説明

回転式グリル調理器

【課題】焼き職人の味を自動化により得られるようにした回転式グリル調理器を提供する。
【解決手段】一又は複数のトレイ21が取り付けられた回転ステイ20と、回転ステイ20の回転中心とは異なる位置に回転中心が位置するようにして配置されると共に連結部材25によって回転ステイ20と連結されてこの回転ステイ20の回転に伴って回転するローラ取付板19と、ローラ取付板19の外周縁がローラ取付板19よりも小さな直径に形成された回転トレイ固定板18と、ローラ取付板19の回転によって回転トレイ固定板18の周縁部に沿って転動するローラ24と、少なくとも相対する二方向から加熱を行う複数の熱源26,27とを備え、連結部材25の姿勢を維持してトレイ21の上面が常に上方を向くようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式グリル調理器に関し、さらに詳しくは焼き職人が焼いたような味が得られる回転式グリル調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
昔から焼き料理は炭火焼が最良といわれている。しかし、今では炭の生産量は限られているし、また、“焼き10年”ともいわれる焼き職人を長時間かけて育成することも困難になっている。そこで、熱源にガスや電気ヒータを使わざるを得ないことから、遠赤外線を効果的に発生するロースターの加熱構造が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されたロースターの加熱構造は、上下方向に通じるガス通過孔を有する円錐形状のセラミック炭がバーナの火炎の到達する部位に配置されており、輻射熱及び遠赤外線等によってジューシーな焼肉調理を可能にし、また、調理開始を早めることを可能にしている。
【0003】
遠赤外線を用いることで食材をジューシーに焼き上げることが可能になったが、焼き職人による焼き味を得るためには食材に応じて火力等を調整しなければならないという課題が残されている。これを解決するものとして、自動化を図ったロースターが例えば特許文献2に示されている。特許文献2に開示された自動電気ロースターは、調理メニュー−を選択する選択手段と、調理メニューに適した調理シーケンスを複数記憶している記憶手段と、温度検知手段による加熱室内の検出温度に応じて上発熱体及び下発熱体を制御する制御手段とを備えて構成されており、前記調理シーケンスは加熱工程及び調理工程を有している。加熱工程は温度検知手段が所定の温度を検知すると調理工程に移行し、調理工程は該工程が経過するにつれて通電比を下げて加熱調理するようになっており、肉調理が選択されるとこの選択に適した調理シーケンスで加熱調理することができる。これにより、予熱することなく厚みのある肉でも適度な時間で簡単に美味しい調理が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−259989号公報
【特許文献2】特開2010−54091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の加熱構造及びロースターは、ジューシーな焼肉調理が可能になり、また、焼き具合をプログラムに従って自動化することもできるようにもなった。しかしながら、焼き職人の味を生み出すいわゆる「遠火の強火」による焼きを自動化で達成できるには至っていないという課題がある。炭火に食材を近づけて焼けば強火にはなるが焼きむらができてしまい好ましくない。そのため、大量の炭を燃焼させることにより遠火でも強火の状態を作り出すことによって焼きむらを防止し、食材の中までしっかりと火がとおり、素早く、均一に約ことを「遠火の強火」という。このように、食材の味を引き出し、見た目を美しく焼きあげるものであるが、“焼き10年”とも言われる炭焼き修業の究極の奥義は「遠火の強火」を習得することにある。これを自動化したロースターは見当たらない。
【0006】
また、上記特許文献1及び2の他、食材を自動的に焼き上げるグリル調理器としては、例えば、所定の長さにガスの炎や電気ヒータを配置し、その上を食材が所定の時間をかけて移動するように構成することにより、食材がガスの炎や電気ヒータの一端側から他端側に移動する間に食材を焼き上げるグリル調理器が周知である。しかしながら、このようなグリル調理器は広い設置場所を必要とするという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、場所を取ることなく、自動化されたグリル調理器でありながら遠火の強火を容易に得ることができ、それによって焼き職人の焼き味を得らることができる回転式グリル調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、駆動源からの動力によって回転する回転軸の一端に回転可能に取り付けられ、回転中心を中心とする同心円上の周辺部に調理すべき食材を載置するための一又は複数のトレイが取り付けられた回転ステイと、前記回転ステイの回転中心とは異なる位置に回転中心が位置するようにして配置されると共に、連結部材によって前記回転ステイと連結されて前記回転ステイの回転に伴って回転するリング状のローラ取付板と、前記ローラ取付板と同軸に配置され、前記ローラ取付板の外周縁が当該ローラ取付板よりも小さな直径に形成された回転トレイ固定板と、前記ローラ取付板に取り付けられ、前記ローラ取付板の回転によって前記回転トレイ固定板の周縁部に沿って転動するローラと、前記一又は複数のトレイに向けて少なくとも相対する二方向から加熱を行う複数の熱源とを備え、前記回転ステイは、当該回転ステイに前記トレイを取り付けるための取付部材を介して前記連結部材と連結され、前記ローラは、前記連結板と前記ローラ取付板とを連結するための連結部材によって前記ローラ取付板に取り付けられ、前記回転ステイが回転することによって前記連結部材を介してローラ取付板を回転させ、当該ローラ取付板の回転によって前記ローラを前記回転トレイ固定板の外周縁に沿って転動させることにより前記連結部材の姿勢を維持して前記トレイの上面が常に上方を向くようにしたことを特徴とする回転式グリル調理器を提供する。
【0009】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の回転式グリル調理器において、前記回転軸の回転状態を検出する回転検出センサと、前記回転検出センサによって検知された回転状態に基づいて前記駆動源の動作を制御する制御部とを備え、予め設定した所定の回転角度ごとに前記トレイを一旦停止させて所定時間保持した後再び回転させることを繰り返すようにしたことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の回転式グリル調理器において、前記トレイが回転して次に停止するまでの回転角度は前記回転ステイに取り付けられた前記トレイの取り付け角度と同じ角度であり、
前記トレイが回転して次に停止するまでの回転時間及び前記トレイの回転を停止した状態で保持する停止時間を調整可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回転式グリル調理器によれば、トレイに載置された食材が常に上方向いて均一に加熱されると共に、円運動をしながら加熱される食材を所定の角度で自動的に停止して加熱されるように構成したので、効果的に「遠火の強火」を得ることができ、焼き職人の技術を要することなく焼き職人と同じ焼き味が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る回転式グリル調理器の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す回転式グリル調理器の正面図である。
【図3】本発明に係る回転式グリル調理器のトレイの詳細を示す斜視図である。
【図4】トレイの取り付け部分の拡大斜視図である。
【図5】トレイの取り付け部分の拡大側面図である。
【図6】本発明に係る回転式グリル調理器方法の処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[回転式グリル調理器の構成]
本発明に係る回転式グリル調理器の好ましい一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は回転式グリル調理器の一実施形態を示す側面図、図2は図1に示す回転式グリル調理器の正面図である。但し、図2においてトレイは後述する支持部材のみを示し、後述する網部材の図示を省略している。
【0014】
図示された回転式グリル調理器1は、概略として、調理室の床等に設置される台座10と、台座10の前後に立設された板状の前面板11A及び後面板11Bと、前面板11Aと後面板11Bとを上部側で連結する梁となる一又は複数の連結棒12と、前面板11Aと後面板11Bとの間に対向するようにして配置され、前面板11A側に設けられた第一の軸受13A及び後面板11B側に設けられた第二の軸受13Bと、第一の軸受13A及び第二の軸受13Bに軸支された回転軸14と、回転軸14の一端側(図1における右端側)を後面板11B側において回転軸14の抜脱を防止するストッパ15と、回転軸14の回転状態を検出する回転検出センサ16と、回転軸14を回転させる駆動源となるモータ17と、前面板11Aの外側(図1における左側)であって回転軸14から外れた位置に外周の中心が位置するようにして取り付けられたリング状の回転トレイ固定板18と、回転トレイ固定板18の前方(図1における左側)であって回転トレイ固定板18と同軸に取り付けられたリング状のローラ取付板19と、ローラ取付板19のさらに前方(図1における左側)に位置するようにして配設され、内側が十字形とされると共に外周部がリング状に形成された回転ステイ20と、回転ステイ20のリング状の周辺部に90°間隔にボルト22及びナット23を介して取り付けられ、肉や魚等の焼き物用の食材を載置する4つのトレイ21,21と、ローラ取付板19と回転ステイ20との間に配置され、一端にローラ取付板19の周縁を転動するローラ24が取り付けられると共に他端がトレイ21,21を回転ステイ20に取り付けるためのボルト22及びナット23によって固定された4つの長方形状の板状部材である連結部材25と、回転するトレイ21,21の最上部の位置よりもさらに上方に配置された上側熱源26と、回転するトレイ21,21の最下部の位置よりもさらに下方に配置された下側熱源27と、回転検出センサ16の出力に基づいてモータ17の回転を制御する制御部28と、を備えて構成されている。尚、図1及び図2に示す構成の全体は、食材の入出口(図1の左側)を除き図示しない筐体内に収納されている。
【0015】
回転検出センサ16は、回転軸14の回転状態を検出するセンサであり、例えば、ロータリーエンコーダ用いて構成することができる。モータ17は、電動式の駆動源であり、減速機構を備えて前面板11Aと後面板11Bの所定の位置に架け渡されるようにして水平に配置された設置板29の上に配置されている。モータ17の出力軸(図示せず)には傘歯車30Aが外嵌され、回転軸14には傘歯車30Aに歯合する傘歯車30Bが外嵌されており、モータ17を駆動することによって回転軸14を回転させるようになっている、尚、回転軸14を回転させるための動力伝達手段は本実施形態における傘歯車30A,30Bに限定されるものではなく、これに代えて他の動力伝達手段、例えばベルトとプーリなどを用いた構成とすることもできる。
【0016】
トレイ21は、例えば図3に示すように、断面コの字状に折り曲げることにより正面形状が略三角形状の2枚の板材が平行に立設された状態に形成された支持部材21aと、平面形状が略方形状に形成され、一辺側が支持部材21aに固定されると共に上面側が食材を載置するため載置面とされた網部材21bを備えて構成されている。略三角形状の2枚の板材の頂点付近には貫通孔21c、21cが穿設され、この貫通孔21c、21cに挿通したボルト22をナット23によって締着することによりトレイ21が後述する回転ステイ20に取り付けられている。トレイ21は、回転ステイ20の回転に伴って回転するが、網部材21bの上面、すなわち食材の載置面は常に上方を向くようにして水平に維持された状態で回転するようになっている。この具体的な機構については後述する。また、トレイ21は、食材を載置する部分が網部材21bによって構成されているので下側熱源27からの熱が遮られることなくトレイ21上の食材に照射されるようになり、かつ、上側熱源26及び下側熱源27の加熱によって食材から滲み出た油が落下し易くなる。さらに、例えば、網部材21bを入れ子式に形成することによって前後に伸縮できる構造にすれば大きさの異なる食材に対応することもできる。本実施形態ではトレイ21は回転ステイ20のリング状の周辺部に取り付け角度が90°ごとに4つ取り付けられているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つあればよいが、4〜8つ程度設けるのが好ましい。トレイ21の数が少ないと食材に対するガス代、電気代又は燃料費等のコストアップになり、トレイ21の数が多すぎると上側熱源26や下側熱源27からの熱が他のトレイ21に遮られる等により食材への効果的な加熱が妨げられるおそれがあるからである。
【0017】
前面板11Aには金属製材料によって形成されたリング状の回転トレイ固定板18が取り付けられている。回転トレイ固定板18はその中心が回転軸14とは離れた位置に位置するように前面板11Aに取り付けられている。そして、ローラ取付板19に取り付けられたローラ24が回転トレイ固定板18の周縁部を沿うようにして転動するようになっている。尚、回転トレイ固定板18は回転しない。
【0018】
回転トレイ固定板18の前方(図1における左側)であって回転ステイ20の内側(図1における回転ステイ20の右側)には金属製材料によって形成されたリング状のローラ取付板19が回転トレイ固定板18と同軸に取り付けられている。ローラ取付板19は、回転トレイ固定板18よりも大きな直径を有しており、ローラ取付板19の周縁部の裏側(図1におけるローラ取付板19右面側)に取り付けられたローラ42が回転トレイ固定板18の周縁を転動するようになっている。本実施形態では、図4に示すように、ローラ取付板19の外側周縁部の直径は回転トレイ固定板18の外側周縁部の直径よりも大きく形成されている。これは、ローラ取付板19に取り付けたローラ24が回転トレイ固定板18の外周縁部を転動するようにするためである。一方、ローラ取付板19の内側周縁部の直径と回転トレイ固定板18の内側周縁部の直径は同じサイズとしているがこれに限定されるものではない。尚、ローラ取付板19は、回転ステイ20の回転に伴い連結部材25を介して回転するようになっている。
【0019】
ローラ取付板19のさらに前方には、回転ステイ20が配置されている。回転ステイ20は、内側が十字形とされると共に、外周部がリング状に形成されており、回転ステイ20の回転中心が前面板11Aから突き出た回転軸14の端部に取り付けられている。これにより、モータ17の駆動によって動力伝達手段を介して回転ステイ20が回転するようになっている。
【0020】
リング状に形成された回転ステイ20の外周部には、上述したように、ボルト22及びナット23によって4つのトレイ21,21が取り付けられているが、このボルト22のトレイ21を取り付けている側とは反対側(図1における回転ステイ20の右側)は連結部材25と固定されている。すなわち、トレイ21を回転ステイに取り付けるためのボルト22に連結部材25が連結されている。また、ボルト25が取り付けられた位置から所定の間を隔てた位置において連結部材25とローラ取付板19とがボルト25aによって固定されている。一方、連結部材25に面している側とは反対側のローラ取付板19の面側(図1におけるローラ取付板19の右側面)にはボルト25aによってローラ24が取り付けられている。そして、連結部材25は、回転トレイ固定板18の外周縁に沿って転動するローラ24に案内されながら取り付けられた姿勢を維持した状態で一周するように回転する。これにより、回転ステイ20が回転してもトレイ21、21は常に水平状態に維持されることになる。尚、トレイ21が回転して次に停止するまでの回転角度は回転ステイ20に取り付けられたトレイ21の取り付け角度と同じ角度であり、本実施形態の場合には、90°であるが、トレイ21を8つ取り付けた場合には45°となり、トレイ21の回転角度は回転ステイ20に取り付けられたトレイ21の数に応じて適宜変更することができる。
【0021】
制御部28は、図示しないCPU及びメモリを備えて構成され、このメモリには回転軸14の回転状態を検出する回転検出センサ16の検出信号に基づいてモータ17を所定の停止時間を持たせながらトレイ21を所定の角度ごとに回転させて所定の時間停止させる図6に示すようなフローを実行するプログラムが格納されている。また、制御部28には、図示しない操作パネルが付属しており、この操作パネルには電源スイッチ、回転軸14の回転速度及び停止時間を変更するための調整ツマミ、上側熱源26及び下側熱源27を点火・消火させるためのボタン等が設けられている。これにより、回転制御部28においてトレイ21が回転して次に停止するまでの回転時間及びトレイ21の回転を停止した状態で保持する停止時間を適宜調整することができる。一方、上側熱源26及び下側熱源27は、例えば、炭火の他、ガス、電気ヒータ等を用いることができるが遠赤外線を効果的に発生できる構造であることが望ましい。
【0022】
[回転式グリル調理器の動作]
次に、上述した回転式グリル調理器1の動作について図6を参照して説明する。図6は回転式グリル調理器1の動作を示すフローチャートである。食材は特に限定されるものではないが、ここでは肉を調理する場合について説明する。初めに、作業者は、回転式グリル調理器1の電源をオンにする(S101)。そして、自動又は手動により上側熱源26及び下側熱源27を着火する(S102)。次に作業者は、食材(牛、豚等の生肉)をトレイ21に載置可能な大きさにカットされた肉片をトレイ21のそれぞれの上面に載置する。4つのトレイ21のそれぞれに肉を載置した後、図示しない開始ボタンをオンにする(S103)。開始ボタンがオンにされたことによって制御部28はモータ17への通電を実行する(S104)。
【0023】
モータ17に通電が行われることにより、その出力軸及び傘歯車30Aが回転し、傘歯車30Aの回転が傘歯車30Bに伝達されることによって回転軸14が回転し、回転ステイ20が回転をはじめる。これにより、トレイ21も回転を開始する。回転ステイ20の回転は、例えば、2〜5分をかけてトレイ21が90°回転するような速度に設定されている。回転軸14及びトレイ21が90°回転したことを回転検出センサ16が検知すると(S105:Yes)、制御部28はモータ17の回転を一定時間(例えば、2〜5分間)停止させる(S106)。そして、制御部28は一定時間が経過すると(S107:Yes)、電源がオフにされたか否かを判定する(S108)。電源がオフでない場合(S108:No)、処理はステップS104に戻され、ステップS108に至る処理が繰り返し実行される。これによりトレイ21は90°ごとに回転と停止が繰り返される。4つのトレイ21が回転する過程で上側熱源26及び下側熱源27によって上下両面及び斜め方向から遠赤外線が照射されるが、4つのトレイ21のうち左右に位置したトレイ21上の食材は上側熱源26と下側熱源27から離れた遠火で焼かれ、食材の内部までじっくりと焼かれることになる。これによって焼肉の風味や食感を味わうことができる。
【0024】
作業者は回転式グリル調理器1の正面から食材の焼き具合を時々チェックし、適度な焼き具合になった時点で焼肉をトレイ21から取り出し、皿等に盛り付ける。この焼肉の取り出しによって空いたトレイには作業者によって新たな食材が載置される。この作業はトレイ21が時間をかけてゆっくり回転しているため、容易に行うことができる。また、ステップS108で電源オフが判定された場合、制御部28は上側熱源26及び下側熱源27を消火させる(手動による構成の場合には作業者が手動で消火する)とともにモータ17への通電を停止する。
【0025】
次に、トレイ21の回転動作について説明する。モータ17を駆動することによって動力伝達機構を介して回転軸14が回転し、それによって回転ステイ20が回転する。回転ステイ20が回転すると、回転ステイ20と連結部材25によって連結されているローラ取付板19も回転する。ローラ取付板19が回転するとローラ24が回転トレイ固定板18の周縁部を転動するようにして回転するので連結板25はその姿勢を維持したまま回転する。このように、各ローラ24、24のそれぞれが回転トレイ固定板18の周縁部に案内されるようにして転動するように構成したので、各連結部材25、25はどの位置にあってもその姿勢を変えることなく円運動を行うことになり、連結部材25に取り付けられたトレイ21もその姿勢を維持したままで回転することが可能となる。
【0026】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る回転式グリル調理器1によれば、トレイ21をその姿勢を維持した状態で所定の時間をかけて回転させ、トレイ21の回転位置に応じて上側熱源26及び下側熱源27によって上下方向及び斜め方向から遠赤外線がトレイ21に照射されるようにしたので、調理の自動化を達成できるとともにジューシーな焼き上がりが得られる結果、食材の風味や食感を味わえるようになるという効果がある。
【0027】
また、回転ステイ20が回転することによって連結部材25を介して回転ステイ20と連結したローラ取付板19を回転させ、連結部材25に取り付けられたローラ24を回転トレイ固定板18の周縁部に沿って転動させることにより、トレイ21の上面が常に上方を向くように回転させることかできるという効果がある。ここで、単にトレイ21の貫通孔21cをボルト22の径よりも大きく形成し、トレイ21がボルト22に対して自由に揺動するように形成することによってもトレイ21に載置された食材の重量によっていわゆる観覧車のようにトレイ21の上面が常に上方を向くようにすることができる。しかしながら、焼き物の油や煙などが貫通孔21cに蓄積してこびりついた場合にはトレイ21の揺動を阻害するおそれがある。トレイ21の揺動が阻害されると回転位置によってはトレイ21の上面が上方を向かない場合があり、焼きムラなどを生じて焼き上がりが不十分になるばかりでなく、食材が落下するおそれもある。この点、本願発明では、トレイ21の上面が常に上方を向くように構成しているので焼きムラなど焼き上がりが不十分になることがなく、また食材が落下することもない。
【0028】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。例えば、本実施形態では熱源(上側熱源26及び下側熱源27)はトレイ21に対して上下に配置するものとしたが、左右に配置する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 回転式グリル調理器
10 台座
11A 前面板
11B 後面板
12 連結棒
13A 第一の軸受
13B 第二の軸受
14 回転軸
15 ストッパ
16 回転検出センサ
17 モータ
18 回転トレイ固定板
19 ローラ取付板
20 回転ステイ
21 トレイ
21a 支持部材
21b 網部材
21c 貫通孔
22 ボルト
23 ナット
24 ローラ
25 連結部材
26 上側熱源
27 下側熱源
28 制御部
29 設置板
30A 傘歯車
30B 傘歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力によって回転する回転軸の一端に回転可能に取り付けられ、回転中心を中心とする同心円上の周辺部に調理すべき食材を載置するための一又は複数のトレイが取り付けられた回転ステイと、
前記回転ステイの回転中心とは異なる位置に回転中心が位置するようにして配置されると共に、連結部材によって前記回転ステイと連結されて前記回転ステイの回転に伴って回転するリング状のローラ取付板と、
前記ローラ取付板と同軸に配置され、前記ローラ取付板の外周縁が当該ローラ取付板よりも小さな直径に形成された回転トレイ固定板と、
前記ローラ取付板に取り付けられ、前記ローラ取付板の回転によって前記回転トレイ固定板の周縁部に沿って転動するローラと、
前記一又は複数のトレイに向けて少なくとも相対する二方向から加熱を行う複数の熱源と、
を備え、
前記回転ステイは、当該回転ステイに前記トレイを取り付けるための取付部材を介して前記連結部材と連結され、
前記ローラは、前記連結板と前記ローラ取付板とを連結するための連結部材によって前記ローラ取付板に取り付けられ、
前記回転ステイが回転することによって前記連結部材を介してローラ取付板を回転させ、当該ローラ取付板の回転によって前記ローラを前記回転トレイ固定板の外周縁に沿って転動させることにより前記連結部材の姿勢を維持して前記トレイの上面が常に上方を向くようにしたことを特徴とする回転式グリル調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の回転式グリル調理器において、
前記回転軸の回転状態を検出する回転検出センサと、
前記回転検出センサによって検知された回転状態に基づいて前記駆動源の動作を制御する制御部と、
を備え、
予め設定した所定の回転角度ごとに前記トレイを一旦停止させて所定時間保持した後再び回転させることを繰り返すようにしたことを特徴とする回転式グリル調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の回転式グリル調理器において、
前記トレイが回転して次に停止するまでの回転角度は前記回転ステイに取り付けられた前記トレイの取り付け角度と同じ角度であり、
前記トレイが回転して次に停止するまでの回転時間及び前記トレイの回転を停止した状態で保持する停止時間を調整可能としたことを特徴とする回転式グリル調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239645(P2012−239645A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112597(P2011−112597)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名:第11回厨房設備機器展 主催者:社団法人日本能率協会、社団法人日本厨房協会 開催日:平成23年2月22日〜25日(4日間)
【出願人】(511122514)倖生工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】