回転式オーバーキャップ
【課題】容器本体から取り外すことなく、吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換えることができると共に、視覚によることなく吐出方向を容易に定めて内容物を吐出できる回転式オーバーキャップを提供する。
【解決手段】回転操作によって吐出ノズル１２から内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップ１０であって、容器本体１１の首部１１ａに装着される内側スリーブ１３と、これの外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で装着される有天外側スリーブ１４とからなり、内側スリーブ１３の吐出ノズル１２の吐出方向側の部分には吐出側内側挿入切欠き１５ａが設けられ、吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分には指を挿入可能な背側内側挿入切欠き１５ｂが設けられている。有天外側スリーブ１４の互いに対向する部分には、一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが設けられている。
【解決手段】回転操作によって吐出ノズル１２から内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップ１０であって、容器本体１１の首部１１ａに装着される内側スリーブ１３と、これの外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で装着される有天外側スリーブ１４とからなり、内側スリーブ１３の吐出ノズル１２の吐出方向側の部分には吐出側内側挿入切欠き１５ａが設けられ、吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分には指を挿入可能な背側内側挿入切欠き１５ｂが設けられている。有天外側スリーブ１４の互いに対向する部分には、一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、回転式オーバーキャップに関し、特に押釦式の吐出ノズルを備える容器本体に取り付けられて、吐出ノズルをカバーすると共に、回転操作によって吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップに関する。
【背景技術】
【０００２】
押釦式の吐出ノズルを備える容器として、例えばポンプ容器やエアゾール容器等が知られており、これらの押釦式の吐出ノズルを備える容器では、吐出ノズルを指で押圧することにより、押圧方向と垂直又は略垂直な方向に向けて開口する吐出ノズルの吐出開口から、化粧品、整髪料、医薬品等の内容物を液状、噴霧状、泡状等の状態で吐出させるようになっている。
【０００３】
一方、押釦式の吐出ノズルを備える容器では、非使用時に誤って吐出ノズルが押圧されるのを防止するために、吐出ノズルを覆ってカバーするオーバーキャップが容器本体の首部に着脱可能に取り付けられている。また、特に容器の携帯時等において、オーバーキャップが容器本体から外れて吐出ノズルが押圧されることにより、内容物が吐出されてバック等を汚してしまうのを防止するために、携帯時等におけるオーバーキャップの外れを効果的に防止できるようにしたオーバーキャップ付き容器も開発されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００２−１０４４５７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、携帯時等におけるオーバーキャップの外れを防止できるようにすると、容器を使用する際のオーバーキャップの着脱操作がかえってしずらくなる場合がある。また、容器を使用する際にオーバーキャップを容器から取り外した状態とすると、オーバーキャップを紛失するおそれがある。さらに、例えば暗所において、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出できるようにすると便利である。
【０００５】
本発明は、オーバーキャップを容器本体から取り外すことなく、吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えることができると共に、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を容易に定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出させることのできる回転式オーバーキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、押釦式の吐出ノズルを備える容器本体に取り付けられて、前記吐出ノズルをカバーすると共に、回転操作によって前記吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップであって、前記吐出ノズルに対する周方向の相対位置が固定された状態で前記容器本体の首部に装着される内側スリーブと、該内側スリーブの外周面に沿って周方向にスライド回転可能な状態で前記内側スリーブに重ねて装着される有天外側スリーブとからなり、前記内側スリーブにおける、前記吐出ノズルの吐出方向側の部分の周面部には吐出側内側挿入切欠きが設けられていると共に、前記吐出ノズルの吐出方向と反対側の部分の周面部には指を挿入可能な幅を有する背側内側挿入切欠きが設けられており、前記有天外スリーブにおける、互いに対向する部分の周面部には、少なくとも一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠きが設けられている回転式オーバーキャップを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の回転式オーバーキャップによれば、オーバーキャップを容器本体から取り外すことなく、吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えることができると共に、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を容易に定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップ１０は、図１〜図３に示すように、容器本体１１の首部１１ａに取り付けて用いられ、容器本体１１から取り外すことなく、簡単な操作によって、容器本体１１の首部１１ａに設けられた吐出ノズル１２を押圧不能な状態から、吐出ノズル１２を押圧して内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えさせる機能を備えている。ここで、本実施形態では、容器本体１１は、内容物として、例えばヘアスタイリング用のヘアワックス等を収容した合成樹脂製のポンプ容器であって、吐出ノズル１２を指で押圧することにより、公知のポンプ機構を介して内容物を汲み上げて、押圧方向Ｘと垂直又は略垂直な方向に向けて開口する吐出ノズル１２の吐出開口１２ａから、内容物を例えば噴霧状にして吐出させるようになっている。
【０００９】
そして、本実施形態の回転式オーバーキャップ１０は、押釦式の吐出ノズル１２を備える容器本体１１に取り付けられて、吐出ノズル１２をカバーすると共に、回転操作によって吐出ノズル１２から内容物を吐出可能な状態に切り換えるオーバーキャップであって、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で容器本体１１の首部１１ａに装着される内側スリーブ１３と、内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で内側スリーブ１３に重ねて装着される有天外側スリーブ１４とからなり、内側スリーブ１３における、吐出ノズル１２の吐出方向側の部分の周面部には吐出側内側挿入切欠き１５ａが設けられていると共に、吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分の周面部には指を挿入可能な幅を有する背側内側挿入切欠き１５ｂが設けられており、有天外側スリーブ１４における、互いに対向する部分の周面部には、少なくとも一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが設けられている。
【００１０】
また、本実施形態の回転式オーバーキャップ１０は、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転させることにより、吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び背側内側挿入切欠き１５ｂと、一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが周方向Ｙに位置ずれした状態（図２（ａ），（ｂ）参照）から、これらが合致する状態（図３（ａ），（ｂ）参照）に切り換えて、吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分の合致した背側内側挿入切欠き１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ｂ（図３（ｂ）参照）から指を挿入して吐出ノズル１２を押圧することにより、吐出ノズル１２の吐出方向側の部分の合致した吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び外側挿入切欠き１６ａ（図３（ａ）参照）を介して内容物を吐出させるようになっている。
【００１１】
本実施形態では、容器本体１１は、上述のように、合成樹脂製のポンプ容器であって、内部に公知のポンプ機構を備えると共に、例えば手で容易に把持できる程度の大きさ、形状を備えている。また容器本体１１には、その上端部分に肩部１１ｂを介在させて首部１１ａが上方に延設して設けられており、この首部１１ａの上端面中央部分から上方に突出して、ポンプ機構のステム部１８が、ポンプ機構に設けられたスプリング部材の弾性付勢力を介して上下に進退可能に配設されている。このステム部１８には、吐出ノズル１２が一体として装着固定され、ステム部１８と共に上下に進退するようになっている。
【００１２】
吐出ノズル１２は、合成樹脂製の成形品であって、下面中央部分にステム装着穴が設けられていて、このステム装着穴にステム部１８が嵌合係止されることにより、吐出ノズル１２がステム部１８に一体として接合固定される。吐出ノズル１２の天面は、平坦な面、又は内側に向けてやや湾曲した凹状面となっていて、天面に指腹を密着させつつ、スプリング部材の弾性付勢力に抗した指による押圧操作を行い易いようになっている。また、吐出ノズル１２には、ポンプ機構のステム部１８と連通すると共に、押圧方向Ｘと垂直又は略垂直な方向に向けて開口する吐出開口１２ａが開口形成されている。この吐出開口１２ａから、内容物を例えば噴霧状にして吐出させる。
【００１３】
そして、本実施形態では、回転式オーバーキャップ１０を構成する内側スリーブ１３は、図１（ａ），（ｂ）に示すように、ベースキャップ１７を介在させて容器本体１１の首部１１ａに装着されることにより、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で取り付けられている。
【００１４】
ベースキャップ１７は、合成樹脂製の成形品であって、仕切円板１７ａを挟んだ下方部分は、容器本体１１の首部１１ａの外周面形状に沿った内周面形状を備える装着スカート部１７ｂを形成している。仕切板１７ａを挟んだ上方部分は、吐出ノズル１２の押圧方向Ｘを規制するガイドスリーブ部１７ｃを形成している。また装着スカート部１７ｂの下端部分には、厚肉に成形された環状台座部１７ｄが設けられている。この環状台座部１７ｄに内側スリーブ１３の下端面が当接係止されると共に、環状台座部１７ｄの内側面には、係合凹凸部が形成されていて、これらの係合凹凸部を容器本体１１の首部１１ａに設けられた被係合凹凸部に係合係止することにより、装着スカート部１７ｂが、容器本体１１の首部１１ａに回転不能に装着固定されるようになっている。さらに、仕切円板１７ａの中央部分には、ステム開口が形成されており、このステム開口を介して、ポンプ機構のステム部１８が仕切円板１７ａの上方に突出し、突出したステム部１８に吐出ノズル１２が装着固定されるようになっている。
【００１５】
内側スリーブ１３は、合成樹脂製の成形品であって、上下の端面が開口面として開口すると共に、ベースキャップ１７の装着スカート部１７ｂ及びガイドスリーブ部１７ｃの上下に直線状に連続する外周面の外径と略等しい内径を有する、略円筒形状を有している。
【００１６】
また、内側スリーブ１３には、互いに対向する部分の周面部に、上端開口面の開口周縁部から下方に略Ｕ字形状に切り込まれて、例えば２２〜２３ｍｍ程度の幅を有する吐出側内側挿入切欠き１５ａと、指を挿入可能な例えば２０〜２１ｍｍ程度の幅を有する背側内側挿入切欠き１５ｂが、吐出ノズル１２の下端部に至る高さで形成されている。内側スリーブ１３は、吐出側内側挿入切欠き１５ａを吐出ノズル１２の吐出方向側の部分に配置し、背側内側挿入切欠き１５ｂを吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分に配置した状態で、ベースキャップ１７の外周面に沿って、その下端面が環状台座部１７ｄに当接係止されるように装着される。
【００１７】
さらに、内側スリーブ１３の内周面の適宜の位置には、係合凹凸部２２ａが形成されていて（図５参照）、これらの係合凹凸部２２ａをベースキャップ１７の外周面に設けられた被係合凹凸部２２ｂに係合係止することにより、内側スリーブ１３は、ベースキャップ１７を介在させて、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で容器本体１１の首部１１ａに装着されることになる。
【００１８】
有天外側スリーブ１４は、合成樹脂製の成形品であって、図１（ｃ）に示すように、上端面が天面板１４ａによって閉塞されると共に、下端面が開口面として開口する略有天円筒形状を備えている。有天外側スリーブ１４は、内側スリーブ１３の外周面の外径と略等しい内径を有すると共に、内側スリーブ１３よりも高さが若干高くなるように形成されている。有天外側スリーブ１４は、内側スリーブ１３を覆うようにして重ねて装着されると共に、例えば下端開口面の内周縁部に沿って内側に突出して形成された環状係止リブを、ベースキャップ１７の環状台座部１７ｄの下端外周縁部に沿って係止することにより、内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で取り付けられる。
【００１９】
また、有天外側スリーブ１４には、互いに対向する部分の周面部に、略矩形形状の一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが形成されている。内側スリーブ１３の吐出側内側挿入切欠き１５ａと合致可能に配置される一方の吐出側外側挿入切欠き１６ａは、指を挿入することが困難な例えば１３〜１４ｍｍ程度の幅を有すると共に、天面板１４ａから例えば８〜９ｍｍ程度離れた位置から、吐出ノズル１２の下端部に至る高さで形成されている。内側スリーブ１３の背側内側挿入切欠き１５ｂと合致可能に配置される他方の背側外側挿入切欠き１６ｂは、背側内側挿入切欠き１５ａと同様に、指を挿入可能な例えば２１〜２２ｍｍ程度の幅を有すると共に、天面板１４ａから例えば３．５〜４ｍｍ程度離れた位置から、吐出ノズル１２の下端部に至る高さで形成されている。
【００２０】
これによって、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転させることにより、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが周方向Ｙに位置ずれした状態（図２（ａ），（ｂ）参照）から、これらが合致する状態（図３（ａ），（ｂ）参照）に容易に切り換えることができると共に、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂとが合致する状態（図３（ａ），（ｂ）参照）から、これらが周方向Ｙに位置ずれした状態（図２（ａ），（ｂ）参照）に容易に切り換えることができるようになっている。
【００２１】
そして、本実施形態では、好ましくは、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが合致する状態や位置ずれした状態に切り換える際に、それ以上周方向Ｙにスライド回転させないようにするストッパー機構１９が設けられている。ストッパー機構１９は、図４（ａ），（ｂ）に示すように、例えば有天外側スリーブ１４の内周面から内側に突出して上下方向に延設して設けられたストッパーリブによって構成することができる。ストッパーリブ１９は、各外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂに近接する部分から内側に突出して２箇所に形成されており、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂの周方向内側に配置されて各々一箇所づつ設けられる。ストッパーリブ１９は、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂとが合致する状態や位置ずれした状態に切り換える際に、内側スリーブ１３の内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂの周方向内側端面に当接することにより、それ以上の回転を阻止するストッパーとしての機能を発揮する。
【００２２】
また、本実施形態では、好ましくは、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿ってスライド回転させる際に、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂが合致した状態、及びこれらが周方向に位置ずれして閉塞した状態を認知させる音出し機構２０を備えている。音出し機構２０は、図４（ａ），（ｂ）に示すように、例えば内側スリーブ１３の上端部においてこれの内側面から内側に突出して設けられた音出し固定リブ２０ａと、この音出し固定リブ２０ａと衝突可能な円形軌跡上において、有天外側スリーブ１４の天面板１４ａから下方に突出して設けられた音出し回転リブ２０ｂとによって構成されている。有天外側スリーブ１４の内側スリーブ１３の外周面に沿ったスライド回転に伴って、音出し回転リブ２０ｂが音出し固定リブ２０ａに衝突しながら通過し、音出し固定リブ２０ａを振動させて音を発生させることにより、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂが合致した状態やこれらが周方向に位置ずれして閉塞した状態を、音によって認知させることができるようになっている。
【００２３】
さらに、本実施形態では、好ましくは、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿ってスライド回転させる際に、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂが合致した状態、及びこれらが周方向に位置ずれして閉塞した状態になったことを、手の感触によって認知させるクリック感付与機構２１が設けられている。クリック感付与機構２１は、図５に示すように、例えば内側スリーブ１３の外周面から外側に突出して設けられた内側クリックリブ２１ａと、有天外側スリーブ１４の内周面から内側に突出して設けられた外側クリックリブ２１ｂとからなり、これらが弾性変形しつつ互いに乗り越えることにより、手の感触によって、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが合致した状態や位置ずれした状態を認知できるようになっている。なお、本実施形態では、内側クリックリブ２１ａ及び外側クリックリブ２１ｂは、周方向に間隔をおいて４箇所づつ設けられている。
【００２４】
そして、上述の構成を有する本実施形態の回転式オーバーキャップ１０によれば、当該オーバーキャップ１０を容器本体１１から取り外すことなく、吐出ノズル１２から内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えることができると共に、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を容易に定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出させることができる。
【００２５】
すなわち、本実施形態によれば、回転式オーバーキャップ１０は、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で装着される内側スリーブ１３と、内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で装着される有天外側スリーブ１４とからなり、内側スリーブ１３に吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び背側内側挿入切欠き１５ｂが、有天外側スリーブ１４に一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが設けられているので、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転させることにより、吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び背側内側挿入切欠き１５ｂと、一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが合致する状態に切り換えることによって、当該オーバーキャップ１０を取り外すことなく、合致した背側内側挿入切欠き１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ｂから指を挿入して吐出ノズル１２を押圧することにより、内容物を容易に吐出させることが可能になる。
【００２６】
また、本実施形態では、例えば有天外側スリーブ１４に設けられた一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂは、一方の吐出側外側挿入切欠き１６ａが指を挿入することが困難な幅を有しており、他方の背側内側挿入切欠き１５ｂが指を挿入可能な幅を有しているので、背側内側挿入切欠き１５ｂから指を挿入して吐出ノズル１２を押圧することにより、吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び吐出側外側挿入切欠き１６ａを介した吐出ノズル１２による吐出方向を容易に定めることが可能になり、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて内容物を容易に吐出させることが可能になる。
【００２７】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、暗所において視覚によることなく吐出ノズルによる吐出方向を定めることができるようにする手段として、有天外側スリーブに設けられた一対の外側挿入切欠きの内の一方を指を挿入することが困難な幅とし、他方を指を挿入可能な幅とする必要は必ずしもなく、例えば指を挿入して吐出ノズルを押圧させる側の外側挿入切欠きの付近の外周面に判別用の凹凸部等を設けて、手の感触によって吐出方向と反対側の外側挿入切欠きを判別できるようにすることもできる。また、内側スリーブは、ベースキャップを介在させることなく、容器本体の首部に直接装着することもできる。さらに、音出し機構やクリック感付与機構等を設ける必要は必ずしも無く、回転式オーバーキャップが装着される容器本体は、例えばヘアスタイリング用のヘアワックスの他、化粧品、整髪料、医薬品等のその他の内容物を収容するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】（ａ）〜（ｃ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップを容器本体に装着した状態を説明する略示正面図及び該略示正面図のＡ−Ａに沿った略示断面図である。
【図２】（ａ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の非使用時の状態を説明する略示正面図及び該略示正面図のＡ−Ａに沿った略示断面図、（ｂ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の非使用時の状態を説明する略示側面図及び該略示側面図のＡ−Ａに沿った略示断面図である。
【図３】（ａ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の使用時の状態を説明する略示正面図及び該略示正面図のＡ−Ａに沿った略示断面図、（ｂ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の使用時の状態を説明する略示背面図及び該略示背面図のＡ−Ａに沿った略示断面図である。
【図４】（ａ），（ｂ）は、本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップのストッパー機構及び音出し機構を説明する要部略示断面図である。
【図５】本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップのクリック感付与機構を説明する要部略示断面図である。
【符号の説明】
【００２９】
１０ 回転式オーバーキャップ
１１ 容器本体
１１ａ 首部
１２ 吐出ノズル
１２ａ 吐出開口
１３ 内側スリーブ
１４ 有天外側スリーブ
１５ａ 吐出側内側挿入切欠き
１５ｂ 背向側内側挿入切欠き
１６ａ 吐出側外側挿入切欠き
１６ｂ 背向側外側挿入切欠き
１７ ベースキャップ
１８ ステム部
１９ ストッパー機構（ストッパーリブ）
２０ 音出し機構
２１ クリック感付与機構
Ｘ 押圧機構
Ｙ 周方向
【技術分野】
【０００１】
本発明は、回転式オーバーキャップに関し、特に押釦式の吐出ノズルを備える容器本体に取り付けられて、吐出ノズルをカバーすると共に、回転操作によって吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップに関する。
【背景技術】
【０００２】
押釦式の吐出ノズルを備える容器として、例えばポンプ容器やエアゾール容器等が知られており、これらの押釦式の吐出ノズルを備える容器では、吐出ノズルを指で押圧することにより、押圧方向と垂直又は略垂直な方向に向けて開口する吐出ノズルの吐出開口から、化粧品、整髪料、医薬品等の内容物を液状、噴霧状、泡状等の状態で吐出させるようになっている。
【０００３】
一方、押釦式の吐出ノズルを備える容器では、非使用時に誤って吐出ノズルが押圧されるのを防止するために、吐出ノズルを覆ってカバーするオーバーキャップが容器本体の首部に着脱可能に取り付けられている。また、特に容器の携帯時等において、オーバーキャップが容器本体から外れて吐出ノズルが押圧されることにより、内容物が吐出されてバック等を汚してしまうのを防止するために、携帯時等におけるオーバーキャップの外れを効果的に防止できるようにしたオーバーキャップ付き容器も開発されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００２−１０４４５７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、携帯時等におけるオーバーキャップの外れを防止できるようにすると、容器を使用する際のオーバーキャップの着脱操作がかえってしずらくなる場合がある。また、容器を使用する際にオーバーキャップを容器から取り外した状態とすると、オーバーキャップを紛失するおそれがある。さらに、例えば暗所において、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出できるようにすると便利である。
【０００５】
本発明は、オーバーキャップを容器本体から取り外すことなく、吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えることができると共に、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を容易に定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出させることのできる回転式オーバーキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、押釦式の吐出ノズルを備える容器本体に取り付けられて、前記吐出ノズルをカバーすると共に、回転操作によって前記吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップであって、前記吐出ノズルに対する周方向の相対位置が固定された状態で前記容器本体の首部に装着される内側スリーブと、該内側スリーブの外周面に沿って周方向にスライド回転可能な状態で前記内側スリーブに重ねて装着される有天外側スリーブとからなり、前記内側スリーブにおける、前記吐出ノズルの吐出方向側の部分の周面部には吐出側内側挿入切欠きが設けられていると共に、前記吐出ノズルの吐出方向と反対側の部分の周面部には指を挿入可能な幅を有する背側内側挿入切欠きが設けられており、前記有天外スリーブにおける、互いに対向する部分の周面部には、少なくとも一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠きが設けられている回転式オーバーキャップを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明の回転式オーバーキャップによれば、オーバーキャップを容器本体から取り外すことなく、吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えることができると共に、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を容易に定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップ１０は、図１〜図３に示すように、容器本体１１の首部１１ａに取り付けて用いられ、容器本体１１から取り外すことなく、簡単な操作によって、容器本体１１の首部１１ａに設けられた吐出ノズル１２を押圧不能な状態から、吐出ノズル１２を押圧して内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えさせる機能を備えている。ここで、本実施形態では、容器本体１１は、内容物として、例えばヘアスタイリング用のヘアワックス等を収容した合成樹脂製のポンプ容器であって、吐出ノズル１２を指で押圧することにより、公知のポンプ機構を介して内容物を汲み上げて、押圧方向Ｘと垂直又は略垂直な方向に向けて開口する吐出ノズル１２の吐出開口１２ａから、内容物を例えば噴霧状にして吐出させるようになっている。
【０００９】
そして、本実施形態の回転式オーバーキャップ１０は、押釦式の吐出ノズル１２を備える容器本体１１に取り付けられて、吐出ノズル１２をカバーすると共に、回転操作によって吐出ノズル１２から内容物を吐出可能な状態に切り換えるオーバーキャップであって、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で容器本体１１の首部１１ａに装着される内側スリーブ１３と、内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で内側スリーブ１３に重ねて装着される有天外側スリーブ１４とからなり、内側スリーブ１３における、吐出ノズル１２の吐出方向側の部分の周面部には吐出側内側挿入切欠き１５ａが設けられていると共に、吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分の周面部には指を挿入可能な幅を有する背側内側挿入切欠き１５ｂが設けられており、有天外側スリーブ１４における、互いに対向する部分の周面部には、少なくとも一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが設けられている。
【００１０】
また、本実施形態の回転式オーバーキャップ１０は、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転させることにより、吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び背側内側挿入切欠き１５ｂと、一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが周方向Ｙに位置ずれした状態（図２（ａ），（ｂ）参照）から、これらが合致する状態（図３（ａ），（ｂ）参照）に切り換えて、吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分の合致した背側内側挿入切欠き１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ｂ（図３（ｂ）参照）から指を挿入して吐出ノズル１２を押圧することにより、吐出ノズル１２の吐出方向側の部分の合致した吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び外側挿入切欠き１６ａ（図３（ａ）参照）を介して内容物を吐出させるようになっている。
【００１１】
本実施形態では、容器本体１１は、上述のように、合成樹脂製のポンプ容器であって、内部に公知のポンプ機構を備えると共に、例えば手で容易に把持できる程度の大きさ、形状を備えている。また容器本体１１には、その上端部分に肩部１１ｂを介在させて首部１１ａが上方に延設して設けられており、この首部１１ａの上端面中央部分から上方に突出して、ポンプ機構のステム部１８が、ポンプ機構に設けられたスプリング部材の弾性付勢力を介して上下に進退可能に配設されている。このステム部１８には、吐出ノズル１２が一体として装着固定され、ステム部１８と共に上下に進退するようになっている。
【００１２】
吐出ノズル１２は、合成樹脂製の成形品であって、下面中央部分にステム装着穴が設けられていて、このステム装着穴にステム部１８が嵌合係止されることにより、吐出ノズル１２がステム部１８に一体として接合固定される。吐出ノズル１２の天面は、平坦な面、又は内側に向けてやや湾曲した凹状面となっていて、天面に指腹を密着させつつ、スプリング部材の弾性付勢力に抗した指による押圧操作を行い易いようになっている。また、吐出ノズル１２には、ポンプ機構のステム部１８と連通すると共に、押圧方向Ｘと垂直又は略垂直な方向に向けて開口する吐出開口１２ａが開口形成されている。この吐出開口１２ａから、内容物を例えば噴霧状にして吐出させる。
【００１３】
そして、本実施形態では、回転式オーバーキャップ１０を構成する内側スリーブ１３は、図１（ａ），（ｂ）に示すように、ベースキャップ１７を介在させて容器本体１１の首部１１ａに装着されることにより、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で取り付けられている。
【００１４】
ベースキャップ１７は、合成樹脂製の成形品であって、仕切円板１７ａを挟んだ下方部分は、容器本体１１の首部１１ａの外周面形状に沿った内周面形状を備える装着スカート部１７ｂを形成している。仕切板１７ａを挟んだ上方部分は、吐出ノズル１２の押圧方向Ｘを規制するガイドスリーブ部１７ｃを形成している。また装着スカート部１７ｂの下端部分には、厚肉に成形された環状台座部１７ｄが設けられている。この環状台座部１７ｄに内側スリーブ１３の下端面が当接係止されると共に、環状台座部１７ｄの内側面には、係合凹凸部が形成されていて、これらの係合凹凸部を容器本体１１の首部１１ａに設けられた被係合凹凸部に係合係止することにより、装着スカート部１７ｂが、容器本体１１の首部１１ａに回転不能に装着固定されるようになっている。さらに、仕切円板１７ａの中央部分には、ステム開口が形成されており、このステム開口を介して、ポンプ機構のステム部１８が仕切円板１７ａの上方に突出し、突出したステム部１８に吐出ノズル１２が装着固定されるようになっている。
【００１５】
内側スリーブ１３は、合成樹脂製の成形品であって、上下の端面が開口面として開口すると共に、ベースキャップ１７の装着スカート部１７ｂ及びガイドスリーブ部１７ｃの上下に直線状に連続する外周面の外径と略等しい内径を有する、略円筒形状を有している。
【００１６】
また、内側スリーブ１３には、互いに対向する部分の周面部に、上端開口面の開口周縁部から下方に略Ｕ字形状に切り込まれて、例えば２２〜２３ｍｍ程度の幅を有する吐出側内側挿入切欠き１５ａと、指を挿入可能な例えば２０〜２１ｍｍ程度の幅を有する背側内側挿入切欠き１５ｂが、吐出ノズル１２の下端部に至る高さで形成されている。内側スリーブ１３は、吐出側内側挿入切欠き１５ａを吐出ノズル１２の吐出方向側の部分に配置し、背側内側挿入切欠き１５ｂを吐出ノズル１２の吐出方向と反対側の部分に配置した状態で、ベースキャップ１７の外周面に沿って、その下端面が環状台座部１７ｄに当接係止されるように装着される。
【００１７】
さらに、内側スリーブ１３の内周面の適宜の位置には、係合凹凸部２２ａが形成されていて（図５参照）、これらの係合凹凸部２２ａをベースキャップ１７の外周面に設けられた被係合凹凸部２２ｂに係合係止することにより、内側スリーブ１３は、ベースキャップ１７を介在させて、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で容器本体１１の首部１１ａに装着されることになる。
【００１８】
有天外側スリーブ１４は、合成樹脂製の成形品であって、図１（ｃ）に示すように、上端面が天面板１４ａによって閉塞されると共に、下端面が開口面として開口する略有天円筒形状を備えている。有天外側スリーブ１４は、内側スリーブ１３の外周面の外径と略等しい内径を有すると共に、内側スリーブ１３よりも高さが若干高くなるように形成されている。有天外側スリーブ１４は、内側スリーブ１３を覆うようにして重ねて装着されると共に、例えば下端開口面の内周縁部に沿って内側に突出して形成された環状係止リブを、ベースキャップ１７の環状台座部１７ｄの下端外周縁部に沿って係止することにより、内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で取り付けられる。
【００１９】
また、有天外側スリーブ１４には、互いに対向する部分の周面部に、略矩形形状の一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが形成されている。内側スリーブ１３の吐出側内側挿入切欠き１５ａと合致可能に配置される一方の吐出側外側挿入切欠き１６ａは、指を挿入することが困難な例えば１３〜１４ｍｍ程度の幅を有すると共に、天面板１４ａから例えば８〜９ｍｍ程度離れた位置から、吐出ノズル１２の下端部に至る高さで形成されている。内側スリーブ１３の背側内側挿入切欠き１５ｂと合致可能に配置される他方の背側外側挿入切欠き１６ｂは、背側内側挿入切欠き１５ａと同様に、指を挿入可能な例えば２１〜２２ｍｍ程度の幅を有すると共に、天面板１４ａから例えば３．５〜４ｍｍ程度離れた位置から、吐出ノズル１２の下端部に至る高さで形成されている。
【００２０】
これによって、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転させることにより、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが周方向Ｙに位置ずれした状態（図２（ａ），（ｂ）参照）から、これらが合致する状態（図３（ａ），（ｂ）参照）に容易に切り換えることができると共に、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂとが合致する状態（図３（ａ），（ｂ）参照）から、これらが周方向Ｙに位置ずれした状態（図２（ａ），（ｂ）参照）に容易に切り換えることができるようになっている。
【００２１】
そして、本実施形態では、好ましくは、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが合致する状態や位置ずれした状態に切り換える際に、それ以上周方向Ｙにスライド回転させないようにするストッパー機構１９が設けられている。ストッパー機構１９は、図４（ａ），（ｂ）に示すように、例えば有天外側スリーブ１４の内周面から内側に突出して上下方向に延設して設けられたストッパーリブによって構成することができる。ストッパーリブ１９は、各外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂに近接する部分から内側に突出して２箇所に形成されており、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂの周方向内側に配置されて各々一箇所づつ設けられる。ストッパーリブ１９は、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂと外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂとが合致する状態や位置ずれした状態に切り換える際に、内側スリーブ１３の内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂの周方向内側端面に当接することにより、それ以上の回転を阻止するストッパーとしての機能を発揮する。
【００２２】
また、本実施形態では、好ましくは、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿ってスライド回転させる際に、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂが合致した状態、及びこれらが周方向に位置ずれして閉塞した状態を認知させる音出し機構２０を備えている。音出し機構２０は、図４（ａ），（ｂ）に示すように、例えば内側スリーブ１３の上端部においてこれの内側面から内側に突出して設けられた音出し固定リブ２０ａと、この音出し固定リブ２０ａと衝突可能な円形軌跡上において、有天外側スリーブ１４の天面板１４ａから下方に突出して設けられた音出し回転リブ２０ｂとによって構成されている。有天外側スリーブ１４の内側スリーブ１３の外周面に沿ったスライド回転に伴って、音出し回転リブ２０ｂが音出し固定リブ２０ａに衝突しながら通過し、音出し固定リブ２０ａを振動させて音を発生させることにより、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂが合致した状態やこれらが周方向に位置ずれして閉塞した状態を、音によって認知させることができるようになっている。
【００２３】
さらに、本実施形態では、好ましくは、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿ってスライド回転させる際に、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ．１６ｂが合致した状態、及びこれらが周方向に位置ずれして閉塞した状態になったことを、手の感触によって認知させるクリック感付与機構２１が設けられている。クリック感付与機構２１は、図５に示すように、例えば内側スリーブ１３の外周面から外側に突出して設けられた内側クリックリブ２１ａと、有天外側スリーブ１４の内周面から内側に突出して設けられた外側クリックリブ２１ｂとからなり、これらが弾性変形しつつ互いに乗り越えることにより、手の感触によって、内側挿入切欠き１５ａ，１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが合致した状態や位置ずれした状態を認知できるようになっている。なお、本実施形態では、内側クリックリブ２１ａ及び外側クリックリブ２１ｂは、周方向に間隔をおいて４箇所づつ設けられている。
【００２４】
そして、上述の構成を有する本実施形態の回転式オーバーキャップ１０によれば、当該オーバーキャップ１０を容器本体１１から取り外すことなく、吐出ノズル１２から内容物を吐出可能な状態に容易に切り換えることができると共に、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて吐出方向を容易に定めながら吐出ノズルを押圧して内容物を吐出させることができる。
【００２５】
すなわち、本実施形態によれば、回転式オーバーキャップ１０は、吐出ノズル１２に対する周方向Ｙの相対位置が固定された状態で装着される内側スリーブ１３と、内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転可能な状態で装着される有天外側スリーブ１４とからなり、内側スリーブ１３に吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び背側内側挿入切欠き１５ｂが、有天外側スリーブ１４に一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂが設けられているので、有天外側スリーブ１４を内側スリーブ１３の外周面に沿って周方向Ｙにスライド回転させることにより、吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び背側内側挿入切欠き１５ｂと、一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂとが合致する状態に切り換えることによって、当該オーバーキャップ１０を取り外すことなく、合致した背側内側挿入切欠き１５ｂ及び外側挿入切欠き１６ｂから指を挿入して吐出ノズル１２を押圧することにより、内容物を容易に吐出させることが可能になる。
【００２６】
また、本実施形態では、例えば有天外側スリーブ１４に設けられた一対の外側挿入切欠き１６ａ，１６ｂは、一方の吐出側外側挿入切欠き１６ａが指を挿入することが困難な幅を有しており、他方の背側内側挿入切欠き１５ｂが指を挿入可能な幅を有しているので、背側内側挿入切欠き１５ｂから指を挿入して吐出ノズル１２を押圧することにより、吐出側内側挿入切欠き１５ａ及び吐出側外側挿入切欠き１６ａを介した吐出ノズル１２による吐出方向を容易に定めることが可能になり、例えば暗所においても、視覚によることなく、所定の吐出箇所に向けて内容物を容易に吐出させることが可能になる。
【００２７】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、暗所において視覚によることなく吐出ノズルによる吐出方向を定めることができるようにする手段として、有天外側スリーブに設けられた一対の外側挿入切欠きの内の一方を指を挿入することが困難な幅とし、他方を指を挿入可能な幅とする必要は必ずしもなく、例えば指を挿入して吐出ノズルを押圧させる側の外側挿入切欠きの付近の外周面に判別用の凹凸部等を設けて、手の感触によって吐出方向と反対側の外側挿入切欠きを判別できるようにすることもできる。また、内側スリーブは、ベースキャップを介在させることなく、容器本体の首部に直接装着することもできる。さらに、音出し機構やクリック感付与機構等を設ける必要は必ずしも無く、回転式オーバーキャップが装着される容器本体は、例えばヘアスタイリング用のヘアワックスの他、化粧品、整髪料、医薬品等のその他の内容物を収容するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】（ａ）〜（ｃ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップを容器本体に装着した状態を説明する略示正面図及び該略示正面図のＡ−Ａに沿った略示断面図である。
【図２】（ａ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の非使用時の状態を説明する略示正面図及び該略示正面図のＡ−Ａに沿った略示断面図、（ｂ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の非使用時の状態を説明する略示側面図及び該略示側面図のＡ−Ａに沿った略示断面図である。
【図３】（ａ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の使用時の状態を説明する略示正面図及び該略示正面図のＡ−Ａに沿った略示断面図、（ｂ）は本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップが装着された容器の使用時の状態を説明する略示背面図及び該略示背面図のＡ−Ａに沿った略示断面図である。
【図４】（ａ），（ｂ）は、本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップのストッパー機構及び音出し機構を説明する要部略示断面図である。
【図５】本発明の好ましい一実施形態に係る回転式オーバーキャップのクリック感付与機構を説明する要部略示断面図である。
【符号の説明】
【００２９】
１０ 回転式オーバーキャップ
１１ 容器本体
１１ａ 首部
１２ 吐出ノズル
１２ａ 吐出開口
１３ 内側スリーブ
１４ 有天外側スリーブ
１５ａ 吐出側内側挿入切欠き
１５ｂ 背向側内側挿入切欠き
１６ａ 吐出側外側挿入切欠き
１６ｂ 背向側外側挿入切欠き
１７ ベースキャップ
１８ ステム部
１９ ストッパー機構（ストッパーリブ）
２０ 音出し機構
２１ クリック感付与機構
Ｘ 押圧機構
Ｙ 周方向
【特許請求の範囲】
【請求項１】
押釦式の吐出ノズルを備える容器本体に取り付けられて、前記吐出ノズルをカバーすると共に、回転操作によって前記吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップであって、
前記吐出ノズルに対する周方向の相対位置が固定された状態で前記容器本体の首部に装着される内側スリーブと、該内側スリーブの外周面に沿って周方向にスライド回転可能な状態で前記内側スリーブに重ねて装着される有天外側スリーブとからなり、
前記内側スリーブにおける、前記吐出ノズルの吐出方向側の部分の周面部には吐出側内側挿入切欠きが設けられていると共に、前記吐出ノズルの吐出方向と反対側の部分の周面部には指を挿入可能な幅を有する背側内側挿入切欠きが設けられており、
前記有天外スリーブにおける、互いに対向する部分の周面部には、少なくとも一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠きが設けられている回転式オーバーキャップ。
【請求項２】
前記有天外側スリーブを前記内側スリーブの外周面に沿って周方向にスライド回転させることにより、前記吐出側内側挿入切欠き及び前記背側内側挿入切欠きと、前記一対の外側挿入切欠きとが周方向に位置ずれした状態から、これらが合致する状態に切り換えて、前記吐出ノズルの吐出方向と反対側の部分の合致した前記背側内側挿入切欠き及び前記外側挿入切欠きから指を挿入して前記吐出ノズルを押圧することにより、前記吐出ノズルの吐出方向側の部分の合致した前記吐出側内側挿入切欠き及び前記外側挿入切欠きを介して内容物を吐出させる請求項１記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項３】
前記内側スリーブは、ベースキャップを介在させて前記容器本体の首部に装着される請求項１又は２に記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項４】
前記有天外スリーブに設けられた前記一対の外側挿入切欠きは、一方が指を挿入することが困難な幅を有しており、他方が指を挿入可能な幅を有している請求項１〜３のいずれかに記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項５】
前記有天外側スリーブを前記内側スリーブの外周面に沿ってスライド回転させて、前記吐出側内側挿入切欠き及び前記背側内側挿入切欠きと、前記一対の外側挿入切欠きとが合致した状態を認知させる音出し機構を備える請求項１〜３のいずれかに記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項１】
押釦式の吐出ノズルを備える容器本体に取り付けられて、前記吐出ノズルをカバーすると共に、回転操作によって前記吐出ノズルから内容物を吐出可能な状態に切り換える回転式オーバーキャップであって、
前記吐出ノズルに対する周方向の相対位置が固定された状態で前記容器本体の首部に装着される内側スリーブと、該内側スリーブの外周面に沿って周方向にスライド回転可能な状態で前記内側スリーブに重ねて装着される有天外側スリーブとからなり、
前記内側スリーブにおける、前記吐出ノズルの吐出方向側の部分の周面部には吐出側内側挿入切欠きが設けられていると共に、前記吐出ノズルの吐出方向と反対側の部分の周面部には指を挿入可能な幅を有する背側内側挿入切欠きが設けられており、
前記有天外スリーブにおける、互いに対向する部分の周面部には、少なくとも一方が指を挿入可能な幅を有する一対の外側挿入切欠きが設けられている回転式オーバーキャップ。
【請求項２】
前記有天外側スリーブを前記内側スリーブの外周面に沿って周方向にスライド回転させることにより、前記吐出側内側挿入切欠き及び前記背側内側挿入切欠きと、前記一対の外側挿入切欠きとが周方向に位置ずれした状態から、これらが合致する状態に切り換えて、前記吐出ノズルの吐出方向と反対側の部分の合致した前記背側内側挿入切欠き及び前記外側挿入切欠きから指を挿入して前記吐出ノズルを押圧することにより、前記吐出ノズルの吐出方向側の部分の合致した前記吐出側内側挿入切欠き及び前記外側挿入切欠きを介して内容物を吐出させる請求項１記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項３】
前記内側スリーブは、ベースキャップを介在させて前記容器本体の首部に装着される請求項１又は２に記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項４】
前記有天外スリーブに設けられた前記一対の外側挿入切欠きは、一方が指を挿入することが困難な幅を有しており、他方が指を挿入可能な幅を有している請求項１〜３のいずれかに記載の回転式オーバーキャップ。
【請求項５】
前記有天外側スリーブを前記内側スリーブの外周面に沿ってスライド回転させて、前記吐出側内側挿入切欠き及び前記背側内側挿入切欠きと、前記一対の外側挿入切欠きとが合致した状態を認知させる音出し機構を備える請求項１〜３のいずれかに記載の回転式オーバーキャップ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−１３２３２４（Ｐ２０１０−１３２３２４Ａ）
【公開日】平成２２年６月１７日（２０１０．６．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３１０７３８（Ｐ２００８−３１０７３８）
【出願日】平成２０年１２月５日（２００８．１２．５）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月１７日（２０１０．６．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１２月５日（２００８．１２．５）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
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