説明

回転嵌合コネクタ

【課題】構成部品の種類を削減して、コスト低減を図ることができ、また、一対のコネクタハウジングに収容されている接続端子相互を接続させる際の回転操作量を低減させて、操作性を向上させることのできる回転嵌合コネクタを提供すること。
【解決手段】接続端子を収容した一対のコネクタハウジング3A,3Bと、コネクタハウジング3A,3Bの先端部33が回転可能に嵌合する連絡筒部51を両端に有した中継スリーブ5と、を備え、コネクタハウジング3A,3Bと中継スリーブ5との相対回転操作により一対のコネクタハウジング3A,3B相互の接続・離脱が可能な回転嵌合コネクタ1において、接続端子は先端に突き当て面41が設けられた突き当て型端子4であり、各コネクタハウジング3A,3Bは、突き当て面41がハウジング先端から突出する状態に突き当て型端子4を保持している構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のコネクタハウジング相互の接続・離脱が、これらの一対のコネクタハウジング間に介在する中継スリーブに対する相対回転操作により可能な回転嵌合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、回転嵌合コネクタの従来例を示したものである。
ここに示した回転嵌合コネクタ101は、下記特許文献1に開示されたもので、雄型接続端子102を収容した雌型のコネクタハウジング103と、雌型接続端子104を収容した雄型のコネクタハウジング105と、これらの一対のコネクタハウジング103,105を接続するための中継スリーブ107と、一対のコネクタハウジング103,105の嵌合部を封止するシールリング108とを備えている。
【0003】
中継スリーブ107は、筒状構造で、一端には、雌型のコネクタハウジング103の先端部103aが回転可能に嵌合する第1の連絡筒部107aが設けられている。また、中継スリーブ107の他端には、雄型のコネクタハウジング105の先端部105aが回転可能に嵌合する第2の連絡筒部107bが設けられている。
【0004】
中継スリーブ107の一端の第1の連絡筒部107aと、雌型のコネクタハウジング103の先端部103aとの間には、ハウジング結合機構110が備えられる。
【0005】
ハウジング結合機構110は、第1の連絡筒部107aの内周に突設された突起111と、先端部103aの外周面に形成された螺旋状のカム溝112とを備える。螺旋状のカム溝112は、突起111が移動可能な溝である。
【0006】
このハウジング結合機構110は、中継スリーブ107の第1の連絡筒部107aに雌型のコネクタハウジング103の先端部103aを嵌合させて、これらの中継スリーブ107とコネクタハウジング103とを相対回転させると、突起111が螺旋状のカム溝112上を移動して、中継スリーブ107とコネクタハウジング103との相対回転をコネクタハウジング103の嵌合方向(図10では、矢印X1方向)への変位に変換する。
【0007】
中継スリーブ107の他端の第2の連絡筒部107bは、雄型のコネクタハウジング105の先端部105aに嵌合した際、コネクタハウジング105に突設されている係止片105bが、第2の連絡筒部107bの内周の段差部113に係合することで、先端部105aに回転自在に結合される。
【0008】
図10に示した回転嵌合コネクタ101は、中継スリーブ107の第2の連絡筒部107bを雄型のコネクタハウジング105の先端部105aに回転自在に結合し、更に、中継スリーブ107の第1の連絡筒部107aにコネクタハウジング103の先端部103aを嵌合させ、突起111が螺旋状のカム溝112を進むように中継スリーブ107とコネクタハウジング103とを相対回転させると、雌型のコネクタハウジング103が雄型のコネクタハウジング105側に変位して、一対のコネクタハウジング103,105相互が嵌合接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−132178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記特許文献1に記載の回転嵌合コネクタ101は、嵌合接続する接続端子102,104が雌雄嵌合するもので、雌雄の相異に相応して接続端子相互の構成(形状)が異なっていて、構成する部品種類が多いため、部品管理が複雑化し、コスト低減が難しいという問題があった。
【0011】
また、中継スリーブ107の回転操作で嵌合方向に移動するのは、一方のコネクタハウジングである雌型のコネクタハウジング103のみであり、接続する接続端子102,104相互を雌雄嵌合させるためには、嵌合接続時に、雌型のコネクタハウジング103を、端子相互の嵌合長以上に、軸方向に大きく移動させねばならない。即ち、雌型のコネクタハウジング103を軸方向に移動させるために必要となる雌型のコネクタハウジング103と中継スリーブ107との相対回転量が多くなり、操作性が悪いという問題もあった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、構成部品の種類を削減して、コスト低減を図ることができ、また、一対のコネクタハウジングに収容されている接続端子相互を接続させる際の回転操作量を低減させて、操作性を向上させることのできる回転嵌合コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)接続端子を収容した一対のコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの先端部が回転可能に嵌合する連絡筒部を両端に有した中継スリーブと、該中継スリーブの少なくとも一方の連絡筒部と該連絡筒部に嵌合するコネクタハウジングの先端部との間に装備されて前記連絡筒部とハウジング先端部との相対回転を前記コネクタハウジングの接続方向への変位に変換するハウジング結合機構と、を備え、前記コネクタハウジングと前記中継スリーブとの相対回転操作により一対のコネクタハウジング相互の接続・離脱が可能な回転嵌合コネクタであって、
一対のコネクタハウジングに収容される接続端子は、先端に相手コネクタハウジングの接続端子との当接により電気的接続を果たす突き当て面が設けられた突き当て型端子であり、
各コネクタハウジングは、収容した前記突き当て型端子を、前記突き当て面がハウジング先端から突出する状態に保持していることを特徴とする回転嵌合コネクタ。
【0014】
(2)前記突き当て型端子の前記突き当て面は、コネクタハウジングの軸方向に変位可能に弾性支持されていることを特徴とする上記(1)に記載の回転嵌合コネクタ。
【0015】
(3)前記一対のコネクタハウジングが、雌雄の区別の無い同一構造であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の回転嵌合コネクタ。
【0016】
(4)前記ハウジング結合機構が前記中継スリーブの両端の連絡筒部のそれぞれに装備され、前記中継スリーブの両端に嵌合した一対のコネクタハウジングは、互いに反対方向に回転操作されることにより、それぞれのコネクタハウジングが中継スリーブ内を軸方向に変位することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の回転嵌合コネクタ。
【0017】
上記(1)の構成によれば、接続する一対のコネクタハウジングに収容される接続端子は、先端の突き当て面を相手の接続端子に当接することで電気的接続を果たす突き当て型
端子である。更に、突き当て型端子は、その先端の突き当て面がコネクタハウジングにおけるハウジング先端から突出して設けられているため、接続端子相互が雌雄嵌合する従来の回転嵌合コネクタの場合と比較すると、接続端子相互を接続状態にする際の、コネクタハウジング相互の軸方向の変位量を小さくすることができる。
【0018】
また、一対のコネクタハウジングに収容する接続端子は、突き当て型端子で、雌雄の区別の無い同一構造のもので良いため、雌雄の接続端子を用いていた従来の回転嵌合コネクタの場合と比較すると、接続端子を単一の種類に削減することができる。
【0019】
従って、構成部品の種類を削減して、コスト低減を図ることができ、また、一対のコネクタハウジングに収容されている接続端子相互を接続させる際の回転操作量を低減させて、操作性を向上させることができる。
【0020】
更に、突き合わせ接続される各接続端子の突き合わせ面は、突き合わせ接続が完了する前に、相手の突き合わせ面と回転の周方向に擦れ合うため、擦れによって突き合わせ面に残存する酸化皮膜を破って、より良好な電気的接触状態を得ることができる。
【0021】
上記(2)の構成によれば、接続端子相互の先端の突き当て面同士を突き合わせるために、中継スリーブとコネクタハウジングとの相対回転操作でコネクタハウジングを接続方向に変位させた際に、組立誤差や寸法公差等で、コネクタハウジングの接続方向の変位量にばらつきが生じても、突き当て面がコネクタハウジングの軸方向に変位可能に弾性支持されているため、突き当て面の弾性変位量で、コネクタハウジングの接続方向の変位量のばらつきを吸収して、確実に接続端子相互が電気的に接続された状態を得ることができる。
従って、回転嵌合コネクタにおける動作信頼性を向上させることができる。
【0022】
上記(3)の構成によれば、一対のコネクタハウジングも、同一構造であるため、回転嵌合コネクタを構成する構成部品の種類を更に削減して、コスト低減を図ることができる。
【0023】
上記(4)の構成によれば、接続端子相互の先端の突き当て面同士を突き合わせるために、中継スリーブとコネクタハウジングとを相対回転操作した場合に、一対のコネクタハウジングの双方が、互いに接近する方向に移動することになり、より速やかに、突き当て型端子相互を突き合わせた状態を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による回転嵌合コネクタによれば、接続する一対のコネクタハウジングに収容される接続端子は、先端の突き当て面を相手の接続端子に当接することで電気的接続を果たす突き当て型端子である。更に、突き当て型端子は、その先端の突き当て面がコネクタハウジングにおけるハウジング先端から突出して設けられているため、接続端子相互が雌雄嵌合する従来の回転嵌合コネクタの場合と比較すると、接続端子を接続状態にする際の、コネクタハウジング相互の軸方向の変位量を小さくすることができる。
【0025】
また、一対のコネクタハウジングに収容する接続端子は、突き当て型端子で、雌雄の区別の無い同一構造のもので良いため、雌雄の接続端子を用いていた従来の回転嵌合コネクタの場合と比較すると、接続端子を単一の種類に削減することができる。
【0026】
従って、構成部品の種類を削減して、コスト低減を図ることができ、また、一対のコネクタハウジングに収容されている接続端子相互を接続させる際の回転操作量を低減させて、操作性を向上させることができる。
【0027】
更に、突き合わせ接続される各接続端子の突き合わせ面は、突き合わせ接続が完了する前に、相手の突き合わせ面と回転の周方向に擦れ合うため、擦れによって突き合わせ面に残存する酸化皮膜を破って、より良好な電気的接触状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る回転嵌合コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した一対のコネクタハウジングのそれぞれに、本実施形態の突き当て型端子が装着されている状態の斜視図である。
【図3】(a)は図2に示した一方のコネクタハウジングの正面図、(b)は同側面図である。
【図4】図1に示した中継スリーブの正面図である。
【図5】図1に示したA部の拡大図である。
【図6】一実施形態の一対のコネクタハウジングを中継スリーブに接続する前の対向配置状態を示したもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のB矢視図、(c)は(a)に示した回転嵌合コネクタの側面図である。
【図7】一実施形態の一対のコネクタハウジングの先端部を中継スリーブ上の目印に合わせて嵌合させた嵌合初期の状態の説明図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のC矢視図、(c)は(a)に示した回転嵌合コネクタの側面図である。
【図8】一実施形態の一対のコネクタハウジングの先端部を中継スリーブに嵌合させた後、それぞれのコネクタハウジングを図中の矢印R1,R2方向に相対回転させた状態の説明図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のD矢視図、(c)は(a)に示した回転嵌合コネクタの側面図である。
【図9】一実施形態の一対のコネクタハウジングの接続が完了した状態の説明図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のE矢視図、(c)は(a)に示した回転嵌合コネクタの側面図、(d)は(c)のF−F断面図である。
【図10】従来の回転嵌合コネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る回転嵌合コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1〜図5は、本発明に係る回転嵌合コネクタの一実施形態を示したもので、図1は一実施形態の回転嵌合コネクタの分解斜視図、図2は図1に示した一対のコネクタハウジングのそれぞれに、本実施形態の突き当て型端子が装着されている状態の斜視図、図3(a)は図2に示した一方のコネクタハウジングの正面図、図3(b)は図2に示した一方のコネクタハウジングの側面図、図4は図1に示した中継スリーブの正面図、図5は図1に示したA部の拡大図、である。
【0031】
この一実施形態の回転嵌合コネクタ1は、図1に示すように、一対のコネクタハウジング3A,3Bと、これらのコネクタハウジング3A,3Bに収容される接続端子である突き当て型端子4と、略円筒状で両端に一対のコネクタハウジング3A,3Bが嵌合する中継スリーブ5と、ハウジング結合機構6と、目印7とを備えている。
【0032】
本実施形態の場合、一対のコネクタハウジング3A,3Bは、雌雄の区別の無い同一構造である。一対のコネクタハウジング3A,3Bは、図1に示すように、略円柱状の本体31に、複数の端子収容孔32が形成されている。
【0033】
端子収容孔32は、突き当て型端子4を収容保持する孔で、略円柱状の本体31の中心軸方向に貫通して設けられている。また、複数の端子収容孔32は、略円柱状の本体31
の中心軸の周囲に放射状に配置されている。ここに、略円柱状の本体31の中心軸とは、中継スリーブ5に対するコネクタハウジング3A,3Bの回転操作時の回転中心軸と同一である。
【0034】
突き当て型端子4は、図1に示すように、先端に突き当て面41が設けられている。また、突き当て型端子4は、後端側に、電線の被覆部を固定する被覆加締め片42と、電線の導体に圧着する圧着片43と、を備えている。
【0035】
突き当て面41は、相手の接続端子との当接により電気的接続を果たす部位である。本実施形態の場合、突き当て型端子4の突き当て面41は、コネクタハウジング3A,3Bの軸方向に変位可能なばね片44の表面である。突き当て面41は、機能的には、コネクタハウジング3A,3Bの軸方向に変位可能に弾性支持されている面である。
【0036】
本実施形態の場合、各コネクタハウジング3A,3Bは、図3(b)に示すように、収容した突き当て型端子4を、突き当て面41がハウジング先端から所定距離Lだけ突出する状態に保持している。
【0037】
中継スリーブ5は、略円筒状で、両端には、コネクタハウジング3A,3Bの先端部33が回転可能に嵌合する連絡筒部51を有している。
【0038】
各連絡筒部51と、これらの連絡筒部51に嵌合する各コネクタハウジング3A,3Bの先端部33には、ハウジング結合機構6が備えられる。
【0039】
ハウジング結合機構6は、連絡筒部51とハウジング先端部33との相対回転をコネクタハウジング3A,3Bの接続方向(コネクタハウジング相互が互いに接近する方向)への変位に変換する機構である。
【0040】
ハウジング結合機構6は、具体的には、図4に示すように連絡筒部51の内周面に形成された突起61と、図2及び図3に示すようにコネクタハウジング3A,3Bの先端部33の外周面に形成されて突起61を誘導する螺旋状のカム溝63とを備えている。
【0041】
ハウジング結合機構6は、ハウジング先端部33と連絡筒部51とを相対回転させた際に、カム溝63による突起61の誘導により、ハウジング先端部33と連絡筒部51との相対回転をコネクタハウジング3A,3Bの接続方向への変位に変換して、中継スリーブ5の両端に嵌合しているコネクタハウジング3A,3B相互の接続・離脱を可能にする。
【0042】
目印7は、中継スリーブ5の連絡筒部51にコネクタハウジング3A,3Bの先端部33を嵌合させる際に、互いの周方向の位置を整合させるための目印(合いマーク)で、それぞれの連絡筒部51の外周面に設けられている。本実施形態の場合、目印7は三角形のマークである。
【0043】
各コネクタハウジング3A,3Bの先端部33を対応する連絡筒部51に嵌合させる際には、図6に示すように、各先端部33に設けられているカム溝63の始端63aの位置を目印7の位置に合わせることで、突起61がカム溝63に嵌入する位置に位置合わせされる。
【0044】
更に、本実施形態の回転嵌合コネクタ1では、各連絡筒部51における各コネクタハウジングの相対回転量を規制するための回転規制機構8が設けられている。
【0045】
回転規制機構8は、図1に示すように中継スリーブ5の連絡筒部51に装備された弾性
係止突起81と、各コネクタハウジング3A,3Bの先端部33に装備されて回転規制用溝83とから構成される。
【0046】
弾性係止突起81は、図5に示すように、連絡筒部51に形成した切れ込み55によって周方向に延びるばね板状に形成された弾性片81aと、弾性片81aの先端に突設された突起81bとを備えている。
【0047】
回転規制用溝83は、図1に示すように、連絡筒部51と先端部33との相対回転時に、突起81bが嵌入する螺旋状の誘導溝83aと、該誘導溝83aの終端に形成された係止用凹部83bと、を備えている。
【0048】
係止用凹部83bは、図1に示すように、誘導溝83aの終端に配置される戻り防止壁91と、戻り防止壁91を挟んで誘導溝83aと逆側に形成される係合凹部92とを備える。
【0049】
戻り防止壁91は、突起81bが誘導溝83aの終端まで進んだときに、突起81bが衝突して、所定の抵抗を与える。しかし、この戻り防止壁91の誘導溝83a側の面は、突起81bが乗り上げ可能な傾斜面になっていて、突起81bが戻り防止壁91を乗り越えると、突起81bが係合凹部92に係合する。戻り防止壁91の係合凹部92側の面は、垂直又はオーバーハング状になっている。そのため、係合凹部92に突起81bが係合したときは、突起81bが誘導溝83a側に戻ることができず、それ以上の相対回転が規制される。
【0050】
回転規制機構8によって相対回転が規制されたときには、一方のコネクタハウジング3Aに配置されている端子収容孔32と、他方のコネクタハウジング3Bに配置されている端子収容孔32との位置が合致し、それぞれのコネクタハウジング3A,3Bに収容されている各突き当て型端子4が互いに突き合わせ状態になる。
【0051】
以上に説明した回転嵌合コネクタ1において、コネクタハウジング3A,3Bを接続する場合の操作を図6〜図9に基づいて説明する。
【0052】
まず、図6に示すように、各コネクタハウジング3A,3Bの先端部33を、中継スリーブ5の両端の連絡筒部51に向き合わせる。更に、図6(c)に示すように、それぞれの先端部33におけるカム溝63の始端63aの位置を、対向する連絡筒部51上の目印7に合わせる。
【0053】
なお、図6(b)において、実線で示した端子収容孔32はコネクタハウジング3Aのものであり、破線で示した端子収容孔32はコネクタハウジング3Bのものである。このような表示分けは、図7(b)及び図8(b)の場合も同様である。
【0054】
次いで、図7に示すように、目印7で位置合わせした状態で、それぞれのコネクタハウジングの先端部33を連絡筒部51内に押し込んで、カム溝63の始端63aに、突起61が嵌入した状態にする。
【0055】
次いで、図8に矢印R1,R2で示すように、それぞれのコネクタハウジング3A,3Bを、中継スリーブ5に対して、互いに逆方向に相対回転させ、突起61をカム溝63の終端に向かって移動させる。
【0056】
突起61がカム溝63の終端に向かって移動すると、それぞれのコネクタハウジング3A,3Bは互いに接近する方向に変位する。
【0057】
次いで、図9に示すように、それぞれのコネクタハウジング3A,3Bの相対回転によって、突起61がカム溝63の終端まで移動すると、それぞれのコネクタハウジング3A,3Bに収容されている突き当て型端子4同士が互いに突き当て面41を突き合わせた状態になり、突き当て型端子4相互の電気的接続が完了する。
【0058】
突き当て型端子4相互の電気的接続が完了したときは、図9(b)に示すように、ハウジング相互間における端子収容孔32の配置は合致した状態になっている。
【0059】
また、突き当て型端子4相互の電気的接続が完了したときは、図9(d)に示すように、回転規制機構8の弾性係止突起81が係止用凹部83bに係合した状態になり、それ以上の相対回転が規制される。
【0060】
以上に説明した本実施形態の回転嵌合コネクタ1の場合、接続する一対のコネクタハウジング3A,3Bに収容される接続端子は、先端の突き当て面41を相手の接続端子に当接することで電気的接続を果たす突き当て型端子4である。更に、突き当て型端子4は、図3(b)に示したように、その先端の突き当て面41がコネクタハウジング3A,3Bにおけるハウジング先端から突出して設けられているため、接続端子相互が雌雄嵌合する従来の回転嵌合コネクタの場合と比較すると、接続端子を接続状態にする際の、コネクタハウジング3A,3B相互の軸方向の変位量を小さくすることができる。
【0061】
また、一対のコネクタハウジング3A,3Bに収容する接続端子は、突き当て型端子4で、雌雄の区別の無い同一構造のもので良いため、雌雄の接続端子を用いていた従来の回転嵌合コネクタの場合と比較すると、接続端子を単一の種類に削減することができる。
従って、構成部品の種類を削減して、コスト低減を図ることができ、また、一対のコネクタハウジング3A,3Bに収容されている接続端子相互を接続させる際の回転操作量を低減させて、操作性を向上させることができる。
【0062】
更に、突き合わせ接続される各接続端子の突き合わせ面は、突き合わせ接続が完了する前に、相手の突き合わせ面と回転の周方向に擦れ合うため、擦れによって突き合わせ面に残存する酸化皮膜を破って、より良好な電気的接触状態を得ることができる。
【0063】
また、以上に説明した本実施形態の回転嵌合コネクタ1の場合、接続端子相互の先端の突き当て面41同士を突き合わせるために、中継スリーブ5とコネクタハウジング3A,3Bとの相対回転操作でコネクタハウジング3A,3Bを接続方向に変位させた際に、組立誤差や寸法公差等で、コネクタハウジング3A,3Bの接続方向の変位量にばらつきが生じても、突き当て面41がコネクタハウジング3A,3Bの軸方向(接続)方向に変位可能に弾性支持されているため、突き当て面41の弾性変位量で、コネクタハウジング3A,3Bの接続方向の変位量のばらつきを吸収して、確実に接続端子相互が電気的に接続された状態を得ることができる。
従って、回転嵌合コネクタ1における動作信頼性を向上させることができる。
【0064】
また、以上に説明した本実施形態の回転嵌合コネクタ1の場合、接続端子だけでなく、一対のコネクタハウジング3A,3Bも、同一構造であるため、回転嵌合コネクタ1を構成する構成部品の種類を更に削減して、コスト低減を図ることができる。
【0065】
また、以上に説明した本実施形態の回転嵌合コネクタ1の場合、接続端子相互の先端の突き当て面41同士を突き合わせるために、中継スリーブ5とコネクタハウジング3A,3Bとを相対回転操作した場合に、一対のコネクタハウジング3A,3Bの双方が、互いに接近する方向に移動することになり、より速やかに、突き当て型端子4相互を突き合わ
せた状態を得ることができる。
【0066】
また、以上に説明した本実施形態の回転嵌合コネクタ1の場合、それぞれのコネクタハウジング3A,3Bに装備された複数の端子収容孔32の位置は、複数の端子収容孔32が回転中心に対して放射状配置になっているため、コネクタハウジング3A,3Bを回転操作しても、回転中心からの離間距離は不変である。そのため、接続端子相互が突き合わせ接続されるまでの各コネクタハウジング3A,3Bの回転量さえ正確に規制すれば、一対のコネクタハウジング3A,3Bの複数の接続端子を、確実に対応する接続端子同士で突き合わせた状態にすることができ、接続端子相互の誤接続や接続不良を防止することができる。
【0067】
また、以上に説明した本実施形態の回転嵌合コネクタ1の場合、中継スリーブ5の両端にそれぞれのコネクタハウジング3A,3Bの先端部33を嵌合させる際、中継スリーブ5の外周面に付与されている目印7で、中継スリーブ5とコネクタハウジング3A,3Bとの位相を合わせることができ、各コネクタハウジング3A,3Bの中継スリーブ5への嵌合操作が容易になる。
【0068】
なお、本発明の回転嵌合コネクタ1は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態の回転嵌合コネクタ1では、中継スリーブ5の両端の連絡筒部51のそれぞれに、ハウジング結合機構6を装備したが、ハウジング結合機構6の装備は、中継スリーブ5の一端側の連絡筒部51のみにすることもできる。
【0070】
また、ハウジング結合機構6を構成する突起61やカム溝63は、実施形態とは逆に、突起61を先端部33に装備し、カム溝63を中継スリーブ5に装備するようにしても良い。
【0071】
その他、前述した実施形態において例示した各構成部品の材質、形状、寸法、形態、数量、配置箇所等は、本発明の目的を達成できるものであれば、任意であり、前述した各実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0072】
1 回転嵌合コネクタ
3A,3B コネクタハウジング
4 突き当て型端子
5 中継スリーブ
6 ハウジング結合機構
7 目印
8 回転規制機構
32 端子収容孔
33 先端部
41 突き当て面
51 連絡筒部
61 突起
63 カム溝
63a 始端
81 弾性係止突起
83 回転規制用溝
83a 誘導溝
83b 係止用凹部
91 戻り防止壁
92 係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を収容した一対のコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングの先端部が回転可能に嵌合する連絡筒部を両端に有した中継スリーブと、該中継スリーブの少なくとも一方の連絡筒部と該連絡筒部に嵌合するコネクタハウジングの先端部との間に装備されて前記連絡筒部とハウジング先端部との相対回転を前記コネクタハウジングの接続方向への変位に変換するハウジング結合機構と、を備え、前記コネクタハウジングと前記中継スリーブとの相対回転操作により一対のコネクタハウジング相互の接続・離脱が可能な回転嵌合コネクタであって、
一対のコネクタハウジングに収容される接続端子は、先端に相手コネクタハウジングの接続端子との当接により電気的接続を果たす突き当て面が設けられた突き当て型端子であり、
各コネクタハウジングは、収容した前記突き当て型端子を、前記突き当て面がハウジング先端から突出する状態に保持していることを特徴とする回転嵌合コネクタ。
【請求項2】
前記突き当て型端子の前記突き当て面は、コネクタハウジングの軸方向に変位可能に弾性支持されていることを特徴とする請求項1に記載の回転嵌合コネクタ。
【請求項3】
前記一対のコネクタハウジングが、雌雄の区別の無い同一構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転嵌合コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジング結合機構が前記中継スリーブの両端の連絡筒部のそれぞれに装備され、前記中継スリーブの両端に嵌合した一対のコネクタハウジングは、互いに反対方向に回転操作されることにより、それぞれのコネクタハウジングが中継スリーブ内を軸方向に変位することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転嵌合コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−59398(P2012−59398A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198879(P2010−198879)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】