説明

回転式乾燥機

【課題】簡単な構造により回転円筒体内に投入された被乾燥物を回転させながら温風ダクトから供給された温風で乾燥することにより、効率よく連続的に乾燥させることができる回転式乾燥機を提供するものである。
【解決手段】金属で形成され、両端を開口した円筒体2を横置きに傾斜して基台1に取付け、円筒体2の上方側の端部を投入口6とし、下方側の端部を排出口7とし、円筒体2の上方側と下方側の下部を、基台1に取付けた駆動ローラ10と従動ローラ11で支持し、上方側のローラを従動ローラ11とし、下方側の少なくとも1個のローラを駆動ローラ10とし、投入口6に被乾燥物の搬入コンベア15を設け、排出口7の下方に被乾燥物の搬出コンベア17を設けると共に、排出口7に温風ダクト19の先端を挿着して、投入口6から円筒体内に投入された被乾燥物を回転させながら温風ダクト19から供給された温風で乾燥するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラで回転自在に支持された円筒体内に投入された被乾燥物を回転させながら温風ダクトから供給された温風で乾燥する回転式乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材を皮剥機で皮剥した時に排出される樹皮(バーク)をボイラーの燃料として使用する場合、樹皮が水に濡れていと燃焼しにくいので乾燥させる必要がある。またボード用のチップも圧縮成形前に乾燥させる必要がある。従来はパンチングメタルで円筒体を形成したトロンメル状の回転円筒体の内部に、樹皮やチップを入れ、外側からパンチングメタルを通して温風を供給して回転させながら乾燥させる装置がある。しかしながら、この乾燥機は回転円筒体を覆う大型の建家を設け、この内部にボイラーからの温水配管を設けた複雑な構造となるので、装置が大型化し設備費も高く、メンテナンスも面倒であるなどの問題があった。
【0003】
また粉体を乾燥させる装置として、回転円筒体の内部に複数の加熱管を配管し、この一端側から粉体などの被乾燥物を供給し、回転させながら加熱管と接触させて加熱・乾燥させ、順次排出側に送る装置もある(特許文献1)。しかしながらこの乾燥装置は回転円筒体の内部に蒸気を通す複数の加熱管を配管し、加熱管も回転円筒体と一体に回転させるので構造が複雑で、しかも樹皮やチップなどを投入すると加熱管の間に挟まって目詰まりし、移動しなくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−287370(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を改善し、極めて簡単な構造により回転円筒体の投入口から円筒体内に投入された被乾燥物を回転させながら温風ダクトから供給された温風で乾燥することにより、目詰まりすることなく効率よく連続的に樹皮やチップなどを乾燥させることができる回転式乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の回転式乾燥機は、金属で形成され、両端を開口した円筒体を横置きに傾斜して基台に取付け、前記円筒体の上方側の端部を投入口とし、下方側の端部を排出口とし、傾斜した円筒体の上方側と下方側の下部を、基台に取付けた左右のローラで回転自在に支持し、上方側のローラを従動ローラとし、下方側の少なくとも1個のローラをモータに接続した駆動ローラとし、円筒体上方側の投入口に被乾燥物の搬入コンベアを設け、円筒体下方側の排出口の下方に被乾燥物の搬出コンベアを設けると共に、排出口に温風ダクトの先端を挿着して構成され、前記投入口から円筒体内に投入された被乾燥物を回転させながら温風ダクトから供給された温風で乾燥することを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項2記載の回転式乾燥機は、請求項1において、円筒体の内壁に邪魔板を突設したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項3記載の回転式乾燥機は、請求項2において、円筒体の内壁に突設した邪魔板がスパイラル状またはリング状に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項4記載の回転式乾燥機は、請求項1において、温風ダクトの基端側に、バーナーと送風機とからなる温風発生装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項5記載の回転式乾燥機は、請求項1において、被乾燥物が木質系の粉粒体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る請求項1記載の回転式乾燥機によれば、傾斜して配置した円筒体が回転すると、内部に投入された水分の多い被乾燥物も回転しながら下降し、温風ダクトから供給された温風により加熱して効率よく連続的に乾燥させることができると共に、構造も簡単で安価に製造することができる。
【0012】
また請求項2記載の回転式乾燥機によれば、円筒体の内壁に邪魔板を突設したので、被乾燥物が一時的に滞留し、また内周面に沿って持ち上げられて落下しながら下降するので、温風との接触時間が長くなると共に接触面積が広くなり効率よく乾燥させることができる。
【0013】
また請求項3記載の回転式乾燥機によれば、円筒体の内壁に突設した邪魔板がスパイラル状またはリング状に形成されているので、被乾燥物が一時的に滞留し、温風との接触時間が長くなると共に、供給された温風は邪魔板により下方に流路が変えられて、円筒体内全体に温風が広がって効率よく加熱乾燥させることができる。
【0014】
また請求項4記載の回転式乾燥機によれば、温風ダクトの基端側に、バーナーと送風機とからなる温風発生装置が設けられているので、効率良く温風を発生させることができる。
【0015】
また請求項5記載の回転式乾燥機によれば、被乾燥物として水分を含むチップや樹皮、木くずなどの木質系の粉粒体の乾燥に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、木材チップの乾燥に使用する本発明の実施の一形態を図1〜図4を参照して詳細に説明する。回転式乾燥機は、上部が傾斜した基台1の上に、円筒体2が横置きに傾斜して回転自在に支持されている。この円筒体2は金属板を円筒状に巻き付けて形成されている。円筒体2の下方側の外周にはリング状のツバ部4が突設されている。円筒体2の上方側の端部には、図2に示すように丸孔が開孔されたリング状の金属板3が取付けられ、この丸孔を被加熱材となるチップ5の投入口6とし、下方側の端部を排出口7としている。
【0017】
また基台1には図3および図4に示すように、下方側の左右に駆動ローラ10、10が左右対称に取付けられ、また上方側の基台1の上部には2個の従動ローラ11、11が左右対称に取付けられている。駆動ローラ10は例えばノンスリップタイヤや、外周に滑り止めのゴムを巻き付けて形成され、ギアードモータ12に接続して回転するようになっている。また円筒体2の内周には図2に示すようにスパイラル状の邪魔板13が取付けられている。
【0018】
また円筒体2の下方側の外周に突設されたリング状のツバ部4の前後には、これを両側から挟むようにベアリングで形成された押えローラ14、14が取付けられ、円筒体2の移動を阻止している。
【0019】
また図2に示すように円筒体2の投入口6には、乾燥するチップ5が搬入される搬入コンベア15の先端が挿入されている。また排出口7の下方に、乾燥したチップ5を搬出する搬出コンベア17が設けられている。
【0020】
また18は温風発生装置で、バーナー20と送風機21とを組合せて構成され、ここで発生した温風を、温風ダクト19に通して、排出口7に挿入した先端から円筒体2内に供給するようになっている。この円筒体2に供給する温風の温度が例えば90℃程度に設定されている。
【0021】
上記構成の回転式乾燥機は、乾燥するチップ5を搬入コンベア15により円筒体2の投入口6から連続的に投入する。円筒体2の上方側は2個の従動ローラ11、11の上に支持されて、下方側はギアードモータ12に接続した2個の駆動ローラ10、10の上に支持され、駆動ローラ10の回転により円筒体2が逆方向に回転する。
【0022】
このように傾斜して配置した円筒体2が回転すると、内部に投入された水分の多いチップ5も回転しながら下降し、スパイラル状の邪魔板13で下降が一時的に妨げられて滞留しながら、邪魔板13を超えて下降すると共に、図3に示すように回転する円筒体2の内周面に沿って高く持ち上げられて落下する。
【0023】
一方、温風発生装置18では外部の空気を送風機21で吸い込んでバーナー20でガスや重油を燃焼させ、加熱された温風は温風ダクト19により、排出口7から円筒体2内に供給される。この温風は例えば90℃程度に加熱されたもので、これが円筒体2内を下降するチップ5を加熱して乾燥させる。この場合、チップ5はスパイラル状の邪魔板13により一時的に滞留し、また内周面に沿って持ち上げられて落下しながら下降するので、温風との接触時間が長くなると共に接触面積が広くなり効率よく乾燥させることができる。
【0024】
また供給された温風は円筒体2内の上部側を通過しようとするが邪魔板13が突設されているので、ここで下方に流路が変えられて、円筒体2内全体に温風が広がってチップ5を効率よく加熱乾燥させることができる。またチップ5から蒸発した水分は蒸気となって温風と共に、リング状の金属板3に開口した投入口6から大気中に放出される。
【0025】
また円筒体2は図2に示すように、リング状のツバ部4の前後両側から押えローラ14で挟持されているので、横置きに傾斜して配置した円筒体2は移動することなく円滑に回転することができる。更に駆動ローラ10はノーパンクタイヤで形成されているので、スリップすることなく円筒体2を円滑の回転させることができる。
【0026】
図5は本発明の他の実施の形態を示すもので、円筒体2の下方側を支持する駆動ローラ10と従動ローラ11を対向して配置し、駆動ローラ10の上部が矢印方向に回転する時、その回転により円筒体2を上方に移動させるように、円筒体2の中心軸Cと直交する方向に対して傾斜して取付けると共に、従動ローラ11を駆動ローラ10に平行して取付けたものである。このように円筒体2を支持して回転する駆動ローラ10を傾斜させることにより、円筒体2を上方に移動させる力が作用し、リング状のツバ部4に下方側から接触する押えローラ14に加わる荷重が低減され、押えローラ14のベアリングの損傷を防止することができる。この駆動ローラ10と従動ローラ11の傾斜角度は例えば数度の範囲で、円筒体2の外径や、処理量、回転速度などを考慮して設定する。
【0027】
図6は温風発生装置18の他の実施の形態を示すもので、送風機21に熱交換器23を取付けて、ここで発生した温風を温風ダクト19で円筒体2に供給するものである。熱交換器23はケース24内に複数本のパイプ25を貫通させ、その流入側を送風機21に、流出側を温風ダクト19の基端側に接続し、ケース24内にパイプ25を加熱する複数個のバーナー20を取付けたものである。これはバーナー20の燃焼排ガスや煤が、加熱された温風と遮断されているので、被乾燥物に不純物が混入しない。
【0028】
なお上記説明では円筒体2内に取付けた邪魔板13としてスパイラル状のものを用いたが、リング状のものを間隔をおいて取付けた構造、あるいは部分的に取付けた構造でも良い。なお円筒体2の内壁に邪魔板13を設けていない構造でも良い。また上記説明では、駆動ローラ10としてノーパンクタイヤを用いた場合について示したが、金属ローラの外周に、滑り止めの弾性ゴムを巻回したものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
なお上記説明では被乾燥物としてチップ5を乾燥させる場合について説明したが、樹皮や木くずなどの木質系の粉粒体、あるいは湿度を含んだ産業廃棄物などの乾燥にも広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の一形態による回転式乾燥機の側面図である。
【図2】図1の回転式乾燥機を一部破断して示す側面図である。
【図3】図1の回転式乾燥機を一部破断して示す正面図である。
【図4】円筒体を支持する従動ローラと駆動ローラの配置関係を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による従動ローラと駆動ローラの配置関係を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態による熱交換式の温風発生装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 基台
2 円筒体
3 金属板
4 リング状のツバ部
5 チップ
6 投入口
7 排出口
10 駆動ローラ
11 従動ローラ
12 ギアードモータ
13 邪魔板
14 押えローラ
15 搬入コンベア
17 搬出コンベア
18 温風発生装置
19 温風ダクト
20 バーナー
21 送風機
23 熱交換器
24 ケース
25 パイプ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属で形成され、両端を開口した円筒体を横置きに傾斜して基台に取付け、前記円筒体の上方側の端部を投入口とし、下方側の端部を排出口とし、傾斜した円筒体の上方側と下方側の下部を、基台に取付けた左右のローラで回転自在に支持し、上方側のローラを従動ローラとし、下方側の少なくとも1個のローラをモータに接続した駆動ローラとし、円筒体上方側の投入口に被乾燥物の搬入コンベアを設け、円筒体下方側の排出口の下方に被乾燥物の搬出コンベアを設けると共に、排出口に温風ダクトの先端を挿着して構成され、前記投入口から円筒体内に投入された被乾燥物を回転させながら温風ダクトから供給された温風で乾燥することを特徴とする回転式乾燥機。
【請求項2】
円筒体の内壁に邪魔板を突設したことを特徴とする請求項1記載の回転式乾燥機。
【請求項3】
円筒体の内壁に突設した邪魔板がスパイラル状またはリング状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の回転式乾燥機。
【請求項4】
温風ダクトの基端側に、バーナーと送風機とからなる温風発生装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の回転式乾燥機。
【請求項5】
被乾燥物が木質系の粉粒体であることを特徴とする請求項1記載の回転式乾燥機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251699(P2012−251699A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123903(P2011−123903)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(391003196)
【Fターム(参考)】