説明

回転式の多重蛍光検出装置用の弁制御システム

リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)における多重標的種の検出に関する技法について説明する。例えば、あるシステムが、データ取得装置と、そのデータ取得装置に結合された検出装置とを備えている。検出装置は、複数のプロセスチャンバを有する回転ディスクを含み、そのプロセスチャンバは、異なる波長で蛍光を放出する複数の種を有している。その装置は、複数の取り外し可能な光学モジュールを有しており、その複数の取り外し可能な光学モジュールは、種を励起しかつ異なる波長で種によって放出された蛍光を捕捉するように、光学的に構成されている。複数の取り外し可能な光学モジュールに結合された光ファイバ束は、それらの光学モジュールから単一の検出器に蛍光を伝達する。加えて、その装置は、チャンバを分離する弁の位置を突き止め、その弁をレーザで加熱して選択的に開放することによって、ディスク内の流体の流れを制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価分析システムに関し、より具体的には、蛍光染料を使用して多重標的種を検出する間に、流量を制御する技法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクシステムは、様々な生物学的検定、化学的検定または生化学的検定を実施するためにしばしば使用されている。典型的なシステムにおいては、血液、血漿、血清、尿または他の液体など、液体検体を格納および処理するための基材として、回転式ディスクが使用されている。ある場合には、ディスク内の流体は、処理中に、ある配置から他の配置へ移動させることが必要となりうる。
【0003】
分析法の一種類がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、このポリメラーゼ連鎖反応は、核酸配列解析にしばしば用いられている。具体的には、PCRは、DNA塩基配列決定法、クローニング、遺伝子マッピング、および他の形式の核酸配列解析にしばしば用いられている。
【0004】
一般に、PCRは、DNA複製酵素の能力に依存して、高温における安定性を維持している。PCRには、変性、アニーリング、および拡張(extension)の3つの主な工程がある。変性の間、液体試料は約94℃で加熱される。加熱処理の間、二本鎖DNAは「溶解し」一本鎖DNAへと変性し、すべての酵素反応が停止する。アニーリングの間、一本鎖DNAは54℃に冷却される。この温度において、プライマは、DNA鎖の端部に結合すなわち「アニール」する。拡張の間、試料は75℃に加熱される。この温度において、ヌクレオチドはプライマを増し、最終的に、DNA鋳型の相補的コピーが形成される。
【0005】
PCRの間に試料中の特定のDNAおよびRNA配列のレベルをリアルタイムで決定するように設計された既存のPCR計測器は多数存在する。その計測器のうちの多くは、蛍光染料の使用に基づいている。具体的には、多くの従来のリアルタイムPCR計測器は、PCR産物の増幅の間、比例して生成される蛍光信号を検出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のリアルタイムPCR計測器は、異なる蛍光染料の検出には異なる方法を用いている。例えば、ある従来のPCR計測器は、それぞれの染料をスペクトルに関して分解するためのフィルタホイールに白色光源を組み合わせている。その白色光源は、数千時間の最大寿命を有するタングステンハロゲン電球である。フィルタホイールは、典型的には、摩耗を受けやすい複雑な電気機械的部品である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本発明は、リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)において多重標的種を検出するための、本明細書において多重PCRと呼ぶ技法に関する。具体的には、複数の光学モジュールを組み込んだ多重蛍光検出装置について説明する。光学モジュールのそれぞれは、別個の波長帯域において各蛍光染料を検出するために最適化することができる。換言すれば、光学モジュールは、多重併発反応を異なる波長において調べるために使用することができる。その反応は、例えば、回転ディスクの単一のプロセスチャンバ(例えばウェル)内で発生させることができる。加えて、各光学モジュールは、装置の検出能力を迅速に変更するために取外し可能であってもよい。
【0008】
複数の光学モジュールを、多脚式の光ファイバ束によって単一の検出器に光学的に結合してもよい。このようにして、多重化は、複数の光学モジュールと、単一の検出器、例えば光電子増倍管とを使用することによって達成することができる。それぞれの光学モジュール内の光学構成要素は、感度を最大化し、かつスペクトルのクロストーク、すなわち別の光学モジュール上のある染料からの信号の量を最小化するように選択することができる。
【0009】
また、その装置は、ディスク上の弁をマップし開放するためのレーザ弁制御システムを有している。レーザ弁制御システムは、2つの出力設定を有していてもよい。低出力設定においては、システムは、ディスク内のスロットを介してセンサによって検出されるレーザ光線を放出して、ディスクを回転させる回転プラットフォームに対するディスクの位置をマップする。次いで、そのマップは、ディスク上の2つ以上のチャンバを分離する選択した弁の位置を突き止めるために使用することができる。位置を突き止めると、レーザ弁制御システムは、より高いエネルギーのレーザ光を弁に集束させてその弁を開放し、ディスクが回転されている間に保持チャンバからプロセスチャンバに内容物を流すことを可能にする。
【0010】
一実施形態において、ある装置が、弁を有するチャネルによってプロセスチャンバから分離された保持チャンバを有するディスクを回転させるためのモータと、ディスクの位置を決定するために、第1のレベルで、また、弁を開放して流体を保持チャンバからプロセスチャンバに流れさせるために、第2のレベルで、電磁エネルギーを出力するエネルギー源と、を備えている。
【0011】
別の実施形態において、あるシステムがデータ取得装置を備えている。そのシステムは、データ取得装置に結合された検出装置であって、弁を有するチャネルによってプロセスチャンバから分離された保持チャンバを有するディスクを回転させるためのモータと、そのディスクの位置を決定して弁を開放し、流体を保持チャンバからプロセスチャンバに流れさせるために、電磁エネルギーを出力するエネルギー源と、その電磁エネルギーを検出すると信号を出力するセンサと、をさらに備えている。
【0012】
さらなる実施形態において、ある方法が、弁を有するチャネルによってプロセスチャンバから分離された保持チャンバを有するディスクを回転させるステップと、ディスクの位置を決定するための第1のレベルで電磁エネルギーを放出するステップと、弁を開放して保持チャンバからプロセスチャンバに流体を流れさせるための第2のレベルで電磁エネルギーを出力するステップと、を含んでいる。
【0013】
本発明は、1つ以上の利点をもたらすことができる。例えば、レーザ弁制御システムを使用すると、ディスクの正確な位置を突き止め、そのディスクの位置のマップを作成することができる。さらに、システムは次いで、そのマップを使用してレーザをディスク上の弁の上方に位置決めし、その弁を必要に応じて開放することができる。この自己較正法によって、動作時間を短縮すると共に、レーザの精度を向上させることができる。
【0014】
その装置は、リアルタイムPCRを実施することが可能である一方で、いかなる種類の生体反応をも、その生体反応が生じている間に解析することが可能である。その装置は、それぞれの反応の温度を独立してまたは選択した群として調整することが可能であり、また、その装置は、2つ以上のチャンバの間に弁を含めることによって、多段階の反応をサポートすることが可能である。
【0015】
ある実施形態において、装置は、遠隔地または仮設の実験室で操作できるように、持ち運び可能でかつ頑健にすることができる。その装置は、反応をリアルタイムで解析するためのデータ取得コンピュータを含むことができ、また、その装置は、有線または無線の通信インターフェースを介して、データを別の装置に通信することができる。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明で示す。本発明の他の特徴、目的、および利点は、その説明と図面から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、多重蛍光検出装置10の例示的実施形態を示す構成図である。図示の例において、装置10は、4つの異なる染料の光学検出のための4つの「チャネル」を提供する4つの光学モジュール16を有している。具体的には、装置10は、回転ディスク13の異なる領域を所与のいかなるときにも励起し、かつ放出された異なる波長の蛍光エネルギーを染料から収集する4つの光学モジュール16を有している。その結果、モジュール16は、試料22中に生じる多重併発反応を調べるために使用することができる。
【0018】
多重反応は、例えば、回転ディスク13の単一のチャンバ内で同時に発生することがある。光学モジュール16のそれぞれは、ディスク13が回転するとき、試料22を調べ、異なる波長で蛍光エネルギーを収集する。例えば、モジュール16内の励起源を、対応する波長でデータを収集するのに十分な期間にわたって、順次活性化することができる。すなわち、光学モジュール16Aをある期間にわたって活性化して、第1の反応に対応する第1の染料に対して選択された第1の波長範囲においてデータを収集することができる。次いで励起源を非活性化することができ、また、モジュール16B内の励起源を活性化して、第2の反応に対応する第2の染料に対して選択された第2の波長範囲において試料22を調べることができる。このプロセスは、データがすべての光学モジュール16から捕捉されるまで継続する。一実施形態において、光学モジュール16内の励起源のそれぞれは、約2秒間という初期期間にわたって活性化されて定常状態に達し、その定常状態の後に、ディスク13の10〜50回転にわたって持続する問い合わせ期間が続く。他の実施形態において、励起源は、それより短い期間(例えば、1ミリ秒もしくは2ミリ秒)またはそれより長い期間にわたって順序づけられてもよい。ある実施形態において、ディスク13の回転を停止することなく試料22の同時問い合わせを行うために、複数の光学モジュールを一斉に活性化することができる。
【0019】
単一の試料22を示してあるが、ディスク13は、試料を保持する複数のチャンバを含んでもよい。光学モジュール16は、異なるチャンバの一部またはすべてに異なる波長で問い合わせることができる。一実施形態において、ディスク13は、ディスク13の円周に配置された96個のチャンバを有する。96個のチャンバディスクおよび4個の光学モジュール16を用いると、装置10は、384個の異なる種からデータを得ることができる。
【0020】
一実施形態において、光学モジュール16は、廉価な高出力発光ダイオード(LED)である励起源を含んでおり、その高出力発光ダイオードは、さまざまな波長のものが市販されており、かつ長寿命(例えば100,000時間以上)を有している。別の実施形態においては、従来のハロゲン電球または水銀ランプを励起源として使用することができる。
【0021】
図1に示すように、光学モジュール16のそれぞれは、光ファイバ束14の1本の脚部に結合することができる。光ファイバ束14は、感度を損なうことなく光学モジュール16から蛍光信号を収集するための柔軟な機構を提供している。一般に、光ファイバ束は、複数の光ファイバを備えており、その光ファイバは並んで置かれ、端部で互いに結合され、柔軟な保護ジャケットに包まれている。あるいは、光ファイバ束14は、共通の端部を有する、より少数からなる個別の大直径のマルチモードファイバ(ガラスまたはプラスチック)を備えていてもよい。例えば、4光学モジュール装置の場合、光ファイバ束16は、それぞれが1mmのコア直径を有する4本の個別の多モードファイバを備えていてもよい。束の共通端部は、互いに縛られた4本のファイバを含んでいる。この例において、検出器18の開口部は8mmであってもよく、これは4本のファイバに結合するのに十分なものである。
【0022】
この例において、光ファイバ束14は、光学モジュール16を単一の検出器18に結合している。光ファイバは、光学モジュール16によって収集した蛍光を伝え、また、捕捉した光を検出器18に効果的に送る。一実施形態において、検出器18は、光電子増倍管である。別の実施形態において、前記検出器は、複数の光電子増倍素子を、単一の検出器内に、各光ファイバごとに1つ含んでもよい。他の実施形態において、1つ以上の固体検出器を使用することができる。
【0023】
単一の検出器18を使用することは、単一の検出器のみ使用が必要となることによる最小コストを維持する一方で、高感度でかつおそらくは高価な検出器(例えば光電子増倍管)を使用することができるという点で有利となりうる。単一の検出器について本明細書で論じるが、しかしながら、1つ以上の検出器を、多数の染料の検出のために含めてもよい。例えば、1枚のディスクから放出された8つの異なる波長の検出を可能にするために、4つの付加的な光学モジュール16および第2の検出器をシステムに追加することができる。回転ディスク13と共に使用するための、単一の検出器に結合された例示的な光ファイバ束が、「複数の光学モジュールを共通の検出器に結合するファイバ束を有する多重蛍光検出装置(MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE HAVING FIBER BUNDLE COUPLING MULTIPLE OPTICAL MODULES TO A COMMON DETECTOR)」と題された2005年7月5日出願の米国特許出願第11/174,755号に記載されている。
【0024】
光学モジュール16は、装置から取り外し可能であり、また、異なる波長での問い合わせに対して最適化された他の光学モジュールと容易に交換可能である。例えば、光学モジュール16は、モジュールハウジングの配置内に物理的に装着することができる。光学モジュール16のそれぞれは、光学モジュールの1つ以上のマーキング(例えばガイドピン)とかみ合うガイド(例えばくぼんだ溝)に沿って、ハウジングの各配置内に容易に挿入することができる。光学モジュール16のそれぞれは、ラッチ、磁石、ネジまたは他の締結装置によってカートリッジ内に固定してもよい。各光学モジュールは、光ファイバ束14の1本の脚部に結合するための光出力ポート(図6および7に示す)を含んでいる。光出力ポートは、脚部のねじ付きコネクタに結合されるねじ付き端部を有することができる。あるいは、光ファイバ束14を光出力ポートとの間で摺動自在に係合および解放する「クイック接続」の形式(例えば、Oリングとキャッチピンを有する摺動自在な接続部)を用いてもよい。さらに、光学モジュール16のそれぞれは、完全に挿入されたとき制御ユニット23に電気的に結合する1つ以上の電気接点パッドまたはフレックス回路を有することができる。回転ディスク13と共に使用するための例示的な取り外し可能な光学モジュールが、「取り外し可能な光学モジュールを有する多重蛍光検出装置(MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE HAVING REMOVABLE OPTICAL MODULES)」と題された2005年7月5日出願の米国特許出願第11/174,754号に記載されている。
【0025】
装置10は、モジュール式の構成となっていることにより、多重PCRなど、所与の解析環境において使用される蛍光染料のすべてに容易に適合することができる。装置10において使用しうる他の化学作用には、インベーダー(Invader)法(ウィスコンシン州マジソン(Madison)のサードウェーブ社(Third Wave))、TMA(Transcripted-mediated Amplification)法(カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)のジェンプローブ社(GenProbe))、蛍光標識酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)または蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(FISH)が挙げられる。装置10のモジュール構成は、対応する染料を多重反応において選択的に励起し検出する目的で、小さな特定の目標範囲の波長に対して対応する励起源(不図示)と励起および検出フィルタを選択することによって、各光学モジュール16の感度を最適化できるという点で、別の利点をもたらすことができる。
【0026】
例として、装置10は、4色多重構成で示してあるが、さらに多数または少数のチャネルを適切な光ファイバ束14と共に使用することができる。このモジュール設計により、ユーザーは、単に別の光学モジュール16をベース20に追加し、光ファイバ束14の1本の脚部をその新たな光学モジュールに挿入することによって、装置10を現場で容易に改良することができる。光学モジュール16は、光学モジュールを識別しかつ装置10の内部制御モジュールまたは他の内部電子装置(例えば制御ユニット23)に較正データをダウンロードする集積電子装置を有してもよい。
【0027】
図1の例において、試料22は、ディスク13のチャンバ内に収容されており、ディスク13は、制御ユニット23の制御下にある回転プラットフォームに装着されている。スロットセンサトリガ27は、制御ユニット23がディスクの回転中にデータ取得装置21をチャンバ位置と同期させるために利用する出力信号を提供する。スロットセンサトリガ27は、機械的、電気的、磁気的、または光学的なセンサであってよい。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、スロットセンサトリガ27は、ディスク13を貫いて形成されたスロットを通じて光線を放出する光源を備えてもよく、そのスロットはディスクが回転するたびに検出される。別の例として、スロットセンサトリガは、ディスク13の回転と、モジュール16および検出器18によるデータ取得とを同期化する目的で反射光を感知してもよい。他の実施形態において、ディスク13は、タブ、突出部または反射面を、スロットに加えてまたはスロットの代わりに有してもよい。スロットセンサトリガ27は、ディスク13が回転しているとき、物理的な構造または機構を使用してディスク13の半径方向位置を突き止めることができる。光学モジュール16は、回転プラットフォーム25の上に物理的に装着することができる。結果として、光学モジュール16は、異なるチャンバと一度に重なり合う。
【0028】
また、検出装置10は、ディスク13上の試料22の温度を調整するための発熱体(不図示)を含んでいる。発熱体は、反射エンクロージャ内に収容された円筒形のハロゲン電球を備えることができる。反射チャンバは、電球からの電磁線をディスク13の放射切片に集束するように形作られている。一般に、ディスク13の加熱領域は、ディスク13がスピンするようにアニュラ・リングを備える。この実施形態において、反射エンクロージャの形状は、正確な集束を可能にする楕円形と球形の幾何学形状の組み合わせとすることができる。他の実施形態において、反射エンクロージャは異なる形状のものであってもよく、また、電球はより大きな領域を広く照射してもよい。他の実施形態において、反射エンクロージャは、試料22を含む単一のプロセスチャンバなど、ディスク13の単一の領域上に電球からの電磁線を集束するように形作ることができる。
【0029】
ある実施形態において、発熱体は空気を加熱し、その熱空気を1つ以上の試料に送り込んで温度を調整することができる。加えて、試料は、ディスクによって直接加熱されてもよい。この場合、発熱体は、プラットフォーム25内に配置し、ディスク13に熱的に結合することができる。発熱体内の電気抵抗により、制御ユニット23によって制御されるディスク13の選択された領域を加熱することができる。例えば、領域は1つ以上のチャンバ、場合によってはディスク全体を含むことができる。回転ディスク13と共に使用するための例示的発熱体が、「回転多重蛍光検出装置用の発熱体(HEATING ELEMENT FOR A ROTATING MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE)」と題された2005年7月5日出願の米国特許出願第11/174,691号に記載されている。
【0030】
別法としてまたは加えて、装置10はまた、冷却用構成要素(不図示)を含むことができる。冷たい空気、すなわち室温の空気をディスク13に供給するために、ファンが装置10に含められる。冷却は、試料の温度を適切に調整しかつ実験が完了した後に試料を保管するために必要となることがある。他の実施形態において、プラットフォーム25はその温度を必要に応じて減じることができるので、冷却用構成要素は、プラットフォーム25とディスク13との熱結合を含むことができる。例えば、ある生体試料は、酵素活性またはタンパク質変性を減じるために、摂氏4度で保管することができる。
【0031】
また、検出装置10は、プロセスチャンバ内に含まれた反応種を制御することもできる。例えば、ある種をプロセスチャンバに装填して1つの反応を発生させ、後に、第1の反応が終了次第、別の種をその試料に追加すると有益となることがある。弁制御システムを利用して、内部保持チャンバをプロセスチャンバから分離する弁を制御し、それによって、ディスク13の回転中に種をチャンバに追加するのを制御することができる。この弁制御システムは、光学モジュール16の1つの中に配置するか、もしくは光学モジュール16の1つに装着してもよく、また光学モジュールと分離していてもよい。レーザの真下のディスク13の下方に、レーザをディスク13に対して位置決めするためのレーザセンサがあってもよい。
【0032】
一実施形態において、弁制御システムは、2つ以上の出力レベルでセンサと共に駆動させることが可能な近赤外線(NIR)レーザを有している。低電力設定において、レーザは、例えばディスク13内のスロットを通じてレーザによって放出されたNIR光を検知するセンサにより、ディスク13を位置決めし、選択弁を標的とするために使用することができる。標的とした弁が定位置へ回転すると、制御ユニット23は、高出力エネルギーの短いバーストを出力して弁を加熱し、標的とした弁を開けるように、レーザに指示する。エネルギーのバーストは、例えば穿孔、溶解または溶発によって弁内に空洞を形成して弁を開放し、チャネルを通じて内部保持チャンバから外部プロセスチャンバに流体を流れさせる。ある実施形態において、ディスク13は、複数の反応を順次発生させるために、様々な寸法および材料の複数の弁を含むことができる。複数のチャンバ弁を有するディスクを利用するとき、複数の組みの弁制御システムを使用してもよい。
【0033】
データ取得装置21は、装置10から各染料のデータを順次にまたは同時に収集することができる。一実施形態において、データ取得システム21は、光学モジュール16からデータを順次に収集し、光学モジュールの1つごとに、スロットセンサトリガ27から受信した出力信号から測定される空間的な重なり合いをトリガ遅延によって修正する。
【0034】
装置10の1つの用途はリアルタイムPCRであるが、本明細書で説明する技法は、複数の波長における蛍光検出を利用する他のプラットフォームに拡張することができる。装置10は、発熱体を利用した急速熱循環と、核酸の分離、増幅、および検出のための遠心駆動式マイクロフルイディクスとを組み合わせることができる。多重蛍光検出を用いることにより、多重標的種を同時に検出し解析することができる。
【0035】
リアルタイムPCRの場合、蛍光は、3つの一般的技法のうちの1つにおいて増幅量を測定するために使用される。第1の技法は、二本鎖DNAに結びつけられると蛍光性が向上するSybr Green(オレゴン州ユージン(Eugene)のモレキュラー・プローブ社(Molecular Probes)製)などの染料を使用することである。第2の技法では、増幅された標的配列に結びつけられたときに蛍光性が変化する蛍光標識プローブ(ハイブリダイゼーションプローブ、ヘアピンプローブなど)を使用する。この技法は、二本鎖DNA結合染料を使用することと類似しているが、プローブは標的配列の特定の切片にのみ結合するため、より特定的なものである。第3の技法は、加水分解プローブ(カリフォルニア州フォスター・シティ(Foster City)のアプライドバイオシステムズ(Applied BioSystems)社製のTaqman(商標))を使用することであり、この技法において、ポリメラーゼ酵素のエキソヌクレアーゼ活性により、クェンチャ分子は、PCRの拡張段階の間にプローブから分裂されて蛍光活性となる。
【0036】
これらの手法のいずれにおいても、蛍光性は、増幅した標的濃度と線形に比例する。データ取得システム21は、PCR反応の間に検出器18からの(または別法として、任意選択で制御ユニット23によってサンプリングされ通信された)出力信号を測定して、増幅をほぼリアルタイムで観測する。多重PCRにおいて、多重標的は、独立して測定される異なる染料で標識化される。概して、各染料は、異なる吸光度および発光スペクトルを有する。この理由により、光学モジュール16は、異なる波長でのサンプル22の問い合わせのために光学的に選択された励起源、レンズおよび関連するフィルタを有することがある。
【0037】
本発明に関連した使用に適合しうる好適な構成技法または材料の一部の例が、例えば、本発明の譲受人に譲渡された「改良された試料処理装置システムおよび方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS)」(ベディンガム(Bedingham)ら)と題された米国特許第6,734,401号および「試料処理装置(SAMPLE PROCESSING DEVICES)」と題された米国特許出願公報US2002/0064885に記載されている。他の有用な装置構成が、2000年6月28日に出願され「熱処理の装置および方法(THERMAL PROCESSING DEVICES AND METHODS)」と題された米国仮特許出願第60/214,508号、2000年6月28日に出願され「試料処理の装置、システムおよび方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」と題された米国仮特許出願第60/214,642号、2000年10月2日に出願され「試料処理の装置、システムおよび方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」と題された米国仮特許出願第60/237,072号、2001年1月6日に出願され「試料処理の装置、システムおよび方法(SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」と題された米国仮特許出願第60/260,063号、2001年4月18日に出願され「改良された試料処理の装置、システムおよび方法(ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODS)」と題された米国仮特許出願第60/284,637号、および「試料処理の装置およびキャリア(SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERS)」と題された米国特許出願US2002/0048533に見出すことができる。他の実現可能な装置構成を、例えば、「試料処理装置の遠心充填(CENTRIFUGAL FILLING OF SAMPLE PROCESSING DEVICES)」と題された米国特許第6,627,159号に見出すことができる。
【0038】
図2は、例示的光学モジュール16Aを示す概略図であり、この光学モジュール16Aは、図1の光学モジュール16のいずれにも対応しうるものである。この例において、光学モジュール16Aは、高出力励起源であるLED30と、コリメーティングレンズ32と、励起フィルタ34と、ダイクロイックフィルタ36と、集束レンズ38と、検出フィルタ40と、レンズ42とを含んでおり、そのレンズ42は、光ファイバ束14の1本の脚部に蛍光を集束するためのものである。
【0039】
結果として、LED30からの励起光は、コリメーティングレンズ32によって平行にされ、励起フィルタ34によってフィルタ処理され、ダイクロイックフィルタ36を透過し、集束レンズ38によってサンプル22に集束される。結果として生じる試料から放出される蛍光は、同じ集束レンズ38によって集められ、ダイクロイックフィルタ36から反射され、検出フィルタ40によってフィルタ処理された後、光ファイバ束14の1本の脚部に集束される。次いで、光束14は、光を検出器18に伝送する。
【0040】
LED30、コリメーティングレンズ32、励起フィルタ34、ダイクロイックフィルタ36、集束レンズ38、検出フィルタ40、およびレンズ42は、光学モジュール16Aと共に用いられる多重染料の特定の吸収帯および発光帯に基づいて選択されている。このようにして、複数の光学モジュール16は、異なる染料を標的とするように構成し装置10内に搭載することができる。
【0041】
表1は、種々の蛍光染料に対して4チャネル多重蛍光検出装置10において使用することができる例示的な構成要素を示す。FAM、HEX、JOE、VIC、TET、ROXは、カリフォルニア州ノーウォーク(Norwalk)のアプレラ(Applera)社の商標である。Tamraは、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose)のアナスペック(AnaSpec)社の商標である。Texas Redは、モレキュラー・プローブ(Molecular Probes)社の商標である。Cy 5は、英国バッキンガムシャー州のアマシャム(Amersham)社の商標である。
【0042】
【表1】

【0043】
説明したモジュール式の多重検出構成の1つの利点は、多種多様な染料に対して検出を最適化する上での柔軟性である。おそらく、ユーザーは、必要に応じて装置10に差し込むことができる複数の異なる光学モジュールのバンクを有することができ、その複数の光学モジュールのうち、Nを一度に使用することができるが、ここでNは、装置によってサポートされるチャネルの最大数である。したがって、装置10および光学モジュール16は、任意の蛍光染料およびPCR検出法と共に使用することができる。より大きな光ファイバ束を使用して、より多数の検出チャネルをサポートすることもできる。さらに、複数の光ファイバ束を複数の検出器と共に使用することもできる。例えば、2本の4脚光ファイバ束を、8台の光学モジュール16と2台の検出器18と共に使用することができる。
【0044】
図3は、装置ハウジング内の取り外し可能な光学モジュールの例示的な組みの正面図を示す斜視図である。図3の例において、装置10は、ベースアーム44とモジュールハウジング46とを有している。主光学モジュール48、補助光学モジュール52および補助光学モジュール56が、モジュールハウジング46内に収容されている。光学モジュール48、52および56は、ディスク13の異なるプロセスチャンバを逐次的に励起する光学出力ビーム43、49、53および57をそれぞれ生成する。換言すれば、出力ビーム43、49、53および57は、プロセスチャンバを含むディスクの同じ半径方向位置をそれぞれが励起するように、ディスク13の湾曲に従う。光学モジュール48は、それぞれが異なるビーム43および49を出力する2つの光学チャネルを含んでいる。スロットセンサトリガ27は赤外光源31を含んでおり、その赤外光源31は、検出器33によって検出される光35を生成する。
【0045】
光学モジュール48、52および56のそれぞれは、モジュールハウジング46と係合するための各解放レバー50、54または58をそれぞれ有している。各解放レバーは、モジュールハウジング46内に形成された各ラッチと係合するように、上向きのバイアスを与えることができる。技術者または他のユーザーが、光学モジュール48、52または56をモジュールハウジング46からラッチ解除し取り外すために、解放レバー50、54または58を押し下げる。バーコードリーダ29は、ディスク13を認識するためのレーザ62を有している。
【0046】
ベースアーム44は、検出装置10から延びており、モジュールハウジング46と光学モジュール48、52および56とを支持している。モジュールハウジング46は、ベースアーム44の頂上にしっかりと固定することができる。モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56のそれぞれ1つを受けるように適合された1つの配置を含んでいてもよい。例示を目的としてモジュールハウジング46に関して説明したが、検出装置10のモジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56を受けるための複数の配置を有していてもよい。換言すれば、光学モジュール48、52および56に対して、別個のハウジングを使用する必要はない。
【0047】
モジュールハウジング46の各配置は、技術者また他のユーザーが光学モジュールを挿入するときに、関連付けられた光学モジュールをその配置内に正確に位置決めすることを支援する1つ以上の軌道またはガイドを含んでいてもよい。これらのガイドは、各配置の頂部、底部、または側部に沿って位置していてもよい。光学モジュール48、52および56のそれぞれは、モジュールハウジング46の配置のガイドまたは軌道とかみ合うガイドまたは軌道を有していてもよい。例えば、モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56内の溝付きのガイドとかみ合う突出したガイドを有していてもよい。
【0048】
ある実施形態において、モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56のそれぞれを完全に囲んでいなくてもよい。例えば、モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56のそれぞれをベースアーム44に固定するための装着位置を備えていてもよいが、各光学モジュールの一部またはすべてが露出していてもよい。他の実施形態において、モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56のそれぞれを完全に囲んでいてもよい。例えば、モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56の上方で閉じる単一の扉、またはモジュールのそれぞれに対する別個の扉を有していてもよい。この実施形態は、モジュールが希にしか取り外されないか、または検出装置10が非常な環境条件にさらされる用途に適切となりうる。
【0049】
技術者は、光学モジュール48、52および56のいずれをも容易に取り外すことができ、またこの取り外しは片手のみを用いて完了することができる。例えば、技術者は、光学モジュール52の解放レバー54の下に位置する成形リップの下方に、自身の人差し指を掛けることができる。次いで、技術者の親指で解放レバー54を押し下げて、光学モジュール52をモジュールハウジング46から解放することができる。技術者は、光学モジュール52を親指と人差し指の間で掴みながら、光学モジュールを引っ張って、光学モジュールを検出装置10から取り外すことができる。両手式の取り外しを利用する方法を含め、他の方法を使用して光学モジュール48、52または56のいずれかを取り外してもよい。光学モジュール48、52または56のいずれの挿入も、片手または両手を用いて逆の方式で達成することができる。
【0050】
図3の例において、2つの光学モジュールの構成要素は、主光学モジュール48を形成するように結合されている。主光学モジュール48は、異なる2つの波長の光を生成する光源と、ディスク13内の試料からの異なる各波長の蛍光を検出するための検出器とを含んでいてもよい。さらに、主光学モジュール48は、光ファイバ束14の2本の脚部に接続してもよい。このようにして、主光学モジュール48は、2つの独立した光学励起チャネルと収集チャネルとを有する二重チャネル式光学モジュールと考えることができる。ある実施形態において、主光学モジュール48は、2つを超える光学モジュール用の光学構成要素を含んでいてもよい。他の場合には、モジュールハウジング46は、補助光学モジュール52および56など、複数の(例えば2つ以上の)単チャネル式光学モジュールを含んでいる。
【0051】
図3に示すように、主光学モジュール48はまた、レーザ弁制御システム51(光学モジュール48内に位置する)用の構成要素を含んでいてもよい。レーザ弁制御システム51は、ディスク13の外側縁部付近に位置する小さなスロットによってディスク13の位置を検出する。検出器(不図示)は低出力レーザ光55を検出して、ディスク13をスピンさせるモータに対するディスク13の位置をマップする。制御ユニット23はそのマップを使用してディスク13上の弁(図3には示さず)の位置を突き止め、標的とした弁を、レーザ弁制御システム51を介して開放するために定位置に回転させる。
【0052】
標的とした弁が定位置に位置すると、レーザ弁制御システム51は、高出力の1つ以上の短いバーストを用いて弁にレーザ光55を集束させる。その短いバーストは、例えば弁を穿孔、溶解または溶発することによって、標的とした弁内に空洞を形成し、内部保持チャンバの内容物を、ディスク13が回転するとき外側のプロセスチャンバに流れさせる。検出装置10は次いで、プロセスチャンバ内における後の反応を監視することができる。チャンバ内の内容物は、流動状態または固体状態の物質を含んでもよい。
【0053】
ある実施形態において、レーザ弁制御システム51は、単チャネル式光学モジュール、例えば補助光学モジュール54または補助光学モジュール56内に収容されていてもよい。他の実施形態において、レーザ弁制御システム51は、光学モジュール48、52または56のいずれからも分離して検出装置10に装着されていてもよい。この場合、レーザ弁制御システム51は取り外し可能であってもよく、また、モジュールハウジング46または検出装置10の他のハウジング内の配置と係合するように適合されていてもよい。
【0054】
図3の例において、スロットセンサトリガ27は、ディスク13のいずれかの側において、取り外し式モジュールの付近に位置している。一実施形態において、スロットセンサトリガ27は、赤外(IR)光35を放出するための光源31を含んでいる。検出器33は、ディスク13内のスロットによってIR光35がディスクを通過して検出器33に達したとき、その光を検出する。制御ユニット23は、検出器33によって生成された出力信号を使用して、光学モジュール48、54および56からのデータ取得をディスク13の回転と同期する。ある実施形態において、スロットセンサトリガ27は、装置10の動作中にディスク13の外側縁部に達するように、ベースアーム44から延びていてもよい。他の実施形態においては、機械的な検出器を使用してディスク13の位置を検出してもよい。
【0055】
バーコードリーダ29は、レーザ62を使用して、ディスク13の横縁部に位置するバーコードを読み取る。バーコードによってディスク13のタイプが識別され、装置10の適切な動作が可能となる。ある実施形態においては、バーコードによって現在のディスクを識別して、技術者が複数のディスク13から特定の試料までデータを追跡するのを支援することができる。
【0056】
光学モジュール48、52および56のすべての表面構成要素は、ポリマー、複合材、または合金で構成されていてもよい。例えば、高分子量のポリウレタンを、表面構成要素の形成に使用してもよい。他の場合には、アルミ合金または炭素繊維構造を形成してもよい。いずれの場合にも、材料は、熱、疲労、応力、および腐食に耐性のあるものにすることができる。検出装置10は生体物質と接触しうるので、その構造は、チャンバ内容物がディスク13から漏出した場合、滅菌可能なものにすることができる。
【0057】
図4は、検出装置10のモジュールハウジング46内の取り外し可能な光学モジュール48、52および56の例示的な一組を示す斜視図である。図4の例において、ベースアーム44は、モジュールハウジング46内に取り付けられた取り外し可能な光学モジュール48、52および56だけでなく、バーコードリーダ29をも支持している。ディスク13は、光学モジュール48、52および56の下に位置し、試料22は、異なる時点で、モジュールのそれぞれの対応する光学経路の下に位置する。
【0058】
モジュールハウジング46内で、補助モジュール56および主モジュール48の前面を見ることができる。補助モジュール56は、成形リップ59と解放レバー58とを含んでいる。前述のように、成形リップ59は、モジュール56を取り外したりモジュールハウジング46に挿入したりするときにモジュールを掴むために使用することができる。光学モジュール48、52および56のすべてが、個々の成形リップおよび解放レバーを有していてもよく、また、単一の解放レバーを使用して、光学モジュールのすべてを取り外してもよい。ある実施形態において、光学モジュール48、52および56は、モジュールを把持するための異なる構成要素を含んでいてもよい。例えば、光学モジュール48、52および56のそれぞれは、各モジュールをモジュールハウジング46から垂直または水平方向に取り外すためのハンドルを含んでいてもよい。
【0059】
モジュールハウジング46内の光学モジュール48、52および56の配置は、ディスク13内の異なる試料を特定の時点で個別に励起するために固定することができる。例えば、主光学モジュール48は、補助光学モジュール52および56よりもわずかにさらにベースアーム44に向かって位置し、補助光学モジュール52および56が、主モジュールの両側で、ある配置へと喰い違いになっていてもよい。さらに、光学モジュール48、52および56は、それらのモジュールによって生成された励起光線がディスク13の湾曲に従うように、水平方向(図4で矢印によって示すが、ここでXは、外側の光線が内側の光線と喰い違う距離である)に喰い違いになっていてもよい。この構成において、光学モジュール48、52および56によって生成された光線は、ディスク13が回転しているとき同じ経路を横断し、それによって、その経路に沿って位置するプロセスチャンバを刺激し、そのプロセスチャンバから光を収集する。他の実施形態において、光学モジュール48、52および56は、励起光線が、回転するディスク13の周りの異なる経路を横断するように整列されている。
【0060】
この例において、ベースアーム44は、モジュールハウジング46内に延びる電気接触板66を含んでいる。モジュールハウジング46の内部で、電気接触板66は、光学モジュール48、52および56のそれぞれに対する電気接点を含んでいてもよい。電気接触板66は、制御ユニット23に電気的に結合されていてもよい。ある実施形態において、光学モジュール48、52および56のそれぞれは、制御ユニット23に接続される、関連付けられた別個の電気接触板を有していてもよい。
【0061】
光ファイバカップラ68は、光ファイバ束14の1本の脚部を光学モジュール56の光出力ポートに結合している。図示しないが、光学モジュール48、52および56のそれぞれは、光出力ポートを有しており、それらの光出力ポートは、モジュールハウジング46に装着された各々の光ファイバカップラと係合するように適合されている。光ファイバカップラ68と光ファイバ束14の脚部との接続は、ネジによる固定であっても、スナップクロージャであっても、摩擦嵌合であってもよい。
【0062】
バーコードリーダ29は、ディスク13のバーコードを読み取るためのレーザ光64を生成する。レーザ光64はある直接経路を辿り、その直接経路において、レーザ光64はディスク13の外側縁部と相互作用する。光64は、ディスク13の広域を一度に覆うように拡散することができる。バーコードリーダ29は、ディスク13が低速で回転しているときに、そのディスク上のバーコードを読み取る。他の実施形態において、バーコードリーダ29は、動作中にバーコードを周期的に読み取って、新たなディスクが装置10に搭載されていないことを確認することができる。バーコードリーダ29は、他の実施形態においてディスク13上の複数のバーコードを検出してもよい。
【0063】
ある実施形態において、ベースアーム44は、ディスク13に対して移動可能であってもよい。この場合、ベースアーム44は、異なる寸法のディスク上の試料またはディスク13の内部に位置する試料を検出するように構成することができる。例えば、ベースアーム44をディスク13の中心からさらに離れて移動させることによって、より多くのプロセスチャンバまたはより大きなプロセスチャンバを含むより大きなディスクを使用することができる。また、モジュールハウジング46は、光学モジュール48、52および56のそれぞれに対する変更可能な位置を有し、それによって、各モジュールが、ディスク13の周りのプロセスチャンバの1つ以上の円形経路へと移動可能となっていてもよい。
【0064】
図5は、モジュールコネクタを露出するために1つのモジュールを取り外した、取り外し可能な光学モジュールの例示的な一組の前側面図を示す斜視図である。具体的には、モジュールハウジング46は図5に示されておらず、また、光学モジュール56は取り外され、光学モジュール52および48が、取り外したモジュール56の連結部と共に露出している。
【0065】
光学モジュール56の解放レバー58(図3)は、ベースアーム44に装着された取り付けポスト69にしっかりと取り付けられている。この例において、取り付けポスト69は、光学モジュール56内へと延びており、解放レバー58に結合している。他の実施形態において、ネジまたはスナップ固定装置など、他の取り付け機構を使用して、光学モジュール56をベースアーム44に固定してもよい。
【0066】
ベースアーム44は、挿入した光学モジュール56を受けその光学モジュール56と係合するための、2つの異なる操作可能な接続部を、モジュールハウジング46内に備えている。具体的には、ベースアーム44は電気接触板66を備えており、その電気接触板66は、光学モジュール56内に含められた電気接点(不図示)と結合するための電気接続部70を有している。電気接続部70によって、制御ユニット23がモジュール56内の電気部品と通信することが可能となる。例えば、モジュール56は、電気回路、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。一実施形態において、内部の電気部品は、シリアル番号などの独自の識別情報を格納し制御ユニット23に出力してもよい。別法としてまたは加えて、電気部品は、取り外し式モジュール56内に含まれた光学構成要素の具体的な特徴を表す情報を提供してもよい。例えば、電気部品は、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、フラッシュメモリ、または他の内部もしくは取り外し式記憶媒体を含んでもよい。他の実施形態が、光学モジュール48、52または56の独自の署名情報を制御ユニット23に出力するための、一組みの抵抗器、回路、または埋め込み式プロセッサを含んでもよい。別の例において、光学モジュール56は、レーザ弁制御システム、すなわちレーザ弁制御システム51の一部を形成するレーザ源および他の構成要素を有していてもよい。
【0067】
電気接触板66を取り外し、異なる取り外し可能な光学モジュールに関連付けられた別のバージョンで置き換えてもよい。この任意選択により、装置能力の更新を支援することができる。他の実施形態において、接続部70は、何本かの接続ピンを含んでいてもよい。
【0068】
加えて、ベースアーム44およびモジュールハウジング46は、光学モジュール56を受けるための配置内に光学チャネル72を設けている。光学チャネル72は、光ファイバ束14の脚部と連結する光ファイバカップラ68(図4)に接続されている。光学チャネル72は、光学モジュール56内のある配置に挿入される。光学モジュール56によって捕捉された光は、光学チャネル72、光ファイバカップラ68および光ファイバ束15を通じて検出器に送ることができる。これらの接続部の間のはめ合いは、光が漏出したり光学経路に入ったりしないように、緊密にすることができる。
【0069】
ある実施形態において、光学モジュール56への接続部は、異なる構成で配置することができる。例えば、接続部は、光学モジュール56を別の方向から受け入れるための別の位置に配置してもよい。他の実施形態において、電気接続部は光学モジュール56の一方の側に配置し、光学接続部はモジュール56の第2の表面に配置してもよい。いずれの場合も、モジュールハウジング46の配置内に配置された電気接続部および光学接続部は、取り外し可能な光学モジュールを、すなわちこの場合は光学モジュール56を収容する。
【0070】
図5で説明したモジュール56の光学接続部および電気接続部は、光学モジュール48および52を含めた任意のモジュールと共に使用することができる。加えて、各光学モジュールの接続部は、同一でなくてもよい。接続部は、所望の取り外し可能な光学モジュールとの結合用に修正することができるため、モジュールハウジング46の特定の配置に挿入された特定の光学モジュールによって利用される接続部は、いかなる時点で異なっていてもよい。
【0071】
図6は、例示的な主取り外し可能な光学モジュール48内の構成要素を示す斜視図である。図6の例において、主光学モジュール48は、解放レバー50と、旋回ピン51と、ラッチ74とを有している。内部ハウジング78が、モジュール48の各側を分離しており、リボン81に接続された電気接触パッド80を含んでいる。光学構成要素には、LED82と、コリメーティングレンズ84と、励起フィルタ86と、ダイクロイックフィルタ88と、集束レンズ90と、検出フィルタ92と、レンズ94とがある。光出力ポート17は、光ファイバ束14の脚部に結合している。第2の光学チャネル(不図示)用の光学構成要素の別個の一組みが、内部ハウジング78の他方の側に位置している。加えて、主モジュール48は、コネクタ96と、レーザダイオード98と、集束レンズ100とを、制御ユニット23によって制御されるレーザ弁制御システム51の一部として有している。
【0072】
解放レバー50が、光学モジュール48に旋回ピン61によって取り付けられている。旋回ピン61により、解放レバー50はピンの軸線の周りで回転することができる。解放レバー50を押し下げると、アーム63が反時計回りに回転してラッチ74を上昇させる。ラッチ74が上昇すると、光学モジュール48は、モジュールハウジング46から自在に取り外すことができる。ラッチ74を下方の位置に維持するために、解放レバー50に対するバイアスの力を維持するバネまたは他の機構が存在してもよい。ある実施形態においては、バネを旋回ピン61の周りに含めて、ラッチ74を下方の、すなわちラッチ係合した位置に保つモーメントアームを設けてもよい。他の実施形態においては、他の装着機構を、説明したレバーに追加するか、またはそのレバーの代わりに使用してもよい。例えば、光学モジュール48は、1つ以上のネジまたはピンによってモジュールハウジング46に取り付けてもよい。
【0073】
通信リボン81およびLED82を取り付けるための装着板76を、光学モジュール48内に設置してもよい。リボン81は、電気接触パッド80に接続されており、パッドと電気部品とを光学モジュール48内で接続している。接触パッド80およびリボン81は、レーザ弁制御システム51および内部メモリまたは他の記憶媒体を含めて主光学モジュール48の両側で必要な情報を伝えることができる。リボン81は、光学モジュール48内で間を縫って進む(weaving)ために柔軟であってもよい。リボン81は、電気部品と制御ユニット23との間で信号を伝えるために、および/または、電気部品に電力を送るために、複数の導電性ワイヤを含んでいてもよい。ある実施形態において、各電気部品は、それらの部品を制御ユニット23と接続する別個のケーブルを有していてもよい。技術者は、光学モジュール48をハウジングから取り外すとき、ケーブルまたはフレックス回路をモジュールハウジング46から切断しなければならないことがある。
【0074】
ある実施形態において、光学モジュール48は、ディスク13からの光を検出するための検出器と、データを処理し記憶するための電子部品とを含んでいてもよい。電子部品は、検出された光を表すデータを制御ユニット23に無線で送信するための遠隔測定回路を含んでいてもよい。無線通信は、赤外光、高周波、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、または他の遠隔測定技法によって実施することができる。また、光学モジュール48は、電子部品に電力を供給するための蓄電池を有していてもよく、その蓄電池は制御ユニット23によって再充電可能であってもよい。
【0075】
LED82が装着板76に張り付けられており、リボン81に電気的に結合されている。LED82は、所定の波長の励起光49を生成して試料22を励起する。励起光43は、第2の光学チャネル(不図示)によって生成される。光49がLED82を出発すると、その光は、コリメーティングレンズ84によって広げられた後、励起フィルタ86に入る。1つの波長帯の光49が、ダイクロイックフィルタ88を通過し、集束レンズ90によって試料に集束される。光49は試料を励起し、蛍光が集束レンズ90によって収集され、ダイクロイックフィルタ88によって検出フィルタ92に送られる。結果として生じる波長帯の光は、レンズ94によって収集され、光出力ポート17に送られるが、その光出力ポート17において、収集された蛍光は、検出器18に伝達するための光ファイバ束14の脚部に入る。
【0076】
内部ハウジング78は、試料の励起と、選択した波長に対して試料によって放出された蛍光の検出とに含まれるすべての構成要素を支持してもよい。内部ハウジング78の他方の側で、光学構成要素の同様の構成を含めて、異なる波長の光を生成し、対応するその異なる蛍光波長を検出するようにしてもよい。各側を分離することによって、一方の側から他方の側の光学チャネルに入る光混入を排除することができる。
【0077】
コネクタ96と、レーザダイオード98と、集束レンズ100とを含むレーザ弁制御システム51の構成要素は、モジュール48の各側の間に部分的に収容することができる。内部ハウジング78は、これらの構成要素を物理的に支持してもよい。リボン81は、駆動信号および電力をレーザ源に伝えるためのコネクタ96に接続されている。レーザダイオード98はコネクタ96に接続されており、ディスク13上の弁を開放するために用いられるレーザエネルギー55を生成する。レーザダイオード98は、レーザエネルギー55をディスク13上の特定の弁に向けるための集束レンズ100に、この近赤外(NIR)光を送る。開放する必要のある特定の弁の位置を突き止めるためのNIRセンサを、ディスク13の下に配置してもよい。他の実施形態において、これらの構成要素は、光学構成要素とは別個に収容してもよい。
【0078】
ある実施形態において、レーザ弁制御システム51の出射レンズ98および集束レンズ100は、補助光学モジュール52および56(図3)など、単チャネル式光学モジュール内に含められていてもよい。
【0079】
図7は、ある例示的な補助光学モジュール内の構成要素を示す斜視図であり、この補助光学モジュールは、容易に検出装置10から取り外したり、検出装置10に挿入したりすることができる。図7の例において、光学モジュール56は、主光学モジュール48と同様に、解放レバー58と、旋回ピン59と、ラッチ102とを有している。光学モジュール56はまた、リボン107に接続された電気接触パッド106を有している。また、リボン107は装着板104に接続してもよい。主光学要素48と同様に、光学構成要素には、LED108と、コリメーティングレンズ110と、励起フィルタ112と、ダイクロイックフィルタ114と、集束レンズ116と、検出フィルタ118と、レンズ120とがある。光出力ポート19は、光ファイバ束14の脚部に結合している。
【0080】
解放レバー58が、光学モジュール56に旋回ピン65によって取り付けられている。旋回ピン65により、解放レバーはピンの軸線の周りで回転することができる。解放レバー58を押し下げると、アーム67が反時計回りに回転してラッチ102を上昇させる。ラッチ102が上昇すると、光学モジュール56は、モジュールハウジング46から自在に取り外すことができる。ラッチ102を下方の位置に維持するために、解放レバー58に対するバイアスの力を維持するバネまたは他の機構が存在してもよい。あるいは、バネをラッチ102の上に配置してもよい。ある実施形態においては、バネを旋回ピン65の周りに含めて、ラッチ102を下方の、すなわちラッチ係合した位置に保つモーメントアームを設けてもよい。他の実施形態においては、他の装着機構を、説明したレバーに追加するか、またはそのレバーの代わりに使用してもよい。例えば、光学モジュール56は、1つ以上のネジまたはピンによってモジュールハウジング46に取り付けてもよい。
【0081】
通信リボン107およびLED108を取り付けるための装着板104を、光学モジュール56内に装置してもよい。リボン107は、電気接触パッド106に接続されており、パッドと電気部品とを光学モジュール56内で接続している。接触パッド106およびリボン107は、光学構成要素を動作させるのに必要な情報を伝えることができる。リボン107は、光学モジュール56内で間を縫って進む(weaving)ために柔軟であってもよい。リボン107は、部品と制御ユニット23との間で信号を伝え、および/または電気部品に電力を送るために、複数の導電性ワイヤを含んでいてもよい。ある実施形態において、各電気部品は、それらの部品を制御ユニット23と接続する別個のケーブルを有していてもよい。技術者は、光学モジュール56をハウジングから取り外すとき、ケーブルまたはフレックス回路をモジュールハウジング46から切断しなければならないことがある。
【0082】
ある実施形態において、光学モジュール56は、ディスク13からの光を検出するための検出器と、データを処理し記憶するための電子部品とを含んでいてもよい。電子部品は、検出された光を表すデータを制御ユニット23に無線で送信するための遠隔測定回路を含んでいてもよい。無線通信は、赤外光、高周波、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、または他の遠隔測定技法によって実施することができる。また、光学モジュール56は、電子部品に電力を供給するための蓄電池を有していてもよく、その蓄電池は制御ユニット23によって再充電可能であってもよい。
【0083】
LED108が装着板104に張り付けられており、リボン107に電気的に結合されている。LED108は、所定の波長の励起光101を生成して試料22を励起する。光101がLED108を出発すると、その光は、コリメーティングレンズ110によって広げられた後、励起フィルタ112に入る。ある波長帯の光101は、ダイクロイックフィルタ114を通過し、集束レンズ116によって試料に集束される。光101は試料を励起し、蛍光が集束レンズ116によって収集され、ダイクロイックフィルタ114によって検出フィルタ118に送られる。結果として生じる波長帯の光は、レンズ120によって収集され、光出力ポート19に送られるが、その光出力ポート19において、収集された蛍光は、検出器18に伝達するための光ファイバ束14の脚部に入る。
【0084】
また、補助光学モジュール56は、レーザ弁制御システム51の構成要素を含んでいてもよい。レーザ弁制御システム51は、装置10内で使用される唯一のシステムであっても、複数のレーザ弁制御システムのうちの1つであってもよい。このシステムのために使用する構成要素は、図6の光学モジュール48において説明した構成要素と類似していてもよい。
【0085】
補助光学モジュール56の構成要素は、任意の補助光学モジュールと類似していてもよく、また、1つの波長帯の光を放出および検出するために使用する任意の光学モジュールと類似していてもよい。ある実施形態において、構成要素は、異なる実験的用途に対応するために構成を変更してもよい。例えば、任意の光学モジュールを、異なる方向から挿入するように、または、ディスク13に対する異なる位置で装置内に配置するように修正してもよい。いずれの場合にも、光学モジュールは、装置10の柔軟な修正が可能となるように、取り外し式にすることができる。
【0086】
図8は、装置ハウジング内の取り外し可能な光学モジュール48、52および56の例示的な一組みの側面図を示す図であり、レーザ弁制御システムがディスクのスロットの上に位置している。図8の例は図4と類似している。しかしながら、レーザ弁制御システム51は、エネルギー源、すなわちレーザダイオードからディスク13内のスロット75を介してレーザ光71を照準するように配置されている。センサ73は、レーザ光71を、その光がスロット75を通過したときに検出する。
【0087】
ガントリ(不図示)が、モジュールハウジング46と、含められた光学モジュール48、52および56とを、水平方向(図8で矢印で示す)にディスク13の中心に対して移動させる。レーザ光71を、低減した電流でレーザによって放出すると、ディスク13内のスロット75の位置を突き止めるための低出力近赤外(NIR)光を生成することができる。ある場合には、ガントリは、レーザ弁制御システム51がスロット75の位置を突き止めるためにレーザ光71を出力する間、モジュールハウジング46を水平方向に並進させてもよい。
【0088】
センサ73は、レーザ光71がスロット75を通過すると、そのレーザ光を検出することができ、それによって、センサ73は、感知したNIRレーザ光71を表す電気信号を制御ユニット23に出力する。電気信号をセンサ73から受信すると、制御ユニット23は、感知したディスク位置を回転プラットフォーム25の既知の配置にマップし、回転プラットフォーム25のその既知の位置に対するディスク13の各弁の位置を識別する位置マップを構築する。制御ユニット23は、その後に、構築した位置マップを使用して、ディスク13の所望の弁を標的とするように、レーザを移動させるか、ディスクを回転させるか、あるいはその双方を行う。他の実施形態において、センサ73は、ディスク13の、レーザ弁制御システム51と同じ側に配置して、ディスク13の1つまたは複数の反射部分からのレーザ光71を検出するようにしてもよい。
【0089】
選択した弁の上にレーザ弁制御システム51を位置決めすると、制御ユニット23は、短パルスの高出力エネルギーを送って選択した弁を開放するように、レーザ弁制御システムに指示する。弁は、放出された電磁エネルギー、すなわちレーザ光71を吸収するポリマーまたは類似の材料で構成してもよく、そのレーザ光71はポリマーを破壊し、それによって内部保持チャンバと外部プロセスチャンバとの間のチャネルを開放する。他のエネルギー源を使用してもよく(例えば、高周波エネルギー源)、また、生成されたエネルギーを吸収し破壊される(すなわち開放する)材料を選択してもよい。弁が開くと、ディスク13の回転によって、各内部保持チャンバの内容物が各外部プロセスチャンバに向かう。
【0090】
ある実施形態において、レーザ弁制御システム51とスロットセンサトリガ27は、ディスク13を効果的に位置決めするために通信することができる。例えば、スロットセンサトリガ27は、スロット75の存在を検知することによって、ディスク13の半径方向位置を概ね突き止めることができる。レーザ弁制御システム51は、ディスク13の半径方向位置および角度位置をより正確にするように、スロット75の縁部のそれぞれを明確に検出することができる。スロット75の縁部は、スロット75よりも小さな形体であるため、レーザ弁制御システム51は、スロットセンサトリガ27よりも高度な空間分解能の検出システムを実現することができる。あるいは、スロットセンサトリガ27は、スロット75の位置を高度な回転速度で検出することができるので、より高度な時間分解能を実現することが可能となりうる。スロット75の縁部は、高い回転速度ではレーザ弁制御システム51による検出が不可能となることがある。
【0091】
さらに、ある実施形態は、光路をディスク13上の構造物と整列させるために構成要素を水平方向に移動させるガントリを有していなくてもよい。例えば、レーザ弁制御システム51と光学モジュール48、52および56は、ディスク13の中心からの適切な半径方向距離に固定してもよい。別の例として、レーザ弁制御システム51および/または光学モジュール48、52および56は、ディスク13の様々な半径方向位置にレーザ光を照準するために、制御ユニット23の指示の下で旋回してもよい。
【0092】
図9Aおよび9Bはそれぞれ、例示的なディスク13Aおよび13Bの部分を示す概略図である。図9Aの例において、ディスク13Aは、ディスクを装置10の回転プラットフォームに取り付けるための中心孔121を有している。一組みの内部保持チャンバと一組みの外部保持チャンバが、中心孔121から半径方向に同心状に位置している。この例において、各チャンバは、同一の容積および間隔を有するように示してあるが、ディスク13の他の実施形態が、異なる容積および間隔を有するチャンバを有していてもよい。
【0093】
この例において、各保持チャンバは、対応するプロセスチャンバにチャネルによって接続されており、各チャネルは、チャネルを通じた流れを制御する別個の弁を含んでいる。例えば、弁127は、保持チャンバ125をプロセスチャンバ129から分離している。
【0094】
保持チャンバ125の内容物を、まず装填チャンバ123内に装填することができ、一方で、試料のある試薬を、プロセスチャンバ129内に直接配置することができる。次いで、ディスク13Aがスピンすると、装填チャンバ123の内容物を、保持チャンバ125に押しやることができる。ある実施形態において、保持チャンバ125は、第2の反応のための試薬、またはプロセスチャンバ129内の反応を非活性化する剤を収容するために使用することができる。弁127は、保持チャンバ125とプロセスチャンバ129との間に位置している。
【0095】
図9Aの例において、スロット131は、ディスク13Aの外側に配置されており、レーザ弁制御システム51によってディスク位置をマップするために使用される。一実施形態において、スロット131は、幅が1mm、長さが2mmである。レーザ光71(図8)は、スロット131の既知の半径方向配置に対応するディスク13Aの既知の半径長さで集束させることができる。ディスク13Aがスピンすると、レーザ光71は、スロット131の配置にある場合を除き、ディスク13Aによって遮断され、このスロット131において、光はディスク13Aを通過し、センサ73(図8)によって検出される。上述のように、制御ユニット23は、センサ73から受信した出力信号(例えばトリガ信号)を利用して、回転プラットフォーム25の回転に対するディスク13Aの位置をマップする。レーザ弁制御システム51は、スロット131の縁部を検出するが、これは、縁部のより小さな形体を利用すると、スロット131の配置のみを使用するのと比べて、より正確でより高分解能なディスク13Aの位置のマップを作成することが可能となるからである。
【0096】
そのマップに基づいて、制御ユニット23は、中心孔121からの弁、例えば弁127の既知の半径方向距離に、レーザ弁制御システム51を再配置する。例えば、モジュールハウジング46に取り付けられたガントリは、モジュールハウジング46と、含められた光学モジュールとを、ディスク13Aの中心からの弁の既知の半径方向距離に移動させることができる。次いで、制御ユニット23は、弁127がレーザ弁制御システム51の真下で回転するように、マップを利用して回転プラットフォームおよびディスク13の回転を制御する。所定位置に設定すると、制御ユニット23は、大電流のエネルギーパルスを出力して弁127を加熱するように、レーザ弁制御システム51に指示する。結果として、その熱によって弁127内に空洞が形成され(例えば弁が破壊され)、保持チャンバ125とプロセスチャンバ129とが流体連通する。他の実施形態において、レーザ光71からの熱によって、弁127の形状を変化させて流体連通させてもよい。
【0097】
図9Bは、図9Aのディスク13Aと類似した、別の例示的なディスク13Bの一部を示す。図9Bの例において、ディスク13Bは中心孔133を有しており、この中心孔133は、回転プラットフォーム25に固定されたベースプレートにディスクを取り付けるためのものである。ここでも、チャンバの各組みは、同一の容積を有するように示してあるが、ディスク13Bの他の実施形態は、異なる容積および間隔を有するチャンバを有していてもよい。
【0098】
ディスク13Bは、ディスクの位置を追跡するのに使用する、ディスク上のスロット143の位置においてのみ、ディスク13Aと異なっている。具体的には、スロット143は、スロット131がディスク13Aの中心孔121から位置している半径距離よりもわずかに短い、ディスク13Bの中心孔133からの半径距離に位置している。この例において、制御ユニット23は、レーザ弁制御システム51を半径方向に再配置する必要なしに、追跡機能と弁開放機能を実施することを可能にすることができる。例えば、制御ユニット23は、ディスク13Bのマップを作成する光71を出力するとき、低減したまたは最小の電流を使用するように、レーザ弁制御システム51を低出力モード下に置くことができる。低減した電流は、ディスク12Bのいずれの弁を開放するにも不足のないエネルギーを生成するには不十分であるが、スロットセンサ73による検出には十分なものである。制御ユニット23は、引き続き、ディスク13Bのマップを作成しレーザ弁制御システムを位置決めした後、レーザ弁制御システム51を、選択した弁、例えば弁137を開放するのに十分なより高強度のレーザ光を生成するようにより大きな電流を利用する高出力モード下に置くことができる。
【0099】
一般に、スロット131(または図9Aのスロット143)は、ディスク13B(または13A)の任意の位置に配置することができる。ある実施形態において、スロット143は、ディスク13Bの最も外側の縁部に、またはその付近に配置することができる。あるいは、スロット143は、スロット131よりもさらに中心に接近して配置してもよい。さらに、スロット143の形状は、方形である必要はない。その形状は、任意の多角形、円形、正方形、三角形、三日月形、または任意の不規則形であってよい。さらに、ディスク13Bは、ディスク位置を決定するための複数のスロット143を含んでいてもよく、また、その複数のスロットは、中心孔133からの半径方向距離、寸法または形状において、互いに異なっていてもよい。
【0100】
一般に、ディスク13内に形成されたチャンバおよびチャネルは、覆われていても覆われていなくてもよい。ある実施形態において、より多くのチャンバおよび弁が、ディスク13上に含まれていてもよい。また、チャンバを接続するチャネルは、湾曲していても、特定のチャンバまたは交点で他のチャネルと交わっていてもよい。ディスク13は三次元的であるので、チャンバは異なる平面内に存在してもよく、また、チャネルは変動する深さを有していてもよい。
【0101】
ディスク13は、高速でスピンするのに好適な生体適合性材料で構成してもよい。例えば、ディスク13は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、または他の成形可能なポリマーでできていてもよい。ディスク13は、成形、層化、エッチングまたは他の技法によって構成することができる。ディスク13は、直径が約120mmであってもよいが、ディスクはまた、複数の用途に対応するように複数の寸法のものであってもよい。ディスク13の寸法は、検出装置10に挿入した際に検出し、ディスク13に固着されたバーコードによってバーコードリーダ29で読み取ってもよく、また、技術者が、その用途で使用されるディスク13のタイプを入力してもよい。ある実施形態において、ディスク13は、滅菌が可能となるようにしてもよいが、他の実施形態では、一回使用の消耗ディスクを利用してもよい。
【0102】
図10は、多重蛍光検出装置10の機能ブロック図である。具体的には、図10は、装置構成要素同士の電気的接続およびその構成要素を通じた光の全体的経路を示す。図10の例において、装置10は、少なくとも1台のプロセッサ122または他の制御論理回路と、メモリ124と、ディスクモータ126と、光源30と、励起フィルタ34と、レンズ38と、検出フィルタ40と、集束レンズ42と、検出器18と、スロットセンサトリガ27と、通信インタフェース130と、発熱体134と、レーザ136と、電源132とを含んでいる。図10に示すように、レンズ38および集束レンズ42は、別の構成要素に電気接続される必要がない。さらに、光源30、フィルタ34および40、レンズ38ならびに集束レンズ42は、1台の光学モジュール16を代表するものである。図10には示していないが、装置10は、先に説明したように、付加的な光学モジュール16を含んでもよい。その場合、それぞれの付加的な光学モジュールは、図10に示すものとほぼ同様に構成された構成要素を含むことができる。
【0103】
光は、図10における複数の構成要素を通じて、特定の経路をたどる。光は、光源30から放出されると、励起フィルタ34に入り、離散的波長の光として去る。次いで、光は、レンズ38を通過し、そのレンズ38において、検出装置10を去り、試料22をプロセスチャンバ(不図示)内で励起する。試料22は、異なる波長で蛍光することによって応答し、その時点で、この光は、レンズ38に入り、検出フィルタ40によってフィルタ処理される。フィルタ40は、試料22から、望ましい蛍光性の範囲外にある波長の背景光を除去する。残りの光は、集束レンズ42を介して送られ、光ファイバ束14の脚部に入った後、検出器18によって検出される。検出器18は後に、受信した光信号を増幅する。
【0104】
プロセッサ122、メモリ124および通信インタフェース130は、制御ユニット23の一部分となることができる。プロセッサ122は、蛍光情報を収集したり、流体をディスク13に通したりするために、必要に応じてディスク13を回転またはスピンさせるようにディスクモータ126を制御する。プロセッサ122は、スロットセンサトリガ27から受信したディスク位置情報を使用して、回転中のディスク13上のチャンバの配置を識別し、ディスクから受信する蛍光データの取得を同期化することができる。
【0105】
プロセッサ122はまた、光学モジュール16内の光源30が、いつ電源を入れられまた切られるかを制御することができる。ある実施形態において、プロセッサ122は、励起フィルタ34および検出フィルタ40を制御する。照明される試料に応じて、プロセッサ122は、異なる波長の励起光が試料に達するように、または異なる波長の蛍光が集束レンズ42に達するように、フィルタを変更することができる。ある実施形態において、一方または双方のフィルタは、特定の光学モジュール16の光源30に対して最適化され、プロセッサ122によって変更されないようにすることができる。
【0106】
集束レンズ42は、集束レンズから検出器18への光路をもたらすファイバ束14の1本の脚部に連結されている。プロセッサ122は、検出器18の動作を制御することができる。検出器18は、すべての光を常に検出することができるが、ある実施形態では他の収集モードを利用することができるプロセッサ122は、検出器18がデータをいつ収集するかを決定することができ、また、検出器18の他の構成パラメータをプログラム的に設定することができる。一実施形態において、検出器は、集束レンズ42によって供給される光からの蛍光情報を捕捉する光電子増倍管である。応答の際、検出器18は、受信した光を表す出力信号128(例えばアナログ出力信号)を生成する。図10には示していないが、検出器18は、装置10の他の光学モジュール16から光を同時に受信することもできる。その場合、出力信号128は、各種の光学モジュール16から検出器18によって受信される光入力の組み合わせを電気的に表すものとなる。
【0107】
プロセッサ122はまた、装置10からのデータ流れを制御することもできる。検出器18からのサンプリングされた蛍光、発熱体134および関連するセンサからの試料の温度、ならびにディスク回転情報などのデータは、解析のためにメモリ124内に記憶することができる。プロセッサ122は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)、または他のデジタル論理回路のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。さらに、プロセッサ122は、メモリ124などのコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されたファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせに対する動作環境を提供する。
【0108】
メモリ124は、種々の情報を記憶するための1つ以上のメモリを含むことができる。例えば、1つのメモリが、特定の構成パラメータ、実行命令を含むことができ、また、1つのメモリが、収集されたデータを含むことができる。したがって、プロセッサ122は、装置の動作および較正を制御するために、メモリ124内に記憶されたデータを使用することができる。メモリ124は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリなどのうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
【0109】
プロセッサ122は、さらに発熱体134を制御することができる。メモリ124内に含まれる命令に基づいて、発熱体134は、所望の加熱プロファイルに従って1つ以上のチャンバの温度を制御するように、選択的に駆動することができる。一般に、発熱体は、ディスク13の1つの放射断面を、そのディスクが回転するときに加熱する。発熱体134は、加熱エネルギーをディスク13の特定の領域に集中させるためのハロゲン電球および反射体を備えることができる。他の実施形態において、発熱体134は、1つ以上のチャンバを順次に加熱することができる。この実施形態では、チャンバが加熱される間、ディスク13が静止していることが必要となる。任意の実施形態において、発熱体134は、必要に応じてきわめて迅速にオンおよびオフにすることができる。
【0110】
レーザ136は弁の開放を制御するために使用されており、その弁の開放によって、保持チャンバの内容物をディスク13上の別のチャンバ、例えばプロセスチャンバに流すことが可能となる。プロセッサ122および補助ハードウェアは、ディスク13に含まれる特定の弁を選択的に開放するように、レーザ136を駆動する。プロセッサ122は、所望の弁に対するレーザの位置を決定するために、ディスク13の下方にあるレーザセンサと相互作用することができる。所定位置にあるとき、プロセッサ122は、弁を標的とするエネルギーのバーストを生成するようにレーザ136に指示する信号を出力する。場合によっては、そのバーストは、約0.5秒にわたって持続することができ、一方で、他の実施形態は、持続時間のより短いまたはより長い開き時間を含むことができる。レーザエネルギーおよびパルス持続時間は、レーザ136との通信を通じてプロセッサ122によって制御することができる。
【0111】
プロセッサ122は、通信インタフェース130を利用してデータ取得システム21と通信する。通信インタフェース130は、データを転送するために、単一の方法または複数の方法の組み合わせを含むことができる。ある方法は、高いデータ転送速度でのハードウェア接続性のために、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポートまたはIEEE1394ポートを含むことができる。ある実施形態において、後処理用のデータ記憶のために、記憶装置をこれらのポートの1つに直接取り付けることができる。データは、プロセッサ122によって前処理し、確認に備えることができ、つまり、生データは、解析を開始する前に、完全に処理されることが必要になることがある。
【0112】
また、検出装置10との通信は、無線(RF)通信またはローカルエリアネットワーク(LAN)接続によって達成することもできる。さらに、接続性は、直接接続によって、または、有線もしくは無線通信をサポートできるハブもしくはルーターなどのネットワークアクセスポイントを通じて達成することができる。例えば、検出装置10は、ターゲットのデータ取得装置21によって受信するための特定のRF周波数で、データを送信することができる。データ取得装置21は、汎用コンピュータ、ノートブックコンピュータ、ハンドヘルド計算装置、または特定用途装置であってもよい。さらに、複数のデータ取得装置がデータを同時に受信することもできる。他の実施形態において、データ取得装置21は、検出装置10と共に、1つの一体化した検出および取得システムとして含めることができる。
【0113】
加えて、検出装置10は、更新されたソフトウェア、ファームウェア、および較正データを、インターネットなどのネットワークを介して遠隔装置からダウンロードすることを可能にすることができる。通信インタフェース130はまた、プロセッサ122によって、残留量報告のいかなる故障の監視も可能となるようにすることができる。動作に関する問題が発生した場合、プロセッサ122はエラー情報を出力して、ユーザーがその問題をトラブルシューティングするのを、動作データを提供することによって支援できることがある。例えば、プロセッサ122は、故障した発熱体または同期の問題をユーザーが診断するのを助けるために、情報を提供することができる。
【0114】
電源132は、動作電力を装置10の構成要素に供給する。電源132は、標準的な115ボルトの電気コンセントから電気を利用するか、または、蓄電池および発電回路を含んで動作電力を生成することができる。ある実施形態において、蓄電池は、長期に及ぶ動作を可能にするために、充電式とすることができる。例えば、装置10は、被災地など、緊急時における生体試料の検出のために持ち運び可能とすることができる。充電は、115ボルトの電気コンセントを通じて達成することができる。他の実施形態において、従来の蓄電池を使用することができる。
【0115】
図11は、光ファイバ束の4本の光ファイバに結合された単一の検出器18の機能ブロック図である。この実施形態において、検出器18は光電子増倍管である。光ファイバ束14、光ファイバ14A、光ファイバ14B、光ファイバ14Cおよび光ファイバ14Dのそれぞれの脚部は、検出器18の光入力インタフェース138に結合している。このようにして、光ファイバ14のいずれかによって伝達された光は、検出器18の単一の光入力インタフェース138に供給される。光入力インタフェース138は、取得した光を電子増倍管140に供給する。アノード142は電子を収集し、対応するアナログ信号を出力信号として生成する。
【0116】
換言すれば、図示のように、光ファイバ14は、検出器18の入力光開口部に嵌る。結果として、検出器18は、光束14のそれぞれの脚部から光を同時に検出するために使用することができる。光入力インタフェース138は、光を電子増倍管140に供給する。光電子増倍管の場合、光ファイバからの光子がまず光電効果カソードに当たり、その光電効果カソードが次いで光電子を解放する。光電子は次いで、一連のダイノードに当たることによって電子なだれを生じ(cascade)、より多くの光電子がそれぞれのダイノードとの接触の際に放出される。結果として生じる一群の電子は、元々は光ファイバ14によって伝送されたわずかな光信号を、事実上増幅した。数の増加した電子は最終的に、アノード142によって収集される。アノード142からのこの電流は、複数の光学モジュール16によって供給された、試料からの光学的蛍光信号を表すアナログ出力信号として、電圧増幅器144への電流によって伝達される。
【0117】
制御ユニット23は、アナログ信号を、サンプリングされたデジタルデータの流れ、すなわちデジタル信号に変換するアナログ−デジタル(A/D)変換器146を含んでいる。プロセッサ122は、上述のように、デジタル信号を受信し、サンプリングされたデータをデータ取得装置21との通信のためにメモリ124内に記憶する。ある実施形態において、A/D変換器146は、制御ユニット23の代わりに、検出器18内に含めることができる。
【0118】
このようにして、単一の検出器18を利用して、光束14からすべての光を収集し、その光を表す信号を生成することができる。信号が増幅器144によって増幅され、デジタル信号に変換されると、その信号は、それぞれの個別の光学モジュール16によって収集された光に対応するデータに、デジタル方式で分離することができる。全体的(すなわち集合的)信号は、それぞれの蛍光性を表すそれぞれの検出信号に、周波数範囲ごとに分離することができる。これらの周波数は、データ取得装置21によってまたは装置10内で作用されるデジタルフィルタによって分離することができる。
【0119】
他の実施形態において、増幅された信号は、アナログフィルタを使用して周波数ごとに分離し、A/D変換器146の前の別個のチャネルに送信することができる。次いで各チャネルは、別個にデジタル化され、データ取得装置に送信される。いずれの場合も、単一の検出器で、各光学モジュール16からのすべての蛍光情報を捕捉することが可能である。次いでデータ取得装置21は、複数の検出器を必要とすることなく、ディスク13の各縦穴から取得された信号をリアルタイムでプロットし解析することができる。
【0120】
ある実施形態において、検出器18は、光電子増倍管でなくてもよい。一般に、検出器18は、光学的伝達機構、すなわち光束14の複数の脚部から光を捕捉し、かつ捕捉した光の伝達可能な表現を生成することが可能な、いかなるタイプのアナログまたはデジタル検出装置であってもよい。
【0121】
図12は、多重蛍光検出装置10の動作を示す流れ図である。最初に、ユーザーが、データ取得装置21上でまたはインタフェースを介して制御ユニット23を用いて、プログラムパラメータを指定する(148)。例えば、これらのパラメータは、ディスク13を回転させる速度および期間を含み、反応の温度プロファイルを規定し、ディスク13上の配置をサンプリングすることができる。
【0122】
次に、ユーザーがディスク13を検出装置10に載せる(150)。装置10を固定すると、ユーザーがプログラムを開始し(152)、制御ユニット23が、指定した速度でディスクをスピンさせ始める(154)。ディスクがスピンし始めた後、2つの並行プロセスが発生することがある。
【0123】
まず、検出装置10が、1つ以上の反応によって1つ以上の試料内に生成された励起光から蛍光を検出し始める(156)。検出器18は、蛍光が放出されたそれぞれのサンプルおよび時刻に同期された、各サンプルからの蛍光信号を増幅する(158)。このプロセスにおいて、プロセッサ122は、捕捉したデータをメモリ124に保存し、また、実行の進捗を監視するために、そしてさらなる処理のために、データをデータ取得装置10にリアルタイムで通信することができる(160)。あるいは、プロセッサ122は、プログラムが完了するまで、データを装置10内に保存することができる。プロセッサ122は、引き続き試料の蛍光を検出し、プログラムが完了するまでデータを保存する(162)。実行が完了すると、制御ユニット23はディスクのスピンを停止する(164)。
【0124】
このプロセスの間、制御ユニット23は、ディスク温度を監視し(166)、その時間に対する目標温度を達成するように、ディスクまたは各サンプルの温度を調整する(168)。制御ユニット23は、プログラムが完了するまで、引き続き温度を監視し制御する(170)。実行が完了すると、制御ユニット23は、試料の温度を目標の保管温度、通常は摂氏4度に保つ(172)。
【0125】
装置10の動作は、図12の例と異なってもよい。例えば、ディスクの毎分回転数は、プログラム全体を通じて変更されてもよく、また、レーザ136を利用して、多重反応が可能となるようにディスク上のチャンバ間の弁を開放してもよい。これらの工程は、ユーザーが定義するプログラムに応じて、動作中にいかなる順序で生じてもよい。
【0126】
図13は、検出装置10のレーザ弁制御システム51の例示的な動作を示す流れ図である。例示を目的として、図13について、図9Aのディスク13Aを参照して説明することにする。
【0127】
最初に、制御ユニット23が、レーザ弁制御システム51を、低減した電流を利用する低出力モード(「標的モード」とも呼ばれる)下に置く(149)。次に、制御ユニット23は、ディスク13Aの回転を開始する(151)。NIRセンサ73が、スロット131の縁部を、ディスク13Aが回転しているときに検出すると、トリガ信号を制御ユニット23に出力し、それによって、制御ユニットは、ディスク13Aの位置決め基準点とそのディスク上の弁の配置とを、装置10の回転プラットフォーム25の既知の位置に正確にマップすることが可能となる(153)。
【0128】
そのマップを使用して、制御ユニット23は、ガントリを利用して(engages)、レーザ弁制御システム51を中心孔121に対する弁127の既知の配置に移動させる(155)。制御ユニット23は次いで、開放する第1の選択された弁127までディスク13Aを回転させる(157)。次に、制御ユニット23は、レーザ弁制御システム51を高出力モード下に置き、高エネルギーレーザ光71のパルスを生成して弁を開放するようにシステムに指示する(159)。さらなる弁を開放する必要がある場合(161)、制御ユニット23は、ディスク13Aを次の弁まで回転させ(157)、その弁を開く(159)。すべての弁が開放された場合、制御ユニット23はディスク13Aをスピンさせて、例えば、保持チャンバ125から、開放された弁127を介してプロセスチャンバ129内へと流体を移動させる。他の実施形態において、制御ユニット23は、弁を開放するようにレーザ弁制御システム51に指示する一方で、ディスク13Aを連続的にスピンさせてもよい。
【0129】
最後に、制御ユニット23は、ガントリを利用して(engages)光学モジュールをプロセスチャンバの上のある半径方向位置に移動させ、プロセスチャンバ内の反応による蛍光の検出を開始する(165)。ある実施形態において、保持チャンバ125の内容物は、プロセスチャンバ129内の生成物を非活性化または安定化させるように機能することができる。この場合、検出装置10は、新たな試料を監視する必要がないことがある。
【0130】
図14Aは、ディスク内のスロットの例示的な図である。図14A、14Bおよび14Cにおいて、ディスク13Aは、装置10内の例示的なディスクとして使用される。ディスク13Aは、スロット131を含んでいる。スロット131は、外側縁部210と、内側縁部214と、前縁部212と、後縁部216とを有している。レーザ弁制御システム51は、各縁部を検出してディスク13Aの位置の正確なマップを実現する。距離Dは、スロット131の外側縁部の半径方向位置から内側縁部の半径方向位置を差し引いたものである。各縁部210、212、214および216は、ディスク13Aの材料と、スロット131として表されるディスク内の空洞との間の検出可能な境界を形成している。ある実施形態において、スロット131は、いかなる形状または寸法のものであってもよい。
【0131】
図14Bは、ディスク内のスロットの内側縁部および外側縁部を検出するための例示的な方法を示すタイミング図である。制御ユニット23は、レーザ弁制御システム51をディスク13から離して移動させる。ディスク13Aはスピンされ、一方で、ガントリは、レーザ弁制御システムをディスク13Aの中心に向かって移動させる。
【0132】
センサ73は、スロット131によってレーザ光71(図8)がディスク13Aを通過したときにのみ、レーザ光71を検出する。センサ73からの信号218は、ガントリが内向きに前進している間にスロット131の外側縁部210が検出されると、スパイク220で変化する。信号218は、スロット131が間欠的にレーザ光71を通過させると、引き続き変調する。スパイク222は、制御ユニット23がスロット131の内側縁部214として記録する最後の信号の変化を示す。制御ユニット23はここで、ディスク13の位置のマップの半径方向成分を有している。制御ユニット23は、内側縁部の半径方向位置と外側縁部の半径方向位置との中間の半径方向位置に、レーザ弁制御システム51を移動させる。この位置は、内側縁部214の半径方向位置に距離Dの半分を加えたものとなる。レーザ弁制御システム51をスロット131のこの配置に位置決めすると、そのシステムは、スロットの縁部の角度位置に誤差を生じる、スロット131の角部、例えば内側縁部214と後縁部216との間の角部の丸みを伴わずに、スロット131の角度位置を検出することが可能となる。ある実施形態において、レーザ弁制御システム51でスロット131の内側縁部および外側縁部を検出するために、ディスク13Aを回転させる必要がないことがある。
【0133】
図14Cは、レーザ弁制御システムの基準位置を決定するための例示的な方法を示すタイミング図である。レーザ光71の存在を示す信号224が、制御ユニット23に送られる。レーザ弁制御システム51は、ディスク13A上のスロット131の前縁部212および後縁部216の位置を突き止める。
【0134】
信号224は、ディスク13Aが静止しているときには一定である。ディスク13Aが低速で時計回りに回転すると、スパイク226によって、スロット131の前縁部212の角度位置が示される。レーザ光71は、後縁部216がスパイク228として検出されるまで、センサ73によって検出される。制御ユニット23は、ディスク13Aを停止し、スパイク230によって後縁部216の存在がもう一度示されるまで、ディスク13Aを反時計回りに回転させる。制御ユニット23は、この角度位置を基準角度位置として記憶する。レーザ弁制御システム51はここで、図14Aによる半径方向位置と、図14Cによる角度位置とを使用して、ディスク13A上の弁または他の構造体の位置を突き止める。他の実施形態において、レーザ弁制御システム51は、ディスク13Aを効果的に位置決めするために、前縁部212または後縁部216のみを検出してもよい。
【0135】
ある実施形態において、ディスク13Aは、反対方向に回転させることができる。他の実施形態において、図14Bおよび14Cによる例示的な信号は反転していてもよく、また、任意の比率で信号強度を時間と関連付けてもよい。他の実施形態において、レーザ弁制御システム51は、まずディスク13Aの角度位置を検出してから、ディスク13Aの半径方向位置を検出してもよい。説明した位置決め方法の順序は、特定の用途、ディスクまたは技術者の好みに対応するように変更してもよい。
【0136】
図15は、レーザ弁制御システムの基準位置の例示的な測定を示す流れ図である。ディスク13をスピンさせることによって、制御ユニット23が始動する(232)。ディスク13の外側から、ガントリがレーザ弁制御システム51をディスク13の中心に向かって移動させる(234)。レーザ弁制御システム51が、ディスク13内のスロット131の外側縁部210の位置を突き止め、その外側の半径方向位置を保存する(236)。ガントリが引き続き移動すると、レーザ弁制御システム51は、レーザ光71がセンサ73によって検出されなくなったとき、スロット131の内側縁部214の位置を突き止め、その内側の半径方向位置を保存する(238)。制御ユニット23は、2つの半径方向位置を記憶し、ディスク13の回転を停止する(240)。
【0137】
制御ユニット23は、内側の半径方向位置と外側の半径方向位置との完全に中間の半径方向位置に、レーザ弁制御システム51を移動させる(242)。制御ユニット23は、ディスク13を低速で回転させて、スロット131の前縁部212と後縁部216の双方を、レーザ弁制御システム51を越えた所に移動させる(244)。後縁部216が検出されると、制御ユニットは、ディスク13を反対方向に低速で回転させる(246)。スロット13の後縁部216が再び検出されると、制御ユニット23は、その後縁部の配置をゼロ角度位置または基準角度位置として保存する(248)。制御ユニット23はここで、スロット131の半径方向位置および角度位置を有しており、この情報をディスク13の基準位置として記憶する(250)。
【0138】
場合によっては、スロットセンサトリガ27は、レーザ弁制御システム51と協働してディスク13の位置を正確にマップしてもよい。例えば、スロットセンサトリガ27が高分解能の時間的位置情報を供給し、一方で、レーザ弁制御システム51が高分解能の空間的位置情報を供給してもよい。双方のシステムがディスク13の同じ構造を使用するので、協調的な位置決めによって、より正確な位置決め情報を提供することができる。
【実施例】
【0139】
図16および17は、多重PCR用の装置10で利用できる、広く使用されている蛍光染料の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す。これらの例において、染料の吸収極大は480nm〜620nmで変化し、結果として生じる発光極大は520nm〜670nmで変化している。図16の各染料に対する信号は、FAMを174、Sybrを176、JOEを178、TETを180、HEXを182、ROXを184、Tx Redを186、Cy5を188として符号を付けている。図17の信号は、FAMが190、Sybrが192、TETが194、JOEが196、HEXが198、ROXが200、Tx Redが202、Cy5が204である。FAM、HEX、JOE、VIC、TET、ROXは、カリフォルニア州ノーウォーク(Norwalk)のアプレラ(Applera)社の商標である。Tamraは、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose)のアナスペック(AnaSpec)社の商標である。Texas Redは、モレキュラー・プローブ(Molecular Probes)社の商標である。Cy 5は、英国バッキンガムシャー州のアマシャム(Amersham)社の商標である。
【0140】
一例において、96のチャンバディスクを、標準的なPCR反応緩衝剤に希釈された異なる濃度のFAMおよびROX染料で充填した。各染料の4つの複製を、200nM FAMおよび2000nM ROXから開始して、2倍の希釈系列に加えた。各サンプルの体積は10μLであった。チャンバ82は、5μLの200nM FAMと5μLの2000nM ROXの混合物を有していた。装置10は、染料の検出用に2つの光学モジュール16を有する2チャネル多重PCR検出装置として構成した。
【0141】
第1の光学モジュール(FAM光学モジュール)は、青色のLEDと、475nmの励起フィルタと、520nmの検出フィルタとを具備していた。第2の光学モジュール(ROXモジュール)は、560nmの励起フィルタと610nmの検出フィルタとを有する緑色のLEDを具備していた。別の選択肢は、オレンジ色のLEDおよび580nmの励起フィルタを組み込んでROX検出を最適化することである。
【0142】
PCR解析を実施し、試料からの蛍光信号を二又の光ファイバ束に同時伝送した。ファイバ束は、単一の検出器、具体的には光電子増倍管(PMT)と接続した。データは、汎用コンピュータ上で実行されるVisual Basicのデータ取得プログラムと連結された、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments)社のデータ取得(DAQ)ボードによって収集した。データは、ディスクが104.7rad/s(毎分1000回転)(公称)でスピンする間に取得した。FAMモジュールおよびROXモジュールを順次使用して、試料との問い合わせを行った。各スキャンは、平均50回転からなるものであった。2つの光学モジュールからの生データを図18Aおよび18Bに示す。
【0143】
図18Aのグラフは、FAMモジュール内のLEDに給電することによって得られたものであり、図18Bのグラフは、ROXモジュール内のLEDに給電することによって得られたものである。
【0144】
解析の間、収集したデータが明確に示したこととして、光学モジュールが異なるチャンバにわたって常時、物理的に位置することに関連する時間オフセットが存在した。オフセット値は、特定のチャンバ、すなわちこの場合はチャンバ82に対し、光学モジュール1と2の間の時間オフセットを決定することによって計算した。換言すれば、時間オフセットは、同じチャンバに対して、FAMモジュールによって捕捉されたデータと、ROXモジュールによって捕捉されたデータとの間の時間遅延の量を示している。
【0145】
図19は、各チャンバに対する、オフセットを差し引いた総合データを示す。FAMは、破線の棒で示され、ROXは実線の棒で示され、ROXデータはFAMデータの上に置かれている。データが示すところによれば、光学モジュール1のROX染料からの信号はなく、また、光学モジュール2のFAM染料からの信号はなかった。光学モジュール1にはより高度な背景が存在し、その背景は、最適化されたフィルタのセットを使用することによって、修正することができる。データを解析して、基準ノイズレベルに相当する信号として表される検出限界(LOD)を決定した。基準ノイズレベルは、空のチャンバを10回スキャンした平均値に標準偏差の3倍を加えたものとして定義される。
【0146】
LODは、FAMおよびROX基準の濃度に対してプロットされた総合信号の線形最小二乗適合によって決定した。FAMおよびROXモジュールのLODは、図20Aおよび20Bに示すように、計算するとそれぞれ1nMおよび4nMとなった。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】多重蛍光検出装置の例示的実施形態を示す構成図。
【図2】例示的な検出モジュールを示す概略図であり、この検出モジュールは、図1の蛍光検出装置の複数の検出モジュールのいずれにも対応しうるものである。
【図3】装置ハウジング内の取り外し可能な光学モジュールの例示的な一組みの正面図を示す斜視図。
【図4】装置ハウジング内の取り外し可能な光学モジュールの例示的な一組みを示す斜視図。
【図5】モジュールコネクタを露出するために1つのモジュールを取り外した、取り外し可能な光学モジュールの例示的な一組みの前側面図を示す斜視図。
【図6】例示的な主取り外し可能な光学モジュール内の構成要素を示す斜視図。
【図7】例示的な補助取り外し可能な光学モジュール内の構成要素を示す斜視図。
【図8】装置ハウジング内の取り外し可能な光学モジュールの例示的な一組みの側面図を示す図であり、レーザ弁制御システムがディスクのスロットの上に位置している。
【図9A】試料を検出装置内で保持するために使用することができる2つの例示的なディスクのチャンバおよび弁を示す図。
【図9B】試料を検出装置内で保持するために使用することができる2つの例示的なディスクのチャンバおよび弁を示す図。
【図10】多重蛍光検出装置の例示的実施形態をより詳細に示す構成図。
【図11】光ファイバ束の4本の光ファイバに結合された単一の検出器の機能ブロック図。
【図12】多重蛍光検出装置の例示的動作を示す流れ図。
【図13】検出装置に対するレーザ弁制御システムの例示的な動作を示す流れ図。
【図14A】ディスク内のスロットの内側縁部および外側縁部を検出するための例示的な方法を示すタイミング図。
【図14B】ディスク内のスロットの例示的な図。
【図14C】レーザ弁制御システムの基準位置を決定するための例示的な方法を示すタイミング図。
【図15】レーザ弁制御システムの基準位置の例示的な測定を示す流れ図。
【図16】多重PCR用に利用できる、広く使用されている蛍光染料の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
【図17】多重PCR用に利用できる、広く使用されている蛍光染料の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
【図18A】PCR解析の間に単一の検出器で2つの例示的な光学モジュールから取得された生データを示す図。
【図18B】PCR解析の間に単一の検出器で2つの例示的な光学モジュールから取得された生データを示す図。
【図19】時間オフセットに対して調整した後のデータを示すグラフである。
【図20A】2つの例示的な検出モジュールから受信するデータに対する検出限界(LOD)を示す図。
【図20B】2つの例示的な検出モジュールから受信するデータに対する検出限界(LOD)を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁によってプロセスチャンバから分離された保持チャンバを有するディスクを回転させるためのモータと、
前記ディスクの位置を決定するために第1のレベルで、また前記弁を開放して前記保持チャンバから前記プロセスチャンバに流体を流れさせるために第2のレベルで、電磁エネルギーを出力するエネルギー源と、を備える検出装置。
【請求項2】
前記電磁エネルギーを検出すると信号を出力するセンサと、
前記センサに結合された制御ユニットであって、前記センサから前記信号を受信すると、前記ディスク上の前記弁の位置を決定する制御ユニットと、をさらに備える、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記ディスクは、前記エネルギー源から前記センサへ前記電磁エネルギーを通すためのスロットを有する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記センサは、前記ディスク内の前記スロットが前記エネルギー源と前記センサとの間に整列したとき、前記エネルギー源からの電磁エネルギーを検出する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記ディスクは、前記エネルギー源から前記センサへの前記電磁エネルギーを遮断するためのタブを有する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記センサは、前記ディスク上の前記タブが前記エネルギー源と前記センサとの間に整列していないとき、前記エネルギー源からの電磁エネルギーを検出する、請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記ディスク内の前記スロットは、矩形、円形、楕円形または不規則形の形状のものである、請求項3に記載の検出装置。
【請求項8】
前記スロットは、0.5ミリメートルと2ミリメートルの間の直径を有する、請求項3に記載の検出装置。
【請求項9】
複数の弁をさらに備え、
前記制御ユニットは、前記センサから前記信号を受信すると、前記弁の配置のマップを作成する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項10】
前記制御ユニットは、ユーザーによって指定された1つ以上の反応に基づいて、開放する1つ以上の前記弁を選択し、前記マップに基づいて前記ディスク上の選択した前記弁に前記電磁エネルギーを向ける、請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
前記電磁エネルギーのパルスが、1つ以上の弁を加熱して開放し、前記保持チャンバと前記プロセスチャンバとの間の流体連通を可能にする、請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記エネルギー源を前記ディスク上の正確な配置に整列させるためのガントリをさらに備える、請求項1に記載の検出装置。
【請求項13】
前記ガントリは、複数の光学モジュールを1つ以上のプロセスチャンバに整列させる、請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記エネルギー源はレーザである、請求項1に記載の検出装置。
【請求項15】
前記レーザは、前記ディスクの位置を決定するための低エネルギーの近赤外光と、前記弁を開放するための高エネルギーの近赤外光と、を生成する、請求項14に記載の検出装置。
【請求項16】
前記プロセスチャンバは、試料と複数の蛍光染料とを保持する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項17】
複数の取り外し可能な光学モジュールであって、それぞれが、異なる1つの染料に対して選択された光源と、前記ディスクから放出された蛍光を捕捉するためのレンズと、を有する光学チャネルを含む光学モジュールをさらに備える、請求項1に記載の検出装置。
【請求項18】
前記エネルギー源は、前記複数の取り外し可能な光学モジュールの1つに含められる、請求項17に記載の検出装置。
【請求項19】
前記エネルギー源は、
前記ディスクの位置を決定するために、前記第1のレベルで電磁エネルギーを出力する第1のエネルギー源と、
前記ディスクの位置を決定し、この後に前記弁を開放して流体を前記保持チャンバから前記プロセスチャンバに流れさせるために、前記第2のレベルで電磁エネルギーを出力する第2のエネルギー源と、を含む請求項1に記載の検出装置。
【請求項20】
前記第1のエネルギー源からの前記電磁エネルギーを検出するための第1のセンサと、
前記第2のエネルギー源からの前記電磁エネルギーを検出するための第2のセンサと、をさらに備える、請求項19に記載の検出装置。
【請求項21】
前記ディスクは、前記ディスクが回転しているとき、前記第1のセンサによって検出される、前記第1のエネルギー源からの電磁エネルギーの量、または、前記第2のセンサから検出される、前記第2のエネルギー源からの電磁エネルギーの量のいずれかを変化させる構造体を有する、請求項20に記載の検出装置。
【請求項22】
前記構造体は、前記ディスクによって形成されたスロット、タブ、または反射材料である、請求項21に記載の検出装置。
【請求項23】
前記第1の検出器は、前記ディスクが回転しているときに、前記ディスク上の前記構造体を検出して前記ディスクの位置を決定することができる、請求項21に記載の検出装置。
【請求項24】
前記第2の検出器は、前記ディスクが回転しているとき、および/または、前記第2のエネルギー源が前記ディスクに対して移動しているとき、前記ディスクの前記構造体の1つ以上の形体を検出して前記ディスクの位置を決定することができる、請求項21に記載の検出装置。
【請求項25】
前記第2のエネルギー源は、前記第2の検出器によって決定された前記ディスクの位置に基づいて前記弁を加熱する、請求項24に記載の検出装置。
【請求項26】
前記第1の検出器および前記第2の検出器は、協働して前記ディスクの位置をマップする、請求項21に記載の検出装置。
【請求項27】
データ取得装置と、
前記データ取得装置に結合された検出装置であって、
弁によってプロセスチャンバから分離された保持チャンバを有するディスクを回転させるためのモータと、
前記ディスクの位置を決定し、この後に前記弁を開放して流体を前記保持チャンバから前記プロセスチャンバに流れさせるために、電磁エネルギーを出力する第2のエネルギー源と、を含む検出装置と、を備える検出システム。
【請求項28】
前記電磁エネルギーを検出すると信号を出力するセンサと、
前記センサに結合された制御ユニットであって、前記センサから前記信号を受信すると、前記ディスク上の前記弁の位置を決定する制御ユニットと、をさらに備える、請求項27に記載の検出システム。
【請求項29】
前記ディスクは、前記エネルギー源から前記センサへ前記電磁エネルギーを通すためのスロットを有する、請求項28に記載の検出システム。
【請求項30】
前記センサは、前記ディスク内の前記スロットが前記エネルギー源と前記センサとの間に整列したとき、前記エネルギー源からの電磁エネルギーを検出する、請求項29に記載の検出システム。
【請求項31】
前記ディスク内の前記スロットは、矩形、円形、楕円形または不規則形の形状のものである、請求項29に記載の検出システム。
【請求項32】
前記スロットは、0.5ミリメートルと2ミリメートルの間の直径を有する、請求項29に記載の検出システム。
【請求項33】
複数の弁をさらに備え、
前記制御ユニットは、前記センサから前記信号を受信すると、前記弁の配置のマップを作成する、請求項28に記載の検出システム。
【請求項34】
前記制御ユニットは、ユーザーによって指定された1つ以上の反応に基づいて、開放する1つ以上の前記弁を選択し、前記マップに基づいて前記ディスク上の選択した前記弁に前記電磁エネルギーを向ける、請求項33に記載の検出システム。
【請求項35】
前記電磁エネルギーのパルスが、1つ以上の弁を加熱して開放し、前記保持チャンバと前記プロセスチャンバとの間の流体連通を可能にする、請求項34に記載の検出システム。
【請求項36】
前記エネルギー源を前記ディスク上の正確な配置に整列させるためのガントリをさらに備える、請求項27に記載の検出システム。
【請求項37】
前記ガントリは、前記複数の光学モジュールを1つ以上のプロセスチャンバに整列させる、請求項34に記載の検出システム。
【請求項38】
前記エネルギー源はレーザである、請求項27に記載の検出システム。
【請求項39】
前記レーザは、前記ディスクの位置を決定するための低エネルギーの近赤外光と、前記弁を開放するための高エネルギーの近赤外光と、を生成する、請求項38に記載の検出システム。
【請求項40】
前記プロセスチャンバは、試料と複数の蛍光染料とを保持する、請求項27に記載の検出システム。
【請求項41】
複数の取り外し可能な光学モジュールであって、それぞれが、異なる1つの染料に対して選択された光源と、前記ディスクから放出された蛍光を捕捉するためのレンズと、を有する光学チャネルを含む光学モジュールをさらに備える、請求項27に記載の検出システム。
【請求項42】
前記エネルギー源は、前記複数の取り外し可能な光学モジュールの1つに含められる、請求項41に記載の検出システム。
【請求項43】
弁によってプロセスチャンバから分離された保持チャンバを有するディスクを回転させるステップと、
前記ディスクの位置を決定するために、第1のレベルで電磁エネルギーを放出するステップと、
前記弁を開放して前記保持チャンバから前記プロセスチャンバに流体を流れさせるために、第2のレベルで電磁エネルギーを放出するステップと、を含む方法。
【請求項44】
前記電磁エネルギーをセンサで検出し、信号を出力するステップと、
前記センサから前記信号を受信すると、前記ディスク上の前記弁の位置を制御ユニットで決定するステップと、を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ディスクは、前記エネルギー源から前記センサへ前記電磁エネルギーを通すためのスロットを有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記センサは、前記ディスク内の前記スロットが前記エネルギー源と前記センサとの間に整列したとき、前記エネルギー源からの電磁エネルギーを検出する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ディスク内の前記スロットは、矩形、円形、楕円形または不規則形の形状のものである、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ディスク上の前記弁の正確な配置を決定するために前記スロットの縁部を検出するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記ディスクは複数の弁をさらに備え、前記制御ユニットは、前記センサから前記信号を受信すると前記弁の配置のマップを作成する、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
ユーザーによって指定された1つ以上の反応に基づいて、開放する1つ以上の前記弁を選択し、前記マップに基づいて前記ディスク上の選択した前記弁に前記電磁エネルギーを向けるステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
1つ以上の弁を加熱して開放し、前記保持チャンバと前記プロセスチャンバとの間の流体連通を可能にするために、電磁エネルギーのパルスを生成するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記エネルギー源を前記ディスク上の正確な配置にガントリで整列させるステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の光学モジュールを1つ以上のプロセスチャンバに前記ガントリで整列させる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記電磁エネルギーはレーザによって生成される、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記レーザは、前記ディスクの位置を決定するための低エネルギーの近赤外光と、前記弁を開放するための高エネルギーの近赤外光と、を生成する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記プロセスチャンバは、試料と複数の蛍光染料とを保持する、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
複数の放出蛍光光線を生成するために、複数の光線で前記ディスクを励起するステップと、
複数の異なる光学モジュールで前記蛍光光線を捕捉するステップであって、前記光学モジュールは、前記異なる波長に対して光学的に構成されているステップと、をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項58】
前記電磁エネルギーは、前記複数の取り外し可能な光学モジュールの1つに含められたエネルギー源によって放出される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ディスクの構造体の位置を第1のシステムで検出するステップと、
前記ディスクの前記構造体内の1つ以上の形体の位置を第2のシステムで検出するステップと、をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項60】
前記構造体は、前記ディスクによって形成されたスロット、タブ、または反射材料である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
第1のレベルの前記電磁エネルギーを前記第1のシステムのセンサで感知するステップをさらに含み、第1のレベルの前記電磁エネルギーは、前記第1のシステムのエネルギー源によって生成される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記電磁エネルギーは赤外光である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
第2のレベルの前記電磁エネルギーを前記第2のシステムのセンサで感知するステップをさらに含み、第2のレベルの前記電磁エネルギーは、前記第2のシステムのエネルギー源によって生成される、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記電磁エネルギーはレーザまたは近赤外光である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第2のシステムは前記弁を加熱する、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のシステムおよび前記第2のシステムは、協働して前記ディスクの位置をマップする、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記ディスクの構造体の半径方向位置を決定するために、前記ディスクを回転させると共に電磁エネルギーを放出するステップと、
前記ディスクの前記構造体の角度位置を決定するために、前記ディスクを回転させると共に電磁エネルギーを放出するステップと、
電磁エネルギーを前記弁に向けて前記保持チャンバと前記プロセスチャンバとの間の流体連通を可能にするために、前記半径方向位置および前記角度位置を使用するステップと、をさらに含む、請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2009−500621(P2009−500621A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520233(P2008−520233)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/010750
【国際公開番号】WO2007/005076
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】