説明

回路基板製造装置

【課題】基材フィルムの位置決めを精度良く、且つ、安価に行う。
【解決手段】基材フィルム4が載置されるステージ5と、マスク2をステージ5上に固定配置する固定枠3と、基材フィルム4を打ち抜き加工するためのパンチ6とを備え、固定枠3及びマスク2はそれぞれ固定枠3に対するマスク2の位置決めを行うための位置決めピンと位置決め孔を有し、マスク2は固定枠3に対する基材フィルム4の位置決めを行うための位置決め孔を有し、パンチ6はマスクの位置決め孔を介して基材フィルム4を打ち抜き加工することにより固定枠3に対する基材フィルム4の位置決めを行うための位置決め孔を形成し、この位置決め孔を形成した後に接着剤をパターニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線基板の製造工程に適用して好適な回路基板製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路基板の製造方法として、回路パターンの形状に合わせて形成された開口部を有するマスクを利用して基材フィルム表面上に接着剤をパターニングした後、基材フィルム表面上に金属箔を貼り付け、刃型やレーザを利用して回路パターン領域に対応する金属箔とその他の領域の金属箔との境界線に切り込みを入れ、回路パターン領域以外の金属箔を不要金属箔として剥離する方法が知られている。このような製造方法では、(1)回路パターンの位置を特定するための位置決め孔を予め基材フィルムに形成し、回路基板製造装置側に設けられた位置決めピンを位置決め孔に挿入したり、(2)接着剤をパターニングする際に基材フィルム上に位置決め用のマークを印刷し、画像処理装置を利用して印刷されたマークを認識し、認識したマークの位置に位置決め孔を抜き打ち加工したりすることにより、基材フィルムの位置決めを行うようにしている。
【特許文献1】特開2000−269272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般に、基材フィルムは薄く、位置決め孔に位置決めピンを一度でも挿入すると基材フィルムは変形してしまうので、上記方法(1)を用いて基材フィルムの位置決めを行う場合には、後工程において位置決め孔を利用することができず、基材フィルムの位置決めを精度よく行うことができなくなる。一方、上記方法(2)を用いて基材フィルムの位置決めを行う場合には、画像処理装置が高価であるので、位置決め作業を安価に行うことができない。また、基材フィルムに印刷するマークの色が無色又は無色に近い色である場合にはマークの画像認識が難しいので、マークの印刷色に対する制約がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基材フィルムの位置決めを精度良く、且つ、安価に行うことが可能な回路基板製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る回路基板製造装置は、回路パターンの形状に合わせて形成された開口部(10)を有するマスク(2)を利用して基材フィルム(4)表面上に接着剤(9)をパターニングした後、基材フィルム(4)表面上に金属箔を貼り付け、回路パターン領域に対応する金属箔とその他の領域の金属箔との境界線に切り込みを入れ、回路パターン領域以外の金属箔を不要金属箔として剥離する回路製造装置において、基材フィルム(4)が載置されるステージ(5)と、マスク(2)をステージ(5)上に固定配置する固定枠(3)と、基材フィルム(4)を打ち抜き加工するためのパンチ(6)とを備え、固定枠(3)及びマスク(2)はそれぞれ固定枠(3)に対するマスク(2)の位置決めを行うための位置決めピン(22)と第1の位置決め孔(12)を有し、マスク(2)は固定枠(3)に対する基材フィルム(4)の位置決めを行うための第2の位置決め孔(13)を有し、パンチ(6)は第2の位置決め孔(13)を介して基材フィルム(4)を打ち抜き加工することにより固定枠(3)に対する基材フィルム(4)の位置決めを行うための第3の位置決め孔を形成し、第3の位置決め孔を形成した後に接着剤をパターニングすることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の本発明に係る回路基板製造装置は、請求項1に記載の回路基板製造装置において、第2の位置決め孔(13)の周部には、接着剤をパターニングする際、第2の位置決め孔(13)から前記基材フィルム(4)に接着剤が流入することを防ぐための接着剤流入防止部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る回路基板製造装置によれば、基材フィルムの位置決めを精度良く、且つ、安価に行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の本発明に係る回路基板製造装置によれば、接着剤をパターニングする際、第2の位置決め孔から基材フィルムに接着剤が流入することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態となる回路基板製造装置について説明する。
【0010】
〔回路基板製造装置の構成〕
始めに、図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態となる回路基板製造装置の構成について説明する。
【0011】
本発明の実施形態となる回路基板製造装置1は、図1に示すように、回路パターンの形状に合わせて形成された開口部を有するパターン印刷用メタルマスク(以下マスクと略記)2を固定するための固定枠3と、表面上に基材フィルム4が載置される設備テーブル5と、設備テーブル5に形成された貫通孔7に向けて下降することによりマスク2を介して基材フィルム4に位置決め孔を打ち抜き加工するパンチ6と、マスク2を介して基材フィルム4表面上に接着剤を塗布するスキージ8とを主な構成要素として備える。なお、本実施形態では、マスク2は金属製であるとしたが、ガラスによりマスク2を形成してもよい。
【0012】
上記マスク2は、図2に示すように、回路パターンの形状に合わせて形成された開口部10と、固定枠3側に設けられた取付ガイドピンに対応する位置に形成された取付ガイド孔11と、固定枠3側に設けられた位置決めピンに対応する位置に形成された位置決め孔12と、回路パターンの近傍に形成されたパンチ6の逃げ孔13とを備える。また、逃げ孔13は、図3に示すように、エンボス加工により形成された凸部の頂部に孔をあけることにより形成されている。このような構成によれば、マスク2を介して基材フィルム4表面上に接着剤を塗布する際、逃げ孔13から接着剤が漏れ出すことを防止できる。なお、マスク2をガラスにより形成する場合にはエンボス加工を行うことができないので、逃げ孔13の外周部に円筒形状のリブを配置することにより逃げ孔13から接着剤が漏れ出すことを防止するとよい。
【0013】
上記固定枠3は、図1に示すように、固定枠本体3aと版押さえ3bにより形成され、固定枠本体3aの周部には、図4に示すように、取付ガイドピン21と位置決めピン22が形成されている。また、版押さえ3bには、取付ガイドピン21に対応する位置に形成された取付ガイド孔(図示せず)と位置決めピン22に対応する位置に形成された位置決め孔32(図5参照)が形成されている。そして、マスク2を固定する際は、図5に示すように、取付ガイドピン21の位置とマスク2及び版押さえ3bの取付ガイド孔の位置、及び位置決めピン22の位置とマスク2及び版押さえ3bの位置決め孔の位置とを合わせ、固定枠本体3aと版押さえ3bとによりマスク2を挟持する。これにより、装置(固定枠3)に対するマスク2の位置決めを精度よく行うことができる。
【0014】
〔回路基板製造工程の流れ〕
次に、図6を参照して、上記回路基板製造装置1を用いた回路基板製造工程の流れについて説明する。
【0015】
上記回路基板製造装置1を用いて回路基板を製造する際は、始めに、図6(a)に示すように、マスク2を固定した固定枠3を下降させることによりマスク2を基材フィルム4表面に接触させた後、貫通孔7に向けてパンチ6を下降させることによりマスク2の逃げ孔13を介して基材フィルム4に位置決め孔を打ち抜き加工する。次に、図6(b)に示すように、スキージ8を走査させることによりマスク2に形成された開口部10を介して基材フィルム4表面上に接着剤9を塗布する。次に、図6(c)に示すように、固定枠3を上昇させることによりマスク2と基材フィルム4を離間させ、図6(d)に示すように設備ステージ5から基材フィルム4を取り外す。そして以後、従来の回路基板製造工程と同じ処理を行うことにより、一連の製造工程は終了する。
【0016】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態となる回路基板製造装置1は、基材フィルム4が載置されるステージ5と、マスク2をステージ5上に固定配置する固定枠3と、基材フィルム4を打ち抜き加工するためのパンチ6とを備え、固定枠3及びマスク2はそれぞれ固定枠3に対するマスク2の位置決めを行うための位置決めピン22と位置決め孔12を有し、マスク2は固定枠3に対する基材フィルム4の位置決めを行うための位置決め孔13を有し、パンチ6は位置決め孔13を介して基材フィルム4を打ち抜き加工することにより固定枠3に対する基材フィルム4の位置決めを行うための位置決め孔を形成し、この位置決め孔を形成した後に接着剤をパターニングするので、基材フィルム4の位置決めを精度良く、且つ、安価に行うことができる。
【0017】
また、本発明の実施形態となる回路基板製造装置1によれば、位置決め孔12の周部には、接着剤をパターニングする際、位置決め孔13から基材フィルム4に接着剤が流入することを防ぐための接着剤流入防止部が形成されているので、接着剤をパターニングする際、位置決め孔13から基材フィルム4に接着剤が流入することを防止できる。
【0018】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面によって本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを最後に付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態となる回路基板製造装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すパターン印刷用メタルマスクの構成を示す上面図である。
【図3】図1に示す逃げ孔の構成を示す断面図である。
【図4】図1に示す固定枠の構成を示す上面図及び断面図である。
【図5】パターン印刷用メタルマスクを固定枠に取り付ける方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態となる回路基板製造工程の流れを説明するための図である。
【符号の説明】
【0020】
1:回路基板製造装置
2:パターン印刷用メタルマスク
3:固定枠
3a:固定枠本体
3b:版押さえ
4:基材フィルム
5:設備テーブル
6:パンチ
7:貫通孔
8:スキージ
10:開口部
11:取付ガイド孔
12:位置決め孔
13:逃げ孔
21:取付ガイドピン
22:位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンの形状に合わせて形成された開口部(10)を有するマスク(2)を利用して基材フィルム(4)表面上に接着剤(9)をパターニングした後、基材フィルム(4)表面上に金属箔を貼り付け、回路パターン領域に対応する金属箔とその他の領域の金属箔との境界線に切り込みを入れ、回路パターン領域以外の金属箔を不要金属箔として剥離する回路製造装置において、
前記基材フィルム(4)が載置されるステージ(5)と、前記マスク(2)を前記ステージ(5)上に固定配置する固定枠(3)と、前記基材フィルム(4)を打ち抜き加工するためのパンチ(6)とを備え、前記固定枠(3)及び前記マスク(2)はそれぞれ固定枠(3)に対するマスク(2)の位置決めを行うための位置決めピン(22)と第1の位置決め孔(12)を有し、前記マスク(2)は固定枠(3)に対する基材フィルム(4)の位置決めを行うための第2の位置決め孔(13)を有し、前記パンチ(6)は第2の位置決め孔(13)を介して前記基材フィルム(4)を打ち抜き加工することにより固定枠(3)に対する基材フィルム(4)の位置決めを行うための第3の位置決め孔を形成し、当該第3の位置決め孔を形成した後に接着剤をパターニングすることを特徴とする回路基板製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板製造装置において、前記第2の位置決め孔(13)の周部には、接着剤をパターニングする際、当該第2の位置決め孔(13)から前記基材フィルム(4)に接着剤が流入することを防ぐための接着剤流入防止部が形成されていることを特徴とする回路基板製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−53524(P2008−53524A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229102(P2006−229102)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】