説明

回転式分級機およびそれを備えた分級装置、粉砕装置ならびに石炭焚ボイラプラント

【課題】分級性能を高く維持できるとともに、バイオマスなどによる詰まりが起き難い回転式分級機を提供する。
【解決手段】回転分級フィン13の上部に、当該回転分級フィン13の周方向に沿って間隔をおいて固定部材27側に向けて突出した櫛歯状の突出部36を有し、その櫛歯状突出部36の上端部と固定部材27の下面の間に第1の隙間42が設けられ、突出部36aとその突出部36aと隣接する突出部36bの間に形成されている第2の隙間43が第1の隙間42と繋がっており、回転分級フィン13の回転により、第1の隙間42ならびに第2の隙間43を通って櫛歯状突出部36の径方向外側から内側に向う気流が形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバイオマス単体あるいは石炭とバイオマスの混合物などの粉砕物を所定の大きさに分級する回転式分級機に係り、特に粉砕物のすり抜けや、粉砕物による詰まりが防止でき、分級性能を向上させて、安定した運転が可能な回転式分級機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオマスは、燃料中にN分が少なく揮発分が多いことから、石炭などの化石燃料との混焼あるいは併焼することによって低NOx、低未燃分燃焼が可能であり、近年、化石燃料燃焼ボイラでのCO2排出削減策の1つとして木質バイオマスを副燃料として用いる燃焼技術が着目されている。
【0003】
従来の木質バイオマス混焼技術の実例は特に欧州や北米に多く、木質バイオマスを既設の石炭粉砕機に混合投入して粉砕した後、微粉炭と一緒にバーナからボイラ火炉内に投入する方法がある。また日本国内では、石炭と同じ粉砕燃焼系統を使用して、石炭を搬送するコンベアの上に木質バイオマスを供給して、石炭と一緒に混合・粉砕する方式が、最も低コストであることから一般的となっている。
【0004】
そのときの木質バイオマスとしては、予め微粉砕してペレット化したもの、あるいは50mmアンダほどに粉砕してチップ化したものが用いられる。その他の混焼の例としては、木質バイオマスを単独で粉砕して微粉炭搬送ラインに供給・混合して火炉内で混焼する技術もある。
【0005】
近年、木質系チップに替わって、水分が少なくエネルギー密度が高いペレットや、ブリケットが発電用燃料としての適用性が検討されている。この理由は、燃料製造費用は、生木を破砕したものより、原料製造コストはかかるが、輸送費が低く抑えられることに加えて、貯蔵性に優れているからである。
【0006】
図22は、従来のローラ式竪型粉砕装置の概略構成図である。このローラ式竪型粉砕装置は、主に駆動部と、加圧部と、粉砕部ならびに分級部から構成されている。
【0007】
前記駆動部は、ローラ式粉砕装置の外側に設置された粉砕部駆動モータ1から減速機2に回転力を伝達し、その減速機2の回転力を減速機2の上部に設置された回転テーブル3に伝達する仕組みになっている。
【0008】
前記加圧部は、ローラ式粉砕装置の外側に設置された油圧シリンダー4により、ロッド5を介してローラ式粉砕装置の内部に設置されている加圧フレーム6を下方向へ引っ張ることで、加圧フレーム6の下部に設置されているブラケット7に粉砕荷重を加えることができる。
【0009】
前記粉砕部は、回転テーブル3の上に円周方向に沿って等間隔に複数個配置された粉砕ローラ8を前記加圧アーム6ならびにブラケット7で支持している。回転テーブル3の回転により粉砕ローラ8が回転し、原料供給管9から投入した被粉砕物10を回転テーブル3と粉砕ローラ8の噛み込み部で粉砕する。
【0010】
前記分級部は、固定分級フィン11を有するサイクロン型の固定式分級器12と、回転分級フィン13を有する回転式分級機14を備え、前記固定分級フィン11の下端部には回収コーン15が取り付けられている。図に示すように前記固定式分級器12の内側に回転式分級機14が配置され、2重の分級機構を備えている。前記回転分級フィン13は、前記原料供給管9の外周に配置された中空状の回転軸23を介して分級モータ24によって回転駆動される。
【0011】
前記原料供給管9から投入した例えば石炭などの被粉砕物10は、回転している回転テーブル3の中央部に落下し、回転テーブル3の回転に伴って発生した遠心力によって回転テーブル3上を渦巻き状の軌跡を描いて回転テーブル3の外周側に移動し、回転テーブル3とその上で転動する粉砕ローラ8の間に噛み込まれて粉砕される。
【0012】
粉砕された被粉砕物10はさらに外周へと移動し、回転テーブル3の外周に設けられたスロート16からミルケーシング17内に導入される高温の一次空気などの搬送用気体18と合流し、粉砕物は乾燥されながら上方へと吹き上げられる。
【0013】
スロート16から固定式分級器12の下端までの区間は一次分級部と呼ばれており、吹き上げられた粉砕物19は重力による分級を受けて、粗い粒子は落下し粉砕部に戻される。
【0014】
分級部に到達した細かい粉砕物19は固定式分級器12と回転式分級機14によって所定粒度以下の微粒子20と所定粒度を超えた粗粒子21とに分級される(二次分級)。粗粒子21は前記回収コーン15の内面に沿って落下して再粉砕を受け、一方、微粒子20は送給管22を経て例えば石炭焚ボイラ(図示せず)などの供給先に気流搬送される。
【0015】
図23は、この従来のローラ式粉砕装置に備えられている分級装置の一部拡大概略構成図である。
【0016】
同図に示すように固定分級フィン11の内側に回転分級フィン13が配置され、その回転分級フィン13は下側リングサポート25と上側リングサポート26の間に挟まれるようにして、両リングサポート25,26に固定・支持されている。下側リングサポート25ならびに上側リングサポート26は前記回転軸23(図22参照)の外周側に間隔をおいて連結され、これら回転分級フィン13、下側リングサポート25ならびに上側リングサポート26は回転軸23とともに一体となって回転する。
【0017】
前記回転分級フィン13の平面形状は長方形をしており、その回転分級フィン13の幅方向が回転式分級機14(図22参照)の回転中心方向を向くようにして、前記リングサポート25、26の周方向に沿って等間隔に多数枚設置されている。
【0018】
前記上側リングサポート26とその上の天板27との間には、狭い隙間(狭隘部28)が形成されている。この狭隘部28は、回転式分級機14が回転しても天板27と接触しないために設けられている隙間である。狭隘部28の高さが高いと、すなわち上側リングサポート26と天板27の隙間が大きいと、粗粒子21がすり抜けて分級された微粒子20に混入する虞があるから、狭隘部28を余り高くすることはできず、巨大な外径を有する上側リングサポート26(回転分級フィン13)に対して、上側リングサポート26と天板27との隙間(狭隘部28)は数ミリメートルという厳しい寸法設定となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開公報2009/0294333A1
【特許文献2】特開平8−192066号公報
【特許文献3】特開2003−126782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本来、バイオマスは粗くても燃えるため、回転式分級機による精密な分級は不要であるが、石炭との混合粉砕においては、石炭もボイラ内で燃焼させる必要があるため、バイオマスも石炭並みの粒度にする必要、すなわち、バイオマスも石炭のために精密分級が必要となる。
【0021】
このように精密分級を行なうためには、前述のように天板27と上側リングサポート26との隙間が重要である。なぜなら、この隙間から粗粒子21がすり抜けて、分級した微粉炭20に混入してしまうからである。
【0022】
このすり抜け現象は、上側リングサポート26と天板27の間において、上側リングサポート26の上面付近には上側リングサポート26の回転方向への流れが発生しているが、回転式分級機14の回転中心方向への流れが支配的であり、その回転中心方向への流れに乗って粗粒子21が上側リングサポート26と天板27との隙間からすり抜けることによって起こる現象である。
【0023】
また、石炭よりも比重の軽いバイオマスは、粉砕部から上方へ吹き上げられ易く、かつ繊維状のため、天板27と上側リングサポート26との間の狭隘部28に折り重なって詰まり、その狭隘部28を閉塞して、回転式分級機14の回転が停止するという課題もある。このバイオマスによる詰まりの問題は、石炭に対するバイオマスの混砕比率を高めていく上で解決しなければいけない問題である。
【0024】
従来は、バイオマスが天板27と上側リングサポート26との間の狭隘部28に詰まらないようにするため、狭隘部28を拡げるしかなかった。しかし、狭隘部28を拡げると石炭粗粒子のすり抜けが顕著に増加し、精密分級ができずに、粉砕装置から取り出される粒子群の粒度分布がシャープでなくなり、その結果、ボイラ装置の燃焼性が悪くなり、NOxやUBCなどが増加し、発電効率が低下するという問題がある。
【0025】
また従来、この種の粉砕装置における分級効果を高めるために、図22や図23に示すように、円筒状をした下降流形成部材30を天板27の下面から固定分級フィン11と回転分級フィン13の間に垂下する構造が提案されている。
【0026】
このように固定分級フィン11と回転分級フィン13の間に下降流形成部材30を垂下すると、図23に示すように、スロート16から噴出される搬送用気体18によって下方より吹き上げられた粉砕物(粒子群)19は、慣性力により天板27付近まで上昇し、固定分級フィン11を通過して下降流形成部材30に衝突する。
【0027】
衝突後に自重などにより下降流となるが、粗粒子21以外の粒子群31は下降流形成部材30の下端近傍で、送給管22(図22参照)側の負圧によって回転分級フィン13側に向う流れに変化する。しかし下降流中の粗粒子21は、重力と下向きの慣性力が大きいため、回転分級フィン13側に向う流れから分離されて、回収コーン15に沿って落下する(図22参照)。
【0028】
その結果、回転分級フィン13には粗粒子21をほとんど含まない粒子群31が到達することになるため、分級効果を高めることができる。
【0029】
ところがこの構成の粉砕装置で石炭とバイオマスを混合して粉砕(混砕)する場合には、バイオマスの方が石炭よりも軽いから、図23に示すように、天板27付近の回転分級フィン13の上端部と下降流形成部材30の間に形成されている空間部32に、バイオマスの粉砕物を多く含んだ渦流33が形成され易くなる。
【0030】
この空間部32でバイオマスの粉砕物を多く含んだ渦流33が形成されると、必然的に狭隘部28でのバイオマスの詰まりが発生し易くなり、回転式分級機14の回転が停止するという新たな問題が生じる。
【0031】
図24は従来、特開2003−126782号公報(上記特許文献3)で提案された分級機の概略構成図、図25はその分級機の一部を切断した要部拡大斜視図である。
回転テーブルと複数個の粉砕ローラを備えた粉砕部(図示せず)の上方に、図24に示す分級機が設置されている。
【0032】
この分級機の内側に形成された分級室101の中央部を貫通するように原料供給管102が垂直方向に設置され、原料供給管102の下端部は前記回転テーブルの近くまで延びている。分級室101の上部には、ダクト103を介して誘引送風機104が接続されている。
【0033】
分級室101の中段に設置された天板105の外周部下面には、円筒形をした固定分級フィン106が取り付けられ、さらに固定分級フィン106の下端部には回収コーン107が取り付けられている。
【0034】
前記天板105の中央開口部下方から原料供給管102の周囲にかけて、かご形の回転式分級機108が設置されている。
この回転式分級機108は図25に示すように、円環状の下側リングサポート109と、上側リングサポート110と、平板状をして前記リングサポート109,110の周方向に沿って等間隔に配置された回転分級フィン111と、その回転分級フィン111の上部に配置された平板状の粗粉飛び込み防止羽根112と、前記原料供給管102に遊嵌された内筒113と、前記上側リングサポート110と内筒113を連結する連結バー114などを有している。この回転式分級機108は、図示しない分級モータによって回転駆動される。
【0035】
前記回転分級フィン111の下端部ならびに上端部は下側リングサポート109ならびに上側リングサポート110により支持・固定され、前記粗粉飛び込み防止羽根112の下端部は上側リングサポート110により支持・固定されている。
【0036】
前記各回転分級フィン111の幅方向は、回転式分級機108の回転中心の方向を向いている。一方、前記粗粉飛び込み防止羽根112の幅方向は、後述する吹き出し空気流115を形成するために、前記回転分級フィン111に対して若干傾斜するように設置されている。
【0037】
図25に示すように、粗粉飛び込み防止羽根112の上端は、天板105との間に所定の隙間が形成されるように粗粉飛び込み防止羽根112の高さが設定されている。また、天板105の内周端部には、円筒状をした内側遮断壁116が下向きに設置されて、粗粉飛び込み防止羽根112の内周側との間に所定の隙間が形成されている。
【0038】
さらに、粗粉飛び込み防止羽根112の外周側には、円筒状をした外側遮断壁117が天板105から下向きに設置されて、粗粉飛び込み防止羽根112の外周側との間に所定の隙間が形成されている。外側遮断壁117の下端部は、粗粉飛び込み防止羽根112を越えて回転分級フィン111の上端部まで延びている。
【0039】
従って粗粉飛び込み防止羽根112は、天板105の内周端部と内側遮断壁116と外側遮断壁117によって取り囲まれている。そして前記粗粉飛び込み防止羽根112と天板105の隙間、粗粉飛び込み防止羽根112と内側遮断壁116の隙間、粗粉飛び込み防止羽根112と外側遮断壁117の隙間は、それぞれ20〜30mm程度とされている。
また、内側遮断壁116には、周方向に沿って複数の縦スリット117が形成されている。
【0040】
前記誘引送風機104により分級室101内の空気が排除されることにより、粉砕部(図示せず)のウインドボックスから外気がミルケーシング119内に流入し、粉砕部で粉砕された粒子群を同伴して固定分級フィン106より分級室101内に流入する。このとき、分級室101内に流入しようとする比較的大きな粗粒子は、固定分級フィン106のサイクロン効果によって分離され、再び粉砕部に戻される。
【0041】
分級室101内に導入された粒子群はさらに回転分級フィン108の遠心力によって分級され、比較的粒径の大きい粒子は回収コーン107上に落下して再び粉砕部に戻され、回転分級フィン108を通過した微粒子が分級機から取り出される。
【0042】
前述のように粗粉飛び込み防止羽根112は、20〜30mm程度の隙間を介して、天板105の内周端部と内側遮断壁116と外側遮断壁117によって下向き凹状に取り囲まれており、しかも各粗粉飛び込み防止羽根112は回転式分級機108の回転方向に対して若干傾斜して配置されている。
【0043】
そのため粗粉飛び込み防止羽根112が回転分級フィン108と一緒に回転することにより、回転式分級機108の内側から外側へ半径方向外向きの力が発生し、図25に示すように、内側遮断壁116の縦スリット118を通して空気が凹状の隙間(粗粉飛び込み防止羽根112と内側遮断壁116の隙間→粗粉飛び込み防止羽根112と天板105の隙間→粗粉飛び込み防止羽根112と外側遮断壁117の隙間)を通り、外側遮断壁117の下端部から吹き出す吹き出し空気流115を形成して、天板105と回転式分級機108の間からの粗粉飛び込みを防止する構造になっている。
【0044】
前述のようにこの粉砕装置の稼動中、誘引送風機104で分級室101内の空気を排除することにより、外気をウインドボックスからミルケーシング119内に導入して、それによって発生する気流により粉砕部で粉砕された粒子群を上方の分級機まで搬送する機構になっており、分級室101中の空気は常に誘引送風機104の強力な吸引力により排除され続けている。
【0045】
このような条件下において、粗粉飛び込み防止羽根112の回転だけで、誘引送風機104の吸引力によって発生する強力な空気流に逆らう吹き出し空気流115を形成することは実質的に不可能であり、そのため粗粒子の侵入防止効果は期待できない。
【0046】
また仮に吹き出し空気流115の形成が可能であったとしても、この粉砕装置で石炭とバイオマスの混合物を粉砕する場合、バイオマスは繊維状であるため、内側遮断壁116の縦スリット118から屈曲部の多い凹状の隙間(粗粉飛び込み防止羽根112と内側遮断壁116の隙間、粗粉飛び込み防止羽根112と天板105の隙間、粗粉飛び込み防止羽根112と外側遮断壁117の隙間)を通る間にバイオマスが隙間に詰まり、回転式分級機108の回転が停止するという欠点がある。
【0047】
また従来、特開平8−192066号公報(上記特許文献2)では、粗粒が微粒出口へショートパスするのを防止するために、下記のような構成の回転式分級機が提案されている。
【0048】
この回転式分級機は、分級機の回転ブレードと固定ブレードガイドとの間の隙間にシールエアを供給するため、天板にシールエア供給孔とそのシールエア供給孔に連通した環状のシールエア流出用溝を設け、圧力空気を供給するためのエア源と前記シールエア供給孔をフレキシブルチューブで接続した構造になっている。
【0049】
そして前記エア源からのシールエア(圧力空気)を、フレキシブルチューブならびにシールエア供給孔を通して、シールエア流出用溝から前述の回転ブレードとブレードガイドとの間の隙間に噴出させて、粗粒がその隙間を通って微粒出口へショートパスするのを押し戻す機構になっている。
【0050】
ところがこの回転式分級機では、圧力空気を供給するためのエア源、フレキシブルチューブならびにシールエアの供給制御のための調整弁などを回転式分級機の外側に付設することから、余分なスペースが必要で、大型化し、コスト高を招くなどの欠点がある。
【0051】
本発明の目的は、このような背景においてなされたもので、分級性能を高く維持できるとともに、バイオマスなどによる詰まりが起き難い回転式分級機およびそれを備えた分級装置、粉砕装置ならびに石炭焚ボイラプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0052】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、
分級機モータと、
垂直方向に配置されて、前記分級機モータにより回転駆動する回転軸と、
水平方向に配置されて、前記回転軸が貫通した例えば天板などの固定部材と、
その固定部材の下方で、かつ、前記回転軸の径方向外側に間隔をおいて配置された平面形状が環状の例えばリングサポートなどからなる支持部材と、
その支持部材の周方向に間隔をおいて当該支持部材に固定された多数枚の回転分級フィンと、
その回転分級フィンを前記回転軸に連結する例えば連結バーなどからなる連結部材とを有し、
前記分級機モータにより前記回転分級フィンを回転して、気流搬送されて来た粒子群を前記回転分級フィンの遠心力により分級する回転式分級機を対象とするものである。
【0053】
そして前記回転分級フィンの上部に、当該回転分級フィンの周方向に沿って間隔をおいて前記固定部材側に向けて突出した櫛歯状の突出部を有し、
その櫛歯状突出部の上端部と前記固定部材の下面の間に第1の隙間が設けられ、
前記突出部とその突出部と隣接する突出部の間に形成されている第2の隙間が前記第1の隙間と繋がっており、
前記回転分級フィンの回転により、前記第1の隙間ならびに第2の隙間を通って前記櫛歯状突出部の隙間を流れる気流に、前記回転分級フィンの回転方向と同じ向きの旋回方向速度成分を付加することを特徴とするものである。
【0054】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記環状支持部材は、前記回転分級フィンの下側部分を相互に連結・固定する下側環状支持部材と、その下側環状支持部材の上側に配置されて前記回転分級フィンを相互に連結・固定する上側環状支持部材を有し、
前記櫛歯状突出部は、前記上側環状支持部材と、その上側環状支持部材から前記固定部材側に向けて立設した多数枚の上部フィンから構成されていることを特徴とするものである。
【0055】
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、
前記環状支持部材は、前記回転分級フィンの下側部分を相互に連結・固定する下側環状支持部材と、その下側環状支持部材の上側に配置されて前記回転分級フィンを相互に連結・固定する上側環状支持部材を有し、
前記櫛歯状突出部は、前記上側環状支持部材の上側部分に多数の溝部を形成することにより構成されていることを特徴とするものである。
【0056】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、
前記上側環状支持部材上の溝部は、当該上側環状支持部材の上部を切り込んで形成されていることを特徴とするものである。
【0057】
本発明の第5の手段は前記第3の手段において、
前記上側環状支持部材上の溝部は、当該上側環状支持部材の一部を切り起こして形成されていることを特徴とするものである。
【0058】
本発明の第6の手段は前記第3の手段において、
当該回転式分級機本体に対して、前記櫛歯状突出部が交換可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0059】
本発明の第7の手段は前記第1の手段において、
前記櫛歯状突出部は、前記回転分級フィンを前記固定部材側に向けて延設することにより構成されていることを特徴とするものである。
【0060】
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、
前記回転分級フィンは、その回転分級フィンの下側部分と対応する位置に配置された下側環状支持部材と、その下側環状支持部材の上側に配置された上側環状支持部材により相互に連結・固定されていることを特徴とするものである。
【0061】
本発明の第9の手段は前記第8の手段において、
前記上側環状支持部材に切り込み溝あるいは貫通穴を形成し、その切り込み溝あるいは貫通穴を通して前記回転分級フィンの上側部分が前記上側環状支持部材により連結・固定されていることを特徴とするものである。
【0062】
本発明の第10の手段は前記第2ないし第6のいずれかの手段において、
前記突出部の設置ピッチが前記回転分級フィンの設置ピッチと等しいことを特徴とするものである。
【0063】
本発明の第11の手段は前記第2ないし第6のいずれかの手段において、
前記回転分級フィンの設置ピッチよりも、前記突出部の設置ピッチの方が狭いことを特徴とするものである。
【0064】
本発明の第12の手段は前記第2ないし第6のいずれかの手段において、
前記突出部の設置ピッチが前記回転分級フィンの設置ピッチよりも広いことを特徴とするものである。
【0065】
本発明の第13の手段は前記第2ないし第6、または第10ないし第12のいずれかの手段において、
前記回転分級フィンの径方向内側端と回転式分級機の回転中心を結ぶ仮想線に対して、当該回転分級フィンの径方向外側端が前記仮想線から離れるように、当該回転分級フィンの幅方向の向きが傾斜しており、
前記上部フィン、あるいは前記上側環状支持部材上の溝部と溝部の間に形成される突条の幅方向の向きが前記回転式分級機の回転中心に向いていることを特徴とするものである。
【0066】
本発明の第14の手段は前記第2ないし第6、または第10ないし第12のいずれかの手段において、
前記回転分級フィンの径方向内側端と回転式分級機の回転中心を結ぶ仮想線に対して、当該回転分級フィンの径方向外側端が前記仮想線から離れるように、当該回転分級フィンの幅方向の向きが傾斜しており、
前記上部フィン、あるいは前記上側環状支持部材上の溝部と溝部の間に形成される突条の径方向内側端と回転式分級機の回転中心を結ぶ仮想線に対して、前記上部フィンあるいは前記突条の径方向外側端が前記仮想線から離れるように、前記上部フィンあるいは前記突条の幅方向の向きが傾斜していることを特徴とするものである。
【0067】
本発明の第15の手段は前記第1ないし第14のいずれかの手段において、
前記固定部材の下面で、かつ、前記櫛歯状突出部の径方向外側の位置に、前記櫛歯状突出部を取り囲むように粗粒子通り抜け抑制用環状体が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0068】
本発明の第16の手段は前記第1ないし第15のいずれかの手段において、
前記櫛歯状の突出部の高さをHa、前記第1の隙間の高さをHbとしたとき、前記Haに対する前記Hbの比率(Hb/Ha)が0.2以下に設定されていることを特徴とするものである。
【0069】
本発明の第17の手段は前記第16の手段において、
前記比率(Hb/Ha)が0.1以下に設定されていることを特徴とするものである。
【0070】
本発明の第18の手段は前記第15の手段において、
前記固定部材の下面から前記粗粒子通り抜け抑制用環状体の下面までの長さをHo、前記突出部の下端から前記固定部材の下面までの高さをHcとしたとき、前記Hoに対するHcの比率(Hc/Ho)が1.4以上に設定されていることを特徴とするものである。
【0071】
本発明の第19の手段は前記第18の手段において、
前記比率(Hc/Ho)が2以上に設定されていることを特徴とするものである。
【0072】
本発明の第20の手段は前記第1ないし第19のいずれかの手段において、
前記粒子群がバイオマスまたは石炭とバイオマスの混合物であることを特徴とするものである。
【0073】
本発明の第21の手段は、
周方向に沿って間隔をおいて多数枚配置された固定分級フィンを有する固定式分級器と、
その固定式分級器の内側に配置されて、周方向に沿って間隔をおいて多数枚配置された回転分級フィンを有する回転式分級機と
を備えた分級装置において、
前記回転式分級機が前記第1ないし第20のいずれかの手段の回転式分級機であることを特徴とするものである。
【0074】
本発明の第22の手段は前記第21の手段において、
前記固定分級フィンと回転分級フィンの間に、前記固定部材から筒状の下降流形成部材が垂設されていることを特徴とするものである。
【0075】
本発明の第23の手段は、
回転テーブルと粉砕ローラとの噛み合いにより原料を粉砕する粉砕部と、
その粉砕部の上方に配置されて、前記粉砕部で粉砕された粉砕物を所定の大きさに分級する分級部を備えた竪型粉砕装置において、
前記分級部に前記第21または第22の手段の分級装置を備えたことを特徴とするものである。
【0076】
本発明の第24の手段は、
石炭とバイオマスを混合して粉砕する混砕式の竪型粉砕装置と、
その竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭とバイオマス粉を混焼する混焼バーナを有する石炭焚ボイラ装置を備えた石炭焚ボイラプラントにおいて、
前記混砕式の竪型粉砕装置が前記第23の手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【0077】
本発明の第25の手段は、
石炭を単独で粉砕する第1の竪型粉砕装置と、
バイオマスを単独粉砕する第2の竪型粉砕装置と、
前記第1の竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭を燃焼する微粉炭専用バーナと、前記第2の竪型粉砕装置で粉砕されたバイオマス粉を燃焼するバイオマス専用バーナを有する石炭焚ボイラ装置を備えた石炭焚ボイラプラントにおいて、
前記第2の竪型粉砕装置が前記第23の手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0078】
本発明は前述のような構成になっており、分級性能を高く維持できるとともに、バイオマスなどによる詰まりが起き難い回転式分級機およびそれを備えた分級装置、粉砕装置ならびに石炭焚ボイラプラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図2】その竪型粉砕装置に用いる分級装置の一部拡大概略構成図である。
【図3】その分級装置における回転分級フィンの一部拡大平面図である。
【図4】その分級装置における上部フィンの一部拡大平面図である。
【図5】図4A−A線上の断面図である。
【図6】本実施形態に係る回転式分級機(a)と、従来の回転式分級機(b)における、上側リングサポートと天板の間を回転式分級機の径方向外側から内側の方向に流れる空気の流れ解析を示す流動解析特性図である。
【図7】本実施形態に係る回転式分級機(a)と、比較例の回転式分級機(c)における、上側リングサポートと天板の間を回転式分級機の回転方向(旋回方向)に流れる空気の流れ解析を示す流動解析特性図である。
【図8】本実施形態において、上部フィンの高さと第1の隙間の高さの適正比率を説明するための図である。
【図9】本実施形態において、Hb/Haと、第1の隙間に生じる旋回方向の空気流速との関係を示す特性図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図である。
【図11】本実施形態において、Hc/Hoと、下側リングサポートから天板までの開口部における半径方向のピーク流速との関係を示す特性図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図である。
【図13】その分級装置に用いる上側リングサポートの一部平面図である。
【図14】図13B−B線上の断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図である。
【図16】その分級装置に用いる上側リングサポートの一部平面図である。
【図17】その分級装置に用いる回転分級フィンの一部平面図である。
【図18】図17C−C線上の断面図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に係る石炭焚ボイラプラントの概略構成図である。
【図21】本発明の第7の実施形態に係る石炭焚ボイラプラントの概略構成図である。
【図22】従来の竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図23】その竪型粉砕装置に備えられ分級装置の一部拡大概略構成図である。
【図24】従来提案された分級機の概略構成図である。
【図25】その分級機の一部を切断した要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図、図2はその竪型粉砕装置に用いる分級装置の一部拡大概略構成図、図3はその分級装置における回転分級フィンの一部拡大平面図、図4はその分級装置における上部フィンの一部拡大平面図、図5は図4A−A線上の断面図である。
【0081】
図1に示す本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置において、図22に示す従来の竪型粉砕装置と相違する点は回転式分級機14に係る構成であって、他の構成は前述した従来の竪型粉砕装置とほぼ同様であるので、それらの重複する説明は省略する。
【0082】
なお、図1において符号39は回転分級フィン13を回転軸23に連結するために回転軸23の周りに複数本設置した連結バー、40は回転分級フィン13の下側開口端と回転軸23の下側開口端の間を塞いで回転分級フィン13の内側に分級室41を形成するための閉塞板である。
【0083】
図2に示すように固定分級フィン11の内側に回転分級フィン13が配置され、本実施形態の場合、固定分級フィン11と回転分級フィン13のほぼ中間の位置に天板27から円筒状の下降流形成部材30が垂設されている。
【0084】
前記回転分級フィン13は長方形の平板からなり、図1に示すように回転軸23とほぼ平行に垂直方向に延びており、平面形状が円環状をした下側リングサポート25と上側リングサポート26の間に挟まれるようにして、両リングサポート25,26に溶接などにより固定・支持されている。
【0085】
各回転分級フィン13は図3に示すように、下側リングサポート25(上側リングサポート26)の周方向に沿って等間隔に多数枚設置されており、回転分級フィン13の内側端部13Aと回転式分級機14の回転中心Oを結ぶ仮想線34に対して、回転分級フィン13の外側端部13Bが回転式分級機14の回転方向Xの若干後流側になるように、各回転分級フィン13が傾斜して取り付けられている。この回転分級フィン13の傾斜角度θは各種の分級テストなどの結果によって決まるものであり、本実施形態において傾斜角度θは15〜45度の範囲、好ましくは20〜40度に設定されている。
【0086】
図5に示すように、上側リングサポート26の上部には周方向に沿って等間隔に多数の取り付け溝35が形成され、そこに平板からなる上部フィン36の下部が嵌め込まれ、溶接37により上部フィン36が上側リングサポート26の上面から突出するように固定されている。同図に示すように、上側リングサポート26と、その上側リングサポート26から立設した多数の上部フィン36により、櫛歯状突出部38が構成されている。
【0087】
また各上部フィン36は図4に示すように、回転式分級機14の回転中心Oを中心にして上側リングサポート26上に放射線状に配置されている。
【0088】
本実施形態の場合、図3ならびに図4に示すように、回転分級フィン13のピッチP1と上部フィン36のピッチP2を等しくしたが(P1=P2)、上部フィン36のピッチP2を回転分級フィン13のピッチP1よりも狭くする(P1>P2)ことも、また反対に上部フィン36のピッチP2を回転分級フィン13のピッチP1よりも広くする(P1<P2)ことも可能である。
【0089】
前述のように回転分級フィン13のピッチP1と上部フィン36のピッチP2を等しくすると(P1=P2)、回転分級フィン13と上部フィン36を一体で製作するのに適しており、製作効率の向上が図れる。
【0090】
また、上部フィン36のピッチP2を回転分級フィン13のピッチP1よりも狭くすると(P1>P2)、上部フィン36から空間(隙間)の空気に与える旋回力が強くなり、そのために粒子のすり抜け防止効果が大きい。
【0091】
さらに、上部フィン36のピッチP2を回転分級フィン13のピッチP1よりも広くすると(P1<P2)、上部フィン36や後述する溝部46の取り付けや加工が容易であり、コストの低減が図れるなどの特長を有している。
【0092】
また本実施形態の場合図4に示すように、各上部フィン36を回転式分級機14の回転中心Oを中心にして放射線状に配置したが、各上部フィン36を図3に示す回転分級フィン13と同じように傾斜して設けることも可能である。
【0093】
図2ならびに図5に示すように、回転式分級機14の回転時に前記櫛歯状突出部38が天板27と接触しないように、天板27の下面と上部フィン36の上端部との間には数ミリ程度の第1の隙間42が設けられている。また、上部フィン36aとその隣の上部フィン36bの間に形成されている第2の隙間43が、前記第1の隙間42と繋がっており、第1の隙間42と第2の隙間43が全体的に凹凸状になって繋がっている(図5参照)。
【0094】
本実施形態に係る回転式分級機14では、図1に示す分級モータ24の回転駆動力は回転軸23に伝達され、さらに連結バー39ならびに閉塞板40を介して回転分級フィン13ならびに上部フィン36に伝達されて、上部フィン36は回転分級フィン13と一体に回転する。この上部フィン36(櫛歯状突出部38)の回転により、前記第1の隙間42ならびに第2の隙間43を通って上部フィン36(櫛歯状突出部38)の隙間を流れる気流に、回転分級フィン13の回転方向と同じ向きの旋回方向速度成分が付加される。
【0095】
図6は、本実施形態に係る回転式分級機(a)と、図23に示す従来の回転式分級機(b)における、上側リングサポート26と天板27の間を矢印で示すように回転式分級機14の径方向外側から内側の方向に流れる空気の流れ解析を示す流動解析特性図である。
【0096】
同図の縦軸には、天板27の上面から本実施形態に係る上側リングサポート26の上面までの相対的な距離比を示している。また横軸には、上側リングサポート26と天板27の間を回転式分級機14の半径方向に流れる空気の流速を代表流速で無次元化した値を示している。
図中の菱形印は本実施形態に係る回転式分級機(a)の流動解析特性、黒丸印は従来の回転式分級機(b)の流動解析特性を示している。
【0097】
この図から明らかなように、黒丸印で示す従来の回転式分級機14は、平面状の天板27と平面状の上側リングサポート26が互いに対向しているため、その間に形成された狭隘部28を流れる空気の速度は速くなり、狭隘部28で粉砕物のすり抜けが強制的に起こる傾向にある。
【0098】
これに対して菱形印で示す本実施形態に係る回転式分級機14は、天板27の下面と上部フィン36の上端部との間に第1の隙間42は形成されているが、板材を立設して構成した上部フィン36の上面の面積は従来の回転式分級機14の上側リングサポート26の面積に較べて極めて小さく、しかも図5に示すように、前記第1の隙間42の両側は大きい第2の隙間43と繋がっているから、図6に示すように第1の隙間42での半径方向の流速を従来のものに比較して約20%遅くすることができる。
このように粉砕物のすり抜けが起こり易い箇所の流速を構造的に遅くすることにより、粉砕物のすり抜けを抑制する効果がある。
【0099】
図7は、本実施形態に係る回転式分級機(a)と、比較例の回転式分級機(c)における、上側リングサポート26と天板27の間を回転式分級機14の回転方向(旋回方向)に流れる空気の流れ解析を示す流動解析特性図である。前記(a)ならびに(c)に示す中央に点を付けた丸印は、回転式分級機14の回転方向(紙面に向けて垂直方向)に流れる空気の流れ方向を示している。
【0100】
前記比較例の回転式分級機(c)は同図に示すように、上側リングサポート26が天板27に対して本実施形態に係る回転式分級機(a)と同じ距離離れた位置に設けられて、上側リングサポート26と天板27の間に比較的大きな空間部44が形成されている。
【0101】
図7の縦軸には、天板27の上面から上側リングサポート26の上面までの相対的な距離比を示している。また横軸には、上側リングサポート26と天板27の間を回転式分級機14の回転方向に流れる空気の流速を代表流速で無次元化した値を示している。
図中の菱形印は本実施形態に係る回転式分級機(a)の流動解析特性、黒三角印は比較例の回転式分級機(c)の流動解析特性を示している。
【0102】
この図から明らかなように、黒三角印で示す比較例の回転式分級機(c)では上側リングサポート26と天板27の間に何も無く、比較的大きな空間部44が形成されているから、回転式分級機14の回転方向に流れる空気流は殆ど発生していない。
【0103】
これに対して菱形印で示す本実施形態に係る回転式分級機(a)は、それの回転方向と直交する方向に各上部フィン36の平面が向いており、上部フィン36の回転に伴い、上部フィン36と上部フィン36の間に存在する空気も一緒に回転方向に移動して、旋回方向の空気流を発生する。この旋回方向の空気流は、粉砕物のすり抜け方向と直交する方向の流れであり、粉砕物のすり抜けを抑制する効果がある。
【0104】
また、本実施形態に係る回転式分級機14では、図5に示すように、上側リングサポート26に上面から多数の上部フィン36が列状に立設して、全体として櫛歯状突出部38を形成していることと、各上部フィン36の回転に伴って発生する遠心力とによって、バイオマス粉砕物の詰まりを有効に防止することができる。
【0105】
図8および図9は、本実施形態において上部フィン36の高さと第1の隙間42の高さの適正比率を説明するための図である。なお、このテストは空気流動のみの解析であり、前記下降流形成部材30を設置した条件でテストを行なっている。
【0106】
図8に示す各符号を下記のように定義する。
Ha:上部フィン36の高さ
Hb:第1の隙間42の高さ
Hc:上側リングサポート26の上面から天板27の下面まで開口部の高さ(上部フィン36の下端から天板27の下面までの高さ)
Hd:下側リングサポート25の上面から上部フィン36の上端面までの高さ。
【0107】
図9の横軸は、上部フィン36の高さHaに対する第1の隙間42の高さHbの比率(Hb/Ha)を示す。縦軸は、上部フィン36の旋回方向の移動速度(周速度)に対する第1の隙間42に生じる旋回方向の空気流速度成分(空間平均値)の比率を示す。
【0108】
この図に示すように、Hb/Haが0に近づくと、隙間42に生じる旋回方向の空気流速度成分は上部フィン36の周速度とほぼ等しくなる(≒1)。よって、この隙間42を通過する粒子にも旋回方向の流速度成分が付加され、これによる遠心力が発生する。即ち、隙間42での粒子のすり抜けが起こり難くなる。
【0109】
一方、Hb/Haが大きくなるにつれて、隙間42の旋回方向の空気流速度成分は徐々に低下し、Hb/Haが0.2を超えると前記空気流速度成分は急激に低下する。すなわち、Hb/Ha>0.2では製品微粉への粗粒の混入割合が急増し、分級性能が低下する。
【0110】
以上のことから、隙間42での粗粒のすり抜けを抑制するためには、Hb/Haを0.2以下(Hb/Ha≦0.2)にする必要がある。また、Hb/Ha≦0.1での隙間42における旋回方向の空気流速度成分が0.9を超えて、製品微粉への粗粒の混入は殆ど皆無になるため、Hb/Haを0.1以下(Hb/Ha≦0.1)にすることが望ましい。
【0111】
なお、前記上部フィン36の回転時における天板27との機械的接触を避けるため、第1の隙間42(Hb)は2mm程度必要である。一方、上部フィン36の高さ(Ha)の実用的な上限(寸法上、現実にとり得る限度)は1000mm程度であるから、本発明では前記Hb/Haの下限値を0.001としている。
【0112】
(第2の実施形態)
図10は本発明の第2の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図、図11はその回転式分級機14の上部フィン36の高さと第1の隙間42の高さの適正比率を説明するための流動解析特性図である。
【0113】
この実施形態で図8に示す第1の実施形態に係る回転式分級機14と相違する点は、上部フィン36(第1の隙間42)の半径方向外側に、隙間42での粗粒のすり抜けを抑制するために粗粒すり抜け抑制部材45を設置した点である。この粗粒すり抜け抑制部材45は、図2などで示す下降流形成部材30よりもかなり上部フィン36(第1の隙間42)に近い位置で、天板27の下面に取り付けられている。
【0114】
この粗粒すり抜け抑制部材45は、断面形状が柱状あるいは板状をしており、隙間42に流れ込もうとする粒子群に対して堰の役割を果たす。図10に示す符号Hoは粗粒すり抜け抑制部材45の高さ(天板27の下面から粗粒すり抜け抑制部材45の下面までの長さ)を示している。
【0115】
なお、この実施形態においてもHb/Ha≦0.2、好ましくはHb/Ha≦0.1に設定されている。
【0116】
図11の横軸は、粗粒すり抜け抑制部材45の高さHoに対する上側リングサポート26の上面から天板27の下面まで開口部の高さHcの比率(Hc/Ho)を示す。縦軸は、下側リングサポート25から天板27までの空気が通過できる有効開口部における、回転式分級機半径方向(中心方向)への空気流速のピーク値の比率を示す。
【0117】
なお、このテストも空気流動のみの解析であり、前記下降流形成部材30を設置し、Hb/Ha≦0.01の条件でテストを行なっている。
【0118】
この回転式分級機半径方向(中心方向)への空気流速が高いほど、粒子に掛かる回転式分級機の中心向きの流体抗力は強くなる。すなわち、図11の縦軸は、上側リングサポート26の上面から天板27の下面までの開口部における粗粒のすり抜けのし易さを示す。
【0119】
図11に示す流動解析において、Hc/Ho=1.0の近辺、またはそれ以下では、上側リングサポート26の上面と粗粒すり抜け抑制部材45の下面の距離が近い、または、上側リングサポート26と粗粒すり抜け抑制部材45が垂直方向で重なるため、上側リングサポート26の上面から天板27の下面までの開口部において空気の流れに縮流が生じていることが確認されている。このように縮流が生じると、前記開口部のピーク流速は平均流速に対して2倍近くまで増加する。
【0120】
一方、Hc/Hoの値を1.0から徐々に大きくしていくと、開口部の半径方向のピーク流速は極端に下がり、Hc/Ho=1.4で平均流速の1.1倍まで下がり、前記開口部での空気縮流現象が大幅に緩和される。さらにHc/Ho=2で平均流速となり、前記開口部での空気縮流現象が消滅する。Hc/Ho=2.5でも、あるいはHc/Ho=4、Hc/Ho=10でも平均流速となり、前記開口部での空気縮流現象が消滅していることが他のテストで確認できている。
【0121】
以上のことから、上部フィン36の半径方向外側に粗粒すり抜け抑制部材45を設置する回転式分級機14の場合、Hc/Hoを1.4以上(Hc/Ho≧1.4)、好ましくは2.0以上(Hc/Ho≧2.0)に設定すると、粗粒すり抜け抑制部材45を設置することによる弊害をなくして、粗粒すり抜け抑制部材45の設置による効果を充分に発揮して、粗粒のすり抜けをより確実に防止することができる。
【0122】
前述のようにHc/Ho=2以上で前記開口部での空気縮流現象が消滅するため、特にHc/Hoの上限値は特にはない。
【0123】
なお、第1ならびに第2の実施形態において、上部フィン36はその下端部が上側リングサポート26に取り付けられた片持ち支持の構造になっているから、上部フィン36の取り付け強度の面から、下側リングサポート25の上面から上部フィン36の上端面までの高さHdに対する上部フィン36の高さHaの比率(Ha/Hd)は、1/2以下(Ha/Hd≦1/2)、好ましくは1/3以下(Ha/Hd≦1/3)にする必要がある。
【0124】
(第3の実施形態)
図12は本発明の第3の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図、図13はその回転式分級機14に用いる上側リングサポート26の一部平面図、図14は図13B−B線上の断面図である。
【0125】
本実施形態の場合、上側リングサポート26の厚さ方向の上側部分に周方向に沿ってほぼ等間隔に切り込み状の溝部(凹部)46を形成し、その溝部46と隣接する溝部46の間に残された凸部をフィン部47としている。この溝部(凹部)46とフィン部47(凸部)は上側リングサポート26の周方向に沿って多数繰り返して形成されて連続した凹凸状をなして、櫛歯状突出部38を構成している。
【0126】
前記溝部(凹部)46は上側リングサポート26の外周端から内周端にわたって貫通しており、従ってフィン部47も上側リングサポート26の外周端から内周端にわたって延びている。
【0127】
図12に示すよう、上側リングサポート26のフィン部47(溝部46)側を天板27側に向けて設置し、フィン部47の上端部と天板27の下面との間に第1の隙間42が形成され、この第1の隙間42は上側リングサポート26の溝部(凹部)46によって形成される第2の隙間43(図14参照)と繋がっている。
【0128】
本実施形態に係るでは溝部(凹部)46の幅方向を回転式分級機の回転中心に向けたが、図3に示すように回転分級フィン13と同じように仮想線34に対して傾斜して設けることも可能である。
【0129】
本実施形態の場合、上側リングサポート26に切り込み状の溝部46を形成しが、板材からなる上側リングサポートを用いて、その上側リングサポートの周方向に沿って「コ」の字状の切り込みを多数形成し、各切り込み部を同じ方向に起こしてフィン部とし、そのフィン部とフィン部の間を溝部(凹部)とすることもできる。
【0130】
また本実施形態の場合、上側リングサポート26を回転式分級機本体に対して、例えばボルトとナットなどによって交換可能に取り付けられる構造にしておけば、従来構造の回転式分級機14(粉砕装置)においてバイオマスを分級(粉砕)する際に、その回転式分級機14の上側リングサポートを本実施形態に係る上側リングサポート26に交換するだけで、バイオマスが詰り難い回転式分級機14(粉砕装置)とすることができる。
【0131】
(第4の実施形態)
図15は本発明の第4の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図、図16はその回転式分級機14に用いる上側リングサポート26の一部平面図、図17は上側リングサポート26によって互いに連結された回転分級フィンの一部平面図、図18は図17C−C線上の断面図である。
【0132】
本実施形態では、図15に示すように回転分級フィン13が下側リングサポート25と上側リングサポート26により支持・固定されているが、回転分級フィン13の上端部は上側リングサポート26を貫通して天板27の下面近くまで延びている。この上側リングサポート26から上方に突出した部分が第1の実施形態で示した上部フィン36に相当する。
【0133】
本実施形態では図16に示すように、上側リングサポート26の外周部に等間隔に傾斜した切り込み溝48が形成され、各切り込み溝48にそれぞれ回転分級フィン13の側端部が挿入され、溶接37により固定されている(図18参照)。
【0134】
図18に示すように、各回転分級フィン13の上端部が第1の隙間42を介して天板27の下面と対向しており、前記第1の隙間42は回転分級フィン13aとその隣の回転分級フィン13bの間に形成された第2の隙間43と繋がっている。そして上側リングサポート26と、それより上方に突出した各回転分級フィン13の上端部により、櫛歯状突出部38が形成されている。
【0135】
本実施形態では上側リングサポート26を回転分級フィン13の径方向内側に配置したが、図15において点線で示すように上側リングサポート26を回転分級フィン13の径方向外側に配置したり、上側リングサポート26に等間隔に上下方向に貫通した溝を形成し、各貫通溝にそれぞれ回転分級フィン13の上端部を挿通して固定することも可能である。
【0136】
(第5の実施形態)
図19は本発明の第5の実施形態に係る分級装置の一部拡大概略構成図である。
本実施形態では同図に示すように、円筒状をした上側リングサポート26を用いて、それによって回転分級フィン13の上端部どうしを連結固定した構造になっている。
【0137】
この円筒状の上側リングサポート26は実線で示すように回転分級フィン13の径方向内側に設置してもよいし、点線で示すように回転分級フィン13の径方向外側に設置してもよい。上側リングサポート26を回転分級フィン13の径方向内側に設置する場合、回転分級フィン13と回転軸23を連結する連結バー39の外側端部を上側リングサポート26に接続しても構わない。
【0138】
前記第4,5の実施形態では、回転分級フィン13の一部が第1の実施形態の上部フィン36を兼ねているから、部品点数の削減ができ、また、製作の簡略化を図ることができる。さらにこれらの実施形態は、高さ方向に充分なスペースが得られない回転式分級機14に好適であり、換言すれば、回転式分級機14の低背化を図ることができる。
【0139】
前記第3〜5の実施形態においても、第1の隙間42の外側に粗粒すり抜け抑制部材45を設置することは可能である。またこれら第3〜5の実施形態においても、
Hb/Ha≦0.2、好ましくはHb/Ha≦0.1、
Hc/Ho≧1.4、好ましくはHc/Ho≧2.0、
Ha/Hd≦1/2、好ましくはHa/Hd≦1/3
は適用可能である。
【0140】
前記各実施形態は固定分級フィン11と回転分級フィン13の間に下降流形成部材30を配置した分級装置の場合について説明したが、本発明は下降流形成部材30を配置しない分級装置にも適用可能である。
【0141】
前記各実施形態では、例えば図1に示すように水平方向に配置されて、回転軸23が貫通した固定部材として天板27を使用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、回転分級フィンに対して固定状態にある部材であればよい。
【0142】
(第6の実施形態)
図20は本発明の第6の実施形態に係る石炭焚ボイラプラントの概略構成図である。
同図においてバイオマスサイロ61に貯蔵されているペレット状あるいはチップ状の木質バイオマスは、原炭を搬送する原炭搬入コンベア62上に供給され、原炭とともに石炭バンカ63内に投入される。
【0143】
そして原炭とバイオマスの混合物は石炭・バイオマス粉砕装置64で所定の大きさに粉砕・混合され、それらの混合粉体は分級したのち石炭焚ボイラ65の石炭・バイオマス混焼バーナ66にそれぞれ供給され、炉内で燃焼するシステムになっている。
【0144】
石炭焚ボイラ65から排出した排ガスは、脱硝装置67、空気予熱器68ならびに電気集塵機69などを通って浄化され、図示しない煙突から大気へ放出される。図中の符号70は高温の一次空気で、石炭ならびにバイオマスの乾燥とそれらの混合粉体の搬送に利用される。
【0145】
(第7の実施形態)
図21は本発明の第7の実施形態に係る石炭焚ボイラプラントの概略構成図である。
本実施形態の場合、原炭は原炭搬入コンベア62で石炭バンカ63内に投入され、第1の粉砕装置71で所定の大きさに粉砕されて、分級したのち石炭焚ボイラ65の微粉炭専焼バーナ72にそれぞれ供給され、炉内で燃焼する。
【0146】
一方、バイオマスサイロ61に貯蔵されているペレット状あるいはブリケット状のバイオマスはバイオマス搬入コンベア73によってバイオマスバンカ74内に投入される。そしてバイオマスは第2の粉砕装置75で所定の大きさに粉砕され、分級したのち石炭焚ボイラ65のバイオマス専焼バーナ76にそれぞれ供給され、炉内で燃焼するシステムになっている。図中の符号77は高温の排ガスで、バイオマスの乾燥とそれの搬送に利用される。
【0147】
前記第6の実施形態における石炭・バイオマス粉砕装置64ならびに前記第7の実施形態における第2の粉砕装置75は、図1に示すような構成になっている。
【0148】
これら実施形態に係る石炭焚ボイラプラントにおいては、貯蔵性に優れたバイオマスを副燃料として燃焼することができ、炉内脱硝効果を高め、高効率、安全且つCO2排出削減(地球温暖化防止)に寄与することができる。
【0149】
本発明の実施形態では、「ペレット」あるいは「ブリケット」と呼ばれる概5〜50mm程度の塊状のバイオマスが使用されるが、バイオマスの供給系統の詰まりや粉砕系統に問題が生じなければ、最大で数百mm程度のものも適用可能である。
【0150】
また、具体的な材質としては、木材や樹木由来の木質系材料、あるいは椰子ガラや草本類など植物由来の可燃物が代表的な例であるが、「ペレット」や「ブリケット」のような塊状物に成形されたものであれば、原料は問わず適用可能である。
【0151】
さらに、石炭に対するバイオマスの混合割合は、限りなく零に近い条件から全量バイオマスの条件まで、その混合割合は広範囲である。
【符号の説明】
【0152】
3・・・回転テーブル、8・・・粉砕ローラ、9・・・原料供給管、10・・・被粉砕物、11・・・固定分級フィン、12・・・固定式分級器、13・・・回転分級フィン、13A・・・回転分級フィンの内側端部、13B・・・回転分級フィンの外側端部、14・・・回転式分級機、15・・・回収コーン、16・・・スロート、17・・・ミルケーシング、18・・・搬送用気体、19・・・粉砕物、20・・・微粒子、21・・・粗粒子、22・・・送給管、23・・・回転軸、24・・・分級モータ、25・・・下側リングサポート、26・・・上側リングサポート、27・・・天板、30・・・下降流形成部材、31・・・粒子群、34・・・仮想線、35・・・取り付け溝、36・・・上部フィン、37・・・溶接、38・・・櫛歯状突出部、39・・・連結バー、40・・・閉塞板、41・・・分級室、42・・・第1の隙間、43・・・第2の隙間、44・・・空間部、45・・・粗粒すり抜け抑制部材、46・・・溝部、47・・・フィン部、48・・・切り込み溝、64・・・石炭・バイオマス粉砕装置、65・・・石炭焚ボイラ、66・・・石炭・バイオマス混焼バーナ、71・・・第1の粉砕装置、72・・・微粉炭専焼バーナ、75・・・第2の粉砕装置、76・・・バイオマス専焼バーナ、O・・・回転式分級機の回転中心、X・・・回転式分級機の回転方向、θ・・・回転分級フィンの傾斜角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級機モータと、
垂直方向に配置されて、前記分級機モータにより回転駆動する回転軸と、
水平方向に配置されて、前記回転軸が貫通した固定部材と、
その固定部材の下方で、かつ、前記回転軸の径方向外側に間隔をおいて配置された平面形状が環状の支持部材と、
その支持部材の周方向に間隔をおいて当該支持部材に固定された多数枚の回転分級フィンと、
その回転分級フィンを前記回転軸に連結する連結部材とを有し、
前記分級機モータにより前記回転分級フィンを回転して、気流搬送されて来た粒子群を前記回転分級フィンの遠心力により分級する回転式分級機において、
前記回転分級フィンの上部に、当該回転分級フィンの周方向に沿って間隔をおいて前記固定部材側に向けて突出した櫛歯状の突出部を有し、
その櫛歯状突出部の上端部と前記固定部材の下面の間に第1の隙間が設けられ、
前記突出部とその突出部と隣接する突出部の間に形成されている第2の隙間が前記第1の隙間と繋がっており、
前記回転分級フィンの回転により、前記第1の隙間ならびに第2の隙間を通って前記櫛歯状突出部の隙間を流れる気流に、前記回転分級フィンの回転方向と同じ向きの旋回方向速度成分を付加することを特徴とする回転式分級機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転式分級機において、
前記環状支持部材は、前記回転分級フィンの下側部分を相互に連結・固定する下側環状支持部材と、その下側環状支持部材の上側に配置されて前記回転分級フィンを相互に連結・固定する上側環状支持部材を有し、
前記櫛歯状突出部は、前記上側環状支持部材と、その上側環状支持部材から前記固定部材側に向けて立設した多数枚の上部フィンから構成されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転式分級機において、
前記環状支持部材は、前記回転分級フィンの下側部分を相互に連結・固定する下側環状支持部材と、その下側環状支持部材の上側に配置されて前記回転分級フィンを相互に連結・固定する上側環状支持部材を有し、
前記櫛歯状突出部は、前記上側環状支持部材の上側部分に多数の溝部を形成することにより構成されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項4】
請求項3に記載の回転式分級機において、
前記上側環状支持部材上の溝部は、当該上側環状支持部材の上部を切り込んで形成されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項5】
請求項3に記載の回転式分級機において、
前記上側環状支持部材上の溝部は、当該上側環状支持部材の一部を切り起こして形成されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項6】
請求項3に記載の回転式分級機において、
当該回転式分級機本体に対して、前記櫛歯状突出部が交換可能に取り付けられていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項7】
請求項1に記載の回転式分級機において、
前記櫛歯状突出部は、前記回転分級フィンを前記固定部材側に向けて延設することにより構成されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項8】
請求項7に記載の回転式分級機において、
前記回転分級フィンは、その回転分級フィンの下側部分と対応する位置に配置された下側環状支持部材と、その下側環状支持部材の上側に配置された上側環状支持部材により相互に連結・固定されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項9】
請求項8に記載の回転式分級機において、
前記上側環状支持部材に切り込み溝あるいは貫通穴を形成し、その切り込み溝あるいは貫通穴を通して前記回転分級フィンの上側部分が前記上側環状支持部材により連結・固定されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項10】
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記突出部の設置ピッチが前記回転分級フィンの設置ピッチと等しいことを特徴とする回転式分級機。
【請求項11】
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記突出部の設置ピッチが前記回転分級フィンの設置ピッチよりも狭いことを特徴とする回転式分級機。
【請求項12】
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記突出部の設置ピッチが前記回転分級フィンの設置ピッチよりも広いことを特徴とする回転式分級機。
【請求項13】
請求項2ないし6、または10ないし13のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記回転分級フィンの径方向内側端と回転式分級機の回転中心を結ぶ仮想線に対して、当該回転分級フィンの径方向外側端が前記仮想線から離れるように、当該回転分級フィンの幅方向の向きが傾斜しており、
前記上部フィン、あるいは前記上側環状支持部材上の溝部と溝部の間に形成される突条の幅方向の向きが前記回転式分級機の回転中心に向いていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項14】
請求項2ないし6、または10ないし13のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記回転分級フィンの径方向内側端と回転式分級機の回転中心を結ぶ仮想線に対して、当該回転分級フィンの径方向外側端が前記仮想線から離れるように、当該回転分級フィンの幅方向の向きが傾斜しており、
前記上部フィン、あるいは前記上側環状支持部材上の溝部と溝部の間に形成される突条の径方向内側端と回転式分級機の回転中心を結ぶ仮想線に対して、前記上部フィンあるいは前記突条の径方向外側端が前記仮想線から離れるように、前記上部フィンあるいは前記突条の幅方向の向きが傾斜していることを特徴とする回転式分級機。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記固定部材の下面で、かつ、前記櫛歯状突出部の径方向外側の位置に、前記櫛歯状突出部を取り囲むように粗粒子通り抜け抑制用環状体が取り付けられていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記櫛歯状の突出部の高さをHa、前記第1の隙間の高さをHbとしたとき、前記Haに対する前記Hbの比率(Hb/Ha)が0.2以下に設定されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項17】
請求項16に記載の回転式分級機において、
前記比率(Hb/Ha)が0.1以下に設定されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項18】
請求項15に記載の回転式分級機において、
前記固定部材の下面から前記粗粒子通り抜け抑制用環状体の下面までの長さをHo、前記突出部の下端から前記固定部材の下面までの高さをHcとしたとき、前記Hoに対するHcの比率(Hc/Ho)が1.4以上に設定されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項19】
請求項18に記載の回転式分級機において、
前記比率(Hc/Ho)が2以上に設定されていることを特徴とする回転式分級機。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の回転式分級機において、
前記粒子群がバイオマスまたは石炭とバイオマスの混合物であることを特徴とする回転式分級機。
【請求項21】
周方向に沿って間隔をおいて多数枚配置された固定分級フィンを有する固定式分級器と、
その固定式分級器の内側に配置されて、周方向に沿って間隔をおいて多数枚配置された回転分級フィンを有する回転式分級機と
を備えた分級装置において、
前記回転式分級機が請求項1ないし20のいずれか1項に記載の回転式分級機であることを特徴とする分級装置。
【請求項22】
請求項21に記載の分級装置において、
前記固定分級フィンと回転分級フィンの間に、前記固定部材から筒状の下降流形成部材が垂設されていることを特徴とする分級装置。
【請求項23】
回転テーブルと粉砕ローラとの噛み合いにより原料を粉砕する粉砕部と、
その粉砕部の上方に配置されて、前記粉砕部で粉砕された粉砕物を所定の大きさに分級する分級部を備えた竪型粉砕装置において、
前記分級部に請求項21または22に記載の分級装置を備えたことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項24】
石炭とバイオマスを混合して粉砕する混砕式の竪型粉砕装置と、
その竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭とバイオマス粉を混焼する混焼バーナを有する石炭焚ボイラ装置を備えた石炭焚ボイラプラントにおいて、
前記混砕式の竪型粉砕装置が請求項23に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭焚ボイラプラント。
【請求項25】
石炭を単独で粉砕する第1の竪型粉砕装置と、
バイオマスを単独粉砕する第2の竪型粉砕装置と、
前記第1の竪型粉砕装置で粉砕された微粉炭を燃焼する微粉炭専用バーナと、前記第2の竪型粉砕装置で粉砕されたバイオマス粉を燃焼するバイオマス専用バーナを有する石炭焚ボイラ装置を備えた石炭焚ボイラプラントにおいて、
前記第2の竪型粉砕装置が請求項23に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭焚ボイラプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−255368(P2011−255368A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99614(P2011−99614)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】