回転工具
【課題】砥石ホイール等の回転工具が部分当たりしても振動を減衰することができるようにする。
【解決手段】回転工具ホルダー21によりディスクグラインダのスピンドルに回転工具としての砥石ホイール20が着脱自在に装着される。回転工具ホルダー21は、スピンドルに取り付けられるロックナット25と、このロックナット25の背面側に対向するホイールワッシャ27とを有し、これらの間に砥石ホイール20が配置される。ホイールワッシャ27と砥石ホイール20との間には、内側弾性体36と外側弾性体37とが配置され、外側弾性体37は内側弾性体36よりもばね定数が大きくなっている。砥石ホイール20が部分当たりとなっても、外側弾性体37により砥石ホイールの傾斜が規制される。
【解決手段】回転工具ホルダー21によりディスクグラインダのスピンドルに回転工具としての砥石ホイール20が着脱自在に装着される。回転工具ホルダー21は、スピンドルに取り付けられるロックナット25と、このロックナット25の背面側に対向するホイールワッシャ27とを有し、これらの間に砥石ホイール20が配置される。ホイールワッシャ27と砥石ホイール20との間には、内側弾性体36と外側弾性体37とが配置され、外側弾性体37は内側弾性体36よりもばね定数が大きくなっている。砥石ホイール20が部分当たりとなっても、外側弾性体37により砥石ホイールの傾斜が規制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクグラインダ等の動力工具のスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具に関する。
【背景技術】
【0002】
動力源により回転砥石等の回転工具を駆動して被処理物の表面を加工処理する動力工具にはディスクグラインダ等がある。ディスクグラインダは電動モータやエアモータにより回転工具を駆動して被処理物の表面を研削加工するため使用される。回転工具としては、円板形の砥石、ダイヤモンドカッター、カップ形の砥石、ワイヤブラシなどがあり、被処理物の種類に応じて任意の回転工具が選択される。例えば、コンクリートや石材等の被処理物の表面を研削加工するためには、ダイヤモンド砥石が設けられた砥石ホイールが回転工具として選択され、ディスクグラインダにより表面の研削処理が行われる。このような回転工具により被処理物の表面を研削処理するディスクグラインダは、ディスクサンダーやポリッシャとも言われている。
【0003】
電動工具に取り付けられた回転工具を被処理物に押し付けて研削処理等の加工処理を行うと、加工時に回転工具に加わる衝撃による振動が作業者に直接伝わり、長時間の連続作業が困難であった。そのため、特許文献1に記載されるディスクグラインダにおいては、ディスク砥石の取付部つまりホルダー部にゴムパッキンからなる弾性部材を配置することにより、研削加工時に生じる衝撃を弾性部材で吸収し、ディスク砥石から作業者に伝わる振動を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−331454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、リング状の弾性部材の表裏両面全体をホイールワッシャとディスク砥石つまり砥石ホイールとに密着させるようにすると、回転工具に加わる衝撃を弾性部材の全面で受けることになり、砥石ホイールに被加工面が平行に緩く当接した状態で加工するときには、砥石ホイールの衝撃を弾性部材で減衰することができる。
【0006】
しかしながら、砥石ホイールの一部を被処理物の表面に当てるように加工すると、砥石ホイールは被加工面に対して傾斜する方向に部分当たりした状態となって被処理物に当たることになる。このように、砥石ホイールが部分当たりすると、弾性部材の一部分に負荷が加わることになり、砥石ホイールがスピンドルに対して大きく傾斜して砥石ホイールの中心部に設けられた取付孔の内周面が内側の取付リングに強く接触して砥石ホイールの振動がスピンドルに伝達されることになり、振動低減効果が薄れてしまう。また、弾性部材の一部分に大きな変形が起きてしまうので、弾性部材の永久変形が起こりやすくなる。弾性変形の永久変形が起こると砥石ホイールと弾性部材との間のガタが大きくなるので、衝撃を吸収する効果が小さくなり、ガタにより砥石ホイールがバタつく等の不具合が生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、砥石ホイール等の回転工具が部分当たりしても振動を減衰することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回転工具は、駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具であって、前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の回転工具は、前記ロックナットと前記ホイールワッシャとの間に、前記回転工具に形成された挿通孔を貫通するガイドロッドを前記ロックナットと平行に配置し、前記回転工具を軸方向に案内するとともに前記回転工具の回転を規制することを特徴とする。本発明の回転工具は、前記外側弾性体の軸方向の厚みを前記内側弾性体の厚みよりも小さくし、前記回転工具に押し付け力が加えられたときに、前記回転工具が前記内側弾性体を収縮した後に前記外側弾性体に当たることを特徴とする。本発明の回転工具は、前記外側弾性体を軸方向の厚みが前記内側弾性体の厚みよりも小さい主部と、当該主部に取り付けられるとともに、前記主部よりもばね定数が小さくかつ前記主部よりも小径の副部とにより形成し、前記主部と前記副部との複合部を前記ロックナットと前記ホイールワッシャとにより挟み付けることを特徴とする。
【0010】
本発明の回転工具は、前記外側弾性体の径方向内側部に軸方向に突出した突起部を設け、前記外側弾性体の前記突起部よりも径方向外側に前記突起部の圧縮量を規制する隙間を設けることを特徴とする。本発明の回転工具は、前記内側弾性体を形成する内側部と前記外側弾性体を形成する外側部とが一体となった弾性部材を前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置し、前記内側部に前記外側部よりもばね定数が小さい突起部を設け、前記外側部と前後両面のいずれか一方に隙間を設けることを特徴とする。本発明の回転工具は、前記突起部の先端を円弧状の断面形状とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の動力工具は、駆動源と、前記駆動源により回転駆動されるスピンドルと、上述した回転工具とを有することを特徴とする。本発明の回転工具ホルダーは、駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具を前記スピンドルに着脱自在に装着する回転工具ホルダーであって、前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転工具とホイールワッシャとの間には、径方向内側に内側弾性体が配置され、その径方向外側に外側弾性体が配置されており、外側弾性体は内側弾性体よりもばね定数が大きくなっており、内側弾性体は外側弾性体よりも軸方向に負荷が加えられると、弾性変形し易くなっている。これにより、回転工具が被処理物に対して全面当たりして作業が行われると、回転工具に加えられる振動は内側弾性体の弾性変形により吸収される。回転工具に軸方向に大きな負荷が加わったり、回転工具が部分当たりしたときには、内側弾性体よりもばね定数が大きい外側弾性体に回転工具が接触することになるので、回転工具の振動がスピンドルに伝達されることが防止されるとともに、回転工具が大きく傾斜することが防止され、回転工具が部分当たりしても振動を減衰することができる。
【0013】
回転工具の傾斜を小さくすることができるので、回転工具の取付孔がその内部の部材に衝突することが防止される。これにより、回転工具が傾斜しても振動を減衰することができるとともに、内側弾性体や外側弾性体の永久変形を防止して回転工具ホルダーの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】回転工具ホルダーにより砥石ホイールが装着されたディスクグラインダを示す一部切欠き正面図である。
【図2】図1における2−2線拡大断面図である。
【図3】図1における3−3線拡大矢視図である。
【図4】図1における4−4線拡大断面図である。
【図5】図1に示された回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図6】砥石ホイールにより全面当たりの研削作業を行っている状態を示す回転工具ホルダーの拡大断面図である。
【図7】砥石ホイールにより部分当たりの研削作業を行っている状態を示す回転工具ホルダーの拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図12】図11に示された弾性体を示す断面図である。
【図13】(A)は比較例としての従来の回転工具ホルダーを示す断面図であり、(B)は砥石ホイールにより部分当たりの研削作業を行っている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示す動力工具は携帯型つまり手持ち式のディスクグラインダ10である。このディスクグラインダ10は、例えば、コンクリートや石材等を被処理物としてこれの表面を研削処理するために使用され、ディスクサンダーとも言われる。
【0016】
ディスクグラインダ10は円筒形状のモータケース11aと、その先端部に取り付けられるギヤケース11bとを有し、モータケース11aの内部には図1に示されるように電動モータ12が動力源として収容される。電動モータ12はモータケース11aの後端部から引き出される電源コード13を介して図示しない商用電源に接続され、電動モータ12は商用電源から供給される電力により駆動される。電動モータ12の回転軸14にはベベルギヤ15が取り付けられ、このベベルギヤ15と噛み合うベベルギヤ16が回転軸14に直角に配置されたスピンドル17に取り付けられており、スピンドル17は電動モータ12により回転駆動される。このスピンドル17はギヤケース11bに取り付けられる軸受18により回転自在に支持されている。
【0017】
スピンドル17の先端部はギヤケース11bから突出しており、先端部には回転工具としてのカップ型の砥石ホイール20が回転工具ホルダー21により着脱自在に装着される。回転工具ホルダー21はスピンドル17に形成された突き当て面19に突き当てられた状態でスピンドル17に装着される。砥石ホイール20は鋼板によりカップ型に形成された基板22を有し、図3に示されるように、この基板22の前面にはその外周部に円周方向に伸びる複数のダイヤモンド砥石23aと径方向に伸びる複数のダイヤモンド砥石23bとがそれぞれロウ付け等の手段により固定されている。基板22には円周方向に間隔を置いて複数の貫通孔24が設けられており、軽量化のための肉抜き処理が行われている。
【0018】
回転工具ホルダー21は、図5に示されるように、スピンドル17の先端部に取り付けられるロックナット25を有し、このロックナット25は円板形状のディスク部25aとこれの背面側にディスク部25aと一体となった円筒形状のボス部25bとを有している。ディスク部25aにはボス部25bと同軸にねじ孔26が形成されており、スピンドル17の先端部に設けられた雄ねじ17aをねじ孔26にねじ結合することにより、ロックナット25はスピンドル17に着脱自在に取り付けられる。
【0019】
図5に示されるように、ロックナット25には円板形状の部材からなるホイールワッシャ27がロックナット25の背面側に対向して取り付けられている。ホイールワッシャ27の前面には、ロックナット25のボス部25bが嵌合する凹部28が形成されており、ボス部25bに凹部28を嵌合させることによりホイールワッシャ27はロックナット25に組み付けられる。ホイールワッシャ27とロックナット25のディスク部25aとの間には、取付スペース29が形成されており、この取付スペース29の軸方向の寸法は、ボス部25bの長さにより設定される。
【0020】
砥石ホイール20の径方向中心部には、ロックナット25のボス部25bに嵌合される取付孔31が形成されており、この取付孔31はボス部25bの外径よりも僅かに大きい内径となっている。ロックナット25のディスク部25aとホイールワッシャ27の間には、複数本のガイドロッド32がボス部25bと平行となって設けられている。図示する場合には、ガイドロッド32が円周方向に90度置きに4本設けられ、それぞれのガイドロッド32は砥石ホイール20に形成された挿通孔33を貫通している。ガイドロッド32により、砥石ホイール20が回転工具ホルダー21に対して回転することが防止されるとともに、砥石ホイール20はガイドロッド32に案内されてボス部25bに沿う軸方向に移動自在となっている。
【0021】
それぞれのガイドロッド32の一端部はホイールワッシャ27に形成された凹部34に嵌合し、他端部はディスク部25aに形成された凹部35に嵌合している。ガイドロッド32は管状部材に軸方向に伸びるスリットが形成されたスプリングピンにより形成されており、径方向に弾性変形する。ガイドロッド32をホイールワッシャ27とディスク部25aの間に組み込む前は、ガイドロッド32は凹部34,35の内径よりも大きくなっており、ガイドロッド32は径方向に押し縮めることにより凹部34,35内に圧入されてホイールワッシャ27とディスク部25aに固定される。
【0022】
ホイールワッシャ27と砥石ホイール20との間には、径方向内側に内側弾性体36が配置され、その径方向外側には外側弾性体37が配置されている。図5に示されるように、内側弾性体36と外側弾性体37はホイールワッシャ27の前面と砥石ホイール20の背面との間で挟み付けられている。このように、それぞれディスク状の部材であるロックナット25とホイールワッシャ27の2つの部材の間に砥石ホイール20とそれぞれの弾性体36,37とが配置される。ホイールワッシャ27の前面には内側弾性体36と外側弾性体37が突き当てられる突き当て面38が形成され、前面の外周部には突起39が環状に設けられている。内側弾性体36と外側弾性体37は、図4に示されるように、ゴム材料によりそれぞれ環状に形成されており、内側弾性体36は外側弾性体37よりもばね定数が小さくなっている。つまり、内側弾性体36と外側弾性体37に対して軸方向に同一の荷重を加えると、軸方向の弾性変形量は内側弾性体36の方が大きくなる。内側弾性体36と外側弾性体37とでゴム材料の成分を相違させることにより、両方の軸方向の弾性変形量に差を持たせることができ、内側弾性体36の方が外側弾性体37よりも弾性変形し易い硬度となっている。内側弾性体36と外側弾性体37のばね定数は、例えば内側弾性体36としてショア硬さ45,外側弾性体37としてショア硬さ65の天然ゴムを使用することができる。尚、ばね定数は形状や面積等の他の要因により選定されるものである。また、弾性体の材質はスポンジ状のゴムによるものであっても良い。
【0023】
このように、内側弾性体36を外側弾性体37よりも弾性変形し易くすると、砥石ホイール20の全面を被処理物の表面に押し付けて全面当たりの研削作業を行う場合には、砥石ホイール20に伝達される振動が内側弾性体36により吸収され、研削時の衝撃は内側弾性体36により効果的に低減される。一方、外側弾性体37は内側弾性体36よりも弾性変形しにいくい硬度となっており、砥石ホイール20の一部分を被処理面に押し付けて部分当たりの研削作業を行っても砥石ホイール20の傾斜を小さく抑えることができるとともに外側弾性体37と砥石ホイール20との接触により振動が吸収される。
【0024】
図6は砥石ホイール20により全面当たりの研削作業が行われて砥石ホイール20が軸方向に移動した状態を示し、図7は部分当たりの研削作業が行われて砥石ホイール20が小さく傾斜した状態を示す。
【0025】
部分当たりの研削作業時に、砥石ホイール20の傾斜を小さくすることができると、砥石ホイール20の取付孔31とボス部25bの衝突が回避されるので、衝突に起因する振動減衰効果が薄れることを防止できる。さらに、傾斜角度を小さくすることで内側弾性体36と外側弾性体37が過度に変形することを防止できるので、これらの弾性体の永久変形を防止することができ、弾性体の耐久性を向上することができる。
【0026】
図8〜図11はそれぞれ本発明の他の実施の形態である回転工具ホルダー21を示す断面図である。それぞれの図においては、図5〜図7に示した回転工具ホルダーを構成する部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0027】
図8に示す回転工具ホルダー21は、砥石ホイール20による研削作業が行われていない状態のもとでは、外側弾性体37の軸方向の厚みが内側弾性体36の厚みよりも小さくなっている。これにより、内側弾性体36が砥石ホイール20に接触し、砥石ホイール20とホイールワッシャ27との間に挟み付けられているのに対し、外側弾性体37と砥石ホイール20との間には隙間41が設けられている。このように、内側弾性体36の厚みを外側弾性体37よりも厚くすると、砥石ホイール20により全面当たりの研削作業を行う場合であっても、部分当たりの研削作業を行う場合でも、砥石ホイール20が外側弾性体37に接触するまでは、ばね定数の小さい内側弾性体36により研削時の振動を吸収し、衝撃を効果的に低減することができる。砥石ホイール20が強く押し付けられて内側弾性体36が主縮した後に砥石ホイール20がばね定数の大きい外側弾性体37に当たると、砥石ホイール20の過度の軸方向移動および過度の傾斜変位が外側弾性体37により振動を減衰しつつ抑制される。なお、図8に示す形態においては、外側弾性体37がホイールワッシャ27に接触し、外側弾性体37と砥石ホイール20との間に隙間41が設けられているが、外側弾性体37を砥石ホイール20に接触させ、外側弾性体37とホイールワッシャ27の突き当て面38との間に隙間41を設けるようにした形態としても同様の効果を達成できる。
【0028】
図9に示す回転工具ホルダー21は、外側弾性体37が内側弾性体36よりも厚みが小さい主部37aと、この径方向内側部に形成された凹部42内に組み込まれる副部37bとにより形成されている。主部37aと副部37bとにより形成される複合部の合計の厚みは、内側弾性体36の厚みとほぼ同一となっており、複合部はロックナット25とホイールワッシャ27とにより挟み付けられている。ホイールワッシャ27の突き当て面38の外周部には、主部37aの外周部の端面との間で隙間41を形成するための段部43が設けられている。この段部43は突き当て面38よりも前方に突出している。主部37aと副部37bは相互に相違した特性のゴム材料により形成され、副部37bは主部37aよりもばね定数が小さくかつ小径となっている。
【0029】
この形態の回転工具ホルダー21においては、砥石ホイール20により全面当たりの研削作業を行う場合であっても、部分当たりの研削作業を行う場合でも、砥石ホイール20が外側弾性体37の主部37aに接触するまでは、内側弾性体36が研削時の振動を吸収するとともに副部37bも振動を吸収することになり、衝撃を効果的に低減することができる。砥石ホイール20が強く押し付けられると、砥石ホイール20が外側弾性体37の主部37aに当たることになり、砥石ホイール20の過度の軸方向移動および過度の傾斜変位が抑制される。特に、段部43を回転工具ホルダー21の前方に迫り出させて隙間41を小さくすることにより、副部37bの弾性変形量を十分に確保しつつ、砥石ホイール20の傾斜角度を小さくすることができる。
【0030】
この形態の回転工具ホルダー21においては、図9において外側弾性体37の上下を反転させて隙間41を外側弾性体37と砥石ホイール20との間に形成するようにした形態としても同様の効果を得ることができる。
【0031】
図10に示す回転工具ホルダー21においては、外側弾性体37の径方向内側部に軸方向に突出した突起部37cが設けられており、突起部37cの先端は円弧面となっている。外側弾性体37の径方向内側部に突起部37cを設けることにより、外側弾性体37の径方向内側部の厚みが径方向外側部の厚みよりも大きくなっている。突起部37cを含めて外側弾性体37は同種のゴム材料により形成されており、ホイールワッシャ27の前面に形成された段部43と外側弾性体37の外周部との間には、図9に示した場合と同様に、隙間41が形成されている。
【0032】
この回転工具ホルダー21においては、外側弾性体37は突起部37cを含めて、内側弾性体36よりもばね定数が大きい材料により形成されているが、突起部37cは容積が小さいので、弾性変形し易くなっている。これにより、部分当たりの研削作業を行う場合でも、砥石ホイール20が外側弾性体37の外周部に接触するまでは、内側弾性体36が研削時の振動を吸収するとともに突起部37cも振動を吸収することになり、衝撃を効果的に低減することができる。特に、突起部37cの先端が円弧面とすることにより、突起部37cは弾性変形し易い形状となっている。
【0033】
図11に示す回転工具ホルダー21は、上述したそれぞれの回転工具ホルダー21における内側弾性体36と外側弾性体37が相互に種類の相違したゴム材料により形成されているのに対し、同種のゴム材料により内側弾性体36を形成する内側部と外側弾性体37を形成する内側部とが一体となった弾性体44により形成されている。図12は図11に示された一体型の弾性体44を示す断面図であり、この弾性体44の径方向内側部は上述した内側弾性体36に相当し、外側部は外側弾性体37に相当する。弾性体44の径方向内側部には先端面が円弧状となった突起部45が設けられており、径方向外側部には同様に先端面が円弧状となった突起部37cが設けられている。この弾性体44は内側弾性体36と外側弾性体37とに対応する部分が全体的に一体となっているので、中心部にはボス部25bが貫通する取付孔44aが形成されている。
【0034】
このように、円弧状の先端面を有する突起部45を一体型の弾性体44に設けることにより、径方向内側部は外側部よりも軸方向の弾性変形量が大きくなり、実質的にばね定数が外側部よりも小さくなる。図11に示す回転工具ホルダー21は、複数の弾性体を用いることなく、1種類のゴム材料からなる一体型の弾性体44により、上述した場合と同様の効果を得ることができる。
【0035】
上述したそれぞれの回転工具ホルダー21を組み立てるときには、ロックナット25の背面とホイールワッシャ27の前面との間に弾性体と砥石ホイール20とを配置した状態のもとで、ロックナット25のボス部25bをホイールワッシャ27の凹部28に圧入嵌合させる。このように、回転工具ホルダー21に砥石ホイール20が保持された状態のもとで、回転工具ホルダー21をスピンドル17にねじ結合する。そのときには、回転工具ホルダー21を回転させるために、図3に示されるように、図示しない治具が係合される複数の係合穴46がロックナット25の前面に形成されている。回転工具ホルダー21をスピンドル17の雄ねじ17aにねじ結合したり、ねじ結合を解いたりするときには、スピンドル17の回転を規制するために、図1に示すように操作ボタン47がギヤケース11bに軸方向に往復動自在に装着されており、操作ボタン47を押し込むと、スピンドル17の回転が防止される。
【0036】
図13(A),(B)は比較例として示す従来の回転工具ホルダー21aを示す断面図である。スピンドル17の突き当て面19に突き当てられるホイールワッシャ27は、環状の基部51とこれに組み付けられるスペーサ52とを有している。スペーサ52はディスク部52aとこれと一体のボス部52bを有している。一方、スピンドル17の雄ねじ17aにねじ結合されるロックナット25は、上述したボス部25bを有しておらず、ねじ孔26が形成されたディスク部25aのみにより形成されている。スペーサ52のディスク部52aとロックナット25との間には、砥石ホイール20と弾性体53とが配置されており、ロックナット25をスピンドル17にねじ結合することにより、弾性体53と砥石ホイール20とがスピンドル17に取り付けられる。
【0037】
砥石ホイール20をボス部52bに対して軸方向に移動させるために、ボス部52bの外周にはスプライン54が形成されており、砥石ホイール20の取付孔31にはスプライン54と噛み合うスプライン54aが形成されている。図13に示されるように、弾性体53の表裏両面の全体をディスク部52aと砥石ホイール20とに当てるようにすると、図13(B)に示されるように、砥石ホイール20が被処理物に部分当たりした状態となって傾斜したときに、砥石ホイール20の取付孔31のスプライン54aがボス部52bのスプライン54に接触することになる。このため、砥石ホイール20の振動がスピンドル17に伝達されて振動減衰効果が薄れることになる。これに対し、上述した回転工具ホルダー21においては、外側弾性体37により砥石ホイール20の傾斜が抑制されるとともに振動が吸収されるので、部分当たりの研削処理が行われても、取付孔31がボス部25bに衝突することに起因する振動伝達を確実に防止することができる。
【0038】
上述した回転工具ホルダー21のロックナット25はボス部25bを有し、ホイールワッシャ27は1つの部材により形成されているが、図13に示すように、ロックナット25をディスク部25aのみの構造とし、ホイールワッシャ27を環状の基部51とこれに組み付けられるスペーサ52とにより形成するようにした形態としても良い。
【0039】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、弾性体の配置として、図4に示したように内側弾性体と外側弾性体とを径方向に完全に分離して設けたが、一部が径方向に重複していても良い。また、実施の形態は動力工具としてディスクグラインダ10を示すが、回転工具を先端工具とする動力工具であれば、回転工具をスピンドルに取り付けるために本発明の回転工具ホルダーを適用することができる。また、図示するディスクグラインダ10は、電動モータ12を動力源としており、外部電源により電動モータ12を駆動するようにしているが、バッテリを内蔵するタイプの動力工具にも本発明の回転工具ホルダーを適用することができ、エアモータや発動機を動力源とする形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…ディスクグラインダ、11a…モータケース、11b…ギヤケース、12…電動モータ、13…電源コード、14…回転軸、15,16…ベベルギヤ、17…スピンドル、17a…雄ねじ、18…軸受、19…突き当て面、20…砥石ホイール、21…回転工具ホルダー、22…基板、23a,23b…ダイヤモンド砥石、24…貫通孔、25…ロックナット、25a…ディスク部、25b…ボス部、26…ねじ孔、27…ホイールワッシャ、28…凹部、29…取付スペース、31…取付孔、32…ガイドロッド、33…挿通孔、34,35…凹部、36…内側弾性体、37…外側弾性体、37a…主部、37b…副部、37c…突起部、38…突き当て面、39…突起、41…隙間、42…凹部、43…段部、44…弾性体、45…突起部、46…係合穴、47…操作ボタン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクグラインダ等の動力工具のスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具に関する。
【背景技術】
【0002】
動力源により回転砥石等の回転工具を駆動して被処理物の表面を加工処理する動力工具にはディスクグラインダ等がある。ディスクグラインダは電動モータやエアモータにより回転工具を駆動して被処理物の表面を研削加工するため使用される。回転工具としては、円板形の砥石、ダイヤモンドカッター、カップ形の砥石、ワイヤブラシなどがあり、被処理物の種類に応じて任意の回転工具が選択される。例えば、コンクリートや石材等の被処理物の表面を研削加工するためには、ダイヤモンド砥石が設けられた砥石ホイールが回転工具として選択され、ディスクグラインダにより表面の研削処理が行われる。このような回転工具により被処理物の表面を研削処理するディスクグラインダは、ディスクサンダーやポリッシャとも言われている。
【0003】
電動工具に取り付けられた回転工具を被処理物に押し付けて研削処理等の加工処理を行うと、加工時に回転工具に加わる衝撃による振動が作業者に直接伝わり、長時間の連続作業が困難であった。そのため、特許文献1に記載されるディスクグラインダにおいては、ディスク砥石の取付部つまりホルダー部にゴムパッキンからなる弾性部材を配置することにより、研削加工時に生じる衝撃を弾性部材で吸収し、ディスク砥石から作業者に伝わる振動を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−331454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、リング状の弾性部材の表裏両面全体をホイールワッシャとディスク砥石つまり砥石ホイールとに密着させるようにすると、回転工具に加わる衝撃を弾性部材の全面で受けることになり、砥石ホイールに被加工面が平行に緩く当接した状態で加工するときには、砥石ホイールの衝撃を弾性部材で減衰することができる。
【0006】
しかしながら、砥石ホイールの一部を被処理物の表面に当てるように加工すると、砥石ホイールは被加工面に対して傾斜する方向に部分当たりした状態となって被処理物に当たることになる。このように、砥石ホイールが部分当たりすると、弾性部材の一部分に負荷が加わることになり、砥石ホイールがスピンドルに対して大きく傾斜して砥石ホイールの中心部に設けられた取付孔の内周面が内側の取付リングに強く接触して砥石ホイールの振動がスピンドルに伝達されることになり、振動低減効果が薄れてしまう。また、弾性部材の一部分に大きな変形が起きてしまうので、弾性部材の永久変形が起こりやすくなる。弾性変形の永久変形が起こると砥石ホイールと弾性部材との間のガタが大きくなるので、衝撃を吸収する効果が小さくなり、ガタにより砥石ホイールがバタつく等の不具合が生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、砥石ホイール等の回転工具が部分当たりしても振動を減衰することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回転工具は、駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具であって、前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の回転工具は、前記ロックナットと前記ホイールワッシャとの間に、前記回転工具に形成された挿通孔を貫通するガイドロッドを前記ロックナットと平行に配置し、前記回転工具を軸方向に案内するとともに前記回転工具の回転を規制することを特徴とする。本発明の回転工具は、前記外側弾性体の軸方向の厚みを前記内側弾性体の厚みよりも小さくし、前記回転工具に押し付け力が加えられたときに、前記回転工具が前記内側弾性体を収縮した後に前記外側弾性体に当たることを特徴とする。本発明の回転工具は、前記外側弾性体を軸方向の厚みが前記内側弾性体の厚みよりも小さい主部と、当該主部に取り付けられるとともに、前記主部よりもばね定数が小さくかつ前記主部よりも小径の副部とにより形成し、前記主部と前記副部との複合部を前記ロックナットと前記ホイールワッシャとにより挟み付けることを特徴とする。
【0010】
本発明の回転工具は、前記外側弾性体の径方向内側部に軸方向に突出した突起部を設け、前記外側弾性体の前記突起部よりも径方向外側に前記突起部の圧縮量を規制する隙間を設けることを特徴とする。本発明の回転工具は、前記内側弾性体を形成する内側部と前記外側弾性体を形成する外側部とが一体となった弾性部材を前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置し、前記内側部に前記外側部よりもばね定数が小さい突起部を設け、前記外側部と前後両面のいずれか一方に隙間を設けることを特徴とする。本発明の回転工具は、前記突起部の先端を円弧状の断面形状とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の動力工具は、駆動源と、前記駆動源により回転駆動されるスピンドルと、上述した回転工具とを有することを特徴とする。本発明の回転工具ホルダーは、駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具を前記スピンドルに着脱自在に装着する回転工具ホルダーであって、前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転工具とホイールワッシャとの間には、径方向内側に内側弾性体が配置され、その径方向外側に外側弾性体が配置されており、外側弾性体は内側弾性体よりもばね定数が大きくなっており、内側弾性体は外側弾性体よりも軸方向に負荷が加えられると、弾性変形し易くなっている。これにより、回転工具が被処理物に対して全面当たりして作業が行われると、回転工具に加えられる振動は内側弾性体の弾性変形により吸収される。回転工具に軸方向に大きな負荷が加わったり、回転工具が部分当たりしたときには、内側弾性体よりもばね定数が大きい外側弾性体に回転工具が接触することになるので、回転工具の振動がスピンドルに伝達されることが防止されるとともに、回転工具が大きく傾斜することが防止され、回転工具が部分当たりしても振動を減衰することができる。
【0013】
回転工具の傾斜を小さくすることができるので、回転工具の取付孔がその内部の部材に衝突することが防止される。これにより、回転工具が傾斜しても振動を減衰することができるとともに、内側弾性体や外側弾性体の永久変形を防止して回転工具ホルダーの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】回転工具ホルダーにより砥石ホイールが装着されたディスクグラインダを示す一部切欠き正面図である。
【図2】図1における2−2線拡大断面図である。
【図3】図1における3−3線拡大矢視図である。
【図4】図1における4−4線拡大断面図である。
【図5】図1に示された回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図6】砥石ホイールにより全面当たりの研削作業を行っている状態を示す回転工具ホルダーの拡大断面図である。
【図7】砥石ホイールにより部分当たりの研削作業を行っている状態を示す回転工具ホルダーの拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態である回転工具ホルダーを示す拡大断面図である。
【図12】図11に示された弾性体を示す断面図である。
【図13】(A)は比較例としての従来の回転工具ホルダーを示す断面図であり、(B)は砥石ホイールにより部分当たりの研削作業を行っている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示す動力工具は携帯型つまり手持ち式のディスクグラインダ10である。このディスクグラインダ10は、例えば、コンクリートや石材等を被処理物としてこれの表面を研削処理するために使用され、ディスクサンダーとも言われる。
【0016】
ディスクグラインダ10は円筒形状のモータケース11aと、その先端部に取り付けられるギヤケース11bとを有し、モータケース11aの内部には図1に示されるように電動モータ12が動力源として収容される。電動モータ12はモータケース11aの後端部から引き出される電源コード13を介して図示しない商用電源に接続され、電動モータ12は商用電源から供給される電力により駆動される。電動モータ12の回転軸14にはベベルギヤ15が取り付けられ、このベベルギヤ15と噛み合うベベルギヤ16が回転軸14に直角に配置されたスピンドル17に取り付けられており、スピンドル17は電動モータ12により回転駆動される。このスピンドル17はギヤケース11bに取り付けられる軸受18により回転自在に支持されている。
【0017】
スピンドル17の先端部はギヤケース11bから突出しており、先端部には回転工具としてのカップ型の砥石ホイール20が回転工具ホルダー21により着脱自在に装着される。回転工具ホルダー21はスピンドル17に形成された突き当て面19に突き当てられた状態でスピンドル17に装着される。砥石ホイール20は鋼板によりカップ型に形成された基板22を有し、図3に示されるように、この基板22の前面にはその外周部に円周方向に伸びる複数のダイヤモンド砥石23aと径方向に伸びる複数のダイヤモンド砥石23bとがそれぞれロウ付け等の手段により固定されている。基板22には円周方向に間隔を置いて複数の貫通孔24が設けられており、軽量化のための肉抜き処理が行われている。
【0018】
回転工具ホルダー21は、図5に示されるように、スピンドル17の先端部に取り付けられるロックナット25を有し、このロックナット25は円板形状のディスク部25aとこれの背面側にディスク部25aと一体となった円筒形状のボス部25bとを有している。ディスク部25aにはボス部25bと同軸にねじ孔26が形成されており、スピンドル17の先端部に設けられた雄ねじ17aをねじ孔26にねじ結合することにより、ロックナット25はスピンドル17に着脱自在に取り付けられる。
【0019】
図5に示されるように、ロックナット25には円板形状の部材からなるホイールワッシャ27がロックナット25の背面側に対向して取り付けられている。ホイールワッシャ27の前面には、ロックナット25のボス部25bが嵌合する凹部28が形成されており、ボス部25bに凹部28を嵌合させることによりホイールワッシャ27はロックナット25に組み付けられる。ホイールワッシャ27とロックナット25のディスク部25aとの間には、取付スペース29が形成されており、この取付スペース29の軸方向の寸法は、ボス部25bの長さにより設定される。
【0020】
砥石ホイール20の径方向中心部には、ロックナット25のボス部25bに嵌合される取付孔31が形成されており、この取付孔31はボス部25bの外径よりも僅かに大きい内径となっている。ロックナット25のディスク部25aとホイールワッシャ27の間には、複数本のガイドロッド32がボス部25bと平行となって設けられている。図示する場合には、ガイドロッド32が円周方向に90度置きに4本設けられ、それぞれのガイドロッド32は砥石ホイール20に形成された挿通孔33を貫通している。ガイドロッド32により、砥石ホイール20が回転工具ホルダー21に対して回転することが防止されるとともに、砥石ホイール20はガイドロッド32に案内されてボス部25bに沿う軸方向に移動自在となっている。
【0021】
それぞれのガイドロッド32の一端部はホイールワッシャ27に形成された凹部34に嵌合し、他端部はディスク部25aに形成された凹部35に嵌合している。ガイドロッド32は管状部材に軸方向に伸びるスリットが形成されたスプリングピンにより形成されており、径方向に弾性変形する。ガイドロッド32をホイールワッシャ27とディスク部25aの間に組み込む前は、ガイドロッド32は凹部34,35の内径よりも大きくなっており、ガイドロッド32は径方向に押し縮めることにより凹部34,35内に圧入されてホイールワッシャ27とディスク部25aに固定される。
【0022】
ホイールワッシャ27と砥石ホイール20との間には、径方向内側に内側弾性体36が配置され、その径方向外側には外側弾性体37が配置されている。図5に示されるように、内側弾性体36と外側弾性体37はホイールワッシャ27の前面と砥石ホイール20の背面との間で挟み付けられている。このように、それぞれディスク状の部材であるロックナット25とホイールワッシャ27の2つの部材の間に砥石ホイール20とそれぞれの弾性体36,37とが配置される。ホイールワッシャ27の前面には内側弾性体36と外側弾性体37が突き当てられる突き当て面38が形成され、前面の外周部には突起39が環状に設けられている。内側弾性体36と外側弾性体37は、図4に示されるように、ゴム材料によりそれぞれ環状に形成されており、内側弾性体36は外側弾性体37よりもばね定数が小さくなっている。つまり、内側弾性体36と外側弾性体37に対して軸方向に同一の荷重を加えると、軸方向の弾性変形量は内側弾性体36の方が大きくなる。内側弾性体36と外側弾性体37とでゴム材料の成分を相違させることにより、両方の軸方向の弾性変形量に差を持たせることができ、内側弾性体36の方が外側弾性体37よりも弾性変形し易い硬度となっている。内側弾性体36と外側弾性体37のばね定数は、例えば内側弾性体36としてショア硬さ45,外側弾性体37としてショア硬さ65の天然ゴムを使用することができる。尚、ばね定数は形状や面積等の他の要因により選定されるものである。また、弾性体の材質はスポンジ状のゴムによるものであっても良い。
【0023】
このように、内側弾性体36を外側弾性体37よりも弾性変形し易くすると、砥石ホイール20の全面を被処理物の表面に押し付けて全面当たりの研削作業を行う場合には、砥石ホイール20に伝達される振動が内側弾性体36により吸収され、研削時の衝撃は内側弾性体36により効果的に低減される。一方、外側弾性体37は内側弾性体36よりも弾性変形しにいくい硬度となっており、砥石ホイール20の一部分を被処理面に押し付けて部分当たりの研削作業を行っても砥石ホイール20の傾斜を小さく抑えることができるとともに外側弾性体37と砥石ホイール20との接触により振動が吸収される。
【0024】
図6は砥石ホイール20により全面当たりの研削作業が行われて砥石ホイール20が軸方向に移動した状態を示し、図7は部分当たりの研削作業が行われて砥石ホイール20が小さく傾斜した状態を示す。
【0025】
部分当たりの研削作業時に、砥石ホイール20の傾斜を小さくすることができると、砥石ホイール20の取付孔31とボス部25bの衝突が回避されるので、衝突に起因する振動減衰効果が薄れることを防止できる。さらに、傾斜角度を小さくすることで内側弾性体36と外側弾性体37が過度に変形することを防止できるので、これらの弾性体の永久変形を防止することができ、弾性体の耐久性を向上することができる。
【0026】
図8〜図11はそれぞれ本発明の他の実施の形態である回転工具ホルダー21を示す断面図である。それぞれの図においては、図5〜図7に示した回転工具ホルダーを構成する部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0027】
図8に示す回転工具ホルダー21は、砥石ホイール20による研削作業が行われていない状態のもとでは、外側弾性体37の軸方向の厚みが内側弾性体36の厚みよりも小さくなっている。これにより、内側弾性体36が砥石ホイール20に接触し、砥石ホイール20とホイールワッシャ27との間に挟み付けられているのに対し、外側弾性体37と砥石ホイール20との間には隙間41が設けられている。このように、内側弾性体36の厚みを外側弾性体37よりも厚くすると、砥石ホイール20により全面当たりの研削作業を行う場合であっても、部分当たりの研削作業を行う場合でも、砥石ホイール20が外側弾性体37に接触するまでは、ばね定数の小さい内側弾性体36により研削時の振動を吸収し、衝撃を効果的に低減することができる。砥石ホイール20が強く押し付けられて内側弾性体36が主縮した後に砥石ホイール20がばね定数の大きい外側弾性体37に当たると、砥石ホイール20の過度の軸方向移動および過度の傾斜変位が外側弾性体37により振動を減衰しつつ抑制される。なお、図8に示す形態においては、外側弾性体37がホイールワッシャ27に接触し、外側弾性体37と砥石ホイール20との間に隙間41が設けられているが、外側弾性体37を砥石ホイール20に接触させ、外側弾性体37とホイールワッシャ27の突き当て面38との間に隙間41を設けるようにした形態としても同様の効果を達成できる。
【0028】
図9に示す回転工具ホルダー21は、外側弾性体37が内側弾性体36よりも厚みが小さい主部37aと、この径方向内側部に形成された凹部42内に組み込まれる副部37bとにより形成されている。主部37aと副部37bとにより形成される複合部の合計の厚みは、内側弾性体36の厚みとほぼ同一となっており、複合部はロックナット25とホイールワッシャ27とにより挟み付けられている。ホイールワッシャ27の突き当て面38の外周部には、主部37aの外周部の端面との間で隙間41を形成するための段部43が設けられている。この段部43は突き当て面38よりも前方に突出している。主部37aと副部37bは相互に相違した特性のゴム材料により形成され、副部37bは主部37aよりもばね定数が小さくかつ小径となっている。
【0029】
この形態の回転工具ホルダー21においては、砥石ホイール20により全面当たりの研削作業を行う場合であっても、部分当たりの研削作業を行う場合でも、砥石ホイール20が外側弾性体37の主部37aに接触するまでは、内側弾性体36が研削時の振動を吸収するとともに副部37bも振動を吸収することになり、衝撃を効果的に低減することができる。砥石ホイール20が強く押し付けられると、砥石ホイール20が外側弾性体37の主部37aに当たることになり、砥石ホイール20の過度の軸方向移動および過度の傾斜変位が抑制される。特に、段部43を回転工具ホルダー21の前方に迫り出させて隙間41を小さくすることにより、副部37bの弾性変形量を十分に確保しつつ、砥石ホイール20の傾斜角度を小さくすることができる。
【0030】
この形態の回転工具ホルダー21においては、図9において外側弾性体37の上下を反転させて隙間41を外側弾性体37と砥石ホイール20との間に形成するようにした形態としても同様の効果を得ることができる。
【0031】
図10に示す回転工具ホルダー21においては、外側弾性体37の径方向内側部に軸方向に突出した突起部37cが設けられており、突起部37cの先端は円弧面となっている。外側弾性体37の径方向内側部に突起部37cを設けることにより、外側弾性体37の径方向内側部の厚みが径方向外側部の厚みよりも大きくなっている。突起部37cを含めて外側弾性体37は同種のゴム材料により形成されており、ホイールワッシャ27の前面に形成された段部43と外側弾性体37の外周部との間には、図9に示した場合と同様に、隙間41が形成されている。
【0032】
この回転工具ホルダー21においては、外側弾性体37は突起部37cを含めて、内側弾性体36よりもばね定数が大きい材料により形成されているが、突起部37cは容積が小さいので、弾性変形し易くなっている。これにより、部分当たりの研削作業を行う場合でも、砥石ホイール20が外側弾性体37の外周部に接触するまでは、内側弾性体36が研削時の振動を吸収するとともに突起部37cも振動を吸収することになり、衝撃を効果的に低減することができる。特に、突起部37cの先端が円弧面とすることにより、突起部37cは弾性変形し易い形状となっている。
【0033】
図11に示す回転工具ホルダー21は、上述したそれぞれの回転工具ホルダー21における内側弾性体36と外側弾性体37が相互に種類の相違したゴム材料により形成されているのに対し、同種のゴム材料により内側弾性体36を形成する内側部と外側弾性体37を形成する内側部とが一体となった弾性体44により形成されている。図12は図11に示された一体型の弾性体44を示す断面図であり、この弾性体44の径方向内側部は上述した内側弾性体36に相当し、外側部は外側弾性体37に相当する。弾性体44の径方向内側部には先端面が円弧状となった突起部45が設けられており、径方向外側部には同様に先端面が円弧状となった突起部37cが設けられている。この弾性体44は内側弾性体36と外側弾性体37とに対応する部分が全体的に一体となっているので、中心部にはボス部25bが貫通する取付孔44aが形成されている。
【0034】
このように、円弧状の先端面を有する突起部45を一体型の弾性体44に設けることにより、径方向内側部は外側部よりも軸方向の弾性変形量が大きくなり、実質的にばね定数が外側部よりも小さくなる。図11に示す回転工具ホルダー21は、複数の弾性体を用いることなく、1種類のゴム材料からなる一体型の弾性体44により、上述した場合と同様の効果を得ることができる。
【0035】
上述したそれぞれの回転工具ホルダー21を組み立てるときには、ロックナット25の背面とホイールワッシャ27の前面との間に弾性体と砥石ホイール20とを配置した状態のもとで、ロックナット25のボス部25bをホイールワッシャ27の凹部28に圧入嵌合させる。このように、回転工具ホルダー21に砥石ホイール20が保持された状態のもとで、回転工具ホルダー21をスピンドル17にねじ結合する。そのときには、回転工具ホルダー21を回転させるために、図3に示されるように、図示しない治具が係合される複数の係合穴46がロックナット25の前面に形成されている。回転工具ホルダー21をスピンドル17の雄ねじ17aにねじ結合したり、ねじ結合を解いたりするときには、スピンドル17の回転を規制するために、図1に示すように操作ボタン47がギヤケース11bに軸方向に往復動自在に装着されており、操作ボタン47を押し込むと、スピンドル17の回転が防止される。
【0036】
図13(A),(B)は比較例として示す従来の回転工具ホルダー21aを示す断面図である。スピンドル17の突き当て面19に突き当てられるホイールワッシャ27は、環状の基部51とこれに組み付けられるスペーサ52とを有している。スペーサ52はディスク部52aとこれと一体のボス部52bを有している。一方、スピンドル17の雄ねじ17aにねじ結合されるロックナット25は、上述したボス部25bを有しておらず、ねじ孔26が形成されたディスク部25aのみにより形成されている。スペーサ52のディスク部52aとロックナット25との間には、砥石ホイール20と弾性体53とが配置されており、ロックナット25をスピンドル17にねじ結合することにより、弾性体53と砥石ホイール20とがスピンドル17に取り付けられる。
【0037】
砥石ホイール20をボス部52bに対して軸方向に移動させるために、ボス部52bの外周にはスプライン54が形成されており、砥石ホイール20の取付孔31にはスプライン54と噛み合うスプライン54aが形成されている。図13に示されるように、弾性体53の表裏両面の全体をディスク部52aと砥石ホイール20とに当てるようにすると、図13(B)に示されるように、砥石ホイール20が被処理物に部分当たりした状態となって傾斜したときに、砥石ホイール20の取付孔31のスプライン54aがボス部52bのスプライン54に接触することになる。このため、砥石ホイール20の振動がスピンドル17に伝達されて振動減衰効果が薄れることになる。これに対し、上述した回転工具ホルダー21においては、外側弾性体37により砥石ホイール20の傾斜が抑制されるとともに振動が吸収されるので、部分当たりの研削処理が行われても、取付孔31がボス部25bに衝突することに起因する振動伝達を確実に防止することができる。
【0038】
上述した回転工具ホルダー21のロックナット25はボス部25bを有し、ホイールワッシャ27は1つの部材により形成されているが、図13に示すように、ロックナット25をディスク部25aのみの構造とし、ホイールワッシャ27を環状の基部51とこれに組み付けられるスペーサ52とにより形成するようにした形態としても良い。
【0039】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、弾性体の配置として、図4に示したように内側弾性体と外側弾性体とを径方向に完全に分離して設けたが、一部が径方向に重複していても良い。また、実施の形態は動力工具としてディスクグラインダ10を示すが、回転工具を先端工具とする動力工具であれば、回転工具をスピンドルに取り付けるために本発明の回転工具ホルダーを適用することができる。また、図示するディスクグラインダ10は、電動モータ12を動力源としており、外部電源により電動モータ12を駆動するようにしているが、バッテリを内蔵するタイプの動力工具にも本発明の回転工具ホルダーを適用することができ、エアモータや発動機を動力源とする形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…ディスクグラインダ、11a…モータケース、11b…ギヤケース、12…電動モータ、13…電源コード、14…回転軸、15,16…ベベルギヤ、17…スピンドル、17a…雄ねじ、18…軸受、19…突き当て面、20…砥石ホイール、21…回転工具ホルダー、22…基板、23a,23b…ダイヤモンド砥石、24…貫通孔、25…ロックナット、25a…ディスク部、25b…ボス部、26…ねじ孔、27…ホイールワッシャ、28…凹部、29…取付スペース、31…取付孔、32…ガイドロッド、33…挿通孔、34,35…凹部、36…内側弾性体、37…外側弾性体、37a…主部、37b…副部、37c…突起部、38…突き当て面、39…突起、41…隙間、42…凹部、43…段部、44…弾性体、45…突起部、46…係合穴、47…操作ボタン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具であって、
前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、
前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする回転工具。
【請求項2】
前記ロックナットと前記ホイールワッシャとの間に、前記回転工具に形成された挿通孔を貫通するガイドロッドを前記ロックナットと平行に配置し、前記回転工具を軸方向に案内するとともに前記回転工具の回転を規制することを特徴とする回転工具。
【請求項3】
前記外側弾性体の軸方向の厚みを前記内側弾性体の厚みよりも小さくし、前記回転工具に押し付け力が加えられたときに、前記回転工具が前記内側弾性体を収縮した後に前記外側弾性体に当たることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項4】
前記外側弾性体を軸方向の厚みが前記内側弾性体の厚みよりも小さい主部と、当該主部に取り付けられるとともに、前記主部よりもばね定数が小さくかつ前記主部よりも小径の副部とにより形成し、前記主部と前記副部との複合部を前記ロックナットと前記ホイールワッシャとにより挟み付けることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項5】
前記外側弾性体の径方向内側部に軸方向に突出した突起部を設け、前記外側弾性体の前記突起部よりも径方向外側に前記突起部の圧縮量を規制する隙間を設けることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項6】
前記内側弾性体を形成する内側部と前記外側弾性体を形成する外側部とが一体となった弾性部材を前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置し、前記内側部に前記外側部よりもばね定数が小さい突起部を設け、前記外側部と前後両面のいずれか一方に隙間を設けることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項7】
前記突起部の先端を円弧状の断面形状とすることを特徴とする請求項4または5記載の回転工具。
【請求項8】
駆動源と、
前記駆動源により回転駆動されるスピンドルと、
請求項1乃至請求項7に記載の回転工具と、を有することを特徴とする動力工具。
【請求項9】
駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具を前記スピンドルに着脱自在に装着する回転工具ホルダーであって、
前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、
前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする回転工具ホルダー。
【請求項1】
駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具であって、
前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、
前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする回転工具。
【請求項2】
前記ロックナットと前記ホイールワッシャとの間に、前記回転工具に形成された挿通孔を貫通するガイドロッドを前記ロックナットと平行に配置し、前記回転工具を軸方向に案内するとともに前記回転工具の回転を規制することを特徴とする回転工具。
【請求項3】
前記外側弾性体の軸方向の厚みを前記内側弾性体の厚みよりも小さくし、前記回転工具に押し付け力が加えられたときに、前記回転工具が前記内側弾性体を収縮した後に前記外側弾性体に当たることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項4】
前記外側弾性体を軸方向の厚みが前記内側弾性体の厚みよりも小さい主部と、当該主部に取り付けられるとともに、前記主部よりもばね定数が小さくかつ前記主部よりも小径の副部とにより形成し、前記主部と前記副部との複合部を前記ロックナットと前記ホイールワッシャとにより挟み付けることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項5】
前記外側弾性体の径方向内側部に軸方向に突出した突起部を設け、前記外側弾性体の前記突起部よりも径方向外側に前記突起部の圧縮量を規制する隙間を設けることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項6】
前記内側弾性体を形成する内側部と前記外側弾性体を形成する外側部とが一体となった弾性部材を前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置し、前記内側部に前記外側部よりもばね定数が小さい突起部を設け、前記外側部と前後両面のいずれか一方に隙間を設けることを特徴とする請求項1または2記載の回転工具。
【請求項7】
前記突起部の先端を円弧状の断面形状とすることを特徴とする請求項4または5記載の回転工具。
【請求項8】
駆動源と、
前記駆動源により回転駆動されるスピンドルと、
請求項1乃至請求項7に記載の回転工具と、を有することを特徴とする動力工具。
【請求項9】
駆動源により回転駆動されるスピンドルにより回転駆動されて被処理物を処理する回転工具を前記スピンドルに着脱自在に装着する回転工具ホルダーであって、
前記スピンドルに取り付けられるロックナットと、
前記ロックナットの背面側に対向して前記ロックナットに取り付けられ、前記ロックナットとの間に前記回転工具が配置されるホイールワッシャと、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に配置される内側弾性体と、
前記ホイールワッシャと前記回転工具との間に前記内側弾性体の径方向外側に配置され、前記内側弾性体よりもばね定数の大きい外側弾性体とを有することを特徴とする回転工具ホルダー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−75345(P2013−75345A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217296(P2011−217296)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】
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