説明

回転折れ戸

【課題】 カバー部材は扉連結用枠部材との間に隙間が生じても扉連結用枠部材に嵌め込まれた状態では、子扉および親扉の扉連結用枠部材から外れない構造の折畳み式回転扉を提供する。
【解決手段】 カバー部材50の半円筒状内面の両側縁に中央部に突出すフック55が設けられ、扉連結用枠部材20の外側部の側面には、フック55と係合するフック受部29が設けられ、係合すると扉連結用枠部材20とカバー部材50は互いが離反する方向やその交差方向の力に抗して、係合状態を維持するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、第1の扉と第2の扉とが、一鉛直面に沿い相互に隣接して連結されるとともに、該両扉の連結部分の近傍を中心に折畳み可能に構成された回転折れ戸に関するものである。以下の説明において、第2の扉は、第1の扉と比べて同じ幅または幅が狭い扉である。
【背景技術】
【0002】
この種の回転折れ戸として、折畳み式回転扉3が、幅の狭い子扉4と幅の広い親扉5との組合せからなり、これら子扉4と親扉5とが、それらの一側において折り畳み自在に連結され、これら両扉4、5が、縦長の門型扉枠体2に取り付けられた構造の折畳み式回転扉が提案されている。(特許文献1参照)
【0003】
この折畳み式回転扉は、親子両扉の内側上下端部を相互に枢支した連結部材と、該連結部材の連結軸と同芯でかつ前記親子両扉に一体に結合されるとともに、相互に噛み合う同一寸法の一対の歯車対とからなる折畳み連結手段を有し、また、子扉および親扉の内側部に、半円筒状の外周面を有する中空召合せゴムがそれぞれ張設され、該両中空召合せゴムの半円筒状外周面が対面するように配設されている。そして、召合せゴムの半円筒状の外周面の突端の対面部には、縦方向に係合用突条が形成され、閉扉時、該両召合せゴムの突条が係合して、扉が密閉される。
【0004】
そして、上記の折畳み式回転扉は、上下連結部材の連結軸を受容可能な円筒部をその中央部に有する縦長の金属製の扉連結用枠部材が、細長い長方形状の表面形状をなす子扉と親扉の連結側の縦辺に沿って取付けられ、それぞれの扉連結用枠部材の外側部に半円筒状の外周面を有するカバー部材として中空召合せゴムが嵌め込まれて張設されている。扉連結用枠部材には円筒部側に向けて開口する凹部の形成された鉤部が設けられ、断面半割ドーナツ状の縦長の召合せゴムの半割部両側縁に沿って形成された係合部が係合させられていて、このようにして、召合せゴムが、扉連結用枠部材に取付けられている。この場合の鉤部と係合部との係合は、次のようにしてなされている。すなわち、係合部にも、鉤部凹部に相当する溝が形成されていて、これら溝および凹部に、それぞれ相手側の突条が嵌合し合うことにより、これらの係合がなされている。
【特許文献1】特許第3321098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の折畳み式回転扉は、扉連結用枠部材との係合において、互いが離反する方向の力に抗して、係合状態を維持する構造であるが、その交差方向の力に対しては、係合状態を維持する構造とはなっていない。カバー部材(召合せゴム)は、互いが離反する方向の力に抗して係合状態を維持する構造で扉連結用枠部材に嵌め込まれているために、カバー部材が扉連結用枠部材との間に隙間があると、ガタツキが生じ易くなり、扉が密閉される際に、両召合せゴムの突条同士の衝突による衝撃や、両召合せゴムや突条同士の近接動作で生じる風圧により、子扉および親扉の扉連結用枠部材から外れてしまう虞がある。
【0006】
そのため、両者を極めて高い精度で係合する必要があり、カバー部材としては、温度差による膨張や伸縮により大きさが変形する部材は適さず、ゴムのような弾性部材を使用しているが、扉連結用枠部材に嵌め込まれるカバー部材としての中空召合せゴムは、扉連結用枠部材との間に隙間が生じないように半円筒の径の精度の高いものを選んで使用されており、製造や管理に手間を要するため回転折れ戸の改善が望まれていた。
【0007】
また、特許文献1に記載の折畳み式回転扉は、親子両扉の内側上下端部を相互に枢支した連結部材として、相互に噛み合う同一寸法の一対の歯車対とからなる折畳み連結手段を有しているため、相互に噛み合う一対の歯車対に子供が手や足の指を挟んでしまうような不慮の事故も予想され、折畳み連結手段の安全性の点からも回転折れ戸の改善が望まれている。
【0008】
従って、本発明が解決しようとする課題の1つは、カバー部材は扉連結用枠部材との間に隙間が生じても扉連結用枠部材に嵌め込まれた状態では、第1の扉および第2の扉の扉連結用枠部材から外れない構造の回転折れ戸の提供である。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題の他の1つは、一対の歯車対に子供が手や足の指を挟んでしまうことがないような安全性の高い折畳み連結手段を有する回転折れ戸の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、第1の扉と第2の扉とが、一鉛直面に沿い相互に隣接して折畳み可能に連結されるとともに、該両扉の連結部分の近傍を中心に折畳み可能に構成され、前記両扉の内側上下端部を相互に枢支した連結部材と、該連結部材の連結軸と同芯でかつ前記両扉に一体に結合されるとともに、相互に噛み合う同一寸法の一対の歯車対とからなる折畳み連結手段を有し、縦長の扉連結用枠部材が長方形状をなす前記第1の扉と第2の扉の連結側の縦辺に沿って取付けられ、該扉連結用枠部材の外側部に半円筒状の外周面を有するカバー部材が嵌め込まれて張設される回転折れ戸において、前記カバー部材の半円筒状内面の両側縁に中央部に突出すフックが設けられ、前記扉連結用枠部材の前記外側部の側面には、前記扉連結用枠部材のフックと係合するフック受部が設けられ、フックがフック受部と係合すると前記扉連結用枠部材と前記カバー部材は互いが離反する方向やその交差方向の力に抗して、前記係合状態を維持することを特徴とする回転折れ戸である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記折畳み連結手段には、前記一対の歯車対を受け入れる開口が設けられた歯車カバーが取付けられていることを特徴とする請求項1記載の回転折れ戸である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記歯車カバーには水抜き用にスリットが設けられていることを特徴とする請求項2記載の回転折れ戸である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の回転折れ戸によれば、カバー部材の半円筒状内面の両側縁に中央部に突出するフックが設けられ、前記扉連結用枠部材の前記円筒部の側面には、前記扉連結用枠部材のフックと係合するフック受部が設けられ、フックがフック受部と係合すると前記扉連結用枠部材と前記カバー部材は互いが離反する方向やその交差方向の力に抗して、前記係合状態を維持するので、第1の扉および第2の扉の各カバー部材は扉連結用枠部材との間に隙間が生じても扉連結用枠部材に嵌め込まれた状態では、扉連結用枠部材から外れることはない。
【0014】
また、本発明の回転折れ戸によれば、折畳み連結手段には、一対の歯車対を受け入れる開口が設けられたカバーが取付けられているので、一対の歯車対に子供が手や足の指を挟んでしまうことはなく安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施形態における回転折れ戸を備えた扉設備全体の正面図、図2は、図1の実施形態における回転折れ戸の作用説明図、図3(a)は、図1の実施形態における連結部材のカバーの平面図、図3(b)は、同カバーの底面図、図3(c)は、同カバーの使用状態を説明するための一部を切欠いた概略説明図、図3(d)は、図3(a)のAA線断面図である。
【0016】
図1において、回転折れ戸の基本構造は、回転折れ戸3が、第1の扉5と第2の扉4との組合せからなり、これら第1の扉5と第2の扉4とが、それらの片側において折り畳み自在に連結されている。そして、これら両扉4、5が、縦長の門型扉枠体2に取り付けられている。
【0017】
そして、第1の扉5と第2の扉4との連結部を押すことにより、第2の扉4が連結部と反対側の上下端部を回転の中心として回転し、第1の扉5が、所定の個所において回転しつつ、扉枠体2に設けられたレールに沿って走行して、第1の扉5と第2の扉4とが、それらの連結部を手前側もしくはこれと反対側に突出させつつ、相互に折り畳まれて、第1の扉5が第2の扉4側に引き寄せられることにより、扉が開放されるようになっている。
【0018】
扉枠体2は、左右の縦枠体8、8と、これら左右の縦枠体8、8に両端が固着されて一体化された上枠体9とからなっている。
【0019】
縦枠体8は、図2に図示されているように、細長い内部折曲片8aと外部折曲片8bとの間に柱部材8cを挟んだ構造に形成されていて、内部折曲片8aは、その幅方向の先端が内方に直角にわずかに折曲され、底面が両側にわずかの幅を残して内方にわずかに窪まされた断面形状をなしている。そして、形成された凹部8dが、内方に向くようにして配置され、これら両縦枠体8、8の凹部8dに、第1の扉5および第2の扉4の幅方向、外方端面が、それぞれ部分的に受容されるようになっている。
【0020】
また、上枠体9の下部には、吊りレール部材10が取り付けられている。該吊りレール部材10の下部の内面は幅方向の両側に所定幅の間隙を設けてレール10a、10aが形成され、後述する第1の扉5の上面に固着された吊持軸35が扉枠体2の左右幅方向に走行可能なように、レール10a、10a間には、レール10a、10aの間隙による細長い開口10bが形成されている。
【0021】
また、吊りレール部材10内には、扉枠体2の縦枠体8側の端部付近に両扉4、5が閉まるときに吊持軸35を介して第1の扉5を移動させる移動体として吊持軸35が固定された四輪の上吊車36の一部にピストンロッド19の先端19aが当接すると第1の扉5の閉止速度を減速するエアーダンパー18が取付けられている。
【0022】
第2の扉4は、本体部をなす扉部材11の上面および下面に一端に円弧状の切り欠き4bを形成した横補強枠4a,4aが固着され、その右側面には、第2の扉4を回転可能に支持する回転軸を収納する半円筒状の長尺なカバー部材15が取付けられ、左側面に、半円筒状の長尺なカバー部材50が取付けられている。カバー部材50は、第2の扉4に連結される第1の扉5との間の隙間を塞ぐ(または、狭くする)ために取付けられるものである。
【0023】
また、第1の扉5は、本体部をなす扉部材12の上面および下面に一端に円弧状の切り欠き5bを形成した横補強枠5a,5aが固着され、その右側面に、第1の扉5に連結される第2の扉4との間の隙間を塞ぐ(または、狭くする)半円筒状の長尺なカバー部材50が取付けられ、左側面には、第1の扉5を扉枠体2の縦枠体8に当接(または近接)させた際の隙間を塞ぐ(または、狭くする)断面半円弧状の長尺なカバー部材16が取付けられている。カバー部材16内と、カバー部材16に当接(または近接)する側の縦枠体8内には、それぞれ棒磁石17が収納され、回転折れ戸3を閉じて、第1の扉5を扉枠体2の縦枠体8に当接させると、その状態を維持するように構成されている。第2の扉4の本体部をなす扉部材11および第1の扉5の本体部をなす扉部材12は、細長い長方形の平板形状をなしている。扉部材11、12は、金属製もしくは合成樹脂製とされるが、木質製とされる場合もある。
【0024】
なお、扉部材11の上面および下面に横補強枠4a,4aを固着せずに、扉部材11だけで第2の扉4を形成したり、同様に、扉部材12の上面および下面に横補強枠5a,5aを固着せずに、扉部材12だけで第1の扉5を形成することもできる。
【0025】
第2の扉4の本体部をなす扉部材11の右側上端部には、垂直方向に回転軸を有するヒンジ30が埋設して取付けられている。また、ヒンジ30の上部は、扉枠体2の吊りレール部材10にブラケット31を介してネジにより固着されている。
【0026】
また、扉部材11の右側下端部には円筒状のヒンジ32が埋設されている。ヒンジ32の筒内には回転軸33が嵌合されており、扉部材11は、回転軸33に回転自在に支持されている。回転軸33は、図示しないスラストベアリングに植設されており、スラストベアリングは、扉枠体2の右側縦枠体8に取り付けられたL字状ブラケット34の水平折曲部上に固着されている。したがって第2の扉4の荷重は、スラストベアリングの回転軸の植設面により受けられる。これにより第2の扉4は、扉枠体2の右端部に回転自在に支持されている。
【0027】
第1の扉5の本体部をなす扉部材12は、その幅方向中央付近の位置、丁度、第2の扉4の回転半径相当の位置において、その上面が扉枠体2の吊りレール部材10に回転自在に吊持され、また、その右側の第2の扉4との連結部側上下端部が、第2の扉4の左側上下端部と相互に折り畳み自在に連結されて支持されることにより、扉枠体2に取り付けられている。
【0028】
第1の扉5の上面が扉枠体2の吊りレール部材10に回転自在に吊持される部分の構造は、次のようになっている。第1の扉5の本体部をなす扉部材12の上面には、吊持軸35が固着されて取り付けられている。吊持軸35は、四輪の上吊車36の台板37の中央部に形成された軸受孔38を貫通して、そこに抜け止めされて回転可能に支持されている。したがって、第1の扉5は、吊持軸35を介して上吊車36により吊持されるとともに、上吊車36の軸受孔38に支持されて、回転可能である。
【0029】
上吊車36は、その台板37に回転自在に取り付けられた車輪39が、レール10a、10a上を転動するので、このレール10a、10aに沿って走行が可能である。その走行範囲は、回転扉3が閉鎖状態にあり、エアーダンパー18にピストンロッド19が収納されているときのピストンロッド19の先端19a近傍の位置から、回転扉3が完全に開放されたときの上枠体9の右端近傍の位置までである。
【0030】
次に、第1の扉5の右側上下端部が、第2の扉4の左側上下端部と相互に折り畳み自在に連結される部分の構造を説明する。先ず、第1の扉5と第2の扉4を折畳み可能に連結する連結部材40について説明する。連結部材40は、平板状の連結板41の片面から所定の間隔で2本の連結軸42、42が突出し、これら連結軸42、42に同一寸法の一対の歯車部材(図では、歯45が半円周部に沿って形成された平歯車を採用している)43、43の軸孔43aが嵌合されて、一対の歯車部材43、43が回転可能に支持され、相互に噛み合うように構成されている。また、各歯車部材43、43には、連結板41の軸孔43aを挟んで一対のネジ止め用の孔43b、43bが設けられている。なお、連結板41には、後述する歯車カバー46を取付るための一対のネジ止め用の孔41a、41aが設けられている。
【0031】
第2の扉4の本体部をなす扉部材11の連結側の縦辺に位置する左の側面と、第1の扉5の本体部をなす扉部材12の連結側の縦辺に位置する右の側面には、扉部材11、12の縦辺の長さを有する縦長の金属性の扉連結用枠部材20、20が扉部材11、12の縦辺に沿って取り付けられている。
【0032】
扉連結用枠部材20、20の外側部には、半円筒状の外周面を有するカバー部材50、50が嵌め込まれて張設されている。また、扉連結用枠部材20、20およびカバー部材50、50の上下の端面には、連結部材40、40が各一対の歯車部材43、43を扉連結用枠部材20、20に、それぞれ孔43b、43bにネジを挿入して取り付けられいる。こうして連結部材40、40が扉連結用枠部材20、20の上下の端面に固定されることで、扉部材11、12は、これらに取付けられた扉連結用枠部材20、20を介して、第1の扉5の右側上下端部が、第2の扉4の左側上下端部に連結され、これにより第1の扉5と第2の扉4とが相互に折り畳み可能に構成されている。
【0033】
そして、これら連結部材40、40には、外観がメガネ型形状で、上面が開口した箱状の歯車カバー46、46が被せられて取付けられている。歯車カバー46の底面には、連結部材40の連結板41の周囲を囲むように環状リブ48aが成形されており、環状リブ48aの内部は連結板41の収納部48となっている。また、歯車カバー46の底面の縁部には円弧状をした水抜き用のスリット47が断続的に形成されている。収納部48には、連結板41を収納したときに、連結板41に設けられたネジ止め用の孔41a、41aと、合致する位置に孔49、49が形成され、また、連結軸42、42と、合致する位置に孔49a、49aが形成されている。そして歯車カバー46は、これらの孔49a、49aに連結軸42、42を嵌合するとともに、孔49、49にネジを挿入して連結板41にネジ止めして、連結部材40に取付けられている。
【0034】
なお、この状態では、歯車部材43、43と扉連結用枠部材20、20との接合部はカバー部材50、50の上下の端面に接触しているが、メガネ型形状の歯車カバー46、46はカバー部材50、50の上下の端面との間に所定の間隙を有しており、第1の扉5と第2の扉4とが折り畳まれる際に歯車カバー46は、カバー部材50、50および扉部材11、12と接触しないように配置されている。
【0035】
歯車カバー46、46が連結部材40、40に取付けられて、扉連結用枠部材20、20の上下の端面に固定される際には、第1の扉5の右側上下端部の横補強枠5aの一端の円弧状の切り欠き5bと第2の扉4の左側上下端部の横補強枠4aの一端の円弧状の切り欠き4bとの間に円弧状の間隙を有しており、第1の扉5と第2の扉4とが折り畳まれる際に、第1の扉5と第2の扉4とは、横補強枠4a、5aの各円弧状の切り欠き4b、5bはメガネ型形状の歯車カバー46との間に円弧状の間隙を保って回動するので、歯車カバー46は、横補強枠4a,5aと接触することはない。
【0036】
次に、扉連結用枠部材20とカバー部材50との接合構造の実施例1〜3について、図4〜図6を参照してさらに詳細に説明する。図4(a)は、実施例1の扉連結用枠部材20とカバー部材50の概略説明図、図4(b)は、実施例1の扉連結用枠部材20とカバー部材50の係合構造の概略図、図5(a)は、実施例2の扉連結用枠部材20aとカバー部材50aの概略説明図、図5(b)は、実施例2の扉連結用枠部材20aとカバー部材50aの概略説明図、図6は、実施例3の概略説明図である。
【実施例1】
【0037】
図4(a)に実施例1の連結部を構成する扉連結用枠部材20とカバー部材50を示す。扉連結用枠部材20は金属または樹脂等により形成されたもので、外側に開口21を有する断面コ字状の取付溝部22を有しており、開口21内に第2の扉4の扉部材11(または、第1の扉5の扉部材12)の連結側の縦辺に位置する側面が嵌め込まれ、ネジにより扉部材11に取付けられている。取付溝部22の開口21の裏面には、扉連結用枠部材20の幅方向の外側に高さの低い突条23が設けられ、その内側に突条23と略同じ高さの低い突条24が設けられ、さらに内側に高さの高い突条25が、間隔を空けて幅方向に対称に向かい合って、それぞれ1対ずつ並行して縦辺に沿って設けられている。
【0038】
高さの高い1対の突条25、25の間に位置する開口21の裏面には、断面がC字状のリブ26で形成された溝部27が外側に開口28を有して設けられている。一対の突条25、25の先端は、歯車部材43を取付けるための一対のネジ止め用の孔41b,41bを有する断面C字状のネジ受け部26a,26aを形成してリブ26の外側に接続されている。突条25は、上記のネジ受け部26aの位置より先に伸びて、その先端は折り返されて、間隔を空けて高さの低い突条24との間に開口を有して向かい合うように設けられている。これにより、高さの高い突条25の一部を底面として、高い突条25の折り返された先端部25aと低い突条24とが係止壁を形成して外側に開口24aを有する溝状のフック受け部29が縦辺に沿って長尺に形成されている。なお、突条24と突条25aの先端部は、尖って外側に広がるテーパ状に形成されている。
【0039】
カバー部材50は、ゴムまたは樹脂等の弾力性のある素材により成形されたもので、内側に開口51を有する略半円筒状であり、半円筒の内部には外周に沿って厚みを持たせたC字状の補強用リブ52が形成されている。リブ52の内面には、端部側に突条53が設けられ、その内側に突条54が、間隔を空けて中央付近から対称に、それぞれ1対ずつ設けられている。また、カバー部材50の開口51の内面の両端縁には、先端に係止部55aを有して半円筒の中心に向かって所定長さ突出した断面T字状のフック55、55が、長尺に設けられている。カバー部材50の半円筒の外周には、中心付近から突出して端縁側に下降する断面円弧状をした1本の係合用突条57が縦辺に沿って長尺に設けられていて、閉扉時、両係合用突条57、57が係合して、扉が密閉される。
【0040】
扉連結用枠部材20のフック受け部29、29にカバー部材50のフック55、55を係合すると、図4(b)に示すようにカバー部材50のC字状の補強用リブ52の内面に設けた1対の突条53、53が扉連結用枠部材20のC字状のリブ26の外周面に当接し、この状態で1対の突条54、54がリブ26の開口28付近の両端部の外周面に当接し、フック受け部29にフック55が嵌合し、フック55は突条23により挿入できる位置が規制され、また、突条24からなる係止壁と係止壁25aにより係止部55aが抜け止めされて、カバー部材50はC字状のリブ26に略同軸に固定され、半円筒の外周が180度を大きく超えた範囲が巻きついた状態で扉連結用枠部材20に一体に接合される。
【実施例2】
【0041】
図5(a)に実施例2の連結部を示す。実施例2では、扉連結用枠部材20aのフック受け部60の形状と、カバー部材50aのフック56の形状、および半円筒の外周に設けられる1本の突条57aの形状が実施例1のものと異なるが、その他の構造は同じである。
【0042】
扉連結用枠部材20aは、実施例1の扉連結用枠部材20と同様に、外側に開口21を有する断面コ字状の取付溝部22を有している。取付溝部22の両縁部分は開口21の裏面に延長する一対の突条61、61となっている。また、取付溝部22の開口21の裏面には、断面がC字状のリブ26で形成された溝部27が外側に開口28を有して設けられている。一対の突条61、61は途中から中心方向に略直角に折れ曲がり、その折曲部62の端部側に段部62aを有して、折曲部62の先端部分が、歯車部材43を取付けるための一対のネジ止め用の孔41c,41cを有する断面C字状の一対のネジ受け部63,63を形成してリブ26に接続されている。リブ26の外周面には、折曲部62との間に間隔を有して並行に向かい合うように突条64が設けられている。この突条64は、折曲部62と共に溝を形成し、さらに突条64の先端部は途中から折曲部62に向かって略直角に折れ曲がり、上記溝の上部に係止壁65を形成して外側に開口66を有する鉤状のフック受け部60を形成している。このフック受け部60は縦辺に沿って長尺に形成されている。
【0043】
カバー部材50aは、内側に開口51を有する略半円筒状であり、半円筒の内部には外周に沿って厚みを持たせたC字状の補強用リブ52が形成されている。C字状の補強用リブ52の内面には、端部側に突条53が設けられ、その内側に突条54が、間隔を空けて中央付近から対称に、それぞれ1対ずつ設けられている。また、カバー部材50aの開口51の内面の両端縁には先端に係止部56aを有して半円筒の中心に向かって所定長さ突出した断面L字状のフック56、56が、縦辺に沿って長尺に設けられている。カバー部材50aの半円筒の外周には、中心付近から突出して端縁側に下降する断面鋭角状をした1本の突条57aが縦辺に沿って長尺に設けられていて、閉扉時、両係合用突条57a、57aが係合して、扉が密閉される。
【0044】
扉連結用枠部材20aのフック受け部60、60にカバー部材50aのフック56、56を係合すると、図5(b)に示すようにカバー部材50aのC字状の補強用リブ52の内面に設けた1対の突条53、53が扉連結用枠部材20aのC字状のリブ26の外周面に当接し、この状態で1対の突条54、54がリブ26の開口28付近の両端部の外周面に当接し、フック受け部60にフック56が嵌合し、フック56は段部62aにより挿入できる位置が規制され、また、係止壁65により係止部56aが抜け止めされて、カバー部材50aはC字状のリブ26に略同軸に固定され、半円筒の外周が180度までの範囲が巻きついた状態で扉連結用枠部材20aに一体に接合される。
【実施例3】
【0045】
図6に実施例3の連結部を示す。図6において、カバー部材50bの半円筒の外周には、中心付近から所定長さ突出した板状をした1本の係合用突条57bが縦辺に沿って長尺に設けられている。実施例3では、この係合用突条57bの形状が実施例2のものと異なるが、その他の構造は実施例2同じであるので、その説明は省略する。
【0046】
以上説明したように、本発明の回転折れ戸によれば、カバー部材の半円筒状内面の両側縁に中央部に突出するフックが設けられ、扉連結用枠部材の円筒部の側面には、扉連結用枠部材のフックと係合するフック受部が設けられ、フックがフック受部と係合すると扉連結用枠部材とカバー部材は互いが離反する方向やその交差方向の力に抗して、係合状態を維持するので、第1の扉および第2の扉の各カバー部材は扉連結用枠部材との間に隙間が生じても扉連結用枠部材に嵌め込まれた状態では、扉連結用枠部材から外れることはない。
【0047】
カバー部材50、50a、50bは、それぞれ半円筒の外周が扉連結用枠部材20に180度内外の範囲が巻きついた状態で一体に接合されるから、人が誤って手や足の指を挟んでしまった場合でもクッション効果があり安全性に配慮されている。特に実施例1のカバー部材50は、半円筒の外周が扉連結用枠部材20に180度を大きく超えた範囲が巻きついた状態で一体に接合されているので、クッション効果が最も大きく安全性の高いものである。
【0048】
また、折畳み連結手段には、一対の歯車対を受け入れる開口が設けられた歯車カバーが取付けられているので、一対の歯車対に子供が手や足の指を挟んでしまうことはなく安全である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更が可能であり、前記実施例に限定されないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態における回転折れ戸を備えた扉設備全体の正面図である。
【図2】図1の実施形態における回転折れ戸の作用説明図である。
【図3】(a)は、図1の実施形態における連結部材の歯車カバーの平面図、(b)は、同歯車カバーの底面図、(c)は、同歯車カバーの使用状態を説明するための一部を切欠いた概略説明図、(d)は、図3(a)のAA線断面図である。
【図4】(a)は、実施例1の扉連結用枠部材20とカバー部材50の概略説明図、(b)は、実施例1の扉連結用枠部材20とカバー部材50の係合構造の概略図である。
【図5】(a)は、実施例2の扉連結用枠部材20aとカバー部材50aの概略説明図、(b)は、実施例2の扉連結用枠部材20aとカバー部材50aの概略説明図である。
【図6】実施例3の概略説明図である。
【符号の説明】
【0051】
2 扉枠体
3 回転折れ戸
4 第2の扉
4a,5a 横補強枠
5 第1の扉
8 縦枠体
8a 内部折曲片
8b 外部折曲片
8c 柱部材
8d 凹部
9 上枠体
10 吊りレール部材
10a レール
11,12 扉部材
15,16,50,50a カバー部材
17 棒磁石
20,20a 扉連結用枠部材
21,24a,28,51,66 開口
22 取付溝部
23,24,25,53,54,61,64 突条
25a,65 係止壁
26 リブ
26a,63 ネジ受け
27 溝部
29,60 フック受け部
30,32 ヒンジ
31 ブラケット
33 回転軸
34 L字状ブラケット
35 吊持軸
36 上吊車
37 台板
38 軸受孔
39 車輪
40 連結部材
41 連結板
41a,41b,41c,43b,49 孔
42 連結軸
43 歯車部材
43a 軸孔
45 歯
46 歯車カバー
47 スリット
48 収納部
48a 環状リブ
52 補強用リブ
55,56 フック
55a,56a 係止部
57,57a, 係合用突条
62 折曲部
62a 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の扉と第2の扉とが、一鉛直面に沿い相互に隣接して折畳み可能に連結されるとともに、該両扉の連結部分の近傍を中心に折畳み可能に構成され、前記両扉の内側上下端部を相互に枢支した連結部材と、該連結部材の連結軸と同芯でかつ前記両扉に一体に結合されるとともに、相互に噛み合う同一寸法の一対の歯車対とからなる折畳み連結手段を有し、縦長の扉連結用枠部材が長方形状をなす前記第1の扉と第2の扉の連結側の縦辺に沿って取付けられ、該扉連結用枠部材の外側部に半円筒状の外周面を有するカバー部材が嵌め込まれて張設される回転折れ戸において、
前記カバー部材の半円筒状内面の両側縁に中央部に突出すフックが設けられ、前記扉連結用枠部材の前記外側部の側面には、前記扉連結用枠部材のフックと係合するフック受部が設けられ、フックがフック受部と係合すると前記扉連結用枠部材と前記カバー部材は互いが離反する方向やその交差方向の力に抗して、前記係合状態を維持することを特徴とする回転折れ戸。
【請求項2】
前記折畳み連結手段には、前記一対の歯車対を受け入れる開口が設けられた歯車カバーが取付けられていることを特徴とする請求項1記載の回転折れ戸。
【請求項3】
前記歯車カバーには水抜き用にスリットが設けられていることを特徴とする請求項2記載の回転折れ戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−83513(P2006−83513A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266158(P2004−266158)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(501337856)株式会社スギモト創建 (4)
【Fターム(参考)】