説明

回転成形法による中空成形体の製造方法

【課題】耐薬品性等に優れ、かつ漏れ等が生じにくい緻密性の高い仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法で製造する。
【解決手段】内部空間A1,A2,A3を仕切る仕切板3,4が設けられた中空成形体1を回転成形法により製造する方法であって、少なくとも表面全体に樹脂層3b,4bが設けられた仕切部材3,4を金型内に設置してその位置を固定した後、該金型を加熱して金型内に投入した粉末状の熱可塑性樹脂を加熱溶融させるとともに金型を回転させて、金型の内壁面に溶融した樹脂を付着させ、中空成形体の壁部2を形成するとともに、仕切部材表面の樹脂層と溶融した樹脂とを一体化させ、仕切部材からなる仕切板3,4と中空成形体の壁部2とを一体的に形成して内部に仕切板3,4が設けられた中空成形体1を成形することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間を仕切る仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法により製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱可塑性樹脂からなる中空成形体が、工業用品、日用雑貨、自動車部品、電気・電子部品、機械部品等の用途に用いられている。これらの中空成形体は、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、または回転成形等により製造されている。
【0003】
上記の成形方法の中でも、回転成形法は、金型費が安価であり、製造コストが低く、さらに大型の成形体を製造することができるという利点を有している。
【0004】
ところで、中空容器などの中空成形体においては、内部の空間を仕切るために仕切板を設ける必要がある場合がある。しかしながら、回転成形法により仕切板を有する中空成形体を製造する方法は、従来より一般に実用化されていない。
【0005】
特許文献1においては、流し台用容器を回転成形法により製造する方法が開示されており、仕切板としてアルミニウムまたはステンレススチールのような熱伝達の高い板材を用い、仕切板を有する中空容器を回転成形法により製造する方法が開示されている。また、特許文献1においては、周縁部に予め熱可塑性樹脂を溶着した仕切板を用い、このような仕切板を金型内に配置し、回転成形法により中空容器を製造する方法が開示されている。
【0006】
回転成形法は、熱可塑性樹脂の粉末を金型内に配置し、金型を熱しながら回転させることにより、金型内に溶融した熱可塑性樹脂を付着させて中空成形体を製造する方法であるが、上記特許文献1に開示された方法で仕切板を設けると、仕切板の部分に樹脂は付着されず、仕切板である金属板の表面が露出した状態となる。従って、耐薬品性等が求められる中空容器に用いることができないなどの問題がある。
【0007】
また、上記特許文献1の方法により製造された中空成形体では、仕切板の取り付け強度が不十分であり、また仕切板の取り付け部分から液が漏れるなどの問題を生じる場合があった。
【特許文献1】特開昭59−114019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐薬品性等に優れ、かつ漏れ等が生じにくい緻密性の高い仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法で製造することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内部空間を仕切る仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法により製造する方法であって、少なくとも表面全体に樹脂層が設けられた仕切部材を金型内に設置してその位置を固定した後、該金型を加熱して金型内に投入した粉末状の熱可塑性樹脂を加熱溶融させるとともに金型を回転させて、金型の内壁面に溶融した樹脂を付着させ、中空成形体の壁部を形成するとともに、仕切部材表面の樹脂層と溶融した樹脂とを一体化させ、仕切部材からなる仕切板と中空成形体の壁部とを一体的に形成して内部に仕切板が設けられた中空成形体を成形することを特徴としている。
【0010】
本発明のさらに具体的な実施態様は、内部空間を仕切る仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法により製造する方法であって、少なくとも表面全体に樹脂層が設けられた仕切部材を用意する工程と、仕切部材を金型内に設置してその位置を固定する工程と、金型内に仕切部材を設置する前あるいは設置した後に、金型内に粉末状の熱可塑性樹脂を投入する工程と、金型を加熱し、金型内の粉末状の熱可塑性樹脂を加熱溶融させるとともに、金型を回転させ、金型の内壁面に溶融した樹脂を付着させて中空成形体の壁部を形成するとともに、仕切部材表面の樹脂層と溶融した樹脂とを一体化させ、仕切部材からなる仕切板と中空成形体の壁部とを一体的に形成する工程と、金型を冷却した後、金型を外し、仕切板が内部に一体的に形成された中空成形体を取り出す工程とを備えることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、回転成形法により、内部空間を仕切る仕切板が設けられた中空成形体を容易に製造することができる。本発明における仕切板は、少なくとも表面全体が樹脂層から形成された仕切部材を用い、これを金型内に設置し、回転成形法により中空成形体の壁部を形成する際に、この仕切部材からなる仕切板と中空体の壁部とを一体的に形成して、内部に仕切板が設けられた中空成形体を成形する。仕切部材の表面には全体に樹脂層が設けられているので、本発明により製造された中空成形体の内部表面全体は、樹脂で覆われており、耐薬品性等に優れた中空成形体とすることができる。従って、種々の液体を収納することができる中空容器などとして用いることができる。
【0012】
また、仕切部材の表面全体に樹脂層が設けられているので、成形体壁部と仕切板との密着性が良好であり、仕切板の部分において漏れ等が生じにくく、緻密性の高い仕切板を設けることができる。
【0013】
本発明において、仕切部材の樹脂層は、熱可塑性樹脂から形成されていることが好ましい。特に、中空成形体の壁部を形成する樹脂と同じ種類の樹脂から形成されていることが好ましい。例えば、中空成形体の壁部をポリエチレンから形成する場合には、仕切部材の樹脂層もポリエチレンから形成することが好ましい。この場合、同じタイプの樹脂であればよく、完全に同一の樹脂を用いる必要はない。
【0014】
本発明における仕切部材は、少なくとも表面全体に樹脂層が設けられていればよく、仕切部材全体が樹脂から形成されていてもよい。
【0015】
しかしながら、仕切板の強度等を考慮する場合には、耐熱性の芯材を用い、該芯材の表面全体に樹脂層を被覆することにより仕切部材としたものが好ましく用いられる。耐熱性の芯材としては、アルミニウム板やステンレス板などの金属板が好ましく用いられる。しかしながら、芯材として、セラミック部材や耐熱性のプラスチック部材を用いてもよい。
【0016】
樹脂層を被覆した仕切部材を用いる場合、仕切部材は、粉体塗装方法により芯材の上に粉体樹脂を付着させた後、加熱することにより粉体樹脂を溶融して、芯材の表面上に、樹脂層を形成したものであってもよい。また、加熱した芯材を粉体樹脂中に浸漬させることにより、該芯材の表面上に樹脂層を形成したものであってもよい。
【0017】
樹脂層の厚みは、特に限定されるものではないが、500μm〜1500μmの範囲にするのが一般的である。
【0018】
本発明における中空成形体において、仕切板は、その両側の空間を完全に仕切るように設けられていてもよいし、その両側の空間の一部を仕切るように設けられていてもよい。
【0019】
本発明の製造方法において、仕切部材を金型内に設置する方法としては、例えば、金型の内壁面に、仕切部材の端部を保持するための凹部が形成されており、該凹部内に仕切部材の端部を配置することにより、仕切部材を金型内に設置してその位置を固定する方法が挙げられる。この場合、金型の凹部内に、芯材の端部が位置するように保持されることにより、回転成形の際の金型内における仕切部材の位置が固定されることが好ましい。
【0020】
また、仕切部材の端部に、熱可塑性樹脂からなるキャップ部材を取り付け、該キャップ部材を介して仕切部材の端部を金型の凹部内に保持することが好ましい。このようなキャップ部材は、熱可塑性樹脂からなるものであり、好ましくは中空成形体の壁部及び仕切部材の樹脂層と同じ種類の樹脂から形成されることが好ましい。従って、中空成形体の壁部及び仕切部材の樹脂層がポリエチレンから形成される場合には、キャップ部材もポリエチレンから形成することが好ましい。しかしながら、全く同一の樹脂である必要はなく、同じタイプの樹脂であればよい。
【0021】
キャップ部材も熱可塑性樹脂から形成されるものであるため、このようなキャップ部材も回転成形の際、溶融し、中空成形体の壁部及び仕切部材の樹脂層と一体化させることができる。従って、仕切部材を強固に中空成形体の壁部に取り付けることができる。また、キャップ部材を用いることにより、仕切部材の端部における樹脂の膜厚を厚くすることができ、仕切板の固定をより強固なものにすることができる。
【0022】
また、金型が複数の部分型を組み合わせることにより形成されるものである場合、部分型の突き合わせ端部にフランジ部を形成し、互いに突き合わせる部分型のフランジ部によって、上記金型の凹部を構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の中空成形体の製造方法によれば、耐薬品性等に優れ、かつ漏れ等が生じにくい緻密性の高い仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法により容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明に従い製造される中空成形体の一実施例を示す斜視図である。図2は、図1に示す中空成形体1の横方向の断面図であり、図3は縦方向の断面図である。
【0026】
図1に示すように、中空成形体1は、壁部2から形成されており、壁部2のコーナー部2aは丸みを帯びた形状を有している。また、上方側面には孔2d及び2eが形成されている。この孔2d及び2eは、後述するエアバルブを挿入することによって形成される孔である。
【0027】
中空成形体1の中央部の周辺には、外側に向かって突き出た周縁凸部2bが形成されている。この周縁凸部2bの位置には、図2及び図3に示すように、仕切板3が設けられている。
【0028】
また、壁部2の横方向の側面部には、凸部2cが手前側と奥側にそれぞれ形成されている。この凸部2cの位置には、図2及び図3に示すように、仕切板4が設けられている。仕切板4は、図3に示すように、上方及び下方に空間が形成されており、内部空間の一部のみを仕切るように設けられている。
【0029】
図2及び図3に示すように、仕切板3によって、中空成形体1の内部空間A1と内部空間A2が仕切られている。仕切板3は、内部空間A1と内部空間A2を完全に仕切るように設けられている。
【0030】
また、仕切板4によって、中空成形体1の内部空間A2と内部空間A3が仕切られている。上述のように、仕切板4は、内部空間A2と内部空間A3の一部を仕切るように設けられている。すなわち、図3に示すように、仕切板4の上方部と下方部において、内部空間A2と内部空間A3は連通している。図4は、図3に示すX−X′線に沿う断面図である。図4に示すように、仕切板4の上方及び下方には空間が形成されており、この部分で、内部空間A2とA3が連通されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、仕切板3内には、金属板3aが設けられており、金属板3aの表面全体を覆うように樹脂層3bが設けられている。金属板3aとして、本実施例では、アルミニウム板が用いられている。
【0032】
仕切板4も同様に、アルミニウム板からなる金属板4aが内部に設けられており、その表面全体に樹脂層4bが設けられている。
【0033】
本実施例において、壁部2、樹脂層3b、及び樹脂層4bは、いずれもポリエチレン樹脂から形成されている。
【0034】
図5は、図3に示すYの部分を拡大して示す断面図である。図5に示すように、仕切板3内部の金属板3aの端部は、壁部2よりも外側に位置するように配置されている。金属板3aの端部を覆うように、周縁凸部2bが設けられている。
【0035】
また、金属板3aの表面上を被覆する樹脂層3bは、壁部2と一体化して形成されている。
【0036】
図6は、上記実施例の中空成形体を製造するための回転成形装置11を示す正面図である。回転成形装置11の金型は、図6に示すように、金型上方に位置する上部金型15と、中央に位置する半割金型13及び14と、下方に位置する下部金型12とから構成されている。半割金型13にはエアバルブ17が挿入されており、下部金型12にはエアバルブ16が挿入されている。金型全体は、支持台18により支持されている。また、金型は、金型を特定方向に回転させる第1の駆動手段と、この特定方向と垂直方向に回転させる第2の回転駆動手段により、2軸回転成形できるように設けられている。
【0037】
図7は、金型を側面方向から示す側面図である。図7に示すように、下部金型12にはエアバルブ16を挿入するためのエアバルブ用孔16aが形成されており、半割金型13には、エアバルブ17を挿入するためのエアバルブ用孔17aが形成されている。
【0038】
図8及び図9は、上記回転成形装置を用いて中空成形体を製造する際の金型内の状態を示す断面図である。図8は、図6の紙面方向に沿う断面図であり、図9は、図6の紙面と垂直方向に沿う断面図である。
【0039】
図8及び図9に示すように、下部金型12の上方には、フランジ部12aが形成されており、半割金型13及び14の下方には、それぞれフランジ部13a及び14aが形成されている。フランジ部12aとフランジ部13aが突き合わされた部分には、凹部13bが形成されており、この凹部13bに、キャップ部材22cを介して仕切部材22の一方端部が挿入されている。また、フランジ部14aとフランジ部12aが突き合わされた部分に、凹部14bが形成されており、この凹部14bに、キャップ部材22cを介して、仕切部材22の他方端が挿入されている。
【0040】
図10は、図9に示すZの部分を拡大して示す断面図である。図10に示すように、下部金型12のフランジ部12aと半割金型13のフランジ部13aの突き合わせ部分に凹部13bが形成され、この凹部13bに、キャップ部材22cを介して仕切部材22の他方端部が挿入されている。
【0041】
また、図9に示すように、半割金型13の上方にはフランジ部13cが形成されており、上部金型15の下方に形成されたフランジ部15aとの突き合わせ部において、凹部13dが形成されている。この凹部13dに、キャップ部材24cを介して、仕切部材24の一方端部及び他方端部がそれぞれ挿入されている。なお、図9においては半割金型13を示しているが、半割金型14においても、同様にフランジ部が形成され、上部金型15のフランジ部15aとの突き合わせ部分において凹部が形成されており、この凹部にキャップ部材24cを介して仕切部材24の一方端部及び他方端部が挿入されている。
【0042】
図8及び図9に示すように、仕切部材22は、耐熱性の芯材である金属板22aの表面上全体に樹脂層22bを設けることにより構成されている。同様に、仕切部材24も、耐熱性芯材である金属板24aの表面上全体に、樹脂層24bを設けることにより構成されている。
【0043】
図8及び図9を参照して,図6に示す回転成形装置を用いて中空成形体を製造する方法について説明する。まず、下部金型12内に、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる樹脂粉末21を所定量投入する。次に、下部金型12上方のフランジ部12aの上に、キャップ部材22cをその周囲に取り付けた仕切部材22を配置する。次に、半割金型13及び14を、下部金型12の上に配置する。これにより、仕切部材22の周囲のキャップ部材22cは、凹部13b及び凹部14b内に挿入された状態となる。次に、仕切部材22の上に、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂からなる樹脂粉末23を所定量載せる。
【0044】
次に、図9に示すように、半割金型13及び14のフランジ部13c及び14cの上に、両端部にキャップ部材24cを取り付けた仕切部材24を配置する。その上に、上部金型15を載せる。
【0045】
下部金型12、半割金型13及び14、及び上部金型15は、それぞれ金具などによって1つの金型となるように固定する。
【0046】
この状態で、図6に示す第1の回転駆動手段及び第2の回転駆動手段により、金型を2軸方向に回転させながら金型を加熱し、金型内の樹脂粉末21及び23を加熱溶融させる。これにより、溶融した樹脂粉末が金型内の内面に付着し、金型内に一定の膜厚の壁部が形成される。
【0047】
このような樹脂粉末の溶融とともに、金型内に配置された仕切部材22の表面の樹脂層22b、仕切部材24の表面の樹脂層24b、並びにキャップ部材22c及びキャップ部材24cも溶融し、溶融樹脂からなる壁部と一体的に形成される。この状態で金型を回転しながら、金型を冷却させていくことにより、金型内の樹脂が固化し中空成形体が成形される。
【0048】
以上のようにして、金型内の壁部を形成する樹脂と、仕切部材表面の樹脂層と、キャップ部材が回転成形中において溶融して一体化することにより、図1〜図3に示す本実施例の中空成形体1を得ることができる。
【0049】
本実施例の中空成形体においては、上述のように、仕切板の表面全体に樹脂層が設けられており、中空成形体の内部全体が樹脂で覆われているため、耐薬品性等において優れた中空成形体とすることができる。従って、種々の液体を収納することができる中空容器などとして用いることができる。
【0050】
また、仕切板表面の樹脂部が壁部とともに一体的に形成されているため、仕切板が強固に壁部に取り付けられており、内部に収容した液体の仕切板における漏れ等を有効に防止することができる。
【0051】
比較として、金属板の表面を樹脂層で被覆していない金属板のみからなる仕切板を用い、上記実施例と同様に仕切板の端部にキャップ部材を取り付け、上記実施例と同様にして中空成形体を製造した。その結果、この比較例の中空成形体では、金属板端部における壁部との密着が不十分であり、僅かな力を加えることにより、仕切板である金属板と壁部の間に隙間を生じた。また、内部空間A1に液体を収納し、内部空間A1を上方に位置させたところ、仕切板から液体の漏れが認められた。
【0052】
これに対し、本発明に従い仕切板の表面全体を樹脂層で被覆した本実施例の中空成形体においては、内部空間A1内に液体を入れ、内部空間A1を上方に位置させた場合においても、内部空間A1からの液漏れは認められなかった。
【0053】
なお、上記実施例においては、仕切部材として、金属板の上に樹脂部を形成した仕切部材を示したが、本発明においては、少なくとも表面全体が樹脂部で形成されていればよく、例えば、仕切部材全体が樹脂から形成されていてもよい。従って、図11に示すように、全体が樹脂から形成された仕切部材22を用いてもよい。
【0054】
上記の実施例においては、キャップ部材を取り付けた仕切部材を金型の凹部に配置させているが、本発明においては、図12に示すように、キャップ部材を用いずに、仕切部材22を直接金型の凹部13bに挿入して配置してもよい。この場合、金型の凹部13bは、仕切部材22の端部の形状に沿うように形成されている。
【0055】
図13は、本発明に従う他の実施例の中空成形体を示す斜視図である。図12に示す中空成形体は、図1〜図3に示す中空成形体において、一方の側面を切り取り、開口部32と33を形成している。このように、本発明により製造された中空成形体は、成形後、種々の加工を施し、種々の用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に従う一実施例の中空成形体を示す斜視図。
【図2】図1に示す中空成形体の横方向の断面図。
【図3】図1に示す中空成形体の縦方向の断面図。
【図4】図3に示すX−X′線に沿う断面図。
【図5】図3に示すY近傍を拡大して示す断面図。
【図6】本発明に従う一実施例の中空成形体を製造する回転成形装置を示す正面図。
【図7】図6に示す回転成形装置の金型を示す側面図。
【図8】図6に示す回転成形装置を用いて中空成形体を製造する際の金型内の状態を示す、図6の紙面方向に沿う断面図。
【図9】図6に示す回転成形装置を用いて中空成形体を製造する際の金型内の状態を示す、図6の紙面方向と垂直方向に沿う断面図。
【図10】図9に示すZ近傍を拡大して示す断面図。
【図11】本発明に従う他の実施例における仕切部材を示す拡大断面図。
【図12】本発明における仕切部材を金型の凹部に配置する他の例を示す拡大断面図。
【図13】本発明に従うさらに他の実施例の中空成形体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0057】
1…中空成形体
2…壁部
2a…コーナー部
2b…周縁凸部
2c…凸部
2d,2e…孔
3…仕切板
3a…金属板
3b…樹脂層
4…仕切板
4a…金属板
4b…樹脂層
11…回転成形装置
12…下部金型
13,14…半割金型
13b,13d,14b…金型の凹部
15…上部金型
12a,13a,13c,14a,14c,15a…フランジ部
16,17…エアバルブ
16a,17a…エアバルブ用孔
21,23…樹脂粉末
22…仕切部材
22a…金属板
22b…樹脂層
22c…キャップ部材
24…仕切部材
24a…金属板
24b…樹脂層
24c…キャップ部材
32,33…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を仕切る仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法により製造する方法であって、
少なくとも表面全体に樹脂層が設けられた仕切部材を金型内に設置してその位置を固定した後、該金型を加熱して金型内に投入した粉末状の熱可塑性樹脂を加熱溶融させるとともに金型を回転させて、金型の内壁面に溶融した樹脂を付着させ、中空成形体の壁部を形成するとともに、前記仕切部材表面の前記樹脂層と前記溶融した樹脂とを一体化させ、前記仕切部材からなる仕切板と前記中空成形体の壁部とを一体的に形成して内部に仕切板が設けられた中空成形体を成形することを特徴とする回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項2】
内部空間を仕切る仕切板が設けられた中空成形体を回転成形法により製造する方法であって、
少なくとも表面全体に樹脂層が設けられた仕切部材を用意する工程と、
前記仕切部材を金型内に設置してその位置を固定する工程と、
前記金型内に前記仕切部材を設置する前あるいは設置した後に、前記金型内に粉末状の熱可塑性樹脂を投入する工程と、
前記金型を加熱し、前記金型内の前記粉末状の熱可塑性樹脂を加熱溶融させるとともに、前記金型を回転させ、前記金型の内壁面に溶融した樹脂を付着させて中空成形体の壁部を形成するとともに、前記仕切部材表面の前記樹脂層と前記溶融した樹脂とを一体化させ、前記仕切部材からなる仕切板と前記中空成形体の壁部とを一体的に形成する工程と、
前記金型を冷却した後、前記金型を外し、前記仕切板が内部に一体的に形成された前記中空成形体を取り出す工程とを備えることを特徴とする回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層が、熱可塑性樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項4】
前記仕切部材全体が、樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項5】
前記仕切部材が、耐熱性の芯材の表面全体を前記樹脂層で被覆した仕切部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項6】
前記仕切部材が、粉体塗装法により前記芯材の上に粉体樹脂を付着させた後、加熱することにより粉体樹脂を溶融して、前記芯材の表面上に、前記樹脂層を形成したものであることを特徴とする請求項5に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項7】
前記仕切部材が、加熱した前記芯材を粉体樹脂中に浸漬させることにより、該芯材の表面上に前記樹脂層を形成したものであることを特徴とする請求項5に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項8】
前記芯材が金属板であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項9】
前記仕切板が、その両側の空間を完全に仕切るように設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項10】
前記仕切板が、その両側の空間の一部を仕切るように設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項11】
前記金型の内壁面に、前記仕切部材の端部を保持するための凹部が形成されており、該凹部内に前記仕切部材の端部を配置することにより、前記仕切部材を前記金型内に設置してその位置を固定することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項12】
前記金型の前記凹部内に、前記芯材の端部が位置するように保持されることにより、回転成形の際の前記金型内における前記仕切部材の位置が固定されることを特徴とする請求項11に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項13】
前記仕切部材の端部に、熱可塑性樹脂からなるキャップ部材を取り付け、該キャップ部材を介して前記仕切部材の端部が前記金型の前記凹部内に保持されることを特徴とする請求項11または12に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。
【請求項14】
前記金型が複数の部分型を組み合わせることにより形成されるものであり、部分型の突き合せ端部にフランジ部が形成されており、互いに突き合せる部分型のフランジ部から前記金型の前記凹部が構成されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の回転成形法による中空成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−276265(P2007−276265A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105491(P2006−105491)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(506117840)スイコー株式会社 (5)
【Fターム(参考)】