路基板とを係合することを特徴とする回路基板取付け部の製造方法。
【請求項3】
前記回路基板に前記加工部を形成した後、前記工具の端面を前記回路基板の平面に対して傾斜させて当接し、前記工具の前記端面によって、切削または押し潰すことにより前記面取り部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項4】
前記工具は該工具の軸方向と交差する傾斜した傾斜面を有し、前記回路基板の前記加工部が前記プレス加工または切削により形成された後、前記工具の前記傾斜面を前記回路基板に対して当接し、前記工具の前記傾斜面によって、前記回路基板を切削または押し潰すことにより前記面取り部を形成することを特徴とする請求項3に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項5】
前記工具は、複数の段付き部を有し、該段付き部の各々に傾斜面を有し、前記段付き部の各々の前記傾斜面は互いに径が異なり、これら径の異なる前記傾斜面から選択された前記傾斜面を前記回路基板に当接することによって、前記回路基板を切削または押し潰して前記面取り部を形成することを特徴とする請求項4に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項6】
前記回路基板の前記加工部は、端面、孔部、及び溝部のいずれか一つからなることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項7】
前記回路基板の前記面取り部を形成した部位と面取り加工無しの部位とのつなぎ部は、前記面取り部を形成した部位に接した曲面を形成することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか一項に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項1】
回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、
前記回路基板の前記加工部に、前記プレス加工または前記切削加工を行ったのと同種類の工具によって、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、
前記係合爪は、前記回路基板の前記面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を前記面取り部に摺接させて、前記係合爪が設けられた前記部品と前記回路基板とを係合することを特徴とする回路基板取付け部の製造方法。
【請求項2】
回路基板において、プレス加工または切削加工により形成された加工部に、係合爪を係合して部品を取付ける回路基板取付け部の製造方法であって、
前記回路基板の前記加工部に、前記プレス加工または前記切削加工を行ったのと同じ工具を連続して用いて、切削加工または押し潰し加工を行うことにより面取り部を形成し、
前記係合爪は、前記回路基板の前記面取り部に摺接する傾斜部を有し、該傾斜部を前記面取り部に摺接させて、前記係合爪が設けられた前記部品と前記回路基板とを係合することを特徴とする回路基板取付け部の製造方法。
【請求項3】
前記回路基板に前記加工部を形成した後、前記工具の端面を前記回路基板の平面に対して傾斜させて当接し、前記工具の前記端面によって、切削または押し潰すことにより前記面取り部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項4】
前記工具は該工具の軸方向と交差する傾斜した傾斜面を有し、前記回路基板の前記加工部が前記プレス加工または切削により形成された後、前記工具の前記傾斜面を前記回路基板に対して当接し、前記工具の前記傾斜面によって、前記回路基板を切削または押し潰すことにより前記面取り部を形成することを特徴とする請求項3に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項5】
前記工具は、複数の段付き部を有し、該段付き部の各々に傾斜面を有し、前記段付き部の各々の前記傾斜面は互いに径が異なり、これら径の異なる前記傾斜面から選択された前記傾斜面を前記回路基板に当接することによって、前記回路基板を切削または押し潰して前記面取り部を形成することを特徴とする請求項4に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項6】
前記回路基板の前記加工部は、端面、孔部、及び溝部のいずれか一つからなることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【請求項7】
前記回路基板の前記面取り部を形成した部位と面取り加工無しの部位とのつなぎ部は、前記面取り部を形成した部位に接した曲面を形成することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか一項に記載の回路基板取付け部の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−198954(P2011−198954A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63084(P2010−63084)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]