説明

回転数変換装置、およびそれを用いた電気機械装置、アクチュエーター、ロボット、ロボットハンド

【課題】回転数変換装置、電気機械装置を小型化する技術を提供する。
【解決手段】回転数変換装置であって、導電線を通過させる中空部を有する中心軸と、前記中心軸の周りに配置され、回転中心が前記中心軸からずれており、外部の駆動装置の駆動軸が接続可能な第1の歯車と、前記第1の歯車と咬み合う入力部を有し、回転中心が前記中心軸と同心である回転数変換機構と、前記第1の歯車と、前記回転数変換機構と、を内部に格納し、前記第1の歯車の回転中心の延長上に前記外部の駆動装置の駆動軸を通過させる開口部を有するケーシングと、を備え、前記ケーシングは、前記ケーシングの外周を前記中心軸と平行な方向に延長した仮想的な筒形状の内部に前記外部駆動装置が収まるように、前記外部駆動装置が接続されるケーシングである、回転数変換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転数変換装置、電気機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの関節部位を駆動する動力源としては、通常、モーターが用いられる(下記特許文献1等)。モーターは、一般に、モーターの回転速度やトルクを調整する減速機などの回転機構と接続されて用いられる。ロボットを小型化するためには、モーターや回転機構をよりコンパクトに構成することが望ましい。これまで、こうした要求に対して十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−159847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、回転数変換装置、電気機械装置を小型化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
回転数変換装置であって、導電線を通過させる中空部を有する中心軸と、前記中心軸の周りに配置され、回転中心が前記中心軸からずれており、外部の駆動装置の駆動軸が接続可能な第1の歯車と、前記第1の歯車と咬み合う入力部を有し、回転中心が前記中心軸と同心である回転数変換機構と、前記第1の歯車と、前記回転数変換機構と、を内部に格納し、前記第1の歯車の回転中心の延長上に前記外部の駆動装置の駆動軸を通過させる開口部を有するケーシングと、を備え、前記ケーシングは、前記ケーシングの外周を前記中心軸と平行な方向に延長した仮想的な筒形状の内部に前記外部駆動装置が収まるように、前記外部駆動装置が接続されるケーシングである、回転数変換装置。
この回転数変換装置によれば、回転機構の少なくとも一部がローターの収容空間に収容されて、回転を発生させるローターと、それを伝達する回転機構とが一体的に構成されるとともに、外部駆動装置をケーシングの外周より内側に収めることが出来るので、回転数変換装置が小型化される。
【0007】
[適用例2]
適用例1に記載の回転数変換装置において、前記回転数変換機構は、前記回転数変換機構の中心部に配置されたサンギアと、前記回転数変換機構の外周部に配置されたアウターギアと、前記サンギアと前記アウターギアとの間に配置されたプラネタリーギアと、前記プラネタリーギアが接続されたプラネタリーキャリアと、を有する遊星ギアを含み、前記回転数変換機構は、前記サンギアと前記アウターギアと前記プラネタリーキャリアの3つのうちの1つが前記第2の歯車と接続または一体に構成された入力であり、残り2つのうちの1つが前記ケーシングと固定され、残りの1つが出力である、回転数変換装置。
この回転数変換装置によれば、遊星ギアとローターとが一体的に構成されるため、回転数変換装置が小型化される。
【0008】
[適用例3]
適用例1に記載の回転数変換装置において、前記回転数変換機構は、前記回転数変換機構の中心部に配置されたウェーブジェネレーターと、前記回転数変換機構の外周部に配置されたサーキュラスプラインと、前記ウェーブジェネレーターと前記サーキュラスプラインとの間に配置されたフレックススプラインと、を有するハーモニックドライブ(「ハーモニックドライブ」は登録商標)機構を含み、前記回転数変換機構は、前記ウェーブジェネレーターと、前記サーキュラスプラインと、前記フレックススプラインの3つのうちの1つが前記第2の歯車と接続または一体に構成された入力であり、残り2つのうちの1つが前記ケーシングと固定され、残りの1つが出力である、回転数変換装置。
この回転数変換装置によれば、ハーモニックドライブ(登録商標)機構とローターとが一体的に構成されるため、回転数変換装置が小型化される。
【0009】
[適用例4]
適用例1に記載の回転数変換装置において、前記回転数変換機構は、外縁にエピトロコイド平行曲線形状を有し中心に形成された第1の孔と前記第1の孔の周りに形成された複数の第2の孔とを有する曲線板と、前記曲線板の前記エピトロコイド平行曲線と接するように配置される外ピンと、前記第2の孔の中に配置される内ピンと、前記第1の孔の中に配置される偏心体と、を有するサイクロ機構を含み、前記偏心体と前記外ピンと前記内ピンの3つのうちの1つが前記第2の歯車と接続または一体に構成された入力であり、残り2つのうちの1つが前記ケーシングと固定され、残りの1つが出力である、回転数変換装置。
この回転数変換装置によれば、サイクロ機構とローターとが一体的に構成されるため、回転数変換装置が小型化される。
【0010】
[適用例5]
適用例1〜4のいずれか一つに記載の回転数変換装置において、前記回転数変換機構が増速機として機能する場合には、前記第1の歯車は、前記入力部よりも大きく設定されており、前記回転数変換機構が減速機として機能する場合には、前記第1の歯車は、前記入力部よりも小さく設定されている、回転数変換装置。
この回転数変換装置によれば、増速比あるいは、減速比をより大きくすることが可能となる。
【0011】
[適用例6]
電気機械装置であって、適用例1〜5のいずれか一つの適用例に記載の回転数変換装置と、前記ケーシングの外周を前記中心軸と平行な方向に延長した仮想的な筒形状の内部に収まるように前記ケーシングに接続された外部駆動装置と、を備える、電気機械装置。
この適用例によれば、外周を前記中心軸と平行な方向に延長した仮想的な筒形状の内部に収まるようにケーシングに外部駆動装置が接続されるので、電気機械装置の小型化が可能である。
【0012】
[適用例7]
アクチュエーターであって、適用例6に記載の電気機械装置を備える、アクチュエーター。
このアクチュエーターによれば、駆動源として小型化された電気機械装置を用いるため、よりコンパクトな構成とすることが可能である。
【0013】
[適用例8]
ロボットであって、基部と、前記基部を移動させる駆動部と、を備え、前記駆動部は、適用例6に記載の電気機械装置を含む、ロボット。
【0014】
[適用例9]
ロボットであって、基部と、前記基部に対して相対的に運動する運動部と、前記運動部を前記基部に対して運動させる駆動部と、を備え、前記駆動部は、適用例6に記載の電気機械装置を含む、ロボット。
【0015】
[適用例10]
ロボットハンドであって、基部と、前記基部に配置され、対象物を把持する把持部と、前記把持部を駆動して前記把持部に対して前記対象物を把持させる駆動部と、を備え、前記駆動部は、適用例7に記載のアクチュエーターを含む、ロボットハンド。
【0016】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、回転数変換装置の他、それを用いた電気機械装置(モーター)、アクチュエーターやロボット、ロボットアーム、移動体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例としてのロボットアーム10(「ロボットハンド」とも呼ぶ。)の構成を示す概略図である。
【図2】本実施例の参考例としてのロボットアーム10cfを示す概略図である。
【図3】動力発生装置100の内部構成を示す概略断面図である。
【図4】動力発生装置100の各構成部を分解して示す概略分解断面図である。
【図5】回転機構部130の内部において回転駆動力が伝達される機構を説明するための模式図である。
【図6】本実施例の他の構成例としての動力発生装置100aの構成を示す概略図である。
【図7】本実施例の他の構成例としての動力発生装置100bの構成を示す概略図である。
【図8A】第1実施例の変形例を示す説明図である。
【図8B】第1実施例の変形例を示す説明図である。
【図8C】第1実施例の変形例を示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施例としての回転機構部130Aの内部構成を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第2実施例としての回転機構部130Aの構成を示す概略図である。
【図11】回転機構部130Aの二段式の遊星ギアにおいて回転駆動力が伝達される機構を説明するための、模式図である。
【図12】本発明の第3実施例としての回転機構部130Bの内部構成を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第3実施例としての回転機構部130Bの構成を示す概略図である。
【図14】回転機構部130Bの内部において回転駆動力が伝達される機構を説明するための模式図である。
【図15】本発明の第3実施例としての回転機構部130Cの内部構成を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第3実施例としての回転機構部130Cの構成を示す概略図である。
【図17】本発明の第5実施例としての回転機構部130Cの内部において回転駆動力が伝達される機構を説明するための模式図である。
【図18】本発明の第5実施例としての回転機構部130Dの構成を示す概略断面図である。
【図19】回転機構部130Dにおいて、回転軸170に換えてローター121に取り付けられる回転軸の種類を例示する概略図である。
【図20】本発明の第6実施例としての回転機構部130Eの内部構成を示す概略断面図である。
【図21】本発明の第6実施例としての回転機構部130Eの構成を示す概略図である。
【図22】サイクロ機構を模式的に示す説明図である。
【図23】第6の実施例の変形例としての回転機構部130Fの構成を示す概略図である。
【図24】第7の実施例としての回転機構部130Gの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施例:
図1(A),(B)は本発明の一実施例としてのロボットアーム10(「ロボットハンド」とも呼ぶ。)の構成を示す概略図である。図1(A)は、ロボットアーム10の変形態様を示す模式図であり、変形前のロボットアーム10と、変形後のロボットアーム10とが図示されている。なお、図1(A)には、互いに直交する3次元矢印x,y,zが図示されている。
【0019】
ロボットアーム10は、4つの基体部11〜14を備える。4つの基体部11〜14はそれぞれ、第1〜第3の関節部J1〜J3を介して、互いに直列に連結されている。以後、ロボットアーム10において、第1の基体部11側を「後端側」と呼び、第4の基体部14側を「先端側」と呼ぶ。
【0020】
ロボットアーム10は、各関節部J1〜J3における回動により、各基体部11〜14の連結角度が変わり、全体として湾曲状の形態に変形する。なお、図1(A)では、ロボットアーム10の変形後の態様として、ロボットアーム10が紙面上側に向かって湾曲した状態が図示されている。
【0021】
図1(B)は、ロボットアーム10の内部構成を示す概略断面図である。なお、図1(B)には、図1(A)と対応するように三次元矢印x,y,zが図示されている。各基体部11〜14の内部は中空であり、各関節部J1〜J3の動力源である動力発生装置100と、動力発生装置100からの駆動力が伝達される2つのベベルギア(かさ歯車)21,22と、が収容されている。以下では、第1と第2の基体部11,12を連結する第1の関節部J1の構成について説明する。なお、第2と第3の基体部12,13を連結する第2の関節部J2および第3と第4の基体部13,14を連結する第3の関節部J3の構成は、第1の関節部J1の構成と同様であるため、その説明は省略する。
【0022】
動力発生装置100は、電磁力により回転駆動力を発生するモーター部120と、回転機構部130(回転数変換機構)と、を有している。回転機構部130は円筒形をしており、モーター部120は回転機構部130の回転中心から外側にずれた位置に配置している。動力発生装置100の詳細な内部構成については後述する。動力発生装置100は、第1の基体部11の先端側に配置されており、第1のベベルギア21の回転軸と接続されている。第1のベベルギア21は、その回転軸が第1と第2の基体部11,12の境界を貫通するように配置され、回転軸の先端に設けられた歯車部(ギア部)が第2の基体部12内に配置されている。
【0023】
第2のベベルギア22は、第2の基体部12の後端側において、そのギア部が第1のベベルギア21のギア部と連結するように、第2の基体部12の内壁面に固定的に取り付けられている。動力発生装置100から伝達された回転駆動力によって、第1のベベルギア21が回転する。第1のベベルギア21の回転により、第2のベベルギア22が回転し、第2の基体部12が回動する。
【0024】
ところで、ロボットアーム10の内部には、各回転機構部130に電力や制御信号を送信するための導電線の束である導電線束25が挿通されている。具体的には、導電線束25は、後端側から第1の基体部11の内部に挿通され、その一部の導電線が分岐して第1の基体部11内のモーター部120の接続部に接続される。そして、残りの導電線束25は、回転機構部130の中央を通る貫通孔(後述)と、第1のベベルギア21の中心軸を貫通する貫通孔(図示は省略)とを通って、第2の基体部12へと延びる。
【0025】
導電線束25は、第2の基体部12においても、同様に配設されている。即ち、第2の基体部12内部に挿通された導電線束25は、その一部がモーター部120に接続され、残りが、回転機構部130および第1のベベルギア21の内部を通って、第3の基体部13へと挿通される。そして、第3の基体部13に挿通された導電線束25は、モーター部120に接続される。なお、第4の基体部14には、モーター部120がないので、導電線束25は、第3の基体部13のモーター部120に接続されているが、第3の基体部13の回転機構部130及び第1のベベルギア21の内部を通っていない。
【0026】
図2(A),(B)は、本実施例の参考例としてのロボットアーム10cfを示す概略図である。図2(A),(B)は、導電線束25が動力発生装置100および第1のベベルギア21の外部に配線されている点以外は、図1(A),(B)とほぼ同じである。
【0027】
この参考例のロボットアーム10cfでは、導電線束25が各関節部J1〜J3において外部に露出されている。そのため、ロボットアーム10cfの変形に伴って、各関節部J1〜J3において、導電線束25が各基体部11〜14に挟まれるなどして劣化してしまう可能性がある。また、導電線束25が外部に露出していることにより、ロボットアーム10cfの意匠性を低下させてしまう可能性がある。しかし、本実施例のロボットアーム10であれば、導電線束25の外部に露出していないため、こうした不具合の発生が抑制されている。
【0028】
図3は、動力発生装置100の内部構成を示す概略断面図であり、図4は、動力発生装置100の各構成部を分解して示す概略分解断面図である。なお、図3および図4には、動力発生装置100に接続される第1のベベルギア21の回転軸が二点鎖線で図示されている。動力発生装置100は、中心軸110と、モーター部120と、回転機構部130とを備える。
【0029】
中心軸110は、回転機構部130の中央を貫通するように配置されている。モーター部120は、中心軸110からずれた位置で回転機構部130と接続されている。中心軸110は、軸方向に延びる貫通孔111を有しており、貫通孔111には、導電線束25が挿通されている。
【0030】
回転数機構部130は、ケーシング122と、第1の歯車123と、ローター121と、ギア固定部131と、プラネタリーギア132と、負荷接続部133と、を備える。ケーシング122は、略円筒形状の中空容体であり、内部に第1の歯車123と、ローター121と、ギア固定部131と、プラネタリーギア132と、を収容する。ケーシング122は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;carbon fiber reinforced plastics)などの樹脂材料によって構成されるものとしても良い。これによって、回転機構部130の軽量化が可能である。
【0031】
ケーシング122の底面の中央には、中心軸110を挿通するための貫通孔1221が形成されている。中心軸110とケーシング122とは互いに固定的に取り付けられる。なお、ケーシング122の外側には、中心軸110の保持性を向上させるための軸受けリング113が勘合的に取り付けられている。また、ケーシング122の底面の中央からズレた位置には、外付けされるモーター部120の回転軸125を通すための開口127が設けられている。
【0032】
第1の歯車123は、外周にギア歯123tを有しており、第1の歯車123の中心は、モーター部120の回転軸125と接続されている。ローター121は、ローター入力部1212と、ローター出力部1213を有する。ローター出力部1213は円筒形状を有しており、ローター入力部1212は、円盤形状をしている。ローター入力部1212の外縁部にはギア歯1212tが設けられており、ローター出力部1213の円周に沿った外縁部にはギア歯1213tが設けられている。ローター入力部1212と、ギア歯1212tと、で第2の歯車を形成している。そして、第1の歯車123と第2の歯車とは咬み合っており、第1の歯車123と第2の歯車とは、第1の回転数変換機構を構成している。本実施例では、第1の歯車123の歯数が第2の歯車の歯数よりも小さいため、第1の回転数変換機構は減速機として機能する。ローター出力部1213とギア歯1213tとで、後述する遊星ギアのサンギアとして機能する。ローター入力部は、モーター部120からの入力を、第1の歯車123を介して受ける入力部として機能し、ローター出力部1213は、ローター121の出力部として機能する。なお、ギア歯1213tを有するローター出力部1213を「ローターギア1213」とも呼ぶ。また、ローター121の中心軸110側は開口部1211となっており、開口部1211には、軸受け部112が配置されている。したがって、ローター121は中心軸110の周りを回転する。軸受け部112は、例えば、ボールベアリングによって構成することができる。
【0033】
ギア固定部131は、アウターギア部1311と、鍔部1312とを備える。アウターギア部1311は、略円環形状有しており、略円環状の内壁面にギア歯131tを備えている。アウターギア部1311は、後述する遊星ギアのアウターギアとして機能する。鍔部1312は、アウターギア1311の外周に突出したツバ状の形状を有している。ギア固定部131は、鍔部1312の外縁部において、ケーシング122の側壁端面と、固定用ボルト114によって締結されている。本実施例では、アウターギア部1311は回転せず、ケーシング122と固定である。
【0034】
プラネタリーギア132は、円筒形を有し、中心に回転軸132sと、外周にギア歯132tと、を有している。プラネタリーギア132は、ローター出力部1213とアウターギア部1311との間にN個(Nは2以上の整数)あり、N回回転対称に配置されている。プラネタリーギア132のギア歯132tは、ローター出力部1213のギア歯1213t及びアウターギア部1311のギア歯131tと咬み合っている。プラネタリーギア132は、その名のとおり、遊星ギアのプラネタリーギアとして機能する。
【0035】
負荷接続部133は、略円筒形状の部材である。負荷接続部133の底面の中央には、中心軸110を挿通する貫通孔1331が設けられている。貫通孔1331の内壁面と、中心軸110の外周面との間には、負荷接続部133が中心軸110を中心に回転可能とするための軸受け部112が配置されている。なお、負荷接続部133に取り付けられた軸受け部112と、ローター121に取り付けられた軸受け部112との間には、スペーサー115が配置される。
【0036】
ここで、ギア固定部131の中央部には、アウターギア1311の内周空間に連通する略円形形状の開口部1313が形成されており、負荷接続部133は、その開口部1313に配置される。ギア固定部131と負荷接続部133とは、接続されていない。負荷接続部133のプラネタリーギア132側(図3および図4の紙面右側)の底面には、プラネタリーギア132の回転軸132sを回転可能に保持するための軸孔1332が形成されている。
【0037】
ローター出力部1213が回転すると、プラネタリーギア132は、回転軸132s周りに自転すると共に、ローター出力部1213周りに公転する。このとき、回転軸132sも、ローター出力部1213周りに公転する。負荷接続部133は、回転軸132sの公転運動を、負荷接続部133自身の自転運動に変換する。すなわち、負荷接続部133は、遊星ギアのプラネタリーキャリアとして機能する。本実施例では、サンギアであるローター出力部1213(ローターギア1213)が入力、プラネタリーギアである負荷接続部133が出力となるため、遊星ギアは減速機として機能する。
【0038】
負荷接続部133の外側(図3および図4の紙面左側)の底面には、中心軸110の保持性を向上させるための軸受けリング113が勘合的に取り付けられている。負荷接続部133の外側の底面には、さらに、第1のベベルギア21の回転軸が、固定用ボルト114によって固定されている。
【0039】
図5は、回転機構部130の内部において回転駆動力が伝達される機構を説明するための模式図である。図5には、中心軸110の軸方向に沿って回転機構部130を見たときの、ローターギア1213と、プラネタリーギア132と、アウターギア1311と、負荷接続部133とが模式的に図示されている。ここでは、プラネタリーギア132の個数を3個として図示するが、本実施例では、プラネタリーギア132の公転を出力とするので、プラネタリーギア132の個数が2個あるいは、4個以上であっても、動作は同じである。なお、図5では、便宜上、各ギアのギア歯の図示は省略されている。
【0040】
回転機構部130において、外部に接続されたモーター部120の回転により第1の歯車123が回転し、さらに、ローター121が回転する。ローター121の回転にともなってサンギアであるローターギア1213が、一点鎖線の矢印で図示する方向に回転する。上述したとおり、アウターギア1311は固定配置されているため、ローターギア1213の回転に伴って、各プラネタリーギア132が、自身の回転軸132sを中心に実線矢印で図示する方向に回転(「自転」とも呼ぶ。)しつつ、ローターギア1213の周りを二点鎖線の矢印で示す方向に周回移動(「公転」とも呼ぶ。)する。各プラネタリーギア132の周回移動に伴って、負荷接続部133が回転し、負荷接続部133に接続された第1のベベルギア21(図1)が回転する。
【0041】
本実施例の回転機構部130では、内部に、第1の歯車123と、ローター121の第2の歯車からなる第1の減速機構と、ローターギア1213と、ギア固定部131と、プラネタリーギア132と、負荷接続部133と、を有している第2の減速機構(遊星ギア)を有している。このような第1の減速機構と、第2の減速機構の2つの減速機構構成とを備える構成を採用することにより、減速比をより大きく取ることができる。また、回転機構部130の内部にモーターを有さず、モーター部120を外部に配置して第1の歯車に接続しているので、回転数機構部130を小さく、特に細く形成することが出来る。また、ローター121を小さくできるので、軽量化が可能である。この回転機構部130を用いることにより、ロボットアーム10を小型化・軽量化することが可能である。
【0042】
また、回転機構部130では、ローター121の回転駆動を制御するための導電線束25が、中心軸110の内部に挿通されている。従って、この回転機構部130を用いることにより、導電線束25の配設性が向上する。また、導電線束25が外部に露出することを回避でき、ロボットアーム10の駆動に伴う導電線束25の劣化を抑制するとともに、ロボットアーム10の意匠性の向上が可能である。
【0043】
B.第1実施例の他の構成例:
図6(A)は、本実施例の他の構成例としての動力発生装置100aの構成を示す概略図である。図6(A)は、回転機構部130の代わりにブラシシール部140が設けられている点回転機構部130aが用いられている以外は、図3とほぼ同じである。ブラシシール部140は、負荷接続部133の側面と、ギア固定部131の開口部1313の内周面との間に設けられ、回転機構部130aの内部への塵芥の侵入を抑制する。これによって、回転機構部130aの劣化が抑制される。
【0044】
図6(B)は、本実施例の他の構成例としての動力発生装置100bの構成を示す概略図である。図6(B)の回転機構部130bは、ブラシシール部140に換えて、ゴムシール部141が設けられている点以外は、図6(A)の回転数機構部130aとほぼ同じである。ゴムシール部141は、負荷接続部133の側面と、ギア固定部131の開口部1313の内周面との間に設けられ、回転機構部130bを気密にシールする。これによって、気流による回転機構部130bにおけるギアやローターの回転損失を低減することができる。
【0045】
図7(A)は、本実施例の他の構成例としての動力発生装置100cの構成を示す概略図である。図7(A)の回転機構部130cは、負荷接続部133に換えて、負荷接続部133cが設けられ、第1のベベルギア21の回転軸を示す二点鎖線が省略されている点以外は図3とほぼ同じである。図7(A)の構成例における回転機構部130cは、第1実施例の回転機構部130とは異なり、ロボットアーム10とは異なる構成を有するアクチュエーターやマニピュレーターに用いられる。
【0046】
図7(A)に示す構成例では、負荷接続部133cは、ギア固定部131から突出した側壁面にギア歯133tが設けられた平歯車と一体的に構成されている点以外は、第1実施例の負荷接続部133(図3)と同様に構成されている。即ち、この構成例では、負荷接続部133cが、プラネタリーキャリアとして機能するとともに、外部負荷へと回転駆動力を伝達するギアとしても機能する。
【0047】
図7(B)は、本実施例の他の構成例としての動力発生装置100dの構成を示す概略図である。図7(B)の回転機構部130dは、負荷接続部133dがベベルギアと一体的に構成されている点以外は、図7(A)の回転機構部130cと同様の構成である。図7(A)、(B)の負荷接続部133c、133dに示すように、負荷接続部は、種々のタイプのギアと一体的に構成することが可能である。
【0048】
図8Aは、第1実施例の変形例を示す説明図である。図8Aに示す動力発生装置100eは、回転機構部130eにモーター部120を2個接続している点以外は、図3に示す構成例と同様の構成である。なお、モーター部120の数は2個以外の数、例えば3個以上であってもよい。モーター部120を多数個有することにより、駆動トルクを大きくできる。また、1つ1つのモーター部120を小型化することもできる。
【0049】
図8Bは、第1実施例の変形例を示す説明図である。図8Bに示す動力発生装置100fは、回転機構部130fの第1の歯車123と第2の歯車を傘歯にした点以外、図3に示す構成例と同様の構成である。歯車を傘歯にすることにより、バッククラッシュを抑制することができる。
【0050】
図8Cは、第1実施例の変形例を示す説明図である。図8Cに示す動力発生装置100gは、回転機構部130gのケーシング122gと中心軸110との間に軸受け112を設けている点、及び、負荷接続部133と中心軸122との間の軸受けを取り除いて負荷接続部133と中心軸122とを接続している点を除いて、図3に示す構成例と同様の構成である。図3に示す構成では、中心軸110は回転しないが、図8Cに示す構成例では、中心軸110は、負荷接続部133とともに回転する。
【0051】
C.第2実施例:
図9,図10は本発明の第2実施例としての回転機構部130Aの構成を示す概略図である。図9は、回転機構部130Aの内部構成を示す概略断面図であり、図10は、回転機構部130Aの各構成部を分解して示す概略分解断面図である。なお、図9、10において、モーター部120(図3等)は省略されている。この回転機構部130Aは、遊星ギアを二段重ねた減速機を有しており、以下の点が第1実施例の回転機構部130(図3,図4)と異なる。
【0052】
第2実施例の回転機構部130Aのギア固定部131Aには、中心軸110の軸方向に並列に重ねて設けられた第1と第2のアウターギア1311a,1311bが設けられている。
【0053】
第1のアウターギア1311aは、ローターギア1213と第1のプラネタリーギア132aを介して連結される。即ち、ローターギア1213は、一段目の遊星ギアにおけるサンギアとして機能する。第1のプラネタリーギア132aは、プラネタリーキャリア135に回転可能に取り付けられる。
【0054】
プラネタリーキャリア135は、比較的径が大きい円筒形状の前段部1351と、比較的経の小さい円筒形状の後段部1352とが連接された回転部材である。プラネタリーキャリア135の前段部1351は、第1と第2のアウターギア1311a,1311bの間に配置され、その底面に第1のプラネタリーギア132aの回転軸132sを保持するための軸孔1354が設けられている。後段部1352は、側壁面にギア歯135tが形成されるとともに、第2のアウターギア1311bの内周空間に配置される。
【0055】
なお、プラネタリーキャリア135の中央部には、中心軸110を挿通するための貫通孔1353が、前段部1351および後段部1352をともに貫通して設けられている。貫通孔1353と中心軸110との間には、プラネタリーキャリア135を回転可能とするための軸受け部112が配置される。なお、軸受け部112同士の間には、適宜、スペーサー115が配置される。
【0056】
プラネタリーキャリア135の後段部1352と、第2のアウターギア1311bとの間には、第2のプラネタリーギア132bが配置される。即ち、後段部1352は、二段目の遊星ギアにおけるサンギアとして機能する。第2のプラネタリーギア132bは、プラネタリーキャリアとして機能する負荷接続部133に、回転可能に取り付けられる。
【0057】
図11(A),(B)は、回転機構部130Aの二段式の遊星ギアにおいて回転駆動力が伝達される機構を説明するための、図5と同様な模式図である。図11(A)には、ローターギア1213と、第1のプラネタリーギア132aと、第1のアウターギア1311aと、プラネタリーキャリア135の前段部1351とで構成される一段目の遊星ギアが図示されている。一段目の遊星ギアでは、ローターギア1213の回転に伴って、第1のプラネタリーギア132aが自身の回転軸132sを中心に回転しつつ、ローターギア1213の外周を周回移動する。第1のプラネタリーギア132aの周回移動に伴って、プラネタリーキャリア135の前段部1351が回転する。
【0058】
なお、図11(A)では、ローターギア1213の回転方向を一点鎖線の矢印で図示し、第1のプラネタリーギア132aの回転方向を実線の矢印で図示してある。また、第1のプラネタリーギア132aの周回移動の方向、即ち、プラネタリーキャリア135の回転方向を二点鎖線の矢印で図示してある。
【0059】
図11(B)には、プラネタリーキャリア135の後段部1352と、第2のプラネタリーギア132bと、第2のアウターギア1311bと、負荷接続部133で構成される二段目の遊星ギアが図示されている。二段目の遊星ギアでは、プラネタリーキャリア135の後段部1352の回転に伴って、第2のプラネタリーギア132bが自身の回転軸132sを中心に回転しつつ、プラネタリーキャリア135の後段部1352の外周を周回移動する。第2のプラネタリーギア132bの周回移動に伴って、負荷接続部133が回転し、負荷接続部133に接続された外部負荷に回転駆動力が伝達される。
【0060】
なお、図11(B)では、プラネタリーキャリア135の後段部1352の回転方向を二点鎖線の矢印で図示し、第2のプラネタリーギア132bの回転方向を実線の矢印で図示してある。また、第2のプラネタリーギア132bの周回移動の方向、即ち、負荷接続部133の回転方向を破線の矢印で図示してある。
【0061】
このように、第2実施例の回転機構部130Aは、より高トルクの回転駆動力の出力が可能な減速機として二段式の遊星ギアを、ケーシング122に収容し、小型化されている。この回転機構部130Aをロボットアーム10(図1)に適用すれば、第1実施例の場合より高いトルクで、第1〜第3の関節部J1〜J3を回動させることができる。なお、回転数機構部130Aでは、さらに多くの段数を有する遊星ギアが構成されるものとしても良い。
【0062】
D.第3実施例:
図12,図13は、本発明の第3実施例としての回転機構部130Bの構成を示す概略図である。図12は、回転機構部130Bの内部構成を示す概略断面図であり、図13は、回転機構部130Bの各構成部を分解して示す概略分解断面図である。この回転機構部130Bは、増速機として機能する遊星ギアとモーターとを一体化した構成を有しており、ベベルギア21に回転駆動力を伝達する。ベベルギア21は外部負荷となる。回転機構部130Bは、以下の点が第1実施例の回転機構部130(図3,図4)と異なる。
【0063】
第3実施例の回転機構部130Bは、ローター121Bを備える。ローター121Bは、中央に設けられたローター出力部1213に加えてローター出力部1213Bが外周に設けられている。そして、ローター出力部1213にはギア歯が設けられず、ローター出力部1213の内周面にギア歯1213tBが設けられている。第3実施例の回転機構部130Bでは、ローター121Bが遊星ギアのアウターギアとして機能し、また、遊星ギアの入力として機能する。なお、ローター出力部1213とローター出力部1213Bは、円盤部1213Cにより接続されている。また、中心軸110はケーシング122に固定されている。
【0064】
回転機構部130Bは、サンギア136を備える。サンギア136は、中央に中心軸110を挿通するための貫通孔1361が設けられた略円筒状の部材であり、側壁面にギア歯136tが形成されている。貫通孔1361は、ローター121Bの中央のローター出力部1213を、空隙を残しつつ収容可能な前段部1361aと、中心軸110と固定的に接続される後段部1361bとを有する。したがって、本実施例においては、サンギア136は回転せず、遊星ギアの固定部として機能する。
【0065】
プラネタリーギア132は、ギア歯1213tBおよびギア歯136tの両方と咬み合うように配置され、サンギア136とアウターギアであるローター121Bとを連結する。プラネタリーギア132は、プラネタリーキャリアとして機能する負荷接続部133に回転可能に取り付けられる。負荷接続部133には、ベベルギア21の回転軸(二点鎖線で図示)が固定用ボルト114によって取り付けられている。
【0066】
図14は、回転機構部130Bの内部において回転駆動力が伝達される機構を説明するための図11と同様な模式図である。サンギア136は中心軸110に固定されているため、アウターギアであるローター121Bの回転に伴って、プラネタリーギア132は、自身の回転軸132sを中心に回転するとともに、サンギア136の外周を周回移動する。プラネタリーギア132の周回移動に伴って、プラネタリーキャリアである負荷接続部133が回転する。
【0067】
なお、図14では、ローター121Bの回転方向が一点鎖線の矢印で図示され、プラネタリーギア132の回転方向が実線の矢印で図示されている。また、図14では、プラネタリーギア132の周回移動の方向、即ち、負荷接続部133の回転方向が、二点鎖線の矢印で図示されている。
【0068】
このように、第3実施例の回転機構部130Bであれば、増速機として機能する遊星ギアがギア歯1213tBとギア歯136tとの間に収容され、小型化されている。従って、この動力発生装置100Bを用いれば、高速な回転駆動力を要するアクチュエーターやマニピュレーターを、よりコンパクトに構成することが可能である。
【0069】
上記の第1の実施例では、遊星ギアを減速機として機能させ、第3の実施例では、遊星ギアを増速機として機能させている。遊星ギアにおいては、サンギア(SG)とアウターギア(OG)とプラネタリーキャリア(PC)の3つのうちの1つを入力部とし(ローター121と一体的に設けられ、あるいは接続され)、残り2つのうちの1つを出力部とし(負荷接続部133と一体的に設けられ、あるいは接続され)、残りの1つを固定部としても(ステーター(ケーシング122)と一体に設けられ、あるいは接続されても)よい。遊星ギアでは、サンギア(SG)とアウターギア(OG)とプラネタリーキャリア(PC)とを、入力部と固定部と出力部と、のどれに割り当てるかにより、遊星ギアを減速機あるいは増速機として用いることが決めることが出来る。逆に言えば、遊星ギアを、減速機あるいは、増速機として用いるかにより、入力部、固定部、出力部をどれにするかを決定することになる。また、そのときの減速比(増速比)は、サンギア(SG)とアウターギア(OG)の歯数により決定することが出来る。
【0070】
サンギアの歯数をZa、アウターギアの歯数をZcとすると、各状態における減速比及び入力部の回転方向に対する出力部の回転方向は、以下のように示される。
SG OG PC 減速比 増減速 回転方向
入力部 固定部 出力部 Za/(Za+Zc) 減速 同方向
固定部 入力部 出力部 Zc/(Za+Zc) 減速 同方向
固定部 出力部 入力部 (Za+Zc)/Zc 増速 同方向
出力部 固定部 入力部 (Za+Zc)/Za 増速 同方向
入力部 出力部 固定部 −Za/Zc 減速 逆方向
出力部 入力部 固定部 −Zc/Za 増速 逆方向
【0071】
E.第4実施例:
図15,図16は、本発明の第3実施例としての回転機構部130Cの構成を示す概略図である。図15は、回転機構部130Cの内部構成を示す概略断面図であり、図16は、回転機構部130Cの各構成部を分解して示す概略分解断面図である。この回転機構部130Cは、回転数変換機構としてハーモニックドライブ機構(「ハーモニックドライブ」は登録商標)を有しており、ベベルギア21に回転駆動力を伝達する。回転機構部130Cは、以下の点が第1実施例の回転機構部130(図3,図4)と異なる。
【0072】
この回転機構部130Cは、ハーモニックドライブ機構を構成するウェーブジェネレーター160と、フレックススプライン162と、サーキュラスプライン165とを備えている。ウェーブジェネレーター160は、底面が略長円形形状を有する略楕円筒形状の部材である。
【0073】
ウェーブジェネレーター160には、その中心軸方向(紙面左右方向)に貫通する貫通孔1601が設けられており、貫通孔1601の内壁面には、ギア歯160tが形成されている。ウェーブジェネレーター160は、貫通孔1601にローターギア1213を勘合的に収容した状態で、締結ボルトFBによってローター121と締結される。これによって、ウェーブジェネレーター160は、ローター121の回転に伴って回転する。
【0074】
ところで、ウェーブジェネレーター160の両端部には、外周方向に突出した鍔部1602が設けられている。この鍔部1602は、ウェーブジェネレーター160の外周に配置されるフレックススプライン162の脱落を防止するためのものである。なお、図16では、フレックススプライン162の取り付けのために、一方の鍔部1602が分離された状態が図示されている。分離された鍔部1602は、フレックススプライン162が配置された後に、締結ボルトFBによって固定される。
【0075】
フレックススプライン162は、ウェーブジェネレーター160の回転に合わせて変形可能なたわみを有する環状部材であり、その外周面にはギア歯162tが形成されている。また、フレックススプライン162の内周面には、ウェーブジェネレーター160の回転を円滑にするためのベアリング161が配置されている。
【0076】
サーキュラスプライン165は、内側にフレックススプライン162を収容する前段部1651と、中心軸110が挿通されるとともに、ベベルギア21の回転軸が接続される後段部1652とを有している。前段部1651は、内周面にフレックススプライン162のギア歯162tと噛み合うギア歯165tが形成されている。後段部1652には、中心軸110との間に、サーキュラスプライン165を回動可能とするための軸受け部112が配置される。
【0077】
図17は、回転機構部130Cの内部において回転駆動力が伝達される機構を説明するための、図14と同様な模式図である。なお、図17では、フレックススプライン162の内側に設けられたベアリング161については、図示が省略されている。回転機構部130Cでは、ローターギア1213の回転(一点鎖線の矢印で図示)にともなって、ウェーブジェネレーター160が回転する(実線の矢印で図示)。
【0078】
ウェーブジェネレーター160は、その長円方向において、フレックススプライン162をサーキュラスプライン165側に押圧し、フレックススプライン162とサーキュラスプライン165とを接触させる。これによって、ウェーブジェネレーター160の長円方向において、フレックススプライン162のギア歯162t(図示は省略)と、サーキュラスプライン165のギア歯165t(図示は省略)とが互いに噛み合うこととなる。なお、ウェーブジェネレーター160の短円方向においては、フレックススプライン162と、サーキュラスプライン165とは非接触の状態である。
【0079】
ウェーブジェネレーター160の長円方向におけるフレックススプライン162とサーキュラスプライン165との連結により、ウェーブジェネレーター160の回転が、サーキュラスプライン165へと伝達される。なお、図17では、サーキュラスプライン165の回転方向を二点鎖線の矢印で図示してある。
【0080】
ハーモニックドライブ機構は、一般に、バックラッシュを省略可能であるため、高精度な回転の伝達が可能である。第3実施例の回転機構部130Cは、ハーモニックドライブ機構を構成するウェーブジェネレーター160と、フレックススプライン162と、サーキュラスプライン165とを一体的に収容している。そのため、この回転機構部130Cによれば、コンパクトで動作精度の高いアクチュエーターやマニピュレーターを構成することが可能である。
【0081】
ハーモニックドライブ機構においても、遊星ギアと同様に、ウェーブジェネレーター160、フレックススプライン162、サーキュラスプライン165の3つのうちのいずれか1つを入力部とし、残り2つのうちの1つを固定部とし、残る1つを出力部としてもよい。これにより、ハーモニックドライブ機構を、減速機あるいは増速機として用いることが可能となる。また、フレックススプライン162にダイヤフラムを接続し、フレックススプライン162の代わりにダイヤフラム入力部、固定部、出力部としてもよい。
【0082】
F.第5実施例:
図18は、本発明の第5実施例としての回転機構部130Dの構成を示す概略断面図である。図18は、回転機構部130に替えて、回転軸170が設けられている点以外は、図3とほぼ同じである。この回転機構部130Dでは、ローター121のローターギア1213に回転軸170が交換可能に取り付けられている。
【0083】
回転軸170は、中心軸110を軸方向に挿通する貫通孔171を有している。貫通孔171のローター121側の内壁面には、ローターギア1213が勘合的に収容されるようにギア歯が設けられている。また、貫通孔171のローター121とは反対の側には、軸受け部112や、軸受けリング113、スペーサー115が配置されている。この構成によって、回転軸170は、ローター121とともに回転する。
【0084】
図19(A)〜(C)は、回転機構部130Dにおいて、図18の回転軸170に換えてローター121に取り付けられる回転軸の種類を例示する概略図である。図19(A)の回転軸170aは、先端側(紙面左側)の外表面に直線状のギア歯170taが設けられており、スパーギア(平歯車)として機能する。図19(B)の回転軸170bは、先端側に螺旋状に延びるギア歯170tbが設けられており、スクリューギア(螺旋歯車)として機能する。図19(C)の回転軸170cは、先端側にテーパー状のギア歯170tcが設けられており、ベベルギアとして機能する。
【0085】
このように、第5実施例の回転機構部130Dでは、ローター121に、種々の回転軸170,170a〜170cが交換可能に取り付けられる。そのため、動力発生装置100Dは、その汎用性が向上されている。なお、回転機構部130Dに用いられる回転軸170,170a〜170cは、その一部がローター121の放射方向内側に収容されている。即ち、回転機構部130Dは、その分だけ小型化されている。
【0086】
G.第6の実施例:
図20,図21は、本発明の第6実施例としての回転機構部130Eの構成を示す概略図である。図20は、回転機構部130Eの内部構成を示す概略断面図であり、図21は、回転機構部130Eの各構成部を分解して示す概略分解断面図である。この回転機構部130Eは、回転数変換機構としてサイクロ機構を有しており、負荷接続部133に回転駆動力を伝達する。回転機構部130Eは、以下の点が第1実施例の回転機構部130(図3,図4)と異なる。すなわち、この回転機構部130Eは、サイクロ機構を備えている。
【0087】
図22は、サイクロ機構を模式的に示す説明図である。サイクロ機構は、偏心体180、185と、曲線板181と、外ピン182と、内ピン183と、ベアリング1814と、を備える。曲線板181は、略円盤形状を有しており、中心部に中心孔1810を有し、中心孔1810の周りに8個の内ピン孔1811を有する。内ピン孔1811は、円周上に45度間隔で配置されている。曲線板181の外周は、エピトロコイド平行線形状を有している。本実施例では、エピトロコイド平行線形状の山の数は9個であり、40度回転させるとエピトロコイド平行線形状が重なる。なお、本実施例では、図20に示すように、サイクロ機構は曲線板181を2つ備えており、180度ずれている。その結果、一方の曲線板181のエピトロコイド平行線形状の凸部が、他方の曲線板181のエピトロコイド平行線形状の凹部に位置する。なお、図22では、図面が見難くなるため、一方の曲線板181のみを記載している。
【0088】
外ピン182は、曲線板181側が略円形に形成されている部材である。外ピン182は、円柱形の棒であってもよい。外ピン182は、本実施例では、10本あり、円周上に36度間隔で配置されている。また、外ピン182は、曲線板181の外周に接するように配置されている。ここで、外ピン182のうちの外ピン1821が曲線板181のエピトロコイド平行線形状の凸部の頂点に接しているとき、外ピン1821の対称位置にある外ピン1822は、曲線板181のエピトロコイド平行線形状の凹部の底に接している。図20、図21では、外ピン1822と曲線板181をギア歯の凹凸として接触した図として記載している。
【0089】
内ピン183は、円柱形の棒である。内ピン183は、内ピン孔1811の数と同じ数(8本)あり、円周上に45度間隔で配置されている。内ピン183の太さは内ピン孔1811の大きさよりも細く形成されており、内ピン183は内ピン孔1811の中に挿入されている。なお、内ピン183が配置される円周と、内ピン孔1811が配置される円周は、同じ大きさである。
【0090】
偏心体180、185は、それぞれ円柱形状を有している。偏心体180の中心1801は、偏心体180の回転中心1802とずれている。偏心体185の中心1851は、偏心体185の回転中心1852とずれている。なお、偏心体180の回転中心1802と偏心体185の回転中心1852は同じ点(軸)である。そして、偏心体180の中心1801と、偏心体185の中心1851の重心の位置に偏心体180の回転中心1802(偏心体185の回転中心1852)が位置している。偏心体180、185の太さは中心孔1810の大きさよりも細く形成されており、中心孔1810の中に挿入されている。中心孔1810と偏心体180、185との間には、中心孔1810と偏心体180、185との接触を滑らかにするためのベアリング1814が配置されている。偏心体180、185は、中心1801から見て回転中心1802、1852と反対側において、中心孔1810に配置されたベアリング1814と接触している。この点を接触点1803、1853と呼ぶ。
【0091】
図20に戻り、第6の実施例におけるサイクロ機構の接続関係について説明する。第6の実施例では、偏心体180、185は、ローター121と一体に形成されている。外ピン182は、ステーター(ケーシング122)と一体に形成されている。内ピン183は、負荷接続部133と一体に形成されている。すなわち、偏心体180が入力部であり、外ピン182が固定部であり、内ピン183が出力部である。
【0092】
図22を用いて、図20に示すように、サイクロ機構が接続されている場合の動作について説明する。ローター121(図20)が回転すると、偏心体180も回転する。このとき偏心体180は、回転中心1802を中心に回転する。例えば、図22に示すように、偏心体180が時計回りに回転したとする。このとき、接触点1803の位置も時計回りに回転する。すると、曲線板181は、偏心体180よりベアリング1814を介して力を受けて、外ピン182が配置された円周に沿って反時計回りに公転すると共に、自転する。曲線板181が自転すると、内ピン孔1811の位置が、公転する。内ピン孔1811が公転すると、内ピン183を押すため、内ピン183は内ピン183が配置された円周に沿って公転する。本実施例では、偏心体180が一回転すると、曲線板181が1/9回転する。例えば、曲線板181のエピトロコイド平行線形状の凸部の数をn個、外ピンの数を(n+1)本とすると、偏心体180が一回転すると、曲線板181が1/n回転する。したがって、極めて大きな減速比を得ることが出来る。また、外ピン182によって滑り接触が転がり接触に変換されるので、機械的損失が非常に小さく、極めて高いギア効率を得ることが可能となる。
【0093】
図23は、第6の実施例の変形例としての回転機構部130Fの構成を示す概略図である。図20に示す回転機構部130Eでは、偏心体180をローター121と一体に設けることにより入力部とし、外ピン182をステーター(ケーシング122)と一体に設けることにより固定部とし、内ピン183を負荷接続部133と一体に設けることにより出力部としていた。この回転機構部130Fでは、内ピン183をステーター(ケーシング122)と一体に設けることにより固定部に変更し、外ピン182を負荷接続部133と一体に設けることにより出力部に変更している。このように構成しても減速機を構成することができる。
【0094】
またサイクロ機構では、外ピン182または内ピン183の一方を入力部、他方を固定部とし、偏心体180を出力部とすることにより、増速機としても機能させることが出来る。このように、サイクロ機構では、偏心体180、外ピン182、内ピン183の3つのうちの1つを入力部、残る2つのうちの1つを固定部、残る1つを出力部とすることで、サイクロ機構を、減速機あるいは増速機として機能させることが出来る。
【0095】
本実施例では、サイクロ機構は曲線板181を2つ備えているが、曲線板181の数は1つでもよく、3以上であってもよい。例えば曲線板181がm個の場合、各曲線板181は360/m度ずれるように配置される。また、このとき偏心体180は曲線板181と同数のm個あり、m個の円柱が接続された形状を有している。各円柱の中心1801と回転中心1802を結ぶ線分は、360/m度ずれており、各円柱の中心1801の重心に回転中心1802が位置する。
【0096】
H.第7の実施例:
図24は、第7の実施例としての回転機構部130Gの構成を示す概略図である。第7の実施例の回転機構部130Gは、第1の実施例で説明した回転機構部130に、クロスローラーベアリング137と、ハーネスガイド1375aと、をさらに備える点が異なっている。クロスローラーベアリング137は、外輪1371と、内輪1372と、円筒コロ1373と、を備える。クロスローラーベアリング137の外輪1371は、穴あき円盤部材1374と固定用ボルト114により、ギア固定部131に固定されている。クロスローラーベアリング137の内輪1372は、穴あき円盤部材1375と固定用ボルト114により負荷接続部133に固定されている。なお、クロスローラーベアリング137の内輪1372と穴あき円盤部材1375との間には、スペーサー1376が設けられている。また、固定用ボルト114は、第1のベベルギア21の回転軸も固定している。穴あき円盤部材1375は、その中心部にハーネスガイド1375aを有しており、導電線束25は、ハーネスガイド1375aを貫通している。ハーネスガイド1375aは、負荷接続部133とともに回転するので、ハーネスガイド1375aを備えることにより、導電線束25(ハーネス)と中心軸110とが擦れたりしない、摩耗が少ない構造を実現できる。なお、穴あき円盤部材1375は、導電線束25を通すための貫通孔を有していれば、ハーネスガイド1375aを有さない構成であってもよい。
【0097】
I.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0098】
I1.変形例1:
上記第1実施例では、回転機構部130は、ロボットアーム10の関節部J1〜J3の動力源の回転数の変換に用いられていた。しかし、第1実施例の回転機構部130や、他の実施例の回転機構部130A〜130Hは、他のアクチュエーターやマニピュレーターの動力源、あるいは、移動体の動力源の回転数の変換に用いられるものとしても良い。
【0099】
I2.変形例2:
上記実施例では、回転機構部130、130A〜130Hは、モーター部120で発生した回転駆動力を外部負荷へと伝達していた。しかし、回転機構部130、130A〜130Hは外部負荷から伝達された回転駆動力により、モーター部120に電力を発生させる発電装置として機能するものとしても良い。このように、本発明は、電磁力を利用して動力を発生させる動力発生装置に限らず、ローターおよびステーター、回転機構を用いて動力と電力とを変換する電気機械装置に適用することが可能である。
【0100】
I3.変形例3:
上記実施例では、ローター121に隣接して、遊星ギアや、ハーモニックドライブ機構、サイクロ機構などの回転機構の全部または一部が収容されていた。即ち、中心軸110に対して垂直な方向に見たときに、ローター121と回転機構の全部または一部が重なるように構成されていた。しかし、ローター121に隣接して、他の回転機構の全部または一部が収容されるものとしても良い。例えば、ローター121には、ローター121の回転をチェーンやベルトの回転を用いて伝達する回転機構が隣接していてもよい。
【0101】
I4.変形例4:
上記実施例では、中心軸110の貫通孔111に導電線束25が挿通されていた。しかし、中心軸110の貫通孔111は省略されるものとしても良く、導電線束25は、回転機構部130、130A〜130Hの外部に配設されるものとしても良い。
【0102】
I5.変形例5
第1の実施例では、第4の基体部14は、関節部J3を中心に第3の基体部13に対して相対的に回動しているが、第3の基体部13に,第3の基体部13に対して相対的に動かない第5の基体部を備え、第4の基体部14と第5の基体部とで物を把持する把持部を形成してもよい。すなわち、ロボットアームの先端部に物を掴むための把持部を設け、当該把持部の駆動に第1実施例の回転機構部130や、他の実施例の回転機構部130A〜130Hを用いてもよい。また、ロボットアーム10全体を移動させる駆動部に、第1実施例の回転機構部130や、他の実施例の回転機構部130A〜130Hを用いてもよい。
【0103】
上記各実施例では、負荷接続部133にベベルギア21が接続されるとして説明しているが、負荷接続部133に外部負荷が接続されればよく、外部負荷の形状はベベルギア21に限られない。
【符号の説明】
【0104】
10,10cf…ロボットアーム
11…第1の基体部
12…第2の基体部
13…第3の基体部
14…第4の基体部
21…第1のベベルギア
22…第2のベベルギア
25…導電線束
100,100a〜100g、100A、100B、100D…動力発生装置
110…中心軸
111…貫通孔
112…軸受け部
113…軸受けリング
114…固定用ボルト
115…スペーサー
120,120B、120G…モーター部
121,121B…ローター
1211…貫通孔
1212…ローター入力部
1213…ローター出力部(ローターギア)
1213B…ローター出力部
1213C…円盤部
1213t,1213tB…ギア歯
122…ケーシング
1221…貫通孔
123…第1の歯車
125…回転軸
127…開口部
130,130a〜130g、130A〜130G、…回転機構部
131,131A…ギア固定部
1311…アウターギア
1311a,1311b…第1と第2のアウターギア
1312…鍔部
1313…開口部
131t…ギア歯
132…プラネタリーギア
132a,132b…第1と第2のプラネタリーギア
132s…回転軸
132t…ギア歯
133,133e…負荷接続部
1331…貫通孔
1332…軸孔
133t…ギア歯
135…プラネタリーキャリア
1351…前段部
1352…後段部
1353…貫通孔
1354…軸孔
135t…ギア歯
136…サンギア
1361…貫通孔
1361a…前段部
1361b…後段部
136t…ギア歯
137…クロスローラーベアリング
1371…外輪
1372…内輪
1373…円筒コロ
1374…円盤部材
1375…円盤部材
1375a…ハーネスガイド
1376…スペーサー
140…ブラシシール部
141…ゴムシール部
142…熱交換フィン
143…制御部
143c…通信部
143d…ドライバ回路
144…ケーシング
160…ウェーブジェネレーター
1601…貫通孔
1602…鍔部
160t…ギア歯
161…ベアリング
162…フレックススプライン
162t…ギア歯
165…サーキュラスプライン
1651…前段部
1652…後段部
165t…ギア歯
170,170a〜170c…回転軸
170ta,170tb,170tc…ギア歯
171…貫通孔
180、185…偏心体
181…曲線板
182、1821、1822…外ピン
183…内ピン
190…エンコーダー
191…発光部
192…受光部
193…反射板
194…エンコーダー回路
195…孔
1801、1851…中心
1802、1852…回転中心
1803…接触点
1810…中心孔
1811…内ピン孔
1814…ベアリング
FB…締結ボルト
J1〜J3…第1〜第3の関節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転数変換装置であって、
導電線を通過させる中空部を有する中心軸と、
前記中心軸の周りに配置され、回転中心が前記中心軸からずれており、外部の駆動装置の駆動軸が接続可能な第1の歯車と、
前記第1の歯車と咬み合う入力部を有し、回転中心が前記中心軸と同心である回転数変換機構と、
前記第1の歯車と、前記回転数変換機構と、を内部に格納し、前記第1の歯車の回転中心の延長上に前記外部の駆動装置の駆動軸を通過させる開口部を有するケーシングと、
を備え、
前記ケーシングは、前記ケーシングの外周を前記中心軸と平行な方向に延長した仮想的な筒形状の内部に前記外部駆動装置が収まるように、前記外部駆動装置が接続されるケーシングである、回転数変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転数変換装置において、
前記回転数変換機構は、
前記回転数変換機構の中心部に配置されたサンギアと、
前記回転数変換機構の外周部に配置されたアウターギアと、
前記サンギアと前記アウターギアとの間に配置されたプラネタリーギアと、
前記プラネタリーギアが接続されたプラネタリーキャリアと、を有する遊星ギアを含み、
前記回転数変換機構は、前記サンギアと前記アウターギアと前記プラネタリーキャリアの3つのうちの1つが前記第2の歯車と接続または一体に構成された入力であり、残り2つのうちの1つが前記ケーシングと固定され、残りの1つが出力である、回転数変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回転数変換装置において、
前記回転数変換機構は、
前記回転数変換機構の中心部に配置されたウェーブジェネレーターと、
前記回転数変換機構の外周部に配置されたサーキュラスプラインと、
前記ウェーブジェネレーターと前記サーキュラスプラインとの間に配置されたフレックススプラインと、を有するハーモニックドライブ(「ハーモニックドライブ」は登録商標)機構を含み、
前記回転数変換機構は、前記ウェーブジェネレーターと、前記サーキュラスプラインと、前記フレックススプラインの3つのうちの1つが前記第2の歯車と接続または一体に構成された入力であり、残り2つのうちの1つが前記ケーシングと固定され、残りの1つが出力である、回転数変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の回転数変換装置において、
前記回転数変換機構は、
外縁にエピトロコイド平行曲線形状を有し中心に形成された第1の孔と前記第1の孔の周りに形成された複数の第2の孔とを有する曲線板と、
前記曲線板の前記エピトロコイド平行曲線と接するように配置される外ピンと、
前記第2の孔の中に配置される内ピンと、
前記第1の孔の中に配置される偏心体と、を有するサイクロ機構を含み、
前記偏心体と前記外ピンと前記内ピンの3つのうちの1つが前記第2の歯車と接続または一体に構成された入力であり、残り2つのうちの1つが前記ケーシングと固定され、残りの1つが出力である、回転数変換装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転数変換装置において、
前記回転数変換機構が増速機として機能する場合には、前記第1の歯車は、前記入力部よりも大きく設定されており、
前記回転数変換機構が減速機として機能する場合には、前記第1の歯車は、前記入力部よりも小さく設定されている、回転数変換装置。
【請求項6】
電気機械装置であって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転数変換装置と、
前記ケーシングの外周を前記中心軸と平行な方向に延長した仮想的な筒形状の内部に収まるように前記ケーシングに接続された外部駆動装置と、
を備える、電気機械装置。
【請求項7】
アクチュエーターであって、
請求項6に記載の電気機械装置を備える、アクチュエーター。
【請求項8】
ロボットであって、
基部と、
前記基部を移動させる駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、請求項6に記載の電気機械装置を含む、ロボット。
【請求項9】
ロボットであって、
基部と、
前記基部に対して相対的に運動する運動部と、
前記運動部を前記基部に対して運動させる駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、請求項6に記載の電気機械装置を含む、ロボット。
【請求項10】
ロボットハンドであって、
基部と、
前記基部に配置され、対象物を把持する把持部と、
前記把持部を駆動して前記把持部に対して前記対象物を把持させる駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、請求項7に記載のアクチュエーターを含む、ロボットハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−108611(P2013−108611A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256454(P2011−256454)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】