説明

回転入力装置

【課題】スクロール表示の利便性を向上させる。
【解決手段】表示制御部63は、回転型ホイールが所定角度だけ回転したときに、選択位置に表示されている項目に隣接する隣接項目が選択可否判定部66により選択可能であると判定された場合には、当該隣接項目を表示装置13の表示画面の所定の選択位置で停止させる。一方、隣接項目が選択可否判定部66により選択不可であると判定された場合には、当該隣接項目を視認可能な表示状態で表示装置13の表示画面の所定の選択位置を通過させ、隣接項目からスクロール方向に順次隣接して存在する順次隣接項目の何れかが選択可否判定部66により選択可能であると判定されるまでは、当該順次隣接項目を視認可能な表示状態で選択位置を順次通過させ、選択可否判定部66により選択可能であると判定された順次隣接項目を選択位置で停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばジョグダイヤルを用いてスクロール操作および選択入力を行なうときに、ジョグダイヤルの回転速度が標準速度を上回った場合に、通常スクロールを間引きしたジャンプスクロールに切り替える装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−249568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る装置によれば、スクロール表示を行なうときに間引き表示を行なうことから、操作者は間引きされた項目を視認することができず、利便性が損なわれてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、スクロール表示の利便性を向上させることが可能な回転入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る回転入力装置は、複数の項目をスクロール表示可能であると共に、前記複数の項目のうち何れかの項目が所定の選択位置で所定の表示状態で停止した時に当該項目が選択されていることを示す表示を行なう表示手段(例えば、実施の形態での表示装置13)と、回転操作可能に設けられる操作手段(例えば、実施の形態での回転操作部材11)と、該操作手段の回転に応じて前記表示手段の前記スクロール表示を制御する制御手段(例えば、実施の形態での表示制御部63)とを備える回転入力装置であって、前記表示手段の前記選択位置に表示されている前記項目に隣接する前記項目である隣接項目のうち、前記操作手段の回転方向と対応するスクロール方向に存在する前記隣接項目が選択可能な状態であるか否かを判定する選択可否判定手段(例えば、実施の形態での選択可否判定部66)を備え、前記操作手段は、前記回転の所定角度毎に節度感を付与する節度感付与機構を備え、前記制御手段は、前記操作手段が前記所定角度だけ回転したときに、前記隣接項目が前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された場合には、当該隣接項目を前記表示手段の前記選択位置で停止させるスクロール表示制御を行ない、前記制御手段は、前記操作手段が前記所定角度だけ回転したときに、前記隣接項目が前記選択可否判定手段により選択不可であると判定された場合には、当該隣接項目を視認可能な表示状態で前記表示手段の前記選択位置を通過させ、当該選択位置を通過する前記隣接項目から前記スクロール方向に順次隣接して存在する前記項目である順次隣接項目の何れかが前記選択可否判定手段により選択可能であると判定されるまでは、当該順次隣接項目を視認可能な表示状態で前記表示手段の前記選択位置を順次通過させ、前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された前記順次隣接項目を前記選択位置で停止させるスクロール表示制御を行なう。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る回転入力装置では、前記制御手段は、前記選択可否判定手段により選択不可であると判定された前記隣接項目を前記表示手段の前記選択位置を通過させる際に、前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された前記隣接項目とは視覚的に異なる表示状態で前記選択位置に所定時間だけ停止させた後に、前記隣接項目に隣接する前記順次隣接項目を前記選択位置にスクロールにより表示させるスクロール表示制御を行なう。
【0008】
さらに、本発明の第3態様に係る回転入力装置では、前記制御手段は、前記選択位置に表示されている前記項目が前記選択位置から移動して前記選択可否判定手段により選択不可であると判定された前記隣接項目が前記選択位置を通過するようにして前記選択位置に移動して来るスクロール速度に比べて、前記選択位置に表示されている前記項目が前記選択位置から移動して前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された前記隣接項目が前記選択位置で停止するようにして前記選択位置に移動して来るスクロール速度の方が速くなるようにスクロール表示制御を行なう。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1態様に係る回転入力装置によれば、選択不可の項目を間引きすること無しに操作者に視認させることができると共に、選択不可の項目は節度感が付与される所定角度操作(例えば、1回の節度感が生じる回転操作)のみで通過させて、次に選択可能な項目を選択位置まで自動的にスクロールさせることができ、操作性を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の第2態様に係る回転入力装置によれば、選択不可である項目の内容をより視認し易くすることができると共に、通過した項目が選択不可であることを操作者に瞬時に認識させることができ、利便性を向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明の第3態様に係る回転入力装置によれば、選択不可である項目の内容を視認可能な時間を確保しつつ、次に選択可能な項目までの移動時間を短縮することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転入力装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る回転入力装置の回転操作部材の配置例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る回転入力装置の回転操作部材の配置例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る回転入力装置の回転操作部材の操作に伴う表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る回転入力装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による回転入力装置10は、例えば車両に搭載され、図1に示すように、操作者により操作可能な回転操作部材11と、車載機器12と、表示装置13と、処理装置14と、車両状態センサ15とを備えて構成されている。
【0014】
回転操作部材11は、例えば、回転操作に加えてプッシュ操作およびチルト操作が可能な回転型ホイール21を備えるロータリースイッチであって、ロータリーエンコーダ22と、プッシュスイッチ23と、左チルトスイッチ24と、右チルトスイッチ25とを備えて構成されている。
【0015】
回転操作部材11は、例えば図2、図3に示すように、中立位置(つまり車両の直進状態における位置)のステアリングホイール31のスポーク部32においてステアリングホイール31の回転軸Oの左側および右側の位置(例えば、回転軸Oを中心として左右対称の位置など)に配置された所謂ステアリングスイッチである。そして、ステアリングホイール31を把持した運転者の左右の手の指(例えば、親指など)で操作可能な位置範囲内に配置されている。
【0016】
回転操作部材11の回転型ホイール21の外周部の一部は、スポーク部32の表面上から外部に向かい(つまり、運転者に向かい)突出して、操作者の指により操作可能とされている。回転型ホイール21は、例えば、中立位置のステアリングホイール31の上下方向に回転可能、かつ、中立位置のステアリングホイール31の左右方向にチルト(傾動)可能、かつ、回転軸O方向にプッシュ(押圧)可能に構成されている。
【0017】
ロータリーエンコーダ22は、例えば、回転型ホイール21の回転変位量と、回転角度と、回転方向とに応じた信号を出力する。
プッシュスイッチ23は、回転型ホイール21に対する押圧操作の有無に応じた信号を出力する。
左チルトスイッチ24は、回転型ホイール21に対する左方向への傾動操作の有無に応じた信号を出力する。
右チルトスイッチ25は、回転型ホイール21に対する右方向への傾動操作の有無に応じた信号を出力する。
【0018】
そして、回転操作部材11は、回転型ホイール21に対する回転操作に対して、回転操作方向の所定角度毎に節度感を付与する節度感付与機構を備えている。
この節度感付与機構は、例えば、回転型ホイール21を回転可能に支持する回転操作部材11の本体(図示略)に設けられた弾性変形および弾性復帰可能なクリックピン(図示略)と、回転型ホイール21に設けられて回転型ホイール21の所定角度毎の回転に伴ってクリックピンに当接してクリックピンを弾性変形可能な突起部材(図示略)とを備えて構成されている。
すなわち、この節度感付与機構によれば、回転型ホイール21の所定角度毎の回転に伴って突起部材がクリックピンに当接してクリックピンを弾性変形させるときに、クリックピンの弾性力に起因する節度感が回転型ホイール21に付与される。そして、クリックピンの弾性変形によって突起部材とクリックピンとの当接が解除されると、クリックピンは弾性復帰する。そして、回転型ホイール21が、さらに所定角度毎だけ回転したときに突起部材がクリックピンに当接するようになる。
【0019】
車載機器12は、例えば、ナビゲーション装置41と、空調装置42と、音響装置43と、ルームミラーやサイドミラーの角度を調整するミラー角度調整装置44と、照明装置(図示略)と、ワイパー(図示略)と、結露除去装置(図示略)と、運転支援装置(図示略)と、走行安全装置(図示略)となどである。
【0020】
表示装置13は、例えば、インスツルメントパネル50に配置されたMID(マルチインフォメーションディスプレイ)装置51やHUD(ヘッドアップディスプレイ)装置52などであって、運転座席に着座した運転者から見て、車両の左右方向における位置が、左右の回転操作部材11,11の間の位置となるように配置されている。
【0021】
なお、MID装置51は、例えば、運転席前方のインスツルメントパネル50に設けられた車速計53およびエンジン回転数計54などの計器類を備えるメータパネル部55の中央部に配置された液晶表示装置であって、車両の走行距離、車室内外の温度、燃費情報、車両の状態などの各種の車両情報を表示する。
【0022】
また、HUD装置52は、例えば、運転席前方のフロントガラス56の一部に画像(例えば、各種の車両情報などの画像)を投影表示したり、運転席前方のインスツルメントパネル50の上方に画像(例えば、各種の車両情報などの画像)を虚像表示する。
【0023】
車両状態センサ15は、例えば、車両の速度を検出する車速センサや、シフトポジションの位置に応じた信号を出力するシフトポジションスイッチや、ブレーキペダルスイッチや、パーキングブレーキスイッチなどを備えて構成されている。
【0024】
処理装置14は、例えば、信号処理部61と、機器制御部62と、表示制御部63とを備えて構成されている。
【0025】
信号処理部61は、回転操作部材11のロータリーエンコーダ22および各スイッチ23〜25から出力される信号を取得し、回転操作部材11に対する操作者の入力操作を検出し、この検出結果の信号を機器制御部62および表示制御部63に出力する。
信号処理部61は、例えば、入力操作検出部65を備えて構成されている。
【0026】
入力操作検出部65は、例えば、ロータリーエンコーダ22から出力された信号に基づき、回転型ホイール21の回転変位量と、回転角度と、回転方向とを検出し、各スイッチ23〜25から出力された信号に基づき、回転型ホイール21に対する押圧操作と、左右方向への傾動操作との有無を検出し、これらの検出結果の信号を機器制御部62および表示制御部63に出力する。
【0027】
機器制御部62は、入力操作検出部65から出力された信号に応じて、車載機器12の動作を制御するための指令信号を出力する。
表示制御部63は、車両状態センサ15から出力された信号と、入力操作検出部65から出力された信号とに応じて、表示装置13の動作を制御するための指令信号を出力する。
【0028】
表示制御部63は、例えば、回転操作部材11の回転型ホイール21に対する操作者の所定の回転操作(例えば、1回の節度感が生じる所定角度だけ回転型ホイール21が回転する回転操作など)に応じて、表示装置13の表示画面での複数の項目のスクロール表示を制御しており、複数の項目のうち何れかの項目が所定の選択位置で所定の表示状態で停止した時に当該項目が選択されていることを示す表示(例えば、項目を囲う枠表示の追加や、輝度やコントラストや色の彩度を変更する強調表示など)を行なう。なお、所定の表示状態は、例えば項目の輝度やコントラストや色の彩度を所定の規定値に設定する表示状態などである。
そして、表示制御部63は、例えば、選択可否判定部66を備えて構成されている。
【0029】
選択可否判定部66は、例えば、表示装置13の表示画面の所定の選択位置に表示されている項目に隣接する項目である隣接項目のうち、回転操作部材11の回転型ホイール21の回転方向と対応するスクロール方向に存在する隣接項目が選択可能な状態であるか否かを判定し、判定結果の信号を出力する。
例えば、選択可否判定部66は、表示装置13の表示画面でスクロール表示される複数の項目毎に、車両状態センサ15により検出される車両の状態(例えば、車両が走行中であるか否か、シフトポジションがパーキング位置であるか否かなど)に応じて、選択可能または選択不可が対応付けられたマップなどのデータを予め記憶している。そして、車両状態センサ15から出力された信号に基づき、このデータを検索して、各項目が選択可能または選択不可であるかを判定する。
【0030】
そして、表示制御部63は、回転型ホイール21が所定角度だけ回転したときに、隣接項目が選択可否判定部66により選択可能であると判定された場合には、当該隣接項目を表示装置13の表示画面の所定の選択位置で停止させるスクロール表示制御を行なう。
【0031】
また、表示制御部63は、回転型ホイール21が所定角度だけ回転したときに、隣接項目が選択可否判定部66により選択不可であると判定された場合には、当該隣接項目を視認可能な表示状態で表示装置13の表示画面の所定の選択位置を通過させる。
表示制御部63は、選択位置に隣接項目を表示するときに、選択可否判定部66により選択不可であると判定された隣接項目に対しては、選択可否判定部66により選択可能であると判定された隣接項目とは視覚的に異なる表示状態にする。
このとき、選択可否判定部66により選択不可であると判定された隣接項目は、単に選択位置を通過させてもよいし、あるいは、所定時間だけ選択位置に停止させた後に選択位置を通過させてもよい。なお、視覚的に異なる表示状態は、例えば隣接項目の輝度やコントラストや色の彩度を規定値よりも低下させる表示状態などである。
そして、選択位置を通過する隣接項目からスクロール方向に順次隣接して存在する項目である順次隣接項目の何れかが選択可否判定部66により選択可能であると判定されるまでは、当該順次隣接項目を視認可能な表示状態で選択位置を順次通過させ、選択可否判定部66により選択可能であると判定された順次隣接項目を選択位置で停止させるスクロール表示制御を行なう。
【0032】
また、表示制御部63は、選択位置に表示されている項目が選択位置から移動して選択可否判定部66により選択不可であると判定された隣接項目が選択位置を通過するようにして選択位置に移動して来るスクロール速度に比べて、選択位置に表示されている項目が選択位置から移動して選択可否判定部66により選択可能であると判定された隣接項目が選択位置で停止するようにして選択位置に移動して来るスクロール速度の方が速くなるようにスクロール表示制御を行なう。
【0033】
本実施の形態による回転入力装置10は上記構成を備えており、次に、この回転入力装置10の動作、特に、表示制御部63の動作について説明する。
【0034】
なお、以下においては、例えば、回転操作部材11の回転型ホイール21に対して操作者の回転操作が行われた場合の一例について説明する。
この場合、例えば図4(A)〜(M)に示すように、表示装置13の表示画面の所定の選択位置13Aにおいて、複数の項目がスクロール表示されると共に、複数の項目のうち何れかの項目が所定の選択位置13Aで停止することで、当該項目が選択されていることが表示される。
【0035】
先ず、表示制御部63は、回転操作部材11に対して操作者の所定の回転操作(例えば、1回の節度感が生じる所定角度だけ回転型ホイール21が回転する回転操作など)が行われるより前においては、例えば図4(A)に示すように、選択可否判定部66により選択可能であると判定された適宜の項目(A)を表示装置13の表示画面の所定の選択位置13Aで停止させて所定の強調表示を行なうことで、この項目(A)が選択されていることを表示する待機状態を維持する。
【0036】
次に、回転操作部材11に対して操作者の所定の回転操作(例えば、1回の節度感が生じる所定角度だけ回転型ホイール21が回転する回転操作など)が行われると、例えば、順次、図4(B),(C)に示すように、適宜の項目(A)に対して回転型ホイール21の回転操作方向に対応するスクロール方向(例えば、表示画面の上下方向)に隣接して存在する隣接項目(B)をスクロールにより移動させて表示する。
【0037】
このとき、例えば車両状態センサ15の車速センサにより所定値以上の速度が検出されて車両が走行中であることが検知されたことなどに起因して、選択可否判定部66によって隣接項目(B)が選択不可であると判定されると、隣接項目(B)をスクロールにより移動させる速度(スクロール速度)を所定の第1スクロール速度に設定すると共に、この隣接項目(B)の輝度やコントラストや色の彩度を規定値よりも低下させる。
【0038】
そして、例えば、順次、図4(D),(E),(F)に示すように、隣接項目(B)を視認可能な表示状態で選択位置13Aを通過させる。これに伴い、この隣接項目(B)に対して回転型ホイール21の回転操作方向に対応するスクロール方向(例えば、表示画面の上下方向)に隣接して存在する隣接項目(C)をスクロールにより移動させて表示する。
【0039】
このとき(例えば、隣接項目(B)が選択位置13Aを通過しているタイミングなど)、例えば選択可否判定部66によって隣接項目(C)が選択不可であると判定されると、隣接項目(B)が選択位置13Aを通過した以後のタイミングにおいて隣接項目(C)をスクロールにより移動させるスクロール速度を所定の第1スクロール速度に設定すると共に、この隣接項目(B)の輝度やコントラストや色の彩度を規定値よりも低下させる。
【0040】
そして、例えば、順次、図4(G),(H)に示すように、隣接項目(C)を視認可能な表示状態で選択位置13Aを通過させる。これに伴い、この隣接項目(C)に対して回転型ホイール21の回転操作方向に対応するスクロール方向(例えば、表示画面の上下方向)に隣接して存在する隣接項目(D)をスクロールにより移動させて表示する。
【0041】
このとき(例えば、隣接項目(C)が選択位置13Aを通過しているタイミングなど)、例えば選択可否判定部66によって隣接項目(D)が選択可能であると判定されると、隣接項目(C)が選択位置13Aを通過した以後のタイミングにおいて隣接項目(D)をスクロールにより移動させるスクロール速度を所定の第1スクロール速度よりも速い第2スクロール速度に設定すると共に、この隣接項目(D)の輝度やコントラストや色の彩度を規定値に設定する。
【0042】
そして、例えば、図4(I)に示すように、隣接項目(D)を選択位置13Aで停止させ、次に、例えば、図4(J)に示すように、隣接項目(D)に所定の強調表示を行なうことで、この隣接項目(D)が選択されていることを表示する待機状態に移行する。
【0043】
次に、回転操作部材11に対して操作者の所定の回転操作(例えば、1回の節度感が生じる所定角度だけ回転型ホイール21が回転する回転操作など)が行われると、例えば、順次、図4(K)に示すように、隣接項目(D)に対して回転型ホイール21の回転操作方向に対応するスクロール方向(例えば、表示画面の上下方向)に隣接して存在する隣接項目(E)をスクロールにより移動させて表示する。
【0044】
このとき、例えば選択可否判定部66によって隣接項目(E)が選択可能であると判定されると、隣接項目(E)をスクロールにより移動させるスクロール速度を所定の第1スクロール速度よりも速い第2スクロール速度に設定すると共に、この隣接項目(E)の輝度やコントラストや色の彩度を規定値に設定する。
【0045】
そして、例えば、図4(L)に示すように、隣接項目(E)を選択位置13Aで停止させ、次に、例えば、図4(M)に示すように、隣接項目(E)に所定の強調表示を行なうことで、この隣接項目(E)が選択されていることを表示する待機状態に移行する。
【0046】
上述したように、本実施の形態による回転入力装置10によれば、複数の項目のスクロール表示を行なう際に、選択不可の項目を間引きすること無しに操作者に視認させることができると共に、選択不可の項目は回転操作部材11に1回の節度感が付与される所定角度の回転操作のみで通過させて、次に選択可能な項目を選択位置まで自動的にスクロールさせることができ、操作性を向上させることができる。
【0047】
さらに、選択可否判定部66により選択不可であると判定された項目と選択可能であると判定された項目とで視覚的に異なる表示状態になることから、選択不可である項目の内容をより視認し易くすることができると共に、選択位置を通過した項目が選択不可であることを操作者に瞬時に認識させることができ、利便性を向上させることができる。
さらに、選択可能である項目へのスクロールに比べて、選択不可である項目へのスクロールの方がスクロール速度が遅いことから、選択不可である項目の内容を視認可能な時間を確保しつつ、次の選択可能な項目までの移動時間を短縮することができ、利便性を向上させることができる。
【0048】
なお、上述した実施の形態において、機器制御部62は、選択可否判定部66により選択可能であると判定される項目間のスクロールに要するスクロール時間を、選択可否判定部66により選択不可であると判定される項目(選択不可項目)が存在するか否かにかかわらずに一定となるようにして、スクロール速度を制御してもよい。
例えば、機器制御部62は、選択可否判定部66により選択可能であると判定されて選択位置に表示されている項目(第1の選択可能項目)を選択位置から移動させて、次に選択可否判定部66により選択可能であると判定された項目(第2の選択可能項目)を選択位置に移動させるまでに要するスクロール時間を、第1の選択可能項目と第2の選択可能項目との間に選択可否判定部66により選択不可であると判定される項目(選択不可項目)が存在するか否かにかかわらずに一定となるようにして、スクロール速度を制御する。
【0049】
例えば、機器制御部62は、選択不可項目が無い場合の第1の選択可能項目から第2の選択可能項目までのスクロールに対しては、スクロール速度Vaおよびスクロール時間Taを設定する。
そして、例えば、第1の選択可能項目と第2の選択可能項目との間に1つの選択不可項目が存在する場合には、第1の選択可能項目から選択不可項目までのスクロールに対して第1スクロール速度Vb1および第1スクロール時間Tb1を設定し、選択不可項目から第2の選択可能項目までのスクロールに対して第2スクロール速度Vb2および第2スクロール時間Tb2を設定する。
ここで、上述したように第2スクロール速度Vb2は第1スクロール速度Vb1よりも速いので、Va<Vb1<Vb2となり、第1の選択可能項目から第2の選択可能項目までのスクロール時間は一定なので、Ta=Tb1+Tb2となる。
【0050】
なお、上述した実施の形態において、回転入力装置10は、車両以外の他の機器に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 回転入力装置
11 回転操作部材(操作手段)
12 車載機器
13 表示装置(表示手段)
14 処理装置
15 車両状態センサ
63 表示制御部(制御手段)
66 選択可否判定部(選択可否判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の項目をスクロール表示可能であると共に、前記複数の項目のうち何れかの項目が所定の選択位置で所定の表示状態で停止した時に当該項目が選択されていることを示す表示を行なう表示手段と、回転操作可能に設けられる操作手段と、該操作手段の回転に応じて前記表示手段の前記スクロール表示を制御する制御手段とを備える回転入力装置であって、
前記表示手段の前記選択位置に表示されている前記項目に隣接する前記項目である隣接項目のうち、前記操作手段の回転方向と対応するスクロール方向に存在する前記隣接項目が選択可能な状態であるか否かを判定する選択可否判定手段を備え、
前記操作手段は、前記回転の所定角度毎に節度感を付与する節度感付与機構を備え、
前記制御手段は、前記操作手段が前記所定角度だけ回転したときに、前記隣接項目が前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された場合には、当該隣接項目を前記表示手段の前記選択位置で停止させるスクロール表示制御を行ない、
前記制御手段は、前記操作手段が前記所定角度だけ回転したときに、前記隣接項目が前記選択可否判定手段により選択不可であると判定された場合には、当該隣接項目を視認可能な表示状態で前記表示手段の前記選択位置を通過させ、当該選択位置を通過する前記隣接項目から前記スクロール方向に順次隣接して存在する前記項目である順次隣接項目の何れかが前記選択可否判定手段により選択可能であると判定されるまでは、当該順次隣接項目を視認可能な表示状態で前記表示手段の前記選択位置を順次通過させ、前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された前記順次隣接項目を前記選択位置で停止させるスクロール表示制御を行なうことを特徴とする回転入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記選択可否判定手段により選択不可であると判定された前記隣接項目を前記表示手段の前記選択位置を通過させる際に、前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された前記隣接項目とは視覚的に異なる表示状態で前記選択位置に所定時間だけ停止させた後に、前記隣接項目に隣接する前記順次隣接項目を前記選択位置にスクロールにより表示させるスクロール表示制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の回転入力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記選択位置に表示されている前記項目が前記選択位置から移動して前記選択可否判定手段により選択不可であると判定された前記隣接項目が前記選択位置を通過するようにして前記選択位置に移動して来るスクロール速度に比べて、前記選択位置に表示されている前記項目が前記選択位置から移動して前記選択可否判定手段により選択可能であると判定された前記隣接項目が前記選択位置で停止するようにして前記選択位置に移動して来るスクロール速度の方が速くなるようにスクロール表示制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の回転入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−53561(P2012−53561A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194159(P2010−194159)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】