説明

回路基板

【課題】コスト低減及び歩留まり向上を図りつつ容易に検査を行うことができる回路基板を提供する。
【解決手段】第1導通ランド11と、第2導通ランド12と、第1と第2導通ランド11,12とその中間領域とに亘る開口部15aを有するマスク15と、開口部15aに配されて第1と第2導通ランド11,12を接続するリフロー半田16と、を有し、開口部15aは実質的に楕円形であって、中間領域は開口部15aの長手方向における中央に位置し、第1と第2導通ランド11,12は、開口部15a長手方向においてそれぞれ反対側に位置し、第1の端部と第2の端部はそれぞれ直線かつ互いに平行に向き合い、それぞれ半楕円形である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回路パターンが形成された回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に回路基板の設計においては、基板に形成する回路の設計、設計値に従った回路基板の製造、及び製造された回路基板の試験が順に行われる。試験により不具合が見つかった場合には、意図通りの回路が形成されるまで、回路の設計変更、設計変更した回路基板の製造、及びその回路基板の試験が繰り返し行われる。従来から回路基板の試験を容易にするために、設計の段階で予め0Ω抵抗素子を盛り込んだ回路を設計しておき、試験時には0Ω抵抗素子によって回路の所定部分を敢えてショート(短絡)させたり、0Ω抵抗素子に流れる電流の検出等を行って回路基板の試験が行われる。この0Ω抵抗素子とは、チップ抵抗素子又はリード線型抵抗素子と同様の形状をした抵抗値が極めて小さな抵抗素子である。
【0003】
0Ω抵抗素子は本来的に回路構成上必要なものではないことから、回路基板の設計が終了して回路基板を量産するときには全てパターン化して削除することが望ましい。しかしながら、0Ω抵抗素子を利用すれば回路基板の量産時において製造される不良基板を簡便に検査することができるため、0Ω抵抗素子が搭載された状態で回路基板が量産されることが多い。以下の特許文献1には、回路基板上に0Ω抵抗素子を搭載する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−86729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した通り、量産される回路基板に0Ω抵抗素子を搭載すると検査が容易になるという利点を有するが、0Ω抵抗素子を搭載する分だけ部品コストを要するとともにその実装コストが必要になるため、回路基板のコストが上昇するというコスト面の問題があった。また、0Ω抵抗素子の通常の抵抗素子と同様の確率で搭載不良が生ずるため、搭載数量に比例して回路基板の製造歩留まりが低下するという歩留まり面の問題があった。
【0006】
検査の容易性を多少犠牲しても0オーム抵抗を省略してパターン化すれば上記の問題が解決されると考えられる。しかしながら、0オーム抵抗を省略すると、回路基板に不良が生じた場合には不良箇所を特定するのにパターンの切断等の処置を講じなければならず、かかる処置によって不良箇所を修復できたとしても回路基板に与えたストレス等の影響からその回路基板を再利用することは困難である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コスト低減及び歩留まり向上を図りつつ容易に検査を行うことができる回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、リフローソルダリングに使用される回路基板であって、前記回路基板と、前記回路基板上に設けられる第1導通ランドと、前記第1導通ランドと第1の距離を離して設けられる第2導通ランドと、前記回路基板の表面を覆い、前記第1導通ランドと前記第2導通ランドとその中間領域とに亘る開口部を有するレジストと、前記開口部に配され、前記第1導通ランドと前記第2導通ランドと前記中間領域とに拡がって前記第1と第2導通ランドを接続するリフロー半田と、を有し、前記開口部は実質的に楕円形であって、前記中間領域は前記開口部の長手方向における中央に位置し、前記第1導通ランドと前記第2導通ランドは、前記開口部長手方向においてそれぞれ反対側に位置し、前記第1と第2導通ランドの有する第1の端部と第2の端部はそれぞれ直線かつ互いに平行に向き合い、前記第1導通ランドと前記第2導通ランドは、それぞれ半楕円形であることを特徴とする。
【0009】
前記開口部は、前記第1及び第2導通ランド上にそれぞれ位置する第1及び第2の領域と、前記中間領域上に位置する第3の領域と、を有し、前記第3の領域は、前記長手方向に直交する方向において、前記第1及び第2の領域より幅が広いことを特徴とする。
【0010】
前記第1の領域は、前記第1導通ランドより小さく、前記第2の領域は、前記第2導通ランドより小さいことを特徴とする。
【0011】
前記基板上に設けられた第1実装ランドと、前記第1実装ランドから第2の距離を離して設けられた第2実装ランドと、を有し、前記第1の距離は前記第2の距離より短いことを特徴とする。
【0012】
前記基板表面は、前記第1及び第2導通ランドより、前記リフロー半田の濡れ性が低いことを特徴とする。
【0013】
前記開口部の前記第1及び第2の領域は、前記長手方向に直交する方向における第1及び第2の長さをそれぞれ有し、前記開口部の前記第3の領域は、前記長手方向における第3の長さを有し、前記第3の長さは、前記第1及び第2の長さより短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1導通ランドと第2導通ランドとを跨いだ開口部がレジストに形成されており、この開口部内おいて第1導通ランドと第2導通ランドとが半田によって接続されており、0Ω抵抗素子の実装を省略することができるため、コスト低減を図ることができるとともに歩留まりを向上させることができるという効果がある。
また、開口部内の半田を除去することにより第1導通ランド及び第2導通ランドを、各々に接続された回路の検査ポイントとすることができるため、容易に検査を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図である。
【図2】実装ランドの一例を示す上面透視図である。
【図3】検査ポイントを説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態による回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】メタルマスクに形成された孔部を示す図である。
【図6】基板10に対してメタルマスク20を位置決めした状態を示す上面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による電子機器としての携帯電話機の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による回路基板、電子機器、及び回路基板の製造方法について詳細に説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図であって、(a)は上面透視図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。図1(a),(b)に示す通り、本実施形態の回路基板は、基板10上に導通ランドとしてのランド11,12が所定の間隔をもって形成されている。ランド11には配線13が接続され、ランド12には配線14が接続されている。これら、ランド11,12及び配線13,14は、銅(Cu)又は金(Au)メッキ等の金属を用いて形成されている。
【0018】
ランド11,12は、回路基板の検査を行うときの検査ポイントとして用いられるとともに、通常時(検査時以外)の回路基板の動作時においては回路のパターン(配線)として用いられるものである。これらのランド11,12はそれぞれ半長円形に形成されており、各々の直線部11a,12aが配線13,14の延びる方向に対してほぼ直交し、且つ互いに対向するように配置されている。ランド11,12の長手方向(A−A線に沿う方向)の最大長、及び短手方向(A−A線に直交して基板10の表面に沿う方向)の最大長は0.4mm程度であり、ランド11とランド12との間隔は0.1mm程度である。
【0019】
基板10、配線13,14、及びランド11,12の上部には、例えばガラスを用いたレジスト15が形成されている。このレジスト15には、ランド11,12を跨いだ長円形の開口部15aが形成されている。開口部15aはランド11,12と同様の形状であって、その長手方向(A−A線に沿う方向)の最大長が0.8mm、短手方向(A−A線に直交して基板10の表面に沿う方向)の最大長が0.3mm程度である。よって、ランド11,12上には端部の一部にのみレジスト15が形成されている。このレジスト15の開口部15a内には半田16が設けられている。この半田16によってランド11とランド12とがブリッジ接続されている。
【0020】
基板10には、半田16でブリッジされるランド11,12以外に、抵抗素子等の素子を搭載するためのランド(以下、実装ランドという)も形成されている。図2は、実装ランドの一例を示す上面透視図である。図2(a)に示す通り、基板10上に形成された実装ランド41(第1実装ランド)及び実装ランド42(第2実装ランド)は矩形形状であり、その一辺の長さは0.4mm程度である。また、実装ランド41と実装ランド42との間隔は0.2mm程度である。実装ランド41には配線43が接続され、実装ランド42には配線44が接続されている。これら、実装ランド41,42及び配線43,44も銅(Cu)又は金(Au)メッキ等の金属を用いて形成されている。これら実装ランド41と実装ランド42との間に素子が配置される。尚、実装ランド41と実装ランド42との間隔は0.5mmに設定されることもある。
【0021】
また、図2(a)に示す通り、配線43,44及び実装ランド41,42の上部にレジスト15が形成されている。そして実装ランド41,42の間には実装すべき素子が配置される。この素子は、一方の電極が実装ランド41上に、他方の電極が実装ランド42上に配置されるよう配置される。
【0022】
上述した通り、図1に示す本実施形態のランド11,12の間隔は、素子が搭載される実装ランド41,42の間隔よりも狭く設定されている。これは、表面張力を有する半田16にてランド11,12をブリッジする際にブリッジを容易にするとともに、0Ω抵抗素子を実装する場合に要する実装面積よりも狭い実装面積で0Ω抵抗と同様の効果(検査ポイントの確保等)を得るためである。
【0023】
以上の通り、本実施形態においては、ランド11とランド12との間隔が0.1mm程度と実装ランド41,42の間隔よりも狭く設定されているとともに、ランド11,12を跨ぐようレジスト15に形成された開口部15a内に設けられた半田16によりランド11とランド12とをブリッジすることにより、従来用いられていた0Ω抵抗素子を省略している。このため、0Ω抵抗素子を用いた場合に比べて部品点数の削減、0Ω抵抗素子を基板10上に搭載する工程の省略、及び0Ω抵抗素子自体の不良及びその実装不良による回路基板の不良率の低減を実現することができ、この結果として回路基板のコスト低減及び歩留まりを向上させることができる。
【0024】
また、本実施形態では、ランド11とランド12とをブリッジしている半田16を除去することにより、ランド11,12を検査ポイントとして用いることができる。図3は、検査ポイントを説明するための図である。図3に示す通り、電源Pに対して直列にデバイスD1,D2が接続されているとする。ここで、デバイスD1は、例えば所定の電圧を得るための電圧デバイスであり、デバイスD2は例えばメモリである。デバイスD1はランド11に接続されて、デバイスD2はランド12に接続されており、ランド11,12は半田16により接続されているとする。ここで、半田16を除去すればランド11,12を検査ポイントとして用いることができ、これにより例えばデバイスD1のみに流れる電流又はデバイスD2のみに流れる電流を測定することができる。このため、製造された回路基板の検査を行う場合に、容易に検査を行うことができる。
【0025】
次に、以上説明した回路基板の製造方法について説明する。図4は、本発明の第1実施形態による回路基板の製造方法を示すフローチャートである。回路基板の製造においては、まず基板10の表面全体に銅(Cu)又は金(Au)メッキ等の金属層を形成し、この金属層をフォトリソグラフィ手法により所定の形状にパターニングすることにより基板10上にランド11,12を形成する(工程S11)。尚、この工程では、ランド11,12以外に、図1に示す配線13,14、図2に示す実装ランド41,42及び配線43,44、並びに回路パターンも同時に形成される。
【0026】
次いで、ランド11,12等が形成された基板10の表面全体にレジスト15を形成する(工程S12)。このとき、レジスト15にランド11,12を跨ぐ開口部15aを形成するとともに、実装ランド41,42を跨ぐ開口部15e(図2参照)も形成する。ここで、開口部15aをランド11,12に跨って形成するのは、半田16によりランド11,12のブリッジを容易にするためである。また、開口部15aは、その中心がランド11とランド12との間に位置するよう形成する。
【0027】
基板10上にレジスト15を形成すると、メタルマスクを用いて基板10の所定位置に半田16を配置する工程が行われる(工程S13)。ここで、メタルマスクとは、所定位置に所定形状・所定大きさの孔部が形成された金属板である。このメタルマスクを用いて半田16を基板10上の所定位置に配置するには、まずメタルマスクを基板10上に位置決め配置する。次に、メタルマスクの上面に半田クリームを配置して、メタルマスクの上面に沿ってスキージを摺動させることにより半田クリームをメタルマスクの孔部内に充填する。そして、メタルマスクを基板10から離間させれば、基板10上の所定位置に所定量の半田クリームが所定形状に配置される。
【0028】
メタルマスクには、基板10に対してメタルマスクを位置決め配置したときに、ランド11,12の上方となる位置、及び前述した実装ランド41,42の上方となる位置等に上記の孔部が形成されている。図5は、メタルマスクに形成された孔部を示す図であって、(a)はメタルマスクに形成される孔部の一例を示す上面図であり、(b)は(a)中のB−B線に沿う断面図である。図5に示す通り、メタルマスク20にはの長円形の孔部20aが形成されている。
【0029】
この孔部20aは、ランド11,12に対応して形成されたものであり、基板10に対してメタルマスク20を位置決め配置したときに、その中心がランド11とランド12との間に位置し、ランド11,12の上方を開口する位置に形成されている。孔部20aの形状は、ランド11,12の外形形状と一致する形状とされている。図6は、基板10に対してメタルマスク20を位置決めした状態を示す上面図である。図6に示す通り、メタルマスク15を基板10に対して位置決めすると、ランド11の外周(直線部11aを除く)とランド12の外周(直線部12aを除く)とが開口部15aに沿う状態になる。この孔部20aは、具体的には長手方向(B−B線に沿う方向)の最大長が0.9mmであり、短手方向(B−B線に直交してメタルマスク20の表面に沿う方向)の最大長は0.4mm程度の長円形に形成されている。このため、孔部20aの面積はレジスト15に形成された開口部15aの面積よりも大に設定されている。
【0030】
これは、基板10上に配置する半田クリームの量を確保するためである。基板10上に配置される半田クリームの量は、孔部20aの面積とメタルマスク20の厚みとによって定められる。メタルマスク20は一般的にその厚みが一定であるため、開口部15aの面積を調整することで基板10上に配置する半田クリームの量を調整している。本実施形態ではレジスト15に形成された開口部15aの面積が約0.18mm2であり、孔部20aの面積は約0.27mm2である。ここで、メタルマスク20の厚みが約0.12mmであるため、孔部20aを介して基板10上に配置される半田クリームの量は、約0.0324mm3である。
【0031】
また、図5(b)に示す通り、メタルマスク20における孔部20aの周縁部の厚みは、図1に示すランド11とランド12と間隔よりも大きくされている。上記の通り、基板10上に配置される半田クリームの量は、メタルマスク20の厚みと孔部20aの面積とによって定まる。従って、メタルマスク20の厚みを厚くすれば、孔部20aの面積を小さくしても同量の半田クリームを基板10上に配置することができる。しかしながら、孔部20aの面積を小さくしすぎると、メタルマスク20を基板10上から除去するときに半田クリームが孔部20aに充填されたままメタルマスク20が除去されてしまう。これを防止するため、孔部20aの周縁部の厚みをランド11とランド12との間隔よりも大きくしている。
【0032】
尚、ここでは半田クリームをメタルマスク20を用いて基板10上に配置する場合を例に挙げて説明しているが、メタルマスク20の厚みが所定の厚みよりも薄いと、半田の種類によってはメタルマスク20の孔部20aに充填するときに問題が生ずることがある。
例えば、半田が表面張力を有するものである場合である。かかる半田を厚みの薄いメタルマスクに形成された孔部に充填しようとすると、半田はその表面張力のために孔部内に行き渡る前に孔部からはみ出してしまう。このため、メタルマスク20の周縁部の厚みは、図1に示すランド11とランド12と間隔よりも大きくされている。尚、メタルマスク20の軽量化を図るために、孔部20aの周縁部のみ厚みを厚くし、他の部分は厚みを薄くしても良い。
【0033】
尚、ここでは半田クリームをメタルマスク20を用いて基板10上に配置する場合を例に挙げて説明しているが、メタルマスク20の厚みが所定の厚みよりも薄いと、以下の問題が考えられる。実装ランド41と実装ランド42はランド間隔を0.2mm程度に設定しているが、メタルマスク20の厚みが薄いと部品を基板に接続する為の必要な半田量との関係から孔部を大きく設定しなければならず、その結果本来ショートさせないランド間がショートしてしまう危険が生じるからである。
【0034】
以上のメタルマスク20を基板10に対して位置決めし、メタルマスク20上に半田クリームを配置してスキージをメタルマスク20上で摺動させると、半田クリームが孔部20a等に充填され、これにより半田クリームがランド11,12上及び搭載ランド上に配置される。また、図2(b)に示す通り、メタルマスク20には、実装ランド41の上方となる位置に孔部20bが形成されており、実装ランド42の上方となる位置に孔部20cが形成されている。これら孔部20b,20cは円形形状であり、その直径は、0.3mm程度である。図4に示す工程S13では、この孔部20b,20cを介して実装ランド41,42上にも半田が配置される。半田の配置が終了すると、基板10上に配置されているメタルマスク20を除去する工程が行われる(工程S14)。
【0035】
次いで、基板10上に各種の素子を配置する工程が行われる(工程S15)。基板10上には種々の素子が配置されるが、例えば上述した実装ランド41と実装ランド42との間に抵抗素子等の素子が配置される。この素子の配置は、例えばマウンタを用いて行われる。マウンタで素子配置すると、基板上に配置されている半田クリームが素子で潰される。素子の配置が終了すると、リフロー処理を行う(工程S16)。
【0036】
ここで行うリフロー処理は、赤外線を用いた赤外線リフロー処理及び熱郛を用いた熱風リフロー処理の何れであっても良い。以上のリフロー処理を行うことにより、ランド11とランド12との半田16によるブリッジ接続と、基板10上に搭載された素子の電極と搭載ランドとの半田付けとが同時に行われる。
【0037】
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図であって、(a)は上面透視図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。尚、図7において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図7と図1とを比較すると、図7に示すレジスト15の開口部15bが、図1に示すレジスト15の開口部15aよりも円形に近い形状に形成されており、この開口部15b内にランド11とランド12とをブリッジする半田16が配置されている点である。
【0038】
開口部15bの形状は円形に近い長円形であって、その長手方向(A−A線に沿う方向)の最大長が0.5mm、短手方向(A−A線に直交して基板10の表面に沿う方向)の最大長が0.3mm程度である。よって、第1実施形態よりもランド11,12上をレジスト15が覆っている領域が増大しており、半田16とランド11,12との接合面積が減少している。
【0039】
レジスト15の開口部15bを円形に近い長円形としたのは、リフロー処理によってランド11とランド12とを接続する際の半田16の表面張力を考慮したためである。つまり、リフロー処理によって半田16を液状にすると、その表面張力によって半田16は開口部15bの中心部に集中する。この集中する箇所を半田16の載りにくいランド11,12間に設定すれば、より確実なブリッジを実現することができる。このため、本実施形態ではレジスト15に形成される開口部15bの形状を円形に近い長円形状にしてある。
【0040】
尚、開口部15bを完全な円形にすることが望ましいが、かかる形状にすると半田16とランド11,12との接合面積が低下するため、図7に示す長円形にしている。また、以上説明した構成のランドは、第1実施形態で説明した製造方法と同様の方法を用いて製造することができる。尚、半田クリームを基板10上に配置する際には、図5と同一のメタルマスクを用いる。
【0041】
〔第3実施形態〕
図8は、本発明の第3実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図であって、(a)は上面透視図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。尚、図8において、図1,図7に示す部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図8と図1とを比較すると、図8に示すランド31,32が図1に示すランド11,12よりも大に形成されているとともに、レジスト15に形成される開口部15cがランド31,32の外形よりも大に形成されている点である。
【0042】
ランド31,32はそれぞれ半長円形に形成されており、各々の直線部31a,32aが配線13,14の延びる方向に対してほぼ直交し、且つ互いに対向するように配置されている。ランド31,32の長手方向(A−A線に沿う方向)の最大長、及び短手方向(A−A線に直交して基板10の表面に沿う方向)の最大長は0.5mm程度であり、ランド31とランド32との間隔は0.1mm程度である。
【0043】
また、開口部15cの形状は長円形であって、その長手方向(A−A線に沿う方向)の最大長が1.2mm、短手方向(A−A線に直交して基板10の表面に沿う方向)の最大長が0.5mm程度である。従って、ランド31,32が開口部15cによって開放されている。レジスト15の開口部15cをランド31,32の外形よりも大としたのは、リフロー処理によってランド31とランド32とを接続する際の半田16の接合面積を増大させるためである。尚、以上説明した構成のランドは、第1実施形態で説明した製造方法と同様の方法を用いて製造することができる。尚、半田クリームを基板10上に配置する際には、図5と同一形状の開口部がメタルマスクを用いるが、この開口部の大きさはランド31,32に合わせた大きさである。
【0044】
〔第4実施形態〕
図9は、本発明の第4実施形態による回路基板に形成されるランドの構成を示す図であって、(a)は上面透視図であり、(b)は(a)中のA−A線に沿う断面図である。尚、図9において、図8に示す部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図9と図8とを比較すると、図9に示すレジスト15の開口部15dが円形に形成されており、この開口部15d内にランド31とランド32とをブリッジする半田16が配置されている点である。
【0045】
開口部15dの形状は円形であって、その直径が0.6mm程度である。よって、A−A線に直交して基板10の表面に沿う方向については、ランド31,32よりも大に形成されている。開口部15dの直径をかかる大きさにすることで、半田16とランド31,32との接合面積の減少を抑えることができる。開口部15dを円形とするのは第2実施形態で説明した理由と同様の理由である。つまり、リフロー処理によってランド31とランド32とを接続する際の半田16の表面張力を考慮したためである。尚、以上説明した構成のランドは、第1実施形態で説明した製造方法と同様の方法を用いて製造することができる。尚、半田クリームを基板10上に配置する際には、図5と同一形状の開口部がメタルマスクを用いるが、この開口部の大きさはランド31,32に合わせた大きさである。
【0046】
以上説明した通り、本実施形態の回路基板によれば、ランド11とランド12との間隔又はランド31とランド32との間隔が0.1mm程度と狭く設定されている。また、ランド11,12又はランド31,32を跨ぐようレジスト15に形成された開口部15a〜15d内に設けられた半田16によりランド11とランド12とをブリッジすることにより、従来用いられていた0Ω抵抗素子を省略している。このため、0Ω抵抗素子を用いた場合に比べて部品点数の削減、0Ω抵抗素子を基板10上に搭載する工程の省略、及び0Ω抵抗素子自体の不良及びその実装不良による回路基板の不良率の低減を実現することができ、この結果として回路基板のコスト低減及び歩留まりを向上させることができる。
尚、半田16の接続状態としては、第1実施形態が最も良好であった。
【0047】
また、本実施形態では、ランド11とランド12とをブリッジしている半田16を除去することにより、ランド11,12を検査ポイントとして用いることができる。このため、製造された回路基板の検査を行う場合に、容易に検査を行うことができる。更に、ランド12,13又はランド31,32のブリッジ接続は、メタルマスクを用いて簡便行うため、効率よくランドをブリッジ接続することができる。更に、ランド12,13又はランド31,32のブリッジ接続と基板10上に配置された素子の半田付けとを同時に行えば更なる効率の向上を図ることができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態による回路基板及びその製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、ランドの大きさ及び形状、レジスト15に形成する開口部の大きさ及び形状は上記の実施形態に制限されることはない。また、上記実施形態ではメタルマスクに形成された孔部の形状がランドの外形形状と一致する形状である場合を例に挙げて説明したが、孔部の形状がランドの外形形状に一致することは必ずしも必要ない。更に、上記実施形態では、ランド11,12の直線部11a,12a及びランド31,32の直線部31a,32aが配線13,14の延びる方向に対してほぼ直交していたが、これらが配線13,14の延びる方向に対して斜め方向に形成されている場合であっても本発明を適用することができる。
【0049】
更に、上記実施形態では、ランド11,12の間隔及びランド31,32の間隔が0.1mm程度である場合を例に挙げて説明したが、これらの間隔は搭載ランドの間隔よりも小さければ良い。例えば、搭載ランドの間隔が0.3mmである場合には、0.2mmであっても良く、0.1mmよりも狭い間隔にしても良い。但し、余り狭い間隔にすると、検査時における作業効率が低下するため、0.1mm前後であることが望ましい。
【0050】
〔電子機器〕
図10は、本発明の一実施形態による電子機器としての携帯電話機の外観を示す図である。図10に示す通り、携帯電話機50は、第1の筐体51と第2の筐体52とをヒンジ部53により互いに折り畳み自在に連結してなるものである。第1の筐体51の内部には通話キー、終話キー、テンキー、ソフトキー等の各種の操作キー54及びマイクロフォン55が設けられており、これらは、折り畳んだ際に第2の筐体52と対向する第1の筐体51の対向面56側に露出している。第2の筐体52の内部には、液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置57及びスピーカー58が設けられており、表示装置57の表示面57a及びスピーカー58は、折り畳んだ際に第1の筐体51と対向する第2の筐体52の対向面59側に配されている。
【0051】
表示装置57は、不図示の基地局と携帯電話機50との通信状態、ユーザによる操作キー54の操作内容を示す操作情報、メールの内容等の各種情報を表示するためのものであり、平面視略矩形状に形成されている。また、マイクロフォン55及びスピーカー58は、第1の筐体51と第2の筐体52とを相互に開いた状態にてアンテナ(図示省略)を介して、無線通話を行ったり、音楽再生や音声録音時に使用するものである。尚、図示は省略しているが、第1の筐体51の側面には、マイクロフォン、スピーカー、及び操作キーを備えるイヤホンマイク(図示省略)を接続するためのコネクタが設けられている。以上の構成の携帯電話機50の第1の筐体51の内部及び筐体52の内部に、前述した回路基板が設けられている。
【0052】
また、本発明の電子機器は筐体が互いに折り畳み自在に連結された携帯電話機50に限定される訳ではなく、折り畳み式ではない1つの筐体からなる携帯電話機であってもよい更に、本発明の電子機器は携帯電話機に限られることなく、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、更にはノートパソコン等の種々の電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…基板(回路基板)、 11…ランド(第1導通ランド)、 12…ランド(第2導通ランド)、 15…レジスト、 15a〜15d…開口部、 16…半田、 31…ランド(第2導通ランド)、 32…ランド(第2導通ランド)、 41…実装ランド(第1実装ランド)、 42…実装ランド(第2実装ランド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフローソルダリングに使用される回路基板であって、
前記回路基板と、
前記回路基板上に設けられる第1導通ランドと、
前記第1導通ランドと第1の距離を離して設けられる第2導通ランドと、
前記回路基板の表面を覆い、前記第1導通ランドと前記第2導通ランドとその中間領域とに亘る開口部を有するレジストと、
前記開口部に配され、前記第1導通ランドと前記第2導通ランドと前記中間領域とに拡がって前記第1と第2導通ランドを接続するリフロー半田と、を有し、
前記開口部は実質的に楕円形であって、
前記中間領域は前記開口部の長手方向における中央に位置し、
前記第1導通ランドと前記第2導通ランドは、前記開口部長手方向においてそれぞれ反対側に位置し、
前記第1と第2導通ランドの有する第1の端部と第2の端部はそれぞれ直線かつ互いに平行に向き合い、
前記第1導通ランドと前記第2導通ランドは、それぞれ半楕円形であることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記開口部は、前記第1及び第2導通ランド上にそれぞれ位置する第1及び第2の領域と、前記中間領域上に位置する第3の領域と、を有し、
前記第3の領域は、前記長手方向に直交する方向において、前記第1及び第2の領域より幅が広いことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1の領域は、前記第1導通ランドより小さく、
前記第2の領域は、前記第2導通ランドより小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記基板上に設けられた第1実装ランドと、
前記第1実装ランドから第2の距離を離して設けられた第2実装ランドと、
を有し、
前記第1の距離は前記第2の距離より短いことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記基板表面は、前記第1及び第2導通ランドより、前記リフロー半田の濡れ性が低いことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項6】
前記開口部の前記第1及び第2の領域は、前記長手方向に直交する方向における第1及び第2の長さをそれぞれ有し、
前記開口部の前記第3の領域は、前記長手方向における第3の長さを有し、
前記第3の長さは、前記第1及び第2の長さより短いことを特徴とする請求項2に記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−4591(P2012−4591A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188738(P2011−188738)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【分割の表示】特願2005−248449(P2005−248449)の分割
【原出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】