説明

回路装置、及び携帯電子機器

【課題】組立てが容易な回路装置や、前記回路装置を有する携帯電子機器を実現することにある。
【解決手段】内部アセンブリ21は、電子部品が実装された基板アセンブリ41と、基板アセンブリ41に接続される接続部59aを有するFPC59と、を備える。FPC59は、接続部59aから離れた位置にスルーホール59cが形成された孔部59bを有し、
孔部59bが、スルーホール59cに流入した接着剤72により基板アセンブリ41に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、及び携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が実装された回路基板を有する回路装置として、例えば携帯電子機器に内蔵されたものがある。携帯電子機器内には、他のデバイス(例えば、カメラユニット)も設けられており、前記デバイスと回路基板の接続させる必要がある。一方で、携帯電子機器の小型化等に対応する必要がある。
【0003】
これらの要請に応えるべく、前記デバイスには、例えば、柔軟性を有するフレキシブル基板が形成されている。そして、フレキシブル基板が回路基板に接続されることにより、前記デバイスが回路基板に接続される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−51431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接続経路の確保の観点等から、フレキシブル基板を回路基板(又は、回路基板上の電子部品を覆うシールド部材)に固定する必要がある。そして、フレキシブル基板を固定する方法として、例えば両面テープを用いる方法が提案されている。
【0005】
しかし、この方法では、両面テープの一方の面をフレキシブル基板に貼り付け、他方の面を回路基板に貼り付けることにより、フレキシブル基板を回路基板に固定する。しかし、かかる方法では、両面テープの剥離紙等を剥がす必要があり、組み立てが煩雑になる恐れがある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組立てが容易な回路装置や、前記回路装置を有する携帯電子機器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回路装置は、電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記回路基板に固定されることを特徴とする。
【0008】
さらに好適には、前記回路基板は、前記孔部に対向する位置に形成された穴部を備え、前記接着剤が前記孔部と前記穴部に流入して、前記穴部に対して前記孔部が固定されることが望ましい。
【0009】
さらに好適には、前記貫通孔は、円状の孔であり、前記穴部は、円状の穴を有し、前記穴の直径は、前記貫通孔の直径よりも小さいことが望ましい。
【0010】
さらに好適には、前記接着剤は、導電性を有し、前記穴部は、グランドに電気的に接続されていることが望ましい。
【0011】
また、本発明に係る回路装置は、電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板をシールドするシールド部材と、前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記シールド部材に固定されることを特徴とする。
【0012】
さらに好適には、前記シールド部材は、前記孔部に対向する位置に形成された穴部を備え、前記接着剤が前記孔部と前記穴部に流入して、前記穴部に対して前記孔部が固定されることが望ましい。
【0013】
また、本発明に係る携帯電子機器は、電子機器本体と、前記電子機器本体内に設けられた回路装置と、を有し、前記回路装置は、電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記回路基板に固定されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る携帯電子機器は、電子機器本体と、前記電子機器本体内に設けられた回路装置と、を有し、前記回路装置は、電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板をシールドするシールド部材と、前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記シールド部材に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、組立てが容易な回路装置や、前記回路装置を有する携帯電子機器を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
==携帯電話機の外部構成==
図1は、本実施形態に係る携帯電子機器の一例である携帯電話機1の外観を示す斜視図である。携帯電話機1は、いわゆるフリップ式の携帯電話機であり、本体部3と、本体部3に対して折り畳み可能に連結されたフリップ5とを備えている。
【0017】
本体部3は、正面3a側に、表示部9と操作部11と音声出力部15と音声入力部19を有している。表示部9は、各種情報を表示する。操作部11は、各種機能の設定等を実行するために、使用者の操作を受け付ける。そして、表示部9は、本体部3の第1端部3c側に設けられ、操作部11は、本体部3の第2端部3d側に設けられている。音声出力部15は、通話時の相手側の音声を出力する。音声入力部19は、通話時に使用者が発した音声を入力する。そして、音声出力部15は、表示部9よりも第1端部3c側に、音声入力部19は、操作部11よりも第2端部3d側に配置されている。
==本体部3の内部構成==
図2は、携帯電話機1の分解斜視図である。携帯電話機1の本体部3は、本体部3の背面3b側(図2の紙面下方側)から、ケース7と、回路装置の一例である内部アセンブリ21と、パッキン23と、枠部材25と、正面部材グループ29等が積層されて構成されている。なお、本実施形態においては、本体部3の、内部アセンブリ21を除いた部分が、電子機器本体に相当する。
【0018】
ケース7は、リアケース31と、リアケース31の背面側に被せられる蓋体33とを有している。リアケース31及び蓋体33は、例えば樹脂により形成されている。また、リアケース31は、基部31aと、基部31aの周縁から正面3a側に突出する周壁部31bとを有している。周壁部31bは、例えば、第2端部3d側を除き、基部31aの周縁に沿って延びている。リアケース31において、基部31aに対向する面は開放されており、開放部31cが形成されている。
【0019】
内部アセンブリ21は、種々の電気回路等を有する。この内部アセンブリ21は、フレーム44や表示器53や複数のスイッチ55等を有する。なお、内部アセンブリ21の詳細構成については、後述する。
【0020】
枠部材25は、表示器53をフレーム44に固定するための部材である。この枠部材25は、表示器53に対向する被覆部25aを有している。被覆部25aは、表示器53の周縁を覆っている。また、枠部材25は、導電性を有しており、例えば一枚の板金から構成されている。
【0021】
パッキン23は、スポンジやゴム等の弾性部材により構成されている。このパッキン23は、枠部材25の被覆部25aと、表示器53との間に挟まれ、これらの部材に当接する。正面部材グループ29は、本体部3の正面3aを構成する複数の部材、具体的には透光板65と被覆部材67と操作部材69と連結部材77を有している。
【0022】
透光板65は、透光性を有する樹脂等により形成されており、対向する表示器53(具体的には、表示面53a)を保護する。この透光板65は、両面テープ27によって枠部材25に対して固定されている。被覆部材67は、樹脂等により形成されており、隙間等を隠す。この被覆部材67は、透光板65と操作部材69の間に設けられている。
【0023】
操作部材69は、ユーザの操作を受け付ける。この操作部材69は、複数のスイッチ55に被せられるキーシート等を有する。このキーシートは、透光性を有するシリコンゴムにより形成されている。連結部材77は、フリップ5の連結部5aと連結されている。これにより、フリップ5は、本体部3に対して折り畳み可能となっている。
==内部アセンブリ21の詳細構成==
図3は、本体部3の背面3b側から見た内部アセンブリ21の一部を示す分解斜視図である。図4は、本体部3の正面3a側から見た内部アセンブリ21の一部を示す分解斜視部である。
【0024】
内部アセンブリ21は、回路基板の一例である基板アセンブリ41と、フレキシブル基板(以下においては、便宜上、FPCと呼ぶ)43と、シールド部材の一例であるフレーム44と、表示器53と、複数のスイッチ55とを有する。
【0025】
基板アセンブリ41は、図3に示すように、第1回路基板45、第2回路基板49が積層されて構成されている。第1回路基板45及び第2回路基板49は、樹脂をベースとしたプリント配線基板により構成されている。第1回路基板45及び第2回路基板49の実装面には、種々の電子部品が実装されている(この結果、基板アセンブリ41には、種々の電気回路が構成されている)。また、第1回路基板45及び第2回路基板49の実装面には、グランドラインを構成するグランドパターン層41a(一部のみ図示する)が形成されている。なお、基板アセンブリ41は一枚の回路基板により構成されてもよい。
【0026】
FPC43は、第1実装部43aと、第2実装部43bと、連結部43cを有している。第1実装部43aには、図3に示すように、音声入力部19を構成するマイクロフォン17と、FPC43と第1回路基板45とを電気的に接続するコネクタ51等が設けられている。第2実装部43bには、図4に示すように、操作部11を照明するための複数のLED61と、電流を調整する複数の抵抗体63とが、設けられている。なお、第1実装部43aは、フレーム44から見て基準アセンブリ41側に位置し、第2実装部43bは、フレーム44から見て基準アセンブリ41とは反対側に位置する。連結部43cは、第1実装部43aと第2実装部43bとを電気的に接続する。
【0027】
フレーム44は、板状の形状を成している。このフレーム44に対して、基準アセンブリ41やFPC43等が取り付けられている。そして、フレーム44の本体部3の第1端部3c側(図3の紙面上方側)においては、リアケース31、基板アセンブリ41、フレーム44の順に積層されている。フレーム44の第2端部3d側(図3の紙面下方側)においては、リアケース31、第1実装部43a、フレーム44、第2実装部43bの順に積層されている。
【0028】
また、フレーム44は、表面又は全体に導電性を有しており、例えば金属により構成されている。そして、フレーム44は、基板アセンブリ41のグランドラインに電気的に接続されて基板アセンブリ41及びFPC43をシールドするシールドケースとして機能する。例えば、フレーム44は、基板アセンブリ41側の面に、基板アセンブリ41側に突出し、第1回路基板45のグランドパターン層41aに沿って延びるリブ44aを有している。そして、リブ44aがグランドパターン層41aに当接することにより、フレーム44は第1回路基板45のグランドラインに電気的に接続される。
【0029】
なお、図3に示すように、本体部3の第1端部3c側においては、音声出力部15を構成するスピーカ13が、フレーム44と第1回路基板45によって挟まれた状態で、設けられている。
【0030】
表示器53は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにより構成されている。この表示器53は、図4に示すように、表示器53の外形を構成する筐体56及び透明カバー57を有している。筐体56は、金属により構成され、透明カバー57は、透明な樹脂により構成されている。また、表示器53は、表示器53から延在するFPC59を介して基板アセンブリ41と電気的に接続される。
【0031】
複数のスイッチ55は、図4に示すように、ドームスイッチ等の押圧式のスイッチにより構成されている。スイッチ55が押圧されると、所定の信号が生成される。そして、生成された信号は、FPC43を介して基板アセンブリ41に出力される。
==FPC43、59の基板アセンブリ41等への固定構造==
上述したように、FPC43とFPC59は、基板アセンブリ41に電気的に接続されている。ところで、携帯電話機1の小型化に起因する接続経路の確保の観点等から、内部アセンブリ21の組立て時に、FPC43やFPC59を基板アセンブリ41等に固定する必要がある。一方で、組立性の向上の観点から、FPC43、59の固定が容易に行われることが求められている。
【0032】
上述した要請に応えるべく、本実施形態においては、FPC43がフレーム44に接着剤で固定され、FPC59が基板アセンブリ41に接着剤で固定されている。以下においては、FPC59の固定構造について説明した後に、FPC43の固定構造について説明する。
<<FPC59の固定構造>>
図5は、FPC59の基板アセンブリ41への固定構造を示す断面模式図である。図6は、図5に示す矢印Xの方向で見たときの、FPC59の基板アセンブリ41への固定構造を示す模式図である。なお、図6には、説明の便宜上、接着剤72を示していない。
【0033】
基板アセンブリ41は、コネクタ41bと、穴部41cを有する。コネクタ41bは、FPC59と接続するためのものである。穴部41cは、貫通孔であるスルーホール41dを有する。スルーホール41dは、円状の孔である。また、スルーホール41dは、基板アセンブリ41のグランドパターン層41aと繋がっている。換言すれば、スルーホール41dは、グランドに電気的に接続されている。なお、穴部41cは、スルーホール41dとその周辺部を含む部分を指す。
【0034】
FPC59は、接続部59aと、孔部59bを有する。接続部59aは、FPC59の端部に形成されており、基板アセンブリ41に設けられたコネクタ41bに接続する。そして、接続部59aがコネクタ41bに接続することにより、FPC59が基板アセンブリ41に接続することとなる。孔部59bは、FPC59の接続部59aから離れた位置であって、基板アセンブリ41の穴部41cに対応する位置に形成されている。この孔部59bは、貫通孔であるスルーホール59cを有する。このスルーホール59cは、円状の孔である。なお、孔部59bは、スルーホール59cとその周辺部を含む部分を指す。
【0035】
ところで、FPC59の基板アセンブリ41への固定は、以下のようになっている。すなわち、FPC59のスルーホール59cを含む孔部59bと、基板アセンブリ41のスルーホール41dを含む穴部41cとに、接着剤72が塗られている。具体的には、スルーホール59c内に接着剤72が流入するように、孔部59bに接着剤72が塗られている。同様に、スルーホール41d内に接着剤72が流入するように、穴部41cに接着剤72が塗られている。また、接着剤72は、孔部59bと穴部41cの間の領域にも存在する。このように塗られた接着剤72が、FPC59の孔部59bと、基板アセンブリ41の穴部41cを接着することにより、FPC59が基板アセンブリ41に固定される。
【0036】
また、接着剤72は、導電性を有しており、例えばポリイミド系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤である。ただし、接着剤72が導電性を有するのであれば、これらに限定されない。そして、導電性を有する接着剤72が塗られた穴部41cが、グランドに電気的に接続されているので、FPC59もグランドに接続されることとなる。この結果、発生した静電気(例えば、使用者が携帯電話機1を操作する時に発生する静電気)を、接続部59aからだけでは無く、FPC59からグランドに接続された経路によっても除去できる。特に、本実施形態においては、穴部41cの設けられた位置が、表示器53とコネクタ41bを結ぶFPC59の真ん中の位置となっており、静電気対策がより効果的に行われる。
【0037】
ここで、内部アセンブリ21の組立て時におけるFPC59の基板アセンブリ41への固定方法について、説明する。
【0038】
FPC59の基板アセンブリ41への固定においては、接着剤72を塗る前に、FPC59の基板アセンブリ41に対する位置決めが行われる。FPC59の基板アセンブリ41に対する位置決めは、FPC59のスルーホール59cが基板アセンブリ41のスルーホール41dに対向する位置になるように、FPC59をセットすることによって行われる。このように、スルーホール41dとスルーホール59cが位置決め穴の機能を有するので、容易に位置決めを行える。
【0039】
次に、位置決めされたFPC59に対して、孔部59bの上方からスルーホール59cに流入する(充填される)ように、接着剤72を塗る(付着させる)。スルーホール59cに流入した接着剤72は、自重等によって、下方に位置する穴部41cに向かって流動する。この結果、接着剤72はスルーホール41dに流入する(充填される)こととなる。なお、流動した接着剤72は、穴部41cの、スルーホール41dの周囲の部分にも付着する。この結果、接着剤72が、全体として、孔部59bと穴部41cを覆うこととなる。
【0040】
ところで、穴部41cのスルーホール41dの直径が、孔部59bのスルーホール59cの直径よりも小さいので、孔部59bに塗られた接着剤72が穴部41c側に過大に流動することを抑制できる。これにより、孔部59bに付着した接着剤72の量が少ないことによって接着強度が低下することを抑制できる。
【0041】
このようにスルーホール59cの上方から接着剤72を付着させる(流入させる)だけで、接着剤72が孔部59bと穴部41cを覆う(すなわち、接着剤72が、孔部59bと穴部41cを接着する)ので、孔部59bが穴部41cに容易に固定される。このように、上述したFPC59の固定構造によれば、FPC59が基板アセンブリ41に容易に固定される。
【0042】
なお、図5や図6では、穴部41cと孔部59bが、1つのみ示されているが、穴部41cと孔部59bが、それぞれ複数形成されていても良い。また、図7に示すように、スルーホール41dの直径とスルーホール59cの直径が同じ大きさであることとしても良い。かかる場合にも、簡易にFPC59を基板アセンブリ41に固定できる。なお、図7は、他の実施例に係るFPC59の固定構造を示す模式図である。また、穴部41cにスルーホール41dが形成されていることとしたが、穴部41cに凹みが形成されていることとしても良い。
<<FPC43の固定構造>>
図8は、FPC43のフレーム44への固定構造を示す断面模式図である。FPC43のフレーム44への固定構造は、FPC59の基板アセンブリ41への固定構造と同様である。以下、具体的に説明する。
【0043】
FPC43も、接続部43dにて基板アセンブリ41のコネクタ41eに接続している。一方で、FPC43の接続部から離れた位置に形成された孔部43eは、接着剤72によって、フレーム44に形成された穴部44bに固定されている。すなわち、接着剤72が、孔部43eと穴部44bを接着することにより、FPC43がフレーム44に固定される。
【0044】
なお、孔部43eは、穴部44bに対向する位置に形成されている。そして、孔部43eは、貫通孔であるスルーホール43fを有し、穴部44bは貫通穴44cを有している。そして、接着剤72が、スルーホール43fと貫通穴44cに流入する(充填される)ように、塗られることにより、孔部43eが穴部44bに固定される。
【0045】
そして、内部アセンブリ21の組立て時におけるFPC43のフレーム44への固定方法は、FPC59の基板アセンブル41への固定方法と同様である。すなわち、まず、FPC43のスルーホール43fがフレーム44の貫通穴44cに対向するように、FPC43のフレーム44に対する位置決めを行う。そして、位置決めされたFPC43に対して、孔部43eの上方からスルーホール43fに流入する(充填される)ように、接着剤72を付着させる。これにより、FPC43の孔部43eが、フレーム44の穴部44bに固定される。
【0046】
なお、上記においては、フレーム44の穴部44bに貫通穴が形成されていることとしたが、これに限定されない。例えば、穴部44bに、貫通していない穴(すなわち、凹み)が形成されていることとしても良い。
<<本実施形態に係るFPC43、59の固定構造の有効性>>
上述したように、FPC43、59に形成された孔部に接着剤72を塗って、前記FPCと基板アセンブリ41等を固定する場合には、以下に説明するような効果が作用される。
【0047】
ここでは、まず、図9に示す比較例について説明する。図9においては、FPC59が、両面テープ73によって基板アセンブル41に固定されている。両面テープ73を用いた場合には、以下のような問題が生じる。
【0048】
すなわち、両面テープ73は剥離紙を有するので、FPC59を基板アセンブル41に固定する際に、作業者が剥離紙をはがす必要がある。このため、内部アセンブル21の組立てが煩雑なものとなる。また、両面テープ73の貼り付けが不十分である場合には、FPC59と基板アセンブル41の固定が不十分なものとなる。更に、両面テープ73が導電性を有する場合には、ただ貼るだけでは無く、貼られた両面テープ73をこする等しなければ、両面テープ73を介しての導通が不十分なものとなる。
【0049】
これに対して、本実施形態に係るFPC43、59の固定構造によれば(ここでは、FPC59を例に挙げて説明する)、孔部59bのスルーホール59cに流入した接着剤72が、孔部59bと、基板アセンブリ41の穴部41cとを接着することにより、FPC59が基板アセンブリ41に固定されるので、両面テープを使用する場合に比べて作業の煩雑さが解消される。また、孔部59bを穴部41cに接着剤72で固定することにより、接着剤72が孔部59と穴部41cの接触する面積を多くできるため、接着強度を大きくできる。さらに、接着剤72が導電性を有する場合には、両面テープ73の場合のようにこする等の作業を必要とせずに、前述した静電気対策のための導通が適切なものとなる。
【0050】
このように、本実施形態に係るFPC43、59の固定構造によれば、FPC43、59を容易に固定することが可能となる。
==その他の実施形態==
一実施形態としての携帯電話機等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0051】
また、上記実施の形態においては、携帯電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標:Personal Handy Phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0052】
また、上記実施の形態においては、携帯電話機1としてフリップ式の携帯電話機を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、例えば折り畳み式の携帯電話機であっても良い。また、回路装置として、図3等に示す内部アセンブリ21を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0053】
また、上記実施の形態においては、FPC59が固定される基板アセンブリ41に穴部41cが設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、基板アセンブリ41に穴部を設けないこととしても良い。同様に、フレーム44に、穴部44bを設けないこととしても良い。
【0054】
また、上記実施の形態においては、FPC43、59の孔部のスルーホールの形状は、円形であることとしたが、これに限定されない。例えば、前記スルーホールの形状が、三角形や矩形であっても良い。
【0055】
また、上記実施の形態においては、FPC43、59がコネクタを介して基板アセンブリ41に接続されていることとしたが、これに限定されない。例えば、FPC43、59が、コネクタを介さずに、基板アセンブリ41に直に接続されていることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】携帯電話機1の外観を示す斜視図である。
【図2】携帯電話機1の分解斜視図である。
【図3】本体部3の背面3b側から見た内部アセンブリ21の一部を示す分解斜視図である。
【図4】本体部3の正面3a側から見た内部アセンブリ21の一部を示す分解斜視部である。
【図5】FPC59の基板アセンブリ41への固定構造を示す断面模式図である。
【図6】図5に示す矢印Xの方向で見たときの、FPC59の基板アセンブリ41への固定構造を示す模式図である。
【図7】他の実施例に係るFPC59の固定構造を示す模式図である。
【図8】FPC43のフレーム44への固定構造を示す断面模式図である。
【図9】比較例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯電話機、
3 本体部、
5 フリップ、
7 ケース、
9 表示部、
11 操作部、
13 スピーカ、
15 音声出力部、
17 マイクロフォン、
19 音声入力部、
21 内部アセンブリ、
23 パッキン、
25 枠部材、
27 両面テープ、
29 正面部材グループ、
31 リアケース、
33 蓋体、
41 基板アセンブリ、
41a グランドパターン層、
41b コネクタ、
41c 穴部、
41d スルーホール、
41e コネクタ、
43 FPC、
43a 第1実装部、
43b 第2実装部、
43c 連結部、
44 フレーム、
44b 穴部、
44d 接続部、
44e 孔部、
44f スルーホール、
45 第1回路基板、
47 シールド部材、
49 第2回路基板、
51 コネクタ、
53 表示器、
55 スイッチ、
56 筐体、
57 透明カバー、
59 FPC、
59a 接続部、
59b 孔部、
59c スルーホール、
65 透光板、
67 被覆部材、
69 操作部材、
72 接着剤、
77 連結部材、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、
前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、
前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記回路基板に固定されることを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路装置であって、
前記回路基板は、前記孔部に対向する位置に形成された穴部を備え、
前記接着剤が前記孔部と前記穴部に流入して、前記穴部に対して前記孔部が固定されることを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回路装置であって、
前記貫通孔は、円状の孔であり、
前記穴部は、円状の穴を有し、
前記穴の直径は、前記貫通孔の直径よりも小さいことを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の回路装置であって、
前記接着剤は、導電性を有し、
前記穴部は、グランドに電気的に接続されていることを特徴とする回路装置。
【請求項5】
電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板をシールドするシールド部材と、
前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、
前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、
前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記シールド部材に固定されることを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5に記載の回路装置であって、
前記シールド部材は、前記孔部に対向する位置に形成された穴部を備え、
前記接着剤が前記孔部と前記穴部に流入して、前記穴部に対して前記孔部が固定されることを特徴とする回路装置。
【請求項7】
電子機器本体と、前記電子機器本体内に設けられた回路装置と、を有する携帯電子機器であって、
前記回路装置は、
電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、
前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、
前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記回路基板に固定されることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項8】
電子機器本体と、前記電子機器本体内に設けられた回路装置と、を有する携帯電子機器であって、
前記回路装置は、
電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板をシールドするシールド部材と、
前記回路基板に接続される接続部を有するフレキシブル基板と、を備え、
前記フレキシブル基板は、前記接続部から離れた位置に貫通穴が形成された孔部を有し、
前記孔部が、前記貫通孔に流入した接着剤により前記シールド部材に固定されることを特徴とする携帯電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−109542(P2010−109542A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278046(P2008−278046)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】