説明

回転圧入型鋼管杭の継手構造およびその施工方法

【課題】 双方向の回転伝達が可能でありながら、現場溶接が不要で、簡便な作業で機械的に接続でき、また構成が簡素で、鋼管杭自体の加工が僅かで済む回転圧入型鋼管杭の継手構造を提供する。
【解決手段】 上側鋼管杭1A の下部と下側鋼管杭1B の上部とに渡って回転可能に嵌合される継手管3を設ける。上側鋼管杭1A に中央回転伝達用突部BA を設け、この突部BA と相対回転で係合する側部回転伝達用突部CA を設ける。継手管3に上部引抜力伝達用突部DA を設け、この突部DA の下面に相対回転で係合する下部引抜力伝達用突部AA を上側鋼管柱1A に設ける。下側鋼管杭1B と継手管3とにも、上記各突部AA ,BA ,CA ,DA と同様な突部AB ,BB ,CB ,DB を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビルや家屋等の構造物を支持する杭基礎等となる回転圧入型鋼管杭の継手構造およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
杭基礎等となる鋼管杭において、地盤への圧入作業の容易のために、下端に螺旋形の先端羽根を設け、回転を加えながら圧入を行うものがある。鋼管杭を深く地盤に圧入せる場合は、1本の鋼管杭では長さが不足するため、地盤への圧入を行いながら複数本を順次接続する。鋼管杭を接続する場合、回転圧入型鋼管杭では回転の伝達を可能にする必要がある。また、鋼管杭の圧入位置の間違いによる変更や、傾きの修正のために、鋼管杭を逆方向に回転させて引き抜くことが必要な場合がある。そのため、逆回転の伝達も可能にすることが必要となる。
【0003】
このため、回転圧入型鋼管杭では、溶接等で上下の鋼管杭を接合するが、現場溶接では手間がかかる上、特殊技能者である溶接技術者が必要となる。このような現場溶接による課題を解消し、溶接によらずに、機械的に簡便、かつ強固に回転伝達可能に接続するようにした継手構造も種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−200535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の現場溶接による接続は、上記のように手間がかかる上、特殊技能者である溶接技術者が必要となる。また、特許文献1に提案されている機械的な継手構造は、現場溶接は不要であるものの、互いに継がれる上下の鋼管杭に環状の継手材をそれぞれ溶接し、これら上下の継手材を相互に機械的に接続するものとされる。そのため、鋼管杭を継手材付き鋼管杭とすることが必要であり、準備する鋼管杭が特殊な構造となって継手構造が複雑化する。また、工場溶接作業とはなるが、環状継手材の全周を鋼管杭に溶接することが必要となり、継手材付き鋼管杭の製作に手間がかかる。
【0006】
この発明の目的は、双方向の回転伝達が可能でありながら、現場溶接が不要で、簡便な作業で機械的に接続でき、また構成が簡素で、鋼管杭自体の加工が僅かで済む回転圧入型鋼管杭の継手構造を提供することである。
この発明の他の目的は、この発明の回転圧入型鋼管杭の継手構造において、初期沈下を防止できる施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の回転圧入型鋼管杭の継手構造は、それぞれ円形の鋼管からなる鋼管杭を上下に順次継ぎ、下端の鋼管杭は螺旋形の先端羽根を有するものとして、地盤に対し回転させながら圧入する接続型の回転圧入型鋼管杭において、上下の鋼管杭を相互に接続する継手構造であって、次の構成とすることを特徴とする。
互いに接続される上側鋼管杭の下部と下側鋼管杭の上部とに渡って回転可能に嵌合されかつ上側鋼管杭の下端面と下側鋼管杭の上端面の間に介在する外鍔を外周に有する継手管を設ける。前記継手管の上側鋼管杭に嵌合する部分および下側鋼管杭に嵌合する部分に、外周面が凹んで鋼管杭との間に隙間を形成する上杭側の外周凹み面および下杭側の外周凹み面をそれぞれ設ける。
前記継手管の前記上杭側外周凹み面およびこの上杭側外周凹み面に対向する上側鋼管杭の内面部分である凹み面対向面のいずれか一方の面に中央回転伝達用突部を設け、他方の面に、前記中央回転伝達用突部に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して前記相対回転により係合する側部回転伝達用突部を設ける。かつ、前記継手管の前記上杭側外周凹み面に上部引抜力伝達用突部を設け、前記鋼管杭の前記凹み面対向面に、前記上部引抜力伝達用突部よりも下方に位置する下部引抜力伝達用突部を設け、これら上部引抜力伝達用突部と下部引抜力伝達用突部との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭に引き抜き側の回転を与えて中央回転伝達用突部が側部回転伝達用突部に係合した相対回転状態で互いに上下に係合可能であり、かつ前記中央回転伝達用突部が左右両側の側部回転伝達用突部間の中間にある相対回転状態では互いに上下に係合不能となる位置関係とする。
前記継手管の前記下杭側外周凹み面およびこの下杭側外周凹み面に対向する下側鋼管杭の内面部分である凹み面対向面のいずれか一方の面に下杭側の中央回転伝達用突部を設け、他方の面に、前記中央回転伝達用突部に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して前記相対回転により係合する下杭側の側部回転伝達用突部を設ける。かつ、前記継手管の前記下杭側外周凹み面に下部引抜力伝達用突部を設け、前記鋼管杭の前記凹み面対向面に、前記下部引抜力伝達用突部よりも上方に位置する下部引抜力伝達用突部を設け、これら下部引抜力伝達用突部と下部引抜力伝達用突部との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭に引き抜き側の回転を与えて下杭側の中央回転伝達用突部が側部回転伝達用突部に係合した相対回転状態で互いに上下に係合可能であり、かつ前記下杭側の中央回転伝達用突部が左右両側の側部回転伝達用突部間の中間にある相対回転状態では互いに上下に係合不能となる位置関係とする。
【0008】
この構成において、前記継手管と上側鋼管杭との間、および前記継手管と下側鋼管杭との間のいずれか一方または両方に、前記継手管を鋼管杭に対して上下動が不能で相対回転を許容状態に結合する相対回転許容結合部を設けても良い。この相対回転許容結合部の相対回転の許容範囲は、前記中央回転伝達用突部が両側の側部回転伝達用突部に係合可能な回転範囲があれば良い。
【0009】
この構成によると、下側鋼管杭の地盤への圧入の後、下側鋼管杭の上端に継手管の下部を嵌合させ、この継手管の上部に上側鋼管杭の下端を嵌合させる。この状態で、上側鋼管杭に回転を与えながら圧入を行うと、上下の鋼管杭が継手管を介して接続される。
この接続完了状態で、鋼管杭の作用する圧入力や上部構造体の荷重による下向きの圧縮力は、継手管の外鍔を介することにはなるが、継手管の本体を介することなく、上下の鋼管杭の端面間に直接に伝達される。上側鋼管杭を杭貫入方向である正回転方向に回転させると、上側鋼管杭と継手管の間では、中央回転伝達用突部と片方の側部回転伝達用突部とが係合し、上側鋼管杭から継手管に回転伝達される。継手管と下側鋼管杭との間においても、中央回転伝達用突部と片方の側部回転伝達用突部とが係合し、継手管から下側鋼管杭に回転伝達される。このように、継手管を介して上側鋼管杭から下側鋼管杭へ回転が伝達される。上側鋼管杭を逆方向に回転させると、上側鋼管杭と継手管の間では、中央回転伝達用突部ともう片方の側部回転伝達用突部とが係合し、上側鋼管杭から継手管に回転伝達される。継手管からと下側鋼管杭との端においても、中央回転伝達用突部ともう片方の側部回転伝達用突部とが係合し、継手管から下側鋼管杭に回転伝達される。このように、継手管を介して上側鋼管杭から下側鋼管杭へ逆回転が伝達される。この逆回転時の回転伝達用突部の係合状態において、継手管の上側鋼管杭に対応する部分、および下側鋼管杭に対応する部分の各々において、上部引抜力伝達用突部の下方に下部引抜力伝達用突部が位置し、両突部間の上下方向の係合により、上側鋼管杭から下側鋼管杭への引き抜き力となる引っ張り力の伝達が可能となる。
このように、鋼管杭の双方向の回転伝達が可能でありながら、現場溶接が不要で、簡便な作業で機械的に接続でき、また構成が簡素で、鋼管杭自体の加工が僅かで済む。
【0010】
なお、施工性を高めるための補助的な溶接は行っても良い。例えば、継手管を嵌合させた後、回転を加えて上側の鋼管杭の回転を下側の鋼管杭に伝達可能となったときに、上下の鋼管杭を継手管に対して仮止めのための溶接を行っても良い。このように溶接しておくことで、施工中に上下の鋼管杭と継手管との間に上下位置のずれが生じること、すなわち、継手管の外鍔と上下の鋼管杭の端部の間に隙間が生じることが防止される。これにより、杭打ち完了後に上部構造物の荷重が作用したとに、上記隙間を詰める初期沈下が生じることが回避される。前記仮止めの溶接は、施工時に引き抜き力の作用で隙間が生じることを防止できる程度に固定ができれば良いため、専門の溶接技術者によらず、また簡易な溶接で済む。
前記相対回転許容結合部を設けた場合も、上側鋼管杭の下端面が継手管の外鍔に接する状態を常に維持し、初期沈下を回避することができる。
【0011】
前記中央回転伝達用突部と側部回転伝達用突部とは、いずれを継手管側に設けても良いが、中央回転伝達用突部を前記継手管の前記外周凹み面に設け、前記側部回転伝達用突部を前記上側鋼管杭の前記凹み面対向面に設けた場合は、鋼管杭に設ける回転伝達用突部が1個で済み、鋼管杭の加工部分がより少なくて済む。また、鋼管杭側に中央回転伝達用突部を配置すると、逆配置の場合に比べ、継手管の外周凹み面で形成される鋼管杭との間の円弧状等となる隙間の空間が効果的に利用できて、この隙間が小さて済む。
【発明の効果】
【0012】
この発明の回転圧入型鋼管杭の継手構造は、それぞれ円形の鋼管からなる鋼管杭を上下に順次継ぎ、下端の鋼管杭は螺旋形の先端羽根を有するものとして、地盤に対し回転させながら圧入する接続型の回転圧入型鋼管杭において、上下の鋼管杭を相互に接続する継手構造であって、互いに接続される上側鋼管杭の下部と下側鋼管杭の上部とに渡って回転可能に嵌合されかつ上側鋼管杭の下端面と下側鋼管杭の上端面の間に介在する外鍔を外周に有する継手管を設け、前記継手管の上側鋼管杭に嵌合する部分および下側鋼管杭に嵌合する部分に、外周面が凹んで鋼管杭との間に隙間を形成する上杭側の外周凹み面および下杭側の外周凹み面をそれぞれを設け、前記継手管の前記上杭側外周凹み面およびこの上杭側外周凹み面に対向する上側鋼管杭の内面部分である凹み面対向面のいずれか一方の面に中央回転伝達用突部を設け、他方の面に、前記中央回転伝達用突部に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して前記相対回転により係合する側部回転伝達用突部を設け、かつ前記継手管の前記上杭側外周凹み面に上部引抜力伝達用突部を設け、前記鋼管杭の前記凹み面対向面に、前記上部引抜力伝達用突部よりも下方に位置する下部引抜力伝達用突部を設け、これら上部引抜力伝達用突部と下部引抜力伝達用突部との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭に引き抜き側の回転を与えて中央回転伝達用突部が側部回転伝達用突部に係合した相対回転状態で互いに上下に係合可能であり、かつ前記中央回転伝達用突部が左右両側の側部回転伝達用突部間の中間にある相対回転状態では互いに上下に係合不能となる位置関係とし、前記継手管の前記下杭側外周凹み面およびこの下杭側外周凹み面に対向する下側鋼管杭の内面部分である凹み面対向面のいずれか一方の面に下杭側の中央回転伝達用突部を設け、他方の面に、前記中央回転伝達用突部に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して前記相対回転により係合する下杭側の側部回転伝達用突部を設け、かつ前記継手管の前記下杭側外周凹み面に下部引抜力伝達用突部を設け、前記鋼管杭の前記凹み面対向面に、前記下部引抜力伝達用突部よりも上方に位置する下部引抜力伝達用突部を設け、これら下部引抜力伝達用突部と下部引抜力伝達用突部との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭に引き抜き側の回転を与えて下杭側の中央回転伝達用突部が側部回転伝達用突部に係合した相対回転状態で互いに上下に係合可能であり、かつ前記下杭側の中央回転伝達用突部が左右両側の側部回転伝達用突部間の中間にある相対回転状態では互いに上下に係合不能となる位置関係としたため、双方向の回転伝達が可能でありながら、現場溶接が不要で、簡便な作業で機械的に接続でき、また構成が簡素で、鋼管杭自体の加工が僅かで済む。
【0013】
この発明の回転圧入型鋼管杭の施工方法は、この発明の回転圧入型鋼管杭の継手構造を用いた施工方法であって、下側の鋼管杭を地盤に圧入し、上下の鋼管杭に継手管を嵌合させ、上側鋼管杭を回転させて、上側の鋼管杭から下側の鋼管杭への回転伝達が可能となったときに、上下の鋼管杭を継手管に溶接で仮止めするため、初期沈下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る継手構造を適用した回転圧入型鋼管杭の打設過程を示す破断正面である。
【図2】同回転圧入型鋼管杭の継手構造の垂直断面図である。
【図3】(A),(B)はそれぞれ図2のIIIA-IIIA 断面、およびIIIB-IIIB 断面を示す断面図である。
【図4】引抜力伝達用突部の配置と先端羽根の角度の関係を示す説明図である。
【図5】同継手構造のセット状態、回転圧入時の状態、および逆回転引抜時の状態を示す作用説明図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係る回転圧入型鋼管杭の継手構造の垂直断面図である。
【図7】その相対回転許容結合部の正面図である。
【図8】同継手構造に用いるワンサイドボルトの一例の接合前後の各状態を示す破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を図1ないし図5と共に説明する。図1に示すように、この回転圧入型鋼管杭の継手構造は、それぞれ円形の鋼管からなる複数本の鋼管杭1を上下に順次継ぎ、下端の鋼管杭11 は先端1aが円すい状とされて螺旋形の先端羽根2を有するものとして、地盤Gに対し回転させながら圧入する接続型の回転圧入型鋼管杭10において、上下の鋼管杭1を相互に接続する継手構造である。
【0016】
杭打ち機20には、例えば、走行可能な杭打ち機21に支柱22を設け、この支柱22に沿って昇降可能な昇降体23に、回転圧入型鋼管杭10の上端を把持する杭頭把持具24を設けたものが用いられる。支柱22には、昇降体23を昇降させることにより回転圧入型鋼管杭10に圧入力および引き抜き力を与える油圧シリンダ等の昇降駆動源25と、昇降体23に対して杭頭把持具24を回転させることにより回転圧入型鋼管杭10を回転させる油圧モータまたは電動モータ等の回転駆動源(図示せず)とを備える。回転駆動源は正逆に回転方向を切換可能なものとされる。
【0017】
図2および図3に示すように、この継手構造は、互いに接続される上側鋼管杭1A の下部と下側鋼管杭1B の上部とに渡って内周側に回転可能に嵌合する継手管3を設ける。継手管3は、上下方向の中間に、上側鋼管杭1A の下端面と下側鋼管杭1B の上端面の間に介在する外鍔3aを外周に有する。継手管3は、例えば鋼管からなる。外鍔3aは、例えば継手管3の素材となる鋼管の中間部分を塑性変形させて形成される。外鍔3aは、図示の例では、素材鋼管の管壁を外周側へ断面U字状に膨らませ、そのU字状の突出部分を偏平化させて2重の折り重ね形状としたものである。
【0018】
継手管3は、上側鋼管杭1A に嵌合する部分、および下側鋼管杭1B に嵌合する部分に、外周面が凹んで鋼管杭1A との間に隙間を形成する上杭側の外周凹み面3bA 、および上杭側の外周凹み面3bB がそれぞれ設けてある。各外周凹み面3bA ,3bB は、例えば、継手管3の管壁を平板状に塑性加工して形成されたものであり、円周方向の複数箇所(図示の例では2箇所)に設けられる。また、上杭側および下杭側の外周凹み面3bA ,3bB は、互いに円周方向の同じ箇所に設けられている。
【0019】
継手管3の上杭側の各外周凹み面3bA に対向する上側鋼管杭1A の内面部分である各凹み面対向面1aA には中央回転伝達用突部AA が設けられ、継手管3の各外周凹み面3bA には、中央回転伝達用突部BA に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して、側部回転伝達用突部CA ,CA が設けられている。これら中央回転伝達用突部BA と、側部回転伝達用突部CA ,CA とは、継手管3と上側鋼管杭1A との相対回転により、互いに側縁で係合可能とされる。これら中央回転伝達用突部BA および側部回転伝達用突部CA ,CA は、それぞれ鋼板等の板片を上側鋼管杭1A および継手管3に溶接等で接合したものとされ、または上側鋼管杭1A や継手管3に塑性加工や肉盛り溶接等で設けられたものとされる。図示の例では、回転伝達用突部BA には上側鋼管杭1A の管壁に沿って湾曲した鋼板が用いられ、側部回転伝達用突部CA ,CA は、外周凹み面3bの側縁側が薄肉となる鋼板が用いられている。中央回転伝達用突部BA および側部回転伝達用突部CA ,CA の正面形状は、図示の例ではいずれも矩形状としてあるが、互いに係合可能であれば任意の形状としても良い。例えば、中央回転伝達用突部Bおよび側部回転伝達用突部CA ,CA のいずれか一方または両方をピンや丸形のボス部等で構成しても良い。
【0020】
継手板2の外周凹み面3bA には、さらに一対の上部引抜力伝達用突部DA ,DA を設け、上側鋼管杭1A の前記凹み面対向面1aA に、上部引抜力伝達用突部DA ,DA よりも下方に位置する下部引抜力伝達用突部AA を設けている。これら上部引抜力伝達用突部DA ,DA と下部引抜力伝達用突部Aとの鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭1A に引き抜き側の回転である逆回転または圧入側の回転である正回転を与えて中央回転伝達用突部Bが左右いずれかの側部回転伝達用突部CA ,CA に係合した相対回転状態(図5(B),(D))で、互いに上下に係合可能であり、かつ中央回転伝達用突部BA が両側の側部回転伝達用突部CA ,CA 間の中間にある相対回転状態(図5(A))では互いに上下に係合不能となる位置関係としてある。
【0021】
これら上部引抜力伝達用突部DA ,DA および下部引抜力伝達用突部AA も、それぞれ鋼板等の板片を継手管3および上側鋼管杭1A に溶接等で接合したものとされ、または継手管3および上側鋼管杭1A やに塑性加工等で設けられたものとされる。
【0022】
下部引抜力伝達用突部AA と中央回転伝達用突部BA とは、互いに鋼管杭円周方向の同じ位置に設けられている。下部引抜力伝達用突部AA および上部引抜力伝達用突部DA の組の上下位置と、中央回転伝達用突部BA および側部回転伝達用突部CA の組の上下位置とは、図示の例とは互いに逆にし、下部引抜力伝達用突部AA および上部引抜力伝達用突部DA の組を上側に配置しても良い。
【0023】
なお、この実施形態では、上部引抜力伝達用突部DA を2個設けたが、上部引抜力伝達用突部DA は引き抜き時に係合させる一方のもの(図の右側のもの)だけを設けても良い。
【0024】
継手管3の下杭側の各外周凹み面3bB およびこの面3bB に対向する下側鋼管杭1B の内面部分である各凹み面対向面1aB にも、上記各突部AA ,BA ,CA ,DA と同様な突部AB ,BB ,CB ,DB が設けられている。
【0025】
すなわち、継手管3の下杭側の各外周凹み面3bB に対向する下側鋼管杭1B の内面部分である各凹み面対向面1aB には中央回転伝達用突部AB が設けられ、継手管3の各外周凹み面3bB には、中央回転伝達用突部BB に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して、側部回転伝達用突部CB ,CB が設けられている。これら中央回転伝達用突部BB と、側部回転伝達用突部CB ,CB とは、継手管3と下側鋼管杭1B との相対回転により、互いに側縁で係合可能とされる。
【0026】
継手管3の外周凹み面3bB には、さらに一対の下部引抜力伝達用突部AB ,AB を設け、下側鋼管杭1B の前記凹み面対向面1aB に、下部引抜力伝達用突部AB ,AB よりも上方に位置する1個の下部引抜力伝達用突部DB を設けている。これら下部引抜力伝達用突部AB ,AB と上部引抜力伝達用突部DB との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭1B に引き抜き側の回転である逆回転または圧入側の回転である正回転を与えて中央回転伝達用突部Bが左右いずれかの側部回転伝達用突部CB ,CB に係合した相対回転状態(図5(C),(E))で、互いに上下に係合可能であり、かつ中央回転伝達用突部BB が両側の側部回転伝達用突部CB ,CB 間の中間にある相対回転状態(図5(A))では互いに上下に係合不能となる位置関係としてある。
【0027】
下杭側の各突部AB ,BB ,CB ,DB の詳細および変形例は、上記上杭側の各突部AA ,BA ,CA ,DA の詳細および変形例と同様である。ただし、下杭側の各突部AB ,BB ,CB ,DB と上杭側の各突部AA ,BA ,CA ,DA の上下の配置関係は、互いに対象となっている。
【0028】
上記構成の作用を説明する。杭打機20により、下端の鋼管杭11 に回転を与えながら圧入力を加えることで、鋼管杭11 が地盤Gに圧入される。鋼管杭11 の上端が地盤Gの近くになるまで圧入されると、この鋼管杭11 に、この実施形態の継手構造で上側の鋼管杭1を接続し、上側の鋼管杭1の上端に、杭打機20から回転および圧入力を加える。
【0029】
この継手構造において、継手管3は下側鋼管杭1B の上端に嵌合させ、この継手管3に上側鋼管杭1A の下端を嵌合させる。
この継手管3のセット時は、図5(A)に示すように、上下杭側とも、中央回転伝達用突部BA ,BB が両側の側部回転伝達用突部CA ,CA 間、CB ,CB の中央にあり、かつ上杭側では、下部引抜力伝達用突部AA が両側の上部引抜力伝達用突部DA ,DA 間の中央にある。下杭側では、上部引抜力伝達用突部DB が両側の下部引抜力伝達用突部AB ,AB 間の中央にある。そのため、中央回転伝達用突部BA ,BB や、下部引抜力伝達用突部AA ,AB が側部回転伝達用突部CA ,CA ,CB ,CB や上部引抜力伝達用突部DA ,DB に干渉することなく、継手管3に対して下側鋼管杭1B の上端および上側鋼管杭1A の下端を嵌合させることができる。
【0030】
回転圧入時は、上側鋼管杭1A に杭打機20(図1)から正方向の回転が与えられることによって、図5(B)のように上杭側の中央回転伝達用突部BA が片方(図の左側)の側部回転伝達用突部CA の側面に係合し、上側鋼管杭1A の回転が継手管3に伝えられる。上側鋼管杭1A をさらに回転させると、継手管3が上側鋼管杭1A と共に回転し、同図(C)のように、継手管3の片方(図の右側)の側部回転伝達用突部CB が下側鋼管杭1B の中央回転伝達用突部BB の側面に係合し、継手管3の回転が下側鋼管杭1B に伝えられる。このため、上側鋼管杭1A の回転が下側鋼管杭1B に伝達されることになる。
【0031】
上側鋼管杭1A に圧入力として作用する下向きの圧縮力は、継手管3の外鍔3aを介することにはなるが、継手管3の本体を介することなく、上下の鋼管杭1A ,1B の端面間で直接に伝達される。回転圧入型鋼管杭1の圧入完了後の上部構造物の荷重も、上記と同様に上下の鋼管杭1A ,1B の端面間で直接に伝達される。そのため、継手管結合部7の強度に関係することなく、圧入力が伝えられる。
【0032】
図5(D)に示すように、逆転引き抜き時は、上側の鋼管杭1A に逆方向の回転が加えられることで、上杭側の中央回転伝達用突部BA がもう片方(図の右側)の側部回転伝達用突部CA の側面に係合し、上側鋼管杭1A の逆方向回転が継手管3に伝えられる。このとき、下部引抜力伝達用突部AA は、係合側の側部回転伝達用突部CA の下方にある上部引抜力伝達用突部DA の下に進入する。
上側鋼管杭1A にさらに逆方向の回転を与えると、上側鋼管杭1A と継手管3との回転位相の関係を維持したまま、同図(E)のように継手管3が回転する。これにより、下杭側では継手管3のもう片方(図の左側)の側部回転伝達用突部CB が下側鋼管杭1B の中央回転伝達用突部BB の側面に係合し、継手管3の逆回転が下側鋼管杭1B に伝えられる。このため、上側鋼管杭1A の逆回転が下側鋼管杭1B に伝達されることになる。
このとき、下杭側の下部引抜力伝達用突部AB は、係合側の側部回転伝達用突部CB の上方にある下部引抜力伝達用突部DB の下に進入する。また、上記の上杭側における下部引抜力伝達用突部AA は、係合側の側部回転伝達用突部CA の下方にある上部引抜力伝達用突部DA の下に進入した状態は維持される。
【0033】
そのため、上側鋼管杭1A に引き抜き力を与えると、上杭側における下部引抜力伝達用突部AA と上部引抜力伝達用突部DA との係合により、上側鋼管杭1A の引き抜き力が継手管3に伝えられる。また、継手管3に伝わった引き抜き力は、下杭側における下部引抜力伝達用突部AB と上部引抜力伝達用突部DB との係合により、下側鋼管杭1B に伝えられる。そのため上側鋼管杭1A の引き抜き力が下側鋼管杭1B に伝えられることになる。
【0034】
なお、この実施形態では、中央回転伝達用突部BA ,BB を鋼管杭1A ,1B に設け、側部回転伝達用突部CA ,CA を継手管3に設けたが、上記とは逆に、中央回転伝達用突部BA ,BB を継手管3に設け、側部回転伝達用突部CA ,CA を鋼管杭1A ,1B に設けても良い。
【0035】
この回転圧入型鋼管杭の継手構造によると、このように、上側鋼管杭1A 自体には、中央回転伝達用突部BA および側部回転伝達用突部CA のいずれか一方と、下部引抜力伝達用突部AA とを設けるだけで済む。また、下側鋼管杭1B 自体には、中央回転伝達用突部BB および側部回転伝達用突部CB のいずれか一方と、上部引抜力伝達用突部DB とを設けるだけで済む。そのため、鋼管杭自体の加工は僅かで足りる。
また、接合作業は、下側鋼管杭1B の上端に継手管3を嵌合させ、この継手管3に上側鋼管杭1A の下端を嵌合させるだけで済む。しかも、圧入や荷重支持の圧縮力は上下の継手管1A ,1B 間で直接に伝達され、継手管3に圧縮力負荷のための強い強度は要求されない。したがって、双方向の回転伝達が可能でありながら、現場溶接が不要で、簡便な作業で機械的に接続でき、また構成が簡素で、鋼管杭自体の加工が僅かで済む継手構造となる。
【0036】
なお、図4に示すように、上杭側の上部引抜力伝達用突部DA ,DA の下面Daは、例えば正面形状をV字状とする。図4は、図5(B),(C)のように、中央回転伝達用突部BA が片方(図の左側)の側部回転伝達用突部CA の側面に係合した状態にあるときの、その係合した側部回転伝達用突部CA とは反対側にある上部引抜力伝達用突部DA と下部引抜力伝達用突部AA との位置関係を示す。この状態において、下部引抜力伝達用突部AA の上部引抜力伝達用突部DA 側の側縁上端Pと、上部引抜力伝達用突部DA の下面Daの下部引抜力伝達用突部AA 側の側縁Qとを繋ぐ直線Lの傾き角度θは、先端羽根1a(図1)の傾斜角度αよりも小さく設定されている。下杭側の下部引抜力伝達用突部AB の上面の形状および上記直線Lに対応する直線(図示せず)の傾斜角度も、上記と同様に先端羽根1aの傾斜角度αよりも小さくする。これにより、鋼管杭1を逆回転させて引き抜くときの係合不良が回避される。すなわち、鋼管杭1を逆回転させて引き抜くときに、下側の鋼管杭1B は先端羽根1aの傾斜角度αで上昇して来る。このときに、上記逆回転で、同図に一点鎖線で示すように、下部引抜力伝達用突部AA が上部引抜力伝達用突部DB の側面まで来たときに、上記下面側縁Qよりも下部引抜力伝達用突部AA の側縁上端Pが上方にあると、両突突部DB ,AA が干渉し、下部引抜力伝達用突部AA が上部引抜力伝達用突部DB の下側に進入することが阻害される恐れがある。しかし、上記のように直線Lの傾斜角度θを小さく設定することで、上記の進入阻害の問題を生じることなく、確実に進入することができる。
【0037】
図6ないし図8は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、継手管3を上側鋼管杭1A および下側鋼管杭1B に対して、それぞれ上下動が不能で相対回転を許容状態に結合する相対回転許容結合部4を設けたものである。その他の構成は、図1ないし図5に示す実施形態と同様である。相対回転許容結合部4は、例えば、図7に示すように、継手管3に円周方向に沿って延びる長孔5と、この長孔5に挿通されて上下の鋼管杭1A ,1B に止め付けられた係合ピン6とで構成される。また、上記とは逆に、上下の鋼管杭1A ,1B に円周方向に沿う長孔を設け、継手管3に係合ピンが止め付けられるものであっても良い。係合ピン6には、この実施形態では次のワンサイドボルト等を用いているが、通常のボルトやピンを用いても良い。
【0038】
図8は、継手管結合部7に使用可能なワンサイドボルトの一例を示す。この明細書で言う「ワンサイドボルト」とは、一端側からの操作で他端に頭部が拡径状態に塑性変形で形成されて締め付けが行える軸状締め付け金具の総称であり、ブラインドボルトや、片側締め込みリベット等とも呼ばれている。同図のワンサイドボルト31は、ピン32と、このピン32の外周に嵌合して先端がピン32のピン頭部32aに係合するスリーブ33と、ピン32の雄ねじ部32bに螺合してスリーブ33の後端を押しつけ可能なナット34とを備える。
ピン32は、丸軸部32cよりも若干拡径したピン頭部32aを先端に有し、後部に雄ねじ部2bが形成されたものであり、雄ねじ部32bの後方へ延びる工具係合部32dが形成されている。雄ねじ部2bの軸方向中間には破断溝32eが形成され、この破断溝32eよりも後方のピン部分がピンテール32fとなる。スリーブ33は、スリーブ本体33aと、このスリーブ本体33aの後端の外周に剪断用鍔部33cを介して後方へ延びる厚肉円筒状の受け輪部33dとを一体に有するものである。スリーブ本体33aは、先端部付近の所定長さ範囲を、一般部33abよりも軟質の軟質スリーブ部3bとしてある。この軟質スリーブ部33bは、スリーブ3に軸方向の圧縮荷重を加えることで外周に膨らみ状態に座屈可能なものである。剪断用鍔部33cは、軟質スリーブ部33bが所定の座屈状態となる圧縮荷重よりも大きな所定の圧縮荷重がスリーブ33に加わることで剪断可能なものである。受け輪部33dの内径は、剪断用鍔部33cが剪断した状態のスリーブ本体33aの後端が進入可能な径であり、スリーブ本体33aの内径よりも段差をもって大径となっている。
【0039】
このワンサイドボルト31の締結作業は、回転式の電動締付工具(図示せず)を用いて行うことができる。すなわち、被締め付け材である継手管3および鋼管杭1A のボルト孔35に挿入した後、締付工具でピンテール32fを把持した状態で、ナット34を締め付ける。これにより、ピン頭部32aと受け輪部33dとの間に圧縮力が作用してスリーブ本体33aが挟み付けられ、まず先端の軟質スリーブ部33bが外側へ鍔状に座屈し始める。さらに、ナット34の締め付けを行うと、剪断用鍔部33cが剪断し、スリーブ本体33aの後端が受け輪部33d内に進入する。さらに締め付けが進むと、ナット34と鍔状座屈部分33eとの間で、互いに重なった被締め付け材である継手管3および鋼管杭1A に締め付け軸力が導入される。
【0040】
この相対回転許容結合部4を設けた場合、上下の鋼管杭1A ,1B に継手管3を嵌合させたときに、長孔5に挿入してワンサイドボルト31からなるピン6を挿通させる。上側鋼管杭1A を回転させて、上記各回転伝達用突部BA ,BB ,CA ,CB の係合により上側鋼管杭1A から下側鋼管杭1B への回転伝達が可能となったときに、ワンサイドボルト31からなるピン6を締め付ける。このように相対回転許容結合部4を設けることで、杭圧入作業中等に継手管3に対して上下の鋼管杭1A ,1B が上下にずれることが防止されて、初期沈下が防止される。
すなわち、上側鋼管杭1A の下端面と継手管3の鍔部3aとの間に隙間が生じていると、その隙間を詰める分だけ初期沈下が生じる恐れがある。しかし、上記のように相対回転許容結合部4を設けたため、上側鋼管杭1A の下端面が継手管3の外鍔3aに接する状態が常に維持される。そのため、初期沈下を回避することができる。
【0041】
なお、相対回転許容結合部4を設ける代わりに、溶接による仮止めを行っても良い。すなわち、下側の鋼管杭1B を地盤に圧入し、上下の鋼管杭1A ,1B に継手管3を嵌合させ、上側鋼管杭1A を回転させて、上記各回転伝達用突部BA ,BB ,CA ,CB の係合により上側の鋼管杭1A から下側の鋼管杭B への回転伝達が可能となったときに、上下の鋼管杭1A ,1B を継手管3に溶接で仮止めしても良い。これによっても施工中に上下の鋼管杭1A ,1B と継手管3との間に上下位置のずれが生じること、すなわち、継手管3の外鍔3aと上下の鋼管杭1A ,1B の端部の間に隙間が生じることが防止される。これにより、杭打ち完了後に上部構造物の荷重が作用したとに、上記隙間を詰める初期沈下が生じることが回避される。
【符号の説明】
【0042】
1…鋼管杭
1 …下端の鋼管杭
A …上側鋼管杭
B …下側鋼管杭
1aA ,1aB …凹み面対向面
2…先端羽根
3…継手管
3a…外鍔
3bA ,3bB …外周凹み面
4…相対回転許容結合部
5…長孔
6…係合ピン
7…継手管結合部
10…回転圧入型鋼管杭
20…杭打ち機
A ,AB …下部引抜力伝達用突部
A ,BB …中央回転伝達用突部
A ,CB …側部回転伝達用突部
A ,DB …上部引抜力伝達用突部
G…地盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ円形の鋼管からなる鋼管杭を上下に順次継ぎ、下端の鋼管杭は螺旋形の先端羽根を有するものとして、地盤に対し回転させながら圧入する接続型の回転圧入型鋼管杭において、上下の鋼管杭を相互に接続する継手構造であって、
互いに接続される上側鋼管杭の下部と下側鋼管杭の上部とに渡って回転可能に嵌合されかつ上側鋼管杭の下端面と下側鋼管杭の上端面の間に介在する外鍔を外周に有する継手管を設け、
前記継手管の上側鋼管杭に嵌合する部分および下側鋼管杭に嵌合する部分に、外周面が凹んで鋼管杭との間に隙間を形成する上杭側の外周凹み面および下杭側の外周凹み面をそれぞれを設け、
前記継手管の前記上杭側外周凹み面およびこの上杭側外周凹み面に対向する上側鋼管杭の内面部分である凹み面対向面のいずれか一方の面に中央回転伝達用突部を設け、他方の面に、前記中央回転伝達用突部に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して前記相対回転により係合する側部回転伝達用突部を設け、
かつ前記継手管の前記上杭側外周凹み面に上部引抜力伝達用突部を設け、前記鋼管杭の前記凹み面対向面に、前記上部引抜力伝達用突部よりも下方に位置する下部引抜力伝達用突部を設け、これら上部引抜力伝達用突部と下部引抜力伝達用突部との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭に引き抜き側の回転を与えて中央回転伝達用突部が側部回転伝達用突部に係合した相対回転状態で互いに上下に係合可能であり、かつ前記中央回転伝達用突部が左右両側の側部回転伝達用突部間の中間にある相対回転状態では互いに上下に係合不能となる位置関係とし、
前記継手管の前記下杭側外周凹み面およびこの下杭側外周凹み面に対向する下側鋼管杭の内面部分である凹み面対向面のいずれか一方の面に下杭側の中央回転伝達用突部を設け、他方の面に、前記中央回転伝達用突部に対する鋼管杭円周方向の両側に位置して前記相対回転により係合する下杭側の側部回転伝達用突部を設け、
かつ前記継手管の前記下杭側外周凹み面に下部引抜力伝達用突部を設け、前記鋼管杭の前記凹み面対向面に、前記下部引抜力伝達用突部よりも上方に位置する下部引抜力伝達用突部を設け、これら下部引抜力伝達用突部と下部引抜力伝達用突部との鋼管杭周方向の位置関係を、上側鋼管杭に引き抜き側の回転を与えて下杭側の中央回転伝達用突部が側部回転伝達用突部に係合した相対回転状態で互いに上下に係合可能であり、かつ前記下杭側の中央回転伝達用突部が左右両側の側部回転伝達用突部間の中間にある相対回転状態では互いに上下に係合不能となる位置関係とした回転圧入型鋼管杭の継手構造。
【請求項2】
請求項1において、前記各中央回転伝達用突部を前記継手管の前記外周凹み面に設け、前記各側部回転伝達用突部を前記上側鋼管杭の前記凹み面対向面に設けた回転圧入型鋼管杭の継手構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記継手管と上側鋼管杭との間、および前記継手管と下側鋼管杭との間のいずれか一方または両方に、前記継手管を鋼管杭に対して上下動が不能で相対回転を許容状態に結合する相対回転許容結合部を設けた回転圧入型鋼管杭の継手構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の回転圧入型鋼管杭の継手構造を用いた回転圧入型鋼管杭の施工方法であって、下側の鋼管杭を地盤に圧入し、上下の鋼管杭に継手管を嵌合させ、上側鋼管杭を回転させて、上側の鋼管杭から下側の鋼管杭への回転伝達が可能となったときに、上下の鋼管杭を継手管に溶接で仮止めすることを特徴とする回転圧入型鋼管杭の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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